説明

移動通信基地局間TDM同期方法及び移動通信基地局間TDM同期システム

【課題】 各周辺基地局から送信される呼出信号の同期を瞬時に確立できない問題点を解決する移動通信基地局間TDM同期方法及び移動通信基地局間TDM同期システムを提供する。
【解決手段】 中央基地局1が呼出信号を一斉に複数の周辺基地局2に送信すると、各周辺基地局2において位相遅延補正部11が呼出信号を受信して記憶し、一方GPS衛星20から送出されるGPS時刻に基づいてGPS受信部13が1秒周期のGPSCLKを生成し、位相遅延検出部12が呼出信号からGPSCLKまでの時間をカウントした値(位相遅延情報)を位相遅延補正部11に出力し、位相遅延補正部11が位相遅延情報に基づくアドレス分だけ記憶部11aからの読出アドレスを変化させて呼出信号の読出を遅延し、結果的に次のGPSCLKのタイミングで呼出信号を送信する移動通信基地局間TDM同期方法及びそのシステムである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動通信基地局間TDM同期方法に係り、特に移動通信用基地局からの送信信号間位相遅延補正に用いられ、複数の基地局が設定されたGPS時刻に基づいて一斉に同期して送信することができる移動通信基地局間TDM同期方法及び移動通信基地局間TDM同期システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の移動通信基地局TDM同期方法について、図4及び図5を使って説明する。図4は、従来の移動通信基地局間TDM同期システムの概略構成図であり、図5は、従来の移動通信基地局間TDM同期方法を示すタイミングチャート図である。
【0003】尚、TDM(Time Division Multiplex :時分割多重)通信とは、1の伝送路を多数のチャネルで共有する場合に、チャネルの数分時間的にずらしたパルス信号を並べて伝送する通信方法である。変調方式には、パルス振幅変調(PAM)、パルス幅変調(PWN)、パルス位置変調(PPM)、パルス数変調(PNM)、パルス符号変調(PCM)等がある。
【0004】まず、従来の移動通信基地局間TDM同期システムの概略構成について図4を使って説明する。従来の移動通信基地局間TDM同期システムは、図4に示すように、中央基地局1′と、周辺基地局2′と、受信機5とから基本的に構成され、中央基地局1′と複数の周辺基地局2′とがそれぞれ回線(B信号中継線)で接続されている。
【0005】中央基地局1′は、ネットワークに接続し、ネットワークから呼出信号を受信して、複数の周辺基地局2′にB信号中継線を介してその呼出信号を一斉に送信するものである。周辺基地局2′は、エリア毎に設けられ、図4の例では、3つの周辺基地局2′-1、2′-2、2′-3が設けられた構成となっている。
【0006】更に、周辺基地局2′内部の構成について説明すると、周辺基地局2′は、位相補正部6と、送信部7と、位相補正用アンテナ3と、周辺基地局用アンテナ4とから構成されている。
【0007】ここで、周辺基地局用アンテナ4は、呼出信号を受信機5に送信するためのアンテナであり、送信部7は、呼出信号を周辺基地局用アンテナ4を用いて送信する送信部である。
【0008】また、位相補正部6は、B信号中継線に搬送回線を用いると、その距離等により呼出信号が周辺基地局2′に到着する時刻に遅延が生じ、各周辺基地局2′で到着時刻がまちまちとなって呼出信号を送信するタイミングが不一致になることから、各周辺基地局2′での送信タイミングを同期させる補正を行うためのものである。そして、位相補正用アンテナ3は、上記補正に用いられるアンテナである。尚、位相補正部6の動作については、図5を用いて後述する。
【0009】受信機5は、周辺基地局2′から送信される呼出信号を受信し、自機宛の信号であるかどうか判定して、自機宛の信号であればその信号内容を取り込み、アラーム音を発生させて表示等を行うものである。
【0010】次に、従来の移動通信基地局間TDM同期方法について、図5を使って説明する。まず、ネットワークから中央基地局1に呼出信号が送信されると、中央基地局1が周辺基地局2′-1、2′-2、2′-3へB信号中継線を介して呼出信号を伝送する。そして、周辺基地局2′では基準位相となるべき他の周辺基地局2′の位相と比較した場合の遅延時間を補正する。
【0011】周辺基地局2′(特に、周辺基地局2′-2)における遅延時間の補正を具体的に説明すると、周辺基地局2′-2は自局の周辺基地局用アンテナ4から送信された呼出信号を自局の位相補正用アンテナ3で受信し、次に、基準位相とすべき周辺基地局2′-1からの呼出信号を受信し、双方の呼出信号に含まれる同期コードから双方の位相遅延△t1 を検出する(図5(a)参照)。
【0012】そして、周辺基地局2′-2の位相補正部6で、△t1 をTDMにおける1スロット分の時間△t0 となるよう送信タイミングを調整し、更にその呼出信号にダミーのスロットを1つ付加する(図5(b)参照)。すると、次の呼出信号の送信から周辺基地局2′-1と周辺基地局2′-2とで同期がとれるものである。
【0013】更に、補正済の周辺基地局2′-2の位相を基準として、周辺基地局2′-3の呼出信号との位相差Δt2 (図5(c)参照)を同様にして補正し、同期状態を確立するものである。また、周辺基地局2′の数が増えれば、以下同様にして各周辺基地局間の呼出信号の位相を補正するようになっている。
【0014】このような従来の移動通信基地局間TDM同期方法については、NEC Res.& Develop., No. 84 January, 1987, T. Kuki etal 「High CapacityRadio Paging System」の文献に記載されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の移動通信基地局間TDM同期方法では、基準となる周辺基地局に対して他の周辺基地局の1局が同期を確立するよう遅延時間を補正し、更に補正された周辺基地局を基準として別の周辺基地局の1局が同期を確立するというように1対1で遅延時間の補正が順次行われていく順次送信同期方式であるため、最終的に同期が確立されるまでには複雑な行程を必要とし、かつ遅延補正完了時間が周辺基地局数に比例して大きくなるという問題点があった。
【0016】本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、各周辺基地局から送信される呼出信号の同期を瞬時に確立することができる移動通信基地局間TDM同期方法及び移動通信基地局間TDM同期システムを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記従来例の問題点を解決するための請求項1記載の発明は、移動通信基地局間TDM同期方法において、各周辺基地局で、呼出信号とGPS衛星から衛星通信を利用してGPS時刻とを受信し、前記GPS時刻を基にGSPクロックを生成し、前記生成したGPSクロックを基準として前記呼出信号の遅延時間を検出し、前記GPSクロックの周期時間から前記遅延時間を差し引いた時間分のカウント数を基に前記呼出信号の位相遅延を補正し、補正後に受信機に向けて前記呼出信号を送信することを特徴としており、中央基地局から各周辺基地局へ呼出信号が送信される際にまちまちの遅延時間が発生しても、GPS衛星から受信したGPS時刻により生成したGPSクロックの周期に同期して各周辺基地局が一斉に呼出信号を送信できるため、呼出信号の同期を瞬時に確立することができる。
【0018】上記従来例の問題点を解決するための請求項2記載の発明は、移動通信基地局間TDM同期システムにおいて、呼出信号を送信する中央基地局と、前記中央基地局から送信された呼出信号を中継線を介して受信し、GPS衛星から衛星通信を利用してGPS時刻を受信して、前記GPS時刻を基にGPSクロックを生成し、前記GPSクロックを基準として受信した前記呼出信号の遅延時間を検出し、前記GPSクロックの周期時間から前記遅延時間を差し引いた時間分のカウント数を基に前記呼出信号の位相遅延を補正し、補正後に受信機に向けて前記呼出信号を送信する複数の周辺基地局とを有することを特徴としており、中央基地局から各周辺基地局へ呼出信号が送信される際にまちまちの遅延時間が発生しても、GPS衛星から受信したGPS時刻により生成したGPSクロックの周期に同期して各周辺基地局が一斉に呼出信号を送信できるため、呼出信号の同期を瞬時に確立することができる。
【0019】上記従来例の問題点を解決するための請求項3記載の発明は、請求項2記載の移動通信基地局間TDM同期システムにおいて、周辺基地局が、GPS衛星から衛星通信を利用して送信されるGPS時刻を受信し、前記GPS時刻に基づいてGPSクロックを生成するGPS受信部と、中央基地局から受信した呼出信号のユニークワードを検出し、ユニークワード検出信号を出力する第1の検出部と、前記GPSクロックと前記ユニークワード検出信号とから前記GPSクロックを基準として前記呼出信号の遅延時間を検出し、更にGPSクロックの周期時間から前記遅延時間を差し引いた時間分のカウント数を位相遅延情報として出力する第2の検出部と、前記中央基地局から受信した呼出信号を一時記憶すると共に、前記位相遅延情報を基に前記一時記憶した呼出信号の位相遅延を補正して出力する遅延補正部と、前記遅延補正部から出力された呼出信号を受信機に向けて送信する送信部とを有することを特徴としており、中央基地局から各周辺基地局へ呼出信号が送信される際にまちまちの遅延時間が発生しても、GPS衛星から受信したGPS時刻により生成したGPSクロックの周期に同期して各周辺基地局が一斉に呼出信号を送信できるため、呼出信号の同期を瞬時に確立することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る移動通信基地局間TDM同期方法及び移動通信基地局間TDM同期システムは、各周辺基地局において、GPS(Global Positioning System)衛星から衛星通信を利用して受信したGPS時刻からGPSクロックを生成し、更にGPSクロックからPLLクロックを生成し、受信した呼出信号からGPSクロックまでの時間をPLLCLKでカウントし、そのカウント数に基づいて呼出信号の送信を遅延させるので、GPSクロックの周期に同期して各周辺基地局が一斉に呼出信号を受信機に送信でき、中央基地局から各周辺基地局までに発生するまちまちの遅延時間を全ての周辺基地局が一斉に補正して、呼出信号の同期を瞬時に確立することができるものである。
【0021】まず、本実施の形態の移動通信基地局間TDM同期システムの構成について、図1を使って説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る移動通信基地局間TDM同期システムの概略構成図である。尚、図4と同様の構成をとる部分については同一の符号を付して説明する。
【0022】本実施の形態の移動通信基地局間TDM同期システムは、基本的には従来と同様で、中央基地局1と、複数の周辺基地局2と、受信機5とから構成されており、更に本実施の形態の特徴としてGPS衛星20から送出される情報を用いている。但し、本実施の形態の中央基地局1における呼出信号の送信制御方法が従来の中央基地局1′とは異なっており、更に本実施の形態の中央基地局1にはGPSアンテナ14が設けられている点が従来の中央基地局1′とは異なっている。また周辺基地局2内部に従来の位相補正部6及び位相補正用アンテナ3の代わりに同期回路部10及びGPSアンテナ14が設けられている点が従来の周辺基地局2′とは異なっている。
【0023】次に、本実施の形態の移動通信基地局間TDM同期システムの各部について具体的に説明するが、従来と同様の構成部分につては説明を省略し、本実施の形態の特徴部分についてのみ説明する。GPS衛星20は、米国国防省が軍事用に開発した衛星航法システムで用いられている周回衛星で、内部に非常に高精度の原子時計を持ち、決まった時刻を基準に周期的な連続信号を常時送出しているものであり、ここではこの周期的な信号をGPS時刻信号と呼ぶ(「移動通信」 進士 昌明編 丸善株式会社 1989年9月発行 p264参照)。
【0024】GPSアンテナ14は、GPS衛星20から定期的に送出される信号(GPS時刻信号)を受信するアンテナである。
【0025】中央基地局1は、従来と同様にネットワークから受け取った受信機5に対する呼出信号をB信号中継線を介して複数の周辺基地局2に送信するものであるが、本実施の形態の中央基地局1の特徴は、GPS衛星20から送出されるGPS時刻信号をGPSアンテナ14で受信して、該GPS時刻信号に基づいて1秒周期の周期パルス(以降、「GPSクロック」又は「GPSCLK」と呼ぶ)を生成し、生成したGPSCLKのタイミングで呼出信号を該周辺基地局2に送信する点である。
【0026】周辺基地局2は、中央基地局1から送信される呼出信号をB信号中継線を介して同期回路部10で受け取り、GPS衛星20から送出されるGPS時刻を基にして生成したGPSクロックに同期させて、送信部7を介して呼出信号を送信するものである。
【0027】ここで、本実施の形態の周辺基地局2の同期回路部10内部の構成について、図2を使って具体的に説明する。図2は、本実施の形態の周辺基地局2の同期回路部10内部及びその周辺の構成ブロック図である。本実施の形態の周辺基地局2の同期回路部10内部は、図2に示すように、位相遅延補正部11と、位相遅延検出部12と、GPS受信部13と、PLL15と、UW検出部16とから構成され、GPS受信部13にGPSアンテナ14が接続されている。
【0028】同期回路部10内部の各部について具体的に説明する。GPS受信部13は、GPSアンテナ14を介して受信したGPS時刻信号に基づいて1秒周期の周期パルス(以降、「GPSクロック」又は「GPSCLK」と呼ぶ)を生成し、後述するPLL15と位相遅延検出部12とに供給するものである。尚、このGPSCLKは、中央基地局1及び各周辺基地局2において共通のGPS時刻信号に基づいて生成しているので、各基地局で生成されたGPSCLKは全て同期がとれていると考えてよい。
【0029】PLL15は、PLL(Phase-Locked Loop )方式の信号発振器で、各周辺基地局2における呼出信号受信の遅延時間をカウントするためのクロックを生成することを主な目的としている。具体的にPLL15は、GPS受信部13から供給される1秒周期のGPSCLKを入力して、1/n秒周期のクロック(以降、「PLLクロック」又は「PLLCLK」と呼ぶ)を生成し、位相遅延検出部12に供給するものである。ここで、nは位相遅延補正の精度によって決まる値である。尚、PLL方式については、「高周波測定」 山本博、大川澄雄共著 (株)コロナ社 1991年9月発行 p232〜p233 に記載されている。
【0030】UW検出部16は、中央基地局1から送信される呼出信号中に含まれるユニークワード(以降「UW」と呼ぶ)を検出するもので、具体的には、中央基地局1から送信され、位相遅延補正部11を経由して得られる呼出信号中のUWを検出すると、位相遅延検出部12にUW検出信号を出力するようになっている。ここで、UWは同期コード(同期信号)を含むものである。
【0031】位相遅延検出部12は、中央基地局1によって送信され周辺基地局2が受信した呼出信号と、GPSCLKとの位相差を検出し、呼出信号を送信するタイミングを計るものである。具体的には、GPS受信部13から供給されるGPSCLKと、UW検出部16から受け取るUW検出信号との位相差をΔtとすると、(GPSCLKの周期−Δt)の時間分、実際にはUW検出信号から次のGPSCLKまでの時間をPLL15から供給されるPLLCLKを用いてカウンタ等によりカウントし、カウント値を位相遅延情報として位相遅延補正部11に出力するようになっている。尚、本実施の形態では、GPSCLKの周期は1秒である。
【0032】位相遅延補正部11は、その内部に中央基地局1から送信された呼出信号を一時記憶する記憶部11aを有し、位相遅延検出部12から出力される位相遅延情報に基づいて位相遅延補正を行って、結果的にGPSCLKに同期したタイミングで呼出信号を送信部7に出力するものである。
【0033】具体的には、位相遅延補正部11は、B信号中継線を介して呼出信号を受け取ると、受け取った呼出信号を記憶部11aに一時記憶する。また、位相遅延補正部11に入力さて記憶された呼出信号はUW検出を行うためにUW検出部16に出力される。そして、位相遅延検出部12から受け取った(1−Δt)秒カウントした値の位相遅延情報を基にして、記憶部11aに記憶されている呼出信号を位相遅延情報に対応するアドレスだけ変化させたアドレスから読み出し、送信部7に出力して送信させるものである。
【0034】上記のような位相遅延補正を各周辺基地局2で施すことにより、各周辺基地局2からGPSCLKに同期したタイミングで一斉に呼出信号が送信されることになるものである。
【0035】次に、本実施の形態の移動通信基地局間TDM同期システムの動作の概略について、図1、図2を使って説明する。本実施の形態の移動通信基地局間TDM同期システムにおいて、中央基地局1はGPS衛星20から送出されるGPS時刻信号を取り込んでGPSCLKを生成し、ネットワークから受信機5を呼び出す呼出信号を受け取ると、GPSCLKに同期したタイミングで各周辺基地局2に一斉に呼出信号を送信する。
【0036】そして、各周辺基地局2では、中央基地局1から送信された呼出信号を同期回路部10の位相遅延補正部11が受け取ると、記憶部11aに一時記憶し、即座に読み出して、UW検出部16に出力するそして、UW検出部16は位相遅延補正部11から受け取った呼出信号中のUWを検出すると、UW検出信号を位相遅延検出部12に出力する。
【0037】一方、周辺基地局2ではGPS衛星20から周期的に送出されるGPS時刻信号を同期回路部10のGPSアンテナ14で受信し、GPS受信部13でGPS時刻に基づいて1秒周期のGPSCLKを生成し、位相遅延検出部12とPLL15とに供給している。そして、PLL15では、GPS受信部13から供給されるGPSCLKに基づいて1/n秒周期のPLLCLKを生成して位相遅延検出部12に供給している。
【0038】そして、位相遅延検出部12は、UW検出部16から受け取るUW検出信号からGPS受信部13から供給されるGPSCLKまでの時間(1−Δt)秒をPLL15から供給されるPLLCLKを用いてカウントし、そのカウント値を位相遅延情報として位相遅延補正部11に出力する。
【0039】そして、位相遅延補正部11は、位相遅延検出部12から位相遅延情報を受け取るとそれに基づいて記憶部11aの読出アドレスを変化させ、その読出アドレスから記憶部11aに記憶されているデータを読み出して送信部7に出力し、送信部7が周辺基地局用アンテナ4から呼出信号を受信機5に送信するようになっている。
【0040】上記のような動作により、各周辺基地局2から送信される呼出信号がGPSCLKに同期して送信されるようになる様子を図3を使って具体的に説明する。図3は、本実施の形態の移動通信基地局間TDM同期方法を示すタイミングチャート図である。
【0041】本実施の形態の移動通信基地局間TDM同期システムでは、中央基地局1及び各周辺基地局2においてGPS衛星20から受け取ったGPS時刻に基づいて、図3(a)に示すGPSCLKを生成している。また、周辺基地局2においては、更にPLL15でGPSCLKに基づいて図3(b)に示す1/n秒周期のPLLCLKを生成している。
【0042】そして、中央基地局1では、ネットワークから呼出信号を受け取ると、図3(c)に示すように、GPSCLK(A)のタイミングで呼出信号を各周辺基地局2に送信する。
【0043】すると、周辺基地局2-1では、図3(d)に示すように、位相遅延時間Δt3後に呼出信号を受け取り、位相遅延補正を行うことにより、(1−Δt3 )秒後のGPSCLK(B)のタイミングで呼出信号を送信する。そして、以降は呼出信号を受信すると、受信後最初のGPSCLKで呼出信号を送信する(図3(e))。
【0044】同様に、周辺基地局2-2では、図3(f)に示すように、位相遅延時間Δt4後に呼出信号を受け取り、位相遅延補正を行うことにより、(1−Δt4 )秒後のGPSCLK(B)のタイミングで呼出信号を送信する。そして、以降は呼出信号を受信すると、受信後最初のGPSCLKで呼出信号を送信する(図3(g))。
【0045】その結果、複数の周辺基地局2では、中央基地局1からGPSCLK(A)のタイミングで送信された呼出信号を、GPSCLK(B)に同期したタイミングで一斉にその呼出信号を受信機5宛に送信し、以降はGPSCLKに同期したタイミングで一斉に呼出信号を受信機5宛に送信することになる。
【0046】本実施の形態の移動通信基地局間TDM同期方法及び移動通信基地局間TDM同期システムによれば、中央基地局1から送信された呼出信号を受信した各周辺基地局2では、受信信号からGPSCLKまでの時間をPLLCLKでカウントし、そのカウント数に基づいて記憶部11aからの読出アドレスを変化させて呼出信号の送信を遅延させGPSCLKのタイミングで送信するようにしているので、複数の周辺基地局2でGPSCLKに同期して一斉に呼出信号を送信することになり、短時間で同期をとることができる効果がある。
【0047】また、本実施の形態の移動通信基地局間TDM同期システムでは、同期をとる時刻として、各装置で共通の時刻として認識できるGPS時刻を用いているので、高精度の同期が実現できる効果がある。
【0048】
【発明の効果】請求項1,2,3記載の発明によれば、各周辺基地局で、GPS衛星から衛星通信を利用して受信したGPS時刻からGPSクロックを生成し、そのGPSクロックを基準として、受信した中央基地局からの呼出信号の遅延時間を検出し、GPSクロックの周期時間から遅延時間を差し引いた時間分のカウント数を基に位相遅延補正を行った呼出信号を受信機に送信する移動通信基地局間TDM同期方法及び移動通信基地局間TDM同期システムとしているので、中央基地局から各周辺基地局へ呼出信号が送信される際にまちまちの遅延時間が発生しても、GPS衛星から受信したGPS時刻により生成したGPSクロックの周期に同期して各周辺基地局が一斉に呼出信号を送信できるため、呼出信号の同期を瞬時に確立することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る移動通信基地局間TDM同期システムの概略構成図である。
【図2】本実施の形態の周辺基地局の同期回路部内部及びその周辺の構成ブロック図である。
【図3】本実施の形態の移動通信基地局間TDM同期方法を示すタイミングチャート図である。
【図4】従来の従来の移動通信基地局間TDM同期システムの概略構成図である。
【図5】従来の移動通信基地局間TDM同期方法を示すタイミングチャート図である。
【符号の説明】
1,1′…中央基地局、 2,2′…周辺基地局、 3…位相補正用アンテナ、 4…周辺基地局用アンテナ、 5…受信機、 6…位相補正部、 7…送信部、 10…同期回路部、 11…位相遅延補正部、 12…位相遅延検出部、13…GPS受信部、 14…GPSアンテナ、 15…PLL、 16…UW検出部、 20…GPS衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】 各周辺基地局で、呼出信号とGPS衛星から衛星通信を利用してGPS時刻とを受信し、前記GPS時刻を基にGSPクロックを生成し、前記生成したGPSクロックを基準として前記呼出信号の遅延時間を検出し、前記GPSクロックの周期時間から前記遅延時間を差し引いた時間分のカウント数を基に前記呼出信号の位相遅延を補正し、補正後に受信機に向けて前記呼出信号を送信することを特徴とする移動通信基地局間TDM同期方法。
【請求項2】 呼出信号を送信する中央基地局と、前記中央基地局から送信された呼出信号を中継線を介して受信し、GPS衛星から衛星通信を利用してGPS時刻を受信して、前記GPS時刻を基にGPSクロックを生成し、前記GPSクロックを基準として受信した前記呼出信号の遅延時間を検出し、前記GPSクロックの周期時間から前記遅延時間を差し引いた時間分のカウント数を基に前記呼出信号の位相遅延を補正し、補正後に受信機に向けて前記呼出信号を送信する複数の周辺基地局とを有することを特徴とする移動通信基地局間TDM同期システム。
【請求項3】 周辺基地局が、GPS衛星から衛星通信を利用して送信されるGPS時刻を受信し、前記GPS時刻に基づいてGPSクロックを生成するGPS受信部と、中央基地局から受信した呼出信号のユニークワードを検出し、ユニークワード検出信号を出力する第1の検出部と、前記GPSクロックと前記ユニークワード検出信号とから前記GPSクロックを基準として前記呼出信号の遅延時間を検出し、更にGPSクロックの周期時間から前記遅延時間を差し引いた時間分のカウント数を位相遅延情報として出力する第2の検出部と、前記中央基地局から受信した呼出信号を一時記憶すると共に、前記位相遅延情報を基に前記一時記憶した呼出信号の位相遅延を補正して出力する遅延補正部と、前記遅延補正部から出力された呼出信号を受信機に向けて送信する送信部とを有することを特徴とする請求項2記載の移動通信基地局間TDM同期システム。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平8−307932
【公開日】平成8年(1996)11月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−52162
【出願日】平成8年(1996)3月8日
【出願人】(000001122)国際電気株式会社 (5,007)