説明

移動通信方法、コアネットワーク装置及びサービングゲートウェイ装置

【課題】移動局のISRがアクティブな状態における異RAT間ハンドオーバ(Inter-RAT HO)を適切に行う。
【解決手段】本実施形態に係る移動通信方法は、UEのS-GWが、ISRがアクティブ状態のUE用のEPSベアラとして、SGSN#2との間のEPSベアラを確立する工程と、HSSが、UTRAN/GERANにおけるUEの位置情報を、SGSN#1配下のセルからSGSN#2配下のセルに変更する工程と、HSSが、SGSN#1に対して、「MAP_CL」を送信する工程と、SGSN#1が、かかる「MAP_CL」に「Cancellation type=Update Procedure」が含まれている場合に、S-GWに対して、「GTPv2_Delete Session Request」を送信することなく、S-GW装置との間のEPSベアラを解放する工程とを有する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法、コアネットワーク装置及びサービングゲートウェイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11に示すように、従来の3GPPで規定されている移動通信システムにおいて、UE(User Equipment、移動局)のISR(Idle-mode Signaling Reduction)がアクティブな状態では、UEは、SGSN(GPRS Support Node、パケット交換機)#1配下のセル(lu-Pool#1)とMME(Mobility Manegament Entity、移動管理ノード)#1配下のセル(S1-Pool#1)との間を移動した場合であっても、位置登録信号(TAU(Tracking Area Update)/RAU(Routing Area Update))の送信を省略することができるように構成されている。
【0003】
ここで、HSS(Home Subscriber Server、加入者管理サーバ)は、E-UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Accecc Network)におけるUEの位置情報として、MME#1配下のセル(S1-Pool#1)を管理しており、UTRAN(Universal Terrestrial Radio Accecc Network)/GERAN(GSM EDGE Radio Accecc Network)におけるUEの位置情報として、SGSN#1配下のセル(lu-Pool#1)を管理しているものとする。
【0004】
また、UEのS-GW(Serviong Gateway、サービングゲートウェイ装置)が、ISRがアクティブ状態のUE用のベアラ(EBI(EPS Bearer ID)=0)として、MME#1との間のEPS(Evolved Packet System)ベアラ及びSGSN#1との間のEPSベアラを確立しているものとする。
【0005】
図12に示すように、UEが、SGSN#1配下のセル(lu-Pool#1)からMME#1配下のセル(S1-Pool#1)にハンドオーバ(Inter-RAT HO)した後、MME#1配下のセル(S1-Pool#1)からSGSN#2配下のセル(lu-Pool#2)にハンドオーバした場合、S-GWが、ISRがアクティブ状態のUE用のEPSベアラ(EBI=0)として、MME#1との間のEPSベアラ及びSGSN#1との間のEPSベアラに加えて、SGSN#2との間のEPSベアラを確立するように構成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS23.401、5.3.3.3
【非特許文献2】3GPP TS29.002、8.1.3.3
【非特許文献3】3GPP TS23.060、6.9.1.2.2
【非特許文献4】3GPP TS29.274、7.2.9.1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図13及び図14に示すように、従来の3GPPで規定されている移動通信システムでは、図12に示すハンドオーバが行われた場合(ステップS3001)、HSSが、SGSN#1に対して、UEの位置情報を削除するように要求する「MAP_CL」を送信し(ステップS3006)、SGSN#1が、S-GWに対して、UE用のEPSベアラ(EBI=0)を削除するように要求する「GTPv2_Delete Session Request」を送信する(ステップS3008)ように構成されている。
【0008】
ここで、S-GWは、かかる「GTPv2_Delete Session Request」を受信すると、MME#1との間のEPSベアラ及びSGSN#1との間のEPSベアラだけでなく、UEによる通信で用いられているSGSN#2との間のEPSベアラまで解放してしまうという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、移動局のISRがアクティブな状態における異RAT間ハンドオーバ(Inter-RAT HO)を適切に行うことができる移動通信方法、コアネットワーク装置及びサービングゲートウェイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の特徴は、移動局のISRがアクティブな状態において、加入者管理サーバが、該移動局の位置情報として、第1通信方式の第1コアネットワーク装置配下のセル及び第2通信方式の第2コアネットワーク装置配下のセルを管理している場合に、該移動局が、該第1コアネットワーク装置配下のセルから第2通信方式の第3コアネットワーク装置配下のセルにハンドオーバする移動通信方法であって、前記移動局のサービングゲートウェイ装置が、ISRがアクティブ状態の該移動局用のベアラとして、前記第1コアネットワーク装置との間のベアラ及び前記第2コアネットワーク装置との間のベアラに加えて、前記第3コアネットワーク装置との間のベアラを確立する工程と、前記加入者管理サーバが、前記第2通信方式における前記移動局の位置情報を、前記第2コアネットワーク装置配下のセルから前記第3コアネットワーク装置配下のセルに変更する工程と、前記加入者管理サーバが、前記第2コアネットワーク装置に対して、前記移動局の位置情報を削除するように要求する位置情報削除要求信号を送信する工程と、前記第2コアネットワーク装置が、前記位置情報削除要求信号に前記移動局の位置情報の更新を示す種別情報が含まれている場合に、前記サービングゲートウェイ装置に対して、該移動局用のベアラを削除するように要求するベアラ削除要求信号を送信することなく、該サービングゲートウェイ装置との間のベアラを解放する工程とを有することを要旨とする。
【0011】
本発明の第2の特徴は、移動局のISRがアクティブな状態において、加入者管理サーバが、該移動局の位置情報として、第1通信方式の第1コアネットワーク装置配下のセル及び第2通信方式の第2コアネットワーク装置配下のセルを管理している場合に、該移動局が、該第1コアネットワーク装置配下のセルから第2通信方式の第3コアネットワーク装置配下のセルにハンドオーバする移動通信方法であって、前記移動局のサービングゲートウェイ装置が、ISRがアクティブ状態の該移動局用のベアラとして、前記第1コアネットワーク装置との間のベアラ及び前記第2コアネットワーク装置との間のベアラに加えて、前記第3コアネットワーク装置との間のベアラを確立する工程と、前記加入者管理サーバが、前記第2通信方式における前記移動局の位置情報を、前記第2コアネットワーク装置配下のセルから前記第3コアネットワーク装置配下のセルに変更する工程と、前記加入者管理サーバが、前記第2コアネットワーク装置に対して、前記移動局の位置情報を削除するように要求する位置情報削除要求信号を送信する工程と、前記第2コアネットワーク装置が、前記位置情報削除要求信号に応じて、前記サービングゲートウェイ装置に対して、前記移動局用のベアラを削除するように要求するベアラ削除要求信号を送信し、該サービングゲートウェイ装置との間のベアラを解放する工程と、前記サービングゲートウェイ装置が、前記第2コアネットワーク装置から、前記ベアラ削除要求信号を受信し、かつ、所定期間内に、前記移動局用のベアラを変更するように要求するベアラ変更要求信号を受信していない場合には、該移動局用のベアラの削除処理を行わない工程とを有することを要旨とする。
【0012】
本発明の第3の特徴は、移動局のISRがアクティブな状態において、加入者管理サーバが、該移動局の位置情報として、第1通信方式の第1コアネットワーク装置配下のセル及び第2通信方式の第2コアネットワーク装置配下のセルを管理している場合に、該移動局が、該第1コアネットワーク装置配下のセルから第2通信方式の第3コアネットワーク装置配下のセルにハンドオーバすることができる移動通信システムにおいて、該第2コアネットワーク装置として動作することができるコアネットワーク装置であって、前記加入者管理サーバから、前記移動局の位置情報を削除するように要求する位置情報削除要求信号を受信した場合で、かつ、該位置情報削除要求信号に該移動局の位置情報の更新を示す種別情報が含まれている場合に、前記サービングゲートウェイ装置に対して、該移動局用のベアラを削除するように要求するベアラ削除要求信号を送信することなく、該サービングゲートウェイ装置との間のベアラを解放するように構成されていることを要旨とする。
【0013】
本発明の第4の特徴は、移動局のISRがアクティブな状態において、加入者管理サーバが、該移動局の位置情報として、第1通信方式の第1コアネットワーク装置配下のセル及び第2通信方式の第2コアネットワーク装置配下のセルを管理している場合に、該移動局が、該第1コアネットワーク装置配下のセルから第2通信方式の第3コアネットワーク装置配下のセルにハンドオーバすることができる移動通信システムにおいて、該移動局のサービングゲートウェイ装置として動作することができるサービングゲートウェイ装置であって、前記第2コアネットワーク装置から、前記移動局用のベアラを削除するように要求するベアラ削除要求信号を受信し、かつ、該移動局用のベアラが他のサービングゲートウェイ装置において確立されていると判断した場合には、該移動局用のベアラの削除処理を行わないように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、移動局のISRがアクティブな状態における異RAT間ハンドオーバ(Inter-RAT HO)を適切に行うことができる移動通信方法、コアネットワーク装置及びサービングゲートウェイ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るSGSNの機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を説明するための図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るHSSの動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るSGSNの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の変更例1に係るS-GWの機能ブロック図である。
【図8】本発明の変更例1に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図9】本発明の変更例1に係る移動通信システムの動作を説明するための図である。
【図10】本発明の変更例1に係るS-GWの動作を示すフローチャートである。
【図11】従来の移動通信システムについて説明するための図である。
【図12】従来の移動通信システムについて説明するための図である。
【図13】従来の移動通信システムについて説明するための図である。
【図14】従来の移動通信システムについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムは、HSSと、S-GWと、SGSN#1と、SGSN#2と、MME#1とを具備している。
【0018】
図2に示すように、SGSN#1は、受信部11と、判定部12と、送信部13とを具備している。
【0019】
受信部11は、HSSやUE等から各種信号を受信するように構成されている。例えば、受信部11は、HSSから「MAP_CL」を受信するように構成されている。
【0020】
判定部12は、受信部11によって受信された「MAP_CL」に「Cancellation type=Update Procedure」が含まれているか否かについて判定するように構成されている。
【0021】
また、判定部12は、かかる「MAP_CL」に「Cancellation type=Update Procedure」が含まれていると判定した場合に、かかる「MAP_CL」に係るUE用のEPSベアラとして、ISRがアクティブ状態である通信中のEPSベアラが存在するか否かについて判定するように構成されている。
【0022】
さらに、判定部12は、かかる「MAP_CL」に「Cancellation type=Update Procedure」が含まれていると判定した場合で、かつ、かかる「MAP_CL」に係るUE用のEPSベアラとして、ISRがアクティブ状態である通信中のEPSベアラが存在すると判定した場合に、S-GWに対して、かかるUE用のEPSベアラを削除するように要求する「GTPv2_Delete Session Request」を送信することなく、S-GWとの間のEPSベアラを解放するように決定する。
【0023】
一方、判定部12は、かかる「MAP_CL」に「Cancellation type=Update Procedure」が含まれていると判定した場合で、かつ、かかる「MAP_CL」に係るUE用のEPSベアラとして、ISRがアクティブ状態である通信中のEPSベアラが存在しないと判定した場合に、送信部13に対して、かかるUE用のEPSベアラを削除するように要求する「GTPv2_Delete Session Request」を送信するように指示する。
【0024】
なお、判定部12は、かかる「MAP_CL」に「Cancellation type=Update Procedure」が含まれていないと判定した場合には、かかる「MAP_CL」に「Cancellation type」に対応する処理を行うように決定する。
【0025】
送信部13は、HSSやUE等に対して各種信号を送信するように構成されている。
【0026】
例えば、送信部13は、上述の判定部12からの指示に応じて、S-GWに対して、かかるUE用のEPSベアラを削除するように要求する「GTPv2_Delete Session Request」を送信するように構成されている。
【0027】
以下、図3乃至図6を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作の一例について説明する。
【0028】
第1に、図3及び図4を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、UEのISRがアクティブな状態で異RAT間ハンドオーバが行われる場合の動作について説明する。
【0029】
ステップS1000において、UEは、ISRがアクティブな状態で、MME#1配下のセルを介して通信を行っているものとする。
【0030】
ステップS1001において、UEは、MME#1配下のセル(S1-Pool#1)からSGSN#2配下のセル(lu-Pool#2)にハンドオーバ(Inter-RAT HO)する。
【0031】
ステップS1002において、UEは、SGSN#2に対して、UEの「P-TMSI」を含む「SMM_RAU Request」を送信し、ステップS1003において、SGSN#2は、HSSに対して、「MAP_UGL」を送信する。
【0032】
ステップS1004において、HSSは、SGSN#2に対して、「MAP_UGL Ack」を送信し、ステップS1005において、SGSN#2は、UEに対して、「GMM_RAU Accept」を送信する。
【0033】
ステップS1006において、HSSは、SGSN#1に対して、「Cancellation type=Update Procedure」を含む「MAP_CL」を送信する。
【0034】
SGSN#1は、かかる「MAP_CL」に「Cancellation type=Update Procedure」が含まれていると判定し、かつ、かかる「MAP_CL」に係るUE用のEPSベアラとして、ISRがアクティブ状態である通信中のEPSベアラが存在しないと判定し、ステップS1007において、HSSに対して、「MAP_CL Ack」を送信し、ステップS1008において、S-GWとの間のEPSベアラを解放する。
【0035】
第2に、図5を参照して、図3及び図4に示す動作におけるHSSの動作について説明する。
【0036】
図5に示すように、HSSは、ステップS101において、SGSN#2から「MAP_UGL」を受信すると(図3におけるステップS1003)、ステップS102において、UTRAN/GERANにおけるUEの位置情報がSGSN#1配下のセルから変更されたか否かについて判定する。
【0037】
「Yes」の場合、本動作は、ステップS103に進み、「No」の場合、本動作は、終了する。
【0038】
ステップS103において、HSSは、SGSN#1に対して、「Cancellation type=Update Procedure」を含む「MAP_CL」を送信する(図3におけるステップS1006)。
【0039】
第3に、図6を参照して、図3及び図4に示す動作におけるSGSN#1の動作について説明する。
【0040】
図6に示すように、SGSN#1は、ステップS201において、HSSから「MAP_CL」を受信すると、ステップS202において、かかる「MAP_CL」に「Cancellation type=Update Procedure」が含まれているか否かについて判定する。
【0041】
「Yes」の場合、本動作は、ステップS203に進み、「No」の場合、本動作は、ステップS206に進む。
【0042】
ステップS203において、SGSN#1は、かかる「MAP_CL」に係るUEのEPSベアラとして、ISRがアクティブの状態の通信中のEPSベアラが存在するか否かについて判定する。
【0043】
「Yes」の場合、本動作は、ステップS204に進み、「No」の場合、本動作は、ステップS205に進む。
【0044】
ステップS204において、SGSN#1は、S-GWに対して、かかるUE用のEPSベアラを削除するように要求する「GTPv2_Delete Session Request」を送信する。
【0045】
ステップS205において、SGSN#1は、「Cancellation type=Update Procedure」に対応する処理を行う、すなわち、S-GWとの間のEPSベアラを解放する。
【0046】
ステップS206において、SGSN#1は、「MAP_CL」に含まれている「Cancellation type」に対応する処理を行う。
【0047】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、移動局のISRがアクティブな状態における異RAT間ハンドオーバ(Inter-RAT HO)が行われた場合に、SGSN#1が、HSSから受信した「MAP_CL」に「Cancellation type=Update Procedure」が含まれていると判定した場合で、かつ、かかる「MAP_CL」に係るUE用のEPSベアラとして、ISRがアクティブ状態である通信中のEPSベアラが存在すると判定した場合に、S-GWに対して、かかるUE用のEPSベアラを削除するように要求する「GTPv2_Delete Session Request」を送信することなく、S-GWとの間のEPSベアラを解放するように構成されているため、UEによる通信で用いられているS-GWとSGSN#2との間のEPSベアラまで解放してしまうという問題点を解決することができる。
【0048】
(変更例1)
以下、図7乃至図10を参照して、本発明の変更例1に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施携帯に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0049】
本変更例1に係る移動通信システムでは、図7に示すように、S-GWが、受信部21と、判定部22と、送信部23とを具備している。
【0050】
受信部21は、SGSN#1やSGSN#2やMME#1等から各種信号を受信するように構成されている。例えば、受信部21は、SGSN#1から「GTPv2_Delete Session Request」を受信するように構成されている。
【0051】
判定部22は、受信部21によって、UE用のEPSベアラに対する「GTPv2_Delete Session Request」が受信された場合に、所定期間内に、UE用のEPSベアラを変更するように要求する「Modify Bearer Request」が受信されているか否かについて判定するように構成されている。
【0052】
例えば、所定期間は、受信部21による「GTPv2_Delete Session Request」の受信時刻の前の所定期間であってもよい。
【0053】
ここで、判定部22は、受信部21によって、UE用のEPSベアラに対する「GTPv2_Delete Session Request」が受信され、所定期間内に、UE用のEPSベアラを変更するように要求する「Modify Bearer Request」が受信されていないと判定した場合に、かかるUE用のEPSベアラの削除処理を行わないことを決定する。
【0054】
また、判定部22は、SGSN#1から、UE用のEPSベアラに対する「GTPv2_Delete Session Request」を受信し、かかるUE用のEPSベアラが他のS-GWにおいて確立されていると判断した場合には、UE用のEPSベアラの削除処理を行わないことを決定するように構成されていてもよい。
【0055】
送信部23は、SGSN#1やSGSN#2やMME#1等に対して各種信号を送信するように構成されている。
【0056】
例えば、送信部23は、SGSN#1に対して「GTPv2_Delete Session Response」を送信するように構成されている。
【0057】
以下、図8乃至図10を参照して、本変更例1に係る移動通信システムの動作の一例について説明する。
【0058】
第1に、図8及び図9を参照して、本変更例1に係る移動通信システムにおいて、UEのISRがアクティブな状態で異RAT間ハンドオーバが行われる場合の動作について説明する。
【0059】
図8に示すステップS2000乃至S2006の動作は、図3に示すステップS1000乃至S1006の動作と同一である。
【0060】
SGSN#1は、「Cancellation type=Update Procedure」を含む「MAP_CL」を受信すると、ステップS2007において、HSSに対して「MAP_CL Ack」を送信し、ステップS2008において、S-GWに対して、UE用のEPSベアラ(EBI=0)に対する「GTPv2_Delete Session Request」を送信する。
【0061】
ステップS2009において、S-GWは、SGSN#2から、所定期間内に、UE用のEPSベアラを変更するように要求する「Modify Bearer Request」が受信されていないため、UE用のEPSベアラに対する「GTPv2_Delete Session Request」を受け付けない、すなわち、かかるUE用のEPSベアラの削除処理を行わない。
【0062】
第2に、図10を参照して、図8及び図9に示す動作におけるS-GWの動作について説明する。
【0063】
図10に示すように、S-GWは、ステップS301において、SGSN#2から、「GTPv2_Delete Session Request」を受信すると、ステップS302において、所定期間内に、UE用のEPSベアラを変更するように要求する「Modify Bearer Request」が受信されているか否かについて判定する。
【0064】
「Yes」の場合、本動作は、終了し、「No」の場合、本動作は、ステップS303に進む。
【0065】
ステップS303において、S-GWは、UE用のEPSベアラに対する「GTPv2_Delete Session Request」を受け付ける、すなわち、UE用のEPSベアラの削除処理(解放処理)を行う。
【0066】
本変更例1に係る移動通信システムによれば、移動局のISRがアクティブな状態における異RAT間ハンドオーバ(Inter-RAT HO)が行われた場合に、S-GWが、SGSN#2から、UE用のEPSベアラに対する「GTPv2_Delete Session Request」を受信し、所定期間内に、UE用のEPSベアラを変更するように要求する「Modify Bearer Request」を受信していない場合には、かかるUE用のEPSベアラの削除処理を行わないように構成されているため、UEによる通信で用いられているS-GWとSGSN#2との間のEPSベアラまで解放してしまうという問題点を解決することができる。
【0067】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0068】
本実施形態の第1の特徴は、UE(移動局)のISRがアクティブな状態において、HSS(加入者管理サーバ)が、UEの位置情報として、MME#1(第1通信方式の第1コアネットワーク装置)配下のセル及びSGSN#1(第2通信方式の第2コアネットワーク装置)配下のセルを管理している場合に、UEが、MME#1配下のセルからSGSN#2(第2通信方式の第3コアネットワーク装置)配下のセルにハンドオーバする移動通信方法であって、UEのS-GW(サービングゲートウェイ装置)が、ISRがアクティブ状態のUE用のEPSベアラ(EBI=0)として、MME#1との間のEPSベアラ及びSGSN#1との間のEPSベアラに加えて、SGSN#2との間のEPSベアラを確立する工程と、HSSが、UTRAN/GERAN(第2通信方式)におけるUEの位置情報を、SGSN#1配下のセルからSGSN#2配下のセルに変更する工程と、HSSが、SGSN#1に対して、UEの位置情報を削除するように要求する「MAP_CL(位置情報削除要求信号)」を送信する工程と、SGSN#1が、かかる「MAP_CL」に「Cancellation type=Update Procedure(UEの位置情報の更新を示す種別情報)」が含まれている場合に、S-GWに対して、UE用のEPSベアラを削除するように要求する「GTPv2_Delete Session Request(ベアラ削除要求信号)」を送信することなく、S-GW装置との間のEPSベアラを解放する工程とを有することを要旨とする。
【0069】
本実施形態の第2の特徴は、UEのISRがアクティブな状態において、HSSが、UEの位置情報として、MME#1配下のセル及びSGSN#1配下のセルを管理している場合に、UEが、MME#1配下のセルからSGSN#2配下のセルにハンドオーバする移動通信方法であって、UEのS-GWが、ISRがアクティブ状態のUE用のベアラ(EBI=0)として、MME#1との間のEPSベアラ及びSGSN#1との間のEPSベアラに加えて、SGSN#2との間のEPSベアラを確立する工程と、HSSが、UTRAN/GERANにおけるUEの位置情報を、SGSN#1配下のセルからSGSN#2配下のセルに変更する工程と、HSSが、SGSN#1に対して、UEの位置情報を削除するように要求する「MAP_CL」を送信する工程と、SGSN#1が、かかる「MAP_CL」に応じて、S-GWに対して、UE用のEPSベアラを削除するように要求する「GTPv2_Delete Session Request」を送信し、S-GWとの間のEPSベアラを解放する工程と、S-GWが、SGSN#1から、UE用のEPSベアラに対する「GTPv2_Delete Session Request」を受信し、所定期間内に、UE用のEPSベアラを変更するように要求する「Modify Bearer Request」を受信していない場合には、かかるUE用のEPSベアラの削除処理を行わない工程とを有することを要旨とする。
【0070】
本実施形態の第3の特徴は、UEのISRがアクティブな状態において、HSSが、UEの位置情報として、MME#1配下のセル及びSGSN#1配下のセルを管理している場合に、UEが、MME#1配下のセルからSGSN#2配下のセルにハンドオーバすることができる移動通信システムにおいて、SGSN#1として動作することができるSGSN(コアネットワーク装置)であって、HSSから、「MAP_CL」を受信した場合で、かつ、かかる「MAP_CL」に「Cancellation type=Update Procedure」が含まれている場合に、S-GWに対して、UE用のEPSベアラを削除するように要求する「GTPv2_Delete Session Request」を送信することなく、S-GWとの間のEPSベアラを解放するように構成されていることを要旨とする。
【0071】
本実施形態の第4の特徴は、UEのISRがアクティブな状態において、HSSが、UEの位置情報として、MME#1配下のセル及びSGSN#1配下のセルを管理している場合に、UEが、MME#1配下のセルからSGSN#2配下のセルにハンドオーバすることができる移動通信システムにおいて用いられるS-GWであって、SGSN#1から、UE用のEPSベアラに対する「GTPv2_Delete Session Request」を受信し、かかるUE用のEPSベアラが他のS-GWにおいて確立されていると判断した場合には、UE用のEPSベアラの削除処理を行わないように構成されていることを要旨とする。
【0072】
なお、上述のUEやeNBやMME#1やSGSN#1/SGSN#2やS-GWやHSS等の動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0073】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0074】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、UEやeNBやMME#1やSGSN#1/SGSN#2やS-GWやHSS等内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとしてUEやeNBやMME#1やSGSN#1/SGSN#2やS-GWやHSS等内に設けられていてもよい。
【0075】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0076】
UE…移動局
eNB…無線基地局
MME#1…移動管理ノード
SGSN#1、SGSN#2…パケット交換機
S-GW…サービングゲートウェイ装置
HSS…加入者管理サーバ
11、21…受信部
12、22…判定部
13、23…送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局のISRがアクティブな状態において、加入者管理サーバが、該移動局の位置情報として、第1通信方式の第1コアネットワーク装置配下のセル及び第2通信方式の第2コアネットワーク装置配下のセルを管理している場合に、該移動局が、該第1コアネットワーク装置配下のセルから第2通信方式の第3コアネットワーク装置配下のセルにハンドオーバする移動通信方法であって、
前記移動局のサービングゲートウェイ装置が、ISRがアクティブ状態の該移動局用のベアラとして、前記第1コアネットワーク装置との間のベアラ及び前記第2コアネットワーク装置との間のベアラに加えて、前記第3コアネットワーク装置との間のベアラを確立する工程と、
前記加入者管理サーバが、前記第2通信方式における前記移動局の位置情報を、前記第2コアネットワーク装置配下のセルから前記第3コアネットワーク装置配下のセルに変更する工程と、
前記加入者管理サーバが、前記第2コアネットワーク装置に対して、前記移動局の位置情報を削除するように要求する位置情報削除要求信号を送信する工程と、
前記第2コアネットワーク装置が、前記位置情報削除要求信号に前記移動局の位置情報の更新を示す種別情報が含まれている場合に、前記サービングゲートウェイ装置に対して、該移動局用のベアラを削除するように要求するベアラ削除要求信号を送信することなく、該サービングゲートウェイ装置との間のベアラを解放する工程とを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
移動局のISRがアクティブな状態において、加入者管理サーバが、該移動局の位置情報として、第1通信方式の第1コアネットワーク装置配下のセル及び第2通信方式の第2コアネットワーク装置配下のセルを管理している場合に、該移動局が、該第1コアネットワーク装置配下のセルから第2通信方式の第3コアネットワーク装置配下のセルにハンドオーバする移動通信方法であって、
前記移動局のサービングゲートウェイ装置が、ISRがアクティブ状態の該移動局用のベアラとして、前記第1コアネットワーク装置との間のベアラ及び前記第2コアネットワーク装置との間のベアラに加えて、前記第3コアネットワーク装置との間のベアラを確立する工程と、
前記加入者管理サーバが、前記第2通信方式における前記移動局の位置情報を、前記第2コアネットワーク装置配下のセルから前記第3コアネットワーク装置配下のセルに変更する工程と、
前記加入者管理サーバが、前記第2コアネットワーク装置に対して、前記移動局の位置情報を削除するように要求する位置情報削除要求信号を送信する工程と、
前記第2コアネットワーク装置が、前記位置情報削除要求信号に応じて、前記サービングゲートウェイ装置に対して、前記移動局用のベアラを削除するように要求するベアラ削除要求信号を送信し、該サービングゲートウェイ装置との間のベアラを解放する工程と、
前記サービングゲートウェイ装置が、前記第2コアネットワーク装置から、前記ベアラ削除要求信号を受信し、かつ、所定期間内に、前記移動局用のベアラを変更するように要求するベアラ変更要求信号を受信していない場合には、該移動局用のベアラの削除処理を行わない工程とを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項3】
移動局のISRがアクティブな状態において、加入者管理サーバが、該移動局の位置情報として、第1通信方式の第1コアネットワーク装置配下のセル及び第2通信方式の第2コアネットワーク装置配下のセルを管理している場合に、該移動局が、該第1コアネットワーク装置配下のセルから第2通信方式の第3コアネットワーク装置配下のセルにハンドオーバすることができる移動通信システムにおいて、該第2コアネットワーク装置として動作することができるコアネットワーク装置であって、
前記加入者管理サーバから、前記移動局の位置情報を削除するように要求する位置情報削除要求信号を受信した場合で、かつ、該位置情報削除要求信号に該移動局の位置情報の更新を示す種別情報が含まれている場合に、前記サービングゲートウェイ装置に対して、該移動局用のベアラを削除するように要求するベアラ削除要求信号を送信することなく、該サービングゲートウェイ装置との間のベアラを解放するように構成されていることを特徴とするコアネットワーク装置。
【請求項4】
移動局のISRがアクティブな状態において、加入者管理サーバが、該移動局の位置情報として、第1通信方式の第1コアネットワーク装置配下のセル及び第2通信方式の第2コアネットワーク装置配下のセルを管理している場合に、該移動局が、該第1コアネットワーク装置配下のセルから第2通信方式の第3コアネットワーク装置配下のセルにハンドオーバすることができる移動通信システムにおいて、該移動局のサービングゲートウェイ装置として動作することができるサービングゲートウェイ装置であって、
前記第2コアネットワーク装置から、前記移動局用のベアラを削除するように要求するベアラ削除要求信号を受信した場合で、かつ、該移動局用のベアラが他のサービングゲートウェイ装置において確立されていると判断した場合には、該移動局用のベアラの削除処理を行わないように構成されていることを特徴とするサービングゲートウェイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−55497(P2013−55497A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192055(P2011−192055)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】