説明

移動通信方法、無線基地局及び移動局

【課題】CoMP送受信処理を開始するか否かについての判定を適切に行うための仕組みを提供する。
【解決手段】本発明に係る移動通信方法は、無線基地局eNBが、配下のセル#5に接続している移動局UEに対して、「Measurement Object」によって、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を通知する工程と、移動局UEが、通知された送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を用いて、CoMP用送信ポイントの品質測定処理を開始する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法、無線基地局及び移動局に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)方式において、セル端に位置する移動局UEにおけるスループットの改善等を図ることを目的として、CoMP(Coordinated Multi-Point、マルチポイント協調)送受信処理を適用することについて検討されている。
【0003】
かかるCoMP送受信処理は、地理的に離れた複数の送受信ノード(CoMP用送信ポイント)の間で、例えば、無線基地局eNBや基地局用無線装置RRE(Remote Radio Equipment)やリレーノードRN等の間で、共有データチャネル信号の送受信やスケジューリングやビームフォーミング等を協調制御する処理である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TR36.819
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在のLTE方式では、かかるCoMP用送信ポイントの品質測定処理についての開始方法が規定されていないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、CoMP用送信ポイントの品質測定処理を適切に開始するための仕組みを提供する移動通信方法、無線基地局及び移動局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、移動通信方法であって、無線基地局が、配下のセルに接続している移動局に対して、測定対象情報によって、マルチポイント協調送受信処理の対象候補である送信ポイントの識別情報及び該移動局用の参照信号の設定情報を通知する工程と、前記移動局が、通知された前記送信ポイントの識別情報及び前記移動局用の参照信号の設定情報を用いて、該送信ポイントの品質測定処理を開始する工程とを有することを要旨とする。
【0008】
本発明の第2の特徴は、移動通信方法であって、無線基地局が、配下のセルに接続している移動局に対して、測定対象情報によって、マルチポイント協調送受信処理の対象候補である送信ポイントの識別情報を通知する工程と、前記無線基地局が、前記移動局に対して、コネクション再設定信号によって、該移動局用の参照信号の設定情報を通知する工程と、前記移動局が、通知された前記送信ポイントの識別情報及び前記移動局用の参照信号の設定情報を用いて、該送信ポイントの品質測定処理を開始する工程とを有することを要旨とする。
【0009】
本発明の第3の特徴は、無線基地局であって、前記無線基地局配下のセルに接続している移動局に対して、測定対象情報によって、マルチポイント協調送受信処理の対象候補である送信ポイントの識別情報及び該移動局用の参照信号の設定情報を通知するように構成されている送信部を具備することを要旨とする。
【0010】
本発明の第4の特徴は、無線基地局であって、前記無線基地局配下のセルに接続している移動局に対して、測定対象情報によって、マルチポイント協調送受信処理の対象候補である送信ポイントの識別情報を通知し、コネクション再設定信号によって、該移動局用の参照信号の設定情報を通知するように構成されている送信部を具備することを要旨とする。
【0011】
本発明の第5の特徴は、移動局であって、無線基地局配下のセルに接続している場合に、該無線基地局から、測定対象情報を介して、マルチポイント協調送受信処理の対象候補である送信ポイントの識別情報及び該移動局用の参照信号の設定情報を取得するように構成されている受信部と、取得された前記送信ポイントの識別情報及び前記移動局用の参照信号の設定情報を用いて、該送信ポイントの品質測定処理を開始するように構成されている処理部とを具備することを要旨とする。
【0012】
本発明の第6の特徴は、移動局であって、無線基地局配下のセルに接続している場合に、該無線基地局から、測定対象情報を介して、マルチポイント協調送受信処理の対象候補である送信ポイントの識別情報を取得し、コネクション再設定信号を介して、該移動局用の参照信号の設定情報を取得するように構成されている受信部と、取得された前記送信ポイントの識別情報及び前記移動局用の参照信号の設定情報を用いて、該送信ポイントの品質測定処理を開始するように構成されている処理部とを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、CoMP送信ポイントの品質測定処理を適切に開始するための仕組みを提供する移動通信方法、無線基地局及び移動局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局によって送信される「Measurement Object」のフォーマットの一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を説明するための図である。
【図6】本発明の変更例1に係る無線基地局によって送信される「RRC Reconfiguration」に含まれる情報要素「PhysicalConfigDedicated」のフォーマットの一例を示す図である。
【図7】本発明の変更例1に係る移動通信システムの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。本実施形態では、本実施形態に係る移動通信システムとして、LTE方式の移動通信システムを例示して説明するが、本発明は、LTE方式以外の移動通信システムにも適用可能である。
【0016】
本実施形態に係る移動通信システムでは、CoMP送受信処理、特に、下りCoMP送受信処理を行うことができるように構成されている。
【0017】
かかる下りCoMP送受信処理には、「JT(Joint Transmission)」や「DCS(Dynamic Cell Selection)」や「CS/CB(Coordinated Scheduling/Beamforming)」が含まれている。
【0018】
ここで、「JT」は、複数のセルから、すなわち、サービングセル以外のセルからも、移動局UEに対して、共有データチャネル信号を送信する処理である。
【0019】
また、「DCS」は、チャネル品質情報(CQI)に基づいて、高速に、1つのセルを選択し、選択したセルから、移動局UEに対して、共有データチャネル信号を送信する処理である。
【0020】
さらに、「CS/CB」は、サービングセルと周辺セルとの間で、スケジューリングやビームフォーミングを協調する処理である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムでは、セル#1〜#5において、CoMP送受信処理を提供することができるように構成されている、すなわち、セル#1〜#5が、CoMPサポートエリアとなるように構成されているものとする。
【0022】
なお、セル#1〜#5は、同一の無線基地局eNBによって管理されていてもよいし、異なる無線基地局eNBによって管理されていてもよい。
【0023】
また、各セル#1〜#5では、CRS(Cell specific Reference Signal)に加えて、CSI-RS(Channel State Information Reference Signal)を送信することができるように構成されている。
【0024】
ここで、CRSは、LTEのRel-8/9方式で規定されている参照信号であって、各セル内の全ての移動局UEに対して共通に設定される参照信号である。
【0025】
一方、CSI-RSは、LTEのRel-10方式で規定されている参照信号であって、RRC(Radio Resource Control)メッセージを用いて移動局UEごとに個別に設定される参照信号である。
【0026】
CSI-RSは、CoMP用送信ポイント(CoMP送受信処理の対象候補)やサービングセルや周辺セル(ハンドオーバ先候補)等の品質測定処理(measurement)のために用いられてもよいし、CoMP送受信処理が行われているCoMP用送信ポイントやサービングセルにおけるCQIを測定するために用いられてもよい。
【0027】
なお、上述の品質測定処理のために用いられるCSI-RS及び上述のCQIを測定するために用いられるCSI-RSは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0028】
例えば、上述の品質測定処理における測定精度及び上述のCQIの測定精度に対する要求条件に基づいて、上述の品質測定処理のために用いられるCSI-RS及び上述のCQIを測定するために用いられるCSI-RSを同じものにするか或いは異なるものにするかについて決定することができる。
【0029】
また、CSI-RSの配置密度は、CRSの配置密度と比べて低くなるように構成されている。
【0030】
また、セル#1〜#5においてCoMP送受信処理が提供される場合、セル(CoMP用送信ポイント)#1〜#5において、同一のPCI(Physical Cell ID)が用いられるように構成されていてもよいし、異なるPCIが用いられるように構成されていてもよい。
【0031】
本実施形態における移動通信システムでは、移動局UEは、無線基地局eNB配下のセル#5に接続するように構成されている、すなわち、セル#5が、移動局UEのサービングセルとなるように構成されているものとする。
【0032】
図2に示すように、無線基地局eNBは、送信部11と、受信部12と、CoMP送受信処理部13とを具備している。
【0033】
送信部11は、無線基地局eNB配下のセル#5等に接続している移動局UEに対して、各種信号を送信するように構成されており、受信部12は、かかる移動局UEから、各種信号を受信するように構成されている。
【0034】
例えば、送信部11は、無線基地局eNB配下のセル#5等に接続している移動局UEに対して、「Measurement Object」によって、通常の品質測定処理(measurement)の対象(周波数又はセル)の識別情報に加えて、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイント(すなわち、セル)の識別情報(例えば、PCI)及びCSI-RSの設定情報(例えば、CSI-RSの多重位置等)を通知するように構成されている。
【0035】
図3に、かかる「Measurement Object」のフォーマットの一例について示す。
【0036】
具体的には、図3に示す「Measurement Object」において、「compTPsToAddModList」内の「physCellId-r11」は、測定対象として追加すべきCoMP用送信ポイントの識別情報を通知する、或いは、測定対象のCoMP用送信ポイントのうち内容を変更すべきCoMP用送信ポイントの識別情報を通知する情報要素である(記述A及びB参照)。
【0037】
また、図3に示す「Measurement Object」において、「compTPsToAddModList」内の「csi-RS-Config-r11」は、測定対象として追加すべきCoMP用送信ポイントにおけるCSI-RSの設定情報を通知する、或いは、測定対象のCoMP用送信ポイントにおいて変更するCSI-RSの設定情報を通知する情報要素である(記述A及びB参照)。
【0038】
一方、図3に示す「Measurement Object」において、「compTPsToRemoveList」は、測定対象から削除すべきCoMP用送信ポイントを通知する情報要素である(記述A参照)。
【0039】
なお、送信部11は、無線基地局eNB配下のセル#5等に接続している移動局UEに対して、別々の「Measurement Object」によって、通常の品質測定処理(measurement)の対象(周波数又はセル)の識別情報と、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイント(すなわち、セル)の識別情報(例えば、PCI)及びCSI-RSの設定情報(例えば、CSI-RSの多重位置等)とを通知するように構成されていてもよい。
【0040】
ここで、送信部11は、上述の移動局UEに対して、「Measurement Object」によって、かかる移動局UEのサービングセルにおけるCSI-RSの設定情報を通知するように構成されていてもよい。
【0041】
かかる場合、送信部11は、まず、かかる移動局UEのサービングセル(セル#5)におけるCSI-RSの設定情報を含まない「Measurement Object」を送信し、その後、受信部12によって受信された移動局UEの「UE Capability」がCoMP送受信処理に対応している旨を示す場合に、「Measurement Object」によって、かかる移動局UEのサービングセルにおけるCSI-RSの設定情報を通知するように構成されていてもよい。
【0042】
また、受信部12は、無線基地局eNB配下のセル#5等に接続している移動局UEから、「Measurement Object」によって指定したセルにおける測定結果を含む「Measurement Report(測定報告)」を受信するように構成されている。
【0043】
なお、かかる「Measurement Report」には、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントにおける測定結果(CSI-RSの測定結果)が含まれている。
【0044】
CoMP送受信処理部13は、CoMP送受信処理(例えば、上述の「JT」や「DCS」や「CS/CB」等)を行う際に必要な処理を行うように構成されている。
【0045】
例えば、CoMP送受信処理部13は、各CoMP用送信ポイントにおける測定結果に基づいて、CoMP送受信処理を開始するか否かについて、或いは、どのCoMP用送信ポイントを用いてどのタイプのCoMP送受信処理を開始するかについて決定することができるように構成されている。
【0046】
図4に示すように、移動局UEは、受信部21と、測定部22と、送信部23と、CoMP送受信処理部24とを具備している。
【0047】
受信部21は、サービングセル(セル#5)を管理する無線基地局eNBから、各種信号を受信するように構成されている。
【0048】
例えば、受信部21は、上述の無線基地局eNBから、「Measurement Object」を介して、通常の品質測定処理(measurement)の対象(周波数又はセル)の識別情報に加えて、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を取得するように構成されている。
【0049】
なお、受信部21は、上述の無線基地局eNBから、別々の「Measurement Object」を介して、通常の品質測定処理(measurement)の対象(周波数又はセル)の識別情報と、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報とを取得するように構成されていてもよい。
【0050】
また、受信部21は、「Measurement Object」を介して、移動局UEのサービングセルにおけるCSI-RSの設定情報を取得するように構成されていてもよい。
【0051】
測定部22は、受信部21によって取得されたCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を用いて、すなわち、かかるCoMP用送信ポイントにおけるCSI-RSを用いて、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの品質測定処理を行うように構成されている。
【0052】
また、測定部22は、CRSを用いて、「Measurement Object」によって指定されている周辺セル及びサービングセルの品質測定処理を行うように構成されている。
【0053】
また、送信部23は、かかる無線基地局eNBに対して、各種信号を送信するように構成されている。
【0054】
具体的には、送信部23は、上述の無線基地局eNBに対して、通常の品質測定処理の結果(CRSの測定結果)に加えて、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの品質測定処理の結果(CSI-RSの測定結果)を含む「Measurement Report」を送信するように構成されている。
【0055】
CoMP送受信処理部24は、CoMP送受信処理(例えば、上述の「JT」や「DCS」や「CS/CB」等)を行う際に必要な処理を行うように構成されている。
【0056】
例えば、CoMP送受信処理部24は、受信部21によって取得されたCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を用いて、CoMP送受信処理を開始するように構成されている、例えば、CoMP送受信処理を行っているCoMP用送信ポイントにおけるCQIを測定するように構成されている。
【0057】
なお、送信部23は、上述の無線基地局eNBに対して、CoMP送受信処理部24によって測定されたCoMP用送信ポイントにおけるCQIについて通知するように構成されている。
【0058】
また、受信部21が、移動局UEのサービングセルにおけるCSI-RSの設定情報を受信した場合には、測定部22は、受信部21によって取得されたサービングセルにおけるCSI-RSの設定情報を用いて、サービングセルの品質測定処理を行うように構成されていてもよい。
【0059】
ここで、移動局UEが、「Transmission Mode 9」で運用されている場合、CoMP送受信処理部24は、受信部21によって取得されたサービングセルにおけるCSI-RSの設定情報を用いて、サービングセルにおけるCQIを測定するように構成されていてもよい。
【0060】
なお、受信部21が、移動局UEのサービングセルにおけるCSI-RSの設定情報を受信していない場合には、測定部22は、受信部21によって取得されたサービングセルにおけるCRSの設定情報を用いて、サービングセルの品質測定処理を行うように構成されている。
【0061】
ここで、移動局UEが、「Transmission Mode 9」で運用されている場合、CoMP送受信処理部24は、サービングセルにおけるCQIを測定するように構成されていてもよい。
【0062】
以下、図5を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0063】
図5に示すように、ステップS1001において、移動局UEは、無線基地局eNB配下のセル#5において、RRCコネクションを確立する、すなわち、Idle状態からConnected状態に遷移する。
【0064】
ここで、移動局UEは、無線基地局eNBに対して、「UE Capability」によって、自身がCoMP送受信処理に対応することができることを通知してもよい。
【0065】
ステップS1002において、移動局UEは、サービングセルにおけるCRSを用いて、サービングセルの品質測定処理を行い、無線基地局eNBに対して、かかる測定結果を含む「Measurement Report」を送信する。
【0066】
なお、移動局UEは、「Transmission Mode 9」で運用されている場合、サービングセルにおけるCRSを用いて、サービングセルにおけるCQIを測定し、かかる測定結果について無線基地局eNBに対して報告してもよい。
【0067】
ステップS1003において、無線基地局eNBは、上述の「UE Capability」を参照して、かかる移動局UEに対して、「Measurement Object」を含む「RRC Reconfiguration」を送信することによって、通常の品質測定処理の対象(周波数又はセル)の識別情報に加えて、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイント(すなわち、セル)の識別情報(例えば、PCI)及びCSI-RSの設定情報(例えば、CSI-RSの多重位置等)を通知する。
【0068】
ステップS1004において、移動局UEは、「Measurement Object」によって指定されたセル及びCoMP用送信ポイントの品質測定処理を行う。
【0069】
ここで、移動局UEは、かかるCoMP用送信ポイントにおけるCSI-RSを用いて、かかるCoMP用送信ポイントの品質測定処理を行い、かかる測定結果について無線基地局eNBに報告する。
【0070】
なお、移動局UEは、CoMP送受信処理が開始された後、かかるCoMP用送信ポイントにおけるCSI-RSを用いて、かかるCoMP用送信ポイントにおけるCQIを測定し、かかる測定結果について無線基地局eNBに報告する。
【0071】
また、移動局UEは、「Measurement Object」によってサービングセルのCSI-RSの設定情報が通知された場合には、かかるサービングセルのCSI-RSを用いて、サービングセルの品質測定処理を行い、かかる測定結果について無線基地局eNBに報告する。
【0072】
また、移動局UEは、「Transmission Mode 9」で運用されている場合、サービングセルにおけるCRSを用いて、サービングセルにおけるCQIを測定し、かかる測定結果について無線基地局eNBに対して通知してもよい。
【0073】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、移動局UEが、「Measurement Object」によって通知されたCoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を用いて、かかるCoMP用送信ポイントの品質測定処理を行い、かかる測定結果について無線基地局eNBに報告するように構成されているため、無線基地局eNBは、かかる測定結果に基づいて、CoMP送受信処理を解するべきか否か、或いは、どのCoMP用送信ポイントを用いてどのタイプのCoMP送受信処理を開始するかについて決定することができる。
【0074】
(変更例1)
以下、図6及び図7を参照して、本発明の変更例1に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0075】
本変更例1に係る移動通信システムでは、無線基地局eNBの送信部11は、無線基地局eNB配下のセル#5に接続している移動局UEに対して、「Measurement Object」によって、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報を通知し、「RRC Reconfiguration」によって、CSI-RSの設定情報を通知するように構成されている。
【0076】
図6に、かかる「RRC Reconfiguration」に含まれる情報要素「PhysicalConfigDedicated」のフォーマットの一例を示す。
【0077】
具体的には、図6に示す「RRC Reconfiguration」に含まれる情報要素「PhysicalConfigDedicated」内の情報要素「csi-RS-Config-r10」は、測定対象として追加すべきCoMP用送信ポイントにおけるCSI-RSの設定情報を通知する、或いは、測定対象のCoMP用送信ポイントにおいて変更するCSI-RSの設定情報を通知する情報要素である(記述C及びD参照)。
【0078】
また、移動局UEの受信部21は、無線基地局eNB配下のセル#5に接続している場合に、無線基地局eNBから、「Measurement Object」を介して、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報を取得し、「RRC Reconfiguration」を介して、CSI-RSの設定情報を取得するように構成されている。
【0079】
以下、図7を参照して、本変更例1に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0080】
図7に示すように、ステップS2001において、移動局UEは、無線基地局eNB配下のセル#5において、RRCコネクションを確立する、すなわち、Idle状態からConnected状態に遷移する。
【0081】
ここで、移動局UEは、無線基地局eNBに対して、「UE Capability」によって、自身がCoMP送受信処理に対応することができることを通知してもよい。
【0082】
ステップS2002において、移動局UEは、サービングセルにおけるCRSを用いて、サービングセルの品質測定処理を行い、無線基地局eNBに対して、かかる測定結果を含む「Measurement Report」を送信する。
【0083】
なお、移動局UEは、「Transmission Mode 9」で運用されている場合、サービングセルにおけるCRSを用いて、サービングセルにおけるCQIを測定し、かかる測定結果について無線基地局eNBに対して報告してもよい。
【0084】
ステップS2003において、無線基地局eNBは、上述の「UE Capability」を参照して、かかる移動局UEに対して、「Measurement Object」によって、通常の品質測定処理の対象(周波数又はセル)の識別情報に加えて、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイント(すなわち、セル)の識別情報(例えば、PCI)を通知する。
【0085】
かかる段階では、まだ、移動局UEは、サービングセルにおけるCRSを用いて、サービングセルの品質測定処理を行い、無線基地局eNBに対して、かかる測定結果を含む「Measurement Report」を送信している。
【0086】
ステップS2004において、無線基地局eNBは、かかる移動局UEに対して、「RRC Reconfiguration」によって、CoMP用送信ポイントにおけるCSI-RSの設定情報を通知する。
【0087】
ステップS2005において、「RRC Reconfiguration」によって通知されたCoMP用送信ポイントにおけるCSI-RSの設定情報を用いて、移動局UEは、「Measurement Object」によって指定されたCoMP用送信ポイントの品質測定処理を開始する。
【0088】
ここで、移動局UEは、「Measurement Object」及び「RRC Reconfiguration」によって通知されたCoMP用送信ポイントにおけるCSI-RSを用いて、かかるCoMP用送信ポイントの品質測定処理を行い、かかる測定結果について無線基地局eNBに報告する。
【0089】
なお、移動局UEは、CoMP送受信処理が開始された後、かかるCoMP用送信ポイントにおけるCSI-RSを用いて、かかるCoMP用送信ポイントにおけるCQIを測定し、かかる測定結果について無線基地局eNBに報告する。
【0090】
なお、移動局UEは、「Measurement Object」又は「RRC Reconfiguration」によってサービングセルのCSI-RSの設定情報が通知された場合には、かかるサービングセルのCSI-RSを用いて、サービングセルの品質測定処理を行い、かかる測定結果について無線基地局eNBに報告する。
【0091】
また、移動局UEは、「Transmission Mode 9」で運用されている場合、サービングセルにおけるCRSを用いて、サービングセルにおけるCQIを測定し、かかる測定結果について無線基地局eNBに対して通知してもよい。
【0092】
本変更例1に係る移動通信システムによれば、移動局UEが、「Measurement Object」によって通知されたCoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報及び「RRC Reconfiguration」によって通知されたCSI-RSの設定情報を用いて、かかるCoMP用送信ポイントの品質測定処理を行い、かかる測定結果について無線基地局eNBに報告するように構成されているため、無線基地局eNBは、かかる測定結果に基づいて、CoMP送受信処理を開始するべきか否か、或いは、どのCoMP用送信ポイントを用いてどのタイプのCoMP送受信処理を開始するかについて決定することができる。
【0093】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0094】
本実施形態の第1の特徴は、移動通信方法であって、無線基地局eNBが、配下のセル#5に接続している移動局UEに対して、「Measurement Object(測定対象情報)」によって、CoMP(マルチポイント協調)送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報(PCI)及びCSI-RS(移動局UE用の参照信号)の設定情報を通知する工程と、移動局UEが、通知されたCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を用いて、CoMP用送信ポイントの品質測定処理を開始する工程とを有することを要旨とする。
【0095】
本実施形態の第2の特徴は、移動通信方法であって、無線基地局eNBが、配下のセル#5に接続している移動局UEに対して、「Measurement Object」によって、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報を通知する工程と、無線基地局eNBが、移動局UEに対して、「RRC Reconfiguration(コネクション再設定信号)」によって、CSI-RSの設定情報を通知する工程と、移動局UEが、通知されたCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を用いて、CoMP用送信ポイントの品質測定処理を開始する工程とを有することを要旨とする。
【0096】
本実施形態の第3の特徴は、無線基地局eNBであって、無線基地局eNB配下のセル#5に接続している移動局UEに対して、「Measurement Object」によって、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を通知するように構成されている送信部13を具備することを要旨とする。
【0097】
本実施形態の第4の特徴は、無線基地局eNBであって、無線基地局eNB配下のセル#5に接続している移動局UEに対して、「Measurement Object」によって、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報を通知し、「RRC Reconfiguration」によって、CSI-RSの設定情報を通知するように構成されている送信部13を具備することを要旨とする。
【0098】
本実施形態の第5の特徴は、移動局UEであって、無線基地局eNB配下のセル#5に接続している場合に、無線基地局eNBから、「Measurement Object」を介して、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を取得するように構成されている受信部21と、取得されたCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を用いて、CoMP用送信ポイントの品質測定処理を開始するように構成されているCoMP送受信処理部24とを具備することを要旨とする。
【0099】
本実施形態の第6の特徴は、移動局UEであって、無線基地局eNB配下のセル#5に接続している場合に、無線基地局eNBから、「Measurement Object」を介して、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報を取得し、「RRC Reconfiguration」を介して、CSI-RSの設定情報を取得するように構成されている受信部21と、取得されたCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を用いて、CoMP用送信ポイントの品質測定処理を開始するように構成されているCoMP送受信処理部24とを具備することを要旨とする。
【0100】
なお、上述の無線基地局eNBや移動局UEの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0101】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0102】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、無線基地局eNBや移動局UE内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして無線基地局eNBや移動局UE内に設けられていてもよい。
【0103】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0104】
eNB…無線基地局
UE…移動局
11、23…送信部
12、21…受信部
13、24…CoMP送受信処理部
22…測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局が、配下のセルに接続している移動局に対して、測定対象情報によって、マルチポイント協調送受信処理の対象候補である送信ポイントの識別情報及び該移動局用の参照信号の設定情報を通知する工程と、
前記移動局が、通知された前記送信ポイントの識別情報及び前記移動局用の参照信号の設定情報を用いて、該送信ポイントの品質測定処理を開始する工程とを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
無線基地局が、配下のセルに接続している移動局に対して、測定対象情報によって、マルチポイント協調送受信処理の対象候補である送信ポイントの識別情報を通知する工程と、
前記無線基地局が、前記移動局に対して、コネクション再設定信号によって、該移動局用の参照信号の設定情報を通知する工程と、
前記移動局が、通知された前記送信ポイントの識別情報及び前記移動局用の参照信号の設定情報を用いて、該送信ポイントの品質測定処理を開始する工程とを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項3】
無線基地局であって、
前記無線基地局配下のセルに接続している移動局に対して、測定対象情報によって、マルチポイント協調送受信処理の対象候補である送信ポイントの識別情報及び該移動局用の参照信号の設定情報を通知するように構成されている送信部を具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項4】
無線基地局であって、
前記無線基地局配下のセルに接続している移動局に対して、測定対象情報によって、マルチポイント協調送受信処理の対象候補である送信ポイントの識別情報を通知し、コネクション再設定信号によって、該移動局用の参照信号の設定情報を通知するように構成されている送信部を具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項5】
移動局であって、
無線基地局配下のセルに接続している場合に、該無線基地局から、測定対象情報を介して、マルチポイント協調送受信処理の対象候補である送信ポイントの識別情報及び該移動局用の参照信号の設定情報を取得するように構成されている受信部と、
取得された前記送信ポイントの識別情報及び前記移動局用の参照信号の設定情報を用いて、該送信ポイントの品質測定処理を開始するように構成されている処理部とを具備することを特徴とする移動局。
【請求項6】
移動局であって、
無線基地局配下のセルに接続している場合に、該無線基地局から、測定対象情報を介して、マルチポイント協調送受信処理の対象候補である送信ポイントの識別情報を取得し、コネクション再設定信号を介して、該移動局用の参照信号の設定情報を取得するように構成されている受信部と、
取得された前記送信ポイントの識別情報及び前記移動局用の参照信号の設定情報を用いて、該送信ポイントの品質測定処理を開始するように構成されている処理部とを具備することを特徴とする移動局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−81045(P2013−81045A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219617(P2011−219617)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】