説明

移動通信方法、移動局及び無線基地局

【課題】「A-MPR」及び「NS」を適切に用いて隣接する帯域に対する干渉量を適切に低減させる。
【解決手段】本発明に係る移動通信方法は、移動局UEが、無線基地局eNBに対して、移動局UEが対応している「NS(ネットワークシグナリング値)」を通知する工程Aと、無線基地局eNBが、通知された「NS」に基づいて、移動局UEの接続を制御する工程Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法、移動局及び無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)方式では、同一地域で利用される隣接帯域システムに対して、干渉を与えないように、図7に示すように、「帯域外輻射規定(自帯域の外への漏れこみ量についての規定)」 が設けられている(非特許文献1及び2参照)。
【0003】
一般に、本規定は、各国の国内法規にて定められているものであり、通信事業者は、この規格に基づく通信システムを利用することが求められる。
【0004】
一方で、帯域の利用方法やそのシステム種別によっては、隣接帯域への許容干渉レベルに対して、十分な減衰を得ることができないケース(例えば、図7における地域B)が想定される。
【0005】
かかるケースに対応するために、LTE方式では、移動局UEの送信電力の低減を許容するように規定されている。
【0006】
ここで、許容可能な送信電力の最大低減量は、「A-MPR(Additional-Maximum Power Reduction)」 と定義されている(非特許文献1参照)。
【0007】
具体的には、図7に示すように、LTE方式では、ネットワーク(無線基地局eNB)が、移動局UEに対して、「NS(Network Signaling)」或いは「additionalSpectrumEmission」と呼ばれるシグナリングによって、かかる「A-MPR」 の利用可否について通知するように構成されている(非特許文献1及び3参照)。
【0008】
なお、ネットワークは、報知情報(SIB2:System Information Block 2)等によって、移動局UEに対して、いかなる場合(例えば、ランダムアクセスプリアンブルの送信時)でも許容干渉レベルを超えてはならないものとして「NS」を通知するようにシステムが構成されている。
【0009】
ここで、ある特定地域で、既存システムの帯域に隣接する帯域を利用する新システムの導入される場合、かかる新システムの帯域において十分な減衰を期待できない場合には、既存システムに新たな「A-MPR」を定義し、「NS」を追加する。追加の際には、以下のような対応が必要となる。
【0010】
かかる場合、例えば、図8に示すように、「NS_X」及び「NS_Y」を利用可能な既存システムにおいて、新たに「NS_Z」を用いる必要が生じる。
【0011】
ここで、「Band 1」では、「NS_X」及び「NS_Y」が用いられるように規定されており、「Band 28」では、「NS_X」、「NS_Y」及び「NS_Z」が用いられるように規定されているものとする。
【0012】
ここで、「Band 28」は、「Band 1」と同等の規定・性能品質を持っているが、唯一新たな「A-MPR」及び「NS(NS_Z)」が定義されている「Band」である。
【0013】
かかる場合、「Band 1」のテストをクリアしている移動局UEは、「NS_X」及び「NS_Y」に対応することができるが、「Band 28」のテストをクリアにしない限り、「NS_Z」に対応することができない。
【0014】
一方で、「Band 28」に対応した移動局UEも、「Band 1」のテストをクリアしなければ、両方の「Band」を利用することができず、片方の「Band 28」のネットワークのみに接続が可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】3GPP TS36.101
【非特許文献2】3GPP TS36.104
【非特許文献3】3GPP TS36.331
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、LTE方式の後継方式であるLTE-Advanced方式では、移動局UEは、CA(Carrier Aggrigation)通信を行うことができる、すなわち、複数のCC(Component Carrier)を用いて複数のセルと同時に通信を行うことができる。
【0017】
一般的に、同一帯域内の複数の帯域を利用する「Intra-band CA」と、異なる帯域を利用した「Inter-band CA」の2つの種類のCA通信が考えられている。いずれにしろ、これらの組み合わせについて「CA Band Combination」として定義されている。
【0018】
ここで、LTE-Advanced方式では、CA通信において「A-MPR」が必要となった場合について考える。
【0019】
この場合の「NS」を、便宜上、「CA_NS」として説明する。なお、「CA_NS」は、「CA Band Combination」ごとに規定されるものであるとし、かかる「CA Band Combination」に含まれる「LTE band」において「A-MPR」及び「NS」が定義されていても構わない。
【0020】
例えば、図9に示すように、「CA_1(CA Band Combination 1)」では、「CA_NS_A」及び「CA_NS_B」が用いられるように規定されており、「CA_28(CA Band Combination 28)」では、「CA_NS_A」、「CA_NS_B」及び「CA_NS_C」が用いられるように規定されているものとする。
【0021】
ここで、「CA_28」は、「CA_1」と同等の規定を保持しているが、「CA_28」には、新たな「A-MPR」及び「NS」が追加されている。
【0022】
かかる場合、「CA_1」のテストをクリアしている移動局UEは、「CA_NS_A」及び「CA_NS_B」に対応することができるが、「CA_28」のテストをクリアにしない限り、「CA_NS_C」に対応することができない。
【0023】
また、「CA_28」のテストをクリアしている移動局UEは、「CA_1」のテストもクリアしなければ、「CA_1」としてネットワークに接続することができない。
【0024】
ここで、LTE-Advanced方式では、移動局UEが、無線基地局eNBに対して、LTE(Release-8)方式で接続した後、無線基地局eNBが、RRC(Radio Resource Control)を用いて、移動局UEにおいて用いられるCA通信を行うための機能を設定するように構成されている。
【0025】
しかしながら、移動局UEは、無線基地局eNBに対応する「CA Band Combination」を通知する手段は有しているが、対応している「NS」を通知する手段について有していない。
【0026】
そのため、図9の例において、必要な「NS」が「CA_NS_A」であり、無線基地局eNBが「CA_1」にのみ対応している場合には、「CA_28」に対応している移動局UEは、ネットワークに接続できないことになる。
【0027】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、「A-MPR」及び「NS」を適切に用いて隣接する帯域に対する干渉量を適切に低減させることができる移動通信方法、移動局及び無線基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の第1の特徴は、移動通信方法であって、移動局が、無線基地局に対して、該移動局が対応しているネットワークシグナリング値を通知する工程Aと、前記無線基地局が、通知された前記ネットワークシグナリング値に基づいて、前記移動局の接続を制御する工程Bとを有し、前記ネットワークシグナリング値は、上りリンクの所定チャネルにおける最大送信電力について定格電力から低減してもよい値を指定する情報であることを要旨とする。
【0029】
本発明の第2の特徴は、移動局であって、アタッチ処理において、無線基地局に対して、前記移動局が対応しているネットワークシグナリング値を通知するように構成されている送信部を具備し、前記ネットワークシグナリング値は、上りリンクの所定チャネルにおける最大送信電力について定格電力から低減してもよい値を指定する情報であることを要旨とする。
【0030】
本発明の第3の特徴は、無線基地局であって、移動局から、該移動局が対応しているネットワークシグナリング値を受信するように構成されている受信部と、通知された前記ネットワークシグナリング値に基づいて、前記移動局の接続を制御するように構成されている制御部とを具備し、前記ネットワークシグナリング値は、上りリンクの所定チャネルにおける最大送信電力について定格電力から低減してもよい値を指定する情報であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、「A-MPR」及び「NS」を適切に用いて隣接する帯域に対する干渉量を適切に低減させることができる移動通信方法、移動局及び無線基地局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る移動局によって送信される「UE Capability Information」に含まれる情報要素「UE-EUTRA-Capability」の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の動作を示すフローチャートである。
【図7】従来の移動通信システムの問題点を説明するための図である。
【図8】従来の移動通信システムの問題点を説明するための図である。
【図9】従来の移動通信システムの問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。本実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0034】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムは、LTE-Advanced方式に対応しており、移動管理ノードMME(Mobility Management Entity)と、無線基地局eNBとを具備している。
【0035】
本実施形態に係る移動通信システムでは、無線アクセス方式として、下りリンクについては「OFDMA(直交周波数分割多元接続)方式」が適用され、上りリンクについては「SC-FDMA(シングルキャリア-周波数分割多元接続)方式」が適用される。
【0036】
本実施形態に係る移動局UEは、LTE方式或いはLTE-Advanced方式に対応するものであって、図2に示すように、記憶部11と、受信部12と、送信部13とを具備している。
【0037】
記憶部11は、移動局UEが対応している「Band(例えば、「Band 1」や「Band 28」等)」や「CA Band Combination(例えば、「CA_1」や「CA_28」等)」を記憶するように構成されている。
【0038】
換言すると、記憶部11は、移動局UEが対応している「NS」を記憶するように構成されている。
【0039】
受信部12は、無線基地局eNBによって送信された信号を受信するように構成されている。例えば、受信部12は、無線基地局eNBによって送信されたRRCメッセージや報知情報を受信するように構成されている。
【0040】
送信部13は、無線基地局eNBに対して信号を送信するように構成されている。例えば、送信部13は、無線基地局eNBに対してRRC信号を送信するように構成されている。
【0041】
例えば、送信部13は、無線基地局eNBから割り当てられた帯域幅(リソースブロック数:RB数)によって定められている「MPR(Maximum power reduction)」及び無線基地局eNBによって指定されたNSに対応する「A-MPR」に基づいて、上りリンクにおける所定チャネルの最大送信電力を決定するように構成されている。
【0042】
ここで、送信部13は、無線基地局eNBによって送信されたSIB2に含まれる「NS」によって指定される「A-MPR」に対応する電力だけ、LTE方式或いはLTE-Advance方式において規定されている定格電力から、上りリンクの所定チャネルにおける最大送信電力を低減するように構成されていてもよい。
【0043】
なお、本実施形態における「NS」は、「上りリンクの所定チャネルにおける最大送信電力について定格電力から低減してもよい値」を指定する情報である。
【0044】
ここで、SIB2にて「NS」が通知されている場合、移動局UEは、通知されている「NS」をまず認識する。
【0045】
移動局UEは、「NS」を認識した後、かかる「NS」に対応して、3GPPのTS36.101に定義されている「A-MPR」を最大値として、利用可能な最大送信電力の決定を行う。
【0046】
なお、ここで、「A-MPR」は、「MPR」と同様に、無線基地局eNBから割り当てられるRB数に応じて異なってもよい。
【0047】
したがって、移動局UEは、3GPPで規定されているスプリアス放射のパフォーマンス規定(或いは、スペクトラムマスクに関するパフォーマンス規定や、隣接チャネル干渉に関するパフォーマンス規定)を満たすことができる場合には、上りリンクの所定チャネルにおける最大送信電力を低減しなくてもよいし、上りリンクの所定チャネルにおける最大送信電力の定格電力からの低減量を「NS」によって指定される「A-MPR」に対応する電力よりも小さくしてもよい。
【0048】
また、移動局UEは、通知されている「NS」、無線基地局eNBから通知される割り当てられたRB数、及び、その周波数位置(リソースブロック位置)の情報を元に、「A-MPR」を決定する。
【0049】
移動局UEは、決定した「A-MPR」を元に、3GPPのTS36.101の6.2.5章に記載の通り、利用してもよい最大送信電力の下限値Pcmax_Lと上限値Pcmax_Hを決定し、帯域外輻射規定に基づける最大送信電力Pcmaxを決定する。
【0050】
また、送信部13は、無線基地局eNBに対して、移動局UEが対応している「NS」を通知するように構成されている。
【0051】
例えば、送信部13は、移動局UEのアタッチ処理において、無線基地局eNBに対して、移動局UEが対応している「NS」を通知するように構成されている。
【0052】
具体的には、送信部13は、図3に示すように、「RRC:UE Capability Information」に含まれる情報要素「UE-EUTRA-Cpability」によって、移動局UEが対応している「NS」を通知するように構成されていてもよい。
【0053】
また、送信部13は、無線基地局eNBに対して、移動局UEが対応している「NS」に加えて、移動局UEが同時に通信可能な最大セル数を通知するように構成されていてもよい。
【0054】
例えば、送信部13は、移動局UEのアタッチ処理において、無線基地局eNBに対して、移動局UEが対応している「NS」に加えて、移動局UEが同時に通信可能な最大セル数を通知するように構成されていてもよい。
【0055】
具体的には、送信部13は、図3に示すように、「RRC:UE Capability Information」に含まれる情報要素「UE-EUTRA-Cpability」によって、移動局UEが対応している「NS」に加えて、移動局UEが同時に通信可能な最大セル数を通知するように構成されていてもよい。
【0056】
図3に示すように、本実施形態に係る無線基地局eNBは、受信部21と、記憶部22と、制御部23と、送信部24とを具備している。
【0057】
受信部21は、移動局UEによって送信された信号を受信するように構成されている。例えば、受信部12は、移動局UEによって送信されたRRCメッセージを受信するように構成されている。
【0058】
例えば、受信部21は、移動局UEのアタッチ処理において、移動局から、移動局UEが対応している「NS」を取得するように構成されている。
【0059】
具体的には、受信部21は、図3に示すように、「RRC:UE Capability Information」に含まれる情報要素「UE-EUTRA-Cpability」によって、移動局UEが対応している「NS」を取得するように構成されていてもよい。
【0060】
また、受信部21は、移動局UEのアタッチ処理において、移動局から、移動局UEが対応している「NS」に加えて、移動局UEが同時に通信可能な最大セル数を取得するように構成されていてもよい。
【0061】
具体的には、受信部21は、図3に示すように、「RRC:UE Capability Information」に含まれる情報要素「UE-EUTRA-Cpability」によって、移動局UEが対応している「NS」に加えて、移動局UEが同時に通信可能な最大セル数を取得するように構成されていてもよい。
【0062】
記憶部22は、各移動局UEが対応している「NS」を記憶するように構成されている。
【0063】
また、記憶部22は、各移動局UEが対応している「NS」に加えて、移動局UEが同時に通信可能な最大セル数を記憶するように構成されていてもよい。
【0064】
制御部23は、各移動局UEが対応している「NS」に基づいて、各移動局UEの接続を制御するように構成されている。
【0065】
また、制御部23は、各移動局UEが対応している「NS」に加えて、各移動局UEが同時に通信可能な最大セル数に基づいて、各移動局UEの接続を制御するように構成されていてもよい。
【0066】
ここで、制御部23は、LTE(Release-8)方式で接続した移動局UEに対して、CA通信を開始させるか否かについて決定するように構成されている。
【0067】
例えば、制御部23は、無線基地局eNBにおいて通信状況や移動局UEが対応している「NS」や移動局UEが同時に通信可能な最大セル数等に基づいて、CA通信を開始させるか否かについて決定するように構成されていてもよい。
【0068】
また、制御部23は、移動局UEにCA通信を開始させると決定した場合、移動局UEのCA通信において接続可能なセルを決定するように構成されている。
【0069】
なお、制御部23は、無線基地局eNBにおいて通信状況や移動局UEが対応している「NS」や移動局UEが同時に通信可能な最大セル数等に基づいて、移動局UEが利用可能な機能としてCA機能を選択した場合であっても、実際に、RRCメッセージを用いて、移動局UEに対して、CA通信を行うための機能を設定しないように構成されていてもよい。
【0070】
送信部24は、移動局UEに対して信号を送信するように構成されている。例えば、送信部24は、移動局UEに対してRRCメッセージを送信するように構成されている。
【0071】
以下、図5及び図6を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作の一例について説明する。
【0072】
第1に、図5を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおける移動局UEのアタッチ処理における動作について説明する。
【0073】
図5に示すように、移動局UEは、ステップS1000において、無線基地局eNBとの間でRRCコネクションを設定した後、ステップS1001において、移動管理ノードMMEに対して「NAS:Attach Request」を送信する。
【0074】
ステップS1002において、移動管理ノードMMEは、無線基地局eNBに対して「S1AP:Initial Context Setup Request」を送信し、ステップS1003において、無線基地局eNBは、移動管理ノードMMEに対して「S1AP:Initial Context Setup Response」を送信する。
【0075】
ステップS1004において、無線基地局eNBは、移動局UEに対して「RRC:UE Capability Enquiry」を送信する。
【0076】
ステップS1005において、移動局UEは、無線基地局eNBに対して「RRC:UE Capability Information」を送信する。
【0077】
ここで、移動局UEは、図3に示すように、「RRC:UE Capability Information」に含まれる情報要素「UE-EUTRA-Cpability」によって、移動局UEが対応している「NS」を送信する。
【0078】
なお、移動局UEは、移動局UEが対応している「NS」に加えて、移動局UEが同時に通信可能な最大セル数を通知してもよい。
【0079】
ステップS1006において、無線基地局eNBは、移動管理ノードMMEに対して「S1AP:UE Capability Info Indication」を送信する。
【0080】
第2に、図6を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて移動局UEが通信を開始する際の無線基地局eNBの動作の一例について説明する。
【0081】
ステップS101において、無線基地局eNBは、移動局UEが対応している「NS」及び移動局UEが同時に通信可能な最大セル数を取得する。
【0082】
ここで、無線基地局eNBは、移動局UEのアタッチ処理において、移動局UEが対応している「NS」及び移動局UEが同時に通信可能な最大セル数を取得してもよい。
【0083】
或いは、移動局UEが、無線基地局eNBに対して、LTE(Release-8)方式で接続した後に、無線基地局eNBは、移動局UEが対応している「NS」及び移動局UEが同時に通信可能な最大セル数を取得してもよい。
【0084】
ステップS102において、無線基地局eNBは、取得した移動局UEが対応している「NS」及び移動局UEが同時に通信可能な最大セル数及び無線基地局eNBの運用情報を比較して、移動局UEが利用可能な最大セル数等を決定する。
【0085】
ステップS103において、無線基地局eNBは、移動局UEが利用可能な最大セル数等に基づいて、移動局UEが利用可能な機能を選択する。
【0086】
例えば、無線基地局eNBは、移動局UEが利用可能な最大セル数等に基づいて、移動局UEが利用可能な機能として、CA通信を行うための機能を選択した場合、移動局UEに対してCA通信を開始させることを決定し、RRCメッセージによって、CA通信を行うための機能(例えば、接続セル等)を設定してもよい。
【0087】
なお、選択された機能について設定するか否かについては、無線基地局eNBのスケジューラ等の機能に依存するため、無線基地局eNBは、選択した機能について設定しない場合もある。
【0088】
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、各移動局UEが対応している「NS」を取得することができるため、各移動局UEにおける送信電力を適切に制御することができ、隣接する帯域に対する干渉量を適切に低減させることができる。
【0089】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0090】
本実施形態の第1の特徴は、移動通信方法であって、移動局UEが、無線基地局eNBに対して、移動局UEが対応している「NS(ネットワークシグナリング値)」を通知する工程Aと、無線基地局eNBが、通知された「NS」に基づいて、移動局UEの接続を制御する工程Bとを有し、「NS」は、上りリンクの所定チャネルにおける最大送信電力について定格電力から低減してもよい値を指定する情報であることを要旨とする。
【0091】
本実施形態の第1の特徴において、工程Aにおいて、移動局UEは、「NS」に加えて、同時に通信可能な最大セル数を通知し、工程Bにおいて、無線基地局eNBは、「NS」及び最大セル数に基づいて、移動局UEが利用可能な機能を選択してもよい。
【0092】
本実施形態の第2の特徴は、移動局UEであって、アタッチ処理において、無線基地局eNBに対して、移動局UEが対応している「NS」を通知するように構成されている送信部13を具備することを要旨とする。
【0093】
本実施形態の第2の特徴において、送信部13は、「NS」に加えて、同時に通信可能な最大セル数を通知するように構成されていてもよい。
【0094】
本実施形態の第3の特徴は、無線基地局eNBであって、移動局UEから、移動局UEが対応している「NS」を受信するように構成されている受信部21と、通知された「NS」に基づいて、移動局UEの接続を制御するように構成されている制御部23とを具備することを要旨とする。
【0095】
本実施形態の第3の特徴において、受信部21は、「NS」に加えて、同時に通信可能な最大セル数を受信するように構成されており、制御部23は、「NS」及び前記最大セル数に基づいて、移動局UEが利用可能な機能を選択するように構成されていてもよい。
【0096】
なお、上述の無線基地局eNB及び移動局UEの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0097】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0098】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、無線基地局eNB及び移動局UE内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして無線基地局eNB及び移動局UE内に設けられていてもよい。
【0099】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0100】
UE…移動局
eNB…無線基地局
11、22…記憶部
12、21…受信部
13、24…送信部
23…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局が、無線基地局に対して、該移動局が対応しているネットワークシグナリング値を通知する工程Aと、
前記無線基地局が、通知された前記ネットワークシグナリング値に基づいて、前記移動局の接続を制御する工程Bとを有し、
前記ネットワークシグナリング値は、上りリンクの所定チャネルにおける最大送信電力について定格電力から低減してもよい値を指定する情報であることを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
前記工程Aにおいて、前記移動局は、前記ネットワークシグナリング値に加えて、同時に通信可能な最大セル数を通知し、
前記工程Bにおいて、前記無線基地局は、前記ネットワークシグナリング値及び前記最大セル数に基づいて、前記移動局が利用可能な機能を選択することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項3】
移動局であって、
アタッチ処理において、無線基地局に対して、前記移動局が対応しているネットワークシグナリング値を通知するように構成されている送信部を具備し、
前記ネットワークシグナリング値は、上りリンクの所定チャネルにおける最大送信電力について定格電力から低減してもよい値を指定する情報であることを特徴とする移動局。
【請求項4】
前記送信部は、前記ネットワークシグナリング値に加えて、同時に通信可能な最大セル数を通知するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の移動局。
【請求項5】
移動局から、該移動局が対応しているネットワークシグナリング値を受信するように構成されている受信部と、
通知された前記ネットワークシグナリング値に基づいて、前記移動局の接続を制御するように構成されている制御部とを具備し、
前記ネットワークシグナリング値は、上りリンクの所定チャネルにおける最大送信電力について定格電力から低減してもよい値を指定する情報であることを特徴とする無線基地局。
【請求項6】
前記受信部は、前記ネットワークシグナリング値に加えて、同時に通信可能な最大セル数を受信するように構成されており、
前記制御部は、前記ネットワークシグナリング値及び前記最大セル数に基づいて、前記移動局が利用可能な機能を選択するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の無線基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−5182(P2013−5182A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133557(P2011−133557)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】