説明

移動通信方法及び無線基地局

【課題】異なる長さの無線基地局の識別情報eNB IDを有する無線基地局が混在する場合であっても、S1ハンドオーバを実現する。
【解決手段】本発明に係る移動通信方法は、ハンドオーバ元無線基地局eNB#0が、移動局UEから受信したMeasurement Reportに含まれるE-CGIに含まれるCell ID内に設定されている所定ビットを参照して、ハンドオーバ先候補無線基地局がマクロセル用無線基地局eNB或いは小セル用無線基地局HeNBのいずれであるかについて判定する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法及び無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)方式の移動通信システムでは、ハンドオーバ元無線基地局は、交換局MME(Mobility Management Entity)に対して送信するHO Requiredメッセージにおいて、ハンドオーバ先候補無線基地局eNB/HeNBを識別するTarget IDを指定する必要がある。
【0003】
図8に示すように、Intra-LTEハンドオーバにおけるHO Requiredに含まれている情報要素「Target ID」には、情報要素「Global eNB ID」及び情報要素「Selected TAI」が含まれている。
【0004】
また、図8に示すように、情報要素「Global eNB ID」に含まれる情報要素「eNB ID」には、20ビット長のMacro eNB ID(無線基地局eNBの識別情報)又は28ビット長のHome eNB ID(無線基地局HeNBの識別情報)のいずれかが設定される。
【0005】
また、LTE-Rel.8方式の移動通信システムでは、図9に示すように、移動局UEは、ハンドオーバ先候補セルのPCI(Physical Cell ID)(Target PCI)のみを含む、すなわち、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報(Global eNB ID)やハンドオーバ先候補トラッキングエリアの識別情報(TAI:Tracking Area ID)を含まないMeasurement Reportを送信するように構成されているため、ハンドオーバ元無線基地局eNB#1は、かかるPCIに基づいて、NRT(Neibour Relation Table)を参照して、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報(Global eNB ID)やハンドオーバ先候補トラッキングエリアの識別情報(TAI)を抽出する必要があった。
【0006】
したがって、移動局UEは、ハンドオーバ元無線基地局eNB#1のNRTに登録されていない無線基地局eNB/HeNB(図9の例では、無線基地局eNB#2)に対して、S1ハンドオーバを行うことができない。
【0007】
一方、LTE-Rel.9方式の移動通信システムでは、移動局UEは、ハンドオーバ先候補セルに関するE-CGI(E-UTRAN Cell Global Identity)及びTAIを含むMeasurement Reportを送信することができるため、ハンドオーバ元無線基地局S-eNBは、NRTに登録されていないハンドオーバ先候補無線基地局を識別するTarget IDを構成するGlobal eNB ID及びTAIを取得することができる。
【0008】
図10に、Measurement Reportに含まれる情報要素「E-CGI」に含まれる情報要素の一例を示す。
【0009】
したがって、ハンドオーバ元無線基地局は、NRTに登録されていないハンドオーバ先候補無線基地局eNB/HeNBやゲートウェイ装置HeNB-GW配下のハンドオーバ先候補無線基地局HeNBに対しても、Target IDを含むHO Requiredメッセージを送信することができるが、移動局UEによって送信されたMeasurement Reportに含まれるハンドオーバ先候補無線基地局が、無線基地局eNB又は無線基地局HeNBのいずれであるのかについて判定することができない。
【0010】
すなわち、移動局UEによって送信されたMeasurement Reportに含まれるE-CGIには、ハンドオーバ先候補無線基地局の種別(eNB/HeNB)を判定するための情報が含まれていない。
【0011】
なお、E-CGIの下位28ビットは、Cell ID(図10に示す情報要素「Cell Identity」に設定されるCell Identityに対応)によって構成されており、ハンドオーバ先候補無線基地局が、無線基地局HeNBである場合、Cell IDは、Home eNB IDによって構成されており、ハンドオーバ先候補無線基地局が、無線基地局eNBである場合、Cell IDは、20ビット長のMacro eNB IDと8ビットの無線基地局HeNB配下のセルの識別情報とによって構成されている。
【0012】
また、交換局MMEは、ハンドオーバ元無線基地局から受信したHO Requiredメッセージ内の情報要素「Global eNB ID」に設定されているGlobal eNB IDと一致するエントリが登録されているか否かについて検索する。
【0013】
ここで、かかるエントリが登録されていない場合で、かつ、情報要素「Global eNB ID」内の情報要素「eNB ID」の長さが20ビットである場合、交換局MMEは、ハンドオーバ元無線基地局に対して、HO Failureを送信する。
【0014】
一方、かかるエントリが登録されていない場合で、かつ、情報要素「Global eNB ID」内の情報要素「eNB ID」の長さが28ビットである場合、交換局MMEは、ハンドオーバ元無線基地局から受信したHO Required内の情報要素「Selected TAI」に設定されているTAIが一致するゲートウェイ装置HeNB-GWが登録されているか否かについて検索する。
【0015】
登録されている場合、TAIを含むHO Requestを当該ゲートウェイ装置HeNB-GWに対して送信する。登録されていない場合、交換局MMEは、ハンドオーバ元無線基地局に対して、HO Failureを送信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】3GPP TS36.300(V9.1.0)、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E-UTRAN) Overall Description Stage 2 (Release 9)」、2009年9月
【非特許文献2】3GPP TS36.413(V9.0.0)「Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E-UTRAN) S1 Application Protocol(S1AP)(Release 9)」、2009年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述の移動通信システムでは、S1ハンドオーバが実行される際に、ハンドオーバ元無線基地局は、移動局UEによって送信されたMeasurement Reportに含まれるE-CGIに基づいて、ハンドオーバ先候補無線基地局の種別(eNB/HeNB)を判定することができないため、HO Required内の情報要素「Target ID」内の情報要素「Global eNB ID」の長さ(20ビット又は28ビット)を決定することができないという問題点があった。
【0018】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、異なる長さの無線基地局の識別情報eNB IDを有する無線基地局が混在する場合であっても、S1ハンドオーバを実現することができる移動通信方法及び無線基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の特徴は、移動通信方法であって、移動局の第1無線基地局配下のセルから第2無線基地局配下のセルに対するハンドオーバ処理を行う移動通信方法であって、前記第1無線基地局が、前記移動局から受信した測定報告に含まれる前記第2無線基地局配下のセルを特定可能なセル識別情報内に設定されている所定情報を参照して、該第2無線基地局がマクロセル用無線基地局或いは小セル用無線基地局のいずれであるかについて判定する工程と、前記第2無線基地局がマクロセル用無線基地局であると判定された場合、前記第1無線基地局が、交換局に対して、該第2無線基地局の識別情報として前記セル識別情報の一部を設定した第1ハンドオーバ要求信号を送信する工程と、前記第2無線基地局が小セル用無線基地局であると判定された場合、前記第1無線基地局が、前記交換局に対して、該第2無線基地局の識別情報として前記セル識別情報をそのまま設定した第1ハンドオーバ要求信号を送信する工程とを有することを要旨とする。
【0020】
本発明の第2の特徴は、移動局の第1無線基地局配下のセルから第2無線基地局配下のセルに対するハンドオーバ処理において、該第1無線基地局として機能する無線基地局であって、前記移動局から受信した測定報告に含まれる前記第2無線基地局配下のセルを特定可能なセル識別情報内に設定されている所定情報を参照して、該第2無線基地局がマクロセル用無線基地局或いは小セル用無線基地局のいずれであるかについて判定するように構成されている判定部と、交換局に対して、前記第2無線基地局の識別情報を設定したハンドオーバ要求信号を送信するように構成されている送信部とを具備し、前記判定部が、前記第2無線基地局がマクロセル用無線基地局であると判定した場合、前記送信部は、前記交換局に対して、該第2無線基地局の識別情報として前記セル識別情報の一部を設定したハンドオーバ要求信号を送信するように構成されており、前記判定部が、前記第2無線基地局が小セル用無線基地局であると判定した場合、前記送信部は、前記交換局に対して、該第2無線基地局の識別情報として前記セル識別情報をそのまま設定したハンドオーバ要求信号を送信するように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、異なる長さの無線基地局の識別情報eNB IDを有する無線基地局が混在する場合であっても、S1ハンドオーバを実現することができる移動通信方法及び無線基地局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局eNB/HeNBの機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局eNB/HeNBの判定部の機能を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る交換局MMEの機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局eNB/HeNBの動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る交換局MMEの動作を説明するフローチャートである。
【図8】LTE方式の移動通信システムにおいて送信される「HO Required」メッセージに含まれる情報要素「Target ID」及び情報要素「Target ID」に含まれる情報要素「Global eNB ID」について説明するための図である。
【図9】LTE-Rel.8方式の移動通信システムで行われるS1ハンドオーバにおける問題点を説明するための図である。
【図10】LTE-Rel.9方式の移動通信システムにおいて送信される「Measurement Report」メッセージに含まれる情報要素「E-CGI」について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成)
図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。
【0024】
本実施形態に係る移動通信システムは、LTE方式の移動通信システムであって、図1に示すように、交換局MMEと、ゲートウェイ装置HeNB-GWと、無線基地局eNB#0、eNB#1、HeNB#2、HeNB#3とを具備している。無線基地局HeNB#2は、ゲートウェイ装置HeNB-GW配下に収容されている。
【0025】
ここで、無線基地局eNB#0、eNB#1は、マクロセルを管理するマクロセル用無線基地局であり、無線基地局HeNB#2、HeNB#3は、CSGセルを含む小セルを管理する小セル用無線基地局である。
【0026】
図2に示すように、無線基地局eNB#0、eNB#1、HeNB#2、HeNB#3(以下、代表して無線基地局eNB/HeNBと表記する)は、受信部11と、判定部12と、送信部13とを具備している。
【0027】
受信部11は、移動局UEによって送信されたMeasurement Reportを送信し、交換局MMEによって送信されたHandover Preparation Failureを受信するように構成されている。
【0028】
判定部12は、移動局UEから受信したMeasurement Reportに含まれるE-CGIに含まれるCell ID内に設定されている所定ビットを参照して、ハンドオーバ先候補無線基地局がマクロセル用無線基地局eNB或いは小セル用無線基地局HeNBのいずれであるかについて判定するように構成されている。
【0029】
具体的には、図3に示すように、Measurement Reportに含まれるE-CGIは、24ビット長のPLMN Identityと、28ビット長のCell Identity(Cell ID)とによって構成されている。
【0030】
図3の例では、上述の所定ビットは、かかるCell Identity内の最上位の1ビットである。なお、上述の所定ビットは、Cell Identity内の最上位の1ビット以外の1ビットであってもよいし、Cell Identity内の複数ビットであってもよい。
【0031】
例えば、所定ビットに、「0」が設定されている場合、Cell Identityには、28ビット長の小セル用無線基地局HeNBの識別情報(Home) eNB IDが設定されている。
【0032】
一方、所定ビットに、「1」が設定されている場合、Cell Identityには、20ビット長のマクロセル用無線基地局eNBの識別情報(Macro) eNB ID及びマクロセル用無線基地局eNB配下のセルを識別する8ビット長のIDが設定されている。
【0033】
なお、所定ビットは、28ビット長の小セル用無線基地局HeNBの識別情報及び20ビット長のマクロセル用無線基地局eNBの識別情報の一部を構成する。
【0034】
送信部13は、交換局MMEに対して、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDを設定したHandover Requiredを送信するように構成されている。
【0035】
ここで、判定部12が、ハンドオーバ先候補無線基地局がマクロセル用無線基地局eNBであると判定した場合、送信部13は、交換局MMEに対して、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDとしてCell Identity/Cell IDの一部(20ビット)を設定したHandover Requiredを送信するように構成されている。
【0036】
一方、判定部12が、ハンドオーバ先候補無線基地局が小セル用無線基地局HeNBであると判定した場合、送信部13は、交換局MMEに対して、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDとしてCell Identity/Cell IDをそのまま設定したHandover Requiredを送信するように構成されている。
【0037】
図4に示すように、交換局MMEは、管理部21と、受信部22と、判定部23と、送信部24とを具備している。
【0038】
管理部21は、交換局MME配下の無線基地局eNB/HeNBの識別情報eNB ID(Global eNB ID)やトラッキングエリアの識別情報TAIや登録グループの識別情報CSG ID等を含むエントリを管理するように構成されている。
【0039】
受信部22は、ハンドオーバ元無線基地局S-eNB/S-HeNBから、移動局UEに係るHO Requiredを受信するように構成されている。
【0040】
判定部23は、管理部21において、受信部によって受信されたHandover Requiredに含まれているハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDを含むエントリを管理されているか否かについて判定するように構成されている。
【0041】
また、判定部23は、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDの長さが28ビット(所定長)又は20ビットのいずれであるかについて判定するように構成されている。
【0042】
さらに、判定部23は、管理部21において、受信部22によって受信されたHandover Requiredに含まれているトラッキングエリアの識別情報TAIを含むエントリが管理されているか否かについて判定するように構成されている。
【0043】
送信部24は、ハンドオーバ先候補無線基地局eNB/HeNBに対して、HO Requestを送信し、ハンドオーバ元無線基地局eNB/HeNBに対して、Handover Preparation Failureを送信するように構成されている。
【0044】
例えば、管理部21において、受信部22によって受信されたHandover Requiredに含まれているハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDを含むエントリを管理されていないと判定された場合であっても、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDの長さが28ビット(所定長)であると判定された場合で、かつ、管理部21において、受信部22によって受信されたHandover Requiredに含まれているトラッキングエリアの識別情報TAIを含むエントリが管理されていると判定された場合には、送信部24は、ゲートウェイ装置HeNB-GWに対して、かかるトラッキングエリアの識別情報TAIを含むHandover Requestを送信するように構成されている。
【0045】
また、管理部21において、受信部22によって受信されたHandover Requiredに含まれているハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDを含むエントリを管理されていないと判定された場合で、かつ、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDの長さが28ビット(所定長)でない(すなわち、20ビットである)と判定された場合には、送信部24は、ハンドオーバ元無線基地局eNB#0に対して、Handover Preparation Failureを送信するように構成されている。
【0046】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作)
図5乃至図7を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。具体的には、図5乃至図7を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおいて、移動局UEのハンドオーバ元無線基地局eNB#0からハンドオーバ先候補無線基地局eNB#1/HeNB#2/HeNB#3へのS1ハンドオーバ処理について説明する。
【0047】
図5に示すように、ステップS1001において、移動局UEは、無線基地局eNB#0に対して、ハンドオーバ先候補無線基地局eNB#1/HeNB#2/HeNB#3配下のセルに係るE-CGI及びトラッキングエリアの識別情報TAIを含むMeasurement Reportを送信する。
【0048】
ここで、図6を参照して、かかるMeasurement Reportを受信した場合のハンドオーバ元無線基地局eNB#0の動作について説明する。
【0049】
図6に示すように、ハンドオーバ元無線基地局eNB#0は、ステップS101において、受信したMeasurement Reportから、ハンドオーバ先候補無線基地局eNB#1/HeNB#2/HeNB#3配下のセルに係るE-CGIを抽出し、ステップS102において、抽出したE-CGI内のCell Identity/Cell ID内の最上位の1ビットを読む。
【0050】
ステップS103において、ハンドオーバ元無線基地局eNB#0は、かかる最上位の1ビット(所定ビット)に基づいて、ハンドオーバ先候補無線基地局がマクロセル用無線基地局eNB又は小セル用無線基地局HeNBのいずれであるのかについて判定する。
【0051】
ハンドオーバ元無線基地局eNB#0は、ハンドオーバ先候補無線基地局がマクロセル用無線基地局eNBであると判定した場合、ステップS104において、E-CGI内のCell ID(28ビット)の上位20ビットに、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDとして、マクロセル用無線基地局eNBの識別情報(Macro) eNB IDを設定する。
【0052】
一方、ハンドオーバ元無線基地局eNB#0は、ハンドオーバ先候補無線基地局が小セル用無線基地局HeNBであると判定した場合、ステップS105において、E-CGI内のCell ID(28ビット)に、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDとして、小セル用無線基地局HeNBの識別情報(Home) eNB IDを設定する。
【0053】
ステップS106において、ハンドオーバ元無線基地局eNB#0は、ハンドオーバ先候補無線基地局のPLMN IDとeNB IDとを組み合わせてGlobal eNB IDを構成する。
【0054】
ステップS107において(すなわち、図5に示すステップS1002において)、ハンドオーバ元無線基地局eNB#0は、交換局MMEに対して、かかるGlobal eNB ID及び上述のTAIを含むTarget IDを含むHandover Requiredを送信する。
【0055】
ここで、図7を参照して、かかるHandover Requiredを受信した交換局MMEの動作について説明する。
【0056】
図7に示すように、交換局MMEは、ステップS201において(すなわち、図5に示すステップS1002において)、ハンドオーバ元無線基地局eNB#0から、Handover Requiredを受信し、ステップS202において、かかるHandover Requiredに含まれているTarget IDから、Global eNB IDを抽出する。
【0057】
交換局MMEは、ステップS203において、管理部21を検索し、ステップS204において、抽出したGlobal eNB IDを含むエントリが管理されているか否かについて判定する。
【0058】
交換局MMEは、管理部21において、かかるGlobal eNB IDを含むエントリが管理されていないと判定した場合、ステップS205の処理を行い、管理部21において、かかるGlobal eNB IDを含むエントリが管理されていると判定した場合、ステップS208の処理を行う。
【0059】
交換局MMEは、ステップS205において、かかるGlobal eNB IDの長さが28ビットであるか否かについて判定する。
【0060】
交換局MMEは、かかるGlobal eNB IDの長さが28ビットであると判定した場合、ステップS206の処理を行い、かかるGlobal eNB IDの長さが28ビットでない、すなわち、かかるGlobal eNB IDの長さが20ビットであると判定した場合、ステップS209の処理を行う。
【0061】
交換局MMEは、ステップS206において、管理部21を検索し、ステップS207において、抽出したGlobal eNB IDに含まれるTAIを含むエントリが管理されているか否かについて判定する。
【0062】
交換局MMEは、管理部21において、かかるTAIを含むエントリが管理されていないと判定した場合、ステップS209の処理を行い、管理部21において、かかるTAIを含むエントリが管理されていると判定した場合、ステップS208の処理を行う。
【0063】
ステップS208において、交換局MMEは、ハンドオーバ先候補無線基地局eNB#1/HeNB#2(又は、ゲートウェイ装置HeNB-GW)に対して、Handover Requestを送信する。
【0064】
具体的には、交換局MMEは、図5のステップS1003Aに示すように、ハンドオーバ先候補無線基地局eNB#1に対して、Handover Requestを送信する場合もある。
【0065】
また、交換局MMEは、図5のステップS1003Bに示すように、ハンドオーバ先候補無線基地局HeNB#2に対して、Handover Requestを送信する場合もある。
【0066】
或いは、交換局MMEは、図5のステップS1003C1に示すように、ゲートウェイ装置HeNB-GWに対して、TAIを含むHandover Requestを送信する場合もある。
【0067】
かかる場合、図5のステップS1003C2に示すように、ゲートウェイ装置HeNB-GWは、ハンドオーバ先候補無線基地局HeNB#3に対して、Handover Requestを送信する。
【0068】
一方、交換局MMEは、図7に示すステップS209において、ハンドオーバ元無線基地局eNB#0に対して、Handover Preparation Failureを送信する。
【0069】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの作用・効果)
既存のLTE方式の移動通信システムでは、S1ハンドオーバが実行される際に、ハンドオーバ元無線基地局は、移動局UEによって送信されたMeasurement Reportに含まれるE-CGIに基づいて、ハンドオーバ先候補無線基地局の種別(eNB/HeNB)を判定することができないため、HO Required内の情報要素「Target ID」内の情報要素「Global eNB ID」の長さ(20ビット又は28ビット)を決定することができないという問題点があった。
【0070】
これに対して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、ハンドオーバ元無線基地局は、受信したMeasurement Reportに含まれるE-CGI内のCell Identity/Cell ID内の所定ビットを用いて、ハンドオーバ先候補無線基地局がマクロセル用無線基地局eNB又は小セル用無線基地局HeNBのいずれであるのかについて判別することができるので、異なる長さの無線基地局の識別情報eNB IDを有する無線基地局が混在する場合であっても、S1ハンドオーバを実現することができる。
【0071】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0072】
本実施形態の第1の特徴は、移動通信方法であって、移動局UEのハンドオーバ元無線基地局eNB#0(第1無線基地局)配下のセルからハンドオーバ先候補無線基地局eNB#1/HeNB#2/HeNB#3(第2無線基地局)配下のセルに対するハンドオーバ処理を行う移動通信方法であって、ハンドオーバ元無線基地局eNB#0が、移動局UEから受信したMeasurement Report(測定報告)に含まれるE-CGIに含まれるCell ID(第2無線基地局配下のセルを特定可能なセル識別情報)内に設定されている所定ビット(所定情報)を参照して、ハンドオーバ先候補無線基地局がマクロセル用無線基地局eNB或いは小セル(例えば、CSGセル)用無線基地局HeNBのいずれであるかについて判定する工程と、ハンドオーバ先候補無線基地局がマクロセル用無線基地局eNBであると判定された場合、ハンドオーバ元無線基地局eNB#0が、交換局MMEに対して、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDとしてCell ID(28ビット)の一部(例えば、Cell IDの上位20ビット)を設定したHandover Required(第1ハンドオーバ要求信号)を送信する工程と、ハンドオーバ先候補無線基地局が小セル用無線基地局HeNBであると判定された場合、ハンドオーバ元無線基地局eNB#0が、交換局MMEに対して、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDとしてCell ID(28ビット)をそのまま設定したHandover Requiredを送信する工程とを有することを要旨とする。
【0073】
本実施形態の第1の特徴において、交換局MMEが、無線基地局の識別情報eNB ID及びトラッキングエリアの識別情報TAIを含むエントリを管理する管理部21を具備しており、管理部21において、Handover Requiredに含まれているハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDを含むエントリを管理されていない場合であっても、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDの長さが28ビット(所定長)である場合で、かつ、管理部21において、Handover Requiredに含まれているトラッキングエリアの識別情報TAIを含むエントリが管理されている場合には、交換局MMEが、ゲートウェイ装置HeNB-GWに対して、かかるトラッキングエリアの識別情報TAIを含むHandover Request(第2ハンドオーバ要求信号)を送信する工程と、ゲートウェイ装置HeNB-GWが、受信したHandover Requestに含まれているトラッキングエリアの識別情報TAI、及びE-CGIに対応するハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDによって特定されるハンドオーバ先候補無線基地局HeNB#3に対して、Handover Request(第3ハンドオーバ要求信号)を送信する工程とを有してもよい。
【0074】
本実施形態の第1の特徴において、交換局MMEが、無線基地局の識別情報eNB ID及びトラッキングエリアの識別情報TAIを含むエントリを管理する管理部21を具備しており、管理部21において、Handover Requiredに含まれているハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDを含むエントリを管理されていない場合で、かつ、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDの長さが28ビット(所定長)でない(すなわち、20ビットである)場合には、交換局MMEが、ハンドオーバ元無線基地局eNB#0に対して、Handover Preparation Failure(ハンドオーバ失敗信号)を送信する工程を有してもよい。
【0075】
本実施形態の第2の特徴は、移動局UEのハンドオーバ元無線基地局配下のセルからハンドオーバ先候補無線基地局配下のセルに対するハンドオーバ処理において、ハンドオーバ元無線基地局として機能する無線基地局eNB/HeNBであって、移動局UEから受信したMeasurement Reportに含まれるE-CGIに含まれるCell ID内に設定されている所定ビットを参照して、ハンドオーバ先候補無線基地局がマクロセル用無線基地局eNB或いは小セル用無線基地局HeNBのいずれであるかについて判定するように構成されている判定部12と、交換局MMEに対して、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDを設定したHandover Required(ハンドオーバ要求信号)を送信するように構成されている送信部13とを具備し、判定部12が、ハンドオーバ先候補無線基地局がマクロセル用無線基地局eNBであると判定した場合、送信部13は、交換局MMEに対して、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDとしてCell IDの一部を設定したHandover Requiredを送信するように構成されており、判定部12が、ハンドオーバ先候補無線基地局が小セル用無線基地局HeNBであると判定した場合、送信部13は、交換局MMEに対して、ハンドオーバ先候補無線基地局の識別情報eNB IDとしてCell IDをそのまま設定したHandover Requiredを送信するように構成されていることを要旨とする。
【0076】
なお、上述の移動局UEや無線基地局eNB/HeNBやゲートウェイ装置HeNB-GWや交換局MMEの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0077】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0078】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、移動局UEや無線基地局eNB/HeNBやゲートウェイ装置HeNB-GWや交換局MME内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして移動局UEや無線基地局eNB/HeNBやゲートウェイ装置HeNB-GWや交換局MME内に設けられていてもよい。
【0079】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0080】
eNB/HeNB…無線基地局
11…受信部
12…判定部
13…送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局の第1無線基地局配下のセルから第2無線基地局配下のセルに対するハンドオーバ処理を行う移動通信方法であって、
前記第1無線基地局が、前記移動局から受信した測定報告に含まれる前記第2無線基地局配下のセルを特定可能なセル識別情報内に設定されている所定情報を参照して、該第2無線基地局がマクロセル用無線基地局或いは小セル用無線基地局のいずれであるかについて判定する工程と、
前記第2無線基地局がマクロセル用無線基地局であると判定された場合、前記第1無線基地局が、交換局に対して、該第2無線基地局の識別情報として前記セル識別情報の一部を設定した第1ハンドオーバ要求信号を送信する工程と、
前記第2無線基地局が小セル用無線基地局であると判定された場合、前記第1無線基地局が、前記交換局に対して、該第2無線基地局の識別情報として前記セル識別情報をそのまま設定した第1ハンドオーバ要求信号を送信する工程とを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
前記交換局が、無線基地局の識別情報及びトラッキングエリアの識別情報を含むエントリを管理する管理部を具備しており、
前記管理部において、前記第1ハンドオーバ要求信号に含まれている前記第2無線基地局の識別情報を含むエントリを管理されていない場合であっても、該第2無線基地局の識別情報の長さが所定長である場合で、かつ、該管理部において、該第1ハンドオーバ要求信号に含まれているトラッキングエリアの識別情報を含むエントリが管理されている場合には、前記交換局が、ゲートウェイ装置に対して、該トラッキングエリアの識別情報を含む第2ハンドオーバ要求信号を送信する工程と、
前記ゲートウェイ装置が、受信した前記第2ハンドオーバ要求信号に含まれている前記トラッキングエリア及び無線基地局の識別情報に対応する前記第2無線基地局の識別情報によって特定される該第2無線基地局に対して、第3ハンドオーバ要求信号を送信する工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項3】
前記交換局が、無線基地局の識別情報及びトラッキングエリアの識別情報を含むエントリを管理する管理部を具備しており、
前記管理部において、前記第1ハンドオーバ要求信号に含まれている前記第2無線基地局の識別情報を含むエントリを管理されていない場合で、かつ、該第2無線基地局の識別情報の長さが所定長でない場合には、前記交換局が、前記第1無線基地局に対して、ハンドオーバ失敗信号を送信する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項4】
移動局の第1無線基地局配下のセルから第2無線基地局配下のセルに対するハンドオーバ処理において、該第1無線基地局として機能する無線基地局であって、
前記移動局から受信した測定報告に含まれる前記第2無線基地局配下のセルを特定可能なセル識別情報内に設定されている所定情報を参照して、該第2無線基地局がマクロセル用無線基地局或いは小セル用無線基地局のいずれであるかについて判定するように構成されている判定部と、
交換局に対して、前記第2無線基地局の識別情報を設定したハンドオーバ要求信号を送信するように構成されている送信部とを具備し、
前記判定部が、前記第2無線基地局がマクロセル用無線基地局であると判定した場合、前記送信部は、前記交換局に対して、該第2無線基地局の識別情報として前記セル識別情報の一部を設定したハンドオーバ要求信号を送信するように構成されており、
前記判定部が、前記第2無線基地局が小セル用無線基地局であると判定した場合、前記送信部は、前記交換局に対して、該第2無線基地局の識別情報として前記セル識別情報をそのまま設定したハンドオーバ要求信号を送信するように構成されていることを特徴とする無線基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−97530(P2011−97530A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252255(P2009−252255)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】