説明

移動通信方法及び無線基地局

【課題】適切にCAを設定する。
【解決手段】本発明に係る移動通信方法は、移動局UEが、無線基地局eNBに対して、「CA band combination」のうち、移動局UEが対応している「CA band combination」を通知する工程と、無線基地局eNBが、キャリアアグリゲーションで用いているバンドに対応する「NS」が、受信した「CA band combination」によって特定される「NS」に含まれているか否かに基づいて、移動局UEに対して、キャリアアグリゲーションを設定するか否かについて判定する工程とを有することを要旨とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法及び無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)方式では、同一地域で利用される他のバンドに対して、干渉を与えないように、保護基準が設けられている(非特許文献1及び2参照)。
【0003】
図6に示すように、地域Aでは、バンドA及びBが、十分に離れているため、移動局UEが、最大送信電力を用いて通信を行った場合であっても、バンドAからバンドBへの干渉レベルを許容干渉レベルまで減衰することができる、すなわち、上述の保護基準が満たされる。
【0004】
一方、図6に示すように、地域Bでは、移動局UEが、最大送信電力を用いて通信を行った場合には、バンドAからバンドBへの干渉レベルを許容干渉レベルまで減衰することができない、すなわち、上述の保護基準が満たされない。
【0005】
かかる場合、LTE方式では、移動局UEの送信電力を制限すること、すなわち、移動局UEの最大許容送信電力を低減することが許容されている。
【0006】
かかる移動局UEの最大許容送信電力の低減量は、「A-MPR(Additional-Maximum Power Reduction)」 と定義されている。
【0007】
具体的には、図6に示すように、LTE方式では、無線基地局eNBが、移動局UEに対して、「NS(Network Signaling)」或いは「additionalSpectrumEmission」と呼ばれるネットワークシグナリング値を報知することによって、かかる「A-MPR」 の適用方法について通知するように構成されている。
【0008】
LTE方式では、移動局UEは、対応可能なバンドに対応した「NS」に対応するように規定されており、無線基地局eNBは、1つのバンドの識別情報を報知するように規定されている。
【0009】
つまり、あるバンドと同じ周波数構成を利用したい地域において、隣接周波数帯域に異なるシステムがあり、保護しなければならない場合には、「A-MPR」が追加されるが、既存のバンドでは、新たに「NS」を追加できない(新たな「NS」に対応するように既に製造されている移動局UEが規定を満足できない)ために、既存バンドの性能に新たな「NS」を追加した新たなバンドとして定義する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】3GPP TS36.101
【非特許文献2】3GPP TS36.104
【非特許文献3】3GPP TS36.331
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
LTE方式の後継方式であるLTE-Advanced方式では、移動局UEは、CA(Carrier Aggrigation、キャリアアグリゲーション)を行うことができる、すなわち、複数のCC(Component Carrier)を用いて複数のセルと同時に通信を行うことができる。
【0012】
ここで、LTE-Advanced方式では、無線基地局eNBが、RRC(Radio Resource Control)機能を用いて、各移動局UEに対して、CAを設定するように構成されている。
【0013】
また、LTE-Advanced方式では、CAで用いられ得るバンドに対応する「CA band combination(キャリアアグリゲーション用バンド組み合わせ情報)」という概念が規定されている。例えば、「CA band combination」は、帯域幅やサポートするCC(Component Carrier)数等が対応する。
【0014】
ここで、「CA band combination」に対して、「NS」が追加される場合について説明する。
【0015】
既存の「CA band combination」に、新たな「A-MPR」が規定される必要が発生した場合、LTE方式のバンドの考え方と同様に、新たな「A-MPR」及び「NS」を、既存の「CA Band Combination」に追加した新たな「CA Band Combination」が定義される。
【0016】
例えば、図7に示すように、「CA band combination #1」では、CAで用いられ得るバンドに対応する「NS」として、「なし」、「NS_X」、「NS_Y」、「CA_NS_A」及び「CA_NS_B」が規定されている。
【0017】
また、図7に示すように、「CA band combination #2」では、CAで用いられ得るバンドに対応する「NS」として、「なし」、「NS_X」、「NS_Y」、「CA_NS_A」、「CA_NS_B」及び「CA_NS_C」が規定されている。
【0018】
ここで、LTE-Advanced方式では、各移動局UEは、対応可能な「CA band combination」が設定されるように構成されている。
【0019】
このような状況下のLTE-Advanced方式において、例えば、無線基地局eNBが、「CA band combination #1」で運用している場合、「CA band combination #2」にのみ対応可能な移動局UEは、「CA band combination #1」が規定されている全ての「NS」に対して対応可能であるにも関わらず、無線基地局eNBは、かかる移動局UEに対して、CAを設定することができないと判断してしまう可能性があるという問題点があった。
【0020】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、適切にCAを設定することができる移動通信方法及び無線基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の特徴は、移動通信方法であって、移動局が、無線基地局に対して、キャリアアグリゲーションで用いられ得るバンドに対応するネットワークシグナリング値を特定するキャリアアグリゲーション用バンド組み合わせ情報のうち、該移動局が対応しているキャリアアグリゲーション用バンド組み合わせ情報を通知する工程と、前記無線基地局が、キャリアアグリゲーションで用いているバンドに対応するネットワークシグナリング値が、受信した前記組み合わせ情報によって特定される前記ネットワークシグナリング値に含まれているか否かに基づいて、前記移動局に対して、キャリアアグリゲーションを設定するか否かについて判定する工程とを有することを要旨とする。
【0022】
本発明の第2の特徴は、無線基地局であって、移動局から、キャリアアグリゲーションで用いられ得るバンドに対応するネットワークシグナリング値を特定するキャリアアグリゲーション用バンド組み合わせ情報のうち、該移動局が対応しているキャリアアグリゲーション用バンド組み合わせ情報を取得するように構成されている受信部と、キャリアアグリゲーションで用いているバンドに対応するネットワークシグナリング値が、受信した前記組み合わせ情報によって特定される前記ネットワークシグナリング値に含まれているか否かに基づいて、前記移動局に対して、キャリアアグリゲーションを設定するか否かについて判定するように構成されている制御部とを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、適切にCAを設定することができる移動通信方法及び無線基地局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の記憶部によって記憶されている内容の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の動作を示すフローチャートである。
【図6】従来の移動通信システムの問題点を説明するための図である。
【図7】従来の移動通信システムの問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。本実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムは、LTE-Advanced方式に対応しており、移動管理ノードMME(Mobility Management Entity)と、無線基地局eNBとを具備している。
【0027】
本実施形態に係る無線基地局eNBは、LTE-Advanced方式に対応可能なものであって、図2に示すように、受信部11と、記憶部12と、制御部13とを具備している。
【0028】
受信部11は、移動管理ノードMMEや移動局UEから、各種信号を受信するように構成されている。
【0029】
例えば、受信部11は、移動局UEから、移動局UEが対応する「CA band combination」を含む「UE Capability Information」を受信するように構成されている。
【0030】
記憶部12は、各「CA band combination」によって特定される「NS」の組み合わせを記憶するように構成されている。
【0031】
例えば、図3に示すように、記憶部12は、「CA band combination #1」によって特定される「NS」として、「なし」、「NS_X」、「NS_Y」、「CA_NS_A」及び「CA_NS_B」を記憶するように構成されている。
【0032】
或いは、図3に示すように、記憶部12は、「CA band combination #1」によって特定される「NS」として、「なし」、「NS_X」、「NS_Y」、「CA_NS_A」、「CA_NS_B」及び「CA_NS_C」を記憶するように構成されている。
【0033】
制御部13は、各種制御処理を行うように構成されている。例えば、制御部13は、移動局UEに対してCAを設定するように構成されている。
【0034】
ここで、制御部13は、CAで用いているバンドに対応する「NS」が、受信した「CA band combination」によって特定される「NS」に含まれているか否かに基づいて、移動局UEに対して、CAを設定するか否かについて判定するように構成されていてもよい。
【0035】
以下、図4及び図5を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作の一例について説明する。
【0036】
第1に、図4を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおける移動局UEのアタッチ処理の動作について説明する。
【0037】
図4に示すように、移動局UEは、ステップS1000において、無線基地局eNBとの間でRRCコネクションを設定した後、ステップS1001において、移動管理ノードMMEに対して「NAS:Attach Request」を送信する。
【0038】
ステップS1002において、移動管理ノードMMEは、無線基地局eNBに対して「S1AP:Initial Context Setup Request」を送信し、ステップS1003において、無線基地局eNBは、移動管理ノードMMEに対して「S1AP:Initial Context Setup Response」を送信する。
【0039】
ステップS1004において、無線基地局eNBは、移動局UEに対して「RRC:UE Capability Enquiry」を送信する。
【0040】
ステップS1005において、移動局UEは、無線基地局eNBに対して、移動局UEが対応する「CA band combination」を含む「RRC:UE Capability Information」を送信する。
【0041】
ステップS1006において、無線基地局eNBは、移動局UEに対して、CAを設定することができるか否かについて判定する。
【0042】
ステップS1007において、無線基地局eNBは、移動管理ノードMMEに対して「S1AP:UE Capability Info Indication」を送信する。
【0043】
第2に、図5を参照して、上述のステップS1006における無線基地局eNBの動作について説明する。
【0044】
図5に示すように、無線基地局eNBは、ステップS101において、「RRC:UE Capability Information」を受信すると、ステップS102において、受信した「RRC:UE Capability Information」に含まれている「CA band combination」によって特定される「NS」と、無線基地局eNBにおいて運用している「NS」(すなわち、無線基地局eNBがCAで用いている「NS」)とを比較する。
【0045】
ステップS103において、無線基地局eNBは、CAで用いているバンドに対応する「NS」が、受信した「RRC:UE Capability Enquiry」に含まれる「CA band combination」によって特定される「NS」に含まれていると判定した場合に、かかる移動局UEに対して、CAを設定することができると判定する。
【0046】
なお、かかる場合に、実際に、かかる移動局UEに対して、CAを設定するか否かは、無線基地局eNBのスケジューラ等の機能によって決定される。
【0047】
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、受信した「RRC:UE Capability Information」に含まれている「CA band combination」によって特定される「NS」と、無線基地局eNBにおいて運用している「NS」(すなわち、無線基地局eNBがCAで用いている「NS」)とを比較することによって、無線基地局eNBで用いられ得る「NS」に対応する移動局UEに対してのみ、CAを設定することができる。
【0048】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0049】
本実施形態の第1の特徴は、移動通信方法であって、移動局UEが、無線基地局eNBに対して、「CA band combination(キャリアアグリゲーションで用いられ得るバンドに対応するネットワークシグナリング値の組み合わせを特定するキャリアアグリゲーション用バンド組み合わせ情報)」のうち、移動局UEが対応している「CA band combination」を通知する工程と、無線基地局eNBが、キャリアアグリゲーションで用いているバンドに対応する「NS(ネットワークシグナリング値)」が、受信した「CA band combination」によって特定される「NS」に含まれているか否かに基づいて、移動局UEに対して、キャリアアグリゲーションを設定するか否かについて判定する工程とを有することを要旨とする。
【0050】
本実施形態の第2の特徴は、無線基地局eNBであって、移動局UEから、移動局UEが対応している「CA band combination」を取得するように構成されている受信部11と、キャリアアグリゲーションで用いているバンドに対応する「NS」が、受信した「CA band combination」によって特定される「NS」に含まれているか否かに基づいて、移動局UEに対して、キャリアアグリゲーションを設定するか否かについて判定するように構成されている制御部13とを具備することを要旨とする。
【0051】
なお、上述の無線基地局eNB及び移動局UEや移動管理ノードMMEの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0052】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0053】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、無線基地局eNBや移動局UEや移動管理ノードMME内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして無線基地局eNBや移動局UEや移動管理ノードMME内に設けられていてもよい。
【0054】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0055】
UE…移動局
MME…移動管理ノード
eNB…無線基地局
11…受信部
12…記憶部
13…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局が、無線基地局に対して、キャリアアグリゲーションで用いられ得るバンドに対応するネットワークシグナリング値を特定するキャリアアグリゲーション用バンド組み合わせ情報のうち、該移動局が対応しているキャリアアグリゲーション用バンド組み合わせ情報を通知する工程と、
前記無線基地局が、キャリアアグリゲーションで用いているバンドに対応するネットワークシグナリング値が、受信した前記組み合わせ情報によって特定される前記ネットワークシグナリング値に含まれているか否かに基づいて、前記移動局に対して、キャリアアグリゲーションを設定するか否かについて判定する工程とを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
移動局から、キャリアアグリゲーションで用いられ得るバンドに対応するネットワークシグナリング値を特定するキャリアアグリゲーション用バンド組み合わせ情報のうち、該移動局が対応しているキャリアアグリゲーション用バンド組み合わせ情報を取得するように構成されている受信部と、
キャリアアグリゲーションで用いているバンドに対応するネットワークシグナリング値が、受信した前記組み合わせ情報によって特定される前記ネットワークシグナリング値に含まれているか否かに基づいて、前記移動局に対して、キャリアアグリゲーションを設定するか否かについて判定するように構成されている制御部とを具備することを特徴とする無線基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−42305(P2013−42305A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177194(P2011−177194)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】