移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法及び装置
【課題】移動通信端末の多様な統計的情報を用いて平均電力消費速度に基づいた異常なバッテリの電力消耗を効率的に検出できる方法及び装置を提供する。
【解決手段】移動通信端末内バッテリの異常な電力消耗を検出する方法であって、前記移動通信端末で前記バッテリの電力消費に影響を及ぼす1つ以上の動作状態を定義する段階と、前記各動作状態で前記個別端末のバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを収集する段階と、前記時系列データに基づいて前記個別端末のバッテリ電力消費速度、使用パターン及び実際の使用時間を算出する段階と、前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度に基づいて前記個別端末のバッテリの予想使用可能時間を算出する段階と、前記算出された予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する段階とを含む。
【解決手段】移動通信端末内バッテリの異常な電力消耗を検出する方法であって、前記移動通信端末で前記バッテリの電力消費に影響を及ぼす1つ以上の動作状態を定義する段階と、前記各動作状態で前記個別端末のバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを収集する段階と、前記時系列データに基づいて前記個別端末のバッテリ電力消費速度、使用パターン及び実際の使用時間を算出する段階と、前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度に基づいて前記個別端末のバッテリの予想使用可能時間を算出する段階と、前記算出された予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する段階とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法及び装置に関する。具体的に、本発明は安定したバッテリの使用のために端末全体の平均バッテリ電力消費速度及び、端末とバッテリの種類、ユーザ、使用時期などを基準として分類されたグループ別の平均バッテリ電力消費速度に基づいて、異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを検出する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、移動通信端末は移動性乃至携帯性を最も大きな特徴とするので、電源の供給において端末のバッテリに大きく依存する。従って、移動通信端末においてバッテリを効率的、且つ、安定的に用いてバッテリの使用時間を確保することは非常に重要である。
【0003】
このようなバッテリの使用時間を保障するために多様な観点から研究が進められてきた。バッテリの高集積化を通じてバッテリの容量を増大させるための研究、低電力設計方法論などを利用してシステム構造レベルでバッテリの電力消耗を低減するための研究、不要なバッテリの使用を検出してこれを減らすための研究などが多様に行われている。
【0004】
そのうち、不要なバッテリの使用を検出してそれを低減することで、バッテリの使用時間を安定的に確保する方法に関する研究において、バッテリの漏洩現象はその主な検出対象となるが、これは不要なプロセスや異常な動作によりバッテリが普段より速く消耗する現象をいう。この分野と関連して、これまでバッテリの使用可能時間を予測する研究として回路レベルで、又はシミュレーションを通じて予測する方法が研究されてきた。近年は、統計的な方法を通じてバッテリの使用可能時間を予測する方法も用いられている。
【0005】
移動通信端末の異常なバッテリ電力の消耗原因に関する研究は、端末メーカーで頻繁に行われている。その原因としては、不要なプロセスの動作、電波環境の変化(強弱電界、重複、陰影地域の存在、干渉など)、通信方式の頻繁な変化(CDMA 1xモードとCDMA 1x EV-DOモードの自動変換)、頻繁なキー操作及びインターネット付加機能を用いる場合、無線基地局のサービス形態による影響(スロットモードなど)、過度に明るい照明又は必要以上に長い照明使用時間(LCDディスプレイ、キーパッドランプ、バックライトなど)、過度に大きな音響又は必要以上に長い音響使用時間(スピーカ、ハンズフリーなど)、各種スパムメッセージの到達及び確認、ユーザの習慣によるバッテリの電力消耗など多様なものが挙げられる。このような異常なバッテリ電力の消耗原因に関する情報はそれを検出するのに役立つことができる。
【0006】
下記の特許文献1は、使用者が移動通信端末のバッテリ電力消耗の大きい位置にある時、これを使用者に報知するためのバッテリ電源消耗警告装置及び方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国公開特許第20050143144号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまでバッテリの使用可能時間を予測するための多様な研究が進められてきたが、予測されたバッテリの使用可能時間を用いてバッテリの異常な消耗を検出する方法や装置に関する研究は殆どなかった。
【0009】
異常であるか、不要なバッテリの電力消耗を早期に診断して検出できる有効な方法や装置が存在しないため、その原因に対する分析が既に行われているにも拘らず、端末メーカーはそれを予防したり、早期に検出できないのが現状である。
【0010】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、移動通信端末の多様な統計的情報を用いて平均電力消費速度に基づいた異常なバッテリの電力消耗を効率的に検出できる方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明の一側面は、移動通信端末内バッテリの異常な電力消耗を検出する方法であって、前記移動通信端末で前記バッテリの電力消費に影響を及ぼす1つ以上の動作状態を定義する段階と、前記各動作状態で前記個別端末のバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを収集する段階と、前記時系列データに基づいて前記個別端末のバッテリ電力消費速度、使用パターン及び実際の使用時間を算出する段階と、前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度に基づいて前記個別端末のバッテリの予想使用可能時間を算出する段階と、前記算出された予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する段階とを含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0012】
前記動作状態は、待機状態、音声通話状態及びデータ通信状態を含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0013】
前記使用パターンは、前記個別端末の前記動作状態別の実際の使用時間の割合として定義される移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0014】
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度は、前記算出された個別端末のバッテリの電力消費速度に基づいて更新される移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0015】
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度は、分類されたグループ別の平均バッテリ電力消費速度を更に含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0016】
前記分類されたグループは、前記端末とバッテリの種類、使用パターン、及び使用時期を含む基準によって分類される移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0017】
前記異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに報告する段階を更に含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0018】
前記報告は、映像、音響、又は振動のうちの1つ以上を含む手段からなる移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0019】
前記予想使用可能時間は、前記個別端末の実際のバッテリ容量を前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度で割ることで算出される移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0020】
前記予想使用可能時間は、前記端末の実際のバッテリ容量をバッテリ電力消費速度で割ることで算出され、バッテリ電力消費速度は、前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度又は前記グループ別の平均バッテリ電力消費速度に基づいて獲得される移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0021】
前記予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する段階は、前記時系列データに基づいて異常なバッテリ電力の消耗がない場合及びある場合、各状態でバッテリ電力消費速度値の変化推移を診断する過程と、前記変化推移に基づいて前記異常なバッテリ電力消耗の存否の判断に必要な測定時間及び臨界値を設定する過程と、前記測定時間及び前記臨界値に基づいて前記各動作状態に対するバッテリの電力消耗に関する診断を行う過程と、前記診断の結果、1つ以上の動作状態で異常なバッテリの電力消耗が検出される場合、これを前記端末の異常なバッテリ電力消耗検出として判断する過程とを含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0022】
前記課題を解決するために、本発明の他の側面は、移動通信端末内バッテリの異常な電力消耗を検出する装置であって、前記移動通信端末で前記バッテリの電力消費に影響を及ぼす1つ以上の動作状態で前記端末のバッテリの電力消費量及び実際の使用時間に関する時系列データを収集する収集器と、前記時系列データに基づいて前記個別端末のバッテリ電力消費速度、使用パターン、及び実際の使用時間を算出する分析器と、前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度に関する情報に基づいて前記個別端末のバッテリの予想使用可能時間を算出し、前記予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する計画器と、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに報告する実行器とを含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置を提供する。
【0023】
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度を格納する外部知識情報格納所を更に含み、前記外部知識情報格納所に格納された前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度は算出された各端末のバッテリ電力消費速度に基づいて更新される移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置を提供する。
【0024】
前記端末内部に位置し、前記外部知識情報格納所に格納された前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度の伝達を受けて格納する内部知識情報格納所を更に含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置を提供する。
【0025】
前記バッテリと連結されて前記端末のバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを検知するセンサを更に含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置を提供する。
【0026】
前記実行器と連結されて前記異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに通知するアクチュエータを更に含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置を提供する。
【0027】
前記アクチュエータは、前記異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを前記ユーザに映像で通知するディスプレイ駆動部、音響で通知するスピーカ駆動部又は、振動で通知する振動モータ駆動部のうちの1つ以上を含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ユーザが自身の移動通信端末で異常なバッテリ電力の消耗が存在するか否かが分かるため、誤った使用習慣乃至端末の欠陥によるバッテリの乱用を予防できるという効果を奏する。
【0029】
また、ユーザの端末使用パターンに基づいてバッテリの使用可能時間を予測することで、ユーザの観点から更に正確、且つ、効率的なバッテリの管理が可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】バッテリの実際の使用時間と予想使用可能時間との比較を通じて移動通信端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを検出する原理を説明する概念図である。
【図2】移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置の構造を示すブロック図である。
【図3】図2のバッテリ監視者220内部のデータ処理過程を示すフローチャートである。
【図4】端末での可能な状態を定義する状態図である。
【図5】各状態でのバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを通じてバッテリ電力消費速度を算出する方法を示す図である。
【図6A】図5のバッテリ電力消費速度をグループ別に分類したことを示す図であって、端末全体の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。
【図6B】図5のバッテリ電力消費速度をグループ別に分類したことを示す図であって、端末及びバッテリ別の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。
【図6C】図5のバッテリ電力消費速度をグループ別に分類したことを示す図であって、ユーザ別の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。
【図6D】図5のバッテリ電力消費速度をグループ別に分類したことを示す図であって、使用時期別の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。
【図7】端末の各状態別に実際の使用時間によるバッテリの電力消費量を測定して平均的なバッテリ電力消費速度を算出する方法を示す図である。
【図8】図7で完全に充電されたバッテリを音声通話だけで消費する時の予想使用可能時間 を測定して、その分布を確率密度関数f(t/S2)で示す図である。
【図9】完全に充電されたバッテリを音声通話又は待機状態で消費する時の使用可能時間 及び をそれぞれ測定して、その分布を確率密度関数f(t/S2)及びf(t/S0)で示す図である。
【図10】端末におけるバッテリの電力消耗が異常な状態と正常な状態を信頼度区間を用いて定義する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付する図面を参照して本発明の動作原理を詳細に説明する。下記で本発明を説明するにおいて公知の機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にするおそれがあると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義されたものであって、これはユーザ、運用者の意図又は慣例などによって変わり得る。従って、その定義は本明細書全般にわたる内容に基づいて下されるべきである。
【0032】
図1は、バッテリの実際の使用時間と予想使用可能時間との比較を通じて移動通信端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを検出する原理を説明する概念図である。移動通信端末が音声通話とデータ通信だけのためのものであると仮定すれば、端末が存在し得る各動作状態(例えば、待機状態、音声通話状態、データ通信状態)を定義することができ、動作状態別バッテリの電力消費量及び使用時間に対する分析が可能である。
【0033】
この場合、実際使用した時間140は、待機状態での待機時間112、音声通話状態での音声通話時間114、データ通信状態でのデータ通信時間116の和172で表すことができる。そして、実際のバッテリ容量120をバッテリ電力消費速度130で割れば174、現在のバッテリ残量での予想使用可能時間150を算出できる。ここで、バッテリ電力消費速度130は、複数の端末の平均バッテリ電力消費速度132、端末とバッテリ種類別の平均バッテリ電力消費速度134、ユーザの使用パターン別の平均バッテリ電力消費速度及び最近使用したバッテリ電力消費速度を含むことができる。
【0034】
実際の使用時間140及び予想使用可能時間150を比較して(176)、両時間の差が特定の誤差範囲以上になれば、バッテリの漏洩など異常なバッテリ電力の消耗が発生したことを検出できる(160)。
【0035】
図2は、本発明によって移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置の構造を示すブロック図である。移動通信端末200、202、204は、それぞれ外部知識情報格納所240とネットワークを介して連結される。外部知識情報格納所240は、移動通信端末200、202、204から各端末のバッテリ電力消費速度に関する情報の伝達を受けて端末全体の平均バッテリ電力消費速度を算出して格納し、各端末200、202、204からバッテリ電力消費速度の伝達を受ける度に格納された端末全体の平均バッテリ電力消費速度を更新する。更に、外部知識情報格納所240で各端末のバッテリ電力消費速度は端末とバッテリの種類、ユーザの使用パターン、使用時期の3つのグループ別に分類されてグループ別の平均バッテリ電力消費速度が算出され得る。
【0036】
移動通信端末200、202、204のそれぞれは、知識管理部210、バッテリ監視者220、センサ232、アクチュエータ234、端末資源230、そして内部知識情報格納所250を含む。
【0037】
端末資源230は、端末200のハードウェア及びソフトウェアを示し、バッテリをはじめとして映像のディスプレイのためのディスプレイ部、音響の出力のためのスピーカ、端末で振動を起こす振動モータなどを含む。
【0038】
センサ232は、端末資源230、例えば、バッテリの電力消費量及び端末の使用時間(例えば、音声通話時間、データ通信時間、待機時間など)を測定してバッテリ資源に関する時系列データを生成し、生成された時系列データをバッテリ監視者220に伝達する。
【0039】
知識管理部210は、外部知識情報格納所240から平均バッテリ電力消費速度の伝達を受けてバッテリ監視者220と内部知識情報格納所250に伝達する。
【0040】
内部知識情報格納所250は、外部知識情報格納所240から提供される端末全体の平均バッテリ電力消費速度又は端末200のバッテリ電力消費速度を格納できる。
【0041】
バッテリ監視者220は、センサ232から測定されるバッテリ資源に関する時系列データを収集し分析して、バッテリの予想使用時間を算出し、異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する一連の過程を行う。
【0042】
このようなバッテリ監視者220は、収集器222、分析器224、計画器226、実行器228を含むが、これらの動作はバッテリ監視者220により行われるデータ処理手順を示す図3を参照して説明する。
【0043】
収集器222は、センサ232を通じて端末資源230に連結されて各動作状態(例えば、待機状態、音声通話状態、データ通信状態)での該当端末200のバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを収集する機能を行う。
【0044】
分析器224は、収集器222から伝達を受けた時系列データに基づいて該当端末200のバッテリ電力消費速度、使用パターン及び実際の使用時間などを算出して知識管理部210に伝達し、実際の使用時間はまた計画器226にも伝達する。
【0045】
知識管理部210は、平均バッテリ電力消費速度を受けて計画器226に伝達する。また、知識管理部210は、分析器224からバッテリ電力消費速度、使用パターン及び実際の使用時間を伝達されれば、これを外部知識情報格納所240又は内部知識情報格納所250に伝達して外部知識情報格納所240又は内部知識情報格納所250がそれぞれ電力消費速度又は平均電力消費速度を更新できるようにする。
【0046】
計画器226は、外部知識情報格納所240から伝達される平均バッテリ電力消費速度に基づいて端末200のバッテリの予想使用可能時間を算出し、算出された予想使用可能時間と分析器224から伝達を受けた実際の使用時間とを比較して、端末200の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する。
【0047】
実行器228は、計画器226から異常なバッテリ電力の消耗があるか否かに関する判断結果の伝達を受けてこれをアクチュエータ234を通じてユーザに報告する。アクチュエータ234は、異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに映像で通知するディスプレイ駆動部、音響で通知するスピーカ駆動部又は、振動で通知する振動モータ駆動部を含むこともできる。
【0048】
図4は、端末での可能な状態を定義する状態図である。本実施形態においては、移動通信端末が音声通話及びデータ通信にのみ用いられ、状態は互いに独立して存在すると仮定して以下の状態を定義した。一般に、端末の状態は大きくオフ状態400及びオン状態401の2種類があり、オン状態401はまた待機状態402、データ通信状態403、音声通話状態404の3つの状態に定義され得る。
【0049】
初期段階で、端末200は電源がオンされる前にオフ状態400にあり、ユーザが端末の電源を入れれば、オン状態401に遷移する。オン状態401の初期状態は待機状態402であり、これをS0という。待機状態S0(402)で音声又はデータ通信の開始を待ちながら、ユーザがデータ通信を始めると、データ通信状態403に遷移するが、この状態をS1という。ユーザがデータ通信を終了すれば、再び待機状態S0(402)に遷移するようになる。待機状態S0(402)で電話通話を始めると、音声通話状態404に遷移し、この状態をS2という。音声通話状態S2(404)でユーザが電話通話を終了すれば、再び待機状態S0(402)に遷移する。そして、ユーザが端末の電源を切ると、オン状態401からオフ状態400に遷移する。
【0050】
上述したオフ状態400及びオン状態401、そしてS0〜S2の全ての状態は現在の移動通信端末を考慮すれば、相互排他的な、即ち、互いに共存しない関係として独立して存在する。
【0051】
図5は、各状態でのバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データに基づいてバッテリ電力消費速度を算出する方法を示す図である。
【0052】
該当端末の実際のバッテリ容量を知っている状態で、バッテリが完全に消耗するまで実際の端末を用いた時間を測定して、線形予測法を適用すれば、バッテリ電力消費速度を得ることができる。一方、幾つかの基準によって各端末のバッテリ電力消費速度に関するデータを1つ以上のグループに分類して、グループ別の平均バッテリ電力消費速度を計算できる。例えば、端末及びバッテリの種類が同じ場合とユーザが同じ場合のグループ別の平均バッテリ電力消費速度を別途に求めることができる。同様に、使用時期別に一定期間以内のデータを分類して最近の平均バッテリ電力消費速度に対しても別途に計算できる。
【0053】
図6A〜図6Dは、図5のバッテリ電力消費速度をグループ別に分類したことを示す図である。
【0054】
図6Aは、端末全体の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。R_totalは端末全体の平均バッテリ電力消費速度であり、端末とバッテリの種類、ユーザ、使用時期を問わず全てのデータに対する全体平均を示す。
【0055】
図6Bは、端末及びバッテリ別の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。R_type1、R_type2、R_type3はそれぞれ端末の種類及びバッテリの種類に応じて異なる値を格納している。図6Bを参照すれば、R_type1がR_type2よりは更に長くバッテリを使用できることが分かる。
【0056】
図6Cは、ユーザ別の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。R_userはユーザ別バッテリ電力消費速度を示すものであり、端末が待機状態、データ通信状態及び音声通話状態に位置する比率、即ち、各状態別の実際の使用時間の比率がユーザ毎に異なるという点でユーザの使用パターンが反映された重要な情報となる。
【0057】
図6Dは、使用時期別の平均バッテリ電力消費速度をそれぞれ示す図である。R_recentは各ユーザの最近のバッテリ電力消費速度を示す。この情報を利用すれば、各ユーザの使用パターンが変化したり、各種移動通信の環境が変化する場合、最近の傾向を更に強く反映できる。
【0058】
簡単に言えば、当初端末に関する情報がない時は端末全体の平均バッテリ電力消費速度であるR_totalを参考にし、端末及びバッテリ情報が知られた場合、端末及びバッテリ種類別の平均バッテリ電力消費速度R_typeによる値を参考にし、その次に、ユーザパターンが把握された場合、ユーザに特化したR_userを参考にし、最終的には、最近のバッテリ電力消費速度であるR_recentまで参考にする階層的標準モデルを提示している。これに基づいて移動通信端末に更に柔軟にバッテリ電力消費速度を適用して、より正確なバッテリの予想使用可能時間を求めることができる。
【0059】
図7は、端末の各状態別に実際の使用時間によるバッテリの電力消費量を測定して平均的なバッテリ電力消費速度を算出する方法を示す図である。収集器222は、端末のバッテリ電力消費量[mA]と音声通話時間[sec]、データ通信時間[sec]及び全体時間[sec]に関する時系列データを収集する。待機時間は、全体時間から音声通話時間とデータ通信時間を差し引くことで求めることができる。ここで、使用時間[sec]によるバッテリ消費量[mA]に関する時系列データは、図7の点線及び実線のようなグラフで示される。点線及び実線の傾きはバッテリ電力消費速度[mA/sec]の単位を有する。実線のうち、相対的に傾きが緩やかな部分はS0、即ち、待機状態402を、実線のうち、相対的に傾きが急峻な部分はS1、即ち、データ通信状態403を、点線部分はS2、即ち、音声通話状態404を示す。
【0060】
同じ状態でバッテリ電力消費速度は同一であると仮定すれば、特定状態の区間別使用時間及び区間別バッテリ電力消耗量を用いて端末が一定状態で変化なしに維持される時、全体バッテリをどのぐらい使用できるかに関する情報、即ち、状態別予想使用可能時間を求めることができる。図7を参照すれば、音声通話状態S2(404)の区間別使用時間[sec](t1,t2,t3)及び区間別バッテリ電力消耗量[mA](B1,B2,B3)が示されている。特定状態に該当する区間の部分和を利用すれば、全体バッテリを充電し、バッテリが消耗するまで特定状態を維持させる必要なく、状態別予想使用可能時間を下記のように線形近似で求めることができる。
【数1】
【0061】
ここで、tvは完全に充電されたバッテリを音声通話だけで消費する時の予想使用可能時間[sec]であり、BMAXは完全に充電された時のバッテリ容量[mA]であり、Bjはj番目の音声通話区間のバッテリ電力消耗量[mA]であり、tjはj番目の音声通話区間の通話時間[sec]を示す。
【0062】
図8は、図7で完全に充電されたバッテリを音声通話だけで消費する時の予想使用可能時間tvを測定して、その分布を確率密度関数f(t/S2)で示す図である。
【0063】
移動通信端末における待機状態S0、データ通信状態S1及び音声通話状態S2など各状態が端末のバッテリ電力の消費に直接的な影響を及ぼし、正常な状態でのバッテリ電力消費速度などの統計値と異常な状態でのバッテリ電力消費速度などの統計値と関連した学習モデルが与えられれば、移動通信端末での一定時間のこれらの値などの変化推移を定められた信頼度区間内で判断して異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを検出できる。
【0064】
検出段階は、以下の通りである。最初の段階では時系列データに基づいて正常状態の推移と異常状態でのバッテリ電力消費速度値の推移を決定する。ここで、各端末において正常及び異常状態でのバッテリ電力消費速度値の推移に関する一般的な情報は、端末の外部知識情報格納所の標本を参照できる。2番目の段階では、最初の段階での結果に基づいて得た統計データを用いて適当な測定時間及び臨界値を決定してシステムにおける待機状態S0、データ通信状態S1及び音声通話状態S2の各状態での診断を行う。最後の3番目の段階では、2番目の段階で得た各状態の結果のうち、1つでも異常な状態がある場合、異常なバッテリの電力消耗があると判断する。
【0065】
同じ移動通信端末とバッテリといっても、何らの電波妨害もなく、理想的な環境であれば、予想使用可能時間tvが最大tv maxだけ大きな値が出力され、様々な原因により異常なバッテリの電力消耗が発生すれば、最小tv minだけ小さな値が出力される。この分布はSi状態で完全に充電されたバッテリを完全に消耗するのにかかる時間の確率密度関数であるf(t/Si)で表すことができる。本実施形態においては、f(t/Si)がガウシアン分布に従うものと仮定したが、他の多様な分布でもモデリングできる。
【0066】
図9は、完全に充電されたバッテリを音声通話又は待機状態で消費する時の使用可能時間tv及び twをそれぞれ測定して、その分布を確率密度関数f(t/S2)及びf(t/S0)で示す図である。
【0067】
図9を参照すれば、tvの分布はf(t/S2)、twの分布はf(t/S0)で表すことができ、一般に、待機時間twが音声通話時間 よりも時間軸上で右側に分布し、更に広い範囲に分布することが分かる。上記各状態Siにおける予想使用可能時間に対する確率密度関数f(t/Si)を用いて各状態別期待値を下記のように求めることができる。
【数2】
【0068】
ここで、E[X/Si]は状態Siでの予想使用可能時間の期待値であり、f(t/Si)は状態Siでの予想使用可能時間に対する確率密度関数である。
【0069】
この期待値を下記のように判定して異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを検出できる。
【数3】
【0070】
ここで、ρiは状態Siでの異常なバッテリ電力の消耗があるか否かの検出結果であり、その値は0又は1であり、αiはSi状態で一定の測定時間にバッテリ電力消費量を測定した結果に基づいて完全に充電されたバッテリを消費する時の予想使用可能時間を予測した値であり、E[X/Si]は状態Siで完全に充電されたバッテリを消費する時の予想使用可能時間の期待値であり、δは異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを決定する臨界値であり、βは異常なバッテリ電力の消耗があるか否かの検出結果を提供する。
【0071】
図10は、端末におけるバッテリの電力消耗が異常な状態と正常な状態を信頼度区間を用いて定義する方法を示す図である。前記式3で異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する基準となることが臨界値δであるが、これは図10から分かるように、f(t/Si)の分布に基づいて信頼度区間を選定(95%信頼度区間、99%信頼度区間など)し、その境界となるtcrit値を基準として正常な状態1010と異常な状態1020を定義することができる。異常な状態はtcritよりも短い予想使用可能時間を有する区間、即ち、相対的にバッテリを多く消費する区間である。その境界となるtcrit値も静的に定められるものではなく、各端末ユーザの使用パターンに応じて動的に変わるため、ユーザの観点に合せて異常なバッテリの電力消耗を検出するように実現することもできる。
【0072】
以上のように本発明の理解のためにその実施形態を記述したが、当業者であれば分かるように、本発明は本明細書で記述された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範疇から逸脱しない範囲内で多様に変形、変更及び代替できる。従って、本発明の真の思想及び範疇に属するあらゆる変形及び変更を特許請求の範囲によって全て包括したい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法及び装置に関する。具体的に、本発明は安定したバッテリの使用のために端末全体の平均バッテリ電力消費速度及び、端末とバッテリの種類、ユーザ、使用時期などを基準として分類されたグループ別の平均バッテリ電力消費速度に基づいて、異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを検出する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、移動通信端末は移動性乃至携帯性を最も大きな特徴とするので、電源の供給において端末のバッテリに大きく依存する。従って、移動通信端末においてバッテリを効率的、且つ、安定的に用いてバッテリの使用時間を確保することは非常に重要である。
【0003】
このようなバッテリの使用時間を保障するために多様な観点から研究が進められてきた。バッテリの高集積化を通じてバッテリの容量を増大させるための研究、低電力設計方法論などを利用してシステム構造レベルでバッテリの電力消耗を低減するための研究、不要なバッテリの使用を検出してこれを減らすための研究などが多様に行われている。
【0004】
そのうち、不要なバッテリの使用を検出してそれを低減することで、バッテリの使用時間を安定的に確保する方法に関する研究において、バッテリの漏洩現象はその主な検出対象となるが、これは不要なプロセスや異常な動作によりバッテリが普段より速く消耗する現象をいう。この分野と関連して、これまでバッテリの使用可能時間を予測する研究として回路レベルで、又はシミュレーションを通じて予測する方法が研究されてきた。近年は、統計的な方法を通じてバッテリの使用可能時間を予測する方法も用いられている。
【0005】
移動通信端末の異常なバッテリ電力の消耗原因に関する研究は、端末メーカーで頻繁に行われている。その原因としては、不要なプロセスの動作、電波環境の変化(強弱電界、重複、陰影地域の存在、干渉など)、通信方式の頻繁な変化(CDMA 1xモードとCDMA 1x EV-DOモードの自動変換)、頻繁なキー操作及びインターネット付加機能を用いる場合、無線基地局のサービス形態による影響(スロットモードなど)、過度に明るい照明又は必要以上に長い照明使用時間(LCDディスプレイ、キーパッドランプ、バックライトなど)、過度に大きな音響又は必要以上に長い音響使用時間(スピーカ、ハンズフリーなど)、各種スパムメッセージの到達及び確認、ユーザの習慣によるバッテリの電力消耗など多様なものが挙げられる。このような異常なバッテリ電力の消耗原因に関する情報はそれを検出するのに役立つことができる。
【0006】
下記の特許文献1は、使用者が移動通信端末のバッテリ電力消耗の大きい位置にある時、これを使用者に報知するためのバッテリ電源消耗警告装置及び方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国公開特許第20050143144号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまでバッテリの使用可能時間を予測するための多様な研究が進められてきたが、予測されたバッテリの使用可能時間を用いてバッテリの異常な消耗を検出する方法や装置に関する研究は殆どなかった。
【0009】
異常であるか、不要なバッテリの電力消耗を早期に診断して検出できる有効な方法や装置が存在しないため、その原因に対する分析が既に行われているにも拘らず、端末メーカーはそれを予防したり、早期に検出できないのが現状である。
【0010】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、移動通信端末の多様な統計的情報を用いて平均電力消費速度に基づいた異常なバッテリの電力消耗を効率的に検出できる方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明の一側面は、移動通信端末内バッテリの異常な電力消耗を検出する方法であって、前記移動通信端末で前記バッテリの電力消費に影響を及ぼす1つ以上の動作状態を定義する段階と、前記各動作状態で前記個別端末のバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを収集する段階と、前記時系列データに基づいて前記個別端末のバッテリ電力消費速度、使用パターン及び実際の使用時間を算出する段階と、前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度に基づいて前記個別端末のバッテリの予想使用可能時間を算出する段階と、前記算出された予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する段階とを含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0012】
前記動作状態は、待機状態、音声通話状態及びデータ通信状態を含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0013】
前記使用パターンは、前記個別端末の前記動作状態別の実際の使用時間の割合として定義される移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0014】
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度は、前記算出された個別端末のバッテリの電力消費速度に基づいて更新される移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0015】
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度は、分類されたグループ別の平均バッテリ電力消費速度を更に含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0016】
前記分類されたグループは、前記端末とバッテリの種類、使用パターン、及び使用時期を含む基準によって分類される移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0017】
前記異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに報告する段階を更に含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0018】
前記報告は、映像、音響、又は振動のうちの1つ以上を含む手段からなる移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0019】
前記予想使用可能時間は、前記個別端末の実際のバッテリ容量を前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度で割ることで算出される移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0020】
前記予想使用可能時間は、前記端末の実際のバッテリ容量をバッテリ電力消費速度で割ることで算出され、バッテリ電力消費速度は、前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度又は前記グループ別の平均バッテリ電力消費速度に基づいて獲得される移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0021】
前記予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する段階は、前記時系列データに基づいて異常なバッテリ電力の消耗がない場合及びある場合、各状態でバッテリ電力消費速度値の変化推移を診断する過程と、前記変化推移に基づいて前記異常なバッテリ電力消耗の存否の判断に必要な測定時間及び臨界値を設定する過程と、前記測定時間及び前記臨界値に基づいて前記各動作状態に対するバッテリの電力消耗に関する診断を行う過程と、前記診断の結果、1つ以上の動作状態で異常なバッテリの電力消耗が検出される場合、これを前記端末の異常なバッテリ電力消耗検出として判断する過程とを含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法を提供する。
【0022】
前記課題を解決するために、本発明の他の側面は、移動通信端末内バッテリの異常な電力消耗を検出する装置であって、前記移動通信端末で前記バッテリの電力消費に影響を及ぼす1つ以上の動作状態で前記端末のバッテリの電力消費量及び実際の使用時間に関する時系列データを収集する収集器と、前記時系列データに基づいて前記個別端末のバッテリ電力消費速度、使用パターン、及び実際の使用時間を算出する分析器と、前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度に関する情報に基づいて前記個別端末のバッテリの予想使用可能時間を算出し、前記予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する計画器と、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに報告する実行器とを含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置を提供する。
【0023】
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度を格納する外部知識情報格納所を更に含み、前記外部知識情報格納所に格納された前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度は算出された各端末のバッテリ電力消費速度に基づいて更新される移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置を提供する。
【0024】
前記端末内部に位置し、前記外部知識情報格納所に格納された前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度の伝達を受けて格納する内部知識情報格納所を更に含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置を提供する。
【0025】
前記バッテリと連結されて前記端末のバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを検知するセンサを更に含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置を提供する。
【0026】
前記実行器と連結されて前記異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに通知するアクチュエータを更に含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置を提供する。
【0027】
前記アクチュエータは、前記異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを前記ユーザに映像で通知するディスプレイ駆動部、音響で通知するスピーカ駆動部又は、振動で通知する振動モータ駆動部のうちの1つ以上を含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ユーザが自身の移動通信端末で異常なバッテリ電力の消耗が存在するか否かが分かるため、誤った使用習慣乃至端末の欠陥によるバッテリの乱用を予防できるという効果を奏する。
【0029】
また、ユーザの端末使用パターンに基づいてバッテリの使用可能時間を予測することで、ユーザの観点から更に正確、且つ、効率的なバッテリの管理が可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】バッテリの実際の使用時間と予想使用可能時間との比較を通じて移動通信端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを検出する原理を説明する概念図である。
【図2】移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置の構造を示すブロック図である。
【図3】図2のバッテリ監視者220内部のデータ処理過程を示すフローチャートである。
【図4】端末での可能な状態を定義する状態図である。
【図5】各状態でのバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを通じてバッテリ電力消費速度を算出する方法を示す図である。
【図6A】図5のバッテリ電力消費速度をグループ別に分類したことを示す図であって、端末全体の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。
【図6B】図5のバッテリ電力消費速度をグループ別に分類したことを示す図であって、端末及びバッテリ別の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。
【図6C】図5のバッテリ電力消費速度をグループ別に分類したことを示す図であって、ユーザ別の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。
【図6D】図5のバッテリ電力消費速度をグループ別に分類したことを示す図であって、使用時期別の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。
【図7】端末の各状態別に実際の使用時間によるバッテリの電力消費量を測定して平均的なバッテリ電力消費速度を算出する方法を示す図である。
【図8】図7で完全に充電されたバッテリを音声通話だけで消費する時の予想使用可能時間 を測定して、その分布を確率密度関数f(t/S2)で示す図である。
【図9】完全に充電されたバッテリを音声通話又は待機状態で消費する時の使用可能時間 及び をそれぞれ測定して、その分布を確率密度関数f(t/S2)及びf(t/S0)で示す図である。
【図10】端末におけるバッテリの電力消耗が異常な状態と正常な状態を信頼度区間を用いて定義する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付する図面を参照して本発明の動作原理を詳細に説明する。下記で本発明を説明するにおいて公知の機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にするおそれがあると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義されたものであって、これはユーザ、運用者の意図又は慣例などによって変わり得る。従って、その定義は本明細書全般にわたる内容に基づいて下されるべきである。
【0032】
図1は、バッテリの実際の使用時間と予想使用可能時間との比較を通じて移動通信端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを検出する原理を説明する概念図である。移動通信端末が音声通話とデータ通信だけのためのものであると仮定すれば、端末が存在し得る各動作状態(例えば、待機状態、音声通話状態、データ通信状態)を定義することができ、動作状態別バッテリの電力消費量及び使用時間に対する分析が可能である。
【0033】
この場合、実際使用した時間140は、待機状態での待機時間112、音声通話状態での音声通話時間114、データ通信状態でのデータ通信時間116の和172で表すことができる。そして、実際のバッテリ容量120をバッテリ電力消費速度130で割れば174、現在のバッテリ残量での予想使用可能時間150を算出できる。ここで、バッテリ電力消費速度130は、複数の端末の平均バッテリ電力消費速度132、端末とバッテリ種類別の平均バッテリ電力消費速度134、ユーザの使用パターン別の平均バッテリ電力消費速度及び最近使用したバッテリ電力消費速度を含むことができる。
【0034】
実際の使用時間140及び予想使用可能時間150を比較して(176)、両時間の差が特定の誤差範囲以上になれば、バッテリの漏洩など異常なバッテリ電力の消耗が発生したことを検出できる(160)。
【0035】
図2は、本発明によって移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置の構造を示すブロック図である。移動通信端末200、202、204は、それぞれ外部知識情報格納所240とネットワークを介して連結される。外部知識情報格納所240は、移動通信端末200、202、204から各端末のバッテリ電力消費速度に関する情報の伝達を受けて端末全体の平均バッテリ電力消費速度を算出して格納し、各端末200、202、204からバッテリ電力消費速度の伝達を受ける度に格納された端末全体の平均バッテリ電力消費速度を更新する。更に、外部知識情報格納所240で各端末のバッテリ電力消費速度は端末とバッテリの種類、ユーザの使用パターン、使用時期の3つのグループ別に分類されてグループ別の平均バッテリ電力消費速度が算出され得る。
【0036】
移動通信端末200、202、204のそれぞれは、知識管理部210、バッテリ監視者220、センサ232、アクチュエータ234、端末資源230、そして内部知識情報格納所250を含む。
【0037】
端末資源230は、端末200のハードウェア及びソフトウェアを示し、バッテリをはじめとして映像のディスプレイのためのディスプレイ部、音響の出力のためのスピーカ、端末で振動を起こす振動モータなどを含む。
【0038】
センサ232は、端末資源230、例えば、バッテリの電力消費量及び端末の使用時間(例えば、音声通話時間、データ通信時間、待機時間など)を測定してバッテリ資源に関する時系列データを生成し、生成された時系列データをバッテリ監視者220に伝達する。
【0039】
知識管理部210は、外部知識情報格納所240から平均バッテリ電力消費速度の伝達を受けてバッテリ監視者220と内部知識情報格納所250に伝達する。
【0040】
内部知識情報格納所250は、外部知識情報格納所240から提供される端末全体の平均バッテリ電力消費速度又は端末200のバッテリ電力消費速度を格納できる。
【0041】
バッテリ監視者220は、センサ232から測定されるバッテリ資源に関する時系列データを収集し分析して、バッテリの予想使用時間を算出し、異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する一連の過程を行う。
【0042】
このようなバッテリ監視者220は、収集器222、分析器224、計画器226、実行器228を含むが、これらの動作はバッテリ監視者220により行われるデータ処理手順を示す図3を参照して説明する。
【0043】
収集器222は、センサ232を通じて端末資源230に連結されて各動作状態(例えば、待機状態、音声通話状態、データ通信状態)での該当端末200のバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを収集する機能を行う。
【0044】
分析器224は、収集器222から伝達を受けた時系列データに基づいて該当端末200のバッテリ電力消費速度、使用パターン及び実際の使用時間などを算出して知識管理部210に伝達し、実際の使用時間はまた計画器226にも伝達する。
【0045】
知識管理部210は、平均バッテリ電力消費速度を受けて計画器226に伝達する。また、知識管理部210は、分析器224からバッテリ電力消費速度、使用パターン及び実際の使用時間を伝達されれば、これを外部知識情報格納所240又は内部知識情報格納所250に伝達して外部知識情報格納所240又は内部知識情報格納所250がそれぞれ電力消費速度又は平均電力消費速度を更新できるようにする。
【0046】
計画器226は、外部知識情報格納所240から伝達される平均バッテリ電力消費速度に基づいて端末200のバッテリの予想使用可能時間を算出し、算出された予想使用可能時間と分析器224から伝達を受けた実際の使用時間とを比較して、端末200の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する。
【0047】
実行器228は、計画器226から異常なバッテリ電力の消耗があるか否かに関する判断結果の伝達を受けてこれをアクチュエータ234を通じてユーザに報告する。アクチュエータ234は、異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに映像で通知するディスプレイ駆動部、音響で通知するスピーカ駆動部又は、振動で通知する振動モータ駆動部を含むこともできる。
【0048】
図4は、端末での可能な状態を定義する状態図である。本実施形態においては、移動通信端末が音声通話及びデータ通信にのみ用いられ、状態は互いに独立して存在すると仮定して以下の状態を定義した。一般に、端末の状態は大きくオフ状態400及びオン状態401の2種類があり、オン状態401はまた待機状態402、データ通信状態403、音声通話状態404の3つの状態に定義され得る。
【0049】
初期段階で、端末200は電源がオンされる前にオフ状態400にあり、ユーザが端末の電源を入れれば、オン状態401に遷移する。オン状態401の初期状態は待機状態402であり、これをS0という。待機状態S0(402)で音声又はデータ通信の開始を待ちながら、ユーザがデータ通信を始めると、データ通信状態403に遷移するが、この状態をS1という。ユーザがデータ通信を終了すれば、再び待機状態S0(402)に遷移するようになる。待機状態S0(402)で電話通話を始めると、音声通話状態404に遷移し、この状態をS2という。音声通話状態S2(404)でユーザが電話通話を終了すれば、再び待機状態S0(402)に遷移する。そして、ユーザが端末の電源を切ると、オン状態401からオフ状態400に遷移する。
【0050】
上述したオフ状態400及びオン状態401、そしてS0〜S2の全ての状態は現在の移動通信端末を考慮すれば、相互排他的な、即ち、互いに共存しない関係として独立して存在する。
【0051】
図5は、各状態でのバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データに基づいてバッテリ電力消費速度を算出する方法を示す図である。
【0052】
該当端末の実際のバッテリ容量を知っている状態で、バッテリが完全に消耗するまで実際の端末を用いた時間を測定して、線形予測法を適用すれば、バッテリ電力消費速度を得ることができる。一方、幾つかの基準によって各端末のバッテリ電力消費速度に関するデータを1つ以上のグループに分類して、グループ別の平均バッテリ電力消費速度を計算できる。例えば、端末及びバッテリの種類が同じ場合とユーザが同じ場合のグループ別の平均バッテリ電力消費速度を別途に求めることができる。同様に、使用時期別に一定期間以内のデータを分類して最近の平均バッテリ電力消費速度に対しても別途に計算できる。
【0053】
図6A〜図6Dは、図5のバッテリ電力消費速度をグループ別に分類したことを示す図である。
【0054】
図6Aは、端末全体の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。R_totalは端末全体の平均バッテリ電力消費速度であり、端末とバッテリの種類、ユーザ、使用時期を問わず全てのデータに対する全体平均を示す。
【0055】
図6Bは、端末及びバッテリ別の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。R_type1、R_type2、R_type3はそれぞれ端末の種類及びバッテリの種類に応じて異なる値を格納している。図6Bを参照すれば、R_type1がR_type2よりは更に長くバッテリを使用できることが分かる。
【0056】
図6Cは、ユーザ別の平均バッテリ電力消費速度を示す図である。R_userはユーザ別バッテリ電力消費速度を示すものであり、端末が待機状態、データ通信状態及び音声通話状態に位置する比率、即ち、各状態別の実際の使用時間の比率がユーザ毎に異なるという点でユーザの使用パターンが反映された重要な情報となる。
【0057】
図6Dは、使用時期別の平均バッテリ電力消費速度をそれぞれ示す図である。R_recentは各ユーザの最近のバッテリ電力消費速度を示す。この情報を利用すれば、各ユーザの使用パターンが変化したり、各種移動通信の環境が変化する場合、最近の傾向を更に強く反映できる。
【0058】
簡単に言えば、当初端末に関する情報がない時は端末全体の平均バッテリ電力消費速度であるR_totalを参考にし、端末及びバッテリ情報が知られた場合、端末及びバッテリ種類別の平均バッテリ電力消費速度R_typeによる値を参考にし、その次に、ユーザパターンが把握された場合、ユーザに特化したR_userを参考にし、最終的には、最近のバッテリ電力消費速度であるR_recentまで参考にする階層的標準モデルを提示している。これに基づいて移動通信端末に更に柔軟にバッテリ電力消費速度を適用して、より正確なバッテリの予想使用可能時間を求めることができる。
【0059】
図7は、端末の各状態別に実際の使用時間によるバッテリの電力消費量を測定して平均的なバッテリ電力消費速度を算出する方法を示す図である。収集器222は、端末のバッテリ電力消費量[mA]と音声通話時間[sec]、データ通信時間[sec]及び全体時間[sec]に関する時系列データを収集する。待機時間は、全体時間から音声通話時間とデータ通信時間を差し引くことで求めることができる。ここで、使用時間[sec]によるバッテリ消費量[mA]に関する時系列データは、図7の点線及び実線のようなグラフで示される。点線及び実線の傾きはバッテリ電力消費速度[mA/sec]の単位を有する。実線のうち、相対的に傾きが緩やかな部分はS0、即ち、待機状態402を、実線のうち、相対的に傾きが急峻な部分はS1、即ち、データ通信状態403を、点線部分はS2、即ち、音声通話状態404を示す。
【0060】
同じ状態でバッテリ電力消費速度は同一であると仮定すれば、特定状態の区間別使用時間及び区間別バッテリ電力消耗量を用いて端末が一定状態で変化なしに維持される時、全体バッテリをどのぐらい使用できるかに関する情報、即ち、状態別予想使用可能時間を求めることができる。図7を参照すれば、音声通話状態S2(404)の区間別使用時間[sec](t1,t2,t3)及び区間別バッテリ電力消耗量[mA](B1,B2,B3)が示されている。特定状態に該当する区間の部分和を利用すれば、全体バッテリを充電し、バッテリが消耗するまで特定状態を維持させる必要なく、状態別予想使用可能時間を下記のように線形近似で求めることができる。
【数1】
【0061】
ここで、tvは完全に充電されたバッテリを音声通話だけで消費する時の予想使用可能時間[sec]であり、BMAXは完全に充電された時のバッテリ容量[mA]であり、Bjはj番目の音声通話区間のバッテリ電力消耗量[mA]であり、tjはj番目の音声通話区間の通話時間[sec]を示す。
【0062】
図8は、図7で完全に充電されたバッテリを音声通話だけで消費する時の予想使用可能時間tvを測定して、その分布を確率密度関数f(t/S2)で示す図である。
【0063】
移動通信端末における待機状態S0、データ通信状態S1及び音声通話状態S2など各状態が端末のバッテリ電力の消費に直接的な影響を及ぼし、正常な状態でのバッテリ電力消費速度などの統計値と異常な状態でのバッテリ電力消費速度などの統計値と関連した学習モデルが与えられれば、移動通信端末での一定時間のこれらの値などの変化推移を定められた信頼度区間内で判断して異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを検出できる。
【0064】
検出段階は、以下の通りである。最初の段階では時系列データに基づいて正常状態の推移と異常状態でのバッテリ電力消費速度値の推移を決定する。ここで、各端末において正常及び異常状態でのバッテリ電力消費速度値の推移に関する一般的な情報は、端末の外部知識情報格納所の標本を参照できる。2番目の段階では、最初の段階での結果に基づいて得た統計データを用いて適当な測定時間及び臨界値を決定してシステムにおける待機状態S0、データ通信状態S1及び音声通話状態S2の各状態での診断を行う。最後の3番目の段階では、2番目の段階で得た各状態の結果のうち、1つでも異常な状態がある場合、異常なバッテリの電力消耗があると判断する。
【0065】
同じ移動通信端末とバッテリといっても、何らの電波妨害もなく、理想的な環境であれば、予想使用可能時間tvが最大tv maxだけ大きな値が出力され、様々な原因により異常なバッテリの電力消耗が発生すれば、最小tv minだけ小さな値が出力される。この分布はSi状態で完全に充電されたバッテリを完全に消耗するのにかかる時間の確率密度関数であるf(t/Si)で表すことができる。本実施形態においては、f(t/Si)がガウシアン分布に従うものと仮定したが、他の多様な分布でもモデリングできる。
【0066】
図9は、完全に充電されたバッテリを音声通話又は待機状態で消費する時の使用可能時間tv及び twをそれぞれ測定して、その分布を確率密度関数f(t/S2)及びf(t/S0)で示す図である。
【0067】
図9を参照すれば、tvの分布はf(t/S2)、twの分布はf(t/S0)で表すことができ、一般に、待機時間twが音声通話時間 よりも時間軸上で右側に分布し、更に広い範囲に分布することが分かる。上記各状態Siにおける予想使用可能時間に対する確率密度関数f(t/Si)を用いて各状態別期待値を下記のように求めることができる。
【数2】
【0068】
ここで、E[X/Si]は状態Siでの予想使用可能時間の期待値であり、f(t/Si)は状態Siでの予想使用可能時間に対する確率密度関数である。
【0069】
この期待値を下記のように判定して異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを検出できる。
【数3】
【0070】
ここで、ρiは状態Siでの異常なバッテリ電力の消耗があるか否かの検出結果であり、その値は0又は1であり、αiはSi状態で一定の測定時間にバッテリ電力消費量を測定した結果に基づいて完全に充電されたバッテリを消費する時の予想使用可能時間を予測した値であり、E[X/Si]は状態Siで完全に充電されたバッテリを消費する時の予想使用可能時間の期待値であり、δは異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを決定する臨界値であり、βは異常なバッテリ電力の消耗があるか否かの検出結果を提供する。
【0071】
図10は、端末におけるバッテリの電力消耗が異常な状態と正常な状態を信頼度区間を用いて定義する方法を示す図である。前記式3で異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する基準となることが臨界値δであるが、これは図10から分かるように、f(t/Si)の分布に基づいて信頼度区間を選定(95%信頼度区間、99%信頼度区間など)し、その境界となるtcrit値を基準として正常な状態1010と異常な状態1020を定義することができる。異常な状態はtcritよりも短い予想使用可能時間を有する区間、即ち、相対的にバッテリを多く消費する区間である。その境界となるtcrit値も静的に定められるものではなく、各端末ユーザの使用パターンに応じて動的に変わるため、ユーザの観点に合せて異常なバッテリの電力消耗を検出するように実現することもできる。
【0072】
以上のように本発明の理解のためにその実施形態を記述したが、当業者であれば分かるように、本発明は本明細書で記述された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範疇から逸脱しない範囲内で多様に変形、変更及び代替できる。従って、本発明の真の思想及び範疇に属するあらゆる変形及び変更を特許請求の範囲によって全て包括したい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信端末内バッテリの異常な電力消耗を検出する方法であって、
前記移動通信端末で前記バッテリの電力消費に影響を及ぼす1つ以上の動作状態を定義する段階と、
前記各動作状態で前記個別端末のバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを収集する段階と、
前記時系列データに基づいて前記個別端末のバッテリ電力消費速度、使用パターン及び実際の使用時間を算出する段階と、
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度に基づいて前記個別端末のバッテリの予想使用可能時間を算出する段階と、
前記算出された予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する段階と
を含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項2】
前記動作状態は、待機状態、音声通話状態及びデータ通信状態を含むことを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項3】
前記使用パターンは、前記個別端末の前記動作状態別の実際の使用時間の割合として定義されることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項4】
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度は、前記算出された個別端末のバッテリの電力消費速度に基づいて更新されることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項5】
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度は、分類されたグループ別の平均バッテリ電力消費速度を更に含むことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項6】
前記分類されたグループは、前記端末とバッテリの種類、使用パターン、及び使用時期を含む基準によって分類されることを特徴とする請求項5に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項7】
前記異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに報告する段階を更に含むことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項8】
前記報告は、映像、音響、又は振動のうちの1つ以上を含む手段からなることを特徴とする請求項7に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項9】
前記予想使用可能時間は、前記個別端末の実際のバッテリ容量を前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度で割ることで算出されることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項10】
前記予想使用可能時間は、前記端末の実際のバッテリ容量をバッテリ電力消費速度で割ることで算出され、
バッテリ電力消費速度は、前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度又は前記グループ別の平均バッテリ電力消費速度に基づいて獲得されることを特徴とする請求項5に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項11】
前記予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する段階は、
前記時系列データに基づいて異常なバッテリ電力の消耗がない場合及びある場合、各状態でバッテリ電力消費速度値の変化推移を診断する過程と、
前記変化推移に基づいて前記異常なバッテリ電力消耗の存否の判断に必要な測定時間及び臨界値を設定する過程と、
前記測定時間及び前記臨界値に基づいて前記各動作状態に対するバッテリの電力消耗に関する診断を行う過程と、
前記診断の結果、1つ以上の動作状態で異常なバッテリの電力消耗が検出される場合、これを前記端末の異常なバッテリ電力消耗検出として判断する過程と
を含むことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項12】
移動通信端末内バッテリの異常な電力消耗を検出する装置であって、
前記移動通信端末で前記バッテリの電力消費に影響を及ぼす1つ以上の動作状態で前記端末のバッテリの電力消費量及び実際の使用時間に関する時系列データを収集する収集器と、
前記時系列データに基づいて前記個別端末のバッテリ電力消費速度、使用パターン、及び実際の使用時間を算出する分析器と、
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度に関する情報に基づいて前記個別端末のバッテリの予想使用可能時間を算出し、前記予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する計画器と、
前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに報告する実行器と
を含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置。
【請求項13】
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度を格納する外部知識情報格納所を更に含み、
前記外部知識情報格納所に格納された前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度は算出された各端末のバッテリ電力消費速度に基づいて更新されることを特徴とする請求項12に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置。
【請求項14】
前記端末内部に位置し、前記外部知識情報格納所に格納された前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度の伝達を受けて格納する内部知識情報格納所を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置。
【請求項15】
前記バッテリと連結されて前記端末のバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを検知するセンサを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置。
【請求項16】
前記実行器と連結されて前記異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに通知するアクチュエータを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置。
【請求項17】
前記アクチュエータは、前記異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを前記ユーザに映像で通知するディスプレイ駆動部、音響で通知するスピーカ駆動部又は、振動で通知する振動モータ駆動部のうちの1つ以上を含むことを特徴とする請求項16に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置。
【請求項1】
移動通信端末内バッテリの異常な電力消耗を検出する方法であって、
前記移動通信端末で前記バッテリの電力消費に影響を及ぼす1つ以上の動作状態を定義する段階と、
前記各動作状態で前記個別端末のバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを収集する段階と、
前記時系列データに基づいて前記個別端末のバッテリ電力消費速度、使用パターン及び実際の使用時間を算出する段階と、
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度に基づいて前記個別端末のバッテリの予想使用可能時間を算出する段階と、
前記算出された予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する段階と
を含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項2】
前記動作状態は、待機状態、音声通話状態及びデータ通信状態を含むことを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項3】
前記使用パターンは、前記個別端末の前記動作状態別の実際の使用時間の割合として定義されることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項4】
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度は、前記算出された個別端末のバッテリの電力消費速度に基づいて更新されることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項5】
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度は、分類されたグループ別の平均バッテリ電力消費速度を更に含むことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項6】
前記分類されたグループは、前記端末とバッテリの種類、使用パターン、及び使用時期を含む基準によって分類されることを特徴とする請求項5に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項7】
前記異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに報告する段階を更に含むことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項8】
前記報告は、映像、音響、又は振動のうちの1つ以上を含む手段からなることを特徴とする請求項7に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項9】
前記予想使用可能時間は、前記個別端末の実際のバッテリ容量を前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度で割ることで算出されることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項10】
前記予想使用可能時間は、前記端末の実際のバッテリ容量をバッテリ電力消費速度で割ることで算出され、
バッテリ電力消費速度は、前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度又は前記グループ別の平均バッテリ電力消費速度に基づいて獲得されることを特徴とする請求項5に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項11】
前記予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する段階は、
前記時系列データに基づいて異常なバッテリ電力の消耗がない場合及びある場合、各状態でバッテリ電力消費速度値の変化推移を診断する過程と、
前記変化推移に基づいて前記異常なバッテリ電力消耗の存否の判断に必要な測定時間及び臨界値を設定する過程と、
前記測定時間及び前記臨界値に基づいて前記各動作状態に対するバッテリの電力消耗に関する診断を行う過程と、
前記診断の結果、1つ以上の動作状態で異常なバッテリの電力消耗が検出される場合、これを前記端末の異常なバッテリ電力消耗検出として判断する過程と
を含むことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出方法。
【請求項12】
移動通信端末内バッテリの異常な電力消耗を検出する装置であって、
前記移動通信端末で前記バッテリの電力消費に影響を及ぼす1つ以上の動作状態で前記端末のバッテリの電力消費量及び実際の使用時間に関する時系列データを収集する収集器と、
前記時系列データに基づいて前記個別端末のバッテリ電力消費速度、使用パターン、及び実際の使用時間を算出する分析器と、
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度に関する情報に基づいて前記個別端末のバッテリの予想使用可能時間を算出し、前記予想使用可能時間と前記実際の使用時間とを比較して、前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを判断する計画器と、
前記個別端末の異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに報告する実行器と
を含む移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置。
【請求項13】
前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度を格納する外部知識情報格納所を更に含み、
前記外部知識情報格納所に格納された前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度は算出された各端末のバッテリ電力消費速度に基づいて更新されることを特徴とする請求項12に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置。
【請求項14】
前記端末内部に位置し、前記外部知識情報格納所に格納された前記端末全体の平均バッテリ電力消費速度の伝達を受けて格納する内部知識情報格納所を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置。
【請求項15】
前記バッテリと連結されて前記端末のバッテリの電力消費量及び使用時間に関する時系列データを検知するセンサを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置。
【請求項16】
前記実行器と連結されて前記異常なバッテリ電力の消耗があるか否かをユーザに通知するアクチュエータを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置。
【請求項17】
前記アクチュエータは、前記異常なバッテリ電力の消耗があるか否かを前記ユーザに映像で通知するディスプレイ駆動部、音響で通知するスピーカ駆動部又は、振動で通知する振動モータ駆動部のうちの1つ以上を含むことを特徴とする請求項16に記載の移動通信端末の異常なバッテリ電力消耗検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−16802(P2010−16802A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118341(P2009−118341)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(505282042)ポステック・アカデミー‐インダストリー・ファウンデーション (34)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(505282042)ポステック・アカデミー‐インダストリー・ファウンデーション (34)
【Fターム(参考)】
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