説明

移動通信端末試験装置及びメッセージ表示方法

【課題】従来のものよりも視認性を高めてメッセージを表示することができる移動通信端末試験装置及びメッセージ表示方法を提供する。
【解決手段】移動通信端末試験装置1は、擬似基地局10、表示部22、表示制御部30を備え、表示制御部30は、擬似基地局10からのメッセージを解析することによりそのメッセージに含まれる種々の情報を取り出すメッセージ解析部31と、通信条件とタグとを関連付けた通信条件タグテーブルを記憶するテーブル記憶部32、メッセージ解析部31が解析した複数のメッセージのうち互いに関連性を有し時系列的に連続する一連のメッセージ群を通信条件タグテーブルに基づいて検出し、検出したメッセージ群ごとにタグを付加するタグ付加部33と、を備え、表示部22は、タグとこのタグに関連付けられたメッセージ群とを表示する構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話やモバイル端末等の移動通信端末を試験する移動通信端末試験装置及びメッセージ表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の通信端末を新たに開発した場合、この開発した通信端末が実際に使用される環境で正常に動作するか否かを試験する必要がある。しかしながら、この新規に開発された通信端末と既に稼働中の実際の基地局との間で各種の試験用の通信情報を送受信して、この新規に開発された通信端末が正常に動作するか否かを試験することは非常に困難である。
【0003】
そこで、新規に開発された通信端末を、実際の基地局の機能を有する擬似基地局に接続して、通信端末と擬似基地局との間で各種の通信情報を送受信して、新規に開発された通信端末が正常に動作するか否かの試験を実施する試験装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この試験装置は、試験対象の移動通信端末と擬似基地局との間で送受信される各種のメッセージを取得し、通信履歴を表すトレース情報として表示器に表示するトレース機能を有する。このトレース機能を利用して、通信情報の詳細な時系列的な複数のログ情報をトレース情報として表示出力することによって、試験対象の移動通信端末が正常に動作しなかった場合における異常の発生要因の究明が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−193314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、移動通信端末の通信規格として、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)や、これの次世代の通信規格としてLTE(Long Term Evolution)と呼ばれる通信規格が導入され、通信のさらなる高速化が図られている。このような状況下においては、擬似基地局が移動通信端末と送受信するメッセージの量や、単位時間当たりに処理する必要があるトレース情報の量が膨大になる。
【0006】
しかしながら、従来の試験装置では、試験用に送受信される膨大なメッセージを時系列的に表示するのみであるので、試験者にとって所望のメッセージを発見するのが難しく、視認性に乏しいという課題があった。
【0007】
本発明は、前述のような事情に鑑みてなされたものであり、従来のものよりも視認性を高めてメッセージを表示することができる移動通信端末試験装置及びメッセージ表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る移動通信端末試験装置は、移動通信端末(2)に対して送受信する複数のメッセージを取得して解析するメッセージ解析部(31)と、前記メッセージ解析部が解析した複数のメッセージのうち互いに関連性を有し時系列的に連続する一連のメッセージ群を検出し、検出したメッセージ群ごとにタグを関連付けて付加するタグ付加部(33)と、前記タグ付加部が付加したタグとこのタグに関連付けられたメッセージ群とを表示する表示部(22)と、を備えた構成を有している。
【0009】
この構成により、本発明の請求項1に係る移動通信端末試験装置は、一連のメッセージ群を検出し、検出したメッセージ群ごとにタグを付加して表示するので、従来のものよりも視認性を高めてメッセージを表示することができる。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る移動通信端末試験装置は、予め定められた通信条件と前記タグとを関連付けた通信条件タグテーブルを記憶するテーブル記憶部(32)をさらに備え、前記タグ付加部は、前記通信条件タグテーブルに基づいて前記メッセージ群を検出するとともに前記タグを付加するものである構成を有している。
【0011】
この構成により、本発明の請求項2に係る移動通信端末試験装置は、通信条件タグテーブルに基づいてメッセージ群を検出し、検出したメッセージ群ごとにタグを付加することができる。
【0012】
さらに、本発明の請求項3に係る移動通信端末試験装置は、複数のタグと前記複数のタグにそれぞれ関連付けられた複数のメッセージ群から所定のタグを検索するタグ検索部(36)をさらに備え、前記表示部は、前記タグ検索部が検索したタグとこのタグに関連付けられたメッセージ群とを表示するものである構成を有している。
【0013】
この構成により、本発明の請求項3に係る移動通信端末試験装置は、メッセージ群の中から検索対象のタグを検索して表示することができる。
【0014】
さらに、本発明の請求項4に係る移動通信端末試験装置は、前記表示部に表示された1つのメッセージを選択したことを示すカーソルを前記表示部に表示させるカーソル表示部(34a)と、前記表示部に表示された少なくとも1つのメッセージを前記表示部に識別表示させる識別表示制御部(34)と、をさらに備え、前記識別表示制御部は、前記カーソルで選択されたメッセージを含むメッセージ群と、前記カーソルで選択されたメッセージを含まないメッセージ群とを前記表示部に識別表示させるものである構成を有している。
【0015】
この構成により、本発明の請求項4に係る移動通信端末試験装置は、カーソルが当てられたメッセージ群とその他のメッセージ群とを試験者にわかりやすく識別表示することができる。
【0016】
さらに、本発明の請求項5に係る移動通信端末試験装置は、前記識別表示制御部は、前記複数のメッセージのうちエラーを示すエラーメッセージと、前記エラーメッセージとは異なるメッセージとを前記表示部に識別表示させるものである構成を有している。
【0017】
この構成により、本発明の請求項5に係る移動通信端末試験装置は、エラーメッセージを試験者にわかりやすく識別表示することができる。
【0018】
さらに、本発明の請求項6に係る移動通信端末試験装置は、前記エラーメッセージを検索するエラーメッセージ検索部(37)をさらに備え、前記表示部は、前記エラーメッセージ検索部が検索したエラーメッセージを識別表示するものである構成を有している。
【0019】
この構成により、本発明の請求項6に係る移動通信端末試験装置は、エラーメッセージを検出して表示することができる。
【0020】
本発明の請求項7に係るメッセージ表示方法は、移動通信端末(2)に対して送受信する複数のメッセージを取得して解析するメッセージ解析ステップ(S12)と、前記メッセージ解析ステップにおいて解析した複数のメッセージのうち互いに関連性を有する時系列的に連続する一連のメッセージ群を検出し、検出したメッセージ群ごとにタグを関連付けて付加するタグ付加ステップ(S14)と、前記タグ付加部が付加したタグとこのタグに関連付けられたメッセージ群とを表示する表示ステップ(S15)と、を含む構成を有している。
【0021】
この構成により、本発明の請求項7に係るメッセージ表示方法は、一連のメッセージ群を検出し、検出したメッセージ群ごとにタグを付加して表示するので、従来のものよりも視認性を高めてメッセージを表示することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、従来のものよりも視認性を高めてメッセージを表示することができるという効果を有する移動通信端末試験装置及びメッセージ表示方法を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る移動通信端末試験装置の一実施形態におけるブロック構成図である。
【図2】本発明に係る移動通信端末試験装置の一実施形態において、LTEの通信規格に基づいて擬似基地局が移動通信端末と通信した際に、タグ付加部が複数のタグを付加した後のトレース情報の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る移動通信端末試験装置の一実施形態において、通信条件タグテーブルの一例を示す図である。
【図4】本発明に係る移動通信端末試験装置の一実施形態において、メッセージ解析部が解析したメッセージの解析内容の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る移動通信端末試験装置の一実施形態において、タグ検索部の検索結果の画面例を示す図である。
【図6】本発明に係る移動通信端末試験装置の一実施形態において、エラーメッセージ検索部が検出したエラーメッセージを示す図である。
【図7】本発明に係る移動通信端末試験装置の一実施形態において、識別表示制御部がトレース情報を識別表示した一例を示す図である。
【図8】本発明に係る移動通信端末試験装置の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の移動通信端末試験装置を、LTEの通信規格に基づいて通信する移動通信端末の試験に適用した例を挙げて説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態における移動通信端末試験装置1は、移動通信端末2を試験するものであって、擬似基地局10、操作部21、表示部22、表示制御部30を備える。
【0026】
擬似基地局10は、送信部11、受信部12、結合器13、制御部14を備える。
【0027】
送信部11は、制御部14によって指定された周波数の搬送波を所定の変調方式により変調し、基地局信号として結合器13に出力するようになっている。この送信部11の動作は制御部14によって制御されるようになっている。
【0028】
受信部12は、被試験端末である移動通信端末2からの信号を結合器13経由で受信するようになっている。この受信部12の動作は制御部14によって制御されるようになっている。
【0029】
結合器13は、送信部11に接続された端子13a、受信部12に接続された端子13b、移動通信端末2に接続された端子13cを有する。この構成により、結合器13は、送信部11からの送信信号を端子13aで受けて端子13cから移動通信端末2に出力し、移動通信端末2が送信した信号を端子13cで受けて端子13bから受信部12に出力するようになっている。
【0030】
制御部14は、試験対象の移動通信端末2に対して実行する各試験の試験手順のデータを記憶する試験手順記憶部14aを備えている。この試験手順は、後述する操作部21を試験者が操作することにより設定される。制御部14は、試験手順に基づいて、送信部11、受信部12、結合器13の動作を制御し、送信部11及び受信部12が送受信したメッセージを表示制御部30に出力するようになっている。
【0031】
操作部21は、試験者が操作するものであり、例えば、試験条件や試験手順に関する設定や、メッセージの識別表示、カーソル操作に関する設定等を行うための設定画面を表示するディスプレイ、キーボード、ダイヤル又はマウスのような入力デバイス、これらを制御する制御回路等で構成される。
【0032】
表示部22は、例えば、液晶ディスプレイで構成され、表示制御部30の制御に従って、メッセージや測定データ等を表示するようになっている。
【0033】
表示制御部30は、メッセージ解析部31、テーブル記憶部32、タグ付加部33、識別表示制御部34、メッセージ記憶部35、タグ検索部36、エラーメッセージ(エラーMSG)検索部37を備える。
【0034】
メッセージ解析部31は、制御部14からのメッセージを解析することによりそのメッセージに含まれる種々の情報を取り出すようになっている。
【0035】
テーブル記憶部32は、予め定められた通信条件と予め定められたタグ(名札)とを関連付けた通信条件タグテーブル(詳細は後述)を記憶するようになっている。
【0036】
タグ付加部33は、メッセージ解析部31が解析した複数のメッセージのうち互いに関連性を有し時系列的に連続する一連のメッセージ群を検出し、検出したメッセージ群ごとにタグを付加するようになっている(詳細は後述)。
【0037】
識別表示制御部34は、操作部21において設定されたメッセージの識別表示の条件に従って、タグが付加されたメッセージ群を時系列的に表示部22に表示する表示制御を行うようになっている。その結果、移動通信端末2と擬似基地局10との間で送受信される各種のメッセージが、通信シーケンス順に並べられたトレース情報として表示部22に表示される。また、識別表示制御部34は、操作部21の操作内容に応じて、少なくとも1つのメッセージにカーソルを当てて表示部22に表示するカーソル表示部34aを備えている。
【0038】
メッセージ記憶部35は、識別表示制御部34が表示部22に表示するトレース情報を、タグとメッセージ群とを関連付けた状態で記憶するようになっている。
【0039】
タグ検索部36は、操作部21で指定されたタグを、メッセージ記憶部35に記憶されたデータから検索するようになっている。
【0040】
エラーメッセージ検索部37は、操作部21で指定されたエラーメッセージを、メッセージ記憶部35に記憶されたデータから検索するようになっている。
【0041】
次に、トレース情報の一例を挙げ、タグ付加部33の機能について説明する。
【0042】
図2は、LTEの通信規格に基づいて擬似基地局10が移動通信端末2と通信した際に、タグ付加部33が複数のタグを付加した後のトレース情報の一例を示している。図2において、最上段に記載の「U−S」欄のうち、「U」は移動通信端末2を、「S」は擬似基地局10を表している。「Message(メッセージ)」欄には、移動通信端末2と擬似基地局10との間において送受されたメッセージが記載されている。「Description(説明)」欄には、メッセージの説明が記載されている。「U−S」の欄に記載された矢印の向きは、メッセージが送出された方向を示している。例えば、右向きの矢印は、移動通信端末2から擬似基地局10に向かう方向(上り方向)に送出されたメッセージである。なお、「U−S」欄の左側に記載した数字は、説明のために付した行番号である。この行番号が大きいほど新しいメッセージである。
【0043】
まず、タグについて説明する。図2に示したトレース情報において、4行目に記載された「Setup」、7行目に記載された「Registration」、25行目に記載された「NW Origination」、30行目に記載された「Setup」、37行目に記載された「Reconfigurationo」、40行目に記載された「NW Release」は、それぞれ、本発明に係るタグに相当するものである。なお、「NW」は「Net Work」の略語である。
【0044】
これらのタグは、タグ付加部33が、テーブル記憶部32に記憶された通信条件タグテーブルを参照して付加するものである。通信条件タグテーブルの一例を図3に示す。図3に示すように、通信条件タグテーブルは、通信条件とタグとが予め関連付けられたものである。タグ付加部33は、メッセージ解析部31によって解析された情報に、図3に示した通信条件が含まれていた場合、その通信条件に関連するメッセージ群の先頭に、該当するタグを付加する。
【0045】
例えば、図3において、1行目に示した「RRCConnectionRequest」というメッセージを擬似基地局10が受信したことがメッセージ解析部31によって解析された場合、タグ付加部33は、これに関連するメッセージ群の先頭に「Setup」というタグを付加する。なお、「RRC」は「Radio Resource Control」の略語である。
【0046】
さらに、別の例を挙げて具体的に説明する。図2において、6行目に示した「RRCConnectionSetupComplete」というメッセージをメッセージ解析部31が受信したとする。メッセージをメッセージ解析部31が、このメッセージを解析したところ、図4(a)に示すように、「dedicatedInfoNAS」という情報が含まれ、さらにこの情報には図4(b)に示すように、「Attach request」という情報が含まれていたとする。この場合、タグ付加部33は、通信条件タグテーブルを参照し、「Registration」というタグを挿入する処理を行う。なお、「NAS」は「Non−Access Stratum」の略語である。
【0047】
すなわち、タグ付加部33は、6行目に示した「RRCConnectionSetupComplete」というメッセージの後に、「Registration」というタグを挿入する。そして、タグ付加部33は、この挿入処理を行ってから、以降のメッセージを順次確認して、通信条件タグテーブルに記載された通信条件が出現するまでのメッセージを同一のメッセージ群として扱う。図2においては、8行目に示した「DLInformationTransfer」というメッセージから、24行目に示した「RRCConnectionRelease」というメッセージまでが1つのメッセージ群として「Registration」というタグが付加されている。
【0048】
タグが付加されたメッセージ群のデータは、トレース情報としてメッセージ記憶部35に記憶される。メッセージ記憶部35に記憶されたデータは、タグ検索部36及びエラーメッセージ検索部37によって所定の処理が行われる。
【0049】
まず、タグ検索部36の機能について説明する。メッセージ記憶部35に記憶されたトレース情報には、膨大なタグ及びメッセージ群を含む。タグ検索部36は、膨大なタグのなかから、試験者が指定したタグを検索する機能を有している。
【0050】
例えば、試験者が、操作部21を操作して、検索対象のタグを「NW Origination」と指定した場合、タグ検索部36は該当するタグをメッセージ記憶部35のデータから検索し、識別表示制御部34は例えば図5に示すような検索結果の画面を表示部22に表示させる。図5は「NW Origination」というタグにカーソルが当てられている状態を示したものである。試験者がさらに検索ボタン(図示せず)を押すと、検索ボタンを押すごとに別の「NW Origination」というタグにカーソルがジャンプする(図示せず)。その結果、試験者は、膨大なタグの中から検索対象のタグを容易に見つけることができる。
【0051】
また、タグ検索部36は、複数のタグ間を、タグが付加された順序の方向又はその逆方向にジャンプする機能を有する。例えば、図5において、「NW Origination」というタグにカーソルが当てられているとき、この機能を使用すると、図中の矢印に示すように、「Setup」→「Reconfigration」→「NW Release」とカーソルが移動していく。その結果、試験者は、例えば、メッセージ群の内容を確認しながら、タグを検索していくことができる。
【0052】
次に、エラーメッセージ検索部37の機能について説明する。メッセージ記憶部35に記憶されたトレース情報には、エラーメッセージが含まれる場合がある。エラーメッセージ検索部37は、膨大なトレース情報の中から、エラーメッセージを検索する機能を有している。
【0053】
例えば、試験者が、操作部21を操作して、所定のエラーメッセージを指定した場合、エラーメッセージ検索部37は、メッセージ記憶部35に記憶されたトレース情報の中から、指定されたメッセージを検索する。例えば、「AUTHENTICATION FAILURE」というエラーメッセージを検索した場合、図6に示すように、カーソルが当てられた状態で表示部22に表示される。その結果、試験者は、エラーメッセージの内容やエラーが発生した箇所を容易に確認することができる。
【0054】
次に、識別表示制御部34の機能について説明する。識別表示制御部34は、表示部22に表示されるメッセージを、操作部21において設定された識別表示の条件に従って識別表示するものである。例えば、識別表示制御部34は、タグ検索部36が検索したタグの文字を点滅させたり、エラーメッセージ検索部37が検索したエラーメッセージの文字を赤色で表示したりすることを行うことができる。
【0055】
また、識別表示制御部34は、カーソルが当てられたメッセージを含むメッセージ群を、他のメッセージ群とは異なる表示形式で識別表示することもできる。例えば、識別表示制御部34は、図7に示すように識別表示することもできる。図7において、「Setup」というタグが付加されたメッセージ群の中の「RRCConnectionSetupComplete」というメッセージにカーソルが当てられている。この場合、識別表示制御部34は、「Setup」というタグが付加されたメッセージ群をハイライト表示することにより、その他のメッセージ群よりも顕著に表示させることもできる。
【0056】
次に、本実施形態における移動通信端末試験装置1の動作について図8を用いて説明する。なお、擬似基地局10は、試験手順記憶部14aに記憶された試験手順に従って、移動通信端末2と通信しているものとする。
【0057】
まず、メッセージ解析部31は、制御部14からメッセージを取得し(ステップS11)、メッセージを解析する(ステップS12)。
【0058】
次に、タグ付加部33は、取得したメッセージが、直前に受信したメッセージが属するメッセージ群とは異なるメッセージ群(以下「新メッセージ群」という。)に属するものであるか否かを判断する(ステップS13)。
【0059】
ここで、取得したメッセージが、擬似基地局10が移動通信端末2に向けて送信したものである場合は、タグ付加部33は、新メッセージ群に該当するか否かは容易に判断できる。一方、取得したメッセージが、移動通信端末2が擬似基地局10に向けて送信したものである場合は、タグ付加部33は、例えば、図2〜4を用いて説明したように、通信条件タグテーブルを参照し、取得したメッセージが新メッセージ群に該当するか否かを判断することができる。なお、取得したメッセージが擬似基地局10からの最初のメッセージである場合は、タグ付加部33は、取得したメッセージが新メッセージ群に属すると判断し、通信条件タグテーブルを参照して所定のタグを付加する。
【0060】
ステップS13において、取得したメッセージが新メッセージ群に該当しない場合は、ステップS11に戻り、メッセージ解析部31が新たなメッセージを取得する。
【0061】
一方、ステップS13において、取得したメッセージが新メッセージ群に該当する場合は、タグ付加部33が通信条件タグテーブルを参照してタグを付加する(ステップS14)。
【0062】
次に、識別表示制御部34は、タグ及びメッセージ群を表示部22に表示させる表示制御処理を行って、表示部22はタグ及びメッセージ群を表示する(ステップS15)。
【0063】
また、識別表示制御部34は、タグ及びメッセージ群をメッセージ記憶部35に記憶する(ステップS16)。
【0064】
そして、メッセージ解析部31は、新たなメッセージを入力するか否かを判断し(ステップS17)、新たなメッセージを入力する場合はステップS11に戻り、新たなメッセージを入力しない場合は処理を終了する。
【0065】
以上のように、本実施形態における移動通信端末試験装置1によれば、タグ付加部33が互いに関連性のある一連のメッセージ群を検出し、検出したメッセージ群ごとにタグを付加するので、従来のものよりも視認性を高めてメッセージを表示することができる。
【0066】
なお、前述の実施形態において、本発明に係る移動通信端末試験装置が、LTEの通信規格に基づいて通信する移動通信端末を試験する例を挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、LTE以外の通信規格に基づいて通信する移動通信端末に対しても、同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明に係る移動通信端末試験装置及びメッセージ表示方法は、従来のものよりも視認性を高めてメッセージを表示することができるという効果を有し、携帯電話やモバイル端末等の移動通信端末を試験する移動通信端末試験装置及びメッセージ表示方法等として有用である。
【符号の説明】
【0068】
1 移動通信端末試験装置
2 移動通信端末
10 擬似基地局
11 送信部
12 受信部
13 結合器
13a 端子
13b 端子
13c 端子
14 制御部
14a 試験手順記憶部
21 操作部
22 表示部
30 表示制御部
31 メッセージ解析部
32 テーブル記憶部
33 タグ付加部
34 識別表示制御部
34a カーソル表示部
35 メッセージ記憶部
36 タグ検索部
37 エラーメッセージ検索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信端末(2)に対して送受信する複数のメッセージを取得して解析するメッセージ解析部(31)と、
前記メッセージ解析部が解析した複数のメッセージのうち互いに関連性を有し時系列的に連続する一連のメッセージ群を検出し、検出したメッセージ群ごとにタグを関連付けて付加するタグ付加部(33)と、
前記タグ付加部が付加したタグとこのタグに関連付けられたメッセージ群とを表示する表示部(22)と、を備えたことを特徴とする移動通信端末試験装置。
【請求項2】
予め定められた通信条件と前記タグとを関連付けた通信条件タグテーブルを記憶するテーブル記憶部(32)をさらに備え、
前記タグ付加部は、前記通信条件タグテーブルに基づいて前記メッセージ群を検出するとともに前記タグを付加するものであることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末試験装置。
【請求項3】
複数のタグと前記複数のタグにそれぞれ関連付けられた複数のメッセージ群から所定のタグを検索するタグ検索部(36)をさらに備え、
前記表示部は、前記タグ検索部が検索したタグとこのタグに関連付けられたメッセージ群とを表示するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動通信端末試験装置。
【請求項4】
前記表示部に表示された1つのメッセージを選択したことを示すカーソルを前記表示部に表示させるカーソル表示部(34a)と、
前記表示部に表示された少なくとも1つのメッセージを前記表示部に識別表示させる識別表示制御部(34)と、をさらに備え、
前記識別表示制御部は、前記カーソルで選択されたメッセージを含むメッセージ群と、前記カーソルで選択されたメッセージを含まないメッセージ群とを前記表示部に識別表示させるものであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の移動通信端末試験装置。
【請求項5】
前記識別表示制御部は、前記複数のメッセージのうちエラーを示すエラーメッセージと、前記エラーメッセージとは異なるメッセージとを前記表示部に識別表示させるものであることを特徴とする請求項4に記載の移動通信端末試験装置。
【請求項6】
前記エラーメッセージを検索するエラーメッセージ検索部(37)をさらに備え、
前記表示部は、前記エラーメッセージ検索部が検索したエラーメッセージを識別表示するものであることを特徴とする請求項5に記載の移動通信端末試験装置。
【請求項7】
移動通信端末(2)に対して送受信する複数のメッセージを取得して解析するメッセージ解析ステップ(S12)と、
前記メッセージ解析ステップにおいて解析した複数のメッセージのうち互いに関連性を有する時系列的に連続する一連のメッセージ群を検出し、検出したメッセージ群ごとにタグを関連付けて付加するタグ付加ステップ(S14)と、
前記タグ付加部が付加したタグとこのタグに関連付けられたメッセージ群とを表示する表示ステップ(S15)と、を含むことを特徴とするメッセージ表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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