説明

移動通信装置

【課題】予め定められた移動通信装置の位置を容易に探索し、表示する。
【解決手段】移動通信装置の位置探索要求部は、位置を探索する移動通信装置を識別する情報を入力し(ステップS102)、その入力された情報によって識別される移動通信装置の位置の探索を待ち受け基地局に要求する(ステップS104)。この要求に対して送信された探索結果を受信して(ステップS105)、記憶させる(ステップS106)。ここで、探索結果は、自装置が位置するセルと、位置を探索する移動通信装置が位置するセルとの距離の指標である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信装置に係り、特に、自装置以外の移動通信装置の位置を探索する処理に関する。
【背景技術】
【0002】
待ち合わせの際、待ち合わせに参加している人の位置を知ることが望まれることがある。具体的には、その人が待ち合わせ場所の近くにいるか否かを知るためである。ここで、待ち合わせとは、待ち合わせた後でいずれかへ行くことを必ずしも意味しない。複数の人が会合などに出席することを予定しており、会合への出席を予定している者が会合の行なわれる場所に出向くことも意味する。
【0003】
待ち合わせている人の位置を知った後、その人へ連絡を取ることが望まれることがある。例えば、その人が待ち合わせ場所の近くにいない場合、待ち合わせ場所への到着予定時刻を尋ねるためである。また、その人が待ち合わせ場所の近くにいて、かつ、その人の姿が見えない場合、待ち合わせ場所の認識に誤解があるか否かを確かめるためである。
【0004】
近年、多くの人が移動通信装置を所持している。そこで、人の位置を知るため、移動通信装置の位置を探索する処理が知られている。例えば、移動通信装置1は、移動通信装置2を識別する情報をサービスセンターに送信して、その情報によって識別される移動通信装置2の位置を要求する。サービスセンターは、上記移動通信装置2の位置を、例えば移動通信装置2に含まれるGPS方式による測位部によって測位し、移動通信装置2は要求元の移動通信装置1の近くに位置するか否かを要求元の移動通信装置1に通知する(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、ブルートゥース(Bluetooth、登録商標)方式による通信を行う移動通信装置は、その移動通信装置1とブルートゥース(R)通信方式による接続がされた移動通信装置2は、その移動通信装置1の近くに位置すると判断して、移動通信装置2は近くに位置する旨を表示する(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−116169号公報(第2頁、図6)
【特許文献2】特開2004−328092号公報(第2−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている方法では、移動通信装置の位置を比較的正確に探索することができるものの、サービスセンターを含む大規模なシステムを必要とし、その結果、多くの費用が発生する問題点があった。また、位置探索を要求する移動通信装置1と、サービスセンターとの間の通信のみならず、サービスセンターと位置探索をされる移動通信装置2との間の通信が必要になる問題点があった。更に、位置探索をされる移動通信装置2は、GPS方式による測位機能を備えていることが必要である問題点があった。
【0007】
また、上述した特許文献2に開示されている方法では、たまたまブルートゥース通信方式による接続がされた移動通信装置は、その接続がされたときには近くに位置すると探索されるものの、参加予定者が所持する移動通信装置の位置を探索することによって、参加予定者の出席状況、即ち、誰が出席しているか、誰がまだ出席していないかを知ることができない問題点があった。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、予め定められた移動通信装置の位置を容易に探索し、表示する移動通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の移動通信装置は、待ち受け基地局と通信するセルラ方式の移動通信装置であって、表示手段と、被探索移動通信装置の位置探索を前記待ち受け基地局へ要求し、その要求に応じて前記待ち受け基地局から送信された前記被探索移動通信装置が位置するセルと、前記待ち受け基地局が設置されたセルとの間の距離の指標を受信する位置探索手段と、前記被探索移動通信装置を識別する情報を、前記位置探索手段によって受信された前記距離の指標を識別可能に前記表示手段に表示させる位置表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、予め定められた移動通信装置の位置を容易に探索し、表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明による移動通信装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る移動通信装置を含む位置探索システムの構成の概要を示す図である。この位置探索システムは、セルラ方式の移動通信システムに適用され、この位置探索システムには、第1の移動通信装置MS1と、第2の移動通信装置MS2と、…、第mの移動通信装置MSmとが含まれる。
【0013】
また、この位置探索システムには、更に、第1の基地局BS1と、第2の基地局BS2と、…、第nの基地局BSnとが含まれる。ここで、この移動通信システムのサービスエリアは、六角形のセルに分割され、1つのセルに1つの基地局が設置されている。なお、ここでのセルは、六角形であり、2つのセルが重なる地域はないとみなして説明する。なお、地域の地形などの影響により、セルの境界付近では、セルの重なりが生じることは周知の通りであり、それによって以下の実施形態に支障が生じることはない。
【0014】
セルラ方式の移動通信システムにおいて、移動通信装置は、あるセルに位置している際、そのセルに設置された基地局を待ち受け基地局として選択する。そして、移動通信装置は、待ち受け中は、待ち受け基地局との間の無線通信リンクを確立し、間欠受信を行なって、待ち受け基地局から送られる着信情報を受信して、自移動通信装置あての着信の有無を検出する。
【0015】
そして、自移動通信装置あての着信が検出された場合、及び、自移動通信装置から発呼した場合、移動通信装置は、待ち受け基地局との間で通話チャネルを確立して、通信を行なう。
【0016】
ここで、移動通信装置は、複数の基地局から送信された電波を受信し、その受信したそれぞれの電波の品質を測定し、最も高い品質の電波を受信すると、その高い品質の電波を送信した基地局を待ち受け基地局として選択する。ここで、電波の品質は、電波の強度や信号対雑音電力比などによって測定する。
【0017】
そのため、移動通信装置が位置している場所の周囲の地形や、その場所の周囲の建物の存在など、電波の伝播に影響を与えるものの存在によって、移動通信装置の待ち受け基地局は、必ずしもその移動通信装置が位置しているセルに設置された基地局と限るものではない。しかし、以後、移動通信装置は、待ち受け基地局が設置されたセルに位置しているとみなす。また、あるセルに位置している移動通信装置は、そのセルに設置された基地局を待ち受け基地局としているとみなす。
【0018】
ここで、第1の移動通信装置MS1と、…、第mの移動通信装置MSmとは、全て同じ構成であり同じ動作をする。また、第1の基地局BS1と、…、第nの基地局BSnとは、全て同じ構成であり同じ動作をする。
【0019】
そこで、説明を簡明にするため、以後、第1の基地局BS1を待ち受け基地局とする第1の移動通信装置MS1が第iの移動通信装置MSi(ここで、iは2以上かつm以下の自然数。2≦i≦m。以後、iが取り得る値の範囲の説明を省略する。)の位置を探索する場合を例として、第1の移動通信装置MS1の構成及び動作と、第1の基地局BS1の構成及び動作とを説明する。
【0020】
ここで、第iの移動通信装置MSiは、第jの基地局BSj(ここで、jは1以上かつn以下の自然数。1≦j≦n。以後、jが取り得る値の範囲の説明を省略する。)の中の1つを待ち受け基地局とし、又は、移動通信システムの圏外に位置する、即ち、全ての第jの基地局BSjが待ち受け基地局ではない。
【0021】
なお、図1は、第1の基地局BS1が設置されたセルを中心に、そのセルに隣接して、そのセルの1周外のセルとして第2〜第7の基地局BS2〜BS7が設置されたセルが設けられている例を示す。更に、第2〜第7の基地局BS2〜BS7が設置されたセルに隣接して、第1の基地局BS1が設置されたセルの2周外のセルとして、第8〜第19の基地局BS8〜BS19が設置されたセルが設けられている例を示す。第8〜第19の基地局BS8〜BS19が設置されたセルに隣接して、第1の基地局BS1が設置されたセルの3周以上外のセルは、図示を省略している。
【0022】
このように、1周外のセルとは、直接に隣接しているセルである。2周外のセルとは、1つのセルを介して隣接しているセルである。以下、同様に、p周外のセルとは、p−1のセルを介して隣接しているセルであって、p−2以下のセルを介して隣接してはいないセルである(pは、3以上の整数。p≦3。)。
【0023】
要するに、所定数の周の外のセルとは、そのセルへ至る、最少のセルの個数によって示されるセル間の遠近を示す距離である。セルの形状が規則的でない場合などにおいても、少なくともセル間の遠近である距離を示す指標である。
【0024】
なお、以後、隣接するセルに設置された基地局を、簡明に隣接する基地局と称する。即ち、第1の基地局BS1と、第2〜第7の基地局BS2〜BS7のそれぞれとは隣接している。また、第8〜第19の基地局BS8〜BS19は、第1の基地局BS1に隣接する第2〜第7の基地局BS2〜BS7の中のいずれかと隣接している。ここで、隣接する基地局と隣接する基地局は、隣接する基地局を含まない。
【0025】
図1を参照して具体的に説明すると、第1の基地局BS1と、第2の基地局BS2とは隣接している。また、第2の基地局BS2と、第3の基地局BS3とは隣接している。しかしながら、第1の基地局BS1は、第3の基地局BS3を、隣接する基地局(第2の基地局BS2。)と隣接する基地局とはみなさない。なぜなら、第1の基地局BS1と、第3の基地局BS3とは、隣接しているからである。
【0026】
また、図1は、第1の移動通信装置MS1が第1の基地局BS1を待ち受け基地局とし、第2の移動通信装置MS2が第6の基地局BS6を待ち受け基地局とし、第3の移動通信装置MS3が第7の基地局BS7を待ち受け基地局とし、第4の移動通信装置MS4が第9の基地局BS9を待ち受け基地局とし、第5の移動通信装置MS5が第11の基地局BS11を待ち受け基地局とし、更に、第6の移動通信装置MS6が第15の基地局BS15を待ち受け基地局としている例を示す。第kの移動通信装置MSk(ここで、kは7以上、かつ、m以下の整数。7≦k≦m。)と、第kの基地局BSk(ここで、kは、20以上、かつ、n以下の整数。20≦k≦n。)は、図示を省略している。
【0027】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る第1の移動通信装置MS1の構成を示すブロック図である。この第1の移動通信装置MS1は、通話通信を含む通信を移動通信網(図示せず)を介して行う装置であり、装置全体の制御を行う制御部11と、第1の基地局BS1との間で電波の送受信を行うアンテナ12aと、移動網通信部12bと、移動網送受信部13と、通話用のスピーカ14aと、通話用のマイクロフォン14bと、通話部14cと、表示部15と、入力装置16と、位置探索要求部21と、探索装置情報記憶部22と、探索装置位置表示部23とを備える。探索装置情報記憶部22には、探索装置情報22aが記憶される。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る第1の基地局BS1の構成を示すブロック図である。この第1の基地局BS1は、装置全体の制御を行う制御部31と、第1の移動通信装置MS1を含む移動通信装置との間で電波の送受信を行うアンテナ32aと、移動網通信部32bと、移動網送受信部33と、固定網(図示せず)を介して移動通信制御局(図示せず)と通信する固定網送受信部34と、在圏移動通信装置情報記憶部35と、位置探索部41と、探索装置情報記憶部42とからなる。在圏移動通信装置情報記憶部35には、在圏移動通信装置情報35aが記憶される。探索装置情報記憶部42には、探索装置情報42aが記憶される。
【0029】
上記のように構成された、本発明の第1の実施形態に係る第1の移動通信装置MS1及び第1の基地局BS1の各部の動作を、図2及び図3を参照して説明する。
【0030】
まず、第1の移動通信装置MS1の各部の動作を説明する。制御部11は、装置全体の制御を行う。制御部11による制御動作の1つは、ハンドオーバ及びセル再選択である。即ち、制御部11は、待ち受け基地局(この場合、第1の基地局BS1。)を識別する情報を記憶し、待ち受け基地局から送信された電波が移動網通信部12bによって受信された際の電波の質、例えば、その電波の強度と、その電波の信号対雑音電力比とを監視する。
【0031】
そして、その監視された電波の質が所定の値以下となった場合、制御部11は、待ち受け基地局に要求して、その待ち受け基地局に隣接する基地局を識別する情報を得る。そして、制御部11は、その得られた情報によって識別される基地局から送信された電波が移動網通信部12bによって受信された際の電波の質を得る。
【0032】
その電波の質が待ち受け基地局から送信された電波の質を超える場合、制御部11は、受信された際に最高の質である電波を送信した基地局へハンドオーバ又はセル再選択をして、その基地局を待ち受け基地局とする。
【0033】
移動網通信部12bは、アンテナ12aが受信した高周波信号を移動網送受信部13へ出力し、また、移動網送受信部13から出力される高周波信号をアンテナ12aより送信する。
【0034】
移動網送受信部13は、移動網通信部12bからの高周波信号を増幅、周波数変換及び復調し、それによって得られたディジタル音声信号を通話部14cへ、得られた制御信号を制御部11へ、得られた第iの移動通信装置MSiの位置に係わる信号を位置探索要求部21へ送る。更には、移動網送受信部13は、通話部14cから出力されるディジタル音声信号と、制御部11から出力される制御信号と、位置探索要求部21から出力される第iの移動通信装置MSiの位置に係わる信号とを変調、周波数変換及び増幅し、高周波信号を得て、それを移動網通信部12bに送る。
【0035】
通話部14cは、移動網送受信部13から出力されるディジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、それを増幅してスピーカ14aに送る。また、マイクロフォン14bから出力されるアナログ音声信号を増幅し、それをディジタル音声信号に変換して移動網送受信部13に送信する。
【0036】
表示部15は、バックライト付きのLCD(Liquid Crystal Display)であり、制御部11に制御されることで、カーソルを含む文字・数字を含む画像データの表示動作を行い、表示されているデータは、入力装置16からの入力操作や着信信号の受信に応答して制御部11からの指示を受けることで切換わる。また、所定の時間に渡って入力装置16からの入力操作や着信信号の受信がない場合、表示部15は、制御部11に制御されて表示を終了する。
【0037】
入力装置16は、主に通信相手の電話番号などを指定し、また、トグル式の入力方式によってひらがな文字、アルファベット文字及び記号文字を入力するためのダイヤルキーと、機能の選択や、選択された機能の確定を指示するために用いられる機能キーとからなる。機能キーは、それぞれ上、下、左、及び、右方向を向かう矢印に類似した画像が表示された上、下、左、及び、右方向へカーソルを移動させる指示を入力するためのカーソル移動キーを含む。
【0038】
入力装置16のキーが操作、例えば押下されると、そのキーの識別子が制御部11に通知され、制御部11の制御に基づいて、制御部11及びその識別子が通知された装置内の各部の処理により、表示部15に文字として表示されたり、キーの操作及び解放に基づく制御が行われたりする。
【0039】
位置探索要求部21は、入力装置16の所定のキー操作に従って指定された、位置を探索する1台又は複数台の第iの移動通信装置MSiを識別する情報を探索装置情報22aとして探索装置情報記憶部22に記憶させると共に、移動網送受信部13を介して第1の移動通信装置MS1の待ち受け基地局、即ち、第1の基地局BS1に送信して、上記第iの移動通信装置MSiの位置の探索を要求する。
【0040】
また、位置探索要求部21は、上記要求に対して、第1の基地局BS1から送信された上記1台又は複数台の第iの移動通信装置MSiの位置を移動網送受信部13を介して受信して、探索装置情報22aとして探索装置情報記憶部22に記憶させる。
【0041】
探索装置位置表示部23は、探索装置情報22aとして探索装置情報記憶部22に記憶された、1台又は複数台の第iの移動通信装置MSiを識別する情報及び位置を参照し、それらの識別する情報及び位置を表示部15に表示させる。また、表示された識別する情報の中の1つが入力装置16の所定の操作に従って選択されると、その選択された情報によって識別される第iの移動通信装置MSiへの発呼制御を制御部11に行なわせる。
【0042】
次に、第1の基地局BS1の各部の動作を説明する。制御部31は、第1の基地局BS1全体の制御を行う。制御部31による制御動作の1つは、第1の基地局BS1を待ち受け基地局とする移動通信装置を識別する情報を在圏移動通信装置情報35aとして在圏移動通信装置情報記憶部35に記憶させ、その情報で記憶される移動通信装置と、移動通信制御局との間の通信を中継する。
【0043】
また、制御部31は、第1の基地局BS1を待ち受け基地局とする移動通信装置からの要求に従って、その移動通信装置を第1の基地局BS1以外の基地局へハンドオーバ、又は、セル再選択させ、即ち、第1の基地局BS1以外の基地局を待ち受け基地局とさせ、その移動通信装置を識別する情報を在圏移動通信装置情報35aから削除させる。
【0044】
更に、制御部31は、第1の基地局BS1以外の基地局を待ち受け基地局とする移動通信装置からの要求に従って、その装置を第1の基地局BS1へハンドオーバ、又は、セル再選択させ、即ち、第1の基地局BS1を待ち受け基地局とさせ、その移動通信装置を識別する情報を在圏移動通信装置情報35aに追加記憶させる。このハンドオーバ及びセル再選択の動作のため、制御部31は、第1の基地局BS1に隣接する基地局を識別する情報を記憶する。
【0045】
移動網通信部32bは、アンテナ32aが受信した高周波信号を移動網送受信部33へ出力し、また、移動網送受信部33から出力される高周波信号をアンテナ32aより送信する。
【0046】
移動網送受信部33は、移動網通信部32bからの高周波信号を増幅、周波数変換及び復調し、それによって得られたディジタル音声信号を固定網送受信部34へ、制御信号を制御部31へ、得られた第iの移動通信装置MSiの位置に係わる信号を位置探索部41へ送る。
【0047】
更には、移動網送受信部33は、固定網送受信部34から出力されるディジタル音声信号と、制御部31から出力される制御信号と、位置探索部41から出力される第iの移動通信装置MSiの位置に係わる信号とを変調、周波数変換及び増幅し、高周波信号を得て、それを移動網通信部32bに送る。
【0048】
固定網送受信部34は、移動網送受信部33から出力されるディジタル音声信号を移動通信制御局に送る。また、移動通信制御局から出力されるディジタル音声信号を移動網送受信部33に送る。
【0049】
位置探索部41は、第1の移動通信装置MS1から送信され、移動網送受信部33を介して受信された1台又は複数台の第iの移動通信装置MSiを識別する情報を受信し、その情報を探索装置情報42aとして探索装置情報記憶部42に記憶させる。そして、その情報によって識別される第iの移動通信装置MSiのそれぞれに対し、その装置が位置するセルに関する情報、例えば、そのセルを識別する情報を探索して、探索された情報を探索装置情報42aとして探索装置情報記憶部42に記憶させると共に、その探索された情報を、移動網送受信部33を介して第1の移動通信装置MS1に送信する。
【0050】
以下、第1の実施形態に係る移動通信装置を含む位置探索システムにおける、予め定められた移動通信装置の位置を容易に探索し、表示する処理を説明する。
【0051】
図4は、探索装置情報記憶部22に記憶される探索装置情報22aの構成の一例を示す。この探索装置情報22aは、探索装置識別情報22bと、探索装置所持者22cと、探索装置距離22dと、探索装置方角22eとが関連付けられた情報からなる。そして、1組の関連付けられた情報が第iの移動通信装置MSiの位置に係わる情報であり、探索装置識別情報22bは、第iの移動通信装置MSiを一意に識別する情報である。この例では、探索装置識別情報22bは、電話番号であるとしたが、これに限るものではない。
【0052】
探索装置所持者22cは、探索装置識別情報22bによって一意に識別される第iの移動通信装置MSiを識別する情報であって、この例では、第iの移動通信装置MSiの所持者の名前である。なお、必ずしも所持者の名前である必要はなく、所有者の名前であっても良く、所有する組織の名前であっても良い。更には、第iの移動通信装置MSiを識別する任意の文字列であっても良い。
【0053】
探索装置距離22dは、探索装置識別情報22bによって識別される第iの移動通信装置MSiの位置と、自装置、即ち、第1の移動通信装置MS1との間の距離を、第iの移動通信装置MSiが位置するセルと、第1の移動通信装置MS1が位置するセルとの遠近の程度を指標として用いて示す。
【0054】
即ち、探索装置識別情報22bによって識別される第iの移動通信装置MSiと、第1の移動通信装置MS1とが同じ基地局を待ち受け基地局としている場合、探索装置距離22dには「同じセル」との情報が記憶される。第iの移動通信装置MSiの待ち受け基地局と、第1の移動通信装置MS1の待ち受け基地局とが隣接する場合、探索装置距離22dには「1周外のセル」との情報が記憶される。
【0055】
更に、第iの移動通信装置MSiの待ち受け基地局と、第1の移動通信装置MS1の待ち受け基地局とは、それら2つの基地局以外の1つの基地局に隣接する場合、探索装置距離22dには「2周外のセル」との情報が記憶される。更に、第iの移動通信装置MSiの待ち受け基地局は、上記以外の基地局である場合、第iの移動通信装置MSiの待ち受け基地局が不明である場合、及び、第iの移動通信装置MSiはいずれの基地局も待ち受け基地局としていない場合、探索装置距離22dには「遠距離」との情報が記憶される。
【0056】
セルの大きさは、移動通信網の設計によって決定され、単位面積あたりに位置すると予想される移動通信装置の数などによって異なる大きさであるが、探索装置距離22dが「同じセル」である場合、探索装置識別情報22bによって識別される第iの移動通信装置MSiは、第1の移動通信装置MS1の近くにある。
【0057】
また、探索装置距離22dが「1周外のセル」である場合、やや近くにある。また、探索装置距離22dが「2周外のセル」である場合、やや遠くにある。また、探索装置距離22dが「遠距離」である場合、遠くにある、又は、上記第iの移動通信装置MSiの位置は不明である。
【0058】
探索装置方角22eは、探索装置識別情報22bによって識別される第iの移動通信装置MSiの待ち受け基地局が設置されたセルは、自装置、即ち、第1の移動通信装置MS1の待ち受け基地局が設置されたセルからいずれの方角にあるかを示し、「北」、「南」、「東」、「西」、「北東」、「北西」、「南東」及び「南西」の中のいずれかである。なお、探索装置距離22dが「同じセル」である場合、及び、探索装置距離22dが「遠距離」である場合、探索装置方角22eは、値を持たない。
【0059】
この例では、探索装置方角22eは、8つの方角の中のいずれかであるとしたが、これに限るものではない。更に細分化し、16の方角の中のいずれかとしても良く、また、例えば、北を0度とし、時計回り又は反時計回りに359度までの値であるとしても良い。
【0060】
なお、図4では、探索装置識別情報22bと、探索装置所持者22cと、探索装置距離22dと、探索装置方角22eとが連続して記憶され、かつ、関連付けられた情報が連続して記憶されるように図示したが、これは理解を容易にするためであって、これに限るものではない。離散されて記憶されても良い。また、探索装置識別情報22bと、探索装置所持者22cとの関連付けは、アドレス帳(図示せず)に記憶され、探索装置所持者22cは、探索装置情報22aに含まれないとしても良い。
【0061】
図5は、在圏移動通信装置情報記憶部35に記憶される在圏移動通信装置情報35aの構成の一例を示す。この在圏移動通信装置情報35aは、在圏移動通信装置識別情報35bからなる。そして、1つの在圏移動通信装置識別情報35bが、第1の基地局BS1を待ち受け基地局とする第iの移動通信装置MSiを一意に識別する情報であり、既に説明した探索装置識別情報22bと同じ情報(電話番号)である。
【0062】
図6は、探索装置情報記憶部42に記憶される探索装置情報42aの構成の一例を示す。この探索装置情報42aは、探索装置識別情報42bと、探索装置位置42cと、探索装置距離42dと、探索装置方角42eとが関連付けられた情報からなる。そして、1組の関連付けられた情報が第iの移動通信装置MSiの位置に係わる情報であり、探索装置識別情報22bは、第iの移動通信装置MSiを一意に識別する情報であり、既に説明した探索装置識別情報22bと同じ情報(電話番号)である。
【0063】
探索装置位置42cは、探索装置識別情報42bによって識別される第iの移動通信装置MSiの待ち受け基地局を一意に識別する情報である。なお、その待ち受け基地局が不明である場合、探索装置距離42dは、「−」との情報である。探索装置距離42dは、探索装置識別情報42bによって識別される第iの移動通信装置MSiが位置するセルと、自装置、即ち、第1の基地局BS1が設置されたセルとの遠近の程度を示し、既に説明した探索装置距離22dと同じ情報である。
【0064】
探索装置方角42eは、探索装置識別情報42bによって識別される第iの移動通信装置MSiの待ち受け基地局が設置されたセルは、第1の移動通信装置MS1の待ち受け基地局が設置されたセルからいずれの方角にあるかを示し、探索装置方角22eと同じ情報である。
【0065】
なお、図6では、探索装置識別情報42bと、探索装置位置42cと、探索装置距離42dと、探索装置方角42eとが連続して記憶され、かつ、関連付けられた情報が連続して記憶されるように図示したが、これは理解を容易にするためであって、これに限るものではない。離散されて記憶されても良い。
【0066】
次に、第1の移動通信装置MS1及び第1の基地局BS1の各部による、予め定められた移動通信装置の位置を容易に探索し、表示する処理を説明する。
【0067】
図7は、第1の移動通信装置MS1の位置探索要求部21が移動通信装置を定め、探索された、その移動通信装置の位置を記憶させる動作のフローチャートを示す。位置探索要求部21は、入力装置16の所定のキー操作によって動作を開始する(ステップS101)。そして、入力装置16の所定のキー操作によって、位置を探索する1台又は複数台の移動通信装置を識別する情報を入力する(ステップS102)。
【0068】
ここで、入力される情報は、その移動通信装置の電話番号と、所持者の名前とであるが、電話番号が必須である。また、入力にあたり。これらの一方を入力し、他方は、入力された一方を検索キーにアドレス帳を検索することによって得ても良い。また、アドレス帳に記憶された情報の中の、例えば名前を一覧表示し、一覧表示された中から選択された名前を選択することによって入力に代えても良い。なお、名前が選択された場合、選択された名前と関連付けられてアドレス帳に記憶された電話番号が入力されたとみなす。
【0069】
位置探索要求部21は、入力された電話番号を探索装置識別情報22bに、入力された所持者の名前を探索装置所持者22cに、探索装置距離22dに無値(情報が記憶されないこと。)を、更に、探索装置方角22eに無値を設定した探索装置情報22aを、探索装置情報記憶部22に記憶させる(ステップS103)。なお、移動通信装置の所持者の名前が入力されない場合、探索装置所持者22cに無値を設定する。
【0070】
次に、位置探索要求部21は、探索装置情報22aによって識別される移動通信装置の位置の探索要求を、移動網送受信部13を介して自装置の待ち受け基地局、即ち、第1の基地局BS1に送る。この際、探索装置情報22aの探索装置識別情報22bをパラメータとして与える(ステップS104)。
【0071】
位置探索要求部21は、自装置の待ち受け基地局、即ち、第1の基地局BS1から送信され、移動網送受信部13を介して受信された、この要求に対応する探索結果を受信する(ステップS105)。この探索結果は、パラメータとして与えた探索装置情報22aの探索装置識別情報22b毎に、2つの情報からなる。
【0072】
第1の情報は、その探索装置情報22aの探索装置識別情報22bによって識別される第iの移動通信装置MSiの位置と、自装置、即ち、第1の移動通信装置MS1との間の距離であって、第iの移動通信装置MSiの待ち受け基地局が設置されたセルと、第1の移動通信装置MS1の待ち受け基地局が設置されたセルとの遠近の程度によって示すものである。第2の情報は、その第iの移動通信装置MSiの待ち受け基地局が設置されたセルが、第1の移動通信装置MS1の待ち受け基地局が設置されたセルからみていずれの方角にあるかを示すものである。
【0073】
位置探索要求部21は、受信された探索結果の第1の情報を、パラメータとして与えた探索装置識別情報22bに対応する探索装置距離22dに設定し、第2の情報を、対応する探索装置方角22eに設定し、探索結果が設定された探索装置情報22aを探索装置情報記憶部22に更新記憶させて(ステップS106)、移動通信装置を定め、探索された、その移動通信装置の位置を記憶させる動作を終了する(ステップS107)。
【0074】
なお、探索装置情報22aが更新記憶される度に、又は、ステップS104で第1の基地局BS1に送った位置の探索要求に対する結果が得られる度に、位置探索要求部21は、その更新を制御部11に通知する。探索装置情報22aを参照している処理部へ、探索装置情報22aの更新を通知し、最新の探索装置情報22aの参照を促すためである。
【0075】
なお、以上説明した、位置探索要求部21の動作の中で、ステップS102及びステップS103の動作は、位置を探索する移動通信装置を定める動作である。一方、ステップS104〜ステップS106の動作は、定められた移動通信装置の位置を探索させる動作である。そこで、この2つの動作は、前者が先に、後者が後に行なわれる必要があるものの、連続した時刻に行なわれる必要はなく、2つの動作が行われる間に時間の隔たりがあっても良い。その時間の隔たりは、長時間であっても良い。
【0076】
また、位置探索要求部21のステップS102及びステップS103の動作、即ち、位置を探索する移動通信装置を定める動作は、繰り返し行われることによって、定められた移動通信装置の更新が行われても良い。更新の一例は、既に待ち合わせ場所に到着した人の所持する移動通信装置に係わる情報を削除することである。また、更新の別の一例は、待ち合わせに不参加であることが新たに判明した人の所持する移動通信装置に係わる情報を削除することである。
【0077】
また、位置探索要求部21のステップS104〜ステップS106の動作、即ち、定められた移動通信装置の位置を探索する動作は、入力装置16の所定のキー操作に従って行われても良い。また、入力装置16のキー操作なしに繰り返し行われても良い。
【0078】
繰り返し行なわれる間隔は、移動通信装置があるセルから、そのセルに隣接するセルへ移動する平均時間をめどに、その時間の数分の1の時間が適切である。間隔が余りに短いと、探索の結果が変化することが少なく、無意味な処理が多くなる。間隔が余りに長いと、移動通信装置があるセルから、そのセルに隣接しないセルへ移動することがあり、移動通信装置の移動の把握が不充分になる可能性が高い。
【0079】
しかし、この間隔は、装置の使用者の意思によって変えることが適切な場合がある。例えば、待ち合わせ時刻が迫っている場合、装置の使用者は、その間隔を短くして、探索の結果の変化を知ることが適切である。そこで、上記間隔は、入力装置16の所定のキー操作によって変更される。
【0080】
また、位置探索要求部21は、全ての探索装置情報22aに係わる移動通信装置の位置探索を要求することなく、所定の条件を満たす探索装置情報22aに係わる移動通信装置の位置探索を要求するとしても良い。位置探索を要求しないことは、要求しない探索装置情報22aの探索装置識別情報22bを自装置の待ち受け基地局、即ち、第1の基地局BS1に送らないことによって、容易に可能である。
【0081】
位置探索を要求しない一例は、探索装置距離22dが「同じセル」である探索装置情報22aに係わる移動通信装置の位置探索を要求しないことである。また、入力装置16の所定のキー操作によって指定された探索装置情報22aに係わる移動通信装置の位置探索を要求しないことである。指定されたか否かは、探索装置情報22aに記憶されるとする。
【0082】
全ての探索装置情報22aに係わる移動通信装置の位置探索を要求しないことによって、例えば、既に待ち合わせ場所に到着した人が所持する移動通信装置の位置探索を要求せず、また、待ち合わせに不参加である人が所持する移動通信装置の位置探索を要求しないことによる消費電力の削減が得られる。
【0083】
図8は、第1の移動通信装置MS1の探索装置位置表示部23が予め定められた移動通信装置の位置を表示する動作のフローチャートを示す。探索装置位置表示部23は、入力装置16の所定のキー操作によって動作を開始する(ステップS201)。そして、探索装置所持者22cと、探索装置距離22dと、探索装置方角22eとが関連付けられた情報を探索装置情報記憶部22から読み出して(ステップS202)、読み出された情報を表示部15に表示させる(ステップS203)。
【0084】
図9は、ステップS203で表示部15に行われる表示の一例を示す。この一例では、探索装置距離22dによって探索装置所持者22cを分類した上で、表示部15に探索装置情報表示15aが表示されている。探索装置情報表示15aは、最も上に、探索装置距離22dが「同じセル」である探索装置所持者22cを「近い」なる標題の下に列挙した表示を含み、その下に、探索装置距離22dが「1周外のセル」である探索装置所持者22cを「やや近い」なる標題の下に列挙した表示を含む。
【0085】
更に、探索装置情報表示15aは、その次に、探索装置距離22dが「2周外のセル」である探索装置所持者22cを「やや遠い」なる標題の下に列挙した表示を含み、最も下に、探索装置距離22dが「遠距離」である探索装置所持者22cを「遠いか、位置不明」なる標題の下に列挙した表示を含む。ここで、探索装置所持者22cに加えて、又は、代えて、探索装置識別情報22bを表示しても良い。
【0086】
これらの表示の全体が表示部15の表示画面の大きさを超える場合、探索装置位置表示部23は、入力装置16のカーソル移動キーの操作に基づいて表示をスクロールさせる。
【0087】
図10は、ステップS203で表示部15に行われる表示の別の一例を示す。この一例では、探索装置距離22dによって探索装置所持者22cを分類した上で、表示部15に探索装置情報表示15aが表示されている。探索装置情報表示15aは、3つの同心円の表示を含み、最も小さい円の中に探索装置距離22dが「同じセル」である探索装置所持者22cの表示を含み、最も小さい円の外であって、中間の大きさの円の内側に探索装置距離22dが「1周外のセル」である探索装置所持者22cの表示を含む。
【0088】
更に、探索装置情報表示15aは、中間の大きさの円の外であって、最も大きい円の内側に探索装置距離22dが「2周外のセル」である探索装置所持者22cの表示を含み、最も大きい円の外側の所定の位置に探索装置距離22dが「遠距離」である探索装置所持者22cの表示を含む。ここで、探索装置所持者22cに加えて、又は、代えて、探索装置識別情報22bを表示しても良い。
【0089】
ここで、探索装置距離22dが「1周外のセル」である探索装置所持者22cの表示と、探索装置距離22dが「2周外のセル」である探索装置所持者22cの表示とに際し、探索装置所持者22cを表示する表示画面上の位置は、探索装置方角22eによって決定される。即ち、探索装置所持者22cである「E」の表示位置で例示するように、探索装置方角22eが「北」であれば、同心円の中心の上に表示される。
【0090】
また、探索装置所持者22cである「B」の表示位置で例示するように、探索装置方角22eが「南」であれば、同心円の中心の下に表示される。更に、探索装置方角22eが「東」であれば、同心円の中心の右に表示され、探索装置方角22eが「西」であれば、同心円の中心の左に表示される。
【0091】
また、探索装置所持者22cである「D」の表示位置で例示するように、探索装置方角22eが「北東」であれば、同心円の中心の右上に表示される。探索装置所持者22cである「C」の表示位置で例示するように、探索装置方角22eが「南東」であれば、同心円の中心の右下に表示される。
【0092】
更に、探索装置方角22eが「北西」であれば、同心円の中心の左上に表示される。探索装置所持者22cである「F」の表示位置で例示するように、探索装置方角22eが「南西」であれば、同心円の中心の左下に表示される。
【0093】
以上の図10を参照した説明で、同心円の表示は、必須ではない。同心円の中心が識別可能であれば、表示はなくても良い。また、同心円で囲まれる輪形の図形を識別可能に表示する、例えば、異なる色で表示しても良い。要するに、探索装置所持者22cを表示し、その表示位置は、その探索装置所持者22cに関連付けられた探索装置距離22dと、探索装置方角22eとを識別可能な位置であれば良い。
【0094】
これらの表示の全体が表示部15の表示画面の大きさを超える場合、探索装置位置表示部23は、入力装置16のカーソル移動キーの操作に基づいて表示をスクロールさせる。
【0095】
なお、以上説明した表示部15に行われる表示の2つの例では、探索装置情報記憶部22から探索装置所持者22cを読み出して表示するとした。しかし、探索装置所持者22cとして値が記憶されていない場合、探索装置位置表示部23は、探索装置所持者22cに代えて、探索装置識別情報22bを読み出して、表示する。
【0096】
図8に示すフローチャートを参照した、探索装置位置表示部23が予め定められた移動通信装置の位置を表示する動作の説明に戻る。探索装置位置表示部23は、入力装置16のカーソル移動キーの操作に従って、探索装置情報表示15a中の探索装置所持者22cの1つを選択して、その選択された探索装置所持者22cにカーソルを置き、他の探索装置所持者22cと異なる表示、例えば、異なる色での表示、異なる背景色での表示、点滅表示などをさせる。
【0097】
図9に示す探索装置情報表示15a及び図10に示す探索装置情報表示15aで、探索装置所持者22cである「G」にカーソルが置かれたことを、表示「G」にハッチンングを施すことによって示す。そして、探索装置位置表示部23は、入力装置16の所定のキー操作によって発呼の指示がされたか否かを判断する(ステップS204)。
【0098】
発呼指示がされない場合、探索装置位置表示部23は、ステップS204の探索装置所持者22cにカーソルを置き、発呼の指示がされたか否かを判断する動作を続ける。一方、発呼の指示がされた場合、制御部11に指示して発呼させる(ステップS205)。ここで、発呼先は、カーソルが置かれた探索装置所持者22cと関連付けられて探索装置情報22aに含まれる探索装置識別情報22bである。
【0099】
発呼させた場合、その呼が接続され通話の後、又は、その発呼に対して呼が接続されず、入力装置16の所定のキー操作によって発呼処理が終了された後、探索装置位置表示部23は、ステップS202の探索装置所持者22cと、探索装置距離22dと、探索装置方角22eとが関連付けられた情報を探索装置情報記憶部22から読み出す動作に移る。なぜなら、発呼中又は通話中に、表示部15には、ステップS203で行われた表示に代えて、制御部11によって、それぞれに対応する表示がされるからである。
【0100】
探索装置位置表示部23は、探索装置情報22aが更新される度に、ステップS202の探索装置所持者22cと、探索装置距離22dと、探索装置方角22eとが関連付けられた情報を探索装置情報記憶部22から読み出す動作に移っても良い(図示せず)。ここで、更新されたことは、位置探索要求部21の動作に起因して、制御部11から通知される。また、探索装置位置表示部23は、所定の時間間隔で、又は、入力装置16の所定のキー操作に従って、ステップS202の情報を読み出す動作に移っても良い。
【0101】
探索装置位置表示部23は、任意の動作ステップで、入力装置16の所定のキー操作に従って、予め定められた移動通信装置の位置を表示する動作を終了する(図示せず)。なお、ステップS205で、発呼中又は通話中においては、発呼又は通話の終了の後に限って、探索装置位置表示部23は、動作を終了しても良い。
【0102】
図11は、第1の基地局BS1の位置探索部41が与えられたパラメータによって識別される移動通信装置の待ち受け基地局が設置されたセルを探索する動作のフローチャートを示す。位置探索部41は、第1の移動通信装置MS1から送信された、移動通信装置を識別する情報をパラメータとして与えられた位置探索要求を受信して動作を開始し、与えられた移動通信装置を識別する情報を探索装置識別情報42bに設定して探索装置情報42aを更新記憶させる。この更新記憶の際、探索装置位置42c、探索装置距離42d及び探索装置方角42eには、無値を設定する(ステップS301)。
【0103】
まず、位置探索部41は、探索装置識別情報42bによって識別される全ての移動通信装置の中で、自基地局、即ち、第1の基地局BS1を待ち受け基地局としている移動通信装置について、探索装置位置42cに自基地局を示すために「第1の基地局」、探索装置距離42dに「同じセル」、そして、探索装置方角42eに「−」を設定して、探索装置情報42aを更新記憶させる(ステップS302)。ここで、自基地局を待ち受け基地局としている移動通信装置は、在圏移動通信装置情報35aを参照する。
【0104】
続いて、位置探索部41は、探索装置識別情報42bによって識別される全ての移動通信装置について、待ち受け基地局が設置されたセルが記憶されたか、即ち、探索装置位置42cに基地局を識別する情報が設定されたか否かを判断する(ステップS303)。全ての移動通信装置について記憶された場合、探索装置情報42aの、探索装置識別情報42bと、探索装置距離42dと、探索装置方角42eとの組を第1の移動通信装置MS1へ回答として送信して、与えられたパラメータによって識別される移動通信装置の待ち受け基地局が設置されたセルを探索する動作を終了する(ステップS304)。
【0105】
一方、ステップS303で、少なくとも1台の移動通信装置について記憶されていない場合、位置探索部41は、探索装置位置42cに基地局を識別する情報が設定されていない移動通信装置について、自基地局に隣接する基地局を待ち受け基地局としているか否かの探索を、移動通信制御局を介して自基地局に隣接する基地局に要求する。
【0106】
そして、その要求に対して、待ち受け基地局としている旨の回答があった移動通信装置について、探索装置位置42cに、待ち受け基地局としている旨の回答を送信した基地局を識別する情報、探索装置距離42dに「1周外のセル」、そして、探索装置方角42eに、自基地局から、待ち受け基地局としている旨の回答を送信した基地局への方角を設定して、探索装置情報42aを更新記憶させる(ステップS305)。ここで、自基地局に隣接する基地局と、その基地局への方角とは、制御部31が記憶している情報を参照する。
【0107】
続いて、位置探索部41は、探索装置識別情報42bによって識別される全ての移動通信装置について、待ち受け基地局が設置されたセルが記憶されたか否かを判断する(ステップS306)。全ての移動通信装置について記憶された場合、第1の移動通信装置MS1へ回答を送信して、与えられたパラメータによって識別される移動通信装置の待ち受け基地局が設置されたセルを探索する動作を終了する(ステップS304)。ここで、ステップS306の動作は、ステップS303の動作と同一である。
【0108】
一方、ステップS306で、少なくとも1台の移動通信装置について記憶されていない場合、位置探索部41は、探索装置位置42cに基地局を識別する情報が設定されていない移動通信装置について、自基地局に隣接する基地局に隣接する基地局に、その基地局を待ち受け基地局としているか否かの探索を、移動通信制御局を介して要求する。
【0109】
そして、その要求に対して、待ち受け基地局としている旨の回答があった移動通信装置について、位置探索部41は、探索装置位置42cに、待ち受け基地局としている旨の回答を送信した基地局を識別する情報、探索装置距離42dに「2周外のセル」、そして、探索装置方角42eに、自基地局から、待ち受け基地局としている旨の回答を送信した基地局への方角を設定して、探索装置情報42aを更新記憶させる(ステップS307)。
【0110】
ここで、自基地局に隣接する基地局に隣接する基地局は、自基地局に隣接する基地局に、その基地局に隣接する基地局を識別する情報の送信を要求することによって得られる。なお、この要求に対する回答に含まれる基地局の中から、位置探索部41は、自基地局、即ち、第1の基地局BS1、及び、自基地局に隣接する基地局を除いて、自基地局に隣接する基地局に隣接する基地局とする。
【0111】
また、待ち受け基地局としている旨の回答を送信した基地局への第1の基地局BS1からの方角は、制御部31が記憶する、第1の基地局BS1から、第1の基地局BS1に隣接する基地局への方角と、第1の基地局BS1に隣接する基地局の制御部が記憶するその基地局から待ち受け基地局としている旨の回答を送信した基地局への方角とによって得られる。
【0112】
続いて、位置探索部41は、探索装置識別情報42bによって識別される全ての移動通信装置について、待ち受け基地局が設置されたセルが記憶されたか否かを判断する(ステップS308)。全ての移動通信装置について記憶された場合、第1の移動通信装置MS1へ回答を送信して、与えられたパラメータによって識別される移動通信装置の待ち受け基地局が設置されたセルを探索する動作を終了する(ステップS304)。ここで、ステップS308の動作は、ステップS303の動作と同一である。
【0113】
一方、ステップS308で、記憶されていない移動通信装置がある場合、位置探索部41は、その移動通信装置について、待ち受け基地局が不明であるので、探索装置位置42cに「−」、探索装置距離42dに「遠距離」、そして、探索装置方角42eに「−」を設定して、探索装置情報42aを更新記憶させて(ステップS309)、第1の移動通信装置MS1へ回答を送信して、与えられたパラメータによって識別される移動通信装置の待ち受け基地局が設置されたセルを探索する動作を終了する(ステップS304)
なお、位置探索部41は、第jの基地局BSjから送信された、移動通信装置を識別する情報をパラメータとし、その情報によって識別される移動通信装置が第1の基地局BS1を待ち受け基地局としているか否かの探索要求を移動通信制御局を介して受信した場合、ステップS302の、上記移動通信装置が第1の基地局BS1を待ち受け基地局としているか否かを判断して、その判断結果を第jの基地局BSjに送信して、動作を終了する(図示せず)。
【0114】
以上の説明で、位置探索部41は、与えられたパラメータによって識別される移動通信装置の待ち受け基地局が設置されたセルを探索する範囲を、第1の基地局BS1が設置されたセル、第1の基地局BS1が設置されたセルに隣接するセル、及び、第1の基地局BS1が設置されたセルに隣接するセルに隣接するセルに限った。即ち、2周外のセルに範囲内に限ったが、これに限るものではない。
【0115】
第1の基地局BS1が設置されたセルに限っても良いし、第1の基地局BS1が設置されたセルから任意数に渡って離れたセルの範囲内に限っても良い。また、この任意数は、位置探索部41によって決定されても良く、位置探索要求部21によって決定され、位置探索部41に与えられても良い。更に、この任意数は、入力装置16の所定のキー操作によって指定され、位置探索要求部21を介して位置探索部41に与えられても良い。
【0116】
また、探索装置距離42dには、第1の基地局BS1が設置されたセルから第iの移動通信装置MSiが位置するセルまでの距離を、例えば、キロメートル単位で設定しても良い。距離をキロメートル単位で設定するために、基地局は、その基地局が設置されたセルと、少なくとも、そのセルと隣接するセルとの間の距離をキロメートル単位で記憶し、併せて、そのセルからその隣接するセルへの方角を記憶する。なお、セルとセルとの距離と、角度は、例えば、それぞれのセルに設置された基地局間の距離と、角度とする。
【0117】
(第2の実施形態)
図12は、本発明の第2の実施形態に係る移動通信装置を含む位置探索システムの構成の概要を示す図である。この位置探索システムには、第1の移動通信装置MS1と、第2の移動通信装置MS2と、…、第mの移動通信装置MSmとが含まれる。
【0118】
ここで、第1の移動通信装置MS1と、…、第mの移動通信装置MSmとは、全て同じ構成であり同じ動作をする。そこで、説明を簡明にするため、以後、第1の移動通信装置MS1が第iの移動通信装置MSiの位置を探索する場合を例として、第1の移動通信装置MS1の構成及び動作を説明する。なお、後述するように、第2の実施形態において、第1の移動通信装置MS1は、第iの移動通信装置MSiの位置が第1の移動通信装置MS1から近いか又は遠いかを探索する。
【0119】
図13は、本発明の第2の実施形態に係る第1の移動通信装置MS1の構成を示すブロック図である。この第2の実施形態に係る第1の移動通信装置MS1は、本発明の第1の実施形態に係る第1の移動通信装置MS1と同じ構成要素を含む。そこで、同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0120】
この第2の実施形態に係る第1の移動通信装置MS1は、本発明の第1の実施形態に係る第1の移動通信装置MS1と比較して、更に、近距離無線通信部24と、第iの移動通信装置MSiとの間で近距離無線通信用の電波の送受信を行うアンテナ24aとを備える。また、位置探索要求部21に代えて、位置探索要求部21−2を備え、探索装置位置表示部23に代えて、探索装置位置表示部23−2を備える。探索装置情報記憶部22には、探索装置情報22aに代えて、探索装置情報22mが記憶される。
【0121】
上記のように構成された、本発明の第2の実施形態に係る第1の移動通信装置MS1の各部の動作を、図13を参照して説明する。
【0122】
位置探索要求部21−2は、入力装置16の所定のキー操作に従って指定された、位置を探索する1台又は複数台の第iの移動通信装置MSiを識別する情報を探索装置情報22mとして探索装置情報記憶部22に記憶させると共に、近距離無線通信部24に要求して上記第iの移動通信装置MSiの位置の探索、即ち、上記第iの移動通信装置MSiが第1の移動通信装置MS1の近くにあるか、遠くにあるかの探索をさせる。この探索は、近距離無線通信部24に上記第iの移動通信装置MSiとの間の通信をさせ、その通信が可能か否かによって行なわせる。
【0123】
また、位置探索要求部21−2は、上記要求に対して、近距離無線通信部24によって探索された上記第iの移動通信装置MSiが第1の移動通信装置MS1の近くにあるか、又は、遠くにあるかを、探索装置情報22mとして探索装置情報記憶部22に記憶させる。
【0124】
探索装置位置表示部23−2は、探索装置情報22mとして探索装置情報記憶部22に記憶された、1台又は複数台の第iの移動通信装置MSiを識別する情報及び位置を参照し、それらの識別する情報及び位置を表示部15に表示させる。また、表示された識別する情報の中の1つが入力装置16の所定の操作に従って選択されると、その選択された情報によって識別される第iの移動通信装置MSiへの発呼を制御部11又は近距離無線通信部24に行なわせる。
【0125】
近距離無線通信部24は、探索装置情報記憶部22に探索装置情報22mとして記憶された第iの移動通信装置MSiの位置を探索する。即ち、上記第iの移動通信装置MSiが第1の移動通信装置MS1の近くにあるか、遠くにあるかを探索する。この探索は、アンテナ24aを用いたブルートゥース(Bluetooth、登録商標)方式の近距離無線通信によって、上記第iの移動通信装置MSiと通信することによって行なう。その通信が可能であれば近い、一方、不可能であれば遠いと判断する。そして、探索された位置を、探索装置情報22mとして探索装置情報記憶部22に記憶させる。
【0126】
以下、第2の実施形態に係る移動通信装置を含む位置探索システムにおいて、第1の移動通信装置MS1の各部による、予め定められた移動通信装置の位置を容易に探索し、表示する処理を説明する。
【0127】
図14は、探索装置情報記憶部22に記憶される探索装置情報22mの構成の一例を示す。この探索装置情報22mは、第1の実施形態における探索装置情報22aと同じ構成要件を含む。そこで、同じ構成要件には同じ符号を付して説明を省略する。
【0128】
探索装置情報22mは、第1の実施形態における探索装置情報22aと比較して、探索装置方角22eに代えて、探索装置アドレス22nを備える。探索装置アドレス22nは、近距離無線通信部24による通信の際に用いられる、第iの移動通信装置MSiを一意に識別する情報である。即ち、探索装置アドレス22nは、ブルートゥースデバイスアドレスと、ブルートゥースクロックとである。なお、近距離無線通信部24による通信の際に用いられる第iの移動通信装置MSiを一意に識別する情報を、以後、近距離無線通信用識別情報と称する。
【0129】
なお、探索装置情報22mに含まれる探索装置距離22dは、探索装置識別情報22bによって識別される第iの移動通信装置MSiと、第1の移動通信装置MS1とが近い位置にある場合「近い」、遠い位置にある場合「遠い」との値が記憶される。ここで、近い位置であるか、遠い位置であるかは、後述するように、近距離無線通信部24によって判断される。
【0130】
図15は、第2の実施形態における第1の移動通信装置MS1の位置探索要求部21−2が、移動通信装置を定め、探索された、その移動通信装置の位置を記憶させる動作のフローチャートを示す。なお、位置探索要求部21−2のステップS401〜ステップS404の動作は、それぞれ、図7に図示した、第1の実施形態における位置探索要求部21のステップS101〜ステップS104の動作に対応する。また、ステップS405の動作は、ステップS105の動作及びステップS106の動作に対応する。そこで、対応する動作ステップを対比しつつ、同じ動作については簡明な説明に止め、異なる動作について詳しく説明する。
【0131】
位置探索要求部21−2は、入力装置16の所定のキー操作によって動作を開始する(ステップS401)。そして、入力装置16の所定のキー操作によって、近くに位置するか否かを探索する1台又は複数台の移動通信装置を識別する情報を入力する(ステップS402)。
【0132】
ここで、位置探索要求部21−2は、位置探索要求部21のステップS102で入力される、その移動通信装置の電話番号と、所持者の名前とに加えて、その移動通信装置の近距離無線通信用識別情報を入力する。ここで、近距離無線通信用識別情報が必須である。また、電話番号と、所持者の名前との中の少なくとも1つが必須である。
【0133】
なお、近距離無線通信用識別情報は、入力装置16からの入力には適した情報ではない。そこで、位置探索要求部21−2は、近距離無線通信部24に要求して、第1の移動通信装置MS1と、第iの移動通信装置MSiとの間で通信をさせることによって得る。
【0134】
この通信は、近距離無線通信用識別情報が得られれば良く、ハンドシェークの段階まで行なわせれば良い。例えば、ブルートゥース(R)方式の通信をさせる場合、近距離無線通信用識別情報が不明な通信相手とのハンドシェーク手順、即ち、インクワイアリ手順によって第iの移動通信装置MSiの近距離無線通信用識別情報を得る段階までで良く、プロファイルの実行を要しない。
【0135】
又は、近距離無線通信用識別情報は、上記のように得られた後、アドレス帳に電話番号と関連付けて記憶されるとし、位置探索要求部21−2は、入力された電話番号及び/又は所持者の名前を検索キーにアドレス帳を検索することによって得るとしても良い。
【0136】
上記のように、第iの移動通信装置MSiの近距離無線通信用識別情報を得る動作は、例えば、待ち合わせに参加する人と待ち合わせの約束をする際に行なわせることが適切である。なぜなら、待ち合わせ参加予定者の把握と同時に、その予定者が所持する移動通信装置の近距離無線通信用識別情報を得ることが同時に行なえるためである。そして、探索装置情報22mは、参加予定者のリストとしても利用が可能である。
【0137】
位置探索要求部21−2は、入力された電話番号を探索装置識別情報22bに、入力された所持者の名前を探索装置所持者22cに、探索装置距離22dに無値を、更に、探索装置アドレス22nに近距離無線通信用識別情報を設定した探索装置情報22mを、探索装置情報記憶部22に記憶させる(ステップS403)。なお、移動通信装置の電話番号が入力されない場合、探索装置識別情報22bに無値を設定し、移動通信装置の所持者の名前が入力されない場合、探索装置所持者22cに無値を設定する。
【0138】
次に、位置探索要求部21−2は、探索装置情報22mの探索装置アドレス22nによって識別される移動通信装置の位置の探索要求を、近距離無線通信部24に送る。この際、探索要求のパラメータは探索装置情報22mを介して与える(ステップS404)。
【0139】
位置探索要求部21−2は、近距離無線通信部24から、この要求された探索完了の通知に併せて、探索結果を探索装置情報22mを介して得て(ステップS405)、移動通信装置を定め、探索された、その移動通信装置の位置を記憶させる動作を終了する(ステップS406)。
【0140】
この探索結果は、パラメータとして与えた探索装置情報22mの探索装置アドレス22n毎に、その探索装置アドレス22nに関連付けられた探索装置距離22dに設定された値として得る。即ち、その探索装置情報22mの探索装置アドレス22nによって識別される第iの移動通信装置MSiの位置と、自装置、即ち、第1の移動通信装置MS1との間の距離が近い場合、探索装置距離22dは「近い」であり、その距離が遠い場合、探索装置距離22dは「遠い」である。
【0141】
なお、探索装置情報22mが更新記憶される度に、又は、ステップS404で近距離無線通信部24に送った位置の探索要求に対する結果が得られる度に、位置探索要求部21−2は、その更新を制御部11に通知する。探索装置情報22mを参照している処理部へ、探索装置情報22mの更新を通知し、最新の探索装置情報22mの参照を促すためである。
【0142】
なお、以上説明した、位置探索要求部21−2の動作は、位置を探索する移動通信装置を定める動作と、定められた移動通信装置の位置を探索する動作とに分けられ、この2つの動作に間には時間の隔たりがあっても良いこと、この2つの動作は、それぞれ独立に行なわれても良いこと、また、それぞれ繰り返し行なわれても良いことは、位置探索要求部21の動作の説明で述べた通りである。
【0143】
なお、定められた移動通信装置の位置を探索する動作が繰り返し行なわれる間隔は、第iの移動通信装置MSiが、第1の移動通信装置MS1との間で近距離無線通信部24の通信が可能な位置から不可能な位置へ移動する平均時間と、その通信が不可能な位置から可能な位置へ移動する平均時間とをめどに決定することが適切である。
【0144】
しかしながら、これらの時間は、わずかな時間である可能性が高い。更に、第iの移動通信装置MSiの移動がない場合、第iの移動通信装置MSiと、第1の移動通信装置MS1との間に近距離無線通信の障害となる物が移動することによって、第iの移動通信装置MSiと、第1の移動通信装置MS1との間で近距離無線通信部24の通信が可能に変化し、また、不可能に変化することがある。
【0145】
そこで、定められた移動通信装置の位置を探索する動作が繰り返し行なわれる間隔は、短いことが望まれるが、短い間隔による位置探索は、装置が消費する電力の増加を招く。そこで、位置探索要求部21−2は、探索装置距離22dに「遠い」なる値が設定されている探索装置情報22mに係る位置探索を短い時間間隔で近距離無線通信部24に要求し、「近い」なる値が設定されている探索装置情報22mに係る位置探索を長い時間間隔で要求する処理が適切である。遠くにある移動通信装置が近くに移動した、言い換えると、参加予定者が到着したことを長い遅れ時間なしに把握することが有効であるからである。
【0146】
また、近距離無線通信部24によって、探索装置距離22dに「近い」なる値が設定された後、所定時間が経過した探索装置情報22mに係る位置探索を近距離無線通信部24に要求する処理が適切である。所定時間が経過したことによって、その探索装置情報22mに係る移動通信装置の位置が移動している、言い換えると、会合に出席していた者が退場した可能性があるからである。
【0147】
また、近距離無線通信部24によって、探索装置距離22dに値を設定しようとする履歴が探索装置情報記憶部22に記憶され、同じ値が所定回数に渡り連続して設定しようとされた場合、位置探索要求部21−2は、その値を探索装置距離22dに設定する処理が適切である。この処理によって、第1の移動通信装置MS1との間に近距離無線通信の障害となる物が移動することによって、探索装置距離22dに設定された値が頻繁に変化することを防ぐことができる。
【0148】
また、同じ値が連続して探索装置距離22dに設定しようとされた場合、位置探索要求部21−2は、その値を探索装置距離22dに設定すると共に、その探索装置距離22dを含む探索装置情報22mに係る位置探索を、所定の時間に渡って近距離無線通信部24に要求しないことが適切である。この処理によって、上記近距離無線通信の障害となる物の移動によらない、適切な探索装置距離22dが得られた後、無用な位置探索の削減、ひいては、装置が消費する電力の削減が可能となる。
【0149】
以上説明した、全ての探索装置情報22mに係る位置探索を近距離無線通信部24に要求することなく、特定の探索装置情報22mのみに係る位置探索を要求する際、位置探索要求部21−2は、探索装置情報22mに加えて、第2の探索装置情報(図示せず)を探索装置情報記憶部22に記憶させても良い。そして、第2の探索装置情報には、探索装置情報22mの中で、位置探索を要求するものをコピーして、第2の探索装置情報を近距離無線通信部24との情報の送受に用いる。また、第2の探索装置情報を介して得られた探索結果を、探索装置情報22mにコピーする。
【0150】
第2の実施形態に係る探索装置位置表示部23−2が予め定められた移動通信装置が近くに位置するか否かを表示する動作は、図8のフローチャートを参照して説明した第1の実施形態に係る探索装置位置表示部23の同様であるので、異なる動作のみを説明する。
【0151】
第1に、ステップS202で、探索装置位置表示部23−2は、探索装置情報記憶部22から探索装置方角22eを読み出すことはできない。そこで、ステップS203の読み出された情報の表示にあたり、図9に例示したように、「近い」なる標題の下に、探索装置距離22dが「近い」である探索装置情報22mの探索装置所持者22c及び/又は探索装置識別情報22bを表示し、「遠い」なる標題の下に、探索装置距離22dが「遠い」である探索装置情報22mの探索装置所持者22c及び/又は探索装置識別情報22bを表示する。
【0152】
また、図10に例示したように、探索装置距離22dが「近い」である探索装置情報22mの探索装置所持者22c及び/又は探索装置識別情報22bを円内に表示し、探索装置距離22dが「遠い」である探索装置情報22mの探索装置所持者22c及び/又は探索装置識別情報22bをその円外に表示する。ここで、円内のいずれの位置に表示するか、また、円外のいずれの位置に表示するかは、意味を持たない。
【0153】
第2に、ステップS205の発呼処理で、探索装置位置表示部23−2は、移動網通信部12bを介した移動通信網を用いた通話通信の他に、近距離無線通信部24を介したブルートゥース(R)方式のハンドセットプロファイルによる通話通信を行わせても良い。
【0154】
近距離無線通信部24は、探索装置情報記憶部22に記憶された探索装置情報22mの探索装置アドレス22nを読み出す。そして、その探索装置アドレス22nに記憶された近距離無線通信用識別情報によって識別される装置と通信が可能であるか否かを判断する。この判断のためには、この通信は、ハンドシェークの段階までで良い。
【0155】
例えば、ブルートゥース(R)方式による場合、近距離無線通信用識別情報が知られた通信相手とのハンドシェーク手順、即ち、ページング手順によって、その近距離無線通信用識別情報によって識別される装置からの応答を受信するか否かの判断が可能な段階までで良い。
【0156】
その応答が受信された場合、近距離無線通信部24は、上記読み出された探索装置アドレス22nと関連付けられた探索装置距離22dに「近い」なる値を設定して、探索装置情報22mを更新記憶させる。一方、その応答が所定時間に渡って受信されない場合、探索装置アドレス22nと関連付けられた探索装置距離22dに「遠い」なる値を設定して、探索装置情報22mを更新記憶させる。
【0157】
全ての探索装置情報22mの探索装置アドレス22nについて上記の動作を終了すると、近距離無線通信部24は、探索動作の完了を通知して、探索動作を終了する。なお、探索装置アドレス22nに関連付けて、探索動作を行うか否かを示す情報が探索装置情報22mに含まれている場合、探索動作を行う旨と関連付けられた探索装置アドレス22nについて上記の動作を終了すると、探索動作の完了を通知して、探索動作を終了する。
【0158】
ここで、近距離無線通信部24は、ページング手順を実行すれば良く、プロファイルの実行を要しない。また、ブルートゥース(R)方式の電波の送信電力を増加させることによって、より多くの第iの移動通信装置MSiについて、探索装置距離22dに「近い」なる値を設定し、その電波の送信電力を減少させることによって、より多くの第iの移動通信装置MSiについて、探索装置距離22dに「遠い」なる値を設定する結果となる。
【0159】
そこで、近距離無線通信部24は、上記電波の送信電力を、位置探索要求部21−2の指示によって変更しても良い。また、入力装置16の所定の操作によって指定され、位置探索要求部21−2を介して指示を受けることによって変更しても良い。
【0160】
以上の説明で、近距離無線通信部24は、ブルートゥース(R)方式の通信をするとしたが、これに限るものではない。例えば、赤外線通信を行っても良い。また、RFID通信を行っても良い。
【0161】
(その他の実施形態)
以上説明した第1の実施形態による位置探索と、第2の実施形態による位置探索とは、適宜組み合わせても良い。第1の実施形態による位置探索は、第1の移動通信装置MS1の周囲数キロメートルの範囲に位置する第iの移動通信装置MSiの位置探索に適している。そこで、待ち合わせに参加している人が待ち合わせ場所の近くにいるか否かを知る用途に適切である。
【0162】
一方、第2の実施形態による位置探索は、第1の移動通信装置MS1の周囲数十メートルの範囲に位置する第iの移動通信装置MSiの位置探索に適している。そこで、会合に参加予定の人が会合に既に出席しているか否かを知る用途に適切である。
【0163】
そこで、位置探索の対象である第iの移動通信装置MSiが第1の移動通信装置MS1のからどの程度離れた場所に位置するかによって、第1の実施形態による位置探索と、第2の実施形態による位置探索とのいずれか一方を選択しても良く、両方を行なっても良い。両方を行なった場合、探索装置位置表示部23、23−2は、いずれの位置探索によって得られた位置であるかを識別可能に、移動通信装置が近くに位置するか否かを表示する。
【0164】
以上説明したように、本発明によれば、第iの移動通信装置MSiの位置探索を容易に、即ち、少ない装置で、少ない通信量で行なうことができる。以上の説明は、本発明を移動通信装置に適用した形態を例にとって行ったが、これに限るものではない。本発明は、ブルートゥース(R)方式の通信を行なう全ての装置に適用可能である。本発明は以上の構成に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信装置を含む位置探索システムの構成の概要を示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る第1の移動通信装置の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る第1の基地局の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る第1の移動通信装置に記憶される探索装置情報の構成の一例を示す図。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る在圏移動通信装置情報の構成の一例を示す図。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る第1の基地局に記憶される探索装置情報の構成の一例を示す図。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る位置探索要求部が移動通信装置の位置を記憶させる動作のフローチャート。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る探索装置位置表示部が移動通信装置の位置を表示する動作のフローチャート。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る探索装置位置表示部によって表示部に行われる表示の第1の例。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る探索装置位置表示部によって表示部に行われる表示の第2の例。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る位置探索部が移動通信装置の待ち受け基地局が設置されたセルを探索する動作のフローチャート。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る移動通信装置を含む位置探索システムの構成の概要を示す図。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る第1の移動通信装置の構成を示すブロック図。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る第1の移動通信装置に記憶される探索装置情報の構成の一例を示す図。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る位置探索要求部が移動通信装置の位置を記憶させる動作のフローチャート。
【符号の説明】
【0166】
MS1 第1の移動通信装置
MSi 第iの移動通信装置
BS1 第1の基地局
BSj 第jの基地局
11、31 制御部
12b、32b 移動網通信部
13、33 移動網送受信部
15 表示部
15a 探索装置情報表示
16 入力装置
21、21−2 位置探索要求部
22、42 探索装置情報記憶部
22a、22m、42a 探索装置情報
22b、42b 探索装置識別情報
22c 探索装置所持者
22d、42d 探索装置距離
22e、42e 探索装置方角
22n 探索装置アドレス
23、23−2 探索装置位置表示部
24 近距離無線通信部
35 在圏移動通信装置情報記憶部
35a 在圏移動通信装置情報
35b 在圏移動通信装置識別情報
41 位置探索部
42c 探索装置位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
待ち受け基地局と通信するセルラ方式の移動通信装置であって、
表示手段と、
被探索移動通信装置の位置探索を前記待ち受け基地局へ要求し、その要求に応じて前記待ち受け基地局から送信された前記被探索移動通信装置が位置するセルと、前記待ち受け基地局が設置されたセルとの間の距離の指標を受信する位置探索手段と、
前記被探索移動通信装置を識別する情報を、前記位置探索手段によって受信された前記距離の指標を識別可能に前記表示手段に表示させる位置表示制御手段と
を備えることを特徴とする移動通信装置。
【請求項2】
前記位置探索手段は、更に、前記要求に応じて前記待ち受け基地局から送信された前記被探索移動通信装置が位置するセルと、前記待ち受け基地局が設置されたセルとの間の方角を受信し、
前記位置表示制御手段は、前記被探索移動通信装置を識別する情報を、前記位置探索手段によって受信された前記方角を識別可能に前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の移動通信装置。
【請求項3】
入力手段を更に備え、
前記位置表示制御手段は、前記入力手段からの入力に基づいて、前記表示手段に表示された前記被探索移動通信装置を識別する情報を選択し、その選択された情報によって識別される被探索移動通信装置へ発呼する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動通信装置。
【請求項4】
表示手段と、
近距離無線通信手段と、
被探索移動通信装置との通信を前記近距離無線通信手段へ要求し、その要求に応じて前記近距離無線通信手段から送信された、前記被探索移動通信装置との間の前記近距離無線通信手段による通信が可能か否かを受信する位置探索手段と、
前記被探索移動通信装置を識別する情報を、前記位置探索手段によって受信された前記通信が可能か否かを識別可能に前記表示手段に表示させる位置表示制御手段と
を備えることを特徴とする移動通信装置。
【請求項5】
待ち受け基地局と通信するセルラ方式の移動通信装置であり、
入力手段を更に備え、
前記位置表示制御手段は、前記入力手段からの入力に基づいて、前記表示手段に表示された前記被探索移動通信装置を識別する情報を選択し、その選択された情報によって識別される被探索移動通信装置へ発呼する
ことを特徴とする請求項4に記載の移動通信装置。
【請求項6】
入力手段を更に備え、
前記位置表示制御手段は、前記入力手段からの入力に基づいて、前記表示手段に表示された前記被探索移動通信装置を識別する情報を選択し、前記近距離無線通信手段に、その選択された情報によって識別される被探索移動通信装置と通話通信させる
ことを特徴とする請求項4に記載の移動通信装置。
【請求項7】
前記近距離無線通信手段は、ブルートゥース方式による通信を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の移動通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−21664(P2010−21664A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178453(P2008−178453)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】