説明

移動間仕切り壁構造

【課題】複数の分岐部を有するハンガーレールで、吊下車を方向変換させられる移動間仕切り壁構造を提供する。
【解決手段】長手方向に連続する下方開口状のスリット部15を有するハンガーレールRが、直線状の本線レール部10と、本線レール部10からT字状に分岐して延設される複数の分岐レール部11,12,13と、を有し、ハンガーレールRに吊下されつつスリット部15に沿って移動可能な間仕切り壁を備える移動間仕切り壁構造に於て、ハンガーレールRの走行空間内でスリット部15に案内されつつ走行可能に構成されると共に相違する高さ寸法の方向変換ローラを上方突出状に有する複数種類の吊下車1,2,3を具備し、さらに、複数種類の吊下車1,2,3を選別して、本線レール部10から分岐レール部11,12,13の内の一つに乗り移らせるように、方向変換ローラの高さ寸法に対応して誘導可能な所定の垂下寸法に設定した複数種類の方向変換ガイド部材6,7,8を走行空間内に固設している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンガーレールに沿って移動可能な間仕切り壁を備える移動間仕切り壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動壁を吊り下げるレールの分岐部に於て、吊車を本線レールと枝レールに相互に乗り移らせるように、方向変換ガイド部材をレール内に付設した移動壁吊下装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−104797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の移動壁吊下装置は、方向変換ローラを有する吊車と方向変換ローラを設けない吊車との2種類の吊車を選択して、前者を本線レールから分岐される枝レールに誘導されるように構成し、後者を本線レールでそのまま直進させるように構成していたため、枝レールの数が3本以上である場合には対応できなかった。
また、方向変換ローラを設けない吊車は、スリットに沿ってカーブする際に、下部のガイドローラのみをスリットに接触して誘導されるため、円滑に方向変換することができなくなる問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、簡素な構成でありながら、複数の分岐部を有するハンガーレールで、吊下車を方向変換させられる移動間仕切り壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る移動間仕切り壁構造は、長手方向に連続する下方開口状のスリット部を有するハンガーレールが、直線状の本線レール部と、該本線レール部からT字状に分岐して延設される複数の分岐レール部と、を有し、上記ハンガーレールに吊下されつつ上記スリット部に沿って移動可能な間仕切り壁を備える移動間仕切り壁構造に於て、上記ハンガーレールの走行空間内で上記スリット部に案内されつつ走行可能に構成されると共に相違する高さ寸法の方向変換ローラを上方突出状に有する複数種類の吊下車を具備し、さらに、複数種類の該吊下車を選別して、上記本線レール部から上記分岐レール部の内の一つに乗り移らせるように、上記方向変換ローラの高さ寸法に対応して誘導可能な所定の垂下寸法に設定した複数種類の方向変換ガイド部材を上記走行空間内に固設したものである。
【0007】
また、上記吊下車は、上記間仕切り壁を吊支する基台部と、該基台部の左右に枢着され上記ハンガーレールの底壁上を転動可能な左右一対の重量支持車輪と、を備え、さらに、上記方向変換ローラは、上記基台部に前後一対付設されると共に鉛直軸心廻りに回転自在として上記基台部の上方の左右中間位置にて枢着され、かつ、該方向変換ローラと同一の上記鉛直軸心廻りに回転自在として上記基台部の下部の平面視同一位置に配設され上記方向変換ローラと同一外径寸法を有すると共に上記スリット部に沿って転動可能に枢着される前後一対のガイドローラを備えたものである。
【0008】
また、上記本線レール部と上記分岐レール部の分岐部に於て、該本線レール部の上記スリット部と、該分岐レール部の上記スリット部は、交差部で弯曲状に連設されているものである。
また、上記方向変換ガイド部材は、上記方向変換ローラと接触しつつ上記吊下車を誘導する平面視凹曲状誘導弯曲面を有し、該誘導弯曲面は、上記交差部の弯曲形と平面視同一形状に形成され、かつ、平面視重複する位置に配設されているものである。
【0009】
また、上記吊下車が複数種類を混在して走行してくる方向から上記本線レール部に沿って順次配設された上記分岐部は、上記方向変換ガイド部材の垂下寸法が順次大きく成るように、上記ハンガーレールの天井壁の下面に上記方向変換ガイド部材を付設しているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の移動間仕切り壁構造によれば、本線レール部から3本以上の分岐レール部が分岐している場合であっても、各分岐部に於て、複数種類の吊下車を選別して、本線レール部から分岐レール部の内の一つに侵入させることができる。よって、吊下車を種類ごとに整理して自動的に振り分けることが可能となり至便である。
また、全ての分岐部で、方向変換ガイド部材を方向変換ローラに接触して誘導することができ、吊下車を確実かつ円滑に、本線レール部と分岐レール部とに、相互に乗り移らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の一形態を示した要部破断平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】図1のC−C断面図である。
【図5】図1のD−D断面図である。
【図6】図1のE−E断面図である。
【図7】吊下車が方向変換する様子を示した作用説明図である。
【図8】吊下車が方向変換せずに直進する様子を示した作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1〜図6に示すように、本発明の移動間仕切り壁構造は、ホテル、式場、店舗、美術館、各種イベント会場等の室内の天井(上方)にハンガーレールRを配設して、図示省略の間仕切り壁を吊り下げるものである。
【0013】
ハンガーレールRは、アルミニウムの押出型材から成る横断面矩形状であって、長手方向に連続する下方開口状のスリット部15を形成している。ハンガーレールRの材質は、他に、鉄鋼材、ステンレス等を、用いるも好ましく、(プレス)折曲加工材とするもよい。ハンガーレールRは、直線状の本線レール部10と、本線レール部10からT字状に分岐して延設される分岐レール部11,12,13…と、を有している。なお、本発明に於ては、分岐レール部11,12,13…は、少なくとも3本設けられていればよく、本実施形態は、本線レール部10に沿って順次配設された分岐部18…によって、4本の分岐レール部11,12,13,14を延設している。以下、(図1の左方から順に、)第1分岐レール部11、第2分岐レール部12、第3分岐レール部13、第4分岐レール部14と呼ぶ。また、分岐レール部11,12,13…を5本以上設けるも自由である。
【0014】
間仕切り壁は、ハンガーレールRのスリット部15に沿って移動可能に構成されている。具体的には、間仕切り壁は、ハンガーレールRの内部に形成される走行空間16でスリット部15に案内されつつ走行する複数種類の吊下車1,2,3…に、吊下されている。なお、本発明に於ては、相違する高さ寸法Hの方向変換ローラ22,22を上方突出状に有する少なくとも3種類の吊下車1,2,3が設けられていればよい。
本実施形態は、高さ寸法Hの相違する方向変換ローラ22,22を有する4種類の吊下車1,2,3,4を具備している。以下、高さ寸法Hを第1高さ寸法Hに設定したものを第1吊下車1と呼び、高さ寸法Hを第2高さ寸法Hに設定したものを第2吊下車2と呼び、高さ寸法Hを第3高さ寸法Hに設定したものを第3吊下車3と呼び、高さ寸法Hを第4高さ寸法Hに設定したものを第4吊下車4と呼ぶ。なお、吊下車1,2,3…の種類の数は、分岐レール部11,12,13…の数に応じて設定されるのが好ましい。
【0015】
また、ハンガーレールRの走行空間16内には、相違する垂下寸法Lに設定した複数種類の方向変換ガイド部材6,7,8…を固設している。なお、本発明に於ては、各分岐部18…に対応した垂下寸法Lを有する少なくとも3種類の方向変換ガイド部材6,7,8が設けられていればよい。
本実施形態は、垂下寸法Lの相違する4種類の方向変換ガイド部材6,7,8,9を具備している。以下、垂下寸法Lを第1垂下寸法Lに設定したものを第1方向変換ガイド部材6と呼び、垂下寸法Lを第2垂下寸法Lに設定したものを第2方向変換ガイド部材7と呼び、垂下寸法Lを第3垂下寸法Lに設定したものを第3方向変換ガイド部材8と呼び、垂下寸法Lを第4垂下寸法Lに設定したものを第4方向変換ガイド部材9と呼ぶ。なお、方向変換ガイド部材6,7,8…の種類の数は、分岐レール部11,12,13…の数に応じて、吊下車1,2,3…の種類の数と同数に設定されるのが好ましい。
【0016】
具体的には、ハンガーレールRに配設された本線レール部10と第1分岐レール部11との分岐部18には、第1吊下車1の有する第1高さ寸法Hの方向変換ローラ22に対応して、4種類のうち最も小さな第1垂下寸法Lを有する第1方向変換ガイド部材6を、固設している。なお、本発明では、第1方向変換ガイド部材6の第1垂下寸法Lは、第1高さ寸法Hの方向変換ローラ22にのみ接触するように設定され、第1吊下車1以外の吊下車2,3,4には干渉しないように構成されている。
【0017】
また、本線レール部10と第2分岐レール部12との分岐部18には、第1高さ寸法Hよりも低い第2高さ寸法Hの方向変換ローラ22に対応して、第1垂下寸法Lよりも大きい第2垂下寸法Lの第2方向変換ガイド部材7を配設している。
さらに、本線レール部10と第3分岐レール部13との分岐部18には、第3吊下車3の第3高さ寸法Hに対し、より大きい第3垂下寸法Lの第3方向変換ガイド部材8を配設しつつ、本線レール部10と第4分岐レール部14との分岐部18には、第4吊下車4の第4高さ寸法Hに対し、より大きい第4垂下寸法Lの第4方向変換ガイド部材9を配設している(図6参照)。このようにして、本線レール部10に沿って順次配設された分岐部18,18…には、垂下寸法Lが順次大きく成るように、方向変換ガイド部材6,7,8,9が配設されている。
【0018】
つまり、本発明の移動間仕切り壁構造は、高さ寸法Hの相違する方向変換ローラ22,22を有する複数種類の吊下車1,2,3…を備え、ハンガーレールRの本線レール部10内を混在して走行してくる複数種類の吊下車1,2,3…を選別して、方向変換ローラ22,22に接触して誘導し本線レール部10から分岐レール部11,12,13…の内の一つに乗り移らせるための、垂下寸法Lの相違する複数種類の方向変換ガイド部材6,7,8,9を備えている。
【0019】
図2〜図5に示すように、第1吊下車1と、第2吊下車2と、第3吊下車3と、第4吊下車4とは、方向変換ローラ22,22の高さ寸法Hが相違すること以外は、同様の構成を有している。
全ての吊下車1,2,3,4は、間仕切り壁を吊支する鉛直棒部材24を吊設する基台部20と、基台部20の左右に枢着されハンガーレールRの底壁17上を転動可能な左右一対の重量支持車輪21,21と、前後一対の方向変換ローラ22,22と、方向変換ローラ22,22と同一外径寸法を有する前後一対のガイドローラ23,23と、を備えている。さらに、方向変換ローラ22,22は、鉛直軸心X廻りに回転自在として基台部20の上方の左右中間位置に所定長さ寸法に設定された円筒状のスペーサー25,25を介して締結されている。また、ガイドローラ23,23は、方向変換ローラ22,22と同一の鉛直軸心X廻りに回転自在として基台部20の下部の平面視同一位置に配設され、底壁17の左右中間位置を切欠いて形成されるスリット部15に沿って転動可能に枢着されている。
【0020】
図1に示すように、第1方向変換ガイド部材6と、第2方向変換ガイド部材7と、第3方向変換ガイド部材8と、第4方向変換ガイド部材9とは、垂下寸法Lを相違するが、平面視では同一の形状を有している。
全ての方向変換ガイド部材6,7,8,9は、方向変換ローラ22,22と接触しつつ吊下車1,2,3,4を、本線レール部10から分岐レール部11,12,13,14に乗り移らせるように誘導するための平面視凹曲状誘導弯曲面5を有している。誘導弯曲面5は、四半円弧状に形成され、両端が夫々本線レール部10及び分岐レール部11,12,13,14の長手方向に向くように配設される。さらに、方向変換ガイド部材6,7,8,9は、本線レール部10側から見た幅寸法Wを、本線レール部10の幅寸法W10よりも大きく設定し、かつ、分岐レール部11,12,13,14側から見た幅寸法Wを、分岐レール部11,12,13,14の幅寸法W11よりも大きく設定している。つまり、方向変換ガイド部材6,7,8,9は、本線レール部10及び分岐レール部11,12,13,14の内壁に、側面26,28を当接させて天井壁27の下面27aに付設されている。
【0021】
本線レール部10のスリット部15Aと、分岐レール部11,12,13,14のスリット部15Bは、分岐部18で合流し、交差部19で弯曲状に連設されている。交差部19は、吊下車1,2,3,4が曲がる際に、内輪側となる内角部19aを弯曲状に切欠形成し、かつ、外輪側に凹曲状ガイド外角部19bを突設している。
ガイド外角部19bは、誘導弯曲面5と平面視同一弯曲状に形成されている。さらに、方向変換ガイド部材6,7,8,9は、誘導弯曲面5と、凹曲状ガイド外角部19bとが、平面視で一部重複するように配設されている。
【0022】
上述した本発明の移動間仕切り壁構造の使用方法(作用)について説明する。
先ず、図7に示すように、本線レール部10に配設した第1吊下車1を、矢印41の方向へ走行させる。第1吊下車1は、ガイドローラ23,23をスリット部15Aに沿って転動しながら走行する。
第1吊下車1が、分岐部18に差し掛かると、進行方向前側の方向変換ローラ22が、第1方向変換ガイド部材6の誘導弯曲面5に接触して誘導される。
【0023】
そして、第1吊下車1が、誘導に従って平面視円弧状にカーブしつつ走行していくと、進行方向前側のガイドローラ23が、凹曲状ガイド外角部19bに接触して誘導されると共に、進行方向後側の方向変換ローラ22が、誘導弯曲面5に接触して誘導される。第1吊下車1は、ガイドローラ23と、前後の方向変換ローラ22,22とで、上下位置でバランスよく案内されて誘導され、方向変換する。この際、交差部19が弯曲状に形成されているため、第1吊下車1が内角部19aに引っ掛かることなく、連続して走行する。
また、第1方向変換ガイド部材6は、本線レール部10に対し、十分に大きく幅寸法Wを設定しているため、天井壁27の下面27aに十分に大きい取着力をもって固着され、確実に第1吊下車1を誘導する。
【0024】
さらにカーブしていくと、進行方向後側のガイドローラ23が、凹曲状ガイド外角部19bに接触して誘導され、矢印41の方向へ進行して、第1分岐レール部11に侵入する。第1吊下車1は、ガイドローラ23,23をスリット部15Bに沿って転動しながら走行する。
このようにして、第1吊下車1は、第1方向変換ガイド部材6下を通過することなく誘導弯曲面5に接触して誘導されて、本線レール部10から第1分岐レール部11に乗り移る。
【0025】
また、第1分岐レール部11に配設した第1吊下車1を、矢印42の反対方向へ走行させると、方向変換ローラ22,22が第1方向変換ガイド部材6に誘導されて、分岐部18をカーブしながら走行し、本線レール部10に乗り移る。その後、矢印40の反対方向に走行していく。つまり、第1吊下車1は、本線レール部10と第1分岐レール部11とを、相互に乗り移る。
【0026】
次に、図8に示すように、本線レール部10に配設した第2吊下車2を、矢印42の方向へ走行させる。第2吊下車2は、ガイドローラ23,23をスリット部15Aに沿って転動しながら走行し、分岐部18で第1方向変換ガイド部材6の下を潜って、直線走行する。
その後、矢印43の方向へ走行を続け、本線レール部10と第2分岐レール部12との分岐部18で第2方向変換ガイド部材7に誘導されて、第2分岐レール部12に乗り移る。
【0027】
さらに、図示省略するが、第3吊下車3については、第1方向変換ガイド部材6及び第2方向変換ガイド部材7を通過して、第3方向変換ガイド部材8に接触するまで本線レール部10を直線走行し、必ず第3分岐レール部13に誘導されて侵入する。また、第4吊下車4についても、必ず第4分岐レール部14に誘導される。
こうして、方向変換ガイド部材6,7,8,9は、4種類の吊下車1,2,3,4を選別して、分岐レール部11,12,13,14の内の一つに乗り移らせる。
【0028】
以上のように、本発明は、長手方向に連続する下方開口状のスリット部15を有するハンガーレールRが、直線状の本線レール部10と、本線レール部10からT字状に分岐して延設される複数の分岐レール部11,12,13と、を有し、上記ハンガーレールRに吊下されつつスリット部15に沿って移動可能な間仕切り壁を備える移動間仕切り壁構造に於て、上記ハンガーレールRの走行空間16内で上記スリット部15に案内されつつ走行可能に構成されると共に相違する高さ寸法Hの方向変換ローラ22,22を上方突出状に有する複数種類の吊下車1,2,3を具備し、さらに、複数種類の吊下車1,2,3を選別して、本線レール部10から分岐レール部11,12,13の内の一つに乗り移らせるように、方向変換ローラ22の高さ寸法Hに対応して誘導可能な所定の垂下寸法Lに設定した複数種類の方向変換ガイド部材6,7,8を走行空間16内に固設したので、分岐部18で複数種類の吊下車1,2,3を選別して、本線レール部10から分岐レール部11,12,13の内の一つに侵入させることができる。よって、吊下車1,2,3を種類ごとに整理して自動的に振り分けることが可能となる。また、全ての分岐部18…で、方向変換ガイド部材6,7,8を方向変換ローラ22,22に接触して誘導することができ、吊下車1,2,3を確実かつ円滑に、本線レール部10と分岐レール部11,12,13とに、相互に乗り移らせることができる。
【0029】
また、吊下車1,2,3は、間仕切り壁を吊支する基台部20と、基台部20の左右に枢着されハンガーレールRの底壁17上を転動可能な左右一対の重量支持車輪21,21と、を備え、さらに、方向変換ローラ22,22は、基台部20に前後一対付設されると共に鉛直軸心X廻りに回転自在として基台部20の上方の左右中間位置にて枢着され、かつ、方向変換ローラ22,22と同一の鉛直軸心X廻りに回転自在として基台部20の下部の平面視同一位置に配設され方向変換ローラ22,22と同一外径寸法を有すると共にスリット部15に沿って転動可能に枢着される前後一対のガイドローラ23,23を備えているので、吊下車1,2,3が走行する際に、ガイドローラ23,23がスリット部15に案内されつつ重量支持車輪21,21を底壁17上で転動させることで、ハンガーレールRの走行空間16内をスムースに走行することができる。また、吊下車1,2,3が方向変換する際に、ガイドローラ23,23と、方向変換ローラ22,22とが、上下位置で均等に案内されて誘導されるため、円滑にカーブ走行できる。
【0030】
また、本線レール部10と分岐レール部11,12,13の分岐部18に於て、本線レール部10のスリット部15Aと、分岐レール部11,12,13のスリット部15Bは、交差部19で弯曲状に連設されているので、吊下車1,2,3がカーブ走行する際に、ガイドローラ23,23をスリット部15Aからスリット部15Bにスムースに移行して転動させることができ、分岐部18で引っ掛かることなく、本線レール部10と分岐レール部11,12,13の間を相互に乗り移ることができる。
【0031】
また、方向変換ガイド部材6,7,8は、方向変換ローラ22,22と接触しつつ吊下車1,2,3を誘導する平面視凹曲状誘導弯曲面5を有し、誘導弯曲面5は、交差部19の弯曲形と平面視同一形状に形成され、かつ、平面視重複する位置に配設されているので、分岐部18に於て、吊下車1,2,3を、平面視円弧状にカーブ走行させ、確実に方向変換させることができ、本線レール部10から分岐レール部11,12,13にスムースに乗り移らせることができる。また、誘導弯曲面5を比較的大きな曲率に設定することが可能であり、分岐部18をコンパクトに設計することができる。
【0032】
また、吊下車1,2,3が複数種類を混在して走行してくる方向から本線レール部10に沿って順次配設された分岐部18…は、方向変換ガイド部材6,7,8の垂下寸法Lが順次大きく成るように、ハンガーレールRの天井壁27の下面27aに方向変換ガイド部材6,7,8を付設しているので、複数種類の混在した吊下車1,2,3を種類ごとに選別して整理でき、自動的に分岐レール部11,12,13に誘導して振り分けることが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1 (第1)吊下車
2 (第2)吊下車
3 (第3)吊下車
5 平面視凹曲状誘導弯曲面
6 (第1)方向変換ガイド部材
7 (第2)方向変換ガイド部材
8 (第3)方向変換ガイド部材
10 本線レール部
11 (第1)分岐レール部
12 (第2)分岐レール部
13 (第3)分岐レール部
15 スリット部
16 走行空間
17 底壁
18 分岐部
19 交差部
20 基台部
21 重量支持車輪
22 方向変換ローラ
23 ガイドローラ
27 天井壁
27a 下面
R ハンガーレール
H 高さ寸法
L 垂下寸法
X 鉛直軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に連続する下方開口状のスリット部(15)を有するハンガーレール(R)が、直線状の本線レール部(10)と、該本線レール部(10)からT字状に分岐して延設される複数の分岐レール部(11)(12)(13)と、を有し、上記ハンガーレール(R)に吊下されつつ上記スリット部(15)に沿って移動可能な間仕切り壁を備える移動間仕切り壁構造に於て、
上記ハンガーレール(R)の走行空間(16)内で上記スリット部(15)に案内されつつ走行可能に構成されると共に相違する高さ寸法(H)の方向変換ローラ(22)(22)を上方突出状に有する複数種類の吊下車(1)(2)(3)を具備し、
さらに、複数種類の該吊下車(1)(2)(3)を選別して、上記本線レール部(10)から上記分岐レール部(11)(12)(13)の内の一つに乗り移らせるように、上記方向変換ローラ(22)の高さ寸法(H)に対応して誘導可能な所定の垂下寸法(L)に設定した複数種類の方向変換ガイド部材(6)(7)(8)を上記走行空間(16)内に固設したことを特徴とする移動間仕切り壁構造。
【請求項2】
上記吊下車(1)(2)(3)は、上記間仕切り壁を吊支する基台部(20)と、該基台部(20)の左右に枢着され上記ハンガーレール(R)の底壁(17)上を転動可能な左右一対の重量支持車輪(21)(21)と、を備え、
さらに、上記方向変換ローラ(22)(22)は、上記基台部(20)に前後一対付設されると共に鉛直軸心(X)廻りに回転自在として上記基台部(20)の上方の左右中間位置にて枢着され、かつ、該方向変換ローラ(22)(22)と同一の上記鉛直軸心(X)廻りに回転自在として上記基台部(20)の下部の平面視同一位置に配設され上記方向変換ローラ(22)(22)と同一外径寸法を有すると共に上記スリット部(15)に沿って転動可能に枢着される前後一対のガイドローラ(23)(23)を備えた請求項1記載の移動間仕切り壁構造。
【請求項3】
上記本線レール部(10)と上記分岐レール部(11)(12)(13)の分岐部(18)に於て、該本線レール部(10)の上記スリット部(15A)と、該分岐レール部(11)(12)(13)の上記スリット部(15B)は、交差部(19)で弯曲状に連設されている請求項1又は2記載の移動間仕切り壁構造。
【請求項4】
上記方向変換ガイド部材(6)(7)(8)は、上記方向変換ローラ(22)(22)と接触しつつ上記吊下車(1)(2)(3)を誘導する平面視凹曲状誘導弯曲面(5)を有し、
該誘導弯曲面(5)は、上記交差部(19)の弯曲形と平面視同一形状に形成され、かつ、平面視重複する位置に配設されている請求項1,2又は3記載の移動間仕切り壁構造。
【請求項5】
上記吊下車(1)(2)(3)が複数種類を混在して走行してくる方向から上記本線レール部(10)に沿って順次配設された上記分岐部(18)(18)(18)は、上記方向変換ガイド部材(6)(7)(8)の垂下寸法(L)が順次大きく成るように、上記ハンガーレール(R)の天井壁(27)の下面(27a)に上記方向変換ガイド部材(6)(7)(8)を付設している請求項1,2,3又は4記載の移動間仕切り壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−42945(P2011−42945A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190604(P2009−190604)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(504374849)株式会社泉陽商会 (16)