移動間仕切り構造
【課題】簡単に配置可能な移動間仕切り構造を提供する。
【解決手段】天井側に設けられた互いに平行な一対の直線状レール1,1と、レール1,1に対して平面視直交状に配設される間仕切り壁2と、間仕切り壁2を吊下支持する吊下構造体3,3と、を有し、吊下構造体3,3がレール1,1に沿って走行し間仕切り壁2を厚み方向Zに移動するように構成している。
【解決手段】天井側に設けられた互いに平行な一対の直線状レール1,1と、レール1,1に対して平面視直交状に配設される間仕切り壁2と、間仕切り壁2を吊下支持する吊下構造体3,3と、を有し、吊下構造体3,3がレール1,1に沿って走行し間仕切り壁2を厚み方向Zに移動するように構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間を間仕切りする移動間仕切り構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、室内を区画するために、天井から間仕切り壁を吊り下げて間仕切りを行なう移動式の間仕切り構造が広く用いられている。
従来、間仕切り構造は、ガイドレールに沿って走行する吊車を備え、ガイドレール内に配設した2つの吊車に間仕切り壁を吊り下げて、ガイドレールの長手方向に間仕切り壁を移動させて平面視一列状に並べて連結し、間仕切りを行うものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−70483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の移動間仕切り構造は、カーブし、又は、分岐しつつ連続するガイドレールに沿って吊車を走行させるため、間仕切り壁を複数の短冊形状に分割して形成する必要があり、一列に並べてつなぎ合わせる作業に手間と時間がかかる問題があった。
また、ガイドレールのカーブや分岐部に於ける方向変換に対応するために、間仕切り壁を吊り下げる吊車の構造が非常に複雑化して、製作が困難な上に、故障が多くなる虞れがあった。
特に、美術品の展示場や美術館等の室内空間は、比較的広く、天井が高いのが一般的であって、広大な室内空間を間仕切りするため、多数枚の間仕切り壁を必要とし、それ等を一列状態で次々と送って、間仕切る作業が面倒であった。
【0005】
そこで、本発明は、簡単に配置可能な移動間仕切り構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る移動間仕切り構造は、天井側に設けられた互いに平行な一対の直線状レールと、該レールに対して平面視直交状に配設される間仕切り壁と、該間仕切り壁を吊下支持する吊下構造体と、を有し、該吊下構造体が上記レールに沿って走行し上記間仕切り壁を厚み方向に移動するように構成したものである。
また、上記吊下構造体は、電動駆動機構によって走行動作を同調して駆動されるものである。
【0007】
また、上記間仕切り壁は、室内の上記天井及び床の全幅に渡って当接し、かつ、室内の左右の柱の全高さに渡って当接して音及び光を遮断する可動遮音シール機構を有し、該可動遮音シール機構は、上記間仕切り壁の幅寸法に渡って連続する遮断シール部材と、上記間仕切り壁の高さ寸法に渡って連続する可動遮断部材と、室内の四方の隅部を密閉可能な引出小片と、を備えるものである。
また、上記可動遮音シール機構は、弾発取付部材を介して上記間仕切り壁に取着されるものである。
【0008】
また、上記間仕切り壁は、厚み方向に展開可能な揺動抑制部材を備えるものである。
また、上記可動遮音シール機構は、上記間仕切り壁の姿勢を鉛直面状に保持する停止姿勢保持機構を兼用するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の移動間仕切り構造によれば、間仕切り壁を厚み方向に平行移動するのみで配置が完了するため、簡単かつ迅速に間仕切りを行える。また、直線的にのみ走行可能な吊下構造体で間仕切り壁を吊り下げることができ、簡素な構造となって故障が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の移動間仕切り構造の実施の一形態を示した平面図である。
【図2】本発明の移動間仕切り構造を示した正面図である。
【図3】吊下構造体の一例を示した拡大平面図である。
【図4】吊下構造体を示した拡大正面図である。
【図5】吊下構造体を示した拡大側面図である。
【図6】間仕切り構造を示した側面図である。
【図7】揺動抑制部材を示した展開説明図である。
【図8】間仕切り壁の内部を示した正面説明図である。
【図9】間仕切り壁上端面の可動遮音シール機構を示した拡大側面図である。
【図10】間仕切り壁下端面の可動遮音シール機構を示した拡大側面図である。
【図11】間仕切り壁側面の可動遮音シール機構を示した拡大平面図である。
【図12】可動遮音シール機構の遮断状態を示した説明用平面図である。
【図13】可動遮音シール機構を示した要部拡大説明図である。
【図14】可動遮音シール機構を示した要部拡大断面図である。
【図15】可動遮音シール機構を示した要部拡大断面図である。
【図16】可動遮音シール機構の作用説明図である。
【図17】可動遮音シール機構の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
本発明の移動間仕切り構造は、例えば、会社のオフィスや会議室、応接室等の室内空間、あるいは、美術品などの展示会場、宴会場、結婚式場、イベントホール、美術館等の比較的大きな室内空間を、所望の広さの複数の空間に間仕切りするものである。
図1〜図4に示す実施の形態では、天井10側に互いに平行な一対の直線状レール1,1を設け、レール1,1に対して平面視直交状に間仕切り壁2を配設している。間仕切り壁2は、レール1,1の近傍に設けられた吊下構造体3,3により吊下支持されている。
【0012】
レール1は、天井10裏の走行スペース13内に配設されている。Eは、電力供給部である。走行スペース13は、レール1の下方位置に、下方開口状のスリット部15を開設し、レール1に取着した吊下構造体3からスリット部15を通過して吊下杆30を垂下している。
間仕切り壁2は、全体を長方形板状に形成され、壁面20,20をレール1,1に対して垂直面状として配設されている。間仕切り壁2は、上端面21の2箇所に吊下杆30,30を取着して吊持され、室内空間の天井10及び床11、及び、左右の柱12,12との間に僅かな間隙をもって吊り下げられている。
吊下構造体3,3は、レール1,1に案内されて直線的に走行可能であり、間仕切り壁2を壁面20に直交する方向(厚み方向)Zへ移動自在としている。
【0013】
図3〜図5に示すように、レール1は、I型鋼(H型鋼)として、上部に取付部1aを有し、取付部1aに垂直な直進案内部17と、直進案内部17に中央位置を支持されて成る水平状の車輪受け部16と、を有している。レール1は、車輪受け部16の下面にラックギア18を固着し、かつ、レール1の側方位置には、電力供給部Eと通電する架線14が架設されている。
吊下構造体3は、吊下杆30を垂下する水平板部32に、一対の鉛直板部33,33を固着し、夫々の鉛直板部33,33の内方側に、走行軸心L1廻りに回転自在の車輪34,34が枢着されている。車輪34,34は、吊下構造体3の前部、中部及び後部に3組配設されており、レール1の両側から車輪受け部16上に乗せられて、吊下構造体3をレール1に係着している。つまり、車輪34,34は、レール1の車輪受け部16の上で転動自在であり、吊下構造体3をレール1に沿って走行自在としている。
また、吊下構造体3は、鉛直板部33,33の間にギア軸心L2廻りに回転自在の段違い歯車35を枢着している。段違い歯車35は、ラックギア18と同一ピッチの平歯車部35aと、平歯車部35aより小径の小ギア部35bと、を同心状に一体形成している。段違い歯車35は、平歯車部35aをラックギア18に噛合している。
【0014】
さらに、吊下構造体3は、鉛直板部33の外方側に、電気モータからなる電動駆動機構6を付設している。電動駆動機構6は、架線14に対応して摺接可能な集電部31と接続され、架線14を介して電力供給部Eから電力供給を受けている。電動駆動機構6の駆動軸は、鉛直板部33を貫通して、段違い歯車35の小ギア部35bに噛合する駆動ギア6aを取着している。電動駆動機構6は、電力供給を受けて作動し、駆動ギア6aを駆動軸心L3廻りに回転駆動することで、段違い歯車35を回転させ、吊下構造体3に動力を伝達するように構成されている。一対の吊下構造体3,3は、電動駆動機構6,6によって走行動作を同調するように電気的に制御されている。
【0015】
図2に示すように、間仕切り壁2は、骨部材24に、複数の薄板短冊状の表装パネル25…を張り付けて構成されている。骨部材24は、幅方向の通し骨部24aと上下方向の枠骨部24b…とから成る。枠骨部24b…は、隙間無く連結される表装パネル25,25の接続部26に対応して、通し骨部24aから分岐枝状に配設されている。互いに接合する表装パネル25,25は、接続部26から音及び光を通過することのないように枠骨部24bを介して強固に結合される。間仕切り壁2は、十分な強度と剛性を有する一枚物の長方形板状に形成されている。
なお、間仕切り壁2は、例えば、幅寸法W0が6m〜12m、高さ寸法Hが4m〜5m、かつ、厚さ寸法が100mm〜150mm、重量は2t以下に設定している。
【0016】
図6に示すように、間仕切り壁2は、厚み方向Zに展開・収納自在の揺動抑制部材8,8を備えている。揺動抑制部材8,8は、走行時にローラ27,27を展開長さ寸法Dの間隔をもって床11に転動させて間仕切り壁2の下縁が厚み方向Zに揺動するのを防止するものである。揺動抑制部材8,8は、走行時以外には間仕切り壁2の壁面20の内側に収納されている。
図7に示すように、揺動抑制部材8の具体的構成は、間仕切り壁2の下端面22寄りの枢着部28で枠骨部24bに枢着されて水平展開可能な太足部8aを有し、ローラ27を先端に取着すると共に先端寄りを太足部8aに枢着しつつ基端側を枠骨部24bに枢着して太足部8aと枠骨部24bとを斜めに連架する斜め部材8bを折り畳み自在に有している。
【0017】
揺動抑制部材8,8は、太足部8a,8aを水平展開し、その両端にローラ27,27を展開長さ寸法Dをもって床11に支持するように構成している。水平展開状態の太足部8a,8aは、斜め部材8b,8bによって水平姿勢を維持し、間仕切り壁2が垂直状に保たれたまま移動可能に揺動を抑制している。
また、太足部8aを枢着部28を支点に回動させて垂直姿勢とすれば、太足部8aは間仕切り壁2の壁面20の内側に納まり、かつ、斜め部材8bは折り畳まれ太足部8aと共に壁面20の内側に収納されるように取付けられている。即ち、間仕切り壁2の表裏各面に、浅い収納凹所を形成している。なお、揺動抑制部材8は、後述の伝達機構7の邪魔をすることなく間仕切り壁2内に収納されるように構成されている。
【0018】
図8,図9,図10,図11,図12に示すように、間仕切り壁2は、天井10と上端面21、及び、床11と下端面22との間隙を全幅に渡って遮断し、かつ、柱12と左右両端部23,23との間隙を全高さに渡って遮断して、音及び光が通過しないようにする突出・収納自在の可動遮音シール機構4を有している。
可動遮音シール機構4は、幅寸法W0の間仕切り壁2の上端面21及び下端面22に沿って左右方向に連続形成され室内の天井10及び床11に当接して音及び光を遮断する遮断シール部材40,40と、高さ寸法Hの間仕切り壁2の左右両端部23,23に沿って上下方向に連続形成され室内の左右の柱12,12に当接して音及び光を遮断する可動遮断部材42,42と、を有している。
【0019】
遮断シール部材40,40は、間仕切り壁2の上端面21及び下端面22に固着され、間仕切り壁2に内設された伝達機構7によって上下方向にスライドするように構成されている。
可動遮断部材42,42は、間仕切り壁2の左右両端部23,23に外装され、間仕切り壁2に内設された伝達機構7によって左右方向にスライドするように構成されている。
伝達機構7は、電気モータMの動力によって長尺のロット棒29を回転駆動し、ロット棒29にギアボックスを介して連結した複数の棒状押出部材38…を連動させている。押出部材38…は、遮断シール部材40及び可動遮断部材42に力を均等に分散して付加する構造を有しており、電気モータMの作動に伴って遮断シール部材40及び可動遮断部材42を傾斜させることなく均等に押し出してスライドさせるように構成している。
【0020】
図9は、上端面21の可動遮音シール機構4を示した拡大断面図であり、図10は、下端面22の可動遮音シール機構4を示した拡大断面図である。
可動遮音シール機構4の具体的構成を説明すると、遮断シール部材40は、間仕切り壁2の上端面21又は下端面22側に固着される固定部44と、伝達機構7の押出部材38に押し出され又は引き込まれて突出・引込自在の可動部41と、から成る。可動部41には、間仕切り壁2の幅方向に連続するシールパッキン45が設けられている。シールパッキン45は、二色同時成形法で作成されたゴム製のパッキンであり、硬質部分を可動部41に接着して取り付けられ、軟質部分を天井10又は床11に向けて突設している。可動部41は、コイルスプリングから成る弾発取付部材43を介して押出部材38の末端部7aに連結され、弾発力をもって天井10又は床11を押圧するように構成されている。
【0021】
図11は、左右両端部23の可動遮音シール機構4を示した拡大断面図であり、図12は、可動遮音シール機構4の可動遮断部材42が左右両端部23と柱12との間隙を遮断した状態を示した拡大断面図である。
可動遮断部材42は、間仕切り壁2の左右両端部23,23側に固着される固定部46と、伝達機構7の押出部材38に押し出され又は引き込まれて突出・引込自在の可動部47と、から成る。柱12側には、室内の全高さに渡って連続する可撓性の発泡部材48が設けられている。発泡部材48は、発泡樹脂から成るシール性スポンジ48aと、シール性スポンジ48aを柱12に固定する取付部48bから成る。可動部47は、コイルスプリングから成る弾発取付部材49を介して押出部材38の末端部7aに連結され、弾発力をもって柱12の発泡部材48を押圧するように構成されている。
【0022】
図13〜図15に示すように、遮断シール部材40は、可動部41の左右両端部から引出し自在の引出小片39,39を有している。引出小片39は、短角筒状に形成され、外周面にシール部39aを突設している。シール部39aは、ゴム製のシール材であり、可動部41の左右両端部に設けられたスリットに挿通して、床11(天井10)に向けられている。
引出小片39,39は、遮断シール部材40の可動部41の左右両端部に挿入され、かつ、可動遮断部材42の可動部47の上下両端部に係合されており、可動遮断部材42の突出・引込に伴って左右方向に摺動して引き出されるように連結されている。引出小片39,39は、可動遮断部材42に対して上下方向スライド自在であり、遮断シール部材40の可動部41が昇降するのを妨げることなく保持されている。
つまり、可動遮音シール機構4は、天井10及び床11室内の全幅に渡って音及び光を遮断し、かつ、室内の柱12,12の全高さに渡って音及び光を遮断するように構成されている。
また、可動遮音シール機構4は、遮断シール部材40を天井10及び床11に押し当て、かつ、可動遮断部材42を柱12に押し当てて、間仕切り壁2の姿勢を鉛直状に静止保持する停止姿勢保持機構5としても機能している。つまり、間仕切り壁2は、遮断シール部材40と可動遮断部材42とを、可動遮音シール機構4及び停止姿勢保持機構5として兼用している。
【0023】
上述した本発明の移動間仕切り構造の使用方法(作用)について説明する。
図1及び図2に示すように、格納庫K内(又は、空間の一壁面に近接して)に格納されている間仕切り壁2は、直線状に延設されるレール1,1に沿って厚み方向Zに移動する。間仕切り壁2は、吊下構造体3,3の電動駆動機構6,6により駆動され、レール1,1のラックギア18,18に沿って壁面20の直交方向へ移動力を付与され、室内空間の所定区画位置に順次配設されていく。この際、吊下構造体3,3は、間仕切り壁2が揺動することのないようレール1,1に沿って直線走行し、かつ、電気的制御方法によって左右側端縁の走行速度を同調して駆動される。また、図6に示すように、間仕切り壁2は、進行方向前後一対に揺動抑制部材8,8を展開しつつ移動し、床11にローラ27,27を転動して間仕切り壁2の下部を安定させることで、間仕切り壁2全体が揺動するのを防止する。
【0024】
間仕切り壁2は、機械的感知方法によって停止制御され、所定区画位置に配設され、室内空間を間仕切りする。所定区画位置に到達するまでの間に、移動経路に人が居たり、又は、障害物との接触の虞れがある場合には、機械的感知方法による緊急停止が行われる。
【0025】
次に、停止した間仕切り壁2の揺動抑制部材8,8を収納し、壁面20,20を平坦に外装する。
その後、間仕切り壁2内部の電気モータM…を作動させ、可動遮音シール機構4を、天井10、床11及び柱12,12に向けて押し出す。
先ず、図16に示すように、可動遮断部材42に連結した伝達機構7を駆動し、可動部47を図中矢印A方向にスライドする。可動部47は、引出小片39,39をA方向に引き出しつつ柱12の発泡部材48に当接する。可動遮断部材42は、弾発取付部材49の弾発力をもって可動部47を発泡部材48に押し付ける。
次に、図17に示すように、遮断シール部材40に連結した伝達機構7を駆動し、可動部41を図中矢印B方向にスライドする。可動部41は、引出小片39,39を引き連れてB方向に降下しつつ床11(天井10)に当接する。遮断シール部材40は、弾発取付部材43の弾発力をもって可動部41のシールパッキン45及び引出小片39のシール部39aを床11(天井10)に押し付ける。このようにして、可動遮音シール機構4は、室内の四方に形成される隅部37…を、引出小片39…によって遮蔽する。
つまり、可動遮音シール機構4は、遮断シール部材40,40により室内の天井10及び床11の全幅に渡って隙間が生じないように遮断し、かつ、可動遮断部材42,42により室内の左右の柱12,12の全高さに渡って隙間が生じないように遮断し、さらに、四方の隅部37…を引出小片39…で密閉し、音及び光が通過しないように遮断する。
また、可動遮音シール機構4と兼用の停止姿勢保持機構5は、室内の天井10及び床11の全幅に渡ってシールパッキン45及びシール部39aを天井10及び床11に滑動しないように押圧し、かつ、室内の左右の柱12,12の全高さに渡って発泡部材48を押圧して、静止状態で間仕切り壁2を固定し、揺動を防止する。
【0026】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、図7及び図8に於て、伝達機構7は、下端の遮断シール部材40に対応するロット棒29が揺動抑制部材8,8の間を通過して、右端の押出部材38Rと左端の押出部材38Lを連動させるように構成したが、ロット棒29が揺動抑制部材8,8の間を通過することなく、右端の押出部材38Rを右側のロット棒29Rに連結し、かつ、左端の押出部材38Lを左側のロット棒29Lに連結するもよい。この際、電気モータM…は、電気的制御によって同期させて作動し、可動遮音シール機構4を駆動するものとする。
【0027】
以上のように、本発明は、天井10側に設けられた互いに平行な一対の直線状レール1,1と、レール1,1に対して平面視直交状に配設される間仕切り壁2と、間仕切り壁2を吊下支持する吊下構造体3,3と、を有し、吊下構造体3,3がレール1,1に沿って走行し間仕切り壁2を厚み方向Zに移動するように構成したので、間仕切り壁2を方向変換させることなく平行に移動するのみで所定区画位置に配設でき、一枚物の間仕切り壁2を一回の移動動作で配置完了できる。これによって、簡単かつ迅速に間仕切りを行える。また、直線的にのみ走行可能な吊下構造体3,3で間仕切り壁2を吊り下げることができ、簡素な構造とすることができ、容易かつ安価に製作が可能で、しかも、故障が少ない。
【0028】
また、吊下構造体3,3は、電動駆動機構6,6によって走行動作を同調して駆動されるので、間仕切り壁2の移動動作を電気的方法で制御することができ、より一層簡単かつ迅速に間仕切りを行える。また、間仕切り壁2を精度よく所定区画位置に配設でき、作業効率が向上する。
【0029】
また、間仕切り壁2は、室内の天井10及び床11の全幅に渡って当接し、かつ、室内の左右の柱12,12の全高さに渡って当接して音及び光を遮断する可動遮音シール機構4を有し、可動遮音シール機構4は、間仕切り壁2の幅寸法W0に渡って連続する遮断シール部材40,40と、間仕切り壁2の高さ寸法Hに渡って連続する可動遮断部材42,42と、室内の四方の隅部37…を密閉可能な引出小片39…と、を備えるので、室内空間を確実に遮音して間仕切りすることができる。可動遮音シール機構4は、室内の全幅及び全高さに渡って途切れることなく連続して音を遮断できるため、遮音性が高い。また、少ない遮断動作で遮音が完了するため、簡単かつ迅速に間仕切り壁2の設置作業を完了できる。
【0030】
また、可動遮音シール機構4は、弾発取付部材43,49を介して間仕切り壁2に取着されるので、可動遮音シール機構4は、室内の全幅及び全高さに渡って隙間が生じないように弾接して、確実に音を遮断できる。
【0031】
また、間仕切り壁2は、厚み方向に展開可能な揺動抑制部材8,8を備えるので、間仕切り壁2を揺動させることなく安全に移動することができる。また、非走行時には、壁面20内に装入して邪魔になることなく収納可能である。
【0032】
また、可動遮音シール機構4は、間仕切り壁2の姿勢を鉛直面状に保持する停止姿勢保持機構5を兼用するので、間仕切り壁2を鉛直面状に静止させ、安全に展示を行なうことができる。
【符号の説明】
【0033】
1 レール
2 間仕切り壁
3 吊下構造体
4 可動遮音シール機構
5 停止姿勢保持機構
6 電動駆動機構
8 揺動抑制部材
10 天井
21 上端面
22 下端面
23 左右両端部
37 隅部
39 引出小片
40 遮断シール部材
42 可動遮断部材
43 弾発取付部材
49 弾発取付部材
W0 幅寸法
H 高さ寸法
Z 厚み方向(直交する方向)
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間を間仕切りする移動間仕切り構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、室内を区画するために、天井から間仕切り壁を吊り下げて間仕切りを行なう移動式の間仕切り構造が広く用いられている。
従来、間仕切り構造は、ガイドレールに沿って走行する吊車を備え、ガイドレール内に配設した2つの吊車に間仕切り壁を吊り下げて、ガイドレールの長手方向に間仕切り壁を移動させて平面視一列状に並べて連結し、間仕切りを行うものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−70483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の移動間仕切り構造は、カーブし、又は、分岐しつつ連続するガイドレールに沿って吊車を走行させるため、間仕切り壁を複数の短冊形状に分割して形成する必要があり、一列に並べてつなぎ合わせる作業に手間と時間がかかる問題があった。
また、ガイドレールのカーブや分岐部に於ける方向変換に対応するために、間仕切り壁を吊り下げる吊車の構造が非常に複雑化して、製作が困難な上に、故障が多くなる虞れがあった。
特に、美術品の展示場や美術館等の室内空間は、比較的広く、天井が高いのが一般的であって、広大な室内空間を間仕切りするため、多数枚の間仕切り壁を必要とし、それ等を一列状態で次々と送って、間仕切る作業が面倒であった。
【0005】
そこで、本発明は、簡単に配置可能な移動間仕切り構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る移動間仕切り構造は、天井側に設けられた互いに平行な一対の直線状レールと、該レールに対して平面視直交状に配設される間仕切り壁と、該間仕切り壁を吊下支持する吊下構造体と、を有し、該吊下構造体が上記レールに沿って走行し上記間仕切り壁を厚み方向に移動するように構成したものである。
また、上記吊下構造体は、電動駆動機構によって走行動作を同調して駆動されるものである。
【0007】
また、上記間仕切り壁は、室内の上記天井及び床の全幅に渡って当接し、かつ、室内の左右の柱の全高さに渡って当接して音及び光を遮断する可動遮音シール機構を有し、該可動遮音シール機構は、上記間仕切り壁の幅寸法に渡って連続する遮断シール部材と、上記間仕切り壁の高さ寸法に渡って連続する可動遮断部材と、室内の四方の隅部を密閉可能な引出小片と、を備えるものである。
また、上記可動遮音シール機構は、弾発取付部材を介して上記間仕切り壁に取着されるものである。
【0008】
また、上記間仕切り壁は、厚み方向に展開可能な揺動抑制部材を備えるものである。
また、上記可動遮音シール機構は、上記間仕切り壁の姿勢を鉛直面状に保持する停止姿勢保持機構を兼用するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の移動間仕切り構造によれば、間仕切り壁を厚み方向に平行移動するのみで配置が完了するため、簡単かつ迅速に間仕切りを行える。また、直線的にのみ走行可能な吊下構造体で間仕切り壁を吊り下げることができ、簡素な構造となって故障が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の移動間仕切り構造の実施の一形態を示した平面図である。
【図2】本発明の移動間仕切り構造を示した正面図である。
【図3】吊下構造体の一例を示した拡大平面図である。
【図4】吊下構造体を示した拡大正面図である。
【図5】吊下構造体を示した拡大側面図である。
【図6】間仕切り構造を示した側面図である。
【図7】揺動抑制部材を示した展開説明図である。
【図8】間仕切り壁の内部を示した正面説明図である。
【図9】間仕切り壁上端面の可動遮音シール機構を示した拡大側面図である。
【図10】間仕切り壁下端面の可動遮音シール機構を示した拡大側面図である。
【図11】間仕切り壁側面の可動遮音シール機構を示した拡大平面図である。
【図12】可動遮音シール機構の遮断状態を示した説明用平面図である。
【図13】可動遮音シール機構を示した要部拡大説明図である。
【図14】可動遮音シール機構を示した要部拡大断面図である。
【図15】可動遮音シール機構を示した要部拡大断面図である。
【図16】可動遮音シール機構の作用説明図である。
【図17】可動遮音シール機構の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
本発明の移動間仕切り構造は、例えば、会社のオフィスや会議室、応接室等の室内空間、あるいは、美術品などの展示会場、宴会場、結婚式場、イベントホール、美術館等の比較的大きな室内空間を、所望の広さの複数の空間に間仕切りするものである。
図1〜図4に示す実施の形態では、天井10側に互いに平行な一対の直線状レール1,1を設け、レール1,1に対して平面視直交状に間仕切り壁2を配設している。間仕切り壁2は、レール1,1の近傍に設けられた吊下構造体3,3により吊下支持されている。
【0012】
レール1は、天井10裏の走行スペース13内に配設されている。Eは、電力供給部である。走行スペース13は、レール1の下方位置に、下方開口状のスリット部15を開設し、レール1に取着した吊下構造体3からスリット部15を通過して吊下杆30を垂下している。
間仕切り壁2は、全体を長方形板状に形成され、壁面20,20をレール1,1に対して垂直面状として配設されている。間仕切り壁2は、上端面21の2箇所に吊下杆30,30を取着して吊持され、室内空間の天井10及び床11、及び、左右の柱12,12との間に僅かな間隙をもって吊り下げられている。
吊下構造体3,3は、レール1,1に案内されて直線的に走行可能であり、間仕切り壁2を壁面20に直交する方向(厚み方向)Zへ移動自在としている。
【0013】
図3〜図5に示すように、レール1は、I型鋼(H型鋼)として、上部に取付部1aを有し、取付部1aに垂直な直進案内部17と、直進案内部17に中央位置を支持されて成る水平状の車輪受け部16と、を有している。レール1は、車輪受け部16の下面にラックギア18を固着し、かつ、レール1の側方位置には、電力供給部Eと通電する架線14が架設されている。
吊下構造体3は、吊下杆30を垂下する水平板部32に、一対の鉛直板部33,33を固着し、夫々の鉛直板部33,33の内方側に、走行軸心L1廻りに回転自在の車輪34,34が枢着されている。車輪34,34は、吊下構造体3の前部、中部及び後部に3組配設されており、レール1の両側から車輪受け部16上に乗せられて、吊下構造体3をレール1に係着している。つまり、車輪34,34は、レール1の車輪受け部16の上で転動自在であり、吊下構造体3をレール1に沿って走行自在としている。
また、吊下構造体3は、鉛直板部33,33の間にギア軸心L2廻りに回転自在の段違い歯車35を枢着している。段違い歯車35は、ラックギア18と同一ピッチの平歯車部35aと、平歯車部35aより小径の小ギア部35bと、を同心状に一体形成している。段違い歯車35は、平歯車部35aをラックギア18に噛合している。
【0014】
さらに、吊下構造体3は、鉛直板部33の外方側に、電気モータからなる電動駆動機構6を付設している。電動駆動機構6は、架線14に対応して摺接可能な集電部31と接続され、架線14を介して電力供給部Eから電力供給を受けている。電動駆動機構6の駆動軸は、鉛直板部33を貫通して、段違い歯車35の小ギア部35bに噛合する駆動ギア6aを取着している。電動駆動機構6は、電力供給を受けて作動し、駆動ギア6aを駆動軸心L3廻りに回転駆動することで、段違い歯車35を回転させ、吊下構造体3に動力を伝達するように構成されている。一対の吊下構造体3,3は、電動駆動機構6,6によって走行動作を同調するように電気的に制御されている。
【0015】
図2に示すように、間仕切り壁2は、骨部材24に、複数の薄板短冊状の表装パネル25…を張り付けて構成されている。骨部材24は、幅方向の通し骨部24aと上下方向の枠骨部24b…とから成る。枠骨部24b…は、隙間無く連結される表装パネル25,25の接続部26に対応して、通し骨部24aから分岐枝状に配設されている。互いに接合する表装パネル25,25は、接続部26から音及び光を通過することのないように枠骨部24bを介して強固に結合される。間仕切り壁2は、十分な強度と剛性を有する一枚物の長方形板状に形成されている。
なお、間仕切り壁2は、例えば、幅寸法W0が6m〜12m、高さ寸法Hが4m〜5m、かつ、厚さ寸法が100mm〜150mm、重量は2t以下に設定している。
【0016】
図6に示すように、間仕切り壁2は、厚み方向Zに展開・収納自在の揺動抑制部材8,8を備えている。揺動抑制部材8,8は、走行時にローラ27,27を展開長さ寸法Dの間隔をもって床11に転動させて間仕切り壁2の下縁が厚み方向Zに揺動するのを防止するものである。揺動抑制部材8,8は、走行時以外には間仕切り壁2の壁面20の内側に収納されている。
図7に示すように、揺動抑制部材8の具体的構成は、間仕切り壁2の下端面22寄りの枢着部28で枠骨部24bに枢着されて水平展開可能な太足部8aを有し、ローラ27を先端に取着すると共に先端寄りを太足部8aに枢着しつつ基端側を枠骨部24bに枢着して太足部8aと枠骨部24bとを斜めに連架する斜め部材8bを折り畳み自在に有している。
【0017】
揺動抑制部材8,8は、太足部8a,8aを水平展開し、その両端にローラ27,27を展開長さ寸法Dをもって床11に支持するように構成している。水平展開状態の太足部8a,8aは、斜め部材8b,8bによって水平姿勢を維持し、間仕切り壁2が垂直状に保たれたまま移動可能に揺動を抑制している。
また、太足部8aを枢着部28を支点に回動させて垂直姿勢とすれば、太足部8aは間仕切り壁2の壁面20の内側に納まり、かつ、斜め部材8bは折り畳まれ太足部8aと共に壁面20の内側に収納されるように取付けられている。即ち、間仕切り壁2の表裏各面に、浅い収納凹所を形成している。なお、揺動抑制部材8は、後述の伝達機構7の邪魔をすることなく間仕切り壁2内に収納されるように構成されている。
【0018】
図8,図9,図10,図11,図12に示すように、間仕切り壁2は、天井10と上端面21、及び、床11と下端面22との間隙を全幅に渡って遮断し、かつ、柱12と左右両端部23,23との間隙を全高さに渡って遮断して、音及び光が通過しないようにする突出・収納自在の可動遮音シール機構4を有している。
可動遮音シール機構4は、幅寸法W0の間仕切り壁2の上端面21及び下端面22に沿って左右方向に連続形成され室内の天井10及び床11に当接して音及び光を遮断する遮断シール部材40,40と、高さ寸法Hの間仕切り壁2の左右両端部23,23に沿って上下方向に連続形成され室内の左右の柱12,12に当接して音及び光を遮断する可動遮断部材42,42と、を有している。
【0019】
遮断シール部材40,40は、間仕切り壁2の上端面21及び下端面22に固着され、間仕切り壁2に内設された伝達機構7によって上下方向にスライドするように構成されている。
可動遮断部材42,42は、間仕切り壁2の左右両端部23,23に外装され、間仕切り壁2に内設された伝達機構7によって左右方向にスライドするように構成されている。
伝達機構7は、電気モータMの動力によって長尺のロット棒29を回転駆動し、ロット棒29にギアボックスを介して連結した複数の棒状押出部材38…を連動させている。押出部材38…は、遮断シール部材40及び可動遮断部材42に力を均等に分散して付加する構造を有しており、電気モータMの作動に伴って遮断シール部材40及び可動遮断部材42を傾斜させることなく均等に押し出してスライドさせるように構成している。
【0020】
図9は、上端面21の可動遮音シール機構4を示した拡大断面図であり、図10は、下端面22の可動遮音シール機構4を示した拡大断面図である。
可動遮音シール機構4の具体的構成を説明すると、遮断シール部材40は、間仕切り壁2の上端面21又は下端面22側に固着される固定部44と、伝達機構7の押出部材38に押し出され又は引き込まれて突出・引込自在の可動部41と、から成る。可動部41には、間仕切り壁2の幅方向に連続するシールパッキン45が設けられている。シールパッキン45は、二色同時成形法で作成されたゴム製のパッキンであり、硬質部分を可動部41に接着して取り付けられ、軟質部分を天井10又は床11に向けて突設している。可動部41は、コイルスプリングから成る弾発取付部材43を介して押出部材38の末端部7aに連結され、弾発力をもって天井10又は床11を押圧するように構成されている。
【0021】
図11は、左右両端部23の可動遮音シール機構4を示した拡大断面図であり、図12は、可動遮音シール機構4の可動遮断部材42が左右両端部23と柱12との間隙を遮断した状態を示した拡大断面図である。
可動遮断部材42は、間仕切り壁2の左右両端部23,23側に固着される固定部46と、伝達機構7の押出部材38に押し出され又は引き込まれて突出・引込自在の可動部47と、から成る。柱12側には、室内の全高さに渡って連続する可撓性の発泡部材48が設けられている。発泡部材48は、発泡樹脂から成るシール性スポンジ48aと、シール性スポンジ48aを柱12に固定する取付部48bから成る。可動部47は、コイルスプリングから成る弾発取付部材49を介して押出部材38の末端部7aに連結され、弾発力をもって柱12の発泡部材48を押圧するように構成されている。
【0022】
図13〜図15に示すように、遮断シール部材40は、可動部41の左右両端部から引出し自在の引出小片39,39を有している。引出小片39は、短角筒状に形成され、外周面にシール部39aを突設している。シール部39aは、ゴム製のシール材であり、可動部41の左右両端部に設けられたスリットに挿通して、床11(天井10)に向けられている。
引出小片39,39は、遮断シール部材40の可動部41の左右両端部に挿入され、かつ、可動遮断部材42の可動部47の上下両端部に係合されており、可動遮断部材42の突出・引込に伴って左右方向に摺動して引き出されるように連結されている。引出小片39,39は、可動遮断部材42に対して上下方向スライド自在であり、遮断シール部材40の可動部41が昇降するのを妨げることなく保持されている。
つまり、可動遮音シール機構4は、天井10及び床11室内の全幅に渡って音及び光を遮断し、かつ、室内の柱12,12の全高さに渡って音及び光を遮断するように構成されている。
また、可動遮音シール機構4は、遮断シール部材40を天井10及び床11に押し当て、かつ、可動遮断部材42を柱12に押し当てて、間仕切り壁2の姿勢を鉛直状に静止保持する停止姿勢保持機構5としても機能している。つまり、間仕切り壁2は、遮断シール部材40と可動遮断部材42とを、可動遮音シール機構4及び停止姿勢保持機構5として兼用している。
【0023】
上述した本発明の移動間仕切り構造の使用方法(作用)について説明する。
図1及び図2に示すように、格納庫K内(又は、空間の一壁面に近接して)に格納されている間仕切り壁2は、直線状に延設されるレール1,1に沿って厚み方向Zに移動する。間仕切り壁2は、吊下構造体3,3の電動駆動機構6,6により駆動され、レール1,1のラックギア18,18に沿って壁面20の直交方向へ移動力を付与され、室内空間の所定区画位置に順次配設されていく。この際、吊下構造体3,3は、間仕切り壁2が揺動することのないようレール1,1に沿って直線走行し、かつ、電気的制御方法によって左右側端縁の走行速度を同調して駆動される。また、図6に示すように、間仕切り壁2は、進行方向前後一対に揺動抑制部材8,8を展開しつつ移動し、床11にローラ27,27を転動して間仕切り壁2の下部を安定させることで、間仕切り壁2全体が揺動するのを防止する。
【0024】
間仕切り壁2は、機械的感知方法によって停止制御され、所定区画位置に配設され、室内空間を間仕切りする。所定区画位置に到達するまでの間に、移動経路に人が居たり、又は、障害物との接触の虞れがある場合には、機械的感知方法による緊急停止が行われる。
【0025】
次に、停止した間仕切り壁2の揺動抑制部材8,8を収納し、壁面20,20を平坦に外装する。
その後、間仕切り壁2内部の電気モータM…を作動させ、可動遮音シール機構4を、天井10、床11及び柱12,12に向けて押し出す。
先ず、図16に示すように、可動遮断部材42に連結した伝達機構7を駆動し、可動部47を図中矢印A方向にスライドする。可動部47は、引出小片39,39をA方向に引き出しつつ柱12の発泡部材48に当接する。可動遮断部材42は、弾発取付部材49の弾発力をもって可動部47を発泡部材48に押し付ける。
次に、図17に示すように、遮断シール部材40に連結した伝達機構7を駆動し、可動部41を図中矢印B方向にスライドする。可動部41は、引出小片39,39を引き連れてB方向に降下しつつ床11(天井10)に当接する。遮断シール部材40は、弾発取付部材43の弾発力をもって可動部41のシールパッキン45及び引出小片39のシール部39aを床11(天井10)に押し付ける。このようにして、可動遮音シール機構4は、室内の四方に形成される隅部37…を、引出小片39…によって遮蔽する。
つまり、可動遮音シール機構4は、遮断シール部材40,40により室内の天井10及び床11の全幅に渡って隙間が生じないように遮断し、かつ、可動遮断部材42,42により室内の左右の柱12,12の全高さに渡って隙間が生じないように遮断し、さらに、四方の隅部37…を引出小片39…で密閉し、音及び光が通過しないように遮断する。
また、可動遮音シール機構4と兼用の停止姿勢保持機構5は、室内の天井10及び床11の全幅に渡ってシールパッキン45及びシール部39aを天井10及び床11に滑動しないように押圧し、かつ、室内の左右の柱12,12の全高さに渡って発泡部材48を押圧して、静止状態で間仕切り壁2を固定し、揺動を防止する。
【0026】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、図7及び図8に於て、伝達機構7は、下端の遮断シール部材40に対応するロット棒29が揺動抑制部材8,8の間を通過して、右端の押出部材38Rと左端の押出部材38Lを連動させるように構成したが、ロット棒29が揺動抑制部材8,8の間を通過することなく、右端の押出部材38Rを右側のロット棒29Rに連結し、かつ、左端の押出部材38Lを左側のロット棒29Lに連結するもよい。この際、電気モータM…は、電気的制御によって同期させて作動し、可動遮音シール機構4を駆動するものとする。
【0027】
以上のように、本発明は、天井10側に設けられた互いに平行な一対の直線状レール1,1と、レール1,1に対して平面視直交状に配設される間仕切り壁2と、間仕切り壁2を吊下支持する吊下構造体3,3と、を有し、吊下構造体3,3がレール1,1に沿って走行し間仕切り壁2を厚み方向Zに移動するように構成したので、間仕切り壁2を方向変換させることなく平行に移動するのみで所定区画位置に配設でき、一枚物の間仕切り壁2を一回の移動動作で配置完了できる。これによって、簡単かつ迅速に間仕切りを行える。また、直線的にのみ走行可能な吊下構造体3,3で間仕切り壁2を吊り下げることができ、簡素な構造とすることができ、容易かつ安価に製作が可能で、しかも、故障が少ない。
【0028】
また、吊下構造体3,3は、電動駆動機構6,6によって走行動作を同調して駆動されるので、間仕切り壁2の移動動作を電気的方法で制御することができ、より一層簡単かつ迅速に間仕切りを行える。また、間仕切り壁2を精度よく所定区画位置に配設でき、作業効率が向上する。
【0029】
また、間仕切り壁2は、室内の天井10及び床11の全幅に渡って当接し、かつ、室内の左右の柱12,12の全高さに渡って当接して音及び光を遮断する可動遮音シール機構4を有し、可動遮音シール機構4は、間仕切り壁2の幅寸法W0に渡って連続する遮断シール部材40,40と、間仕切り壁2の高さ寸法Hに渡って連続する可動遮断部材42,42と、室内の四方の隅部37…を密閉可能な引出小片39…と、を備えるので、室内空間を確実に遮音して間仕切りすることができる。可動遮音シール機構4は、室内の全幅及び全高さに渡って途切れることなく連続して音を遮断できるため、遮音性が高い。また、少ない遮断動作で遮音が完了するため、簡単かつ迅速に間仕切り壁2の設置作業を完了できる。
【0030】
また、可動遮音シール機構4は、弾発取付部材43,49を介して間仕切り壁2に取着されるので、可動遮音シール機構4は、室内の全幅及び全高さに渡って隙間が生じないように弾接して、確実に音を遮断できる。
【0031】
また、間仕切り壁2は、厚み方向に展開可能な揺動抑制部材8,8を備えるので、間仕切り壁2を揺動させることなく安全に移動することができる。また、非走行時には、壁面20内に装入して邪魔になることなく収納可能である。
【0032】
また、可動遮音シール機構4は、間仕切り壁2の姿勢を鉛直面状に保持する停止姿勢保持機構5を兼用するので、間仕切り壁2を鉛直面状に静止させ、安全に展示を行なうことができる。
【符号の説明】
【0033】
1 レール
2 間仕切り壁
3 吊下構造体
4 可動遮音シール機構
5 停止姿勢保持機構
6 電動駆動機構
8 揺動抑制部材
10 天井
21 上端面
22 下端面
23 左右両端部
37 隅部
39 引出小片
40 遮断シール部材
42 可動遮断部材
43 弾発取付部材
49 弾発取付部材
W0 幅寸法
H 高さ寸法
Z 厚み方向(直交する方向)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井(10)側に設けられた互いに平行な一対の直線状レール(1)(1)と、該レール(1)(1)に対して平面視直交状に配設される間仕切り壁(2)と、該間仕切り壁(2)を吊下支持する吊下構造体(3)(3)と、を有し、
該吊下構造体(3)(3)が上記レール(1)(1)に沿って走行し上記間仕切り壁(2)を厚み方向(Z)に移動するように構成したことを特徴とする移動間仕切り構造。
【請求項2】
上記吊下構造体(3)(3)は、電動駆動機構(6)(6)によって走行動作を同調して駆動される請求項1記載の移動間仕切り構造。
【請求項3】
上記間仕切り壁(2)は、室内の上記天井(10)及び床(11)の全幅に渡って当接し、かつ、室内の左右の柱(12)(12)の全高さに渡って当接して音及び光を遮断する可動遮音シール機構(4)を有し、該可動遮音シール機構(4)は、上記間仕切り壁(2)の幅寸法(W0)に渡って連続する遮断シール部材(40)(40)と、上記間仕切り壁(2)の高さ寸法(H)に渡って連続する可動遮断部材(42)(42)と、室内の四方の隅部(37)…を密閉可能な引出小片(39)…と、を備える請求項1又は2記載の移動間仕切り構造。
【請求項4】
上記可動遮音シール機構(4)は、弾発取付部材(43)(49)を介して上記間仕切り壁(2)に取着される請求項1,2又は3記載の移動間仕切り構造。
【請求項5】
上記間仕切り壁(2)は、厚み方向に展開可能な揺動抑制部材(8)(8)を備える請求項1,2,3又は4記載の移動間仕切り構造。
【請求項6】
上記可動遮音シール機構(4)は、上記間仕切り壁(2)の姿勢を鉛直面状に保持する停止姿勢保持機構(5)を兼用する請求項1,2,3,4又は5記載の移動間仕切り構造。
【請求項1】
天井(10)側に設けられた互いに平行な一対の直線状レール(1)(1)と、該レール(1)(1)に対して平面視直交状に配設される間仕切り壁(2)と、該間仕切り壁(2)を吊下支持する吊下構造体(3)(3)と、を有し、
該吊下構造体(3)(3)が上記レール(1)(1)に沿って走行し上記間仕切り壁(2)を厚み方向(Z)に移動するように構成したことを特徴とする移動間仕切り構造。
【請求項2】
上記吊下構造体(3)(3)は、電動駆動機構(6)(6)によって走行動作を同調して駆動される請求項1記載の移動間仕切り構造。
【請求項3】
上記間仕切り壁(2)は、室内の上記天井(10)及び床(11)の全幅に渡って当接し、かつ、室内の左右の柱(12)(12)の全高さに渡って当接して音及び光を遮断する可動遮音シール機構(4)を有し、該可動遮音シール機構(4)は、上記間仕切り壁(2)の幅寸法(W0)に渡って連続する遮断シール部材(40)(40)と、上記間仕切り壁(2)の高さ寸法(H)に渡って連続する可動遮断部材(42)(42)と、室内の四方の隅部(37)…を密閉可能な引出小片(39)…と、を備える請求項1又は2記載の移動間仕切り構造。
【請求項4】
上記可動遮音シール機構(4)は、弾発取付部材(43)(49)を介して上記間仕切り壁(2)に取着される請求項1,2又は3記載の移動間仕切り構造。
【請求項5】
上記間仕切り壁(2)は、厚み方向に展開可能な揺動抑制部材(8)(8)を備える請求項1,2,3又は4記載の移動間仕切り構造。
【請求項6】
上記可動遮音シール機構(4)は、上記間仕切り壁(2)の姿勢を鉛直面状に保持する停止姿勢保持機構(5)を兼用する請求項1,2,3,4又は5記載の移動間仕切り構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−140747(P2011−140747A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−304(P2010−304)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(504374849)株式会社泉陽商会 (16)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(504374849)株式会社泉陽商会 (16)
[ Back to top ]