説明

移動防止手段

【課題】挿口管の受口管からの離脱の防止だけでなく、挿口管の受口管への過挿入をも防止することができる移動防止手段を提供すること。
【解決手段】係止部8は、傾斜部8c,9aを介して押圧部9に押圧されることで、挿口部2の外周面2aに第1爪8aと第2爪8bとを係止させ、挿口管4の受口管5からの離脱を防止する移動防止手段であって、凹部7内に、挿口管4の挿入方向と対向する対向面7aが形成されており、係止部8は、対向面7aに向けて膨出する膨出部8dを備えるとともに、凹部7内に押圧部9に押圧されて配置され、対向面7aと当接した膨出部8dを中心に回動するように形成配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、係止部が、押圧部に押圧されることで傾斜部から受ける挿口管側を向く押圧力によって、挿口部の外周面に第1爪と第2爪とを係止させ、挿口管の受口管からの離脱を防止する移動防止手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の移動防止手段としては、例えば、端部に挿口(挿口部)を有する管(挿口管)と、この挿口が挿入される受口(受口部)を有する管(受口管)と、を備えており、受口の端部には、受口に挿入された挿口を全周に亘って囲む押輪が設けられている。この押輪には、半径方向内方に向かって形成された凹所(凹部)と、管軸方向に間隔をあけて一対の爪(第1爪,第2爪)を有し、凹所に収納されている楔部材(係止部)と、楔部材を軸部で半径方向内方に向けて押圧するボルト(押圧部)と、を備え、ボルトの押圧により挿口に係止された楔部材の爪によって、挿口の受口からの離脱が阻止されている。このような移動防止手段では、楔部材は管軸方向に対して角度θをなす傾斜面を有するとともに、ボルトの管軸は傾斜面に対して垂直となるように傾斜面を押圧しており、挿口の受口からの離脱方向への移動によってボルトから楔部材への押圧力が増加し、爪の挿口への係止が深まることで挿口の受口からの離脱の阻止をより強固にしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−196266号公報(第4頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、楔部材(係止部)は、凹所(凹部)内に凹所の受口(受口部)側内面と当接した状態でボルト(押圧部)によって半径方向内方に向けて押圧固定されているため、挿口(挿口部)を有する管(挿口管)に受口を有する管(受口管)側を向く力が加わった場合には、楔部材の爪(第1爪,第2爪)の挿口に対する食い込みが困難となるとともに、挿口を有する管の受口を有する管に向けての過挿入が発生してしまい、最終的には挿口が受口内に衝突することで両管が破損してしまう虞があるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、挿口管の受口管からの離脱の防止だけでなく、挿口管の受口管への過挿入をも防止することができる移動防止手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の移動防止手段は、
挿口管の挿口部の周方向に沿って形成され、該挿口部の外周面と係止する第1爪、及び該第1爪から管軸方向の前記挿口管端部側に離間配置され、該挿口部の外周面と係止する第2爪を有する係止部と、前記挿口部が挿入される受口管の受口部に形成され、前記挿口部の外周面に向けて開口し前記係止部を内部に収納する凹部と、該凹部内で前記係止部を前記挿口部の外周面に向けて押圧する押圧部と、を備え、
該押圧部と前記係止部との両当接部の少なくとも一方は、管軸方向に前記挿口管端部側に向けて拡径方向に傾斜をなす傾斜部に形成され、
前記係止部は、前記傾斜部を介して前記押圧部に押圧されることで、前記挿口部の外周面に前記第1爪と前記第2爪とを係止させ、前記挿口管の前記受口管からの離脱を防止する移動防止手段であって、
前記凹部内に、前記挿口管の挿入方向と対向する対向面が形成されており、
前記係止部は、前記対向面に向けて膨出する膨出部を備えるとともに、前記凹部内に前記押圧部に押圧されて配置され、前記対向面と当接した前記膨出部を中心に回動するように形成配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、係止部には、挿口管が管軸方向挿口管端部側に移動することで第1爪及び第2爪を管軸方向挿口管端部側に引き込む力が作用するとともに、傾斜部を介して押圧部の当接部から挿口部の外周面を向く押圧力が作用するので、少なくとも第1爪が挿口部の外周面により深く係止され、挿口管の受口管への過挿入が防止される。
【0007】
本発明の移動防止手段は、
前記押圧部と前記係止部との前記当接部側の端部の少なくとも一方は曲面状に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、押圧部と係止部との当接部を中心として係止部が回動する際に、押圧部と係止部との端部が当接することにより押圧部と係止部との間に応力が集中しないため、押圧部と係止部が破損し難くなるばかりか、係止部の回動を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1における流体管の設置状況を示す平面図である。
【図2】図1における流体管のA−A半断面図である。
【図3】図2における流体管のB−B断面図である。
【図4】移動防止手段による挿口管の受口管からの離脱防止を示す図である。
【図5】(a)は、係止部が膨出部を中心に回動する状態を示す断面図であり、(b)は、第1爪が挿口部に深く係止する状態を示す断面図である。
【図6】実施例2における流体管の断面図である。
【図7】(a)は、凹部内で係止部が内壁に当接する状態を示す断面図であり、(b)は、係止部が第1爪を中心に回動する状態を示す断面図であり、(c)は、第1爪が挿口部に深く係止する状態を示す断面図である。
【図8】(a)は、実施例3における移動防止手段を示す断面図であり、(b)は、第1爪が挿口部に深く係止する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る移動防止手段を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0010】
実施例1に係る移動防止手段につき、図1から図5を参照して説明する。図1の符号1は、本発明の適用された流体管である。この流体管1は、長手方向の一端に挿口部2を、他端に挿口部2よりも拡径された受口部3とを、それぞれ備えており、各々の流体管1の管軸を略同軸にして、挿口部2を他の流体管1の受口部3に挿入することによって複数の流体管1を長手方向に連続して接続可能となっている。
【0011】
そして、これら流体管1は、例えば、連続して接続された状態で地中に埋設され、上水を配水するための上水道管として機能している。尚、上水が流体管1内を流れる方向は、図1中白抜き矢印に示すように、受口部3から挿口部2へ向けてである。
【0012】
以下、本実施例では、挿口部2を他側の流体管1の受口部3に挿入する側の流体管1を挿口管4とし、挿口部2が挿入される受口部3を有する側の流体管1を受口管5として説明する。
【0013】
図3に示すように、受口部3の内周面には、受口管5の周方向に亘ってシール材6が水密に取り付けられている。このシール材6は、受口部3内に挿入された挿口部2の外周面2aに水密に当接するようになっている。また、挿口部2が受口部3に挿入された挿入位置において、受口部3内に配置された挿口部2の先端である挿口管先端面4aと受口部3の内側に形成された奥端面3aとの間は、管軸方向に所定の長さRを有して隔離されている。
【0014】
図2及び図3に示すように、受口部3内面の先端部には、受口部3に挿入された挿口部2の外周面2aに向けて凹部7が開口している。更に、凹部7には、受口部3に挿入された挿口部2を係止するための係止部8が収納配置されているとともに、係止部8を挿口部2の外周面2aに向けて押圧する、本発明における押圧部としてのボルト9を螺挿するためのボルト孔10が形成されている。
【0015】
具体的には、凹部7は、受口部3内面の周方向に所定間隔に設けられた仕切壁3bにより区画されることで、周方向に沿って8箇所形成されている。そして、係止部8は、これら凹部7内に、周方向両端部と仕切壁3bとでゴム体11を挟持した状態で配置されている。
【0016】
また、係止部8は側面視角形状に形成されているとともに、挿口部2の外周面2aに係止する第1爪8aと第2爪8bとを有している。このうち第1爪8aは、係止部8における受口管5の先端である管軸方向の受口管先端面5a側の端部に形成されており、第2爪8bは、管軸方向の挿口管先端面4a側の端部に形成されている。更に、係止部8の管軸方向の挿口管先端面5a側の側面に、管軸方向の挿口管先端面5a側に向けて突出する膨出部8dが形成されている。
【0017】
一方、凹部7内には、図3に示すように、この膨出部8dと対向する本発明における対向面としての内壁7aが形成されている。この内壁7aは、挿口部2の外周面2aに対して略垂直面に形成されており、膨出部8dは内壁7aに当接するように凹部7内に配置されている。
【0018】
係止部8における挿口管4の径方向の外方側を向く端部には、管軸方向の挿口管先端面4a側に向けて拡径方向に挿口部2の外周面2aに対し傾斜角度θの傾斜をなす、本発明における傾斜部としての傾斜面8cに形成されている。
【0019】
一方、ボルト孔10は、受口部3の外方から凹部7内にかけて管軸と垂直をなす方向から、管軸方向の受口管先端面5a側に前記と同じ傾斜角度θで傾斜をなして形成されている。このため、ボルト9がボルト孔10に螺着されると、ボルト9の凹部7内に配置された底面9aが挿口部2の外周面2aに対し傾斜角度θの傾斜をなすことになり、結果として係止部8は、ボルト9の底面9aと傾斜面8cが面接触し、傾斜面8cから挿口部2の外周面2aに向けて押圧されることで、第1爪8aと第2爪8bとが挿口部2の外周面2aに係止される。つまり、ボルト9の底面9aは、傾斜面8cとともに本発明における傾斜部を構成している。
【0020】
前述のように移動防止手段を構成することで、図4に示すように、挿口管4が挿入位置から黒矢印で示す受口管5から離脱する方向に移動すると、係止部8は、傾斜面8cでボルト9の底面9aから挿口管4の径方向の内方側を向く押圧力を受ける。この挿口管4の径方向の内方側を向く押圧力によって、第1爪8aと第2爪8bとの挿口部2の外周面2aに対しての係止がより深められるため、挿口管4の受口管5からの離脱が防止されるようになっている。
【0021】
更に、本実施例の移動防止手段は、前述のように挿口管4の受口管5からの離脱防止だけでなく、挿口管4の受口管5内への過挿入をも防止することができるようになっている。
【0022】
具体的には、図3と図5(a)及び図5(b)に示すように、挿口管4が挿入位置から黒矢印で示す受口管5に対しての挿入方向に移動すると、係止部8は、挿口管4とともに凹部7内を管軸方向の挿口管先端面4a側に向けて移動しようとし、膨出部8dが内壁7aを押圧する。
【0023】
そして、係止部8は、内壁7aを押圧することによって生じる、内壁7aから管軸方向の受口管先端面5a側への反作用と、挿口管4が受口管5に対して挿入方向に移動することによる挿口部2が第1爪8aを管軸方向の受口管先端面5a側に向けて引き込む力と、によって膨出部8dを中心Oとして管軸方向の受口管先端面5a側に向かって回動する。
【0024】
更に、係止部8が膨出部8dを中心Oとして回動することで傾斜面8cとボルト9の底面9aとが当接部Pのみで略線接触する。尚、当接部Pは、係止部8が膨出部8dを中心に回動するにつれて傾斜面8c上を管軸方向の受口管先端面5a側の端部に向けて移動する。
【0025】
このとき、第1爪8aには、挿口部2が第1爪8aを管軸方向の受口管先端面5a側に向けて引き込む力と、当接部Pで係止部8が受けるボルト9からの挿口部2の外周面2aを向く押圧力と、がはたらく事によって、第1爪8aの挿口部2の外周面2aに対しての係止がより深められ、挿口管先端面4aと奥端面3aとが当接(R=0)することで挿口部2と受口部3とが破損する挿口管4の受口管5への過挿入を防止するようになっている。
【0026】
尚、本実施例では、係止部8に挿口部2の外周面2aと傾斜角θをなす傾斜面8cを形成し、ボルト孔10を管軸と垂直をなす方向から、管軸方向の受口管先端面5a側に傾斜角度θで傾斜をなして形成することで、ボルト孔10に螺着されたボルト9の底面9aと傾斜面8cとを互いに面接触させたが、挿口管4が受口管5から離脱する方向に移動する際に、ボルト9によって係止部8を押圧して第2爪8bの挿口部2の外周面2aへの係止を深めることができれば、ボルト孔10を管軸と垂直をなすように形成し、且つ係止部8の挿口管4の径方向の外方側を向く端部に傾斜面8aを形成するようにしてもよく、逆に、ボルト孔10を受口部3の外方から凹部7内にかけて管軸と垂直をなす方向から、管軸方向の受口管先端面5a側に傾斜角度θで傾斜をなして形成し、且つ係止部8の挿口管4の径方向の外方側を向く端部を管軸方向に水平に形成してもよい。
【実施例2】
【0027】
次に、実施例2に係る移動防止手段につき、図6及び図7を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。実施例1における移動防止手段は、膨出部8dと内壁7aとが当接している状態からの過挿入について説明したが、膨出部8dと内壁7aとの間は、図6に示すように、所定の長さL1で離間していてもよい。
【0028】
この場合には、図7(a)〜(c)に示すように、挿口管4が挿入位置から黒矢印で示す受口管5に対しての挿入方向に移動すると、係止部8は、挿口管4とともに凹部7内を管軸方向の挿口管先端面4a側に向けて移動し、膨出部8dと内壁7aとが当接する。このとき、傾斜面8cとボルト9の底面9aとの間に間隙L2が形成される。
【0029】
そして、係止部8は、傾斜面8cとボルト9の底面9aとの間に間隙L2が形成されることによって、膨出部8dで内壁7aに当接した反作用により内壁7aから管軸方向の受口管先端面5a側に押圧され、第1爪8aを中心Qとして管軸方向の受口管先端面5a側に向かって回動する。また、膨出部8dは、挿口管4の径方向の外側に向けて内壁7aに沿って移動する。
【0030】
更に、係止部8が第1爪8aを中心Qとして回動することで傾斜面8cがボルト9の底面9aに当接部Pで当接すると、係止部8の回動中心が第1爪8aから膨出部8dに移行する。そして、更に挿口管4が受口管5に対して挿入方向に移動することで、係止部8は挿口部2が第1爪8aを管軸方向の受口管先端面5a側に向けて引き込む力によって膨出部8dを回動中心Oとして回動する。尚、膨出部8dは、挿口管4の受口管5への挿入が進むにつれて内壁7aを受口管5の径方向の外側に向けて、当接部Pは、係止部8が膨出部8dを中心に回動するにつれて傾斜面8c上を管軸方向の受口管先端面5a側の端部に向けて、それぞれ移動する。
【0031】
このとき、第1爪8aには、挿口部2が第1爪8aを管軸方向の受口管先端面5a側に向けて引き込む力と、当接部Pで係止部8が受けるボルト9からの挿口部2の外周面2aを向く押圧力と、がはたらく事によって、第2爪8bが挿口部2の外周面2aから離脱する代わりに第1爪8aの挿口部2の外周面2aに対しての係止がより深められ、挿口管4の受口管5への過挿入が防止される。
【0032】
尚、実施例1及び実施例2ではいずれも第1爪8aの挿口部2の外周面2aに対しての係止が深められる例で説明したが、膨出部8dの径方向への位置と内壁7aの挿口部2の外周面2aに対する角度とによっては、第1爪8aとともに第2爪8bの挿口部2の外周面2aに対しての係止が深められる場合もある。
【0033】
以上、本実施例における移動防止手段にあっては、凹部7内に、挿口管4の挿入方向と対向する内壁7aが形成されており、係止部8は、内壁7aに向けて膨出する膨出部8dを備えるとともに、凹部7内に内壁7aと離間した状態でボルト9に押圧されて配置され、内壁7aと当接した膨出部8dを中心に回動するように形成配置されていることによって、係止部8には、挿口管4が管軸方向挿口管4端部側に移動することで第1爪8a及び第2爪8bを管軸方向挿口管4端部側に引き込む力が作用するとともに、傾斜面8c及び底面9aを介して係止部8とボルト9との当接部Pから挿口部2の外周面2aを向く押圧力が作用するので、少なくとも第1爪8aが挿口部2の外周面2aにより深く係止され、挿口管4の受口管5への過挿入が防止される。
【実施例3】
【0034】
次に、実施例3に係る移動防止手段につき、図8を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。実施例1及び実施例2における移動防止手段は、係止部8を側面視角形状に形成し、挿口管4が受口管5に対して更に挿入する方向に移動する際に膨出部8dと内壁7aとの当接部Oを中心に係止部8を回動させることで挿口管4の受口管5への過挿入を防止したが、例えば、図8(a)及び図8(b)に示すように、係止部8が膨出部8dを中心Oとして凹部7内で回動する際に、ボルト9の凹部7内に配置された端部と当接する当接部Pを構成する傾斜面8cの管軸方向の挿口管先端面4a側端部を曲面8eに形成してもよい。
【0035】
この場合には、挿口管4が受口管5に対して更に挿入する方向に移動する際に、当接部Pは、挿口管4の受口管5への挿入が進むにつれて曲面8e上を移動するので、係止部8は凹部7内で円滑に回動する。
【0036】
尚、本実施例では、前述のように傾斜面8cの管軸方向の受口管5側端部を曲面8eに形成したが、曲面はボルト9の凹部7内に配置された端部に形成されてもよく、また、傾斜面8cの管軸方向の受口管5側端部とボルト9の凹部7内に配置された端部との両方に形成されていてもよい。
【0037】
以上、本実施例3における移動防止手段にあっては、ボルト9と係止部8との当接部P側の端部の少なくとも一方は曲面8e状に形成されているので、ボルト9と係止部8との当接部Pを中心として係止部8が回動する際に、ボルト9と係止部8との端部が当接することによりボルト9と係止部8との間に応力が集中しないため、ボルト9と係止部8が破損し難くなるばかりか、係止部8の回動を円滑に行うことができる。
【0038】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0039】
例えば、前記実施例では、流体管1を上水道管として説明したが、流体管1内を流れる流体は上水の他、石油等の水以外の液体でもよく、また、液体とガス等の混合物であってもよい。
【0040】
また、前記実施例では、凹部7を受口部3の先端部に形成し、受口部3内に収納配置された係止部8をボルト9で押圧することで第1爪8aと第2爪8bを挿口部2の外周面2aに係止させたが、凹部を受口管5とは別部材の分割構造を有する押輪等に形成し、挿口部2が挿入位置に配置された受口部3の外方から押輪をフランジ接続等で固着した後にボルトによって押輪の外方から凹部内に収納配置されている係止部を挿口部2の外周面2aに向けて押圧することで、第1爪と第2爪とを挿口部2の外周面2aに係止させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 流体管
2 挿口部
2a 外周面
3 受口部
4 挿口管
4a 挿口管先端面
5 受口管
5a 受口管先端面
7 凹部
7a 内壁(対向面)
8 係止部
8a 第1爪
8b 第2爪
8c 傾斜面(傾斜部)
8d 膨出部
8e 曲面
9 ボルト(押圧部)
9a 底面(傾斜部)
10 ボルト孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿口管の挿口部の周方向に沿って形成され、該挿口部の外周面と係止する第1爪、及び該第1爪から管軸方向の前記挿口管端部側に離間配置され、該挿口部の外周面と係止する第2爪を有する係止部と、前記挿口部が挿入される受口管の受口部に形成され、前記挿口部の外周面に向けて開口し前記係止部を内部に収納する凹部と、該凹部内で前記係止部を前記挿口部の外周面に向けて押圧する押圧部と、を備え、
該押圧部と前記係止部との両当接部の少なくとも一方は、管軸方向に前記挿口管端部側に向けて拡径方向に傾斜をなす傾斜部に形成され、
前記係止部は、前記傾斜部を介して前記押圧部に押圧されることで、前記挿口部の外周面に前記第1爪と前記第2爪とを係止させ、前記挿口管の前記受口管からの離脱を防止する移動防止手段であって、
前記凹部内に、前記挿口管の挿入方向と対向する対向面が形成されており、
前記係止部は、前記対向面に向けて膨出する膨出部を備えるとともに、前記凹部内に前記押圧部に押圧されて配置され、前記対向面と当接した前記膨出部を中心に回動するように形成配置されていることを特徴とする移動防止手段。
【請求項2】
前記押圧部と前記係止部との前記当接部側の端部の少なくとも一方は曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の移動防止手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−261546(P2010−261546A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114191(P2009−114191)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000105556)コスモ工機株式会社 (270)
【Fターム(参考)】