説明

移植機

【課題】移植物の供給装置への移植物の補給を効率的に行うことができ、移植物の植付作業性を従来に比較して向上させた移植機を提供すること。
【解決手段】植付部1bに備えられた種芋コンテナ55からの移植物を回転式の複数の供給カップ40で受け取り、該供給カップ40で受け取った移植物を圃場に植え付ける植付け体60に落下させ、植付け体60で移植物を圃場に植え付ける。補給装置55には多くの移植物を載置でき、供給カップ40への移植物の補給を効率的に行うことができるため、一度に数多くの移植物を圃場へ移植することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畝に追従して機体を走行させるたばこや野菜の苗、種芋などの移植物を植え付ける移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畝溝又は畝上を走行する前輪と畝溝又は畝上を走行する左右一対の車輪を機体に設けると共に、機体の後部に操舵用ハンドルを設け、操縦者が歩行で機体の進行に追従しながらハンドル操作を行う歩行型の移植機が知られている。
【0003】
上記移植機の中には畝溝に移植物を植え付ける苗、種芋などの移植物植付装置を備え、機体の進行方向の前方中央の前輪を畝溝上を走行させ、左右一対の後輪を畝上を走行させる移植機がある。このような移植機の中には、複数の苗供給カップを円周上に等間隔で配置したターンテーブルを備えた苗供給装置から苗植付装置の先端が尖ったカップ状の苗植付具へ苗を落下させ、苗植付具から畝溝に苗を植え付ける構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−135477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の苗移植機では、ターンテーブルの前側には育苗トレイを載せられる苗載台が配置され、人手により、苗載台に載置されている育苗トレイのポット苗を各苗供給カップに補給する。
しかし苗載台のために大きなスペースをとれないことと、苗載台からターンテーブルへの育苗トレイの補給を頻繁に行うために、苗などの移植物植付作業の効率性に改善すべき余地があった。
【0006】
本発明の課題は、移植物の供給装置への移植物の補給を効率的に行うことができ、移植物の植付作業性を従来に比較して向上させた移植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は次の解決手段で解決される。
すなわち、請求項1記載の発明は、走行部(1a)と植付部(1b)を設けた移植機において、前記植付部(1b)の上方には移植物を補給する補給装置(55,61,63)を配置し、前記植付部(1b)には前記補給装置(55,61,63)からの移植物を受け取る回転式の複数の供給カップ(40)を有する供給装置(4)と該供給カップ(40)から受け取った移植物を圃場に植え付ける植付け体(60)を有する植付装置(5)とを設けたことを特徴とする移植機である。
【0008】
請求項2記載の発明は、補給装置(55)は貯留部(55a)と該貯留部(55a)の後側に設けた貯留部(55a)から移送される移植物を供給装置(4)へ受け渡すための供給部(55b)からなり、前記供給部(55b)と供給装置(4)が上下方向に重複する位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の移植機である。
【0009】
請求項3記載の発明は、補給装置(55)の下部に設けた予備補給装置(57)は貯留部(55a)の底面に設けたフック(58)により支持され、予備補給装置(57)と前記貯留部(55a)が上下に重複する位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の移植機である。
【0010】
請求項4記載の発明は、補給装置(61)から供給装置(4)の供給カップ(40)に移植物を受け渡す自動供給装置(62)又は自動供給装置(63)を設けたことを特徴とする請求項1記載の移植機である。
【0011】
請求項5記載の発明は、自動供給装置(63)には供給装置(4)の一つの供給カップ(40)に移植物が受け渡す自動供給用の穴(63a)を設けたことを特徴とする請求項1記載の移植機である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、植付部(1b)には補給装置(55,61,63)からの移植物を受け取る回転式の複数の供給カップ(40)を有する供給装置(4)と該供給カップ(40)から受け取った移植物を圃場に植え付ける植付け体(60)を有する植付装置(5)を設けたので、補給装置(55)には多くの移植物を載置でき、供給装置(4)の供給カップ(40)への移植物の補給を効率的に行うことができるため、一度に数多くの移植物の圃場への移植作業を行うことができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、補給装置(55)の供給部(55b)が供給装置(4)の上側で重複する位置に配置されているので、供給部(55b)から供給装置(4)への移植物の供給が容易である。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、補給装置(55)の貯留部(55a)の底面には予備のコンテナ(57)を保持可能なフック(58)を設けているので、必要な場合はすぐ取り外すことができ、また、補給装置(55)の貯留部(55a)と予備のコンテナ(57)が上下に重複配置されていることより、機体構成がコンパクトで機体の小型化が図れて、機体の操作性が従来より向上し、良好な移植作業が行える。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、自動供給装置(62)又は自動供給装置(63)を用いて供給装置(4)の供給カップ(40)に移植物を補給装置(55)から容易に自動的に供給が行えるため、作業性が従来より向上し、移植作業の効率が良い。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、自動供給装置(63)を用いて供給装置(4)の供給カップ(40)に補給装置(61)から自動的に移植物の供給を容易に受け渡すことができ、作業性が従来より向上し、移植作業の効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例の移植機の側面図である。
【図2】図1の移植機の平面図である。
【図3】図2の要部正面図である。
【図4】本発明の第二実施例の移植機の側面図である。
【図5】図4の移植機の平面図である。
【図6】本発明の第三実施例の移植機の側面図である。
【図7】図6の移植機の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
図1の側面図と図2の平面図は本実施例のジャガイモの種芋などの移植物の移植機の全体構造図であり、図3は前方から見た前輪3とその支持機構を示す図である。
この移植機1は、後輪2,2と前輪3を有する走行部1aによって畝溝上に機体を進行させながら、移植物供給装置4、移植物植付装置5等からなる植付部1bで移植物を畝溝に植付ける構成となっている。作業者は、機体後方に設けた操縦ハンドル6で適宜機体を操向操作すると共に、植付作業時には機体側方を歩きながら移植物供給装置4へ移植物を補給する。以下、各部の構成について説明する。
【0019】
まず、走行部1aについて説明する。
走行部ミッションケース7の前側にエンジン9が配置されている。エンジン9の左側面部には該エンジン9の動力で駆動する油圧ポンプ10が設けられている。また、エンジン9の上側には燃料タンク11等が設けられ、その上側をボンネット12が覆っている。走行部ミッションケース7の背面部に側面視長方形の左右に長い連結フレーム13が一体に設けられており、この連結フレーム13の背面右端部に走行部1aと操縦ハンドル6をつなぐメインフレーム14の前端部が固着連結されている。メインフレーム14は、植付部1bの平面視右側を通って後方に延び、途中で斜め上向きに湾曲し、そのまま植付部1bの後方位置まで延びている。そして、その後端部に操縦ハンドル6が固着して取り付けられている。
【0020】
走行部ミッションケース7の左右側面から突出する回動筒部15,15に走行伝動ケース16,16が一体に取り付けられ、その走行伝動ケース16,16の先端部に駆動走行車輪である後輪2,2が軸支されている。また、エンジン9の下側のエンジン支持フレーム17には機体中央部にピボット軸17aが設けられ、該ピボット軸17aに正面視でコ字状の車軸受け部17bが設けられている。ピボット軸17aは機体に対する上下支持位置を変更可能な取付穴を有し、その上下支持位置を変えることで、前輪3の接地高さを調節できる。また車軸受け部17bのコ字状の空間内には取付部材3aを介して前輪3が支持されている。車軸受け部17bのコ字状の空間の内側には弾性的に取付部材3aを支持するスプリング3b付きの支持部材17cが設けられている。支持部材17cは車軸受け部17bのコ字状の空間の内側で、水平方向に設けられたスプリング反力受け部材17dで支持されている。また車軸受け部17bの左右外側には左右一対のガイド輪8,8を支持するガイド輪軸17eが設けられている。ガイド輪軸17eには左右方向に複数の取付穴があり、ガイド輪8,8の取付位置を変更できる構成になっている。
【0021】
走行部1aには機体に対して後輪2,2を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構が設けられている。この機体制御機構は、接地プレート28が畝溝面を検知して感知リンク機構29を介して油圧バルブユニット20内の昇降シリンダ21を作動制御するものである。
【0022】
走行部ミッションケース7の上に配置した油圧バルブユニット20には、その後方に向けて昇降シリンダ21が設けられ、該シリンダ21のピストンロッド21aの先端部に天秤杆22が上下方向の軸まわりに回動自在に取り付けられている。ピストンロッド21aは、油圧バルブユニット20とメインフレーム14に取り付けた取付部材23とに支持されたガイド軸24に沿って摺動するようになっている。
【0023】
天秤杆22の左右両端部と回動筒部15,15に固着したスイングアーム25,25が連結ロッド26,26を介してそれぞれ連結している。左側の連結ロッド26は、ローリングシリンダ27が組み込まれており、該シリンダ27を伸縮作動させることにより長さを変えられるようになっている。
【0024】
昇降シリンダ21及びローリングシリンダ27は、前記油圧ポンプ10から供給される作動油を油圧バルブユニット20内の制御バルブ(図示せず)で制御して作動させられる。昇降シリンダ21を伸縮作動させると、天秤杆22が前後し、スイングアーム25が昇降シリンダ21と連結されているので、天秤杆22の前後動作に連動して上下動して、これと一体の左右の後輪2,2が同方向に同量だけ、機体に対し上下動し、機体が昇降する。また、ローリングシリンダ27を伸縮作動させると、左右一方(左側)の後輪2のみが機体に対して上下動し、機体が左右に傾斜する。
【0025】
次に植付部1bの構成を説明する。
連結フレーム13の上面に走行部ミッションケース7から伝動される植付部ミッションケース30の下部が固着され、該植付部ミッションケース30の上部に第一植付伝動ケース31の基部が固着され、更に該第一植付伝動ケース31の先端部に第二植付伝動ケース32の基部が固着されている。そして、第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32に後述する移植物植付装置5の作動機構が連結されている。移植物植付装置5の移植物植付具60は、走行部1aよりも後側に位置している。
【0026】
また、植付部ミッションケース30に基部を固着した上部フレーム34に上方が開放した種芋コンテナ55が取り付けられ、種芋コンテナ55の後方下方に移植物供給装置4が配置され、また移植物供給装置4と種芋コンテナ55は移植物植付具60の上方に位置するように配置されている。
【0027】
種芋コンテナ55は前側に設けた貯留部55aと、該貯留部55aの後方に連結した供給部55bから構成され、移植物供給装置4へ種芋が転がりやすいように貯留部55aの底部は前側から後方に向って低くなるように傾斜している。また移植物供給装置4の上方に位置する供給部55bの底部は水平面とし、ハンドル6の右前方に配置して作業者が移植物を移植物供給装置4の移植物供給カップ40内に供給する作業をし易いように、作業者配置側である左側側壁面が傾斜した平面視で台形をしている。また供給部55bの傾斜した左側側壁面の一部は取り付けられていなく、開放した左側側壁面から種芋を作業者が取り出し易くなっている。
【0028】
種芋コンテナ55には多くの移植物を載置でき、移植物供給カップ40内への移植物の補給を効率的に行うことができるため、一度に数多くの移植物の圃場への移植作業を行うことができる。また、種芋コンテナ55の供給部55bは移植物供給装置4の上側で重複する位置に配置されているので、供給部55bから移植物供給装置4への種芋などの移植物の供給が容易である。
【0029】
さらに、供給部55bの後側の底面はメインフレーム14の基部が支持されたステー56の先端部で支えられている。該ステー56は伸縮調整可能な構成であるので供給部55bの高さを変更し得る。
また供給部55bと貯留部55aの底面の接続部にはヒンジ55cが取り付けられていて供給部55bを前側に向けて立ち上げ自在になっている。さらに貯留部55aの底面には予備のコンテナ57を保持可能なフック58を設けているので、必要な場合はすぐ取り外すことができる。予備のコンテナ57と種芋コンテナ55の貯留部55aが上下に重複した位置に配置されていることより、機体構成がコンパクトで機体の小型化が図れて、機体の操作性が従来より向上し、良好な移植作業が行える。
【0030】
本発明の第二実施例の移植機を図4の側面図と図5の平面図に示す。
本実施例では植付部ミッションケース30に基部を固着した上部フレーム34に上方が開放した種芋ホッパ61が取り付けられ、種芋ホッパ61の後方に移植物供給装置4が配置され、また種芋ホッパ61と移植物供給装置4との間にベルト搬送機62を取り付ける。
【0031】
種芋ホッパ61は、内部の種芋がベルト搬送機62側に転がりやすいように底部は前側から後方に向って低くなるように傾斜している。また、種芋ホッパ61の形状は平面視で前側が広く、ベルト搬送機62側が狭くなっていて、種芋をベルト搬送機62側に集めやすい形状としている。
【0032】
ベルト搬送機62は、種芋ホッパ61の底部をベルト搬送機62側に転がってきた種芋を1つずつ受け取る切りリブ62aで仕切られた仕切りを設けているので、ベルト搬送機62の仕切りリブ62aで仕切られた区画内に種芋ホッパ61から種芋を受け取ることができる。ベルト搬送機62は種芋ホッパ61の底部から移植物供給装置4の上方に向けて昇り傾斜となるように配置しているので、ベルト搬送機62は1つずつ受け取った種芋を移植物供給装置4の上方から移植物供給カップ40内に1つずつ自動的に供給することができる。また、ベルト搬送機62の駆動は移植物供給装置4のターンテーブル41の駆動に連動していて移植物供給カップ40の回転比とベルト搬送機62の1区画分の回転比を合わせた構成としている。また移植物の植え付け時の株間が変更しても、それに同期するように移植物供給カップ40の回転比とベルト搬送機62の1区画分の回転比を設定している。
【0033】
このように、ベルト搬送機62を用いて供給カップ40に種芋などの移植物を種芋ホッパ61から容易に自動的に供給が行えるため、作業性が従来より向上し、移植作業の効率が良い。
【0034】
また、種芋ホッパ61の前側にコンテナを支える座61aを設けることで、前記座61aに支持させたコンテナ57から種芋ホッパ61の供給をしやすくしている。燃料タンク11が種芋ホッパ61の下方にあるので、種芋ホッパ61が燃料タンク11を覆うため、ホッパ底部に燃料供給キャップ61bを設けている。
【0035】
本発明の第三実施例の移植機を図6の側面図と図7の平面図に示す。
本実施例では植付部ミッションケース30に基部を固着した上部フレーム34に上方が開放した種芋ホッパ61が取り付けられ、種芋ホッパ61の後方に種芋自動供給カップ63を接続して配置する。該種芋自動供給カップ63は移植物供給装置4の上に配置され、移植物供給装置4のターンテーブル41の円形と同一形状としている。
【0036】
種芋ホッパ61の種芋自動供給カップ63との接続部は平面視で円弧状の凹部とし、該種芋ホッパ61の円弧状の凹部は種芋自動供給カップ63の外形と略同一形状となるように、種芋自動供給カップ63の外径と略同一径からなり、種芋ホッパ61と種芋自動供給カップ63の接続部には隙間が無く、種芋ホッパ61から種芋自動供給カップ63に向けて種芋が順次供給可能になっている。
【0037】
種芋ホッパ61は、内部の種芋が種芋自動供給カップ63側に転がりやすいように底部は前側から後方に向って低くなるように傾斜しており、また種芋ホッパ61の側壁は前側から後側にかけて高くしているので、種芋が後側に集まってもこぼれない。また種芋ホッパ61の側壁は前側が比較的低い高さになっているので種芋を供給しやすい。
【0038】
また種芋自動供給カップ63の外径と移植物供給装置4のターンテーブル41の外径とは略同一径からなり、種芋自動供給カップ63と移植物供給装置4のターンテーブル41の頂部との間は種芋が外部に落ちない程度の隙間になっている。そして種芋自動供給カップ63の底部には一個所に穴63aを設けており、該穴63aの上に種芋が来るとターンテーブル41の移植物供給カップ40に1個落ちることになる。
【0039】
また確実に穴63aから種芋を落とすためにターンテーブル41の駆動に合わせて種芋自動供給カップ63の中心部に回転軸心を有し、種芋自動供給カップ63の半径相当の長さの攪拌バー63bが種芋自動供給カップ63内を回る構成としている。
【0040】
このように種芋自動供給カップ63を用いて供給カップ40に自動的に種芋ホッパ61からの種芋を自動的に容易に受け渡すことができ、作業性が従来より向上し、移植作業の効率が良い。
【0041】
側面視において、植付部ミッションケース30は連結フレーム13から後方上向きに設けられ、且つ第一植付伝動ケース31は植付部ミッションケース30の上端部から後方下向きに設けられ、且つ第二植付伝動ケース32は第一植付伝動ケース31の下端部から水平後方に設けられている。この構成とすることにより、機体の前後長を必要以上に長くすることなく、第二植付伝動ケース32の下側に前記天秤杆22が移動するためのスペースが確保されている。
【0042】
また、平面視において、植付部ミッションケース30は、連結フレーム13の右端部に固着されており、昇降シリンダ21と天秤杆22と右側の連結ロッド26の間に形成される機体制御機構の右側空間部を通って上方に延びている。そして、第一植付伝動ケース31は植付部ミッションケース30の左側、第二植付伝動ケース32は第一植付伝動ケース31のさらに左側に配置されている。ローリングシリンダ27が設けられていない分だけ左側空間部よりも右側空間部の方が広いので、植付部ミッションケース30を右側に配置するのが好ましい。
また、植付部ミッションケース30、第一植付伝動ケース31及び第二植付伝動ケース32を左右に振り分けて配置することにより、左右の重量バランスが良好となる。
【0043】
次に移植物供給装置4と移植物植付装置5の説明を簡単にする。
移植物供給装置4は、複数の移植物供給カップ40、…を円周上に等間隔で配置したターンテーブル41を備えている。このターンテーブル41は機体の左右中心よりも若干右寄りの位置に配置されている。ターンテーブル41は詳細な説明は省略するが、中心軸42(図2)を支点にして回転自在に設けられ、移植物植付装置5の作動と同期して移植物供給カップ40、…の取付間隔分づつ間欠的に回転し、各移植物供給カップ40、…の底部の開閉自在なシャッタ(図示せず)が特定位置で開放することで移植物植付装置5(の先端が尖ったカップ状の移植物植付具60)へ供給された移植物を畝溝に植え付けることができる。なお、カップ状の移植物植付具60が図1の一点鎖線Xに示す軌跡で動き、その上死点近傍で移植物供給カップ40から移植物を受け取りながら、その下死点近傍で開き、中の移植物が畝溝に植え付けられる。
【0044】
人手により、種芋コンテナ55などに載置されている移植物を各移植物供給カップ40、…に補給する。ターンテーブル41の回転により移植物の入った移植物供給カップ40が移植物供給位置まで移動すると、シャッタ(図示せず)が開き移植物が移植物植付装置5の移植物植付具60の中に落下する。
【0045】
また移植物植付位置の後方には、左右一対の鎮圧輪80、80が設けられている。この鎮圧輪80、80は、下部ほど互いの間隔が狭くなるように斜めに取り付けられ、ロッド92に遊嵌させた重り81によって下向きに付勢されており、機体の進行に伴って畝溝面を転動し、移植物が植付けられた後の移植物移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、その跡を軽く鎮圧するようになっている。
【0046】
また、ロッド92はメインフレーム14の前後中間部に固着した支持枠86に上下に揺動自在に支持された揺動フレーム87の後端部に取り付けられている。畝溝面の凹凸に応じて鎮圧輪80、80が機体に対し上下動すると、その鎮圧輪80、80の上下動により接地プレート28が畝溝面を検出して感知リンク機構29を介して油圧バルブユニット20内の昇降用油圧バルブ(図示せず)に伝えられ、揺動フレーム87の角度が元に戻る方向に昇降シリンダ21を作動させる。これにより、畝溝面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御する。
【0047】
更に、メインフレーム14の後部には鎮圧輪固定レバー90が回動自在に支持され、鎮圧輪固定レバー90は鎮圧輪80、80を非接地状態まで上昇させた位置で固定するものである。
揺動フレーム87は機体の右側に配置されているので、機体の左側を歩行する作業者がこの揺動フレーム87に接触することがなく、確実な鎮圧を行えると共に、機体の昇降を正確に行える。
【0048】
操縦ハンドル6は両端が後方に延びる平面視略コ字形をしており、その両端部にグリップ6a、6aが取り付けられている。旋回時や路上走行時には、作業者がグリップ6a、6aを握って操縦する。操縦ハンドル6は機体の左右中心から右側にずらせて設けられているので、畝の右側の溝を歩行しながらハンドル操作や移植物補給作業を行いやすく、また、機体の左側を歩行しながら移植物補給作業を行う時に邪魔にならない。
【0049】
グリップ6a、6aの下側にはサイドクラッチレバー100、100が設けられている。また、操縦ハンドル6の基部には操作パネル101が設けられ、該操作パネル101に、移植物供給装置4及び移植物植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作と機体の昇降操作をする植付昇降レバー102、メインクラッチの入・切操作をするメインクラッチレバー103等が設けられている。
なお、前輪3が駆動輪で、前後輪3、2が共に上下するタイプの移植機では、ハンドル6を持ち上げて後輪2を圃場から浮かせて前輪3で機体を旋回させる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、農業用作業装置として利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0051】
1 移植機 1a 走行部
1b 植付部 2 後輪
3 前輪 3a 取付部材
3b スプリング 4 移植物供給装置
5 移植物植付装置 6 操縦ハンドル
6a グリップ 7 走行部ミッションケース
8 ガイド輪 9 エンジン
10 油圧ポンプ 11 燃料タンク
12 ボンネット 13 連結フレーム
14 メインフレーム 15 回動筒部
16 走行伝動ケース 16a 取付部材
17 エンジン支持フレーム 17a ピボット軸
17b 車軸受け部 17c 支持部材
17d スプリング反力受け部材 17e ガイド輪軸
20 油圧バルブユニット 21 昇降シリンダ
21a ピストンロッド 22 天秤杆
22a ピン 23 取付部材
24 ガイド軸 25 スイングアーム
26 連結ロッド 27 ローリングシリンダ
28 接地プレート 29 感知リンク機構
30 植付部ミッションケース 30a 入力軸
31 第一植付伝動ケース 32 第二植付伝動ケース
34 上部フレーム 38 ボルト
40 移植物供給カップ 41 ターンテーブル
42 中心軸 55 種芋コンテナ
55a 貯留部 55b 供給部
55c ヒンジ 56 ステー
57 予備コンテナ 58 フック
60 移植物植付具 61 種芋ホッパ
61a 座 61b 燃料供給キャップ
62 ベルト搬送機 62a 仕切リブ
63 種芋自動供給カップ 63a 穴
63b 撹拌バー 80 鎮圧輪
81 重り 86 支持枠
87 揺動フレーム 90 鎮圧輪固定レバー
92 ロッド 100 サイドクラッチレバー
101 操作パネル 102 植付昇降レバー
103 メインクラッチレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部(1a)と植付部(1b)を設けた移植機において、
前記植付部(1b)の上方には移植物を補給する補給装置(55,61,63)を配置し、
前記植付部(1b)には前記補給装置(55,61,63)からの移植物を受け取る回転式の複数の供給カップ(40)を有する供給装置(4)と該供給カップ(40)から受け取った移植物を圃場に植え付ける植付け体(60)を有する植付装置(5)とを設けたことを特徴とする移植機。
【請求項2】
補給装置(55)は貯留部(55a)と該貯留部(55a)の後側に設けた貯留部(55a)から移送される移植物を供給装置(4)へ受け渡すための供給部(55b)からなり、前記供給部(55b)と供給装置(4)が上下方向に重複する位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項3】
補給装置(55)の下部に設けた予備補給装置(57)は貯留部(55a)の底面に設けたフック(58)により支持され、予備補給装置(57)と前記貯留部(55a)が上下に重複する位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項4】
補給装置(61)から供給装置(4)の供給カップ(40)に移植物を受け渡す自動供給装置(62)または自動供給装置(63)を設けたことを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項5】
自動供給装置(63)には供給装置(4)の一つの供給カップ(40)に移植物を受け渡す自動供給用の穴(63a)を設けたことを特徴とする請求項1記載の移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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