説明

移載装置及び移載方法並びに物品仕分け設備

【課題】従来よりも移載処理能力が向上した移載装置及び移載方法並びに物品仕分け設備を提供する。
【解決手段】
複数の物品が品種ごとに分けられてそれぞれ収容された複数の実ケースから、物品を移載して収容する仕分けケースを搬送するロボットプレースコンベヤ41と、物品を実ケースから仕分けケースに移載するロボット40と、を備えた移載装置69であって、実ケースを搬送する実ケース搬送コンベヤ25から供給された複数の実ケースを往復動させる往復動コンベヤ70を備え、往復動コンベヤ70を動作させて、移載対象となる物品をロボット40の動作範囲内に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットを用いた移載装置及び移載方法並びに物品仕分け設備に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の従来の移載装置として、走行軸を有するロボットを用いて物品を移載する移載装置があった。この移載装置では、物品がロボットの動作範囲に置かれていない場合には、動作範囲内に入る位置までロボット自体を走行させた後、その物品を移載していた。
また、第2の従来の移載装置として、パレット毎に同一種類の製品を積んであるパレットを多数一定間隔で載せ、パレットの間隔ピッチで間欠移動するエンドレスの環状コンベヤと、この環状コンベヤが一時停止している間にパレット上の製品を別置きの空パレットに1個ずつ移載し、所定の種類と数量の製品を順次整然と積み上げる移載ロボットとにより、多種類の製品の選別混載を行うものがあった。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−278854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、第1の従来の移載装置は、移載する物品の重量が数百グラム〜数キログラム程度のものであっても、重量の大きなロボットを走行させる必要があった。即ち、移載する物品に比べて重量の大きなロボットを走行させるため、移動加速度が制限され移載に時間を要するという問題があった。
また、第2の従来の移載装置は、移載すべき物品を収容したケース(パレット)を環状コンベヤによって搬送しているため、全ての物品を移載して空になったケースを回収するためには、予め決められた回収場所まで搬送する必要があった。即ち、空ケースの回収に時間を要するという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、従来よりも移載処理能力を向上させた移載装置及び移載方法並びに物品仕分け設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係る移載装置は、複数の物品が品種ごとに分けられてそれぞれ収容された複数の実ケースから、前記物品を移載して収容する仕分けケースを搬送するロボットプレースコンベヤと、前記物品を前記実ケースから前記仕分けケースに移載するロボットと、を備えた移載装置であって、
前記実ケースを搬送する実ケース搬送コンベヤから供給された前記複数の実ケースを往復動させる往復動コンベヤを備え、
前記往復動コンベヤを動作させて、移載対象となる前記物品を前記ロボットの動作範囲内に移動させる。
【0006】
第1の発明に係る移載装置において、前記実ケース搬送コンベヤは、前記往復動コンベヤに沿って配置されると共に、前記実ケース搬送コンベヤの下流に位置する実ケース受け渡し位置と前記往復動コンベヤ上の前記ロボットの動作範囲内に位置する実ケース受け取り位置とが隣接するように配置され、
前記実ケース受け取り位置にある、前記物品が全て移載された実ケースを把持するための把持機構と前記把持機構を昇降させる昇降機構と前記把持機構を前記往復動コンベヤの搬送方向と交差する方向に移動させる移動機構とを有し、前記実ケース受け取り位置にある、前記物品が全て移載された実ケースを前記把持機構により把持した後、前記昇降機構により持ち上げ、前記移動機構により前記実ケース受け渡し位置の上方を横切って該実ケース受け渡し位置を挟んで前記実ケース受け取り位置と反対側にある排出位置の上方へ移動させ、前記昇降機構により前記排出位置に降ろすことによって、前記物品が全て移載された実ケースを排出する排出手段を更に備えることが好ましい。
【0007】
第1の発明に係る移載装置において、前記昇降機構が前記物品が全て移載された実ケースを上昇させた後、前記実ケース受け渡し位置から前記実ケース受け取り位置へ前記実ケースの搬送が開始されることが好ましい。
【0008】
第1の発明に係る移載装置において、前記物品が収容されていない空ケースを前記仕分けケースとして前記ロボットプレースコンベヤまで搬送する空ケース搬送コンベヤと、該空ケース搬送コンベヤに対し、前記排出手段により排出された前記物品が全て移載された実ケースを供給する空ケース排出コンベヤとを備え、
前記排出された前記物品が全て移載された実ケースを前記仕分けケースとして再利用することができる。
【0009】
前記目的に沿う第2の発明に係る物品仕分け設備は、複数の物品が品種ごとに分けられてそれぞれ収容された複数の実ケースを投入するための実ケース投入部と、前記物品を移載するための空の仕分けケースを投入するための空ケース投入部と、前記複数の実ケースから前記仕分けケースに前記物品を移載する第1移載部と、作業者が予め定められた保管場所から前記仕分けケースに前記物品を移載するための第2移載部と、前記第1移載部又は前記第2移載部を迂回して前記仕分けケースを搬送するバイパス部と、前記第1移載部又は前記第2移載部において前記物品が移載された仕分けケースを予め決められた搬出場所まで搬送するための搬出部とを備えた仕分け設備であって、
前記第1移載部は、前記仕分けケースを搬送するロボットプレースコンベヤと、
前記物品を前記実ケースから取り出して前記仕分けケースに移載するロボットと、
前記実ケース投入部から供給された前記複数の実ケースを往復動させる往復動コンベヤとを備え、
前記往復動コンベヤを動作させて、移載対象となる前記物品を前記ロボットの動作範囲内に移動させる。
【0010】
前記目的に沿う第3の発明に係る移載方法は、ロボットが第1搬送コンベヤに載せられた複数のケースから該複数のケースにそれぞれ収容された物品を取り出し、取り出した前記物品を第2搬送コンベヤに載せられたケースに移載する移載方法であって、
前記第1搬送コンベヤを動作させて、移載対象となる前記物品を前記ロボットの動作範囲内に移動させる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1〜4記載の移載装置においては、往復動コンベヤを動作させて、移載対象となる物品をロボットの動作範囲内に移動させるので、従来よりも移載処理能力を向上させることが可能である。
【0012】
特に、請求項2記載の移載装置においては、従来よりも空ケース(物品が全て移載された実ケース)を回収するための時間が短縮され、移載処理能力を向上させることが可能である。
【0013】
請求項3記載の移載装置においては、空ケース(物品が全て移載された実ケース)を排出するための動作が完了するのを待つことなく実ケースが供給されるため、移載作業を従来よりも短時間で再開でき、移載処理能力が向上する。
【0014】
請求項4記載の移載装置においては、物品が全て移載された実ケースを仕分けケースとして再利用することが可能である。
【0015】
請求項5記載の物品仕分け設備においては、往復動コンベヤを動作させて、移載対象となる物品をロボットの動作範囲内に移動させるので、従来よりも移載処理能力を向上させることが可能である。
【0016】
請求項6記載の移載方法においては、第1搬送コンベヤを動作させて、移載対象となる物品をロボットの動作範囲内に移動させるので、従来よりも移載処理能力を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る物品仕分け設備の全体図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る移載装置の全体図である。
【図3】同移載装置の排出手段の動作を示す説明図である。
【図4】(A)、(B)は、それぞれ実ケース及び空ケースに関する移載装置の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
【0019】
本発明の一実施の形態に係る物品仕分け設備10(図1参照)は、例えば共同配送センタで使用されるものであり、複数の物品(例えば、商品)が品種ごとに分けられてそれぞれ収容された複数のケース(実ケース)からそれぞれ必要な品種の物品を取り出し、出荷先別に運搬用のケース(仕分けケース)に詰め替えて配送するための設備である。対象となる物品は、数百グラム〜数キログラム程度の重量のものであり、例えば袋入りの食品、電子部品、機械部品等である。
なお、図1において、左右方向をX方向、前後方向をY方向と定義する。また、図に示した矢印は、コンベヤの搬送方向を示している。
【0020】
まず、物品仕分け設備10の全体構成について説明する。
図1に示すように、物品仕分け設備10は大きく分けて実ケース投入部11、空ケース投入部12、第1移載部13、第2移載部14、バイパス部15、及び搬出部16から構成されている。
ここで、空ケースとは、物品が全く収容されていないケースをいう。このケースは平面視して矩形状であり、上面が開口している。更に、以下の説明において、各部に設けられたコンベヤは特に説明がない限り、モータ駆動されるベルトコンベヤである。このベルトコンベヤは搬送方向に沿って延びるアルミフレームに設けられた高分子量ポリエチレン材の上をベルトが滑るように構成されている。
【0021】
実ケース投入部11は、出荷先の需要の多い4品種の物品A〜D(多量少品種物品)がそれぞれ収容された実ケースA〜Dを投入する部分である。実ケース投入部11には、Y方向に沿って並んで配置された第1〜第4実ケース投入コンベヤ(ローラコンベヤ)21〜24と、第1〜第4実ケース投入コンベヤ21〜24の下流側端部に隣接し、X方向に沿って配置された実ケース搬送コンベヤ25とが設けられている。
第1〜第4実ケース投入コンベヤ21〜24は、それぞれ実ケースA〜Dを投入するためのコンベヤである。実ケースA〜Dは、それぞれ段積み状態でリフタ30に載せられて、コンベヤのケース搬送面の高さまで持ち上げられた後、段ばらし装置31によって単品のケースに分離される。分離された実ケースA〜Dは、第1〜第4実ケース投入コンベヤ21〜24の端部から下流へと搬送される。実ケース搬送コンベヤ25は、第1〜第4実ケース投入コンベヤ21〜24から実ケースA〜Dを受け取ると、これら実ケースA〜Dを第1移載部13へと搬送する。
【0022】
空ケース投入部12は、実ケースA〜Dにそれぞれ収容された物品A〜Dを詰め替えるための空の仕分け用ケース(空の仕分けケース)を投入する部分である。
空ケースは、段積み状態でリフタ30に載せられて、コンベヤのケース搬送面の高さまで持ち上げられた後、段ばらし装置31によって単品のケースに分離される。ここで、空ケースは、1段おきにずつ90度回転方向を変えて段積みすることによって、空ケースの向きを変えずに段積みする場合よりも段積み高さが抑えられるような構造となっている。そのため、空ケース旋回装置32によって空ケースが1段おきに旋回され、各空ケースの向きが揃えられる。向きが揃えられた空ケースは、Y方向に沿って配置された空ケース搬送コンベヤ(ローラコンベヤ)35の端部から下流の第1移載部13又はバイパス部15へと搬送される。
【0023】
第1移載部13は、実ケース投入部11から搬送された実ケースA〜Dに収容された物品を空ケース投入部12から搬送された空ケース(空の仕分けケース)に移載して詰め替える部分である。この移載作業はパラレルリンクロボット(ロボットの一例)40により行われる。パラレルリンクロボット40(図3参照)は、数十キログラム〜数百キログラムの重量であり、星印で示された位置に天吊りされて設けられている。移載された物品が収容されたケース(移載済み仕分けケース)は、X方向に沿って配置されたロボットプレースコンベヤ41によって下流へ搬送される。この第1移載部13については、後に詳述する。
【0024】
第2移載部14は、第1移載部13の下流側に設けられ、作業者44の手作業によって物品が移載される部分である。ここで移載される物品は、出荷先の需要が少ない物品E〜J(少量多品種物品)である。これら物品E〜Jは、ケースフローラック(傾斜式流動棚)45に保管されている。作業者は予め決められた指示に基づいて保管場所であるケースフローラック45から物品を取り出し、X方向に沿って配置された作業者プレースコンベヤ46によって搬送される仕分けケースに物品を移載する。
【0025】
バイパス部15は、物品の移載作業を行わない場合に、仕分けケースを第1移載部13又は第2移載部14を迂回して下流側へと搬送する部分である。このバイパス部15には、X方向に沿って配置された第1移載部13を迂回する第1バイパスコンベヤ51と、X方向に沿って配置された第2移載部14を迂回する第2バイパスコンベヤ52とが設けられている。バイパス部15には、更にY方向に沿って配置された切替コンベヤ(ローラコンベヤ)53が設けられている。この切替コンベヤ53の一端は第1移載部13と第2移載部14との間に位置し、他端は第1バイパスコンベヤ51と第2バイパスコンベヤ52との間に位置している。切替コンベヤ53は、仕分けケースを双方向に搬送可能である。即ち、切替コンベヤ53はロボットプレースコンベヤ41又は第1バイパスコンベヤ51によって搬送された仕分けケースをそれぞれ作業者プレースコンベヤ46又は第2バイパスコンベヤ52に受け渡すためのものである。
【0026】
搬出部16は、作業者プレースコンベヤ46又は第2バイパスコンベヤ52によって搬送された仕分けケースを予め決められた搬出場所まで搬送するための部分である。仕分けケースはY方向に沿って配置された搬出コンベヤ(ローラコンベヤ)55によって搬送され、その下流側端部に設けられた段積み装置60によって段積みされる。更に、段積みされたケースは、カートフィーダ61によって台車に積み込まれる。その後、台車に積み込まれたケースはカートフィーダ61から排出され、作業者によって予め決められた搬出場所まで搬送される。
【0027】
次に、第1移載部13について図2及び図3に基づいて詳細に説明する。
第1移載部13には、本発明の一実施の形態に係る移載装置69が設けられている。この移載装置69はパラレルリンクロボット40(図3参照)と、往復動コンベヤ(第1搬送コンベヤの一例)70と、ロボットプレースコンベヤ(第2搬送コンベヤの一例)41と、排出手段71とを備えている。
【0028】
パラレルリンクロボット40は、往復動コンベヤ70に載せられた実ケースA〜Dから予め決められた品種の物品を予め決められた数取り出し、ロボットプレースコンベヤ41に載せられた空ケースに移載して詰め替える。
パラレルリンクロボット40は、往復動コンベヤ70及びロボットプレースコンベヤ41の上方(図2において、星印で示された位置)に設けられ、先端に備えたエア吸着ハンド42により物品を取り出す。エア吸着ハンド42が到達可能な範囲(ロボット動作範囲)は、図2の星印を中心とした2点鎖線で示す円内である。即ち、物品を取り出す実ケースは、予めロボット動作範囲内に移動させる必要がある。
なお、実ケースA〜Dにそれぞれ収容された物品A〜Dの位置情報は、2点鎖線で示した実ケース搬送コンベヤ25の下流側に設けられた画像認識装置72によって予め求められている。パラレルリンクロボット40はこの画像認識装置72により求められた位置情報に基づいて物品を取り出す。
【0029】
往復動コンベヤ70は、実ケース投入部11から搬送された実ケースA〜Dを往復させ、実ケースA〜Dに収容された物品A〜Dをパラレルリンクロボット40が取り出すことができるように、パラレルリンクロボット40の動作範囲に取り出す対象となる物品を移動させるためのものである。
往復動コンベヤ70は、X方向に沿って配置されている。往復動コンベヤ70の中央部は、実ケース搬送コンベヤ25の下流端の側部と隣接している。実ケース搬送コンベヤ25により下流側端部の実ケース受渡し位置P1に搬送された実ケース(図2においては実ケースB)は、実ケース搬送コンベヤ25の下流側端部と往復動コンベヤ70の中央部とにそれぞれ設けられたローラコンベヤ75によって、Y方向に搬送される。そして搬送された実ケースは往復動コンベヤ70の実ケース受け取り位置P2で受け渡される。詳細には、ローラコンベヤ75が実ケース搬送コンベヤ25及び往復動コンベヤ70のケース搬送面よりも上昇し、実ケースは上昇したローラコンベヤ75上を移動する。なお、ローラコンベヤ75の上昇量は、例えば25mmである。
【0030】
ロボットプレースコンベヤ41は、空ケース投入部12から搬送された空ケース(仕分けケース)に物品が移載された後、これを下流の第2移載部14に搬送するためのものである。ロボットプレースコンベヤ41は、往復動コンベヤ70を挟んで実ケース搬送コンベヤ25と反対側に設けられている。
【0031】
排出手段71は、全ての物品を移載し終わった実ケース、即ち、空ケースを第1移載部13から排出するためのものである。
この排出手段71は、図3に示すように、往復動コンベヤ70の実ケース受け取り位置P2にある空ケースの側部を把持するハンド80(把持機構の一例)と、このハンド80を昇降させる昇降機構81と、このハンド80をY方向(往復動コンベヤ70の搬送方向と交差する方向)に移動させる移動機構82とを備えている。
【0032】
なお、空ケース排出コンベヤ(ローラコンベヤ)85は、排出手段71によって排出された空ケースを空ケース投入部12まで搬送するためのものである。搬送された空ケースは、再び仕分けケースとして再利用される。
【0033】
次に、物品仕分け設備10及び移載装置69の動作について物品が搬送される流れに沿って説明する。
実ケースA〜Dがそれぞれ第1〜第4実ケース投入コンベヤ21〜24に投入されると、図示しない制御装置からの指令に応じて、必要な実ケースが移載装置69の実ケース受渡し位置P1まで搬送される。搬送された実ケースは、ローラコンベヤ75によって往復動コンベヤ70の実ケース受け取り位置P2で受け渡される。往復動コンベヤ70に受け渡された実ケースは、パラレルリンクロボット40の動作範囲に入るように搬送される。そして、パラレルリンクロボット40が実ケースに収容された物品を取り出して、ロボットプレースコンベヤ41上の仕分けケース(空ケース)に移載する。ここで、この仕分けケース(空ケース)は空ケース搬送コンベヤ35から搬送されたものである。図2においては、実ケースBの物品Bがパラレルリンクロボット40の動作範囲に搬送され、このパラレルリンクロボット40によってロボットプレースコンベヤ41上の仕分けケースに移載されている。
【0034】
ここで、パラレルリンクロボット40が物品を移載している途中に、実ケース中の物品を全て移載してしまい、移載すべき物品が無くなる場合がある。
どの物品を最も早く移載し終えるかは図示しない制御装置によって予め分かっているため、その物品を収容した実ケースを実ケース投入コンベヤ21〜24から搬送して実ケース受け渡し位置P1で待機させておく。図2においては、物品Bが無くなることが分かっているので、実ケースBを実ケース受け渡し位置P1で待機させている。なお、物品Bの次に無くなるのは物品Dであることが分かっているので、実ケースDが実ケースBの上流側に搬送されている。
物品Bが無くなると、図3に示すように排出手段71がハンド80によって空ケース(物品が全て移載された実ケース)を把持し、昇降機構81によって把持した空ケースを持ち上げる。そして、移動機構82によって空ケースを実ケース受け取り位置P2の上方から実ケース受け渡し位置P1の上方を通って、空ケース排出コンベヤ85の排出位置P3の上方まで移動させる。移動後、空ケースは昇降機構81によって空ケースが排出位置P3に置かれ、ハンド80から解放される。
一方、空ケースが実ケース受け入れ位置P2から持ち上げられると、その空いた実ケース受け入れ位置P2に、実ケース受け渡し位置P1にて待機していた実ケースBが受け渡され、パラレルリンクロボット40の移載作業が継続される。即ち、この実ケースBの受け渡し動作は、空ケースが実ケース受け入れ位置P2から持ち上げられた後、空ケースを排出するための動作が完了するのを待つことなく、並行して実行される。
【0035】
ここで、移載装置69の動作について別の観点から説明する。
最初に、実ケースに関する動作について図4(A)に基づいて説明する。
まず、実ケース投入部11から必要な実ケースA〜Dを往復動コンベヤ70に供給する(ステップSA1)。
次に、パラレルリンクロボット40の動作範囲内に移載元の実ケースがない場合には(ステップSA2)、往復動コンベヤ70を動作させて動作範囲内に搬送する(ステップSA3)。一方、パラレルリンクロボット40の動作範囲内に移載元の実ケースがある場合には(ステップSA2)、そのまま次の処理(ステップSA4)へ進む。
次に、パラレルリンクロボット40が物品を取り出し、ロボットプレースコンベヤ41上の仕分けケースに移載する(ステップSA4)。
実ケースに物品が残っている場合には(ステップSA5)、そのまま次の処理(ステップSA8)へ進む。一方、物品が無くなっている場合には(ステップSA5)、排出手段71が空となった実ケース(空ケース)を排出し(ステップSA6)、実ケースを往復動コンベヤ70に供給する(ステップSA7)。
予め定められた品種について予め定められた数分移載し、移載が完了した場合(ステップSA8)は、そのまま次の処理(ステップSA9)へ進む。一方、移載が未完の場合(ステップSA8)には、ステップSA2を実行する。
最後に、全出荷先について移載が完了した場合(ステップSA9)には、パラレルリンクロボット40の動作を停止する。一方、移載が未完の場合(ステップSA9)には、ステップSA2を実行する。
【0036】
次に、空ケース(仕分けケース)に関する動作について図4(B)に基づいて説明する。
まず、空ケース(仕分けケース)がロボットプレースコンベヤ41によって搬送される(ステップSB1)。
次に、パラレルリンクロボット40によって、実ケースから物品が移載される(ステップSB2)。
予め定められた品種について予め定められた数分移載し、移載が完了した場合(ステップSB3)は、移載済み仕分けケースを下流へと搬送する(ステップSB4)。一方、移載が未完の場合(ステップSB3)には、ステップSB2を実行する。
最後に、全出荷先について移載が完了した場合(ステップSB5)には、移載装置69の動作を停止する。一方、移載が未完の場合(ステップSB5)には、ステップSB1を実行する。
【0037】
移載装置69から下流側に搬送される移載済み仕分けケースについて、更に物品E〜Jの移載が必要な場合は、移載済み仕分けケースは作業者プレースコンベヤ46に載せて搬送される。その後、作業者44によって更に物品E〜Jが予め決められた分だけ移載され、搬出コンベヤ55へと搬送される。一方、物品E〜Jの移載が必要ない場合は、移載済み仕分けケースは切替コンベヤ53によって搬送され、第2バイパスコンベヤ52へと送られる。これにより、移載済み仕分けケースは第2移載部14を迂回して搬出コンベヤ55へと搬送される。
【0038】
なお、ケースに物品A〜Dを移載せずに、物品E〜Jを移載する場合がある。その場合は、空ケース投入部12から空ケースを第1バイパスコンベヤ51に載せて搬送し、第1移載部13を迂回させる。そして、空ケースを切替コンベヤ53から作業者プレースコンベヤ46へと搬送する。
【0039】
搬出コンベヤ55に載せられた移載済み仕分けケースは、段積み装置60によって段積みされた後、カートフィーダ61によって台車に積み込まれて排出され、作業者によって予め決められた搬出場所まで搬送される。
【0040】
このように、本実施の形態に係る物品仕分け設備10は、多量少品種物品についてはパラレルリンクロボット40が移載し、少量多品種物品については作業者44が移載するため、従来の仕分け設備に比べて仕分け効率が高い。
また、本実施の形態に係る移載装置69においては、パラレルリンクロボット40よりも重量の小さい実ケースを往復させて移載するため、従来の走行軸付きロボットの走行駆動モータよりも小さい容量のモータで往復動コンベア70が駆動される。また、往復動コンベヤ70で往復させる実ケースはパラレルリンクロボット40よりも慣性が小さいため、従来のようにロボットを走行させる場合よりも高速かつ高加速度で移動が可能である。その結果、移載処理能力が向上する。更に、空ケースを排出するための動作が完了するのを待つことなく往復動コンベア70に実ケースが供給されるため、移載作業を従来よりも短時間で再開でき、移載処理能力が向上する。
【0041】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能である。
前述の実施の形態では、パラレルリンクロボット40は、先端に備えたエア吸着ハンド42により物品を取り出していたが、メカニカルハンドにより物品を把持して取り出しても良い。また、ロボットはパラレルリンクロボットに限定されるものではなく、物品を移載できるものであれば、その形態によらず任意のロボットを適用することができる。例えば、このロボットは多関節ロボットとすることができる。
【符号の説明】
【0042】
10:物品仕分け設備、11:実ケース投入部、12:空ケース投入部、13:第1移載部、14:第2移載部、15:バイパス部、16:搬出部、21:第1実ケース投入コンベヤ、22:第2実ケース投入コンベヤ、23:第3実ケース投入コンベヤ、24:第4実ケース投入コンベヤ、25:実ケース搬送コンベヤ、30:リフタ、31:段ばらし装置、32:空ケース旋回装置、35:空ケース搬送コンベヤ、40:パラレルリンクロボット、41:ロボットプレースコンベヤ、42:エア吸着ハンド、44:作業者、45:ケースフローラック、46:作業者プレースコンベヤ、51:第1バイパスコンベヤ、52:第2バイパスコンベヤ、53:切替コンベヤ、55:搬出コンベヤ、60:段積み装置、61:カートフィーダ、69:移載装置、70:往復動コンベヤ、71:排出手段、72:画像認識装置、75:ローラコンベヤ、80:ハンド、81:昇降機構、82:移動機構、85:空ケース排出コンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品が品種ごとに分けられてそれぞれ収容された複数の実ケースから、前記物品を移載して収容する仕分けケースを搬送するロボットプレースコンベヤと、前記物品を前記実ケースから前記仕分けケースに移載するロボットと、を備えた移載装置であって、
前記実ケースを搬送する実ケース搬送コンベヤから供給された前記複数の実ケースを往復動させる往復動コンベヤを備え、
前記往復動コンベヤを動作させて、移載対象となる前記物品を前記ロボットの動作範囲内に移動させることを特徴とする移載装置。
【請求項2】
請求項1記載の移載装置において、前記実ケース搬送コンベヤは、前記往復動コンベヤに沿って配置されると共に、前記実ケース搬送コンベヤの下流に位置する実ケース受け渡し位置と前記往復動コンベヤ上の前記ロボットの動作範囲内に位置する実ケース受け取り位置とが隣接するように配置され、
前記実ケース受け取り位置にある、前記物品が全て移載された実ケースを把持するための把持機構と前記把持機構を昇降させる昇降機構と前記把持機構を前記往復動コンベヤの搬送方向と交差する方向に移動させる移動機構とを有し、前記実ケース受け取り位置にある、前記物品が全て移載された実ケースを前記把持機構により把持した後、前記昇降機構により持ち上げ、前記移動機構により前記実ケース受け渡し位置の上方を横切って該実ケース受け渡し位置を挟んで前記実ケース受け取り位置と反対側にある排出位置の上方へ移動させ、前記昇降機構により前記排出位置に降ろすことによって、前記物品が全て移載された実ケースを排出する排出手段を更に備えることを特徴とする移載装置。
【請求項3】
請求項2記載の移載装置において、前記昇降機構が前記物品が全て移載された実ケースを上昇させた後、前記実ケース受け渡し位置から前記実ケース受け取り位置へ前記実ケースの搬送が開始されることを特徴とする移載装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の移載装置において、前記物品が収容されていない空ケースを前記仕分けケースとして前記ロボットプレースコンベヤまで搬送する空ケース搬送コンベヤと、該空ケース搬送コンベヤに対し、前記排出手段により排出された前記物品が全て移載された実ケースを供給する空ケース排出コンベヤとを備え、
前記排出された前記物品が全て移載された実ケースを前記仕分けケースとして再利用することを特徴とする移載装置。
【請求項5】
複数の物品が品種ごとに分けられてそれぞれ収容された複数の実ケースを投入するための実ケース投入部と、前記物品を移載するための空の仕分けケースを投入するための空ケース投入部と、前記複数の実ケースから前記仕分けケースに前記物品を移載する第1移載部と、作業者が予め定められた保管場所から前記仕分けケースに前記物品を移載するための第2移載部と、前記第1移載部又は前記第2移載部を迂回して前記仕分けケースを搬送するバイパス部と、前記第1移載部又は前記第2移載部において前記物品が移載された仕分けケースを予め決められた搬出場所まで搬送するための搬出部とを備えた仕分け設備であって、
前記第1移載部は、前記仕分けケースを搬送するロボットプレースコンベヤと、
前記物品を前記実ケースから取り出して前記仕分けケースに移載するロボットと、
前記実ケース投入部から供給された前記複数の実ケースを往復動させる往復動コンベヤとを備え、
前記往復動コンベヤを動作させて、移載対象となる前記物品を前記ロボットの動作範囲内に移動させることを特徴とする物品仕分け設備。
【請求項6】
ロボットが第1搬送コンベヤに載せられた複数のケースから該複数のケースにそれぞれ収容された物品を取り出し、取り出した前記物品を第2搬送コンベヤに載せられたケースに移載する移載方法であって、
前記第1搬送コンベヤを動作させて、移載対象となる前記物品を前記ロボットの動作範囲内に移動させることを特徴とする移載方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−178486(P2011−178486A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42386(P2010−42386)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000196705)西部電機株式会社 (80)
【Fターム(参考)】