説明

種々の基板表面へのコーティング用接着促進剤

本発明は、少なくとも1つのポリマー系コーティングと、種々の材料から製造され得る基板表面との間の接着促進剤として、末端C=C二重結合を含まず、加水分解性シラン基及び他の官能基、好ましくはアミノ基を有する、場合によりオリゴマーである少なくとも1つの付加生成物を使用することに関する。更に、本発明は、それに従って被覆された対象物又は物品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのポリマー系コーティングと、種々の材料からなってよい基板表面との間の接着促進剤として、末端C=C二重結合を含まない加水分解性シラン基及び他の官能基、好ましくはアミノ基を有する、場合によりオリゴマーである、少なくとも1つの付加生成物を使用することに関する。従って、被覆された対象物又は物品にも関する。
【背景技術】
【0002】
基板上のコーティングは、装飾目的から、被覆基板を有害な影響から保護する目的などの種々の目的に役立てることができる。これらの各機能を発揮できるために、コーティングと被覆基板との間に望ましくない剥離が起こらないように、コーティングは、被覆基板表面に充分良好に接着することが極めて重要である。
【0003】
コーティングは、その厚さに応じて、特に層状又は膜状であり、いずれの場合もコーティングの一表面のみが、被覆すべき基板表面と結合している。これは勿論、例えば、基板/コーティング/基板のラミネート、又は基板/コーティング/基板/コーティングのラミネートに至ることもある、基板とコーティングが無限に繰り返されるこのような配列の可能性を除外すべきでない。コーティングの他の特性は、表面塗膜又はコートには通常のことであるが、一般に、概して均一な膜厚さを有することである。そのようなコーティングの別の特性は、被覆される材料が、コーティング材と決して混合しない又は交じり合わず、その結果、層状又は膜状のコーティングは、被覆される材料の表面にそのシート様な一面でのみ接触することである。シート様表面は、以後、水平面だけではなく、不整面、例えば湾曲、ドーム、波状、皺のよった、さもなければ不均一にデザインされた表面でもあると解釈すべきである。従って、例えば、ワイヤー表面も本発明の意味では本体のシート様表面である。
【0004】
被覆基板及び所望の性質のコーティングを含むラミネートを提供するために、物理的及び化学的特性に基づき、プラスチックを使用してコーティングを製造することが多い。この種の複合体の可能な一例は、その表面がポリウレタンで被覆されたシート様な広がりを有する金属体である。コーティングは、比較的薄い膜厚さを有する場合、好ましくは表面塗膜とみなされ、これは、通常、コーティング材として、物理的及び/又は化学的に硬化される表面コーティング系に基づく。コーティング材は、場合により、変性された形状、例えば充填又は発泡形状で存在してもよい。
【0005】
全ての形状のコーティング、即ち層状コーティング及び膜状表面コーティングに不可欠であるのは、耐久性があり、例えば装飾及び/又は種々の、特に有害な影響に対する保護のような所望の目的を達成するのに充分な接着が、被覆表面とコーティング又は膜隣接面との間に存在することである。
【0006】
接着を促進するために使用される種々の物質の概要が、Progress in Organic Coatings 1995,26,275に記載される。一般に、接着促進物質を種々の方法で使用することが、これから明らかであり、例えば、(i)前処理層として、接着促進物質を最初に基板表面に付着させ、それから初めて、目的とするコーティングを施すか、又は、(ii)目的のコーティングに直接に添加剤として使用する。(ii)は、方法(i)に対して、作業ステップを1つ減じる有利な結果を伴う。
【0007】
従来技術により、広く使用され、接着促進を目的としてコーティングに添加される物質の1部類は、低分子量、有機官能性アルコキシシランの部類である。
【0008】
被覆すべき金属表面上の直接前処理としてオルガノシランを使用することは、例えば、J.Oil Colour Chem.Assoc.1982,65,415頁に記載され、コーティング材への添加剤としてのオルガノシランの使用は、同出版物の436頁に記載される。更に、例えば、銅又はアルミニウムのシランによる前処理は、Electrochimica Acta 2006,51,6097に記載される。
【0009】
J.Adhesion Sci.Technol.2006,20,1615に、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン及び他の疎水性シランの組合せを使用して、アルミニウム基板表面へのエポキシニスの接着が改良されたことが記載される。
【0010】
Prog.Organic Coatings 2006,57,307には、エポキシクリアコートとアルミニウム表面との間の接着へ及ぼすビニルシラン及びアミノシランの影響が記載される。
【0011】
議事録:第28回Annual Meeting of the Adhesion Society,2月13〜16日、2005年、頁173ff.及び486ff.によれば、エポキシ官能性オルガノシランの使用は、エポキシニスのアルミニウム基板表面への接着及びエポキシニスのガラス基板への接着をそれぞれ改良する。
【0012】
欧州特許第1157146号明細書には、特定のビス−シリル−シランによる金属表面の前処理が、この基板へのゴムの接着を強化することが記載される。
【0013】
国際公開第2008/003190号パンフレットには、放射線硬化性系用の接着促進剤としての、多官能性(メタ)アクリレートとチオアルコキシシランとの付加生成物の使用が記載されている。これらの公知付加生成物は、遊離の末端(メタ)アクリレート基をまだ有するので、放射線硬化の過程で、同様にラジカル架橋によりこれらが組み込まれ得、これは、望ましくない第二の反応を起こし得る。更に、保管の際、例えば、これらの生成物中の二重結合の重合傾向は、部分的又は完全重合を引き起こし、その結果、その使用時に、恐らく、その官能性を失うか又はそれに悪影響を及ぼすこととなる。官能基として二重結合を有する接着促進剤は、ラジカル硬化(放射線硬化)結合剤/ポリマー系への使用に限定されるという他のファクターがある。しかしながら、万能に適用できる接着促進剤、即ち、種々のバインダー/ポリマー系用の接着促進剤が、ユーザーから要求される。
【0014】
米国特許第4889768号明細書に記載のガラス繊維と併せて使用されるヒドロキシ−官能性(メタ)アクリレートとイソシアネート−官能性アルコキシシランとの反応生成物も、付加生成物が同様に末端(メタ)アクリレート基を有するので、この要件を満たさない。
【0015】
更に、国際公開第2008/003191号パンフレットには、(1)イソシアネートシランとOH−もしくはNH−官能性(メタ)アクリレートとの付加生成物、又は(2)ジイソシアネートとOH−もしくはNH−官能性(メタ)アクリレートとの付加生成物の使用並びにこれらの、チオ−もしくはアミノシランとの引き続きの反応が記載されており、これらの接着促進剤も、遊離の末端(メタ)アクリレート基をまだ含有し、これは、放射線硬化系に使用される場合、放射線硬化の過程で、ラジカルな架橋によって、同様に組み込まれ得る。
【0016】
国際公開第2009/064282号パンフレットには、基板へのポリ尿素コーティング用の接着促進剤としてのアミノシランと、好ましくは低分子量の(メタ)アクリレートとの付加生成物が記載されている。これらの接着は、要件の全てを満たさない。
【発明の概要】
【0017】
そのため、本発明の課題は、先行技術の欠点を回避し、非常に幅広い種類のポリマー何れかに基づくコーティング、好ましくは表面塗膜、と、多様な材料からなる基板表面との間に優れた接着を得ることである。
【0018】
本発明により、これは、加水分解性シラン基及び他の官能基を有する特定の付加生成物の使用により達成される。
【0019】
従って、本発明は、少なくとも1つの合成、半合成及び/又は天然のポリマー系コーティングとこれで被覆される基板表面との間の接着促進剤として、
a)少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物とともに、
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び/又はチオシラン、
並びに、少なくとも1つの更なるモノアミン及び/又は少なくとも2つのアミノ基を有するポリアミンの
場合によりオリゴマーである末端C=C二重結合を含まない少なくとも1つの付加生成物、
及び/又は、
b)少なくとも1つのモノアミン及び/又は少なくとも2つのアミノ基を有するポリアミンと組み合わせて、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基及び少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物とともに、
少なくとも1つの加水分解性シラン基を含有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランの
場合によりオリゴマーである末端C=C二重結合を含まない少なくとも1つの付加生成物
を使用することである。
【0020】
コーティングは、層厚さに応じて、層状又は膜状被覆を意味し、各場合、概して均一な層又は膜厚さを有し、その片面のみが、被覆基板面との唯一の接触面として、共通の界面を有する。好ましくは、どのような形の分布での被覆基板フラクションもなく、更に詳細には多分散的又は個別に形成されず、場合により、例えば織物、レイドスクリム又は繊維束の形状に、緩やかに結合されて、コーティング中に存在し、そこで、コーティングと被覆基板との間の唯一の接触面は、それぞれ場合により前処理された基板表面及びコーティング表面である。これは、基板とコーティングが無限に繰り返し、かつ例えば、サンドイッチ配置に従って、基板/コーティング/基板のラミネート又は基板/コーティング/基板/コーティングのラミネートに至るこの配列の可能性を、勿論除外しない。
【0021】
そのため、更に詳細には、硬化ポリマー混合物、好ましくはポリマーコンクリート混合物は、本発明の対象から好ましくは除外され、これは少なくともオリゴマーの付加生成物a)及び/又はb)と、少なくとも2つのエポキシド末端基を有する少なくとも1つのポリマー、少なくとも1つの硬化成分及び場合により促進剤をベースとする硬化目的のバインダー系と、ポリマー混合物の全重量に対して少なくとも20重量%の、骨材としての、無機、場合により多粒子状の充填剤及び場合により慣用の助剤とに基づく。
【0022】
付加生成物a)及びb)それぞれの接着促進剤としてのコーティング製造への使用により、合成、半合成及び/又は天然のポリマー系コーティングと非常に幅広い種類の材料の何れかからなる基板表面との間の接着を、意想外にも著しく改善し、そのため、例えば腐食のような有害な影響を著しく防止するのに成功する。基板のコーティングは、好ましくは、従来技術から公知の施与方法、例えば展着、吹き付け、噴射、ローリング、ナイフ塗布、浸漬のような施与方法の全てで行なうことができる。
【0023】
本発明により使用される接着促進剤は、末端C=C二重結合を含まず、場合によりオリゴマーの付加生成物である。付加生成物a)の場合、これらは、少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を含有する、少なくとも1つの化合物をそれぞれに付加することにより、少なくとも1つの加水分解性シラン基を含有する、少なくとも1つのアミノシラン及び/又はチオシランから、並びに少なくとも少なくとも1つのモノアミン及び/又は2つのアミノ基を有するポリアミンから誘導され、付加生成物b)の場合、これらは、少なくとも1つのモノアミン及び/又は少なくとも2つのアミノ基を有するポリアミンと組み合わせた、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基及び少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合を含有する少なくとも1つの化合物を、少なくとも1つの加水分解性シラン基を含む、少なくとも1つのイソシアネートシラン又はエポキシシランに付加することにより誘導される。
【0024】
付加生成物a)及び/又はb)の製造のために、少なくとも1つの加水分解性シラン基を含有する化合物として、以下の一般式:
【化1】

[式中、
Aは、エポキシド基、グリシジルオキシ基、イソシアネート基、−SH基又は−N(H)−X基であり、ここで、Xは、水素、場合により枝分かれした、C原子1〜12個を有するアルキルラジカル、C原子6〜10個を有するアリールラジカル、又はC原子4〜6個を有するシクロアルキルラジカルであり、これらのXラジカルそれぞれは、1つ以上の1級又は2級アミノ基により置換されていてもよく、あるいは、mが整数2の場合、Aは−NH基であり、
は、場合により枝分かれした、C原子1〜12個を有するアルキレンラジカル、C原子4〜6個を有するシクロアルキレンラジカル、又はC原子6〜10個を有するアリーレンラジカルであり、
は、R及びRと同じか又は異なり、場合により枝分かれした、C原子1〜7個、好ましくはC原子1〜3個を有するアルキルラジカル、ハロゲン、−O−C(=O)−R基又は−OR基であり、ここで、Rは、同じか又は異なるものであり、水素、メトキシエチル基又は場合により枝分かれした、C原子1〜7個、好ましくはC原子1〜3個を有するアルキルラジカル又はC原子4〜6個を有するシクロアルキルラジカルであり、
は、R及びRと同じか又は異なり、場合により枝分かれした、C原子1〜7個、好ましくはC原子1〜3個を有するアルキルラジカル、ハロゲン、−O−C(=O)−R基又は−OR基であり、ここで、Rは、同じか又は異なるものであり、水素、メトキシエチル基又は場合により枝分かれした、C原子1〜7個、好ましくはC原子1〜3個を有するアルキルラジカル又はC原子4〜6個を有するシクロアルキルラジカルであり、
は、R及びRと同じか又は異なり、−O−C(=O)−R基、ハロゲン又は−OR基であり、ここで、Rは、同じか又は異なるものであり、水素、メトキシエチル基又は場合により枝分かれしたC原子1〜7個、好ましくはC原子1〜3個を有するアルキルラジカル又はC原子4〜6個を有するシクロアルキルラジカルであり、
mは、整数1又は2である]
の化合物を使用するのが好ましい。
【0025】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を含有するアミノシランとして、4−アミノブチルトリエトキシシラン、1−アミノ−2−(ジメチルエトキシシリル)−プロパン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルジメチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−3−[アミノ(ポリプロピレンオキシ)]アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリシクロヘキソキシシラン、3−アミノプロピルジシクロヘキソキシメチルシラン、3−アミノプロピルジシクロヘキソキシエチルシラン、N−メチルアミノプロピルトリシクロヘキソキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリシクロヘキソキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジシクロヘキソキシシラン、N−フェニルアミノプロピルメチルジシクロヘキソキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、n−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、tert−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジエトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、(3−トリエトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、N−シクロヘキシルアミノメチルメチルジエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン及びこれらの混合物を包含する群から選択される化合物少なくとも1つを使用するのが好ましい。
【0026】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を含有するチオシランとして、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン又はこれらの混合物を包含する群から選択される化合物少なくとも1つを使用することができる。
【0027】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を含有するイソシアネートシランとして、3−イソシアネートプロピルジメチルクロロシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、(イソシアネートメチル)メチルジメトキシシラン又はこれらの混合物を包含する群から選択される化合物少なくとも1つを使用することができる。
【0028】
更に、少なくとも1つの加水分解性シラン基を含有するエポキシシラン化合物として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルメチルジメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルメチルジエトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルジメチルエトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルジメチルメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン又はこれらの混合物を包含する群から選択される化合物を使用することができる。
【0029】
接着促進剤a)の製造の場合に、場合により使用され、かつ接着促進剤b)の製造の場合に強制的に使用される加水分解性シラン基不含のアミンとして、原則的に好適であるのは、少なくとも1つの第1級又は第2級アミノ基、好ましくは少なくとも1つの第1級アミノ基を含有する化合物全てである。
【0030】
好ましいアミンは、場合によりヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基で置換されていてもよい、分岐及び非分岐の好ましくはC〜C20の脂肪族アミン、場合によりヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基で置換されていてもよい、C〜C20の脂環式アミン、並びに場合によりヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基で置換されていてもよい、C〜C24の芳香族アミンである。この種類の好ましいアミンは、モノメチルアミン、モノエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、n−ペンチルアミン、tert−ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、オレイルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ビス(トリデシル)アミン、3−メトキシプロピルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、1−フェニルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン、アニリン、o−トルイジン、2,6−キシリジン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,2−ブタンジアミン、1,3−ブタンジアミン、ネオペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,9−ジオキシドデカン−1,12−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(シクロヘキシルアミノ)プロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)エチルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルアミン、ジプロピレントリアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、N−(3−アミノプロピル)イミダゾール、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、イソプロパノールアミン、5−アミノ−1−ペンタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、アミノエチルエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−プロパンジアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、3−((2−ヒドロキシエチル)アミノ)−1−プロパノール、ジイソプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン、1−メチル−3−フェニルプロピルアミン、フルフリルアミン、N−イソプロピルベンジルアミン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、N−ベンジルエタノールアミン、2−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、エトキシプロピルアミン、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、2−シクロヘキセニルエチルアミン、ピペリジン、ジエチルアミノプロピルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、ヒドロキシノバルジアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ジ−tert−ブチルエチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。
【0031】
更に、アミノ末端ポリエーテルを使用することができ、その場合、ポリエーテルは、アルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又は場合により他のエポキシド(例えばブチレンオキシド、スチレンオキシド)又はテトラヒドロフランに基づいてなり、かつアミノ基で官能化されている。
【0032】
その構造組成に依存して、化合物は、1個、2個、又はそれ以上のアミノ基を担持してよい。この種類の生成物は、例えばHuntsmanにより、「Jeffamines」という名称で販売され、又はBASFにより「ポリエーテルアミン」として、例えば、M−600、M−1000、M−2005、M−2070、D−230、D−400、D−2000、D−4000、T−403、T−3000、T−5000、ポリテトラフランアミン1700、ED−600、ED−900、ED−2003、HK−511、EDR−148、EDR−176、SD−231、SD−401、SD−2001、ST−404という表示で販売されている。
【0033】
更に、アミンとして、樹枝状ポリイミン構造、例えば、好ましくは、ポリエチレンイミン及び/又はプロピレンイミン、更に好ましくはポリエチレンイミン、を使用することができる。これらのポリイミンは、場合により、アミノ官能基の部分的アルコキシル化により変性されていてもよい。
【0034】
付加生成物a)及び/又はb)を製造するために、少なくとも1つの加水分解性シラン基を含有する化合物の好適な反応相手として、場合によりオリゴマー又は場合によりポリマーの化合物が挙げられる。これらの官能性末端基を有するオリゴマー又はポリマー化合物は、好ましくは、多分散系であり、これは、これらが均一な鎖長を有さず、かつ前記シラン化合物との付加反応のために、様々な分子量分布でも使用されることを意味する。
【0035】
これらの多分散系の少なくともオリゴマーの化合物は、好ましくは、加水分解性シラン基を含む、分子量が均一な(即ち単分散)有機化合物との付加反応により変換される。
【0036】
接着促進剤を製造するこの反応は、付加生成物a)の場合は、少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を含有する、場合により少なくともオリゴマーの化合物との付加反応に基づく。これらの末端二重結合は、アクリレート及び/又はメタクリレート基、好ましくはアクリレート基である。場合によりオリゴマーの化合物と付加反応するのは、少なくとも1つの加水分解性シラン基を含有する少なくとも1つのアミノシラン、場合によりチオシランである。
【0037】
付加反応では、好ましくは、5〜100mol%、更に好ましくは10〜90mol%、極めて好ましくは15〜80mol%の二重結合が、アミノシラン及び/又はチオシランと反応する。95mol%まで、更に好ましくは90〜10mol%、極めて好ましくは85〜20mol%の残りの二重結合は、シラン基を含まない他のアミン性成分と反応する。
【0038】
接着促進剤b)は、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基及び少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合を含有する、場合によりオリゴマーの化合物との付加反応により、好ましくは製造される。これらの末端二重結合は、アクリレート及び/又はメタクリレート基、好ましくはアクリレート基である。場合によりオリゴマーの化合物と付加反応するのは、少なくとも1つの加水分解性シラン基を含有するイソシアネートシラン及び/又はエポキシシラン並びに、更に、少なくとも1つの他の非シラン官能性アミンである。
【0039】
後者の反応は、好ましくは2ステップで実施され、最初にイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランが場合によりオリゴマーの化合物のヒドロキシル基と付加反応し、その後、末端二重結合が、非シラン官能性モノアミン又はポリアミンと反応する。
【0040】
この反応において、ヒドロキシル基が、エポキシシラン及び/又はイソシアネートシランと、好ましくは80mol%より多い範囲まで、更に好ましくは90mol%より多い範囲まで、極めて好ましくは95mol%より多い範囲まで、反応し、二重結合は、完全に非シラン官能性モノ又はポリアミンと反応する。
【0041】
接着促進剤a)及び/又はb)の製造のための付加反応で観察される相当する反応条件は、それぞれ当業者に公知である。
【0042】
付加生成物a)及び/又はb)の製造のための、少なくとも1つの加水分解性シラン基を含有する化合物の好ましい反応相手は、1〜12個のC原子を有する脂肪族ジオール及びポリオール又は4〜12個のC原子を有する脂環式ジオール及びポリオール又は4〜16個のC原子を有する芳香−脂肪族ジオール及びポリオールのエステルであり、そのOH基は、付加生成物b)の製造のために、エチレン性不飽和モノカルボン酸、好ましくは(メタ)アクリル酸により、部分的にエステル化され、付加生成物a)の製造のためには、完全にエステルされている。(メタ)アクリル酸によるエステル化に好適なジオールは、好ましくは、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、並びに場合により、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドとこれらのジオール及びポリオールとのアルコキシル化生成物である。
【0043】
各付加生成物を製造するために使用される末端エチレン性不飽和二重結合及び場合によりヒドロキシル基を有する化合物は、少なくとも2つの繰り返し構造単位を有する、場合によりオリゴマーの化合物、少なくとも4つの繰り返し構造単位を有する、場合によりポリマーの化合物である。そのような化合物は、相当する変性末端基を含有する、ポリエーテル、飽和ポリエステル、飽和ポリエステルポリエーテル、ポリアミド、飽和ポリエステルアミドを包含する群から選択される。本発明により、飽和ポリエステルは、相当するポリカーボネートも包含する。
【0044】
好適なポリエーテルには、繰り返し構造単位:
−[−O−W−]−
[式中、Wは、C原子1〜15個、好ましくはC原子2〜8個、更に好ましくはC原子2〜4個を有する脂肪族ラジカル、芳香族又は脂環式環又は芳香族−脂肪族部分である]を有する化合物がある。エーテル部分は鎖位置の環の部分でもあって良い。
【0045】
好ましい飽和ポリエーテルは、場合によりビスフェノールA単位を主鎖に含有してよい、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(トリメチレン)オキシド、ポリブチレンオキシド、ポリスチレンオキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリエーテル、ポリ(テトラヒドロフラン)、前記ポリエーテルの構造単位のコポリマー又は前記ポリエーテルの少なくとも2つの混合物である。更に、グリシジルエーテルとして公知のエーテルから由来し、かつビスフェノールとエピクロロヒドリンとの反応により得られるポリエーテルを使用することも可能である。特に好ましい末端基変性ポリエーテルは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドのポリエーテルから由来する。ポリエーテルは、好ましくは分子量100〜10000g/mol、更に好ましくは150〜7500g/mol、極めて好ましくは200〜3000g/molを有する。
【0046】
好適な末端基変性飽和ポリエステルは、好ましくは、対応して変性された飽和ポリエステル、即ち、例えばε−カプロラクトン及び/又はδ−バレロラクトンなどのラクトンのポリエステルのような、エチレン性の不飽和でないポリエステル、及びジオールとα,ω−ヒドロキシカルボン酸との縮合によるか又はジカルボン酸との縮合により得られるポリエステルでもある。酸成分として、ジカルボン酸、それらの酸ハロゲン化物、酸無水物又はエステルを使用することが可能であり、更に詳細には以下のジカルボン酸:シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、4,4’−オキシ二安息香酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、4,4’−スルホニル二安息香酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸が好適である。
【0047】
飽和ジカルボン酸との反応に好適なジオールは、好ましくはエタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコールである。
【0048】
使用される、特に好ましいオリゴマー、場合によりポリマーのポリエステルは、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、カプロラクトン/バレロラクトンコポリエステル、ポリラクチド、ポリエチレンテレフタレート、及びポリブチレンテレフタレートである。
【0049】
末端基変性ポリエステルは、繰り返し構造単位:
−[−W−O−C(=O)−O−]−
を有するポリカーボネートも包含する。
【0050】
この単位中、Wは、C原子2〜15個、好ましくはC原子2〜12個、更に好ましくはC原子2〜8個を有する脂肪族ラジカルであるか、又は芳香族もしくは脂環式ラジカル又は芳香族−脂肪族部分、好ましくはビスフェノールAラジカル又はそれから由来するラジカルである。カーボネート部分は鎖位置の環の部分であってもよい。
【0051】
カルボン酸及び他の酸の混合飽和ポリエステル(ポリエステル−ポリカーボネート)も好適である。好ましいポリカーボネートは、ビスフェノールAポリカーボネート、ビスフェノールFポリカーボネート、ビスフェノールAFポリカーボネート、ビスフェノールA及びビスフェノールTMCに基づくポリカーボネート並びにまた1,6−ヘキサンジオールに基づくものである。本発明により、用語「ポリエステル」はポリカーボネート又はコポリエステルカーボネートも包含する。
【0052】
好ましいポリエステルは、分子量150〜15000g/mol、更に好ましくは200〜7500g/mol、極めて好ましくは250〜3000g/molを有するポリエステルである。
【0053】
繰り返し構造単位:
−C(=O)−NH−
を有する末端基変性ポリアミドを、本発明により使用される接着促進剤を製造するために使用することもできる。ポリアミドのために検討される代表的構成要素として、以下:ε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントールラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸又はこれらの混合物が挙げられる。ポリアミドが、ジアミンとジカルボン酸との重縮合により製造される場合、使用ジアミンは、好ましくはテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカンメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、パラ−アミノアニリン又はメタ−キシレンジアミンであってよく、かつ使用ジカルボン酸は、好ましくはアジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、テレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、及びナフタレンジカルボン酸であって良い。
【0054】
二塩基酸又はジアミンの他に、3個以上の官能基を有する多官能性化合物、例えばトリメリット酸及びピロメリット酸、を同様に、5mol%まで使用することも可能である。
【0055】
好ましいポリアミドは、分子量150〜15000g/mol、更に好ましくは200〜7500g/mol、極めて好ましくは250〜3000g/molを有するものである。
【0056】
使用される特に好ましいポリアミドは、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン10、ナイロン2、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6/66、ナイロン6/12、ナイロン6/6Tから由来する。
【0057】
前記構造単位を有する末端基変性ポリエステルアミドを使用することも可能である。
【0058】
前記ポリマーは、線形、分岐又は星状構造であってよい。分岐又は星状ポリマーへのアクセスは、好適な多官能性出発化合物の使用により可能である。
【0059】
特に好ましいオリゴマー及び/又はポリマーの化合物は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリスチレンオキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドのポリエーテル及びポリ(ε−カプロラクトン)エステルである。
【0060】
本発明により使用される接着促進剤は、コーティング中に、コーティングの総重量に対して、好ましくは5重量%未満、更に好ましくは2重量%未満、極めて好ましくは1重量%未満で存在する。
【0061】
或いは、接着促進剤は、実際のコーティングの前に基板表面に施される予備コート中の成分として、好ましくは前記の量で、使用してもよい。
【0062】
本発明により使用される接着促進剤a)及びb)は、コーティング材として少なくとも1つのポリマーに基づくコーティングの接着を強化するために好適である。コーティングの製造は、好ましくは、コーティング材の反応基と、接着促進剤として存在する付加生成物a)及び/又はb)の少なくとも1つの官能基との少なくとも部分的な反応を伴った。
【0063】
コーティングは、好ましくは合成、半合成又は天然ポリマー又はこれらポリマーの少なくとも2つの混合物に基づいてよい。特に好ましくは、ポリウレタン、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマー、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリラクチド、ポリ酢酸ビニル、セルロースエーテル、セルロースエステル、多糖、でんぷん又は前記ポリマーの少なくとも2つの混合物を包含する群から選択される、少なくとも1つのポリマーを、コーティング材として使用することが可能である。
【0064】
本発明により使用される接着促進剤の使用により、前記ポリマーの少なくとも1つに基づくコーティングを、多方面にわたる基板表面へ優れた接着で施すことができる。そのようなポリマーで被覆できるこれらの基板表面には、以下に記載の金属表面、ガラス表面、場合によりコーティングポリマーとは異なるプラスチック表面、例えば場合により充填され及び/又はガラス繊維−強化された熱可塑性物質、熱硬化性樹脂及び弾性プラスチック、もしくはこれら前記プラスチックの少なくとも2つの混合物の表面、又は、例えば、場合により充填され及び/又は着色されたエポキシ樹脂、アルキド樹脂もしくはアクリレート樹脂に基づく既存コーティングの表面がある。本発明により使用される接着促進剤によって、前記ポリマーに基づくコーティングを、セルロース材料の表面、好ましくは紙表面、更に詳細には未処理又は前処理され、浸され、モルデントされた(mordented)か又は浸漬され、場合によりガラス繊維、プラスチック繊維及び/又は炭素繊維で強化された紙の表面、又は場合により前処理された木材表面に、優れた接着で首尾よく施すこともできる。
【0065】
或いは、前記ポリマーの1つに基づく層状配置のコーティングの代わりに、硬化性表面コーティング系に基づく膜状コーティングを、非常に多岐にわたる材料何れかの基板表面へ、本発明により使用される接着促進剤a)及び/又はb)を用いて、優れた接着で結合させることも可能である。このことも、本発明により使用される接着促進剤の万能的有用性を説明する。
【0066】
硬化性バインダーとして、促進剤a)又はb)の加水分解性シラン基又はその他の官能基、好ましくはアミノ基、と少なくとも部分的に反応し得るものを利用するのが好ましい。これらのバインダーに関しては、例えば、T.Brock/M.Groteklaes/P.Mischke,“Lehrbuch der Lacktechnologie”,Vincentz出版,ハノーハー,1998及びD.Stoye/W.Freitag,“Lackharze−Chemie,Eigenschaften,Anwendung”,Carl Hanser出版,ミュンヘン/ウィーン,1996及びT.A.Turner,“Canmaking−The Technology of Metal Protection and Decoration”,Blackie Academic & Professional,ロンドン,1998及びH.−G.Elias,“Polymere−Von Monomeren und Makromolekuelen zu Werkstoffen”,Huethig & Wepf出版,ハイデルベルグ/オクスフォード,1996、及びまたB.Meuthen,A.−S.Jandel,“Coil Coating−Bandbeschichtung:Verfahren,Produkte und Maerkte”,Friedr.Vieweg & Sohn出版,ビースバーデン,2005に記載される多種多様の例がある。
【0067】
硬化性バインダー系の好ましい例は、所謂エポキシバインダーであり、そのバインダーでは少なくとも2つのエポキシド基を含有する少なくとも1つの硬化性成分が、硬化成分と併せて使用されている。エポキシド基含有バインダー成分として好ましい適合性を、少なくとも2つのエポキシド末端基を有するエポキシ樹脂、好ましくは、場合により置換された多価フェノール及び/又は脂肪族もしくは脂環式多価アルコールとエピクロロヒドリンに基づく重合反応生成物が所有する。本発明により使用される接着促進剤は、好ましくはそのアミン性基を介してバインダー系のエポキシド基と反応することができる。
【0068】
好適な硬化性バインダー系の他の例は、シリコーンベースのバインダー系により代表され、そこでは、存在するアルコキシシラン基、アシルオキシシラン基及び/又はシラノール基の縮合行動により硬化が起こり、ポリシロキサンを生じる。本発明により使用される接着促進剤は、好ましくは、そのシラン基及び/又はその加水分解形を介して、バインダー系のアルコキシシラン、アシルオキシ及び/又はシラノール基と反応し得る。
【0069】
好適な硬化性バインダー系の別の例は、少なくとも2官能性のイソシアネート化合物を含むバインダーであり、これは、少なくとも2官能性のイソシアネート反応性成分、例えばアルコール基又はアミノ基を含む化合物、で架橋される。本発明の付加生成物は、好ましくは、そのアミン性基を通じて、バインダーのイソシアネート基と反応できる。
【0070】
硬化性バインダー系の別の例は、官能性ポリアクリレート又はポリエステル/メラミン系に基づくバインダーを有する系である。本発明の付加生成物は、好ましくは、そのアミン性基を通じて、バインダーの官能基との反応に参加することができる。
【0071】
硬化性バインダー系の別の例は、ポリエステル/カルボン酸に基づくバインダーを有する系である。本発明により使用される接着促進剤は、好ましくは、そのアミン性基を通じて、バインダーの官能基と反応することができる。
【0072】
硬化性バインダー系の別の例は、硬化処置で放射線により架橋される、放射線硬化性系である。これらのバインダー系は、エチレン性不飽和基、好ましくは(メタ)アクリレート基又は不飽和ポリエステル基、を有する化合物を含み、一般に、共重合可能な(メタ)アクリレート官能反応性希釈剤と併せて使用される。本発明により使用される接着促進剤は、好ましくは、そのアミン性基を通じて、バインダー及び/又は反応性希釈剤の(メタ)アクリレート基又は不飽和ポリエステル基と反応し得る。
【0073】
硬化性バインダー系の別の例は、ポリエステルアミド又はポリアミド−イミドに基づくバインダーを有する系であり、その官能基は、本発明により使用される接着促進剤と、更に詳細にはそのアミン性基と、反応し得る。
【0074】
特に好ましくは、本発明により使用される接着促進剤の使用に照らし、以下の硬化し得るバインダー系の1つを使用することが可能であり、これらは、
i.少なくとも2つのエポキシド末端基を有する少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの硬化成分とを含む硬化性バインダー系、
ii.アルコキシシラン基又はシラノール基を有する化合物を含む硬化性バインダー系、
iii.カルボン酸基を有する少なくとも2官能性のポリマー、好ましくはポリエステルと、分子当たり少なくとも2つのエポキシ基又は少なくとも2つのOH基を有する少なくとも1つの化合物とを含む硬化性バインダー系、
iv.少なくとも1つのポリアクリレート−又はポリエステル/メラミン−ベースバインダーを含む硬化性バインダー系、
v.少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するポリマー、及び場合により、これらの官能基と共重合可能な少なくとも1つの反応性希釈剤を含む放射線硬化性バインダー系、
vi.少なくとも2官能性のポリエステルアミド及び/又はポリアミドイミド−ベースバインダーを少なくとも1つ含む硬化性バインダー系、
vii.そのイソシアネート基が場合によりブロックされた形状である少なくとも1つの少なくとも2官能性のイソシアネート化合物と、少なくとも1つの少なくとも2官能性のイソシアネート反応性成分とを含む硬化性バインダー系、
viii.少なくとも2つのエポキシド末端基を有する少なくとも1つのポリマーと、フェノール樹脂とを含む硬化性バインダー系及び/又は、
ix.少なくとも1つのアミノ樹脂、好ましくはメラミン樹脂又は尿素樹脂を含む硬化性バインダー系
に基づくものである。
【0075】
これらのバインダーそれぞれのために、触媒の併用が必要であろう。バインダー系の硬化及び/又は乾燥は、場合により熱的又は光化学的に実施できる。場合により、これらのバインダー相互の組合せ又は他の従来技術のバインダーとの組み合わせも可能である。
【0076】
硬化性バインダー系として、エポキシド末端基を含有し、更に好ましくは、エピクロロヒドリンと多価フェノールとの反応、極めて好ましくはビスフェノールA及び/又はビスフェノールFとの反応、により得ることができる成分に基づく系を使用して、エポキシ樹脂、及びまたこれらの相当するエポキシ樹脂混合物を生じるのが好ましい。
【0077】
硬化成分を、バインダー系の硬化時に随伴物として使用する場合、好適な硬化剤には、例えば、Stoye/Freitag,“Lackharze:Chemie,Eigenschaften und Anwendungen”,Hanser Fachbuch出版,又はDE102005046641A1、又はUPPC AG,88487 Mietringen−Baltringenのカタログ:“UPPC Lieferprogramm:Epoxidharzhaerter,Epoxidharze,Glycidether”に記載されるような、ポリアミン、カルボン酸無水物、カルボン酸、ポリフェノール、アミノ樹脂、フェノール樹脂、触媒的硬化化合物(catalytically curing compounds:例えばフェロセン、トリアリールスルホニウム化合物)、好ましくはポリアミン又はカルボン酸無水物、がある。相当する開示内容が、これにより、本出願の開示内容として組み込まれる。
【0078】
アミノ基含有硬化成分の例は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族ジアミン及び/又は多官能性アミンである。これらには、特に、1級脂肪族ポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン及び類似体、1,3−ペンタンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジプロピレントリアミン、ポリオキシエチレンポリアミン、ポリオキシプロピレンポリアミン、ポリテトラヒドロフランポリアミン、変性脂肪族アミン、例えばマンニッヒ塩基、又は1級アミンとグリシジルエーテルもしくはカルボン酸、好ましくは脂肪酸、との反応により製造された生成物、ヒドロキシル化1級アミン、脂環式アミン、例えばイソホロンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、トリシクロデカントリアミン、芳香族ポリアミン、例えばフェニレンジアミン、メチレンジアニリン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、又は脂肪族アミン、例えばキシリレンジアミンがある。
【0079】
例えば、硬化剤として、カルボン酸無水物、例えばオルトフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物を使用することも可能である。
【0080】
エポキシ樹脂含有バインダー系の硬化は、場合により、イソシアネート樹脂、場合によりブロックトイソシアネートも、の併用で行なうこともできる。
【0081】
代表的エポキシ樹脂、硬化剤及び促進剤、並びに場合により他の助剤との併用でこれらが使用されるその条件も、関連文献、例えばStoye/Freitag,“Lackharze:Chemie,Eigenshaften und Anwendungen”,Hanser Fachbuch出版、又は “Technische Information: Oberflaechenschutz”,第1巻と2巻、Witco GmbH,Bergkamenによる出版、及びまた、その中に列挙される文献に記載される。相当する開示内容は、参照することにより、本明細書に組み込まれ、本出願の開示内容の一部とみなされる。
【0082】
本発明により、前記コーティングのみならず、前記バインダー系に基づく表面コーティング材も種々に使用することが可能であり、そういった使用には、金属基板、プラスチック表面又はガラス表面のコーティング、即ち表面コーティング、のための使用又は年を経たコーティングのような既存コーティング及び表面コーティングの再塗装のための使用がある。
【0083】
表面塗膜に好適な基板表面は、例えば、場合により前処理され及び/又はプレクリーニングされ及び/又は不動態化された金属表面、金属合金表面、プラスチック表面、ガラス表面、セルロース材料の表面、好ましくは紙表面、更に詳細には、場合によりガラス繊維、プラスチック繊維及び/もしくは炭素繊維で強化された、未処理もしくは前処理され、浸され、モルデントされもしくは浸漬された紙の表面、木材表面、又は場合により使い尽くされもしくは風化された既存コーティングの表面である。
【0084】
基板の好ましい一群は、金属表面である。金属表面の場合に、更に詳細には、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、真鍮、ブロンズ、アルミニウム合金又は鉄合金、好ましくはステンレススチールを含む鋼、の場合により前処理された金属製基板表面の場合に、表面コーティング接着又はコーティング接着の強化は、材料の耐腐食性の強化を伴うことが多い。その結果として、発明的に良好な接着性コーティングを備え得る、好ましい基板表面は、処理又は未処理金属基板も含む。そのような金属表面例は、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ及びこれらの組合せの表面である。前記金属のそれぞれは、合金の一部として存在してもよい。例えば、用語「アルミニウム」は、アルミニウムのみならず、アルミニウム合金も包含し、アルミニウム合金は、アルミニウムが、その中に、他の存在する元素何れもと少なくとも同程度の重量割合で存在する、金属であると考えられる。鉄合金は、例えば、冷延鋼板及び熱延鋼板、電気亜鉛メッキ鋼及び溶融亜鉛メッキ鋼を包含する。金属表面に、例えばリン酸塩処理、クロメート処理又はシラン処理のような表面処理を予め施しておくことができる。金属表面の他の例は、真鍮又はブロンズの表面である。
【0085】
しかしながら、本発明は、特に難しい基板に施される表面コーティング系への接着促進剤としての付加生成物a)及び/又はb)の用途にも関する。一方で、既に表面被覆されているか又は被覆されている基板もこれらに含まれる。これらの基板は、更に詳細には、エポキシ材料のような、従来技術の表面コーティング材で既に被覆された表面を包含し、例えば、問題のコーティングは、恐らく、新たに表面被覆された表面と比べて、風化作用のため化学的変質を被っている古いコーティングである。これらの老化有機コーティングは、特に、例えば、充填及び/又は着色アルキド樹脂又はアクリレート樹脂に基づくコーティングである。
【0086】
他方で、プラスチック表面は、被覆するのが困難な基板表面でもある。これらのプラスチックは、場合により充填され及び/又は繊維強化された熱可塑性物質、熱硬化性樹脂、エラストマーであってよく、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)、飽和ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート)、不飽和ポリエステル(UP)、エポキシ樹脂(EP)、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂(MF)、フェノール樹脂(PF)、ポリウレタン(PU)、エチレン−プロピレン−ジエンエラストマー(EPDM)及びまた前記プラスチックの業務用ブレンド等である。
【0087】
本発明は、更に、未処理又は前処理された種類のガラス表面に使用される前記プラスチックコーティング材及び/又は表面コーティング系への、接着を促進する添加物(接着促進剤)としての、付加生成物a)及び/又はb)の使用にも関する。
【0088】
本発明は、更に、木材基板又は木材様基板上のようなセルロース材料を含む表面上の前記プラスチックコーティング材及び/又は表面コーティング系への、接着促進添加物としての付加生成物a)及び/又はb)の使用にも関する。木材様基板表面には、加工された形で木材を含むものもあり、例えば、木材さもなければ紙に基づく複合材料である。これに関連して、既に記載された、木材基板又は木材様基板(例えば紙)は、未処理の形で存在するか、さもなければ前処理された(例えば、浸され、モルデントされ、浸漬された)形で存在してよい。
【0089】
接着促進剤としての付加生成物a)及び/又はb)の配備は、(1)最初に接着促進剤を添加物としてコーティング材又は表面コーティング系に導入することにより、又は(2)接着促進剤を、少なくとも1成分として前処理に使用することにより行うことができ、その場合、表面コーティング系又はコーティング材を施与する前に接着促進剤又は接着促進剤を含む組成物を基板表面に施与する。後者は、例えば粉末コーティングの場合に可能である。
【0090】
更に、塗膜又は表面塗膜として、コーティングは、必要ならば、加工添加剤として、慣用の助剤、例えば、消泡剤、脱気剤、阻害剤、安定剤、例えば抗酸化剤、光安定剤、熱安定剤、及び難燃剤、変性剤、例えば湿潤剤、可塑剤、増粘剤、チキソトロープ剤、衝撃改質剤、膨張剤及び/又は表面変性剤、例えば帯電防止剤、疎水化剤、親水化剤、ワックス、有機及び/又は無機顔料及び好ましくは被覆すべき基板材料とは異なる材料の充填剤、湿潤剤及び分散剤等を含んで良い。相当する添加剤は、装飾的及び/又は技術的かの最終目的用途により、公知の方法で選択される。更に、コーティングは、プリント及び/又はエンボス加工されてもよい。
【0091】
記載基板表面の1つの上に被覆又はコーティングを製造するプロセスが、本発明により追加的に提供され、接着促進剤a)及び/又はb)並びに場合により慣用の助剤を含む、少なくとも1つの前記表面コーティング系又はコーティング材を、基板表面に施与し、基板表面に施された表面コーティング系又はコーティングは、物理的に乾燥させ、焼き付け、及び/又は硬化させ及び/又は架橋させる。
【0092】
前記基板表面の1つの上に被覆又はコーティングを製造する他のプロセスは、少なくとも1つの前記表面コーティング系又はコーティング材を、少なくとも1つの付加生成物a)及び/又はb)を含む予備コートを既に備えた基板表面に施し、施された表面コーティング系又はコーティング材は、物理的に乾燥させ、焼き付け、及び/又は硬化させ及び/又は架橋させることである。実際の表面塗膜が製造される前に施与される予備コーティングは、前記接着促進剤少なくとも1つ及び場合により、例えば湿潤助剤又は流動性調節剤のような他の成分に基づいてよい。
【0093】
他の態様で、本発明は、その金属表面、好ましくはアルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズの表面、又は金属合金表面、好ましくはアルミニウム合金もしくは鉄合金の表面、真鍮又はブロンズの表面、又はそのプラスチック表面又はそのガラス表面又はそのセルロース材料表面が、接着促進剤として付加生成物a)及び/又はb)少なくとも1つを使用して製造された前記コーティング少なくとも1つを備えている、対象物又は物品を提供する。
【0094】
本発明は、接着促進剤として前記付加生成物a)及び/又はb)少なくとも1つを使用して製造されたその層状又は膜状コーティングが、合成、半合成及び/又は天然ポリマーに基づく、対象物又は物品を同様に提供する。
【0095】
更に、本発明の1態様で、接着促進剤として前記付加生成物a)及び/又はb)を少なくとも1つ使用して製造された表面塗膜の形状のそのコーティングは、前記硬化性バインダー系少なくとも1つに基づく、対象物又は物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】記載なし。
【図2】記載なし。
【実施例】
【0097】
実施例で使用する化合物は以下のとおりである:
【表1】

【0098】
I.接着促進剤の製造
接着促進剤は、場合により、有機溶媒中で製造することができる。以下の情報で、略語NMRは、核磁気共鳴スペクトロスコピーを表す。
【0099】
接着促進剤1:
ヘキサンジオールジアクリレート34.60g及び1−メトキシ−2−プロピルアセテート120.00gを、還流冷却器、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗、及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに導入し、30℃まで加熱する。反応は、窒素流下で実施する。10分間にわたり、3−アミノプロピルトリメトキシシラン24.90gを滴加し、冷却を実施して、確実に、反応混合物の温度が40℃を超えないようにする。その後、30℃で4時間以上撹拌する。続いて、トリエチレンテトラミン20.50gを8分間にわたり滴加する。その後、30℃で6時間以上撹拌する。生成物:アクリレート基は、完全に反応した(H NMRスペクトロスコピーにより決定)。活性物質が、1−メトキシ−2−プロピルアセテート中40%濃度溶液として得られる。
【0100】
接着促進剤2:
ジプロピレングリコールジアクリレート33.50g及び1−メトキシ−2−プロピルアセテート120.00gを、還流冷却器、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗、及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに導入し、30℃まで加熱する。反応は、窒素流下で実施する。10分間にわたり、3−アミノプロピルトリメトキシシラン22.50gを滴加し、冷却を実施して、確実に、反応混合物の温度が40℃を超えないようにする。その後、30℃で5時間以上撹拌する。続いて、テトラエチレンペンタミン24.0gを8分間にわたり滴加する。その後、30℃で6時間以上撹拌する。生成物:アクリレート基は、完全に反応した(H NMRスペクトロスコピーにより決定)。活性物質が、1−メトキシ−2−プロピルアセテート中40%濃度溶液として得られる。
【0101】
接着促進剤3:
ジアクリレートA47.10g及び1−メトキシ−2−プロピルアセテート120.00gを、還流冷却器、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗、及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに導入し、30℃まで加熱する。反応は、窒素流下で実施する。10分間にわたり、3−アミノプロピルトリメトキシシラン15.90gを滴加し、冷却を実施して、確実に、反応混合物の温度が40℃を超えないようにする。その後、30℃で4時間以上撹拌する。続いて、テトラエチレンペンタミン17.00gを8分間にわたり滴加する。その後、30℃で6時間以上撹拌する。生成物:アクリレート基は、完全に反応した(H NMRスペクトロスコピーにより決定)。活性物質が、1−メトキシ−2−プロピルアセテート中40%濃度溶液として得られる。
【0102】
接着促進剤4:
トリプロピレングリコールジアクリレート54.3g及び1−メトキシ−2−プロピルアセテート120.00gを、還流冷却器、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗、及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに導入し、30℃まで加熱する。反応は、窒素流下で実施する。10分間にわたり、3−アミノプロピルトリメトキシシラン14.60gを滴加し、冷却を実施して、確実に、反応混合物の温度が40℃を超えないようにする。その後、30℃で4時間以上撹拌する。続いて、1,3−キシリレンジアミン11.10gを8分間にわたり滴加する。その後、30℃で6時間以上撹拌する。生成物:アクリレート基は、完全に反応した(H NMRスペクトロスコピーにより決定)。活性物質が、1−メトキシ−2−プロピルアセテート中40%濃度溶液として得られる。
【0103】
接着促進剤5:
ジアクリレートC48.10g及び1−メトキシ−2−プロピルアセテート120.00gを、還流冷却器、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗、及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに導入し、30℃まで加熱する。反応は、窒素流下で実施する。10分間にわたり、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン22.80gを滴加し、冷却を実施して、確実に、反応混合物の温度が40℃を超えないようにする。その後、30℃で5時間以上撹拌する。続いて、1,3−キシリレンジアミン9.10gを8分間にわたり滴加する。その後、30℃で6時間以上撹拌する。生成物:アクリレート基は、完全に反応した(H NMRスペクトロスコピーにより決定)。活性物質が、1−メトキシ−2−プロピルアセテート中40%濃度溶液として得られる。
【0104】
接着促進剤6:
ジアクリレートC22.50g及び1−メトキシ−2−プロピルアセテート64.40gを、還流冷却器、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗、及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに導入し、30℃まで加熱する。反応は、窒素流下で実施する。7分間にわたり、3−アミノプロピルトリメトキシシラン11.20gを滴加し、冷却を実施して、確実に、反応混合物の温度が40℃を超えないようにする。その後、30℃で4時間以上撹拌する。続いて、トリエチレンテトラミン9.2gを2分間にわたり滴加する。その後、30℃で6時間以上撹拌する。生成物:アクリレート基は、完全に反応した(H NMRスペクトロスコピーにより決定)。活性物質が、1−メトキシ−2−プロピルアセテート中40%濃度溶液として得られる。
【0105】
接着促進剤7:
ジアクリレートC22.50g及び1−メトキシ−2−プロピルアセテート60.20gを、還流冷却器、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗、及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに導入し、30℃まで加熱する。反応は、窒素流下で実施する。8分間にわたり、3−アミノプロピルトリメトキシシラン11.20gを滴加し、冷却を実施して、確実に、反応混合物の温度が40℃を超えないようにする。その後、30℃で4時間以上撹拌する。続いて、ジエチレントリアミン6.45gを2分間にわたり滴加する。その後、30℃で6時間以上撹拌する。生成物:アクリレート基は、完全に反応した(H NMRスペクトロスコピーにより決定)。活性物質が、1−メトキシ−2−プロピルアセテート中40%濃度溶液として得られる。
【0106】
接着促進剤8:
ジプロピレングリコールジアクリレート40.00gを、還流冷却器、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗、及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに導入し、30℃まで加熱する。反応は、窒素流下で実施する。15分間にわたり、3−アミノプロピルトリエトキシシラン29.23gを滴加し、冷却を実施して、確実に、反応混合物の温度が40℃を超えないようにする。その後、35℃で1時間以上撹拌する。続いて、イソホロンジアミン28.15gを10分間にわたり滴加する。その後、30℃で5時間以上撹拌する。生成物:アクリレート基は、完全に反応した(H NMRスペクトロスコピーにより決定)。
【0107】
接着促進剤9:
ジアクリレートB50.00gを、還流冷却器、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗、及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに導入し、30℃まで加熱する。反応は、窒素流下で実施する。12分間にわたり、3−アミノプロピルトリエトキシシラン14.03gを滴加し、冷却を実施して、確実に、反応混合物の温度が40℃を超えないようにする。その後、35℃で1時間以上撹拌する。続いて、イソホロンジアミン13.49gを6分間にわたり滴加する。その後、30℃で1時間以上撹拌し、その間、粘度が増加する。その後、今度は、反応混合物の粘度を減じるために、1−メトキシ−2−プロピルアセテート19.38gで希釈する。活性物質は、1−メトキシ−2−プロピルアセテート中80%濃度溶液として存在する。その後、30℃で5時間撹拌する。生成物:アクリレート基は、完全に反応した(H NMRスペクトロスコピーにより決定)。
【0108】
接着促進剤10:
ジアクリレートC210.00g及び1−メトキシ−2−プロピルアセテート652.47gを、還流冷却器、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗、及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに導入し、30℃まで加熱する。反応は、窒素流下で実施する。20分間にわたり、3−アミノプロピルトリエトキシシラン114.60gを滴加し、冷却を実施して、確実に、反応混合物の温度が40℃を超えないようにする。その後、35℃で4時間以上撹拌する。続いて、イソホロンジアミン110.38gを15分間にわたり滴加する。その後、30℃で5時間以上撹拌する。生成物:アクリレート基は、完全に反応した(H NMRスペクトロスコピーにより決定)。活性物質が、1−メトキシ−2−プロピルアセテート中40%濃度溶液として得られる。
【0109】
接着促進剤11:
モノアクリレートD75.00g及びジブチル錫ジラウレート(キシレン中1%)溶液1.17gを、還流冷却器、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗、及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに導入する。反応は、窒素流下で実施する。反応混合物を、80℃まで加熱する。7分間にわたり、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン27.90gを滴加し、温度は100℃まで上昇する。冷却を実施して、温度を再び80℃まで下げる。その後、80℃で2.5時間以上撹拌する。中間体:イソシアネート基は完全に反応し、ヒドロキシル末端基は最早検出できない(13C NMRスペクトロスコピーにより決定);アクリレート二重結合対シラン基の比は、1.05:1である(H NMRスペクトロスコピーにより決定:理論値:1:1)。
【0110】
反応混合物を30℃まで冷却し、ジエチレントリアミン14.02gを添加する。その後、6時間以上撹拌し、その間、温度は35℃を超えない。アクリレート基は、完全に反応した(H NMRスペクトロスコピーにより決定)。
【0111】
接着促進剤12:
ジアクリレートC40.00gを、還流冷却器、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗、及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに導入し、30℃まで加熱する。反応は、窒素流下で実施する。20分間にわたり、3−アミノプロピルトリエトキシシラン24.90gを滴加し、冷却を実施して、確実に、反応混合物の温度が40℃を超えないようにする。その後、30℃で6時間以上撹拌する。生成物:アクリレート基は、完全に反応した(H NMRスペクトロスコピーにより決定)。
【0112】
接着促進剤13:
1−メトキシ−2−プロピルアセテート227.40g及び3−アミノプロピルトリメトキシシラン79.60gを、還流冷却器、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗、及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに25℃で導入する。反応は、窒素流下で実施する。35分間にわたり、ジアクリレートC72.00gを滴加し、冷却を実施して、確実に、反応混合物の温度が40℃を超えないようにする。その後、25℃で6時間以上撹拌する。生成物:アクリレート基は、完全に反応した(H NMRスペクトロスコピーにより決定)。活性物質が、1−メトキシ−2−プロピルアセテート中40%濃度溶液として得られる。
【0113】
II.接着促進剤の使用
以下の市販の原料を実施例で使用する:
【表2】

【0114】
A)エポキシ耐腐食コーティングへの使用
a)基板準備
使用した基板は、152mm×76mm×0.5 mm(高さ/幅/厚さ)寸法のQ−Panel社の鋼パネル:タイプQD−36“steel smooth finish”であった。
【0115】
テストに使用される鋼パネルは、タイプBranson 1200 Ultrasonic Cleaner,モデルB1200E−1(Branson Ultrasonics Corporation,41 Eagle Road,Danbury,CT 06813−1961,USA)の超音波浴の作動下に、Mucasolエマルジョン(Mucasolラピッドクリーナーの2重量%濃度水溶液(Brand GmbH&Co.KG,97861 Wertheim/Main))中で5分間処理した。続いて、パネルを完全な脱塩水で濯ぎ、次いで、酢酸エチルでクリーンにした。各パネルへのコーティング系の施与は、クリーニング後2時間以内に実施した。
【0116】
b)テストされるコーティング系の製造
各場合に使用されるコーティング系は、以下の組成を有する、溶剤不含エポキシ系であった:
【表3】

【0117】
コーティング系の製造のために、成分Aの構成要素を全て混合し、VMA−Getzmann GmbH(51580 Reichshof)の溶解機:タイプDispermat MG−E7の、5000rpmでの作動下に、これをポリエチレン製ビーカー中で15分間、均一化させた。続いて、均一化された混合物を、新たなプラスチックビーカーに移し、溶解機の作動下に、5分間、再度均一化させた。続いて、密閉可能な金属容器に移した。
【0118】
比較例(2及び3)の全て及び本発明例1〜5の全てで、接着促進剤を、活性物質(成分Aの総重量に対して)1.0重量%の用量で使用した。この目的のために、接着促進剤を使用硬化剤(成分B)と混合し、その直後に、成分Aと混合し、VMA−Getzmann GmbH(51580 Reichshof)のタイプDispermat LC3の溶解機を、2000rpmで3分間使用し、均一化させた。その後、コーティング系を5分間放置し、次いで、80μ篩を通して濾過した。175μmワイヤードクター(wire doctor)を用いて、コーティング系を、クリーンにしたテストパネルに即座に塗布した。
【0119】
パネルを室温で16時間、次いで45℃で8時間乾燥させた。
【0120】
乾燥後、乾燥膜厚さを、BYK−Gardner,82538 Geretsriedのbyko−test 1500手動検査器を用いて突き止めた。
【0121】
c)塩水噴霧試験
塩水噴霧試験の遂行のために、Erichsen,58675 HemerのSikkens model 463スコアラー(ブレード幅:1 mm)を使用し、接着細片(3)を用いて固定した金属パネル(2)の中心に、垂直に1mm幅でスコアマーク(1)をつけた(図1による)。
【0122】
DIN EN ISO 9227に従って、塩水噴霧試験を、各場合に、168時間(1週間)実施した。
【0123】
塩水噴霧試験の評価のために、即ち施与されたコーティング材の保護効果の評価のために、168時間後、以下のように、腐食ふくれ幅(scribe creep)を測定した。
【0124】
腐食ふくれ幅は、次式により、W値に基づき計算する。
【数1】

【0125】
【表4】

【0126】
塩水噴霧試験の前記結果は、本発明接着促進剤の使用時に著しく減じられたW値を示し、従って、減じられた腐食と同時に著しく強化されたコーティング接着を示す。
【0127】
B)ポリエステル焼き付け塗料への使用
a)基板
使用基板は、電解亜鉛鍍金鋼;Krueppel,47807 Krefeldからのサンプルパネル、タイプ“Zinkor DC01+ZE (25/25)”;寸法(高さ/幅/厚さ): 150mm×80mm×0.8mm、であった。
【0128】
b)ニス系:ポリエステル/メラミン系
金属テストパネルに、金属表面に直接塗布するプライマーニスと、トップコートニスとからなる2−コートニスを何れの場合も施与した。接着促進剤は、プライマーニスにのみ添加した。何れの場合も活性物質1重量%(プライマーニスの総質量に対して)の用量を選択して行った。
【0129】
両ニス系は、それぞれ最初に、へらを用いて手で撹拌し、次いで、溶解機により均一化させた(Pendraulik type TD100,Pendraulik,Springe;1865rpmで3分間)。
【0130】
【表5】

【0131】
分散条件:
40℃、800rpmで20分(溶解機:Pendraulik type TD100,Pendraulik,Springe)、ガラスビーズ:ミルベース(millbase)の重量比=1:1(ガラスビーズ:Sil−glass slg/10〜12、Siltrade,Rietschen)
【0132】
【表6】

【0133】
分散条件:
40℃、800rpmで20分(溶解機:Pendraulik type TD100,Pendraulik,Springe)、ガラスビーズ:ミルベースの重量比=1:1(ガラスビーズ:Sil−glass slg/10〜12、Siltrade,Rietschen))
【0134】
プライマーニス系及びトップコートニス系は、それぞれ、室温で16時間保管し、次いで以下の条件下で塗布した。
【0135】
プライマーニス系:
ワイヤードクター:湿膜厚さ30μm
乾燥膜厚さ:5μm(Automation Dr.Nix,ケルンのQuaNix 7500膜厚さ測定器を使用して測定)
【0136】
トップコートニス系:
ワイヤードクター:湿膜厚さ80μm
乾燥膜厚さ:20μm(Automation Dr.Nix,ケルンのQuaNix 7500膜厚さ測定器を使用して測定)
【0137】
焼き付け条件:
両ニス膜を、温度420℃で30秒間それぞれ焼き付けた。両コートに関して、最高到達温度(peak metal temperature(PMT))は232℃であった。
【0138】
塩水噴霧テスト:
DIN EN ISO 9227に従い、ニステストパネルに、塩水噴霧テストを500時間施した。
【0139】
この目的のため、先ず第一に、Erichsen,58675 HemerのSikkens scorer、モデル463(ブレード幅:1 mm)を使用して、ニス塗りしたパネルに、1mm幅、100mm長さを示すスクラッチ痕を刻んだ。このスクラッチ痕を鋼に(言い換えると、亜鉛メッキ層に)確実に施すよう注意を払った。塩水噴霧室での保管後、表面にブレードでスクラッチした後の腐食ふくれ幅の範囲を検査した。前記の式により、2−コートニスの保護効果を解明するためのW値の計算を行った。
【0140】
【表7】

【0141】
この結果から、本発明の接着促進剤の使用による、接着促進剤効果の改良が示される。
【0142】
C)木材ニスでの使用
a)基板
使用基板は、3M社のWetordry P220研磨シートで磨いたチーク材パネル(固体、寸法:15.5cm×7.0cm×0.8cm)の表面であった。
【0143】
b)ニス系:ポリエステルアクリレート
【表8】

【0144】
上に列挙したニス系の成分は、溶解機(Pendraulik LM34,Pendraulik,Springe)を使用して、1865rpmで3分間均一化した。接着促進剤を使用した場合、(ニス処方物の総質量に対して)2重量%用量の活性物質で使用した。
【0145】
ニス系を一晩保管した後、25μmワイヤードクターを使用して、研磨されたチーク表面に塗布した。
【0146】
2−コートニス仕上げを実行し、同一ニス系を2度塗布した。接着促進剤は、プライマーニス系にのみ使用した。トップコートニスは、接着促進剤を含有しなかった。
【0147】
プライマーニス膜の施与後、IST METZ社の装置M−35−2×1−TR−SSで、タイプM350 U1//M350 U1AのUV灯(水銀灯及びガリウム灯、それぞれのUV範囲:180〜450 nm)を120W/cm及び移動速度20m/分で使用して、UV硬化を行った(ゲル化出現)。
【0148】
トップコートニス膜の施与後、IST METZ社の装置M−35−2´1−TR−SSで、タイプM350 U1//M350 U1AのUV灯(水銀灯及びガリウム灯、それぞれのUV範囲:180〜450 nm)を120W/cm及び移動速度5m/分で使用して、UV硬化を行った。
【0149】
c)ニス接着の測定
木材表面へのニス接着を2方法により評価した:
c1)コインテスト
2ユーロコインを使用して、ニス上にスクラッチテストを実施した。ここで、ニスが引っ掻きにより基板からはがれた範囲を測定した。評価は、スクール等級(school grade:1=非常に良好な接着、5=いかなる接着も無し)に基づいて視覚で行なった。
【0150】
c2)クロスハッチテスト
折り尺を活用し、カッターブレード(NTカッター、モデルeA−300、NT Incorporated,大阪、日本)を使用して、それぞれスクラッチ線5本を有するスクラッチ痕2つ(図2による)を、相互に直角に、次々とニス上に付けた。その後、市販のTesa膜(Tesa SE)を使用して、180°剥離試験を行った。評価は、スクール等級(1=非常に良好な接着、5=いかなる接着も無し)に基づいて視覚で行なった。
【0151】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの合成、半合成及び/又は天然のポリマー系コーティングと、このコーティングで被覆される基板表面との間の接着促進剤としての、
a)少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物とともに、
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び/又はチオシラン、
並びに、少なくとも1つの更なるモノアミン及び/又は少なくとも2つのアミノ基を有するポリアミンの
場合によりオリゴマーである末端C=C二重結合を含まない少なくとも1つの付加生成物、
及び/又は、
b)少なくとも1つのモノアミン及び/又は少なくとも2つのアミノ基を有するポリアミンと組み合わせて、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基及び少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物とともに、
少なくとも1つの加水分解性シラン基を含有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランの
場合によりオリゴマーである末端C=C二重結合を含まない少なくとも1つの付加生成物
の使用。
【請求項2】
前記付加生成物a)を調製するための使用される末端二重結合を含有する化合物が、二重結合として、(メタ)アクリレート基、好ましくはアクリレート基を有しており、かつ、前記付加生成物b)を調製するために使用される化合物が、末端二重結合として、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基だけでなく、少なくとも1つのアクリレート又はメタクリレート基、好ましくは少なくとも1つのアクリレート基をも有することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記付加生成物a)及びb)のそれぞれが、シラン成分との反応により、少なくとも1つのオリゴマー、好ましくはポリマーの付加成分から誘導されることを特徴とする請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記付加生成物a)及び/又はb)を調製するためにシラン成分と反応する多官能性化合物が、相当する官能性末端基を有する飽和ポリエステルポリエーテル、飽和ポリエステルアミド、ポリアミド、飽和ポリエステル及び/又はポリエーテルから誘導されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記使用されるポリエーテル、ポリエステル又はポリエステルポリエーテル成分が、いずれの場合も、
末端基として、少なくとも2つのエチレン性不飽和二重結合を有するか、
又は、少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合及び少なくとも1つの末端ヒドロキシル基を有することを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項6】
ポリエーテルとして、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、これらの混合物、これらのコポリマー、これらのブロックコポリマー、及びビスフェノールとエピクロロヒドリンとのポリエーテル縮合生成物からなる群から選択される少なくとも1つのポリエーテルが使用され、ポリエステルとして、ジオールと飽和ジカルボン酸とのポリエステル、ラクトン、好ましくはε−カプロラクトン又はδ−バレロラクトンから形成されるポリエステル及びポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1つポリエステルが使用されることを特徴とする請求項4又は5に記載の使用。
【請求項7】
一般式:
【化1】

[式中、
Aは、エポキシド基、グリシジルオキシ基、イソシアネート基、−SH基又は−N(H)−X基であり、ここで、Xは、水素、場合により枝分かれした1〜12個のC原子を有するアルキルラジカル、6〜10個のC原子を有するアリールラジカル、又は4〜6個のC原子を有するシクロアルキルラジカルであり、これらのXラジカルはそれぞれ1つ以上の1級又は2級アミノ基により置換されていてもよく、もしくはmが整数2の場合、Aは−NH基であり、
は、場合により枝分かれした1〜12個のC原子を有するアルキレンラジカル、4〜6個のC原子を有するシクロアルキレンラジカル、又は6〜10個のC原子を有するアリーレンラジカルであり、
は、R及びRと同じか又は異なり、場合により枝分かれした1〜7個のC原子、好ましくは1〜3個のC原子を有するアルキルラジカル、ハロゲン、−O−C(=O)−R基又は−OR基であり、ここで、Rは、同じか又は異なるものであり、水素、メトキシエチル基又は場合により枝分かれした1〜7個のC原子、好ましくは1〜3個のC原子を有するアルキルラジカル又は4〜6個のC原子を有するシクロアルキルラジカルであり、
は、R及びRと同じか又は異なり、場合により枝分かれした1〜7個のC原子、好ましくは1〜3個のC原子を有するアルキルラジカル、−O−C(=O)−R基、ハロゲン又は−OR基であり、ここで、Rは、同じか又は異なるものであり、水素、メトキシエチル基又は場合により枝分かれした1〜7個のC原子、好ましくは1〜3個のC原子を有するアルキルラジカル又は4〜6個のC原子を有するシクロアルキルラジカルであり、
は、R及びRと同じか又は異なり、−O−C(=O)−R基、ハロゲン又は−OR基であり、ここで、Rは、同じか又は異なるものであり、水素、メトキシエチル基又は場合により枝分かれした1〜7個のC原子、好ましくは1〜3個のC原子を有するアルキルラジカル又は4〜6個のC原子を有するシクロアルキルラジカルであり、
mは、整数1又は2である]
の化合物が、少なくとも1つの加水分解性シラン基を含有する化合物として、使用されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記付加生成物a)が、アミノシランと、少なくとも2つのアミノ基を有するポリアミン少なくとも1つとの組合せを使用して調製され、前記ポリアミンが、少なくとも1つの第1級アミノ基と、少なくとも1つの第2級アミノ基又は他の第1級アミノ基とを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記接着促進剤が、前記コーティング材中の成分として使用されるか、又は前記被覆される基板表面上の予備コーティング中の少なくとも1つの成分として適用されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記コーティング材が、コーティングの製造時に、前記接着促進剤として存在する前記付加生成物a)及び/又はb)の少なくとも1つの官能基と少なくとも部分的に反応する少なくとも1つの成分に基づくものであり、前記コーティング材が、好ましくは少なくとも1つのポリウレタン、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリラクチド、セルロースエーテル又はセルロースエステル又は前記ポリマーの少なくとも2つの混合物に基づくものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記コーティングは、その官能基が、表面コーティングの形成時に、前記接着促進剤a)及び/又はb)の官能基と少なくとも部分的に反応する硬化バインダー系に基づく表面コーティング膜の形状で存在することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記硬化されるバインダー系が、
i.少なくとも2つのエポキシド末端基を有する少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの硬化成分とを含む硬化性バインダー系、
ii.アルコキシシラン基又はシラノール基を有する化合物を含む硬化性バインダー系、
iii.カルボン酸基を有する少なくとも2官能性のポリマー、好ましくはポリエステルと、分子当たり少なくとも2つのエポキシ基又は少なくとも2つのOH基を有する少なくとも1つの化合物とを含む硬化性バインダー系、
iv.少なくとも1つのポリアクリレート−又はポリエステル/メラミン−ベースバインダーを含む硬化性バインダー系、
v.少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するポリマー、及び場合により、これらの官能基と共重合可能な少なくとも1つの反応性希釈剤を含む放射線硬化性バインダー系、
vi.少なくとも2官能性のポリエステルアミド及び/又はポリアミドイミド−ベースバインダーを少なくとも1つ含む硬化性バインダー系、
vii.そのイソシアネート基が場合によりブロックされた形状である少なくとも1つの少なくとも2官能性のイソシアネート化合物と、少なくとも1つの少なくとも2官能性のイソシアネート反応性成分とを含む硬化性バインダー系、
viii.少なくとも2つのエポキシド末端基を有する少なくとも1つのポリマーと、フェノール樹脂とを含む硬化性バインダー系及び/又は、
ix.少なくとも1つのアミノ樹脂、好ましくはメラミン樹脂又は尿素樹脂を含む硬化性バインダー系
に基づくものであることを特徴とする請求項1〜9又は11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記基板表面が、場合により前処理された及び/又はプレクリーニングされた及び/又は不動態化された金属表面、好ましくはアルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、真鍮、ブロンズの表面、及び/又は金属合金表面、アルミニウム合金又は鉄合金、更に好ましくはステンレススチールを含む鋼の表面、プラスチック表面、好ましくは場合により充填され及び/又は繊維強化された熱可塑性物質、熱硬化性樹脂又は弾性プラスチック、又は前記プラスチック少なくとも2つの混合物の表面、ガラス表面、セルロース材料の表面、好ましくは紙表面、更に詳細には、場合によりガラス繊維、プラスチック繊維及び/又は炭素繊維で強化されていてよい未処理又は前処理され、更に好ましくは浸され、モルデントされたか又は浸漬された紙の表面、場合により前処理された木材表面、又は既存の、場合により使い尽くされたか又は風化されたコーティング表面、好ましくは、場合により充填され及び/又は着色されたエポキシ樹脂、アルキド樹脂又はアクリレート樹脂に基づくコーティングの表面であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
好ましくは対象物又は物品の表面として、前記基板表面がシート様の広がりを有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
対象物又は物品であって、その金属表面、好ましくはアルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、又は金属合金、好ましくはアルミニウム合金又は鉄合金、真鍮又はブロンズの表面、又はそのプラスチック表面、又はそのガラス表面、又はセルロース材料表面が、接着促進剤として請求項1〜8のいずれか1項に記載の付加生成物a)及び/又はb)の少なくとも1つを使用して製造されたコーティングを備えている対象物又は物品。
【請求項16】
前記コーティングが、層状又は膜状であり、合成、半合成及び/又は天然のポリマー系である請求項15に記載の対象物又は物品。
【請求項17】
前記コーティングが、請求項10に記載のポリマー系であることを特徴とする請求項15又は16に記載の対象物又は物品。
【請求項18】
対象物又は物品であって、その表面が、請求項15又は16に記載のコーティングを備えており、このコーティングが、請求項1〜8のいずれか1項に記載の付加生成物a)及び/又はb)の少なくとも1つを使用して、請求項11又は12に記載の硬化バインダー系に基づく表面コーティング膜の形状で存在する、対象物又は物品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−503212(P2013−503212A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525937(P2012−525937)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005311
【国際公開番号】WO2011/023409
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(596089399)ビック−ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】