説明

種々の色を有する医薬品を形成するための方法及び装置

錠剤等の医薬剤形上に色グラデーションを形成するための方法及び装置を開示する。本発明の好ましい態様では、コーティング層の色が錠剤コアの色と異なるように錠剤コアにコーティングを施す。コーティング層を1以上のレーザーによりエッチングして、その選択された部分を除去し、コアが見えるようにする。コーティング層の選択された部分を除去し、他の部分はレーザーによりエッチングされないままであるので、コーティング層の色に変化が生ずる。錠剤コアの色はコーティング層部分が完全に除去されている位置で見ることができ、コーティング層の色、すなわちそのカラーコーティングの色はコーティング層部分が部分的にしか除去されていないか、または全く除去されていない位置で見ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその内容を本明細書に組み入れる、2007年8月17日に出願された米国特許仮出願第60/956,579号に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、包括的には種々の色を有する医薬品、例えばその上に複数の色、色彩、色調及び/または色相を有する経口剤形(例えば、錠剤、カプレット剤またはカプセル剤)を形成するための方法及び装置に関する。
【0003】
本発明は、より具体的には錠剤及び他の医薬品上にグラフィックシンボル、英数字テキスト、或いは他のキャラクターまたは表示を形成するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0004】
医薬錠剤の色の変化に関する従来技術として、米国特許出願公開第2005/0152971号(Rinker等)が挙げられる。Rinker等は、ゼラチン物質のコーティングがサブコーティング上に設けられている2つの末端領域、及び出願人がギャップと同定し、サブコーティングが露出している露出周方向帯域を有する、改良されたゼラチンコーティング剤形に関する。この製造方法では、中間剤形を、例えば横方向励起大気(TEA)レーザーを用いる機械的またはレーザードリルプロセスにかける。中間剤形の周方向帯域及び/または一方もしくは双方の末端領域に対してマスクを介してレーザーを当て、サブコーティング及び/またはゼラチンコーティングを除去し、マスクにより決められるパターンで開口部を形成する。サブコーティングの下にあるコア物質は開口部を通して現れる。サブコーティング及び/またはゼラチンコーティングをコア物質の色と異なる色とすることによって、複数の色を有する剤形を提供することができる。
【0005】
国際公開第WO91/01884号(The Upjohn Company)には、まずグラフィックシンボルまたは幾何学模様を慣用のオフセット印刷技術を用いて錠剤表面に印刷し、次いでレーザーマーキングシステムを用いてオフセット印刷したインクの選択された部分を除去して、印刷したインクのすぐ下の錠剤表面上のコーティングを露出させる、錠剤に印をつけるための2段階の方法が記載されている。除去された部分により、錠剤のインク印刷域内にグラフィックシンボルまたは英数字テキストが現れる。インクの選択された部分を確実に除去するために、レーザーを調節してインクを通して錠剤表面まで透過させ、錠剤の下層コーティング及び/または表面物質の一部を除去する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一般的な目的は、種々の色を有する医薬品を形成するための方法及び装置を提供することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、その上にレーザーエッチングされた領域及び/またはその上に種々の色のグラフィックシンボル及び/または英数字テキストを有するフィルムコーティング圧縮錠剤及び他の経口固体剤形(例えばカプセル剤)を形成するための方法及び装置を提供することを含む。
【0008】
更なる目的は、本明細書中において規定される少なくとも1つのレーザーエッチングされた領域をその上に有する経口固体剤形、すなわち錠剤、或いは他の圧縮剤形またはカプセル剤を提供することである。
【0009】
限定するのではなく説明の目的で、本発明は通常、圧縮錠剤を含む好ましい実施形態に言及しながらを本明細書中に記載されている。しかしながら、本発明は圧縮錠剤に限定されず、圧縮錠剤または錠剤コアに言及している場合、カプセルを含む他の全ての製薬上許容される経口固体剤形を意図していると理解すべきである。
【0010】
上記した目的の少なくとも1つ及び可能ならば他の目的を達成するために、その上にレーザーエッチングされた領域または色グラデーションを有する医薬錠剤または経口剤形を形成するための方法を提供する。この方法は、以下の段階:
経口固体剤形コア、好ましくは錠剤コア上に、経口剤形または錠剤コアの色とは異なる色を有する少なくとも1つのカラーコーティングを施してコーティング層を形成し、
該コーティング層の一部をレーザーエッチングして、その選択された部分を除去するか、またはコーティング層の選択された部分が除去された位置で経口固体剤形または錠剤コアの色が見えるようにする
ことを含む。
【0011】
コーティング層の選択された部分を除去し、他の部分をレーザーによりエッチングされないままにすることで、コーティング層に変化が生ずる。すなわち、エッチングされていない部分ではコーティング層が存在し、エッチングされた部分ではコーティング層が部分的または完全に除去されている。従って、コーティング層部分が完全に除去されている位置では経口固体剤形または錠剤コアの色を見ることができ、コーティング層部分が部分的にしか除去されていない位置では下にあるコーティングの色を見ることができる。
【0012】
コーティング層の個々の部分またはピクセルがレーザーにより除去されるため、一部の厚さであれ全部であれ、コーティング層の除去は逆ピクセル化を構成する。これらのピクセルの位置、密度及び大きさは、レーザーを調節することにより調整され、経口固体剤形または錠剤に沿った線方向に均一の色変化(すなわち退色する色グラデーション)、種々の色変化を形成し得る。
【0013】
コーティング層を異なる厚さで除去するために、複数のレーザーまたはマルチパス装置を用いる単一レーザーを使用してもよい。これは、コーティング層が多色コーティングを有している場合に有用である。この場合、レーザーは、コーティング層のある部分からは最上コーティングのみを除去し、他の部分からはコーティングのすべてを除去して、色の変化を大きくすることができる。
【0014】
本発明の幾つかの好ましい態様では、経口固体剤形または錠剤コア上に複数のコーティングを施す方法を提供する。この実施形態の例として、各々色の異なるフィルムコーティングの連続層(例えば3層以上)を、更に別の色を有する錠剤コアの周りに施して、各層の色またはこれと接触しているコアの色に差を生じさせる。従って、上記方法は、以下の段階:
a)層の各々の連続部分を除去することにより錠剤コア上に第1のデザイン(例えば円または他の所望の形状)をレーザーエッチングして、コアを所望のデザインで露出させ、次いで
b)錠剤コアと接触しているフィルムコーティング層上に第2のデザイン(例えば薬剤名、製造会社名、スローガンまたはロゴ)をレーザーエッチングする
ことを含む。第2のデザインは第1のデザインと分離しており、第2及び第3のコーティング層の各々の連続部分を除去することにより形成される。
【0015】
この実施形態の更なる態様において、上記方法は、以下の段階:
c)医薬錠剤の第2のフィルムコーティング層上に第3のデザインをレーザーエッチングする
ことを含み得る。レーザーエッチングは、第3のコーティング層の一部を除去することにより、第3のデザインが第1及び第2のデザインの各々と分離されるように実施される。
【0016】
更に別の実施形態において、本明細書中に記載されている任意の方法により製造される各種医薬剤形、例えば医薬錠剤(好ましい)を提供する。
【0017】
本発明の医薬錠剤は、第2の色を有する錠剤コア上に、第2の色とは異なる第1の色を有するコーティング層を形成することにより製造される、レーザーエッチングされた領域を有している。コーティングした後、コーティング層の一部に対してレーザーエッチングを実施し、その一部を除去し、選択された部分を現させる。これにより、コーティング層の選択された部分が除去され、錠剤コアの第2の色が現れる。
【0018】
本発明の更なる態様では、上記方法は、各錠剤の水平軸または表面に対して垂直でない角度にレーザーを向けることを含む。これによりホログラフィック効果が生ずる。すなわち、錠剤を観察者に対して回転させるにつれてエッチングされたパターンが変化する。別々の角度で複数のエッチングを使用して、ホログラフィック動画効果を生じさせることができる。すなわち、錠剤を観察者に対して回転させるにつれて色が変わるパターンが形成され得る。
【0019】
別の実施形態では、可能な色グラデーションまたは変化を増大させるために、錠剤または直ぐ下のコーティングの一部にのみ1以上のカラーコーティングを施す。従って、これにより、コーティング錠剤上に見える色、色彩(shade)または色相(hue)の数、並びにこうしたコーティング錠剤上のエッチングされるパターンの色変化が増える。
【0020】
本発明に従って色グラデーションを有する医薬錠剤を形成するための装置は、錠剤コアの色と異なる色を有する少なくとも1つのカラーコーティングを錠剤コア上に施してコーティング層を形成するように配置されている、少なくとも1つのコーティングシステム;及びコーティング層の選択された部分を除去するように配置されているレーザーエッチングシステムを含む。レーザーエッチングシステムによりコーティング層に変化が生じ、コーティング層に単一のコーティングを有するコーティング錠剤の場合には、コーティング層の選択された部分が除去された位置で錠剤コアの色を見ることができる。
【0021】
コーティング層が複数のカラーコーティングを含んでいる場合には、レーザーエッチングシステムは、ある部分では錠剤コアの色を見ることができ、他の部分では第1のカラーコーティングの色を見ることができ、また他の部分では第2もしくは更なるカラーコーティングの色を見ることができるように、各々のカラーコーティングの異なる部分を除去するために有効である。この実施形態の範囲内で、本発明の好ましい態様は、レーザーを使用して錠剤コア上に存在するコーティング層の大部分または側部を完全に除去することを含み得る。レーザーをこのように使用すると、ピクセル化なしで層が除去される。よって、コーティング層がピクセル化されているときには個々のばらばらのスポットが除去される代わりに、コーティング層の連続部分、例えばコーティング層の1以上の帯または縞を除去することができる。
【0022】
本発明の別の実施形態では、錠剤コアを重なり部分を含むように設計した製薬上許容されるカプセル(例えばゼラチン)でエンローブする。カプセルの上部及び下部カプセルシェル部分は同じ色であっても、または本発明の幾つかの好ましい態様のように異なる色であってもよい。本明細書中に記載されているレーザーエッチング技術を下部シェル部分と重なっている上部カプセルシェル部分に実施すると、下部シェル部分の、好ましくは対比的な色が現れる。別の実施形態では、上部カプセルシェル及び下部シェル部分の重なり部分をレーザーエッチングして、場合によりカラーコーティングされている錠剤コアの下の色を見せ、本明細書中に記載されている1以上の視覚的効果を達成する。ゼラチンカプセルを使用して粉末状処方物をカプセル化する場合には、レーザーエッチングは上部シェルの重なり部分に対してのみ行うことは理解されるであろう。
【0023】
コーティングシステム及びレーザーエッチングシステムは、上記した方法の段階を実施するように配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明は、更なる目的及び作用効果と共に、添付図面と以下の記載を参照することにより最も良く理解され得る。図面中、同じ参照番号は同じ要素を指す。
【図1】本発明に従ってコーティング錠剤を形成するための方法の概略図である。
【図2】レーザーエッチングの各種レベルを示す錠剤の写真である。
【図3】本発明及び実施例2により得られる色相のいろいろな変化を示す各種錠剤の写真である。
【図4】連続製造操作を適用した本発明に従うコーティング錠剤を形成するためのシステムの概略図である。
【図5】実施例1に従って製造した、その上にレーザーエッチングされた画像を有する錠剤の写真である。
【図6】実施例3に従って製造した、その上にレーザーエッチングされた画像を有する錠剤の写真である。
【図7a】レーザーエッチングを受ける前の実施例4に記載されているアセトアミノフェンカプセルである。
【図7b】外側シェル部分のレーザーエッチングを示す実施例4に記載されているアセトアミノフェンカプセルである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
同一参照番号が同一または類似の要素を指している添付図面を参照すると、図1は本発明の1態様に従うカラーまたはフィルムコーティング錠剤を形成するための方法のフローチャートである。
【0026】
この実施形態に対応する方法における第1の段階10は錠剤コアを形成するものであり、圧縮錠剤を製造するための当業者に公知の任意の錠剤製造方法を用いてなされ得る。本発明の目的では、用語「錠剤コア」は、所望のフィルムコーティング及びレーザーエッチングを受ける前の圧縮錠剤を指すと理解されたい。本発明で使用され得る錠剤コアの形状及び大きさは本質的に限定されない。明白なことであるが、錠剤コアは錠剤の活性成分、賦形剤、及び活性成分を送達するために必要な他の成分を含んでいる。
【0027】
第2段階12は、錠剤コアに1以上のコーティングをスプレーまたは他の方法で施すものである。2以上のコーティングを施す場合、コアの第1コーティングをサブコートと称し、その上に連続層が施され、最終的にトップコートで仕上げられる。カラーコーティングを錠剤コア上に直接、または既に施されているコーティング上に直接施す方法は、当業者に公知の任意の錠剤コーティング方法であり得る。更に、錠剤の一部のみをコーティングする公知の錠剤コーティング方法(例えばディッピング)も使用され得る。
【0028】
錠剤をコーティングするための技術の非限定的な例には、パンコーティング、スプレーコーティング、エンロービング、ゲルディッピング、糖コーティング及び静電コーティング、または着色技術が含まれる。本発明は、上にリストされている技術、当分野で現在公知の他の技術、または今後開発される技術であっても良く、錠剤をコーティングするための特定の技術に限定されない。
【0029】
この段階のために、1以上のコーティングの色は、錠剤コアの色及び/または1以上のコーティングの色の間で色対比できるように選択されることが好ましい。よって、例えば単一のコーティングが錠剤コア上に施されているならば、その単一のコーティングの色は錠剤コアの色と異なっており、好ましくは錠剤コアの色に対して大きく対比できる色であろう。
【0030】
2つのコーティングが錠剤コア上に施される本発明の態様では、下記する更なる加工後のコーティング錠剤の潜在的な色対比を最大限とするために、各コーティングが錠剤コアの色とも、他のコーティングの色とも異なる色を有していることが好ましい。好ましくは、各コーティングの色を、錠剤コアの色、及び他のコーティングの色と大きく対比できるように選択する。コーティングの色を適切に選択することにより潜在的な色対比を最大限とする代わりに、またはそれに加えて、ホログラフィック画像を形成することによってコーティング錠剤の差別性を最大限とすることができる。これは、下記する後続のレーザーエッチング段階で達成される。
【0031】
同様に、3つ以上のコーティングが錠剤コア上に施される場合には、下記する更なる加工後のコーティング錠剤の潜在的な色対比を最大限とするために、各コーティングが錠剤コアの色とも、他のコーティングの色とも異なる色を有していることが好ましい。好ましくは、錠剤コアの色及び他のコーティングの色と大きく対比できるように各コーティングの色を選択する。
【0032】
各コーティングを、コーティングが第1のコーティングならば錠剤コアの外表面、またはコーティングが次のコーティングならば既に施されているコーティングの外表面である錠剤の外表面全体に施してもよい。
【0033】
或いは、各コーティングを錠剤の外表面の一部にのみ施してもよい。この場合、下記する更なる加工を受けた後のコーティング錠剤の潜在的色変化を大きく増加させ得る。例えば、まず緑色コーティングを白色錠剤コアの半分に施し、次いで錠剤コアのコーティングされてない残り半分、及び先にコーティングした半分の一部に黄色コーティングを施し、次いで緑色のみがコーティングされている部分の一部、黄色がコーティングされている部分の一部、及び緑色と黄色がコーティングされている部分の一部に赤色コーティングを施すと、錠剤の外表面上に全部で5つの異なる色があるであろう。具体的には、緑色部分、黄色部分、緑色部分の上に赤色、黄色部分の上に赤色、緑色−黄色部分の上に赤色がある。これらの複数の異なる色を有する部分が存在するために、下記するレーザーエッチング後の錠剤の色の変化が非常に大きくなる。先の記載から、本発明は錠剤コア上に施されるカラー層の数を限定しないと理解されたい。
【0034】
各コーティングは錠剤上に個々のサブ層を形成すると見なされ得る。コーティングの組合せがコーティング層と見なされ得る。
【0035】
錠剤コアに施され得るコーティングのタイプは、技術者の要望及び技術者が所望するコーティング効果のタイプに応じて広く異なり得る。本発明のほとんどの態様では、非限定例としてOpadry(登録商標)、Opadry(登録商標)II、Opadry(登録商標)fx、Opadry(登録商標)AMB及びOpaglos(登録商標)を含めたColorcon社から入手できるもの等の錠剤用に市販されているフィルムコーティング、及び当業者に公知の他のフィルムコーティングが使用され得る。幾つかの好ましい実施形態では、上記したOpadry II製品のようなPVAを含有するフィルムコーティングがレーザーエッチング前に錠剤コアをコーティングするのに使用される。
【0036】
1以上のコーティングは、下記するバッチ、半バッチまたは連続操作で施され得る。複数のコーティングを施す場合、これらのコーティングはバッチ、半バッチまたは連続操作方法で逐次施され得る。特定のコーティング順序を決定して、過度の実験をすることなくコーティング及び/または錠剤コアの間に十分な色対比を与える能力を最適とすることができるであろう。
【0037】
1実施形態において、錠剤に施されるコーティング層の量または厚さは、錠剤の重量の関数である。対象物をコーティングするために一般的に使用されているパンコーティングまたはスプレーコーティング方法の一部としてフィルムコーティングを施してもよい。施されるコーティングの量は、コーティングしようとする対象物、フィルムコーティング溶液または懸濁液中に含まれる顔料の量及び色、コーティングを施すために使用される装置等を含む幾つかの要因に依存するであろう。しかしながら、本発明のほとんどの態様では、コアは約0.25〜約5.0%の理論的重量増加までコーティングされるであろう。好ましくは、理論的重量増加は約0.5〜約4.0%であり、より好ましくは理論的重量増加は対象物の約1.0〜約3.0重量%である。例えば、好ましい1実施形態では、コーティング層は錠剤の全重量の約1〜3%の重量を有し得、トップコート、すなわち最終コーティングは錠剤の全重量の約3%の重量を有する。複数のコーティング層を使用する場合、フィルムコーティングに起因する重量増加の全量は上記した範囲内であることが好ましい。
【0038】
錠剤コアに1以上のコーティングを行った後、本発明の好ましい1態様における次段階14(図1のフロー図に関して)は1以上のカラーコーティングにグラフィックシンボル、英数字テキスト、他のタイプもしくは形態のシンボルまたはレタリング、或いはその組合せをレーザーエッチングするものである。レーザーエッチングされる形には、限定されるものではないが、単語及び他の表示(例えばデザイン、ロゴ、図、シリアル番号、商標、2次元または3次元バーコード及び登録番号)が含まれる。
【0039】
レーザーエッチングを実施するためには幾つかの許容される技術がある。1つの技術は、通常カラーコーティングの個々の独立したスポット(各スポットはピクセルとみなされる)の除去を伴うカラーコーティングの逆ピクセル化である。こうした逆ピクセル化技術を適用すると、カラーコーティングは多数の独立した領域を有し、前記領域ではカラーコーティングが除去されており、レーザーエッチングされたコーティングにより包囲されているサブコーティングを見ることができる。レーザーエッチングは、エッチングされているカラーコーティングに対して実質的に垂直の角度、またはカラーコーティングに対して非垂直な角度でレーザーが当たるように実施され得る。後者の場合、逆ピクセル化により、錠剤を回転させると見ることができるホログラフィック画像が形成される。ホログラフィック画像の形成に関する更なる詳細は下記されている。
【0040】
逆ピクセル化に代わる別の技術は、カラーコーティングの連続した領域を除去するためにコーティング層をレーザーエッチングすることである。この場合、いずれかの側でコーティング層を見ることができる非エッチング部分により囲まれている帯でサブコーテイングを見ることができるようにコーティング層の帯が除去され得る。錠剤の周りに円周上に延びている複数の帯、または錠剤の周辺の周りに部分的にしか延びていない縞が形成され得る。加えて、幾何学的または非幾何学的形態(例えば1つ以上の円)を有する他の連続した領域もレーザーエッチングされ得る。
【0041】
レーザーエッチングのために使用され得る公知のレーザーがあるが、本発明の方法で有用であることが判明した1つの特殊なレーザーは、ICNより販売されているCobalt 1000モデルと称されるYAGレーザーである。他のレーザーを使用したときに典型的に生ずるような表面の燃焼と対照的に、このレーザーはエッチングさせる表面を蒸発させるように働く。よって、YAGレーザーを使用すると、コーティング層または錠剤コアの明らかな化学的変化、炭化または燃焼はない。錠剤上に所望の結果を得ることができる他のレーザーも本発明の一部であると考えられる。
【0042】
上記したように、コーティング層の特定の部分またはピクセルが除去されるので、コーティング層を逆ピクセル化するためにレーザーを使用してコーティング層にエッチングすることができる。コーティング層から除去されるピクセルの密度及び/または大きさは調節可能であり、例えばレーザーの操作パラメーターを設定することにより決定され得る。ピクセルの密度は、エッチング段階中にレーザーにより除去されるカラーコーティングの単位面積あたりのホール(カラーコーティング層の個々の除去された部分)の数である。よって、レーザーは、レーザーの他の領域への適用を可能とし、レーザーを適用したカラーコーティング部分を除去しながらレーザーが特定の領域に当たるのを防止するマスクを使用することが考慮される。
【0043】
レーザーの操作パラメーターは、種々の色の変化を形成できるように調節することもできる。すなわち、カラーコーティングを異なる厚さで選択的に除去したり、またはカラーコーティングを全体的に除去するようにレーザーを調節し、錠剤のエッチングされていない部分、及び錠剤の異なってエッチングされた部分に対して、錠剤のエッチングされた部分の視覚的外観に差を生じさせることができる。レーザーの調節されるパラメーターとして、パワー、周波数、ハッチ及びスピードが含まれるが、これらに限定されない。例えば、3〜50ワットのパワー、約1〜10ミクロンの波長範囲のレーザーが本発明を実施する際に有利に使用され、この範囲内のより短い波長がフィルムコーティング錠剤に対して好ましい結果を与える。YAG及びYbファイバーレーザーがこのスペクトルの範囲に入る。CO2レーザーは約10.64ミクロンの波長を有している。約0.8〜約1.064ミクロンのYAG及びYbファイバーレーザーも有用である。説明目的で挙げると、1.064ミクロンの波長を有する実験室規模のYAGレーザーを使用すると、フィルムコーティング錠剤の非常に良好なエッチング結果が得られた。レーザーのパワー設定は最大の2〜10%の範囲で均一に低いことが好ましい。ハッチパターンは、使用する場合は.1から.8(単位は特定されていない)で変化させた。この設定は、大量の物質を除去する必要のあるデザインにのみ適用する。英数字は通常ハッチを適用しない。ビームの動きのスピードは通常極めて速く、最大の70〜95%の範囲である。レーザーのパワーを調整すると、特に、除去されるカラーコーティングの厚さに変化が生ずる。
【0044】
図2はエッチングに対する異なるパワーレベルの影響を示している。この例では、スピードを一定(50)とし、パワーレベルを変化させた。これにより、除去されるコーティングの量が漸増した。各錠剤を別々にエッチングした。上記パワーレベルは5%、5.5%、6.0%、7.0%及び7.5%であった。フィルムの厚さは、上から下に10ミクロン、30ミクロン、30ミクロン及び30ミクロンの厚さに相当して1重量%、3重量%、3重量%、3重量%であった(FX、赤色、緑色、黄色)。
【0045】
1つの錠剤上にグラフィックシンボルまたは英数字テキストを形成する間にレーザーの操作パラメーターの1つ以上を調整することにより、その錠剤上に色グラデーションを作成することができるようになる。すなわち、本発明の好ましい1態様では、カラーコーティングは錠剤、またはその上にあるグラフィックシンボルもしくは英数字テキストの1つの部分から他の部分へと変化する厚さを有するように提供することができ、コーティングの色の識別はその厚さに依存しているので、カラーコーティングの厚さを変化させると錠剤に多色または色がシフトしていく外観が生ずる。同じ色のコーティングの厚さがより薄ければ、同じ色を有するより厚いコーティングよりもより明るく見えるであろう。より一般的には、同じ色を有するより薄いコーティングは、その下またはその上の色と組合せて同じ色を有するより厚いコーティングとは異なる色効果を生ずるであろう。
【0046】
色がシフトしていく態様は、錠剤の1つの領域に1つの色があり、錠剤の別の領域に別の色、或いは同じ色の別の色調(hue)または色彩(shade)があることから生ずる。錠剤を見ると、1つの領域から他の領域へと視覚的変化がある。色及びレーザーのためのマスクを適切に選択すると、錠剤の刻印を明確とするために使用することができる際だった色グラデーションを提供することができ、本発明に従う色グラデーションの形成の他の使用と共に、以下により詳細に記載する。
【0047】
例えば、本発明のこの態様では、フィルムコーティング錠剤、またはその上にあるグラフィックシンボルもしくは英数字テキストの第1の側から第2の側へと「退色する」色の外観が提供される。これは、第1の側から第2の側へカラーコーティングのエッチングを次第に減少させながら、第2の側よりも第1の側で同一のカラーコーティングをより多くエッチングするようにレーザーを調節することにより達成される。このようにして、レーザーエッチング段階後に残存するカラーコーティングの量を、グラフィックシンボルまたは英数字テキストの1方の側から反対側に徐々に変化させると、第1の側のコーティングの色の色彩または色調はより明るくなり、第2の側のコーティングの色の色彩または色調はより暗くなり、中間は移行する色彩または色調となる。示した錠剤が増加するエネルギー量に曝されたものであるした図3及び実施例2を参照されたい。レーザーのパワーレベルをマッピングするためにグレイスケール画像を用いると、黄色から緑色への変化が生じた。画像が白色の場所ではレーザーは物質を除去しておらず、画像が黒色の場所では物質をフルパワーで除去しており、画像が灰色の場所では物質の一部を除去していた。
【0048】
この特殊な退色効果が、同一のカラーコーティングを異なる厚さで除去するようにレーザーを調節することにより生じ得る退色効果の1つのタイプにすぎないことを認識することが重要である。他の可能な退色効果には、フィルムコーティング錠剤、或いはその上のグラフィックシンボルまたは英数字テキストの各々の側から中間への退色でが、中間でカラーコーティングの厚さが最大限または最小限に減少したものが挙げられる。
【0049】
コーティング層を異なる厚さで除去するようにレーザーを調節するには、錠剤に各回異なって設定されたレーザーを2回以上通すことが必要であり得る。よって、レーザーエッチングプロセスでは、まず錠剤をエッチングし、レーザーを再設定し、錠剤を再びエッチングする必要があろう。錠剤に求められる特殊な色グラデーションに応じて更にレーザーを再設定し、錠剤をエッチングすることも可能である。
【0050】
或いは、複数のレーザーを使用することにより錠剤上に多色の外観を得ることもできる。複数のレーザーを使用する場合、各レーザーによりコーティング層に異なる形がエッチングされ、異なってエッチングされた形の組合せにより多色の外観が生ずるように、各レーザーにより実施するエッチングを変える。異なるエッチングは、異なるマスク、異なる設定及び/または錠剤とレーザー間の異なる相対位置(以下で論じる)を使用することを含み得る。
【0051】
単一レーザーを使用し、錠剤にレーザーを2回以上通す場合、各パスはループと見なされ、各ループでコーティング層に異なる形がエッチングされるように、少なくともループ毎にレーザーのエッチングマスクを変える。異なってエッチングされる形の組合せにより、多色の外観が生ずる。例えば、グラフィックシンボルまたは英数字テキストを2つの部分に分け、各部分毎に1つのマスクを形成することも可能である。第1ループにおいて1つのマスクを使用し、レーザーの操作パラメーターを設定してマスクに従って特定の厚さのカラーコーティングを除去し、それによってグラフィックシンボルまたは英数字テキストの一部を作製する。次いで、第2ループにおいて他のマスクを使用し、レーザーの操作パラメーターを変更し、レーザーによってこのマスクに従って別の厚さのカラーコーティングを除去し、それによりグラフィックシンボルまたは英数字テキストの他の部分を作製する。全体として見ると、グラフィックシンボルまたは英数字テキストは1つの厚さの一部分、及び異なる厚さの別の部分を有し、よって多色の外観が生ずる。
【0052】
レーザーエッチング段階はまた、真珠光沢様ロゴ、グラフィックシンボルまたは英数字テキストを作製するためにも有効であり得る。この場合、真珠光沢様サブコートを錠剤コア上に施し、真珠光沢様サブコート上に1以上のコーティングを施す。コーティングをレーザーエッチングして、レーザーと共に使用するマスクにより決定される特定のパターンで真珠光沢様サブコートを露出させ、その結果、真珠光沢様ロゴ、グラフィックシンボルまたは英数字テキストが作製される。真珠光沢様ロゴ、グラフィックシンボルまたは英数字テキストが見られ得る程度は、例えば1または複数のコーティングの色に応じて変化する。
【0053】
レーザーエッチングプロセスでは、レーザーと、あるコーティングの色または組成との間で不利な相互作用が生ずる可能性がある。錠剤の脱色は望ましくなく、従って、慣用的な実験により、特定のカラーコーティングの脱色を引き起こさないレーザーの操作パラメーター、よって本発明で有効に使用され得るレーザー操作パラメーター及びカラーコーティングの組合せを決定することができる。
【0054】
図1に示し、先に記載した4段階を実施する方法は、公知の錠剤製造方法のいずれであっても良い。多色錠剤を与える錠剤製造方法には、限定するものではないが、バッチプロセス、半バッチプロセス及び連続操作が挙げられる。
【0055】
バッチプロセスでは、単一のコーティングシステムを使用し、2以上の異なるカラーコーティングを行う。コーティングシステムは錠剤コア上にコーティングをスプレーまたは他の方法で施して、異なるコーティングのコーティング層を作製する。単一コーティングシステムの後にレーザーエッチングシステムを設け、(上記した)コーティング層の特定の部分を除去することにより錠剤を逆ピクセル化する。レーザーエッチングシステムの後に検査システム及び包装システムを設ける。
【0056】
半バッチプロセスでは、2つ以上のバッチコーティングシステムを連続して配置し、各々で1つのカラーコーティングを行う。錠剤は、錠剤上にそのコーティングをスプレーまたは他の方法で施す各コーティングシステムを連続して通るようにさせる。最後のコーティングシステムの後に、錠剤は異なるコーティングのコーティング層を有する。最後のコーティングシステムの後にレーザーエッチングシステムが設けられ、コーティング層の特定の部分を除去することにより錠剤を逆ピクセル化する。レーザーエッチングシステムの後に検査システム及び包装システムを設ける。
【0057】
本発明の1実施形態では、静電コーティング技術を用いて錠剤をコーティングしてコーティング層を形成し、次いでコーティング層をレーザーエッチングまたは逆ピクセル化して、グラフィックシンボルもしくは英数字テキスト、またはその組合せの形態で色グラデーションを有するパターンを作製する。この場合、コーティング層を逆ピクセル化すると、グラフィックシンボルまたは英数字テキストを錠剤表面上に静電塗装した場合よりも有意な作用効果が得られる。グラフィックシンボルまたは英数字テキストを静電塗装(electrostatic deposition)すると、錠剤の曲面に施した場合に焦点がはっきり合ったグラフィックシンボルまたは英数字テキストが得られない。対照的に、逆ピクセル化すると、錠剤の形状に関係なく錠剤上にはっきり焦点の合ったグラフィックシンボルまたは英数字テキストが得られる。
【0058】
図4は、多色連続錠剤コーティング操作を実施する錠剤製造システムを示す。最初に、当業者に公知の機械18を用いて錠剤コアを形成する。錠剤コアはコーティング・エッチング装置20と同じ所またはそこから離れた所の機械18により形成され、コーティング・エッチング装置20に近接している保存デバイスまで送られ得る。
【0059】
錠剤コアをコーティング・エッチング装置20に進入させ、各錠剤コアの表面の一部または全部に第1のカラーコーティングをスプレーまたは他の方法で施す第1のコーティングシステム22に通す。第1のカラーコーティングでコーティングした後、コーティング錠剤を、錠剤コア上の第1のカラーコーティングの一部または全部に第2のカラーコーティングをスプレーまたは他の方法で施す第2のカラーコーティングシステム24へ進める。
【0060】
次いで、コーティング錠剤を、1つ以上のレーザーでコーティング層にパターンをエッチングするレーザーエッチングシステム26へ進める。上記のように、レーザーエッチングシステムは、他の部分に影響を与えることなくコーティング層の個々の部分を除去するYAGレーザーを含み得る。レーザーエッチングを実施するために、錠剤をYAGレーザーのエッチングチャンバに入れ、エッチングしようとするグラフィックシンボルまたは他のデザインをレーザーのコントロールユニットのソフトウェアを用いて作製する。このソフトウェアは、レーザーにその操作パラメーター(例えば周波数、スピード及びパワー)を設定し、マスク、または複数のループが必要ならば複数のマスクに従って錠剤をエッチングする指示を送り、グラフィックシンボルまたは他のデザインが提供される。コントロールユニットのソフトウェアは、例えばAdobeイラストレーターまたは.dxfファィル等の市販のフォーマットの形態で画像を受け取り、その画像をレーザーに対する適切な調節指示に変換することが可能であるように設計されているのが好ましい。
【0061】
より小規模なランの場合には、各錠剤に同一角度でレーザーを当てることができるように支持体を備えたカーボンブロック上に錠剤を載せた。より速い速度の場合には、各錠剤を適所に保持するように場合により下から吸引しながら予め形成した輪郭のあるポケットに置くことができ、レーザーはエッチングしながら錠剤をなぞっていく。
【0062】
パターンをコーティング層にエッチングした後、錠剤を検査システム28及び包装装置30に進める。
【0063】
検査システム28は、錠剤形成におけるムラを同定するために錠剤を検査する公知の錠剤検査システムのいずれでもよく、コーティングプロセス及びレーザーエッチングプロセスにおけるムラを調べるように設計されていてもよい。この目的のために、1つの可能な検査システムは、錠剤の色を確かめるために空間的色分析技術を用いるレーザーベースの検査システムである。加えて、錠剤の数及び形状、グラフィックシンボルまたは英数字テキストの位置、及びグラフィックシンボルまたは英数字テキストの存在を確かめることができる。
【0064】
例示される検査システム30は、複数(例えば2〜6台)のカラーカメラを用い、色の誤り、形、間違った用量等を識別するように設計されている既存のレーザーベースの検査システムである。従って、こうしたレーザーベースの検査システムを本発明において使用して、本発明の方法において錠剤上に形成されたグラフィックシンボルまたは英数字テキストの色グラデーションのムラを調べることができる。
【0065】
本発明の方法を用いて、錠剤コアの色と対比する多色コーティング層または単色コーティング層をレーザーエッチングによりイメージングして、ホログラムまたはホログラフィック画像に類似の光学的に活性なカラー画像を提供することができる。このホログラフィック効果は、錠剤の水平軸または表面に対して垂直でない1以上の角度でレーザーエッチングプロセスを使用することにより、画像またはロゴ(例えばワシまたはインプリントコード)を逆ピクセル化またはエッチングすることにより得られ得る。コーティング層が多色でレーザーエッチングされている場合、コーティングされている錠剤に対するレーザーの角度を変えると、エッチング後に錠剤を見る角度に応じて様々な視覚的効果が得られる。
【0066】
この場合、錠剤に対するレーザーの位置、すなわちレーザービームがコーティングされている錠剤の表面と形成する角度は、色グラデーションだけでなく、ホログラフィック効果も得られるように変えることができる。
【0067】
例えば、黄色トップコートの下に赤色コーティング、その下に青色コーティングを有する錠剤は、錠剤表面を観察してレーザーをある角度(例えば左から45°)で錠剤の表面に向け、青色コーティングまでエッチングするように調節してレーザーエッチングまたは逆ピクセル化することができる。錠剤を左から45°の角度で見ると、画像は青色エッチングとして見ることができる。同様に、錠剤表面を観察して、レーザーをある角度(例えば右から45°)で錠剤の表面に向け、赤色コーティングまでエッチングするように調節することもできる。錠剤を右から45°の角度で見ると、画像は赤色エッチングとして見ることができる。錠剤を左から右へ、また左へ傾けると、画像はいずれも黄色の錠剤上に青色から赤色、更に青色への交互の色変化を観察することができる。
【0068】
カラーコーティングの色及び数を変えることにより、任意の所望のホログラフィック効果を得ることができる。
【0069】
更に、本発明の方法を利用して、錠剤の表面上にホログラフィック動画の錠剤画像を提供することも可能である。例えば、直ぐ上で記載したようにコーティングした錠剤を用いて、翼を下げて飛んでいるワシの画像を(錠剤に向かって見たとき)左から45°の角度で青色コーティングまで逆ピクセル化またはエッチングすることができる。また、翼を上方に上げて飛んでいる同じワシを(錠剤に向かって見たとき)右から45°の角度で赤色コーティングまで逆ピクセル化またはエッチングすることができる。錠剤を左から右へ、また左へ傾けると、ワシは飛びながら翼を下に(または下げて)、次いで持ち上げて(上方へ)、また下げて動かしているように見え、翼の色はいずれも黄色の錠剤上に青色から赤色、更に青色へ変化するであろう。
【0070】
上記概念の種々の組合せにより、錠剤上に(多色コーティング層により生ずる)多色画像、並びに(異なる色の錠剤コア上の単色コーティング層により生ずる)2色画像を提供することができるが。更に、画像は錠剤を傾けたときに変化し得る。画像は、錠剤の面を横切って、または錠剤の周囲を段階的に移動するように作製することもできる。(コーティングまたはトップコートとしての)真珠光沢様コーティングとの組合せで、色の光学活性が強化され得る。
【0071】
上記の錠剤コーティング及びレーザーエッチング方法は、確かな効果を得るために幾つかの異なる方法で使用され得る。一般的に、この方法は、グラフィックシンボル、英数字テキストもしくはその2つの組合せ、またはデザインの他のタイプもしくは形(その幾つかは上記している)のいずれであれ、独特のレーザーエッチングされたパターンを各錠剤上に作製することにより錠剤を相互に差別化するために有効である。差別化の程度は異なる色の使用、及び複数のコーティングを使用する場合には色間の相互作用に基づいて異なり、錠剤コーティング目的のためにより多くの色のコーティングを使用したり利用できれば、差別化の程度が増える。
【0072】
従って、本発明の方法の1つの具体的使用は、会社が錠剤上に独自または独特の刻印を作製して、その錠剤をその会社の製品として、またはおそらくは商品名または商標でその会社が市場に出している特定の製品として容易に認識し得るようにする、錠剤に刻印をつけるためのものである。
【0073】
別の使用は、複製することが不可能でないにしろ困難な特定のグラフィックシンボルまたは英数字テキストが錠剤に付けられている、偽造防止のためのものである。この1つの理由は、レーザーエッチングプロセスにより、マスク等を用いて錠剤のコーティング層に独自のパターンをエッチングして、独特に着色したグラフィックシンボル及び英数字テキストを有する錠剤を形成することができるためである。パターンが秘密保持されている限り、レーザーエッチングマスクを得るために錠剤を逆操作することは事実上不可能であろう。
【0074】
この点に関して、製造業者が各錠剤にセキュリティーコードをレーザーエッチングしてもよい。このようなセキュリティーコードは、適切な、おそらくは手持型のスキャナーにより読取ることができるように作製されるであろう。スキャナーを薬局または他の錠剤配布場所に設置し、錠剤を配布するときにスキャナーを使用すれば、錠剤が真正品か偽物かが迅速に調べられる。セキュリティーコードは、錠剤に関するデータの組合せ(例えばバッチ番号、医薬品コード(National Drug Code)番号、ロット番号、製造場所、有効期限等)を表し得る。
【0075】
別の使用は、会社が錠剤上に特定の色をつけたグラフィックシンボルまたは英数字テキストを作製して、この錠剤を他の、例えば類似の形状の錠剤から識別することができる、錠剤識別のためのものである。
【0076】
更に別の使用は、会社が錠剤上に特定の色をつけたグラフィックシンボルまたは英数字テキストを作製し、その存在が錠剤が本物であることを示す、錠剤の認証のためのものである。
【0077】
本発明の錠剤コーティング方法の重要な作用効果は、各種錠剤上に独特で種々の色をつけたグラフィックシンボルまたは英数字テキストを形成することにより、医療の誤りを無くすことはできなくとも減らすことができることである。例えば、レーザーエッチングにより、錠剤の重量または錠剤中の活性成分の濃度の表示を錠剤表面上に高いコントラストカラースキームで作製し、錠剤を患者に渡す際に重量または濃度を見落とすことがないようにすることができる。
【0078】
本発明の別の実施形態で、上記のようにレーザーエッチングし得る多色の層状フィルムコーティングカプセル剤を提供する。医薬カプセル剤は、フィルムコーティング錠剤に関して上記した方法で製薬上許容されるフィルムコーティングを用いてフィルムコーティングされ得る。カプセル剤をフィルムコーティングの1以上の異なる色の層でコーティングし、得られた製品に、錠剤に関して上記したのと同じ方法でレーザーエッチングし得る。或いは、多色カプセルシェル、すなわち上部カプセルシェル及び下部カプセルシェルの色が異なるものが使用され得る。この実施形態では、上部及び下部カプセルシェルは、最終形態に組み立てたときに中心領域が十分に重なるように設計されている。この実施形態のほとんどの態様では、最終カプセルの表面積の約5〜20%の領域が重なっていれば十分であることが予測される。本明細書に記載されている技術を用いて、レーザーエッチングにより、重なっている上部カプセルシェルの一部を除去し、カプセルシェルの下部部分が見えるようにして、独特の外観を提供することができる。圧縮カプレットをカプセル化するために多色の重複カプセルシェルを使用する更に別の実施形態では、レーザーエッチングを実施して重なった領域中の上部及び下部のカプセルシェル部分双方の一部を除去し、下にある、場合によりフィルムコーティングされた錠剤またはカプレットが見えるようにすることができる。カプセル剤は、その上に画像及び/または保護識別(例えばグラフィックシンボルまたはバーコード)を有し得る。
【0079】
このカプセル剤の実施形態の更なる態様では、対比的な色を有するカプセル帯でシールされている多色または単色のカプセル剤形を調製する。カプセル帯をレーザーエッチングして、特徴的な最終製品を提供することができる。
【0080】
明らかなように、本発明のこれらの実施形態は、場合によりフィルムコーティングされたゼラチンカプセル、またはレーザー画像を付けることができる他の適当な材料で作成したカプセルを提供する。製薬上許容される任意のカプセル材料(例えばゼラチン)が本発明に従って使用され得ると考えられる。
【0081】
本発明の方法を適用して形成した錠剤の例は以下の通りである。
【表1】

【表2】

【実施例1】
【0082】
錠剤コアにまず緑色コーティング(3重量%)、次いで黄色コーティング(3重量%)をコーティングした。パワー9.6、周波数10、ハッチ.009(45°)、及びスピード800に設定したYAGレーザーを用いて錠剤にロゴをレーザーエッチングして、黄色コーティングの選択された部分を除去した。コーティングを選択的に除去すると、2色フィルムコーティング錠剤が得られた。図3を参照されたい。
【実施例2】
【0083】
錠剤コアにまず黄色コーティング(3重量%)、緑色コーティング(3重量%)、次いで赤色コーティング(3重量%)を施した。
【0084】
2ループ方法によりロゴをレーザーエッチングした。第1ループでは、パワー5、周波数20.02、ハッチ0.013(45°)、スピード750でロゴの一部をレーザーエッチングして、黄色コーティング、及び黄色及び緑色コーティングの上にある赤色コーティングの選択された部分を除去した。第2ループでは、パワー5、周波数20.02、ハッチ0.013(45°)、スピード750でロゴの一部をレーザーエッチングして、黄色コーティングの上にある緑色コーティングの選択された部分を除去した。除去された部分の厚さはレーザーの操作により異なり、よって赤色から黄色への色グラデーション、赤色から黄色/緑色への色グラデーション及び緑色から黄色への色グラデーションが得られた。
【0085】
ここで図3を参照すると、示された錠剤を増大するエネルギー量に曝した。レーザーのパワーレベルをマップするためにグレイスケール画像を用いて、黄色から緑色への変化を与えた。画像が白の場所ではレーザーは物質を除去しておらず、画像が黒の場所ではレーザーはフルパワーで物質を除去しており、画像が灰色の場所では物質の一部を除去している。
【実施例3】
【0086】
錠剤コアをまず黄色コーティング(3重量%)で完全に、次いで緑色コーティング(3重量%)で完全に、次いで赤色コーティング(3重量%)で完全にコーティングした。
【0087】
コーティング層を2ループまたは2段階方法でレーザーエッチングした。第1段階では、コーティング層をレーザーエッチングして赤色コーティングの1つの帯または縞を除去すると、直ぐ下の緑色コーティングが露出した。第2段階では、コーティング層を(下記の)異なるレーザー設定でレーザーエッチングして、赤色コーティングの1つの帯または縞が除去されたのとは異なるコーティング錠剤の部分で赤色及び緑色コーティングの両方の1つの帯または縞を除去すると、直ぐ下の黄色コーティングが露出した。こうして得られたコーティング錠剤は1つの緑色帯/縞及び1つの黄色帯/縞を有し、全体は赤色の外観を有している。図6を参照されたい。
【表3】

【実施例4】
【0088】
本実施例では、アセトアミノフェンを含有しているカプセル剤を本発明の方法に従ってレーザーエッチングする。具体的には、各カプセルが約500mgの薬剤を含有するようにカプセル剤を標準の製薬技術を用いて製造し、使用するカプセルをアセンブリ後に約20%が重なるように具体的に設計する。図7A及び7Bを参照すると、第1の色(例えば緑色)を有する上部部分31及び第2の色(例えば黄色)を有する下部部分32を有するカプセル剤30が示されている。重なり部分33の結果、カプセルの黄色下部部分32の最上部は見えない。図7Aを参照されたい。
【0089】
YAGレーザーを使用して、緑色カプセル材料の1つの帯33を除去し、その下の黄色を露出させると、独特の外観を有するカプセルが現れる。図7Bを参照されたい。
【0090】
先の記載は通常医薬錠剤上に色グラデーションまたは変化を有するパターンの形成に集中しているが、本発明の方法及び装置を他の医薬剤形上に色グラデーションを有するパターンを形成するために使用することができる。
【0091】
添付図面を参照して本発明の典型的な実施形態を説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、当業者は添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲または趣旨を逸脱することなく各種の変化及び修飾を加え得ることが認識されるであろう。例えば、レーザーエッチングプロセス後のコーティング層にトップコートを施してもよい。この実施形態においてトップコートを施すと実質的に均一な外観を有する錠剤が得られ、すなわちレーザーエッチングにより生じた最外コーティングの微細な窪みが埋められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上にレーザーエッチングされた領域を有する医薬錠剤の形成方法であって、
錠剤コアの色とは異なる色を有する少なくとも1つのカラーコーティングを錠剤コア上に施してコーティング層を形成し;そして
コーティング層の一部をレーザーエッチングして前記コーティング層の選択された部分を除去し、コーティング層の選択された部分が除去された位置で錠剤コアの色が見えるようにする、
ことを含む、該方法。
【請求項2】
上記医薬錠剤のレーザーエッチングされた領域により錠剤上に色グラデーション領域が得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
除去されるコーティング層の選択された部分が個々のピクセルを含み、更にピクセルの密度及び大きさを錠剤コアの線方向に調節することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
除去されるコーティング層の選択された部分が医薬錠剤の非ピクセル化領域を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
レーザーエッチング段階がマルチステップレーザーエッチングプロセスを含み、更に各レーザーエッチング段階でコーティング層の異なる部分が異なる厚さで除去されるようにレーザーを調節することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
コーティング層の厚さをパターンの一方の側からパターンの反対側に変化するようにレーザーを調節する、請求項3記載の方法。
【請求項7】
レーザーエッチング段階が複数のレーザーを用意し、第1のレーザーを用いてコーティング層上に第1のパターンをレーザーエッチングし、第2のレーザーを用いてコーティング層上に第1のパターンとは異なる第2のパターンをレーザーエッチングすることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
レーザーエッチング段階が単一レーザーを用意し、単一レーザーを用いてコーティング層上に第1のパターンをレーザーエッチングし、レーザーの操作パラメーターを変更し、次いで単一レーザーを用いてコーティング層上に第1のパターンとは異なる第2のパターンをレーザーエッチングすることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
レーザーエッチング段階が、各錠剤の水平軸または表面に対して垂直でない少なくとも1つの角度でレーザーを向けることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
レーザーエッチング段階が、マルチステップレーザーエッチングプロセスであり、各レーザーエッチング段階で各錠剤の水平軸または表面に対して垂直でない別々の角度でレーザーを向けることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのコーティングが複数のコーティングを含み、レーザーエッチング段階がマルチステップレーザーエッチングプロセスであり、以下の段階:
各レーザーエッチング段階で各錠剤の水平軸または表面に対して垂直でない別々の角度でレーザーを向け、そして
各レーザーエッチング段階でコーティング層を異なる厚さで除去するようにレーザーを調節する
ことを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
錠剤コア上に、スプレー、エンロービング、ゲルディッピング、糖コーティング及び静電コーティングよりなる群から選択されるプロセスにより、少なくとも1つのコーティングを施す、請求項1記載の方法。
【請求項13】
錠剤コア上に複数のコーティングを施す、請求項1記載の方法。
【請求項14】
複数のコーティングが、錠剤コア全体を包む第1のコーティング層、及び第1のコーティング層全体を覆う第2のコーティング層を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
複数のコーティングが、更に上記第2のコーティング層を覆う第3のコーティング層を含み、上記第1、第2及び第3のコーティング層の各々が異なる色である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
更に、
a)上記第1、第2及び第3のコーティング層の各々の連続部分を除去することにより、錠剤コア上に第1のデザインをレーザーエッチングし、
b)上記第2及び第3のコーティング層の各々の連続部分を除去することにより、医薬錠剤の第1の錠剤層上に第1のデザインとは分離して第2のデザインをレーザーエッチングする
ことを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
更に、
c)上記第3のコーティング層の一部を除去することにより、医薬錠剤上に第1及び第2のデザインの各々と分離して第3のデザインをレーザーエッチングする
ことを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
錠剤コア上に複数のコーティングを施すものであり、錠剤コア全体に第1のコーティングを施し、第1のコーティングの一部が第2のコーティングにより覆われないように第2のコーティングを第1のコーティングの一部の上にのみ施すことを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
錠剤コア上に複数のコーティングを施すものであり、コーティングの色と錠剤コアの色に大きな対比が得られるようにコーティングの色及び錠剤コアの色を選択することを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
更に、レーザーエッチング後、色グラデーションが正しく形成されていることを確かめるために錠剤を検査することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項記載の方法により製造した医薬錠剤。
【請求項22】
第2の色を有する錠剤コア上に、第2の色とは異なる第1の色を有するコーティング層を形成し、コーティング層の一部をレーザーエッチングしてその選択された部分を除去し、コーティング層上の選択された部分が除去された位置で錠剤コアの第2の色が見えるようにすることにより製造される、その上にレーザーエッチングされた領域を有する医薬錠剤。
【請求項23】
その上にレーザーエッチングされた領域または色グラデーションを有する医薬錠剤を形成するための装置であって、
錠剤コア上に、錠剤コアの色とは異なる色を有する少なくとも1つのカラーコーティングを施してコーティング層を形成するように配置されている少なくとも1つのコーティングシステム;及び
前記コーティング層の選択された部分を除去して、コーティング層の上にレーザーエッチングされた領域を形成するか、またはコーティング層の選択された部分が除去されている位置で錠剤コアの色を見ることができるようにコーティング層に変化を生じさせるように配置されているレーザーエッチングシステム;
を含む、該装置。
【請求項24】
上記レーザーエッチングシステムがレーザーを含み、上記レーザーが除去される部分の密度及び大きさを錠剤コアの線方向に調整するように調節可能である、請求項23記載の装置。
【請求項25】
上記レーザーエッチングシステムが同一錠剤コアに対して複数のレーザーエッチング段階を実施する複数のレーザーを含み、該レーザーが各レーザーエッチング段階でコーティング層の異なる部分が異なる厚さで除去されるように調節可能である、請求項23記載の装置。
【請求項26】
上記レーザーが、コーティング層の厚さがパターンの一方の側からパターンの反対側に変化するように調節される、請求項25記載の装置。
【請求項27】
上記レーザーエッチングシステムが少なくとも1つのレーザーを含み、該少なくとも1つのレーザーがホログラフィックパターンを形成し得るように各錠剤コアの水平軸または表面に対して垂直でない少なくとも1つの角度で向けるように配置されている、請求項23記載の装置。
【請求項28】
上記少なくとも1つのコーティングシステムが、スプレー、エンロービング、ゲルディッピング、糖コーティング及び静電コーティングよりなる群から選択されるプロセスを適用するように配置されている、請求項23記載の装置。
【請求項29】
上記少なくとも1つのコーティングシステムが、錠剤コアの表面全体に複数のコーティングを施すように配置されている、請求項23記載の装置。
【請求項30】
上記少なくとも1つのコーティングシステムが、錠剤コア上に複数のコーティングを施すように配置されており、該コーティングの少なくとも1つが錠剤コア上の最外表面の一部のみに施されている、請求項23記載の装置。
【請求項31】
更に、レーザーエッチングシステムの下流に配置されており、色変化が正しく形成されていることを確かめるためにレーザーエッチングされた錠剤を検査するように配置されている検査システムを含む、請求項23記載の装置。
【請求項32】
その上にレーザーエッチングされた領域または色グラデーションを有する医薬錠剤を形成するための装置であって、
錠剤コア上に、錠剤コアの色とは異なる色を有する少なくとも1つのカラーコーティングを施してコーティング層を形成するためのコーティング手段;及び
該コーティング層の選択された部分を除去して、コーティング層上にレーザーエッチングされた領域を設けるか、またはコーティング層の選択された部分が除去された位置で錠剤コアの色を見ることができるようにコーティング層に変化を生じさせるための色グラデーション形成手段;
を含む、該装置。
【請求項33】
上記色グラデーションの形成手段がレーザーを含み、該レーザーが除去される部分の密度及び大きさを錠剤コアの線方向に調整するように調節可能である、請求項32記載の装置。
【請求項34】
上記色グラデーション形成手段が、同一の錠剤コア上で複数のレーザーエッチング段階を実施する複数のレーザーを含み、該レーザーが各レーザーエッチング段階でコーティング層の異なる部分が異なる厚さで除去されるように調節可能である、請求項32記載の装置。
【請求項35】
上記レーザーが、コーティング層の厚さがパターンの一方の側からパターンの反対側に変化するように調節されている、請求項34記載の装置。
【請求項36】
上記色グラデーション形成手段が少なくとも1つのレーザーを含み、該少なくとも1つのレーザーを、各錠剤コアの水平軸または表面に対して垂直でない少なくとも1つの角度で向けることでホログラフィックパターンを形成し得るように配置されている、請求項32記載の装置。
【請求項37】
上記コーティング手段が、スプレー、エンロービング、ゲルディッピング、糖コーティング及び静電コーティングよりなる群から選択されるプロセスを適用するように配置されている、請求項32記載の装置。
【請求項38】
上記コーティング手段が、錠剤コアの表面全体に複数のコーティングを施すように配置されている、請求項32記載の装置。
【請求項39】
上記コーティング手段が、錠剤コア上に複数のコーティングを施すように配置されており、該コーティングの少なくとも1つが錠剤コア上の最外表面の一部のみに施される、請求項32記載の装置。
【請求項40】
更に、色変化が正しく形成されていることを確かめるためにレーザーエッチングされた錠剤を検査するための検査手段を含む、請求項32記載の装置。
【請求項41】
その上にレーザーエッチングされた領域を有する製薬上許容されるカプセル剤の形成方法であって、
上部シェル部分及び下部シェル部分を含み、医薬剤形をカプセル化するときに上部シェル部分が下部シェル部分の一部を覆っている製薬上許容されるカプセルで医薬剤形をカプセル化し;そして
下部シェル部分を覆っている上部シェル部分の一部をレーザーエッチングして上部シェル部分の選択された部分を除去し、上部シェル部分の選択された部分が除去された位置でカプセルの下部シェル部分を見ることができるようにする;
ことを含む、該方法。
【請求項42】
上部シェル部分及び下部シェル部分が異なる色である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
医薬剤形が、上部シェル部分、下部シェル部分、または上部及び下部カプセルシェル部分双方の色と同じでない色で場合によりフィルムコーティングされている圧縮錠剤である、請求項41記載の方法。
【請求項44】
更に、医薬剤形を現すように下部シェル部分をレーザーエッチングすることを含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
請求項1〜20または41〜44のいずれか1項記載の方法により製造した錠剤またはカプセル剤等の医薬剤形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【公表番号】特表2010−536432(P2010−536432A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521179(P2010−521179)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/073191
【国際公開番号】WO2009/026103
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(510041533)ビーピーエスアイ ホールディングス,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】