説明

種々の配合食材由来の発酵抽出・活性化エキス及び当該エキスの製造方法

【課題】種々の配合食材から、その成分を発酵抽出・活性化した風味的にも栄養的にも優れた天然エキスを提供する。安全で安価であり、健康の維持・増進に寄与し、かつ種々の用途が期待される食品である。
【解決手段】
多彩な種々の食材配合物の乾燥粉末の加水物に、最も適した各種麹菌及び各種酵素を組合わせて、その成分を発酵抽出・活性化したエキス組成物。
各種食材配合物の乾燥粉末の加水物に、特に選んだ各種麹菌及び各種酵素を組合わせて作用させ、その成分を発酵抽出・活性化した食材エキスの製造法。
これらの食材エキス組成物を含んだ抽出液はそのまま、或いは濃縮液、乾燥粉末として、これを含有してなる種々の領域の食品全般に、栄養的にも風味的にも健康上優れた用途に展開できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は種々の食材配合物より、その成分を発酵抽出し活性化した風味的にも栄養的にも優れたエキスの組成物及びその製造方法、並びにその用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食品に対するニーズが健康志向、本物志向へと大きく変化している。同時に食品の持つ第三次機能(体調調節機能)が特に注目されるようになり、食品中に含まれる種々の成分が体調のリズム調節、生体防御、疾病の予防・改善、老化防止など健康維持・増進に重要な役割をしていることが認識されている。
【0003】
【特許文献1】特許国際公開WO98−01042号公報
【特許文献2】特開平03−251161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、通常に行われている熱水抽出法や高温・高圧抽出法では種々の食材からの抽出率(w/w%)は35%前後であり、その成分も天然のままでなく、かなり生理活性を失っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、数種類または多種類の配合食材からその含有する成分を発酵抽出・活性化し、食品の第三次機能的にも、栄養的、風味的にも優れた成分と各種酵素活性を有する天然エキスが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は従来法と異なり、種々の食材に含まれている成分を天然のまま抽出し、また消化・吸収されやすく活性化させ、さらに収率の向上を図る製造方法を開発し、食品の第三次機能的にも、栄養的、風味的にも優れた天然エキス成分を提供することを目的とするものである。
【0007】
本発明の第二の主題は配合食材からそれらに含まれている成分を効率よく自然的に発酵抽出・活性化するための微生物の選択と、新規な発酵抽出・活性化法の開発である。このため発明者らは、食品工業で幅広く使用されている種々の微生物を検索した結果、プロテアーゼ力、炭水化物の液化力並びに糖化力にそれぞれ特徴を有する麹菌の内、Aspergillus oryzae(アスヘ゜ルキ゛ルス・オリセ゛ー)及びAspergillus sojae(アスヘ゜ルキ゛ルス・ソーエ)の10株をスクリーニングし、選定した。これらの麹菌を使用し、自然的な発酵抽出・活性化を行わせる新規な製造技術を開発し、食品の第三次機能的にも、栄養的、風味的及び消化・吸収的にも優れた成分と各種酵素活性を有する天然エキスを収率よく取得することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、以下の3つの構成を具備し得る。
1.多彩な種々の食材配合物の乾燥粉末の加水物に、最も適した各種麹菌及び各種酵素を組合わせて、その成分を発酵抽出・活性化したエキス組成物。
2.各種食材配合物の乾燥粉末の加水物に、特に選んだ各種麹菌及び各種酵素を組合わせて作用させ、その成分を発酵抽出・活性化した食材エキスの製造法。
本製法によれば、各種麹菌のみでの作用と比べて、たんぱく質の発酵抽出率が約50%程度高まり、各種酵素との組み合わせによる相乗効果が顕著である。
3.これらの食材エキス組成物を含んだ抽出液はそのまま、或いは濃縮液、乾燥粉末として、これを含有してなる種々の領域の食品全般に、栄養的にも風味的にも健康上優れた用途に展開できる。
本発明における酵素群は、例えば(細胞膜分解酵素、セルロース及びヘミセルロース分解酵素、ペクチン分解酵素、蛋白質分解酵素、ペプチド分解酵素、炭水化物分解酵素、脂質分解酵素等)が示されるが、これらに限定されるものではない。それぞれの添加量の範囲は0.001%~1.0%であるが、好ましくは0.01%~0.1%である。
【0009】
本発明の配合食材からその含有している成分を発酵抽出し、活性化する製造方法について詳細に説明すると、まず各種食材の多種類配合の場合、穀物・豆類25%、野菜・果物類50%、薬草・ハーブ・茶類15%、魚介・海藻・畜産類10%程度の50種以上の配合食材が発酵抽出・活性化のため好適である。この配合食材を凍結乾燥または低温乾燥し、含有成分の生理活性機能を維持させるように乾燥処理し、粉末化する。
尚、凍結乾燥、低温乾燥による乾燥処理の他、配合食材に普通の乾燥を施して粉末化しても良く、実施態様等により適宜選択され、特に限定されるものではない。
発酵抽出・活性化法では、数種類または多種類の食材配合物の加水物に直接麹で発酵させる方法、各種の加水分解酵素との併用で麹と発酵させる方法、または前もって各種加水分解酵素で抽出した食材配合物のエキスを麹で発酵させ活性化する方法により、1日〜数ヶ月間、20℃〜60℃で発酵抽出・活性化する。
次いで、プロテアーゼ力、炭水化物の液化力並びに糖化力にそれぞれ特徴を有する麹菌の内、Aspergillus oryzae(アスヘ゜ルキ゛ルス オリセ゛ー)及びAspergillus sojae(アスヘ゜ルキ゛ルス ソーエ)の1種類または数種類の混合胞子を使用し、米、麦、大豆の内より1種、2種または3種類を一定の配合で単独または混合麹を製麹する。数種類または多種類の食材配合物の重量当たり、麹を5%から100%の割合で加え作用させ、その加水物から含有成分を発酵抽出・活性化する。
【0010】
発酵抽出・活性化法では、数種類または多種類の食材配合物の加水物に直接麹で発酵させる方法、各種の加水分解酵素との併用で麹と発酵させる方法、または前もって各種加水分解酵素で抽出した食材配合物のエキスを麹で発酵させ活性化する方法により、1日〜数ヶ月間(好ましく 3日〜 30日)、20℃〜60℃(好ましくは 25℃〜45℃)で発酵抽出・活性化する。
本発明の配合食材から、その含有成分を発酵抽出・活性化したエキスは、風味的にも栄養的にも優れた次の成分と酵素活性を有している。
【0011】
固形分100g当たり の構成成分は、
たんぱく質 5.0 g 〜 30.0 g
炭水化物 40.0 g 〜 85.0 g
脂質 0.3 g 〜 2.0 g
食物繊維 0.5 g 〜 5.0 g
灰分 2.0 g 〜 8.5 g
水分 2.5 g 〜 7.0 g
である。
【0012】
たんぱく質中の総 アミノ酸含量は80 %以上、総アミノ酸 中の遊離アミノ酸 は45%以上、総ア ミノ酸の内、必須ア ミノ酸は35%以上 である。

固形分100g当たり のアミノ酸組成は、
イソロイシン 600 mg 〜 800 mg
ロイシン 1000 mg 〜 1500 mg
リジン 1000 mg 〜 1300 mg
メチオニン 200 mg 〜 300 mg
シスチン 250 mg 〜 350 mg
フェニルアラニン 900 mg 〜 1200 mg
チロシン 400 mg 〜 700 mg
スレオニン 500 mg 〜 800 mg
トリプトファン 100 mg 〜 200 mg
バリン 600 mg 〜 900 mg
ヒスチジン 400 mg 〜 600 mg
アルギニン 100 mg 以下
アラニン 900 mg 〜 1200 mg
アスパラギン酸 2000 mg 〜 2500 mg
グルタミン酸 3000 mg 〜 4000 mg
グリシン 1000 mg 〜 1300 mg
プロリン 1200 mg 〜 1500 mg
セリン 600 mg 〜 900 mg
である。
【0013】
発酵エキス原液 (固形分8〜15%)に 含有されている主 な代謝酵素活性 は、1ml当たり
αーアミラーゼ 200 u 〜 600 u
グルコアミラーゼ 3000 u 〜 5000 u
ペクチナーゼ 10 u 〜 100 u
セルラーゼ 1 u 〜 5 u
ヘミセルラーゼ 1 u 〜 5 u
酸性プロテアーゼ 50 u 〜 200 u
中性プロテアーゼ 50 u 〜 200 u
セミアルカリヘ゜フ゜チタ゛ーセ゛ 50 u 〜 200 u
リパーゼ 300 u 〜 2000 u
である。
【0014】
固形分100g当たり のビタミン類及びミ ネラル類の含量 は、
βーカロチン 10 μ 〜 200 μg
レチノール 10 μ 〜 100 μg
ビタミンB1 0.2 mg 〜 0.6 mg
ビタミンB2 0.4 mg 〜 1.5 mg
ビタミンB6 1.0 mg 〜 2.5 mg
パントテン酸 1.0 mg 〜 6.5 mg
葉酸 0.1 mg 〜 0.5 mg
【0015】
ミネラル類は、
カルシウム 200 mg 〜 500 mg
リン 300 mg 〜 600 mg
鉄 2 mg 〜 5 mg
ナトリウム 100 mg 〜 400 mg
カリウム 1500 mg 〜 2500 mg
マグネシウム 150 mg 〜 300 mg
亜鉛 2 mg 〜 6 mg
マンガン 2 mg 〜 5 mg
食塩相当量 400 mg 〜 1000 mg
である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の数種類または多種類の食材配合物から発酵抽出・活性化して得られた上記成分及び各種酵素活性を有するエキス組成物は、常法に従い除菌のため無菌濾過した抽出液をそのまま、または濃縮液および低温で乾燥した粉末として種々の領域の食品全般に、栄養的にも風味的にも、また消化・吸収的にも健康上優れた用途に展開できると同時に、食品用品質改良剤としても優れた効果を有している。
ヒトの1回の有効摂取量は、発酵抽出・活性化したそのままの液の場合、50ml〜100mlの範囲である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明で得られた食材エキス組成物は、清涼飲料、栄養飲料、果汁飲料、野菜飲料、茶飲料、豆乳飲料、酢飲料、ヨーグルト飲料、アルコール飲料などの各種飲料全般に添加して使用するか、または抽出液そのままで使用することで、栄養的にも風味的にも、かつ消化・吸収的にも優れた製品を提供できる。
また、この食材エキス組成物は、和菓子、洋菓子、パン、ピザ、パイ、麺類、豆腐、納豆やかまぼこ、ちくわ、はんぺん、魚肉ソーセージ等の練製品、アイスクリーム、ソフトクリーム等の冷菓及びハム、ソーセージ等の畜産品等の加工食品製造工程や調理の際に使用することで、栄養的にも、また風味的にも、かつ消化・吸収的にも優れた製品を提供できると共に、優れた食品用品質改良剤としての効果を有している。
さらにこの食材エキス組成物は、ドレッシング、ウスターソース、ホワイトソース、ケチャップソース、マヨネーズ、しょうゆ、みそ、麹類のつゆ、ふりかけ、化学調味料、香辛料などの製造工程や調理の際、添加し使用することにより、これらの食品の品質を栄養的にも風味的にも豊かに改良できる。
【実施例1】
【0018】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<配合食材から、その含有される成分の発酵抽出・活性化>
(1)供試配合食材
選定した100種類の食材の凍結乾燥粉末、(一部は低温乾燥粉末)を穀物・豆類25%、野菜・果物類50%、薬草・ハーブ・茶類15%、魚介・海藻・畜産物類10%の重量比率で混合し、配合食材とした。
100種類の食材は、例えば、下記のもので、各々重量比率で1%づつ混合した配合食材である。
発芽玄米、玄米、白米、黒米、大麦、小麦、ライ麦、オーツ麦、バルガー小麦、スペルト小麦、大豆、黒豆、エンドウ、インゲン、大豆たん白、きなこ、きび、コーン、スイートコーン、サトウモロコシ、亜麻仁、胡麻、ヒマワリの種、キノア、アマランサス、キャベツ、ニンジン、トマト、赤ピーマン、グリーンピーマン、ブロッコリー、カリフラワー、タマネギ、ジャガイモ、ホウレンソウ、コマツナ、ミズナ、白菜、サツマイモ、紫サツマイモ、ダイコン、赤カブ、カブ、ネギ、セロリ、パセリ、アスパラガス、ゴボウ、カボチャ、ウリ、レンコン、春菊、ニンニク、ショウガ、青ジソ、ニラ、ゴーヤ、ケール、モロヘイヤ、明日葉、大麦若葉、夕顔果実、バナナ、オレンジ、レモン、リンゴ、ピーチ、ストロベリー、グレープ、グレープフルーツ、ざくろ、アセロラ、プルーン、ピーナッツ、アーモンド、緑茶、杜仲茶、甜茶、椎茸、舞茸、アガリクス、甘草、ウコン、キダチアロエ、桑葉、バジル、ミント、オレガノ、ローズマリー、セイジ、チキン、ポーク、ヨーグルト、サメ軟骨、ホヤ、カキ、あさり、昆布、わかめ、ひじき
【0019】
(2)供試麹菌
上記の配合食材から含有されている成分を発酵抽出し、活性化するため麹菌としては、アスヘ゜ルキ゛ルス・オリセ゛ーK1株(Aspergillus oryzae K1 株(IAM 2609)、アスヘ゜ルキ゛ルス・オリセ゛ーS1株(Aspergillus oryzae S1 株(IAM 2603)アスヘ゜ルキ゛ルス・ソーエM1株(Aspergillus sojae M1 株(IAM 2669)の3種類の麹菌胞子を1:1:1の重量割合で混合し、使用した。
【0020】
(3)供試培地による製麹
米、押麦、大豆が重量で1:1:1の割合になるように別々の容器の取り、米及び大豆は水洗し、一晩水に浸漬した後、蒸煮した。押麦は10分間水通しした後、同様に蒸煮した。 これらの3種類の蒸煮物を供試培地として混合し、上記の3種類の麹菌胞子混合物を植菌した。この場合の麹菌胞子混合物の植菌量は、培地とした米、押麦、大豆の水浸漬前乾燥重量に対して0.05%均一に植菌し、30℃にて72時間で製麹した。
【0021】
<発酵抽出・活性化条件>
前記100種類の配合食材粉末1kgに対して水を5l加え、良く攪拌しながら均一の懸濁液とする(pH5.0)。この配合食材懸濁液に米、麦、大豆の混合培地で3種類の麹菌にて製麹した混合麹を300g作用させ、40℃にて穏やかに攪拌しながら無菌的に120時間発酵させ、配合食材に含まれている成分の抽出と活性化を行った。
この配合食材粉末に混合麹を作用させる際、同時に各種酵素(ペクチナーゼ「ナガセ」(商品名)、セルラーゼ「アマノ」(商品名)、ヘミセルラーゼ「アマノ」(商品名)、ユニアーゼ「ヤクルト」(ユニアーゼS(商品名))、デナチームAP「ナガセ」((デナチームAP(商品名))、デナプシン2P「ナガセ」(デナプシン2P(商品名))、リパーゼ「アマノ」(商品名)を各々配合食材粉末に0.05%(w/w%)添加し作用させた。
【0022】
発酵終了後、1500r.p.m.にて10分間遠心分離を行い抽出液を得、濾布にて濾過し、清澄な抽出液とし、さらに除菌のため0.2μmのフィルターにて濾過し、目的とする発酵抽出・活性化エキス組成物を得た。収量は抽出精製液で4.2l、凍結乾燥粉末として504gであり、配合食材粉末からの収率は50%であった。
【0023】
<成分分析>
発酵抽出・活性化エキス組成物の固形分 (凍結乾燥粉末)100g当たりの構成成分の定量分析結果は次の通りであった。

たんぱく質 20.52 g
脂質 0.89 g
炭水化物 67.82 g
水分 4.05 g
灰分 6.24 g
食物繊維 1.79 g
【0024】

定量方法は、
たんぱく質:ケルダール法
脂質:酸分解法
炭水化物:100g - (たんぱく質+脂質+水分+灰分)
灰分:直接灰化法
食物繊維:プロスキー法
で行った。
たんぱく質中の構成アミノ酸(総アミノ酸)は、固形分100g当たり定量分析の結果は次の通りであった。尚、アミノ酸の定量分析法は高速液体クロマトグラフ法にて行った。
【0025】

イソロイシン 775.58 mg
ロイシン 1308.22 mg
リジン 1214.77 mg
メチオニン 224.27 mg
シスチン 270.99 mg
フェニルアラニン 1027.88 mg
チロシン 541.98 mg
スレオニン 691.49 mg
トリプトファン 140.17 mg
バリン 831.65 mg
ヒスチジン 504.60 mg
アルギニン 10.00 mg以下
アラニン 1027.88 mg
アスパラギン酸 2242.66 mg
グルタミン酸 3644.31 mg
グリシン 1121.33 mg
プロリン 1308.22 mg
セリン 831.65 mg
それ故、たんぱく質中の総アミノ酸含量は17.71gであり、たんぱく質中の総アミノ酸含量は86.29%であった。
【0026】

総アミノ酸含量に占める必須アミノ酸であるイソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンの含量は、上記の通り6.21gであり、総アミノ酸中の必須アミノ酸含量は35.1%であった。
【0027】
発酵抽出・活性化エキスの抽出精製液中に含まれている各種代謝酵素の活性を測定した。
測定方法は、たんぱく分解酵素(酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、セミアルカリペプチダーゼ)活性は、カゼインを基質として分解されて生ずるチロシン量をもって活性単位とした。
澱粉分解酵素であるαーアミラーゼとグルコアミラーゼは、可溶性澱粉を基質として分解された糖質または生じた還元糖を測定し、酵素活性単位とした。
ペクチン分解酵素であるペクチナーゼ、繊維素分解酵素であるセルラーゼ、ヘミセルラーゼは、それぞれペクチン酸またはCMC(カルボキシメチルセルロース)を基質とし生じた還元糖を求めて活性単位とした。
脂肪分解酵素であるリパーゼ活性は、オリーブ油を基質とし、分解されて遊離した脂肪酸の数値より活性を求めた。
【0028】
測定結果は発酵エキス原液1ml当たり、
αーアミラーゼ 318.8 u
グルコアミラーゼ 4866.0 u
ペクチナーゼ 40.5 u
セルラーゼ 2.9 u
ヘミセルラーゼ 2.1 u
酸性プロテアーゼ 90.9 u
中性プロテアーゼ 84.9 u
セミアルカリペプチダー 92.9 u

リパーゼ 1375.0 u
の酵素活性を有していた。
【0029】
固形分100g当たりのビタミン類及びミネラル類の含量は、
βーカロチン 12 μg
レチノール当量 10 μg
ビタミンB1 0.3 mg
ビタミンB2 0.7 mg
ビタミンB6 1.2 mg
パントテン酸 3.7 mg
葉酸 0.2 mg
であった。
【0030】
測定方法は高速液体クロマトグラフィ法、また は微生物定量法を用い た。
ミネラル類は
カルシウム 299 mg
リン 486 mg
鉄 3.7 mg
ナトリウム 383 mg
カリウム 1869 mg
マグネシウム 234 mg
亜鉛 4.7 mg
マンガン 3.8 mg
食塩相当量 930 mg
であった。
測定方法は原子吸光光 度法またはICP発光分 析法を用いた。
【実施例2】
【0031】
<清涼 飲料>
上記実 施例で 製造した発酵 抽出・ 活性化エキス1 90mlに ビタミン C700m g、蜂蜜 10g、リンゴ濃縮果汁 10mlを加え、 栄養的にも優れた清涼飲料を製造 した。 得られた清涼飲料は、風味が良く、程よい甘味と酸味で調和のとれた、さわやかで味のよい良好な飲料であった。
【実施例3】
【0032】
<アルコール 飲料>
ウイス キー40 重量部 に上記 実施例 1にて製造した 発酵抽 出・活 性化エ キス液 160重 量部で のアル コール 飲料、 並びに 焼酎80 重量部 にエキ ス液12 0重量 部での アルコ ール飲 料を製 造した。 得られ たウイ スキー 飲料、 焼酎飲 料共に アルコ ールと 良く調 和し、エ キス液 を入れ ないも のと比 較して、 味やコ クが深 まり、良 好なカ クテルの風味 を生み 出した。
【実施例4】
【0033】
<ヨー グルト >
実施例 1で製 造した 発酵抽出・活性化エ キス粉 末を食品用品質改良剤とし て1g、 牛乳50 0ml、ヨ ーグル トスターター5g を加 え、一 般の方 法によ りヨー グルト を製造 した。 得られ たヨー グルト は、ま ろやか で風味 的に優 れてお り、市 販の製 品とは 異なっ たやわ らかな 味となること が確認 された。
【実施例5】
【0034】
<豆乳 >
実施例 1で製 造した 発酵抽 出・活 性化エキス粉 末を食 品用品 質改良 剤とし て1gを 豆乳20 0mlに 加え、 調整豆 乳を製 造した。 得られ た調整 豆乳 は、大 豆臭と 大豆の 味が抑 えられ、 豆乳と比べて飲みや すく、ま ろやか でやわ らかい 味とな ること が確認 された。
【産業上の利用可能性】
【0035】
50種類、88種類、100種類といった多種多様な食材であって、単品でも臭いや味が強すぎるなどしてなかなか食することが困難なものであっても、好き嫌いを伴うことなく良好な味覚をもって摂取することができ、しかも体内吸収に優れた食品が形成できることから、幼児から高齢者まで幅広い年代層の健常者、患者に適用可能な飲食物が提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物・豆類、野菜・ 果物類、薬草・ハー ブ・茶類、魚介・海 藻・畜産物類の内、 数種類または多種類の配合食材の成分を発酵抽出・活性化して得られる成分を有するエキス組成物。
【請求項2】
固形分100g当たり の構成成分は、
たんぱく質 5.0 g 〜 30.0 g
炭水化物 40.0 g 〜 85.0 g
脂質 0.3 g 〜 2.0 g
食物繊維 0.5 g 〜 5.0 g
灰分 2.0 g 〜 8.5 g
水分 2.5 g 〜 7.0 g

たんぱく質中の総 アミノ酸含量は80 %以上、総アミノ酸 中の遊離アミノ酸 は45%以上、総ア ミノ酸の内、必須ア ミノ酸は35%以上。
固形分100g当たり のアミノ酸組成は、
イソロイシン 600 mg 〜 800 mg
ロイシン 1000 mg 〜 1500 mg
リジン 1000 mg 〜 1300 mg
メチオニン 200 mg 〜 300 mg
シスチン 250 mg 〜 350 mg
フェニルアラニン 900 mg 〜 1200 mg
チロシン 400 mg 〜 700 mg
スレオニン 500 mg 〜 800 mg
トリプトファン 100 mg 〜 200 mg
バリン 600 mg 〜 900 mg
ヒスチジン 400 mg 〜 600 mg
アルギニン 100 mg 以下
アラニン 900 mg 〜 1200 mg
アスパラギン酸 2000 mg 〜 2500 mg
グルタミン酸 3000 mg 〜 4000 mg
グリシン 1000 mg 〜 1300 mg
プロリン 1200 mg 〜 1500 mg
セリン 600 mg 〜 900 mg
発酵エキス原液 (固形分8〜15%)に 含有されている主 な代謝酵素活性 は、1ml当たり
αーアミラーゼ 200 u 〜 600 u
グルコアミラーゼ 3000 u 〜 5000 u
ペクチナーゼ 10 u 〜 100 u
セルラーゼ 1 u 〜 5 u
ヘミセルラーゼ 1 u 〜 5 u
酸性プロテアーゼ 50 u 〜 200 u
中性プロテアーゼ 50 u 〜 200 u
セミアルカリヘ゜フ゜チタ゛ーセ゛ 50 u 〜 200 u
リパーゼ 300 u 〜 2000 u
である請求項1に記載のエキス組成物。
【請求項3】
穀物・豆類、野菜・果物類、薬草・ハーブ・茶類、魚介・海藻・畜産物類の内、数種類または多種類の配合食材から、その成分を発酵抽出・活性化したエキス組成物の製造方法。
【請求項4】
発酵抽出・活性化法では、こうじかび属(アスヘ゜ルキ゛ルス)に属するアスヘ゜ルキ゛ルス・オリセ゛ー(Aspergillus oryzae)と、アスヘ゜ルキ゛ルス・ソーエ(Aspergillus sojae)の中から、液化力、糖化力、プロテアーゼ力に特徴のある1種または数種の混合胞子を使用し、米、麦、大豆の内、1種、2種、または3種を一定の配合で単独および混合製麹し、数種類または多種類の食材配合物の乾燥粉末重量当たり、麹を5%〜100%の割合で作用させ、その加水物を発酵する請求項3に記載のエキス組成物の製造方法。
【請求項5】
発酵抽出・活性化法では、数種類または多種類の食材配合物の加水物に直接麹で発酵させる方法、各種加水分解酵素との併用で麹と発酵させる方法、または前もって各種加水分解酵素で抽出した食材配合物のエキスを麹で発酵させ活性化する方法による請求項3に記載のエキス組成物の製造方法。
【請求項6】
1日から数ヶ月、20℃〜60℃で発酵させる請求項4に記載のエキス組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1、2からなるエキス組成物を用いて製造される飲料および食品。
【請求項8】
請求項1、2からなるエキス組成物を用いた飲料および食品の製造方法。
【請求項9】
請求項1、2からなるエキス組成物を有効成分として含有する食品用品質改良剤。

【公開番号】特開2007−167017(P2007−167017A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371352(P2005−371352)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000126757)株式会社アドバンス (60)
【Fターム(参考)】