説明

種子処理用組成物および方法

種子と、部分的に腐植化された天然有機物によって特徴付けられる溶存有機物質の農学的に許容される複合混合物を含む第一の成分とを含む種子組成物、ならびに種子処理の方法。第一の成分が、第一の成分に接触していない同様の種子と比較して、発芽、出芽、根の発達、苗の活力、苗の生育、枯死率抵抗性、クロロフィル産生、耐寒性、浸水耐性、および栄養摂取の少なくとも1つを強化する、部分的に腐植化された天然有機物によって特徴付けられる溶存有機物質の農学的に許容される複合混合物を含む第一の成分に、種子を接触させるステップを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的な種子および植物の健康を改善するための組成物および種子処理、ならびにストレスおよび/または疾患に対する種子または植物の感受性を低下させるか、または植物の生産を改善するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機化合物の様々な混合物が、肥料添加剤として当技術分野で提案されている。具体的には、フミン酸組成物であるBio−Liquid Complex(商標)が、Bio Ag Technologies International(1999)www.phelpstek.com/portfolio/humic_acid.pdfにおいて、微量栄養素、より具体的には陽イオン栄養素の、土壌から植物への移動を助けると述べられている。
【0003】
American AgritechのTriFlex(商標)Bloom Formula栄養素組成物は、「リン酸、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、ケイ酸カリウム[および]ケイ酸ナトリウム」を含有すると記載されている。American AgritechのTriFlex(商標)Grow Formula 2−4−1栄養素組成物は、「硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カリウム、およびケイ酸ナトリウム」を含有すると記載されている。両方の組成物は、「選択されたビタミン、植物組織培養構成成分、必須アミノ酸、海藻、フミン酸、フルボ酸および炭水化物で強化された」と言われている。www.horticulturesource.com/product_info.php/products_id/82を参照されたい。これらの製品は、主に果実および花卉作物の「土壌を用いないハイドロガーデニング」(すなわち水耕栽培)のために処方されたと言われているが、コンテナ土壌の庭園でも従来の化学肥料を凌ぐと言われている。水耕または土壌の生育培地への施用とは対照的に、それらの葉面散布の適合性またはそれ以外のことは、言及されていない。www.americanagritech.com/product/product_detail.asp?ID=I&pro_id_pk=4−0を参照されたい。
【0004】
Actagro,LLC所有の商標Monarch(商標)は、天然有機物質に由来する3%の非植物肥料(non plant food)有機組成物を含む、2−20−15の基本的な植物栄養素を含有する肥料組成物である。
【発明の概要】
【0005】
種子と、部分的に腐植化された天然有機物によって特徴付けられる溶存有機物質の農学的に許容される複合混合物を含む第一の成分と、および、任意選択的に、有害生物防除剤、肥料、成長調節剤、およびそれらの混合物の農学的に許容される源から選択される第二の成分とを含む、種子組成物がここに提供される。
【0006】
さらに、種子を、部分的に腐植化された天然有機物によって特徴付けられる溶存有機物質の農学的に許容される複合混合物を含む第一の成分に接触させるステップを含む、種子処理の方法が提供される。
【0007】
さらに、第一の成分が、第一の成分に接触していない種子と比較して発芽、出芽、根の発達、クロロフィル産生、耐寒性、浸水耐性(water log resistance)および栄養摂取の1以上を強化する、部分的に腐植化された天然有機物によって特徴付けられる溶存有機物質の農学的に許容される複合混合物を含む第一の成分に種子を接触させるステップを含む方法が提供される。この方法は、第一の成分を、第一の成分に接触した種子に由来する植物の葉面に接触させるステップをさらに含むことができる。
【0008】
さらに、第一の成分と、有害生物防除剤と、任意選択的に植物栄養素とを含む組成物を、種子、植物の葉面、または植物の場所に施用するステップを含む、植物の生育または栄養摂取を改善するための方法が提供される。
【0009】
さらに、GM植物の葉面、場所または種子を、部分的に腐植化された天然有機物の農学的に許容される混合物を含む第一の成分と、植物の遺伝子組換えに関連する化学拮抗薬と、任意選択的に植物栄養素とを含む組成物に接触させるステップを含む、化学拮抗薬に対して特異的耐性を有する遺伝子組換え(GM)植物の生育または収穫の遅延または減弱を低減するための方法が提供される。
【0010】
さらに、水溶液中に、部分的に腐植化された天然有機物の農学的に許容される混合物を含む第一の成分と、少なくとも1つの有害生物防除剤、肥料、成長調節剤、およびそれらの混合物から選択される第二の成分とを含む、植物栄養素組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
なし
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義された組成物の天然有機物質を含む第一の成分と、任意選択的に、少なくとも1つの有害生物防除剤(個別にまたは集合的に、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、植物栄養素、またはそれらの組合せ)を含む第二の成分を含む、植物の生育、栄養摂取、または健康のための組成物および種子処理およびそのコーティングが、一部において本明細書に開示および記載される。本明細書に開示および記載される組成物は、意図する施用方法、それが施用される植物種、植物の生育条件、およびその他の要因によって変動する。
【0013】
本明細書に開示および記載される組成物は、水溶液、水中油型乳濁液、または油中水型乳濁液の形態をとることができる。少量の不溶性物質が、任意選択的に、例えば培地の懸濁液中に存在し得るが、かかる不溶性物質の存在を最小限にすることが通常好ましい。
【0014】
<第一の成分>
本明細書に開示および記載される組成物の第一の成分は、天然有機物の豊富な源から単離および抽出した有機分子の水溶液中の混合物を含む。天然有機物は、主に土壌環境で経時的に様々な程度に改変された植物材料に由来する。植物材料の中には、最近環境に堆積したものがある。少なくとも一部の天然有機物は、腐植化の一部の過程を経て部分的に腐植化された天然有機物となる。腐植化には、天然有機物の、微生物、真菌、および/または環境(熱、圧力、日光、稲光、火、など)による分解および/または酸化が含まれる。最も好ましくは、第一の成分は、腐植化を実質的に受けていない天然有機物を含む(部分的に腐植化された天然有機物)。一態様では、天然有機物は、一般に約5ppm〜約500ppmの間の溶存有機物(DOM)を含有するかまたはどこかに提供する環境から得られる。他の態様では、天然有機物は、一般に約500ppm〜約3000ppmまたはそれ以上の間のDOMを含有するかまたは提供する環境から得られる。
【0015】
天然有機物は極めて複雑であり、源およびその源の周囲で優勢な環境条件に応じて数千もの化合物が存在することが通例である。フルボ酸(CAS番号479−66−3)およびフミン酸(CAS番号1415−93−6)などの腐植物質が天然有機物に由来する有機複合体の例であるが、しかし、第一の成分は、下に記載されるように、フルボ酸およびフミン酸とは違って化学的かつ生物学的に独特である。
【0016】
第一の成分は、溶存有機物を含み、この有機物は、上記のような腐植化の過程、例えば、微生物の、殺真菌性の、および/または環境的な(熱、圧力、日光、稲光、火、など)分解過程の間に形成される。その他の天然有機物または合成天然有機物分解過程が関与することができ、またはそれを使用することができる。一態様では、第一の成分は、主に実質的な腐植化を受けていない天然有機物を含む(例えば、部分的に腐植化された天然有機物)。腐植化の量は、公知の方法、例えば、13C NMRにより決定し特徴付けることができる。
【0017】
一態様では、第一の成分は、どこかからその元の源に対して約10倍〜約5000倍の間の溶存有機物(DOM)濃度レベルを有する第一の成分を得るように、天然有機物をその源から取り出す、任意選択的に加工する、および/または、濃縮することにより得られる。別の態様では、溶存有機物(DOM)濃度レベルの第一の成分の濃度は、約7500倍から約50,000倍までの間であり得る。第一の成分は、DOMの濃度が約10ppm〜約700,000ppmの間であるように調節することができる。好ましくは、第一の成分は、DOMの濃度が約1000ppm〜約500,000ppmの間であるように調節することができる。第一の成分は、水溶液中に、500ppmの増分のどのppm値(例えば、10,500ppm、11,000ppm、11,500ppm、12,000ppmなど)も含む、1000ppm〜50,000ppmの任意のppm値で表されるDOM値に調節することができる。その他のDOM濃度を使用してもよく、例えば、約75,000ppm〜約750,000ppmの間の非常に濃縮された組成物を調製することができる。例えば、元の源の約30,000倍の濃縮物は、約550,000ppmのDOMを含むことができる。特定の態様では、第一の成分は、大体約91%〜約99%が水であり、残りの有機物質は主にDOMで微量のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、および遷移金属塩を含む。さらに他の態様では、第一の成分のDOMは、水溶液で再構成するのに適した形態で乾燥または凍結乾燥されている。
【0018】
第一の成分は、物質の複合混合物、一般に、単一の構造式が十分でない化合物の不均一な混合物である。第一の成分の元素的かつ分光学的特徴により、それは大部分のその他の腐植質に基づく有機複合体、例えば下記にさらに考察されるフミン酸およびフルボ酸などと区別される。第一の成分の個々のバッチのブレンディングを行って、統一性を得、天然由来材料の通常の変動を代償することができる。
【0019】
詳細な化学的および生物学的試験により、第一の成分の物質の複合混合物が、植物へのその生物学的作用とフミン酸およびフルボ酸と比較した化学組成の両方において、独特の組成物であることが示された。
【0020】
<第一の成分の特性決定および方法>
組成物の第一の成分を構成する有機化合物は、多様な方法(例えば、分子量、異なる官能基間での炭素の分布、相対元素組成、アミノ酸含有量、炭水化物含有量など)で特徴付けることができる。一態様では、第一の成分は、腐植質に基づく物質の公知の標準物質と比較して特徴付けられた。
【0021】
異なる官能基間の炭素分布を特徴付けるために適した技法としては、限定されるわけではないが、13C−NMR、元素分析、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FTICR−MS)およびフーリエ変換赤外分光法(FTIR)が挙げられる。第一の成分および腐植標準物質の化学的特徴付けは、エレクトロスプレーイオン化フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(ESI−FTICR−MS)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、ならびにHuffman Laboratories,Inc.およびワシントン大学の実施するICP−AESを用いる金属の元素分析を用いて実施した。
【0022】
第一の成分の元素、分子量、および分光学的特徴は、主にリグニンおよびタンニン化合物(および縮合型タンニンと非縮合型タンニンの混合物)、縮合芳香族および痕跡量の脂質および無機物からなる有機複合体に一致する。数千もの化合物が存在し、分子量は225から700ダルトンに及び、化合物の大部分は分子当たり約10〜約39個の炭素原子を有する。第一の成分は、通常炭素、酸素、および水素と少量の窒素および硫黄で構成される。第一の成分はまた、カリウムおよび鉄も5%を上回るレベルで含有する。
【0023】
第一の成分中に一般に存在する溶存物質の元素組成を、表Aに示す。有機化合物を無機元素から分離すると、元素分析は、C 55%、H 4%、O 38%、N 1.8%、およびS 2.2%である。
【0024】
【表1】

【0025】
第一の成分中に存在する有機化合物のクラスの中で、予備的分析により、通常リグニンおよびタンニン(縮合物と非縮合物の混合物)、縮合芳香族、未確認物質および一部の脂質が存在することが明らかとなった。これらの化合物のクラスの各々を、多少狭いMw範囲および炭素数/分子でさらに特徴付けた。第一の成分の最初の代表サンプリングに関する、様々な化合物クラスの各々の数および割合の分析、それらのMWおよび炭素原子/分子(炭素範囲)を表B1に示す。
【0026】
【表2】

【0027】
第一の成分の3つの異なる製造バッチの平均に基づく、第2回代表サンプリングに関する、様々な化合物クラスの各々の数および割合の分析、それらのMWおよび炭素原子/分子(炭素範囲)を表B2に示す。
【0028】
【表3】

【0029】
表Cは、上記のクラスを規定する際に用いた酸素対炭素(O/C)および水素対炭素(H/C)比を要約する。
【0030】
【表4】

【0031】
<腐植標準物質との比較>
第一の成分のサンプルに対する腐植物質の元素および構造特性比較を実施した。国際腐植物質学会(International Humic Substances Society)から得た3つの腐植標準物質、すなわち、レオナルダイトフミン酸(LHA)、パホキー・ピート(Pahokee Peat)フミン酸(PPHA)、およびスワニー川フルボ酸II(SRFA)を使用した。各々の腐植標準物質および第一の成分の各々のサンプルを、FTIRおよびESI−FTICR−MSにより分析した。各々の腐植標準物質の一部を、ESI−FTICR−MS分析のためにNHOH/水に溶解した。第一の成分の3つのサンプル(1番、2番、および3番)を、陽イオン交換樹脂(AG MP−50、Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA)での分析のために調製した。腐植標準物質と第一の成分の各々のサンプルの比較を表Dに表す。
【0032】
【表5】

【0033】
表Dは、腐植標準物質と第一の成分を代表するサンプルとの間に大きな違いがあることを示す。例えば、O/C比は、全ての腐植物質で0.4未満であるが、第一の成分のサンプルでは最小に見ても0.5である。サンプルのDBEも、腐植標準物質のものよりも有意に低く、平均MWはそれよりも大きい。
【0034】
質量スペクトル分析に基づくと、第一の成分のサンプル中に存在する化合物の数は、腐植標準物質で実質的に存在しないかまたは非常に減少している。特に、第一の成分の少なくとも1つの成分は、1以上のタンニン化合物に一致し得る。比較すると、腐植標準物質において、タンニン化合物の割合%は、少量で存在する。例えば、表Eに示されるように、フルボ酸標準物質およびフミン酸標準物質において、両方の標準物質は、第一の成分のサンプル中に見出されるタンニンの割合%の少なくとも3分の1〜4分の1である。
【0035】
【表6】

【0036】
IHSS標準物質と第一の成分サンプルのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを比較すると、主に1600〜1800cm−1の範囲に類似点がある。両方のサンプルセットにおいて、本発明者らは、カルボキシル官能基からのC=Oストレッチに起因する1700cm−1前後の非常に強いピーク、およびアルケンまたは芳香族からのC=C結合に一致する1590〜1630の範囲のピークを認める。しかし、700〜1450cm−1の領域で有意差が観察される。1160〜1210のピークは、全てのスペクトルに存在し、アルコール、エーテル、エステルおよび酸のC−O結合に由来する。最も大きい差は、第一の成分のサンプルの870cm−1のピークであり、これはIHSS標準物質に存在しない。このピークは、アルケンと芳香族の結合に起因する可能性がある。
【0037】
特徴付けデータに基づくと、第一の成分は、分子量分布が約300〜約18,000ダルトンの比較的小さい分子または超分子凝集体を含んでいる可能性がある。有機分子の混合物がそれから分割される有機物に含まれるものは、様々な腐植物質、有機酸および微生物浸出液である。混合物は、脂肪族と芳香族の両方の特徴を有することが示される。実例として、炭素分布は、カルボニルおよびカルボキシル基に約35%、芳香族基に約30%、脂肪族基に約18%、アセタール基に約7%、およびその他のヘテロ脂肪族基に約12%を示す。
【0038】
一部の実施形態では、第一の成分中の化合物の混合物は、約300〜約30,000ダルトン、例えば、約300〜約25,000ダルトン、約300〜約20,000ダルトン、または約300〜約18,000ダルトンの分子量分布の有機分子または超分子凝集体を含む。
【0039】
異なる官能基間の炭素分布を特徴付ける際、限定されるわけではないが、13C−NMR、元素分析、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FTICR−MS)およびフーリエ変換赤外分光法(FTIR)を含む、適した技法を使用することができる。
【0040】
一態様では、カルボキシ基およびカルボニル基はともに、第一の成分の有機化合物の混合物中の炭素原子の約25%〜約40%、例えば約30%〜約37%、実例として約35%を占める。
【0041】
一実施形態では、芳香族基は、第一の成分の有機化合物の混合物中の炭素原子の約20%〜約45%、例えば約25%〜約40%または約27%〜約35%、実例として約30%を占める。
【0042】
一実施形態では、脂肪族基は、第一の成分の有機化合物の混合物中の炭素原子の約10%〜約30%、例えば約13%〜約26%または約15%〜約22%、実例として約18%を占める。
【0043】
一実施形態では、アセタールおよびその他のヘテロ脂肪族基は、第一の成分の有機化合物の混合物中の炭素原子の約10%〜約30%、例えば約13%〜約26%または約15%〜約22%、実例として約19%を占める。
【0044】
一態様では、第一の成分中の芳香族対脂肪族炭素の比は、約2:3〜約4:1、例えば約1:1〜約3:1または約3:2〜約2:1である。
【0045】
特に実例となる態様では、第一の成分の有機化合物の混合物中の炭素分布は、次の通りである。カルボキシ基およびカルボニル基、約35%;芳香族基、約30%;脂肪族基、約18%;アセタール基、約7%;およびその他のヘテロ脂肪族基、約12%。
【0046】
第一の成分の有機化合物の元素組成は、独立に、一連の実施形態において次の通りである。重量で、C、約28%〜約55%、実例として約38%;H、約3%〜約5%、実例として約4%;O、約30%〜約50%、実例として約40%;N、約0.2%〜約3%、実例として約1.5%;S、約0.2%〜約4%、実例として約2%。
【0047】
第一の成分の有機化合物の元素組成は、独立に、別の一連の実施形態において次の通りである。重量で、C、約45%〜約55%、実例として約50%;H、約3%〜約5%、実例として約4%;O、約40%〜約50%、実例として約45%;N、約0.2%〜約1%、実例として約0.5%;S、約0.2%〜約0.7%、実例として約0.4%。
【0048】
特に実例となる態様では、元素分布は、重量で、C、約38%;H、約4%;O、約40%;N、約1.5%;およびS、約2%である。第一の成分中の差引残は、主に無機イオン、主としてカリウムおよび鉄からなる。
【0049】
別の特に実例となる態様では、元素分布は、第一の成分中の重量で、C、約50%;H、約4%;O、約45%;N、約0.5%;およびS、約0.4%である。
【0050】
第一の成分中に存在することのできる有機化合物のクラスの中には、様々な態様において、アミノ酸、炭水化物(単糖、二糖および多糖)、糖アルコール、カルボニル化合物、ポリアミン、脂質、およびそれらの混合物がある。これらの特定の化合物は、一般に少量で、例えば、化合物の総量%の5%未満で存在する。
【0051】
存在することのできるアミノ酸の例としては、限定されるわけではないが、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、セリン、トレオニン、チロシンおよびバリンが挙げられる。
【0052】
存在することのできる単糖および二糖の糖類の例としては、限定されるわけではないが、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、アラビノース、リボースおよびキシロースが挙げられる。
【0053】
上記の化学的、元素的および構造的特徴付けに基づいて、第一の成分は、フミン酸およびフルボ酸またはそれらの組合せとは違って化学的かつ生物学的に独特である。さらに、遺伝子調節の性質および範囲、ならびに植物の健康改善、干ばつおよび塩分ストレス抵抗性に関する第一の成分の全体的な効果の結果として、概して第一の成分は、かかる活性および特性について概して質と量が不足している既知のフミン酸および/またはフルボ酸組成物および処理のそれに対して独特であると考えられる。第一の成分のその他の有益な植物機能属性は、存在しているか、あるいは第一の成分から得られる処理方法および/または遺伝子調節の結果生じ得る。
【0054】
理論に縛られるものではないが、少なくとも第一の成分のイオンを錯化させる能力が、植物においてイオンの取込みおよび/または転流を促進することにより植物の栄養摂取を助けると考えられる。イオンの取込みおよび/または転流の促進は、植物の成長点および結実点への木部または師部を経由するイオンの優先的な移動によって起こり得る。あるいは、または上記と組み合わせて、イオンの取込みおよび/または転流の促進は、植物または種子のイオン輸送またはその他の生物学的機能に関連する1以上の遺伝子の調節によって起こり得る。イオンの取込みおよび/または転流の促進は、植える前または植えた後の種子の種皮を経由する吸収および輸送によって起こり得る。無機イオンは、正に帯電した陽イオンまたは負に帯電した陰イオンであり得る。無機陽イオンの例としては、Mg2+、Ca2+、Mn2+、Fe2+およびFe3+が挙げられる。無機陰イオンの例としては、ホウ酸塩およびケイ酸塩が挙げられる。かかる可逆的結合または錯化は、キレート化の形態をとるか、またはイオンもしくは非イオン相互作用によるものであり得る。植物の栄養摂取を助ける第一の成分のその他の能力は、存在する可能性があるか、または用いることができる。
【0055】
有機化合物の適した混合物は、例えば、Floratine Biosciences,Inc.(FBS)のCarbon Boost−S土壌溶液およびKAFE(商標)−F葉溶液として販売されている製品中に、多くの成分の1つとして見出すことができる。これらの製品の情報は、www.fbsciences.comで入手できる。従って、本明細書に開示および記載される態様の例となる組成物は、第一の成分としてCarbon Boost(商標)−SまたはKAFE(商標)−F葉溶液、第二の成分として少なくとも1つの有害生物防除剤を、適した容積の水に添加することにより調製することができる。一態様では、この有効成分は、CAS登録番号第1175006−56−0号であり、一例として第一の成分に相当する。
【0056】
組成物中に存在するべき第一の成分の量は、使用する特定の有機混合物によって決まる。この量は、例えば、組成物中の混合物の溶解度の限度を超えることによるか、またはその他の不可欠な成分を溶液から失くさせることにより、結果的に物理的に不安定な組成物をもたらすほど多量であるべきではない。一方、この量は、目的の植物種に施用した場合に栄養摂取の強化、生育、ストレス抵抗性の強化、または植物の病害防除の強化を提供できないほど少量であるべきではない。どんな特定の有機混合物も、当業者は、日常的な製剤安定性および生物有効性試験によって、どんな特定の使用のためにも組成物中の有機混合物の量を最適化することができる。
【0057】
特に、例えば、Carbon Boost(商標)−SおよびKAFE(商標)−Fの商標で販売される市販製剤中に見出される有機化合物の混合物を使用する場合、栄養組成物中に必要な第一の成分の量は、著しく少ないことが見出される場合が多い。例えば、1重量部程度(水を除く)のそのような混合物は、ある状況では、植物において、最大約1000重量部またはそれ以上の第二の成分の、沈着部位への葉送達を助ける。その他の状況では、日常的な試験に基づいて、より多くの量の有機混合物を加えることが有益であることが見出され得る。一般に、第一の成分対第二の成分の適した比は、約1:2000〜約1:5、例えば約1:1000〜約1:10または約1:500〜約1:20、実例として約1:100である。Carbon Boost(商標)−SまたはKAFE(商標)−F溶液を有機化合物の源として使用する場合、第二の成分の濃縮組成物に含められるかかる溶液の適した量は、本明細書において、約5〜約25、例えば約8〜約18、実例として約12重量部の濃縮組成物中、約1重量部のCarbon Boost(商標)−SまたはKAFE(商標)−F溶液である。
【0058】
任意選択的に、本発明の組成物中に、上記の第一および第二の成分とともに、さらなる成分が存在することができる。例えば、組成物は、第三の成分として、第一および第二の成分として使用されるもの以外の植物栄養素の少なくとも1つの農学的に許容される源をさらに含むことができる。これらの栄養素のさらなる源が、必要に応じて存在することができる。その源を任意選択的に含めることのできる、その他の植物栄養素の例は、カリウム(K)、および硫黄(S)、リン(P)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、銅(Cu)およびホウ素(B)である。
【0059】
有利には、第一の成分と、Ca、Mg、Mn、またはFeなどの多価陽イオンと錯化することが一般に知られている有害生物防除剤とを含有する水性組成物への、Ca+2、Mg+2、Mn+2、またはFe+2/3などの多価陽イオンの添加は、第一の成分を含まない、多価陽イオンおよび有害生物防除剤を含有する溶液と比較して、有害生物防除剤の効力を実質的に維持することができる。
【0060】
例えば、グリホサートの有効性は、Mn+2などの多価陽イオンを含む水溶液中で組み合わせると低下することが一般に公知である。従って、植物またはその場所を除草剤と栄養素の別個の施用で処理することが必要であり得る。下にさらに説明されるように、第一の成分は、除草剤/多価陽イオン栄養素、例えばCa+2、Mg+2、Mn+2、またはFe+2/3、例えば、グリホサートとMn+2の直接混合(単一槽)を提供する。
【0061】
その他の構成成分が、任意選択的に本明細書に開示および記載される組成物中に存在してもよく、それには、界面活性剤(例えば葉の表面の湿潤を強化するため)、スプレードリフト制御剤、消泡剤、粘度調節剤、不凍剤、着色剤、その他などの従来の製剤アジュバントが含まれる。これらのうちのどれもが、組成物の本質的な成分の安定を損なわないのであれば、必要に応じて添加することができる。
【0062】
本明細書に開示および記載される組成物を調製するためのプロセスは、必要とされる構成成分の単純な混合を一般に伴う。必要に応じて、どの構成成分も、その他の構成成分と混合する前に、適した容積の水に事前に溶解することができる。添加の順序は、概して重大な意味をもたない。
【0063】
<第二の成分>
第二の成分は、有害生物防除剤であってよく、用語「有害生物防除剤」とは、本明細書において、少なくとも1つの除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、植物栄養素、またはそれらの組合せをさす。
【0064】
除草剤としては、例えば、雑草の防除または改善に効果的な除草剤、例えば、イミダゾリノン、スルホニル尿素、グリホサート、グルホシネート、L−ホスフィノトリシン、トリアジン、ベンゾニトリルおよびそれらの組合せを挙げることができる。また、除草剤には、ジカンバ(3,6−ジクロロ−O−アニス酸または3,6−ジクロロ−2−メトキシ安息香酸)、除草剤中の有効成分、例えばBanvel.(商標)、(BASF)、Clarity(商標)、(BASF)、およびVanquish(商標)(Syngenta)も挙げられる。
【0065】
殺虫剤としては、例えば、昆虫の防除または改善に効果的な殺虫剤を挙げることができ、それには殺卵剤および殺幼虫剤が含まれる。例となる殺虫剤としては、有機塩素、有機リン、カルバミン酸塩、ネオニコチノイド、フェニルピラゾール、およびピレトロイド、例えばテフルトリン、テルブホス、シペルメトリン、チオジカルブ、リンデン、フラチオカルブ、アセフェート、ブトカルボキシム、カルボフラン、NTN、エンドスルファン、フィプロニル、ジエチオン、アルドキシカルブ、メチオカルブ、オフタノール、(イソフェンホス)、クロルピリホス、ベンダイオカルブ、ベンフラカルブ、オキサミル、パラチオン、カプホス(capfos)、ジメトエート、ホノホス、クロルフェンビンホス、カルタップ、フェンチオン、フェニトロチオン、HCH、デルタメトリン、マラチオン、ジスルホトン、およびそれらの組合せが挙げられる。一態様では、第二の成分は、殺虫効果のある量の、少なくとも1つのネオニコチノイドまたはフェニルピラゾール殺虫剤、およびそれらの組合せを含む。
【0066】
殺真菌剤としては、例えば真菌および卵菌の防除に効果的な殺真菌剤、例えば、子嚢菌類(フザリウム属種(Fusarium spp.)、シエラビオプシス属種(Thielaviopsis spp.)、ベルチシリウム属種(Verticillium spp.)、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea))、担子菌類(リゾクトニア属種(Rhizoctonia spp.)、ファコスポラ・パキリジ・シドー(Phakospora pachyrhizi Sydow)、プッシニア属種(Puccinia spp.))、および卵菌(フィトフトラ(phytophthora)、フィチウム属種(Pythium spp.)、フィトフトラ属種(phytophthora spp.))に属する植物病原菌の防除または改善に効果的な殺真菌剤を挙げることができる。例となる殺真菌剤としては、ベノミル(ベンレイトとしても公知)、ビテルタノール、カプタン、カルベンダジム、カルボキシン(カルバチインとしても公知)、カプロパミド(Capropamid)、シモキサニル、シプロジニル、ジフェノコナゾール、エチリモール、フェンピクロル、フェンプロピモルフ、フルジオキソニル、フルキンコナゾール、フルトラニル、フルトリアホール、ホセチル−アルミニウム、フベリダゾール、グアザチン、ヒメキサノール(Hymexanol)、カスガマイシン、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン−トリアセテート、イプコナゾール、イプロジオン、マンコゼブ、マンネブ、メプロニル、メタラキシル、メタラキシル−M(メフェノキサム)、メトコナゾール、メチラム、MON65500(シルチオファム−ISOの提案)、ミクロブタニル、ヌアリモル、オキサジキシル、オキシン−銅、オキソリン酸、ペルフラゾエート(Perfurazoate)、ペンシクロン、プロクロラズ、塩酸プロパモカルブ、ピロキロン、キントゼン(PCNBとしても公知)、シルチオファム−MON65500を参照、テブコナゾール、テクナゼン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート−メチル、チラム、トルクロホス−メチル、トリアジメノール、トリアゾキシド、トリフルミゾール、トリチコナゾール、およびそれらの組合せが挙げられる。一態様では、第二の成分は、殺真菌効果のある量の、少なくとも1つのフェニルアミド(アシルアラニン型)、少なくとも1つのフェニルピロール、および少なくとも1つのトリアゾールを含む、少なくとも2つの殺真菌剤を含む。別の態様では、第二の成分は、殺真菌効果のある量の、少なくとも1つのフェニルアミド(アシルアラニン型)、少なくとも1つのフェニルピロール、および少なくとも1つのトリアゾールを含む、少なくとも3つの殺真菌剤を含む。一態様では、殺真菌剤は、ストロビルリン類のファミリー、例えば、Quadris(商標)(Syngenta)Headline(商標)(BASF)およびStratego(商標)(Bayer)から選択される。
【0067】
殺菌剤としては、例えば、アグロバクテリウム、バークホルデリア、プロテオバクテリア(例えば、ザントモナス属種(Xanthomonas spp.)およびシュードモナス属種(Pseudomonas spp.)フィトプラズマ、およびスピロプラズマの防除または改善に効果的な殺菌剤を挙げることができる。
【0068】
抗ウイルス剤としては、例えば、無症候性ウイルス、原虫および寄生植物の防除または改善に効果的な薬剤を挙げることができる。殺線虫剤、例えばアバメクチンを、線虫種子処理として使用することができる。
【0069】
一態様では、第二の成分は、殺虫効果のある量の、少なくとも1つのネオニコチノイドまたはフェニルピラゾール殺虫剤と、殺真菌効果のある量の、フェニルアミド(アシルアラニン型)、フェニルピロールまたはトリアゾールから選択される少なくとも1つの殺真菌剤の組合せを含む。特定の一態様では、第二の成分は、殺虫効果のある量の、少なくとも1つのネオニコチノイドまたはフェニルピラゾール殺虫剤と、殺真菌効果のある量の、少なくとも1つのフェニルアミド(アシルアラニン型)、少なくとも1つのフェニルピロール、および少なくとも1つのトリアゾールを含む少なくとも3つの殺真菌剤の組合せを含む。
【0070】
また、第二の成分としては、成長調節剤、例えば、サイトカイニン、オーキシン、ジベレリン、およびそれらの組合せを挙げることができる。
【0071】
また、第二の成分は、1以上の植物多量栄養素または植物微量栄養素を含むことができる。用語「多量栄養素」は、微量栄養素に対して比較的多い量で植物によって活用される植物の生育のための要素をさし得る。用語「微量栄養素」とは、多量栄養素に対して少ない量で使用される、生育の間に植物によって活用される要素をさす。例えば、植物多量栄養素には、窒素、カリウム、リン、カルシウム、マグネシウムおよび硫黄が含まれる。第二の成分は、様々な組合せおよび相対量の個々の多量栄養素を含むことができる。例えば、植物微量栄養素には、鉄、マンガン、亜鉛、銅、ホウ素、モリブデンおよびコバルトが含まれる。微量栄養素を第二の成分として提供するために多数の化合物および物質が利用可能である。様々な組合せおよび相対量の微量栄養素を、第二の成分中で活用することができる。
【0072】
また、第二の成分には、上記のいずれかに加えて、カビ防止剤、吸収剤、浸透剤、およびそれらの組合せが含まれ得る。
【0073】
<方法>
種子処理、栄養のための、かつ/または植物の病害に対する感受性を低下させるための、本明細書に記載される組成物の使用方法をさらに開示する。組成物は、単一の植物(例えば、室内用鉢植え植物、または観賞用植物)に施用することができ、ある区域を占有する植物の集合に施用することもできる。一部の実施形態では、組成物は、農作物または園芸作物に、より特に食用作物に施用される。「食用作物」は、本明細書において、主にヒトの消費のために成育した作物を意味する。本発明の方法は、圃場用途にも、保護栽培で、例えば、グリーンハウス用途にも適切である。
【0074】
本方法は、イネ科の(イネ科に属する)作物、例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、オートムギおよびイネを含む禾穀類などに有益であり得るが、それらは野菜作物、果実作物、大豆などの広葉畑作物、種子作物または特に種子を生産するためのあらゆる種類の作物を含む、非イネ科作物にも非常に適している。用語「果実」および「野菜」は、本明細書において農業または料理の意味で使用され、厳密な植物学的意味では使用されていない。例えば、トマト、キュウリおよびズッキーニは、本目的のために野菜とみなされるが、植物学的に言うと、消費されるのはこれらの作物の果実である。
【0075】
本方法が有用であると見出され得る野菜作物としては、限定されるわけではないが、
葉野菜およびサラダ用野菜、例えば、アマランス、ビートグリーン、ビターリーフ、チンゲン菜、芽キャベツ、キャベツ、ブタナ、セルタス、チョウクゥイー(choukwee)、ツルムラサキ、チコリー、フユアオイ、キクの葉、ノヂシャ、クレス、タンポポ、エンダイブ、アリタソウ、アカザ、コゴミ、フルーテッド・パンプキン、ゴールデン・サムファイア(golden samphire)、グッドキングヘンリー、アイスプラント、ジャンブー、カイラン、ケール、コマツナ、クカ(kuka)、ラゴス・ボロギ(Lagos bologi)、ランドクレス、レタス、ハンゲショウ、モロヘイヤ、ミズナ、カラシナ、ハクサイ、ツルナ、オラーチェ、エンドウ葉、ポーク、赤チコリー、ロケット(アルギュラ)、サムファイア、ハマフダンソウ、ハマナ、シエラ・レオネ・ボロギ(Sierra Leone bologi)、ソコ(soko)、スイバ、ホウレンソウ、スベリヒユ、フダンソウ、タアツァイ、カブの葉、ウォータークレス、エンツァイ、ツキヌキヌマハコベおよびヨウ・チョイ(you choy) など、
花の咲く野菜および実のなる野菜、例えば、エイコーン・スクワッシュ、アルメニアン・キューカンバー、アボカド、ピーマン、ニガウリ、バターナッツ・スクワッシュ、カイグア、食用ホオズキ、カイエンペッパー、ハヤトウリ、チリペッパー、キュウリ、ナス(オーベルジーヌ)、アーティチョーク、ヘチマ、マラバル・ゴード(Malabar gourd)、パルワル、ペポカボチャ、多年生キュウリ、カボチャ、カラスウリ、スクワッシュ(マロー)、スイートコーン、スイートペッパー、ティンダ、トマト、トマティロ、トウガン、ウエスト・インディアン・ガーキンおよびズッキーニ(クルジェット)など、
マメ科の野菜(マメ科植物)、例えば、アメリカホドイモ、アズキ、クロマメ、ササゲ、ヒヨコ豆(ガルバンゾ・ビーン)、ドラムスティック、ドリコス・ビーン、ソラマメ(ブロード・ビーン)、サヤインゲン、グアー、ハリコットマメ、ホースグラム、インディアン・ピー(Indian pea)、インゲンマメ(kidney bean)、レンティル、ライマメ、モスビーン、リョクトウ、白インゲンマメ、オクラ、エンドウマメ、ピーナッツ(落花生)、キマメ、インゲンマメ(pinto bean)、ツルアズキ、ベニバナインゲン、大豆、タルウィ、テパリービーン、ウラド豆、ハッショウマメ、シカクマメおよびジュウロクササゲなど、
鱗茎および茎野菜、例えば、アスパラガス、カルドン、セルリアック、セロリ、エレファントガーリック、フェンネル、ニンニク、コールラビ、クラト、リーク、レンコン、ノパル、タマネギ、プロセインアスパラガス、エシャロット、ネギおよびギョウジャニンニクなど、
根および塊茎野菜、例えば、アヒパ、アラカチャ、タケノコ、ビートルート、ブラッククミン、ゴボウ、ブロードリーフ・アローヘッド(broadleaf arrowhead)、カマス、カンナ、ニンジン、キャッサバ、チョロギ、ダイコン、アースナット・ピー(earthnut pea)、ゾウコンニャク、アビシニアンバナナ、ショウガ、ゴボウ、ハンブルグパセリ、セイヨウワサビ、キクイモ、ヒカマ、パースニップ、ヒッコリー、プレクトランサス、ジャガイモ、プレーリー・ターナップ(prairie turnip)、ラディッシュ、ルタバガ(スウィード)、サルシフィ、フタナミソウ、ムカゴニンジン、サツマイモ、タロイモ、ティー、タイガーナッツ、カブ、ウルコ、ワサビ、ウォーターチェストナット、ヤーコンおよびヤムイモなど、ならびに
ハーブ類、例えば、アンジェリカ、ウォーターチェストナット、バジル、ベルガモット、キャラウェー、カルダモン、カモミール、チャイブ、シラントロ、コリアンダー、ディル、フェンネル、チョウセンニンジン、ジャスミン、ラベンダー、レモンバーム、レモンバジル、レモングラス、マジョラム、ミント、オレガノ、パセリ、ケシ、サフラン、セージ、スターアニス、タラゴン、タイム、ターメリックおよびバニラなどが挙げられる。
【0076】
本方法が有用であると見出され得る果実作物としては、限定されるわけではないが、リンゴ、アプリコット、バナナ、ブラックベリー、クロフサスグリ、ブルーベリー、ボイゼンベリー、カンタロープ、サクランボ、シトロン、クレメンタイン、クランベリー、セイヨウスモモ、フドラゴンフルーツ、イチジク、ブドウ、グレープフルーツ、グリーンゲージ、グーズベリー、グアバ、ハニーデュー、ジャックフルーツ、キーライム、キウイフルーツ、キンカン、レモン、ライム、ローガンベリー、ロンガン、ビワ、マンダリン、マンゴー、マンゴスチン、メロン、マスクメロン、オレンジ、パパイヤ、モモ、ナシ、カキ、パイナップル、プランテン、プラム、ポメロ(pomelo)、ウチワサボテン、マルメロ、ラズベリー、レッドカラント、スターフルーツ、イチゴ、タンジェロ、タンジェリン、テイベリー、アグリフルーツおよびスイカなどが挙げられる。
【0077】
本方法が有用であると見出され得る種子作物、例えば、任意の植物種の種子を生産するために用いられる専門の作物としては、穀類(例えば、大麦、トウモロコシ(メイズ)、キビ、オートムギ、イネ、ライ、ソルガム(ミロ)および小麦)に加えて、イネ科以外の種子作物、例えばソバ、ワタ、アマニ(油)、マスタード、ケシ、菜種(カノーラ(油)を含む)、ベニバナ、ゴマおよびヒマワリなどが挙げられる。
【0078】
本方法が有用であると見出され得る、上記のカテゴリーのいずれにも当てはまらないその他の作物としては、限定されるわけではないが、テンサイ、サトウキビ、ホップおよびタバコが挙げられる。
【0079】
上に列挙した作物の各々は、その作物の特定の栄養摂取および病害防除の必要性を有する。特定の作物のための本明細書に記載される組成物のさらなる最適化は、過度の実験を行うことなく、本開示に基づいて当業者が容易に行うことができる。
【0080】
本明細書に開示および記載される組成物を使用する方法は、本明細書に記載される組成物を、種子に、植物の葉面に、あるいは植物または種子の場所に施用することを含む。
【0081】
本明細書において材料または組成物に適用される用語「農学的に許容される」とは、植物またはその環境に容認し難いほどに損傷性または毒性を有せず、本明細書に記載されるように使用される場合に、該材料に曝露され得る使用者または他者にとって危険でないことを意味する。
【0082】
本明細書において「葉面」は、一般に葉の表面であるが、葉柄、托葉、茎、苞葉、花芽、その他を含む、植物のその他の緑色の部分は、有効成分の吸収を許容し得る表面を有し、本発明の目的において、「葉面」は、かかる緑色の部分の表面が含まれることが理解される。
【0083】
本明細書において「場所」は、葉面を含み、また、植物の近傍の区域または複数の種子が蒔かれた区域も含む。
【0084】
本明細書において「種子処理」とは、概して少なくとも1つの有効成分(a.i.またはAI)を含有するかまたは含む物質の化合物または組成物に接触させることをさす。物質の化合物または組成物は、種子に適したどんな形態、例えば、液体、ゲル、乳濁液、懸濁液、分散液、スプレー、または粉末であり得る。種子処理は、種子コーティングおよび種子ドレッシングを含む。
【0085】
本明細書において「種子コーティング」または「種子ドレッシング」とは、通常種子の少なくとも一部に形成されたコーティングまたはマトリックスをさし、該コーティングまたはマトリックスは、少なくとも1つのAIを含有するかまたは含む。任意選択的な化合物または薬剤を種子コーティングに含めて、種子コーティングプロセスまたは少なくとも1つのAIのコーティングからの分解/放出を促進する、あるいは過剰なダストオフを防ぐ、あるいは処理した種子に色をつけることができる。
【0086】
用語「種子」は、本明細書において、任意の特定の種類の種子に制限されるものではなく、単一の植物種由来の種子、複数の植物種由来の種子の混合物、またはある植物種内の様々な株由来の種子のブレンドをさし得る。開示および記載される組成物は、裸子植物種子、双子葉類被子植物種子および単子葉被子植物種子を処理するために利用することができる。
【0087】
本明細書に開示および記載される組成物は、液体または固体を種子または葉面または場所に施用するための任意の従来の系を用いて施用することができる。最も一般的には、吹き付けによる施用が最も便宜であることが見出されるが、タンブリング、ブラシまたはロープウィック(rope−wick)による施用を含むその他の技法を、必要に応じて使用することができる。吹き付けのためには、散水ノズルおよび回転ディスク噴霧器を含む、従来の微粒化法を用いて噴霧液滴を生成することができる。組成物の灌漑系への導入を用いてよい。
【0088】
葉の表面または場所への施用には、組成物の散布量は、土壌に施用されるか、あるいは植物の葉または場所への葉面散布として、約0.01グラム/ヘクタール〜約10.0グラム/ヘクタールの間の乾燥重量、約0.2グラム/ヘクタール〜約2.0グラム/ヘクタールの間の乾燥重量、0.3グラム/ヘクタール〜約1.5グラム/ヘクタールの間の乾燥重量、または約0.4グラム/ヘクタール〜約1.0グラム/ヘクタールの間の乾燥重量であってよい。
【0089】
本明細書に開示および記載される組成物は、種子、植物、または場所への施用の前にさらに水に希釈および/または混合するのに適した濃縮形態(例えば、液体、ゲル、または再構成可能な粉末形態)で提供することができる。あるいは、それらは直接施用のためのすぐに使用できる溶液として提供することができる。本明細書に開示および記載される組成物は、その他の肥料溶液と、かつ/または有害生物防除剤溶液と組み合わせることができるので、それらはかかるその他の溶液と混合することにより、希釈および/または再構成することができる。
【0090】
上記の濃縮組成物は、さらなる希釈に適している。植物の葉への施用には、濃縮組成物は、約600倍までまたはそれ以上の水で、より一般に約100倍まで、または約40倍までの水で希釈することができる。実例として、濃縮生成物は、約0.1〜約30l/ha、例えば約5〜約25l/haで、希釈後の総施用容積が約60〜約600l/ha、例えば約80〜約400l/haまたは約100〜約200l/haで施用することができる。
【0091】
種子処理用途には、濃縮組成物は、約600倍までまたはそれ以上の水で、より一般に約100倍までまたは約40倍までの水で希釈することができる。実例として、濃縮生成物は、約0.1mg/Kg種子〜約100mg/Kg種子、例えば約0.1mg/Kg種子、0.5mg/Kg種子、0.75mg/Kg種子、1.0mg/Kg種子、1.25mg/Kg種子、1.5mg/Kg種子、1.75mg/Kg種子、2.0mg/Kg種子、2.5mg/Kg種子、3.0mg/Kg種子、3.5mg/Kg種子、4.0mg/Kg種子、4.5mg/Kg種子、5.0mg/Kg種子、5.5mg/Kg種子、6.0mg/Kg種子、6.5mg/Kg種子、7.0mg/Kg種子、7.5mg/Kg種子、8.0mg/Kg種子、8.5mg/Kg種子、9.0mg/Kg種子、9.5mg/Kg種子、および10.0mg/Kg種子で施用することができる。また、濃縮生成物は、約15mg/Kg、20mg/Kg、25mg/Kg、および30mg/Kgで施用することもできる。
【0092】
上記の濃縮組成物を希釈することにより調製される施用溶液は、本明細書に開示および記載される組成物および方法のさらなる態様を表す。
【0093】
<種子処理および種子コーティング>
一態様では、種子を、第一の成分と、任意選択的に1以上の有害生物防除剤および/または1以上の天然植物ホルモンから選択される第二の成分とを含む水性組成物に接触させるステップを含む、植物種子の健康な生育を促進する方法が提供される。種子は、吹き付け、ローリング、またはタンブリングなどの従来の手段により水性組成物と接触させることができる。従って、第一の成分は、有害生物防除剤、例えば、フィプロニルおよびその他のフルオロシアノベンピラゾール、ストロビルリン、テブコナゾール(穀物、大豆、およびその他の作物の幅広い病害を保護する広域殺真菌剤処理)、ならびにアゾールのクラスのその他のメンバー、すなわち、チラム(広範囲の作物に効果的な、立ち枯れ病、フィトフトラ属(Phytophthora)、およびその他の土壌伝染性病害の防除のための殺真菌剤処理)、ミクロブタニル(ワタの腰折病および黒根病に効果のある殺真菌剤)、イミダクロプリドおよびその他のネオニコチノイド(浸透性、初期の昆虫防除に効果的)、メタラキシル(フィチウム属(Pythium)およびフィトフトラ属の浸透性防除のため)、テブコナゾールおよびメタラキシルなどの有害生物防除剤の組合せ、ならびに、テブコナゾール、イミダクロプリドおよびメタラキシル、ストリガ属(Striga)を効果的に保護するためのイマザピル(StrigAway(登録商標))、亜鉛イオン、銅イオン、マンガンイオン、またはそれらの組合せ(例えば、Zn+Cu、Zn+Mn)、グリホサートから選択される第二の成分と混合することができる。第一の成分と有害生物防除剤の組合せは、ある濃度の水性媒体中に混合し、改良された植物の健康および/または生育をもたらすために十分な時間、種子と接触させることができる。
【0094】
特定の一態様では、効果的な種子処理または茎葉処理は、第一の成分およびグリホサートを含む組合せで処理される種子、または葉面を含む。
【0095】
別の特定の態様では、効果的な種子処理は、第一の成分、グリホサート、およびMn+2および/またはZn+2イオン源を含む組合せで処理される種子を含む。
【0096】
別の特定の態様では、効果的な種子処理は、第一の成分および植物成長ホルモンを含む第二の成分を含む組合せで処理される種子を含む。植物成長ホルモンは、アブシジン酸、オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、ブラシノリド、サリチル酸、ジャスモン酸、植物ペプチド、ポリアミン、およびストリゴラクトンのクラス由来であってよい。
【0097】
別の態様では、種子にポリマーまたはその他のマトリックスのコーティングまたはドレッシングを適用することを含む、植物種子の健康な生育を促進する方法が提供され、該ポリマーまたはマトリックスは、第一の成分および任意選択的に1以上の有害生物防除剤および/または1以上の天然植物ホルモンを含む。ポリマーまたはマトリックスは、第一の成分および任意選択的に1以上の有害生物防除剤および/または1以上の天然植物ホルモン(集合的に、「活性物質」)を放出する能力がある。ポリマーまたはマトリックスは、温度、含水量、日光、時間、またはそれらの組合せに応答して活性物質を放出するよう設計することができる。ポリマーまたはマトリックスは、放出活性物質を急速に溶解するかまたは分解することができるか、あるいは、経時的に、または温度、含水量、日光、時間、またはそれらの組合せなどの所定の条件に応答して活性物質を制御可能に放出することができる。ポリマーまたはマトリックスは、例えば、湿気の進入、活性物質の収容などを可能にするために、コーティングを中断させるための、個別の層をもつ多層であってよい。適したポリマーまたはマトリックスとしては、ヒドロゲル、ミクロゲル、またはゾル−ゲルが挙げられる。この点に関して有用な種子コーティングの具体的な材料および方法としては、使用されるプロセスおよび材料、例えば、Intellicoat(商標)(Landec Inc.,Indiana)、ThermoSeed(商標)(Incotec,Netherlands)CelPril(商標)(Bayer CropScience)、ApronMaxx(商標)(Syngenta)、およびNacret(商標)(Syngenta)が含まれる。活性物質は、ナノ粒子として提供され、ポリマーまたはマトリックスに組み込むか、または種皮に直接付着させることができる。ポリマーまたはマトリックスコーティングの厚さは、約0.01ミル〜約10ミルの間の厚さであってよい。コーティングは、さらに種子に機械的および環境的ダメージからの保護を提供することができる。
【0098】
上記のような種子処理または種子コーティングには、第一の成分の量は、約0.01mg/kg種子重量〜約30mg/kg種子重量であってよい。第一の成分の種子処理としての最初の施用の後、例えば出芽後に第一の成分の1回以上のその後の土壌および/または葉面散布を施用することが有利であることが見出された。施用頻度は、例えば、単回施用であり得、1シーズン当たり4回までの施用でもあり得る。特定の状況では、単回施用が十分である。その他の状況では、1回目および/または2回目および/または3回目および/または4回目の施用は、植物の特定の成長周期、あるいは昆虫、寄生虫または望ましくない植物種の既知の生活環または地方特有の習性に先行するか、取って代わるか、または一致してよい。
【0099】
<植物の健康のための第一の成分の組成物>
上に詳細に記載される方法は、植物の栄養摂取に有用である。栄養摂取の強化の利益は、本方法の利益であり得、それには、限定されるわけではないが、より高品質の農産物、生育の改善および/またはより長い生育期(いずれの場合も、より収穫量の高い農産物をもたらすことができる)、ストレス耐性の増加および/またはストレスからの回復改善を含む植物ストレス管理の改善、機械的強度の増加、根の発達の改善、耐乾燥性の改善および植物の健康改善が含まれる。利益の組合せを得ることができる。第一の成分に接触した種子および/または植物は、第一の成分に接触していない種子または植物と比較して、より速く出芽し、クロロフィル産生が著しく増加し、耐寒性が大いに改善され、浸水耐性が改善されることが観察されている。
【0100】
様々な実施形態において、農産物の収穫量を、第一の成分を含む栄養素処理を受けていない植物よりも、例えば少なくとも約2%、少なくとも約4%、少なくとも約6%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約25%または少なくとも約50%増加させることができる。
【0101】
植物の健康の改善、特に病害、特に細菌または真菌による病害に対する抵抗または保護は、本明細書に開示および記載される方法の重要な利益である。一実施形態では、昆虫、真菌または細菌による病害に対する植物の感受性を低下させるための方法が提供される。本明細書において「感受性の低下」には、真菌もしくは細菌感染の発生率の低下および/またはかかる感染が起こる時の植物の健康および生育への影響の低下が含まれる。理論に縛られるものではないが、本明細書に開示および記載される組成物によりもたらされる栄養摂取の強化により、真菌および細菌病原体に対する植物の天然の防御力が強化されると考えられる。かかる病原体の例としては、限定されるわけではないが、アルテルナリア属の種(Alternaria spp.)、ブラメリア・グラミニス(Blumeria graminis)、ボトリティス・シネレア(Bottytis cinerea)、コクリオボラス・ミヤビーナス(Cochliobolus miyabeanus)、コレトトリクム・グロエオスポリオイデス(Colletotrichum gloeosporioides)、ディプロカルポン・ロザエ(Diplocarpon rosae)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)、マグナポルテ・サリビニ(Magnaporthe salvinii)、フェオスフェリア・ノドラム(Phaeosphaeria nodorum)、フィチウム・アファニデルマタム(Pythium aphanidermatum)、フィチウム・ウルチム(Pythium ultimum)、スクレロチニア・ホモエオカルパ(Sclerotinia homoeocarpa)、セプトリア・ノドラム(Septoria nodorum)、スファエロテカ・パンノーサ(Sphaerotheca pannosa)、スファエロテカ・キサンチイ(Sphaerotheca xanthii)、タナテフォーラス・ククメリス(Thanatephorus cucumeris)およびウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator)が挙げられる。
【0102】
一種類の病原体は、異なる作物において多様な異なる病害を引き起こし得る。植物の細菌性および真菌性病害の例としては、限定されるわけではないが、炭疽病、ナラタケ属、アスコキータ属、アスペルギルス属、斑点細菌病、潰瘍病、斑葉細菌病、斑点細菌病、青枯病、苦腐病、ブラック・リーフ(black leaf)、根朽ち病、黒腐病、黒斑病、イモチ病、胴枯病、アオカビ、ボトリチス属、褐色腐敗病、褐色斑病、サーコスポラ属、炭腐病、クラドスポリウム属、根こぶ病、堅黒穂病、クレーター・ロット(crater rot)、菌核病、立ち枯れ病、ダラースポット病、べと病、夏疫病、麦角、エルウィニア属、偽裸黒穂病、火傷病、株腐病、果実汚斑病、フザリウム属、灰斑病、灰色かび病、心腐病、疫病、葉枯病(leaf blight)、葉枯病(leaf blotch)、縮葉病、葉かび病、葉さび病、斑点病、うどん粉病(mildew)、壊死、ペロノスポラ属、ホマ属、ピンクモールド(pink mold)、うどん粉病(powdery mildew)、リゾプス族、ルート・カンケル(root canker)、根腐れ、さび病、そうか病、黒穂病、白絹病、枝枯病、菌核病、バーティシリウム、白かび病、野火病およびイエローズ(yellows)が挙げられる。
【0103】
早くも1999年に、遺伝子組換え(GM)植物、例えばグリホサート耐性大豆は、従来の上位品種と比較して、より少ない収穫量をもたらした(「収量低下」と呼ばれることもある)。そのようなパターンは、従来の育種により他の形質が大豆に導入される場合に観察された。作物のグリホサート耐性形質に起因するものでも、GMの性質に起因するものでもない可能性があるが、一部のグリホサート耐性植物のマンガン欠乏症が、この作用に寄与し得ることを示唆する証拠がある。グリホサート耐性植物のマンガン欠乏症を回避する試みは、グリホサートの除草剤性能が低いことによって妨げられている。少なくとも1つの理論は、金属イオン源と物理的にブレンドした場合のグリホサート性能の低下が、グリホサートによる金属イオンのキレート化、従って所与濃度のグリホサートの全体的な有効性の低下に起因するとしている。
【0104】
上述のように、第一の成分は、除草剤の有効性の著しい低下および/または金属陽イオンの取込みの有効性の低下なく、グリホサートおよび多価金属陽イオンと混合することができる。第一の成分は、金属陽イオンとグリホサートとの錯化またはキレート化を妨害する可能性があるが、任意の特定の理論に縛られるものではないが、第一の成分は、第一の成分を含まないグリホサート/金属陽イオンの組成物と比較して、グリホサートの有効性が維持され、かつ/または金属陽イオンの取込みが維持されるように、目的植物のイオン輸送に関連する少なくとも1つの遺伝子を調節すると一般に考えられる。これは、たとえグリホサートの全体的な利用可能な濃度が、金属陽イオンとの相互作用から効果的に低下していても可能である。結果として、金属陽イオン感受性除草剤グリホサートの量は、散布量中で増加させる必要がないか、または、第一の成分および任意選択的に多価の金属陽イオンと組み合わせて使用する場合に減少させることができる。
【実施例】
【0105】
<実験1 種子発芽の強化>
3種類の異なる作物(トウモロコシ、大豆、およびカノーラ)を評価した。各々の実験では、50個の種子を、500mlの水(対照)かまたは様々な量の第一の成分を含む500mlの水に浸漬したスポンジの上に置いた。第一の成分の濃度は、溶液1Kgあたり0.6mgA.I.から、1Kgあたり12mgA.I.まで様々であった。種子をスポンジの上に置いた後、それらを22℃の暗所生育チャンバの中に入れ、発芽した種子の数を24時間ごとに種子の90%が発芽したか、または120時間後か、最初にどちらかが起こるまで測定した。発芽の結果を表1〜3に示す。
【0106】
【表7】

【0107】
【表8】

【0108】
【表9】

【0109】
これらの結果は、第一の成分と接触した後の多様な作物種子の発芽率の強化を実証する。
【0110】
<実験2 第一の成分の散布量調査>
この実験の目的は、様々な割合の第一の成分の種子発芽への効果を評価することであった。3種類の異なる作物(小麦、イネ、およびカノーラ)を評価した。実験は、種子1kg当たり0.039mgA.I.から種子1kg当たり1.56mgA.I.までに及ぶ処理率を用いる無作為完全ブロック設計として設定した。
【0111】
合計20の種子を、プラスチックトレイで満たされた小規模の土壌で生育した。トレイにはゴルフコースのグリーンの建設業からPermOPoreと呼ばれる市販の粒状セラミック改良剤と0.1mmの砂の30:60混合物が満たされた。各々のトレイの下に小さな孔を開けて、排水を可能にした。この土壌混合物は、以前の実験において保水容量、排水および空気交換の理想的なバランスをもたらすことが示されている。総散布量が全ての種子に同一となるように、種子を水およびA.I.で処理した。処理後、種子を生育培地に置き、22℃の暗所生育チャンバに入れた。発芽した種子の数を24時間ごとに種子の90%が発芽したか、または120時間後か、最初にどちらかが起こるまで測定した。発芽の結果(20種子のうちの発芽した種子の数)を下の表3、4、および5に要約する。
【0112】
【表10】

【0113】
【表11】

【0114】
【表12】

【0115】
この実験は、A.I.として種子に直接施用した第一の成分が3つ全ての作物の発芽率を増加させ、小麦およびイネに関して発芽した種子の総数を増加させることを実証した。生育チャンバの温度は、小麦およびカノーラに関して発芽にほぼ最適であったが、種子の発芽に影響を与えるストレスを軽減する際にA.I.の効果を実証するイネに関しては最適以下であった。
【0116】
<実験3 クリアフィールドイネの発芽>
この実験の目的は、ハイブリッドイネの2つのクリアフィールドイネ品種(CL111およびCL151)の発芽を改善するための種子処理として、A.I.としての第一の成分を評価することであった。両品種に対して、それぞれ、非処理対照、ならびに種子1kg当たり3.12mgA.I.および種子1kg当たり0.312mgA.I.の2つのA.I.の散布量があった。試験は、1回の処理当たり3反復の無作為完全ブロック設計で設定した。各々の反復は、スポンジの上の25個の種子で構成された。種子をA.I.で処理し、乾燥させ、次いで種子を、脱イオン水で湿らせた状態のスポンジの上に置き、スポンジを20℃に保った。稲の穀物粒を24時間ごとに双眼顕微鏡で評価してスポンジ当たりの発芽した種子の数を測定した。穀物粒は、最初の芽が穀皮の外側に突き出た時に発芽したとして計数した。各々の品種について時間とともに発芽を示すデータを、下の表7および8に示す。
【0117】
【表13】

【0118】
【表14】

【0119】
この実験は、種子処理としてハイブリッドイネに適用されるA.I.としての第一の成分が、発芽率と発芽した種子の最終的な割合の両方を増加させることを実証する。総発芽増加量は、非処理種子と比較して、低い割合のA.I.で両方の品種に関して10%より大きかった。
【0120】
<実験4 苗枯死率の予防>
この実験の目的は、第一の成分の苗枯死率への効果を観察することであった。上の実験3を実施している間、CL151苗に関して、苗の段階で高い量の苗枯死率をもたらす相当な量の病害があることが観察された。表9に示されるように、両方の割合のA.I.は、苗枯死率の発生率を低下させ、低いほうの割合が最良の防除をもたらした。
【0121】
【表15】

【0122】
<実験5 比較例>
NPK肥料(11−11−7)と0.08%のZn、および0.036%のジベレリン酸で構成される種子処理製品(STP)を、大豆種子での出芽応答に関して評価し、対照および市販の種子処理製品、ApronMaxx(Syngenta)と比較した。4番目の処理サンプルは、STPとApronMaxxの組合せで構成された。100ポンドの種子当たり2液量オンスの種子処理製品で種子を処理し、種子をポットに植えて温室に置いた。1処理あたり6反復した。定植後(DAP)4日および5日に処理を評価した。出芽を次のように評定した。N−出芽なし−0点、C−湾曲、ちょうど土壌表面を出るところ−1点、およびE−完全に出芽−2点。結果を表10に示す。
【0123】
【表16】

【0124】
この実験は、対照およびApronMaxxと比較して、大豆種子の発芽および出芽の高速化におけるSTPの効果を実証する。それはまた、STPをApronMaxxに加えた場合、出芽はSTP単独とほぼ同一であり、対照またはApronMaxx単独よりも有意に優れていたことも示す。
【0125】
<実験6 第一の成分と、比較例および第一の成分と比較例の相乗的組合せの比較>
大豆種子を用いる実験では、第一の成分を、実験5からのSTPおよび第一の成分とSTPの組合せと比較して、発芽率への効果を決定した。この試験は、第一の成分単独、STP単独、または第一の成分とSTPの組合せで処理した大豆種子を用いて実施した。この実験において、50個の種子を、500mlの水(対照)かあるいは、様々な量の第一の成分または第一の成分+STPを含む500mlの水に浸漬したスポンジの上に置いた。発芽を、48、72、および120時間後に測定した。結果を表11に示す。
【0126】
【表17】

【0127】
この実験は、第一の成分が、A.I.として単独で0.6mg/Kgかまたは1.2mg/Kgの割合で、発芽率を対照またはSTP+第一の成分よりも速く増加させることを実証する。STPに加えた1.2mg/Kgの第一の成分は、STPに加えた0.6mg/Kgの第一の成分よりも、性能を著しく改善した。しかし、トウモロコシについて同じ実験を繰り返した場合、結果は反対の効果を示した。ここで、両方の処理は単独で対照に対して発芽を改善したが、第一の成分を含む各々の処理にSTPを加えた結果、表12に見られるように発芽率のさらなる増強がもたらされた。
【0128】
【表18】

【0129】
トウモロコシの場合には、第一の成分は単独で発芽を改善するが、上の実験データにより実証されるようにSTPを第一の成分に加えると相加作用または相乗作用がある。
【0130】
<第一の成分および第二の成分(有害生物防除剤)を含む製剤>
実験7.この実験の目的は、第一の成分は、非選択性除草剤(グリホサート)と混合した場合に、雑草防除または雑草防除の速度を強化する能力があるかどうかを決定することであった。使用したグリホサート製剤は、Monsanto製のRoundup Powermax(商標)であった。圃場試験は、無作為完全ブロック(RCB)設計を各々の処理において3反復で使用して確立した。4つの雑草種または雑草カテゴリー、すなわち、コマツヨイグサ(エノテラ・ラシニアート)OEOLA、ヤハズエンドウ(ビシア・アングスチフォリア)VICAN、アメリカフウロ(ゲラニウム・カロリニアヌム)GERCA、およびその他の草類OTGRAを評価した。プロットに、各々が第一の成分を含むまたは含まない、2つの割合のグリホサートを吹き付け、雑草防除の評定を、施用後(DAA)7、14、および28日に行った。雑草防除を、元の集団から枯死した雑草の百分率として報告した。試験結果を表13に示す。
【0131】
【表19】

【0132】
この実験は、第一の成分と有害生物防除剤(グリホサート)の組合せが、より速い応答および広範囲の雑草防除の効力の改善を促進することを明らかに示す。また、データは、有害生物防除剤の効率をほとんどまたは全く変えずに、第一の成分と組み合わせた場合により少ない有害生物防除剤を使用する能力も実証する。
【0133】
実験8.この実験は、実験4と同様の方法で実施したが、マンガン(Mn+2)および亜鉛(Zn+2)微量栄養素をグリホサートと組み合わせ、第一の成分とグリホサートとの組合せとした。この場合、目的は、MnとZnを、グリホサートおよび第一の成分と槽混合した場合、雑草防除の効力に関して金属とグリホサートの間には拮抗作用がないことを示すことであった。一般に、Zn+2またはMn+2をグリホサートの吹き付け溶液に添加すると、効力の重大な喪失を生じることが知られている(例えば、「Glyphosate interaction with manganese in tank mixtures and its effect on glyphosate absorption and translocation」,Bernards et al.,Weed Science,53:787−794.2005、およびScroggs et al.,「Response of Weeds to Zinc−Glyphosate Mixtures」,Louisiana Agriculture Magazine,Summer,2008を参照)。Zn+2で、雑草防除効力の低下は、50%またはそれ以上であり得る。この試験では、Zn+2とMn+2の両方が、それぞれ6容量%および5容量%の濃度の硫酸塩として存在した。結果を表14に示す。
【0134】
【表20】

【0135】
表14のデータは、この試験において、第一の成分を含む、Mn+2およびMn+2にZn+2を加えた処理の結果は、グリホサート単独と統計学的に異なっていなかったことを実証する。従って、第一の成分が存在する場合はグリホサートとこれらの金属の間に実質的な拮抗作用がなかったことが示される。
【0136】
実験9.実験を行って、2つの非選択性除草剤(グリホサートおよびグルホシネート)と槽混合した場合に第一の成分が雑草防除または防除の速度を強化する能力があるかどうか決定した。使用したグリホサート製剤は、Monsanto製のRoundup Powermax(商標)であり、グルホシネートは、Bayer CropScience製のIgnite(商標)除草剤であった。圃場試験は、無作為完全ブロック(RCB)設計を各々の処理において3反復で使用して確立した。4つの雑草種または雑草カテゴリー、すなわち、ヒメムカシヨモギ(エリゲロン・カナデンシス)ERICA、セイヨウタンポポ(タラクサカム・オフィキナレ)TAROF、スズメノカタビラ(ポア・アンヌア)POAAN、およびミミナグサ(セラスチウム・ブルガツム)CERVUを評価した。プロットに吹き付け、第一の成分を含むまたは含まない、除草剤の各々を施用した。雑草防除の評定を、施用後(DAA)9、16、および28日に行った。雑草防除を、元の集団から枯死した雑草の百分率として報告した。試験結果を表15に示す。
【0137】
【表21】

【0138】
この実験の結果は、第一の成分が、グリホサートとグルホシネートの両方に関して活性を有意に強化することを示す。従って、第一の成分と有害生物防除剤の組合せは、相乗的である。
【0139】
<理論実施例>
植物において、代謝は概して予測できない。すなわち除草剤の従来の使用から、どんな効果が起こるかは、特に遺伝子組換え(GM)植物に関して誰も予測することができない。例えば、ジカンバ耐性作物(例えば、DMO発現作物)のジカンバとの接触は、第一の成分が恐らくGMジカンバ耐性作物の1以上の遺伝子を調節するので、本明細書に開示および記載される組成物および方法から利益を受ける。そして結果的に、本組成物および方法は、次のうちの1以上を効果的に提供すると通常考えられる。
DCSAを含むジカンバ代謝産物の増加。
ジカンバの有効性の増加または第一の成分なしで可能であるよりも低いレベルのジカンバの使用。
ジカンバ耐性作物の収穫量の増加および品質の改善をもたらす、生物(例えば、昆虫、真菌、ウイルス、線虫、およびその他の病原体)および非生物ストレス(例えば、旱魃、寒さ、オゾン、土壌の栄養素欠乏)に対するジカンバ耐性作物の耐性の増加。
ジカンバ耐性作物における多価金属イオンの吸収の増加。
【0140】
さらに、本明細書において開示および記載される方法および組成物の利益は、その他のGM作物にも有用であり、かかるGM作物の開発にもさらになお適用可能であり得ると考えられる。
【0141】
従って、種子を、第一の成分と、およびジカンバまたはそのDMOに媒介される代謝生成物と、第一の成分およびジカンバまたはそのDMOに媒介される代謝生成物と接触していない同じ遺伝子型の種子と比較して種子の発芽を改善する量で接触させるステップを含む、種子の発芽率を増加させるための方法が企図される。一態様では、種子は、DMOをコードする導入遺伝子を含む。
【0142】
本明細書において引用される全ての特許および刊行物は、引用することによりその全文が本明細書の一部をなすものとする。
【0143】
「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含んでいる(comprising)」は、排他的よりはむしろ包括的と解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種子と、
部分的に腐植化された天然有機物によって特徴付けられる溶存有機物質の農学的に許容される複合混合物を含む第一の成分と
を含む、種子組成物。
【請求項2】
前記第一の成分が、
a.縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物である、
b.前記溶存有機物に関する酸素対炭素比が約0.5より大きい、
c.タンニン化合物の総数が約200より大きく、該タンニン化合物が、質量分析により測定して約0.5〜約1.4の水素対炭素比、および約0.7未満の芳香族性指数を有する、または
d.質量分布が、質量分析により測定して、リグニン化合物約47〜56%、タンニン化合物33〜42%、および縮合炭化水素約8〜11%である、
の2以上を特徴とする、請求項1に記載の種子組成物。
【請求項3】
前記第一の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、前記組成物の化合物の総量%の少なくとも10%がタンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の種子組成物。
【請求項4】
前記第一の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、前記組成物の化合物の総量%の少なくとも20%がタンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の種子組成物。
【請求項5】
第二の成分をさらに含み、該第二の成分が、少なくとも1つの有害生物防除剤、植物栄養素、またはそれらの組合せである、請求項1に記載の種子組成物。
【請求項6】
前記有害生物防除剤が、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、またはそれらの組合せである、請求項5に記載の種子組成物。
【請求項7】
前記有害生物防除剤が、グリホサートまたはグルホシネートである、請求項5に記載の種子組成物。
【請求項8】
前記種子に接触しているポリマーまたはマトリックスをさらに含む、請求項1に記載の種子組成物。
【請求項9】
前記種子に接触している前記ポリマーまたはマトリックスが、前記第一の成分を放出可能に含有する、請求項8に記載の種子組成物。
【請求項10】
前記種子に接触している前記ポリマーまたはマトリックスが、第二の成分をさらに含む、請求項8に記載の種子組成物。
【請求項11】
種子処理の方法であって、該方法が、種子を、部分的に腐植化された天然有機物によって特徴付けられる溶存有機物質の農学的に許容される複合混合物を含む第一の成分と接触させるステップを含む、方法。
【請求項12】
前記第一の成分が、
(a)縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物である、
(b)前記溶存有機物に関する酸素対炭素比が約0.5より大きい、
(c)タンニン化合物の総数が約200より大きく、該タンニン化合物は、質量分析により測定して約0.5〜約1.4の水素対炭素比、および約0.7未満の芳香族性指数を有する、または
(d)質量分布が、質量分析により測定して、リグニン化合物約47〜56%、タンニン化合物33〜42%、および縮合炭化水素約8〜11%である、
の2以上を特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第一の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、前記組成物の化合物の総量%の少なくとも10%がタンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、前記組成物の化合物の総量%の少なくとも20%がタンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記種子を第二の成分に接触させるステップをさらに含み、該第二の成分が少なくとも1つの有害生物防除剤である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記有害生物防除剤が、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、またはそれらの組合せである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記有害生物防除剤が、グリホサートまたはグルホシネートである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
種子を、前記第一の成分、およびポリマーまたはマトリックスに接触させる、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記種子に接触している前記ポリマーまたはマトリックスが、前記第一の成分を放出可能に含有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記種子に接触している前記ポリマーまたはマトリックスが、第二の成分をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
種子を、部分的に腐植化された天然有機物によって特徴付けられる溶存有機物質の農学的に許容される複合混合物を含む第一の成分に接触させるステップを含む方法であって、該第一の成分が、該第一の成分に接触していない同様の種子と比較して、発芽、出芽、根の発達、苗の活力、苗の生育、枯死率抵抗性、クロロフィル産生、耐寒性、浸水耐性、および栄養摂取の1以上を強化する、方法。
【請求項22】
前記第一の成分が、
(a)縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物である、
(b)前記溶存有機物に関する酸素対炭素比が約0.5より大きい、
(c)タンニン化合物の総数が約200より大きく、該タンニン化合物は、質量分析により測定して約0.5〜約1.4の水素対炭素比、および約0.7未満の芳香族性指数を有する、または
(d)質量分布が、質量分析により測定して、リグニン化合物約47〜56%、タンニン化合物33〜42%、および縮合炭化水素約8〜11%である、
の2以上を特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第一の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、前記組成物の化合物の総量%の少なくとも10%がタンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記第一の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、前記組成物の化合物の総量%の少なくとも20%がタンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項21または22に記載の方法。
【請求項25】
前記種子を第二の成分に接触させるステップをさらに含み、該第二の成分が、少なくとも1つの有害生物防除剤である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記有害生物防除剤が、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、またはそれらの組合せである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
種子を、前記第一の成分とポリマーまたはマトリックスとに接触させる、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記種子に接触している前記ポリマーまたはマトリックスが、前記第一の成分を放出可能に含有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記種子に接触している前記ポリマーまたはマトリックスが、第二の成分をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
植物または種子を、
部分的に腐植化された天然有機物によって特徴付けられる溶存有機物質の農学的に許容される複合混合物を含む第一の成分と、
有害生物防除剤と
に接触させるステップを含む方法であって、
該第一の成分が、該有害生物防除剤と共に、
該有害生物防除剤の有害生物防除作用を強化するか、または
該植物または種子の栄養摂取を改善し、かつ該有害生物防除剤の有害生物防除作用を強化する、方法。
【請求項31】
化学拮抗薬に対して特異的耐性を有する遺伝子組換え(GM)植物またはGM種子の生育または収穫の遅延または減弱を低減するための方法であって、該方法が、GM植物またはGM種子の葉面または場所を、
部分的に腐植化された天然有機物の農学的に許容される混合物を含む第一の成分と、
前記植物の前記遺伝子組換えに関連する化学拮抗薬と、
任意選択的に、植物栄養素と
に接触させるステップを含む、方法。
【請求項32】
前記第一の成分が、
(a)縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物である、
(b)前記溶存有機物に関する酸素対炭素比が約0.5より大きい、
(c)タンニン化合物の総数が約200より大きく、該タンニン化合物は、質量分析により測定して約0.5〜約1.4の水素対炭素比、および約0.7未満の芳香族性指数を有する、または
(d)質量分布が、質量分析により測定して、リグニン化合物約47〜56%、タンニン化合物33〜42%、および縮合炭化水素約8〜11%である、
の2以上を特徴とする、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記第一の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、前記組成物の化合物の総量%の少なくとも10%がタンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項30または31に記載の方法。
【請求項34】
前記第一の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、前記組成物の化合物の総量%の少なくとも20%がタンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項30または31に記載の方法。
【請求項35】
水溶液中に、
部分的に腐植化された天然有機物の農学的に許容される混合物を含む第一の成分と、
有害生物防除剤、成長調節剤、およびそれらの混合物の農学的に許容される源から選択される第二の成分と
を含む、植物栄養素組成物。
【請求項36】
前記第一の成分が、
(a)縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物である、
(b)前記溶存有機物に関する酸素対炭素比が約0.5より大きい、
(c)タンニン化合物の総数が約200より大きく、該タンニン化合物は、質量分析により測定して約0.5〜約1.4の水素対炭素比、および約0.7未満の芳香族性指数を有する、または
(d)質量分布が、質量分析により測定して、リグニン化合物約47〜56%、タンニン化合物33〜42%、および縮合炭化水素約8〜11%である、
の2以上を特徴とする、請求項35に記載の植物栄養素組成物。
【請求項37】
前記第一の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、前記組成物の化合物の総量%の少なくとも10%がタンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項35または36に記載の植物栄養素組成物。
【請求項38】
前記第一の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、前記組成物の化合物の総量%の少なくとも20%がタンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項35または36に記載の植物栄養素組成物。
【請求項39】
請求項11に記載の方法により作製される種子。
【請求項40】
前記植物または前記種子が、非イネ科作物のものである、請求項11、21、30または31に記載の方法。
【請求項41】
前記植物または前記種子が、果実または野菜作物のものである、請求項11、21、30または31に記載の方法。
【請求項42】
前記植物または前記種子が、遺伝子組換えされている、請求項11、21、30または31に記載の方法。
【請求項43】
前記植物または前記種子が、非イネ科作物のものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の種子組成物。
【請求項44】
前記植物または前記種子が、果実または野菜作物のものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の種子組成物。
【請求項45】
前記植物または前記種子が、遺伝子組換えされている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の種子組成物。
【請求項46】
前記第一の成分を、該第一の成分に接触した前記種子に由来する植物の葉面に接触させるステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。

【公表番号】特表2013−503898(P2013−503898A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528075(P2012−528075)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/047770
【国際公開番号】WO2011/028975
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(511009592)エフビーサイエンシズ・ホールディングス,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】