説明

種油系アルカノールアミドから誘導されたエポキシ樹脂及びその製造方法

少なくとも1種のエポキシアミド、例えば少なくとも1種の種油系アルカノールアミドから誘導されたグリシジルエーテルアミド及びグリシジルエステルアミドの少なくとも1種を含むエポキシ樹脂(ここで、種油系アルカノールアミドは(i)脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドの少なくとも1種と(ii)少なくとも1種のアルカノールアミンとの反応から誘導される)並びにそのようなエポキシ樹脂の製造プロセス。上記のエポキシアミド及び上記のエポキシアミド以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物を製造することができる。硬化性エポキシ樹脂組成物は少なくとも1種の硬化剤及び/又は少なくとも1種の硬化触媒を含有する上記のエポキシ樹脂組成物から製造することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的にエポキシ樹脂に関する。更に詳しくは、本発明はアルカノールアミド、特に種油(又は種子油)(seed oil)系アルカノールアミドから誘導されたエポキシ樹脂、例えばグリシジルエーテルアミド及びグリシジルエステルアミドに関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、最も広く使用されているエンジニアリング樹脂の1種であり、高強度繊維との複合材料に於けるそれらの使用についてよく知られている。エポキシ樹脂は、ガラス状ネットワークを形成し、腐食及び溶媒に対する優れた耐性、良好な接着、適度に高いガラス転移温度並びに適切な電気特性を示す。残念ながら、比較的高いガラス転移温度(>100℃)を有する架橋したガラス状のエポキシは脆い。高いガラス転移温度エポキシ樹脂の劣った衝撃強度により、構造材料としての及び複合材料中の使用が限定される。
【0003】
エポキシ樹脂についての別の主な用途は、コーティングの製造にある。このコーティングに於いて良好な接着、硬度及び耐蝕性が達成できるが、特に、ガラス転移温度が上昇したとき、靱性及び耐衝撃性に於いて改良の実質的な余地がある。更に、芳香族エポキシ樹脂を使用して製造されたコーティングは、日光への曝露の間にチョーキングの欠点がある。これは、屋外適用でのこのようなコーティングの使用を著しく制限する。
【0004】
エポキシ樹脂を含む硬化熱硬化性樹脂の典型的な性能要件には、高い軟化点(>200℃)、低い易燃性、耐加水分解性、化学薬品及び溶媒耐性並びに温度に於ける変化で安定である誘電性が含まれる。エポキシ樹脂は、これらの特性をもたらすことができるが、種々のエポキシシステムは、遅い速度論に起因する遅い硬化サイクルの欠点を含み得る。
【0005】
種々のエポキシシステムに対する他の欠点は、溶媒の使用、得られる反応副生物及び/又は不充分なUV安定性である。溶媒及び反応副生物は、硬化の間の、望まない化学曝露(chemical exposure)又は放出及び泡形成になり得る。不充分なUV安定性は、エポキシシステムの最終用途も制限し、殆どの屋外用途でのこれらの使用を完全に妨げる。
【0006】
従って、粘度を低下させ、溶媒の必要性を除くことによるような、エポキシ樹脂の加工に於ける改良についてのニーズが存在する。また、エポキシ樹脂コーティングの性能を改良するための、例えばUV安定性及び可撓性並びに損傷許容度に於ける改良のためのニーズが存在する。従って、コーティングのために有用な改良されたエポキシ樹脂を提供することが望まれる。
【0007】
本発明者よりも前の他の者は、種油系材料から、コーティングのために有用な改良されたエポキシ樹脂を提供することを試みた。例えば主鎖中の二重結合によってエポキシ化され、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとのブレンドで使用された植物油は非特許文献1に開示されている。
【0008】
特許文献1には、アルコールをアルケン酸によってエステル化することによって製造された生成物を、末端二重結合でエポキシ化し、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとのブレンド中に使用できることが開示されている。
【0009】
特許文献2には、ひまし油のポリ(グリシジルエーテル)が、ルイス酸触媒の存在下でひまし油とエピハロヒドリンとの反応によって、ひまし油のポリハロヒドリンエステルの生成を伴って製造され、その後、後者が脱ハロゲン化水素化されてエポキシ樹脂を生成することが開示されている。
【0010】
特許文献3には、ビスフェノールジグリシジルエーテル、ひまし油ポリグリシジルエーテル、ビスフェノール、脂肪酸及びダイマー酸をベースにする高固形分コーティング組成物が開示されている。
【0011】
非特許文献2には、ひまし油グリシジルエーテル、エポキシ樹脂UVR6100及び光開始剤UVI6990から配合されたコーティングが開示されている。
【0012】
上記先行技術のいずれにも、下記の理由のために、改良された性能を有する種油アルカノールアミドをベースにするエポキシ樹脂を提供することの長い間感じられたニーズを叶えなかった。即ち(1)先行技術に挙げられたエポキシモノマーは、その構造に起因する、より高いエポキシ当量重量及びより高いオリゴマー含有量を有している。これは、硬化材料の架橋密度及び得られる熱的/機械的特性を低下させる。そして(2)先行技術の大部分は、それらの製造方法(二重結合の酸化)に起因して非グリシジルエーテル構造を有するエポキシについてである。グリシジルエーテル構造を欠くことは、これらのエポキシの、硬化剤、例えばジアミンとの反応性を劇的に低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際特許出願公開第00118751号明細書、H.Bjornberg、発明の名称「新規な第一級エポキシド(Novel Primary Epoxides)」2000年4月6日)
【特許文献2】オランダ特許第NL6602411号明細書、発明の名称「ポリ(グリシジルエーテル)(Poly(glycidyl ethers))」1966年8月8日
【特許文献3】米国特許第4,786,666号明細書、J.L.Cecil、W.J.Kurnik、D.E.Babcock、発明の名称「脂肪エステルのグリシジルエーテルを含有するコーティング組成物(Coating Compositions Containing Glycidyl Ethers of Fatty Esters)」1988年11月22日
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Frischinger,P、Muturi,S Dirlikov、Two Phase Interpenetrating Epoxy Thermosets that Contain Epoxidized Triglyceride Oils Part II, Applications, Advances in Chemistry Series (1995)、239 (Interpenetrating Polymer Networks)、539−56
【非特許文献2】S. F. Thames、H. Yu、R. Subraminian、Cationic Ultraviolet Curable Coatings from Castor Oil, Journal of Applied Polymer Science (2000)、77(1)、8−13
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一つの面は、少なくとも1種のアルカノールアミドから誘導された少なくとも1種のエポキシアミドを含んでなるエポキシ樹脂に関する。
【0016】
一つの態様に於いて、このアルカノールアミドは、好ましくは少なくとも1種の種油系アルカノールアミド、例えば脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドの少なくとも1種を含んでなり、この態様に於いて、本発明は、少なくとも1種の種油系アルカノールアミド、例えば脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドの少なくとも1種から誘導された、グリシジルエーテルアミド又はグリシジルエステルアミドの少なくとも1種を含んでなるエポキシ樹脂に関する。
【0017】
本発明の別の面は、少なくとも1種のエポキシアミドを含むエポキシ樹脂の製造プロセスであって、(a)少なくとも1種の種油系アルカノールアミド、例えば脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドの少なくとも1種、(b)エピハロヒドリン並びに(c)塩基性作用物質を一緒に反応させることを含んでなるプロセスに関する。
【0018】
本発明の更に別の面は、上記のエポキシアミド及び上記のエポキシアミド以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂を含んでなるエポキシ樹脂組成物に関する。
【0019】
本発明のなお別の面は、上記のエポキシ樹脂組成物並びに少なくとも1種の硬化剤及び/又は少なくとも1種の硬化触媒を含む硬化性エポキシ樹脂組成物に関する。
【0020】
他の面及び利点は、下記の説明及び付属する特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一つの面に於いて、本明細書に開示された態様は、エポキシ樹脂コーティングの加工及び性能に於ける改良に関する。更に詳しくは、本明細書に開示された態様は、脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドから誘導された、新規なグリシジルエーテルアミド及びグリシジルエステルアミドに関する。このグリシジルエーテルアミド及びグリシジルエステルアミドには、モノマー、オリゴマー及びそれらのポリマー並びにこれらの混合物が含まれる。本発明のグリシジルエーテルアミド及びグリシジルエステルアミドは、他のエポキシ樹脂と組み合わせて使用することができ、利点、例えば得られるエポキシ樹脂コーティング、複合材料、接着剤、エレクトロニクス機器及び成形物品の、改良された、加工、UV安定性及び可撓性/損傷許容度になり得る。
【0022】
前記のように、本発明のエポキシ樹脂は、種油アルカノールアミドをベースにするエポキシ樹脂である。例えば本発明のエポキシ樹脂は、脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドから誘導された、グリシジルエーテルアミド及びグリシジルエステルアミドを含有することができる。本発明のエポキシ樹脂は、下記のような式I:
【0023】
【化1】

【0024】
[式中、R1及びR4は、それぞれ独立に、ヒドロカルビレン部分(moiety)であってよく、R2は、水素又は一価ヒドロカルビル部分(moiety)であり、R3は存在しない又はヒドロカルビレン部分であり、R5は水素又は一価ヒドロカルビル部分又は式II:
【0025】
【化2】

【0026】
(式中、R4は、上記に定義された通りであり、R6は下記のような式III又は式IV:
【0027】
【化3】

【0028】
(式中、R7は、水素又は炭素数1〜約4の脂肪族炭化水素基であり、R8は、ヒドロカルビレン部分である)
のいずれかの部分である)
によって表される部分であり、m、n及びoは、独立に、0又は1であるが、但し、m、n及びoの合計は、ゼロよりも大きい正の整数である]
によって表すことができる。
【0029】
本明細書で使用する用語「ヒドロカルビレン部分(moiety)」は、アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ポリシクロアルケニル、芳香族環置換アルキル、芳香族環置換シクロアルキル、芳香族環置換ポリシクロアルキル、芳香族環置換アルケニル、芳香族環置換シクロアルケニル及び芳香族環置換ポリシクロアルケニル部分からなる群から選択される二価の部分を意味する。
【0030】
本明細書で使用する用語「ヒドロカルビル部分」は、アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ポリシクロアルケニル、芳香族環置換アルキル、芳香族環置換シクロアルキル、芳香族環置換ポリシクロアルキル、芳香族環置換アルケニル、芳香族環置換シクロアルケニル及び芳香族環置換ポリシクロアルケニル部分からなる群から選択される一価の部分を意味する。
【0031】
本発明の追加の面は、式中、m、n及びoの合計がゼロである式Iによって表されるグリシジルエーテル及びエステルアミドとの混合物中の前記のグリシジルエーテル及びエステルアミドを含む。これらの組成物は、好ましくは、それぞれの場合に、全組成物重量基準で、約70重量パーセント(重量%)と等しいか又はそれより大きく、更に好ましくは約90重量%と等しいか又はそれより大きく、ゼロよりも大きいm、n及びoの合計を有するグリシジルエーテル及びエステルアミドを含有する。
【0032】
5又はR8が芳香族環を含有する部分であるとき、該芳香族環はハロゲン原子、好ましくは塩素若しくは臭素、ニトリル基、ニトロ基、炭素数1〜約6、好ましくは1〜約4、更に好ましくは1〜約2のアルキル若しくはアルコキシ基(これらは、1個又はそれ以上のハロゲン原子、好ましくは塩素又は臭素によって置換されていてよい)又は炭素数1〜約6、好ましくは1〜約4、更に好ましくは1〜約3のアルケニル若しくはアルケニルオキシ基を含む、1種又はそれ以上の置換基を含有することができる。この芳香族環は、1種又はそれ以上のヘテロ原子、例えばN、O、S等を含有することができる。同様に、R4、R5(それがH以外の部分であるとき)及びR8は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、好ましくは塩素又は臭素、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、エーテル結合(−O−)又はチオエーテル結合(−S−)を含有する1個又はそれ以上の置換基を含有することができる。この置換基は、置換基の化学構造に依存して、末端炭素原子に結合することができ又は2個の炭素原子の間に存在することができる。R5がアルキル又はアルケニル部分であるとき、これは線状(直鎖)であってよく又は枝分かれしていてもよい。本明細書で使用する用語「シクロアルキル」及び「シクロアルケニル」は、対応するジ及びポリシクロ部分を包含するようにも意図する。
【0033】
幾つかの態様に於いて、本明細書に開示されたグリシジルエーテル及びエステルアミド組成物は、更に、下記のもの、即ち種油系アルカノールアミドから誘導されたモノグリシジルエーテル又はモノグリシジルエステル、種油アルカノールアミドから誘導されたグリシジルエーテル又はグリシジルエステルのオリゴマー及びこれらの組合せの1種又はそれ以上を含有することができる。
【0034】
一般的に、本発明のエポキシ樹脂は、下記の成分、即ち(a)少なくとも1種のアルカノールアミド、例えばヒドロキシル(OH)若しくは酸(COOH)官能化脂肪アミド中間体又はこれらの混合物、(b)エピハロヒドリン及び(c)、好ましくは固体形での塩基性作用物質を一緒に反応させることからなるプロセス(例えばエポキシ化反応プロセス)によって製造される。本発明のエポキシ樹脂を製造するためのプロセスは、任意的に、下記の成分、即ち(d)溶媒、(e)触媒及び/又は(f)脱水剤のいずれか1種又はそれ以上を含有していてもよい。
【0035】
本発明のエポキシ樹脂を形成するためのエポキシ化プロセスは、種油系アルカノールアミド中に存在するアミド結合の任意の顕著な加水分解を回避する。本発明のプロセスの運転中に加水分解が起こる場合には、アミド結合の加水分解を防止するために、任意的に、成分(f)である、1種又はそれ以上の脱水剤を、プロセス中に使用することができる。本発明のプロセスは、典型的には、アミド結合の構造的完全性を維持しながら、理論値の少なくとも約80%又はそれ以上のエポキシ化を達成する。
【0036】
一つの態様に於いて、本発明のエポキシ樹脂を製造するためのプロセスは、ハロヒドリン中間体を生成するための、OH又はCOOH官能化脂肪アミド中間体とエピハロヒドリンとの初期反応を含む。このハロヒドリン中間体は、次いで、塩基性作用物質と反応して、ハロヒドリン中間体をエポキシ樹脂最終生成物(グリシジルエーテル及び/又はグリシジルエステル)に転化させる。
【0037】
別の態様に於いて、触媒として、アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物を使用することができ、このような触媒を、化学量論量又はそれ以上の量で使用する場合には、OH又はCOOH官能化脂肪アミド中間体とエピハロヒドリンとの初期反応は、その場で(in situ)でハロヒドリン中間体を製造する。その場で製造されたハロヒドリン中間体は、次いで、塩基性作用物質を添加することなく、エポキシ樹脂最終生成物に転化させることができる。
【0038】
このプロセスの好ましい態様は、更に、最初に、脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドの少なくとも1種から誘導されたポリグリシジルエーテルをアルカリ金属水素化物と反応させて、中間体生成物を生成せしめ、続いて、この中間体生成物をエピハロヒドリンと反応させることを含んでなる(ここで、アルカリ金属水素化物は、好ましくは水素化ナトリウム及び水素化カリウムの少なくとも1種である)。塩基性作用物質は、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩及びこれらの任意の混合物の少なくとも1種を含んでいてよい。このプロセスは、一般的に、約20℃〜約120℃の温度及び約30mmHg〜約100psiaの圧力で実施する。
【0039】
本発明に於いて有用な、成分(a)である、種油系アルカノールアミドは、市場で市販の製品から購入することができる。例えば市販の種油系アルカノールアミドには、Rhodia,Inc.によって、商品名Alkamide LE(登録商標)で販売されている商業グレード製品である、ラウリン酸ジエタノールアミドが含まれる。
【0040】
別の態様に於いて、本発明に於いて有用な種油系アルカノールアミドは、飽和及び不飽和脂肪酸エステル、飽和及び不飽和脂肪酸若しくは飽和及び不飽和脂肪酸トリグリセリド又はこれらの混合物のアミノリシス、即ち(i)飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸トリグリセリド又は不飽和脂肪酸トリグリセリドと、(ii)アルカノールアミンとの反応によって誘導することができる。
【0041】
ヒドロキシル官能化アミンとのアミノリシスのために適切である成分(i)である不飽和の脂肪酸エステル又は脂肪酸トリグリセリドには、ひまし油、大豆油、キャノーラ油、ナタネ油及びリシノール酸メチル並びにこれらの混合物が含まれる。
【0042】
適切な飽和脂肪酸エステル及び飽和脂肪酸トリグリセリドには、ステアリン酸メチル、12−ヒドロキシメチルステアレート、水素化リシノール酸メチル及び水素化ひまし油並びに還元的ヒドロホルミル化脂肪酸エステル、例えば9−メチルヒドロキシメチルステアレート、10−メチルヒドロキシメチルステアレート、9,12−メチルヒドロキシメチルステアレート、9,12,15−メチルヒドロキシメチルステアレート、11−ヒドロキシメチルウンデカノエート、10−ヒドロキシメチルデカノエート及びこれらの混合物が含まれる。
【0043】
本発明に於いて有用である植物油中に遭遇する不飽和脂肪酸の幾つかは、リシノレイン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸並びにこれらの混合物である。挙げることができる、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を含有する脂肪酸の非限定例は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセレニン酸(petroselenic acid)、ドエグリン酸(doeglic acid)、エルカ酸、イサニン酸、ステアロドン酸(stearodonic acid)、アラキドン酸及びキパノドン酸(chypanodonic acid)並びにこれらの混合物である。
【0044】
本明細書に開示された態様に於いて使用することができる飽和脂肪酸の例には、パルミチン酸、ラウリン酸、カプリン酸、デカン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ガドレイン酸(gadoleic acid)及びミリスチン酸並びにこれらの混合物が含まれてよい。
【0045】
国際特許出願公開第2007/027223 A2号明細書(参照して本明細書に含める)に記載されている生物系油から誘導されるアミドポリオールも、本発明に於いて使用することができる。
【0046】
COOH官能化された飽和脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドは、例えばこのアミノリシス生成物を、カルボン酸無水物、例えば無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、これらの混合物等と反応させることによって生成することができる。
【0047】
本明細書に開示された態様に於いて有用である脂肪酸エステル及び脂肪酸には、炭素数8〜22のものが含まれてよい。これらの脂肪酸エステル及び脂肪酸の二量体及び三量体も有用である。この脂肪酸エステル及び脂肪酸は、好ましくは植物油から誘導され、不飽和が存在する場合、これらは還元的ヒドロホルミル化によって変性することができる。好ましい態様に於いて、脂肪酸エステルは植物油である。植物油から得ることができ、本発明に於いて有用である脂肪酸の幾つかは、リシノレイン酸、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、ラウリ酸、ミリスチン酸及びパルミチン酸である。
【0048】
本明細書に開示された態様に於いて使用することができる植物起源の油(脂肪酸トリグリセリド)の例には、ナタネ油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、オリーブ油、クルミ油、トウモロコシ油、大豆油、亜麻仁油、麻美油、グレープシード油(grapeseed oil)、コプラ油、パーム油、綿実油、ババス油、ホホバ油、ゴマ油、ひまし油及びコリアンダー油が含まれてよい。
【0049】
一つの態様に於いて、植物油は、第二級ヒドロキシル基を含有し、還元的ヒドロホルミル化を必要としないひまし油である。ひまし油は、典型的には、少なくとも約80%のリシノレイン酸を含有し、約89%が典型的である。炭素数18の他の脂肪酸エステルも好ましい。ひまし油の残りは、他の組成物を含有してよい。
【0050】
本明細書に開示された態様に於いて使用することができる動物起源の油の例には、マッコウクジラ油、イルカ油、クジラ油、アザラシ油、イワシ油、ニシン油、サメ油、タラ肝、仔ウシ足油並びに牛肉、豚肉、ウマ及びヒツジ脂肪(スエット(suet))が含まれ得る。
【0051】
OH官能化された飽和脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドは、例えば飽和脂肪酸エステル、脂肪酸又は脂肪酸トリグリセリドのアミノリシスによって生成することができる。
【0052】
アミノリシスには、飽和脂肪酸エステル、脂肪酸又は脂肪酸トリグリセリドとアルカノールアミンとの反応が含まれてよい。成分(ii)であるアルカノールアミンには、例えばアミノモノオール、ジオール及びトリオール、例えばジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−エタノール、これらの混合物等が含まれてよい。
【0053】
本明細書に開示された本発明のエポキシ樹脂を製造するために使用される成分(b)であるエピハロヒドリンの例には、例えばエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、メチルエピクロロヒドリン、メチルエピブロモヒドリン、メチルエピヨードヒドリン及びこれらの任意の組合せが含まれる。エピクロロヒドリンが、本明細書に開示された本発明の幾つかの態様に於いて使用される好ましいエピハロヒドリンである。
【0054】
エピハロヒドリン対官能化された飽和脂肪酸エステル又は脂肪酸トリグリセリドの比は、一般に約1:1〜25:1、好ましくは約1.8:1〜約10:1、更に好ましくは約2:1〜約5:1の、エピハロヒドリン/官能化された飽和脂肪酸エステル、脂肪酸又は脂肪酸トリグリセリド中の第一級又は第二級ヒドロキシル基(好ましくは第一級ヒドロキシル基)の当量である。
【0055】
本明細書で使用する用語「第一級ヒドロキシル基」は、官能化された脂肪アミド中間体から誘導された第一級ヒドロキシル基又は第一級ヒドロキシル基群を指す。第一級ヒドロキシル基は、第二級ヒドロキシル基、例えばハロヒドリン中間体の生成プロセスの間に生成されるものとは異なる。第一級ヒドロキシル基が好ましいが、幾つかの場合に、本発明に於いて有用である種油アルカノールアミド中に存在するヒドロキシル基は、第二級ヒドロキシル基、例えばひまし油中に存在する第二級ヒドロキシル基であろう。
【0056】
成分(c)である塩基性作用物質は、本明細書に開示された本発明の最終エポキシ樹脂生成物を生成するために、前記のハロヒドリン中間体と反応させるために、本発明に於いて使用することができる。適切な塩基性作用物質の例には、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩及びこれらの任意の混合物等が含まれる。
【0057】
塩基性作用物質の更に具体的な例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸マグネシウム、重炭酸リチウム、重炭酸カルシウム、重炭酸バリウム、重炭酸マンガン及びこれらの任意の組合せ等が含まれる。水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムが、好ましい塩基性作用物質である。
【0058】
本明細書に開示された本発明のプロセスは、溶媒の不存在下で又は溶媒の存在下で、実施することができる。プロセスに於いて溶媒が不存在である場合には、エピハロヒドリンは、このようなプロセスに於いて、溶媒及び反応剤の両方として機能することができる。プロセスに於いて溶媒が存在する場合には、使用される溶媒は、反応剤、触媒、プロセスの間に生成される任意の中間生成物及び最終生成物に対して不活性であることを含めて、本明細書に開示されたエポキシ樹脂の製造プロセスに対して不活性でなくてはならない。
【0059】
本発明に於いて使用することができる溶媒の例には、脂肪族及び芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、脂肪族エーテル、脂肪族ニトリル、環式エーテル、ケトン、アミド、スルホキシド並びにこれらの任意の組合せ等が含まれる。使用することができる他の溶媒には、ペンタン、ヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン,N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、二塩化エチレン、メチルクロロホルム、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、これらの任意の組合せ等が含まれる。
【0060】
本発明のプロセスに於いて溶媒を使用する場合には、所望の結果を達成するために必要な最少量の溶媒が好ましい。一般的に、溶媒は、このプロセスに於いて、官能化された飽和脂肪酸エステル又は脂肪酸トリグリセリドの全重量基準で、約250重量%〜約1重量%、好ましくは約50重量%〜約1重量%、更に好ましくは約20重量%〜約5重量%存在してよい。この溶媒は、本明細書に記載されたエポキシ樹脂の生成反応の完結時に、一般的な方法、例えば真空蒸留を使用して除去することができる。
【0061】
触媒も、任意的に、本明細書に記載された本発明のエポキシ樹脂を製造するために使用することができる。この触媒の例には、第四級アンモニウム又はホスホニウムハライドが含まれる。この触媒の更に具体的な例には、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムクロリド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムヨージド、エチルトリフェニルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、これらの任意の組合せ等が含まれる。
【0062】
触媒の量は、要因、例えば反応時間及び反応温度に起因して変えることができるが、所望の効果をもたらすために必要な触媒の最低量が好ましい。一般的に、この触媒は、官能化された飽和脂肪酸エステル又は脂肪酸トリグリセリドの全重量基準で、約0.01重量%〜約3重量%、好ましくは約0.05重量%〜約2.5重量%、更に好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の量で使用することができる。
【0063】
本発明のエポキシ樹脂を製造する際に、他の成分は、OH及びCOOH官能化された脂肪アミド中間体に対して、少量で存在してよく、又は意図的に添加することができる。OH及びCOOH官能化された脂肪アミド中間体に意図的に添加することができる少量成分の例には、OH及びCOOH官能化された脂肪アミド中間体以外の、脂肪族ジオール又はポリオール及びシクロ脂肪族ジオールが含まれる。
【0064】
少量成分の更に具体的な例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジオール、ノルボルナンジメタノール及びジシクロペンタジエンジメタノール並びにこれらの任意の組合せ等が含まれる。ジオール又はポリオールは、OH及びCOOH官能化された脂肪アミド中間体のエポキシ化の間に同時にエポキシ化されるであろう。得られるエポキシ樹脂は、OH及びCOOH官能化された脂肪アミド中間体から製造されたエポキシ樹脂と、この官能化された脂肪アミド中間体以外のそれぞれ脂肪族ジオール、脂肪族ポリオール又はシクロ脂肪族ジオールから製造されたエポキシ樹脂との混合物を含む。この方式に於いて、エポキシ樹脂の特定の混合物を、別個の源泉からのエポキシ樹脂の混合無しに得ることができる。これは、特定の特性、例えば官能化された脂肪アミド中間体のエポキシ樹脂の粘度に対する粘度の低下を得るために行うことができる。
【0065】
少量成分の量及び種類は、成分の特定の化学反応並びにOH及びCOOH官能化された脂肪アミド中間体を製造するために使用されるプロセスに依存して変化し得る。一般的に、少量成分は、官能化された脂肪アミド中間体の全重量基準で、約25パーセントよりも少ない、好ましくは約0.001%〜約10%、更に好ましくは約0.001%〜約1%の少量成分からなっていてよい。
【0066】
本発明のエポキシ樹脂の製造プロセスは、種々の条件下で実施することができる。例えば本明細書中に記載されたエポキシ樹脂の製造プロセスのための温度は、一般的に、約20℃〜約120℃、好ましくは約30℃〜約85℃、更に好ましくは約40℃〜約75℃である。
【0067】
本明細書に記載されたエポキシ樹脂の製造プロセスのための圧力は、一般的に、約30mmHg〜約100psia、好ましくは約30mmHg〜約50psia、更に好ましくは約60mmHg〜ほぼ大気圧(例えば760mmHg)である。
【0068】
本明細書に記載されたエポキシ樹脂の製造プロセスの完結のための時間は、一般的に、約1〜約120時間、更に好ましくは約3〜約72時間、更に好ましくは約4〜約48時間である。
【0069】
種々の分析方法(例えばガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びゲル浸透クロマトグラフィー(GPC))を使用して、このプロセスの完結を決定することができる。選択される正確な分析方法は、反応剤及びエポキシ樹脂生成物の構造に依存する。例えばHPLC分析は、中間生成物及び最終生成物(例えば飽和脂肪酸エステルのジグリシジルエーテル、官能化飽和脂肪酸エステルのモノ及びジグリシジルエーテル並びにこれらの任意のオリゴマー)の生成と同時にOH及びCOOH官能化された脂肪アミド中間体の反応をモニターするために使用することができる。GPC分析は、揮発性でなく、一般的にガスクロマトグラフィーのような分析方法によって検出されないオリゴマーを分析するために使用することもできる。
【0070】
他の分析方法、例えば赤外分光光度(IR)分析及び核磁気共鳴(NMR)分光法は、非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂を分析するために有利に使用される。例えばIR分析はエポキシ樹脂生成物中のアミド構造の保持を容易に確認するために性能を発揮することができる。
【0071】
更に、エポキシ化プロセスをモニターするための分析方法を使用することによって、種々の成分を有する本明細書に記載されたエポキシ樹脂を得ることができる。例えばより短い反応時間及び/又はより低い反応温度は、一般的に、より少ない量の、このようなエポキシ樹脂のオリゴマーによって随伴される、より多くの量の、OH又はCOOH官能化された脂肪アミド中間体のモノグリシジルエーテル(エステル)(又はジグリシジルエーテル若しくはエステル)を含むエポキシ樹脂の生成に至る。逆に、より長い反応時間及び/又はより高い反応温度は、一般的に、より多い量の、このようなエポキシ樹脂のオリゴマーによって随伴される、より少ない量の、OH又はCOOH官能化された脂肪アミド中間体のモノグリシジルエーテル(エステル)(又はジグリシジルエーテル若しくはエステル)を含むエポキシ樹脂の生成に至る。従って、反応時間と反応温度との組合せは、所望のエポキシ樹脂を提供するように調節することができる。
【0072】
種々の態様に従って、本明細書に記載された本発明のエポキシ樹脂は、例えば(1)スラリーエポキシ化プロセス、(2)無水エポキシ化プロセス又は(3)ルイス酸触媒作用カップリング反応及びスラリーエポキシ化反応プロセスの組合せを含む、種々のエポキシ化プロセスによって製造することができる。
【0073】
本発明に於いて有用なスラリーエポキシ化プロセスは、下記の成分、即ち(a)OH又はCOOH官能化された脂肪アミド中間体、例えば前記の官能化脂肪アミド中間体のいずれか、(b)エピハロヒドリン、例えば前記のエピハロヒドリンのいずれか並びに(c)塩基性作用物質、例えば固体形又は水溶液である、前記の塩基性作用物質のいずれかを、一緒に反応させることからなる。
【0074】
スラリーエポキシ化プロセス(1)は、任意的に、下記の成分、即ち(d)水以外の溶媒若しくは溶媒混合物、(e)触媒及び/又は(f)脱水剤のいずれか1種又はそれ以上からなっていてよい。本発明のスラリーエポキシ化プロセスの操作中に加水分解が起こる場合、アミド結合の加水分解を防止するために、1種又はそれ以上の脱水剤(f)をプロセス中に使用することができる。
【0075】
スラリーエポキシ化プロセスに於いて、塩基性作用物質が固体形であるとき、これは、通常、ペレット、ビード又は粉末の形態である。種々の粒子サイズ又は粒子サイズ分布の塩基性作用物質を使用することができる。例えば約−40〜約+60メッシュ又は約−60〜約+80メッシュの粒子サイズ分布を有する、塩基性作用物質、例えば固体水酸化ナトリウムを使用することができる。別の態様に於いて、使用される粒子サイズ分布は約−80メッシュであってよい。
【0076】
スラリーエポキシ化プロセスに於いて、塩基性作用物質が水溶液として得られるとき、この水溶液を、最初に、溶媒又は水以外の溶媒の混合物に添加して、溶媒−水共沸混合物又は溶媒若しくは溶媒と水との混合物との共蒸留性混合物を形成することができる。この塩基性作用物質の水溶液中の水は、溶媒−水共沸混合物の共沸蒸留又は水と溶媒若しくは溶媒混合物との共蒸留によって除去することができる。この蒸留は、通常、真空下で行われる。この蒸留は、所望の塩基性作用物質が、正味固体(乾燥)として又は(残留する非水性溶媒との)溶媒スラリーとして製造されるまで、連続的に実施することができる。残留する溶媒が残って、塩基性作用物質の溶媒スラリーが生成される場合、使用される溶媒は、反応剤、任意の中間生成物及び最終生成物を含むスラリーエポキシ化反応に対して不活性でなくてはならない。このような溶媒の例には、トルエン及びキシレンが含まれる。
【0077】
一つの態様に於いて、スラリーエポキシ化プロセスは、(i)水以外の溶媒を、水溶液中の塩基性作用物質に添加し、そして(ii)塩基性作用物質が正味固体又は溶媒スラリーになるまで、溶媒−水共沸混合物の真空蒸留により、水溶液(水)を塩基性作用物質から除去することを更に含んでいてよい(ここで、溶媒はトルエン又はキシレンを含む)。
【0078】
用語「共沸混合物」は、本明細書に於いて、混合物の蒸気形が、その混合物の液体形と同じ組成を有するので、一定の沸点を有する、液体の混合物(例えばスラリーエポキシ化プロセスに於ける溶媒と水との混合物)を指す。この混合物の成分は、通常、単純な蒸留によって分離することができない。
【0079】
用語「共留出物」は、本明細書に於いて、水が溶媒と共に共蒸留される液体の混合物を指す。塩基性作用物質の水溶液から水を単純にフラッシュ蒸留して、乾燥塩基性作用物質を固体として残すことも可能である。
【0080】
共沸蒸留は、蒸留によって、他の方法では容易に分離できない生成物を分離するためのプロセスである。共沸蒸留プロセスの本質的な特徴は、生成物中の初期成分と共に共沸混合物を形成する別の成分の導入であり、次いで、初期成分は蒸留除去され、純粋な生成物を得るために残す。
【0081】
スラリーエポキシ化プロセスを適度にし又は加速するために、脱水剤を、スラリーエポキシ化プロセスに於いて使用することもできる。この脱水剤は、塩基性作用物質の前に、後に又は塩基性作用物質と同時に、添加することができる。この脱水剤の添加及び使用は、アミド結合の加水分解を防止するために、或る種のアルカノールアミド反応剤で極めて重要である。
【0082】
脱水剤の例には、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、モレキュラーシーブス及びこれらの任意の組合せ等が含まれる。脱水剤の更に具体的な例には、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、モレキュラーシーブス、これらの任意の組合せ等が含まれる。
【0083】
スラリーエポキシ化プロセスの一態様に於いて、スラリーエポキシ化プロセスは、OH又はCOOH官能化された脂肪アミド中間体を、エピクロロヒドリン中の水酸化ナトリウムの撹拌したスラリーに添加することを含む。水酸化ナトリウムは、固体、例えばペレット、ビーズ若しくは粉末又はこれらの混合物の形態であってよい。固体水酸化ナトリウムは本質的に無水乃至僅かに湿っていてもよい。本明細書中に使用されるとき、用語「本質的に無水」又は「僅かに湿った」は、固体水酸化ナトリウムが、固体水酸化ナトリウムの全重量基準で、約5重量%よりも少ない水を含有することを意味する。
【0084】
一般的に、固体水酸化ナトリウムは、固体水酸化ナトリウムの全重量基準で、約5重量%よりも少ない、好ましくは約4重量%よりも少ない、更に好ましくは約2.5重量%よりも少ない水を含有する。
【0085】
スラリーエポキシ化プロセスの別の態様に於いて、スラリーエポキシ化プロセスは、OH又はCOOH官能化された脂肪アミド中間体を、エピクロロヒドリン中の水酸化ナトリウム及び無水硫酸ナトリウムの撹拌したスラリーに添加することを含む。水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムの両方は、固体、例えばペレット、ビーズ、粉末又は顆粒の形態であってよい。固体水酸化ナトリウムは、本質的に無水乃至僅かに湿っていてもよく、固体水酸化ナトリウムの全重量基準で、約5重量%よりも少ない水を含有していてよい。無水硫酸ナトリウムは顆粒形であることが好ましい。
【0086】
本発明に従って、可能な最高量の、飽和脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドのポリグリシジルエーテル及びポリグリシジルエステルを含んでなるエポキシ樹脂を、該エポキシ樹脂中のアミド構造の保持と同時に製造することが望まれる。しかしながら、スラリーエポキシ化プロセスの間に、この反応が、OH又はCOOH官能化された脂肪アミド中間体のエポキシ樹脂生成物への、約95重量%又はそれ以上の転化率に到達したとき、反応スラリーの粘度が上昇して、混合及び反応スラリーからの有効な熱伝達に於ける顕著な低下を起こすことが見出された。この上昇した粘度は、反応を続けることを困難にする。更に、これらの条件下で、得られるモノグリシジルエーテル(及びジグリシジルエーテル)の実質的な量が、なお存在し得る。粘度を低下させ、随伴的に熱伝達を元に戻し、そして反応を続けるために、エピクロロヒドリンの更なる添加(「戻し添加(back-addition)」としても参照される)が必要であろう。一般的に、エピクロロヒドリンを、官能化飽和脂肪酸エステル中に初めから存在している第一級ヒドロキシル当たり、約0.25〜約1当量のエピクロロヒドリンの追加の量で戻し添加することができる。
【0087】
スラリーエポキシ化プロセスに於いて、最終の粘度制御のために反応の初めに、より大量のエピクロロヒドリンを添加することは、本明細書に開示された本発明の態様の範囲内である。一般的に、OH又はCOOH官能化された脂肪アミド中間体に初めから存在している第一級ヒドロキシル当たり、約0.50〜約2当量のエピクロロヒドリンの追加の量を、反応の初めに添加することができる。しかしながら、スラリーエポキシ化プロセスの間に、反応の初めに、混合物中の第一級ヒドロキシル基当たり、約2〜約3当量のエピクロロヒドリンよりも上にエピクロロヒドリン化学量論を増加させることは、望まない副生物の追加の生成に至り得ることを見出した。これらの望まない副生物の生成は、価値のあるエピハロヒドリン及び塩基性作用物質、例えば水酸化ナトリウムを消費し得る。生成された場合、副生物は真空蒸留によって除去することができる。
【0088】
本発明のエポキシ樹脂は無水エポキシ化プロセス(2)によって製造することもできる。無水エポキシ化プロセスは、下記の成分、即ち(a)OH又はCOOH官能化脂肪アミド中間体、例えば前記のもののいずれか、(b)エピハロヒドリン、例えば前記のもののいずれか並びに(c)水溶液中の塩基性作用物質、例えば前記のもののいずれかを、一緒に反応させることを含む。無水エポキシ化プロセスは、任意的に、下記の成分、即ち(d)溶媒及び/又は(e)触媒の任意の1種又はそれ以上を含んでいてよい。
【0089】
無水エポキシ化プロセスに於いて、水溶液中の塩基性作用物質を使用することができる。塩基性作用物質の水溶液中の水及びエピハロヒドリン(例えばエピクロロヒドリン)は、二成分エピハロヒドリン−水共沸混合物又は三成分エピハロヒドリン−水−溶媒共沸混合物を形成する。この水は、エピクロロヒドリン−水共沸混合物又はエピハロヒドリン−水−溶媒共沸混合物の共沸蒸留又は共蒸留によって除去することができる。この蒸留は真空下で実施することができる。
【0090】
無水エポキシ化プロセスの好ましい態様に於いて、このプロセスは、塩基性作用物質が実質的に無水の固体になるまで、エピクロロヒドリン−水共沸混合物の真空蒸留によって、塩基性作用物質から水溶液(水)を除去することを更に含む。
【0091】
共沸蒸留又は共蒸留によるエポキシ化の間の水の除去のプロセスに関する詳細は、米国特許第4,499,255号明細書(参照して本明細書に含める)に記載されている。
【0092】
無水エポキシ化プロセスの一つの態様に於いて、無水エポキシ化プロセスはエピクロロヒドリン−水共沸混合物の連続真空蒸留を伴う、OH又はCOOH官能化脂肪アミド中間体及びエピクロロヒドリンの撹拌した混合物への、水溶液中の水酸化ナトリウムの制御された添加、この蒸留された共沸混合物からの水フラクションの除去並びに反応物の中への回収されたエピクロロヒドリンの戻し循環を含む。約50重量%の水酸化ナトリウムからなる水溶液が特に好ましい。更に薄い水酸化ナトリウム水溶液は、運転可能であるが、追加の水を除去するための追加の時間及び消費されるエネルギーのために、あまり好ましくない。触媒も、撹拌した混合物に添加することができる。第四級アンモニウムハライド触媒が特に好ましい。
【0093】
アミド結合の加水分解が、無水エポキシ化プロセスの運転中に起こる場合、前記アミド結合の加水分解を防止するために、本発明の他のエポキシ化プロセスの一つが使用される。
【0094】
本発明のエポキシ樹脂は、プロセス(3)である、ルイス酸触媒作用カップリング反応及びスラリーエポキシ化反応プロセス(本明細書に於いて、「ルイス酸カップリング/エポキシ化プロセス」)によって製造することもできる。一般的に、ルイス酸カップリング/エポキシ化プロセスは、触媒作用カップリング反応工程、続くスラリーエポキシ化反応工程を含む。従って、ルイス酸カップリング/エポキシ化プロセスは、最初に、カップリング反応工程に於いて、(a)OH又はCOOH官能化脂肪アミド中間体、例えば前記のもののいずれかを、(b)エピハロヒドリン、例えば前記のもののいずれかと、(c)ルイス酸触媒、例えば前記の触媒のいずれかの存在下で反応させることを含む。このカップリング反応工程は、ハロヒドリンを含む中間生成物を生成する。この中間ハロヒドリン生成物を、次いで、例えば前記のスラリーエポキシ化プロセスのようなエポキシ化プロセスを使用する、脱ハロゲン化水素反応工程に於いて、(d)固体形での塩基性作用物質と反応させる。ルイス酸カップリング/エポキシ化プロセスは、任意的に、下記の成分、即ち(e)溶媒、(f)ルイス酸触媒以外の触媒及び/又は(g)脱水剤の任意の1種又はそれ以上からなっていてもよい。
【0095】
ルイス酸触媒作用カップリング及びエポキシ化プロセスの好ましい態様に於いて、このプロセスのカップリング反応は、脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドの少なくとも1種から誘導されたグリシジルエーテルを、エピハロヒドリンと、ルイス酸触媒の存在下で反応させて、ハロヒドリン中間体を生成することを含んでいてよい。このプロセスは、このハロヒドリン中間体を、水溶液中の塩基性作用物質と反応させて、エポキシ樹脂を生成する、脱ハロゲン化水素反応を更に含んでいてよい。
【0096】
ルイス酸触媒作用カップリング/スラリーエポキシ化プロセスのルイス酸触媒作用カップリング反応工程に於いて使用されるルイス酸の例には、三フッ化ホウ素又は三フッ化ホウ素錯体、例えば三フッ化ホウ素エーテレート、塩化スズ(IV)、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、四塩化ケイ素、四塩化チタン、三塩化アンチモン、これらの任意の混合物等が含まれる。
【0097】
使用されるルイス酸の量は、OH又はCOOH官能化脂肪アミド中間体の1モル当たり、約0.00015〜約0.015モル、好ましくは約0.00075〜約0.0075モル、更に好ましくは約0.0009〜約0.005モルの範囲であってよい。ルイス酸の量は特定の反応変数、例えば反応時間及び反応温度にも依存するであろう。
【0098】
ルイス酸カップリング/エポキシ化プロセスのルイス酸触媒作用カップリング反応工程の一つの態様に於いて、カップリング反応は、エピクロロヒドリンを、OH又はCOOH官能化脂肪アミド中間体及びルイス酸触媒の撹拌した混合物又は溶液に添加して、ハロヒドリン、例えばクロロヒドリンを含む中間生成物を製造することを含む。四塩化スズ(IV)がルイス酸触媒として特に好ましい。反応が完結すると、次いで、得られるハロヒドリン中間体を、スラリーエポキシ化プロセスを使用して、脱ハロゲン化水素反応工程に於いて、固体としての水酸化ナトリウムと反応させる。
【0099】
別の態様に於いて、ルイス酸カップリング反応工程から得られる結果の中間生成物を、続いて、スラリーエポキシ化プロセスを使用して、脱ハロゲン化水素反応工程に於いて、固体としての水酸化ナトリウム及び無水硫酸ナトリウムと反応させる。
【0100】
エポキシ樹脂を製造するために、ルイス酸触媒以外の触媒を使用することもできる。使用する場合、非ルイス酸触媒は、スラリーエポキシ化プロセス又は無水エポキシ化プロセスの任意の時点で添加することができるが、ルイス酸触媒作用カップリング/スラリーエポキシ化反応プロセスの脱ハロゲン化水素反応工程(スラリーエポキシ化プロセス)に対してのみ添加する。
【0101】
前記のルイス酸触媒作用カップリング反応工程と同様の方式で、アルカリ金属水素化物も、添加して、官能化脂肪アミド中間体と反応させ、続いて、得られるアルコキシドをエピハロヒドリンと反応させることができる。使用することができるアルカリ金属水素化物の例には、水素化ナトリウム、水素化カリウム及びこれらの任意の混合物が含まれ、水素化ナトリウムが好ましいアルカリ金属水素化物である。次いで、この中間生成物を、脱ハロゲン化水素反応工程に於いて、スラリーエポキシ化プロセスを使用して、(d)固体形での塩基性作用物質と反応させる。アルカリ金属水素化物を使用するプロセスは、任意的に、下記の成分、即ち(e)溶媒、(f)ルイス酸触媒以外の触媒及び/又は(g)脱水剤のいずれか1種又はそれ以上を含んでいてもよい。
【0102】
スラリーエポキシ化プロセス又は無水エポキシ化プロセスは、溶媒の不存在下で、エピクロロヒドリンを、溶媒及び反応剤の両方として機能する量で使用して実施することもできる。例えばスラリーエポキシ化プロセスは、官能化脂肪アミド中間体をエピハロヒドリンと、混合物中の第一級ヒドロキシル当たり、約2〜約3当量のエピハロヒドリンの比で反応させることによって実施することができる。このスラリーエポキシ化プロセスは、反応スラリーの初期粘度が低く、反応からの熱及び反応混合物の撹拌からの熱を含むエポキシ化プロセスから発生する熱を、反応器の外に容易に移動させることができるので、容易に混合された反応スラリーを与えることができる。
【0103】
本明細書中に開示された本発明のエポキシ樹脂の製造プロセスのいずれも、回収及び精製プロセスを含むこともできる。回収及び精製は、例えば重力濾過、真空濾過、ロータリー蒸発及び分別真空蒸留を含む真空蒸留、遠心分離、水洗浄又は抽出、溶媒抽出、デカンテーション、カラムクロマトグラフィー、真空蒸留、流下薄膜蒸留、ワイプド薄膜(wiped-film)蒸留、静電凝集並びにその他の公知の回収及び精製処理方法並びにこれらの任意の組合せ等のような方法を使用して実施することができる。エポキシ樹脂の回収及び精製プロセスは、非水性プロセスであってよい。落下薄膜又はワイプド薄膜蒸留が、オリゴマーを実質的に含有していない本発明の高純度(例えば約99%超)エポキシ樹脂の回収及び精製プロセスのための好ましい方法である。本明細書で使用する用語「オリゴマーを含有していない」又は「オリゴマーを実質的に含有していない」は、オリゴマーが、エポキシ樹脂中に、エポキシ樹脂最終生成物の全重量基準で、約2重量%よりも低い、好ましくは約1重量%よりも低い、更に好ましくはゼロ重量%の濃度で存在することを意味する。
【0104】
前記回収及び精製プロセスは、例えばOH又はCOOH官能化脂肪アミド中間体のエポキシ樹脂の沸点よりも低い沸点を有するこれらの成分を含有する、低沸点を有する成分を除去及び回収することを含む。これらの成分の例には、未反応のエピハロヒドリン及び共生成したグリシジルエーテル(例えば2−エポキシプロピルエーテル)副生物が含まれる。回収されたエピハロヒドリンは循環する(例えば反応剤として再使用する)ことができ、ジグリシジルエーテル副生物は、他の目的のために、例えば反応中間生成物として使用することができる。
【0105】
本発明の一つの態様に従って、OH又はCOOH官能化脂肪アミド中間体のエポキシ樹脂よりも低い沸点を有するものを含む成分が、官能化飽和脂肪酸脂肪アミド中間体エステルのエポキシ樹脂よりも低い沸点を有する成分の全量を、エポキシ樹脂最終生成物の全重量基準で、約0.5重量%よりも少なくなるまで、真空蒸留(例えばロータリー蒸発)によって除去する。存在する場合、OH又はCOOH官能化脂肪アミド中間体のモノグリセリドエーテルの幾らか又は全部も、真空蒸留によって除去することができる。
【0106】
蒸留技術によって、官能化飽和脂肪酸エステルのモノグリセリドエーテルが除去されないか又はその制御された量が除去されるとき、本発明のプロセスは、飽和脂肪酸エステル及び脂肪酸トリグリセリドのジ−及びポリグリシジルエーテル、飽和脂肪酸エステル及び脂肪酸トリグリセリドのモノグリシジルエーテル並びに1種又はそれ以上のこれらのオリゴマーを含む、エポキシ樹脂最終生成物を生成する。
【0107】
脂肪アミド中間体のモノジグリシジルエーテルの全部が、蒸留によって除去されるとき、本発明のプロセスは、飽和脂肪酸エステル及び脂肪酸トリグリセリドのジ−及び/又はポリグリシジルエーテル並びにこれらのオリゴマーを含む、エポキシ樹脂最終生成物を生成する。その代わりに、この反応は、本質的に如何なるモノグリシジルエーテルも含有しない、脂肪アミド中間体のジ−及び/又はポリグリシジルエーテル並びに1種又はそれ以上のこれらのオリゴマーを含むエポキシ樹脂生成物を、直接的に提供することができる。
【0108】
本発明の一つの態様に於いて、回収及び精製プロセスの間に、スラリーエポキシ化反応から生成されたエポキシ樹脂を、遠心分離及び/又は濾過して、固体塩(例えば未反応の水酸化ナトリウム及びエピクロロヒドリンを使用する場合には塩化ナトリウム)を除去することができる。OH又はCOOH官能化脂肪アミド中間体のエポキシ樹脂よりも低い沸点を有するものを含むエポキシ樹脂中の成分は、真空蒸留によって除去されて、本発明のエポキシ樹脂最終生成物を与える。この回収及び精製プロセスは、本質的に、非水性プロセスであり、これは、水溶液を使用する他の回収及び精製プロセスを超える利点を有する。例えば非水性プロセスに於いて、非水性プロセスから生じた廃棄塩固体は、容易に回収し、処分することができる。しかしながら、水性プロセスに於いては、水性プロセスから生じた廃棄物は水性液体であり、これは、非水性プロセスから生じた固体廃棄物に比較して、取扱い及び処分することが一層困難である。
【0109】
別の態様に於いて,スラリーエポキシ化からの生成物の遠心分離及び/又は濾過後に得られるエポキシ樹脂溶液は、水又は他の水性溶液、例えば炭酸水素ナトリウム又はリン酸二水素ナトリウムの1回又はそれ以上の洗浄によって洗浄することができる。これは、再び、洗浄又は洗浄群により、微量の、塩又はエポキシ樹脂生成物の安定性に対して有害であるかもしれない他の水溶性汚染物質の除去と同時に、容易に処分された固体として廃棄物塩の大部分の回収を可能にする。同様に、洗浄は、エポキシ樹脂生成物中に存在し得るイオン性塩化物レベルを有利に低下させることができる。
【0110】
本明細書に開示された或る種のエポキシ樹脂は、室温(例えば25℃)で非結晶性であり得、それらの固有の低い粘度のために、高い固体含有量を受け入れるための能力を有することができる。更に、スラリーエポキシ化プロセス又は無水エポキシ化プロセスによって製造されたエポキシ樹脂は、低い塩化物(イオン性、加水分解性及び全塩化物を含む)含有量を有する。低い塩化物含有量を有するこのようなエポキシ樹脂は下記のもの、即ち(a)一般的なエポキシ樹脂硬化剤によって硬化されたとき、エポキシ樹脂の改良された反応性、(b)増加したジ−又はポリグリシジルエーテル含有量、(c)エポキシ樹脂の低下した潜在的腐食性及び(d)エポキシ樹脂の改良された電気特性を含むことができる利点を有する。ルイス酸カップリング/エポキシ化プロセスによって製造されたエポキシ樹脂は、スラリーエポキシ化プロセス及び無水エポキシ化プロセスに比較して、全塩化物含有量(例えばエポキシ樹脂構造の中に結合されたクロロメチル基)に於いて僅かに高いであろう。しかしながら、ルイス酸触媒作用カップリング反応工程は、比較的単純なプロセスであるという利点を有する。
【0111】
本発明の一つの態様に従って、(A)種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂、例えば前記の種油系アルカノールアミドをベースにする前記の任意のエポキシ樹脂並びに(B)そのための少なくとも1種の硬化剤及び/又は少なくとも1種の硬化触媒を含む硬化性エポキシ樹脂組成物を製造することができる。本発明の別の態様に於いて、この硬化性エポキシ樹脂は、任意的に、種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂(A)に加えて、しかし(A)とは異なる、追加のエポキシ樹脂化合物(C)を含有することができる。
【0112】
組成物を参照して、用語「硬化性」(「熱硬化性」としても参照される)は、この組成物を、硬化した又は熱硬化した状態又は条件(state or condition)にする条件に付すことができることを意味する。
【0113】
用語「硬化した」又は「熱硬化した」は、Whittington’s Dictionary of Plastics(1968)、239頁に於いて、L.R.Whittingtonによって、下記、「完成した物品としてそれらの最終状態で、実質的に不融性で不溶性である樹脂又はプラスチックス化合物。熱硬化性樹脂は、それらの製造又は加工中の或る段階でしばしば液体であり、これらは、熱、触媒又は幾つかの他の化学的手段によって硬化される。完全に硬化された後、熱硬化樹脂は、熱によって再軟化させることができない。通常熱可塑性である幾つかのプラスチックスは、他の材料による架橋の手段によって熱硬化させることができる。」のように定義される。
【0114】
前記の硬化性エポキシ樹脂組成物中で有用である、種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂である成分(A)は、前記の種油系アルカノールアミドをベースにする任意のエポキシ樹脂であってよい。
【0115】
種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂(A)単独又は種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂化合物(C)とのブレンド若しくは混合物を含む、硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させるために有用でる硬化剤及び/又は触媒である成分(B)は、エポキシ樹脂を硬化させるために公知である任意の硬化剤及び/又は触媒であってよい。
【0116】
一つの態様に於いて、(a)エポキシ樹脂組成物並びに(b)少なくとも1種の硬化剤及び/若しくは少なくとも1種の硬化触媒を含む硬化性エポキシ樹脂組成物を製造することができ、ここで、この硬化剤は、分子当たり少なくとも1個の反応性水素原子を有する物質を含み、このエポキシ樹脂組成物は、少なくとも1個のエポキシ基を含み、そして硬化剤中の反応性水素原子はエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物中でエポキシド基と反応性である。
【0117】
硬化剤の例には、脂肪族、脂環式、ポリ脂環式又は芳香族第一級モノアミン;脂肪族、脂環式、ポリ脂環式又は芳香族第一級及び第二級ポリアミン;カルボン酸及びそれらの無水物;芳香族ヒドロキシル含有化合物;イミダゾール;グアニジン;尿素−アルデヒド樹脂;メラミン−アルデヒド樹脂;アルコキシル化尿素−アルデヒド樹脂;アルコキシル化メラミン−アルデヒド樹脂;アミドアミン;エポキシ樹脂付加物並びにこれらの任意の組合せが含まれる。
【0118】
特に適切な硬化剤には、例えばメチレンジアニリン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ジアミノ−α−メチルスチルベン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ジシアンジアミド、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、メチロール化尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メチロール化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、スルファニルアミド、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、t−ブチルトルエンジアミン、ビス−4−アミノシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、トリス−3−アミノプロピルアミン及びこれらの任意の組合せが含まれる。
【0119】
適切な硬化触媒の例には、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素エーテレート、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、四塩化ケイ素、塩化第二スズ、四塩化チタン、三塩化アンチモン、三フッ化ホウ素モノエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体、ピリジン−ボラン錯体、ジエタノールアミンボレート、フルオロホウ酸亜鉛、金属アシレート、例えばオクチル酸第一スズ又はオクチル酸亜鉛及びこれらの任意の混合物が含まれる。
【0120】
この硬化剤は、硬化性エポキシ樹脂組成物を有効に硬化させる量で使用することができる。しかしながら、硬化剤の量は硬化性エポキシ樹脂組成物中に存在する特定の成分、例えばエポキシ樹脂反応性希釈剤、エポキシ樹脂、使用される硬化剤及び/又は触媒の種類にも依存するであろう。
【0121】
一般的に、硬化剤の適切な量は、約0.80:1〜約1.50:1、好ましくは約0.95:1〜約1.05:1の硬化剤中の反応性水素原子の当量:エポキシ樹脂中のエポキシ基の当量の範囲であってよい。反応性水素原子はエポキシ樹脂中のエポキシ基と反応性である水素原子である。
【0122】
同様に、硬化触媒も、硬化性エポキシ樹脂組成物を有効に硬化させる量で使用することができる。しかしながら、硬化触媒の量は硬化性エポキシ樹脂組成物中に存在する特定の成分、例えば種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂化合物(C)、使用される硬化剤及び/又は触媒の種類にも依存するであろう。
【0123】
一般的に、硬化性エポキシ樹脂組成物の全重量基準で、約0.0001〜約2重量%、好ましくは約0.01〜約0.5重量%の硬化触媒の適切な量を使用することができる。
【0124】
1種又はそれ以上の硬化触媒を、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化プロセス中に使用して、硬化プロセスを加速又は他の方法で修正することができる。
【0125】
前記の硬化性エポキシ樹脂組成物中で有用である、本発明の種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂である成分(A)は、単独で使用することができ又は成分(C)である1種又はそれ以上の異なった任意のエポキシ樹脂と組み合わせて、エポキシ樹脂の混合物又はブレンドを形成することができる。従って、本発明は、それで、本発明のエポキシ樹脂(A)である、種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂、例えば前記のグリシジルエーテルアミド及びグリシジルエステルアミド、エポキシ樹脂化合物(C)並びに少なくとも1種の硬化剤及び/又は少なくとも1種の硬化触媒(B)を含む、硬化性エポキシ樹脂ブレンド組成物も含んでなる。エポキシ樹脂のブレンドに於いて、組成物中の、前記のグリシジルエーテル及びグリシジルエステル対他のエポキシ樹脂(C)の重量比は、約1:0〜約0.05:0.95、好ましくは約0.4:0.6〜約0.7:0.3の範囲であってよい。
【0126】
エポキシ樹脂化合物(C)として使用できるエポキシ樹脂は、分子当たり平均で1個よりも多いエポキシ基を有する、任意のエポキシド含有化合物であってもよい。このエポキシ基は、任意の酸素、硫黄若しくは窒素原子又は−CO−O−基の炭素原子に結合している単結合酸素原子にも結合することができる。この酸素、硫黄、窒素原子又は−CO−O−基の炭素原子は脂肪族、脂環式、ポリ脂環式又は芳香族炭化水素基に結合することができる。これらの脂肪族、脂環式、ポリ脂環式又は芳香族炭化水素基は、これらに限定されないが、ハロゲン原子、好ましくはフッ素、臭素若しくは塩素、ニトロ基を含む任意の不活性置換基によって置換されていてよく又はこれらの基は、平均で1個よりも多い−(O−CHRa−CHRat−基(式中、それぞれのRaは、独立に、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基若しくはハロアルキル基であり(但し、1個のRa基のみは、ハロアルキル基であってよい)、tは1〜約100、好ましくは1〜約20、更に好ましくは1〜約10、最も好ましくは1〜約5の値を有する)を含有する化合物の末端炭素原子に結合することができる。
【0127】
エポキシ樹脂化合物(C)のために適しているエポキシ樹脂の更に特定の例には、1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、水素化ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールA、4,4’−チオジフェノール、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルオキシド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’−ジメトキシビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−α−メチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシベンズアニリド、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−α−シアノスチルベン、N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミド、4,4’−ジヒドロキシアゾベンゼン、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジメチルアゾキシベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルアセチレン、4,4’−ジヒドロキシカルコン、4−ヒドロキシフェニル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリ(プロピレングリコール)、チオジグリコール、トリス(ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテル;フェノール又はアルキル若しくはハロゲン置換フェノール−アルデヒド酸触媒作用縮合生成物(ノボラック樹脂)のポリグリシジルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジメチル−4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノビフェニルのテトラグリシジルアミン、ジシクロペンタジエン又はそのオリゴマーとフェノール又はアルキル若しくはハロゲン置換フェノールとの縮合生成物のポリグリシジルエーテル及びこれらの任意の組合せが含まれる。
【0128】
エポキシ樹脂組成物の一つの態様は、(a)本発明のエポキシアミド及び(b)一価若しくは多価グリシジルスルフィド、グリシジルアミン、N−(グリシジル)アミド、式Iによって表されないグリシジルエーテル又は式Iによって表されないグリシジルエステルの混合物を含む。エポキシ樹脂組成物の成分(b)中のグリシジルエーテルは、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェノールメタンのジグリシジルエーテル、ヒドロキノン又はレゾルシノールであってよい。一般的に、組成物の全重量の約10重量%〜約40重量%はエポキシアミドを含んでいてよい。
【0129】
エポキシ樹脂化合物(C)として使用することができるエポキシ樹脂には、エポキシ樹脂と芳香族ジ−及びポリヒドロキシル又はカルボン酸含有化合物とのアドバンスメント(advancement)反応生成物が含まれていてもよい。芳香族ジ−及びポリヒドロキシル又はカルボン酸含有化合物と反応させるために使用されるエポキシ樹脂には、種油アルカノールアミドの二官能性グリシジルエーテル又はエステルが含まれてよい。代表的な例は、還元的ヒドロホルミル化したオレイン酸メチル及びn−アルキルエタノールアミンのアミノリシス反応に基づく二官能性グリシジルエステルである。
【0130】
芳香族ジ−及びポリヒドロキシル又はカルボン酸含有化合物の例には、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、2,4−ジメチルレゾルシノール、4−クロロレゾルシノール、テトラメチルヒドロキノン、ビスフェノールA(4,4’−イソプロピリデンジフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−チオジフェノール、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルオキシド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ビス(4(4−ヒドロキシフェノキシ)−フェニルスルホン)ジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジスルフィド、3,3’,3,5’−テトラクロロ−4,4’−イソプロピリデンジフェノール、3,3’,3,5’−テトラブロモ−4,4’−イソプロピリデンジフェノール、3,3’−ジメトキシ−4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−α−メチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシベンズアニリド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)テレフタレート、N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミド、ビス(4’−ヒドロキシビフェニル)テレフタレート、4,4’−ジヒドロキシフェニルベンゾエート、ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1,4−ベンゼンジイミン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、フロログルシノール、ピロガロール、2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルホン、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン、ジシクロペンタジエンジフェノール、トリシクロペンタジエンジフェノール、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ベンズアニリドジカルボン酸、4,4’−フェニルベンゾエートジカルボン酸、4,4’−スチルベンジカルボン酸、アジピン酸及びこれらの任意の組合せが含まれる。
【0131】
一つの態様に於いて、オリゴマーは本発明のグリシジルアミドを多価求核剤によって進めることによって形成することができ、ここで、この多価求核剤はフェノール、カルボン酸、アミン、チオール又はアルコールであってよい。一つの態様に於いて、エポキシ樹脂組成物は、(a)このオリゴマーを、(b)エポキシアミド又はエポキシ樹脂組成物と組み合わせて混合することによって製造することができる。このエポキシ樹脂は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェノールメタンのジグリシジルエーテル、ヒドロキノン又はレゾルシノールであってよい。
【0132】
前記のアドバンスメント反応生成物の製造は、公知の方法(これには、通常、エポキシ樹脂を、平均で、分子当たり1個より多い反応性水素原子を有する、1種又はそれ以上の適切な化合物と組み合わせることが含まれる)を使用して実施することができる。この反応性水素原子は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と反応性である水素原子である。分子当たり1個より多い反応性水素原子を有する化合物対エポキシ樹脂の比は、一般的に、約0.01:1〜約0.95:1、好ましくは約0.05:1〜約0.8:1、更に好ましくは約0.10:1〜約0.5:1の反応性水素原子の当量:エポキシ樹脂中のエポキシ基の当量である。
【0133】
これらのアドバンスメント反応生成物の例には、ジチオール、ジスルホンアミド又は1個の第一級アミン若しくはアミド基、2個の第二級アミン基、1個の第二級アミン基及び1個のフェノール性ヒドロキシ基、1個の第二級アミン基及び1個のカルボン酸基又は1個のフェノール性ヒドロキシ基及び1個のカルボン酸基並びにこれらの任意の組合せを含有する化合物が含まれてよい。
【0134】
アドバンスメント反応は、溶媒の存在下又は不存在下で、熱及び混合の適用によって行うことができる。アドバンスメント反応は、大気圧で、大気圧よりも高い又は大気圧よりも低い圧力で、約20℃〜約260℃、好ましくは約80℃〜約240℃、更に好ましくは約110℃〜約200℃の温度で行うことができる。
【0135】
アドバンスメント反応を完結させるために必要な時間は、使用される温度、使用される分子当たり1個より多い反応性水素原子を有する化合物の化学構造及び使用されるエポキシ樹脂の化学構造のような要因に依存する。より高い温度はより短い反応時間を必要とし、他方、より低い温度は、より長い反応時間を必要とするであろう。
【0136】
一般的に、アドバンスメント反応完結のための時間は、約5分〜約24時間、好ましくは約30分〜約8時間、更に好ましくは約30分〜約4時間の範囲であろう。
【0137】
アドバンスメント反応に、触媒を添加することもできる。この触媒の例には、ホスフィン、第四級アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物及び第三級アミンが含まれてよい。この触媒は、エポキシ樹脂の全重量基準で、約0.01〜約3、好ましくは約0.03〜約1.5、更に好ましくは約0.05〜約1.5重量%の量で使用することができる。
【0138】
本発明に於いて有用であるアドバンスメント反応に関する他の詳細は、米国特許第5,736,620号明細書及びHenry Lee及びKris Neville著Handbook of Epoxy Resins(参照して本明細書に含める)に記載されている。
【0139】
種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂化合物(C)に、機能的に当量の量で添加することができる。例えばエポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂組成物のために意図される特定の最終用途に従って、或る範囲の所望の特性、例えば紫外線に対する耐性、増加した耐衝撃性等を有するエポキシ樹脂組成物を提供する量で添加することができる。
【0140】
一つの態様に於いて、エポキシ樹脂組成物は、(a)少なくとも1種の種油系アルカノールアミドから誘導されるグリシジルエーテルアミドを含むエポキシアミド及び(b)エポキシ樹脂(a)以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂(ここで、種油系アルカノールアミドは脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドの少なくとも1種を含む)を混合することによって製造することができる。
【0141】
一般的に、種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂組成物の全重量基準で、約0.5〜約99%、好ましくは約5〜約55%、更に好ましくは約10〜約40%の量で使用することができる。
【0142】
この硬化性エポキシ樹脂組成物は、例えば硬化促進剤、溶媒、希釈剤(非反応性希釈剤、モノエポキシド希釈剤及び反応性非エポキシド希釈剤を含む)、改質剤、例えば流動改質剤若しくは増粘剤、強化材、充填剤、顔料、染料、離型剤、湿潤剤、安定剤、難燃剤、界面活性剤又はこれらの任意の組合せを含む、少なくとも1種又はそれ以上の任意の添加剤とブレンドすることもできる。
【0143】
これらの添加剤は、機能的に当量の量で添加することができ、例えば顔料及び/又は染料は、所望の色を有する組成物を提供する量で添加することができる。一般的に、添加剤の量は、硬化性エポキシ樹脂組成物の全重量基準で、約0〜約20、好ましくは約0.5〜約5、更に好ましくは約0.5〜約3重量%であろう。
【0144】
本発明において使用することができる硬化促進剤には、例えばモノ、ジ、トリ及びテトラフェノール、塩素化フェノール、脂肪族又は脂環式モノ又はジカルボン酸、芳香族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸、ハロゲン化サリチル酸、ホウ酸、芳香族スルホン酸、イミダゾール、第三級アミン、アミノアルコール、アミノピリジン、アミノフェノール、メルカプトフェノール及びこれらの任意の混合物が含まれる。
【0145】
特に適切な硬化促進剤には、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、4−メチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、4−ニトロフェノール、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、吉草酸、シュウ酸、安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸、5−クロロサリチル酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ヒドロキシ安息香酸、4−エチル−2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノ)フェノール、4−ジメチルアミノピリジン、4−アミノフェノール、2−アミノフェノール、4−メルカプトフェノール又はこれらの任意の組合せが含まれる。
【0146】
本発明において使用することができる溶媒の例には、例えば脂肪族及び芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、脂肪族エーテル、脂肪族ニトリル、環式エーテル、グリコールエーテル、エステル、ケトン、アミド、スルホキシド並びにこれらの任意の組合せが含まれる。
【0147】
特に適切な溶媒には、ペンタン、ヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン,N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、二塩化エチレン、メチルクロロホルム、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、N−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、スルホラン及びこれらの任意の組合せが含まれる。
【0148】
硬化性エポキシ樹脂組成物は、更に、希釈剤を含んでいてよく、ここで、この希釈剤は、非反応性希釈剤、モノエポキシド希釈剤、エポキシ樹脂組成物以外の希釈剤、反応性非エポキシド希釈剤の少なくとも1種及びこれらの任意の組合せからなる。
【0149】
本発明で使用することができる希釈剤の例には、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、スチレン、低分子量ポリスチレン、スチレンオキシド、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンオキシド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、チオジグリコールジグリシジルエーテル、無水マレイン酸、ε−カプロラクタム、ブチロラクタム、アクリロニトリル及びこれらの任意の組合せが含まれる。
【0150】
特に適切な希釈剤には、例えばエポキシ樹脂希釈剤、例えば前記の、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、チオジグリコールジグリシジルエーテル及びこれらの任意の組合せが含まれる。
【0151】
改質剤、例えば増粘剤及び流動改質剤を、硬化性エポキシ樹脂組成物の全重量基準で、0〜約10、好ましくは約0.5〜約6、更に好ましくは約0.5〜約4重量%の量で使用することができる。
【0152】
本発明で使用することができる強化材には、織布、マット、モノフィラメント、マルチフィラメント、一方向繊維、粗紡、ランダム繊維若しくはフィラメント、無機充填剤若しくはホイスカーの形での天然繊維及び合成繊維又は中空球が含まれる。他の適切な強化材には、ガラス、炭素、セラミック、ナイロン、レーヨン、綿、アラミド、グラファイト、ポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びこれらの任意の組合せが含まれる。
【0153】
本発明で使用することができる充填剤には、例えば無機酸化物、セラミック微小球、プラスチック微小球、ガラス微小球、無機ホイスカー、炭酸カルシウム及びこれらの任意の組合せが含まれる。
【0154】
前記充填剤は、硬化性エポキシ樹脂組成物の全重量基準で、約0〜約95、好ましくは約10〜約80、更に好ましくは約40〜約60重量%の量で使用することができる。
【0155】
本発明に従って、硬化エポキシ樹脂は前記の硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化プロセスによって製造することができる。
【0156】
本明細書中に記載された硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化プロセスは大気圧で、大気圧よりも高い又は大気圧よりも低い圧力で、約0℃〜約300℃、好ましくは約25℃〜約250℃、更に好ましくは約25℃〜約200℃の温度で行うことができる。
【0157】
硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化プロセスを完結させるために必要な時間は使用される温度に依存する。より高い温度はより短い硬化時間を必要とし、他方、より低い温度は、より長い硬化時間を必要とするであろう。一般的に、このプロセスは約1分〜約48時間、好ましくは約15分〜約24時間、更に好ましくは約30分〜約12時間で完結させることができる。
【0158】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を部分的に硬化させて(B段階)、B段階生成物を形成させ、続いて、このB段階生成物を後の時点で完全に硬化させるように操作することもできる。
【0159】
本明細書中に記載されたエポキシ樹脂の或るものは、溶媒を使用することなく比較的低い粘度を有し、長時間貯蔵した後でも、室温で結晶化を示さないであろう。更に、エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂の低塩化物(イオン性、加水分解性及び全部)形を含む場合、得られる硬化性エポキシ樹脂組成物も、低い塩化物含有量を有し、これは、一般的なエポキシ樹脂硬化剤の方への増加した反応性、より高い固有のジ−又はポリグリシジルエーテル含有量、減少した潜在的腐食性及び硬化パーツについての改良された電気特性を提供することができる。
【0160】
本明細書中に記載された硬化エポキシ樹脂は、物理的及び機械的特性に於ける改良を示すことができる。例えばこの硬化エポキシ樹脂は、高いガラス転移温度、改良された耐湿性及び耐蝕性、改良されたUV安定性、改良されたコーティング特性並びに従来型のエポキシ樹脂硬化剤との相溶性の1個又はそれ以上を有することができる。
【0161】
下記の実施例に於いても示されるように、このエポキシ樹脂組成物を使用して製造されたコーティングは、ビスフェノールAグリシジルエーテルのエポキシ樹脂を単独で使用して製造された対応するコーティングと比較して、より良いコーティング品質、改良されたメチルエチルケトンに対する耐性、増加した硬度、より高い耐衝撃性及び耐屈曲性、接着の損失無し、紫外線に対する耐性(チョーキングのないコーティング)並びに急速硬化のメンテナンスを示す。
【0162】
本発明のエポキシ樹脂又は硬化エポキシ樹脂は、コーティング、特に、耐溶媒性、耐湿性、耐摩耗性及び耐候性特性を提供する保護コーティング、電気又は構造積層体又は複合材料、フィラメント巻き、成形物、注型品、カプセル封入品、プラスチックス用安定添加剤等に於いて有用であり得る。
【実施例】
【0163】
下記の実施例及び比較実験に於いて、下記の標準的分析装置及び方法を使用する。
【0164】
DB−1毛管カラム(61.4m×0.25mm、Agilent)を使用する、Hewlett Packard 5890 Series II Plusガスクロマトグラフを使用した。このカラムを、クロマトグラフオーブン内で50℃の初期温度で維持した。注入器入口及びフレームイオン化検出器の両方を、300℃で維持した。カラムを通過するヘリウムキャリヤーガス流を、1.1mL/分で維持した。温度プログラムは、50℃で2分間の保持時間、300℃の最終温度まで10℃/分の加熱速度及び15分間の300℃での保持時間を使用した。カラムから溶離しなかったオリゴマーでサンプルを分析したとき、クロマトグラフオーブンを、次のサンプルを分析する前に、残留するオリゴマーが「燃え尽きた(burned off)」まで、300℃で保持した。下記の実施例に於ける全てのGC分析は、面積%で測定し、そのようなものとして、任意の所定の成分の定量的測定ではない。
【0165】
GC分析のためのサンプルは、エポキシ化プロセスからのエポキシ樹脂生成物の0.5mLアリコートの収集及び1mLのアセトニトリルを含有するバイアルへの添加によって調製した。アセトニトリル中の生成物の一部を、混合し、次いで1mLの注射器(Norm-Ject、全ポリプロピレン/ポリエチレン、Henke Sass Wolf GmbH)の中に入れ、注射器フィルター(0.2μm PTFE膜を有するAcrodisc CR13、Pall Corporation,Gelman Laboratories)に通過させて、任意の無機塩又はデブリ(debris)を除去した。
【0166】
加水分解性塩化物は、一般的に、エポキシ化プロセスの間にエポキシド環を与えるための、水酸化ナトリウムでの脱塩化水素により環化しなかったカップリング生成物(例えばクロロヒドリン中間体)から生じる。イオン性塩化物には、エポキシ樹脂生成物中に同伴された、エポキシ化プロセスからの塩化ナトリウム共生成物が含まれる。塩化ナトリウムは水酸化ナトリウムでのクロロヒドリンの脱塩化水素に於いて共生成される。全塩化物は、クロロメチル基の形でのエポキシ樹脂構造の中への塩素結合の原因となる。クロロメチル基は、クロロヒドリン中間体中の第二級ヒドロキシル基とエピクロロヒドリンとのカップリング反応の結果として生成する。イオン性及び加水分解性及び全塩化物は、滴定方法を使用して決定し、他方、全塩化物は、X線蛍光分析により決定した。
【0167】
種々のエポキシ樹脂中のエポキシドパーセントを決定するために、標準的滴定方法を使用した。サンプルを、秤量し(約0.1〜0.2gの範囲)、そしてジクロロメタン(15mL)中に溶解した。酢酸中のテトラエチルアンモニウムブロミド溶液(15mL)を、このサンプルに添加した。得られた溶液を3滴のクリスタルバイオレット溶液(酢酸中0.1%w/v)で処理し、Metrohm665Dosimat滴定器(Brinkmann)上で酢酸中の0.1N過塩素酸で滴定した。ジクロロメタン(15mL)及び酢酸中のテトラエチルアンモニウムブロミド溶液(15mL)からなるブランクサンプルの滴定によって、溶媒バックグラウンドについての補正が得られた。この滴定についての一般的方法は、科学文献、例えばJay,R.R.、“Direct Titration of Epoxy Compounds and Aziridines”、Analytical Chemistry、36,3,667-668(1964年3月)に記載されている。
【0168】
強磁性支持体上に堆積させた非磁性コーティングの厚さを決定するために、Fisher Multiscope厚さ試験器を使用した。Fisher Multiscopeは、プローブを含み、プローブをコーティングに対して置き、Multiscopeを活性化させた後、コーティング厚さを示すために、磁気誘導により操作する。ここで報告されるコーティング厚さ値は、15回のコーティング厚さ測定の平均を表す。
【0169】
ヒドロキシル%(ヒドロキシ数としても知られている)は、ASTM方法D4274を使用して決定した。サンプルのヒドロキシル%を決定するために、サンプルをピリジン中に溶解させ、既知の過剰の、ピリジン中の無水フタル酸を添加した後、1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液を使用して電位差方法によって滴定した。
【0170】
鉛筆試験を使用するフィルム硬度は、ASTM方法D3363に従って決定した。コーティングしたパネルを、固定した水平表面上に置いた。次いで、オペレーターは、既知の硬度の鉛筆を、コーティング又はフィルムに対して、45°の角度でしっかり保持し、そして鉛筆を、1/4インチ(6.5mm)ストロークで、オペレーターの身体から離れるように押す。この試験は、最も軟らかい鉛の鉛筆(6B)で開始し、ストロークによって、鉛筆がフィルム又はコーティングに切り込む又はこれを彫るようになるまで、次第により硬い鉛(9Hの方へ)の鉛筆で続ける。コーティング鉛筆硬度は、フィルム又はコーティングに切り込む又はこれを彫る鉛筆の直前の鉛筆の鉛の硬度によって報告する。
【0171】
メチルエチルケトン(MEK)往復摩擦(double rub)を決定するために、ASTM方法D5402を使用した。MEK中に浸漬した8プライガーゼで覆った、2ポンド(4.4kg)の丸頭ハンマーの丸くなった端部(ピーン(peen))を、コーティングしたパネルの表面上で、コーティングが破れるまで前後に通す。ハンマーの重量及びコーティングを横切ってガーゼで覆ったピーンをガイドするために必要な力のみを、この試験で使用する。コーティング破損は、コーティングの下のパネル支持体の露出で起こる。酸性硫酸銅を使用して、支持体露出及びコーティング破壊を確認する。この試験を数回繰り返し、このような試験の算術平均を、「MEK往復摩擦破損数」として報告する。
【0172】
可撓性を決定するために、ASTM方法D522−93aに従った1/8インチコニカルマンドレル曲げ試験を使用した。可撓性(亀裂に対する耐性)は、Gardner Lab,Inc.によって供給された試験装置を使用して、1/32インチ(0.8mm)以下の厚さを有するシート金属支持体に付着させた有機コーティングについて測定する。この試験装置は、平滑な金属コニカルマンドレル(8インチ(20.3cm)の長さ)、1/8インチ(3.2mm)の小さい端部直径及び1.5インチ(38.1mm)の大きい端部直径、回転パネル−曲げアーム並びにパネルクランプ(全て、金属基体上に装着されている)からなっている。コーティングしたシート金属支持体を、装置内にクランプで固定し、垂直から約135°曲げる。コーティングした金属支持体を、湾曲部付近で亀裂について検査し、存在する場合には、その亀裂長さを、コニカルマンドレルの小さい端部から測定する。測定した亀裂長さを、「破損距離」として報告する。
【0173】
硬化コーティングを試験するために、ASTM D3359−90、試験方法Bに従ったクロスハッチ接着試験を使用した。11刃ナイフを使用して、パネル上に堆積した硬化コーティングを切断して、クロスハッチ(cross-hatched)した3個の区画を作る。マスキングテープの片を、それぞれのクロスハッチした区画にしっかりと押し付け、次いで急速に除去する。コーティングを拡大鏡によって検査して、存在する場合、マスキングテープによってどれだけ多くのコーティングが除去されたかを決定する。コーティングは、切断縁が完全に平滑であると見られ、コーティングのいずれも、クロスハッチした区画の内側の正方形から除去されないとき、「合格」の等級を与える。「不合格」の等級は、切断連結点付近又はクロスハッチした区画の内側部分から又は両方で、コーティングの少なくとも一部が不存在であると見られるとき与える。
【0174】
有機コーティングの急速変形(衝撃)に対する耐性は、ASTM方法D2794直接衝撃及び裏面衝撃を使用して決定した。標準重り(4ポンド(8.8kg))を、硬化フィルム及び硬化フィルム及びコーティングの下にある支持体又はパネルの両方を変形する圧子の上に一定の距離で落とす。この圧子は、押し込みを与え、直接衝撃に対する耐性を評価するために硬化フィルムに対して、又は押し出し力を与え、裏面衝撃を評価するために、硬化コーティングが結合している方とは反対の支持体若しくはパネル表面に対して置くことができる。重り落下の距離は、コーティング破損が起こる距離に到達するまで、徐々に増加させる。硬化フィルム又はコーティングは、一般的に亀裂によって破損し、このことは、特に、変形の後、硬化フィルム又はコーティングに酸性硫酸銅溶液を適用した後、拡大鏡を通して見るとき、一層目に見えて明らかになる。
【0175】
光沢は、ASTM方法D523を使用して決定した。コーティングの水平表面から20°、60°及び85°の角度で分光光沢測定(光反射パーセント)を行うために、Gardner Micro Tri Gloss Meterを使用した。これらの角度のそれぞれでの光沢測定値の平均を報告した。
【0176】
コーティングのQUVA試験を、ASTM方法G53を使用して行った。硬化させた後、コーティングの光沢を、ASTM方法D523に従って、光沢計を使用して測定した。次いで、パネルをASTM方法G53に記載されている装置の中に置き、そこで、それらを、反復サイクルで、60℃で紫外光に4時間及び50℃で水凝縮に4時間、交互に曝露した。この装置に於ける紫外線照射は、340nmの波長で作動するUV−A型ランプの配列からであった。光沢へのこれらの条件の影響を決定するために、パネルを、装置からほぼ100時間毎に短時間取り出し、測定を行った。
【0177】
下記の実施例及び比較実験は、本発明を更に、詳細に示すが、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0178】
実施例1
A.ジエタノールアミン及びひまし油からのアミドポリオールの製造
ひまし油(200.07g)及びジエタノールアミン(276.03g、2.62モル)を、機械式攪拌機及び還流凝縮器を取り付けた、2リットルの丸底フラスコの中に入れた。このフラスコを、電気加熱マントルの中に設置した。加熱マントルは、フラスコ内容物と接触状態にあるガラスウエルの中に漬けたサーモカップルを有する温度制御器によって制御した。撹拌した反応フラスコ内容物を、120℃まで加熱した。この混合物を、120℃で一夜撹拌した。翌朝、サンプルを、フーリエ変換赤外(FTIR)分光光度法分析のために取り、これは、1733cm-1で微量のエステル吸光度を示した。次いで、反応混合物を環境温度まで冷却させ、1kgのクロロホルムを添加した。次いで、このクロロホルム溶液を2%NaCl水溶液400gで4回洗浄した。洗浄したクロロホルム溶液を、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液を、60℃及び2.3mmHgで5時間、ロータリー蒸発させて、クロロホルムを除去した。最終生成物は、環境温度で液体であった。FTIR分光光度法分析及び1H NMR分析は、下記に示されるリシノールアミドトリオール構造を支持した。この物質についてのOH%は1256であった。
【0179】
【化4】

【0180】
B.ひまし油アミドポリオールのポリグリシジルエーテルの合成
上記の実施例1パートAからのひまし油アミドポリオールの一部(95g)を、トルエン(250mL)と共にガラスボトルに添加し、溶解させて溶液を形成させた。硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(30g)をこの溶液に添加し、続いて、機械式振盪機上で4時間静かに混合した。得られた生成物スラリーを、粗いフリットガラス漏斗内に支持された新しい硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(40g)の床に通して濾過し、追加のトルエン(75mL)を使用して、フィルターの内容物中に残留している生成物を、濾液の中に洗い流した。120℃の最高油浴温度を使用する濾液のロータリー蒸発によって、乾燥ひまし油アミドポリオール(93g)を得た。
【0181】
1リットルの三つ口ガラス丸底反応器に、窒素下で、エピクロロヒドリン(185.0g、2.0モル)、水酸化ナトリウム(ペレット、無水、試薬グレード、≧98%)(44.0g、1.10モル)及び硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(99.4g、0.70モル)を装入した。この反応器に、追加的に、凝縮器(0℃で維持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(使用した1LPM N2)及び攪拌機アセンブリ(テフロン(登録商標)櫂、ガラス軸、変速モーター)を取り付けた。予備加温した乾燥ひまし油アミドポリオール(66.5g、0.491−OH当量)を、サイドアーム付ベント式添加漏斗に添加し、次いで反応器に取り付けた。撹拌を開始して、エピクロロヒドリン中の水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムの25℃のスラリーを得た。7分間の撹拌の後、反応器の加熱を、サーモスタットで制御した加熱マントルを使用して開始した。撹拌したスラリーが40℃で平衡になったとき、ひまし油アミドポリオールの初期アリコート(3mL)を反応器に添加した。反応温度を、他の方法で記載しない限り、アリコートの添加の間40℃で維持した。アリコートは、下記のようにして添加した。
【0182】
【表1】

【0183】
エポキシ化反応の進行を、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によってモニターした。反応の累積41時間後に、希薄の黄褐色スラリーの加熱を中止し、続いてメチルイソブチルケトン(MIBK)(400mL)を添加し、ファンによって反応器外側を25℃まで冷却した。このMIBKスラリーを、600mLの粗いフリットガラス漏斗上に支持された珪藻土の1インチパッドの上で真空濾過した。70℃の最高油浴温度を使用する濾液のロータリー蒸発によって、102.17gの薄琥珀色の僅かに濁った液体を得た。珪藻土の上に残留する固体を、新しいMIBK(400mL)を含有するボトルの中に集め、次いで機械式振盪機の上に1時間置いた。次いで、MIBKスラリーを珪藻土パッドに通して真空濾過し、続いて追加の濾液のロータリー蒸発を行って、累積102.70gの生成物を得た。140℃で1時間更にロータリー蒸発して、96.19gの生成物を、透明な黄色液体として得た。GC分析によって、残留するエピクロロヒドリン及びジグリシジルエーテル共生成物を含有する本質的に全部の軽沸点成分が除去されたことが明らかになった。HPLC分析によって、ひまし油アミドポリオールの生成物への100%転化が明らかになった。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均18.56%のエポキシド(231.84EEW)が示された。KClプレート上のポリオール反応剤及びそのポリグリシジルエーテルの両方のニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、下記のことが確認された。
【0184】
(1)ポリグリシジルエーテルについて1643.7cm-1及びポリオール反応剤について1622.7cm-1でのポリグリシジルエーテル中のアミド結合の完全性の維持、
(2)3438.4cm-1でポリグリシジルエーテル中に存在する少量のヒドロキシル吸光度のみを有するポリオール反応剤中の3373.4cm-1でのヒドロキシル基の転化、
(3)ポリグリシジルエーテル中の1111.8cm-1での強い脂肪族エーテルC−Oストレッチの出現並びに
(4)ポリグリシジルエーテル中の1253.3cm-1、910.7cm-1及び849.1cm-1でのエポキシドエーテルC−Oストレッチの出現。
【0185】
ポリオール反応剤及びポリグリシジルエーテル生成物の両方は、非常に少量の吸光度(それぞれ、1734.0cm-1及び1731.4cm-1)(これらは、僅かな量のエステル官能基の指標であろう)を有していた。
【0186】
エポキシ化反応の進行は、HPLC分析によってモニターし、それらの結果を下記の表に示す。累積反応時間についての「無し」は、エポキシ化反応に於いて使用されたひまし油アミドポリオール反応剤を指定する。「最終」は、作業(140℃でのロータリー蒸発)の完結後に回収された生成物を指定する。
【0187】
【表2】

【0188】
実施例2
実施例1パートBからのグリシジルエーテルをベースにするコーティングの製造及び試験
実施例1パートBからのひまし油アミドポリオールグリシジルエーテル(20.0g、0.0863当量)、The Dow Chemical Companyによる、D.E.R.(登録商標)331エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(10.00g、0.0531当量)、Ancamide(登録商標)2353硬化剤(15.89g、0.1394当量、Air Productsから入手可能)及び3滴のBYK(登録商標)310を、ガラスボトル内で組み合わせた。次いで、これらの成分を撹拌して、均質な透明液体を得た。この液体から、コーティングを、BYK Chemie USAからの#48引落しバーを使用して、0.03インチ×4インチ×12インチの研磨した冷間圧延スチールパネルの上に引き落とした。この配合物を、10ミル引落しバー(これもBYK Chemieから)を使用して、3インチ×6インチの未研磨のコイルコートホワイトパネルにも適用した。次いで、これらのコーティングを環境条件で7日間硬化させ、次いで、強制空気対流オーブン内で140°Fで24時間、後硬化させた。硬化後、コーティング厚さを、Fisherscopeフィルム厚さ計を使用して測定した。次いで、このコーティングを試験した。冷間圧延スチールパネルの上のコーティングの試験から得られた特性を表1に示し、コイルコートホワイトパネルの上のコーティングのQUVA試験からのものを表2に示す。
【0189】
実施例3
A.ジエタノールアミン及び還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルからのアミドポリオール(3.3の平均ヒドロキシル官能基)の製造
大豆油の還元的ヒドロホルミル化によって得られた、主鎖中に第一級メチルヒドロキシル基を含有するメチルエステル(400.00g、1.3の平均ヒドロキシル官能基)、85%のKOH0.916g及びジエタノールアミン(514.33g、4.86モル)を、機械式攪拌機及び凝縮器に連結されたディーンシュタルク(Dean Stark)トラップを取り付けた、3リットルの丸底フラスコの中に入れた。このフラスコを、電気加熱マントルの中に設置した。加熱マントルは、フラスコ内容物と接触状態にあるガラスウエルの中に漬けたサーモカップルを有する温度制御器によって制御した。撹拌した反応フラスコ内容物を、110℃まで加熱した。この混合物を、110℃で一夜撹拌した。翌朝、サンプルを、FTIR分光光度法分析のために取り、これは、1735cm-1で微量のエステル吸光度を示した。次いで、反応混合物を環境温度まで冷却させ、1500mLのトルエンを添加した。次いで、このトルエン溶液を5%NaHCO3水溶液500gで4回洗浄した。洗浄したトルエン溶液を、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液を、60℃及び完全真空で3時間、さらに80℃及び完全真空で3時間、ロータリー蒸発させて、トルエンを除去した。最終生成物は、環境温度で半固体であった。FTIR分光光度法分析及び1H NMR分析は、アミドポリオール構造を支持した。この物質についてのOH%は、13.23であった。
【0190】
B.還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(3.3の平均ヒドロキシル官能基)のポリグリシジルエーテルの合成
上記のパートAからの還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(3.3の平均ヒドロキシル官能基)の一部(125g)を、ジクロロメタン(500mL)と共にガラスボトルに添加し、溶解させて溶液を形成させた。硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(40g)をこの溶液に添加し、続いて、機械式振盪機上で16時間静かに混合した。得られた生成物スラリーを、粗いフリットガラス漏斗内に支持された新しい硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(40g)の床に通して濾過し、追加のジクロロメタン(75mL)を使用して、フィルターの内容物中に残留している生成物を、濾液の中に洗い流した。濾液のロータリー蒸発を完結させて、ジクロロメタンを除去した。トルエン(200mL)を、得られた生成物に添加して、スラリーを生成させ、これを、120℃の最高油浴温度を使用してロータリー蒸発させて、乾燥還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(122g)を得た。
【0191】
1リットルの三つ口ガラス丸底反応器に、窒素下で、エピクロロヒドリン(185.0g、2.0モル)、水酸化ナトリウム(ペレット、無水、試薬グレード、≧98%)(44.0g、1.10モル)及び硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(85.2g、0.60モル)を装入した。この反応器に、追加的に、凝縮器(0℃で維持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(使用した1LPM N2)及び攪拌機アセンブリ(テフロン(登録商標)櫂、ガラス軸、変速モーター)を取り付けた。予備加温した乾燥還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(63.8g、0.491−OH当量)を、サイドアーム付ベント式漏斗に添加し、次いで反応器に取り付けた。撹拌を開始して、エピクロロヒドリン中の水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムの25℃のスラリーを得た。3分間の撹拌の後、反応器の加熱を、サーモスタットで制御した加熱マントルを使用して開始した。撹拌したスラリーが40℃で平衡になったとき、乾燥還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールの初期アリコート(4mL)を反応器に添加した。反応温度を、他の方法で記載しない限り、アリコートの添加の間40℃で維持した。アリコートは、下記のようにして添加した。
【0192】
【表3】

【0193】
エポキシ化反応の進行を、HPLC分析によってモニターした。反応の累積5.5時間後に、追加のエピクロロヒドリン(46.3g、0.50モル)を、反応器内の、濃厚であるが、未だ容易に撹拌された薄黄褐色のスラリーに添加した。反応の累積23.7時間後に、希薄の黄褐色のスラリーの加熱を中止し、続いてMIBK(400mL)を添加し、ファンによって反応器外側を25℃まで冷却した。このMIBKスラリーを、600mLの粗いフリットガラス漏斗上に支持された珪藻土の1インチパッドの上で真空濾過した。70℃の最高油浴温度を使用する濾液のロータリー蒸発によって、101.06gの不透明な白色液体を得た。珪藻土の上に残留する固体を、新しいMIBK(400mL)を含有するボトルの中に集め、次いで機械式振盪機の上に1時間置いた。次いで、MIBKスラリーを珪藻土パッドに通して真空濾過し、続いて追加の濾液のロータリー蒸発を行って、累積98.5gのカラメル色の濁った生成物(注:更なる徹底的なロータリー蒸発のために、より少ない重量が得られた)を得た。この生成物を、トルエン(150mL)中に溶解させ、次いで600mLの粗いフリットガラス漏斗上に支持された珪藻土の1.5インチパッドの上で真空濾過した。70℃の最高油浴温度を使用する濾液のロータリー蒸発によって、89.95gの透明な黄色液体を得た。
【0194】
140℃で1時間更にロータリー蒸発して、86.4gの透明な黄色液体を得た。GC分析によって、残留するエピクロロヒドリン及びジグリシジルエーテル共生成物を含有する本質的に全部の軽沸点成分が除去されたことが明らかになった。HPLC分析によって、還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールの生成物への100%転化が明らかになった。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均21.57%のエポキシド(199.48EEW)が示された。KClプレート上のポリオール反応剤及びそのポリグリシジルエーテルの両方のニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、下記のことが確認された。
【0195】
(1)ポリグリシジルエーテルについて1645.4cm-1及びポリオール反応剤について1622.1cm-1でのポリグリシジルエーテル中のアミド結合の完全性の維持、
(2)3456.2cm-1でポリグリシジルエーテル中に存在する少量のヒドロキシル吸光度のみを有するポリオール反応剤中の3362.9cm-1でのヒドロキシル基の転化、
(3)ポリグリシジルエーテル中の1108.9cm-1での強い脂肪族エーテルC−Oストレッチの出現並びに
(4)ポリグリシジルエーテル中の1253.2cm-1、910.6cm-1及び848.6cm-1でのエポキシドエーテルC−Oストレッチの出現。
【0196】
ポリオール反応剤及びポリグリシジルエーテル生成物の両方は、非常に少量の吸光度(それぞれ、1734.7cm-1及び1732.5cm-1)(これらは、僅かな量のエステル官能基の指標であろう)を有していた。
【0197】
エポキシ化反応の進行は、HPLC分析によってモニターし、それらの結果を下記の表に示す。累積反応時間についての「無し」は、エポキシ化反応に於いて使用された還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール反応剤を指定する。「最終」は、作業(140℃でのロータリー蒸発)の完結後に回収された生成物を指定する。
【0198】
【表4】

【0199】
実施例4
実施例3パートBからのグリシジルエーテルをベースにするコーティングの製造及び試験
実施例3パートBからの還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールグリシジルエーテル(11.48g、0.0575当量)、The Dow Chemical Companyから入手可能な、D.E.R.(登録商標)331エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(5.74g、0.0305当量)、Air ProductsによるAncamide(登録商標)2353硬化剤(10.03g、0.0880当量)及び3滴のBYK(登録商標)310を、ガラスボトル内で組み合わせた。次いで、これらの成分を撹拌して、均質な透明液体を得た。この液体から、コーティングを、BYK Chemie USAからの#48引落しバーを使用して、0.03インチ×4インチ×12インチの研磨した冷間圧延スチールパネルの上に引き落とした。この配合物も、10ミル引落しバー(これもBYK Chemieから)を使用して、3インチ×6インチの未研磨のコイルコートホワイトパネルに適用した。次いで、これらのコーティングを環境条件で7日間硬化させ、次いで、強制空気対流オーブン内で140°Fで24時間、後硬化させた。硬化後、コーティング厚さを、Fisherscopeフィルム厚さ計を使用して測定した。次いで、このコーティングを試験した。冷間圧延スチールパネルの上のコーティングの試験から得られた特性を表1に示し、コイルコートホワイトパネルの上のコーティングのQUVA試験からのものを表2に示す。
【0200】
実施例5
実施例3パートBに従って製造したグリシジルエーテルをベースにするコーティングの製造及び試験
実施例3パートBに従って製造した還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールグリシジルエーテル(21.11g、0.1033当量)、Air ProductsによるAncamide(登録商標)2353硬化剤(11.78g、0.1033当量)及び3滴のBYK(登録商標)310を、ガラスボトル内で組み合わせた。次いで、これらの成分を撹拌して、均質な透明液体を得た。この液体から、コーティングを、BYK Chemie USAからの#48引落しバーを使用して、0.03インチ×4インチ×12インチの研磨した冷間圧延スチールパネルの上に引き落とした。この配合物を、10ミル引落しバー(これもBYK Chemieから)を使用して、3インチ×6インチの未研磨のコイルコートホワイトパネルにも適用した。次いで、これらのコーティングを環境条件で7日間硬化させ、次いで、強制空気対流オーブン内で140°Fで24時間、後硬化させた。硬化後、コーティング厚さを、Fisherscopeフィルム厚さ計を使用して測定した。次いで、このコーティングを試験した。冷間圧延スチールパネルの上のコーティングの試験から得られた特性を表1に示し、コイルコートホワイトパネルの上のコーティングのQUVA試験からのものを表2に示す。
【0201】
実施例6
増加した洗浄を伴う、還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(3.3の平均ヒドロキシル官能基)のポリグリシジルエーテルの合成
ジエタノールアミン及び還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルからのアミドポリオール(3.3のヒドロキシル官能基)の製造を、トルエン溶液を、5%NaHCO3水溶液500mLで5回、続いて脱イオン水500mLで2回の合計で洗浄したという一つのことを除いて、実施例3パートAの方法を使用して完結した。この物質についてのOH%は、13.578であった。このポリグリシジルエーテルは、還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(3.3の官能基)反応剤を、無水硫酸ナトリウムで予備乾燥しないで、直接使用したことを除いて、実施例3パートBの方法を使用して合成した。HPLC分析によって、還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールの生成物への100%転化が明らかになった。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均22.466%のエポキシド(191.54EEW)が示された。KClプレート上のポリオール反応剤及びそのポリグリシジルエーテルの両方のニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、ポリグリシジルエーテル中のアミド結合(1645.4cm-1)の完全性の維持、ポリグリシジルエーテル中に存在する非常に少量のヒドロキシル吸光度(3447.6cm-1)のみを有するポリオール反応剤中のヒドロキシル基の転化、ポリグリシジルエーテル中の強い脂肪族エーテルC−Oストレッチ(1108.6cm-1)の出現並びにポリグリシジルエーテル中のエポキシドエーテルC−Oストレッチ(1253.2cm-1、910.6cm-1及び848.4cm-1)の出現が示された。ポリオール反応剤及びポリグリシジルエーテル生成物の両方は、非常に少量の吸光度(これらは、僅かな量のエステル官能基の指標であろう)を有していた。
【0202】
エポキシ化反応の進行は、HPLC分析によってモニターし、それらの結果を下記の表に示す。累積反応時間についての「無し」は、エポキシ化反応に於いて使用された還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール反応剤を指定する。「最終」は、作業(100℃でのロータリー蒸発)の完結後に回収された生成物を指定する。
【0203】
【表5】

【0204】
比較実験A−D.E.R.(登録商標)331エポキシ樹脂をベースにするコーティング(対照)の製造及び試験
The Dow Chemical Companyから入手可能な、D.E.R.(登録商標)331エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(30.00g、0.159当量)、Ancamide(登録商標)2353硬化剤(18.14g、0.159当量、Air Productsから入手可能)及び3滴のBYK(登録商標)310を、ガラスボトル内で組み合わせた。次いで、これらの成分を撹拌して、均質な透明液体を得た。この液体から、コーティングを、BYK Chemie USAからの#48引落しバーを使用して、0.03インチ×4インチ×12インチの研磨した冷間圧延スチールパネルの上に引き落とした。この配合物を、10ミル引落しバー(これもBYK Chemieから)を使用して、3インチ×6インチの未研磨のコイルコートホワイトパネルにも適用した。次いで、これらのコーティングを環境条件で7日間硬化させ、次いで、強制空気対流オーブン内で140°Fで24時間、後硬化させた。硬化後、コーティング厚さを、Fisherscopeフィルム厚さ計を使用して測定した。次いで、このコーティングを試験した。冷間圧延スチールパネルの上のコーティングの試験から得られた特性を表1に示し、コイルコートホワイトパネルの上のコーティングのQUVA試験からのものを表2に示す。
【0205】
実施例7
A.ジエタノールアミン及び11−ヒドロキシウンデカン酸メチルからのアミドポリオールの製造
11−ヒドロキシウンデカン酸メチル(158.4g、0.7322モル)、ジエタノールアミン(154.8g、1.472モル)、85%水酸化カリウム(2.60g、0.039モル)及びトルエン140mLを、磁気攪拌機及び水冷還流凝縮器を取り付けた、500mLの丸底フラスコの中に入れた。このフラスコを、電気加熱マントル中の砂浴の中に設置した。砂浴温度は、砂浴の中に埋めたサーモカップルを有する温度制御器によって制御した。反応フラスコを、60℃まで加熱した。ここで、反応剤の全部は、トルエン中に溶解して、透明な溶液を生成した。この混合物を、60℃で24時間攪拌した。24時間で、サンプルをFTIRのために取り、これは、1729cm-1で微量のエステル吸光度を示した。更なるジエタノールアミン(10.2g)を添加し、反応混合物を、60℃で更に18時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却させ、次いで、35℃及び4インチHgで2時間、ロータリー蒸発させて、メタノールを除去した。得られた固体を、350mLの2%NaCl水溶液と共に3時間攪拌し、次いで、粗いガラスフリットブフナー漏斗に通して真空濾過し、100mLの2%NaCl水溶液で洗浄した。この固体を、350mLの新しい2%NaCl水溶液と3時間混合し、次いで、粗いガラスフリットブフナー漏斗に通して濾過した。この固体を、100mLの2%NaCl水溶液で2回、続いて100mLの脱イオン水で洗浄した。この生成物を、換気フード内で3日間、空気乾燥させた。この固体(180.7g)を、500mLのトルエンと2時間混合し、次いで、粗いガラスフリットブフナー漏斗に通して真空濾過した。この固体を、200mLのトルエンで2回洗浄し、一夜空気乾燥させた。次いで、この物質を、一定重量にまでロータリー蒸発させた。白色粉末であった最終生成物は、158.9gの重量であった(理論値の75.0%)。FTIR、1H NMR及び13C NMR分析を、この生成物で行った。これらの分析は、下記に示されるアミドトリオール構造を支持した。
【0206】
【化5】

【0207】
B.ヒドロキシメチルウンデカノエートアミドポリオールのポリグリシジルエーテルの合成
1リットルの三つ口ガラス丸底反応器に、窒素下で、エピクロロヒドリン(296.1g、3.2モル)、水酸化ナトリウム(ペレット、無水、試薬グレード、≧98%)(35.8g、0.9モル)及び硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(79.5g、0.56モル)を装入した。この反応器に、追加的に、凝縮器(0℃で維持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(使用した1LPM N2)、粉砕ガラスストッパー及び攪拌機アセンブリ(テフロン(登録商標)櫂、ガラス軸、変速モーター)を取り付けた。上記の実施例7パートAからの固体ヒドロキシメチルウンデカノエートアミドポリオール(40.5g、0.40−OH当量)を、ボトルの中に秤量し、密閉した。撹拌を開始して、エピクロロヒドリン中の水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムの24℃のスラリーを得た。2分間の撹拌の後、反応器の加熱を、サーモスタットで制御した加熱マントルを使用して開始した。撹拌したスラリーが40%で平衡になったとき、固体ヒドロキシメチルウンデカノエートアミドポリオールの初期アリコート(2.62g)を、スパチュラを使用して反応器に添加した。反応温度を、他の方法で記載しない限り、アリコートの添加の間40℃で維持した。アリコートは、下記のようにして添加した。
【0208】
【表6】

【0209】
エポキシ化反応の進行を、HPLC分析によってモニターした。反応の累積69.3時間後に、希薄の黄褐色スラリーの加熱を中止し、続いてMIBK(400mL)を添加し、ファンによって反応器外側を25℃まで冷却した。このMIBKスラリーを、4個のポリプロピレンボトルの中に等分に分割し、これらを密閉し、2000RPMで40分間遠心分離した。透明な液体の頂部層を、真空を使用して、600mLの粗いフリットガラス漏斗上に支持された珪藻土の1インチパッドに通してデカンテーションした。ボトルに残った固体を、新しいMIBK(400mL)を使用して均一に稀釈し、次いで機械式振盪機の上に1時間置き、続いて、上記のように、遠心分離及びデカンテーションをした。追加のMIBK(50mL)を使用して、フィルターの内容物中に残留した生成物を、濾液の中に洗い流した。140℃の最高油浴温度で1時間で仕上げる濾液のロータリー蒸発によって、54.19gの透明な薄琥珀色液体を得た。GC分析によって、残留するエピクロロヒドリン及びジグリシジルエーテル共生成物を含有する本質的に全部の軽沸点成分が除去されたことが明らかになった。HPLC分析によって、ヒドロキシメチルウンデカノエートアミドポリオールの生成物への100%転化が明らかになった。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均26.10%のエポキシド(164.87EEW)が示された。KClプレート上のポリオール反応剤及びそのポリグリシジルエーテルの両方のニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、下記のことが確認された(注:ポリオール反応剤のフィルムは、KClプレート上で固体を溶融することによって調製した)。
【0210】
(1)ポリグリシジルエーテルについて1644.1cm-1及びポリオール反応剤について1604.7cm-1でのポリグリシジルエーテル中のアミド結合の完全性の維持、
(2)3458.7cm-1でポリグリシジルエーテル中に存在する少量のヒドロキシル吸光度のみを有するポリオール反応剤中の3427.8cm-1及び3225.9cm-1(ショルダーも存在する)でのヒドロキシル基の転化、
(3)ポリグリシジルエーテル中の1110.1cm-1での強い脂肪族エーテルC−Oストレッチの出現並びに
(4)ポリグリシジルエーテル中の1253.8cm-1、909.8cm-1及び851.7cm-1でのエポキシドエーテルC−Oストレッチの出現。
【0211】
ポリオール反応剤及びポリグリシジルエーテル生成物の両方は、非常に少量の吸光度(それぞれ、1733.8cm-1及び1733.6cm-1)(これらは、僅かな量のエステル官能基の指標であろう)を有していた。
【0212】
エポキシ化反応の進行は、HPLC分析によってモニターし、それらの結果を下記の表に示す。累積反応時間についての「無し」は、エポキシ化反応に於いて使用された11−ヒドロキシウンデカノエートメチルアミドポリオール反応剤を指定する。「最終」は、作業(140℃でのロータリー蒸発)の完結後に回収された生成物を指定する。
【0213】
【表7】

【0214】
実施例8
実施例7パートBからのグリシジルエーテルをベースにするコーティングの製造及び試験
実施例7パートBからの11−ヒドロキシウンデカノエートメチルアミドポリオールグリシジルエーテル(4.02g、0.0244当量)、The Dow Chemical Companyから入手可能な、D.E.R.(登録商標)331エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(2.01g、0.0106当量)、Air ProductsによるAncamide(登録商標)2353硬化剤(4.00g、0.0880当量)及び3滴のBYK(登録商標)310を、ガラスボトル内で組み合わせた。次いで、これらの成分を撹拌して、均質な透明液体を得た。この液体から、コーティングを、BYK Chemie USAからの#48引落しバーを使用して、0.03インチ×4インチ×12インチの研磨した冷間圧延スチールパネルの上に引き落とした。この配合物を、10ミル引落しバー(これもBYK Chemieから)を使用して、3インチ×6インチの未研磨のコイルコートホワイトパネルにも適用した。次いで、これらのコーティングを環境条件で5日間硬化させ、次いで、強制空気対流オーブン内で140°Fで24時間、後硬化させた。硬化後、コーティング厚さを、Fisherscopeフィルム厚さ計を使用して測定した。次いで、このコーティングを試験した。冷間圧延スチールパネルの上のコーティングの試験から得られた特性を表1に示し、コイルコートホワイトパネルの上のコーティングのQUVA試験からのものを表2に示す。
【0215】
実施例9
A.ジエタノールアミン及び還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルからのアミドポリオール(3.0の平均ヒドロキシル官能基)の製造
還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステル(400.0g、1.3の平均ヒドロキシル官能基)及び511.7gのジエタノールアミンを、加熱マントル、サーモカップル、機械式攪拌機、凝縮器を有するディーンシュタルクトラップ及び窒素ヘッドスペースパージチューブを取り付けた、2000mLの三つ口フラスコの中に秤量した。10mLのメタノール中の0.93gのKOHの溶液を、このフラスコに添加した。このフラスコを、加熱し、110℃で一夜維持した。翌朝、この内容物を冷却し、その後、1000gのトルエン中に溶解させた。この溶液を、1600gの2重量%のNaHCO3水溶液で3回洗浄し、80gのMgSO4で乾燥し、減圧下で60℃での溶媒のロータリー蒸発によって、生成物を単離した。約450gの生成物を回収した。この生成物の1H NMR及びFTIR分析は、アミドトリオール構造と一致した。
【0216】
B.還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(3.0の平均ヒドロキシル官能基)のポリグリシジルエーテルの合成
上記のパートAからの還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(3.0の平均ヒドロキシル官能基)の一部(175g)を、ジクロロメタン(500mL)と共にガラスボトルに添加し、溶解させて溶液を形成させた。硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(50g)をこの溶液に添加し、続いて、機械式振盪機上で16時間静かに混合した。得られた生成物スラリーを、粗いフリットガラス漏斗内に支持された新しい硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(40g)の床に通して濾過し、追加のジクロロメタン(75mL)を使用して、フィルターの内容物中に残留している生成物を、濾液の中に洗い流した。濾液のロータリー蒸発を完結させて、ジクロロメタンを除去した。トルエン(200mL)を、得られた生成物に添加して、スラリーを生成させ、これを、120℃の最高油浴温度を使用してロータリー蒸発させて、乾燥還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(172.8g)を得た。
【0217】
1リットルの三つ口ガラス丸底反応器に、窒素下で、エピクロロヒドリン(185.0g、2.0モル)、水酸化ナトリウム(ペレット、無水、試薬グレード、≧98%)(44.0g、1.10モル)及び硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(85.2g、0.60モル)を装入した。この反応器に、追加的に、凝縮器(0℃で維持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(使用した1LPM N2)及び攪拌機アセンブリ(テフロン(登録商標)櫂、ガラス軸、変速モーター)を取り付けた。予備加温した乾燥還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(67.7g、0.491−OH当量)を、サイドアーム付ベント式添加漏斗に添加し、次いで反応器に取り付けた。撹拌を開始して、エピクロロヒドリン中の水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムの25℃のスラリーを得た。13分間の撹拌の後、反応器の加熱を、サーモスタットで制御した加熱マントルを使用して開始した。撹拌したスラリーが40℃で平衡になったとき、乾燥還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールの初期アリコート(8mL)を反応器に添加した。反応温度を、他の方法で記載しない限り、アリコートの添加の間40℃で維持した。アリコートは、下記のようにして添加した。
【0218】
【表8】

【0219】
反応の累積23.2時間後に、希薄の薄黄褐色スラリーの加熱を中止し、続いてMIBK(400mL)を添加し、ファンによって反応器外側を25℃まで冷却した。このMIBKスラリーを、600mLの粗いフリットガラス漏斗上に支持された珪藻土の1インチパッドの上で真空濾過した。70℃の最高油浴温度を使用する濾液のロータリー蒸発によって、95.07gの生成物を得た。珪藻土の上に残留する固体を、新しいMIBK(400mL)を含有するボトルの中に集め、次いで機械式振盪機の上に1時間置いた。次いで、MIBKスラリーを珪藻土パッドに通して真空濾過し、続いて追加の濾液のロータリー蒸発を行って、累積98.8gの生成物を得た。120℃で1時間、次いで140℃で1時間、更なるロータリー蒸発を行い、続いて600mLの中度のフリットガラス漏斗上に支持された珪藻土の1インチパッドの上で熱いうちに濾過して、僅かに不透明な琥珀色液体を得た。GC分析によって、残留するエピクロロヒドリン及びジグリシジルエーテル共生成物を含有する本質的に全部の軽沸点成分が除去されたことが明らかになった。HPLC分析によって、還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールの生成物への100%転化が明らかになった。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均20.74%のエポキシド(207.49EEW)が示された。KClプレート上のポリオール反応剤及びそのポリグリシジルエーテルの両方のニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、下記のことが確認された。
【0220】
(1)ポリグリシジルエーテルについて1645.6cm-1及びポリオール反応剤について1619.7cm-1でのポリグリシジルエーテル中のアミド結合の完全性の維持、
(2)ポリグリシジルエーテル中に存在する微量のヒドロキシル吸光度のみを有するポリオール反応剤中の3380.6cm-1でのヒドロキシル基の転化、
(3)ポリグリシジルエーテル中の1109.0cm-1での強い脂肪族エーテルC−Oストレッチの出現並びに
(4)ポリグリシジルエーテル中の1253.2cm-1、910.5cm-1及び848.5cm-1でのエポキシドエーテルC−Oストレッチの出現。
【0221】
ポリオール反応剤及びポリグリシジルエーテル生成物の両方は、非常に少量の吸光度(それぞれ、1734.1cm-1及び1733.6cm-1)(これらは、僅かな量のエステル官能基の指標であろう)を有していた。
【0222】
エポキシ化反応の進行は、HPLC分析によってモニターし、それらの結果を下記の表に示す。累積反応時間についての「無し」は、エポキシ化反応に於いて使用された還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール反応剤を指定する。「最終」は、作業(140℃でのロータリー蒸発)の完結後に回収された生成物を指定する。
【0223】
【表9】

【0224】
実施例10
蒸留した9−及び10−ヒドロキシメチルステアレートアミドポリオールのポリグリシジルエーテルの合成
2リットルの三つ口ガラス丸底反応器に、窒素下で、エピクロロヒドリン(602.3g、6.51モル)、水酸化ナトリウム(ペレット、無水、試薬グレード、≧98%)(107.5g、2.69モル)及び硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(208.3g、1.47モル)を装入した。この反応器に、追加的に、凝縮器(−3℃で維持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(使用した1LPM N2)、粉砕ガラスストッパー及び攪拌機アセンブリ(テフロン(登録商標)櫂、ガラス軸、変速モーター)を取り付けた。ヒドロキシメチルステアレートアミドポリオール(165.94g、1.20−OH当量)を、サイドアーム付ベント式添加漏斗に添加し、次いで反応器に取り付けた。使用したヒドロキシメチルステアレートは、主として9−及び10−ヒドロキシメチルステアレートの混合物からなる蒸留した生成物(HPLC分析により、一方の異性体は40.5面積%を含み、他方の異性体は48.2面積%を含む88.7面積%で、残りは、0.60〜3.8面積%の範囲である9種の少量成分)であった。この材料についてのヒドロキシル当量重量は、138.288であった。撹拌を開始して、エピクロロヒドリン中の水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムの22℃のスラリーを得た。15分間の撹拌の後、反応器の加熱を、サーモスタットで制御した加熱マントルを使用して開始した。撹拌したスラリーが40℃で平衡になったとき、ヒドロキシメチルステアレートの滴下添加を開始した。反応温度を、3.7時間で完結した添加の間、40℃で維持した。エポキシ化反応の進行を、HPLC分析によってモニターした。反応スラリーは、添加の完結後5.55時間で粘度が上昇したが、未だ容易に撹拌された。この時点で、追加のエピクロロヒドリン(100mL)を添加し、粘度を低下させた。添加の完結後累積43.55時間で、希薄の薄黄褐色スラリーの加熱を中止し、続いてMIBK(800mL)を添加し、ファンによって反応器外側を25℃まで冷却した。このMIBKスラリーを、8個のポリプロピレンボトルの中に等分に分割し、これらを密閉し、3000RPMで1時間遠心分離した。透明な液体の頂部層を、真空と共にサイドアームフラスコを使用して、600mLの中度フリットガラス漏斗上に支持された珪藻土のパッド(1インチのCelite545底部層、1/2インチのCelite Standard Super Cel中間層、1インチのCelite545頂部層)に通してデカンテーションした。僅かに濁った濾液を回収し、真空と共にサイドアームフラスコを使用して、600mLの中度フリットガラス漏斗上に支持された珪藻土の第二のパッド(1インチのCelite545底部層、1/2インチのCelite577中間層、1インチのCelite545頂部層)に通した。この第二の真空濾過からの濾液は透明であった。ボトル内に残った固体を、新しいMIBK(275g)を使用して均一に稀釈し、次いで機械式振盪機の上に45分間置き、続いて、前記のように、遠心分離及びデカンテーションをした。追加のMIBK(フィルターごとに50mL)を使用して、フィルター内に残留した生成物を、濾液の中に洗い流した。140℃の最高油浴温度で1時間で仕上げる濾液のロータリー蒸発によって、113.80gの透明な薄琥珀色液体を得た。GC分析によって、残留するエピクロロヒドリン及びジグリシジルエーテル共生成物を含有する本質的に全部の軽沸点成分が除去されたことが明らかになった。HPLC分析によって、9−及び10−ヒドロキシメチルステアレートアミドポリオールの生成物への100%転化が明らかになった。エポキシ化反応の最初のコース中でHPLC分析によって観察されたモノグリシジルエーテルは、最終エポキシ樹脂生成物の中に完全に進んだ。更に、7.36面積%及び5.18面積%を含み、HPLC分析によって観察された一対のピークは、ジグリシジルエーテルに帰属された。35.03面積%及び43.33面積%を含んでなる、HPLC分析によって観察された第二の一対のピークは、トリグリシジルエーテルに帰属された。エポキシ樹脂生成物のHPLC分析からの残りは、0.80面積%〜1.48面積%の範囲内の8種の少量成分からなった。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均20.95%のエポキシド(205.38EEW)が示された。KClプレート上のポリオール反応剤及びそのポリグリシジルエーテルの両方のニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、下記のことが確認された。
【0225】
(1)ポリグリシジルエーテルについて1645.9cm-1及びポリオール反応剤について1622.3cm-1でのポリグリシジルエーテル中のアミド結合の完全性の維持、
(2)3454.3cm-1でのポリグリシジルエーテル中に存在する非常に少量のヒドロキシル吸光度のみを有するポリオール反応剤中の3372.2cm-1でのヒドロキシル基の転化、
(3)ポリグリシジルエーテル中の1109.5cm-1での強い脂肪族エーテルC−Oストレッチの出現並びに
(4)ポリグリシジルエーテル中の1253.2cm-1、910.6cm-1及び848.4cm-1でのエポキシドエーテルC−Oストレッチの出現。
【0226】
ポリオール反応剤及びポリグリシジルエーテル生成物の両方は、非常に少量の吸光度(それぞれ、1735.2cm-1及び1733.5cm-1)(これらは、僅かな量のエステル官能基の指標であろう)を有していた。
【0227】
エポキシ化反応の進行は、HPLC分析によってモニターし、それらの結果を下記の表に示す。累積反応時間についての「無し」は、エポキシ化反応に於いて使用した9−及び10−ヒドロキシメチルステアレートアミドトリオール反応剤の蒸留の等級を指定する。「最終」は、作業(140℃でのロータリー蒸発)の完結後に回収した生成物を指定する。
【0228】
【表10】

【0229】
実施例11
再結晶した12−ヒドロキシメチルステアレートアミドポリオールのポリグリシジルエーテルの合成
2リットルの三つ口ガラス丸底反応器に、窒素下で、エピクロロヒドリン(351.0g、3.79モル)、水酸化ナトリウム(ペレット、無水、試薬グレード、≧98%)(60.7g、1.52モル)及び硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(150.9g、1.06モル)を装入した。この反応器に、追加的に、凝縮器(0℃で維持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(使用した1LPM N2)、粉砕ガラスストッパー及び攪拌機アセンブリ(テフロン(登録商標)櫂、ガラス軸、変速モーター)を取り付けた。12−ヒドロキシメチルステアレートアミドポリオール(95.00g、0.759−OH当量)を、サイドアーム付ベント式添加漏斗に添加し、次いで反応器に取り付けた。使用した12−ヒドロキシメチルステアレートは、水素化したリシノール酸メチルからの再結晶した生成物であった。12−ヒドロキシメチルステアレートアミドポリオールについての−OH%は、13.58であった。撹拌を開始して、エピクロロヒドリン中の水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムの23℃のスラリーを得た。15分間の撹拌の後、反応器の加熱を、サーモスタットで制御した加熱マントルを使用して開始した。撹拌したスラリーが40℃で平衡になったとき、12−ヒドロキシメチルステアレートの添加を、20mLアリコートで開始した。反応温度を、1.33時間で完結した添加の間、40℃で維持した。エポキシ化反応の進行を、HPLC分析によってモニターした。添加の完結後累積27.13時間で、希薄のオフホワイト色スラリーの加熱を中止し、続いてMIBK(400mL)を添加し、ファンによって反応器外側を25℃まで冷却した。このMIBKスラリーを、4個のポリプロピレンボトルの中に等分に分割し、これらを密閉し、3000RPMで1時間遠心分離した。透明な液体の頂部層を、真空と共にサイドアームフラスコを使用して、600mLの中度フリットガラス漏斗上に支持された珪藻土のパッド(1インチのCelite545底部層、1/2インチのCelite577中間層、1インチのCelite545頂部層)に通してデカンテーションした。この真空濾過からの濾液は透明な薄黄色溶液であった。ボトル内に残った固体を、新しいMIBKを使用して均一に稀釈して、ボトル当たり280gの全重量を得、次いで機械式振盪機の上に45分間置き、続いて、前記のように、遠心分離及びデカンテーションをした。追加のMIBK(50mL)を使用して、フィルター内に残留した生成物を、濾液の中に洗い流した。100℃の最高油浴温度で1時間で仕上げる濾液のロータリー蒸発によって、145.61gの透明な薄黄色液体を得た。この液体を、無水硫酸ナトリウム(2.0g)を含有するトルエン(200mL)の中に溶解し、密閉し、12時間磁気攪拌した。サイドアームフラスコを使用して、600mLの中度フリットガラス漏斗上に支持された珪藻土及びシリカゲルのパッド(1/2インチのCelite545底部層、1/4インチのシリカゲル中間層、1/2インチのCelite545頂部層)に通す真空濾過によって、透明な黄色濾液を得た。100℃の最高油浴温度で2時間で仕上げる濾液のロータリー蒸発によって、130.44gの透明な琥珀色液体を得た。GC分析によって、残留するエピクロロヒドリン及びジグリシジルエーテル共生成物を含有する本質的に全部の軽沸点成分が除去されたことが明らかになった。HPLC分析によって、12−ヒドロキシメチルステアレートアミドポリオールの生成物への100%転化が明らかになった。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均21.80%のエポキシド(197.39EEW)が示された。KClプレート上のポリオール反応剤及びそのポリグリシジルエーテルの両方のニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、下記のことが確認された。
【0230】
(1)ポリグリシジルエーテルについて1642.1cm-1及びポリオール反応剤について1618.9cm-1でのポリグリシジルエーテル中のアミド結合の完全性の維持、
(2)3450.3cm-1でのポリグリシジルエーテル中に存在する少量のヒドロキシル吸光度のみを有するポリオール反応剤中の3340.9cm-1でのヒドロキシル基の転化、
(3)ポリグリシジルエーテル中の1110.4cm-1での強い脂肪族エーテルC−Oストレッチの出現並びに
(4)ポリグリシジルエーテル中の1253.5cm-1、910.8cm-1及び850.6cm-1でのエポキシドエーテルC−Oストレッチの出現。
【0231】
ポリオール反応剤及びポリグリシジルエーテル生成物の両方は、非常に少量の吸光度(それぞれ、1737.3cm-1[ショルダーも存在する]及び1739.1cm-1及び1708.7cm-1)(これらは、僅かな量のエステル官能基の指標であろう)を有していた。
【0232】
エポキシ化反応の進行は、HPLC分析によってモニターし、それらの結果を下記の表に示す。累積反応時間についての「無し」は、エポキシ化反応に於いて使用された12−ヒドロキシメチルステアレートアミドトリオール反応剤を指定する。「最終」は、作業(100℃でのロータリー蒸発)の完結後に回収した生成物を指定する。
【0233】
【表11】

【0234】
実施例12
12−ヒドロキシメチルステアレートアミドポリオールのポリグリシジルエーテルの合成
1リットルの三つ口ガラス丸底反応器に、窒素下で、エピクロロヒドリン(155.9g、1.68モル)、水酸化ナトリウム(ペレット、無水、試薬グレード、≧98%)(26.9g、0.674モル)及び硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(67.0g、0.47モル)を装入した。この反応器に、追加的に、凝縮器(0℃で維持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(使用した1LPM N2)、粉砕ガラスストッパー及び攪拌機アセンブリ(テフロン(登録商標)櫂、ガラス軸、変速モーター)を取り付けた。12−ヒドロキシメチルステアレート(水素化ひまし油)アミドポリオール(46.08g、0.337−OH当量)を、サイドアーム付ベント式添加漏斗に添加し、次いで反応器に取り付けた。アミドポリオールを製造するために使用した12−ヒドロキシメチルステアレートは、市販製品であるParacin Iであった。12−ヒドロキシメチルステアレートアミドポリオールについての−OH%は、12.43であった。撹拌を開始して、エピクロロヒドリン中の水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムの22℃のスラリーを得た。15分間の撹拌の後、反応器の加熱を、サーモスタットで制御した加熱マントルを使用して開始した。撹拌したスラリーが40℃で平衡になったとき、水素化ひまし油アミドポリオールの添加を、10mLアリコートで開始した。反応温度を、62分間で完結した添加の間、40℃で維持した。エポキシ化反応の進行を、HPLC分析によってモニターした。反応スラリーは、添加の完結後19.3時間で粘度が上昇したが、未だ容易に撹拌された。この時点で、追加のエピクロロヒドリン(100mL)を添加し、粘度を低下させた。添加の完結後累積19.5時間で、希薄のオフホワイト色スラリーの加熱を中止し、続いてMIBK(400mL)を添加し、ファンによって反応器外側を25℃まで冷却した。このMIBKスラリーを、4個のポリプロピレンボトルの中に等分に分割し、これらを密閉し、3000RPMで1時間遠心分離した。透明な液体の頂部層を、真空と共にサイドアームフラスコを使用して、600mLの中度フリットガラス漏斗上に支持された珪藻土のパッド(1インチのCelite545底部層、1インチのCelite577中間層、3/4インチのCelite545頂部層)に通してデカンテーションした。この真空濾過からの濾液は透明な薄黄色溶液であった。ボトル内に残った固体を、新しいMIBKを使用して均一に稀釈して、ボトル当たり270gの全重量を得、次いで機械式振盪機の上に1時間置き、続いて、前記のように、遠心分離及びデカンテーションをした。追加のMIBK(50mL)を使用して、フィルター内に残留した生成物を、濾液の中に洗い流した。72℃の最高油浴温度で1時間で仕上げる濾液のロータリー蒸発によって、65.40gの透明な薄黄色液体を得た。この液体を、無水硫酸ナトリウム(2.0g)を含有するトルエン(100mL)の中に溶解し、密閉し、4時間磁気攪拌した。サイドアームフラスコを使用して、600mLの中度フリットガラス漏斗上に支持された珪藻土及びシリカゲルのパッド(1/2インチのCelite545底部層、1/4インチのシリカゲル中間層、1/2インチのCelite545頂部層)に通す真空濾過によって、透明な薄黄色濾液を得た。110℃の最高油浴温度で2時間で仕上げる濾液のロータリー蒸発によって、55.87gの透明な薄琥珀色液体を得た。GC分析によって、残留するエピクロロヒドリン及びジグリシジルエーテル共生成物を含有する本質的に全部の軽沸点成分が除去されたことが明らかになった。HPLC分析によって、12−ヒドロキシメチルステアレートアミドポリオールの生成物への100%転化が明らかになった。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均21.06%のエポキシド(204.32EEW)が示された。KClプレート上のポリオール反応剤及びそのポリグリシジルエーテルの両方のニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、ポリグリシジルエーテル中のアミド結合(1645.2cm-1、強)の完全性の維持、ポリグリシジルエーテル中に存在する少量のヒドロキシル吸光度(3446.8cm-1、弱)のみを有するポリオール反応剤中のヒドロキシル基の転化、ポリグリシジルエーテル中の強い脂肪族エーテルC−Oストレッチ(1110.4cm-1)の出現並びにポリグリシジルエーテル中のエポキシドエーテルC−Oストレッチ(1253.4cm-1、910.4cm-1及び849.8cm-1、中)の出現が示された。ポリオール反応剤及びポリグリシジルエーテル生成物の両方は、非常に少量の吸光度(これらは、僅かな量のエステル官能基の指標であろう)を有していた(ポリグリシジルエーテルについて、1733.8cm-1、弱)。
【0235】
エポキシ化反応の進行は、HPLC分析によってモニターし、それらの結果を下記の表に示す。累積反応時間についての「無し」は、エポキシ化反応に於いて使用された水素化ひまし油アミドポリオール反応剤を指定する。「最終」は、作業(110℃でのロータリー蒸発)の完結後に回収した生成物を指定する。
【0236】
【表12】

【0237】
実施例13
還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(3.3の平均ヒドロキシル官能基)のポリグリシジルエーテルの大規模合成及び水処理
5リットルの三つ口ガラス丸底反応器に、窒素下で、エピクロロヒドリン(2780.1g、30.03モル)、水酸化ナトリウム(ペレット、無水、試薬グレード、≧98%)(480.5g、12.01モル)及び硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(1194.4g、8.41モル)を装入した。この反応器に、追加的に、凝縮器(0℃で維持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(使用した1LPM N2)及び攪拌機アセンブリ(テフロン(登録商標)櫂、ガラス軸、変速モーター)を取り付けた。滴定により3.3の平均ヒドロキシル官能基及び13.25%のヒドロキシルを有する、予備加温した還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(771.0g、6.007−OH当量)を、サイドアーム付ベント式添加漏斗に添加し、次いで反応器に取り付けた。撹拌を開始して、エピクロロヒドリン中の水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムの22℃のスラリーを得た。15分間の撹拌の後、反応器の加熱を、サーモスタットで制御した加熱マントルを使用して開始した。撹拌したスラリーが40℃で平衡になったとき、還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールの初期アリコート(40mL)を反応器に添加した。反応温度を、他の方法で記載しない限り、アリコートの添加の間40℃で維持した。40mLのアリコートの滴下添加に、5分間を必要とした。50mLのアリコートの滴下添加に、6分間を必要とした。アリコートは、下記のようにして添加した。
【0238】
【表13】

【0239】
エポキシ化反応の進行を、HPLC分析によってモニターした。還元的ヒドロホルミル化したダイズ油メチルエステルアミドポリオールの添加の完結から20分後に、HPLC分析によって、該ポリオールの51%転化が起こったことが明らかになった。還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールの添加の完結から累積15.1時間後に、HPLC分析によって、該ポリオールの全転化が明らかになった。ポリオールの添加から累積18.7時間後に、希薄の薄褐色スラリーの加熱を中止し、続いてMIBK(1.2L)を添加し、ファンによって反応器外側を25℃まで冷却した。このMIBKスラリーを、一組のポリプロピレンボトルの中に等分に分割し、これらを密閉し、2000RPMで30分間遠心分離した。透明な液体の頂部層を、サイドアーム真空フラスコを使用して、600mLの粗いフリットガラス漏斗上に支持された珪藻土(Celite(登録商標)545)の1インチパッドに通してデカンテーションした。珪藻土の頂部に残留する任意の固体と一緒に、ボトル内に残った固体を、新しいMIBK(使用した合計体積1.2L)を使用して均一に稀釈し、次いで機械式振盪機の上に1時間置き、続いて、前記のように、遠心分離及びデカンテーションをした。追加のMIBK(100mL)を使用して、フィルターの内容物内に残留した生成物を、濾液の中に洗い流した。一緒にした濾液を、10Lの分液漏斗に添加し、DI水(1L)中のリン酸二水素ナトリウム一水和物の1重量%溶液によって強く洗浄した。分離漏斗から回収された透明な薄黄色有機層を、分離漏斗の中に戻し添加し、DI水(洗浄当たり1L)によって2回洗浄した。透明な薄黄色有機層が回収され、90℃の最高油浴温度を使用し、0.34mmHgの真空までロータリー蒸発して、1042.8gの透明な黄色液体を得た。HPLC分析によって、還元的ヒドロホルミル化したダイズ油メチルエステルアミドポリオールの、エポキシ化反応の終わり(作業の前)に、前に観察された同じ分布を有するエポキシ樹脂生成物への100%転化が明らかになった。生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均20.74%のエポキシド(207.50EEW)が示された。KClプレート上のポリオール反応剤及びそのポリグリシジルエーテルの両方のニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、下記のことを確認した。
【0240】
(1)1644.6cm-1及びポリオール反応剤について1621.5cm-1でのポリグリシジルエーテル中のアミド結合の完全性の維持、
(2)3460.9cm-1でのポリグリシジルエーテル中に存在する微量のヒドロキシル吸光度のみを有するポリオール反応剤中の3362.0cm-1でのヒドロキシル基の転化、
(3)ポリグリシジルエーテル中の1108.8cm-1での強い脂肪族エーテルC−Oストレッチの出現並びに
(4)ポリグリシジルエーテル中の1253.2cm-1、910.4cm-1及び848.6cm-1でのエポキシドエーテルC−Oストレッチの出現。
【0241】
ポリオール反応剤及びポリグリシジルエーテル生成物の両方は、少量の吸光度(それぞれ、1734.7cm-1及び1733.1cm-1)(これらは、僅かな量のエステル官能基の指標であろう)を有していた。
【0242】
エポキシ化反応の進行は、HPLC分析によってモニターし、それらの結果を下記の表に示す。累積反応時間についての「無し」は、エポキシ化反応に於いて使用された還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール反応剤を指定する。
【0243】
【表14】

【0244】
実施例14
A.還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(3.3の平均ヒドロキシル官能基)のフタル酸エステルの合成
実施例3パートAに従って製造した還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(3.3の平均ヒドロキシル官能基、12.34%−OH)(50.29g、0.3649−OH当量)及び無水フタル酸(54.06g、0.365カルボン酸無水物当量)を、機械式攪拌機及び窒素パッドを取り付けた100mL丸底フラスコに入れた。このフラスコを、電気加熱マントルの中に設置した。この加熱マントルは、フラスコ内容物中に浸漬したサーモカップルを有する温度制御器によって制御した。フラスコ内容物を135℃まで加熱し、そこで撹拌しながら3時間維持した。−COOH%についての生成物のアリコートの滴定によって、15.75の理論的−COOH%に対して15.38を得た。
【0245】
B.還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールのフタル酸エステルのポリグリシジルエステルの合成
乾燥
上記のAからの還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールのフタル酸エステルを、酢酸エチル(300mL)と共にガラスボトルに添加し、溶解させて溶液を形成させた。硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(30g)をこの溶液に添加し、続いて、機械式振盪機上で16時間静かに混合した。得られた生成物スラリーを、中度フリットガラス漏斗内に支持された新しい硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(30g)の床に通して濾過し、追加の酢酸エチル(50mL)を使用して、フィルターの内容物中に残留している生成物を、濾液の中に洗い流した。濾液のロータリー蒸発を完結させて、酢酸エチルを除去した。120℃の最高油浴温度を使用してロータリー蒸発させて、還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールの乾燥フタル酸エステルを得た。
【0246】
第四級アンモニウムハライド触媒作用カップリング反応
1リットルの三つ口ガラス丸底反応器に、窒素下で、エピクロロヒドリン(138.8.0g、1.5モル)、硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(14.2g、0.10モル)、乾燥した固体の、還元的ヒドロホルミル化したダイズ油メチルエステルアミドポリオールのフタル酸エステル(29.27g、0.01 −COOH当量)及びテトラブチルアンモニウムブロミド触媒(0.293g、フタル酸エステルの1重量%)を装入した。この反応器に、追加的に、凝縮器(0℃で維持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(使用した1LPM N2)及び攪拌機アセンブリ(テフロン(登録商標)櫂、ガラス軸、変速モーター)を取り付けた。サーモスタットで制御した加熱マントルを使用して開始した加熱と同時に、23℃のスラリーの撹拌を開始した。撹拌したスラリーが33℃に達したとき、懸濁した硫酸ナトリウムを含有する薄黄色溶液を生成した。加熱を80℃まで続け、この温度を次の16時間維持し、続いて33分間かけて100℃まで加熱し、この温度で次の7.1時間保持した。KClプレート上の液化によりエピクロロヒドリンが除去されたトリス(クロロヒドリンエステル)のニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、下記のことを確認した。
【0247】
(1)1644.5cm-1での強アミドカルボニル吸光度によって示されるようなアミド結合の完全性の維持、
(2)3436.1cm-1(ショルダーが存在)での少量のヒドロキシル基吸光度、
(3)1728.8cm-1での非常に強いエステルカルボニル吸光度並びに
(4)カルボン酸に起因するカルボニル吸光度無し。
【0248】
脱塩化水素
トリス(クロロヒドリンエステル)を含有するスラリーを、24℃まで冷却し、窒素下で、追加のエピクロロヒドリン(92.5g、1.0モル)、水酸化ナトリウム(ペレット、無水、試薬グレード、≧98%)(4.52g、0.113モル)及び硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(17.76g、0.125モル)と共に装入した。反応器の攪拌と加熱を開始した。反応温度を40℃で維持した。エポキシ化反応の進行を、HPLC分析によってモニターした。16時間反応した後、不透明な薄橙色スラリーの加熱を中止し、続いて、MIBK(400mL)を添加し、ファンによって反応器外側を25℃まで冷却した。このMIBKスラリーを、600mLの粗いフリットガラス漏斗上に支持された珪藻土の1インチパッドの上で真空濾過した。フィルターの内容物を、追加のMIBK(100mL)で洗浄した。70℃の最高油浴温度を使用する濾液のロータリー蒸発によって、43.03gのカラメル色の濁った粘稠な液体を得た。140℃で1時間の更なるロータリー蒸発によって、37.06gを得た。GC分析によって、残留するエピクロロヒドリン及びジグリシジルエーテル共生成物を含有する本質的に全部の軽沸点成分が除去されたことが明らかになった。HPLC分析によって、ポリグリシジルエステル生成物中の2種の主な成分のクラスター、即ち(a)合計で53.24面積%からなる1.22〜3.83の保持時間を有する18種の成分及び(b)合計で46.76面積%からなる6.05〜10.35の保持時間を有する13種の成分が明らかになった。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均5.66%のエポキシド(760.4EEW)が示された。KClプレート上のポリグリシジルエステルのニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、下記のことを確認した。
【0249】
(1)1644.9cm-1での強アミドカルボニル吸光度によって示されるようなアミド結合の完全性の維持、
(2)3435.5cm-1(ショルダーが存在)での少量のヒドロキシル基吸光度、
(3)1728.4cm-1での非常に強いエステルカルボニル吸光度、
(4)カルボン酸に起因するカルボニル吸光度無し並びに
(5)909.6cm-1及び843.7cm-1でのエポキシドエーテルC−Oストレッチの出現。
【0250】
カップリング反応生成物について、FTIR分光光度法分析に於いて、下記の比が、2927cm-1でのピークに対して得られた。即ちアミドカルボニル=0.505、エステルカルボニル=1.557、−OH=0.105。ポリグリシジルエステル生成物について、FTIR分光光度法分析に於いて、下記の比が、2927cm-1でのピークに対して得られた。即ちアミドカルボニル=0.527、エステルカルボニル=1.120、−OH=0.182。これらの比を考慮して、ポリグリシジルエステルについて理論的EEWよりも低いものは、(1)アミド結合の如何なる反応も含まず、(2)第二級ヒドロキシル基を発生するポリグリシジルエステル中のエポキシ基の開環反応の指標で有り得る、より高い−OH比に関係する。エポキシ基の開環反応は、残留するカップリング触媒の存在によって促進される反応からの結果であろう。
【0251】
実施例15
商業グレードのラウリン酸ジエタノールアミドのジグリシジルエーテルの合成
1リットルの三つ口ガラス丸底反応器に、窒素下で、エピクロロヒドリン(277.7g、3.0モル)、水酸化ナトリウム(ペレット、無水、試薬グレード、≧98%)(48.0g、1.20モル)及び硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(119.3g、0.84モル)を装入した。この反応器に、追加的に、凝縮器(0℃で維持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(使用した1LPM N2)及び攪拌機アセンブリ(テフロン(登録商標)櫂、ガラス軸、変速モーター)を取り付けた。ラウリン酸ジエタノールアミド(86.23g、0.60−OH当量)を、サイドアーム付ベント式添加漏斗に添加し、次いで反応器に取り付けた。使用したラウリン酸ジエタノールアミドは、Rhodia,Inc.によって、製品名Alkamide LEで販売されている商業グレード製品であった。ラウリン酸ジエタノールアミド内容物は、残留ジエタノールアミン<6%で、>94%であった。この製品は、修正することなく受け入れたままで使用した。撹拌を開始して、エピクロロヒドリン中の水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムの20℃スラリーを得た。15分間撹拌した後、反応器の加熱を、サーモスタットで制御した加熱マントルを使用して開始した。撹拌したスラリーが40℃で平衡になったとき、ラウリン酸ジエタノールアミドの初期アリコート(10mL)を、3分間かけて反応器に添加した。反応温度を、アリコートの添加の間40℃で維持した。アリコートを20分間間隔で添加し、全累積添加時間は160分間であった。添加の終わりに、反応器内の生成物は、容易に撹拌される、僅かに泡立った白色スラリーであった。
【0252】
エポキシ化反応の進行を、HPLC分析によってモニターした。ラウリン酸ジエタノールアミドの添加の完結後1.5時間でのHPLC分析によって、該ジオールの完全な転化が起きたことが明らかになった。反応の累積20.33時間の後、希薄の薄黄褐色スラリーの加熱を中止し、続いてMIBK(300mL)を添加した。このMIBKスラリーを、4個のポリプロピレンボトル一組の中に等分に分割し、これらを密閉し、2000RPMで1時間遠心分離した。透明な液体の頂部層を、サイドアーム真空フラスコを使用して、600mLの中度フリットガラス漏斗上に支持された600mLの中度珪藻土(Celite(登録商標)545)の上に支持された珪藻土のパッド(1/2インチのCelite(登録商標)545底部層、1/2インチのCelite(登録商標)577中間層、1/2インチのCelite(登録商標)545頂部層)に通してデカンテーションした。珪藻土の上に残った任意の固体と共に、ボトル内に残った固体を、新しいMIBKを使用して稀釈して、250gの全重量にし、次いで機械式振盪機の上に1時間置き、続いて、前記のように、遠心分離及びデカンテーションをした。この固体の第二の抽出を、上記の方法を使用して完結した。追加のMIBK(50mL)を使用して、フィルターの内容物中に残留した生成物を、濾液の中に洗い流した。75℃の最高油浴温度を使用する濾液のロータリー蒸発によって、揮発物質の大半を除去した。110℃で0.26mmHgの真空までの更なるロータリー蒸発によって、121.56gの透明な薄琥珀色液体を得た。GC分析によって、残留するエピクロロヒドリン及びジグリシジルエーテル共生成物を含有する本質的に全部の軽沸点成分が除去されたことが明らかになった。HPLC分析によって、ラウリン酸ジエタノールアミドの生成物への100%転化が明らかになった。このHPLC分析は、ラウリン酸ジエタノールアミドの添加の完結後1.5時間で実施した前のHPLC分析から、本質的に変わらなかった。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均20.59%のエポキシド(209.03EEW)が示された。KClプレート上のポリオール反応剤及びそのポリグリシジルエーテルの両方のニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、下記のことを確認した。
【0253】
(1)ポリグリシジルエーテルについて1645.2cm-1及びポリオール反応剤について1621.0cm-1でのポリグリシジルエーテル中のアミド結合の完全性の維持、
(2)3413.0cm-1でのポリグリシジルエーテル中に存在する非常に少量のヒドロキシル吸光度のみを有するポリオール反応剤中の3381.3cm-1でのヒドロキシル基の転化、
(3)ポリグリシジルエーテル中の1110.9cm-1での強い脂肪族エーテルC−Oストレッチの出現並びに
(4)ポリグリシジルエーテル中の1253.7cm-1、910.1cm-1及び849.6cm-1でのエポキシドエーテルC−Oストレッチの出現。
【0254】
ポリオール反応剤及びポリグリシジルエーテル生成物の両方は、非常に少量の吸光度(それぞれ、1743.5cm-1及び1734.3cm-1)(これらは、僅かな量のエステル官能基の指標であろう)を有していた。
【0255】
エポキシ化反応の進行は、HPLC分析によってモニターし、それらの結果を下記の表に示す。累積反応時間についての「無し」は、エポキシ化反応に於いて使用されたラウリン酸ジエタノールアミド反応剤を指定する。「最終」は、作業(110℃でのロータリー蒸発)の完結後に回収された生成物を指定する。
【0256】
【表15】

【0257】
実施例16
還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(3.3の官能性)のポリグリシジルエーテルの合成:ポリグリシジルエーテルの清浄化のための方法論の開発
A.エポキシ化
13.372%のヒドロキシル及び161ppmの水を含有する還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(3.3の官能性)を、予備乾燥することなく直接、エポキシ化に於いて使用した。2リットルの三つ口ガラス丸底反応器に、窒素下で、エピクロロヒドリン(925.3g、10.0モル)、水酸化ナトリウム(ペレット、無水、試薬グレード、≧98%)(160.0g、4.0モル)及び硫酸ナトリウム(顆粒、無水)(397.7g、2.8モル)を装入した。この反応器に、追加的に、凝縮器(0℃で維持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(使用した1LPM N2)及び攪拌機アセンブリ(テフロン(登録商標)櫂、ガラス軸、変速モーター)を取り付けた。還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(254.38g、2.0−OH当量)を、サイドアーム付ベント式添加漏斗に添加し、次いで反応器に取り付けた。エポキシ化反応のために使用した全てのガラス器具は、オーブン内で48時間以上150℃で予備乾燥した。撹拌を開始して、エピクロロヒドリン中の水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムの25℃のスラリーを得た。15分間の撹拌の後、反応器の加熱を、サーモスタットで制御した加熱マントルを使用して開始した。撹拌したスラリーが40℃で平衡になったとき、乾燥還元的ヒドロホルミル化したダイズ油メチルエステルアミドポリオールの初期アリコート(15mL)を反応器に添加した。この添加は、固体水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムからの凝集塊を生成したゼリー状外観の生成物の生成を誘導した。反応温度を、他の方法で記載しない限り、アリコートの添加の間40℃で維持した。アリコートは、下記のようにして添加した。
【0258】
【表16】

【0259】
反応の累積18.8時間後に、希薄の薄褐色スラリーの加熱を中止し、続いてMIBK(800mL)を添加し、ファンによって反応器外側を25℃まで冷却した。この時点で、HPLC分析によって、エポキシ化反応に使用された還元的ヒドロホルミル化したダイズ油メチルエステルアミドポリオール反応剤の完全転化を確認した。このMIBKスラリーを、3リットルの粗いフリットガラス漏斗上に支持された珪藻土(Celite(登録商標)545)の1インチパッドの上で真空濾過した。珪藻土の頂部に残留する固体を、新しいMIBK(800mL)を含有するボトルの中に集め、次いで機械式振盪機の上に1時間置いた。次いで、このMIBKスラリーを、珪藻土パッドに通して真空濾過した。70℃の最高油浴温度を使用する、濾液のロータリー蒸発によって、362.8gの濁った橙色液体を得た。この生成物を、トルエン(600mL)中に溶解し、次いで、600mLの中度フリットガラス漏斗上に支持されたHyflo Super−Cel Celite(登録商標)珪藻土の1インチパッドの上で真空濾過した。77℃の最高油浴温度を使用する、濾液のロータリー蒸発によって、349.51gの不透明なカラメル色液体を得た。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均22.18%のエポキシド(194.00エポキシド当量重量)が示された。
【0260】
B:低沸点成分を除去するための蒸留
この生成物の一部(344.86g)を、1リットルの三つ口ガラス丸底反応器に添加した。この反応器に、追加的に、温度計及び1個の統合真空ジャケット付き(integral vacuum jacket)Vigreaux蒸留カラムを取り付け、ヘッドを反応器に接続した。この蒸留カラムは公称で、操作のモードに依存して5〜10理論段を与えた。この蒸留ヘッドに、オーバーヘッド温度計、空冷凝縮器、受器及び真空テイクオフ(vacuum takeoff)を取り付けた。真空ポンプを、液体窒素トラップ及びインラインデジタル熱伝導真空計と共に使用した。反応器の撹拌及び加熱は、徐々に低下する真空と共に、サーモスタットで制御した加熱マントルを使用して開始した。透明な液体が、ポット温度=128℃、オーバーヘッド温度=76℃、真空9.3psiで始まり、15分間かけてポット温度=190℃、オーバーヘッド温度=66℃、真空7.5psiで終わって、生成物から留出した。合計307.08gの生成物を、不透明なカラメル色液体として回収した。
【0261】
C.ワックス状汚染物質の溶媒(ジクロロメタン)沈殿
この生成物を、2個のポリプロピレンボトルの中に等分に分割し、これらを密閉し、2000RPMで1時間遠心分離した。沈殿は観察されなかった。ジクロロメタン(50mL)を生成物の両方のボトルに添加し、続いて手で振盪して混合し、3000RPMで1時間遠心分離した。約2〜3gのワックス状固体が沈殿し、プラスチックボトルの底に付着した。この沈殿を除去し、追加の遠心分離を、3000RPMで2.5時間実施して、極く少量(<0.5g)の追加のワックス状固体を沈殿させた。生成物から不透明さの幾らかは除去されたが、これは未だ濁りを帯びていた。
【0262】
D:活性炭による処理
ジクロロメタン中の生成物のそれぞれのボトルに、Calgon活性炭チップス−CPG−LF12×40(ボトル当たり10.0g)を添加した。これらのボトルを機械式振盪機の上に更に16時間置き、取り出し、次いで、濾過して炭素を除去した。ジクロロメタンを除去するためのロータリー蒸発の後、この生成物は薄琥珀色であり、未だ濁りを帯びていた。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均20.71%のエポキシド(207.83エポキシド当量重量)が示された。
【0263】
E:固体汚染物質の溶媒(アセトン)沈殿
この生成物へのアセトンの添加が、遠心分離によって容易に除去された少量の固体の沈殿を誘導したことが見出された。この溶媒誘導沈殿のためのアセトンの最適量は、生成物125g当たり75gであった。遠心分離によって固体を除去した後、80℃の最高油浴温度を使用してアセトンを除去するためのロータリー蒸発によって、完全に不透明性が無い又は濁りを有しない、透明な黄色生成物が得られた。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均20.77%のエポキシド(207.15エポキシド当量重量)が示された。KClプレート上のポリグリシジルエーテルのニート薄フィルムの赤外分光光度法分析によって、アミド結合の完全性が維持された(1643.7cm-1、強)、ヒドロキシル基が消費された(3438.4cm-1、弱)、脂肪族エーテルストレッチが形成された(1111.8cm-1、強)及びエポキシ基が形成された(1253.3cm-1、910.7cm-1、849.1cm-1、中)ことを確認した。
【0264】
実施例17
シリカゲルクロマトグラフィーを使用する、還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(3.3の官能性)のポリグリシジルエーテルの清浄化
還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールのポリグリシジルエーテルの一部(25.0g)を、ジクロロメタン(35g)中に溶解させた。使用したポリグリシジルエーテルの一対のアリコートの滴定によって、平均21.07%のエポキシド(204.24EEW)が示され、褐色で僅かに不透明であった。この溶液を、ジクロロメタンによって予備平衡化させた、高さ5インチ×直径1.5インチのシリカゲルカラムに適用した。生成物の溶液を、溶離剤としてジクロロメタンを使用して、薄黄色バンドとしてカラムから溶離させた。薄黄色バンドの完全な溶離の後、山吹色(gold yellow)バンドが、原点から出発し、カラムを下方に2インチ進んで、カラム上に残った。薄黄色バンドの溶液からジクロロメタンを除去するためのロータリー蒸発によって、13.62gの透明な(如何なる不透明性も無し)黄色液体が得られた。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均20.80%のエポキシド(206.91EEW)が示された。シリカゲルによる処理の前及び後のKClプレート上のポリグリシジルエーテルのニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、シリカゲルによって処理したサンプル中のヒドロキシル基吸光度に於ける非常に僅かな減少以外に、生成物中に変化がなかったことが明らかにされた。
【0265】
実施例18
リン酸二水素ナトリウム水溶液による、ひまし油アミドポリオールのポリグリシジルエーテルの処理
ひまし油アミドポリオールのポリグリシジルエーテル(950.4g)を、メチルイソブチルケトン(950.4g)中に溶解させた。使用したポリグリシジルエーテルの一対のアリコートの滴定によって、平均20.45%のエポキシド(210.38EEW)が示された。この溶液を、3個の分液漏斗一組の中に等分に分割し、リン酸二水素ナトリウム一水和物(969g)の1重量%水溶液(これも、3個の分液漏斗に等分に分割した)で洗浄した。回収した有機層をそれぞれの分液漏斗に戻し添加し、水層を排液して廃棄した。分液漏斗中の溶液を、3個の分液漏斗に等分で分割したDI水(486g)で2回洗浄した。この溶液からMIBKを除去するための85℃の最高油浴温度を使用するロータリー蒸発によって、880.2gの生成物を得た。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均20.05%のエポキシド(214.58EEW)が示された。リン酸二水素ナトリウム水溶液による処理の前及び後のKClプレート上のポリグリシジルエーテルのニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、生成物中に変化がなかったことが明らかにされた。リン酸二水素ナトリウム水溶液による処理の前及び後の生成物のアリコート中のイオン性塩化物の分析によって、リン酸二水素ナトリウム水溶液によって処理したサンプル中の591.75ppmから94ppmまでの減少が明らかにされた。
【0266】
【表17】

【0267】
表1に記載された結果によって示されるように、脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドから誘導されたエポキシアミド(実施例2、4、5及び8)は、比較エポキシ樹脂(比較実験A)と比較したとき、増加した可撓性及び衝撃強度(より大きい損傷許容度)を有する、得られる硬化エポキシ樹脂になり得る。
【0268】
【表18】

【0269】
表2に記載された結果によって示されるように、脂肪酸エステル及び脂肪酸トリグリセリドから誘導されたエポキシアミド(実施例2、4、5及び8)は、比較エポキシ樹脂(比較実験A)と比較したとき、光沢保持によって測定したとき増加したUV安定性を有する、得られる硬化エポキシ樹脂になり得る。
【0270】
前記のように、脂肪酸エステル及び脂肪酸トリグリセリドから誘導される多官能性ポリオール及び酸の無水エピハロヒドリンエポキシ化は、従来のエポキシ樹脂に匹敵する硬化速度を有する新規なグリシジルエーテル及びエステルになり得る。この新しいレベルの反応性を有することは、種油(又は種子油)(seed oil)構造が、従来のエポキシ樹脂のための改良された加工及び性能を与えることができる、コーティングに於ける用途を可能にし得る。
【0271】
有利なことに、本明細書中に開示された態様は、より低い粘度(これは、コーティング配合物中の溶媒の必要性を排除することができる(VOC無し));良好な接着及び耐蝕性と組み合わせた優れたUV安定性(これは、多くの工業的、海洋及び自動車用途に於ける多重被覆の必要性を排除する)並びにエポキシ樹脂コーティングのための改良された可撓性及び損傷許容度の1個又はそれ以上を提供することができる。更に、本明細書中に記載された組成物は、より高い架橋密度(改良された熱安定性)、主鎖の構造的設計に起因する改良された反応性、より高いエポキシ化度(より僅かな副生物)及びグリシジルエーテル官能基を有することができる。
【0272】
本発明には、限定された数の態様が含まれるが、本発明の開示の利益を有する当業者は、本発明の範囲から逸脱しない他の態様が案出され得ることを認めるであろう。従って、本発明の範囲は、添付する特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【0273】
実施例19
貯蔵安定性を増加させるための、還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオール(3.3の官能基)のポリグリシジルエーテルのシリカゲルクロマトグラフィー処理
A.未処理の、還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールのポリグリシジルエーテル
実施例13からの還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールのポリグリシジルエーテルを、密閉したガラスボトル内に室温で保持し、その粘度を時間の関数として決定した。粘度測定(25℃)は、I.C.I.コーン及びプレートレオメーターを使用して、ASTM方法D4287に従って実施した。
【0274】
B.シリカゲル処理した、還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールのポリグリシジルエーテル
還元的ヒドロホルミル化した大豆油メチルエステルアミドポリオールのポリグリシジルエーテルの一部(70.0g)を、ジクロロメタン(100mL)中に溶解させた。使用したポリグリシジルエーテルの一対のアリコートの滴定によって、平均20.74%のエポキシド(207.45EEW)、6107ppmの加水分解性塩化物値及び681.6ppmのイオン性塩化物値が示された。この溶液を、600mLの中度フリットガラス漏斗内に、1インチの珪藻土(Celite(登録商標)545)を敷き、続いて1/2インチのシリカゲル(Merckグレード9385、230〜400メッシュ、60オングストローム)を敷き、続いて1インチの珪藻土(Celite(登録商標)545)を敷くことによって製造した床に適用した。溶離剤としてジクロロメタン(0.5L)を使用して、この床から生成物を溶離した。ジクロロメタンを除去するためのロータリー蒸発によって、60.68gの透明な薄黄色液体を得た。得られた生成物の一対のアリコートの滴定によって、平均20.54%のエポキシド(209.49EEW)が示された。シリカゲルによる処理の前及び後のKClプレート上のポリグリシジルエーテルのニート薄フィルムのFTIR分光光度法分析によって、シリカゲルによって処理したサンプル中のヒドロキシル基吸光度に於ける非常に僅かな減少以外に、生成物中に変化がなかったことが明らかにされた。
【0275】
シリカゲルクロマトグラフィー精製されたポリグリシジルエーテルの一部を、密閉したガラスボトル内に室温で保持し、その粘度を時間の関数として決定した。粘度測定は、I.C.I.コーン及びプレートレオメーターを使用して、ASTM方法D4287に従って実施し、下記の結果を得た。
【0276】
【表19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の種油系アルカノールアミドから誘導された少なくとも1種のエポキシアミドを含んでなるエポキシ樹脂。
【請求項2】
前記種油系アルカノールアミドが(i)脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドの少なくとも1種と(ii)少なくとも1種のアルカノールアミンとの反応から誘導される請求項1に記載のエポキシ樹脂。
【請求項3】
前記エポキシアミドが(i)グリシジルエーテルアミド及びグリシジルエステルアミドの少なくとも1種を含み、(ii)前記エポキシアミドがポリグリシジルエーテルアミド及びポリグリシジルエステルアミドの少なくとも1種を含み、(iii)前記エポキシアミドが下記式I:
【化1】

[式中、R1及びR4は、それぞれ独立に、ヒドロカルビレン部分であってよく、R2は水素又は一価ヒドロカルビル部分であり、R3は存在しないか又はヒドロカルビレン部分であり、R5は水素又は一価ヒドロカルビル部分又は式II:
【化2】

(式中、R4は上記定義の通りであり、R6は式III又は式IV:
【化3】

(式中、R7は水素又は炭素数1〜約4の脂肪族炭化水素基であり、R8はヒドロカルビレン部分である)
のいずれかの部分である)
によって表される単位であり、m、n及びoは、独立に、0又は1である]
によって表されるか又は(iv)前記エポキシアミドが脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸トリグリセリド及びこれらの任意のオリゴマーの少なくとも1種から誘導された、ポリグリシジルエーテルアミド、ポリグリシジルエステルアミド及びこれらの任意のオリゴマーの少なくとも1種を含む請求項1に記載のエポキシ樹脂。
【請求項4】
(a)脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドの少なくとも1種から誘導されたポリグリシジルエーテルアミド並びに
(b)脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドの少なくとも1種から誘導されたモノグリシジルエーテルアミド
を含む請求項1に記載のエポキシ樹脂。
【請求項5】
(a)少なくとも1種の種油系アルカノールアミド、(b)エピハロヒドリン、(c)塩基性作用物質及び(d)任意的に、溶媒を反応させることを含んでなる、エポキシアミドの製造方法。
【請求項6】
前記方法がスラリーエポキシ化プロセスであり、当該スラリーエポキシ化プロセスが(a)脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドの少なくとも1種から誘導されるポリグリシジルエーテル、(b)エピハロヒドリン、(c)固体形での又は水溶液での塩基性作用物質、任意的に、(d)水以外の溶媒、任意的に、(e)触媒並びに、任意的に、(f)脱水剤を反応させることを含んでなる請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記方法が、無水エポキシ化プロセスであり、当該無水エポキシ化プロセスが(a)脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドの少なくとも1種から誘導されるポリグリシジルエーテル、(b)エピハロヒドリン及び(c)水溶液中の塩基性作用物質、任意的に、(d)溶媒並びに、任意的に、(e)触媒を反応させることを含んでなる請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
前記方法が、ルイス酸触媒作用カップリング及びエポキシ化プロセスであり、当該ルイス酸触媒作用カップリング及びエポキシ化プロセスが(A)カップリング反応に於いて、(a)脂肪酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸トリグリセリドの少なくとも1種から誘導されたポリグリシジルエーテル、(b)エピハロヒドリンを、(c)ルイス酸触媒の存在下に、反応させる工程、続いて(B)(d)水溶液中の塩基性作用物質、任意的に、(d)溶媒及び任意的に、(e)ルイス酸触媒以外の触媒を使用する、工程(A)に於いて得られたハロヒドリン中間体の脱ハロゲン化水素反応を含む請求項5に記載のプロセス。
【請求項9】
請求項1に記載のエポキシアミドを含んでなる物品であって、コーティング、電気若しくは構造用積層体、電気若しくは構造用複合材料、フィラメント巻き、成形物、注型品、接着剤又はカプセル封入品の少なくとも1種である物品。
【請求項10】
(a)請求項1に記載のエポキシアミド及び(b)一価若しくは多価グリシジルスルフィド、グリシジルアミン、N−(グリシジル)アミド、式Iによって表されないグリシジルエーテル又は式Iによって表されないグリシジルエステルの混合物を含んでなるエポキシ樹脂組成物。
【請求項11】
多価求核剤による請求項1に記載のグリシジルアミドのアドバンスメントによって生成されるオリゴマーであって、当該多価求核剤がフェノール、カルボン酸、アミン、チオール又はアルコールであるオリゴマー。
【請求項11】
(b)請求項1に記載のエポキシアミド又は請求項10に記載のエポキシ樹脂組成物と組み合わせた、(a)請求項11に記載のオリゴマーの混合物を含むエポキシ樹脂組成物。
【請求項12】
(a)少なくとも1種の種油系アルカノールアミドから誘導されたグリシジルエーテルアミドを含んでなるエポキシアミド及び(b)エポキシ樹脂(a)以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂の混合物を含んでなるエポキシ樹脂組成物。
【請求項13】
(a)請求項13に記載のエポキシ樹脂組成物並びに(b)少なくとも1種の硬化剤及び/又は少なくとも1種の硬化触媒を含んでなる硬化性エポキシ樹脂組成物であって、この硬化剤が、分子当たり少なくとも1個の反応性水素原子を有する物質を含み、当該エポキシ樹脂組成物が少なくとも1個のエポキシド基を含み、当該硬化剤中の反応性水素原子がエポキシ樹脂稀釈組成物中のエポキシド基と反応性である硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項14】
請求項14に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることを含んでなるプロセス。
【請求項15】
請求項15に記載のプロセスによって製造された硬化エポキシ樹脂を含んでなる物品であって、コーティング、電気若しくは構造用積層体、電気若しくは構造用複合材料、フィラメント巻き、成形物、注型品及びカプセル封入品の少なくとも1種である物品。

【公表番号】特表2011−521078(P2011−521078A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510607(P2011−510607)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/044288
【国際公開番号】WO2009/143036
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】