説明

穀物または穀物副生産物由来のオリゴ糖の酵素的産生

本発明は、穀物ふすまの可溶性画分を含む組成物を調製するための穀物ふすまの可溶化および食品、例えば、パンの製造のための可溶化された穀物ふすまを含むこれらの組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、穀物ふすまの可溶性画分を含む組成物を調製するための穀物ふすまの可溶化および食品、例えば、パンの製造のための可溶化された穀物ふすまを含むこれらの組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
穀物は、アラビノキシランを5−10%含み、デンプン、セルロースおよびβ−グルカンと共に、最も豊富な穀物炭水化物を構成する。アラビノキシランは、O−2および/もしくはO−3 α−L−アラビノ−フラノシル単位または4−O−メチルグルクロン酸残基が連結しているβ−1,4−連結D−キシロピラノシル単位の主鎖を含み、該キシロピラノシル単位は酢酸でエステル化され得る。さらに、L−アラビノフラノシル側鎖残基は、フェルラ酸およびp−クマル酸でエステル化され得る。典型的なアラビノキシランにおいて、置換されていない、一置換されている、および二置換されているキシロース残基が生じる。
【0003】
穀物におけるアラビノキシランは、水で抽出可能または水で抽出不可能のいずれかである。水で抽出不可能なアラビノキシランは、アルカリ性条件下で、または酵素、例えば、エンドキシラナーゼを使用することにより、部分的に可溶化され得る。
【0004】
アラビノキシラン−オリゴ糖(AXOS)は、アラビノキシラン由来のオリゴ糖であり、前生物的特性を発揮することが示されている。前生物学的物質は、上部消化管の酵素により消化することができない化合物、通常、非グルコシドオリゴ糖であるが、大腸におけるいくつかの型の腸内細菌により選択的に発酵される。食事における前生物学的物質の存在は、一般的に乳酸菌およびビフィズス菌種の相対的な増加により特徴付けられる、腸内細菌集団の組成のシフトを引き起こす。腸の微生物叢のこのシフトは、健康全般の改善、消化管の感染症の減少、腸の短鎖脂肪酸のレベルの増大、ミネラルのより良い吸収、および大腸癌発症の抑制と関連する。
【0005】
Katapodis Pら, European journal of Nutrition, 2003 Jan; 42(1):55-60は、小麦粉のアラビノキシラン由来の抗酸化活性を有するフェルロイル化オリゴ糖の酵素生産に関する。
【0006】
Yuanら, Food Chemistry, Vol 95, Issue 3, 2006, Pages 484-492は、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のキシラナーゼによる、小麦ふすまの不溶性食物繊維由来のフェルロイルオリゴ糖の生産に関する。
【0007】
最近、ニワトリにおいて、可溶化されたふすまが不溶性ふすまよりもより良い栄養学的効果を有することが、例えば、Courtinら Journal of the science of food and agriculture. 88. p 2517-2522 (2008)およびCloetensら, Journal of the American College of Nutrition, Vol. 27, No. 4, 512-518 (2008)により示されている。
【0008】
Swennenら. Journal of the science of food and agriculture, 2006, vol. 86, 1722-1731は、小麦ふすまのアラビノキシロオリゴ糖の大規模生産および特性化に関する。
【0009】
WO2008000050は、全粒の穀物の発酵の副産物として可溶性アラビノキシランを製造するための方法に関する。
【0010】
WO2008087167は、ベークド産物(baked product)中でそのままで(in situ)水溶性アラビノキシランオリゴ糖のレベルを増加させるための方法に関する。
【0011】
Rouau, X and Surget, A., Carbohydrate polymers 24: 123 - 132 (1994)は、小麦粉中の全ての、および水で抽出可能なペントサンの測定のための迅速な半自動方法を記載している。
【0012】
当該分野において、家畜飼料のような低価格の用途(application)に回される穀物が少なくなるような、穀物のより良い利用が求められている。さらに、製品の外観/構造、色および味において有意な影響を及ぼすことなく、穀物由来のふすま画分を既存の穀物製品に利用すること、および既存の製品の健康学的および栄養学的効果を増加させることが、長年にわたり切実に求められている。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的
本発明の目的は、家畜飼料などの低価格の用途に回される穀物が少なくなる、穀物のより良い利用方法を提供するために、穀物ふすまの可溶化の増加のための方法を提供することである。さらに本発明の目的は、製品の外観/構造、色および味において有意な影響を及ぼすことなく、穀物由来のふすま画分を既存の穀物製品に利用すること、および既存の製品の健康学的および栄養学的効果を増加させることである。
【0014】
発明の概要
本発明者らは、穀物ふすま中に相当量のデンプンを維持していることにより、細胞壁修飾酵素およびデンプン修飾酵素で処理すると、有意に高い収率のアラビノキシランオリゴ糖ならびに全可溶性物質が穀物デンプンの可溶化のプロセスにおいて得ることができることを見出した。
【0015】
広い局面において、本発明は、可溶化されている穀物ふすまの少なくとも一部を含む組成物を生産するための穀物ふすまの可溶化に関する。本発明の方法により得られる組成物の別の一部が、ふすまの完全または部分的不溶性画分であり得ると理解すべきである。
【0016】
よって、第1の局面において、本発明は、デンプンを含む穀物ふすまの可溶化のための方法であって、
a)相当量のデンプンを含む粒子穀物ふすまの液体懸濁液を調製し、
b)液体懸濁液中に相当量のデンプンを含む該粒子穀物ふすまを、いずれの成分も除去することなく、任意の順番で連続して、または同時に、1つまたはそれ以上の細胞壁修飾酵素、1つまたはそれ以上のデンプン修飾酵素、および所望により1つまたはそれ以上のさらなる酵素で処理する
工程を含む方法に関する。
【0017】
第2の局面において、本発明は、本発明の方法により生産される可溶化された穀物ふすまに関する。
さらなる局面において、本発明は、食品の生産のための本発明の方法により生産される可溶化された穀物ふすまの使用に関する。
【0018】
さらに他の局面において、本発明は、食品の生産における本発明の方法により生産される可溶化された穀物ふすまの使用により得られる食品に関する。
またさらなる局面において、本発明は、
a)1つまたはそれ以上の細胞壁修飾酵素;1つまたはそれ以上のデンプン修飾酵素、および所望により1つまたはそれ以上のさらなる酵素を含む酵素の組合せ、
b)本発明の方法における使用のための指示書、および
c)所望により食品のための他の成分
を含むパーツを含むキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ふすま処理に対する抽出バッファーの回収率。縦列は、表3の試験番号1−6に対する回収された抽出体積を示す。
【図2】ふすま処理に対する得られた可溶性画分中の乾物。縦列は、表3の試験番号1−6に対する%における乾物含有量を示す。
【図3】ふすま処理に対するふすまの可溶化度。縦列は、表3の試験番号1−6に対するふすまの可溶化度を示す。
【図4】ふすま処理に対する補正された(抽出体積回収率に対して)ふすまの可溶化度。縦列は、表3の試験番号1−6に対する%における(抽出体積回収率に対して補正された)ふすまの可溶化度を示す。
【図5】ベーキング試験結果。パン 対 ブランクの相対体積(%)。縦列は、表9のベーキング試験1−4に対する%におけるパン体積を示す。試験1(ブランクを100%とする)。
【図6】(左から)対照穀粉、2,5%の可溶性繊維、5%の可溶性繊維および5%の不溶性繊維でのベーキングから得られるパン。
【図7】(左から)対照穀粉、2,5%の可溶性繊維、5%の可溶性繊維および5%の不溶性繊維でのベーキングから得られるパン。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
本発明は、穀物の用途において利用され得る産物を生じる穀物の二次生産物(sidestream)(ふすま)の可溶化のプロセス(および得られる産物)に関する。本発明は、得られる産物の官能(sensoric)およびテクスチャー特性に悪影響を与えることなく穀物用途において穀物の二次生産物の利用を可能にし、原料(穀物)の利用性を増加させる。本発明のプロセスにおいて、前生物学的オリゴ糖、例えば、ベータ−グルカン、およびAXOS、トコフェノール、およびトコトリエノール(tocotriol)(後ろの2つは抗酸化作用を有する)が産生するであろう。さらに、モノ−およびジ−グリセリド、lyso−PCおよびモノ/ジ−ガラクトシル−モノ−グリセリドが産生すると考えられ、これら全てが乳化剤効果を有し、最終穀物製品の外観、構造および安定性に対してさらなるプラス効果を有するであろう。
【0021】
いくつかの態様において、本発明のプロセスにより得られる可溶化された産物は、前生物学的物質、抗酸化剤および乳化剤から選択される化合物を含む。
いくつかの態様において、本発明のプロセスにより得られる可溶化された産物は、アラビノキシランオリゴ糖(AXOS)を含む。
【0022】
いくつかの態様において、本発明のプロセスにより得られる可溶化された産物は、イソマルトオリゴ糖(IMO)を含む。
いくつかの態様において、本発明の方法において使用される穀物ふすまは、穀物副生産物(bi-stream)由来、例えば、従来の製粉由来の小麦ふすまである。
【0023】
従来の小麦製粉は、65−85%の抽出程度(穀粒(Kernel)重量に基づく穀粉収率%)まで行われ、細胞壁多糖類、例えば、アラビノキシラン、ベータ−グルカン、セルロースからなる小麦ふすまが得られ、さらに、タンパク質、脂質、リグニンおよびデンプンが該ふすま中に存在する。a)例えば、キシラナーゼ、ベータ−グルカナーゼ、セルラーゼ由来の、1つまたはそれ以上の細胞壁加水分解活性、およびb)1つまたはそれ以上のデンプン加水分解酵素、例えば、アルファ−アミラーゼ、プルラナーゼ、ベータ−アミラーゼおよびトランスグリコシル化酵素、例えば、トランス−グリコシダーゼの組合せでの穀物ふすまの処理は、他の細胞壁のオリゴ糖/多糖類と共にAXOSを産生し、いくつかの態様において、IMOも産生する。該技術は、前生物学的および低炭水化物食物繊維産物を生じる製粉の二次生産物に適用され得、ベーキング、朝食用のシリアル、ケーキ、パスタなどのような穀物の用途に適用され得る。
【0024】
本発明の1つの重要な特徴は、最終製品のより許容可能な官能性外観および健康への影響であり得る。穀物利用品における本発明のふすま画分の使用は、4つの異なるパラメーター:1)製品の構造/外観、2)製品の色、3)製品の味、および/または4)健康面に主に影響する。
【0025】
1)穀物製品へのふすま画分の添加は、最終製品の構造に影響する。製品が酵母で発酵させるパンであるとき、ふすま画分は、グルテン強度に対して不利益な作用を有し、より小さい体積でより緻密な製品を与える。一般的に、製品へのふすま添加は、製品の構造および外観に影響を及ぼす。これは、ふすま画分または繊維画分が固体形態の代わりに可溶性形態において製品に加えられたとき、排除されるか、または減少され得る。可溶化されたふすまは、例えば、酵母で発酵させるパンにおけるグルテン発達および強度に対し同じ作用を有さない。
【0026】
2)穀物製品におけるふすまの使用は、製品の色に対して有意な影響を及ぼし、製品をより暗くする。この理由は、ふすま画分における色成分(主に細胞壁におけるフェノール性化合物)であり、製品全体の色に影響を及ぼす。ほとんどの場合、内胚乳(穀粉)のみから生産されるより白色の製品と比較して、不利益な、あまり魅力的でない製品としての特徴が見られる。本発明の可溶化されたふすまを使用すると、色は減少されるか、またはさらに排除され得る。この理由は、多くのフェノール性化合物がしばしば、酵素的に接触が非常に困難である細胞壁の領域に位置することであり、したがって、それらが可溶化され、可溶化されたふすま画分を使用して生産される最終製品の暗い色に寄与しなくなる。
【0027】
本発明の方法は、色に寄与する化合物を完全に除去するために、これらの産物の特異的な酵素加水分解を使用して、または分離および/もしくは精製技術の適用により、最適化され得る。
【0028】
3)ふすま画分を適用するとき、より暗い製品に寄与する同じ成分は、最終製品の官能特性も変化させるであろう。内胚乳から生産される製品と比較して、これらの化合物に関する特徴はより苦い味である。この味は、ライ麦パンが伝統的に、消費されているスカンジナビアおよびヨーロッパ北部においてよく知られており、好まれる。しかしながら、世界の他の多くにおいて、該味は好まれず、製品の欠点として見られる。
【0029】
4)多くのヒバマタ属は、食事を介して消化管の健康に対する影響に向けられてきた。食事、とりわけ食物繊維(可溶性および不溶性)の消費が、腸管内菌叢の組成、それによる個体の健康全般に非常に大きな影響を有することが良く認識されている。可溶性ふすま、またはより正確には、可溶性低分子アラビノキシランオリゴ糖(AXOS)の適用は、腸管内菌叢を劇的に変化させることが示されている。AXOSおよびIMOの産生を組み合わせることにより、繊維画分の使用は、製品により多くのデンプンを加えることなく、代謝エネルギーを高めるが、残留デンプンおよびグルコースを別の前生物学的繊維、IMOに変換する。
【0030】
産生される画分は、朝食用のシリアルにおいて利用でき、穀物(小麦)の利用率を増加させ、使用される増量剤(糖)を減少させ、カロリー負荷を減少させ、前生物学的物質を食事に導入することができる。
【0031】
要約すると、本発明の方法は、飼料、例えば、家畜飼料のような低価格の利用品に回される穀物が少なくなるような穀物のより良い利用を与える。さらに、本明細書に記載されている方法は、製品の外観/構造、色および味に対し有意な影響を及ぼすことなく、穀物由来のふすま画分を既存の穀物製品に利用可能にする。最後に、本明細書に記載されている方法は、既存の製品の健康学的および栄養学的効果を増加させることを可能にする。
【0032】
定義
本明細書において使用される「穀物」なる用語は、イネ科(Poaceae)の植物由来の実を示し、果皮、種皮(seed coat)(あるいは種皮(testa)とも称される)および/または胚芽のさらなる存在を有するか、または有さない、例えば、アリューロンを含む少なくともふすまおよびデンプン内胚乳を含む種子を示す。該用語は、小麦、大麦、オート麦、スペルト小麦、ライ麦、モロコシ、メイズおよびイネのような種を含むが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書において使用される「ふすま」なる用語は、対応する完全な種子と比較して、アリューロン、果皮および種皮から選択される組織のいずれかまたは全てにおいて豊富である穀物由来の製粉画分を示す。
【0034】
本明細書において使用される「可溶化」なる用語は、本発明の方法における穀物ふすまの可溶化を示し、あらゆる程度の可溶化を含むことを意図する。したがって、「可溶化」は、100%の可溶性物質を達成するようにであってよく、また、100%未満、例えば、70%未満、例えば、40%−60%の範囲、または、例えば、20%−40%の範囲の可溶化度を達成するようにであってよい。いくつかの態様において、可溶化度は、乾物 対 乾物ふすまで決定される。
【0035】
本明細書において使用される「製粉画分」なる用語は、例えば、限定はしないが、ふるい(sieving)、スクリーニング、ふるい分け(sifting)、吹き込み(blowing)、吸引、遠心式のふるい分け(centrifugal sifting)、風によるふるい分け(windsifting)、静電分離または電界分離による分別を含むか、または含まない、例えば、限定はしないが、切断、圧延、粉砕、破損(breakage)または製粉による粒子サイズの機械的減少によって生じる画分の全てまたは一部を示す。
【0036】
本発明の文脈において「相当量のデンプン」は、穀物の従来の機械加工後、例えば、穀物の商業的な製粉後に通常存在する残留デンプンの量をほぼ含む穀物ふすまを示す。いくつかの態様において、穀物に通常存在するデンプンの少なくとも約1%、例えば、少なくとも約3%、例えば、少なくとも約5%、例えば、少なくとも約10%、例えば、少なくとも約20%、例えば、少なくとも約30%、例えば、少なくとも約40%、例えば、少なくとも約50%が、まだ、本発明で使用される穀物ふすま画分にある。好ましくは、穀物ふすまは、デンプン加水分解酵素で前処理されていないか、または他の方法においてふすまからデンプンを除去するために酵素的に処理されていない。
【0037】
本発明の方法は、残留デンプンを含む粒子穀物ふすまの実質的に単離された液体懸濁液の調製、および該穀物ふすまの酵素処理に関すると理解すべきである。したがって、該酵素は残留デンプンを有する穀物ふすまに対して酵素作用を有するはずであると理解すべきである。本発明は、添加的な追加された穀粉調製物での組成物の酵素処理、例えば、in situでの酵素的パン製造適用を包含することを意図しない。
【0038】
いくつかの態様において、粒子穀物ふすまの液体懸濁液の約50%未満、例えば、約40%未満、例えば、約30%未満、例えば、約20%未満、例えば、約10%未満、例えば、約6%未満、例えば、約3%未満、例えば、約1%未満(w/w)は、デンプンまたはデンプンを含む成分、例えば、穀粉である。
【0039】
本発明の文脈において「細胞壁修飾酵素」は、植物細胞壁の複合マトリクス多糖類を加水分解または修飾することができるあらゆる酵素、例えば、本明細書における「細胞壁可溶化アッセイ」において活性を有するあらゆる酵素を示す。「細胞壁修飾酵素」の定義に包含されるものは、セルラーゼ、例えば、セロビオヒドロラーゼIおよびセロビオヒドロラーゼII、エンド−グルカナーゼおよびベータ−グルコシダーゼ、ならびにヘミセルロース分解酵素、例えば、キシラナーゼである。
【0040】
本明細書において使用される「セルラーゼ」または「セルロース分解酵素」なる用語は、セロビオヒドロラーゼ(EC3.2.1.91)、例えば、セロビオヒドロラーゼIおよびセロビオヒドロラーゼII、ならびにエンド−グルカナーゼ(EC3.2.1.4)およびベータ−グルコシダーゼ(EC3.2.1.21)を含むと理解される。
【0041】
セルラーゼの定義に包含されるものは、ランダムにセルロース鎖を切断するエンド−グルカナーゼ(EC3.2.1.4)、セルロース鎖末端からセロビオシル単位を開裂するセロビオヒドロラーゼ(EC3.2.1.91)およびセロビオースおよび可溶性セロデキストリンをグルコースに変換するベータ−グルコシダーゼ(EC3.2.1.21)である。セルロースの生物分解に関与する酵素のこれら3つのカテゴリー中、セロビオヒドロラーゼは、天然結晶セルロースの分解のための重要な酵素である。「セロビオヒドロラーゼI」なる用語は、鎖の非還元末端からのセロビオースの遊離により、セルロースおよびセロテトラオースにおける1,4−ベータ−D−グルコシド結合の加水分解を触媒する酵素クラスEC3.2.1.91において定義される、セルロース1,4−ベータ−セロビオシダーゼ(エキソグルカナーゼ、エキソセロビオヒドロラーゼまたは1,4−ベータ−セロビオヒドロラーゼとしも称される)活性として本明細書において定義される。「セロビオヒドロラーゼIl活性」なる用語の定義は、セロビオヒドロラーゼIlが鎖の還元末端から攻撃することを除いて、同一である。
【0042】
セルラーゼは、酵素のセルロース含有繊維への結合を増強し、酵素の触媒活性部分の効力を増加させる炭水化物−結合モジュール(CBM)を含み得る。CBMは、炭水化物−結合活性を有する目立たない折り畳みを有する炭水化物−活性酵素内の隣接するアミノ酸配列として定義される。CBMのさらなる情報のために、CAZyインターネット・サーバー(上記)またはTommeら.(1995) in Enzymatic Degradation of Insoluble Polysaccharides (Saddler and Penner, eds.), Cellulose- binding domains: classification and properties, pp. 142-163, American Chemical Society, Washington参照。好ましい態様において、セルラーゼまたはセルロース分解酵素は、米国出願第60/941,251号(出典明示により本明細書に包含させる)に定義されているセルロース分解調製物であり得る。好ましい態様において、セルロース分解調製物は、セルロース分解増強活性を有するポリペプチド(GH61A)、好ましくはWO2005/074656に記載されているものを含む。細胞壁修飾酵素は、さらに、ベータ−グルコシダーゼ、例えば、トリコデルマ、アスペルギルスまたはペニシリウム属の株由来のベータ−グルコシダーゼ、例えば、米国出願第60/832,511号(Novozymes)に記載されているベータ−グルコシダーゼ活性を有する融合タンパク質であり得る。いくつかの態様において、細胞壁修飾酵素は、CBH II、例えば、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)セロビオヒドロラーゼIl(CEL6A)である。いくつかの態様において、細胞壁修飾酵素は、セルラーゼ酵素、例えば、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)由来のものである。
【0043】
いくつかの態様において、セルロース分解活性は、真菌供給源、例えば、トリコデルマ属の株、例えば、トリコデルマ・リーゼイの株、またはフミコーラ属の株、例えば、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)の株由来であり得る。
【0044】
いくつかの態様において、細胞壁修飾酵素は、WO2005/074656に記載されているセルロース分解増強活性を有するポリペプチド(GH61A)、セロビオヒドロラーゼ、例えば、チエラビア・テレストリス セロビオヒドロラーゼIl(CEL6A)、ベータ−グルコシダーゼ(例えば、米国出願第60/832,511号に記載されている融合タンパク質)および、例えば、トリコデルマ・リーゼイ由来のセルロース分解酵素である。
【0045】
いくつかの態様において、細胞壁修飾酵素は、WO2005/074656に記載されているセルロース分解増強活性を有するポリペプチド(GH61A)、ベータ−グルコシダーゼ(例えば、米国出願第60/832,511号に記載されている融合タンパク質)および、例えば、トリコデルマ・リーゼイ由来のセルロース分解酵素である。いくつかの態様において、細胞壁修飾酵素は、市販されている産物、例えば、Genencor, A Danisco Division, USから利用できるGC220またはNovozymes A/S, Denmarkから利用できるCELLUCLAST(登録商標) 1.5LもしくはCELLUZYMETMである。
【0046】
エンド−グルカナーゼ(ECNo.3.2.1.4)は、セルロース、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース)、リケニンにおける1,4−ベータ−D−グリコシド結合、複合ベータ−1,3グルカン、例えば、穀物ベータ−D−グルカンまたはキシログルカンおよびセルロース部分を含む他の植物原料におけるベータ−1,4結合の内部加水分解(endo hydrolysis)を触媒する。公認名は、エンド1,4−ベータ−D−グルカン 4−グルカノヒドロラーゼであるが、略語エンド−グルカナーゼが本明細書において使用される。エンド−グルカナーゼ活性は、Ghose, 1987, Pure and Appl. Chem. 59: 257-268の方法にしたがってカルボキシメチルセルロース(CMC)加水分解を使用して測定され得る。
【0047】
いくつかの態様において、エンド−グルカナーゼは、トリコデルマ属の株、例えば、トリコデルマ・リーゼイの株、フミコーラ属の株、例えば、フミコーラ・インソレンスの株、またはクリソスポリウム(Chrysosporium)の株、好ましくはクリソスポリウム・ラクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)の株由来であり得る。
【0048】
「セロビオヒドロラーゼ」なる用語は、セルロース、セロオリゴ糖、またはあらゆるベータ−1,4−連結グルコース含有ポリマーにおける1,4−ベータ−D−グルコシド結合の加水分解を触媒し、鎖の還元または非還元末端からセロビオースを遊離する1,4−ベータ−D−グルカンセロビオヒドロラーゼ(E.C.3.2.1.91)を意味する。
【0049】
セロビオヒドロラーゼ(cellobiohydrolose)の例は、上記のもの、例えば、トリコデルマ・リーゼイ、フミコーラ・インソレンス由来のCBHIおよびCBHIlならびにチエラビア・テレストリス(Thielavia teπrestris)セロビオヒドロラーゼ由来のCBHIl(CELL6A)である。
【0050】
セロビオヒドロラーゼ活性は、Leverら., 1972, Anal. Biochem. 47: 273-279およびvan Tilbeurghら., 1982, FEBS Letters 149: 152-156; van Tilbeurgh and Claeyssens, 1985, FEBS Letters 187: 283-288により記載されている方法にしたがって測定され得る。Leverらの方法は、トウモロコシ茎葉におけるセルロースの加水分解を評価するために適当であり、van Tilbeurghらの方法は、蛍光二糖類誘導体におけるセロビオヒドロラーゼ活性を測定するために適当である。
【0051】
「ベータ−グルコシダーゼ」なる用語は、ベータ−D−グルコースの遊離を伴う末端の非還元ベータ−D−グルコース残基の加水分解を触媒するベータ−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ(E.C.3.2.1.21)を意味する。本発明の目的のために、ベータ−グルコシダーゼ活性は、異なる条件が本明細書に記載されているとおりに使用されることを除いて、Venturiら., 2002, J. Basic Microbiol. 42: 55-66により記載されている基本的方法にしたがって測定される。ベータ−グルコシダーゼ活性の1ユニットは、100mMのクエン酸ナトリウム、0.01%のTWEEN(登録商標)20中で基質として4mMのp−ニトロフェニル−ベータ−D−グルコピラノシドから500Cで、pH5で1分あたり生産される1.0μmolのp−ニトロフェノールとして定義される。
【0052】
いくつかの態様において、ベータ−グルコシダーゼは、真菌起源、例えば、トリコデルマ、アスペルギルスまたはペニシリウム属の株のものである。いくつかの態様において、ベータ−グルコシダーゼは、トリコデルマ・リーゼイ由来であり、例えば、bgl1遺伝子によってコードされるベータ−グルコシダーゼである(EP562003参照)。他の態様において、ベータ−グルコシダーゼは、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)(WO02/095014にしたがってアスペルギルス・オリザエにおいて組換え的に生産される)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)(WO02/095014の実施例22にしたがってアスペルギルス・オリザエにおいて組換え的に生産される)または黒色アスペルギルス(1981, J. Appl. 3: 157-163)由来である。
【0053】
本明細書において使用される「ヘミセルロース分解酵素(hemicellulolvtic enzyme)」または「ヘミセルラーゼ」なる用語は、ヘミセルロースを分解し得る酵素を示す。
【0054】
好ましくはアラビノキシランオリゴ糖への、ヘミセルロースの加水分解における使用のために適当なあらゆるヘミセルラーゼが使用され得る。好ましいヘミセルラーゼは、キシラナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、フェルロイルエステラーゼ、グルクロニダーゼ、ガラクタナーゼ、エンド−ガラクタナーゼ、マンナーゼ、エンドもしくはエキソアラビナーゼ、エキソ−ガラクタナーゼ、ペクチナーゼ、キシログルカナーゼ、または2つ以上のそれらの混合物を含む。本発明における使用のために適当なヘミセルラーゼの例は、Grindamyl Powerbake 930(Danisco A/S, Denmarkから利用できる)またはVISCOZYM ETM(Novozymes A/S, Denmarkから利用できる)を含む。1つの態様において、ヘミセルラーゼはキシラナーゼである。1つの態様において、キシラナーゼは、微生物起源、例えば、真菌起源(例えば、トリコデルマ、メリピルス(Meripilus)、フミコーラ、アスペルギルス、フザリウム)または細菌(例えば、バチルス)由来である。いくつかの態様において、キシラナーゼは、糸状菌由来、好ましくはアスペルギルスの株、例えば、アスペルギルス・アクレアータス(Aspergillus aculeatus)、またはフミコーラの株、好ましくはフミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)由来である。キシラナーゼは、好ましくはエンド1,4−ベータ−キシラナーゼ、さらに好ましくはGH10またはGH11のエンド1,4−ベータ−キシラナーゼであり得る。市販のキシラナーゼの例は、Danisco A/S, DenmarkからのGrindamyl H121もしくはGrindamyl Powerbake 930またはNovozymes A/S, DenmarkからのSHEARZYMETMおよびBIOFEED WHEATTMを含む。
【0055】
アラビノフラノシダーゼ(EC3.2.1.55)は、アルファ−L−アラビノシドにおける末端の非還元アルファ−L−アラビノフラノシド残基の加水分解を触媒する。アラビノガラクタン エンド−1,4−ベータ−ガラクトシダーゼであるガラクタナーゼ(EC3.2.1.89)は、アラビノガラクタンにおける1,4−D−ガラクトシド結合の内部加水分解を触媒する。
【0056】
ペクチナーゼ(EC3.2.1.15)は、ペクチン酸塩における1,4−アルファ−D−ガラクトシドウロン(galactosiduronic)結合および他のガラクツロナンの加水分解を触媒する。
キシログルカナーゼは、キシログルカンの加水分解を触媒する。
【0057】
本明細書において使用される「キシラナーゼ」なる用語は、キシランまたはアラビノキシランの非末端ベータ−D−キシロピラノシル−1,4−ベータ−D−キシロピラノシル単位におけるベータ−1,4グリコシル結合を加水分解することができる酵素を示す。他の名前は、1,4−ベータ−D−キシラン キシラノヒドロラーゼ、1,4−ベータ−キシラン キシラノヒドロラーゼ、ベータ−1,4−キシラン キシラノヒドロラーゼ、(1−4)−ベータ−キシラン 4−キシラノヒドロラーゼ、エンド−1,4−ベータ−キシラナーゼ、エンド−(1−4)−ベータ−キシラナーゼ、エンド−ベータ−1,4−キシラナーゼ、エンド−1,4−ベータ−D−キシラナーゼ、エンド−1,4−キシラナーゼ、キシラナーゼ、ベータ−1,4−キシラナーゼ、ベータ−キシラナーゼ、ベータ−D−キシラナーゼを含む。キシラナーゼは、種々の生物、例えば、植物、真菌(例えば、アスペルギルス、ペニシリウム、ディスポロトリカム(Disporotrichum)、アカパンカビ、フザリウム、フミコーラ、トリコデルマの種)または細菌種(例えば、バチルス、アエロモナス、ストレプトマイセス、ノカルジオプシス、サーモミセス(Thermomyces)の種)(例えば、WO92/17573、WO92/01793、WO91/19782、WO94/21785参照)由来であり得る。
【0058】
本発明の1つの局面において、本発明の方法において使用されるキシラナーゼは、EC3.2.1.8として分類される酵素である。正式名称はエンド−1,4−ベータ−キシラナーゼである。組織名は1,4−ベータ−D−キシラン キシラノヒドロラーゼである。他の名前は、例えば、エンド−(1−4)−ベータ−キシラナーゼ、(1−4)−ベータ−キシラン 4−キシラノヒドロラーゼ、エンド−1,4−キシラナーゼ、キシラナーゼ、ベータ−1,4−キシラナーゼ、エンド−1,4−キシラナーゼ、エンド−ベータ−1,4−キシラナーゼ、エンド−1,4−ベータ−D−キシラナーゼ、1,4−ベータ−キシラン キシラノヒドロラーゼ、ベータ−キシラナーゼ、ベータ−1,4−キシラン キシラノヒドロラーゼ、エンド−1,4−ベータ−キシラナーゼ、ベータ−D−キシラナーゼで使用され得る。触媒される反応は、キシランにおける1,4−ベータ−D−キシロシド結合の内部加水分解である。
【0059】
本発明の1つの局面において、本発明のキシラナーゼは、グリコシドヒドロラーゼ(hydrolyase)(GH)ファミリー11のキシラナーゼである。「グリコシドヒドロラーゼ(GH)ファミリー11」なる用語は、問題になっているキシラナーゼがGHファミリー11に分類されるか、または分類され得ることを意味する。
【0060】
本発明の1つの局面において、本発明において使用されるキシラナーゼは、本明細書に記載されている「キシラナーゼアッセイ」において測定されるとき、キシラナーゼ活性を有するキシラナーゼである。
【0061】
Cazy(ModO)サイトにしたがって、ファミリー11グリコシドヒドロラーゼは以下のとおりに特徴付けることができる:
既知の活性:キシラナーゼ(EC3.2.1.8
メカニズム:維持
触媒求核原子/塩基:Glu(実験的)
触媒プロトン供与体:Glu(実験的)
3D構造状態:折り畳み:β−ゼリーロール
クラン:GH−C
【0062】
本明細書において使用される「クランC」は、共通の三次元折り畳みおよび同一の触媒機構を共有するファミリーのグループを示す(例えば、Henrissat, B. and Bairoch, A., (1996) Biochem. J.,316, 695-696参照)。
【0063】
本明細書において使用される「ファミリー11」は、Henrissat and Bairoch (1993) Biochem J.,293,781-788(Henrissat and Davies (1997) Current Opinion in Structural Biol. 1997, &:637-644も参照)により確立されている酵素のファミリーを示す。ファミリー11メンバーの一般的な特性は、高い遺伝的相同性、約20kDaのサイズおよび二重置換触媒メカニズムを含む(Tenkanenら., 1992; Wakarchukら., 1994参照)。ファミリー11キシラナーゼの構造は、β−鎖から作られる2つの大型のβ−シートおよびα−ヘリックスを含む。
【0064】
ファミリー11キシラナーゼは、黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)XynA、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)XynC、アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubigensis)XynA、バチルス・シルクランス(Bacillus circulans)XynA、バチルスプンジルス(Bacilluspunzilus)XynA、枯草菌XynA、ネオカリマスチクスフロンタリス(Neocalliniastix patriciarum)XynA、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)XynB、ストレプトミセス・リビダンスXynC、ストレプトミセス・ゼリノビオラセウス(Streptomyces therinoviolaceus)XynII、好熱性放線菌XynA、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)Xyn、トリコデルマ・リーゼイXynI、トリコデルマ・リーゼイXynII、トリコデルマビリデ(Trichoderma viride)Xynを含む。
【0065】
本発明の文脈において、「デンプン修飾酵素」は、グルコシドにおけるα−1,3および/またはα−1,6グルコシド結合の加水分解を触媒するあらゆる酵素を示す。この用語に包含されるものは、一般的に作用する基質にちなんで命名されるグリコシドヒドロラーゼである。本発明のいくつかの態様において、「デンプン修飾酵素」は、ラクターゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、キチナーゼ、スクラーゼ、マルターゼ、ノイラミニダーゼ、インベルターゼ、ヒアルロニダーゼおよびリゾチームから選択される。
【0066】
いくつかの態様において、デンプン修飾酵素はデンプン脱分枝酵素である。
本発明の1つの局面において、本発明において使用されるデンプン修飾酵素は、本明細書に記載されている「デンプン脱分枝活性アッセイ」において測定されるとき、デンプン脱分枝活性を有する酵素である。
【0067】
デンプン脱分枝酵素は、プルラナーゼ(EC3.2.1.41)およびイソアミラーゼ(EC3.2.1.68)を含む。それらは、アミロペクチン、β−リミットデキストリンおよびプルランにおけるα−l,6−D−グルコシド分岐結合を加水分解する。イソアミラーゼは、プルランを攻撃するイソアミラーゼの無能力により、およびα−リミットデキストリンにおける限界作用により、プルラナーゼ(EC3.2.1.41)と区別することができる。
【0068】
「アミラーゼ」は、あらゆるアミラーゼ、例えば、グルコアミラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼおよびバチルス属、例えば、バチルス・リケニホルミス(B. licheniformis)および枯草菌の野生型α−アミラーゼを含むことを意図する。「アミラーゼ」は、特に、デンプンの分解を触媒することができる酵素を意味する。アミラーゼは、デンプンにおけるα−D−(l→4)O−グリコシド結合を開裂するヒドロラーゼである。一般的に、α−アミラーゼ(EC3.2.1.1;(X−D−(1→4)−グルカン グルカノヒドロラーゼ)は、ランダム様式においてデンプン分子内のα−D−(l→4)O−グリコシド結合を開裂するエンド−作用性酵素として定義される。対照的に、エキソ−作用性デンプン分解酵素、例えば、β−アミラーゼ(EC3.2.1.2;α−D−(l→4)−グルカン マルトヒドロラーゼ)およびいくつかの産物特異的アミラーゼ様マルトース生成型(maltogenic)α−アミラーゼ(EC3.2.1.133)は、基質の非還元末端からデンプン分子を開裂し、β−アミラーゼ、α−グルコシダーゼ(EC3.2.1.20;α−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ)、グルコアミラーゼ(EC3.2.1.3;α−D−(l→4)−グルカン グルコヒドロラーゼ)および産物特異的アミラーゼは、デンプンからグルコースを生産することができる。
【0069】
「α−アミラーゼ変異体」、「α−アミラーゼ変異体ポリペプチド」および「変異体酵素」は、成熟体α−アミラーゼタンパク質のアミノ末端でアミノ酸残基を置き換えることにより修飾されているα−アミラーゼタンパク質を意味する。本明細書において使用される「親酵素」、「親配列」、「親ポリペプチド」、「野生型α−アミラーゼタンパク質」および「親ポリペプチド」は、α−アミラーゼ変異体ポリペプチドが由来する酵素およびポリペプチドを意味する。親酵素は、以前に組換え的に操作されている野生型酵素またはα−アミラーゼであり得る。α−アミラーゼ変異体は、α−アミラーゼ親ポリペプチドのシグナル配列において、またはα−アミラーゼ親ポリペプチドの他の場所において変異をさらに含むことができる。したがって、α−アミラーゼポリペプチドは、組換え的に操作された酵素であり得る。
【0070】
本発明の1つの局面において、本発明において使用されるα−アミラーゼは、本明細書に記載されている「α−アミラーゼアッセイ」において測定されるとき、α−アミラーゼ活性を有するα−アミラーゼである。
【0071】
本発明の1つの局面において、本発明において使用されるベータ−アミラーゼは、本明細書に記載されている「ベータ−アミラーゼアッセイ」において測定されるとき、ベータ−アミラーゼ活性を有するベータ−アミラーゼである。
【0072】
「プルラナーゼ」なる用語は、プルランを分解するデンプン分解内酵素である特定の種類のグルカナーゼを示す。それは、例えば、クレブシエラ属のグラム陰性菌により細胞外の細胞表面に固定されたリポタンパク質として生産される。しかしながら、グラム陽性菌は、分泌タンパク質としてプルラナーゼを生産する。I型プルラナーゼは、α−1,6結合を特異的に攻撃するが、II型プルラナーゼは、α−1,4結合も加水分解することができる。それは、また、いくつかの他の細菌および古細菌により生産される。プルラナーゼは、バイオテクノロジーにおいてデタージェントとして使用される。プルラナーゼ(EC3.2.1.41)は、プルラン−6−グルカノヒドロラーゼ(脱分枝酵素)としても知られている。プルランは、α−1,6−グルコシド結合により連結したマルトトリオース単位の鎖と考えられている。プルラナーゼは、プルラン(α−グルカン多糖類)を加水分解的に開裂する。
【0073】
「トランスグリコシル化酵素」は、トランスグルコシダーゼ活性を有するあらゆる酵素、例えば、トランスグルコシダーゼを示す。「トランスグルコシダーゼ」なる用語は、1,4−α−D−グルカンにおけるα−D−グルコシル残基を、遊離しているか、または1,4−α−D−グルカンと結合しているグルコースの第一ヒドロキシ基に移す酵素を示す。本明細書に記載されているトランスグルコシダーゼは、IUBMB酵素命名にしたがってEC2.4.1.24と記載されている活性を有する。本明細書に記載されているトランスグルコシダーゼの組織名は、1,4−α−D−グルカン、すなわち1,4−α−D−グルカン(D−グルコース)6−α−D−グルコシルトランスフェラーゼである。この酵素は、ある文献においてα−グルコシダーゼとして称されている。
【0074】
上記のとおり、トランスグルコシダーゼ酵素は、一般的に、IUBMB酵素命名にしたがってEC2.4.1.24として定義される、あるグルカンにおけるグルコシル残基をグルコースの第一ヒドロキシ基に移す活性を有する。いくつかの態様において、該酵素は、また、糖側鎖を切るか、または内部結合を開裂し、多糖類骨格を破壊することにより、天然ゴム多糖類(例えば、キサンタン、およびガラクトマンナン含有多糖類、例えば、グアーガムまたはライ豆ゴム)を分解する活性を有し得る。あらゆる適当なトランスグルコシダーゼ酵素が本発明における使用に認められる(例えば、Pazurら, Carbohydr. Res. 1986 149:137-47;およびNakamuraら, J. Biotechnol., 53:75-84, 1997参照)。いくつかの態様において、本発明における使用に認められるトランスグルコシダーゼ酵素は、市販されているものである(例えば、Megazyme, Wicklow, Ireland;またはDanisco US Inc., Genencor Division, Palo Alto, CAから得られる酵素を含むが、これらに限定されない)。いくつかの態様において、酵素は、トリコデルマ・リーゼイ細胞において生産される黒色アスペルギルス トランスグルコシダーゼである。いくつかのさらなる態様において、トランスグルコシダーゼは、野生型真菌トランスグルコシダーゼ(例えば、アクセス番号:D45356(GID:2645159;黒色アスペルギルス)、BAD06006.1(GID:4031328;アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori))、BAA08125.1{GlO:\054565;アスペルギルス・オリザエ)、XPJ)Ol 210809.1(GID: 1 15492363;アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus))、XP_001271891.1(GID:121707620;アスペルギルス・クラバタス(Aspergillus clavatus)、XPJ)01266999.1(GID:1 19500484;ネオサルトリア・フィシェリ(Neosartorya fischeri))、XP 75181 1.1(GID:70993928;アスペルギルス・フミガーツス)、XP_659621.1(GID:67523121;アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans))、XP_001216899.1(GID:115433524;アスペルギルス・テレウス)およびXPJ)01258585.1(GID:119473371;ネオサルトリア・フィシェリ)として、NCBIのGENBANK(登録商標)データベースにおいて寄託されているアミノ酸配列を有する真菌トランスグルコシダーゼを含むが、これらに限定されない)、または、野生型真菌トランスグルコシダーゼと少なくとも約70%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一または少なくとも約98%同一であるアミノ酸配列を有するそれらの変異体である。
【0075】
本発明の1つの局面において、本発明において使用されるトランスグルコシダーゼは、本明細書に記載されている「トランスグルコシダーゼアッセイ」において測定されるとき、トランスグルコシダーゼ活性を有するトランスグルコシダーゼである。
【0076】
本発明の酵素活性アッセイ
細胞壁可溶化アッセイ
好ましくは、ふすま溶解度は、以下のアッセイを使用して測定される。
【0077】
(0.1M)−リン酸水素二ナトリウム(0.2M)バッファー、pH5.0中の小麦ふすまの懸濁液を、1,33%のふすまの濃度(w/w)に調製する。この懸濁液から、750μlのアリコートを撹拌下でエッペンドルフチューブに移す。それぞれの基質チューブを40℃で5分間予め加熱する。そこに、250μlの酵素溶液を加え、基質1%の最終濃度を作る。各測定時間(0、30、60および240分)に対し、酵素濃度を増加させて(0,33;1,0および3,0μgの酵素/グラムふすま)、本発明の各酵素組成物から3つの希釈物(デュプリケート)を作る。ブランクとして、酵素組成物の熱変性した溶液を使用する。反応は、95℃でチューブをインキュベーターセットに移すことにより、所定の時間に終了する。全酵素反応が終了するまで、熱変性したサンプルを4℃で維持する。全酵素反応が終了したとき、エッペンドルフチューブを遠心し、透明な上清を得る。ふすまを可溶性にする酵素能力は、PAHBAHを使用して測定される末端基の還元の増加として示される(Lever、1972)。
【0078】
使用されるふすまが残留デンプンを含むとき、副活性、例えば、アミラーゼ活性が上記アッセイを妨げ得るため、ふすま可溶化アッセイは、精製された細胞壁修飾酵素(アミラーゼ活性を有さない)でのみ実施されるべきである。
【0079】
あるいは、可溶化度は、以下の方法にしたがって測定され得る。
植物原料、例えば、穀物ふすまの可溶化度は、不溶性植物原料を、酵素を有するか、または有さない抽出バッファー(一般的に、バッファー中10−25%のふすま(w/w))に懸濁し、懸濁液を撹拌下で摂氏40℃で制御時間(例えば、30から1440分)でインキュベートすることにより測定することができる。可溶化後、可溶化された原料を遠心分離(20分、25000×g、室温)により不溶性原料から分離する。上清中の乾物含有量を、サンプルの一部を凍結乾燥することにより、または含水量分析により(Moidture analyser, AND ML-50, Buch & Holm, Denmark)測定する。すべての抽出バッファーを、このプロトコールを使用して回収することはできないが、しかしながら、可溶性物質の濃度は、回収されなかった抽出バッファー中と回収された抽出バッファー中で同じであると考え、補正を使用された全抽出バッファーに対して行う。可溶性画分中の乾物含有量を測定しておき、試験に取り入れた植物原料の量および抽出バッファーの量を知っていると、可溶化度は以下の方程式を使用して決定することができる。
可溶化度=(((乾物のグラム/回収された上清のml)×(使用された抽出バッファーのml))×100%)/試験に取り入れた植物原料のグラム
【0080】
キシラナーゼアッセイ(エンド−β−1,4−キシラナーゼ活性)
このアッセイにおいてOD590=約0.7を得るように、サンプルをクエン酸(0.1M)−リン酸水素二ナトリウム(0.2M)バッファー、pH5.0に希釈した。サンプルの3つの異なる希釈物を5分40℃でプレインキュベートした。時間=5分で、1つのXylazyme錠剤(架橋され、染色されたキシラン基質、Megazyme, Bray, Ireland)を、1mlの反応容量の酵素溶液に加えた。時間=15分で、10mlの2%のTRIS/NaOH、pH12を加えることにより反応を終了した。ブランクは、酵素溶液の代わりに1000μlのバッファーを使用して調製した。反応混合物を遠心し(1500×g、10分、20℃)、上清のODを590nmで測定した。1つのキシラナーゼユニット(XU)は、1分あたりOD590が0.025増加するキシラナーゼ活性として定義される。
【0081】
α−アミラーゼ活性:
α−アミラーゼは、α−D−1,4−グルコシド結合を加水分解し、その活性は、アルファ1,4−D−結合の加水分解によるデンプン−ヨウ素溶液の色の変化率として検出することができる。
【0082】
ベータ−アミラーゼ活性:
ベータ−アミラーゼ活性は、デンプン溶液の非還元末端からのマルトースの遊離として測定することができる。
【0083】
トランスグルコシダーゼ活性:
トランスグルコシダーゼは、α−D−グルコオリゴ糖とのインキュベーションにおける加水分解および移動反応の両方を触媒する。トランスグルコシダーゼ活性は、マルトースまたはマルトデキストリンとのインキュベーション時のイソマルトオリゴ糖、例えば、イソマルトース、パノース(pansose)およびイソマルトトリオースの生成として測定することができる。
【0084】
デンプン脱分枝活性アッセイ:
現在、デンプンにおけるα−D−1,6グルコシド結合に対して特異的な酵素は、イソアミラーゼ(EC3.2.1.68)およびプルラナーゼ(EC3.2.1.41)を含む。デンプンのα−D−1,6グルコシド結合に作用する酵素は、また、プルランに対するそれらの活性により分類され、それらの活性は、デンプンおよびプルランのα−D−1,6グルコシド結合の特異的加水分解として測定される。
【0085】
本発明の特定の態様:
上記のとおり、本発明は、デンプンを含む穀物ふすまの可溶化のための方法であって、
a)相当量のデンプンを含む粒子穀物ふすまの液体懸濁液を調製し、
b)液体懸濁液中に相当量のデンプンを含む該粒子穀物ふすまを、いずれの成分も除去することなく、任意の順番で連続して、または同時に、1つまたはそれ以上の細胞壁修飾酵素、1つまたはそれ以上のデンプン修飾酵素、および所望により1つまたはそれ以上のさらなる酵素で処理する
工程を含む方法に関する。
【0086】
本発明のいくつかの態様において、粒子穀物ふすまを、1つまたはそれ以上の細胞壁修飾酵素、および1つまたはそれ以上のデンプン修飾酵素、および所望により1つまたはそれ以上のさらなる酵素を含む酵素の組合せで同時に処理する。
【0087】
本発明のいくつかの態様において、1つのさらなる酵素は、1つまたはそれ以上のトランスグリコシル化酵素である。
本発明のいくつかの態様において、1つのさらなる酵素は、リパーゼ、例えば、ホスホリパーゼまたはガラクトリパーゼである。
本発明のいくつかの態様において、1つのさらなる酵素は、プロテアーゼである。
【0088】
本発明のいくつかの態様において、工程b)から得られる可溶性画分を回収する工程をさらに含む。
【0089】
本発明のいくつかの態様において、1つまたはそれ以上の細胞壁修飾酵素は、キシラナーゼおよびセルラーゼ、例えば、セロビオヒドロラーゼ、エンド−グルカナーゼおよびベータ−グルカナーゼからなる群から選択される。
【0090】
本発明のいくつかの態様において、セルラーゼは、エンド−セルラーゼ、エキソ−セルラーゼ、セロビアーゼ、酸化セルラーゼ、セルロースホスホリラーゼから選択される。
【0091】
本発明のいくつかの態様において、1つまたはそれ以上のデンプン修飾酵素は、アルファ−アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼおよびベータ−アミラーゼからなる群から選択される。
【0092】
本発明のいくつかの態様において、1つまたはそれ以上のトランスグリコシル化酵素は、酵素クラスEC2.4.1.24の酵素からなる群から選択される。
【0093】
本発明のいくつかの態様において、該粒子ふすまの平均粒径は、3000μm未満、例えば、1000μm未満、例えば、500μm未満である。
【0094】
本発明のいくつかの態様において、穀物ふすまを産業的製粉工程から得、平均粒径500μm未満、例えば、400μm未満、例えば、200μm未満を得るためにさらに製粉する。
【0095】
本発明のいくつかの態様において、さらなる酵素活性を不活性化するために、可溶化された穀物ふすまをさらに処理する。
【0096】
本発明のいくつかの態様において、乾物 対 乾物ふすまで決定されるとき、可溶化度は、20%以上、例えば、25%以上、例えば、30%以上、例えば、35%以上、例えば、40%以上、例えば、50%以上、例えば、40%−60%の範囲、例えば、50%−60%の範囲である。
【0097】
本発明のいくつかの態様において、乾物 対 乾物ふすまで決定されるとき、工程b)から得られる可溶性画分中のアラビノキシランオリゴ糖(AXOS)の含有量は、20%を越える、例えば、25%を越える、例えば、30%を越える、例えば、35%を越える、例えば、40%を越える、例えば、45%を越える、例えば、50%を越える。
【0098】
本発明のいくつかの態様において、穀物ふすま中の1%以上のデンプン、例えば、穀物ふすま中の2%以上のデンプン、例えば、穀物ふすま中の3%以上のデンプン、例えば、穀物ふすま中の4%以上のデンプン、例えば、穀物ふすま中の5%以上のデンプン、例えば、穀物ふすま中の10%以上のデンプン、例えば、穀物ふすま中の15−50%以上のデンプンは、工程b)から得られる可溶性画分中でイソマルトオリゴ糖(IMO)に変換される。
【0099】
本発明のいくつかの態様において、乾物 対 乾物ふすまで決定されるとき、工程b)から得られる可溶性画分中の修飾された脂質の含有量は、少なくとも約0.05%、例えば、少なくとも約1.0%、例えば、0.05−5%の範囲である。
【0100】
本発明のいくつかの態様において、穀物ふすま由来の修飾された脂質の全量の少なくとも約2%、例えば、少なくとも約10%、例えば、2−80%の範囲が、工程b)から得られる可溶性画分に存在する。
【0101】
本発明のいくつかの態様において、工程a)の前に、i)穀物を分画して、内胚乳、ふすま、および胚芽を得、ii)内胚乳、ふすま、および胚芽を分離および分配して、それらを処理可能にし、iii)ふすまを製粉する工程をさらに含む。
【0102】
本発明のいくつかの態様において、穀物ふすまは、小麦、大麦、オート麦、ライ麦およびライコムギ、イネおよびトウモロコシから選択される。
【0103】
本発明のいくつかの態様において、該方法は、得られた可溶化された穀物ふすまの乾燥の工程をさらに含む。
【0104】
本発明のいくつかの態様において、該方法は、得られた可溶化された穀物ふすまの噴霧乾燥の工程をさらに含む。
【0105】
本発明のいくつかの態様において、該方法は、得られた可溶化された穀物ふすまの凍結乾燥の工程をさらに含む。
【0106】
本発明は、さらに、本発明の得られた可溶化された穀物ふすまの使用に関する。
【0107】
本発明のいくつかの態様において、本発明の方法において得られる可溶化された穀物ふすまを、食品の生産における可溶性および不溶性穀物ふすま原料の混合物として直接加える。
【0108】
本発明の方法は、例えば、可溶性画分が可溶性および不溶性穀物ふすま原料の混合物から回収されるとき、可溶性穀物ふすま原料のみを有する単離された可溶化された画分を生産し得ると理解すべきである。
【0109】
いくつかの態様において、このような回収された可溶性穀物ふすま原料は、食品の生産において使用される。
【0110】
他の態様において、可溶性および不溶性原料の両方を含む可溶化された穀物ふすまは、さらなる分離または回収なしに、食品の生産において直接使用され得る。
【0111】
本発明のいくつかの態様において、食品は、パン、朝食用のシリアル、パスタ、ビスケット、クッキー、スナックおよびビールからなる群から選択される。
【0112】
本発明の可溶化された穀物ふすまは、食品として、またはそれらの製造において使用され得る。ここで、「食品」なる用語は、広い意味において使用され、ヒトのための食物ならびに動物のための食物(すなわち、えさ)を含む。いくつかの局面において、食物はヒト消費のためである。
【0113】
食物は、使用および/または適用様式および/または投与経路に依存して、溶液形態において、または固体としてであり得る。
【0114】
したがって、本発明の他の態様において、回収された可溶性穀物ふすま原料および/または可溶性および不溶性原料の両方を含む可溶化された穀物ふすまは、動物飼料において使用され得る。
【0115】
本発明の可溶化された穀物ふすまは、食物成分としても使用され得る。
【0116】
本明細書において使用される「食物成分」なる用語は、栄養補助食品および/または食物繊維補助食品として機能性食品または食料品に加えられるか、または加えることができる製剤を含む。本明細書において使用される食物成分なる用語は、また、粘度を加えることなく、ゲル化、キメ出し、安定化、懸濁、皮膜形成および構造化、みずみずしさの保持ならびに食感の改善を必要とする多種多様の産物において低レベルで使用することができる製剤を示す。
【0117】
食物成分は、使用および/または適用様式および/または投与経路に依存して、溶液形態において、または固体としてであり得る。
【0118】
本発明の可溶化された穀物ふすまは、食物補助食品であってもよく、またはそれに加えられてもよい。
本発明の可溶化された穀物ふすまは、機能性食品であってもよく、またはそれに加えられてもよい。
【0119】
本明細書において使用される「機能性食品」なる用語は、栄養効果および/または味の満足感を提供することができるだけでなく、消費者にさらなる有益な効果を送達することも可能である食物を意味する。
【0120】
したがって、機能性食品は、純粋な栄養効果以外の特定の機能、例えば、医薬的または生理学的利点を食物に与える、食物に包含されている要素または成分(例えば、本明細書に記載されているもの)を有する普通の食物である。
【0121】
機能性食品の法的な定義はないが、分野における多数の関係者が、特定の健康への影響を有するとして市販されている食物と一致する。
【0122】
いくつかの機能性食品は栄養補助食品である。本明細書において「栄養補助食品」なる用語は、栄養効果および/または味の満足感を提供することができるだけでなく、消費者に治療(または他の有益な)効果を送達することも可能である食物を意味する。栄養補助食品は、食物と医薬の従来の境界線を交差する。
【0123】
調査により、消費者が心臓疾患に関する機能性食品に最も重点を置いていることが示唆されている。癌の予防は、栄養摂取の別の局面であり、多くの消費者に関心をもたせているが、興味深いことに、わずかにコントロールできると消費者が感じている領域である。事実、世界保健機関によると、少なくとも35%の癌の原因は食事関連である。骨粗鬆症、消化管の健康および肥満効果に関連するさらなる要求は、また、機能性食品購入を刺激し、市場開発を動かす可能性のある重要な因子である。
【0124】
本発明の組成物は、食品の製造物、例えば、1つ以上のジャム、マーマレード、ゼリー、乳製品(例えば、ミルクまたはチーズ)、肉製品、鳥肉製品、魚製品およびベーカリー産物において使用することができる。
【0125】
例として、本発明の組成物は、清涼飲料、乳漿タンパク質を含む果汁または飲料、ヘルスティー(health tea)、ココア飲料、ミルク飲料および乳酸菌飲料、ヨーグルトおよび飲料ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、水氷およびデザート、菓子、ビスケットケーキおよびケーキ粉末食品、スナック食品、朝食用のシリアル、即席めんおよびカップめん、即席スープおよびカップスープ、バランスのとれた食物および飲料、甘味剤、質感が改善されたスナック食品の棒状物、繊維棒状物、焼きに安定なフルーツ充填物、保護グレーズ(care glaze)、チョコレートベーカリー充填物、チーズケーキ香味付け充填物、フルーツ香味付けケーキ充填物、ケーキおよびドーナツの砂糖衣、熱安定なベーカリー充填物、即席ベーカリー充填物クリーム、クッキー用の充填物、すぐに食べられるベーカリー充填物、低カロリー充填物、成人用栄養飲料、酸性大豆/汁飲料、無菌/レトルトチョコレート飲料、棒状物の粉末食品、飲料粉末、カルシウム強化大豆/プレーン(plaim)およびチョコレートミルク、カルシウム強化コーヒー飲料に対する成分として使用することができる。
【0126】
本発明の可溶化された穀物ふすまは、さらに、食品、例えば、アメリカンチーズソース、粉&細切りチーズのための凝固阻止剤、チップディップ、クリームチーズ、乾燥混合ホイップティップ(whip topping)脂肪非含有サワークリーム、凍結/解凍された乳製品ホイッピング・クリーム、凍結/解凍された安定なホイップティップ(whipped tipping)、低脂肪&低カロリーのナテュラルチェダー・チーズ、低脂肪スイススタイル(Swiss style)ヨーグルト、気泡含有(aerated)凍結デザート、およびノベルティーバー(novelty bars)、ハードパックアイスクリーム、ラベルフレンドリー(label friendly)、経済的に改善された&インダルジェンス(indulgence)のハードパックアイスクリーム、低脂肪アイスクリーム:ソフトクリーム、バーベキューソース、チーズディップソース、カッテージ・チーズドレッシング、乾燥混合物アルフレド(Alfredo)ソース、ミックスチーズソース、乾燥混合物トマトソースおよび他のものの中の成分として使用することができる。
【0127】
ある局面において、食料品は飲料である。
ある局面において、食料品はベーカリー産物、例えば、パン、デニッシュ・ペストリー、ビスケットまたはクッキーである。
【0128】
いくつかの態様において、ふすまの可溶化度は、実施例1に記載されている「可溶性画分アッセイにおける乾物含有量(%)」として、使用されるふすまに対する可溶性画分中の乾物含有量(%)として測定される。
【0129】
いくつかの態様において、「可溶性画分アッセイにおける乾物含有量(%)」として測定されるとき、ふすまの可溶化度は、20%以上、例えば、25%以上、例えば、30%以上、例えば、35%以上、例えば、35%以上、例えば、40%以上、例えば、50%以上、例えば、40%−60%の範囲、例えば、50%−60%の範囲である。
【実施例】
【0130】
実施例
実施例1
市販の小麦ふすまの実験室規模の可溶化:
ふすま:
商業的製粉から得られる小麦ふすま画分を使用した。該画分は、細粒ふすま画分および粗粒ふすま画分からなった。使用の前に、粗粒ふすま画分を製粉して、より小さい粒径を得、ふすまの比表面積を増加させ、最終的にふすまの酵素的可溶化の効率を増加させた。製粉をRetch製粉機で行い、500μmの平均粒径を得た。しかしながら、可溶化度に関して、より小さい粒径が好ましいであろうことに注意すべきである。
【0131】
酵素:
表1.小麦ふすま可溶化のために使用される酵素
【表1】

【0132】
プロトコール:
表2.ふすま可溶化のために使用されるプロトコール
【表2】

【0133】
分析:
可溶性ふすま画分(上清)を以下に関して分析する:
可溶性画分アッセイにおける乾物含有量(%):
得られる可溶性ふすまの定量的サンプルを凍結乾燥させる。凍結乾燥後、該サンプルサイズを再び定量し、乾物の量を計算する。ブランクとして、該バッファーは、この分析に含まれる。
【0134】
試験:
表3.小麦ふすまの異なる処理をもたらすように行われた試験
【表3】

【0135】
結果:
ふすま可溶化度:
ふすま画分中の細胞壁成分のよく知られている保水最大容量によって、抽出バッファーの有効な回収率はこれらの実験において得られなかった。しかしながら、適当な処理が展開されたとき得られた。図1において、抽出バッファーの実際の回収率を示す。抽出回収率は、25から55%で変化する。
【0136】
可溶化の効率を、得られた可溶性画分中の乾物含有量に基づいて測定した。図2から分かるように、湿式プロセスのみが有意な量のふすまを可溶化する。しかしながら、キシラナーゼ、セルラーゼ/グルカナーゼおよびデンプン分解複合体の組み合わせた効果は、有意に可溶化を増加させる。実際にこの実験において、非デンプン加水分解酵素(キシラナーゼ、セルラーゼおよびグルカナーゼ)とデンプン加水分解酵素(アミラーゼ、プルラナーゼ、ベータ−アミラーゼおよびトランスグルコシダーゼ)との組合せの相加的効果があることに注意すべきである。該相加的効果は、単一の酵素複合体がその基質に接触するには立体障害があるという事実によって得られるのかもしれない。この立体障害または基質への接触は、非デンプンおよびデンプン修飾酵素の両方の組合せを使用するとき、最適化される。
【0137】
得られた種々の可溶性画分中の乾物含有量および回収された抽出バッファーの量に基づいて、可溶化度を決定することが可能である。ふすま画分の可溶化度は、10から25%の可溶化で変化する。該データは図3において説明される。
【0138】
しかしながら、図3における可溶化度は、正確な可溶化度ではない。正確な可溶化度は、有意にさらに高い。これは、ふすま処理に応じた抽出バッファーの偏りおよび低い回収率のためである。しかしながら、実際の抽出度は、得られた抽出バッファーを実際に使用された抽出バッファー容量で補正することにより容易に得ることができる。この補正が許容される。回収された可溶性物質の濃度は、回収されなかった可溶性物質の濃度と同じであると考えられるためである。さらに、ここで得られる可溶性物質の回収率は、このプロトコールにおいて使用されるプロセスにより与えられる。異なる分離プロセスを使用して、または残留ふすまの繰り返し抽出を使用して、より高い回収率が容易に得ることができた。ふすま可溶化に関するデータを補正したとき、図4における結果が得られる。
【0139】
実施例2
市販の小麦ふすまの実験室規模の可溶化:
ふすま:
より大規模な実験を、500gの小麦ふすま、3300mlの50mMのNaPi pH5.0および表4に記載されている酵素を適用することにより準備した。反応は、表2に記載されているプロトコールにしたがって実施した。
【0140】
酵素:
表4:大規模可溶化実験に適用された酵素
【表4】

【0141】
分析:
AX含有量:
可溶性物質のサンプル(上清)を可溶化されたAXについて分析した。分析はRouau and Surget (1994)にしたがって行った。
AX mw/AXOS分析:
AXの分子量は、LC_MSにより測定した。
デンプン含有量:
ふすまおよび可溶化ふすま中のデンプン含有量を、熱安定なアルファ−アミラーゼを摂氏95℃で90分で用い、次にプラナーゼ(pullanase)およびグルコアミラーゼを摂氏50℃で45時間で加えるデンプンの全加水分解後に、グルコース測定により分析した。
IMO含有量:
得られた可溶性画分中のIMO濃度をHPLC−陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して測定した。
【0142】
結果:
ふすま可溶化度:
この実験において使用された抽出バッファーの正確な容量を補正したとき、以前の実験において得られた可溶化度に匹敵する54%の可溶化度が得られた。
AX含有量:
ふすま画分中のAXの量は、19mg/ml上清と決定された。抽出体積を考慮すると、可溶化されたふすま中の可溶性AXの全量は62,7gである。小麦ふすま中のAX含有量の文献データにしたがって、全AXの約53%の可溶化を得ている。データは表5に要約されている。
表5. 試験に適用されたふすま、g。使用された抽出バッファーおよび容量、ml。可溶化されたふすま中のAX濃度、mg/ml。抽出体積に対して補正されたときの全AX、g。ふすまに対する抽出されたAX、%。小麦ふすま中のAX含有量に関する文献データ、および最後に、ふすまの抽出度、%。
【表5】

【0143】
デンプン含有量:
ふすま出発物質中のデンプンの量は、全グルコース含有量の酵素分析にしたがって、16.3%と測定された。可溶化された原料において回収され見出されるふすま由来のデンプンの量は、可溶化された原料の全グルコース測定により分析されたとき、76%と決定された。
【0144】
IMO含有量:
上清を高性能陰イオン交換クロマトグラフィーを使用してイソマルトオリゴ糖(イソマルトース、イソマルトトリオースおよびパノース)の含有量について分析した(表5)。可溶化プロセスにおいて得られたIMOの濃度は、ふすま原料のデンプン含有量に大きく依存する。ふすま出発物質中のデンプンのIMOへの変換度を、IMO生産の尺度として使用する。この実施例において、IMO(イソマルトース、イソマルトトリオースおよびパノース)の全濃度は、可溶化された原料において2690ppmと測定される(表6)。バッファー容量を考慮したとき、産生されたIMOの量は9.0gである。したがって、IMOへの全変換は、ふすま中のデンプンの最初の量の11.0%であった。
表6:イソマルトオリゴ糖の濃度
【表6】

MSによるAXOS分析:
AXOS分析からの結果は、DP6のピーク濃度でDP3からDP11の範囲におけるAXOSのDP分布を示した。
【0145】
実施例3
可溶化されたふすまを使用するベーキング実験
穀粉:
市販の非最適化デニッシュ改良穀粉(Danish reform flour)(2007−00113)をベーキング実験のために使用する。可溶化されたふすまに対する対照として、再構成された穀粉を可溶化実験(実施例1および2参照)のために使用した穀粉およびふすまから作製する。可溶化されたふすま画分中の乾物および穀粉に加えられた水/可溶性ふすまの量に基づいて、穀粉で置き換えられたふすまの量を計算することができる(表8参照)。
可溶化されたふすま:
実施例2において得られた可溶化されたふすまを、ベーキング試験のために使用した。
【0146】
ベーキングレシピ:
穀粉、可溶化されたふすまを加えられた穀粉および可溶化されていないふすまを加えられた再構成された穀粉のベーキング性能を、以下のレシピ(表7)を使用して小規模ベーキング試験(50グラムの混合物(mixer)および10グラムのローフ(Loaves))において評価した。
表7.穀粉、可溶化されたふすまを加えられた穀粉および可溶化されていないふすまを加えられた再構成された穀粉のベーキング性能を評価するために使用されるレシピ。塩/糖は、塩および糖の1:1(w/w)混合物である。水は、Farinograph分析により測定される水分吸収である。
【表7】

【0147】
ドー(Dough)作りおよびベーキング
穀粉(または穀粉およびふすまの混合物)および乾燥成分を1分間混合し、その後、水を加え、混合をさらに5分間続けた。
【0148】
混合後、それぞれ10グラムの穀粉を含む4つのドーの塊を計量した。手動成形機を使用して、これらをパンに成形した。ローフ(Loaves)を焼き型に入れ、密閉した容器(ふたを有する)中に置き、テーブルに10分間放置した。その後、パンを34℃で85%のRHで45分間発酵させ、最後にBagoオーブン(Bago-line, Faaborg, Denmark)で230℃で5分間焼く。ドーの測定(scaling)の間に、粘り気を1(非常に粘り気)から5(乾燥)の尺度において主観的に評価した。
パンを、評価(重量、体積測定、ならびに身、皮および官能評価)の前に20分間冷やした。
【0149】
ベーキング試験
以下のベーキング試験を行った(表8)。
表8.ベーキング試験実験構成。IDは、可溶化されたふすまを加えられたか、または不溶性ふすまで再構成された穀粉組成を示す。穀粉(g)は、パンにおける穀粉の量である。ふすま(g)は、再構成のために使用されたふすまの量である。可溶化されたふすま(ml)は、水の代わりに穀粉に加えられた可溶化されたふすまの量である。水(ml)は、穀粉に加えられた水の量である。「ふすま」(%)は、穀粉重量に基づく可溶化されたふすま、または不溶性ふすまのいずれかの量である。
【表8】

【0150】
官能評価:
パンの冷却20分後の官能評価をした。とりわけ、従来のふすま画分由来の苦味を評価した。
劣化評価:
硬度は、研究室テーブル上にパンローフを24時間放置した後に主観的に評価した。
【0151】
結果:
表9および図5において分かるように、可溶性繊維の添加は、パンの比体積に影響を及ぼさない。
表9.ベーキング試験結果。IDは、可溶化されたふすまを加えられたか、または不溶性ふすまで再構成された穀粉組成を示す。穀粉(g)は、パンにおける穀粉の量である。ふすま(g)は、再構成のために使用されたふすまの量である。比体積(mg/ml)は、パンの真比体積である。相対体積 対 ブランク(%)は、パン 対 パン1(ブランク)の相対体積である。
【表9】

【0152】
しかしながら、さらに驚くべきことに、繊維の添加されたものと比較して、可溶性繊維のパンへの添加は、得られるパンの色に影響を及ぼさない。図6参照。
色に関する結果は、パンの身を評価するとき、さらに明白である(図7参照)。
【0153】
官能評価:
試験パネルがパンを評価した(n=3)。以下の評価は、官能特性における有意な違いが、対照パンと可溶性ふすま画分を加えられたパンの間で測定されなかったことを示した。一方、ふすまを加えられたパンは、ふすま由来の独特の苦味を有した。
【0154】
表10.パンの官能評価。IDは、可溶化されたふすまを加えられたか、または不溶性ふすまで再構成された穀粉組成を示す。苦味を、参照として穀粉および不溶性ふすまを加えられたパンで評価する。対照との違いは、パン1と比較した全体的な外観を示す。皮の色および身の色を主観的に評価する(図6および7参照)。
【表10】

【0155】
表11.パンの硬度評価。IDは、可溶化されたふすまを加えられたか、または不溶性ふすまで再構成された穀粉組成を示す。硬度は、研究室のベンチ上に24時間放置された切断されたパンで評価する。尺度:1=柔らかい;5=堅い。
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプンを含む穀物ふすまの可溶化のための方法であって、
a)相当量のデンプンを含む粒子穀物ふすまの液体懸濁液を調製し、
b)液体懸濁液中に相当量のデンプンを含む該粒子穀物ふすまを、いずれの成分も除去することなく、任意の順番で連続して、または同時に、1つまたはそれ以上の細胞壁修飾酵素、1つまたはそれ以上のデンプン修飾酵素、および所望により1つまたはそれ以上のさらなる酵素で処理する
工程を含む方法。
【請求項2】
粒子穀物ふすまを、1つまたはそれ以上の細胞壁修飾酵素、および1つまたはそれ以上のデンプン修飾酵素、および所望により1つまたはそれ以上のさらなる酵素を含む酵素の組合せで同時に処理する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該1つのさらなる酵素が1つまたはそれ以上のトランスグリコシル化酵素である、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
該1つのさらなる酵素がリパーゼ、例えば、ホスホリパーゼまたはガラクトリパーゼである、請求項1−3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
該1つのさらなる酵素がプロテアーゼである、請求項1−4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
工程b)から得られる可溶性画分を回収する工程をさらに含む、請求項1−5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
該1つまたはそれ以上の細胞壁修飾酵素がキシラナーゼおよびセルラーゼ、例えば、セロビオヒドロラーゼ、エンド−グルカナーゼおよびベータ−グルカナーゼからなる群から選択される、請求項1−6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
該セルラーゼがエンド−セルラーゼ、エキソ−セルラーゼ、セロビアーゼ、酸化セルラーゼ、セルロースホスホリラーゼから選択される、請求項1−7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
該1つまたはそれ以上のデンプン修飾酵素がアルファ−アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼおよびベータ−アミラーゼからなる群から選択される、請求項1−8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
該1つまたはそれ以上のトランスグリコシル化酵素が酵素クラスEC3.2.1.20の酵素からなる群から選択される、請求項1−9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
該粒子ふすまの平均粒径が3000μm未満、例えば、1000μm未満、例えば、500μm未満である、請求項1−10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
該穀物ふすまを産業的製粉工程から得、500μm未満、例えば、400μm未満、例えば、200μm未満の平均粒径を得るためにさらに製粉する、請求項1−11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
さらなる酵素活性を不活性化するために、可溶化された穀物ふすまをさらに処理する、請求項1−12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
乾物 対 乾物ふすまで決定されるとき、可溶化度が20%以上、例えば、25%以上、例えば、30%以上、例えば、35%以上、例えば、40%以上、例えば、50%以上、例えば、40%−60%の範囲、例えば、50%−60%の範囲である、請求項1−13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
乾物 対 乾物ふすまで決定されるとき、工程b)から得られる可溶性画分中のアラビノキシランオリゴ糖(AXOS)の含有量が、20%を越える、例えば、30%を越える、例えば、40%を越える、例えば、45%を越える、例えば、50%を越える、請求項1−14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
穀物ふすま中の1%以上のデンプン、例えば、穀物ふすま中の2%以上のデンプン、例えば、穀物ふすま中の3%以上のデンプン、例えば、穀物ふすま中の4%以上のデンプン、例えば、穀物ふすま中の5%以上のデンプン、例えば、穀物ふすま中の10%以上のデンプン、例えば、穀物ふすま中の15−50%以上のデンプンが、工程b)から得られる可溶性画分中でイソマルトオリゴ糖(IMO)に変換される、請求項1−15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
乾物 対 乾物ふすまで決定されるとき、工程b)から得られる可溶性画分中の修飾された脂質の含有量が、少なくとも約0.05%、例えば、少なくとも約1.0%、例えば、0.05−5%の範囲である、請求項1−16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
工程a)の前に、i)穀物を分画して、内胚乳、ふすま、および胚芽を得、ii)内胚乳、ふすま、および胚芽を分離および分配して、それらを処理可能にし、iii)ふすまを製粉する工程をさらに含む、請求項1−17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
穀物ふすまが小麦、大麦、オート麦、ライ麦およびライコムギ、イネおよびトウモロコシから選択される、請求項1−18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
得られた可溶化された穀物ふすまの乾燥の工程をさらに含む、請求項1−19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
得られた可溶化された穀物ふすまの噴霧乾燥の工程をさらに含む、請求項1−20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
得られた可溶化された穀物ふすまの凍結乾燥の工程をさらに含む、請求項1−21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
請求項1−22のいずれかに記載の方法により生産される可溶化された穀物ふすま。
【請求項24】
食品の生産のための請求項23に記載の可溶化された穀物ふすまの使用。
【請求項25】
請求項1−5、7−22のいずれかに記載の方法において得られる可溶化された穀物ふすまを、食品の生産における可溶性および不溶性穀物ふすま原料の混合物として直接加える、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
食品がパン、朝食用のシリアル、パスタ、ビスケット、クッキー、スナックおよびビールからなる群から選択される、請求項24または25のいずれかに記載の使用。
【請求項27】
請求項24−26のいずれかに記載の使用により得られる食品。
【請求項28】
a)1つまたはそれ以上の細胞壁修飾酵素;1つまたはそれ以上のデンプン修飾酵素、および所望により1つまたはそれ以上のさらなる酵素を含む酵素の組合せ、
b)請求項1−22のいずれかに記載の方法における使用のための指示書;および
c)所望により食品のための他の成分
を含むパーツを含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−514989(P2012−514989A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545740(P2011−545740)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050446
【国際公開番号】WO2010/081870
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(508122275)ダニスコ・アクティーゼルスカブ (8)
【氏名又は名称原語表記】Danisco A/S
【Fターム(参考)】