説明

穀物ベータ(1−3)ベータ(1−4)グルカンを含む医薬組成物

本発明は、ベータ(1−3)ベータ(1−4)グルカン及び医薬活性剤又は植物性抽出物を含む医薬組成物に関する。穀物ベータ−グルカンを抽出し、精製する方法も記述される。本発明によって得られる穀物ベータ−グルカンは高純度であり、無色透明粘稠性液体調製物を調製することができる。これらの液体調製物は周囲温度及び低灰濃度に維持されたときにゲル化効果に対して安定であり、本発明の医薬組成物の調製に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、穀物β−グルカンに関する。より詳細には、本発明は、β(1−3)β(1−4)グルカン及び植物性抽出物又は医薬活性剤を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムは、分子量10,000から50,000,000ダルトンの疎水性又は親水性物質であり、適切な溶媒中において低乾燥物質含量でゲル又は高粘稠性懸濁液若しくは溶液を生成する。食品、医薬品及び工業製品に一般に使用されるゴムとしては、デンプン、セルロース誘導体、プルラン、寒天、アロエ、ジェラン、グアーゴム、イナゴマメガム、ペクチン、アルギン、カラゲナン、キサンタン、β−グルカン、アラビアゴムなどが挙げられる(Whistler, R. L. (1993) Industrial Gums: Polysaccharides and their derivatives Eds. Whistler R. L. and BeMiller J. N. (Academic Press) p 2参照)。
【0003】
グルカンは、グルコースのみからなるホモ多糖である。しかし、異なる立体化学的配置のグルコース分子を連結することができるので、グルカンは、化学的、物理的及び機能的諸特性が異なる多様な化合物群である。
【0004】
多糖の化学構造は、その諸特性を決定するのに最も重要である。これは、いくつかの一般的なホモグルカンの諸特性を比較することによって評価することができる。例えば、セルロース、β(1−4)−D−グルカンは、水不溶性であり、他の多糖と比較して結晶性が高い。アミロース、α(1−4)−D−グルカンは、水にやや溶けにくく、セルロースよりも結晶化しにくく、堅い熱可逆ゲルを形成することができる。分枝の少ないデキストラン、(1−6)−α−グルカンは、水溶性が極めて高く、ゲルを形成しない。(Dea, I. C. M. in (1993) Industrial Gums: Polysaccharides and their derivatives Eds. Whistler R. L. and BeMiller J. N. (Academic Press) p 21参照)。
【0005】
オートβ(1−3)β(1−4)グルカンは、粘稠性ゴムに分類される(Wood, P. J. (1993) Oat Bran Ed P. J. Wood (American Association of Cereal Chemists, Inc. St. Paul, MN)参照)。穀物β(1−3)β(1−4)−グルカンは、とりわけオオムギ、オートムギなどの穀物の細胞壁中に存在する構造多糖である。
【0006】
オートβ(1−3)β(1−4)グルカンは、米国FDAによって心疾患の予防に役立ち得る薬剤として認められている。FDAは、1997年にオートムギ製品に健康強調表示を許可した。それ以外のβ−グルカン源、酵母、真菌、細菌及び穀物でこれらの効果を有すると認められたものがないことは特記される。したがって、オートβ(1−3)β(1−4)−グルカンは独特である。
【0007】
未変性オートβ(1−3)β(1−4)グルカンは、濃度>0.75%で高粘稠性水溶液を形成する。この溶液は、濃度>1.2%では濃いヒドロゲルの粘稠性を有する。
【0008】
オートムギと比較して分子構造がかなり異なり、物理的及び化学的諸特性が異なるグルカンは、酵母、真菌並びにある種の細菌及び遺伝子改変細菌において見出される。例えば、アルカリゲネス フェカリスにおいて産生されるジェラン、重合(1−3)β−D−グルコピラノシル[β(1−3)−グルカン]はカードラン(武田薬品工業)中に見出され、アウレオバシジウム プルランにおいて産生されるβ(1−3)α(1−6)グルコピラノシドはプルラン中に見出され、β(1−3)β(1−6)グルコピラノシドは酵母中に見出される。
【0009】
グルカンの分子量は、出所によって変わる。表1に典型的なゴムの平均分子量を示す。
【0010】
【表1】

【0011】
様々な多糖ゴム溶液の1%溶液粘度は、起源及び化学的性質に応じて変わる。表2に典型的なゴムの1%溶液粘度を示す。
【0012】
【表2】

【0013】
グルカンの溶解性は、その出所に応じて異なる。例えば、穀物β(1−3)β(1−4)グルカンは、通常、水系溶媒に可溶であるのに対して、酵母(サッカロミセス セレビシエ)β(1−3)β(1−6)−グルカンは水系溶媒に不溶である。可溶性グルカンが望ましい。酵母β−グルカンは、リン酸基を付加することによって可溶化される(Williams et al. Immunopharmacol. 22: 139-156 (1991)参照。Jamas他(米国特許第5,622,939号)は、サッカロミセス セレビシエから可溶性β(1−3)β(1−6)グルカンを抽出する方法を記述している。この記述された方法は、酸加水分解、塩基加水分解、及び遠心分離と限外ろ過の広範な使用を要し、複雑である。可溶化された酵母β(1−3)β(1−6)グルカンの安定性に関する詳細は提供されていない。
【0014】
いくつかの従来技術参考文献は、グルカン及び液体グルカン組成物を穀物から調製する方法を開示している。これらの従来技術参考文献には以下のものがある。
【0015】
Beer, et al., Extraction of Oat Gum from Oat Bran: Effects of Process on Yield, Molecular Weight Distribution, Viscosity and (1-3) (1-4) beta-D-Glucan Content of the Gum, Cereal Chemistry 73 (1): 58-62 (1996)。この参考文献は、沈殿を行うために50%(v/v)以上のアルコールを使用することを記載している。回収されたグルカンの純度は、22%から63%と報告されている。
【0016】
Wood et al., Large Scale Preparation and Properties of Oat Fractions Enriched in (1-3) (1-4) beta-D-Glucan, Cereal Chemistry 66 (2): 97-103 (1989)。この参考文献は、グルカンの沈殿を行うために50%(v/v)以上のアルコールを使用することを記載している。
【0017】
米国特許第6,323,338号は、オートムギ糠の抽出物から濃縮された膜としてオートβ−グルカンを単離する方法を開示している。開示された方法は、グルカンの沈殿のために低濃度の短鎖アルコールを利用しない。
【0018】
Redmond(米国特許第6,284,886号)は、穀物β(1−3)β(1−4)グルカンの組成物及びこれらの組成物を製造する方法を開示している。開示された組成物は、その粘度、せん断強さ及び加湿特性(moisture-enhancing properties)の点で、化粧品産業の厳格な要件を満たしている。β(1−3)β(1−4)グルカンを抽出又は精製する方法は記載されていない。
【特許文献1】米国特許第5,622,939号
【特許文献2】米国特許第6,323,338号
【特許文献3】米国特許第6,284,886号
【非特許文献1】Whistler, R. L. (1993) Industrial Gums: Polysaccharides and their derivatives Eds. Whistler R. L. and BeMiller J. N. (Academic Press) p 2
【非特許文献2】Dea, I. C. M. in (1993) Industrial Gums: Polysaccharides and their derivatives Eds. Whistler R. L. and BeMiller J. N. (Academic Press) p 21
【非特許文献3】Wood, P. J. (1993) Oat Bran Ed P. J. Wood (American Association of Cereal Chemists, Inc. St. Paul, MN)
【非特許文献4】Williams et al. Immunopharmacol. 22: 139-156 (1991)
【非特許文献5】Beer, et al., Extraction of Oat Gum from Oat Bran: Effects of Process on Yield, Molecular Weight Distribution, Viscosity and (1-3) (1-4) beta-D-Glucan Content of the Gum, Cereal Chemistry 73 (1): 58-62 (1996)
【非特許文献6】Wood et al., Large Scale Preparation and Properties of Oat Fractions Enriched in (1-3) (1-4) beta-D-Glucan, Cereal Chemistry 66 (2): 97-103 (1989)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、一般に、穀物β−グルカンに関する。より詳細には、本発明は、β(1−3)β(1−4)グルカン及び植物性抽出物又は医薬活性剤を含む医薬組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
第1の態様においては、本発明は、
有効量のβ(1−3)β(1−4)グルカン、及び
有効量の植物性抽出物又は医薬活性剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0021】
一例においては、本発明の第1の態様の組成物は、
有効量のβ(1−3)β(1−4)グルカン、及び
ガラナ、イチョウ、コーラナッツ、ヒドラスチス、ゴーロコーラ(Golo Kola)、シザンドラ、ニワトコの実、オトギリ草、カノコソウ及び麻黄、紅茶、白茶、ジャワティ、ニンニク油、繊維、緑茶、レモン油、メース、甘草、オニオン油、オレンジ油、ローズマリー、オオアザミ、エキナセア、エゾウコギ又はチョウセンニンジン、セイヨウヤマハッカ、カバ、マテ(matte)、ビルベリー、大豆、グレープフルーツ、海藻、サンザシ、ライムの花、セージ、チョウジ、バジル、クルクミン、タウリン、野生オートハーブ(wild oat herb)、オートムギ粒子、タンポポ、ゲンチアナ、アロエベラ、ホップ、シナモン、ペパーミント、ブドウ、カモミール、ウイキョウ、ビロードアオイ、ショウガ、アカニレ、カルダモン、コエンドロ、アニス、タイム、レーマニア、ユーカリ、メントール、マツブサ、ウイザニア、キバナノクリンザクラ、クコ若しくはトケイソウの抽出物である有効量の植物性抽出物、又は
ベータ−シトステロール、カフェイン、カフェストール、D−リモネン、カブウェオール(kabweol)、ノミリン(nomilin)、オルチプラズ、スルフォラファン、タンゲレチン、葉酸及びメントールからなる群から選択される有効量の医薬活性剤
を含む。
【0022】
本発明の第1の態様の組成物の別の例においては、植物性抽出物は、アベナンスラマイドを好ましくは含むオートムギ粒子の抽出物である。
【0023】
一例においては、本発明の第1の態様の組成物は、
有効量のβ(1−3)β(1−4)グルカン、及び
抗ヒスタミン薬、うっ血除去薬、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、気管支拡張剤、ニトログリセリンなどの血管拡張薬又は局所麻酔薬からなる群から選択される有効量の医薬活性剤
を含む。
【0024】
上で定義された医薬組成物のβ(1−3)β(1−4)グルカンは、穀粒又は穀粒の一部から得ることができる。一例においては、穀物は、オオムギの栽培品種、オートムギの栽培品種、コムギの栽培品種、ライムギの栽培品種、モロコシの栽培品種、キビの栽培品種、トウモロコシの栽培品種及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0025】
本発明の医薬組成物に使用されるβ(1−3)β(1−4)グルカンは、少なくとも約75%の純度を有し、10%未満の灰不純物、10%未満のタンパク質不純物及び5%未満の脂質不純物を含むβ(1−3)β(1−4)グルカン組成物とすることができる。より詳細には、本発明は、β(1−3)β(1−4)グルカン組成物を含む医薬組成物に関し、β(1−3)β(1−4)グルカン組成物は、少なくとも約92%の純度を有し、3.5%未満の灰不純物、3.5%未満のタンパク質不純物及び1%未満の脂質不純物を含む。穀物β−グルカン組成物は、約5NTUから約100NTUの透明度を有することもできる。
【0026】
別の例においては、本発明の医薬組成物に使用されるβ(1−3)β(1−4)グルカンは、粉砕された穀粒又は穀粒のうち粉砕された部分からβ(1−3)β(1−4)グルカンを単離する方法であって、
(i)粉砕された穀粒又は穀粒のうち粉砕された部分をアルカリ性溶液で抽出して、少なくとも約0.4重量%のβ(1−3)β(1−4)グルカンを含有する抽出物を生成するステップと、
(ii)抽出物から不溶物を除去し、粒径が約0.2μmを超える粒状物を除去して精製抽出物を生成するステップと、
(iii)約10%から約25%(w/w)のC〜Cアルコールを精製抽出物に添加してβ(1−3)β(1−4)グルカンを沈殿させるステップと、
(iv)β(1−3)β(1−4)グルカンを単離するステップと
を含む方法によって生成することができる。
【0027】
上で定義された方法の一例においては、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される約10%から約20%(w/w)のアルコールを使用して、ろ液からβ(1−3)β(1−4)グルカンを沈殿させる。好ましくは、約10%から約20%(w/w)のエタノールを使用して、β(1−3)β(1−4)グルカンを沈殿させる。
【0028】
上記方法の一例においては、粒状物を除去するステップは、
凝集剤、凝固剤又は凝集剤と凝固剤の両方を抽出物に添加して、粒径が約0.2μmを超える粒状物を凝固させ、凝固物を抽出物から除去する1つ又は複数のステップと、
抽出物中のデンプン質を消化するステップと、
粒径が約0.2μmを超える粒状物を抽出物からろ過除去して精製抽出物を生成するステップと
を含む。
【0029】
直前の方法の一例においては、デンプン質はアミラーゼなどの酵素を用いて消化する。より具体的には、酵素は、カルシウム補因子を必要としないアミラーゼを用いて消化する。別の例においては、デンプン質を消化する前にアルカリ性抽出物を中和する。さらに別の例においては、デンプン質の消化後に、例えば、消化されたデンプン質を含有するアルカリ性抽出物を酸性化することによって酵素を不活性化する。
【0030】
上記方法に使用される穀物は、オオムギの栽培品種、オートムギの栽培品種、コムギの栽培品種、ライムギの栽培品種、モロコシの栽培品種、キビの栽培品種、トウモロコシの栽培品種及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0031】
別の例においては、ステップ(i)において抽出された穀粒又は穀粒の一部は、粗粉砕された粉又は細かく粉砕された粉の形をしている。
【0032】
上述の方法の別の例においては、アルカリ性溶液のpH値は、約9.00から約10.00、約9.25から約9.75又は約9.30から約9.50である。別の例においては、抽出ステップ(ステップi)を約15分間から約45分間実施する。
【0033】
上で定義された方法のさらに別の例においては、沈殿ステップは約1℃から約10℃又は約1℃から約5℃の温度で実施する。さらに別の例においては、沈殿ステップを実施するために使用するアルコールは、β(1−3)β(1−4)グルカン溶液に添加する前に、少なくとも約−20℃の温度に冷却する。
【0034】
上で定義された方法は、さらに、ステップ(iv)から得られる単離β(1−3)β(1−4)グルカンを水溶液に溶解し、約10%から約25%(w/w)のC〜Cアルコールを水溶液に添加することによってβ(1−3)β(1−4)グルカンを沈殿させ、β(1−3)β(1−4)グルカンを単離する1つ又は複数のステップを含むことができる。
【0035】
さらに別の例においては、本発明の医薬組成物に使用されるβ(1−3)β(1−4)グルカンは、粉砕された穀粒又は穀粒のうち粉砕された部分からβ(1−3)β(1−4)グルカンを単離する方法であって、
(i)粉砕された穀粒又は穀粒のうち粉砕された部分をアルカリ性溶液で抽出して、少なくとも約0.4重量%のβ(1−3)β(1−4)グルカンを含有する抽出物を生成するステップと、
(ii)抽出物から不溶物を除去し、粒径が約0.2μmを超える粒状物を除去して精製抽出物を生成するステップであって、粒状物を除去するステップが、
凝集剤、凝固剤又は凝集剤と凝固剤の両方を抽出物に添加して、粒径が約0.2μmを超える粒状物を凝固させ、凝固物を抽出物から除去する1つ又は複数のステップと、
抽出物中のデンプン質を消化するステップと、
粒径が約0.2μmを超える粒状物を抽出物からろ過除去して精製抽出物を生成するステップと
を含むステップと、
(iii)約10%から約25%(w/w)のC〜Cアルコールを精製抽出物に添加してβ(1−3)β(1−4)グルカンを沈殿させるステップと、
(iv)β(1−3)β(1−4)グルカンを単離するステップと
を含む方法によって生成することができる。
【0036】
本発明による精製方法は、微粒子状物質及びもとの穀粒中に存在するタンパク質の大部分(約90%)が除去される点で、米国特許第6,323,338号に開示された方法とは異なる。
【0037】
本発明による精製方法は、穀物β−グルカンを沈殿させるために50%(w/w)未満のアルコール濃度、例えば、10%から25%アルコール水溶液を使用することができる。かかるアルコール濃度を使用できることは、穀物β−グルカンを沈殿させるために50%エタノール溶液を使用する従来技術の精製手順に照らして予想外のことである(例えば、Wood et al. Large Scale Preparation and Properties of Oat Fractions Enriched inβ(1-3)β(1-4) D-glucan Cereal Chem. 66 97-103(1989)を参照されたい)。本発明の方法によって粒状物及びタンパク質の大部分を除去することによって、穀物β−グルカンを溶液から沈殿させるのに必要なアルコールの量が減少すると考えられる。
【0038】
穀物β−グルカンを沈殿させるために10%から25%アルコール水溶液を使用することは、穀物β−グルカンの極度の脱水が回避され、水に容易に懸濁させることができる穀物β−グルカン沈殿物が得られる点で有利である。また、これらの比較的低いアルコール濃度を使用することによって、防爆環境システムの必要のない標準的な製造プラントにおいて出発穀粒を加工することができる。例えば、20%アルコール水溶液を7℃から10℃の最終温度で使用することによって、エタノールの爆発下限(LEL)未満の蒸気圧が発生する。また、抽出ステップ及び穀物β−グルカンを0.4%を超える濃度で含有する中間体溶液の生成の効率によって、比較的小さなプロセス体積によって加工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明は、一般に、穀物β−グルカンに関する。より詳細には、本発明は、β(1−3)β(1−4)グルカン及び植物性抽出物又は医薬活性剤を含む医薬組成物に関する。
【0040】
本発明の実施には、別段の記載がないかぎり、化学、穀物化学及び生化学の従来の方法を当該技術の範囲内で使用する。かかる技術は、文献に十分に説明されている。例えば、Industrial Gums: Polysaccharides and their derivatives Eds. Whistler R. L. and BeMiller J. N. (Academic Press), Oats: Chemistry and Technology ed. Webster F. H. (American Association of Cereal Chemists, St. Paul, MN)を参照されたい。
【0041】
本明細書に引用される上記又は下記のすべての出版物、特許及び特許出願を参照によりそれら全体を援用する。
【0042】
本明細書及び添付された特許請求の範囲に使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、特に内容が明示しない限り複数を含む。
【0043】
定義
本発明の記述においては以下の用語が使用され、それらは以下のように定義されるものとする。
【0044】
「穀物」とは、オオムギ、オートムギ、コムギ、ライムギ、モロコシ、キビ、トウモロコシの栽培品種など、ただしこれらだけに限定されないいくつかの穀類のいずれかを意味する。
【0045】
「グリカン」とは、グリコシド結合によって連結された単糖のポリマーを意味する。
【0046】
「グルカン」とは、グルコースのみからなるホモ多糖を意味する。
【0047】
「穀物β−グルカン」とは、穀物源から得られる、β(1−3)結合グルコピラノシル骨格、β(1−4)結合グルコピラノシル骨格又は混合β(1−3)β(1−4)結合グルコピラノシル骨格を有するグルカンを意味する。
【0048】
「β(1−3)β(1−4)グルカン」とは、穀物β−グルカンを意味する。
【0049】
「ゴム」とは、冷水又は熱水に分散させて粘稠性混合物又は溶液を生成することができる植物若しくは微生物の多糖又はその誘導体を意味する。ゴムは起源によって分類することができ、浸出ゴム、海藻ゴム、種子ゴム、デンプン及びセルロース誘導体、並びに微生物ゴムなどがある。
【0050】
「目的化合物」とは、β(1−3)β(1−4)グルカンと混合されて組成物を生成する任意の医薬品物質、薬用物質、植物物質又は治療物質を意味する。
【0051】
「凝集剤(flocculant)」及び「凝固剤(coagulant)」とは、懸濁固体(微粉)と合体して、遠心分離によって分離することができるより大きなより高密度の粒子を形成することができる分子を意味する。特定の例においては、凝固剤は、サイズが1μm未満の懸濁粒子を集めることができる分子であり、凝集剤は、サイズが1μmを超える懸濁粒子を集めることができる分子である。
【0052】
「不溶物」とは、本発明による方法の初期アルカリ性抽出条件下では不溶性である物質を意味する。かかる物質の非限定的な例としては繊維、ヘミセルロース及びリグニンが挙げられる。
【0053】
「粒状物」とは、粒径が約0.2μmを超える固体又はコロイド状物質を意味する。
【0054】
「粉砕された穀粒」又は「穀粒のうち粉砕された部分」とは、粉砕され、研磨され、又は切断されて粗びき粉又は細粉になった穀粒又は穀粒の一部を意味する。特定の例においては、穀粒のうち粉砕された部分は、穀粒から研磨され、例えば、空気分級又はふるい分けによって場合によってはさらに粉砕され精製されて特定の粒子形をした糠である。
【0055】
「有効量」とは、生理学的効果、刺激効果などの所望の効果を得るために必要な1種類又は複数の目的化合物の量を意味する。
【0056】
「隔離された」とは、親水性化合物又は疎水性化合物、例えば、精油、医薬品、薬剤、治療薬などの低分子量疎水性化合物の取り込み、閉じ込め又は可溶化を意味する。
【0057】
本発明の組成物は、約0.01重量%から約20重量%、約0.01重量%から約1.2%重量%、約0.1重量%から約1.1重量%又は約0.5重量%から約1重量%のβ(1−3)β(1−4)グルカンを含む水溶液を、植物性抽出物、医薬活性剤などの1種類又は複数の目的化合物と混合することによって形成することができる。1種類又は複数の目的化合物は、約0.01重量%から約40重量%、約0.01重量%から約25重量%、約0.01重量%から約4重量%、約0.1重量%から約1.4重量%又は約0.5重量%から約1.2重量%の量で存在することができる。得られた組成物は、懸濁液、エマルジョン又はゲルの形の均一な組成物が形成されるのに十分な時間混合された後は、静置されることが好ましい。均一な組成物を得るのに必要な時間は約8から約16時間であることが多い。
【0058】
しかし、使用されるβ(1−3)β(1−4)グルカンの量及び純度、並びに1種類又は複数の目的化合物の各々の量及び性質に応じて、それよりも短い又は長い時間が必要になり得ることを理解されたい。ゲルの形をした本発明の組成物は、軽く撹拌することによってより流動性のある状態に転化することができる。
【0059】
理論に拘泥するものではないが、均一な懸濁液、エマルジョン又はゲルの形成は、1種類又は複数の目的化合物がβ(1−3)β(1−4)グルカン内に隔離又は封入されることによって、また、その後に1種類又は複数の目的化合物の分子とβ(1−3)β(1−4)グルカンとの水素結合が形成されることによって引き起こされると考えられる。別の可能性は、β(1−3)β(1−4)グルカンが、1種類又は複数の目的化合物とβ(1−3)β(1−4)グルカンが分散された水相との境界における界面張力を低下させ、その結果、1種類又は複数の化合物を水相中に有効に可溶化させることによって界面活性剤又は乳化剤として働くことである。
【0060】
本発明による医薬組成物に使用することができる植物性抽出物の例としては、ガラナ、イチョウ、コーラナッツ、ヒドラスチス、ゴーロコーラ、シザンドラ、ニワトコの実、オトギリ草、カノコソウ及び麻黄、紅茶、白茶、ジャワティ、ニンニク油、繊維、緑茶、レモン油、メース、甘草、オニオン油、オレンジ油、ローズマリー、オオアザミ、エキナセア、エゾウコギ又はチョウセンニンジン、セイヨウヤマハッカ、カバ、マテ、ビルベリー、大豆、グレープフルーツ、海藻、サンザシ、ライムの花、セージ、チョウジ、バジル、クルクミン、タウリン、野生オートハーブ、オートムギ粒子、タンポポ、ゲンチアナ、アロエベラ、ホップ、シナモン、ペパーミント、ブドウ、カモミール、ウイキョウ、ビロードアオイ、ショウガ、アカニレ、カルダモン、コエンドロ、アニス、タイム、レーマニア、ユーカリ、メントール、マツブサ、ウイザニア、キバナノクリンザクラ、クコ及びトケイソウの抽出物が挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0061】
特定の例においては、植物性抽出物はオートムギ粒子の抽出物である。より具体的には、植物性抽出物は、アベナンスラマイドを含有するオートムギ粒子抽出物である。
【0062】
医薬活性剤の例としては、抗ヒスタミン薬、うっ血除去薬、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、気管支拡張剤、血管拡張薬又は局所麻酔薬が挙げられる。
【0063】
本発明の医薬組成物に使用することができる医薬活性剤植物性抽出物の別の例としては、ベータ−シトステロール、カフェイン、カフェストール、D−リモネン、カブウェオール、ノミリン、オルチプラズ、スルフォラファン、タンゲレチン、葉酸及びメントールが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0064】
本発明の組成物の製造に使用するのに適した穀物ベータグルカンは、Sigma Chemical Co.(St.Louis、MO)、Ceapro Inc.(Edmonton、AB、Canada)などいくつかの市販の供給源から粉末の形で入手可能である。ベータグルカンの溶液は、米国特許第6,284,886号に記載の方法で調製することができる。
【0065】
本発明の組成物の調製に使用されるベータグルカン溶液は、約65%から約100%、約75%から約100%又は約85%から約100%の純度を有するベータグルカン組成物から調製することもできる。具体的には、本発明の組成物の調製に使用されるベータグルカン溶液は、一般に、20%未満、より具体的には15%未満、さらにより具体的には10%未満、最も具体的には5%未満のタンパク質、脂質、炭水化物、粒子不純物などの不純物を含有する。
【0066】
別の例においては、本発明の医薬組成物に使用されるβ(1−3)β(1−4)グルカンは、粉砕された穀粒又は穀粒のうち粉砕された部分からβ(1−3)β(1−4)グルカンを単離する方法であって、
(i)粉砕された穀粒又は穀粒のうち粉砕された部分をアルカリ性溶液で抽出して、少なくとも約0.4重量%のβ(1−3)β(1−4)グルカンを含有する抽出物を生成するステップと、
(ii)抽出物から不溶物を除去し、粒径が約0.2μmを超える粒状物を除去して精製抽出物を生成するステップと、
(iii)約10%から約25%(w/w)のC〜Cアルコールを精製抽出物に添加してβ(1−3)β(1−4)グルカンを沈殿させるステップと、
(iv)β(1−3)β(1−4)グルカンを単離するステップと
を含む方法によって生成することができる。
【0067】
穀物β−グルカンは、粉砕された穀粒全体、又は粉砕された穀粒糠などの穀粒のうち粉砕された部分から、本発明による精製方法によって単離することができる。穀粒の糠を使用することが好ましい。穀粒又は抽出されたその一部は、粗粉砕された粉又は細かく粉砕された粉の形とすることができる。本発明に使用することができる穀物としては、オオムギ、オートムギ、コムギ、ライムギ、トウモロコシ、モロコシ及びキビの栽培品種のいずれかなどが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0068】
本発明による精製方法の第1のステップにおいては、粉砕された穀物又は穀物のうち粉砕された部分は、逆浸透(RO)精製水又は脱イオン(DI)水を用いて最終固形濃度約4%から約10%又は約6%から約8%にスラリー化される。
【0069】
精製方法の第1のステップに使用される水のpH値は、約9.00から約10.00、より具体的には約9.25から約9.75又は約9.30から約9.50とすることができ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基を用いて調節することができる。一例においては、水酸化カリウムは、濃度約28mMから約35mMで使用される。pH値が9から10である溶液を使用すると、一般に、第1のステップ中に抽出される非グルカン多糖及びタンパク質の量が減少し、したがって、高分子量穀物βグルカン分子が選択的に抽出される。
【0070】
穀物β−グルカンの抽出は、15分間から45分間又は15分間から30分間実施することができる。しかし、使用される穀物β−グルカンのタイプに応じてそれよりも長時間又は短時間の抽出を行うことができることを理解されたい。
【0071】
精製プロセスの第2のステップにおいては、抽出することができないあらゆる不溶物、例えば、ヘミセルロース又はリグニンが除去される。不溶物を分離するために使用することができる方法の例としては、遠心分離、好ましくはデカンター遠心分離及び振動ふるいが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0072】
ある種のタンパク質系物質を含めた微粒状物も、本発明による方法の第2のステップにおいてアルカリ性溶液から除去される。この物質は、外部凝集剤若しくは凝固剤又は両方を添加することによって除去することができる。第2のステップに使用することができる凝集剤又は凝固剤は、正味の正、負又は中性電荷を有することができる。凝固ステップは、1回又は複数回繰り返すことができる。
【0073】
使用することができる凝集剤の例としては、ポリアクリルアミド、第四級アクリレート塩などの合成凝集剤、キトサン、キチン由来の天然ポリマーなどの天然凝集巨大分子が挙げられるが、これらだけに限定されない。凝集剤の具体的な例としては、Tramfloc(登録商標)(Tramfloc Inc.)、陽イオン性凝集剤SURFLOC(登録商標)34030(Jes-Chem Ltd.)、Aquamark(登録商標)AQ 600 Series凝集剤などのポリアクリルアミド(PAM)凝集剤又はSuperFloc(登録商標)C-500 Series凝集剤(QEMI Inc.)が挙げられる。
【0074】
本発明による方法に使用することができる凝固剤の例としては、ミョウバン、石灰、塩化第二鉄、硫酸第一鉄などの無機電解質、有機ポリマー、陰イオン性又は陽イオン性官能基を有する合成高分子電解質及びポリアクリルアミドが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0075】
凝集剤、凝固剤又はそれらの混合物は、約0.09%から約0.20%(w/vol)又は約0.10%から約0.13%(w/vol)の濃度で使用することができる。
【0076】
アルカリ性溶液は、凝集剤又は凝固剤と約20から約40℃又は約20から約30℃の温度で約10分間から約40分間又は約10分間から約20分間インキュベートすることができる。しかし、粒状物を凝固させるためにそれよりも長い時間又は短い時間を使用できることを理解されたい。
【0077】
穀物β−グルカンを含有する溶液から負に帯電した物質を除去しようとする場合には、凝集剤又は凝固剤は正に帯電していることが好ましい。溶液から正に帯電した物質を除去しようとする場合には、負に帯電した凝集剤又は凝固剤が好ましい。
【0078】
理論に拘泥するものではないが、本発明による方法に使用することができる凝集剤及び凝固剤は、穀物β−グルカンを含有する水溶液から容易に分離することができる大きい高密度の凝集体を微粒子状物質と一緒に形成することによって機能する。
【0079】
凝固物は、例えば、ディスクスタック(disk-stack)遠心分離機を用いた遠心分離によって除去することができる。当業者に公知の他の物理的分離方法も、凝固物を分離するのに使用することができる。
【0080】
第2のステップにおいては、存在するあらゆるデンプン又は関連物質が、アミラーゼなど、ただしこれだけに限定されない酵素によって消化される。酵素は、約0.05%から約0.20%(vol/vol)、約0.09%から約0.15%(vol/vol)又は約0.09%から約0.11%(vol/vol)の濃度で使用することができる。アミラーゼを使用する場合には、アミラーゼを添加する前にアルカリ性溶液をほぼ中性のpH値(すなわち、pH約7)にすることが好ましい。一例においては、アミラーゼを含有する溶液を約50℃から約100℃又は約70℃から約90℃の温度に約20分間から約30分間加熱してデンプンをゼラチン化する。アミラーゼは、デンプン及び関連物質を加水分解する。一般に、デンプン質を分解するために選択されるアミラーゼは、上記温度範囲において機能し、安定である必要がある。アミラーゼは、デンプン質を消化するのにカルシウム補因子を必要としないことが特に好ましい。かかるアミラーゼの例としては、Termamyl(登録商標)LC(Novozymes A/S)及びSpezyme(登録商標)FRED(Genencor International Inc.)が挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0081】
加水分解反応の終了は、溶液から抜き取られた試料がヨウ素試験にもはや陽性を示さなくなるときに決定される。この時点で、例えばpHを約3.5〜約4.0の値に低下させることによって酵素を不活性化することができる。溶液のpHは、塩酸などの強い無機酸、又はリンゴ酸、クエン酸などの弱い有機酸を用いて低下させることができる。しかし、塩酸などの強い無機酸を使用することが好ましい。また、溶液の温度を85℃〜90℃に上昇させて溶液中のタンパク質を変性させることが好ましい。
【0082】
次いで、得られた酸性溶液は、カットオフポイントが好ましくは約20μmであるフィルターパッドを通してあらゆる粒子及び微生物学的汚染物質をろ過することができる。このフィルターは、公称空隙率が約0.2μmであるCelite(登録商標)C65(World Minerals)などの厚さが約2mmから約5mmのろ過助剤のプレコートで被覆することができる。当量のろ過助剤、例えば、Celite(登録商標)C300(World Minerals)などの酸洗浄医薬品グレードのろ過助剤をボディーフィードとして酸性溶液に添加した後にろ過ステップを実施することもできる。
【0083】
ろ過は、いくつかのろ過装置のいずれか1種類を用いて実施することができる。使用することができるろ過装置の特定の一例はフィルタープレスである。抽出物に含まれる物質の粒径が0.5ミクロン未満である場合には、セラミック精密ろ過及び限外ろ過のどちらか1つを使用して酸性溶液をろ過することができる。
【0084】
精製方法の第3のステップにおいては、穀物β−グルカンをC〜Cアルコールを添加することによって溶液から沈殿させる。穀物β−グルカンを沈殿させるために使用するアルコールは、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選択することができる。本発明の手順によって単離された穀物β−グルカンを医薬品又は食品の調製に使用する場合には、エタノール又はイソプロパノール、より好ましくは、エタノールを使用することが好ましい。
【0085】
溶液中のアルコール濃度が上昇するにつれ、穀物β−グルカンは微細なコロイド状懸濁液として沈殿する。沈殿ステップを実施するのに必要なアルコール総量は、溶液中の穀物β−グルカン濃度に応じて決まり得る。アルコールは、約10体積%から約25体積%、好ましくは約15体積%から約17体積%の最終濃度で添加される。したがって、本発明は、穀物β−グルカンの極度の脱水を起こし、その結果、穀物β−グルカンを分散させるのにホモジナイザーが必要になり得る高アルコール濃度(すなわち、50体積%を超える濃度)の使用が回避される。
【0086】
沈殿ステップは、約1℃から約10℃、好ましくは約1℃から約5℃などの低温で実施することが好ましい。また、沈殿ステップに使用するアルコールは、少なくとも約−20℃の温度に冷却された後にβ(1−3)β(1−4)グルカン溶液に添加することが好ましい。
【0087】
最終的に単離された穀物β−グルカンは、ミクロ分散体又はナノ分散体であり、大きい粒子がなく、さらなるろ過を必要としない。本発明によって単離された穀物β−グルカンの水溶液は、調製から1年を過ぎても均一なままである。
【0088】
例えばディスクスタック遠心分離機又は液体サイクロンを用いた遠心分離によって、懸濁穀物β−グルカンを単離することができる。必要に応じて、単離されたβ−グルカンを水溶液に再溶解させ、C〜Cアルコールを用いて再沈殿させてβ−グルカンの純度を高めることができる。次いで、単離された固体を、例えば、真空乾燥、噴霧乾燥又はドラム乾燥によって乾燥させて粉体にすることができる。好ましい乾燥方法は真空乾燥であり、例えばハンマーミリング、ピンミリング(pin milling)又はジェットミリングによってさらに粉砕されて所望の粒径にすることができる粗い顆粒状の固体が生成する。しかし、真空乾燥は、熱をあまり必要とせず、マイラード及び他の副生物が最小限に抑えられるので、比較的純粋な穀物β−グルカンを生成することができる。
【0089】
本発明による精製方法のステップの各々における穀物β−グルカンのゲル化を防止するために、塩の添加はプロセスを通して最小限に抑えられることが好ましい。例えば、逆浸透(RO)精製水又は脱イオン(DI)水を使用し、かつTermamyl(登録商標)LC(Novozymes A/S)などのカルシウム補因子を必要としないアミラーゼを使用することが好ましい。
【0090】
理論に拘泥するものではないが、穀物β−グルカン溶液のゲル化が起こり得る一経路は穀物β−グルカン分子の架橋によるものであり、これは、穀物β−グルカン分子がカルシウムなどのイオンに配位結合することによって引き起こされる。したがって、プロセスを通して少量の塩を使用することによって、本発明による方法において形成される中間体溶液中の穀物β−グルカン分子の架橋を最小限に抑えることができる。また、本発明による方法を通して導入される塩の量を制限することによって、本方法の最終ステップにおいて本質的に塩を含まない穀物β−グルカンを単離することができる。
【0091】
本発明による精製方法によって調製された穀物β−グルカン組成物は、一般に、少なくとも約75%の純度を有し、10%未満の灰不純物、10%未満のタンパク質不純物及び5%未満の脂質不純物を含む。より具体的には、本発明の穀物β−グルカン組成物は、少なくとも約92%の純度を有し、3.5%未満の灰不純物、3.5%未満のタンパク質不純物及び1%未満の脂質不純物を含む。本発明による精製方法によって調製された穀物β−グルカンの収率は、一般に約70%から約72%である。
【0092】
沈殿した穀物β−グルカンの均一な溶液は、穀物β−グルカンを逆浸透処理水又は脱イオン水中に約30℃から約45℃の温度で約20分間から約30分間又は穀物β−グルカンの大部分が溶解するまで懸濁させることによって調製することができる。次いで、溶液を低温殺菌し、防腐剤を添加することができる。
【0093】
本発明による方法によって単離された1%穀物β−グルカンを含有する水溶液は、一般に、以下の諸特性を有する。
・ 約200cPから約1500cP、より具体的には約1000cPから約1500cPの粘度
・ 約5NTU(公称混濁単位)から約100NTU、より具体的には約5NTUから約40NTUの透明度
・ 約0.02%から約0.2%、より具体的には約0.02%から約0.07%の灰濃度
・ 約0.02%から約0.2%、より具体的には約0.02%から約0.07%のタンパク質濃度
・ 約0.005%から約0.1%、より具体的には約0.005%から約0.02%の脂質濃度
【0094】
本発明による方法によって単離された穀物β−グルカンの安定溶液は、米国特許第6,284,886号に記載の方法で調製することができる。米国特許第6,284,886号に記載の方法に使用される防腐剤は、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、塩化ベンザルコニウム、パラベンなど、ただしこれらだけに限定されないヒトの消費及び医薬品用途に対して承認された防腐剤とすべきである。
【0095】
本発明による方法によって単離された穀物β−グルカンは、創傷治癒及びしわの抑制に特に有用であり、穀物β−グルカンが損なわれていない皮膚を透過すると、線維芽細胞成長を刺激することによってコラーゲンを再構築することができる。
【0096】
本発明の医薬組成物は、噴霧剤、液滴でもゲルの形でもよい液剤の形で使用することができる。一例においては、植物性抽出物及び医薬活性剤は、口腔粘膜、鼻腔粘膜又はゴム組織を介して容易に吸収される化合物を含む。
【0097】
麻酔薬を含有する本発明の医薬組成物を対象の歯肉又は口腔表面の特定の局所領域に適用することが好ましい。ニトログリセリンなどの血管拡張剤を含む本発明の組成物を対象の舌下に適用することも好ましい。抗ヒスタミン薬、うっ血除去薬、コルチコステロイド又は非ステロイド性抗炎症薬を含む本発明の医薬組成物は、対象の口腔の奥又は鼻腔に適用して、対象が吸入する組成物から医薬を放出することが可能になる。消費できる植物性抽出物を含む本発明による医薬組成物は、口内洗浄剤として使用して、使用後に吐き出すことができ、又は飲み込むことができる。
【0098】
本発明の医薬組成物は、意図する投与経路及び標準的慣行に基づいて選択される薬剤として許容される希釈剤又は担体を含むことができる。
【0099】
本発明の医薬組成物は、デンプン、ラクトースなどの賦形剤を含む錠剤又はカプセル剤、或いは矯味矯臭剤若しくは着色剤を含むエリキシル剤又は懸濁液剤の形で経口投与することもできる。本発明の医薬組成物は、非経口、例えば、静脈内、筋肉内又は皮下注射することができる。非経口投与の場合には、本発明の医薬組成物は、等張性無菌水溶液の形で最適に使用することができる。
【0100】
本発明の医薬組成物は、皮膚炎症性疾患を治療するときに、クリーム剤、ゼリー剤、ゲル剤、ペースト剤又は軟膏剤の形で局所投与することもできる。例えば、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬又は植物性抽出物を含有する本発明の医薬組成物は、クリーム剤の形で局所的組成物として使用することができる。
【0101】
実施例2は、本発明による方法によって調製され、局所的組成物の形で皮膚の一部分の表面に適用されるβ(1−3)β(1−4)グルカンが、皮膚の角質層、表皮、真皮及び皮下組織層にかなり透過できることを示している。これらの結果は、本発明による方法によって単離されたβ(1−3)β(1−4)グルカンによって封入された医薬活性剤又は植物性抽出物も、対象の皮膚の真皮及び皮下組織層に有効に移行できることを示唆している。
【0102】
穀物β−グルカン含量は、当業者に知られているいくつかの方法を用いて求めることができる(McCleary AOAC法)。例えば、穀物β−グルカン含量は、比色定量によって、かつ/又はサイズ排除クロマトグラフィー、HPLCなどの標準分析技術によって評価することができる(Wood et al. Cereal Chem. (1977) 54: 524; Wood et al. Cereal Chem. (1991) 68: 31-39;及びWood et al. Cereal Chem. (1991) 68: 530-536参照)。β−グルカンは、McCleary and Glennie-Holmes J. Inst. Brew. (1985) 91: 285の技術を採用したMegazyme(Ireland)などの市販キットを用いて酵素的に分析することもできる。
【0103】
粘度はBrookfield Syncro-Lectric又はHaake Rotoviscoなどの回転粘度計、せん断粘度計を用いて測定することができる。この装置の使用方法は当業者が知っている。常法に従って、測定は4通りのディスク回転速度で25℃の一定温度で行われる。
【0104】
以下の実施例によって本発明を説明する。改変例及び変更例は、当業者には容易に明らかになるはずである。
【実施例1】
【0105】
オートムギ糠から得られる穀物β−グルカンを精製する方法
オートムギ糠(The Quaker Oats Company)を、アルカリ性逆浸透(RO)水を用いてpH約9.5で最終固形濃度4%から10%にスラリー化した。温度を45℃±5℃に維持した。穀物β−グルカンをオートムギ糠から30分間にわたって抽出した。この時間の後に、デカンター遠心分離機を用いた遠心分離によって固体を除去した。その分離液を室温に冷却し、陽イオン性凝集剤SURFLOC(登録商標)34030(Jes-Chem Ltd.)を0.2%濃度で添加した。20分間のインキュベーション後に、凝固した粒状物を、ディスクスタック遠心分離機を用いた遠心分離によって除去した。分離液のpHをほぼ中性に調節し、>72℃に加熱してデンプンをゼラチン化し、熱に安定なアミラーゼTermamyl(登録商標)LC(Novozymes A/S)で処理した。溶液がヨウ素試験で陽性をもはや示さなくなったときに、pHを約4.0に低下させて酵素を不活性化させ、混合物を85℃に30分間加熱して存在するタンパク質を変性させた。溶液を4℃に1時間冷却し、次いで温度約72℃に加熱した。当量のCELITE(登録商標)C300(World Minerals)を溶液に添加し、次いで、25μmろ紙を備え、CELITE(登録商標)C65(World Minerals)を用いて約4mmの厚さにプレコートしたフィルタープレスによってその混合物をろ過した。フィルタープレスを温度約65℃に予熱し、フィルタープレスの供給流のpHを4.5に調節した後に、β−グルカン溶液をろ過した。β−グルカン溶液をフィルターに通した後に、フィルタープレスに逆浸透水を流して透明な淡黄色β−グルカン溶液を得た。β−グルカン溶液を5℃に冷却し、撹拌しながら温度−20℃の95%エタノールを添加して最終体積約15%(w/w)とした。β−グルカン懸濁液が形成され、ディスクスタック遠心分離機を用いた遠心分離によって溶液からすぐに分離された。単離された固体β−グルカンを45℃のRO水に添加し、分散させ、次いで60℃〜70℃に加熱して約1%のβ−グルカンを含有する透明無色溶液が生成した。分離されたβ−グルカンは無色であり、純度が75%を超え、粘度が>500cPであり、濁度計を用いて測定された除外透明度(exception clarity)が<50NTUであった。
【実施例2】
【0106】
水系組成物として腹部皮膚切片に適用された精製β−グルカンの分布の定量化
形成外科を受けた5人の健康なドナーからインフォームドコンセントの下にヒト腹部皮膚を入手した。各患者の皮膚を皮下脂肪から切り離し、3個の切片に切断した。皮膚切片を液体窒素で凍結させ、25kGyの線量のガンマ線照射によって終夜滅菌した。照射された試料を、受容体培地を含む20mL体積のFRANZ-CELL(登録商標)様かん流チャンバ(PHACOCELL(登録商標)、PhaCos GmbH、D-82131-Gauting、Germany;Artmann, C. W. In vitro percutaneous absorption into human skin, Fundam. Appl. Toxicol., 28, 1-5 (1996)参照)に各々取り付けた。照射された皮膚試料を、少量アプリケーター(microdose applicator)を用いて5mg/cmの投与量の組成物1455、組成物1450又は対照組成物で被覆した。組成物1455及び1450は、本発明による単離方法によって調製されたβ(1−3)β(1−4)グルカンをそれぞれ5%及び50%含有する水系組成物であった(実施例1参照)。対照組成物は、β(1−3)β(1−4)グルカンを含まない水系組成物であった。皮膚組織を徹底かつ一様に確実に水洗するために、チャンバは充填中に気泡を含まないように維持した。チャンバ内外の圧力補正及び一定の空気湿度は換気によって実施した。皮膚温度は温度センサーを用いて監視し、皮膚切片の含水量はコルネオメーターを用いて監視した。培地は36℃に調節し、連続循環した。皮膚の水分は約65コルネオメーター単位に維持し、皮膚表面温度は換気チャネルによって32℃に維持した。上記状態は、チャンバ底部の加熱プレート及び空気管を用いることによって、かつチャンバ中の気流を調節することによって培地の温度を調節して維持した。皮膚切片には、皮膚切片の下部表面を洗い流す均一な循環培養液を供給した。全試料に対する適用面積は10cmに固定した。皮膚試料を非閉塞(開放)条件下で8時間インキュベートした。
【0107】
インキュベーション期間の最後において、綿棒で採取する皮膚切片試料は、乾燥綿棒及び70%メタノール/HO 0.2mLで湿らせた綿棒の両方で採取した。皮膚切片をPhacocell(登録商標)チャンバから取り出し、液体窒素で直ちに凍結させた。次いで、皮膚切片を角質層からより深い真皮までの15μmの薄片に切断した。皮膚切片を清浄なガラススライド上で風乾し、流体で固定しなかった。次いで、薄片をBACTIDROP(商標)Calcofluor Whiteで30秒間染色し、次いで脱イオン水で過剰の染料を洗い流した。染色及び洗浄ステップを2回繰り返した。染色された試料を清浄なガラスカバースリップで覆い、440nmのピークを有する400nmから500nmの範囲のエキサイターフィルター(exciter filter)、500nmから520nmのバリアフィルター及びキセノンアーク(バーナー)ランプを備えたLEIKA(商標)蛍光顕微鏡を用いて蛍光によって調べた。BACTIDROP(商標)Calcofluor Whiteは、セルロースに結合する非特異的蛍光色素であり、長波長紫外線で励起されるとセルロースを含む生物の細胞壁の輪郭を描く。β−グルカン分子の堆積が監視し、明るい蛍光を用いて定量し、白点(3〜5μm)に反転されたフォーカスが試料の細胞壁及び細胞間の間隙に見られた。
【0108】
上記蛍光染色方法によって求められた平均堆積率を表3に示す。有意な蛍光染色値(>5%)が、組成物1455及び組成物1450で処置された皮膚試料の角質層及び表皮に認められた。組成物1450及び組成物1455で処置された皮膚試料の真皮及び皮下組織層では比較的低い値となった。対照組成で処置された皮膚切片では<1%の蛍光染色値となった。
【0109】
【表3】

【0110】
写真(示さず)による所見の資料によっても、皮膚試料の表皮層にβ−グルカンがかなり取り込まれたことが示された。
【0111】
蛍光測定は、品質管理手順及び資料に従って実施した。管理数のBACTIDROP(商標)Calcofluor Whiteが認定品質管理組織によって試験され、許容できることが判明した。(Microbiology M.Pettenkofer Institute,Munchen)。統計評価は、統計ソフトウエアパッケージSAS/STATISTICA(登録商標)によって実施した。使用されたハードウェアとソフトウエアの両方を検証した。
【実施例3】
【0112】
アベナンスラマイド含有抽出物を含む洗口剤又は噴霧剤の調製
アベナンスラマイド(Ceapro Inc.)100pmを含有するオートムギ抽出物1gをオートβ(1−3)β(1−4)グルカン(Ceapro Inc.)の撹拌10%(w/w)溶液に添加し、ほぼ無色透明の溶液を得た。
【実施例4】
【0113】
機能性食品抽出物を含む洗口剤又は噴霧剤の調製
エキナセア アンガスティフォリア抽出物(1000mg)の45%エタノール溶液をオートベータグルカン(Ceapro Inc.)の撹拌溶液に添加して最終濃度0.5%w/wのオートベータグルカンを得た。この混合物を減圧蒸発させてアルコールを除去し、透明淡黄色溶液を得た。
【0114】
本発明を、好ましい実施形態に関して説明した。しかし、いくつかの変更形態及び改変形態が、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることは、当業者には明らかなはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のβ(1−3)β(1−4)グルカン、及び
有効量の植物性抽出物又は医薬活性剤
を含む医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物が前記植物性抽出物を含み、前記植物性抽出物がガラナ、イチョウ、コーラナッツ、ヒドラスチス、ゴーロコーラ、シザンドラ、ニワトコの実、オトギリ草、カノコソウ及び麻黄、紅茶、白茶、ジャワティ、ニンニク油、繊維、緑茶、レモン油、メース、甘草、オニオン油、オレンジ油、ローズマリー、オオアザミ、エキナセア、エゾウコギ又はチョウセンニンジン、セイヨウヤマハッカ、カバ、マテ、ビルベリー、大豆、グレープフルーツ、海藻、サンザシ、ライムの花、セージ、チョウジ、バジル、クルクミン、タウリン、野生オートハーブ、オートムギ粒子、タンポポ、ゲンチアナ、アロエベラ、ホップ、シナモン、ペパーミント、ブドウ、カモミール、ウイキョウ、ビロードアオイ、ショウガ、アカニレ、カルダモン、コエンドロ、アニス、タイム、レーマニア、ユーカリ、メントール、マツブサ、ウイザニア、キバナノクリンザクラ、クコ又はトケイソウの抽出物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記植物性抽出物がオートムギ粒子の抽出物である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記植物性抽出物がアベナンスラマイドを含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記組成物が前記医薬活性剤を含み、前記医薬活性剤がベータ−シトステロール、カフェイン、カフェストール、D−リモネン、カブウェオール、ノミリン、オルチプラズ、スルフォラファン、タンゲレチン、葉酸及びメントールからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記組成物が前記医薬活性剤を含み、前記医薬活性剤が抗ヒスタミン薬、うっ血除去薬、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、気管支拡張剤、ニトログリセリンなどの血管拡張薬及び局所麻酔薬からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記血管拡張薬がニトログリセリンである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記β(1−3)β(1−4)グルカンが穀粒又は穀粒の一部から得られる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記穀物が、オオムギの栽培品種、オートムギの栽培品種、コムギの栽培品種、ライムギの栽培品種、モロコシの栽培品種、キビの栽培品種、トウモロコシの栽培品種及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記β(1−3)β(1−4)グルカンが、少なくとも約75%の純度を有し、10%未満の灰不純物、10%未満のタンパク質不純物及び5%未満の脂質不純物を含むβ(1−3)β(1−4)グルカン組成物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記β(1−3)β(1−4)グルカン組成物が、少なくとも約92%の純度を有し、3.5%未満の灰不純物、3.5%未満のタンパク質不純物及び1%未満の脂質不純物を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記穀物β−グルカン組成物が、約5NTUから約100NTUの透明度を有する、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記β(1−3)β(1−4)グルカンが、粉砕された穀粒又は穀粒のうち粉砕された部分からβ(1−3)β(1−4)グルカンを単離する方法によって生成され、該方法が、
(i)前記粉砕された穀粒又は前記穀粒のうち粉砕された部分をアルカリ性溶液で抽出して、少なくとも約0.4重量%のβ(1−3)β(1−4)グルカンを含有する抽出物を生成するステップと、
(ii)前記抽出物から不溶物を除去し、粒径が約0.2μmを超える粒状物を除去して精製抽出物を生成するステップと、
(iii)約10%から約25%(w/w)のC〜Cアルコールを前記精製抽出物に添加して前記β(1−3)β(1−4)グルカンを沈殿させるステップと、
(iv)前記β(1−3)β(1−4)グルカンを単離するステップと
を含む方法である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記方法における前記添加ステップ(ステップiii)において、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される約10%から約20%(w/w)のアルコールを使用して、前記精製抽出物から前記β(1−3)β(1−4)グルカンを沈殿させる、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
約10%から約20%(w/w)のエタノールを使用して前記精製抽出物から前記β(1−3)β(1−4)グルカンを沈殿させる、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記方法において粒状物を除去する前記ステップが、
凝集剤、凝固剤又は凝集剤と凝固剤の両方を前記抽出物に添加して、粒径が約0.2μmを超える粒状物を凝固させ、凝固物を前記抽出物から除去する1つ又は複数のステップと、
前記抽出物中のデンプン質を消化するステップと、
粒径が約0.2μmを超える粒状物を前記抽出物からろ過除去して精製抽出物を生成するステップと
を含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記方法における消化ステップにおいて、前記デンプン質を酵素によって消化する、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記デンプン質を消化する前に前記アルカリ性溶液を中和する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記方法における前記デンプン質の消化後に前記酵素を不活性化する、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記中和溶液を酸性化することによって前記酵素を不活性化する、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記酵素がアミラーゼである、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記アミラーゼがカルシウム補因子を必要としない、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記穀物が、オオムギの栽培品種、オートムギの栽培品種、コムギの栽培品種、ライムギの栽培品種、モロコシの栽培品種、キビの栽培品種、トウモロコシの栽培品種及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記方法に使用する前記アルカリ性溶液のpHが約9から約10である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記方法において、前記抽出ステップ(ステップi)を約15分間から約45分間実施する、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記方法において、前記添加ステップ(ステップiii)を約1℃から約10℃の温度で実施する、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記方法が、さらに、前記単離β(1−3)β(1−4)グルカンを水溶液に溶解し、約10%から約25%(w/w)のC〜Cアルコールを前記水溶液に添加することによって前記β(1−3)β(1−4)グルカンを沈殿させ、前記β(1−3)β(1−4)グルカンを単離する1つ又は複数のステップを含む、請求項13に記載の医薬組成物。


【公表番号】特表2006−525237(P2006−525237A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504132(P2006−504132)
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000662
【国際公開番号】WO2004/096242
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(504225699)セアプロ インク (4)
【Fターム(参考)】