説明

穀物貯溜タンク

【課題】タンク内の貯溜穀物をタンク外に、均一に、かつ、万遍に送出し搬出することができるように改良されたシャッターの開閉構造を備えた穀物貯溜タンクを提供する。
【解決手段】収納タンクの最底部に備えられる前後方向の送出し路2に、スクリューコンベア3を配設するとともに、このスクリューコンベア3の上方部位には受圧板8を配設する。これにより、受圧板8とタンクの両側のホッパ底部との間に、スクリューコンベア3へと貯溜穀物を流下させるための両側の流下口をそれぞれ備える。そして、両側の流下口を開閉するためのシャッター7を、送出し路2の送出し始端部側からその送出し終端部側に至るにしたがって両側の流下口の開口が狭くなるように、送出し始端部側から送出し終端部側にわたり可変上昇する開閉構造にて配設したことにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインなどによって田畑から収穫される米・麦などの穀物(穀粒)をタンク内に一時貯溜し、トラックなどに搭載されてライスセンターなどへと穀物を搬送する穀物貯溜タンクに係り、特に、タンクの最底部に配設されているスクリューコンベアへとタンク内の貯溜穀物を流下させる流下口を開閉するためのシャッターの開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている穀物貯溜タンク(グレンタンクとも称されている)は、縦断面が略ホッパ形状を呈するタンクの最底部にスクリューコンベアを配設している。
また、穀物貯溜タンクは、前記スクリューコンベアの上方部位に該スクリューコンベアへの貯溜穀類の重量負荷を軽減するための受圧板を配設することにより、この受圧板の両側縁部と前記タンクの両側のホッパ底部との間に、前記スクリューコンベアへと貯溜穀物を流下させるための流下口をそれぞれ形成するとともに、この両側の流下口を開閉するためのシャッターを上下動自在に配設して構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3002224号(段落番号0015、0016、及び図4、図6参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来穀類貯溜タンクのシャッターは、スクリューコンベアのコンベア始端部側からコンベア終端部側に至る全長において平行(水平)に上昇するように組み込み支持されている。
つまり、前記スクリューコンベアの上方部位の受圧板の両側縁部とタンクの両側のホッパ底部との間にそれぞれ形成されている両側の流下口を開閉するように上下動自在に配設されているシャッターの開閉構造は、前記コンベア始端部側からコンベア終端部部側に至る前後方向の全長において平行に上昇することにより、前記両側の流下口を前後方向に同じ開口にて開くようになっている。
【0004】
そのために、従来の穀物貯溜タンクにおいては、スクリューコンベアの回転により送出されてそのコンベア終端部側の排出口部からタンク外に貯溜穀物を排出する際に、コンベア終端部側において貯留されているタンク内の貯溜穀物はスクリューコンベアへと速やかに流下し、該スクリューコンベアによって効率的にタンク外へと送出し排出されるものの、コンベア始端部側において貯溜されているタンク内の貯溜穀物は前記コンベア終端部側に比べてスクリューコンベアへの流下が遅く、また、その流下量も少ない。
これは、タンク外への排出口部に近いコンベア終端部側の貯溜穀物が優先してタンク外へと送出し排出されるために、スクリューコンベアへの貯溜穀物の流下は、コンベア終端部側が優先して行われる一方で、コンベア始端部側においては流下が遅く、また、その流下量も少ない。したがって、コンベア終端部側の貯溜穀物がすべて送出し排出されたにも関らず、コンベア始端部側では貯溜穀物が残っているといったスクリューコンベアによる送出し排出に片寄り現象が起きているのが現状である。
【0005】
なお、穀類貯溜タンクは、図1及び図2に示すように、コンベア終端部側において、スクリューコンベアの近くにおけるタンクのホッパ底部には籾残留センサー(圧力センサー)14が備えられており、この籾残留センサー14がOFFセットされた時点又はそれから数分後においてスクリューコンベアの回転が自動的に停止されるようになっている。
そのために、コンベア終端部側の貯溜穀物がタンクの外にすべて送出し排出されて籾残留センサーの上から貯溜穀物が無くなることで、スクリューコンベアの回転が停止することから、スクリューコンベアへの流下が遅く、送出し排出量が少ないコンベア始端部側の貯溜穀物は完全に送出し排出されることなく残ってしまうスクリューコンベアによる送出し排出に片寄り現象が起こる。
この片寄り現象を防ぐ解決策として、コンベア終端部側と同じく、コンベア始端部側にも籾残留センサーを備えることも考えられるが、このように籾残留センサーを増設したところで、コンベア終端部側の貯溜穀物の送出し排出が優先されることには変わりがなく、最善の解決策にはならないものである。
【0006】
そこで、本願発明者らは、前記課題を解消するために、種々の実験を重ねた結果、スクリューコンベアのコンベア始端部側からコンベア終端部側に至るようにその全長にわたり配設されるシャッターの上昇による流下口の開きを、コンベア終端部側によりもコンベア始端部側に至るにしたがって大きく開口させることで、貯溜穀物の送出し搬出時における片寄り現象を防ぐことができることに着目し、本発明に至ったものであり、その目的とするところは、タンク内における穀物の貯溜場所などを問わずに、タンク内の貯溜穀物をタンク外に、万遍無く送出し搬出することができるように改良されたシャッターの開閉構造を備えた穀物貯溜タンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1では、前後方向に長く平面視が略矩形状で、縦断面が略ホッパ形状を呈するタンクの最底部に、前後方向のスクリューコンベアを配設し、
かつ、前記スクリューコンベアの上方部位には該スクリューコンベアへの貯溜穀類の荷重を軽減するための受圧板を配設して、この受圧板と前記タンクの両側のホッパ底部との間に、前記スクリューコンベアへと前記貯溜穀物を流下させるための両側の流下口をそれぞれ備え、さらに、前記両側の流下口を開閉するためのシャッターを上下動自在に配設して構成されている穀物貯溜タンクにおいて、前記シャッターの上昇に伴う前記両側の流下口の開口が、前記スクリューコンベアのコンベア始端部側からコンベア終端部側に至るにしたがって狭くなるように、前記シャッターが上昇するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の構成によれば、タンク内の貯溜穀物をタンク外に送出し排出する際に、スクリューコンベアの上方部位の受圧板とタンクの両側のホッパ底部との間の両側の流下口を閉じるシャッターを上昇させると、スクリューコンベアのコンベア始端部側からコンベア終端部側に至るにしたがって開口が狭くなるように、前記両側の流下口は開口される。
これにより、スクリューコンベアのコンベア始端部側に貯留されているタンク内の貯溜穀物は、コンベア終端部側に貯溜されているタンク内の貯溜穀物よりも多めにスクリューコンベアへと流下されてスクリューコンベアによりタンク外へと送出し排出される。
したがって、従来のように、コンベア始端部側に貯溜されているタンク内の貯溜穀物の送出し排出量が、コンベア終端部側に比べて少なく、コンベア終端部側の貯溜穀物がすべて送出し排出されたにも関らず、コンベア始端部側では貯溜穀物が完全に送出し排出されずに残ってしまうスクリューコンベアによる送出し排出に起きていた片寄り現象は解消される。
【0009】
そして、仮に、コンベア始端部側の貯溜穀物の送出し排出が、コンベア終端部側の貯溜穀物の送出し排出によりも先行し、コンベア始端部側の貯溜穀物がすべて送出し排出されたとしても、コンベア終端部側に貯溜穀物が残っている限り、スクリューコンベアは止まることなく回転を継続することによってコンベア終端部側の貯溜穀物はすべて送出し排出されることになる。
【0010】
請求項2では、前記シャッターは、前記スクリューコンベアのコンベア始端部側とコンベア終端部側とにそれぞれ備えられる前後のリンク機構によって、前記両側の流下口を開口する際の上昇量が、前記コンベア始端部側とコンベア終端部側とにおいて可変されるように支持されていることを特徴とする。
そして、前記前後のリンク機構は、前記スクリューコンベアのコンベア始端部側からコンベア終端部側にわたり軸架されて備えられる回転軸に一端側が固着される第1のリンクと、この第1のリンクの他端側に一端側が枢着され、他端側が前記シャッター側に枢着される第2のリンクと、をそれぞれ備えて構成され、少なくとも前記コンベア終端部側の前記第1のリンクの長さよりも、前記コンベア始端部側の前記第1のリンクの長さが短く形成されていることを特徴とする(請求項3)。
【0011】
請求項2及び請求項3に記載の構成によれば、スクリューコンベアのコンベア始端部側からコンベア終端部側に至るにしたがって両側の流下口の開口が狭くなるように、シャッターの上昇量を可変するためのシャッターの支持機構として、リンク機構を採用したことによって、スクリューコンベアのコンベア始端部側とコンベア終端部側とにおけるシャッターの上昇量を可変するシャッターの開閉構造を簡単に実施することができる。
つまり、前後のリンク機構を構成するそれぞれの第1のリンクと第2のリンクの少なくともいずれか一方のリンクの長さを変えるなどの簡単な手法によって、スクリューコンベアのコンベア始端部側からコンベア終端部側に至るにしたがって流下口の開口を狭くするためのシャッターの上昇量の可変を実施することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の穀物貯溜タンクは以上のように構成されていることで、タンクの最底部に、前後方向に配設されるスクリューコンベアのコンベア終端部側の貯溜穀物がすべて送出し排出されたにも関らず、コンベア始端部側では貯溜穀物が残っているといった貯溜穀物を送出し排出するときの片寄り現象を起こすことなく、スクリューコンベアによって、タンク内の貯溜穀物をタンク外に、万遍無く送出し搬出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る穀物貯溜タンクの実施形態を示す縦断側面図であり、図2は、同縦断正面図である。
【0014】
≪穀物貯溜タンクの構成≫
穀物貯溜タンクAは、図1に示すように、縦断面が略ホッパ形状を呈する収納タンク1の最底部にその前後方向に延びる送出し路2を備えており、この送出し路2の溝方向全長にわたりスクリューコンベア3を回転架橋状に配設するとともに、送出し路2の送出し終端側には排出口部4を備えている。
【0015】
そして、収納タンク1を支持するように枠組み構成されている機枠5の底部にはモータ6が設置されており、このモータ6からの動力によりスクリューコンベア3を駆動回転させてその回転動力によって送出し路2に流下されて流れ込んだタンク内の貯溜穀物Mが、スクリューコンベア3の回転により送出し路2を移送されてその送出し終端側の排出口部4へと送り出されながら、該排出口部4に接続される搬出ホース17によってタンク外に排出されるように構成されている。
【0016】
≪収納タンクの構成≫
収納タンク1は、図1及び図2に示すように、前後方向に長く平面視が略矩形状に開口し、その前後短辺壁1−1を垂直壁とし、左右長辺壁1−2をその高さ方向上半部側を垂直壁とすると共に、下半部側を最底部に向けて漸次傾斜させたテーパー状のホッパ底部1aとしている。
これにより、収納タンク1に貯溜された貯留穀物Mは、後記のシャッター7を上昇させることによって、送出し路2に向けて自然に流下し,該送出し路2に流れ込むようにしている。
【0017】
≪送出し路の構成≫
送出し路2は、図1及び図2に示すように、収納タンク1の前後方向にわたる長さで縦断面が略樋形状に形成され、収納タンク1の左右ホッパ底部1aの下端にボルトなどの止め手段により取り付けてタンクの最底部に備えられる。
そして、送出し路2の送出終端側には、図1及び図2に示すように、排出口部4が備えられており、この排出口部4からタンクの後側短辺後壁1−1に至る送出し路2の送出し始端部側にわたりスクリューコンベア3が回転架橋状に取り付けられることにより、送出し路2にスクリューコンベア3が配設されるようになっている。
また、送出し路2の上方部位には、図1及び図2に示すように、受圧板8が配設されており、この受圧板8によって、タンク内の貯溜穀物Mの自重負荷が送出し路2のスクリューコンベア3に直接掛らないようにして、スクリューコンベヤー3が大きな負荷を受けることなく回転し得るようにしている。
【0018】
ちなみに、排出口部4は、図1及び図2に示すように、送出し路2の溝底などに開口された籾落下口4aと、この籾落下口4aの真下に位置して左右に首振り回動自在に備えられる接続部4bとを備え、この接続部4bに、コイルコンベア17aを内装する搬出ホース17の接続口具17bが接続されて、スクリューコンベア3により送出し路2を、その送出し終端部側へと送出されてくる貯溜穀物Mが、コイルコンベア17aにより搬出ホース17を移送されてタンク外に搬出されるようになっている。
【0019】
≪受圧板の構成≫
受圧板8は、図1及び図2に示すように、収納タンク1の前後短辺壁1−1,1−1の間にわたる長さに形成されている。そして、受圧板8は、閉鎖された上半部(頂部)側を略山形とし、下半部側を下向き開口状に拡開させた縦断面が略逆向きU字状に形成され、前後短辺壁1−1にボルトなどの止め手段に固着されることにより、スクリューコンベア3の上方部位において前後短辺壁1−1の間に架橋状に配設されるようになっている。
このようにして、受圧板8が配設されることにより、受圧板8の両側垂れ縁部8aと両側のホッパ底部1aとの間には、図2に示すように、貯溜穀物Mが送出し路2へと流下するための流下口9がそれぞれ形成されるようにしている。
【0020】
そして、両側の流下口9を開閉するためのシャッター7を上下動自在に配設することにより、ライスセンターなどへの運搬中などにおいて貯留穀物Mが送出し路2へと流下することを阻止するようにしている。
ここで、両側の流下口9のシャッター7による開閉とは、図2、及び後記の図4、図5に示すように、流下口9を直接開閉するものではなく、両側の流下口9のそれぞれの内側(送出し路2側)において、流下口9を通過したタンク内の貯溜穀物Mが送出し路2へと流下しないように阻止すること、そして、流下口9を通過した貯溜穀物Mを送出し路2へと流下させることを意味するものである。
【0021】
≪シャッターの構成≫
図3は、シャッターを上昇させた状態を拡大して示す要部の縦断側面図である。図4は、図3のIV−IV線拡大縦断面図であり、図5は、図3のV−V線拡大縦断面図である。
シャッター7は、図1から図5に示すように、送出し路2の送出し始端側から送出し終端側にわたる長さで、かつ、両側の流下口9の開口高さよりも高く上下面を開口させた前後方向に長い長尺ボックス状に形成されている。また、シャッター7は、その前後面壁7a,7bの下端縁側を略半円形状に切欠くことで、流下口9を閉じる下降状態において、スクリューコンベア3と干渉しないようにしている。
【0022】
そして、シャッター7は、図1及び図3に示すように、その前後面壁7a,7bを前後のリンク機構10,11によってそれぞれ支持されることにより、上下動自在に配設されるようにしている。
これにより、シャッター7をタンクのホッパ底部1aに載るその下降限まで下降させることで、タンク内の貯溜穀物Mが送出し路2に流下しないように両側の流下口9を閉じるとともに、その閉じ状態から、図4及び図5に示すように、シャッター7を受圧板8側方向に向けて上昇させることで、両側の流下口9を適宜開口させて送出し路2に貯溜穀物Mを適宜の流下量にて流下させることができるようにしている。
【0023】
≪前後のリンク機構の構成≫
前後のリンク機構10,11は、図3に示すように、受圧板8内におけるシャッター7の上方部位において収容タンク1の前後短辺壁1−1の間にわたり回動自在に軸架されて備えられる回転軸12に一端側が溶接などにより固着される第1のリンク10a,11aと、この第1のリンク10a,11aの他端側に一端側が回動自在に枢着されるとともに、他端側がシャッター7の前後面壁7a,7bに回動自在に枢着される第2のリンク10b,11bと、を備えて構成されている。
【0024】
そして、図3、図4及び図5に示すように、送出し路2の送出し終端部側において回転軸12に固着される前側のリンク機構10の第1のリンク10aは、送出し始端部側において回転軸12に固着される後側のリンク機構11の第1のリンク11aの長さL2よりも長さL1が短く形成されている。
一方、リンク機構10の第2のリンク10bは、リンク機構11の第2のリンク11bの長さL4よりも長さL3が長く形成されている。
【0025】
このように、前側のリンク機構10の第1のリンク10a及び第2のリンク10の長さL1,L3と、後側のリンク機構11の第1のリンク11a及び第2のリンク11bの長さL2,L4を変えることにより、図2に示すように、両側の流下口9を閉じるように降下しているシャッター7を、図4及び図5に示すように、受圧板8側方向に向けて上昇させることで、シャッター7によって閉じられていた両側の流下口9は、送出し路2の送出し始端部側からその送出し終端部側に至るにしたがって開口が狭くなるように開口される。
すなわち、図2に示すシャッター7の下降状態から回転軸12を左回り方向(反時計方向)に回転させてシャッター7を上昇させる操作を行うことで、回転軸12を支点Pに回動する前側の第1のリンク10aと後側の第1のリンク11aとは、それぞれの第2のリンク10b,11bとの枢着部P1,P2までの半円運動距離が異なることになる。
これにより、回転軸12の回転に伴い前後のリンク機構10,11により吊り上げられるように上昇されるシャッター7の上昇量が、送出し路2の送出し終端部側よりもその送出し始端部側方が大きくなるように可変されることになり、図3に示すように、両側の流下口9は、送出し路2の送出し始端部側においては開口幅L5が広く、該送出し始端部側から排出口部を備える送出し終端部側に至るにしたがって開口幅L6が狭くなるように開口されるものである(図4及び図5参照)。
【0026】
≪シャッターの上下動操作の機構構成≫
図6は、穀物貯溜タンクを前方から見た部分斜視図である。
シャッター7の上下動(回転軸12の左回り、右回り回転)は、図6に示すように、収納タンク1の前側短辺壁1−1より外側に突出する回転軸12の突端部に取り付けて、当該短辺壁1−1の外側に備えた操作ハンドル13の回動(回転軸12の左回り回転、右回り回転)操作により行われるように構成されている。
操作ハンドル13は、図6に示すように、収納タンク1の前側短辺壁1−1aに取り付けられているブラケット14に対し、止めノブ15により適宜定着されるようになっている。つまり、送出し路2への貯溜穀物Mの流下量を適宜調節し得るように、シャッター7の上昇による両側の流下口9の開口を適宜変更し得るようにしている。
【0027】
以上のように構成されている本実施形態に係る穀物貯溜タンクAによれば、収納タンク1内の貯溜穀物Mをタンク外に送出し排出する際に、図1及び図2に示すように、受圧板8とタンクの両側のホッパ底部1aとの間の両側の流下口9を閉じるシャッター7を、図3に示すように、操作ハンドル13の回動操作により上昇させると、スクリューコンベア3を配設する送出し路2の送出し始端部側においては開口幅L5が広く、該送出し始端部側から排出口部4を備える送出し終端部側に至るにしたがって開口幅L6が狭くなるように、両側の流下口9は開口される(図4及び図5参照)。
これにより、送出し路2の送出し始端部側に貯留されているタンク内の貯溜穀物Mは、送出し終端部側に貯溜されているタンク内の貯溜穀物Mよりも多めに送出し路2へと流下されてスクリューコンベア3によりタンク外へと送出し排出されることになる(図4及び図5参照)。
【0028】
そして、仮に、送出し路2の送出し始端部側の貯溜穀物Mの送出し排出が、送出し路2の送出し終端部側の貯溜穀物Mの送出し排出によりも先行し、送出し始端部側の貯溜穀物Mの送出し排出が送出し終端部側よりも先に完了したとしても、送出し終端部側に貯溜穀物Mが残っている限り、つまり、図1及び図2に示すように、送出し路2の送出し終端部側において、スクリューコンベア3の近くのホッパ底部1aに備えられている籾残留センサー16がOFFセットされない限り、スクリューコンベア3は止まることなくモータ6により回転を継続することによって送出し終端部側の貯溜穀物Mはすべてタンク外へと送出し排出されることになる。
【0029】
また、送出し路2の送出し始端部側と送出し終端部側とにおけるシャッター7の上昇量を可変するためのシャッター7の支持機構として、前後のリンク機構10,11を採用したことによって、送出し始端部側と送出し終端部側とにおけるシャッター7の上昇量を可変するシャッター7の支持機構を簡単な構造にて実施することができる。
つまり、前後のリンク機構10,11をそれぞれ構成する第1のリンク10a,11a及び第2のリンク10b,11bのそれぞれのリンクの長さを変えるなどの簡単な手法によって実施することができる。
【0030】
なお、本発明の実施形態の具体的な構成は、前記した実施形態に限られるものではなく、請求項1から請求項3に記載の本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更などがあっても本発明に含まれるものである。
例えば、送出し路2の送出し始端部側と送出し終端部側とにおけるシャッター7の上昇量を可変させるための手法として、前後のリンク機構10,11をそれぞれ構成する第1のリンク10a,11aの長さ及び第2のリンク10b,11bの長さを前記した実施形態のように変えことなく、第1のリンク10a,11a同士の長さを同じ長さに、そして、第2のリンク10b,11b同士の長さを同じ長さにそれぞれ形成する。
そして、シャッター7の前面壁7aに枢着される前側のリンク機構10の第2のリンク10bの他端側に、その長さ方向の長孔を備えたり、或いは、第2のリンク10bにかえて、シャッター7の前面壁7a側に、その高さ方向の長孔を備えるなどの他の手法によって、送出し路2の送出し始端部側から排出口部4を備える送出し終端部側に至るにしたがって開口が狭くなるように、シャッターの上昇量を可変する開閉構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る穀物貯溜タンクの実施形態を示す縦断側面図である。
【図2】図1のII−II線縦断面図である。
【図3】シャッターを上昇させた状態を示す同縦断側面図である。
【図4】図3のIV−IV線拡大縦断面図である。
【図5】図3のV−V線拡大縦断面図である。
【図6】穀物貯溜タンクを前方から見た部分斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
A 穀物貯溜タンク
1 収納タンク
1a ホッパ底部
2 送出し路
3 スクリューコンベア
4 排出口部
7 シャッター
8 受圧板
10,11 リンク機構
10a,11a 第1のリンク
10b,11b 第2のリンク
M 貯溜穀物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に長く縦断面が略ホッパ形状を呈するタンクの最底部に、前後方向のスクリューコンベアを配設し、
かつ、前記スクリューコンベアの上方部位には該スクリューコンベアへの貯溜穀類の重量負荷を軽減するための受圧板を配設して、この受圧板と前記タンクの両側のホッパ底部との間に、前記スクリューコンベアへと前記貯溜穀物を流下させるための両側の流下口をそれぞれ備え、
さらに、前記両側の流下口を開閉するためのシャッターを上下動自在に配設して構成されている穀物貯溜タンクにおいて、
前記シャッターの上昇に伴う前記両側の流下口の開口が、前記スクリューコンベアのコンベア始端部側からコンベア終端部側に至るにしたがって狭くなるように、前記シャッターが上昇するように構成されていることを特徴とする穀物貯溜タンク。
【請求項2】
前記シャッターは、前記スクリューコンベアのコンベア始端部側とコンベア終端部側とにそれぞれ備えられる前後のリンク機構によって、前記両側の流下口を開口する際の上昇量が、前記コンベア始端部側とコンベア終端部側とにおいて可変されるように支持されていることを特徴とする請求項1に記載の穀物貯溜タンク。
【請求項3】
前記前後のリンク機構は、前記スクリューコンベアのコンベア始端部側からコンベア終端部側にわたり軸架されて備えられる回転軸に一端側が固着される第1のリンクと、この第1のリンクの他端側に一端側が枢着され、他端側が前記シャッター側に枢着される第2のリンクと、をそれぞれ備え、
少なくとも前記コンベア終端部側の前記第1のリンクの長さよりも、前記コンベア始端部側の前記第1のリンクの長さが短く形成されていることを特徴とする請求項2に記載の穀物貯溜タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−314186(P2007−314186A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142614(P2006−142614)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000132828)株式会社タイショー (5)
【Fターム(参考)】