説明

穀物食品用のミックス粉及びこれを用いた冷凍生地及びこれらを用いた穀物食品

【課題】一般的な冷凍障害に影響されることなく成型性及び食感に優れた穀物食品を製造するための穀物食品用のミックス粉及びこれを用いた冷凍生地及びこれらを用いた穀物食品を提供すること。
【解決手段】少なくとも、米粉を含む穀粉と、イソマルツロースの粉末と、トレハルロース及びトレハロースのいずれか又は双方とを配合してなる穀物食品用ミックス粉であって、前記穀粉100重量部に対する前記イソマルツロースの粉末の配合量が1〜20重量部であり、且つ、前記トレハルロース及びトレハロースのいずれか又は双方の配合量が1〜15重量部であることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は穀物食品用のミックス粉及びこれを用いた冷凍生地及びこれらを用いた穀物食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年はパン類や菓子類等の穀物食品用冷凍生地(以下、「冷凍生地」という。)が普及しており、工場で製造した生地を冷凍して発送することにより各店舗で解凍・加熱調理をして販売したり、冷凍生地を購入した一般消費者が自宅で解凍・加熱調理をして穀物食品を得て食したりすることができる。
【0003】
また、パン等の穀物食品において穀粉としては一般的に小麦粉が主として使用されているが、米の消費拡大のために小麦粉の全部或いは大部分を米粉に代替して製造する米粉を主とした穀物食品が研究され、また製造販売されている。よって米粉を主原料とする穀粉からなる冷凍生地がより望まれているものと考えられる。
【0004】
従来においてこのような米粉を主とした冷凍生地は、冷凍保存中の氷結晶の成長等によりグルテンネットワーク構造が破壊されて炭酸ガスを包み込む働きが弱くなるためボリュームのある穀物食品とはならなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのような冷凍保存中のグルテンネットワークの破壊を防ぐために乳化剤が配合されることがあるが、その場合であっても生地中に含まれる水分が生地の表面で氷結することにより冷凍生地を解凍した際の生地中の水分量の不足や、生地表面が水分過多となることにより食感が優れない穀物食品となることが避けられなかった。特に米粉を主とした穀物食品は小麦粉を主とした穀物食品に比べて吸水量(生地を調製する際に加える水の量)が多いため生地中の水分をどのように取り扱うかは重要な問題である。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑み、一般的な冷凍障害に影響されることなく成型性及び食感に優れた穀物食品を製造するための穀物食品用のミックス粉及びこれを用いた冷凍生地及びこれらを用いた穀物食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の穀物食品用ミックス粉は、少なくとも、米粉を含む穀粉と、イソマルツロースの粉末と、トレハルロース及びトレハロースのいずれか又は双方とを配合してなる穀物食品用ミックス粉であって、前記穀粉100重量部に対する前記イソマルツロースの粉末の配合量が1〜20重量部であり、且つ、前記トレハルロース及びトレハロースのいずれか又は双方の配合量が1〜15重量部であることを特徴としている。
【0008】
これによれば、イソマルツロースの粉末が穀物食品用ミックス粉から調整した生地の保存状態の悪化を防ぎ、トレハルロース及びトレハロースのいずれか又は双方が生地に含まれる水分をしっかりと保つ(保水性を有する)ため、良好な冷凍生地を調整するための穀物食品用ミックス粉とすることができる。
【0009】
また本発明は、上記穀物食品用ミックス粉において、前記米粉はうるち米粉80〜85重量部に対してグルテン20〜15重量部を配合したグルテン入り米粉であると望ましい。
【0010】
これによれば、イソマルツロースの粉末がグルテンを含む生地を冷凍することによって生じるグルテンネットワークの破壊を防ぐため、良好な冷凍生地を調整するための穀物食品用ミックス粉とすることができる。
【0011】
また本発明は、上記穀物食品用ミックス粉において、前記穀物食品用ミックス粉は、グリセリン脂肪酸エステルを含む生地改良剤を含み、前記穀粉100重量部に対する前記生地改良剤中の前記グリセリン脂肪酸エステルの配合量が2重量部以下であると望ましい。
【0012】
これによれば、グリセリン脂肪酸エステルがグルテンを含む生地を冷凍することによって生じるグルテンネットワークの破壊を防ぐため、イソマルツロースの粉末を併用することによって製造工程で生地が傷みやすい穀物食品(例えばクロワッサンの製造工程における折込工程)であっても生地を傷むことがない。よって良好な冷凍生地を調整するための穀物食品用ミックス粉とすることができる。
【0013】
また本発明は、前記穀物食品用ミックス粉はセミドライイーストを含むと望ましい。
【0014】
これによれば、冷凍の際にイーストが効力を失ったり、発酵速度が速いことにより冷凍過程においても発酵が進行して生地がだれたりすることがない。また、イソマルツロースの粉末を配合することによって他の糖類を配合しないとすることができるため、その場合糖質が少なくともしっかりと発酵するセミドライイーストとすることがより望ましい。
【0015】
また本発明は、上記穀物食品用ミックス粉を混捏して生地を調整し、ホイロ後に冷凍することによって製造された穀物食品用冷凍生地であると望ましい。
【0016】
これによれば、例えば生地を成型した後(成型工程後)の発酵(ホイロ工程)の後に生地を冷凍し冷凍生地とするので、冷凍生地を使用して穀物食品を製造する際に焼成や揚げ等の調理工程以外の工程を行うことなく穀物食品を得ることができる。
【0017】
また本発明は、穀物食品用ミックス粉又は穀物食品用冷凍生地を使用して製造された穀物食品であると望ましい。
【0018】
これによれば、冷凍生地を使用して(調理して)製造した穀物食品が一般的な原材料からなる冷凍工程を経ない穀物食品と比べて遜色のない穀物食品とすることができる。
【0019】
本発明によると、イソマルツロースの粉末が穀物食品用ミックス粉から調整した生地の保存状態の悪化を防ぎ、トレハルロース及びトレハロースのいずれか又は双方が生地に含まれる水分をしっかりと保つ(保水性を有する)ため、良好な冷凍生地を調整するための穀物食品用ミックス粉とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明において、穀物食品とは、一般に穀粉から製造される食品のことで、例えば食パンや菓子パン等パン類、クッキー等菓子類、うどん等麺類等を指す。本発明において穀粉は、米粉を必須の構成としつつ、米粉以外の例えば小麦粉等の穀粉を配合するものであってもよい。また米粉は加熱処理を施した米粉(例えばアルファ化された米粉)を含むものであってもよい。米粉は一般に市販されている米粉でよいが、うるち米粉80〜85重量部に対してグルテン20〜15重量部を配合したグルテン入り米粉であることが望ましく、以下の実施形態ではうるち米粉80重量部に対してグルテン20重量部を配合したグルテン入り米粉を使用している。
【0021】
本発明において使用するイソマルツロース(isomaltulose)の粉末は、IUPAC名は6-0-α-D-グルコピラノシル-D-フルクトースであり、粉末パラチノース(登録商標、三井製糖株式会社)や結晶パラチノース(登録商標、三井製糖株式会社)として市販されているものである。また、本発明において使用するトレハルロースはオリゴ糖の一種であり、上述のイソマルツロースの粉末と混合されて、パラチノースシロップ(登録商標、三井製糖株式会社)やミルディア−75(登録商標、三井製糖株式会社)として市販されているものである(以下、トレハルロースとイソマルツロースの粉末とを混合したものを併せて「イソマルツロース溶液」という。)。なお、パラチノースシロップの糖組成はパラチノースシロップを100重量部としたときにトレハルロース53〜59重量部とイソマルツロースの粉末11〜17重量部との合計重量が70重量部以上となるように混合させたものである。
【0022】
本発明においては穀粉100重量部に対するイソマルツロースの粉末の配合量が1〜20重量部であり、且つ、トレハルロースの配合量が1〜15重量部となるようにイソマルツロースの粉末とイソマルツロース溶液とを配合することが望ましく、イソマルツロースの粉末の配合量が10〜20重量部であり、且つ、トレハルロースの配合量が10〜15重量部となるようにイソマルツロースの粉末とイソマルツロース溶液とを配合することがより望ましい。
【0023】
当然ながら上述の方法によらずに穀粉100重量部に対するイソマルツロースの粉末の配合量が1〜20重量部であり、且つ、トレハルロースの配合量が1〜15重量部となる穀物食品用ミックス粉を製造してもよい。その場合、トレハルロースを同じくオリゴ糖の一種であるトレハロースとしてもよいし、トレハルロースとトレハロースとを配合させたものとしてもよい。トレハルロースとトレハロースを配合させる場合の配合割合は特に限定されるものではなく、トレハルロースとトレハロースとを配合させたものが穀粉100重量部に対して1〜15重量部であればよい。
【0024】
本発明において使用するグリセリン酸エステルはグリセリンの持つ3つのヒドロキシ基のうち1つないし2つに脂肪酸がエステル結合したものであり、グリセリン酸エステルを含む生地改良剤として例えばサフ・マジミックス(商品名、S.I.Lesaffre社)を使用することができる。サフ・マジミックスのグリセリン酸エステル含有率は47.5%であり、穀粉100重量部に対する生地改良剤中のグリセリン脂肪酸エステルの配合量が2重量部以下、より望ましくは1重量部以下となるようにサフ・マジミックスを配合する。
【0025】
本発明の穀物食品用ミックス粉においては、上述した原材料以外にも種々の原材料を配合することができる。例えばイースト、イーストフード、澱粉、糖類、食塩、インスタントレッド、バター、グルテン、乳成分、卵成分、油脂類、無機塩基、膨張剤、酵素類、調味料、保存料、アミノ酸及びビタミン類からなる群より選ばれる1種又は2種以上を配合することができる。
【0026】
本発明の穀物食品用ミックス粉から穀物食品用冷凍生地を製造する工程は、少なくとも穀物食品用ミックス粉を混捏して生地を調製する工程(混捏工程)と、発酵工程(ホイロ工程)と、ホイロ工程に生地を冷凍する工程(冷凍工程)とを有する。その他穀物食品の種類に応じて分割工程(生地を分割する工程)や成型工程(調製した生地を成型する工程)やベンチタイム(生地を休ませる工程)等を設けてもよい。
【0027】
ホイロ工程は生地を常温或いは常温以上の温度に保たれた空間に一定時間安置することによって生地を発酵させる工程である。生地を伸びやすくして膨張させることを目的として行われる。通常のパン類の製造工程におけるホイロ工程では常温以上の温度(32℃〜40℃前後)で発酵させるのが一般的であるが、冷凍生地を製造する工程におけるホイロ工程では常温で発酵させることが望ましい。その理由は冷凍過程における生地の発酵速度を抑えるためである。すなわち、常温以上の温度では生地の発酵が進む(生地が発酵しやすい)ので、ホイロ後に冷凍する過程においても生地の発酵が進み、生地がだれてしまうためである。
【0028】
なお、米粉を主とした穀粉からなる生地は発酵速度が速いため、本発明においては発酵工程を1回しか設けていない。よって発酵する工程とホイロ工程とを厳格に区別していないが、発酵工程数は2回或いは2回以上設けることとしてもよく、発酵工程が複数回ある場合にホイロ工程とは最後に行われる発酵(最終発酵或いは発酵工程数が2回の場合には2次発酵といわれることもある)のことである。そして生地の冷凍はホイロ工程の後に行われる。
【0029】
冷凍工程は−25〜−40℃に設定された冷凍庫に30〜90分入れることによって冷凍する方法や、急速冷却機能を有する冷凍施設・器具により約10分程度で冷凍する方法が考えられる。冷凍方法は生地の発酵速度、発酵状態によって変えることが望ましい。例えばホイロ工程においてやや高温で発酵させている場合には、冷凍過程において発酵が進むことを防ぐため急速冷却とすることが望ましい。しかし、急速冷却は生地を傷めてしまう可能性があるため、ホイロ工程の温度を常温として、ホイロ後に−25〜−40℃に設定された冷凍庫に30〜90分入れることによって冷凍することが望ましい。
【0030】
本発明の穀物食品用冷凍生地から穀物食品を製造する工程は、少なくとも冷凍生地を解凍する解凍工程と、解凍された生地を調理する調理工程とを有するか、或いは、冷凍生地を解凍する解凍工程を設けずに少なくとも調理工程を有する。
【0031】
解凍工程において冷凍生地は常温で或いは加熱(例えば電子レンジ等による加熱)により解凍する。但し、加熱解凍は急激な解凍により生地の表面において水分過多となってしまって穀物食品の食感や形状等に悪影響を与える可能性があるため、自然解凍とすることが望ましい。また、解凍工程を設けることなく冷凍生地を調理してもよい。例えばパン類であれば調理工程において200℃前後の高温で焼成されるため生地の表面で水分が溜まることはなく穀物食品の食感や形状等に悪影響を与えない。また、自然解凍に必要な時間を設けることなく穀物食品を製造することができるため時間を節約できる。
【0032】
調理工程は、穀物食品の種類に応じて適した調理方法とすることができる。具体的には焼成(焼き)、揚げ、茹で等の加熱処理が一般的である。特に以下の実施形態においては冷凍生地を加熱した際の冷凍障害が生じないことを示すために調理工程を焼成又は揚げとしたパン類又は菓子類を示しているが、加熱せずに調理するものであっても構わない。
【0033】
穀物食品用ミックス粉から製造した生地を冷凍させずに(ホイロ工程後そのまま調理工程に移して)穀物食品を製造してもよく、その場合には穀物食品の種類に応じた一般的な製造工程で穀物食品を製造すればよい。例えばパン類であれば直捏法や中種法などが挙げられる。
【0034】
[第1実施形態]
以下に本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態においては穀物食品の一例としてクロワッサンを製造するための穀物食品用ミックス粉及びこれを用いた穀物食品用冷凍生地及びこれらを用いた穀物食品について説明する。
【0035】
本実施形態の穀物食品用ミックス粉は表1に示すように穀粉としてグルテン入り米粉100重量部と、イソマルツロースの粉末(粉末パラチノース)10重量部と、イソマルツロース溶液(パラチノースシロップ)14重量部と、セミドライイースト2.5重量部と、生地改良剤(サフ・マジミックス)1重量部と、バター6重量部と、水74重量部とを混合してなる。
【0036】
【表1】

【0037】
このようにして精製した穀物食品用ミックス粉を混捏して生地を調製する(混捏工程)。調製された生地は折込工程(クロワッサンの断面を積層構造とするために生地を重ねる工程)を経てクロワッサンの形に成型する(成型工程)。次に成型された生地を常温(28℃)で約60分発酵させる(ホイロ工程)。そしてホイロ後、−30℃で90分間冷却することにより冷凍生地を得た。また得られた冷凍生地を袋詰めにして−18℃で一週間保存した。
【0038】
この冷凍生地を解凍することなく上火240℃、下火190℃で15分焼成してクロワッサンを製造した。このクロワッサンは一般的な原材料からなる冷凍工程を経ないクロワッサンと比べても遜色のないクロワッサンとなった。
【0039】
本実施形態によるとイソマルツロースの粉末が穀物食品用ミックス粉から調整した生地の保存状態の悪化を防ぎ、トレハルロースが生地に含まれる水分をしっかりと保つ(保水性を有する)ため、良好な冷凍生地を調整するための穀物食品用ミックス粉とすることができる。
【0040】
また、イソマルツロースの粉末がグルテンを含む生地を冷凍することによって生じるグルテンネットワークの破壊を防ぐため、良好な冷凍生地を調整するための穀物食品用ミックス粉とすることができる。
【0041】
また、グリセリン脂肪酸エステルがグルテンを含む生地を冷凍することによって生じるグルテンネットワークの破壊を防ぐため、イソマルツロースの粉末を併用することによって製造工程で生地が傷みやすい穀物食品(例えばクロワッサンの製造工程における折込工程)であっても生地を傷むことがない。よって良好な冷凍生地を調整するための穀物食品用ミックス粉とすることができる。
【0042】
また、冷凍の際にイーストが効力を失ったり、発酵速度が速いことにより冷凍過程においても発酵が進行して生地がだれたりすることがない。また、イソマルツロースの粉末を配合することによって他の糖類を配合しないとすることができるため、その場合糖質が少なくともしっかりと発酵するセミドライイーストとすることがより望ましい。
【0043】
また、生地を成型した後(成型工程後)の発酵(ホイロ工程)の後に生地を冷凍し冷凍生地とするので、冷凍生地を使用して穀物食品を製造する際に焼成や揚げ等の調理工程以外の工程を行うことなく穀物食品を得ることができる。
【0044】
また、冷凍生地を使用して(調理して)製造した穀物食品が一般的な原材料からなる冷凍工程を経ない穀物食品と比べて遜色のない穀物食品とすることができる。
【0045】
[第2実施形態]
以下に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態においては穀物食品の一例としてドーナッツを製造するための穀物食品用ミックス粉及びこれを用いた穀物食品用冷凍生地及びこれらを用いた穀物食品について説明する。
【0046】
本実施形態の穀物食品用ミックス粉は表2に示すように穀粉としてグルテン入り米粉100重量部と、イソマルツロースの粉末(粉末パラチノース)10重量部と、イソマルツロース溶液(パラチノースシロップ)14重量部と、食塩1.5重量部と、ホエイバターパウダー15重量部と、脱脂粉乳3重量部と、セミドライイースト2.5重量部と、生地改良剤(サフ・マジミックス)1.5重量部と、全卵15重量部と、ブドウ糖4重量部と、ベーキングパウダー2重量部と、水67重量部とを混合してなる。
【0047】
【表2】

【0048】
このようにして精製した穀物食品用ミックス粉を混捏して生地を調製する(混捏工程)。調製された生地を1500g程度の大きさに分割して(大分割工程)、20分間生地を休ませる(1回目のベンチタイム)。続いて50g程度の大きさに分割して(小分割工程)、再び20分間生地を休ませて(2回目のベンチタイム)、ドーナッツの形に成型する(成型工程)。次に成型された生地を常温(28℃)で約50分発酵させる(ホイロ工程)。そしてホイロ後、−30℃で90分間冷却することにより冷凍生地を得た。また得られた冷凍生地を袋詰めにして−18℃で一週間保存した。
【0049】
この冷凍生地を室温にて20分間自然解凍させてから180℃の油で揚げてドーナッツを製造した。このドーナッツは一般的な原材料からなる冷凍工程を経ないドーナッツと比べても遜色のないドーナッツとなった。
【0050】
本実施形態によると第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
[第3実施形態]
以下に本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態においては穀物食品の一例としてフランスパンを製造するための穀物食品用ミックス粉及びこれを用いた穀物食品用冷凍生地及びこれらを用いた穀物食品について説明する。
【0052】
本実施形態の穀物食品用ミックス粉は表3に示すように穀粉としてグルテン入り米粉100重量部と、イソマルツロースの粉末(粉末パラチノース)10重量部と、イソマルツロース溶液(パラチノースシロップ)16重量部と、食塩1.8重量部と、セミドライイースト2重量部と、ユーロモルト0.2重量部と、アロムルヴァン0.2重量部と、水72重量部とを混合してなる。
【0053】
【表3】

【0054】
このようにして精製した穀物食品用ミックス粉を混捏して生地を調製する(混捏工程)。調製された生地を100gの大きさに分割して(分割工程)、20分間生地を休ませる(ベンチタイム)。その後フランスパンの形に成型する(成型工程)。次に成型された生地を常温(28℃)で約30分発酵させる(ホイロ工程)。そしてホイロ後、−25℃で60分間冷却することにより冷凍生地を得た。また得られた冷凍生地を袋詰めにして−18℃で一週間保存した。
【0055】
この冷凍生地を室温にて30分間自然解凍させてから180℃で20分焼成してフランスパンを製造した。このフランスは一般的な原材料からなる冷凍工程を経ないフランスと比べても遜色のないフランスパンとなった。
【0056】
本実施形態によると第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
<<変形等>>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。当該実施形態としては、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、穀物食品用のミックス粉及びこれを用いた冷凍生地及びこれらを用いた穀物食品に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、米粉を含む穀粉と、イソマルツロースの粉末と、トレハルロース及びトレハロースのいずれか又は双方とを配合してなる穀物食品用ミックス粉であって、
前記穀粉100重量部に対する前記イソマルツロースの粉末の配合量が1〜20重量部であり、且つ、前記トレハルロース及びトレハロースのいずれか又は双方の配合量が1〜15重量部であることを特徴とする穀物食品用ミックス粉。
【請求項2】
前記米粉はうるち米粉80〜85重量部に対してグルテン20〜15重量部を配合したグルテン入り米粉であることを特徴とする請求項1に記載の穀物食品用ミックス粉。
【請求項3】
前記穀物食品用ミックス粉は、グリセリン脂肪酸エステルを含む生地改良剤を含み、前記穀粉100重量部に対する前記生地改良剤中の前記グリセリン脂肪酸エステルの配合量が2重量部以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の穀物食品用ミックス粉。
【請求項4】
前記穀物食品用ミックス粉はセミドライイーストを含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の穀物食品用ミックス粉。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の穀物食品用ミックス粉を混捏して生地を調整し、ホイロ後に冷凍することによって製造された穀物食品用冷凍生地。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の穀物食品用ミックス粉又は穀物食品用冷凍生地を使用して製造された穀物食品。

【公開番号】特開2012−29665(P2012−29665A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174246(P2010−174246)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(510211653)
【Fターム(参考)】