説明

積付・払出し装置

【課題】 貯蔵場の適切な場所への積み付けが容易であるうえ、一体のブームにおけるコンベヤ間でバラ物を載せ移す必要がなく、またそれらコンベヤのそれぞれが一定向きの回転のみを行うという、好ましい積付・払出し装置を提供する。
【解決手段】 積付・払出し装置1は、旋回するブーム2に設けられたコンベヤを用いてバラ物の貯蔵場への積み付けと貯蔵場からの払い出しとを行う。ブーム2に、a)旋回中心付近2aからブーム2の中ほどの積み付け落下位置2bまでを結ぶ積み付け専用のスタッキングコンベヤ10と、b)ブーム2の先端部から上記旋回中心2a付近にある払い出し落下位置2cまでを結ぶ払い出し専用のリクレーミングコンベヤ20とを取り付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
請求項に係る発明は、石炭や鉱石等のバラ物を貯蔵場へ積み付けたり貯蔵場から払い出したりするための積付・払出し装置(スタッカリクレーマ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バラ物の積み付け(スタッキング)と払い出し(リクレーミング)は、ブームコンベヤによって行われるのが一般的である。ブームコンベヤは、水平旋回や上下への俯仰および水平走行が可能なアーム状の一体のブームに、通常は1本のベルトコンベヤが設けられたものである。そのコンベヤの上にバラ物を載せて搬送し、貯蔵場の適切な場所(積付山)に落下させることによって積み付けを行う一方、そのブームコンベヤを逆転させ、貯蔵場のバラ物を逆向きに運ぶことによって払い出しを行う。ブームコンベヤの先端部にはバケットホイール等の掻き出し手段が設けられていて、上記の払い出しの際には、貯蔵場のバラ物をそれで掻き出してコンベヤ上に載せる。
【0003】
上記のように1本のベルトコンベヤを有するブームコンベヤを用いる場合、ブームの先端部からバラ物を掻き出して払い出すとともに、積み付けの際には、ブームの先端部からバラ物を落下させて貯蔵場に積付山を形成する。しかし、払い出しの際の掻き出し端と同じブーム先端部からバラ物を落下させるとすると、面積の限られた貯蔵場の望ましい場所にコンパクトにバラ物を積み付けることができない場合がある。ブームの旋回角度が無制限ではないため、積み付け用の落下口までのリーチ(旋回する腕の長さ)が長すぎると、却って適切な位置にはバラ物を堆積させられないのである。そこで、下記の特許文献1では、積み付けの際にブームの中ほどからバラ物を落下させることができる新しい積付・払出し装置が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載されている積付・払出し装置は、概ね図5に示す構造のものである。すなわち、
・ 上記の例と同様に水平旋回や俯仰・走行が可能な一体のブーム32の中に、2台のベルトコンベヤ40・50を図のように一部が上下に重なるように配置する。
・ 上記ブーム32の旋回中心32aの付近からブーム32の中ほどの部分までのコンベヤ(ブームコンベヤ)40は、正転および逆転をして積み付けと払い出しとの双方に使用するものとし、先端にあるバケットホイール34の位置からブーム32の中ほどまでのコンベヤ(ブームフィーダ)50は、払い出しにのみ用いるものとする。
・ 積み付けの際には、ブームコンベヤ40を正転させ、ブーム32の旋回中心32a付近で受けるバラ物を搬送してブーム32の中ほど(積み付け落下位置32b)で落下させる一方、払い出しの際には、バケットホイール34から受けるバラ物をブームフィーダ50で搬送してブーム32の中ほどまで運び、逆転させているブームコンベヤ40に載せ移したうえ、さらに搬送してブーム32の旋回中心32a付近の端部(払い出し落下位置32c)で落下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3420285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された積付・払出し装置(図5参照)は、一体のブームを用いてバラ物の積み付けと払い出しとを行うことができ、しかも、積み付けについては、ブームの中ほどからバラ物を落下させることにより貯蔵場の望ましい場所にコンパクトにバラ物を堆積させることができるというメリットを有している。しかし、そうした積付・払出し装置も、下記の点では必ずしも有利であるとはいえない。
【0007】
すなわち、
・ 払い出しの際、ブームの中ほどの部分で上記のとおりバラ物がブームフィーダからブームコンベヤへと載せ移されるので、それにともなう振動が発生する。この振動がコンベヤ各部の消耗を促進し、保守負担を増大させがちである。
・ ブームコンベヤが、積み付けの際にも払い出しの際にもそれぞれ正転・逆転にて駆動されるため、きわめて早期に消耗し、高頻度の部品交換が必要になるおそれがある。
・ 払い出しを行うときブームフィーダからブームコンベヤへの載せ移しが行われる部分には、ブームコンベヤの中央部へバラ物を移せるようスカート状の案内部材(図5の符号55)が必要である。そして、積み付けを行うためにブームコンベヤが正転駆動される場合、ブームコンベヤ上のバラ物と接触しないよう、その案内部材を退避させる必要もある。
・ 二つのベルトコンベヤの保守等のためブームに作業通路を設ける必要があるが、上記の載せ移しが行われる付近では、その通路に十分な作業スペースを確保することが難しい。上記スカート状の案内部材やその操作手段、さらにはブームフィーダの駆動部がその付近に設けられねばならないからである。
・ ブームコンベヤが、正転および逆転をされるうえブームの全長に及ぶ長さを有してはいないので、ベルトが蛇行しやすく、それによるトラブルを招きやすい。なお、正転・逆転を繰り返す場合にも長さが短い場合にも、コンベヤベルトは蛇行を生じやすい。
・ ブームフィーダは、図5のようにブームに比べて先端側が下になる向きに傾斜して設けられるのが一般的であるため、バケットホイールの位置を下げて払い出しを行うときには、バラ物が滑って搬送されにくい場合があり得る。
・ ブームの旋回中心付近にあるブームコンベヤの端部を、積み付けと払い出しとの両方に有利な場所に位置させることが不可能である。つまり図5のように、当該端部32cは、積み付けの際にトリッパコンベヤ37の上端のシュート37aからバラ物を受けられるよう当該旋回中心32aを越えた(図5では右方の)位置に設けられるが、その位置では、払い出しの際、搬出用ホッパー35の中央位置へバラ物を落下させることができず、ホッパー35の容積を十分には利用できないことがある。
その他、従来技術の応用例として図6に示す形式も考えられる。これは、正逆回転可能なブームコンベヤというスタッカリクレーマの従来形態に、付帯的にスタッキングコンベヤ41を先端から逆送するように配置するものである。
しかしこの配置とすると、上述の先行技術と同じ機能があるとしても、先端部が重いため、ブーム32の荷重負担が大きいという難点がある。
【0008】
請求項に係る発明は、以上の点を考慮して完成したもので、一体のブームにおけるコンベヤ間でバラ物を載せ移す必要がないうえ、それらコンベヤのそれぞれが一定向きの回転のみを行うという、好ましい積付・払出し装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項に係る発明の積付・払出し装置は、旋回する(またはさらに上下への俯仰や水平走行をする)ブームに設けられたコンベヤを用いてバラ物の貯蔵場への積み付けと貯蔵場からの払い出しとを行う積付・払出し装置において、
上記ブームに、
a) 上記旋回の中心付近からブームの中ほどの積み付け落下位置までを結ぶ積み付け専用のスタッキングコンベヤと、
b) ブームの先端部(バケットホイール等の掻き出し手段が設けられる部分)から上記旋回の中心付近にある払い出し落下位置までを結ぶ払い出し専用のリクレーミングコンベヤと
を取り付けたことを特徴とする。図1はそうした装置の一例を概略図で示したもので、その図中の符号2がブーム、2aがその旋回中心、10がスタッキングコンベヤ、20がリクレーミングコンベヤである。
【0010】
こうした構成の積付・払出し装置では、バラ物の積み付けと払い出しをつぎのように実施することができる。まず積み付けの際には、上記スタッキングコンベヤを図示矢印の向きに駆動し、ブームの旋回中心付近で受けるバラ物を搬送してブーム中ほどの積み付け落下位置で落下させる。その一方、払い出しの際には、上記リクレーミングコンベヤを図示矢印の向きに駆動し、ブーム先端部の掻き出し手段から受けるバラ物をそのリクレーミングコンベヤで搬送して、旋回中心付近の払い出し落下位置で落下させる。
そのためこの装置では、積み付けの際にも払い出しの際にも、上記2台のコンベヤ間でバラ物を載せ移す必要がない。また、その2台のコンベヤは積み付け専用または払い出し専用のものであって、それぞれ駆動の向きが一定であり逆転させる必要がない。そのような作用上の特徴から、この装置にはつぎのようなメリットがある。すなわち、
・ コンベヤ間でのバラ物の載せ移しにともなう振動の発生がない。そのため、コンベヤ各部の消耗が遅く、図5の例に比べて保守負担が軽減される。
・ 積み付けの場合と払い出しの場合とで使用されるコンベヤがそれぞれ異なるものとなるため、いずれかのコンベヤに偏って消耗が進行するという不都合が生じない。
・ コンベヤ間でのバラ物の載せ移しが必要ないので、案内のための(スカート状の)部材等が不要であり、それを退避させるための手段も操作も不要である。
・ ブームの旋回中心付近に各コンベヤの駆動部を設けることができ、それによってブームの中ほどにはコンベヤの駆動部もスカート状案内部材も配置する必要がなくなるので、十分なスペースを有する作業通路をブームに設けることができる。
・ 上記いずれのコンベヤも正転・逆転を切り換えて駆動されることがないので、ベルトの蛇行等が発生しにくく、したがってそれによるトラブルも生じがたい。
・ コンベヤ間でのバラ物の載せ移しが必要ないので、いずれのコンベヤも、ブームに対して特定の傾斜を設ける必要がない。したがって、ブームを傾けて使用する際にもバラ物の搬送に関して不利が生じにくい。
・ 積み付け専用のスタッキングコンベヤと払い出し専用のリクレーミングコンベヤとが別個独立であるため、ブームの旋回中心付近において、各コンベヤの端部を、積み付けおよび払い出しに有利な各場所にそれぞれ位置させることができる。
【0011】
上記発明の積付・払出し装置については、スタッキングコンベヤを上記ブームにおいてリクレーミングコンベヤの上方に設け、上記の積み付け落下位置に、スタッキングコンベヤの先端部からリクレーミングコンベヤに載せ移すことなくバラ物を落下させるための案内シュートを設けるとよい。つまり、各コンベヤ等を、たとえば図1に示すように配置するわけである。また、上記案内シュートについてはたとえば、リクレーミングコンベヤの右側または/および左側より下部へバラ物を排出するようにするとよい。
そのようにすると、積み付けの際、上方のスタッキングコンベヤが積み付け落下位置で落下させるバラ物は、その下方にあるリクレーミングコンベヤに載ることなく、上記案内シュートを通ってスムーズに積付山に落下する。
【0012】
あるいは逆に、リクレーミングコンベヤを上記ブームにおいてスタッキングコンベヤの上方に設け、上記の払い出し落下位置に、リクレーミングコンベヤの先端部からスタッキングコンベヤに載せ移すことなくバラ物を落下させるための案内シュートを設けるのもよい。つまり、スタッキングコンベヤとリクレーミングコンベヤとの上下関係を図1の例とは逆にし、案内シュートの設置位置も変更するわけである。
そのようにすると、払い出しの際、上方のリクレーミングコンベヤが払い出し落下位置で落下させるバラ物は、その下方にあるスタッキングコンベヤに載ることなく、上記案内シュートを通ってスムーズにホッパ等に落下する。
なお、ブームの幅を広くすることができる場合には、スタッキングコンベヤとリクレーミングコンベヤとを、いずれかを上方・下方にするのでなく、同等の高さレベルで幅方向に隣接させて配置するのもよい。なおその場合にも、双方のコンベヤ間が接近しているようなら、積み付け落下位置もしくは払い出し落下位置(またはそれらの両方)に上記のような案内シュートを設けるのが好ましい。
【0013】
上記のスタッキングコンベヤとリクレーミングコンベヤとは、ブームの長さ方向に対してそれぞれ平行(ほぼ平行である場合を含む)に設けるのが好ましい。
発明の積付・払出し装置では、上記のようにコンベヤ間でのバラ物の載せ移しを行わないこと等から、図5の例とは違ってコンベヤ間に特定の傾斜角を付与する理由がない。そのため、上記のように二つのコンベヤをともにブームに対し平行に配置することができ、そのようにすると、ブームを傾けて積み付けや払い出しを行うとき、双方のコンベヤがブーム以上の傾斜角に傾くことがないので、バラ物が滑る等によって搬送されにくい事態が発生しにくい。
【0014】
上記のスタッキングコンベヤとリクレーミングコンベヤとについて、駆動部を、ともに上記ブームにおける旋回中心付近に設けるのがよい。
上記旋回中心付近は、ブームの基端部に相当する部分であって、機械的剛性を高くとることができ、また作業スペース等も広く設けることが容易である。したがって、上記各コンベヤの駆動部をその付近に設けると、駆動時の振動の影響を小さくすることができるうえ、作業スペースを広くとってメンテナンス作業等を行いやすくすることができる。
【0015】
上記ブームにおける旋回の中心付近において、上記リクレーミングコンベヤの端部である払い出し落下位置と、上記スタッキングコンベヤの端部とをそれぞれ異なる位置に設けるのがとくに好ましい。
前記したように、発明の積付・払出し装置では、積み付け専用のスタッキングコンベヤと払い出し専用のリクレーミングコンベヤとが別個独立であるため、リクレーミングコンベヤの端部である払い出し落下位置とスタッキングコンベヤの端部とを、このようにそれぞれ異なる位置に設けることが可能である。そして、両者をそれぞれ異なる位置に設けると、積み付けの際にスタッキングコンベヤがトリッパコンベヤ等から確実にバラ物を受け取り、かつ、払い出しの際にリクレーミングコンベヤがホッパ等における最適の位置にバラ物を落下させることができる。たとえば、図1のように、スタッキングコンベヤ10の端部11を、トリッパコンベヤ7のシュート7aを越えた(図1では旋回中心2aより右方の)位置に設け、リクレーミングコンベヤ20の端部22である払い出し落下位置2cを、下方のホッパ5の手前(図1では旋回中心2aよりやや左方)とするなら、スタッキングコンベヤ10がシュート7aから確実にバラ物を受け取り、かつ、リクレーミングコンベヤ20がホッパ5の容積効率を最大限にする適切な位置にバラ物を落下させるようになる。
【発明の効果】
【0016】
発明の積付・払出し装置によれば、特許文献1に記載された積付・払出し装置と同様、一体のブームによってバラ物の積み付けと払い出しとを行えるうえ、積み付けの際には、ブームの中ほどからバラ物を落下させることができ、もって貯蔵場の好ましい場所にバラ物を堆積させることができる。しかも、積み付けの際にも払い出しの際にも、ブーム中のコンベヤ間でバラ物を載せ移す必要がなく、また、各コンベヤの駆動向きを逆転させる必要がない。その点からさらに、たとえば下記のような効果がある。
・ コンベヤ間でのバラ物の載せ移しにともなう振動の発生がなく、コンベヤの保守負担が軽減される。
・ 十分なスペースを有する作業通路をブームに設けることができる。
・ 一体のブームにおけるいずれのコンベヤも駆動向きが一定であるため、ベルトが蛇行しにくく、したがってそれによるトラブルも生じがたい。
【0017】
またとくに、ブームの旋回中心付近において、各コンベヤの端部をそれぞれ好ましい位置に設けることにすると、
・ 積み付けの際にスタッキングコンベヤがトリッパコンベヤ等から確実にバラ物を受け取り、かつ、払い出しの際にリクレーミングコンベヤがホッパ等における最適の位置にバラ物を落下させるという、好ましい状態が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】発明の実施形態を示す図であって、積付・払出し装置1の要部を示す概念図である。
【図2】積付・払出し装置1を全体的に示す側面図である。
【図3】案内シュート13等を示す図であって、図2におけるIII−III断面図である。
【図4】積付・払出し装置1における旋回中心2aの付近を詳しく示す正面図である。
【図5】従来の積付・払出し装置について要部を示す概念図である。
【図6】従来技術として考えられる他の積付・払出し装置について要部を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明による積付・払出し装置1について、実施の形態を図1〜図4により説明する。
積付・払出し装置1は、図1のように、一体のブーム2に対し、積み付け専用のスタッキングベルトコンベヤ10と払い出し専用のリクレーミングベルトコンベヤ20とを1台ずつ組み付けたものである。ブーム2は、図示右方の基端部において支持構体3にて支持される一方、左方の先端部にバケットホイール4を備えている。そしてブーム2は、支持構体3の旋回中心2aを中心にして所定の角度範囲で水平旋回するほか、先端部を上下させるように俯仰(揺動)することができ、また、構体3の下部に設けられた車輪6によってレール(図示省略)上を走行することができる。
【0020】
そうしたブーム2に設けられたスタッキングベルトコンベヤ10は、ブーム2の基端部(旋回中心2a付近)とブーム2の中ほどの積み付け落下位置2b付近とにそれぞれ端部プーリ11・12を有し、それらの間にコンベヤベルトを巻き掛けたものである。貯蔵場(図示省略)にバラ物を積み付ける際、基端部からバラ物を運んで落下位置2bで貯蔵場に落下させるよう、図示矢印にしたがって一方向にベルトを循環させる。
一方、リクレーミングベルトコンベヤ20は、ブーム2の先端部(バケットホイール4と接近した位置)と上記基端部にある払い出し落下位置2cとにそれぞれ端部プーリ21・22を有し、それらの間にコンベヤベルトを巻き掛けたものである。貯蔵場よりバラ物を払い出す際、先端部からバラ物を運んで落下位置2cで後述の搬出用ホッパ5に投入するよう、図示矢印にしたがって一方向にベルトを循環させる。
スタッキングベルトコンベヤ10とリクレーミングベルトコンベヤ20とは、図示のように上下に間隔をおくとともに互いにほぼ平行に配置し、また、いずれのコンベヤ10・20についても、ブーム2の長さ方向に対してほぼ平行になるようにブーム2に組み付けている。
【0021】
ブーム2を支える基端部の支持構体3には、ブーム2の旋回中心2aに沿った下部位置に搬出用ホッパ5を設けている。当該ホッパ5の下には、定量切り出し手段(図示省略)を設け、その下にヤードコンベヤ(同)を通している。上記でリクレーミングベルトコンベヤ20からホッパ5内に投入されたバラ物は、これらを経由して使用場所に搬送されることになる。
【0022】
ブーム2の旋回中心2aに沿った支持構体3の上部位置には、トリッパコンベヤ7の上端部に設けたシュート7aを接続している。船舶等(図示省略)に積載されたバラ物をヤードコンベヤによって搬送したうえトリッパコンベヤ7でシュート7aから供給すると、そのバラ物をスタッキングベルトコンベヤ10のベルト上に載せることができる。そして上述のように、このコンベヤ10がバラ物を搬送し、積み付け落下位置2bから貯蔵場にバラ物を積み付けるのである。
【0023】
こうした積付・払出し装置1では、一体のブーム2によってバラ物の積み付けと払い出しとを行えるうえ、積み付けの際には、ブームの中ほどにある落下位置2bからバラ物を落下させることができ、したがって貯蔵場の好ましい場所(装置1の走行する範囲に近い場所)にコンパクトにバラ物を堆積させることができる。しかも、積み付けの際にも払い出しの際にも、コンベヤ10・20間でバラ物を載せ移す必要がなく、各コンベヤ10・20の駆動向きを逆転させる必要もないという利点がある。
【0024】
図2は、図1の積付・払出し装置1を全体的に詳細に示す図である。ブーム2は、支持フレーム2dを介して支持構体3により支持している。また、その支持のための力学的負担を軽減すべく、支持フレーム2dのうち、構体3をはさんでブーム2とは反対側に延びた部分にバランスウェイト2eを取り付けている。水平走行する積付・払出し装置1とともにトリッパコンベヤ7も水平に移動できるよう、トリッパコンベヤ7の支持フレーム7bにも走行用車輪7cを配置している。
【0025】
スタッキングベルトコンベヤ10をブーム2においてリクレーミングベルトコンベヤ20よりも上方に配置した関係で、その積み付け落下位置2bでは、ブーム2内に案内シュート13を設けている。案内シュート13は、リクレーミングベルトコンベヤ20を避けるように、図3のとおり下部が二股になった筒状体である。落下位置2bで上方のスタッキングベルトコンベヤ10(の端部プーリ12)から落とされるバラ物が、この案内シュート13により案内されて、下方のリクレーミングベルトコンベヤ20に載ることなくスムーズに落下して貯蔵場に積み付けられる。なお、シュートは二股のほか、リクレーミングコンベヤの右または左から排出してもよく、シュートにダンパを設けて左右に切り換える構造としてもよい。
ただし、案内シュート13はこうした二股形状に限るものではなく、たとえばスタッキングベルトコンベヤ10の位置を、リクレーミングベルトコンベヤ20の真上でなく図3において左右いずれかへずらすなら、1本の傾斜した筒状のものとすることもできる。
【0026】
図4には、ブーム2の基端部にある旋回中心2a(支持構体3)の付近での積付・払出し装置1の詳細を示している。図示の部分には、前記したように搬出用ホッパ5や走行用車輪6、トリッパコンベヤ7のシュート7aがあるほか、ブーム2の旋回・俯仰・走行のための駆動部(図示省略)が設けられている。また、スタッキングベルトコンベヤ10を駆動するための駆動部(図示省略)も、端部プーリ11に接続してこの旋回中心2aの付近に設け、リクレーミングベルトコンベヤ20を駆動する駆動部(同)も、端部プーリ22に接続してやはり旋回中心2a付近に設けている。旋回中心2aや支持構体3の付近はブーム2をしっかりと支持する部分であって機械的剛性が高いため、このような駆動部等を配置するのに適している。
【0027】
図示の旋回中心2a付近において、スタッキングベルトコンベヤ10の端部プーリ11およびリクレーミングベルトコンベヤ20の端部プーリ22は、図示のとおり、高さだけでなく水平方向にも異なる位置に設けている。すなわち、コンベヤ10の端部プーリ11を、旋回中心2aを数メートル(図示右方に)越えた位置に設け、コンベヤ20の端部プーリ22の位置である払い出し落下位置2cを、旋回中心2aより数メートル手前(図示左方)の位置に設けた。そのように、コンベヤ10がシュート7aの真下を通っていてその端部プーリ11がシュート7aを十分に過ぎた位置にまで延びていると、コンベヤ10がバラ物をこぼしにくくなり、トリッパコンベヤ7からのバラ物の受け取りが確実化される。また、コンベヤ20の払い出し落下位置2cが、旋回中心2aにある搬出用ホッパ5のやや手前(中央に達しない位置)にあるなら、コンベヤ20の搬送速度にしたがい放物線を描いて落下するバラ物が、ホッパ5の中央付近に投入される。ホッパ5の中央付近に向けてバラ物が投入されると、ホッパ5の容積効率を最大限に利用することができ、有利である。
【符号の説明】
【0028】
1 積付・払出し装置
2 ブーム
2a 旋回中心
2b 積み付け落下位置
2c 払い出し落下位置
4 バケットホイール
5 ホッパ
7 トリッパコンベヤ
7a シュート
10 スタッキングベルトコンベヤ
11・12 端部プーリ
13 案内シュート
20 リクレーミングベルトコンベヤ
21・22 端部プーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回するブームに設けられたコンベヤを用いてバラ物の貯蔵場への積み付けと貯蔵場からの払い出しとを行う積付・払出し装置であって、
上記ブームに、上記旋回の中心付近からブームの中ほどの積み付け落下位置までを結ぶ積み付け専用のスタッキングコンベヤと、ブームの先端部から上記旋回の中心付近にある払い出し落下位置までを結ぶ払い出し専用のリクレーミングコンベヤとが取り付けられていることを特徴とする積付・払出し装置。
【請求項2】
上記スタッキングコンベヤが上記ブームにおいて上記リクレーミングコンベヤの上方に設けられていて、上記の積み付け落下位置に、スタッキングコンベヤの先端部からリクレーミングコンベヤに載せ移すことなくバラ物を落下させるための案内シュートが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の積付・払出し装置。
【請求項3】
上記リクレーミングコンベヤが上記ブームにおいて上記スタッキングコンベヤの上方に設けられていて、上記の払い出し落下位置に、リクレーミングコンベヤの先端部からスタッキングコンベヤに載せ移すことなくバラ物を落下させるための案内シュートが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の積付・払出し装置。
【請求項4】
上記のスタッキングコンベヤとリクレーミングコンベヤとが、ブームの長さ方向に対してそれぞれ平行に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積付・払出し装置。
【請求項5】
上記のスタッキングコンベヤとリクレーミングコンベヤとについて、駆動部がともに上記ブームにおける旋回の中心付近に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積付・払出し装置。
【請求項6】
上記ブームにおける旋回の中心付近において、上記リクレーミングコンベヤの端部である払い出し落下位置と、上記スタッキングコンベヤの端部とがそれぞれ異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の積付・払出し装置。
【請求項7】
上記案内シュートが、リクレーミングコンベヤの右側または/および左側より下部へバラ物を排出することを特徴とする請求項2に記載の積付・払出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−241551(P2010−241551A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91638(P2009−91638)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(308007505)カワサキプラントシステムズ株式会社 (51)