説明

積合せ判定方法及び積合せ判定装置

【課題】流通過程での品質低下を防止することを課題とする。
【解決手段】積合せ判定サーバ10は、所定の領域内に置かれた複数の物品を識別する。さらに、積合せ判定サーバ10は、複数の物品のうちの第1の物品の識別結果に応じて、物品ごとに物品が産出するガスの産出率を記憶する産出率記憶部13aから第1の物品の産出率を取得する。さらに、積合せ判定サーバ10は、複数の物品のうちの第2の物品の識別結果に応じて、物品ごとに物品がガスによって影響を受ける影響度を記憶する影響度記憶部13bから、第2の物品の影響度を取得する。さらに、積合せ判定サーバ10は、第1の物品及び第2の物品が、第1の物品の産出度及び第2の物品の影響度によって定まる範囲内に積まれたか否かを判定する。さらに、積合せ判定サーバ10は、範囲内にあると判定された場合に報知を実行するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積合せ判定方法及び積合せ判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜や果物などの農作物の物流では、農作物の鮮度を保つために、農作物が流通する過程、例えば倉庫で保管される段階や車両等によって輸送される段階で農作物が保存される環境を適切に保全することに注意が払われる。
【0003】
かかる農作物の保存環境を保全する技術の一例としては、農作物を梱包する梱包体と同梱されたセンサ内蔵のタグから、タグ用受信器、通信機器を経由して、各種センサによって検出されたデータを情報収集センタに収集する管理システムが挙げられる。この情報処理センタでは、タグに内蔵された温度センサ、湿度センサや衝撃センサなどのセンサから収集した温度、湿度や衝撃などが保存環境判定のしきい値で決められた範囲を外れたならば、そのタグを輸送するトラックに警報を通知する。このため、管理システムによれば、農作物が保管される環境の温度や湿度などを適切に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−358591号公報
【特許文献2】特開2007−219730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、依然として、流通過程での品質低下を防止することができないという問題がある。
【0006】
すなわち、上記の管理システムは、あくまで農作物が保存される環境を適切に保つ支援を行うものに過ぎず、流通の過程で農作物の鮮度が損なわれることについては考慮していない。一例としては、農作物によって放出される植物ホルモンの一種である、エチレンガスによる影響が挙げられる。植物は収穫された後も呼吸をしており、その過程でエチレンガスを放出する。エチレンガスは、特定の植物の成長を促進させる作用を持つ。例えば、エチレンガスにより鮮度が低下しやすい農作物がエチレンガスを産出する農作物の近くに積み込まれた場合には、前者の農作物が後者の農作物によって産出されるエチレンガスの影響で鮮度が低下してしまう。
【0007】
なお、ここでは、農作物が産出するエチレンガスによって他の農作物の鮮度が低下する場合を説明したが、物品によって産出されるにおい成分が他の物品に付着する場合にも同様に流通過程での品質低下という問題が生じる。
【0008】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、流通過程での品質低下を防止できる積合せ判定方法及び積合せ判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の開示する積合せ判定方法は、コンピュータが、所定の領域内に置かれた複数の物品を識別する処理を実行する。さらに、前記コンピュータが、前記複数の物品のうちの第1の物品及び第2の物品の識別結果に応じて、記憶部から前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度を取得する処理を実行する。前記記憶部には、物品ごとに前記物品が産出するガスの産出度と前記物品がガスによって影響を受ける影響度とが記憶される。さらに、前記コンピュータが、前記第1の物品及び前記第2の物品が、前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度によって定まる範囲内に積まれたか否かを判定する処理を実行する。さらに、前記コンピュータが、前記範囲内にあると判定された場合に報知を実行するように制御する処理を実行する。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示する積合せ判定方法の一つの態様によれば、流通過程での品質低下を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1に係る積合せ判定システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、実施例1に係る積合せ判定サーバの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、品物情報記憶部12に記憶される情報の構成例を示す図である。
【図4】図4は、産出率記憶部13aに記憶される情報の構成例を示す図である。
【図5】図5は、影響度記憶部13bに記憶される情報の構成例を示す図である。
【図6】図6は、積荷記憶部14aに記憶される情報の構成例を示す図である。
【図7】図7は、距離記憶部14bに記憶される情報の構成例を示す図である。
【図8】図8は、警告リストの一例を示す図である。
【図9】図9は、報知画面の一例を示す図である。
【図10】図10は、報知画面の一例を示す図である。
【図11】図11は、報知画面の一例を示す図である。
【図12】図12は、実施例1に係る積荷管理処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】図13は、実施例1に係る報知制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、応用例の一例を示す図である。
【図15】図15は、実施例1及び実施例2に係る積合せ判定プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する積合せ判定方法及び積合せ判定装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0013】
[システム構成]
まず、本実施例に係る積合せ判定システムのシステム構成について説明する。図1は、実施例1に係る積合せ判定システムの構成を示す図である。図1に示す積合せ判定システムには、カメラ30と、携帯端末50と、積合せ判定サーバ10とが収容される。なお、図1の例では、データセンタ1内の積合せ判定サーバ10がカメラ30によって車両3の荷台が撮像された画像から鮮度低下のおそれがある農作物の積合せが作業者5によってなされたか否かを判定する場合を想定する。
【0014】
これらカメラ30及び携帯端末50と積合せ判定サーバ10との間は、ネットワーク7を介して通信可能に接続される。かかるネットワーク7の一例としては、インターネット(Internet)、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの通信網が挙げられる。ネットワーク7は有線通信に限るものではなく、無線通信であっても構わない。なお、図1の例では、カメラ30及び携帯端末50を1つずつ収容する場合を例示したが、少なくとも1組のカメラ30及び携帯端末50を収容していればよく、任意の組数のカメラ30及び携帯端末50が収容される場合に適用することができる。
【0015】
このうち、カメラ30は、画像を撮像する撮像装置である。かかるカメラ30の一例としては、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などを用いた撮像装置が挙げられる。
【0016】
さらに、カメラ30は、ネットワークカメラとして機能し、車両3の荷台を撮像した画像を積合せ判定サーバ10に送信する。かかるカメラ30の設置例としては、作業者5が荷物を車両3の荷台へ積み込んだり、荷台内で積み直したり、荷台から車外へ積み出したりする作業の様子を撮像可能なように、車両3の荷台を俯瞰できる位置に設置される。なお、荷物が載置された位置を画像解析しやすい荷台画像を得るために、カメラ30としてステレオカメラを採用してもよく、カメラ30に広角レンズを用いることとしてもよく、カメラ30の取り付け台の向きを水平回転または仰角調整できるようにしてもよい。
【0017】
ここで、図1に示す例では、荷物として梱包された農作物が車両3の荷台に積まれて輸送されるものとし、1つの荷物には同種の農作物が梱包される場合を想定して以下の説明を行う。なお、以下では、カメラ30によって車両3の荷台が撮像された画像のことを「荷台画像」と表現するとともに、車両3の荷台に積み込まれた荷物のことを「積荷」と表現する場合がある。
【0018】
携帯端末50は、作業者5によって携帯される端末装置である。かかる携帯端末50の一態様としては、荷物の管理、例えば入荷、集荷、積込みや納品の検品を行うために、流通業者によって作業者5に貸与または支給された業務用の携帯端末を採用できる。他の一態様としては、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)やPDA(Personal Digital Assistant)などの移動体端末を採用することもできる。なお、図1の例では、携帯端末50として業務用の携帯端末や移動体端末などを採用する場合を例示したが、作業者5に情報伝達可能な装置であればよく、必ずしも携帯端末である必要はない。例えば、車載端末、車載のランプやスピーカなどを採用することとしてもよい。
【0019】
積合せ判定サーバ10は、車両3の荷台に積み込まれた荷物の積合せが品質低下につながるおそれがあるか否かを判定するサービスを提供するネットワーク上のコンピュータである。一例としては、積合せ判定サーバ10は、車両3の荷台に搭載されたカメラ30によって車両3の荷台が撮像された荷台画像を取得する。かかる荷台画像を経時的に取得した場合には、車両3によって輸送されている状態が写った画像が含まれる他、作業者5によって積込み作業、積直し作業や積出し作業がなされた状態が写った画像が含まれる。積合せ判定サーバ10は、荷台画像の中のうち積込み作業または積直し作業が写った荷台画像を用いて、荷物が作業者5により農作物の鮮度低下のおそれがある状態で積み込まれたか、或いは積み直されたか否かを判定する。そして、積合せ判定サーバ10は、荷物が作業者5により農作物の鮮度低下のおそれがある状態で積み込まれたか、もしくは積み直された場合に、表示出力または音声出力による報知を携帯端末50に実行させる。
【0020】
ここで、本実施例に係る積合せ判定サーバ10は、車両3の荷台に積まれた荷物に梱包された農作物を識別する。そして、本実施例に係る積合せ判定サーバ10は、農作物ごとに農作物が梱包された荷物が産出するエチレンガスの産出度と農作物が梱包された荷物がエチレンガスによって影響を受ける影響度とを記憶する記憶部を参照する。続いて、本実施例に係る積合せ判定サーバ10は、第1の荷物及び第2の荷物の識別結果に応じて、先の記憶部から第1の荷物の産出度及び第2の荷物の影響度を取得する。さらに、本実施例に係る積合せ判定サーバ10は、第1の荷物及び第2の荷物が、第1の荷物の産出度及び第2の荷物の影響度によって定まる範囲内に積まれたか否かを判定する。その上で、本実施例に係る積合せ判定サーバ10は、第1の荷物及び第2の荷物が先の範囲内にあると判定された場合に報知を実行するように制御する。
【0021】
このように、本実施例に係る積合せ判定サーバ10は、車両3の荷台に積まれる荷物に梱包された農作物を識別し、エチレンガスを出す農作物が梱包された荷物とエチレンガスにより鮮度が低下する農作物が梱包された荷物とが近くに積まれた場合に報知を実行する。
【0022】
このとき、例えば、荷物同士を離して積むよう作業者5に促す警告を行った場合には、車両3の荷台でエチレンガスを出す農作物が梱包された荷物、あるいはエチレンガスにより鮮度が低下する荷物のいずれかが作業者5によって離れた場所に積み直される。したがって、本実施例に係る積合せ判定サーバ10によれば、荷物に梱包された農作物の鮮度が輸送中に低下するのを防止できる。
【0023】
[積合せ判定装置の構成]
続いて、本実施例に係る積合せ判定サーバの機能的な構成について説明する。図2は、実施例1に係る積合せ判定サーバの構成を示すブロック図である。図2に示すように、積合せ判定サーバ10は、通信I/F(interface)部11と、品物情報記憶部12と、産出率記憶部13aと、影響度記憶部13bと、積荷記憶部14aと、距離記憶部14bとを有する。さらに、積合せ判定サーバ10は、画像解析部15と、取得部16と、導出部17と、判定部18と、報知制御部19とを有する。なお、積合せ判定サーバ10は、図2に示した機能部以外にも既知のサーバ装置が有する各種の機能部、例えば各種の入力デバイスや音声出力デバイスなどの機能を有するものとする。
【0024】
このうち、通信I/F部11は、他の装置、例えばカメラ30や携帯端末50との間で通信制御を行うインタフェースである。例えば、通信I/F部11は、カメラ30から荷台画像を受信したり、後述の報知制御部19によって生成された報知用の画面や音声などの情報を携帯端末50へ送信したりする。かかる通信I/F部11の一態様としては、LANカードなどのネットワークインタフェースカード(NIC:Network Interface Card)やモデムを採用できる。
【0025】
品物情報記憶部12は、農作物の品物情報を記憶する記憶部である。一例として、品物情報記憶部12は、荷台画像から解析された荷物がどの農作物を梱包したものであるのかを識別するために、後述の画像解析部15によって参照される。
【0026】
かかる品物情報の一態様としては、農作物の品名及びその品名コードが対応付けられたデータを採用できる。かかる「品名」は、野菜や果物などの農作物の名称であり、農作物が梱包された荷物に表示されているものとする。以下では、農作物が直方体の段ボールによって梱包される場合を想定して説明を行う。この場合には、段ボールを形成する直方体の側面や天面などに「品名」が表示される。また、「品名コード」は、農作物の品名を特定するために予め付与されたコードを指す。これら「品名」及び「品名コード」の対応付けは、荷台画像から解析された荷物の「品名」を検索キーとしてその品名に対応する「品名コード」を後述の画像解析部15に検索させるためになされる。
【0027】
図3は、品物情報記憶部12に記憶される情報の構成例を示す図である。図3の例では、品名「りんご」の品名コードが「001」であり、品名「すいか」の品名コードが「002」であり、また、品名「バナナ」の品名コードが「003」であることを示す。なお、図3〜図5の例では、日本語の品名を例示したが、外国から輸入された農作物や外国に輸出する農作物が荷物に表示される場合には、輸入先または輸出先の言語の品名を定義すればよい。また、図3の例では、農作物として果物の品名及び品名コードを例示したが、果物以外にも野菜及び花卉などの他の農作物の品名及び品名コードを定義しておくこともできる。また、上記の品物情報は、必ずしもテーブル形式で格納される必要はなく、他の形式で格納することとしてもかまわない。
【0028】
産出率記憶部13aは、荷物によるエチレンガスの産出率情報を記憶する記憶部である。一例として、産出率記憶部13aは、農作物の品名コードが得られた荷物のエチレンガスの産出率を取得するために、後述の登録部15cや取得部16によって参照される。
【0029】
かかる産出率情報の一態様としては、品名コード及び産出率が対応付けられたデータを採用できる。ここで言う「産出率」とは、所定の容量の荷物に梱包された農作物が総量として産出するエチレンガスの濃度(例えば、ppm:Parts Per Million)を指す。なお、ここでは、荷物に梱包された農作物が総量として産出するエチレンガスの濃度を産出率として記憶する場合を例示するが、農作物1つあたりのエチレンガスの濃度を産出率として記憶することとしてもよい。また、荷物の容量は、任意の容量であってよく、荷物の梱包のサイズを変更することにより増減される。
【0030】
図4は、産出率記憶部13aに記憶される情報の構成例を示す図である。図4に示す産出率の値「A1」、「A2」及び「A3」の大小関係は、「A3<A2<A1」であるものとする。図4の例では、品名コード「001」のりんごを梱包した荷物のエチレンガスの産出率が「A1(ppm)」であることを示す。また、図4の例では、品名コード「002」のすいかを梱包した荷物のエチレンガスの産出率が「A2(ppm)」であることを示す。さらに、図4の例では、品名コード「003」のバナナを梱包した荷物のエチレンガスの産出率が「A3(ppm)」であることを示す。なお、ここでは、産出率としてエチレンガスの濃度を用いる場合を例示したが、荷物が産出するエチレンガスの量を表す指標であればよく、度数やレベルによって指し表される産出度であってもかまわない。また、上記の産出率情報は、必ずしもテーブル形式で格納される必要はなく、他の形式で格納することとしてもかまわない。
【0031】
影響度記憶部13bは、荷物に梱包された農作物がエチレンガスによって影響を受ける度合いを示す影響度情報を記憶する記憶部である。一例として、影響度記憶部13bは、農作物の品名コードが得られた荷物のエチレンガスによる影響度を取得するために、後述の登録部15cや取得部16によって参照される。
【0032】
かかる影響度情報の一態様としては、品名コード、影響度及び影響内容が対応付けられたデータを採用できる。ここで言う「影響度」とは、農作物が梱包された所定の容量の荷物の総体がエチレンガスによって影響を受ける度合いを表す指標であり、例えば、任意の数の段階で順位付けされたレベル値を採用できる。また、「影響内容」とは、荷物に梱包された農作物がエチレンガスの影響を受けることにより損なわれる鮮度の内容を指す。
【0033】
図5は、影響度記憶部13bに記憶される情報の構成例を示す図である。図5に示す例では、1〜5の5段階で順位付けされたレベル値を影響度として採用し、レベル値が低いほど農作物がエチレンガスによる影響を受けやすいことを表すものとする。
【0034】
図5の例では、品名コード「001」のりんごを梱包した荷物の影響度が「2」であり、りんごがエチレンガスの影響を受けた場合には表皮に日焼けが生じることを示す。また、図5の例では、品名コード「002」のすいかを梱包した荷物の影響度が「3」であり、すいかがエチレンガスの影響を受けた場合には腐敗が進むことを示す。さらに、図5の例では、品名コード「003」のバナナを梱包した荷物の影響度が「1」であり、バナナがエチレンガスの影響を受けた場合には腐敗が進むことを示す。なお、図5の例では、影響内容として日焼けや腐敗を例示したが、影響内容は図示のものに限定されず、日焼けや腐敗以外にも各々の農作物に合った影響内容、例えばカビや軟化が登録される。また、上記の影響度情報は、必ずしもテーブル形式で格納される必要はなく、他の形式で格納することとしてもかまわない。
【0035】
なお、図4及び図5の例では、積合せ判定サーバ10が農作物の産出率及び影響度を産出率記憶部13a及び影響度記憶部13bの2つに分けて保持する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、開示の装置では、産出率記憶部13a及び影響度記憶部13bの2つの記憶部を1つに統合した記憶部、例えば農作物の品名コードごとに産出率及び影響度を記憶する記憶部を保持することとしてもかまわない。
【0036】
積荷記憶部14aは、車両3の荷台に積み込まれた荷物の各種情報を記憶する記憶部である。一例として、積荷記憶部14aは、車両3の荷台に積み込まれた荷物の位置、産出率及び影響度などの情報を管理するために用いられる。かかる積荷記憶部14aの一態様としては、積込番号、品名コード、積荷位置、産出率及び影響度が対応付けられたデータが記憶される。
【0037】
ここで言う「積込番号」は、荷物が車両3の荷台に積み込まれた順に後述の画像解析部15aによって採番されるシーケンス番号を指す。かかる積込番号の採番例としては、初めに積み込まれた荷物に積込番号「01」が採番され、以降に積み込まれた荷物に積込番号「02」、・・・、積込番号「XX」が昇順に採番される。このように、積荷に連番を付与した場合には、荷物が積み込まれた順番も積荷記憶部14aによって管理させることができる。なお、ここでは、積込番号を昇順に採番する場合を例示したが、積込番号を降順に採番してもよく、また、異なる積込番号をランダムに採番することとしてもよい。
【0038】
また、「積荷位置」は、荷物が車両3の荷台に積まれた位置を指し、一例として、積荷が車両3の荷台の中で占める占有領域を積荷の重心位置で代表させる場合を想定する。かかる「積荷の重心位置」は、車両3の荷台内の任意の点を原点(0,0,0)と定義した荷台のローカル座標系で表現される座標(X,Y,Z)であるものとする。一例として、荷台のローカル座標系は、XY平面が水平面であるものとし、X軸が荷台の長手方向を、Y軸が短手方向を、Z軸がXY平面に鉛直な高さ方向を表現する場合を想定する。
【0039】
かかる積荷位置が登録される局面の一態様としては、車両3の荷台に新たな荷物が積み込まれた場合に、後述の画像解析部15によって荷台画像から解析された積荷位置が登録されるケースが挙げられる。また、積荷位置が更新される局面の一態様としては、積荷が別の位置に積み直された場合に、後述の画像解析部15によって荷台画像から解析された積直し後の積荷位置を積直し前の積荷位置に上書きして更新されるケースが挙げられる。また、積荷位置が参照される局面の一態様としては、後述の判定部18によって荷物の積合せを判定させるのに先立って積荷間の距離を導出するために、後述の導出部17によって積荷位置が読み出されるケースが挙げられる。
【0040】
図6は、積荷記憶部14aに記憶される情報の構成例を示す図である。図6の例では、車両3の荷台に最初に積み込まれた品名コード「001」のりんごの積荷位置が(X1,Y1,Z1)であることを示す。さらに、りんごが梱包された積荷の産出率が「A1(ppm)」であり、積荷に梱包されたりんごの影響度が「2」であることを示す。また、図6の例では、車両3の荷台に2番目に積み込まれた品名コード「002」のすいかの積荷位置が(X2,Y2,Z2)であることを示す。さらに、すいかが梱包された積荷の産出率が「A2(ppm)」であり、積荷に梱包されたすいかの影響度が「3」であることを示す。なお、図6の例では、りんご及びすいかの2つの荷物が荷台に積み込まれている場合を例示したが、積荷記憶部14aのエントリ数が2つに固定される訳ではなく、荷台に積み込まれている荷物の数が変化するにしたがってエントリが作成又は削除される。
【0041】
距離記憶部14bは、後述の報知制御部19による警告を実行させる積荷間の警告距離を記憶する記憶部である。一例として、距離記憶部14bは、後述の導出部17によって導出された積荷間の距離と比較する警告距離を得るために、後述の判定部18によって参照される。かかる距離記憶部14bの一態様としては、産出率及び影響度の組合せごとに警告距離が対応付けられたデータが記憶される。
【0042】
ここで、上記の警告距離は、2つの荷物のうち一方の荷物の産出率及び他方の荷物の影響度に基づいて設定される。このように、警告距離を設定するのに一方の荷物の産出率及び他方の荷物の影響度を用いるのは、一方の荷物の産出率、他方の荷物の影響度及び積荷間の距離の三者が互いに下記のような相関関係を有するからである。すなわち、一方の荷物の産出率が高いほど、他方の荷物の影響度が高いほど、また、2つの積荷の距離が小さいほど、他方の荷物がエチレンガスから受ける影響が大きくなるという相関関係を持つ。よって、一方の荷物の産出率及び他方の荷物の影響度の組合せに対し、他方の荷物の鮮度低下をどの程度許容するかを定めれば、上記の三者の相関関係が定義されたアルゴリズムを用いて、互いの荷物を最低限遠ざけるのが好ましい距離を得ることができる。このようにして得た距離が上記の警告距離として使用される。
【0043】
図7は、距離記憶部14bに記憶される情報の構成例を示す図である。図7に示す産出率「a」、「b」、「c」及び「d」の大小関係は、「d<c<b<a」であるものとする。なお、図7に示す産出率「a」、「b」、「c」及び「d」と、図4に示した品名コード「001」〜「003」の荷物の産出率「A1」、「A2」及び「A3」の大小関係は、「d<A3<c<A2<b<A1<a」であるものとする。
【0044】
図7の例では、エチレンガスの産出率が区間「a〜b」である場合には、エチレンガスの産出率が区間「b〜c」または区間「c〜d」である場合に比べて、同じ影響度に対応付けられた警告距離であっても長い警告距離が定義される。また、エチレンガスの産出率が区間「b〜c」である場合には、エチレンガスの産出率が区間「c〜d」である場合に比べて、同じ影響度に対応付けられた警告距離であっても長い警告距離が定義される。また、エチレンガスの産出率が区間「c〜d」である場合には、エチレンガスの産出率が区間「a〜b」または区間「b〜c」である場合に比べて、同じ影響度に対応付けられた警告距離であっても短い警告距離が定義される。また、エチレンガスの産出率が同じ区間同士の警告距離を比較した場合には、影響度が高いほど、すなわち影響度のレベル値が低いほど短い警告距離が定義される。
【0045】
これら品物情報記憶部12、産出率記憶部13a、影響度記憶部13b、積荷記憶部14a及び距離記憶部14bなどの記憶部には、半導体メモリ素子や記憶装置を採用できる。例えば、半導体メモリ素子としては、VRAM(Video Random Access Memory)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ(flash memory)などが挙げられる。また、記憶装置としては、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置が挙げられる。
【0046】
画像解析部15は、カメラ30から受信した荷台画像を解析する処理部である。かかる画像解析部15は、図2に示すように、検知部15aと、識別部15bと、登録部15cとをさらに有する。
【0047】
このうち、検知部15aは、荷台画像のフレーム間で荷物の動きを検知する処理部である。一例としては、検知部15aは、荷台画像のフレーム間の差分として検出された領域に、予め定義された荷物の梱包に関する特徴、例えば段ボールの色、模様や形状が存在するか否かを監視する。これによって、検知部15aは、作業者5によって動かされる荷物の始動を検知する。そして、検知部15aは、荷台画像のフレーム間で荷物の梱包に関する特徴が検出された場合には、それ以降に荷台画像のフレーム間で差分が検出されなくなるまで荷物の動きを採取する。これによって、検知部15aは、作業者5によって動かされていた荷物の停止を検知する。
【0048】
その後、検知部15aは、荷台画像のフレーム間で差分が検出されなくなった場合に、それまでに荷台画像上で検出されていた荷物の動きが下記の進入軌跡、徘徊軌跡または離脱軌跡のうちいずれの軌跡に該当するかを判定する。かかる判定によって、検知部15aは、荷台画像から荷物の積込み作業、荷物の積直し作業または荷物の積出し作業のうちいずれの作業がなされたのかを検知する。
【0049】
ここで言う「進入軌跡」とは、車両3の荷台の外部、出入り口、荷台の内部の順に荷台内部に向かって進入する軌跡を指す。また、「徘徊軌跡」とは、車両3の荷台の内部を徘徊する軌跡を指す。また、「離脱軌跡」とは、車両3の荷台の内部、出入り口、荷台の外部の順に荷台外部に向かって離脱する軌跡を指す。
【0050】
例えば、荷台画像上で検出されていた荷物の動きが「進入軌跡」に該当する場合には、作業者5が車両3の荷台に積み込む積込み作業がなされたと推定できる。この場合には、車両3の荷台に新たに積み込まれた荷物に関する情報を管理するために、登録部15cによって積荷番号が採番され、積荷記憶部14a内に新規エントリが作成される。その後、新規エントリには、荷物から識別された農作物の品名コード、荷物の算出率及び影響度、さらには、荷物の積荷位置が後述の登録部15cによって登録される。
【0051】
また、荷台画像上で検出されていた荷物の動きが「徘徊軌跡」に該当する場合には、作業者5が積荷を荷台内の別の場所に積み直す積直し作業がなされたと推定できる。この場合には、積直しによって変更された荷物の積荷位置を更新するために、後述の登録部15cによって積荷記憶部14a内の荷物の積荷位置が更新される。
【0052】
また、荷台画像上で検出されていた荷物の動きが「離脱軌跡」に該当する場合には、作業者5が積荷を車両3の外へ積み出す積出し作業がなされたと推定できる。この場合には、積出しを検知した荷物に対応する積込番号のエントリ、すなわち積込番号、品名コード、積荷位置、産出率及び影響度を含むレコードが後述の登録部15cによって削除される。
【0053】
識別部15bは、車両3の荷台に積まれた荷物を識別する処理部である。これを説明すると、識別部15bは、検知部15aによって荷物の積込み又は積直しが検知された場合に、その積荷に表示された文字を認識する。そして、識別部15bは、荷台画像上の積荷から認識した文字認識の結果、すなわち「品名」に対応する農作物の「品名コード」を品物情報記憶部12から検索する。このとき、識別部15bは、検知部15aによって荷物の積込みが検知されていた場合には、品物情報記憶部12から検索した品名コードを検知部15aによって積込みが検出された荷物の積荷番号に対応付けて登録する。一方、識別部15bは、検知部15aによって荷物の積直しが検知されていた場合には、品物情報記憶部12から検索した品名コードを後述の取得部16へ出力する。なお、識別部15bの一態様としては、OCR(Optical Character Reader)が採用される。
【0054】
登録部15cは、車両3の荷台に積まれた荷物に関する情報を登録する処理部である。一例としては、登録部15cは、積荷記憶部14aを用いて車両3の荷台に現に積まれている荷物の情報を管理するために、品名コード、算出率、影響度及び積荷位置を積荷記憶部14aに登録したり、あるいは更新したりする。
【0055】
例えば、検知部15aによって積込みが検知された場合には、登録部15cは、積荷番号を採番し、積荷記憶部14a内に新規エントリを作成する。その後、登録部15cは、識別部15bによって荷物から識別された農作物の品名コードを積荷記憶部14a内の新規のエントリに登録する。また、登録部15cは、積込みが検知された荷物の品名コードに対応する産出率及び影響度を産出率記憶部13a及び影響度記憶部13bから読み出して積荷記憶部14a内の新規エントリに登録する。さらに、登録部15cは、積込みが検知された荷物の荷台画像上の画素位置、例えば荷物の重心が存在する画素位置を解析し、その画素位置を荷台の3次元ローカル座標に変換した上でその積荷位置を積荷記憶部14a内の新規エントリに登録する。
【0056】
なお、荷台画像上の画素位置(x,y)と荷台ローカル座標系(X,Y,Z)との対応付けは、前もって対応付けが図示しない登録部15cの内部メモリに記憶されているものとする。この対応付けは、例えば、車両3の荷台が直方体であるとしたときには、荷台の隅、すなわち直方体の頂点の荷台ローカル座標と、荷台画像上における荷台の隅の画素位置とを対応付けることにより得られる。また、例えば、荷台画像上で位置を検出可能なマーカを車両3の荷台の壁面等に含め、そのようなマーカを含んだ荷台画像の中からマーカ位置を特定することで、上記の対応付けを得ることもできる。
【0057】
また、検知部15aによって積直しが検知された場合には、登録部15cは、積直しが検知された荷物の荷台画像上の画素位置を解析し、その画素位置を荷台の3次元ローカル座標に変換した上で積直し後の積荷位置を積載前の積荷位置に上書きして更新する。また、検知部15aによって積出しが検知された場合には、登録部15cは、積出しが検知された荷物に対応する積込番号のエントリ、すなわち積込番号、品名コード、積荷位置、産出率及び影響度を含むレコードを積荷記憶部14aから削除する。
【0058】
取得部16は、積荷記憶部14aを用いて、荷物の産出率及び影響度を取得する処理部である。一例としては、取得部16は、積荷記憶部14aに記憶された積荷位置が更新された場合、すなわち積込み又は積直しが検知された場合に、処理を起動する。この場合には、取得部16は、積込み又は積直しが検知された荷物の品名コードに対応する産出率及び影響度を取得するとともに、それにまでに積み込まれていた荷物の産出率及び影響度を取得する。以下では、積込み又は積直しが検知された荷物のことを「第1の荷物」と表現するとともに、積込み又は積直しが検知される前に既に積み込まれていた荷物のことを「第2の荷物」と表現する場合がある。なお、ここでは、第1の荷物と第2の荷物との両者を対象に産出率及び影響度をそれぞれ取得する場合を例示するが、一方の荷物については産出率だけを取得し、他方の荷物については影響度だけを取得するようにしてもよい。
【0059】
導出部17は、荷物間の距離を導出する処理部である。一例としては、導出部17は、第1の荷物の品名コードに対応する積荷位置(a,b,c)を積荷記憶部14aから読み出す。さらに、導出部17は、第2の荷物の品名コードに対応する積荷位置(α,β,γ)を積荷記憶部14aから読み出す。その上で、導出部17は、第1の荷物の積荷位置(a,b,c)及び第2の荷物の積荷位置(α,β,γ)を所定の公式、例えば三平方の定理の公式等に代入することによって第1の荷物及び第2の荷物の間の距離dを導出する。このとき、導出部17は、第1の荷物及び第2の荷物の間の直線距離を始め、距離に関する各種のパラメータを併せて導出することもできる。例えば、導出部17は、第1の荷物及び第2の荷物を水平面に投影した場合の水平距離、第1の荷物及び第2の荷物を正射影した場合の鉛直距離や一方の荷物から他方の荷物がどれだけ上に観測されるかを示す高度角などを併せて導出することもできる。
【0060】
判定部18は、荷物の積合せを判定する処理部である。一例としては、車両3の荷台に第1の荷物の積込み又は積直しがなされることによって第2の荷物に鮮度低下のおそれがあるか否かを判定するとともに、既に積み込まれていた第2の荷物によって第1の荷物に鮮度低下のおそれがあるか否かを併せて判定する。なお、ここでは、第2の荷物の鮮度低下のおそれ及び第1の荷物の鮮度低下のおそれの両者を判定する場合を例示するが、いずれか一方の荷物だけを対象に判定を実行することとしてもかまわない。
【0061】
これを説明すると、判定部18は、導出部17によって導出された第1の荷物及び第2の荷物の距離が、距離記憶部14bに記憶された距離のうち第1の荷物の産出度及び第2の荷物の影響度に対応する警告距離D1以下であるか否かを判定する。例えば、第1の荷物の品名コードが「001」のりんごであり、第2の荷物の品名コードが「003」のバナナであるとしたときには、りんごが梱包された第1の荷物の産出率が「A1」であり、バナナが梱包された第2の荷物の影響度が「1」である。よって、第1の荷物及び第2の荷物の距離が第1の荷物の産出率「A1」及び第2の荷物の影響度「1」の組合せに対応する警告距離D1(=「500cm」)以下であるか否かが判定部18によって判定される。これら荷物間の距離が警告距離D1以下である場合には、このまま放置すると第2の荷物の鮮度がエチレンガスによって低下してしまうおそれがある。この場合には、判定部18は、図示しない内部メモリに記憶された警告リストに、警告対象となる第2の荷物の品名コードと、鮮度低下の原因となる第1の荷物の品名コードと、警告距離D1とを対応付けたエントリを作成する。
【0062】
さらに、判定部18は、導出部17によって導出された第1の荷物及び第2の荷物の距離が、距離記憶部14bに記憶された距離のうち第2の荷物の産出度及び第1の荷物の影響度に対応する警告距離D2以下であるか否かを判定する。これら荷物間の距離が警告距離D2以下である場合には、このまま放置すると第1の荷物の鮮度がエチレンガスによって低下してしまうおそれがある。この場合には、判定部18は、図示しない内部メモリに記憶された警告リストに、警告対象となる第1の荷物の積荷番号と、鮮度低下の原因となる第2の荷物の積荷番号と、警告距離D2とを対応付けたエントリを作成する。
【0063】
このようにして、判定部18は、検知部15aによって積込み又は積直しが検知された荷物が、積荷記憶部14aに記憶された荷物であって積込み又は積直しが検知されなかった全ての荷物との間で積合せが判定されるまで、上記の判定を繰り返し実行する。
【0064】
図8は、警告リストの一例を示す図である。図8に示す例では、車両3の荷台に第1の荷物の積込み又は積直しがなされることによって第2の荷物に鮮度低下のおそれがある場合を例示する。図8に示す警告リストの場合には、車両3の荷台に3番目に積まれたバナナが最初に積み込まれていたリンゴが原因となって鮮度低下のおそれがある旨の警告を後述の報知制御部19に実行させることが定義されている。さらに、図8に示す警告リストの場合には、両者を500cmよりも離すのが好ましい旨の推奨を後述の報知制御部19に実行させることが定義されている。
【0065】
報知制御部19は、携帯端末50に対する報知の実行を制御する処理部である。一例としては、報知制御部19は、判定部18によって作成された警告リストにしたがって携帯端末50で警告または推奨させる報知の内容を規定した報知画面を生成する。このとき、警告リストにエントリが存在しない場合には、携帯端末50に対する報知は実行されない。そして、報知制御部19は、生成した報知画面を携帯端末50に送信する。このようにして報知制御部19が送信した報知画面は、携帯端末50によって表示される。なお、ここでは、携帯端末50に報知画面を表示させることによって報知を実行する場合を例示するが、携帯端末50に報知音声を出力させることによって報知を実行することとしてもかまわない。
【0066】
一例として、報知制御部19は、文章によって警告内容及び推奨内容が報知された報知画面を生成する。図9は、報知画面の一例を示す図である。図9に示す報知画面の例では、バナナがりんごによってエチレンガスの影響を受ける旨、バナナがエチレンガスによって損なわれる鮮度の内容、さらには、バナナとりんごを警告距離500cmよりも離して置くのが好ましい旨の推奨が報知される。かかる図9に示す報知画面によって、作業者5は、バナナとりんごの積合せが悪いという知識がなくとも、現状の積合せではバナナの腐敗のおそれがあることを把握できる。さらに、図9に示す報知画面によって、作業者5はバナナ又はりんごを互いに警告距離500cmよりも離して積み直せばよいことが把握できるので、荷物の積直し回数を低減させることもできる。
【0067】
他の一例として、報知制御部19は、上記の文章による報知に加えて、車両3の荷台のレイアウトとともに鮮度低下の原因となる荷物の積荷位置を併せて報知する報知画面を生成する。図10は、報知画面の一例を示す図である。図10に示す報知画面の例では、図9に示した報知内容とともに、車両3の荷台を上面視した上面図にバナナの鮮度低下の原因となるりんごの積荷位置が描画された画像がさらに含まれる。かかる図10に示す報知画面によって、作業者5は、後に積み込んだ又は積み直したバナナを積み直してはいけない場所をより直感的に把握でき、積直し回数をさらに低減させることができる。
【0068】
なお、図10の例では、車両3の荷台の上面図を携帯端末50に表示させる場合を例示したが、車両3の荷台を側面視した側面図を携帯端末50に表示させてもよく、また、車両3の荷台の斜視図を3次元画像として携帯端末50に表示させてもよい。一例としては、報知制御部19は、第1の荷物及び第2の荷物の間のZ座標の距離、すなわち荷台の高さ方向の距離が閾値以上である場合には、車両3の荷台の側面図を採用し、Z座標の距離が閾値未満である場合には、車両3の荷台の上面図を報知画面に採用する。これによって荷物間の高さ方向に関する距離の視認性を向上させることができる。また、開示の装置は、上記の例に限らず、高度角が閾値以上であるか否かによって車両3の荷台の上面図または車両3の荷台の側面図のいずれを採用するかを決定してもよい。
【0069】
更なる一例として、報知制御部19は、上記の文章による報知に加えて、車両3の荷台のレイアウトとともに警告対象となる荷物及び他の荷物の積荷位置、さらには荷物の積直しを推奨する推奨積直し領域が併せて報知された報知画面を生成する。図11は、報知画面の一例を示す図である。図11に示す報知画面の例では、図10に示した報知内容とともに、車両3の荷台を上面視した上面図に既に積み込まれているりんご及びすいかの積荷位置が描画される。さらに、図11に示す報知画面の例では、既に積み込まれているりんご及びすいかによるエチレンガスの影響を受けにくいと推定される領域が推奨積直し領域として塗りつぶしにより表示される。ここで、推奨積直し領域の一態様としては、全ての第2の荷物から警告距離D1及びD2を隔てた車両3の荷台上の領域が報知制御部19によって特定された上で採用される。かかる図11に示す報知画面によって、作業者5は、後に積み込んだ又は積み直したバナナをどこに積み直せばよいかをより直感的に把握でき、積直し回数をさらに低減させることができる。
【0070】
なお、画像解析部15、取得部16、導出部17、判定部18及び報知制御部19には、各種の集積回路や電子回路を採用できる。また、画像解析部15に含まれる機能部の一部を別の集積回路や電子回路とすることもできる。例えば、集積回路としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられる。また、電子回路としては、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などが挙げられる。
【0071】
[処理の流れ]
次に、本実施例に係る積合せ判定サーバ10の処理の流れについて説明する。なお、ここでは、積合せ判定サーバ10によって実行される(1)積荷管理処理の処理手順を説明した後に、(2)報知制御処理の処理手順を説明する。
【0072】
(1)積荷管理処理
図12は、実施例1に係る積荷管理処理の手順を示すフローチャートである。この積荷管理処理は、カメラ30から荷台画像が供給される限り、繰り返し実行される処理であり、検知部15aによって荷台画像のフレーム間で荷物の動きが検知された場合に処理が起動される。
【0073】
図12に示すように、検知部15aによって荷物の積込みが検知された場合(ステップS101,Yes)には、登録部15cは、積荷番号を採番し、積荷記憶部14a内に新規エントリを作成する(ステップS102)。続いて、登録部15cは、識別部15bによって荷物から識別された荷物の品名コードを積荷記憶部14a内の新規のエントリに登録する(ステップS103)。
【0074】
そして、登録部15cは、積込みが検知された荷物の品名コードに対応する産出率及び影響度を産出率記憶部13a及び影響度記憶部13bから読み出して積荷記憶部14a内の新規エントリに登録する(ステップS104)。その後、登録部15cは、積込みが検知された荷物の積荷位置を積荷記憶部14a内の新規エントリに登録し(ステップS105)、処理を終了する。
【0075】
また、検知部15aによって荷物の積直しが検知された場合(ステップS106,Yes)には、登録部15cは、積直しが検知された荷物の積荷位置を積載前の積荷位置に上書きして更新し(ステップS105)、処理を終了する。
【0076】
また、検知部15aによって荷物の積直しが検知されなかった場合(ステップS106,No)には、荷物が車両3の荷台から積み出された場合に該当する。よって、登録部15cは、積出しが検知された荷物に対応する積込番号のエントリを積荷記憶部14aから削除し(ステップS107)、処理を終了する。
【0077】
なお、図12に示したステップS101及びS106の処理は、図示の順序通りに実行される必要はなく、互いの順序を入れ換えて実行することができる。さらに、図12に示したステップS103〜S105の処理は、図示の順序通りに実行される必要はなく、互いの順序を入れ換えて実行することができる。
【0078】
(2)報知制御処理
図13は、実施例1に係る報知制御処理の手順を示すフローチャートである。この報知制御処理は、カメラ30から荷台画像が供給される限り、繰り返し実行される処理であり、積荷記憶部14aに記憶された積荷位置が更新された場合に処理が起動される。
【0079】
図13に示すように、取得部16は、積込み又は積直しが検知された第1の荷物の品名コードに対応する産出率及び影響度を積荷記憶部14aから読み出す(ステップS301)。そして、導出部17は、第1の荷物の品名コードに対応する積荷位置を積荷記憶部14aから読み出す(ステップS302)。
【0080】
その後、取得部16は、第1の荷物が積込み又は積直しされる前に積み込まれていた第2の荷物の産出率及び影響度を積荷記憶部14aから読み出す(ステップS303)。続いて、導出部17は、第2の荷物の品名コードに対応する積荷位置を積荷記憶部14aから読み出す(ステップS304)。
【0081】
そして、導出部17は、第1の荷物の積荷位置及び第2の荷物の積荷位置を所定の公式に代入することによって第1の荷物及び第2の荷物の間の距離dを導出する(ステップS305)。
【0082】
続いて、判定部18は、第2の荷物の鮮度低下を警告する警告距離D1、すなわち距離記憶部14bに記憶された距離のうち第1の荷物の産出度及び第2の荷物の影響度に対応する警告距離D1を読み出す(ステップS306)。さらに、判定部18は、第1の荷物の鮮度低下を警告する警告距離D2、すなわち距離記憶部14bに記憶された距離のうち第2の荷物の産出度及び第1の荷物の影響度に対応する警告距離D2を読み出す(ステップS307)。
【0083】
ここで、判定部18は、導出部17によって導出された第1の荷物及び第2の荷物の距離が警告距離D1以下であるか否かを判定する(ステップS308)。このとき、第1の荷物及び第2の荷物の距離が警告距離D1以下である場合(ステップS308,Yes)には、このまま放置すると第2の荷物の鮮度がエチレンガスによって低下してしまうおそれがある。よって、判定部18は、図示しない内部メモリに記憶された警告リストに、警告対象となる第2の荷物の品名コードと、鮮度低下の原因となる第1の荷物の品名コードと、警告距離D1とを対応付けたエントリを作成する(ステップS309)。なお、第1の荷物及び第2の荷物の距離が警告距離D1よりも大きい場合(ステップS308,No)には、ステップS309をとばしてステップS310に移行する。
【0084】
続いて、判定部18は、導出部17によって導出された第1の荷物及び第2の荷物の距離が警告距離D2以下であるか否かを判定する(ステップS310)。このとき、第1の荷物及び第2の荷物の距離が警告距離D2以下である場合(ステップS310,Yes)には、このまま放置すると第1の荷物の鮮度がエチレンガスによって低下してしまうおそれがある。よって、判定部18は、図示しない内部メモリに記憶された警告リストに、警告対象となる第1の荷物の品名コードと、鮮度低下の原因となる第2の荷物の品名コードと、警告距離D2とを対応付けたエントリを作成する(ステップS311)。なお、第1の荷物及び第2の荷物の距離が警告距離D2よりも大きい場合(ステップS310,No)には、ステップS311をとばしてステップS312に移行する。
【0085】
そして、積込み又は積直しが検知された荷物以外の全ての荷物を対象に積合せの判定が実行されるまで(ステップS312,No)、第2の荷物として処理対象とする荷物を、積荷記憶部14aに記憶されている荷物のうち未処理の荷物に変更して、上記のステップS303〜ステップS311までの処理が繰り返し実行される。
【0086】
その後、積込み又は積直しが検知された荷物以外の全ての荷物を対象に積合せの判定が実行された場合(ステップS312,Yes)には、報知制御部19は、警告リストにエントリが存在するか否かを判定する(ステップS313)。なお、警告リストにエントリが存在しない場合(ステップS313,No)には、報知制御部19は、携帯端末50に対する報知を実行せずにそのまま処理を終了する。
【0087】
そして、警告リストにエントリが存在する場合(ステップS313,Yes)には、報知制御部19は、警告リストにしたがって携帯端末50で警告または推奨させる報知の内容を規定した報知画面を生成する(ステップS314)。その後、報知制御部19は、生成した報知画面を携帯端末50に送信し(ステップS315)、処理を終了する。
【0088】
なお、図13に示したステップS301及びS302の処理は、図示の順序通りに実行される必要はなく、互いの順序を入れ換えて実行することができる。また、図13に示したステップS303及びS304の処理は、図示の順序通りに実行される必要はなく、互いの順序を入れ換えて実行することができる。さらに、図13に示したステップS305〜S307間での処理についても、図示の順序通りに実行される必要はなく、互いの順序を入れ換えて実行することができる。また、図13に示したステップS308及びS309の処理と、図13に示したステップS310及びS311の処理とは、図示の順序通りに実行される必要はなく、互いの順序を入れ換えて実行することができる。
【0089】
[実施例1の効果]
上述してきたように、本実施例に係る積合せ判定サーバ10は、車両3の荷台に積まれる荷物に梱包された農作物を識別し、エチレンガスを出す荷物とエチレンガスにより鮮度が低下する荷物とが近くに積まれた場合に報知を実行する。
【0090】
このとき、荷物同士を離して積むよう作業者5に促す警告を行った場合には、車両3の荷台でエチレンガスを出す農作物が梱包された荷物、あるいはエチレンガスにより鮮度が低下する荷物のいずれかが作業者5によって離れた場所に積み直される。したがって、本実施例に係る積合せ判定サーバ10によれば、荷物に梱包された農作物の鮮度が輸送中に低下するのを防止できる。
【0091】
また、エチレン対策の一例としてエチレン除去剤の使用を促す報知を行った場合には、作業者5によってエチレンガスを出す農作物が梱包された荷物にエチレン除去剤が使用される。それゆえ、本実施例に係る積合せ判定サーバ10によれば、荷物に梱包された農作物の鮮度が輸送中に低下するのを防止できる。さらに、本実施例に係る積合せ判定サーバ10では、常にエチレン除去剤を使用する必要はなく、報知がなされた場合にだけエチレン除去剤を使用すればよいので、エチレン対策の手間及びエチレン除去剤の使用効率を高めることもできる。
【0092】
さらに、エチレン対策の一例として農作物を隔離または密閉する特殊梱包の使用を促す報知を行った場合には、エチレンガスを出す農作物が特殊梱包によって隔離されたり、あるいはエチレンガスにより鮮度が低下する荷物が特殊梱包によって密閉されたりする。それゆえ、本実施例に係る積合せ判定サーバ10によれば、荷物に梱包された農作物の鮮度が輸送中に低下するのを防止できる。さらに、本実施例に係る積合せ判定サーバ10では、常に特殊梱包を使用する必要はなく、報知がなされた場合にだけ特殊梱包を使用すればよいので、特殊梱包の使用効率を高めることもできる。
【0093】
加えて、本実施例に係る積合せ判定サーバ10では、クラウドコンピューティングによって報知を実現するので、車両3や携帯端末50などのクライアント端末側のハードウェアの改変を不要化できる。
【0094】
また、本実施例に係る積合せ判定サーバ10は、第1の荷物及び第2の荷物の距離が、距離記憶部14bによって記憶された距離のうち第1の荷物の産出度及び第2の荷物の影響度に対応する警告距離以下であるか否かを判定する。このため、本実施例に係る積合せ判定サーバ10では、荷物同士の距離が警告距離よりも大きい場合には報知を実行する必要がない。それゆえ、本実施例に係る積合せ判定サーバ10によれば、荷物に梱包された農作物の鮮度が輸送中に低下するのを防止しつつ、荷物同士に十分な距離がある場合には荷物の積直しを不要化したり、上記のエチレン対策を不要化したりすることができる。
【0095】
さらに、本実施例に係る積合せ判定サーバ10は、第1の荷物及び第2の荷物が警告距離D1以内に積まれたか、或いは警告距離D2以下である場合のいずれかに積まれたと判定された場合に、報知を実行するように制御する。このため、本実施例に係る積合せ判定サーバ10では、第1の荷物が第2の荷物にエチレンガスの影響を与える場合のみならず、第2の荷物が第1の荷物にエチレンガスの影響を与える場合にも、漏れなく報知を実行できる。それゆえ、本実施例に係る積合せ判定サーバ10によれば、荷物に梱包された農作物の鮮度が輸送中に低下するのをより確度よく防止できる。
【実施例2】
【0096】
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0097】
[積合せ判定の応用例]
例えば、上記の実施例1では、農作物が梱包された荷物が1つの車両3に積まれる場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、開示の装置は、農作物が梱包された荷物が複数の車両のうちいずれかの車両の荷台に積まれる場合に、同じ荷台に積まれた荷物のうち一方の荷物が産出するガスによって他方の荷物が影響を受ける場合に異なる荷台に積み替える場合にも同様に適用できる。
【0098】
一例として、開示の装置は、第1の荷物及び第2の荷物が、範囲記憶部によって産出度及び影響度の組合せごとに記憶された範囲の有無のうち第1の物品の産出度及び第2の物品の影響度に対応する範囲が有りであるか否かを判定するようにしてもよい。
【0099】
かかる範囲記憶部の一態様としては、産出度及び影響度の組合せごとに範囲の有無を対応付けて記憶する。ここで、範囲の有無は、一方の荷物が産出するエチレンガスによって他方の荷物が影響を受ける範囲が存在するか否かを表し、上記の距離記憶部14bと同様に、2つの荷物のうち一方の荷物の産出率及び他方の荷物の影響度に基づいて設定される。例えば、一方の荷物の産出率が低い場合には、他方の荷物に与える影響は少ない。よって、一方の荷物の産出率が低い場合には、他方の荷物の影響度の高さによらず、範囲無しと設定される。また、一方の荷物の影響度が低い場合には、他方の荷物が受ける影響も少なくなる。よって、一方の荷物の影響度が低い場合には、他方の荷物の産出度によらず、範囲無しと設定される。
【0100】
図14は、応用例の一例を示す図である。図14に示す「低」、「中」及び「高」は、一方の荷物の産出率または他方の荷物の影響度の度合いを示す。また、図14に示す「○」は範囲有りを指し、図14に示す「×」は範囲無しを指す。図14の例では、一方の荷物の産出率が「低」である場合、或いは他方の荷物の産出率が「低」である場合には、範囲「無し」が設定されている。また、図14の例では、一方の荷物の産出率が「中」以上であり、かつ他方の荷物の産出率が「中」以上である場合には、範囲「有り」が設定されている。
【0101】
このため、開示の装置では、図14に示す範囲記憶部を用いて荷物の積合せ判定を行った場合には、第1の荷物の産出率が「低」であるか、或いは第2の荷物の産出率が「低」であるならば、携帯端末50に対する報知は実行されない。一方、開示の装置では、一方の荷物の産出率が「中」以上であり、かつ他方の荷物の産出率が「中」以上であるならば、第1の荷物または第2の荷物を異なる車両の荷台に積むのが好ましい旨が携帯端末50に報知される。このため、開示の装置では、図14に示す範囲記憶部を用いて荷物の積合せ判定を行った場合にも、上記の実施例1と同様に、荷物に梱包された農作物の鮮度が輸送中に低下するのをより確度よく防止できる。
【0102】
[積荷記憶部の応用例]
上記の実施例1では、積荷の重心位置を積荷位置として採用する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、開示の装置では、荷物を形成する立体の頂点の3次元座標を積荷位置として採用することもできる。このように、荷物を形成する立体の頂点の3次元座標を積荷位置として採用した場合には、荷物間の重心距離ではなく、荷物間の最短距離を導出することができるので、荷物の積合せ判定をより精度よく実行できる。
【0103】
[距離記憶部の応用例1]
上記の実施例1では、2つの荷物のうち一方の荷物の産出率だけを用いて距離記憶部14bの警告距離を設定する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、開示の装置では、一方の荷物の産出率だけでなく、他方の荷物の産出率も用いて距離記憶部14bの警告距離を設定することもできる。これによって、他方の荷物が実際にエチレンガスから影響を受ける度合いを実際に荷物が積まれる環境に近づけて距離記憶部14bの警告距離を設定することができ、荷物の積合せ判定をより精度よく実行できる。
【0104】
[距離記憶部の応用例2]
上記の実施例1では、距離記憶部14bが1つのテーブルを記憶する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。一例としては、開示の装置は、温度や湿度などの保存環境別に複数のテーブルを距離記憶部に保持させることができる。この場合には、温度が低いほど、或いは湿度が低いほど、農作物の呼吸が抑えられて成長が抑制されるので、警告距離を長く設定するのが好ましい。そして、開示の装置は、図示しないセンサを介して取得された温度及び湿度に対応する警告距離を用いて荷物の積合せ判定を行うことで、荷物の積合せ判定の精度を向上させることができる。他の一例としては、X座標、Y座標及びZ座標の座標軸別の警告距離を距離記憶部に保持させることもできる。ここで、エチレンガスは空気に比べて比重が軽く、車両3の荷台の中でも荷台が高いほどエチレンガスの影響が大きくなるので、X座標及びY座標の警告距離よりもZ座標の警告距離を長く設定するのが好ましい。そして、開示の装置は、荷物間のX座標の距離、Y座標の距離及びZ座標の距離のうちいずれかが警告距離以内であるか否かを判定することで、荷物の積合せ判定の精度を向上させることができる。
【0105】
[報知の応用例]
上記の実施例1では、積込み又は積直しが行われた時点で報知を実行する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されず、開示の装置は任意のタイミングで報知を実行することができる。一例としては、開示の装置は、第1の荷物の積込み作業または積直し作業が完了する前に荷物の積合せ判定を行って報知を実行することもできる。他の一例としては、開示の装置は、積込み対象とされる荷物の数量及び品名コードを受け付け、全ての荷物の組合せについて荷物間の距離が警告距離D1及びD2よりも大きくなる荷物の配置を特定した上でその荷物の配置を推奨することもできる。このとき、全ての荷物の組合せについて荷物間の距離が警告距離D1及びD2よりも大きくなる荷物の配置がない場合には、開示の装置は、荷物間で警告距離D1又はD2以下となる回数が最も少ない荷物の配置を推奨することもできる。
【0106】
[荷物の梱包]
上記の実施例1では、農作物が段ボールによって梱包される場合を例示したが、農作物が梱包されずに車両3の荷台にそのまま積み込まれる場合にも開示の装置を適用できる。この場合には、農作物のテンプレート画像を予め登録しておき、荷台画像のフレーム間の差分として検出された領域に各々の農作物のテンプレート画像に類似する画像が存在するか否かを監視することによって農作物の動きを検知すればよい。これによって、開示の装置は、農作物の積込み作業、積直し作業及び積出し作業を同様に検知できる。また、開示の装置は、段ボール以外の梱包体、例えばかごやパレットなどによって梱包される場合にも開示の装置を同様に適用できる。この場合には、荷台画像のフレーム間の差分として検出された領域に、予め定義されたかごやパレットに関する特徴が存在するか否かを監視することによってかごやパレットの動きを検知すればよい。これによって、開示の装置は、農作物の積込み作業、積直し作業及び積出し作業を同様に検知できる。
【0107】
[スタンドアローンへの適用]
上記の実施例1では、クラウドコンピューティングによりサーバがクライアントに荷物の積合せを判定するサービスを提供する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、開示の装置は、ネットワーク7を介さずとも、携帯端末50がスタンドアローンで動作する場合、すなわち携帯端末50が画像解析部15、取得部16、導出部17、判定部18及び報知制御部19の機能を有する場合にも同様に適用できる。
【0108】
[輸送以外の局面への適用]
上記の実施例1では、作業者5によって車両3の荷台に農作物が梱包された荷物が積まれる場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、開示の装置は、農作物が流通する過程で荷物をコンテナで運搬したり、倉庫に保管したりする場合にも適用できる。即ち、荷台、コンテナ、倉庫のように空間的に閉ざされた領域内に複数種類の荷物が置かれるような場合に適用することが考えられる。例えば、コンテナや倉庫の場合であれば、コンテナや倉庫に設置されたカメラを用いて、荷物の積込み作業、積直し作業及び積出し作業を同様に検知できる。
【0109】
[RFIDタグの使用]
上記の実施例1では、荷台画像から荷物の識別及び積荷位置の登録を行う場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、開示の装置は、荷物に同梱されたRFID(Radio Frequency Identification)タグまたは貼付けられたRFIDタグから、荷物に梱包されている農作物の品名コードを取得することにより荷物を識別することもできる。また、開示の装置は、荷物に同梱されたRFIDタグまたは貼付けられたRFIDタグから荷物が車両3の荷台に積まれた積荷位置を取得することにより積荷位置を登録することもできる。
【0110】
[農作物以外への適用]
上記の実施例1では、農作物が産出するエチレンガスによって他の農作物の鮮度が低下する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。開示の装置は、農作物を積み合わせる場合でなくとも、さらには、産出するガスがエチレンガスでなくとも、一方の物品が産出するガスによって他方の物品の品質が低下する場合に広く適用できる。一例としては、開示の装置は、におい成分を産出する魚介類などの物品と、におい成分が付着しやすいパンや衣類などの物品とが積み合わせられる場合に適用できる。
【0111】
この場合には、開示の装置では、エチレンガスの産出率の代わりににおい成分のガスに関する産出率を物品別及びにおい成分の種類別に産出率記憶部13aへ登録しておく。開示の装置では、エチレンガスの影響度の代わりににおい成分のガスに関する影響度を物品別及びにおい成分の種類別に影響度記憶部13bへ登録しておく。さらに、開示の装置では、エチレンガスの警告距離の代わりににおい成分のガスに関する警告距離をにおい成分の種類別及び産出率と影響度の組合せ別に距離記憶部14bへ登録しておく。その上で、開示の装置は、車両3の荷台に第1の荷物の積込み又は積直しがなされることにより第2の荷物に品質低下のおそれがあるか否かを判定し、または、既に積込み済みの第2の荷物により第1の荷物に品質低下のおそれがあるか否かを判定してもよい。このとき、積合せ判定は、におい成分の種類ごとに行われるのが好ましい。なお、上記のにおい成分の種類は、アンモニアなどの刺激臭を持つ成分であってもよいし、魚が腐敗した時に発する成分であってもよいし、たまごが腐敗した時に発する成分であってもよい。
【0112】
[装置の分散・統合]
また、図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、画像解析部15、取得部16、導出部17、判定部18または報知制御部19を積合せ判定サーバの外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。また、画像解析部15、取得部16、導出部17、判定部18または報知制御部19を別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、上記の積合せ判定サーバ10の機能を実現するようにしてもよい。また、品物情報記憶部12、産出率記憶部13a、影響度記憶部13b、積荷記憶部14a、距離記憶部14bの全部又は一部を別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、上記の積合せ判定サーバ10の機能を実現するようにしてもよい。
【0113】
[警告距離の補正]
上記の実施例1では、距離記憶部14bに記憶されている産出率と影響度との組み合わせごとに、警告距離を決定する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。開示の装置は、距離記憶部14bに記憶されている警告距離をそのまま処理に用いるのではなく、警告距離を補正してS308やS310での判断に用いても良い。例えば、産出率の大きい品物と、影響度の大きい(影響され易い)品物とが警告距離以内に置かれた場合であっても、そのような状態に置かれる時間が短ければ、影響は少ないことが予測できる。反対に、産出率の小さい品物と影響度の小さい(影響されにくい)品物とが警告距離以遠に置かれた場合であっても、そのような状態に置かれる時間が長ければ、影響は大きくなることが予測できる。
【0114】
そこで、複数の荷物同士が置かれた状態が維持される時間として、例えば運送時間や倉庫での保管時間に関する情報が得られれば、1よりも大きい補正係数であって、時間が長いほど、時間が短い場合と比較して値が大きくなるような補正係数を設定することが考えられる。そして、距離記憶部14bに記憶されている警告距離に補正係数を掛けた値を、S308やS310での判断に用いることが考えられる。このようにすることで、短時間の輸送であれば荷物を置くことのできる位置の自由度を高めることができるので、荷物を積み込む作業の自由度を高めることができる。
【0115】
また、産出率記憶部13aに記憶された品名コードごとの産出率をそのまま処理に用いるのではなく、産出率を補正しても良い。例えば、収穫直後と収穫から長時間が経過した後とでは、同一の農産物であっても産出率が変化することが考えられる。そこで、予め、品名コードごとに、産出量の経時変化量を記憶しておき、判定対象とする荷物内の農産物の収穫からの時間がわかれば、それらの情報を利用して産出率を補正することが考えられる。なお、開示の装置では、産出量の経時変化量を用いて産出率を補正する代わりに警告距離を補正することとしてもかまわない。
【0116】
[積合せ判定プログラム]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図15を用いて、上記の実施例と同様の機能を有する積合せ判定プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。
【0117】
図15は、実施例1及び実施例2に係る積合せ判定プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。図15に示すように、コンピュータ100は、操作部110aと、スピーカ110bと、カメラ110cと、ディスプレイ120と、通信部130とを有する。さらに、このコンピュータ100は、CPU150と、ROM160と、HDD170と、RAM180と有する。これら110〜180の各部はバス140を介して接続される。
【0118】
HDD170には、図15に示すように、上記の実施例1で示した画像解析部15と、取得部16と、導出部17と、判定部18と、報知制御部19と同様の機能を発揮する積合せ判定プログラム170aが予め記憶される。この積合せ判定プログラム170aについては、図2に示した各々の画像解析部15、取得部16、導出部17、判定部18及び報知制御部19の各構成要素と同様、適宜統合又は分離しても良い。すなわち、HDD170に格納される各データは、常に全てのデータがHDD170に格納される必要はなく、処理に必要なデータのみがHDD170に格納されれば良い。
【0119】
そして、CPU150が、積合せ判定プログラム170aをHDD170から読み出してRAM180に展開する。これによって、図15に示すように、積合せ判定プログラム170aは、積合せ判定プロセス180aとして機能する。この積合せ判定プロセス180aは、HDD170から読み出した各種データを適宜RAM180上の自身に割り当てられた領域に展開し、この展開した各種データに基づいて各種処理を実行する。なお、積合せ判定プロセス180aは、図2に示した画像解析部15、取得部16、導出部17、判定部18及び報知制御部19にて実行される処理、例えば図12及び図13に示す処理を含む。また、CPU150上で仮想的に実現される各処理部は、常に全ての処理部がCPU150上で動作する必要はなく、処理に必要な処理部のみが仮想的に実現されれば良い。
【0120】
なお、上記の積合せ判定プログラム170aについては、必ずしも最初からHDD170やROM160に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ100に挿入されるフレキシブルディスク、いわゆるFD、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させる。そして、コンピュータ100がこれらの可搬用の物理媒体から各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ100に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ100がこれらから各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。
【0121】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0122】
(付記1)コンピュータが、
所定の領域内に置かれた複数の物品を識別し、
前記複数の物品のうちの第1の物品及び第2の物品の識別結果に応じて、物品ごとに前記物品が産出するガスの産出度と前記物品がガスによって影響を受ける影響度とを記憶する記憶部から、前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度を取得し、
前記第1の物品及び前記第2の物品が、前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度によって定まる範囲内に積まれたか否かを判定し、
前記範囲内にあると判定された場合に報知を実行するように制御する処理
を実行することを特徴とする積合せ判定方法。
【0123】
(付記2)前記コンピュータが、
前記第1の物品及び前記第2の物品の距離を導出する処理をさらに実行し、
前記範囲内に積まれたか否かを判定する処理として、
前記第1の物品及び前記第2の物品の距離が、産出度及び影響度の組合せごとに距離を対応付けて記憶する距離記憶部によって記憶された距離のうち前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度に対応する距離以下であるか否かを判定する処理を実行することを特徴とする付記1に記載の積合せ判定方法。
【0124】
(付記3)前記コンピュータが、
前記第1の物品及び前記第2の物品が積まれる期間に応じて、前記距離記憶部によって前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度に対応付けて記憶された距離を補正する処理をさらに実行し、
前記範囲内に積まれたか否かを判定する処理として、
前記第1の物品及び前記第2の物品の距離が、前記補正された距離以下であるか否かを判定する処理を実行することを特徴とする付記2に記載の積合せ判定方法。
【0125】
(付記4)前記範囲内に積まれたか否かを判定する処理として、
産出度及び影響度の組合せごとに範囲の有無を対応付けて記憶する範囲記憶部によって記憶された範囲の有無のうち前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度に対応する範囲が有りであるか否かを判定する処理を実行することを特徴とする付記1に記載の積合せ判定方法。
【0126】
(付記5)前記産出度及び前記影響度を取得する処理として、
前記第2の物品の産出度及び前記第1の物品の影響度をさらに取得する処理を実行し、
前記範囲内に積まれたか否かを判定する処理として、
前記第1の物品及び前記第2の物品が、前記第2の物品の産出度及び前記第1の物品の影響度によって定まる範囲内に積まれたか否かをさらに判定し、
前記報知を実行するように制御する処理として、
前記第1の物品及び前記第2の物品が、前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度によって定まる範囲内、又は、前記第2の物品の産出度及び前記第1の物品の影響度によって定まる範囲内に積まれたと判定された場合に、報知を実行するように制御することを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載の積合せ判定方法。
【0127】
(付記6)物品ごとに前記物品が産出するガスの産出度と前記物品がガスによって影響を受ける影響度とを記憶する記憶部と、
所定の領域内に置かれた複数の物品を識別する識別部と、
前記識別部により識別された、前記複数の物品のうちの第1の物品及び第2の物品につき、前記記憶部から前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度を取得する取得部と、
前記第1の物品及び前記第2の物品が、前記取得部によって取得された第1の物品の産出度及び第2の物品の影響度によって定まる範囲内に積まれたか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって範囲内にあると判定された場合に報知を実行するように制御する報知制御部と
を有することを特徴とする積合せ判定装置。
【0128】
(付記7)産出度及び影響度の組合せごとに距離を対応付けて記憶する距離記憶部と、
前記第1の物品及び前記第2の物品の距離を導出する導出部とをさらに有し、
前記判定部は、前記導出部によって導出された第1の物品及び第2の物品の距離が、前記距離記憶部によって記憶された距離のうち前記取得部によって取得された第1の物品の産出度及び第2の物品の影響度に対応する距離以下であるか否かを判定することを特徴とする付記6に記載の積合せ判定装置。
【0129】
(付記8)前記第1の物品及び前記第2の物品が積まれる期間に応じて、前記距離記憶部によって前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度に対応付けて記憶された距離を補正する補正部をさらに有し、
前記判定部は、前記導出部によって導出された第1の物品及び第2の物品の距離が、前記補正部によって補正された距離以下であるか否かを判定することを特徴とする付記7に記載の積合せ判定装置。
【0130】
(付記9)産出度及び影響度の組合せごとに範囲の有無を対応付けて記憶する範囲記憶部をさらに有し、
前記判定部は、前記範囲記憶部によって記憶された範囲の有無のうち前記取得部によって取得された第1の物品の産出度及び第2の物品の影響度に対応する範囲が有りであるか否かを判定することを特徴とする付記6に記載の積合せ判定装置。
【0131】
(付記10)前記取得部は、前記第2の物品の産出度及び前記第1の物品の影響度をさらに取得し、
前記判定部は、前記第1の物品及び前記第2の物品が、前記取得部によって取得された第2の物品の産出度及び第1の物品の影響度によって定まる範囲内に積まれたか否かをさらに判定し、
前記報知制御部は、前記判定部によって前記第1の物品及び前記第2の物品が前記第1の物品の産出度及び第2の物品の影響度によって定まる範囲内又は前記第2の物品の産出度及び前記第1の物品の影響度によって定まる範囲内に積まれたと判定された場合に、報知を実行するように制御することを特徴とする付記6〜9のいずれか1つに記載の積合せ判定装置。
【0132】
(付記11)コンピュータに、
所定の領域内に置かれた複数の物品を識別し、
前記複数の物品のうちの第1の物品及び第2の物品の識別結果に応じて、物品ごとに前記物品が産出するガスの産出度と前記物品がガスによって影響を受ける影響度とを記憶する記憶部から、前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度を取得し、
前記第1の物品及び前記第2の物品が、前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度によって定まる範囲内に積まれたか否かを判定し、
前記範囲内にあると判定された場合に報知を実行するように制御する処理
を実行させることを特徴とする積合せ判定プログラム。
【符号の説明】
【0133】
1 データセンタ
3 車両
5 作業者
10 積合せ判定サーバ
11 通信I/F部
12 品物情報記憶部
13a 産出率記憶部
13b 影響度記憶部
14a 積荷記憶部
14b 距離記憶部
15 画像解析部
15a 検知部
15b 識別部
15c 登録部
16 取得部
17 導出部
18 判定部
19 報知制御部
30 カメラ
50 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
所定の領域内に置かれた複数の物品を識別し、
前記複数の物品のうちの第1の物品及び第2の物品の識別結果に応じて、物品ごとに前記物品が産出するガスの産出度と前記物品がガスによって影響を受ける影響度とを記憶する記憶部から、前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度を取得し、
前記第1の物品及び前記第2の物品が、前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度によって定まる範囲内に積まれたか否かを判定し、
前記範囲内にあると判定された場合に報知を実行するように制御する処理
を実行することを特徴とする積合せ判定方法。
【請求項2】
前記コンピュータが、
前記第1の物品及び前記第2の物品の距離を導出する処理をさらに実行し、
前記範囲内に積まれたか否かを判定する処理として、
前記第1の物品及び前記第2の物品の距離が、産出度及び影響度の組合せごとに距離を対応付けて記憶する距離記憶部によって記憶された距離のうち前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度に対応する距離以下であるか否かを判定する処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の積合せ判定方法。
【請求項3】
前記コンピュータが、
前記第1の物品及び前記第2の物品が積まれる期間に応じて、前記距離記憶部によって前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度に対応付けて記憶された距離を補正する処理をさらに実行し、
前記範囲内に積まれたか否かを判定する処理として、
前記第1の物品及び前記第2の物品の距離が、前記補正された距離以下であるか否かを判定する処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の積合せ判定方法。
【請求項4】
前記産出度及び前記影響度を取得する処理として、
前記第2の物品の産出度及び前記第1の物品の影響度をさらに取得する処理を実行し、
前記範囲内に積まれたか否かを判定する処理として、
前記第1の物品及び前記第2の物品が、前記第2の物品の産出度及び前記第1の物品の影響度によって定まる範囲内に積まれたか否かをさらに判定し、
前記報知を実行するように制御する処理として、
前記第1の物品及び前記第2の物品が、前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度によって定まる範囲内、又は、前記第2の物品の産出度及び前記第1の物品の影響度によって定まる範囲内に積まれたと判定された場合に、報知を実行するように制御することを特徴とする請求項1、2または3に記載の積合せ判定方法。
【請求項5】
物品ごとに前記物品が産出するガスの産出度と前記物品がガスによって影響を受ける影響度とを記憶する記憶部と、
所定の領域内に置かれた複数の物品を識別する識別部と、
前記識別部により識別された、前記複数の物品のうちの第1の物品及び第2の物品につき、前記記憶部から前記第1の物品の産出度及び前記第2の物品の影響度を取得する取得部と、
前記第1の物品及び前記第2の物品が、前記取得部によって取得された第1の物品の産出度及び第2の物品の影響度によって定まる範囲内に積まれたか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって範囲内にあると判定された場合に報知を実行するように制御する報知制御部と
を有することを特徴とする積合せ判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−158460(P2012−158460A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21176(P2011−21176)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)