説明

積層シート体の切断装置

【課題】シート状部材の切断作業を容易迅速に行うことができる積層シート体の切断装置を提供する。
【解決手段】複数枚のシート状部材3,4を積層してなる積層シート体の前記複数枚のシート状部材3,4のうちの少なくとも表面又は裏面となる一つシート状部材4を他のシート状部材3とを相対的に移動させて分離する分離手段8と、該分離手段8で分離した前記少なくとも一つ又は他のシート状部材3の切断すべき部分を切断する切断手段9とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のシート状部材を積層してなる積層シート体において、特定のシート状部材の切断すべき部分を切断する積層シート体の切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積層シート体としては、例えば電極板を樹脂製のシート状部材で両側から挟み込むように積層してなる電極パッドが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記電極板は、電極本体部と、該電極本体部の一端に形成され、通電用のリード線を接続するための端子部とを備えている。そして、前記電極パッドの製造工程について説明すれば、上下一対の長尺なシート状部材を搬送し、それら搬送されてきた上下のシート状部材間に電極板を配置することによって、電極板をシート状部材で両側から挟み込んでいく。電極板とシート状部材とが積層された状態で、上下に重なったシート状部材を電極板よりも少し大きなサイズに金型を用いて打ち抜くことによって、電極パッドを製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−196545号公報(図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記のように製造された電極パッドは、電極板全体、つまり電極本体部だけでなく端子部も表裏両面がシート状部材で覆われた状態になっているため、そのままの状態では、シート状部材が邪魔となって端子部にリード線をかしめ等により接続することができない。そこで現状では、作業者は、一方のシート状部材の端子部を覆っている部分を端子部から引き離し、その状態で鋏などを用いて前記引き離した部分(つまり、端子部を覆っている部分)を手作業で切断している。こうして、端子部を露出させ、露出させた端子部にリード線をかしめ等により接続している。
【0006】
しかしながら、上記のように端子部を露出させるための前記手作業は、手間のかかる煩わしいものであり、改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、シート状部材の切断作業を容易迅速に行うことができる積層シート体の切断装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る積層シート体の切断装置は、複数枚のシート状部材を積層してなる積層シート体の前記複数枚のシート状部材のうちの少なくとも表面又は裏面となる一つのシート状部材と他のシート状部材とを相対的に移動させて分離する分離手段と、該分離手段で分離した前記少なくとも一つ又は他のシート状部材の切断すべき部分を切断する切断手段とを備えていることを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、分離手段によって、少なくとも一つのシート状部材と他のシート状部材とを相対的に移動させて分離することができる。そして、分離手段で分離した一つ又は他のシート状部材の切断すべき部分を切断手段で切断することができる。
【0010】
また、本発明に係る積層シート体の切断装置においては、前記シート状部材の積層方向が上下方向となるように積層シート体を載置する載置台を備え、前記分離手段は、前記載置台上の積層シート体のシート状部材を上下方向両側から吸着する上下一対の吸着パッドと、該上下一対の吸着パッドがシート状部材を吸着した状態で、一方の吸着パッドと他方の吸着パッドとを互いに離間するように相対的に移動させる吸着パッド移動手段とを備え、前記上下一対の吸着パッドが前記少なくとも一つのシート状部材及び他のシート状部材を吸着した状態で、該両吸着パッドを前記吸着パッド移動手段で相対的に移動させることによって、前記少なくとも一つのシート状部材と他のシート状部材とを分離するように構成されていてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、上下一対の吸着パッドがそれぞれシート状部材を吸着した状態で一方の吸着パッドと他方の吸着パッドとが離間するように、吸着パッド移動手段で両方の吸着パッドを相対的に移動させることによって、前記一つのシート状部材と他のシート状部材とを引き離して分離することができる。
【0012】
また、本発明に係る積層シート体の切断装置においては、前記吸着パッド移動手段は、一方の吸着パッドを横軸回りで回転させることによって、該一方の吸着パッドを他方の吸着パッドに対して離間させる構成であってもよい。
【0013】
かかる構成によれば、一方の吸着パッドを横軸回りで回転させる構成にすることによって、例えば一方の吸着パッドをスライドさせて他方の吸着パッドに対して離間させる構成に比べて、引き離しに要する吸着パッドの移動スペースを少なくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上の如く、本発明によれば、分離手段と切断手段とを備えることによって、少なくとも一つのシート状部材と他のシート状部材とを引き離して切断することができ、シート状部材の切断作業を容易迅速に行うことができる。したがって、シート状部材の切断作業を、大きな労力を必要とすることがなく容易に行える。特に、電極パッドにおいてシート状部材の端子部を覆っている部分を切断する場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の積層シート体の切断装置の斜視図である。
【図2】電極パッドを示し、(a)はそれの平面図、(b)は図2(a)におけるI−I線断面図である。
【図3】(a),(b),(c),(d)は切断手順を示す一部断面にした正面図である。
【図4】(a)はシート状部材を切断する直前の状態を示す要部の縦断側面図、(b)はシート状部材を切断した後の状態を示す要部の縦断側面図である。
【図5】上側の延出部を切断した電極パッドを示し、(a)はそれの上側部分の平面図、(b)は図5(a)におけるII−II線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る積層シート体の切断装置の一実施形態について、図面を参酌して説明する。
【0017】
積層シート体としては、人体の表面に貼り付けて使用する電極パッド1(図2(a),(b)参照)が挙げられる。また、切断装置は、図1に示し、電極パッド1の端子部23(図2(a)参照)を露出させるために後述する一方のシート状部材3の切断すべき部分を切断する装置として用いられる。
【0018】
電極パッド1は、図2(a),(b)に示すように、図示しない通電用のリード線がかしめ(又は半田付け)等により接続される電極板2と、電極板2の表裏両面に貼り付けられて積層されるシート状部材3,4とから構成される。
【0019】
電極板2は、略長方形状の左右一対の電極本体部21,22と、電極本体部21,22の長手方向一端でかつ短手方向(左右幅方向)中央部から長手方向に延びる略正方形状の端子部23とを備えている。
【0020】
電極本体部21,22及び端子部23は、可撓性を有して人体表面に沿って変形でき、かつ、電気抵抗の小さいものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、アルミニウム箔、ステンレス箔、銅箔、ニッケル箔等の金属箔、合成樹脂フィルム上にカーボン、銀、塩化銀等の導電材料を合成樹脂等のバインダーを介して層状に付着させた複合フィルム等が挙げられ、特に金属箔が好ましく、その中でもアルミニウム箔がより好ましい。
【0021】
一方のシート状部材3は、電極板2の外形よりも大きな外形を有し、2つの電極本体部21,22を覆う本体部31と、本体部31の長手方向一端でかつ短手方向(左右幅方向)中央部から長手方向に延びて端子部23を覆う延出部32とを備えている。前記本体部31の長手方向の延出部32側端で、かつ、延出部32を挟んで左右方向両側の部位には、本体部の長手方向外側に凸となるように湾曲して膨出する左右一対の膨出部31A,31Aを備えている。また、シート状部材3は、非導電性の樹脂フィルムからなり、ポリエチレン、ポリウレタン等からなっている。尚、シート状部材3の電極本体部21,22側表面に粘着剤層311を備えており、電極本体部21,22にシート状部材3を貼り付けることができる。また、シート状部材3の電極本体部21,22側表面のうちの端子部23に対応する箇所には、粘着剤層は備えていない。
【0022】
他方のシート状部材4は、電極板2の外形よりも大きな外形を有し、2つの電極本体部21,22を覆う本体部41と、本体部41の長手方向一端でかつ短手方向(左右幅方向)から長手方向に延びて端子部23を覆う延出部42とを備えている。前記本体部41の長手方向の延出部32側端で、かつ、延出部32を挟んで左右方向両側の部位には、本体部の長手方向外側に凸となるように湾曲して膨出する左右一対の膨出部41A,41Aを備えている。また、シート状部材4は、不織布からなり、セルロース、絹、麻等の天然繊維やポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成繊維、または、それらの混紡が使用可能であり、必要に応じて、バインダーが用いられ、更に、着色される場合がある。尚、シート状部材4の電極本体部21,22側表面に粘着剤層411を備えており、電極本体部21,22にシート状部材4を貼り付けることができる。また、シート状部材4の電極本体部21,22側表面のうちの端子部23に対応する箇所にも、粘着剤層411を備えている。従って、一方のシート状部材3の延出部32に対して他方のシート状部材4の延出部42を引き離すことによって、延出部42に貼り付けられている端子部23が延出部42と一体となって移動する。このため、一方のシート状部材3の延出部32に対して他方のシート状部材4の延出部42を引き離すだけで、端子部23も一体的に引き離すことができる。
【0023】
前記構成の電極パッド1は、電極板2の端子部23の表裏両面もシート状部材3,4で覆われた状態になっているため、端子部23にリード線をかしめ等により接続することができない。そのため、本発明の切断装置を用いて、一方のシート状部材3の延出部(切断すべき部分)32に対して他方のシート状部材4の延出部42を端子部23と共に引き離し、その状態で一方のシート状部材3の延出部(切断すべき部分)32を切断する。この切断によって、端子部23を露出させ、露出させた端子部23にリード線をかしめ等により接続することができる。
【0024】
次に、切断装置について説明すれば、図1に示すように、直方体状の金属製の本体部5と、本体部5の上面に取り付けられた電極パッド置き台6と、電極パッド置き台6上に置かれる電極パッド1の位置決めを行うための位置決め用枠7と、位置決め用枠7で位置決めされた電極パッド1の一方のシート状部材3に対して他方のシート状部材4を引き離して分離する分離手段8と、分離手段8で分離した一方のシート状部材3の切断すべき部分を切断する切断手段9とを備えている。前記電極パッド置き台6と位置決め用枠7とから、シート状部材3,4の積層方向が上下方向となるように積層シート体を載置する載置台を構成している。尚、前記電極パッド置き台6から前記載置台を構成して実施することもできる。
【0025】
また、図示していないが、位置決め用枠7で位置決めされた電極パッド1の存在を検出するための検出手段を本体部5内に設けている。その検出手段からの検出信号に基づいて切断装置の作動を制御するための制御装置(図示せず)や各種の駆動用のアクチュエータなどを本体部5内に設けている。また、本体部5の4つの角部のうちの2つの角部のそれぞれには、緊急停止ボタン16を設けている。
【0026】
電極パッド置き台6は、上面が扁平な面に構成された平面視略長方形状の金属板からなり、その長手方向一端の横幅方向中央部に長手方向内側に切り欠き形成された切欠部6Aを備えている。この切欠部6Aに指を入れることによって、切断が完了した電極パッド置き台6上の電極パッド1を上下から掴んで容易に取り出すことができる。
【0027】
位置決め用枠7は、電極パッド1の長手方向一辺(図2(a)において左側長辺1L)と短手方向一辺(図2(a)において下側短辺1S)とが当接して電極パッド1の位置決めを行う金属製のL字状部材からなっている。
【0028】
分離手段8は、載置台を構成する電極パッド置き台6に位置決め用枠7で位置決めされた状態で置かれた電極パッド1を上下方向両側から吸着する上下一対の吸着パッド10,11と、上下一対の吸着パッド10,11が吸着状態で図3で示す下側の吸着パッド11を上側の吸着パッド10(図3では上側)に対して離間する側に移動させる吸着パッド移動手段12とを備えている。
【0029】
図3(a),(b),(c),(d)に示すように、上側に位置する吸着パッド10は、ゴム製の吸引パッド部101と、吸引パッド部101が取り付けられる金属製の保持部102と、保持部102を介して吸引パッド部101に吸引用のエアを供給するためのコンプレッサー(図示せず)と、保持部102とコンプレッサーとを連結するエア案内用のホース(図示せず)とを備えている。また、吸引パッド部101の上端には、伸縮自在なエアシリンダ13が連結されている。従って、エアシリンダ13の伸長作動により吸引パッド部101の下端を電極パッド1の上端に接触させる状態(図3(a)の実線参照)にすることができ、エアシリンダ13の短縮作動により吸引パッド部101の下端を電極パッド1の上端から離間させる状態(図3(a)の二点鎖線参照)にすることができる。前記エアシリンダ13の上端は、図1に示すように、本体部5の上面に固定された逆L字状の支持アーム14の水平部の先端に取り付けられている。
【0030】
下側に位置する吸着パッド11は、ゴム製の吸引パッド部111と、吸引パッド部111が取り付けられる金属製の保持部112と、保持部112を介して吸引パッド部111に吸引用のエアを供給するためのコンプレッサー(図示せず)と、保持部112とコンプレッサーとを連結するエア案内用のホース(図示せず)とを備えている。
【0031】
吸着パッド移動手段12は、下側の吸着パッド11を電極パッド1の短辺方向(左右幅方向)に沿った横軸15回りで回転させて一方のシート状部材3に対して他方のシート状部材4を引き離す回転シリンダからなっている。この回転シリンダ12による引き離しによって、他方のシート状部材4に一体化している端子部23も引き離すことができる。
【0032】
横軸15は、前記のように回転シリンダ12の駆動により回動されるようになっている。従って、図3(a)において、横軸15を時計回りに回転させるように回転シリンダ12を駆動することによって、下側のシート状部材4を吸着する位置から下方側に90度回転させて上側のシート状部材3から引き離した分離位置まで移動させることができる(図3(b)参照)。この分離位置で上側のシート状部材3の切断すべき部分を切断した後において、横軸15を前記とは反対の反時計回りに回転させるように回転シリンダ12を駆動することによって、次の電極パッド1の下側のシート状部材4を吸着する吸着位置まで移動させることができる。
【0033】
下側の吸着パッド11の保持部112が、支持ブラケット17を介して横軸15に取付られており、横軸15の位置及び支持ブラケット17の寸法などによって、下側の吸着パッド11の回転軌跡が設定される。
【0034】
切断手段9は、図1及び図4(a),(b)に示すように、上側のシート状部材3の端子部23に対応する箇所を切断する鋏18と、鋏18をシート状部材3の端子部23に対応する箇所となる切断位置と該切断位置から離間した待機位置とに移動させるためのロッドレスシリンダ24と、鋏18を切断位置で切断作動させるためのシリンダ25とを備えている。
【0035】
鋏18は、基端部でピン19により連結され、コイルバネ(図示せず)により開き側に付勢される2枚の切刃18A,18Bからなっている。これら切刃18A,18Bは、シリンダ25によりピン19回りで閉じ側に操作して、上側のシート状部材3の特定部分を切断することができる。
【0036】
ロッドレスシリンダ24は、ピストンロッドのないエアシリンダで、シリンダチューブ24Aから突出したピストンヨーク24aに鋏18が収納固定されている前記シリンダ25に取り付けられている。よって、ロッドレスシリンダ24のピストンヨーク24aの移動により鋏18が切断位置(図3(c)二点鎖線の位置)と待機位置(図3(c)実線の位置)とに移動できるようになっている。鋏18は、図3(c)及び図4(a),(b)に示すように、先端側ほど上方に位置する前上がり傾斜姿勢になっており、この姿勢を維持した状態で図3(c)に実線で示す待機位置から2点鎖線で示す切断位置まで移動できるようになっている。
【0037】
シリンダ25は、圧縮エアがエアホース26を介して供給されるシリンダチューブ25Aと、シリンダチューブ25Aに供給される圧縮エアによりシリンダチューブ25Aの前端(先端)側に移動するリング状の可動部材25Bと、可動部材25Bをシリンダチューブ25Aの後端(基端)側に移動付勢すべく、シリンダチューブ25A内に備えた引っ張りスプリング27とからなっている。前記可動部材25Bは、シリンダチューブ25Aの内面と、鋏18の基端部が連結固定されて後方へ延出される固定部材28の外面との間に気密状態で配置されている。従って、圧縮エアがシリンダチューブ25Aに供給されていない状態では、可動部材25Bは、引っ張りスプリング27によりシリンダチューブ25Aの後端(基端)側に移動付勢されており(図4(a)参照)、圧縮エアがシリンダチューブ25Aに供給されると、鋏18の固定部材28に位置している可動部材25Bを鋏18の先端側へ移動させ(図4(b)参照)、開いている切刃18A,18Bを閉じ側へ揺動操作して上側のシート状部材3の特定部分を切断する(図4(b)参照)。
【0038】
上記のように構成された切断装置の切断作動について説明する。まず、切断装置の電源スイッチ(図示せず)をONにし、電極パッド置き台6に電極パッド1を位置決め用枠7で位置決めしながら置く。すると、本体部5に備える制御装置は、前記検出手段からの検出信号に基づいて電極パッド1が所定位置にセットされたと判断し、切断スイッチ(図示せず)の動作信号が確認されるまで待機状態を維持する。
【0039】
切断スイッチの動作信号が確認されると、エアシリンダ13を伸長作動させて、上側の吸着パッド10を図3(a)の二点鎖線で示す待機状態から実線で示す吸引位置まで下降させる。この状態において、コンプレッサーを吸引作動させて上下一対の吸着パッド10,11が電極パッド1を上下方向両側から吸着する(図3(a)参照)。この状態から、吸着パッド移動手段12により下側の吸着パッド11を電極パッド1の短辺方向(左右幅方向)に沿った横軸15回りで回転させて上側のシート状部材3に対して下側のシート状部材4を引き離す(図3(b)参照)。
【0040】
この状態から、上側の吸着パッド10への吸引を停止した後、エアシリンダ13を短縮作動させて上側の吸着パッド10を電極パッド1の上端から離間させる位置まで上昇させるとともに、ロッドレスシリンダ24のピストンヨーク24aを移動させることにより鋏18が待機位置から切断位置に位置する(図3(c)の二点鎖線参照)。続いて、可動部材25Bが鋏18の先端側へ移動し、開いている切刃18A,18Bを閉じ側へ揺動操作して上側のシート状部材3の特定部分である延出部32を切断し(図4(b)参照)、作業が終了する。尚、延出部32を切断して端子部23が露出した状態を、図5(a),(b)に示している。
【0041】
前記切断装置に備えた分離手段8によって、上側のシート状部材3に対して下側のシート状部材4を引き離して分離することができるため、上側のシート状部材3の切断すべき部分(延出部32)を切断手段9で確実に切断することができる。しかも、切断位置に位置する場合において図3(c)に示すように先端が斜め上方を向いた前上がり傾斜姿勢の鋏18が斜め上方へ移動することによって、上側の切刃18Aが図2(a)に示すように右側の突出部31Aに当たることなく延出部32と右側の突出部31Aとの間に形成されたデッドスペースD(図2(a)及び図5(a)参照)に入り込むことができる。従って、切断時においても右側の突出部31Aの一部を切断してしまうといったトラブル発生もない。また、切断時に上側の吸着パッド10を電極パッド1の上端から離間させる位置まで上昇させることによって、上側の吸着パッド10を切断してしまうといったトラブル発生もない。また、下側の吸着パッド11を横軸回りで回転させる構成にすることによって、吸着パッド11をスライドさせる構成に比べて、下側のシート状部材4の引き離しに要する吸着パッド11の移動スペースを少なくすることができる。ここでは、切断したい部分のみを分離させる構成としているが、切断したい部分以外の部分も合わせて分離させてその分離させた部分の一部を切断する構成であってもよい。
【0042】
尚、本発明に係る粘着シート体の切断装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
前記実施形態では、切断装置を電極パッド1のシート状部材3の延出部32を切断する構成としたが、フィルムシールの端を剥がし易いように離型紙に対して粘着剤が塗布されているフィルムの端(一部分)を切断する切断装置であってもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、鋏18を先端が斜め上方を向いたまま切断位置まで移動させる構成としたが、突出部31Aの無い電極パッド1であれば、水平方向に移動させて切断することも可能である。
【0045】
また、前記実施形態では、吸着パッドを横軸回りで回転させる構成としたが、吸着パッドをスライドさせる構成であってもよい。
【0046】
また、前記実施形態では、一方の(下側の)シート状部材4を他方の(上側の)シート状部材3に対して離間させたが、他方の(上側の)シート状部材3を一方の(下側の)シート状部材4に対して離間させてもよいし、また両方のシート状部材3,4を離間させる構成であってもよい。このように複数枚のシート状部材のうちの少なくとも表面又は裏面となる一方のシート状部材と他方のシート状部材とを相対的に移動させて分離する構成であれば、どのような構成であってもよい。尚、複数のシート状部材を相対的に移動させるとは、一方のシート状部材のみを移動させる場合、他方のシート状部材のみを移動させる場合、両方のシート状部材を移動させる場合が含まれる。また、実施形態では、2枚のシート状部材であったが、3枚以上のシート状部材を分離させる場合でもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…電極パッド、2…電極板、3,4…シート状部材、5…本体部、6…電極パッド置き台、6A…切欠部、7…位置決め用枠、8…分離手段、9…切断手段、10,11…吸着パッド、12…吸着パッド移動手段(回転シリンダ)、13…エアシリンダ、14…支持アーム、15…横軸、16…緊急停止ボタン、17…支持ブラケット、18…鋏、19…ピン、21,22…電極本体部、23…端子部、24…ロッドレスシリンダ、24a…ピストンヨーク、25…シリンダ、26…エアホース、27…スプリング、28…固定部材、31…本体部、32,42…延出部、41…本体部、101…吸引パッド部、102…保持部、111…吸引パッド部、112…保持部、311,411…粘着剤層、D…デッドスペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシート状部材を積層してなる積層シート体の前記複数枚のシート状部材のうちの少なくとも表面又は裏面となる一つのシート状部材と他のシート状部材とを相対的に移動させて分離する分離手段と、該分離手段で分離した前記少なくとも一つ又は他のシート状部材の切断すべき部分を切断する切断手段とを備えていることを特徴とする積層シート体の切断装置。
【請求項2】
前記シート状部材の積層方向が上下方向となるように積層シート体を載置する載置台を備え、
前記分離手段は、前記載置台上の積層シート体のシート状部材を上下方向両側から吸着する上下一対の吸着パッドと、該上下一対の吸着パッドがシート状部材を吸着した状態で、一方の吸着パッドと他方の吸着パッドとを互いに離間するように相対的に移動させる吸着パッド移動手段とを備え、前記上下一対の吸着パッドが前記少なくとも一つのシート状部材及び他のシート状部材を吸着した状態で、該両吸着パッドを前記吸着パッド移動手段で相対的に移動させることによって、前記少なくとも一つのシート状部材と他のシート状部材とを分離するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層シート体の切断装置。
【請求項3】
前記吸着パッド移動手段は、一方の吸着パッドを横軸回りで回転させることによって、該一方の吸着パッドを他方の吸着パッドに対して離間させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の積層シート体の切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−111685(P2013−111685A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259112(P2011−259112)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(510218870)株式会社積水化成品天理 (9)
【Fターム(参考)】