説明

積層シート

【課題】注意を払って取り扱うことを払拭することができるとともに、巻圧が加わったとしても、接着シートに押し痕が付くことを防止できる積層シートを提供する。
【解決手段】積層シートLは、帯状の剥離シートRLと、この剥離シートRLの一方の面の長尺方向に所定の間隔を隔てて積層された円形の接着シートSと、剥離シートRLの一方の面に設けられるとともに、接着シートSと異なる位置に積層された接触防止部材CPとを備える。接触防止部材CPは、原接着シートS0に形成された切込CUの外側に形成される不要シートS3と、この不要シートS3と剥離シートRLとの間に積層され、不要シートS3に覆われる中間層Mとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一定の間隔で接着シートが設けられた積層シートを巻取体とすると、当該巻取体は、徐々に巻径が大きくなる。このため、接着シートは、1巻前すなわち最寄り内側に位置する接着シートや、1巻後すなわち最寄り外側に位置する接着シートとは平面視で完全に重なることはなく、必ず円弧方向にずれて重なりずれを伴う。これにより、積層シートは、巻取体とされるときに巻圧が加わるので、接着シートには、最寄り内側や、最寄り外側に位置する接着シートの縁によって押し痕が付いてしまう。
そこで、積層シートを巻取体としたときに最寄り内側や、最寄り外側の剥離シートと接着シートとの間に間隙を確保するための保護層が形成された積層シートが利用されている(例えば、特許文献1参照)。このような積層シートは、間隙が設けられているので、重なりずれに伴い接着シートに押し痕が付くことを防止することができる。
【0003】
特許文献1には、このような積層シートを製造する方法として、エネルギー線硬化型の樹脂を塗布することで保護層を形成し、エネルギー線を照射して保護層を硬化させた後に、当該積層シートを巻取体として回収する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−126518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の積層シート製造方法で製造された積層シートは、例えば、積層シートの製造工程において、樹脂が完全に硬化しないうちに積層シートを巻取体とすると、樹脂が最寄り外側に位置する積層シートに接着してしまう。そして、このような巻取体から積層シートを無理矢理巻き解くと、剥離シートや接触防止部材が変形したり破損したりすることで、接着シートが使いものにならなかったり、塵埃を生じるため、特に半導体製造工程などのクリーンルームでの使用に問題が起きたりする。また、樹脂以外のもので接触防止部材を構成したとしても、ときに接触防止部材が剥がれ落ちたり、破損したりして、接触防止部材が役に立たず、接着シートに押し痕が付いてしまうという不都合がある。
【0006】
本発明の目的は、注意を払って取り扱うことを払拭することができるとともに、巻圧が加わったとしても、接着シートに押し痕が付くことを防止できる積層シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の積層シートは、帯状の剥離シートと、当該剥離シートの一方の面に所定の間隔を隔てて仮着された所定の形状の接着シートと、前記剥離シートの一方の面に設けられるとともに、前記接着シートと異なる位置に積層された接触防止部材とからなる積層シートであって、前記接着シートは、基材シートの一方の面に接着剤層を有し、当該接着剤層を介して前記剥離シートの一方の面に仮着された帯状の原接着シートに形成された閉ループ状の切込の内側によって形成され、前記接触防止部材は、前記閉ループ状の切込の外側に形成された不要シートと、当該不要シートと前記剥離シートとの間に積層された中間層とを備えている、という構成を採用している。
【0008】
この際、本発明の積層シートでは、前記接触防止部材は、前記接着シートの外周全域に対応した孔を有する、ことが好ましい。
さらに、本発明の積層シートでは、前記孔は、前記積層シートが巻取体とされたときに、前記接触防止部材と、この接触防止部材上に他方の面が接触する剥離シート上の接着シートとが当該接着シートの平面視で重ならない形状である、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、接触防止部材を構成する中間層が不要シートと剥離シートとの間に積層されるため、例えば、樹脂で中間層を形成したときに、従来例のように、樹脂が完全に硬化する前に積層シートを巻取体としても、当該樹脂を中間層が覆うように積層されるので、樹脂が最寄り外側に位置する積層シートに接着してしまうようなことを防止することができる。これにより、巻取体から積層シートを無理矢理巻き解くことがなくなり、剥離シートや中間層が破損し、塵埃が生じることを防止できる。また、樹脂以外のもので中間層を構成しても、当該中間層は、不要シートと剥離シートとでカバーされるので、中間層が剥がれ落ちたり、破損したりすることを防止できる。
【0010】
また、不要シートで中間層を覆うので、中間層を覆う部材を別途用意する必要がない上、不要シートを有効利用できる。また、不要シートは、接着シートを形成する切込の外側に形成されるので、接着シートと重ならないよう設けられる。したがって、不要シートの形状や位置を接着シートに重ならないように設計する必要がなく、中間層を接着シートと重ならない位置に設けるだけで、接触防止部材を接着シートと重ならない位置に設けることができる。
【0011】
また、接触防止部材が接着シートの外周全域に対応した孔を有するので、接触防止部材が積層シートの短寸幅方向中央部には設けられていないことで、当該幅方向中央部に位置する最寄り内側や、最寄り外側に位置する接着シートの縁によって、接着シートに押し痕が付くことを防止することができる。
【0012】
さらに、前記孔が、積層シートが巻取体とされたときに、接触防止部材と、この接触防止部材上に他の面が接触する剥離シートに積層された接着シートとが平面視で重ならない形状に形成されれば、積層シートが巻取体とされたときの重なりずれによって、接着シートが巻取体の径方向内側および、径方向外側に位置する接触防止部材に重なることがない。したがって、巻圧が加わったときに、接触防止部材の縁により接着シートに押し痕が付くことを防止することができる。ここで、孔は、接着シートが少なくとも最寄り内側および、最寄り外側に位置する接触防止部材に重なることがないように形成されればよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る積層シートの斜視図。
【図2】図1の積層シートを巻取体としたときの部分断面図。
【図3】図1の積層シートを製造する積層シート製造装置の概略図。
【図4】本発明の変形例に係る積層シートの平面図。
【図5】本発明の変形例に係る積層シートを製造する積層シート製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、積層シートを巻取体としたとき、基準となる積層シート部分の最寄り内側に位置する積層シートを内側積層シートと言い、最寄り外側に位置する積層シートを外側積層シートと言う。そして、これら内側積層シートまたは外側積層シートを構成する各層や部材についても内側または外側の呼称を付して説明することがある。
【0015】
本実施形態における積層シートLは、図1に示すように、帯状の剥離シートRLと、この剥離シートRLの一方の面の長尺方向に所定の間隔を隔てて積層された円形の接着シートSと、剥離シートRLの一方の面に設けられるとともに、接着シートSと異なる位置に積層された接触防止部材CPとを備える。
【0016】
接着シートSは、基材シートBSと、基材シートBSの一方の面に設けられた接着剤層ADとを備えている。本実施形態において、基材シートBSは、厚み50μmであり、ポリエチレン等のオレフィンなどの樹脂で構成され、接着剤層ADは、厚み20μmであり、アクリル系の粘着剤で構成されている。帯状の原接着シートS0には、閉ループ状の切込CUが形成され、この切込CUの内側に接着シートSが形成されるとともに、切込CUの外側に不要シートS3が形成される。
剥離シートRLは、厚み38μmであり、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂の一方の面にシリコーン処理等の不接着処理が施されている。
接触防止部材CPは、不要シートS3と、不要シートS3と剥離シートRLとの間に積層されるとともに、不要シートS3に覆われた中間層Mとを備えている。中間層Mは厚みが80μmに設定され、接触防止部材CPは、厚みは150μmとされ、接着シートSよりも厚みが大きくなっている。
中間層Mは、図1に示すように、接着シートSと重ならない位置において不要シートS3と剥離シートRLとの間であって、接着シートS間の領域を含む帯状に積層される層である。この中間層Mは、樹脂、ニス、印刷用インキまたは接着剤等で構成され、熱風、紫外線、赤外線、マイクロ波、冷風、自然風等の定着化エネルギーによって硬化可能な樹脂層で構成することができる。
【0017】
この積層シートLは、図2に示すように、巻取体としたときに、外側積層シートL1および内側積層シートL2が接触防止部材CPに重なる。本実施形態の場合、外側剥離シートRL1と接着シートSとの間に、高さ80μmの隙間MHが形成されている。なお、図2は、巻取体とした積層シートLを当該巻取体の巻取中心軸線方向から部分断面視した図だが、分かりやすくするために積層シートLを平らにして図示している。
このような巻取体では、当該巻取体の径方向内側(図2下方)に向かう巻圧を受けるが、本実施形態においては、接触防止部材CPが形成されているので、外側接着シートS1や内側接着シートS2の縁によって、接着シートSに押し痕が付くことを防止することができる。
また、接触防止部材CPは、積層シートLが巻取体とされたときに、外側積層シートL1と内側積層シートL2が円弧方向に重なりずれGを生じても、接着シートSが内側接触防止部材CP2および、外側接触防止部材CP1と平面視で重ならない形状に形成されている。これにより、積層シートLに巻圧が加わり、剥離シートRLが径方向内側に向かって変形しても、内側接触防止部材CP2や外側接触防止部材CP1の縁が接着シートSに押し付けられることはなく、接着シートSに押し痕が付くことを防止することができる。
【0018】
そして、図2に示すように、接触防止部材CPは、最上層が不要シートS3における接着性のない基材シートBSとなるので、接触防止部材CP上に接触して重なる外側剥離シートRL1が接触防止部材CPに接着してしまうようなことはない。これにより、例えば、中間層Mが十分に硬化されず、接着性を有したまま、積層シートLを形成し、巻取体とされた場合であっても、中間層Mは不要シートS3に覆われているため、外側剥離シートRL1が接触防止部材CPに接着されることはない。
【0019】
次に、積層シートLの製造方法を説明する。
積層シート製造装置1は、図3に示すように厚み50μmの基材シートBSの一方の面に厚み20μmの接着剤層ADを備える帯状の原接着シートS0が接着剤層ADを介して厚み38μmの剥離シートRLに仮着された原反R1を繰り出す繰出手段10と、原反R1から剥離シートRLを剥離する剥離手段としての剥離ローラ20と、剥離された剥離シートRLを迂回させる迂回手段30と、剥離シートRLが剥離された原接着シートS0に厚み80μmの中間層Mを供給する中間層供給手段40と、中間層Mを硬化させる定着手段50と、中間層Mが供給された原接着シートS0に剥離シートRLを仮着して原反R2を形成する積層手段60と、原接着シートS0に切込CUを形成し、当該切込CUの内側に接着シートSを形成するとともに、切込CUの外側に不要シートS3を形成する切断手段70と、切込CUが形成された積層シートLを回収する回収手段80とを備えている。
【0020】
繰出手段10は、原反R1をロール状に巻回して支持するとともに駆動機器としての回動モータ11により駆動される支持ローラ12と、支持ローラ12から繰り出された原反R1を案内するとともに駆動機器としての回動モータ13により駆動される駆動ローラ14と、この駆動ローラ14との間に原反R1を挟み込むピンチローラ15とを備えている。
剥離ローラ20は、図3中右方向に搬送される原反R1の剥離シートRL側(図3中下方)に設けられている。
迂回手段30は、一対の迂回ローラ31を備えている。
【0021】
中間層供給手段40は、ロータリースクリーン印刷機であり、図3中右方向に搬送される原接着シートS0の接着剤層側(図3中下方)に設けられ、駆動機器としての回動モータ41により回転可能に設けられたロータリースクリーン42と、図示しないスキージと、原接着シートS0を挟んでロータリースクリーン42と対向配置され、駆動機器としての回動モータ43により回転可能に設けられた圧胴44とを備えている。この中間層供給手段40は、ロータリースクリーン42内部に貯留されたインキをスキージにより押し出すように構成されている。
中間層Mは、接着シートSが形成される位置に重ならないように供給される。このように一部を除いてインキを供給する方法としては、接着シートSが形成される位置においてインキが通過せず、接着シートSが形成される位置と重ならない部分のみにおいてインキが通過するように設計された版を作製し、この版にインキを展開しスキージで押し出して印刷する。このような印刷法を用いることで、中間層Mを所定の部分にのみ容易に供給することができる。
【0022】
定着手段50は、図3中右方向に搬送される原接着シートS0の下方かつロータリースクリーン42の右側に設けられて中間層Mを原接着シートS0上に定着させるものであり、中間層Mを構成するインキの特性に応じて、熱風、紫外線、赤外線、マイクロ波、冷風、自然風等の定着化エネルギーを発するものを採用することができる。
【0023】
積層手段60は、駆動機器としての回動モータ61により回転可能に設けられた誘導ローラ62と、ピンチローラ63とを備え、中間層Mを間に挟んで原接着シートS0を迂回させた剥離シートRLに仮着する。
【0024】
切断手段70は、中間層Mが間に挟まれた領域とは異なる領域に位置する原接着シートS0に閉ループ状の切込CUを形成する切込刃71を備えたダイカットローラ72と、原接着シートS0および剥離シートRLを挟んでダイカットローラ72と対向して配置されたプラテンローラ73とを備えている。切込刃71は、基材シートBS側から、接着剤層ADを貫通し、剥離シートRLを貫通しない深さの切込CUを形成することで、接着シートSと不要シートS3とを形成し、不要シートS3と剥離シートRLとの間に中間層Mを間に挟んだ接触防止部材CPを形成可能に設けられている。なお、ダイカットローラ72およびプラテンローラ73は、駆動機器としての回動モータ74,回動モータ75により同期して回転可能に設けられている。また、切込刃71には、原接着シートS0の接着剤が付着しないように、フッ素樹脂コート等の不接着処理を施しておくことが好ましい。
【0025】
回収手段80は、駆動機器としての回動モータ81により回転可能に設けられた駆動ローラ82と、積層シートLを挟んで駆動ローラ82に対向配置されるピンチローラ83と、駆動機器としての回動モータ84により回転可能に設けられ、積層シートLを回収する回収ローラ85とを備えている。
【0026】
以上の積層シート製造装置1において、積層シートLを製造する手順としては、まず、図3に示すように、原反R1を支持ローラ12にセットするとともに、駆動ローラ14とピンチローラ15との間に通す。そして、原接着シートS0を剥離ローラ20で剥離シートRLから剥離して、ロータリースクリーン42と圧胴44との間に通す。一方、剥離シートは、迂回ローラ31を経由し、原接着シートS0とともに、誘導ローラ62とピンチローラ63との間に挟み込んで仮着し、再び原反R1としておく。この原反R1は、ダイカットローラ72とプラテンローラ73との間および、駆動ローラ82とピンチローラ83との間に通し、回収ローラ85に固定しておく。
【0027】
この状態で、回動モータ11,13,41,43,61,74,75,81,84を同期して駆動し、支持ローラ12、駆動ローラ14、ロータリースクリーン42、圧胴44、誘導ローラ62、ダイカットローラ72、プラテンローラ73、駆動ローラ82、回収ローラ85を回転させ、原反R1を図3中右方向に繰り出す。
【0028】
剥離ローラ20によって、剥離シートRLから剥離された原接着シートS0は、ロータリースクリーン42と圧胴44との間を通過するとき、接着剤層ADに中間層Mが供給される。そして、定着手段50によりこの中間層Mに熱風等の定着化エネルギーが付与されることで、中間層Mが硬化される。中間層Mが供給された原接着シートS0は、誘導ローラ62およびピンチローラ63を通過するときに、一対の迂回ローラ31を経由して迂回してきた剥離シートRLに仮着される。これにより、原接着シートS0に覆われるとともに、剥離シートRLと原接着シートS0との間に中間層Mが積層された原反R2が形成される。
原反R2の原接着シートS0は、ダイカットローラ72とプラテンローラ73間を通過するとき、切込刃71により切込CUが形成され、接着シートSと不要シートS3と接触防止部材CPを備えた積層シートLが形成される。積層シートLは、駆動ローラ82とピンチローラ83の間を経て回収ローラ85に回収される。
【0029】
以上のような実施形態によれば、接触防止部材CPを構成する中間層Mが不要シートS3と剥離シートRLとの間に供給されるため、例えば、積層シートLを中間層Mの硬化や乾燥が不十分なまま巻取体としても、接触防止部材CPが外側積層シートL1に接着してしまうことがなく、剥離シートRLや接触防止部材CPが破損し、塵埃が生じることを確実に防止できる。
さらに、不要シートS3で中間層Mを覆うので、中間層Mを覆う部材を別途用意する必要がない上、不要シートS3を有効利用できる。
また、不要シートS3は、接着シートSを形成する切込CUの外側に形成されるので、不要シートS3の形状や位置を接着シートSに重ならないように設計する必要がなく、中間層Mを接着シートSと重ならない位置に設けるだけで、接触防止部材CPを接着シートSと重ならない位置に設けることができる。
【0030】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定
の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0031】
例えば、上記実施形態において、中間層Mは、積層シートLの短寸幅方向中央部で繋がっていてもよい。すなわち、中間層Mは、接着シートSの外周全域に対応した孔を備えたものとしてもよい。保護層が剥離シートの短寸幅方向中央部には設けられていない場合に、内側接着シートS2および、外側接着シートS1の縁によって、接着シートSに押し痕が付いてしまうような不都合を確実に解消することができる。
【0032】
さらに、図4に示すように、中間層Mを接着シートSの外周全域に対応した長円形の孔CHを有するものとしてもよい。
このような長円は、接着シートSを基準として積層シートLの長手方向両側に所定の間隔CDを隔てて形成されるとともに、当該接着シートSと同直径を有する2個の円が、接着シートSの直径幅と同幅の2本の平行線で繋がれたものであればよい。ここで、所定の間隔CDが重なり防止間隔となる。なお、長円を形成する2個の円の直径や、2本の平行線幅は、接着シートSの直径以上であってもよい。
【0033】
このような長円形状の孔CHとすることで、上記重なりずれGを生じても、接着シートSが内側接触防止部材CP2および、外側接触防止部材CP1と重なることはなく、接着シートSに押し痕が付くことを防止することができる。なお、孔CHを構成する2個の円における所定の間隔は、重なりずれGの2倍以上に設定されていればよい。
【0034】
また、中間層Mを樹脂層で構成せず、紙、フィルム、布、不織布、糸、金属板(箔)等で構成してもよい。中間層Mを紙やフィルム等で構成する場合、図5に示すように、中間層供給手段40の代わりに中間層供給手段40Aを備え、定着手段50を備えない積層シート製造装置1Aを用いて積層シートLを製造すればよい。このような場合でも、中間層Mが不要シートS3と剥離シートRLとで覆われるので、中間層Mが剥がれ落ちたり、破損したりすることを防止して確実に接着シートSに押し痕が付くことを防止することができる。
【0035】
さらに、中間層供給手段40Aは、接着シートSと重ならないように積層可能な形状に予め切断された帯状の紙やフィルム等を中間層Mとして、当該中間層Mを原接着シートS0と剥離シートRLとの間に供給するものであってよい。中間層供給手段40Aは、駆動機器としての回転モータ41Aによって回転可能に設けられ、巻回された中間層Mを支持する支持ローラ42Aを備える。
そして、積層シート製造装置1Aは、中間層供給手段40Aにより中間層Mが積層された原反R2に、上記と同様にして切込CUを形成して積層シートLを形成する。
【0036】
また、この積層シート製造装置1Aにおいて、接着シートSと重ならないよう積層可能な形状に予め切断された帯状の紙やフィルム等を供給する代わりに、切断されていない帯状の紙やフィルム等を繰り出す繰出手段と、この紙やフィルム等を積層可能な形状に切断する中間層切断手段と、中間層切断手段によって形成された不要部分を巻き取る不要部分巻取手段とを設けてもよい。
【0037】
また、本発明における原接着シートS0および接着シートSの種別や材質などは、特に限定されず、例えば、基材シートBSと接着剤層ADとの間にさらに別の中間層を有するものや、他の層を有するものなど3層以上のものでもよい。また、接着シートSや孔CHの形状としては、円形や長円形以外に、三角形、四角形等の多角形、楕円形等の任意の形状とすることができる。
また、基材シートBS、接着剤層AD、剥離シートRL、中間層M等を構成する材料は、前記実施形態のものに何ら限定されることはなく、適宜な材料を選択でき、それらの厚みも前記実施形態のものに限定されることはない。
さらに、接触防止部材CPを積層する中間層供給手段40としては、ロータリースクリーン印刷機以外に、ソルベントコーティング法、グラビア印刷、スクリーン印刷、さらには、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、孔版印刷等のあらゆる印刷法を採用することができ、インキを積層できる限りにおいて何ら限定されるものではない。
また、前記実施形態では、ロータリースクリーン42と圧胴44との間に原接着シートS0を通し、当該原接着シートS0の接着剤層ADに中間層Mを供給する構成を示したが、ロータリースクリーン42と圧胴44との間に剥離シートRLを通し、当該剥離シートRLにおける不要シートS3との合せ面に中間層Mを供給する構成としてもよい。さらに、原接着シートS0の接着剤層ADと剥離シートRLにおける不要シートS3との合せ面との両方に中間層Mを供給する構成としてもよい。
【0038】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0039】
AD 接着剤層
BS 基材シート
CH 孔
CP 接触防止部材
CU 切込
M 中間層
L 積層シート
R1 原反
RL 剥離シート
S0 原接着シート
S1 接着シート
S3 不要シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の剥離シートと、当該剥離シートの一方の面に所定の間隔を隔てて仮着された所定の形状の接着シートと、前記剥離シートの一方の面に設けられるとともに、前記接着シートと異なる位置に積層された接触防止部材とからなる積層シートであって、
前記接着シートは、基材シートの一方の面に接着剤層を有し、当該接着剤層を介して前記剥離シートの一方の面に仮着された帯状の原接着シートに形成された閉ループ状の切込の内側によって形成され、
前記接触防止部材は、前記閉ループ状の切込の外側に形成された不要シートと、当該不要シートと前記剥離シートとの間に積層された中間層とを備えていることを特徴とする積層シート。
【請求項2】
前記接触防止部材は、前記接着シートの外周全域に対応した孔を有することを特徴とする請求項1に記載の積層シート。
【請求項3】
前記孔は、前記積層シートが巻取体とされたときに、前記接触防止部材と、この接触防止部材上に他方の面が接触する剥離シート上の接着シートとが当該接着シートの平面視で重ならない形状であることを特徴とする請求項2に記載の積層シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−71347(P2013−71347A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212739(P2011−212739)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】