説明

積層セラミックコンデンサ

【課題】低背化により厚みが薄くなっても、実装時の衝撃により割れが生じないような高い抗折強度有する積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】前記積層体の組成が、主成分としてBa、TiおよびZrを含むぺロブスカイト型化合物を含み、前記積層体を溶解したときの、Baを100モル部としたときの、Zrの含有モル部が10以上40以下であり、かつ、前記誘電体セラミック層の断面を観察したとき、結晶粒子中心においてZr/(Ti+Zr)モル比が0.005以下である結晶粒子Aの個数割合をTA、結晶粒子中心においてTi/(Ti+Zr)モル比が0.005以下である結晶粒子Bの個数割合をTB、とするとき、TBが0.1以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、誘電体セラミックおよび積層セラミックコンデンサに関するもので、特に、実装時における衝撃にも耐え得る強度を有する積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクス技術の進展に伴い、積層セラミックコンデンサに代表される表面実装型の小型チップ部品の集積度はますます高まっている。このため、積層セラミックコンデンサにおいて、低背化が求められている。
【0003】
積層セラミックコンデンサの低背化が進むと、実装時の衝撃により、積層セラミックコンデンサが割れる恐れが出てくる。よって、積層セラミックコンデンサには、高い抗折強度が望まれる。
【0004】
一方で、積層セラミックコンデンサの低背化のためには、少ない占有体積にて静電容量を確保するため、セラミック層一層あたりの厚みが薄くなってきている。このとき、セラミック層一層あたりに印加される電界強度が相対的に高くなり、特に中高圧タイプの用途においては、比較的大きな電歪が生じることになる。
【0005】
このとき、電歪によって積層セラミックコンデンサが割れないようにするためにも、積層セラミックコンデンサには高い抗折強度が求められている。
【0006】
特許文献1においては、抗折強度を高めるために、誘電体層と内部電極層とを交互に積み重ねた構成を備える積層セラミックコンデンサにおいて以下のような特徴をもたせている。すなわち、複数の内部電極層のうち積層方向両端に位置する2つの内部電極層を含む積層方向両側の1以上の内部電極層は実質的に酸化物化していて内部電極層として機能しておらず、酸化物化していない残りの内部電極層によって静電容量が定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−35848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1においては、積層体において静電容量に寄与しない領域が増えるため、小型化の観点からは好ましくなかった。また、特定の内部電極のみ特別な管理を必要とするため、工程が煩雑になるという問題もあった。
【0009】
そこで、この発明の目的は、上述したような課題を解決するため、誘電体セラミック層の結晶粒子や組成に特徴をもたせることにより、特別な素子設計を行わなくても、優れた抗折強度を有する積層セラミックコンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、結晶粒子および結晶粒界を含む誘電体セラミック層と、内部電極層と、を有する積層体と、前記積層体の表面に形成され、前記積層体の表面に露出した内部電極層を電気的に接続する外部電極と、を備えた、積層セラミックコンデンサにおいて、前記積層体の組成が、主成分としてBa、TiおよびZrを含むぺロブスカイト型化合物を含み、前記積層体を溶解したときの、Baを100モル部としたときの、Zrの含有モル部が10以上40以下であり、かつ、前記誘電体セラミック層の断面を観察したとき、結晶粒子中心においてZr/(Ti+Zr)モル比が0.005以下である結晶粒子Aの個数割合をTA、結晶粒子中心においてTi/(Ti+Zr)モル比が0.005以下である結晶粒子Bの個数割合をTB、とするとき、TBが0.1以上であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、結晶粒子および結晶粒界を含む誘電体セラミック層と、内部電極層と、を有する積層体と、前記積層体の表面に形成され、前記積層体の表面に露出した内部電極層を電気的に接続する外部電極と、を備えた、積層セラミックコンデンサにおいて、前記誘電体セラミック層の組成が、主成分としてBa、TiおよびZrを含むぺロブスカイト型化合物を含み、前記誘電体セラミック層の、Baを100モル部としたときの、Zrの含有モル部が10以上40以下であり、かつ、前記誘電体セラミック層の断面を観察したとき、結晶粒子中心においてZr/(Ti+Zr)モル比が0.005以下である結晶粒子Aの個数割合をTA、結晶粒子中心においてTi/(Ti+Zr)モル比が0.005以下である結晶粒子Bの個数割合をTB、とするとき、TBが0.1以上である、ことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明における積層体または誘電体セラミックの組成が、Mn、Mg、R(RはY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる少なくとも一種)、およびSiを含み、前記積層体を溶解したとき、または誘電体セラミック層において、Baを100モル部としたときの、各元素の含有モル部が、Mn: 0.1以上3.5以下、Mg: 0.1以上15以下、R: 2以上30以下、Si: 0.8以上5以下、であり、かつ、TAが0.5以上であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明に係る誘電体セラミックを用いて構成される積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、まず、この発明に係る誘電体セラミックが適用される積層セラミックコンデンサ1の例について説明する。
【0015】
積層セラミックコンデンサ1は、積層された複数の誘電体セラミック層2と誘電体セラミック層2間の界面に沿って形成される複数の内部電極3および4とをもって構成される、積層体5を備えている。内部電極3および4は、たとえばNiを主成分としている。
【0016】
積層体5の外表面上の互いに異なる位置には、第1および第2の外部電極6および7が形成される。外部電極6および7は、たとえばAgまたはCuを主成分としている。図示しないが、外部電極6および7上に、必要に応じて、めっき膜が形成される。めっき膜は、たとえば、Niめっき膜およびその上に形成されるSnめっき膜から構成される。
【0017】
図1に示した積層セラミックコンデンサ1では、第1および第2の外部電極6および7は、コンデンサ本体5の互いに対向する各端面上に形成される。内部電極3および4は、第1の外部電極6に電気的に接続される複数の第1の内部電極3と第2の外部電極7に電気的に接続される複数の第2の内部電極4とがあり、これら第1および第2の内部電極3および4は、積層方向に見て交互に配置されている。
【0018】
なお、積層セラミックコンデンサ1は、2個の外部電極6および7を備える2端子型のものであっても、多数の外部電極を備える多端子型のものであってもよい。
【0019】
このような積層セラミックコンデンサ1において、積層体5の大部分を占めるのは、結晶粒子および結晶粒界を含む誘電体セラミック層2であり、基本的に酸化物セラミックである。
【0020】
積層体5の組成、または誘電体セラミック層2の組成は、主成分としてBa、TiおよびZrを含むぺロブスカイト型化合物を含む。Baを100モル部としたときの、Zrの含有モル部が10以上40以下である。この範囲であると、抗折強度が高くなる。
【0021】
積層体5の主成分、または誘電体セラミック層2の主成分がぺロブスカイト型化合物であることは、例えばXRD等の方法により確認することができる。
【0022】
前記誘電体セラミック層の断面を観察したとき、結晶粒子中心においてZr/(Ti+Zr)モル比が0.005以下である結晶粒子Aの個数割合をTA、結晶粒子中心においてTi/(Ti+Zr)モル比が0.005以下である結晶粒子Bの個数割合をTB、とするとき、TBが0.1以上である、ことを特徴とする。すなわち、ほぼBaZrO3を主成分とする結晶粒子の個数が、全体の10%以上である、ということである。このとき、抗折強度が高くなる。
【0023】
また、好ましくは、TAが0.5以上である。すなわち、BaTiO3を主成分とする結晶粒子の個数が、全体の50%以上である、ということである。このとき、抗折強度を高く保ちつつ、静電容量の温度特性を良好に保つことができる。
【0024】
結晶粒子においては、本発明の目的を損なわない限り、結晶粒子Aと結晶粒子Bのいずれにも当てはまらない結晶粒子、例えばBa(Ti,Zr)O3を主成分とする結晶粒子が存在しても構わない。しかし、TBを0.1以上にするためにも、できる限りBa(Ti,Zr)O3を主成分とする結晶粒子の生成は抑えられることが好ましい。
【0025】
次に、副成分として、積層体または誘電体セラミックの組成が、Mn、Mg、R(RはY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる少なくとも一種)、およびSiを含むことが好ましい。
【0026】
また、これらの副成分の存在形態は問われない。たとえば、MgO等の酸化物として結晶粒界や三重点に存在していてもよいし、複数の元素を含む複合酸化物として二次相粒子を形成していてもよい。また、一部が結晶粒子に存在していてもよい。特に、結晶粒子の表層部分(シェル部)のみに存在していてもよい。
【0027】
なお、積層体5の組成における各元素の含有比に関しては、積層体を溶解し、例えばICP(発光分光プラズマ分析法)により、定量分析することができる。本質的には、誘電体セラミック層2のみの組成を規定することが好ましい。しかし前述のように、積層体5の大部分は誘電体セラミック層2の静電容量形成部分に占められているので、積層体5の組成を規定すれば十分である。
【0028】
すなわち、各元素の含有量に関しては、前記積層体または誘電体セラミック層において、Baを100モル部としたときの各元素の含有モル部が、Mn: 0.1以上3.5以下、Mg: 0.1以上15以下、R: 2以上30以下、Si: 0.8以上5以下、であるとき、誘電率や静電容量温度特性が良好になる。
【0029】
次に、積層セラミックコンデンサの製造方法について、下記に一例を記載する。
【0030】
まず、BaTiO3を主成分とする粉末と、BaZrO3を主成分とする粉末と、を用意する。これらは、一般的な固相合成法により用意されたものであってもよいし、水熱合成法、加水分解法、シュウ酸法などの湿式合成法により用意されたものであっても構わない。
【0031】
このとき、BaTiO3を主成分とする粉末と、BaZrO3を主成分とする粉末と、において、それぞれの粒径や、結晶化度が、焼結体におけるTA、TBの値に影響する。
【0032】
次に、副成分となるMn化合物、Mg化合物、Si化合物R化合物を用意する。これらの化合物の形態は特に限定されることはなく、酸化物粉末や炭酸化物の粉末でもよいし、ゾルや有機金属でも構わない。
【0033】
次いで、BaTiO3を主成分とする粉末、BaZrO3を主成分とする粉末、Mn化合物、Mg化合物、R化合物、Si化合物を混合する。このとき、副成分としてさらに別の元素が入っても構わない。また、副成分の混合形態は特に限定されるものではない。例えば、複数の副成分が予め混合されていてもよいし、さらに熱処理合成されていても構わない。また、特定の副成分を、二段階以上に分けて混合してもよい。さらに、本発明の目的を損なわない限り、副成分の一部が主成分の合成時に予め混合されていても構わない。
【0034】
主成分粉末に副成分が混合された際のセラミックスラリーに対し、バインダー等を混合し、シート成形に進んでも構わない。もしくは、主成分粉末に副成分を混合した後、乾燥し、セラミック原料を得て、それから再度溶媒と混合してセラミックスラリーを得ても構わない。必要に応じて、セラミック原料粉末に熱処理を施し、主成分粉末と副成分とを反応させても構わない。
【0035】
次に、このセラミックスラリーをシート成形することにより、セラミックグリーンシートが得られる。 このセラミックグリーンシートと、内部電極層とを積み重ねることにより、焼成前の積層体が得られる。詳しくは、セラミックグリーンシートの表面に、内部電極の成分となる金属粒子と有機ビヒクルとを含む導電性ペーストを塗布形成し、これらを、内部電極の引き出し方向が互い違いになるよう、積み重ねて、圧着する方法が挙げられる。
【0036】
得られた生の積層体は、バインダーを除去した後、内部電極が酸化されず誘電体が還元されない程度の酸素分圧を示す雰囲気下において、焼成される。この焼成により、結晶粒子と結晶粒界とを備える誘電体セラミック2と内部電極3、4とを含む積層体5が得られる。このとき、焼成温度等の焼成条件が、焼結体におけるTA、TBの値に影響する。
【0037】
この積層体5の、内部電極層が露出している箇所に外部電極を形成することにより、積層セラミックコンデンサ1が得られる。なお、外部電極の形成は、予め焼成前の積層体の表面に導電性ペーストを塗布形成しておき、積層体の焼成時に合わせて導電性ペーストを焼き付ける方法も挙げられる。
【実施例】
【0038】
以下に、この発明に基づいて実施した実験例について説明する。
[実施例1]
(A)セラミック原料の作製
まず、主成分であるBaTiO3およびBaZrO3の出発原料として、高純度のBaCO3、TiO2およびZrO2の各粉末を準備し、それぞれを調合した。この調合粉末をボールミルを用いて湿式混合し、均一に分散させた後、乾燥して、混合粉末を得た。得られた混合粉末を仮焼し、BaTiO3粉末、およびBaZrO3粉末を得た。このとき、出発原料の粒度と仮焼温度とを変化させることにより、様々な粒径を有するBaTiO3粉末、およびBaZrO3粉末を得た。
【0039】
次に、副成分の出発原料として、MnCO3、MgCO3、SiO2、Y23、La23、CeO2、Pr511、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23およびLu23の各粉末を準備した。
【0040】
次いで、BaTiO3粉末およびBaZrO3粉末を、BaTiO3:BaZrO3=(100−x):xとしたとき、表1のxを満たす比になるよう混合した。なお、BaZrO3粉末の粒径のBaTiO3粉末の粒径に対する比が表1の値になるように、BaTiO3粉末およびBaZrO3粉末を選択した。さらに、上記副成分の出発原料を、Ba100モル部に対する、Mn、Mg、Si、Rの含有モル部が表1の値になるよう、混合した。以上のようにして、混合粉末を得た。
【0041】
【表1】

【0042】
(B)積層セラミックコンデンサの作製
次に、この混合粉末に対し、有機溶剤および分散剤を加え、ボールミルで湿式混合し、均一に分散させた。さらに、ポリビニルブチラール系バインダ、可塑剤を加えて混合し、セラミックスラリーを得た。
【0043】
次いで、このセラミックスラリーをリップ方式によりシート成形し、厚み14μmの矩形のセラミックグリーンシートを得た。
【0044】
次に、上記セラミックグリーンシート上に、Niを含有する導電性ペーストをスクリーン印刷し、内部電極となるべき導電性ペースト膜を形成した。
【0045】
次に、導電性ペースト膜が形成されたセラミックグリーンシートを、導電ペースト膜の引き出されている側が互い違いになるように複数枚積層し、コンデンサ本体となるべき生の積層体を得た。
【0046】
次に、この積層体を、N2雰囲気中にて、350℃の温度で3時間加熱し、バインダを燃焼させた後、酸素分圧10-9〜10-12MPaのH2−N2−H2Oガスからなる還元性雰囲気中において、1100〜1200℃で2時間焼成し、焼結した積層体を得た。
【0047】
この積層体を溶解し、ICP分析をしたところ、内部電極成分のNiを除いては、上述の調合組成がほぼ保たれていることが確認された。
【0048】
次に、この積層体のXRD構造解析を行ったところ、主成分がぺロブスカイト型構造を有することが明らかとなった。
【0049】
次に、上記コンデンサ本体の両端面に、ガラスフリットを含有するAgペーストを塗布し、大気中において、600℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続された外部電極を形成し、各試料に係る積層セラミックコンデンサを得た。
【0050】
このようにして得られた積層セラミックコンデンサの外形寸法は長さ4.5mm、幅3.2mm、厚さ1.2mmであり、内部電極間に介在する誘電体セラミック層の厚みは10μmであった。また、有効誘電体セラミック層の数は100であり、1つの誘電体セラミック層あたりの対向電極面積は2.5mm2であった。
【0051】
(C)特性評価
次に、各試料に係る積層セラミックコンデンサについて、以下のような評価を行なった。
(1)TAおよびTBの測定
各試料番号における積層体を研磨し、薄片加工した後、TEMにて100個の結晶粒子を観察し、結晶粒子中央付近においてEDXにより、TiおよびZrの含有量を定量した。このうち、Zr/(Ti+Zr)モル比が0.005以下の結晶粒子は、BaTiO3を主成分とする結晶粒子とみなし、計数した結果をTAとした。同様に、Ti/(Ti+Zr)モル比が0.005以下の結晶粒子は、BaZrO3を主成分とする結晶粒子とみなし、計数した結果をTBとした。結果を表2に示す。
(2)誘電率の測定
積層セラミックコンデンサの静電容量を、自動ブリッジ式測定機を用い、25℃において1Vrms、1kHzの条件にて測定した。得られた測定値より、誘電率を算出した。値を表2に示す。ここでは400以上を良品とみなした。
(3)静電容量温度特性の測定
−55℃〜125℃の範囲において静電容量の変化を測定した。25℃における静電容量を基準としたとき、最も変化率の大きいときの変化率の値を表2に示した。ここではX7S特性、すなわち±22%以内を良品とみなした。
(4)抗折強度の測定
積層セラミックコンデンサの試料の、長さ方向と幅方向とがなす面において、長さ方向の真ん中の位置に応力をかけ、三点曲げ試験を行い、抗折強度を算出した。結果を表2に示す。ここでは180MPa以上を良品とした。
【0052】
【表2】

【0053】
試料番号1のように、TBが0.1未満の場合、抗折強度が低かった。また、試料番号3のように、xが10未満である試料も、抗折強度が低かった。
【0054】
試料番号2、および3〜39の試料については、TBが0.1以上であり、かつxが0.1以上であるので、高い抗折強度が得られた。
【0055】
また、TAが0.5以上であり、かつ、Baを100モル部としたときの各元素の含有モル部が、Mn: 0.1以上3.5以下、Mg: 0.1以上15以下、R: 2以上30以下、Si: 0.8以上5以下、である組成を有する試料、すなわち、試料番号13〜39については、400以上の誘電率、およびX7S特性を満足した。
【符号の説明】
【0056】
1 積層セラミックコンデンサ
2 誘電体セラミック層
3,4 内部電極
5 積層体
6,7 外部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶粒子および結晶粒界を含む誘電体セラミック層と、内部電極層と、を有する積層体と、
前記積層体の表面に形成され、前記積層体の表面に露出した内部電極層を電気的に接続する外部電極と、
を備えた、積層セラミックコンデンサにおいて、
前記積層体の組成が、主成分としてBa、TiおよびZrを含むぺロブスカイト型化合物を含み、
前記積層体を溶解したときの、Baを100モル部としたときの、Zrの含有モル部が10以上40以下であり、かつ、
前記誘電体セラミック層の断面を観察したとき、結晶粒子中心においてZr/(Ti+Zr)モル比が0.005以下である結晶粒子Aの個数割合をTA、結晶粒子中心においてTi/(Ti+Zr)モル比が0.005以下である結晶粒子Bの個数割合をTB、とするとき、TBが0.1以上である、
ことを特徴とする、積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
さらに、前記積層体の組成が、Mn、Mg、R(RはY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる少なくとも一種)、およびSiを含み、
前記積層体を溶解したときの、Baを100モル部としたときの、各元素の含有モル部が、
Mn: 0.1以上3.5以下
Mg: 0.1以上15以下
R: 2以上30以下
Si: 0.8以上5以下
であり、かつ、
TAが0.5以上である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
結晶粒子および結晶粒界を含む誘電体セラミック層と、内部電極層と、を有する積層体と、
前記積層体の表面に形成され、前記積層体の表面に露出した内部電極層を電気的に接続する外部電極と、
を備えた、積層セラミックコンデンサにおいて、
前記誘電体セラミック層の組成が、主成分としてBa、TiおよびZrを含むぺロブスカイト型化合物を含み、
前記誘電体セラミック層の、Baを100モル部としたときの、Zrの含有モル部が10以上40以下であり、かつ、
前記誘電体セラミック層の断面を観察したとき、結晶粒子中心においてZr/(Ti+Zr)モル比が0.005以下である結晶粒子Aの個数割合をTA、結晶粒子中心においてTi/(Ti+Zr)モル比が0.005以下である結晶粒子Bの個数割合をTB、とするとき、TBが0.1以上である、
ことを特徴とする、積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
さらに、前記誘電体セラミック層の組成が、Mn、Mg、R(RはY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる少なくとも一種)、およびSiを含み、
前記誘電体セラミック層におけるBaを100モル部としたときの、各元素の含有モル部が、
Mn: 0.1以上3.5以下
Mg: 0.1以上15以下
R: 2以上30以下
Si: 0.8以上5以下
であり、かつ、
TAが0.5以上である、
ことを特徴とする、請求項3に記載の積層セラミックコンデンサ。

【図1】
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【公開番号】特開2013−65592(P2013−65592A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201808(P2011−201808)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】