説明

積層パネル

【課題】芯材に任意の補強板を収納する場合でも、芯材から補強材が外れ難い積層パネルを提供する。
【解決手段】 芯材(5)の少なくとも一面が他部材(表壁2または裏壁3)で覆われた積層パネル(1)であり、芯材(5)を変形して形成した保持部(51)を有し、その保持部(51)により、芯材(5)に収納された補強材(9)が保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強材を収容した積層パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人が出願した先行技術文献として、芯材となる発泡体に補強材を収容した樹脂製パネルについて開示された文献がある(例えば、特許文献1:特開2006-334801号公報)。
【0003】
上記特許文献1の樹脂製パネルは、芯材となる発泡体に収容部が形成されており、その収容部に補強材を嵌め込んで補強材を保持している。これにより、補強材の位置決めが的確にでき、ガタツキ防止や成形収縮による変形を起こすことがないようにしている。
【0004】
また、補強材を収容した芯材について開示された文献がある(例えば、特許文献2:WO2009/136489)。
【0005】
上記特許文献2では、芯材の端部を補強材の勘合溝にそれぞれ圧入勘合して芯材と補強材とが一体となった1枚の内装材を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−334801号公報
【特許文献2】WO2009/136489
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の樹脂製パネルは、芯材に補強材を単に嵌め込んで保持しているため、補強材が芯材から外れてしまうおそれがある。
【0008】
これに対し、上記特許文献2の内装材は、芯材の端部を補強材の勘合溝に圧入勘合しているため、補強材が芯材から外れ難くなっている。しかし、上記特許文献2では、補強材に応じた端面形状を予め芯材に形成する必要があると共に、芯材に端面形状を形成した後は、その端面形状を変形させることが難くなっている。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、芯材に任意の補強板を収納する場合でも、芯材から補強材が外れ難い積層パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0011】
本発明にかかる積層パネルは、
芯材の少なくとも一面が他部材で覆われた積層パネルであって、
前記芯材を変形して形成した保持部を有し、前記保持部により、前記芯材に収納された補強材が保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、芯材に任意の補強板を収納する場合でも、芯材から補強材が外れ難い積層パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の積層パネル1の全体斜視図である。
【図2】本実施形態の積層パネル1を構成する芯材5の図であり、(a)は、全体斜視図であり、(b)は、上面図であり、(c)は、底面図である。
【図3】本実施形態の積層パネル1の断面図であり、(a)は、図2のA-A'断面図であり、(b)は、B-B'断面図であり、(c)は、芯材5の断面図である。
【図4】芯材5の収納部10に補強材9を収納する場合を説明するための図である。
【図5】芯材5の成形方法例を示す第1の図であり、(a)は、芯材5を成形する分割金型41の側面構成例を示し(図5(b)に示すA-A'断面図)、(b)は、(a)に示す分割金型41を上面(押出ヘッド40側)から見た構成例を示す図である。
【図6】芯材5の成形方法例を示す第2の図であり、図5(b)に示す分割金型41を閉じた状態を示す図である。
【図7】芯材5の成形方法例を示す第3の図であり、図6に示す分割金型41を開いた状態を示す図である。
【図8】積層パネル1の成形方法例を示す図である。
【図9】芯材5の成形方法例を示す図であり、図5(a)に示す分割金型41を閉じた状態を示す図である(収納部形成部43の部分)。
【図10】第2の実施形態の芯材5の構成例を示す第1の図である。
【図11】第2の実施形態の芯材5の構成例を示す第2の図である。
【図12】第3の実施形態の芯材5の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本実施形態の積層パネル1の概要>
まず、図3、図8を参照しながら、本実施形態の積層パネル1の概要について説明する。
【0015】
本実施形態の積層パネル1は、図3に示すように、芯材5の少なくとも一面が他部材(表壁2または裏壁3)で覆われた積層パネル1である。
【0016】
本実施形態の積層パネル1は、図3(b)に示すように、芯材5を変形して形成した保持部(例えば、爪部51等に相当)を有し、その保持部51により、芯材5に収納された補強材9が保持されている。
【0017】
本実施形態の積層パネル1は、図8に示すように、芯材5を変形して形成する保持部51により芯材5に収納された補強材9が保持される芯材5と、他部材2,3を構成する溶融状態の樹脂シートPと、を金型61で型締めし、芯材5と樹脂シートPとを溶着させることで成形することができる。
【0018】
本実施形態の積層パネル1は、芯材5を変形して形成した保持部51により、芯材5に収納された補強材9が保持されているため、芯材5に任意の補強板9を収納する場合でも、芯材5から補強材9が外れ難い積層パネル1を提供することができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の積層パネル1について詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
<積層パネル1の構成例>
まず、図1〜図3を参照しながら、本実施形態の積層パネル1の構成例について説明する。
【0020】
図1は、積層パネル1の全体斜視図であり、図2は、積層パネル1を構成する芯材5の図であり、(a)は、全体斜視図であり、(b)は、上面図であり、(c)は、底面図である。図3は、本実施形態の積層パネル1の断面図であり、(a)は、図2のA-A'断面図であり、(b)は、B-B'断面図であり、(c)は、芯材5のみの場合のB-B'断面図である。
【0021】
本実施形態の積層パネル1は、図1〜図3に示すように、表壁2と裏壁3と周囲壁4と芯材5とを有して構成する。周囲壁4は、図1、図3に示すように、表壁2と裏壁3とを繋ぐ部分である。本実施形態の積層パネル1は、図1に示すように、表壁2の表面に装飾などのための化粧部材6が貼着されており、図3に示すように、裏壁3、芯材5、表壁2、化粧部材6で積層構造を構成している。
【0022】
表壁2と裏壁3とを構成する樹脂は特に限定せず、公知の樹脂が適用可能である。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル等のエンジニアリング・プラスチックなどが好適であり、適宜にガラス繊維、カーボンファイバ、炭酸カルシウム、タルク、マイカなどの充填材を添加することができる。但し、表壁2と裏壁3とを構成する樹脂は、積層パネル1全体としての剛性、特に、曲げ剛性を確保する観点から、芯材5の剛性より高い樹脂を用いることが好ましい。また、表壁2と裏壁3とは、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生するのを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、一方で金型への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂を用いることが好ましい。
【0023】
また、芯材5を構成する樹脂も特に限定せず、公知の樹脂が適用可能である。但し、芯材5としては、発泡体で構成することが好ましい。芯材5を発泡体で構成することで、積層パネル1の軽量化を図ることができる。芯材5を発泡体で構成する場合は、発泡倍率2.5〜5.0倍で複数の気泡セル有する独立気泡構造(独立気泡率が70%以上)で構成することが好ましい。なお、発泡体を成形する際に適用可能な発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤及びその混合物が挙げられる。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、及び、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、更には、それらの超臨界流体を適用することができる。超臨界流体としては、二酸化炭素、窒素などを用いて作ることが好ましく、窒素であれば臨界温度−149.1℃、臨界圧力3.4MPa以上、二酸化炭素であれば臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上とすることで作ることができる。
【0024】
化粧部材6を構成する材料も特に限定せず、公知の材料が適用可能である。例えば、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維およびこれらのブレンドからなる繊維を加工して得られる編物、織物、不織布、または、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリウレタンエラストマ(TPU)または熱可塑性ポリオレフィンエラストマ(TPO)などの熱可塑性エラストマ(TPE)、ポリエチレンポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂からなる樹脂シートおよびこれらの積層シートから適宜選択可能である。
【0025】
本実施形態の芯材5は、図3に示すように、芯材5の略中央位置に収容部10が形成されており、その収容部10に補強材9が配置されている。補強材9を構成する材料は特に限定せず、公知の材料が適用可能である。例えば、金属製、あるいは、硬質のプラスチック製が適用可能である。
【0026】
補強材9は、図3(a)に示すように、筒形状で構成し、補強材9の端部に少なくとも開口部91を有している。なお、補強材9の形状は、筒形状に限定せず、例えば、H型、C型、コの字型等の形状で構成することも可能である。但し、補強材9は、筒形状、H型、C型、コの字型等のように、補強材9の端部に少なくとも開口部91を有して構成することが好ましい。開口部91を有して構成することで、補強材9を収納部10に収納した際に、補強材9の開口部91に対し、後述する爪部51(図3(b)、(c)参照)を挿入し、その爪部51により補強材9を係止し、補強材9を収納部10内で保持することができる。開口部91の形状は特に限定せず、保持部となる爪部51で係止できる形状であれば、任意の形状で構成することが可能である。
【0027】
収納部10は、図3に示すように、芯材5の一方の面(表壁2側)から他方の面(裏壁3側)に向けて窪ませた凹部形状で構成する。なお、収納部10は、補強材9を嵌め込んで保持するため、補強材9に応じた形状で芯材5に形成することが好ましい。
【0028】
また、本実施形態の芯材5は、図3(b)、(c)に示すように、補強材9を保持する保持部となる爪部51が形成されており、その爪部51により、収納部10に収納された補強材9の端部を係止し、補強材9を保持する。
【0029】
爪部51は、図2(a)、(b)、図3(b)、(c)に示すように、収納部10の長手方向の端部に形成されており、図2、図3(b)に示すように、補強材9の長手方向の端部を爪部51により係止する。爪部51は、図2(c)、図3(b)、(c)、図4(a)に示すように、芯材5の一部(収容部10)に切り込み52を施して形成されている。補強材9を爪部51で係止する場合は、まず、図4(b)に示すように、爪部51を一度起立させ、図4(c)に示すように、爪部51に補強材9の開口部91を挿入する。そして、補強材9の開口部91を爪部51に挿入した状態で、図4(d)に示すように、補強材9を収納部10に嵌め込んで配置する。これにより、図2、図3(b)に示すように、補強材9の長手方向の端部が爪部51により係止され、補強材9が収納部10から外れることなく、収納部10に保持した状態を維持することができる。なお、補強材9を爪部51で係止するには、爪部51の先端を折り曲げ、その折り曲がった爪部51の先端で補強材9を係止することが好ましい。これにより、爪部51の先端が補強材9を収納部10側に押し付けることになるため、補強材9を収納部10内で保持し易くすることができる。
【0030】
爪部51は、芯材5に収納部10を形成する際に、切り込み52を同時に施して形成したり、収納部10を形成した後に別工程で切り込み52を施して形成したりすることができる。例えば、金型を用いて芯材5に収容部10を形成すると共に、金型のビンチオフ形成部で切り込み52を施して爪部51を形成することができる。なお、本実施形態の芯材5は、収納部10の長手方向の端部に切り込み52を施して爪部51を形成しているため、図2(c)、図4(e)に示すように、芯材5の裏面側に開口部53が形成される。このため、芯材5の収納部10に補強材9を配置した場合は、図2(c)、図4(e)に示すように、芯材5の裏面側の開口部53から補強材9が見えることになる。なお、爪部51の形状は、補強材9を係止することが可能であれば、特に限定せず、任意の形状で構成することが可能である。また、収納部10の長手方向の両端に設ける爪部51の数も特に限定せず、複数の爪部51を収納部10の長手方向の両端に設けることも可能である。但し、両端に複数の爪部51を設ける場合は、個々の爪部51の大きさを小さくする必要がある。
【0031】
また、本実施形態の芯材5は、図2、図3(a)に示すように、芯材5の略中央位置に凹部形状のヒンジ部7aが形成されており、積層パネル1のヒンジ7を構成している。本実施形態の積層パネル1は、ヒンジ部7aを有して構成するヒンジ7を回動軸として回動可能になっている。ヒンジ部7aは、芯材5を圧縮することで形成することができる。芯材5を圧縮してヒンジ部7aを形成することで、ヒンジ部7aの強度を向上させることができる。なお、本実施形態の芯材5が2.5〜5.0倍の発泡倍率の発泡体で構成している場合は、その芯材5を圧縮して構成したヒンジ部7aは、発泡倍率が2.0倍以下となるようにすることが好ましい。これにより、ヒンジ部7aの強度を向上させることができる。図2に示すヒンジ部7aは、直線形状で形成し、芯材5に連続的に設けられている。ヒンジ部7aは、芯材5の裏面側に形成されているため、図2(a)、(b)に示す図(斜視図、上面図)では、ヒンジ部7aの形成された位置は、点線で示している。また、図2(c)に示す図(底面図)では、実線で示している。
【0032】
本実施形態の積層パネル1は、ヒンジ部7aの近傍に収納部10が設けられ、その収納部10に補強材9が配置されている。このため、補強材9によりヒンジ7付近の強度を向上させることができる。
【0033】
<積層パネル1の製造方法例>
次に、図5〜図8を参照しながら、本実施形態の積層パネル1の製造方法例について説明する。図5(a)は、芯材5を成形する分割金型41の側面構成例を示し(図5(b)に示すA-A'断面図)、図5(b)は、図5(a)に示す分割金型41を上面(押出ヘッド40側)から見た構成例を示す図である。図6は、図5(b)に示す分割金型41を閉じた状態を示す図である。図7は、図6に示す分割金型41を開いた状態を示す図である。図8は、積層パネル1の成形方法例を示す図である。
【0034】
まず、図5(a)、(b)に示すように、芯材5を成形する押出ヘッド40から溶融状態の筒状パリソンPを鉛直下方に押し出し、溶融状態の筒状パリソンPを開位置にある2つの分割金型41の間に供給する。
【0035】
次に、図6に示すように、2つの分割金型41を開位置から閉位置に移動し、2つの分割金型41を型締する。これにより、密閉空間が構成される。
【0036】
次に、上記構成した密閉空間を通じて、ブロー成形、あるいは、真空成形、あるいは、これらを併用することにより、密閉空間内のパリソンPは、キャビティ44に向かって押し付けられ、キャビティ44に沿って賦形される。
【0037】
詳細には、ブロー成形の場合は、ブローピン(図示せず)をパリソンPの中に差し込んで内部に加圧流体を導入することにより、パリソンPをキャビティ44に向かって押し付ける。また、真空成形の場合は、キャビティ面に開口する流路(図示せず)を分割金型41中に設け、この流路を通じてパリソンPを分割金型41に吸引する。
【0038】
これにより、溶融状態の筒状パリソンPにより、芯材5が成形される。そして、図6に示すように、一方のキャビティ44Bの面に設けられた収納形成部43が芯材5の表面側に挿入され、パリソンPを圧縮成形することで、芯材5の表面側に収納部10が形成される。収納形成部43は、芯材5に収納部10を形成するためのものである。また、他方のキャビティ44Aの面に設けられたヒンジ形成部42が芯材5の裏面側に挿入され、パリソンPを圧縮成形することで、芯材5の裏面側にヒンジ部7aが形成される。ヒンジ形成部42は、芯材5にヒンジ部7aを形成するためのものである。なお、収納形成部43、ヒンジ形成部42は、図5(a)に示すように、パリソンPと同一方向で分割金型41に設けることが好ましい。これにより、折れ肉の発生を低減することができる。但し、収納形成部43、ヒンジ形成部42は、パリソンPと直交する方向で分割金型41に設けることも可能である。
【0039】
次に、図7に示すように、分割金型41を閉位置から開位置に移動し、2つの分割金型41を型開きし、成形された芯材5を分割金型41の間から取り出す。これにより、収納部10、ヒンジ部7aを有する芯材5を成形することができる。
【0040】
次に、図4(a)に示すように、人手操作で収納部10の長手方向の端部に切り込み52を施し、爪部51を形成する。この場合、爪部51が平らな状態で切り出される。そして、図4(b)に示すように、人手操作で爪部51を一度起立させる。これにより、爪部51が屈曲するように折り曲げられる。次に、図4(c)に示すように、爪部51に補強材9の開口部91を挿入し、補強材9の開口部91を爪部51に挿入した状態で、図4(d)に示すように、補強材9を収納部10に嵌め込んで配置する。これにより、補強材9を保持した芯材5を形成することができる。本実施形態の芯材5は、収納部10の長手方向の端部に爪部51を有し、爪部51により収納部10に収納された補強板9を係止して保持しているため、補強材9を芯材5から外れ難くすることができる。
【0041】
次に、図8に示すように、積層パネル1の表壁2、裏壁3を構成する溶融状態のパリソンPを押出装置のTダイ60から押し出し、溶融状態のパリソンPを分割金型61間に配置する。
【0042】
次に、パリソンPを真空若しくは圧空により分割金型61のキャビティ62に押圧して成形し、ついで、補強材9を保持した芯材5を、一方のキャビティ62Bにシート状パリソンPの内面に接するように配置して型締めを行い、互いのキャビティ62に配置されたパリソンPを分割金型61のピンチオフ部により積層パネル1の周囲壁4の全周に溶着部が形成されるように挟み込むと共に、溶融状態のパリソンPの内面と、芯材5の外面と、を溶着させ、補強材9を保持した芯材5が表壁2及び裏壁3で内装された積層パネル1を形成する。これにより、芯材5の両面が樹脂シートPで覆われた積層パネル1を得ることができる。
【0043】
なお、上述した積層パネル1は、一対の予備成形した樹脂シートをブロー成形する態様でも成形することができる。
【0044】
また、上記製法では、溶融状態の筒状パリソンPを用いて芯材5を成形することにした。しかし、芯材5を成形する樹脂は、筒状パリソンPに限定せず、溶融状態の管状またはシート状パリソンP単体を用いて成形することも可能である。
【0045】
また、上記製法では、溶融状態の単層のパリソンPを用いて表壁2及び裏壁3を形成した。しかし、多層のパリソンPを用いて表壁2及び裏壁3を形成することも可能である。
【0046】
また、上記製法では、人手操作で収納部10の長手方向の端部に切り込み52を施し、爪部51を形成した。しかし、分割金型41で切り込み52を施し、爪部51を形成することも可能である。この場合は、図9に示すように、各分割金型41のピンチオフ部を当接させ、芯材5の周辺にパーティングラインを形成すると共に、収納形成部43によって芯材5に形成された収納部10の端部に切り込み52を施し、収納部10の端部に爪部51を形成することになる。これにより、収納部10、爪部51、ヒンジ部7aを有する芯材5を成形することができる。図9は、図5(a)に示す分割金型41を閉じた状態を示す図であり、収納部形成部43の部分の構成例を示す図である。なお、爪部51の折り曲げ部は、芯材5の成形時に予め形成することも可能であるが、成形後に爪部51の先端を折り曲げることが好ましい。直線状の爪部51を後で折り曲げることで、その弾性回復力により、補強材9の固定を強固にすることができる。
【0047】
<本実施形態の積層パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の積層パネル1は、芯材51を変形して形成した爪部51を有する芯材5を成形し、その芯材5に補強材9を収納し、爪部51により補強材9が係止された芯材5を形成する。次に、爪部51により補強材9が係止された芯材5と、樹脂シートPと、を分割金型61で型締めし、積層パネル1を成形する。これにより、芯材5に任意の補強板9を収納する場合でも、芯材5から補強材9が外れ難い積層パネル1を提供することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0049】
第1の実施形態は、図3(b)に示すように、芯材5に切り込み52を施して爪部51を形成し、その爪部51により補強材9を係止した。
【0050】
第2の実施形態は、図10(b)に示すように、芯材5の一部を潰して突出部81を形成し、その突出部81により補強材9を係止する。これにより、芯材5に任意の補強板9を収納する場合でも、第1の実施形態と同様に、芯材5から補強材9が外れ難い積層パネル1を提供することができる。以下、図10を参照しながら、第2の実施形態について説明する。
【0051】
<芯材5の構成例>
まず、図10を参照しながら、本実施形態の芯材5の構成例について説明する。
【0052】
本実施形態の芯材5は、図10(b)に示すように、芯材5の一部を潰して突出部81を形成し、その突出部81が補強板9の開口部91に挿入され、突出部81により補強板9を係止する。突出部81を形成する部位は、図10(a)に示すように、中空部82を有しており、補強材9を芯材5に嵌め込んだ後に、図10(a)に示すように、中空部82の上方から中空部82を押し潰すことで、図10(b)に示すように、突出部81が形成され、その突出部81が補強材9の開口部91に挿入され、その開口部91に挿入された突出部81により補強材9を係止することになる。なお、本実施形態の芯材5は、中空部82を押し潰して突出部81を形成するため、中空部82を構成する側壁80に切り込みを施すことが好ましい。これにより、中空部82を押し潰して突出部81を容易に形成することができる。また、側壁80の切り込み部分を起点として中空部82が折れ曲がり突出部81を形成することになるため、中空部82を押し潰して形成する突出部81の形状を特定の形状にすることができると共に、補強材9の開口部91に突出部81を挿入し易くすることができる。例えば、側壁80に切り込みを施さない場合は、側壁80のどの箇所から中空部82が折れ曲がるかわからないため、突出部81の形状を特定し難く、且つ、補強材9の開口部91に突出部81を挿入し難くなる。これに対し、側壁80に切り込みを施した場合は、その切り込み部分を起点として中空部82が折れ曲がるため、突出部81の形状を特定し易く、且つ、補強材9の開口部91に突出部81を挿入し易くすることができる。このため、中空部82を構成する側壁80に切り込みを施すことが好ましい。
【0053】
本実施形態の積層パネル1は、図10(b)に示すように、突出部81により補強材9が係止された芯材5を、図8に示す芯材5として配置することで、芯材5の両面が樹脂シートPで覆われた積層パネル1を得ることができる。
【0054】
<本実施形態の積層パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の積層パネル1は、芯材5の一部を潰して突出部81を形成し、その突出部81により補強材9を係止する。これにより、芯材5に任意の補強板9を収納する場合でも、第1の実施形態と同様に、芯材5から補強材9が外れ難い積層パネル1を提供することができる。
【0055】
なお、上記実施形態では、図10(a)に示すように、中空部82を押し潰して、図10(b)に示す突出部81を形成することにした。しかし、図11(a)に示すように、中実部83を押し潰して、図11(b)に示す突出部84を形成することも可能である。この場合も、突出部84が補強材9の開口部91に挿入し、開口部91に挿入した突出部84により補強材9が係止されることになる。なお、図11に示す構成の場合も、中実部83の側壁85に切り込みを施すことが好ましい。これにより、側壁85の切り込み部分を起点として中実部83が折れ曲がり突出部84を容易に形成することができる。また、側壁85の切り込み部分を起点として中実部83が折れ曲がり突出部84を形成することになるため、中実部83を押し潰して形成する突出部84の形状を特定の形状にすることができると共に、補強材9の開口部91に突出部84を挿入し易くすることができる。なお、切り込みではなく、複数の貫通穴を側壁85に施し、中実部83を押し潰し易くすることも可能である。即ち、中実部83を押し潰して突出部84を容易に形成することが可能であれば、あらゆる処置を中実部83に予め施しておくことも可能である。
【0056】
但し、図11に示すように、中実部83を押し潰して突出部84を形成するには、図10に示すように、中空部82を押し潰して突出部81を形成するよりも多くの力が必要になる。このため、図10に示すように、中空部82を形成し、その中空部82を押し潰して突出部81を形成するようにすることが好ましい。
【0057】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0058】
第3の実施形態は、図12(b)に示すように、芯材5の一部(収納部10の両端)を開口して開口部89を形成し、その開口部89に補強材9の端部を挿入し、開口部89により、補強材9を係止する。これにより、芯材5に任意の補強板9を収納する場合でも、第1の実施形態と同様に、芯材5から補強材9が外れ難い積層パネル1を提供することができる。以下、図12を参照しながら、第3の実施形態について説明する。
【0059】
<芯材5の構成例>
まず、図12を参照しながら、本実施形態の芯材5の構成例について説明する。
【0060】
本実施形態の芯材5は、図12(b)に示すように、芯材5の一部(収納部10の両端)を開口して開口部89を形成し、その開口部89に補強板9が挿入され、開口部89により補強板9を係止する。開口部89を形成する部位は、図12(a)に示すように、中空部86を有しており、中空部86を構成する側壁87の一端に切り込み88を施し、その側壁87を開口することで、開口部89を形成することができる。そして、その開口部89に補強材9の端部を挿入し、補強材9を係止する。
【0061】
本実施形態の積層パネル1は、開口部89により補強材9が係止された芯材5を、図8に示す芯材5として配置することで、芯材5の両面が樹脂シートPで覆われた積層パネル1を得ることができる。
【0062】
なお、図12の構成では、側壁87の一端に切り込み88を施し、側壁87を開口部89内に残す構成にしている。これにより、開口部89に補強材9の端部を挿入した際に、側壁87が補強材9と開口部89との間の隙間を埋める機能と、緩衝材としての機能と、を発揮することができる。但し、側壁87を開口部89内に残さず、側壁87の両端に切り込み88を施し、側壁87を除去することも可能である。この場合は、側壁87がないため、開口部89内に補強材9の端部を容易に挿入することが可能となる。
【0063】
<本実施形態の積層パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の積層パネル1は、芯材5の一部を開口して開口部89を形成し、その開口部89に補強材9の端部を挿入し、開口部89により補強材9を係止する。これにより、芯材5に任意の補強板9を収納する場合でも、第1の実施形態と同様に、芯材5から補強材9が外れ難い積層パネル1を提供することができる。
【0064】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0065】
例えば、上記実施形態では、積層パネル1として表壁2の上面に化粧部材6を貼着することにした。しかし、化粧部材6を省略し、表壁2の上面をそのまま露出させるようにすることも可能である。
【0066】
また、上記実施形態では、芯材5は、中実の構成を例に説明した。しかし、芯材5は、例えば、特許文献2(WO2009/136489)の図4に示すように複数の窪みを芯材5に設けることも可能である。また、特許文献2の図5に示すように貫通穴を芯材5に設けることも可能である。即ち、芯材5の構成は、中実の構成に限定するものではなく、一部を中空にしたり、一部を中実にしたりすることも可能であり、本実施形態の芯材5に設けるヒンジ部7aや収容部10の形状や配置位置に応じて中空部や中実部を芯材5に適宜設けることが可能である。なお、本実施形態の芯材5は、ヒンジ部7aや収納部10を形成するため、その周囲に中空部等の穴を設けることが好ましい。これにより、パリソンPを用いてヒンジ部7aや収納部10を形成しても、その形成部分の樹脂の逃げ場を確保することができるため、樹脂だまりの発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 積層パネル
2 表壁(他部材)
3 裏壁(他部材)
4 周囲壁
5 芯材
51 爪部
52 切り込み
53 開口部
6 化粧部材
7 ヒンジ
7a ヒンジ部
71 開口部
9 補強材
91 開口部
10 収容部
P パリソン
40 押出ヘッド
41 分割金型
42 ヒンジ形成部
43 収納部形成部
44 キャビティ
60 押出ヘッド
61 分割金型
62 キャビティ
80 側壁
81 突出部
82 中空部
83 中実部
84 突出部
85 側壁
86 中空部
87 側壁
88 切り込み
89 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材の少なくとも一面が他部材で覆われた積層パネルであって、
前記芯材を変形して形成した保持部を有し、前記保持部により、前記芯材に収納された補強材が保持されていることを特徴とする積層パネル。
【請求項2】
前記保持部は、前記芯材の一部に切り込みを施して形成した爪部であり、
前記補強材が前記爪部に係止されていることを特徴とする請求項1記載の積層パネル。
【請求項3】
前記保持部は、前記芯材の一部を潰して突出させて形成した突出部であり、
前記補強材が前記突出部に係止されていることを特徴とする請求項1記載の積層パネル。
【請求項4】
前記補強材の端部に少なくとも開口部を有し、
前記保持部が前記開口部に挿入されていることを特徴とする請求項2または3記載の積層パネル。
【請求項5】
前記保持部は、前記芯材の一部を開口して形成した開口部であり、
前記補強材の端部が前記開口部に挿入されていることを特徴とする請求項1記載の積層パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−67148(P2013−67148A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209222(P2011−209222)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】