説明

積層フィルムおよびその製造方法

【課題】サーマルラミネート法によって表面層と熱接着層とを強固に接着した積層フィルムを提供する。
【解決手段】本発明の積層フィルム1は、表面層10と熱接着層20とがサーマルラミネート法により接着され、表面層10は、基材11と、基材11の、熱接着層20側の面に設けられたインキ層12とを備え、インキ層12の少なくとも一部が無色インキ層とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面層と熱接着層とがサーマルラミネート法により接着された積層フィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二軸延伸フィルム等の機械的強度の高い表面層に、ヒートシール性を付与するために、熱接着層を積層して積層フィルムにすることがある。
上記積層フィルムの製造方法としては、例えば、押出ラミネート法、ドライラミネート法、サーマルラミネート法が知られている。これらのうち、サーマルラミネート法は、アンカーコート剤や溶剤系接着剤を使用しないため、作業環境および地球環境の汚染を抑制できるという利点を有している。
従来、サーマルラミネート法においては、表面層と熱接着層とを同種の樹脂で構成することが多く、例えば、表面層に二軸延伸ポリプロピレンを使用し、熱接着層に無延伸ポリプロピレンを使用していた。
しかし、軟包装の分野では、表面層に、二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリアミドフィルムを用いることが多いが、これらのフィルムは熱接着層として広く使用されるポリオレフィンとの接着性が低かった。
そこで、特許文献1では、熱接着層を構成する樹脂として、エチレンと極性基を有するモノマーとの共重合体を用いることが提案されている。しかし、サーマルラミネート法により特許文献1に記載の共重合体を二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリアミドフィルム等からなる表面層に積層した積層フィルムにおいても、接着性が充分とはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57−20356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、サーマルラミネート法によって表面層と熱接着層とを強固に接着した積層フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]表面層と熱接着層とがサーマルラミネート法により接着された積層フィルムであって、前記表面層は、基材と、該基材の、熱接着層側の面に設けられたインキ層とを備え、前記インキ層の少なくとも一部が無色インキ層とされていることを特徴とする積層フィルム。
[2]前記インキ層は、基材側に設けられた無色インキ層と、熱接着層側に設けられた有色インキ層とからなることを特徴とする[1]に記載の積層フィルム。
[3]前記インキ層を構成する樹脂が水性ウレタン樹脂である[1]または[2]に記載の積層フィルム。
[4]前記熱接着層が、熱接着性樹脂層とポリオレフィン層との積層体であり、前記熱接着性樹脂層が表面層側に配置されていることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の積層フィルム。
[5]基材の片面にインキ層を設けて表面層を形成する表面層形成工程と、前記表面層のインキ層に熱接着層を重ね、熱圧着するサーマルラミネート工程とを有する積層フィルムの製造方法であって、前記インキ層の少なくとも一部を無色インキ層とすることを特徴とする積層フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の積層フィルムは、サーマルラミネート法によって表面層と熱接着層とを強固に接着したものである。
本発明の積層フィルムの製造方法によれば、サーマルラミネート法によって表面層と熱接着層とを強固に接着できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の積層フィルムの第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の積層フィルムの第2の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1の実施形態>
本発明の積層フィルムの第1の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の積層フィルムの断面図を示す。本実施形態の積層フィルム1は、サーマルラミネート法によって表面層10と熱接着層20とが接着されたものであり、表面層10が、基材11と、基材11の、熱接着層20側の面に設けられたインキ層12とを備えるものである。
【0009】
基材11は少なくとも樹脂フィルムを備える。樹脂フィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリアセタール等が挙げられる。また、これらを多層共押出した積層体であってもよい。
また、樹脂フィルムは、無延伸フィルムであっても延伸フィルムであってもよいが、加熱時の伸びにくさの点から、延伸フィルムが好ましい。
また、基材11は、樹脂フィルムにアルミニウム等の金属、酸化アルミニウム等のセラミックを蒸着した蒸着フィルムまたはバリア樹脂等を塗工したコートフィルムであってもよい。
さらに、基材11は、上記樹脂フィルム、蒸着フィルムおよびコートフィルムのうちから2種以上を選択し、ドライラミネート法などにより積層した積層体であってもよい。なお、2種以上の樹脂フィルムの積層体、2種以上の蒸着フィルムの積層体、2種以上のコートフィルムの積層体であっても構わない。
基材11の中でも、耐熱性および汎用性の点からは、二軸延伸ポリエステル、二軸延伸ポリアミドまたは二軸延伸ポリプロピレンが好ましい。
【0010】
基材11の厚さは6〜50μmであることが好ましく、9〜30μmであることがより好ましい。基材11の厚さが前記下限値以上であれば、積層フィルム1の強度を充分に確保でき、前記上限値以下であれば、充分な可撓性を確保できる。
【0011】
本実施形態におけるインキ層12は、樹脂と必要に応じて添加剤を含み、有色顔料や染料等の着色剤を含まない無色インキ層からなる。
無色インキ層を構成する樹脂としては、ウレタン樹脂、ウレタンウレア樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、アクリル変性ウレタンウレア樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル、シェラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、アミン変性ウレタン樹脂、マレイン酸変性ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−アクリル酸共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、セルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、ヒドロキシプロピルセルロース樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記樹脂の中でも、汎用性および接着性の点から、ウレタン樹脂、ウレタンウレア樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アミン変性ウレタン樹脂が好ましい。
また、インキ層12を構成する樹脂は、基材11の種類に応じて好ましいものが異なり、例えば、基材11が二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルムである場合には、ウレタン樹脂が好ましく、二軸延伸ポリプロピレンフィルムである場合には、塩素化ポリプロピレン樹脂が好ましい。
また、環境への負荷低減の点から、インキ層12を形成するためのインキは水性インキが好ましく、インキ層12を構成する樹脂は水性(水溶性または水分散性)であることが好ましく、水性ウレタン樹脂、アミン変性ウレタン樹脂がより好ましい。
【0012】
添加剤としては、体質顔料、中和剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、シランカップリング剤、防錆剤、防腐剤、可塑剤等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0013】
インキ層12の厚さは0.1〜5μmであることが好ましく、0.5〜3μmであることがより好ましい。インキ層12の厚さが前記下限値以上であれば、基材11と熱接着層20との接着性を充分に高くすることができ、前記上限値以下であれば、インキ層12を容易に形成できる。
【0014】
熱接着層20は、少なくとも一部に熱接着性樹脂を含む層であり、具体的には、熱接着性樹脂層の単層、または、熱接着性樹脂層とポリオレフィン層との積層体である。
熱接着層20が、熱接着性樹脂層とポリオレフィン層との積層体であれば、積層フィルム1のヒートシール性が向上する。
【0015】
熱接着性樹脂層を構成する熱接着性樹脂としては、エポキシ化合物を添加したポリオレフィン(エポキシ配合ポリエチレン、エポキシ配合ポリプロピレン)、酸変性ポリオレフィン(無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水フタル酸変性ポリエチレン、無水イタコン酸変性ポリエチレン、無水シトラコン酸変性ポリエチレン、無水メサコン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水フタル酸変性ポリプロピレン、無水イタコン酸変性ポリプロピレン、無水シトラコン酸変性ポリプロピレン、無水メサコン酸変性ポリプロピレン)、酸変性ポリオレフィンをグリシジル基で修飾した樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
インキ層12を構成する樹脂がウレタン樹脂である場合には、接着性がより向上することから、熱接着性樹脂は、エポキシ化合物を添加したポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンをグリシジル基で修飾した樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0016】
上記熱接着性樹脂の中の、酸変性ポリオレフィンをグリシジル基で修飾した樹脂は、酸変性ポリオレフィンと、エポキシ化合物を添加したポリオレフィンとの混合によって得られる。その混合比率は、目的の樹脂が容易に得られることから、酸変性ポリオレフィン:エポキシ化合物を添加したポリオレフィン=1:99〜50:50であることが好ましく、3:97〜30:70であることがより好ましい。
【0017】
ポリオレフィン層を構成するポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
熱接着層20の厚さは5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましく、20〜130μmであることがさらに好ましい。熱接着層20の厚さが前記下限値以上であれば、熱接着層20の接着強度を充分に確保でき、前記上限値以下であれば、熱接着層20を容易に形成できる。
熱接着層20が、熱接着性樹脂層とポリオレフィン層との積層体である場合には、厚さの比率(熱接着性樹脂層:ポリオレフィン層)が1:99〜99:1であることが好ましく、3:97〜40:60であることがより好ましく、5:95〜35:65であることがさらに好ましい。
【0019】
上記積層フィルム1は、表面層形成工程とサーマルラミネート工程とを有する製造方法により製造される。
本実施形態における表面層形成工程では、基材11の片面に無色インキを塗布、乾燥してインキ層12を設けることにより、表面層10を形成する。
無色インキには、樹脂と、樹脂を分散させる分散媒とが含まれ、着色剤は含まれない。分散媒としては、水、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。なお、用途に応じてこれら分散媒を混合したものも使用することができる。
無色インキの塗布方法としては、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコート法、フローコート法等が挙げられる。また、公知の印刷方法を適用しても構わない。
乾燥方法としては、加熱乾燥、真空乾燥およびこれらを組み合わせた乾燥のいずれであってもよい。加熱乾燥は、熱風乾燥、赤外線照射のいずれであってもよい。
【0020】
本実施形態におけるサーマルラミネート工程では、表面層10のインキ層12に熱接着層20を重ね、熱圧着して、積層フィルム1を得る。
熱圧着の際には、互いに平行で、重ねた表面層10と熱接着層20とを挟むことができる一対のロールを使用する。
熱圧着の際のロール温度は50〜250℃であることが好ましく、70〜200℃であることがより好ましい。ロール温度が前記下限値以上であれば、接着性をより向上させることができ、前記上限値以下であれば、表面層10の溶融による変形を防止できる。
また、熱圧着の際の加工速度は1〜250m/分であることが好ましく、10〜200m/分であることがより好ましい。加工速度が前記下限値以上であれば、生産性が向上し、前記上限値以下であれば、接着性をより向上させることができる。
【0021】
上記実施形態の積層フィルム1は、基材11と熱接着層20との間に、着色剤を含まない無色インキ層からなるインキ層12が設けられている。無色インキ層は、基材層11および熱接着層20双方に対して良好な接着性を有する。したがって、本実施形態では、基材11と熱接着層20との接着強度を向上させることができる。
【0022】
<第2の実施形態>
本発明の積層フィルムの第2の実施形態について説明する。
図2に、本実施形態の積層フィルムの断面図を示す。本実施形態の積層フィルム2は、第1の実施形態と同様に、サーマルラミネート法によって表面層10と熱接着層20とが接着されたものであり、表面層10が、基材11と、基材11の、熱接着層20側の面に設けられたインキ層12とを備えるものである。
本実施形態における基材11および熱接着層20は、第1の実施形態における基材11および熱接着層20と同様である。
【0023】
本実施形態におけるインキ層12は、基材11側に設けられた無色インキ層12aと、熱接着層20側に設けられた有色インキ層12bとからなる。
本実施形態における無色インキ層12aは、樹脂と必要に応じて添加剤を含み、有色顔料や染料等の着色剤を含まないメジウムと呼ばれる無色インキからなる層であり、有色インキ層12bは、樹脂および有色顔料や染料等の着色剤と必要に応じて添加剤を含む層であり、図柄や模様のない全面塗工であってもよいし、図柄や模様が形成されてもよい。ここで、樹脂および添加剤は、第1の実施形態で使用したものと同様である。インキ同士の接着強度の観点からは、無色インキ層12aと有色インキ層12bの樹脂は同一であることが好ましい。
【0024】
無色インキ層12aの厚さは0.1〜5μmであることが好ましく、0.5〜3μmであることがより好ましい。無色インキ層12aの厚さが前記下限値以上であれば、基材11と有色インキ層12bおよび熱接着層20との接着性を充分に高くすることができ、前記上限値以下であれば、無色インキ層12aを容易に形成できる。
有色インキ層12bの厚さは0.1〜5μmであることが好ましく、0.5〜3μmであることがより好ましい。有色インキ層12bの厚さが前記下限値以上であれば、充分に着色でき、前記上限値以下であれば、有色インキ層12bを容易に形成できる。
【0025】
上記積層フィルム2は、表面層形成工程とサーマルラミネート工程とを有する製造方法により製造される。
本実施形態における表面層形成工程では、基材11の片面に無色インキを塗布、乾燥して無色インキ層12aを設け、無色インキ層12aの露出面に有色インキを塗布、乾燥して有色インキ層12bを設けることにより、表面層10を形成する。
無色インキは、樹脂と分散媒とを含み、着色剤を含まないものであり、有色インキは、樹脂と分散媒と着色剤とを含むものである。
無色インキおよび有色インキの塗布方法、乾燥方法は第1の実施形態と同様である。
【0026】
本実施形態におけるサーマルラミネート工程では、表面層10の有色インキ層12bに熱接着層20を重ね、熱圧着して、積層フィルム2を得る。なお、熱圧着の方法は、第1の実施形態と同様である。
【0027】
上記実施形態の積層フィルム2では、有色インキ層12bによって意匠性を向上させることができる。また、着色剤を含まない無色インキ層12aによって、基材11と有色インキ層12bとの接着強度を向上させるだけでなく、有色インキ層12bと熱接着層20との接着強度も向上させることができる。これにより、基材11と熱接着層20との接着強度が高くなっている。
また、無色インキ層12aが設けられていることにより、インキ層12における凝集破壊、すなわちインキ層12が破壊されながら表面層10と熱接着層20が剥離する現象も起こりにくくなっている。
【実施例】
【0028】
(実施例1)
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、水性ウレタン樹脂を含む無色インキ(東洋インキ製造社製アクワエコール)を、グラビアコーターにより塗布し、熱風乾燥により乾燥して、厚さ1μmの無色インキ層を形成して、表面層を形成した。
次いで、上記表面層の無色インキ層に、エポキシ配合ポリエチレンからなる熱接着性樹脂層と直鎖状低密度ポリエチレンからなるポリオレフィン層との共押出フィルムである厚さ50μmのフィルムAを、無色インキ層に熱接着性樹脂層が接するように重ねた。そして、これらを温度140℃に加熱した一対のロールにより挟み、加工速度100m/分で熱圧着して、積層フィルムを得た。
【0029】
(実施例2)
実施例1にて形成した無色インキ層に、水性ウレタン樹脂を含む白色インキ(東洋インキ製造社製アクワエコール)を、グラビアコーターにより塗布し、熱風乾燥により乾燥して、厚さ1μmの白インキ層を形成して、表面層を形成した。
次いで、上記表面層の白インキ層に厚さ50μmのフィルムAを、白インキ層に熱接着性樹脂層が接するように重ね、これらを温度140℃に加熱した一対のロールにより挟み、加工速度100m/分で熱圧着して積層フィルムを得た。
【0030】
(実施例3)
実施例2にて形成した無色インキ層上の白インキ層に、水性ウレタン樹脂を含む無色インキを、グラビアコーターにより塗布し、熱風乾燥により乾燥して、厚さ1μmの無色インキ層を形成した。これにより、表面層を形成した。
次いで、上記表面層の、露出した無色インキ層に厚さ50μmのフィルムAを、無色インキ層に熱接着性樹脂層が接するように重ね、これらを温度140℃に加熱した一対のロールにより挟み、加工速度100m/分で熱圧着して積層フィルムを得た。
【0031】
(比較例1)
厚さ12μmのPETフィルムの片面に、厚さ50μmのフィルムAを、PETフィルムに熱接着性樹脂層が接するように重ね、これらを温度140℃に加熱した一対のロールにより挟み、加工速度100m/分で熱圧着して積層フィルムを得た。
【0032】
(比較例2)
厚さ12μmのPETフィルムの片面に、水性ウレタン樹脂を含む白色インキを、グラビアコーターにより塗布し、熱風乾燥により乾燥して、厚さ1μmの白インキ層を形成して、表面層を形成した。
次いで、上記表面層の白インキ層に厚さ50μmのフィルムAを、白インキ層に熱接着性樹脂層が接するように重ね、これらを温度140℃に加熱した一対のロールにより挟み、加工速度100m/分で熱圧着して積層フィルムを得た。
【0033】
得られた積層フィルムにおける接着強度を下記測定方法により測定した。測定結果を表1に示す。
[接着強度測定方法]
なお、下記の例において、積層フィルムにおける基材と熱融着層との接着強度は、東洋精機製作所製M−1型引張試験機を用い、T型剥離、引張速度300mm/分の条件で測定した値である。測定回数は3回とし、接着強度の範囲と平均を求めた。
【0034】
【表1】

【0035】
PETフィルムの片面に無色インキ層を設けた実施例1〜3の積層フィルムは、接着強度が高かった。
これに対し、PETフィルムにフィルムAを直接熱圧着した比較例1の積層フィルム、PETフィルムに無色インキ層を設けず、白インキ層を直接設けた比較例2の積層フィルムは、接着強度が低かった。
【0036】
(実施例4)
厚さ15μmの二軸延伸ナイロン(ONy)フィルムの片面に、水性ウレタン樹脂を含む無色インキ(東洋インキ製造社製アクワエコール)を、グラビアコーターにより塗布し、熱風乾燥により乾燥して、厚さ1μmの無色インキ層を形成した。
次いで、無色インキ層の露出面に、水性ウレタン樹脂を含む白色インキ(東洋インキ製造社製アクワエコール)を、グラビアコーターにより塗布し、熱風乾燥により乾燥して、厚さ1μmの白インキ層を形成して、表面層を形成した。
次いで、上記表面層の白色インキ層に、酸変性ポリエチレンをグリシジル基で修飾した樹脂からなる熱接着性樹脂層と直鎖状低密度ポリエチレンからなるポリオレフィン層との共押出フィルムである厚さ40μmのフィルムBを、白色インキ層に熱接着性樹脂層が接するように重ねた。そして、これらを温度145℃に加熱した一対のロールにより挟み、加工速度125m/分で熱圧着して、積層フィルムを得た。
【0037】
(比較例3)
厚さ15μmのONyフィルムの片面に、水性ウレタン樹脂を含む白色インキを、グラビアコーターにより塗布し、熱風乾燥により乾燥して、厚さ1μmの白インキ層を形成して、表面層を形成した。
次いで、上記表面層の白インキ層に厚さ40μmのフィルムBを、白インキ層に熱接着性樹脂層が接するように重ね、これらを温度145℃に加熱した一対のロールにより挟み、加工速度125m/分で熱圧着して積層フィルムを得た。
【0038】
得られた積層フィルムにおける接着強度を上記接着強度測定方法により測定した。測定結果を表2に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
ONyフィルムの片面に無色インキ層を設けた実施例4の積層フィルムは、接着強度が高かった。
これに対し、ONyフィルムに無色インキ層を設けず、白インキ層を直接設けた比較例3の積層フィルムは、接着強度が低かった。
【0041】
(実施例5)
厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムの片面に、塩素化ポリプロピレン樹脂を含む無色インキ(東洋インキ製造社製NEW−MAX)を、グラビアコーターにより塗布し、熱風乾燥により乾燥して、厚さ1μmの無色インキ層を形成した。
次いで、無色インキ層の露出面に、塩素化ポリプロピレン樹脂を含む白色インキ(東洋インキ製造社製NEW−MAX)を、グラビアコーターにより塗布し、熱風乾燥により乾燥して、厚さ1μmの白インキ層を形成して、表面層を形成した。
次いで、上記表面層の白色インキ層に、エポキシ配合ポリプロピレンからなる熱接着性樹脂層とポリプロピレンからなるポリオレフィン層との共押出フィルムである厚さ30μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムCを、白色インキ層に熱接着性樹脂層が接するように重ねた。そして、これらを温度145℃に加熱した一対のロールにより挟み、加工速度150m/分で熱圧着して、積層フィルムを得た。
【0042】
(比較例4)
厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムの片面に、塩素化ポリプロピレン樹脂を含む白色インキ(東洋インキ製造社製NEW−MAX)を、グラビアコーターにより塗布し、熱風乾燥により乾燥して、厚さ1μmの白インキ層を形成した。
次いで、上記表面層の白インキ層にエポキシ配合ポリプロピレンからなる熱接着性樹脂層とポリプロピレンからなるポリオレフィン層との共押出フィルムである厚さ30μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムCを、白インキ層に熱接着性樹脂層が接するように重ね、これらを温度145℃に加熱した一対のロールにより挟み、加工速度150m/分で熱圧着して積層フィルムを得た。
【0043】
得られた積層フィルムにおける接着強度を上記接着強度測定方法により測定した。測定結果を表3に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
OPPフィルムの片面に無色インキ層を設けた実施例5の積層フィルムは、接着強度が高かった。
これに対し、OPPフィルムに無色インキ層を設けず、白インキ層を直接設けた比較例4の積層フィルムは、接着強度が低かった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の積層フィルムは、包装材料などに好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1,2 積層フィルム
10 表面層
11 基材
12 インキ層
12a 無色インキ層
12b 有色インキ層
20 熱接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面層と熱接着層とがサーマルラミネート法により接着された積層フィルムであって、
前記表面層は、基材と、該基材の熱接着層側の面に設けられたインキ層とを備え、前記インキ層の少なくとも一部が無色インキ層とされていることを特徴とする積層フィルム。
【請求項2】
前記インキ層は、基材側に設けられた無色インキ層と、熱接着層側に設けられた有色インキ層とからなることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記インキ層を構成する樹脂が水性ウレタン樹脂である請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記熱接着層が、熱接着性樹脂層とポリオレフィン層との積層体であり、前記熱接着性樹脂層が表面層側に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
【請求項5】
基材の片面にインキ層を設けて表面層を形成する表面層形成工程と、前記表面層のインキ層に熱接着層を重ね、熱圧着するサーマルラミネート工程とを有する積層フィルムの製造方法であって、
前記インキ層の少なくとも一部を無色インキ層とすることを特徴とする積層フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−78919(P2013−78919A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220854(P2011−220854)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】