説明

積層フィルム組成物、それらから作製される包装品、および使用方法

本発明は、フィルムおよびそれらを製造する方法に関する。本発明のフィルムは、1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含む。1つの実施形態において、前記内層は、エチレン系共重合体またはプロピレン系共重合体を含む組成物から形成され、および少なくとも1つの外層は、1つまたはそれ以上のプロピレン系共重合体を含む組成物から形成される。本発明は、本発明のフィルムから形成された物品も提供し、それらを製造する方法にも対処する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への参照
本出願は、2006年7月31日出願の中国出願第200610171888.0号の恩典を請求するものであり、該中国出願は、本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、積層フィルム組成物、および特に、ダブルバブルプロセスを用いて製造される二軸延伸フィルム組成物に関する。本発明のフィルムは、非常に低い収縮温度(T≦100℃)でさえ、長さ方向(MD)と幅方向(TD)の卓越したバランスを有する。低い収縮温度により、温度感受性製品の包装、速い包装速度、および/または変形し易い物品、例えば雑誌、文房具、の包装が可能になる。
【背景技術】
【0003】
「プロピレン系ターポリマー/ポリエチレン系コポリマー」多層フィルムなどの、未架橋延伸多層フィルムは公知であり、商業利用されている。これらのフィルムは、一般に、高い弾性率を有するが、低い収縮温度で不良な収縮レベルを有する。また、これらの従来の未架橋フィルムのシール強度は比較的低い。シール強度を改善するために、放射線照射を用いてポリエチレン系フィルムを架橋することができる。しかし、照射架橋ポリエチレン系フィルムは、放射線照射プロセスの資本経費が高いため、製造費用が嵩む。さらに、既存の延伸未架橋ポリプロピレン系およびポリエチレン系フィルムは、約115℃のヒートシール開始温度(HSIT)を有し、比較的高い温度(例えば、110〜120℃またはそれより高い収縮温度)ででしか望ましい収縮度を示さない。既存の架橋ポリエチレン系フィルム、例えば、線状低密度ポリエチレンフィルム、エチレンビニルアセテートフィルム、エチレンブチルアクリレートフィルム、またはアイオノマーを含有するフィルムは、延伸安定性(安定な二次バブルおよび一様なフィルム厚)および良好なフィルム特性を提供するために、フィルムを要求架橋度に架橋するための非常に特化された、資本集約的設備を必要とする。高い包装速度、速い収縮を達成するには、低い収縮温度と、良好な機械加工性、すなわち高いフィルム弾性率、の両方が求められる。伝統的に、「低収縮温度」二軸延伸収縮フィルムは、ULDPE(超低密度ポリエチレン)、EVA(エチレンビニルアセテートコポリマー)、EBA(エチレンブチルアクリレート)、および低い融点を有する他の材料によって製造された。これらの材料は非常に柔軟であり、これらの材料から製造されたフィルムは低い弾性率をもたらす。低い弾性率は機械加工性を低下させるので、フィルムの低い弾性率はその包装速度を制限する。当分野におけるフィルムの一部の例を下で説明する。
【0004】
特許文献1は、線状低密度ポリエチレンまたは線状中密度ポリエチレンを含む芯層;70重量パーセントから90重量パーセントのエチレンプロピレンコポリマーと10重量パーセントから30重量パーセントのポリエチレンホモポリマーとのブレンドを含む2つの外皮層、を含む多層フィルムを開示している。前記フィルムは、少なくとも約12%の200°Fでの平均長さ方向自由収縮、および少なくとも約17パーセントの200°Fでの平均幅方向自由収縮を有すると開示されている。特許文献2も参照のこと。
【0005】
特許文献3は、ポリエチレン樹脂から本質的に成る2つの外層およびそれらの外層の間に挿入された1つまたはそれ以上の内層を含む、熱収縮性多層フィルムを開示している。前記内層のうちの少なくとも1つは、ポリプロピレン樹脂と実質的に線状のエチレン/α−オレフィンコポリマーとのブレンドを含む。前記コポリマーは、約2以下の分子量分布Mw/Mn、および7.0以上のメルトフローレート(I10/I2)を有する。
【0006】
特許文献4は、高い収縮量および低い収縮力を有するポリオレフィン収縮フィルムを開示している。前記フィルムは、100℃より高い融点を有するエチレンのポリマーから形成された芯層、エチレンもしくはプロピレンのホモポリマーまたはエチレン/α−オレフィンコポリマーの外層を有する。前記フィルムは、放射線照射されない。前記フィルムは、より高い収縮力を有する収縮フィルム内に包装すると破壊、歪みまたは変形を受けやすい物品の包装に使用することができる。
【0007】
特許文献5は、一部のPVCフィルムに近い非常に低い収縮張力を提供し、その上、比較的高い自由収縮特性および比較的低い収縮温度を提供する、多層収縮フィルムを開示している。好ましいフィルムは、線状低密度ポリエチレンまたはエチレンプロピレンコポリマーを含む芯層と、線状低密度ポリエチレンまたはエチレンプロピレンコポリマーから選択されるポリマー材料を含む2つの外層と、100℃未満の融点を有するポリマー材料または材料のブレンドを含む2つの中間層とを含む、5つの層を有する。適する材料としては、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマーと超低密度ポリエチレンとのブレンド、エチレンブチルアクリレートコポリマー、およびエチレンビニルアセテートコポリマーとエチレンブチルアクリレートコポリマーとのブレンドが挙げられる。
【0008】
特許文献6は、多層熱収縮性フィルムを開示している。好ましくは、前記フィルムの芯層は、プロピレン/エチレンコポリマーの2つの比較的薄い外層の間にサンドイッチされた、一定の線状低密度ポリエチレンと一定の高度に分岐した低密度ポリエチレンとのブレンとである。この芯は、その多層フィルムのリサイクルスクラップも含有する。特許文献7も参照のこと。
【0009】
特許文献8は、0.900〜0.935g/ccの密度および50〜95パーセントのCDBIを有する50から100重量パーセントのエチレンコポリマー含む少なくとも1つの外層を含む、延伸多層フィルムを開示している。前記外層は、ポリプロピレン芯層と接触し、前記フィルムは、前記エチレンコポリマーとポリプロピレン層の共押出し、およびその後の延伸によって製造される。前記共押出層は、従来のチーグラー・ナッタ型線状低密度ポリエチレン中に本質的に存在する、低分子量非晶質ポリマー部分の存在に起因して難なくテンター装置で一軸延伸、二軸延伸することができる。この参考文献は、シール温度を低下させながら二軸延伸ポリプロピレンフィルムの光学特性を保持することができ、ヒートシール強度および熱間粘着性能特性を改善すると開示している。
【0010】
特許文献9(要約書)は、熱収縮開始温度が低く、広い熱収縮温度範囲を有する、ポリプロピレン型熱収縮性積層フィルムを開示している。前記フィルムは、耐引裂性、低温ストレッチ性、低温ヒートシール性および耐衝撃性に優れ、収縮性包装用フィルムとして好適と開示されている。ポリプロピレンが芯層用の樹脂として使用され、直鎖低密度ポリエチレン樹脂が両方の外層用の樹脂として使用される。共押出、三層Tダイによって前記直鎖低密度ポリエチレン樹脂から構成される二層を前記芯層の両面に設けて、三層構造を有する共押出積層フィルムを製造する。この共押出積層フィルムを、一軸延伸機によって100℃またはそれ以下の延伸温度で2〜5回、一軸延伸して、約30μmの厚さを有する一軸延伸フィルムを得る。
【0011】
特許文献10は、ストレッチ/収縮包装の際、酢酸臭が生じず、透明性および光沢性に優れ、しかも弾性回復力および結束力に優れた包装体を形成するための積層ストレッチ収縮フィルムを開示している。前記フィルムの芯層は、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブテン−プロピレンコポリマー、またはそれらの混合物で製造され、それぞれの外層は、直鎖低密度ポリエチレンで製造され、ならびに芯層と外層の間の中間層は、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブテン−プロピレンコポリマー、またはそれらの混合物で製造される。前記直鎖低密度ポリエチレンは、0.910から0.925g/ccの密度を有し、および前記直鎖低密度ポリエチレンは、0.890から0.907g/ccの密度を有する。
【0012】
特許文献11は、ブレンドされたポリプロピレン層と少なくとも1つのポリエチレンシーラント層とを有する多層インフレートフィルムを開示している。詳細には、前記多層フィルムは、少なくとも1つのエチレンリッチなエチレン共重合体とブレンドされたプロピレンリッチなポリプロピレンポリマーから製造された非シーラント層と、少なくとも1つのエチレン共重合体から製造されたシーラント層とを含む。前記エチレンリッチなエチレン共重合体は、プロピレン以外の少なくとも1つの他のコモノマーと共重合させたエチレンを含む。前記多層フィルムは、優れた中間層接着性および靭性と、許容される光学特性およびシーリング特性を示すと開示されている。前記フィルムは、好ましくは、空気急冷式共押出(air-quenched coextrusion)加工技術を用いて製造され、ならびに流動性材料用のパウチ、強力輸送袋(heavy-duty shipping sack)およびオーバーラップフィルムの製造における使用に特に適する。
【0013】
特許文献12(要約書)は、芯層とその芯層の両面に対して適用された2つの外または中間層とを含む熱収縮性複合フィルムを開示している。前記中間および/または外層は、ASTM D 790に従って曲げ弾性率が200MPaより大きく、ビカー軟化点が100℃より大きい(ASTM D 1525)、1つまたはそれ以上のポリオレフィンによって形成される。前記芯層は、曲げ弾性率が400MPa未満であり(ASTM D 790)、ビカー軟化点が70℃未満である(ASTM D 1525)ポリマーによって形成される。特に、前記ポリマーは、高いアルファオレフィン含有率を有するポリプロピレン、ポリオレフィンエラストマー材料、またはそれらのブレンドから選択される。
【0014】
特許文献13は、8パーセント以下の曇り価、90℃の温度での長さ方向の少なくとも30パーセントの熱収縮性、および少なくとも300g/mm2の収縮応力を有する、低温熱収縮性フィルムを開示している。前記フィルムは、(a)短鎖分岐を含み、0.940g/cc以下の密度を有する、線状エチレンポリマーと、(b)3.5から10重量パーセントのエチレン由来ユニットを含有する、エチレン/プロピレンランダムコポリマーとを含む組成物から製造される。前記組成物中の前記エチレン/プロピレンランダムコポリマーの比率は、15から50重量パーセントである。
【0015】
特許文献14は、多層収縮フィルムおよびそれらの製造方法を開示し、それらは実質的にシリコーンを含まない。前記多層収縮フィルムは、フィルム二軸延伸手段を用いて製造される。前記フィルムは、5またはそれ以下の曇り価、40,000psiまたはそれ以上のヤング率および優れたホットスリップ性を有すると開示されている。優れたホットスリップを付与するために、環状オレフィンコポリマー(COC)を最外層において使用している。好ましくは、前記フィルムは、大きな比率の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)またはエチレンプロピレンブタンターポリマーを含む。この発明での使用に適するCOCは、シングルサイト触媒型COCに限られる。特許文献15も参照のこと。
【0016】
特許文献16は、架橋線状低密度ポリエチレンまたは線状中密度ポリエチレンを含む少なくとも1つの内層を有する多層フィルムを開示している。
【0017】
特許文献17は、ポリオレフィン芯を伴い、ならびに40重量パーセントまたはそれ以下の均一エチレン/アルファ−オレフィン;前記芯の両面に変性ポリオレフィンタイ層;および少なくとも1方のタイ層上に接着層を有する、非延伸多層フィルムを開示している。前記接着層は、極性変性ポリオレフィンおよびポリエステル、コポリエステル、またはポリエステル/コポリエステルブレンドを含有する。
【0018】
特許文献18は、優れた長さ方向(MD)引裂特性を有するフィルムを開示し、このフィルムは、(A)少なくとも50重量パーセントのプロピレンと、(B)少なくとも5重量パーセントのエチレンおよび/または1つもしくはそれ以上の不飽和コモノマーとを含むポリマーから製造された、少なくとも1つの層を含む。好ましくは、前記フィルムは、次のうちの少なくとも1つを有する。(i)約10未満の曇り価、(ii)約65より大きい45度光沢、および(iii)約100g/milより大きいダート値。好ましい実施形態において、前記層は、次の特性のうちの少なくとも1つを有することを特徴とするコポリマーを含む。(i)14.6および15.7ppmでの位置エラーに対応する13C NMRピーク(これらのピークは、ほぼ同じ強度である)、(ii)そのコポリマーのコモノマー含有率が少なくとも約3重量パーセントであるとき、約1.4より大きいB値、(iii)約−1.20より大きい歪指数(skewness index)、6(iv)本質的に同じままであるTme、およびそのコポリマー中のコモノマーの量を増加させるにつれて減少するTmaxを有するDSC曲線、および(v)チーグラー・ナッタ(Z−N)触媒を用いて作製された比較対照となるコポリマーより多くのガンマ型結晶を報告するX線回折パターン。
【0019】
さらなるフィルム組成物が、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26(要約書)、特許文献27、ならびに特許文献28、特許文献29および特許文献30に報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第4,532,189号
【特許文献2】英国特許出願第2115348号A
【特許文献3】米国特許第5,614,315号
【特許文献4】米国特許第6,344,250号
【特許文献5】米国特許第4,833,024号
【特許文献6】国際公開番号WO 91/17886
【特許文献7】米国特許第5,128,212号
【特許文献8】欧州特許出願番号EP 1318173A1
【特許文献9】特開平06−210730号
【特許文献10】特開平06−115027号
【特許文献11】国際公開番号WO 01/53079
【特許文献12】欧州特許番号EP 0595701B1
【特許文献13】米国特許第5,051,481号
【特許文献14】国際公開番号WO 2005/097493
【特許文献15】国際公開番号WO 2004/078829
【特許文献16】英国特許出願第2135240号A
【特許文献17】国際公開番号WO 02/45957
【特許文献18】国際公開番号WO 03/040202
【特許文献19】米国特許第5,306,549号
【特許文献20】米国特許第4,354,997号
【特許文献21】米国特許第4,820,557号
【特許文献22】米国特許第4,801,652号
【特許文献23】米国特許第4,814,135号
【特許文献24】米国特許公開第2002/0068182号
【特許文献25】国際公開04/060670
【特許文献26】国際公開WO 89/01402
【特許文献27】国際公開WO 05/103123
【特許文献28】欧州特許EP 0350859B1
【特許文献29】欧州特許EP 0388177B1
【特許文献30】欧州特許EP 0710546B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
低温での優れた収縮レベルおよび延伸安定性、ならびに卓越したシール強度、卓越した光学特性および良好な靭性を有する、改善された未架橋延伸フィルムが、依然として必要とされている。それらのフィルムは、良好な靭性が求められる用途でのそれらの使用を可能にする、卓越した引張特性およびシール特性を有するはずである。加えて、それらのフィルムは、高いフィルム弾性率と低いフィルム収縮温度を兼備し、従って、急速包装用途に適する。さらに、100℃またはそれ以下の低下したHSIT、改善されたフィルムシール強度、改善された靭性および改善された内層接着性を有する未架橋延伸フィルムが必要とされている。高い弾性率と低い収縮温度の両方を有するフィルムも必要とされている。これらの要求およびその他の要求の一部を以下の発明によって満たした。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含み、ならびに前記内層が、0.87g/ccから0.94g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに少なくとも1つの外層が、0.86g/ccから0.89g/ccの密度および1g/10分から15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するプロピレン系共重合体を含む組成物から形成されるフィルムを提供する。
【0023】
本発明は、1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含み、ならびに前記内層が、0.83g/ccから0.89g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する第一のプロピレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに少なくとも1つの外層が、0.86g/ccから0.91g/ccの密度および1g/10分から15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する第二のプロピレン系共重合体を含む組成物から形成されるフィルムも提供する。
【0024】
本発明は、1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含み、ならびに前記内層が、0.86g/ccから0.89g/ccの密度および1g/10分から15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するプロピレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに少なくとも1つの外層が、0.87g/ccから0.94g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン系共重合体を含む組成物から形成されるフィルムも提供する。
【0025】
本発明は、1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含み、ならびに前記内層が、0.87g/ccから0.94g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに少なくとも1つの外層が、0.86g/ccから0.89g/ccの密度および1g/10分から15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するプロピレン系共重合体を含む組成物から形成されるフィルムを形成するための方法であって、a)フィルム組成物のそれぞれの層を形成するためのポリマー組成物を選択すること;b)それぞれのフィルム層の組成物を共押出して、第一フィルム組成物を形成すること;c)前記第一のフィルム組成物をダブルバブルプロセスに付して、フィルムを形成することを含む方法を提供する。
【0026】
本発明は、1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含み、ならびに前記内層が、0.83g/ccから0.89g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する第一のプロピレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに少なくとも1つの外層が、0.86g/ccから0.91g/ccの密度および1g/10分から15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する第二のプロピレン系共重合体を含む組成物から形成されるフィルムを形成するための方法であって、a)フィルム組成物のそれぞれの層を形成するためのポリマー組成物を選択すること;b)それぞれのフィルム層の組成物を共押出して、第一フィルム組成物を形成すること;c)前記第一のフィルム組成物をダブルバブルプロセスに付してフィルムを形成することを含む方法を提供する。
【0027】
本発明は、1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含み、ならびに前記内層が、0.86g/ccから0.89g/ccの密度および1g/10分から15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するプロピレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに少なくとも1つの外層が、0.87g/ccから0.94g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン系共重合体を含む組成物から形成されるフィルムを形成するための方法であって、a)フィルム組成物のそれぞれの層を形成するためのポリマー組成物を選択すること;b)それぞれのフィルム層の組成物を共押出して、第一フィルム組成物を形成すること;c)前記第一のフィルム組成物をダブルバブルプロセスに付して、フィルムを形成することを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明のフィルム組成物を積層したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムおよび従来のフィルムについての、シールバー温度に対するシール強度のプロットである。
【図2】図2は、本発明のフィルム組成物および従来のフィルム組成物についての、シールバー温度に対するシール強度のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
概要
上で論じたように、本発明は、少なくとも3つの層、1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層、を含み、ならびに前記内層が、0.87g/ccから0.94g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分、好ましくは0.5g/10分から5g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに少なくとも1つの外層が、0.86g/ccから0.89g/ccの密度および1g/10分から15g/10分、好ましくは1g/10分から10g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するプロピレン系共重合体を含む組成物から形成される、フィルムを提供する。もう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、1g/10分から5g/10分、または1g/10分から3g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。前記3つの層のそれぞれは、架橋反応に付されない。
【0030】
本発明の1つの実施形態において、前記少なくとも2つの外層は、同じ組成物から形成される。本発明のもう1つの実施形態において、前記2つの外層のそれぞれは、前記内層の表面に隣接している。
【0031】
もう1つの実施形態において、エチレン系共重合体は、線状低密度エチレン/α−オレフィン共重合体である。さらなる実施形態において、前記α−オレフィンは、C3〜C12 α−オレフィンから成る群より選択される。さらにもう1つの実施形態において、前記エチレン/α−オレフィンのα−オレフィンは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンまたは1−オクテンから選択され、さらに好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテン、およびさらにいっそう好ましくは、1−ブテンまたは1−オクテンから選択される。
【0032】
本発明のもう1つの実施形態において、前記エチレン系共重合体は、0.5g/10分から6g/10分、好ましくは0.7g/10分から3g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。もう1つの実施形態において、前記エチレン系共重合体は、0.87g/ccから0.93g/cc、好ましくは0.87g/ccから0.925g/cc、およびさらに好ましくは0.87g/ccから0.92g/ccの密度を有する。さらなる実施形態において、前記エチレン系共重合体は、0.7から3グラム/10分のメルトインデックス、0.87g/ccから0.93g/cc、好ましくは0.87g/ccから0.925g/cc、およびさらに好ましくは0.87g/ccから0.92g/ccの密度を有する。さらなる実施形態において、前記エチレン系共重合体は、エチレン/α−オレフィン共重合体である。もう1つの実施形態において、前記エチレン系共重合体は、線状低密度エチレン/α−オレフィン共重合体である。
【0033】
本発明のもう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/α−オレフィン共重合体である。さらなる実施形態において、前記α−オレフィンは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンまたは1−オクテンから選択される。本発明のもう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレン共重合体である。本発明のもう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0034】
本発明のもう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、2g/10分から10g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。もう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、0.87g/ccから0.89g/ccの密度を有する。さらなる実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、2から10グラム/10分のメルトフローレート、0.87g/ccから0.89g/ccの密度を有する。本発明のもう1つの実施形態において、前記第一のプロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレン共重合体である。本発明のもう1つの実施形態において、前記第一のプロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0035】
もう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、プロピレンとエチレンのコポリマー、またはプロピレンとエチレンとブテンのターポリマーである。もう1つの実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレンと1−ブテンのコポリマー、エチレンと1−オクテンのコポリマー、またはエチレンと1−ヘキセンのコポリマーである。
【0036】
本発明のもう1つの実施形態において、フィルム層は、エチレン系共重合体とプロピレン系共重合体の両方を含む組成物から形成される。
【0037】
もう1つの実施形態において、前記内層を形成するために使用される組成物は、プロピレン系ポリマーをさらに含む。さらなる実施形態において、前記内層を形成するために使用される組成物は、50から80重量パーセントのエチレン系共重合体および20から50重量パーセントのプロピレン系共重合体を含み、ならびにこの場合のそれぞれの重量パーセントは、そのプロピレン系共重合体とエチレン系共重合体の合計重量に基づく。もう1つの実施形態において、前記エチレン系共重合体は、エチレン/α−オレフィン共重合体である。さらにもう1つの実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、0.87g/ccから0.93g/cc、好ましくは0.87g/ccから0.925g/cc、およびさらに好ましくは0.87g/ccから0.92g/ccの密度を有する。もう1つの実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、0.6g/10分から7g/10分、好ましくは0.7g/10分から3g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0038】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、少なくとも5つの層を含む。
【0039】
もう1つの実施形態において、前記フィルムのそれぞれの層は、そのフィルム組成物の総厚の10から90パーセント、好ましくは15から80パーセント、およびさらに好ましくは20から70パーセントを構成する。
【0040】
本発明のもう1つの実施形態において、前記フィルムは、(a)1つまたは2つのプロピレン系共重合体および(b)線状低密度ポリエチレン、さらに好ましくは線状低密度エチレン/1−オクテンコポリマー、線状低密度エチレン/1−ヘキセンコポリマー、または線状低密度エチレン/1−ブテンコポリマーを、そのフィルムの主成分として(そのフィルムの総重量に基づき、90重量パーセントより多く)含む。好ましくは、それぞれのプロピレン系共重合体は、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。1つの実施形態において、それぞれのプロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0041】
本発明は、少なくとも3つの層、1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層、を含み、ならびに前記内層が、0.83g/ccから0.89g/cc、または0.83g/ccから0.88g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分、好ましくは0.5g/10分から5g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する第一のプロピレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに少なくとも1つの外層が、0.86g/ccから0.91g/ccの密度および1g/10分から15g/10分、好ましくは1g/10分から10g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する第二のプロピレン系共重合体を含む組成物から形成される、フィルム組成物も提供する。前記3つの層のそれぞれは、架橋反応に付されない。
【0042】
前記第二のプロピレン系共重合体は、次の特徴のうちの1つまたはそれ以上の点で前記第一のプロピレン系共重合体と異なる。密度、メルトフローレート、モノマー成分、またはそれぞれのモノマー成分の量。下で論じるように、第二のプロピレン系共重合体および第三のプロピレン系共重合体に関して同じ比較が当てはまる。
【0043】
本発明の1つの実施形態において、前記少なくとも2つの外層は、同じ組成物から形成される。もう1つの実施形態において、前記2つの外層のそれぞれは、前記内層の表面に隣接している。
【0044】
本発明のもう1つの実施形態において、前記第一のプロピレン系共重合体は、プロピレン/α−オレフィン共重合体である。さらなる実施形態において、前記α−オレフィンは、エチレンおよびC4〜C12 α−オレフィンから成る群より選択される。さらなる実施形態において、前記第一のプロピレン/α−オレフィン共重合体のα−オレフィンは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンまたは1−オクテンから選択される。好ましい実施形態において、前記α−オレフィンは、エチレンである。本発明のもう1つの実施形態において、前記第一のプロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレン共重合体である。本発明のもう1つの実施形態において、前記第一のプロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0045】
本発明のもう1つの実施形態において、前記第一のプロピレン系共重合体は、1g/10分から3g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。もう1つの実施形態において、前記第一のプロピレン系共重合体は、0.84g/ccから0.89g/cc、または0.84g/ccから0.88g/cc、または0.84g/ccから0.87g/ccの密度を有する。さらなる実施形態において、前記第一のプロピレン系共重合体は、1から3グラム/10分のメルトフローレート、0.84g/ccから0.89g/cc、または0.84g/ccから0.88g/cc、または0.84g/ccから0.87g/ccの密度を有する。
【0046】
本発明のもう1つの実施形態において、前記第二のプロピレン系共重合体は、プロピレン/α−オレフィン共重合体である。さらなる実施形態において、前記α−オレフィンは、エチレンおよびC4〜C12 α−オレフィンから成る群より選択される。さらなる実施形態において、前記第二のプロピレン/α−オレフィン共重合体のα−オレフィンは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンまたは1−オクテンから選択される。本発明のもう1つの実施形態において、前記第二のプロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレン共重合体である。本発明のもう1つの実施形態において、前記第二のプロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0047】
本発明のもう1つの実施形態において、前記第二のプロピレン系共重合体は、2g/10分から10g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。もう1つの実施形態において、前記第二のプロピレン系共重合体は、0.86g/ccから0.90g/cc、好ましくは0.86g/ccから0.89g/ccの密度を有する。さらなる実施形態において、前記第二のプロピレン系共重合体は、2から10グラム/10分のメルトインデックス、0.86g/ccから0.90g/cc、好ましくは0.86g/ccから0.89g/ccの密度を有する。本発明のもう1つの実施形態において、前記第二のプロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレン共重合体である。本発明のもう1つの実施形態において、前記第二のプロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0048】
本発明のもう1つの実施形態において、前記フィルムは、2つまたは3つのプロピレン系共重合体をそのフィルムの主成分として(そのフィルムの総重量に基づき、90重量パーセントより多く)含む。好ましくは、それぞれのプロピレン系共重合体は、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。1つの実施形態において、それぞれのプロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレン共重合体である。
【0049】
本発明のもう1つの実施形態において、フィルム層は、エチレン系共重合体とプロピレン系共重合体の両方を含む組成物から形成され得る。
【0050】
もう1つの実施形態において、前記内層を形成するために使用される組成物は、エチレン系共重合体をさらに含む。さらなる実施形態において、前記内層を形成するために使用される組成物は、50から80重量パーセント、好ましくは55から75重量パーセント、およびさらに好ましくは60から70重量パーセントのプロピレン系共重合体と;20から50重量パーセント、好ましくは25から45重量パーセント、およびさらに好ましくは30から40重量パーセントのエチレン系共重合体を含み、ならびにこの場合の各重量パーセントは、そのプロピレン系共重合体とエチレン系共重合体の合計重量に基づく。もう1つの実施形態において、前記エチレン系共重合体は、エチレン/α−オレフィン共重合体である。もう1つの実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、0.87g/ccから0.93g/cc、好ましくは0.87g/ccから0.925g/cc、およびさらに好ましくは0.87g/ccから0.92g/ccの密度を有する。もう1つの実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、0.7g/10分から3g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0051】
もう1つの実施形態において、前記外層を形成するために使用される組成物は、エチレン系共重合体をさらに含む。
【0052】
本発明のもう1つの実施形態において、前記フィルムは、(a)2つまたは3つのプロピレン系共重合体および(b)線状低密度ポリエチレン、さらに好ましくは線状低密度エチレン/1−オクテンコポリマー、線状低密度エチレン/1−ヘキセンコポリマー、または線状低密度エチレン/1−ブテンコポリマーを、そのフィルムの主成分として(そのフィルムの総重量に基づき、90重量パーセントより多く)含む。好ましくは、それぞれのプロピレン系共重合体は、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。1つの実施形態において、それぞれのプロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0053】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、少なくとも5つの層を含む。
【0054】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物のそれぞれの層は、そのフィルムの総厚の10から90パーセント、好ましくは15から80パーセント、およびさらに好ましくは20から70パーセントを構成する。
【0055】
本発明は、1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含み、ならびに前記内層が、0.86g/ccから0.91g/cc、好ましくは0.86g/ccから0.90g/cc、さらに好ましくは0.86g/ccから0.89g/ccの密度および1g/10分から15g/10分、好ましくは1g/10分から10g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するプロピレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに少なくとも1つの外層が、0.87g/ccから0.94g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分、好ましくは0.5g/10分から5g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン系共重合体を含む組成物から形成される、フィルム組成物も提供する。前記3つ層のそれぞれは、架橋反応に付されない。
【0056】
本発明の1つの実施形態において、前記少なくとも2つの外層は、同じ組成物から形成される。本発明のもう1つの実施形態において、前記2つの外層のそれぞれは、前記内層の表面に隣接している。
【0057】
本発明のもう1つの実施形態において、エチレン系共重合体は、線状低密度エチレン/α−オレフィン共重合体である。さらなる実施形態において、前記α−オレフィンは、C3〜C12 α−オレフィン共重合体から成る群より選択される。さらにもう1つの実施形態において、前記エチレン/α−オレフィンのα−オレフィンは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンまたは1−オクテンから選択され、さらに好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテン、およびさらにいっそう好ましくは、1−ブテンまたは1−オクテンから選択される。
【0058】
本発明のもう1つの実施形態において、前記エチレン系共重合体は、0.5g/10分から6g/10分、好ましくは0.7g/10分から3g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。もう1つの実施形態において、前記エチレン系共重合体は、0.87g/ccから0.93g/cc、好ましくは0.87g/ccから0.925g/cc、およびさらに好ましくは0.87g/ccから0.92g/ccの密度を有する。さらなる実施形態において、前記エチレン系共重合体は、0.5から6グラム/10分、好ましくは0.7から3グラム/10分のメルトインデックス、0.87g/ccから0.93g/cc、好ましくは0.87g/ccから0.925g/cc、およびさらに好ましくは0.87g/ccから0.92g/ccの密度を有する。さらなる実施形態において、前記エチレン系共重合体は、エチレン/α−オレフィン共重合体である。もう1つの実施形態において、前記エチレン系共重合体は、線状低密度エチレン/α−オレフィン共重合体である。
【0059】
本発明のもう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/α−オレフィン共重合体である。さらなる実施形態において、前記α−オレフィンは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンまたは1−オクテンから選択される。本発明のもう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレン共重合体である。本発明のもう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0060】
本発明のもう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、2g/10分から10g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。もう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、0.87g/ccから0.89g/ccの密度を有する。さらなる実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、2から10グラム/10分のメルトフローレート、0.87g/ccから0.89g/ccの密度を有する。本発明のもう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレン共重合体である。本発明のもう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0061】
もう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、プロピレンとエチレンのコポリマー、またはプロピレンとエチレンとブテンのターポリマーである。もう1つの実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレンと1−ブテンのコポリマー、エチレンと1−オクテンのコポリマー、またはエチレンと1−ヘキセンのコポリマーである。
【0062】
もう1つの実施形態において、フィルム層は、エチレン系共重合体とプロピレン系共重合体の両方を含む組成物から形成され得る。
【0063】
もう1つの実施形態において、前記内層を形成するために使用される組成物は、エチレン系ポリマーをさらに含む。さらなる実施形態において、前記内層を形成するために使用される組成物は、50から80重量パーセント、好ましくは60から75重量パーセントのプロピレン系共重合体、および20から50重量パーセント、好ましくは24から40重量パーセントのエチレン系共重合体を含み、ならびにこの場合のそれぞれの重量パーセントは、そのプロピレン系共重合体とエチレン系共重合体との合計重量に基づく。もう1つの実施形態において、前記エチレン系共重合体は、エチレン/α−オレフィン共重合体である。さらにもう1つの実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、0.87g/ccから0.93g/ccの密度を有する。もう1つの実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、0.7g/10分から3g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0064】
本発明のもう1つの実施形態において、フィルム層は、エチレン系共重合体とプロピレン系共重合体の両方を含む組成物から形成され得る。
【0065】
もう1つの実施形態において、前記外層、さらに内層、を形成するために使用される組成物は、プロピレン系共重合体をさらに含む。
【0066】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、少なくとも5つの層を含む。
【0067】
もう1つの実施形態において、前記フィルムのそれぞれの層は、そのフィルム組成物の総厚の10から90パーセント、好ましくは15から80パーセント、およびさらに好ましくは20から70パーセントを構成する。
【0068】
本発明は、本発明のフィルムを形成するための方法も提供し、前記方法は、a)フィルム組成物のそれぞれの層を形成するためのポリマー組成物を選択すること;b)それぞれのフィルム層の組成物を共押出して、第一フィルム組成物を形成すること;c)前記第一のフィルム組成物をダブルバブルプロセスに付して、フィルムを形成することを含む。
【0069】
本発明は、本発明のフィルムから形成された少なくとも1つの構成要素を含む物品も提供する。本発明は、それを製造するための方法も提供する。
【0070】
本発明は、本発明のフィルムから形成された少なくとも1つの構成要素を含む包装品も提供する。本発明は、それを製造するための方法も提供する。
【0071】
本発明は、本発明のフィルムから形成された積層物を含む積層基板も提供する。もう1つの実施形態において、前記基板は、ポリエステルを含む組成物から形成される。さらなる実施形態において、前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートである。
【0072】
本発明のフィルムは、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の適する実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0073】
本発明のフィルムのフィルム層は、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の適する実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0074】
本発明のフィルムのフィルム層を形成するために使用される組成物は、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の適する実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0075】
本発明のフィルムを製造するための方法は、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の適する実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0076】
本発明のフィルムから形成された少なくとも1つの構成要素を含む物品は、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の適する実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0077】
本発明のフィルムから形成された少なくとも1つの構成要素を含む包装物は、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の適する実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0078】
本発明の物品を製造するための方法は、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の適する実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0079】
本発明の包装物を製造する方法は、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の適する実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0080】
好ましい実施形態において、本発明のフィルムは、低温、例えば90℃から110℃の温度で、高い収縮レベル(例えば、>20%、および好ましくは、>25%)を有する。もう1つの実施形態において、前記収縮レベルは、90℃で、長さ方向(MD)の収縮が幅方向(TD)の収縮とほぼ等しい(±10%、好ましくは±8%、さらに好ましくは±5%以内)ような、非常にバランスのとれたものである。もう1つの実施形態において、前記収縮レベルは、100℃で、長さ方向(MD)の収縮が幅方向(TD)の収縮とほぼ等しい(±10%、好ましくは±8%、さらに好ましくは±5%以内)ような、非常にバランスのとれたものである。もう1つの実施形態において、前記収縮レベルは、110℃で、長さ方向(MD)の収縮が幅方向(TD)の収縮とほぼ等しい(±10%、好ましくは±8%、さらに好ましくは±5%以内)ような、非常にバランスのとれたものである。
【0081】
もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、Crosslinked Film D−940 Sealed Airなどの既存の従来型フィルムと比較して、シール強度の30〜50%改善を有する。もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、Crosslinked Film D−940 Sealed Airと比較して、10パーセントより大きい、好ましくは20パーセントより大きい、およびさらに好ましくは30パーセントより大きい引張強度を有する。もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、Crosslinked Film D−940 Sealed Airと比較して大きな引張伸び(MDまたはTD)を有する。
【0082】
もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、低い収縮温度(≦120℃、好ましくは≦110℃、およびさらに好ましくは≦100℃)と高いMD弾性率(≧200MPa、好ましくは≧300MPa、およびさらに好ましくは≧400MPa)を兼備する。
【0083】
もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、既存のフィルムと比較して、改善されたシール強度、引張特性および低温での収縮レベルを有する。これらの改善が、より良好な包装完全性をもたらす。加えて、低温での収縮レベル増大により、包装プロセス後の製品の外観が改善される。特に、劣った収縮から形成される「耳折れ(dog ears)」のサイズが縮小される。
【0084】
もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、そのフィルム組成物の外層と外層の間の力として測定して、10〜20マイクロメートルの総フィルム厚および90℃で7Nより大きい、好ましくは10〜20マイクロメートルおよび90℃で10Nより大きい、ならびにさらに好ましくは10〜20マイクロメートルおよび90℃で15Nより大きいシール強度を有する。
【0085】
もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、90℃から120℃、さらに好ましくは90℃から110℃、およびさらにいっそう好ましくは90℃から100℃の温度で、少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも20パーセント、およびさらに好ましくは少なくとも30パーセントの(MD方向とTD方向、両方の)収縮を有する。
【0086】
もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、低い収縮温度(≦100℃、好ましくは≦90℃)で高い収縮レベル(≧20%、好ましくは、≧30%)を有する。そのフィルムに照射することなく、前記収縮レベルを生じさせる。もう1つの実施形態において、そのフィルム性能は、収縮および靭性の点で、市販の照射ポリエチレン系フィルムと同等である。
【0087】
もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、90℃から120℃、さらに好ましくは90℃から110℃、およびさらにいっそう好ましくは90℃から100℃の温度で、30から70パーセントのMD方向の収縮を有する。もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、90℃から120℃、さらに好ましくは90℃から110℃、およびさらにいっそう好ましくは90℃から100℃の温度で、30から70パーセントのTD方向の収縮を有する。
【0088】
もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、100℃より低いまたは100℃であるヒートシール開始温度(HSIT)を有する。
【0089】
もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、本発明のフィルムは、そのフィルム組成物の外層と外層の間の力として測定して、10〜20マイクロメートルの総フィルム厚および90℃で7Nより大きい、好ましくは10〜20マイクロメートルおよび90℃で10Nより大きい、ならびにさらに好ましくは10〜20マイクロメートルおよび90℃で15Nより大きいシール強度を有し、ならびに前記フィルムは、90℃から120℃、さらに好ましくは90℃から110℃、およびさらにいっそう好ましくは90℃から100℃の温度で、少なくとも20パーセント、好ましくは少なくとも30パーセントの(MD方向とTD方向、両方の)収縮を有する。
【0090】
もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、90から120℃、さらに好ましくは90℃から110℃、およびさらにいっそう好ましくは90℃から100℃の温度で、0.50から1.50、および好ましくは0.75から1.25、およびさらに好ましくは0.90〜1.10の収縮比(MD収縮)/(TD収縮)を有する。
【0091】
もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、既存のプロピレン系ターポリマーフィルムと比較して改善された引張伸び(100%以下)を有する。
【0092】
本発明のフィルムは、少なくとも3つの層を有する。それぞれのまたはそれら3つの層は、架橋反応に付されない。好ましい実施形態において、本発明のフィルムは、3つの層、1つの内層と2つの外層、のみを含有する。さらなる実施形態において、前記2つの外層は、同じ樹脂組成物から形成される(例えば、A/B/Aフィルム構造)。
【0093】
1つの実施形態において、2つの外層がプロピレン/エチレンコポリマーなどのプロピレン系共重合体から形成され、内層が線状低密度エチレン/α−オレフィンコポリマーなどのエチレン系共重合体から形成されるA/B/A組成物の規定温度でのシール強度は、同じエチレン系共重合体から形成された内層とプロピレン/エチレン/ブテンターポリマーなどのプロピレン系ターポリマーから形成された2つの外層とを含有するフィルム組成物と比較して、50パーセントまたはそれ以上増大される。
【0094】
1つの実施形態において、フィルム内層は、(その組成物の総重量に基づき)90重量パーセントより多くの、および好ましくは95重量パーセントより多くの1つのエチレン系共重合体を含む組成物から形成される。好ましくは、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレン/α−オレフィン共重合体である。
【0095】
もう1つの実施形態において、フィルム内層は、(その組成物の総重量に基づき)90重量パーセントより多くの、および好ましくは95重量パーセントより多くの1つのプロピレン系共重合体を含む組成物から形成される。好ましくは、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。
【0096】
もう1つの実施形態において、フィルム内層は、(その組成物の総重量に基づき)90重量パーセントより多くの、および好ましくは95重量パーセントより多くの2つのプロピレン系共重合体を含む組成物から形成される。好ましくは、それぞれの共重合体は、独立して、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。
【0097】
もう1つの実施形態において、フィルム内層は、(その組成物の総重量に基づき)90重量パーセントより多くの、および好ましくは95重量パーセントより多くの1つのエチレン系共重合体および1つのプロピレン系共重合体を含む組成物から形成される。好ましくは、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。好ましくは、前記エチレン系共重合体は、エチレン/α−オレフィン共重合体である。
【0098】
もう1つの実施形態において、フィルム外層は、(その組成物の総重量に基づき)90重量パーセントより多くの、および好ましくは95重量パーセントより多くの1つのプロピレン系共重合体を含む組成物から形成される。好ましくは、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。
【0099】
もう1つの実施形態において、フィルム外層は、(その組成物の総重量に基づき)90重量パーセントより多くの、および好ましくは95重量パーセントより多くの2つのプロピレン系共重合体を含む組成物から形成される。好ましくは、それぞれの共重合体は、独立して、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。
【0100】
もう1つの実施形態において、本発明フィルムは、(その組成物の総重量に基づき)90重量パーセントより多くの、および好ましくは95重量パーセントより多くの1つのエチレン系共重合体および1つのプロピレン系共重合体を含む。好ましくは、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。好ましくは、前記エチレン系共重合体は、エチレン/α−オレフィン共重合体である。
【0101】
もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、(その組成物の総重量に基づき)90重量パーセントより多くの、および好ましくは95重量パーセントより多くの1つのエチレン系共重合体および2つのプロピレン系共重合体を含む。好ましくは、それぞれの共重合体は、独立して、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。好ましくは、前記エチレン系共重合体は、エチレン/α−オレフィン共重合体である。
【0102】
もう1つの実施形態において、本発明のフィルムは、(その組成物の総重量に基づき)90重量パーセントより多くの、および好ましくは95重量パーセントより多くの1つのエチレン系共重合体および3つのプロピレン系共重合体を含む。好ましくは、それぞれの共重合体は、独立して、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。好ましくは、前記エチレン系共重合体、および好ましくはエチレン/α−オレフィン共重合体。
【0103】
好ましい実施形態において、本発明のフィルムは、そのフィルム組成物のそれぞれの層における主要(50重量パーセントより多くの)ポリマー成分としての、または唯一のポリマー成分としての、ポリオレフィン系ポリマーのみから形成された層を含有する。
【0104】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、前記内層および2つの外層に加えて、接着層を含有しない。
【0105】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、カルボン酸官能化、エステル官能化または無水物官能化ポリマーを含む組成物から形成された層を含有しない。さらなる実施形態において、前記フィルム組成物は、エチレンビニルアセテートコポリマーを含む組成物から形成された層を含有しない。さらにもう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、加水分解されたエチレンビニルアセテートコポリマーを含む組成物から形成された層を含有しない。
【0106】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、ハロゲン官能基化ポリマーを含む組成物から形成された層を含有しない。さらなる実施形態において、前記フィルム組成物は、塩化物官能化ポリマーを含む組成物から形成された層を含有しない。さらにもう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、ポリビニルクロライドポリマーまたはポリビニリデンクロライドポリマーを含む組成物から形成された層を含有しない。
【0107】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、芳香族部分を含有するポリマーを含む組成物から形成された層を含有しない。さらなる実施形態において、前記フィルム組成物は、エチレン/スチレンコポリマーを含む組成物から形成された層を含有しない。
【0108】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、ポリアミドから形成された層を含有しない。もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、ポリエステルから形成された層を含有しない。
【0109】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、プロピレンホモポリマーおよび/またはエチレンホモポリマーを含む組成物から形成された層を含有しない。
【0110】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、130℃より高い、およびさらに好ましくは135℃より高いもしくは135℃である、または137℃より高いもしくは137℃である融点を有するプロピレン系ポリマーを含む組成物から形成された層を含有しない。
【0111】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、2つまたはそれ以上のエチレン系ポリマーを含む組成物から形成された層を含有しない。
【0112】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、3つまたはそれ以上のプロピレン系ポリマーを含む組成物から形成された層を含有しない。
【0113】
一定の実施形態において、前記フィルム組成物は、プロピレン系ターポリマーおよび/またはエチレン系ターポリマーを含む組成物から形成された層を含有しない。
【0114】
本発明のフィルムは、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の実施形態の組み合わせを有することがある。
【0115】
本発明のフィルムのそれぞれの層は、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の実施形態の組み合わせを有することがある。
【0116】
内層および外層のための材料
1つまたはそれ以上のエチレン系共重合体またはプロピレン系共重合体をフィルム層(内層または外層)の唯一のポリマー成分としてまたは主なポリマー成分として使用することができる。
【0117】
前記エチレン系共重合体としては、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、均一に分岐した線状エチレン共重合体、均一に分岐した実質的に線状のエチレン共重合体、および不均一線状エチレン共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、前記エチレン系共重合体としては、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。
【0118】
本発明の実施に適するエチレンポリマーとしては、商品名DOWLEX(商標)、ATTANE(商標)、AFFINITY(商標)およびELITE(商標)ポリエチレンでThe Dow Chemical Companyから市販されているものなどのポリマー;商品名EXCEED(商標)およびEXACT(商標)でExxon Chemical Corporationから市販されているポリマー;ならびに商品名TAFMER(商標)で三井石油化学株式会社(Mitsui Petrochemical Industries)から市販されているポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
1つの実施形態では、1つのエチレン系共重合体が、好ましくはフィルム層の唯一のポリマー成分として、およびさらに好ましくは内層の唯一のポリマー成分として使用される。
【0120】
好ましい実施形態において、前記フィルム組成物の内層は、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む組成物から形成される。もう1つの実施形態において、前記内層は、唯一のポリマー成分として線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む組成物から形成される。線状低密度エチレン/1−オクテンコポリマーおよび線状低密度エチレン/1−ブテンコポリマーが特に好ましい。適するポリマーとしては、DOWLEX(商標)ポリマーおよびFLEXOMER(商標)ポリマー(両方ともThe Dow Chemical Companyからのもの)が挙げられる。もう1つの実施形態では、線状低密度エチレン/1−ヘキセンコポリマーが使用される。
【0121】
好ましい実施形態において、前記エチレン系共重合体は、不均一線状エチレン共重合体である。不均一線状共重合体としては、エチレンと1つまたはそれ以上のC3からC8 α−オレフィンとのコポリマーが挙げられる。不均一エチレン共重合体は、チーグラー・ナッタ触媒系を使用して作製することができる。分子量分布と短鎖分岐分布の両方(それぞれ、α−オレフィン共重合から生じる)が、均一線状エチレン共重合体および均一な線状の実質的に線状のエチレン共重合体と比較して、相対的に広い。不均一線状エチレン共重合体は、チーグラー・ナッタ触媒を使用する溶液、スラリーまたは気相プロセスにおいて製造することができ、ならびに当業者に周知である。例えば、米国特許第4,339,507号を参照のこと(これは、本明細書に参照により完全に組み込まれる)。適するポリマーの例としては、上で論じたようなポリエチレン系ポリマー、例えばDOWLEX(商標)ポリマーおよびFLEXOMER(商標)ポリマー、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
不均一に分岐したエチレン/α−オレフィン共重合体と均一に分岐したエチレン/α−オレフィン共重合体とは、主としてそれらの分岐分布の点で異なる。例えば、不均一に分岐したLLDPEポリマーは、高度に分岐した部分(超低密度ポリエチレンに類似)、中程度分岐部分(中程度分岐ポリエチレンに類似)および本質的に線状の部分(線状均一ポリエチレンに類似)を含む、分岐分布を有する。不均一に分岐したエチレンポリマーを製造するための製造技術の追加の例は、米国特許第3,914,342号(Mitchell)および米国特許第4,076,698号(Andersonら)に記載され、これらは、本明細書に参照により完全に組み込まれる。
【0123】
不均一共重合体の作製に適する触媒の例は、米国特許第4,314,912号(Loweryら)、米国特許第4,547,475号(Glassら)および米国特許第4,612,300号(Coleman,III)に記載されている。均一共重合体の製造に適する触媒の例は、米国特許第5,026,798号および同第5,055,438号(Canich);米国特許第3,645,992号(Elston);米国特許第5,017,714号(Welborn);ならびに米国特許第4,076,698号(Anderson)に記載されている。
【0124】
前記プロピレン系共重合体としては、プロピレン/α−オレフィン共重合体が挙げられる。好ましくは、前記プロピレン系共重合体としては、プロピレン/エチレンコポリマーが挙げられる。適するポリプロピレン系共重合体としては、The Dow Chemical Companyから入手できるVERSIFY(商標)ポリマーが挙げられる。
【0125】
1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、内層の唯一のポリマー成分として、または外層の唯一のポリマー成分として、または外層の別のプロピレン系共重合体とのブレンドとして使用される。
【0126】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物の内層は、プロピレン/α−オレフィン共重合体を含む組成物から形成される。さらに好ましくは、前記内層は、プロピレン/エチレンコポリマーを含む組成物から形成され、さらにいっそう好ましくは、前記内層は、プロピレン/エチレンコポリマーを唯一のポリマー成分として含む組成物から形成される。
【0127】
好ましい実施形態において、前記フィルム組成物の少なくとも1つの外層、好ましくは2つの外層は、プロピレン/α−オレフィンコポリマーを含む組成物から形成される。さらに好ましくは、1つまたはそれ以上の外層は、プロピレン/エチレンコポリマーを含む組成物から形成される。さらにいっそう好ましくは、1つまたはそれ以上の外層は、プロピレン/エチレンコポリマーを唯一のポリマー成分として、または別のプロピレン/エチレンコポリマーとのブレンドとして含む組成物から形成される。
【0128】
オレフィン(エチレンまたはプロピレン)と共に重合するために有用な適するコモノマーとしては、エチレン不飽和モノマー、共役または非共役ジエンまたはポリエンが挙げられるが、これらに限定されない。そのようなコモノマーの例としては、エチレンおよびC3〜C20 α−オレフィン、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンが挙げられる。好ましいコモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンが挙げられ、これらのうちの後の方のものが特に好ましい。
【0129】
一般に、エチレンは、C3〜C20 α−オレフィンと共重合させる。好ましいコモノマーとしては、C3〜C8 α−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンおよび1−オクテンが挙げられる。さらに好ましくは、エチレンは、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンと共に重合させる。
【0130】
一般に、プロピレンは、C4〜C20 α−オレフィンと共重合させる。好ましいコモノマーとしては、C4〜C8 α−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンおよび1−オクテンが挙げられる。好ましくは、プロピレンは、エチレンと共に重合させる。
【0131】
1つの実施形態において、フィルム層としてまたはフィルム層の成分として有用なエチレン系共重合体は、前記共重合体の重合性モノマーの重量に基づき、20重量パーセント以下、好ましくは15重量パーセント未満、さらに好ましくは10重量パーセント未満、最も好ましくは7重量パーセント未満を含むコモノマー含有率を有する。もう1つの実施形態において、エチレン系共重合体は、3から15重量パーセントのコモノマー含有率を有する。1から20重量パーセントのすべての個々の重量百分率およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0132】
もう1つの実施形態において、フィルム層としてまたはフィルム層の成分として有用なプロピレン系共重合体は、前記共重合体の重合性モノマーの重量に基づき、20重量パーセント以下、好ましくは15重量パーセント未満、さらに好ましくは12重量パーセント未満、最も好ましくは10重量パーセント未満を含むコモノマー含有率を有する。もう1つの実施形態において、エチレン系共重合体は、3から15重量パーセントのコモノマー含有率を有する。2から20重量パーセントのすべての個々の重量百分率およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0133】
本発明のフィルムの内または外層を形成するために使用されるそれぞれの共重合体は、メルトフローと密度のバランスのとれた組み合わせを有する。メルトインデックスまたはメルトフローレートが高すぎるまたは低すぎると、フィルム形成装置における最終フィルムの加工性は損なわれる。共重合体の密度が低すぎると、最終フィルムの弾性率が損なわれる。高すぎる密度は、最終フィルムの「低温収縮」性能を損なわせる。
【0134】
内層
下で説明する共重合体のそれぞれを、内層の形成の際、唯一のポリマー成分として、またはポリマーブレンド成分として使用することができる。1つの実施形態において、共重合体が唯一のポリマーとして使用される。前記共重合体は、本明細書に記載する2つまたはそれ以上の実施形態を特徴とすることがある。
【0135】
1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、190℃および2.16kgの荷重(ASTM D−1238)で、0.5g/10分より大きいまたは0.5g/10分である、好ましくは0.6g/10分より大きいまたは0.6g/10分である、さらに好ましくは0.7g/10分より大きいまたは0.7g/10分である、さらにいっそう好ましくは0.8g/10分より大きいまたは0.8g/10分であるメルトインデックス(I2)を特徴とするエチレン系共重合体である。もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、190℃および2.16kgの荷重(ASTM D−1238)で、10g/10分未満または10g/10分である、好ましくは7g/10分未満または7g/10分である、さらに好ましくは5g/10分または5g/10分である、さらにいっそう好ましくは3g/10分未満または3g/10分であるメルトインデックス(I2)を特徴とするエチレン系共重合体である。
【0136】
もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、190℃および2.16kgの荷重(ASTM D−1238)で、0.5から10g/10分、好ましくは0.6から7g/10分、さらに好ましくは0.7から5g/10分、さらにいっそう好ましくは0.7から3g/10分のメルトインデックス(I2)を特徴とするエチレン系共重合体である。もう1つの実施形態において、前記メルトインデックスは、0.5g/10分から5g/10分である。0.5から10g/10分のすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0137】
もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、230℃および2.16kgの荷重(ASTM D−1238)で、0.5g/10分より大きいまたは0.5g/10分である、好ましくは0.7g/10分より大きいまたは0.7g/10分である、さらに好ましくは1g/10分より大きいまたは1g/10分である、さらにいっそう好ましくは2g/10分より大きいまたは2g/10分であるメルトフローレート(MFR)を特徴とするプロピレン系共重合体である。もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、230℃および2.16kgの荷重(ASTM D−1238)で、10g/10分未満または10g/10分である、好ましくは8g/10分未満または8g/10分である、さらに好ましくは7g/10分または7g/10分である、さらにいっそう好ましくは6g/10分未満または6g/10分であるメルトフローレート(MFR)を特徴とするプロピレン系共重合体である。
【0138】
もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、230℃および2.16kgの荷重(ASTM D−1238)で、0.5から10g/10分、好ましくは0.7から8g/10分、さらに好ましくは1から7g/10分、さらにいっそう好ましくは2から6g/10分のメルトフローレート(MFR)を特徴とするプロピレン系共重合体である。もう1つの実施形態において、前記メルトインデックスは、0.5g/10分から5g/10分である。0.5から10g/10分のすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0139】
もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、0.870g/cm3より大きいまたは0.870g/cm3である、好ましくは0.880g/cm3より大きいまたは0.880g/cm3である、およびさらに好ましくは0.890g/cm3より大きいまたは0.890g/cm3である密度を有するエチレン系共重合体である。もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、0.940g/cm3未満または0.940g/cm3である、好ましくは0.930g/cm3未満または0.930g/cm3である、およびさらに好ましくは0.925g/cm3未満もしくは0.925g/cm3である、または0.920g/cm3未満もしくは0.920g/cm3である密度を有するエチレン系共重合体である。
【0140】
もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、0.870g/cm3から0.940g/cm3、好ましくは0.870g/cm3から0.930g/cm3、およびさらに好ましくは0.890g/cm3から0.925g/cm3の密度を有するエチレン系共重合体である。0.870g/cm3から0.940g/cm3のすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0141】
もう1つの実施形態において、前記エチレン系共重合体は、2より大きい、好ましくは2.5より大きい、およびさらに好ましくは3より大きい分子量分布を有する。もう1つの実施形態において、前記エチレン系共重合体は、10未満、好ましくは7未満、およびさらに好ましくは5未満の分子量分布を有する。
【0142】
もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、0.830g/cm3より大きいまたは0.830g/cm3である、好ましくは0.840g/cm3より大きいまたは0.840g/cm3である、およびさらに好ましくは0.850g/cm3より大きいまたは0.850g/cm3である密度を有するプロピレン系共重合体である。もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、0.890g/cm3未満もしくは0.890g/cm3である、または0.885g/cm3未満もしくは0.885g/cm3である密度を有するプロピレン系共重合体である。
【0143】
もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、0.830g/cm3から0.900g/cm3、好ましくは0.840g/cm3から0.895g/cm3、およびさらに好ましくは0.850g/cm3から0.890g/cm3の密度を有するプロピレン系共重合体である。0.830g/cm3から0.900g/cm3のすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0144】
もう1つの実施形態において、単一成分としてまたはブレンド成分として前記内層において使用される共重合体は、一般に、DSCによって測定して、60パーセント未満、好ましくは50パーセント未満、およびさらに好ましくは40パーセント未満の総結晶度を有する。もう1つの実施形態において、前記共重合体は、DSCによって測定して20から40重量パーセントの総結晶度を有する。
【0145】
もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、DSCによって測定して、110℃から130℃、好ましくは112℃から125℃の融解温度(Tm)を有するエチレン系共重合体である。110℃から130℃のすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0146】
もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、DSCによって測定して、50℃から120℃、好ましくは60℃から100℃の融解温度(Tm)を有するプロピレン系共重合体である。50℃から120℃のすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0147】
もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、1.1から20、好ましくは1.5から10、およびさらに好ましくは2から5の分子量分布、Mw/Mnを有する。1.1から20のすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0148】
もう1つの実施形態において、前記内層において使用されるポリマーは、エチレン系共重合体またはプロピレン系共重合体であり、ならびにそれぞれは、前記内層を形成するために使用される組成物の成分の総重量に基づき、一般に、80重量パーセントから100重量パーセント、好ましくは85重量パーセントから100重量パーセント、およびさらに好ましくは90重量パーセントから100重量パーセントの量で存在する。80重量パーセントから100重量パーセントのすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0149】
もう1つの実施形態では、エチレン系共重合体およびプロピレン系共重合体を含む組成物が内層を形成するために使用され、ならびにそれぞれの共重合体は、そのエチレン系共重合体とプロピレン系共重合体の総和重量に基づき、50重量パーセントの量で存在する。もう1つの実施形態において、前記エチレン系共重合体は、50重量パーセント未満、および好ましくは40重量パーセント未満の量で存在し;ならびに前記プロピレン系共重合体は、50重量パーセントより多い、好ましくは60重量パーセントより多い量で存在する。重ねて、それぞれの重量パーセントは、そのエチレン系共重合体とプロピレン系共重合体の総和重量に基づく。
【0150】
前記内層において使用されるエチレン系共重合体は、本明細書において開示する2つまたはそれ以上の実施形態の組み合わせを有することがある。好ましくは、前記エチレン系共重合体は、エチレン/α−オレフィン共重合体、およびさらに好ましくはエチレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体である。
【0151】
前記内層において使用されるプロピレン系共重合体は、本明細書において開示する2つまたはそれ以上の実施形態の組み合わせを有することがある。好ましくは、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。
【0152】
外層
下で説明するプロピレン系共重合体のそれぞれを、外層の形成の際、唯一のポリマー成分として、またはポリマーブレンド成分として使用することができる。1つの実施形態では、前記プロピレン系共重合体が唯一のポリマーとして使用される。もう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、別のプロピレン系共重合体とのブレンド成分として使用され、ならびにこれら2つのプロピレン系共重合体は、そのブレンドの唯一のポリマー成分である。前記共重合体は、本明細書に記載する2つまたはそれ以上の実施形態を特徴とすることがある。好ましい実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。
【0153】
1つの実施形態において、前記外層において使用されるプロピレン系共重合体は、230℃および2.16kgの荷重(ASTM D−1238)で、0.5g/10分より大きいまたは0.5g/10分である、好ましくは1g/10分より大きいまたは1g/10分である、さらに好ましくは2g/10分より大きいまたは2g/10分であるメルトフローレート(MFR)を特徴とする。もう1つの実施形態において、前記外層において使用されるプロピレン系共重合体は、230℃および2.16kgの荷重(ASTM D−1238)で、20g/10分未満または20g/10分である、好ましくは15g/10分未満または15g/10分である、さらに好ましくは10g/10分未満または10g/10分であるメルトフローレート(MFR)を特徴とする。もう1つの実施形態において、2つのプロピレン系共重合体のブレンドは、一般に、230℃および2.16kgの荷重(ASTM D−1238)で、0.5g/10分より大きいまたは0.5g/10分である、好ましくは1g/10分より大きいまたは1g/10分である、さらに好ましくは2g/10分より大きいまたは2g/10分であるメルトフローレート(MFR)を特徴とする。もう1つの実施形態において、2つのプロピレン系共重合体のブレンドは、一般に、230℃および2.16kgの荷重(ASTM D−1238)で、20g/10分未満または20g/10分である、好ましくは15g/10分未満または15g/10分である、さらに好ましくは10g/10分未満または10g/10分であるメルトフローレート(MFR)を特徴とする。
【0154】
もう1つの実施形態において、前記外層において使用されるプロピレン系共重合体は、230℃および2.16kgの荷重(ASTM D−1238)で、0.5から20g/10分、好ましくは1から15g/10分、さらに好ましくは1から10g/10分、およびさらにいっそう好ましくは2から10g/10分のメルトフローレート(MFR)を特徴とする。0.5から2g/10分のすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。もう1つの実施形態において、2つのプロピレン系共重合体のブレンドは、一般に、230℃および2.16kgの荷重(ASTM D−1238)で、0.5から20g/10分、好ましくは1から15g/10分、さらに好ましくは1から10g/10分、およびさらにいっそう好ましくは2から10g/10分のメルトフローレート(MFR)を特徴とする。0.5から20g/10分のすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0155】
もう1つの実施形態において、前記外層において使用されるプロピレン系共重合体は、DSCによって測定して、60パーセント未満、好ましくは50パーセント未満、およびさらに好ましくは40パーセント未満の総結晶度を有する。もう1つの実施形態において、前記プロピレン系共重合体は、DSCによって測定して35から50重量パーセントの総結晶度を有する。
【0156】
もう1つの実施形態において、前記外層において使用されるプロピレン系共重合体は、一般に、0.860g/cm3より大きいまたは0.860g/cm3である、好ましくは0.870g/cm3より大きいまたは0.870g/cm3である、およびさらに好ましくは0.875g/cm3より大きいまたは0.875g/cm3である密度を有する。もう1つの実施形態において、前記外層において使用されるプロピレン系共重合体は、一般に、0.910g/cm3未満、または0.900g/cm3未満もしくは0.900g/cm3である、およびさらに好ましくは0.890g/cm3未満もしくは0.890g/cm3である密度を有する。
【0157】
もう1つの実施形態において、前記外層において使用されるプロピレン系共重合体は一般に、0.860g/cm3から0.910g/cm3、および好ましくは0.870g/cm3から0.890g/cm3、または0.880g/cm3から0.890g/cm3の密度を有する。0.860g/cm3から0.900g/cm3のすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0158】
もう1つの実施形態において、前記外層において使用されるプロピレン系共重合体は、DSCによって測定して、100℃から140℃、好ましくは110℃から135℃、およびさらに好ましくは110℃から130℃の融解温度(Tm)を有する。100℃から140℃のすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0159】
もう1つの実施形態において、前記外層において使用されるプロピレン系共重合体は、1から20、好ましくは1から10、およびさらに好ましくは1から5の分子量分布、Mw/Mn、を有する。1から20のすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0160】
1つの実施形態において、前記外層において使用されるプロピレン系共重合体は、その外層の成分の総重量に基づき、一般に、50重量パーセントから100重量パーセントの量で存在するである。50重量パーセントから100重量パーセントのすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0161】
もう1つの実施形態において、前記外層において使用される2つのプロピレン系共重合体は、その外層の成分の総重量に基づき、一般に、80重量パーセントから100重量パーセント、好ましくは90重量パーセントから100重量パーセント、およびさらに好ましくは95重量パーセントから100重量パーセントの量で存在する。50重量パーセントから100重量パーセントのすべての個々の値およびサブレンジがここに包含され、それらを本明細書において開示する。
【0162】
前記外層において使用されるプロピレン系共重合体は、上の実施形態の2つまたはそれ以上の組み合わせを有することがある。好ましくは、前記プロピレン系共重合体は、プロピレン/C4〜C8 α−オレフィン共重合体またはプロピレン/エチレン共重合体である。
【0163】
好ましい実施形態では、同じ組成物(ポリマーまたは樹脂)配合物が、少なくとも2つの外層を形成するために使用される。さらに好ましくは、前記2つの外層は、2つのプロピレン系共重合体から形成される。さらなる実施形態において、前記2つのプロピレン系共重合体は、70/30の重量比、さらに好ましくは60/40の重量比、およびさらにいっそう好ましくは50/50の重量比で存在する。
【0164】
もう1つの実施形態では、エチレン系共重合体が、1つまたはそれ以上の外層において唯一のポリマー成分として使用される。もう1つの実施形態では、エチレン系共重合体が、例えば、1つまたはそれ以上の外層においてポリマーブレンドの状態で使用される。さらなる実施形態において、前記エチレン系共重合体は、線状低密度エチレン/α−オレフィンコポリマーである。
【0165】
添加剤
熱、光または原料からの残留触媒のようなものによって誘導される酸素との反応に起因する分解から樹脂を保護するために、樹脂配合物に安定剤および酸化防止剤を添加することができる。適する酸化防止剤には、Ciba−Geigyから市販され、それらとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であるIrganox(登録商標)565、1010および1076が挙げられる。これらの一次酸化防止剤はフリーラジカルスガベンジャーとして作用し、これらを単独で使用することができ、または他の酸化防止剤、例えば、Ciba−Geigyから入手できるIrgafos(登録商標)168のような亜リン酸系酸化防止剤と併用することができる。亜リン酸系酸化防止剤は、二次酸化防止剤と考えられ、一般に単独では使用されない。亜リン酸系酸化防止剤は、主として、過酸化物分解剤としての役割を果たす。他の利用可能な酸化防止剤としては、コネチカット州、スタムフォードのCytec Industriesから入手できるCyanox(登録商標)LTDP、およびルイジアナ州、バトン・ルージュのAlbemarle Corp.から入手できるEthanox(登録商標)1330が挙げられるが、これらに限定されない。単独で使用するために、または他のそうした酸化防止剤と併用するために、多くの他の酸化防止剤を利用することができる。
【0166】
他の樹脂添加剤としては、紫外線吸収剤、静電防止剤、顔料、染料、核形成剤、フィラー、スリップ剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、潤滑剤、安定剤、煙防止剤、粘度調節剤および粘着防止剤、静電防止剤、剥離剤、発泡剤、耐燃剤、磨耗および引っ掻き傷用添加剤、ならびに抗菌剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
COF(摩擦係数)を変更するため、くもり防止特性をもたらすため、フィルムを着色するため、およびフィルムの透過性を改変するためにも添加剤を使用することができる。印刷のためにフィルムを表面処理することができる。好ましい実施形態において、前記フィルム組成物は、接着剤および/または剥離剤を含有しない。
【0168】
一定の実施形態では、前記プロピレン系共重合体を他の材料とブレンドして、シーラント層の特性を変性することができる。例としては、他のポリマー、例えば、PPまたはRCP PP樹脂(コストを変更するために)、ポリエチレン樹脂(例えば、バブル安定性改善のためにLDPE、または耐衝撃性改善のためにLLDPE)、ポリブテン(PB)、およびエチレンビニルアセテート(EVA)が挙げられる。他の実施形態では、前記プロピレン系共重合体を内または芯層にブレンドして、フィルムを軟化すること、低温収縮を改善すること、および収縮張力を減少させることもできる。プロピレン系共重合体をブレンドで1つまたはそれ以上の層に添加して、そのフィルムの柔軟性、バブル安定性および収縮性能を改善することもできる。
【0169】
フィルム組成物の作製
本発明のフィルム組成物は、それぞれの層の製造に適するポリマーを選択すること、それぞれの層のフィルムを形成すること、およびそれらの層を接着すること、または1つもしくはそれ以上の層を共押出しもしくはキャスティングすることによって作製することができる。望ましくは、前記フィルム層は、フィルム層間の界面領域全体にわたって連続的に接着される。
【0170】
1つの実施形態では、それぞれのフィルム層を形成するために使用するポリマーをニート形態で、またはスリップ/粘着防止変性配合物の状態で使用し、共押出しラインによって加工して幅の狭い一次テープを製造する。冷水(約18℃から20℃)が入っている水浴でそのテープを急冷し、その後、その一次テープを発熱体によって再加熱する。その後、その加熱された一次テープを第二バブルにブローして、さらにそのフィルムを延伸する。用途およびプロセスに依存して延伸比は変わるが、代表的な値は、長さ方向(MD)に5から6倍、および幅方向(TD)に5から6倍である。そのフィルムの収縮率を調整するためおよび寸法安定性を改善するために、多くの場合、延伸プロセス後にアニーリングを行う。
【0171】
延伸は、インラインで行うことができ(例えば、この場合、樹脂を押出機(単数または複数)で加工し、その一次テープを水で急冷し、その後、直ちに再加熱して二次バブルを形成する)、またはオフラインで行うことができる(例えば、この場合、テープを押出し、急冷し、回収し、別の加工段階で延伸する)。前記プロピレン系共重合体は、要求される特性のバランスに依存して、外皮層(単数もしくは複数)または芯層において、ニート形態で使用される場合もあり、またはブレンドで使用される場合もある。本発明のフィルムは、既存の形態で使用することができる。本フィルムを印刷し、包装のために使用することもできる。一定の実施形態では、本フィルムを他の基板に積層して、特定の特性要件を有する積層物(例えば、耐熱性/温度差および弾性率のためにPET//BOPE、または耐衝撃性およびバリアのためにPA//BOPE、またはPET//PA//BOPEもしくはBOPP//BOPE、またはSiOx被覆フィルム)を製造することができる。一定の実施形態では、本フィルムをメタル化して、O2TRおよび防湿層を改善することができる。他の実施形態では、本フィルムをバリア材料、例えばSARANバリア樹脂またはポリアミドまたはEVOH樹脂、と共押出しすることもできる。
【0172】
それぞれの層について、一般に、それらの成分と任意の追加の添加剤、例えば安定剤およびポリマー加工助剤、とを押出ブレンドするのが好適である。押出しブレンディングは、妥当な分散度が達成されるような方法で行うべきである。押出しブレンディングのパラメータは、それらの成分に依存して必然的に変わる。しかし、一般に、全体的なポリマー変形、すなわち混合度、が重要であり、例えばスクリュー設計および溶融温度によって、それを制御する。フィルム形成中の溶融温度は、フィルム成分に依存する。
【0173】
押出しブレンディング後、フィルム構造を形成する。フィルム構造は、従来の加工技術、例えば、バブル押出、二軸延伸プロセス(例えば、テンターフレームまたはダブルバブルプロセス)、キャスト/シート押出、共押出および積層によって製造することができる。従来のバブル押出プロセス(ホットインフレートフィルムプロセスとしても公知)は、例えば、The Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, Third Edition, John Wiley & Sons, New York, 1981, Vol.16, pp.416-417 and Vol.18, pp.191-192に記載されている。米国特許公開第3,456,044号(Pahlke)の「ダブルバブル」プロセスに関して記載されているものなどの二軸延伸フィルム製造プロセス、ならびに米国特許公開第4,352,849号(Mueller)、米国特許公開第4,820,557号および同第4,837,084号(両方ともWarner)、米国特許公開第4,865,902号(Golikeら)、米国特許公開第4,927,708号(Herranら)、米国特許公開第4,952,451号(Mueller)ならびに米国特許公開第4,963,419号および同第5,059,481号(両方ともLustingら)に記載されているプロセスも、本発明の新規フィルム構造を製造するために使用することができる。これらの特許のすべてが本明細書に参照により組み込まれる。
【0174】
他のフィルム製造技術は、米国特許第6,723,398号(Chumら)に開示されている。特に印刷用途のための、放射線処理およびコロナ処理などの後加工技術も、本発明の材料を用いて遂行することができる。
【0175】
フィルム組成物を形成した後、それを延伸した。延伸は、当分野において従来用いられている任意の方法で遂行することができる。フィルム組成物をバッグ製造用の変換部に送ることができる。ヒートシーリングにより、または接着剤の使用により、フィルム組成物のシートを接着することができる。ヒートシーリングは、上で論じたように、ホットバー、インパルス加熱、片面溶接、超音波溶接、または他の代替加熱機をはじめとする(しかし、これらに限定されない)従来の技術を用いて行うことができる。
【0176】
上述のプロセスのフィルム組成物は、用途に依存して、任意の厚にすることができる。一般に、前記フィルム組成物は、5から100マイクロメートル、好ましくは10から60マイクロメートル、さらに好ましくは8から30マイクロメートルの総厚を有する。用途に依存して、その透過性も調整することができる。
【0177】
1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、そのフィルムの総厚の50から80パーセント、好ましくは60から75パーセント、およびさらに好ましくは70から75パーセントを構成する内または芯層を含有する。
【0178】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、そのフィルムの総厚の10から25パーセント、好ましくは10から20パーセント、およびさらに好ましくは12.5から15パーセントを構成する外層を含有する。
【0179】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、1つの内層と2つの外層である3つの層を含有する。さらなる実施形態において、前記2つの外層は、同じポリマー組成物から形成され、従って、そのフィルムは、「A/B/A」構造を有する。もう1つの実施形態において、前記「A/B/A」構造におけるそれぞれのフィルム層の厚率は、25:50:25、さらに好ましくは20:60:20、およびさらに好ましくは15:70:15、または12.5:75:12.5である。もう1つの実施形態において、前記「A/B/A」構造におけるそれぞれのフィルム層の厚率は、10:80:10である。
【0180】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、エチレン/α−オレフィン共重合体を含む組成物Aから形成された内または芯層と、プロピレン/α−オレフィン共重合体を含む同じ組成物Bから形成された2つの外層とを含み、ならびにこの場合、「組成物Aのメルトインデックス、I2」の「組成物Bのメルトインデックス、I2」に対する比率は、1/2から1/10、好ましくは1/2から1/8、さらに好ましくは1/2から1/4であり、および前記エチレン/α−オレフィン共重合体(ρ(EE))と前記プロピレン/α−オレフィン共重合体(ρ(PP))の密度差[ρ(EE)−ρ(PP)]は、0.020から0.050、好ましくは0.030から0.040である。さらなる実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレン/1−オクテンコポリマーまたはエチレン/1−ブテンコポリマー、好ましくはエチレン/1−オクテンコポリマーであり;および前記プロピレン/α−オレフィン共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。尚、さらなる実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、内層の唯一のポリマー成分である。もう1つのさらなる実施形態において、前記フィルム組成物は、組成物Aから形成された内層およびそれぞれが組成物Bから形成された2つの外層のみを含む。
【0181】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、第一のプロピレン/α−オレフィン共重合体を含む組成物Cから形成された内または芯層と、第二のプロピレン/α−オレフィン共重合体を含む同じ組成物Dから形成された2つの外層とを含み;ならびにこの場合、「組成物Cのメルトフローレート、MFR」の「組成物Dのメルトフローレート、MFR」に対する比率は、1/1から1/5、さらに好ましくは1/1から1/4であり、および前記第二のプロピレン/α−オレフィン共重合体(ρ(PP2))と第一のプロピレン/α−オレフィン共重合体(ρ(PP1))の密度差[ρ(PP2)−ρ(PP1)]は、0.010から0.040、好ましくは0.010から0.030である。さらなる実施形態において、前記内層のプロピレン/α−オレフィン共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。さらなる実施形態において、前記プロピレン/エチレンコポリマーは、組成物Cの唯一のポリマー成分である。尚、さらなる実施形態において、前記外層のプロピレン/α−オレフィン共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。別のさらなる実施形態において、前記フィルム組成物は、組成物Cから形成された内層およびそれぞれが組成物Dから形成された2つの外層のみを含む。
【0182】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、エチレン/α−オレフィン共重合体を含む組成物Eから形成された内または芯層と、2つのプロピレン/α−オレフィン共重合体を含む同じ組成物Fから形成された2つの外層とを含み;ならびにこの場合、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、0.875から0.930g/cc、好ましくは0.890から0.925g/ccの密度および0.7から1.2g/10分のメルトインデックスを有し、ならびに前記第一のプロピレン/α−オレフィン共重合体は、0.880g/ccから0.900g/ccの密度および1.8から2.2g/10分のメルトフローレート、MFRを有し、ならびに前記第二のプロピレン/α−オレフィン共重合体は、0.880g/ccから0.900g/ccの密度および7.5から8.8g/10分のメルトフローレート、MFRを有する。さらなる実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレン/1−オクテンコポリマーまたはエチレン/1−ブテンコポリマー、好ましくはエチレン/1−オクテンコポリマーである。さらなる実施形態において、前記第一および第二プロピレン/α−オレフィン共重合体は、それぞれ、プロピレン/エチレンコポリマーである。尚、さらなる実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、内層の唯一のポリマー成分である。尚、さらなる実施形態において、前記第一のプロピレン/α−オレフィン共重合体および第二のプロピレン/α−オレフィン共重合体は、それぞれの外層の唯一のポリマー成分である。もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、組成物Eから形成された内層およびそれぞれが組成物Fから形成された2つの外層のみを含む。前記フィルムは、本明細書において開示するような2つまたはそれ以上の実施形態を含むことがある。
【0183】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、エチレン/α−オレフィン共重合体を含む組成物Gから形成された内または芯層と、プロピレン/α−オレフィン共重合体を含む同じ組成物Hから形成された2つの外層とを含み;ならびにこの場合、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、0.860から0.890g/ccの密度および0.7から1.0g/10分のメルトインデックスを有し、ならびに前記プロピレン/α−オレフィン共重合体は、0.865から0.885g/ccの密度および1.8から2.2g/10分のメルトフローレート、MFRを有する。さらなる実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレン/1−オクテンコポリマーまたはエチレン/1−ブテンコポリマー、好ましくはエチレン/1−ブテンコポリマーである。さらなる実施形態において、前記プロピレン/α−オレフィン共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。尚、さらなる実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、内層の唯一のポリマー成分である。尚、さらなる実施形態において、前記プロピレン/α−オレフィン共重合体は、それぞれの外層の唯一のポリマー成分である。もう1つのさらなる実施形態において、前記フィルム組成物は、組成物Gから形成された内層およびそれぞれが組成物Hから形成された2つの外層のみを含む。前記フィルムは、本明細書において開示するような2つまたはそれ以上の実施形態を含むことがある。
【0184】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、第一のプロピレン/α−オレフィン共重合体を含む組成物Iから形成された内または芯層と、第二のプロピレン/α−オレフィン共重合体および第三のプロピレン/α−オレフィン共重合体を含む同じ組成物Jから形成された2つの外層とを含み;ならびにこの場合、前記第一のプロピレン/α−オレフィン共重合体は、0.850から0.880g/ccの密度および1.8から2.2g/10分のメルトフローレートを有し、ならびに前記第二のプロピレン/α−オレフィン共重合体は、0.880から0.900g/ccの密度および1.8から2.2g/10分のメルトフローレート、I2を有し、ならびに前記第三のプロピレン/α−オレフィン共重合体は、0.880から0.900g/ccの密度および7.5から8.8g/10分のメルトフローレート、I2を有する。さらなる実施形態において、前記第一のプロピレン/α−オレフィン共重合体は、プロピレン/エチレンコポリマーである。尚、さらなる実施形態において、前記第二および第三のプロピレン/α−オレフィン共重合体は、それぞれ、プロピレン/エチレンコポリマーである。さらにもう1つの実施形態において、前記第一のプロピレン/α−オレフィン共重合体は、内層の唯一のポリマー成分である。尚、さらなる実施形態において、前記第二のプロピレン/α−オレフィン共重合体および第三のプロピレン/α−オレフィン共重合体は、それぞれの外層の唯一のポリマー成分である。もう1つのさらなる実施形態において、前記フィルム組成物は、組成物Iから形成された内層およびそれぞれが組成物Jから形成された2つの外層のみを含む。前記フィルムは、本明細書において開示するような2つまたはそれ以上の実施形態を含むことがある。
【0185】
もう1つの実施形態において、前記フィルム組成物は、第一のプロピレン/エチレン共重合体およびエチレン/α−オレフィン共重合体を含む組成物Kから形成された内または芯層と、第二のプロピレン/エチレン共重合体および第三のプロピレン/エチレン共重合体を含む同じ組成物Lから形成された2つの外層とを含み;ならびにこの場合、前記第一のプロピレン/エチレン共重合体は、0.860から0.890g/ccの密度および1から3g/10分のメルトフローレートを有し、ならびに前記第二のプロピレン/エチレン共重合体は、0.870から0.900g/ccの密度および1から3g/10分のメルトフローレートを有し、ならびに前記第三のプロピレン/エチレン共重合体は、0.890から0.910g/ccの密度および4から7g/10分のメルトフローレートを有する。さらなる実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、0.910から0.930g/ccの密度および0.7から2g/10分のメルトインデックスを有する。さらなる実施形態において、前記第一のプロピレン/エチレン共重合体およびエチレン/α−オレフィン共重合体は、内層の唯一のポリマー成分である。もう1つの実施形態において、前記第二のプロピレン/エチレン共重合体および第三のプロピレン/エチレン共重合体は、それぞれの外層の唯一のポリマー成分である。もう1つのさらなる実施形態において、前記フィルム組成物は、組成物Kから形成された内層およびそれぞれが組成物Lから形成された2つの外層のみを含む。もう1つの実施形態において、前記エチレン/α−オレフィン共重合体のα−オレフィンは、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテン、および好ましくは1−ブテンまたは1−ヘキセンである。もう1つの実施形態において、前記第三のプロピレン/エチレン共重合体は、プロピレン/エチレン/ブテン共重合体である。前記フィルムは、本明細書において開示するような2つまたはそれ以上の実施形態を含むことがある。
【0186】
もう1つの実施形態において、ニートのプロピレン/エチレンコポリマー、または2つのプロピレン/エチレンコポリマー(PP−EE)のブレンド(50%:50%)を共押出フィルムのシーラント層において使用して、エチレン/1−オクテン(EO)またはエチレン/1−ブテン(EB)芯層を含有する様々なフィルム構造、例えば、(PP−EE)/(EO)/(PP−EE)および(PP−EE)/(EB)/(PP−EE)を製造することができる。HSIT低下のために(粘着を回避するために)、およびまた、収縮温度および収縮張力を低下させるために、外皮層または芯層のいずれかにおいて、4から6g/10分のメルトインデックスを有するプロピレン/エチレンコポリマーを使用することができる。前記三層フィルムにおいて用いられる層比率は、10:80:10%であるが、フィルム特性を調整するために代替の層比率(例えば、20:60:20または25:50:25)を用いてもよい。共押出フィルムにおいてプロピレン/エチレン共重合体のニート層を使用することができるが、別の選択肢は、プロピレン/エチレン共重合体と他の材料のブレンドである。
【0187】
定義
本明細書に列挙する任意の数値範囲は、低い方の値から高い方の値までのすべての値を1単位刻みで含むが、但し、任意の低い方の値と任意の高い方の値の間に少なくとも2単位の隔たりがあることを条件とする。一例として、ある成分の量、またはある組成的もしくは物理的特性の値、例えば、ブレンド成分の量、融解温度、メルトインデックスなどが、1と100の間であると述べられている場合、1、2、3などのようなすべての個々の値、および1から20、55から70、197から100などのようなすべてのサブレンジが本明細書に明確に列挙されている。1より小さい値については、1単位を、適宜、0.0001、0.001、0.01または0.1と考える。これらは、何を具体的に指すかの単なる例であり、最低値と最高値の間の数値のすべての可能な組み合わせが本出願において明確に述べられていると考えるべきである。フィルム厚、メルトインデックス、密度、結晶度、成分の重量パーセント、および他の特性に関して、数値範囲を、ここで論じるように列挙した。
【0188】
用語「フィルム組成物」は、本明細書において用いる場合、積層フィルム構造を意味する。用語「フィルム組成物」は、用語「フィルム」が積層フィルム構造に関する場合、用語「フィルム」に等価である。
【0189】
用語「組成物」は、本明細書において用いる場合、その組成物を含む材料の混合物、ならびにその組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を包含する。
【0190】
用語「ポリマー」は、本明細書において用いる場合、同じタイプのモノマーであろうと、異なるタイプのモノマーであろうと、モノマーを重合することによって作製される重合化合物を指す。従って、一般用語ポリマーは、1つだけのタイプのモノマーから作製されたポリマーを指すために通常は用いられる用語ホモポリマー、および下で定義するとおりの用語共重合体を包含する。
【0191】
用語「共重合体」は、本明細書において用いる場合、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって作製されたポリマーを指す。従って、一般用語共重合体は、2つの異なるタイプのモノマーから作製されたポリマーを指すために通常は用いられるコポリマー、および2つより多くの異なるタイプのモノマーから作製されたポリマーを包含する。
【0192】
用語「エチレン系共重合体」は、本明細書において用いる場合、(重合性モノマーの総モルに基づき)50モルパーセントより多くの重合したエチレンモノマーを含む共重合体を指す。
【0193】
用語「プロピレン系共重合体」は、本明細書において用いる場合、(重合性モノマーの総モルに基づき)50モルパーセントより多くの重合したプロピレンモノマーを含む共重合体を指す。
【0194】
用語「エチレン/α−オレフィン共重合体」は、本明細書において用いる場合、(重合性モノマーの総量に基づき)50モルパーセントより多くの重合したエチレンモノマーと、少なくとも1つのα−オレフィンとを含む、共重合体を指す。
【0195】
用語「プロピレン/α−オレフィン共重合体」は、本明細書において用いる場合、(重合性モノマーの総量に基づき)50モルパーセントより多くの重合したプロピレンモノマーと、少なくとも1つのα−オレフィンとを含む、共重合体を指す。用語「α−オレフィン」は、本明細書において用いる場合、エチレンおよびより高い炭素数のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび他のα−オレフィンなどを包含する。
【0196】
用語「プロピレン/エチレン共重合体」は、本明細書において用いる場合、(重合性モノマーの総量に基づき)50モルパーセントより多くの重合したプロピレンモノマーと、エチレンモノマーとを含む、共重合体を指す。
【0197】
用語「ポリマー成分」は、本明細書において用いる場合、当分野において公知であるような有機モノマー構成要素から形成されるポリマーを指す。
【0198】
用語「ブレンド」または「ポリマーブレンド」は、本明細書において用いる場合、2つまたはそれ以上のポリマーのブレンドを意味する。そのようなブレンドは、混和性である(分子レベルで相分離していない)場合もあり、または混和性でない場合もある。そのようなブレンドは、相分離している場合もあり、または相分離していない場合もある。そのようなブレンドは、透過型電子顕微鏡、光散乱、X線散乱、および当分野で公知の他の方法から判定して、1つまたはそれ以上のドメイン配置を含有する場合もあり、または含有しない場合もある。用語「ブレンド」は、後反応器(または物理的)ブレンド、およびインサイチュー反応器ブレンドも包含する。後反応器ブレンドの例としては、押出機内でポリマー成分と任意の添加剤をブレンドすることによって形成されるブレンド、またはオフラインタンブルブレンディング操作によって形成されるブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。インサイチューブレンドの製造についての幾つかの例が、米国特許第5,844,045号および同第5,869,575号(それぞれ、本明細書に参照により組み込まれる)に記載されている。
【0199】
試験手順
前記エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーの密度は、ASTM D−792−00に従って測定する。
【0200】
エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I2)は、ASTM D−1238−04、条件190℃/2.16kgに従って測定する。プロピレン系ポリマーのメルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238−04、条件230℃/2.16kgに従って測定する。
【0201】
示差走査熱分析
エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーの結晶度は、TA Instruments Model Q 1000示差走査熱量計を使用する示差走査熱分析(DSC)によって決定することができる。5から8mgサイズのサンプルを、試験すべき材料から取り、分析用DSCパンに直接入れる。最初、そのサンプルを約10℃/分の速度でエチレン系ポリマーについては180℃(プロピレン系ポリマーについては230℃)に加熱し、その温度で3分間、等温で保持して確実に溶融を完了する(第一加熱)。次に、そのサンプルを1分に10℃の速度でエチレン系ポリマーについては−60℃(プロピレン系ポリマーについては−40℃)に冷却し、3分間、等温で保持し、その後、1分に10℃の速度で、溶融が完了するまで、再び加熱する(第二加熱)。この第二の加熱からの温度記録図を「第二加熱曲線」と呼ぶ。温度記録図は、ワット/グラム対温度として記録される。
【0202】
その第二加熱曲線において生じた融解熱データを用いて、それらのポリマーにおける結晶度を計算する(融解熱は、通常、代表的な市販DSC装置により、その加熱曲線の曲線下面積の積分によって自動的に計算される)。エチレン系サンプルについての等式は、
%Cryst.=(Hf÷292J/g)×100
である。
【0203】
プロピレン系サンプルについての等式は、%Cryst.=(Hf÷165J/g)×100である。前記「%Cryst.」は、結晶度を表し、「Hf」は、ジュール毎グラム(J/g)でのそのポリマーの融解熱を表す。
【0204】
前記ポリマーの融点(単数または複数)(Tm)は、上で説明したようなDSCから得られる第二加熱曲線から決定することができる。結晶化温度(Tc)は、第一冷却曲線から決定することができる。
【0205】
収縮−MDおよびTD
収縮は、次のように決定した。収縮率(MD)=(L1−L2)/L1×100。ここで、L1は、熱処理前のサンプル長であり、L2は、規定温度(例えば、80℃、90℃、100℃、110℃など)で平衡させたオーブン内で10分後のフィルムサンプル長である。サンプルサイズは、熱処理前、5cm×5cmであった(L1=5cm)。それぞれのフィルム試験片に関するMDおよびTDを記録した。
【0206】
シール強度
フィルムのサンプルに関するシール強度を、次の条件を用いて測定した。0.5秒の保圧時間、0.275N/mm2のシールバー圧、25mmのサンプル幅、500mm/分の試験速度。Topwave Tester(Model No.4000)を用いてこの試験を行った。フィルムのサンプルを25mm幅のストリップに切断し、規定温度(例えば、80℃、90℃、100℃、110℃など)で0.275N/mmの圧および0.5秒間の保圧時間を用いて、2つのフィルムサンプルを対面シールした。室温で24時間後、それらのシールしたフィルムを500mm/分の速度で引っ張った。最大破断力を対応するシール温度でのシール強度として記録した。5℃の増分を用いて80℃から130℃にわたる温度でサンプルをシールした。
【0207】
ヒートシール開始温度
ヒートシール開始温度(HSIT)は、上のシール強度法を用いてフィルムのシール強度が1ポンド(1lb)毎25mm(1.8N/cm)に達したときに書き留めた温度である。
【0208】
極限引張強度、極限引張伸びおよび割線弾性率(MDおよびTD)をASTM D882−01に従って測定した。フィルム(25mm(幅)×60mm(長さ))を試験機のグリップに配置し、その後、それらのグリップを500mm/分の速度で移動させた。そのストリップの破断前の最大力を記録した。極限引張強度は、最大負荷力をその試験片の原断面積で割ることによって計算した。極限引張伸びは、破断時のサンプル伸張をその試験片の初期長で割り、100をかけることによって計算した。指定歪度(当分野では1%または2%)での割線弾性率(scant modulus)は、対応応力を指定歪度で割ることによって計算した。
【0209】
光学特性−曇り度(フィルムを通過するときに散乱する光の百分率)は、ASTM D1003−00に従って測定した。
【0210】
エルメンドルフ引裂−MDおよびTDは、ASTM D1922−00Aに従って測定した。フィルム試験片を横ざまに引裂くために必要な力を測定した。この測定は、較正した振り子装置(初期高度から弧を通って揺動して、切り込みを入れた切り口から試験片を裂く、重力によって動作する、振り子)で行った。較正した目盛りによって、試験片を裂くために必要な力の示度を得た(放す前の振り子の高度:27.5度の角度で102.7±0.05mm)。
【0211】
落槍衝撃は、ASTM D1709−01に従って測定した。落槍衝撃データは、試験した試験片の50%破損を生じさせる結果となる、規定高度から落下する槍の重量である。
【0212】
本発明のフィルムおよびプロセスならびにそれらの使用を以下の実施例によってさらに十分に説明する。以下の実施例は本発明を例証するために提供するものであり、本発明の範囲を限定するものと見なすべきではない。
【実施例】
【0213】
材料
本研究において使用したポリマー樹脂を表1に示す。リストした樹脂のすべてが、1つまたはそれ以上の加工助剤および1つまたはそれ以上の安定剤を含有した。
【表1】

*Z−N=チーグラー・ナッタ
2(PE:190℃/2.6kg;PP:230℃/2.16kg(MFR))
10(PE:190℃/10kg;PP:230℃/10kg(MFR))
【実施例1】
【0214】
プロピレン/エチレンコポリマーおよびエチレン/オクテンコポリマーに基づく三層二軸延伸フィルムを、改良型Prandiデザイン延伸ラインを用いて製造した。標準押出温度(190/200/210/210 押出機、220 アダプター、220 ダイ)を用いて一軸スクリュー押出機でそれらの樹脂を加工して、15%:70%:15%の層比を有する三層一次テープを製造した(それぞれの百分率は、そのフィルムの総厚に基づく)。そのテープを25℃の水浴に通して送って、その材料を急冷した。その固体テープを、100℃から105℃に設定した輻射加熱器を通して送り、それによってその一次テープを再加熱した。軟化したテープを再びバブルにブローして、さらにそのフィルムを延伸した。この延伸比は、長さ方向(MD)に5から6倍および幅方向(TD)に5から6倍であった。
【0215】
このプロセスを用いて、次のフィルム構造を製造した。
A)(50重量% PP20+50重量% PP30)/(D45)/(50重量% PP20+50重量% P30)−本発明のもの;および
B)(ADSYL(商標)5C37)/(D45)/(ADSYL(商標)5C37)−比較対照。
【0216】
これらのフィルムを20μmゲージで製造し、下の表2に示すように、機械的特性、光学的特性およびシーリング特性について比較した。積層比は、15:70:15であった。
【表2】

【0217】
前記プロピレン/エチレンコポリマーフィルムは、ADSYL(商標)系類似体と比較して良好な引張伸び特性を提供した。多くの場合、フィルムは、雑な取り扱いの間の引張モードで、および自動変換プロセスにおいて破損し得る。従って、改善されたフィルム引張伸びおよび引裂特性は、それらのフィルムを自動包装装置で使用したときの破断をより少なくすることとなる。(積層物を製造するためにポリエチレンテレフタレート(PET)で裏打ちした)それらのフィルムのシーリング特性を下の図1に示す。
【実施例2】
【0218】
実施例1において説明したのと同じ延伸ラインを使用して、PP22およびD85樹脂から形成される三層二軸延伸フィルムを製造した。標準押出温度(180/190/190/200 押出機、210 アダプター、215 ダイ)を用いて一軸スクリュー押出機でそれらの樹脂を加工して、三層一次テープを製造した。そのテープを25℃の水浴に通して送って、その材料を急冷した。その固体テープを、90℃から100℃に設定した輻射加熱器に通して送り、それによってその一次テープを再加熱した。軟化したテープを再びバブルにブローして、さらにそのフィルムを延伸した。この延伸比は、MDに5から6倍およびTDに5から6倍であった。このプロセスを用いて、次のフィルム構造を製造した。
C)PP22/D85/PP22−本発明のもの;および
D)ADSYL(商標)5C37/D85/ADSYL(商標)5C37−比較対照。
【0219】
前記フィルムを20μmゲージで製造し、下の表3に示すように、機械的特性およびシーリング特性について比較した。積層比は、15:70:15であった。
【0220】
本発明のフィルムは、卓越した引張および引裂特性を有し、ならびに良好な収縮およびシール強度も有した。
【0221】
下の表2においてそれらのフィルム(積層していないもの)のシーリング特性も比較した。
【0222】
前記三層フィルムにおいて用いた層比は、15:70:15であったが、フィルム特性を調整するために代替層比(例えば、10:80:10または25:50:25)を用いてもよい。
【表3】

【実施例3】
【0223】
実施例1に記載したものと同じ延伸ラインを使用して、(PP20+PP30)/(PP22)/(PP20+PP30)樹脂に基づく三層二軸延伸フィルムを製造した。標準押出温度(200/220/220/220 押出機、230 アダプター、230 ダイ)を用いて一軸スクリュー押出機でそれらの樹脂を加工して、三層一次テープを製造した。そのテープを25℃の水浴に通して送って、その材料を急冷した。その固体テープを、100℃から105℃に設定した輻射加熱器に通して送り、それによってその一次テープを再加熱した。軟化したテープを再びバブルにブローして、さらにそのフィルムを延伸した。この延伸比は、MDに5から6倍およびTDに5から6倍であった。このプロセスを用いて、次のフィルム構造を製造した。
E)(50重量% PP20+50重量% PP30)/(PP22)/(50重量% PP20+50重量% P30)−本発明のもの。
【0224】
下の表4に示すように、フィルムEの機械的特性、光学的特性およびシーリング特性を市販の架橋フィルム(Film D−940 Seal Air)と比較した。本発明のフィルムの低温収縮性能は、前記市販の架橋フィルムのものよりはるかに良好である。本発明のフィルムのシール強度および引張は、前記市販の架橋フィルムのものと同等である(低温収縮)。
【実施例4】
【0225】
実施例1に記載したものと同じ延伸ラインを使用して、(PP20+ADSYL5C37)/(PP22+D56)/(PP20+ADSYL5C37)樹脂に基づく三層二軸延伸フィルムを製造した。標準押出温度(200/220/220/220 押出機、230 アダプター、230 ダイ)を用いて一軸スクリュー押出機でそれらの樹脂を加工して、三層一次テープを製造した。そのテープを25℃の水浴に通して送って、その材料を急冷した。その固体テープを、100℃から105℃に設定した輻射加熱器に通して送り、それによってその一次テープを再加熱した。軟化したテープを再びバブルにブローして、さらにそのフィルムを延伸した。この延伸比は、MDに5から6倍およびTDに5から6倍であった。このプロセスを用いて、次のフィルム構造を製造した。
E)(50重量% PP20+50重量% ADSYL5C37)/(70重量% PP22+30重量% D56)/(50重量% PP20+50重量% ADSYL5C37)−本発明のもの。
【0226】
下の表4に示すように、フィルムFの機械的特性、光学的特性およびシーリング特性を市販の架橋フィルム(Film D−940 Seal Air)と比較した。本発明のフィルムの低温収縮およびシール強度性能は、前記市販の架橋フィルムのものと同等である。本発明のフィルムの引張強度およびフィルム弾性率は、前記架橋フィルムのものよりはるかに良好である。
【表4】

【0227】
上述の特定の実施形態によってある程度詳細に本発明を説明したが、この詳細は例証を主目的とするものである。当業者は、後続の特許請求の範囲に記載する本発明の精神および範囲を逸脱することなく、多くの変形および変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含み、ならびに
前記内層が、0.87g/ccから0.94g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに
少なくとも1つの外層が、0.86g/ccから0.89g/ccの密度および1g/10分から15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するプロピレン系共重合体を含む組成物から形成される
フィルム。
【請求項2】
前記少なくとも2つの外層が、同じ組成物から形成される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記2つの外層のそれぞれが、前記内層の表面に隣接している、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記エチレン系共重合体が、線状低密度エチレン/α−オレフィン共重合体である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体のα−オレフィンが、C3〜C12 α−オレフィンから成る群より選択される、請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、エチレンと1−ブテンとのコポリマーまたはエチレンと1−オクテンとのコポリマーである、請求項4に記載のフィルム。
【請求項7】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、0.7g/10分から3g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、請求項4に記載のフィルム。
【請求項8】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、0.87g/ccから0.93g/ccの密度を有する、請求項4に記載のフィルム。
【請求項9】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、0.7g/10分から3g/10分のメルトインデックス、0.87g/ccから0.93g/ccの密度を有する、請求項4に記載のフィルム。
【請求項10】
前記プロピレン系共重合体が、プロピレン/α−オレフィン共重合体である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
前記プロピレン系共重合体が、プロピレン/エチレン共重合体である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
前記プロピレン系共重合体が、プロピレンとエチレンのコポリマーである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項13】
前記プロピレン/エチレン共重合体が、2g/10分から10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、請求項11に記載のフィルム。
【請求項14】
前記プロピレン/エチレン共重合体が、2g/10分から10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、請求項12に記載のフィルム。
【請求項15】
前記プロピレン系共重合体が、2から10グラム/10分のメルトインデックス、および0.87g/ccから0.89g/ccの密度を有する、請求項14に記載のフィルム。
【請求項16】
前記内層を形成するために使用される組成物が、プロピレン系共重合体をさらに含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項17】
前記内層を形成するために使用される組成物が、20から80重量パーセントのプロピレン系共重合体と、50から80重量パーセントのエチレン系共重合体とを含み、ならびにこの場合のそれぞれの重量パーセントが、そのプロピレン系共重合体とエチレン系共重合体の合計重量に基づく、請求項16に記載のフィルム。
【請求項18】
前記エチレン系共重合体が、エチレン/α−オレフィン共重合体である、請求項17に記載のフィルム。
【請求項19】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、0.87g/ccから0.93g/ccの密度を有する、請求項18に記載のフィルム。
【請求項20】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、0.7g/10分から3g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、請求項18に記載のフィルム。
【請求項21】
少なくとも5つの層を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項22】
10から20マイクロメートルの総フィルム厚および90℃で7Nより大きいシール強度を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項23】
90から120℃の温度で少なくとも10パーセントのMD収縮を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項24】
90から120℃の温度で0.5から1.50の収縮比(MD収縮/TD収縮)を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項25】
請求項1に記載のフィルム組成物から形成された少なくとも1つの構成要素を含む物品。
【請求項26】
請求項1に記載のフィルム組成物から形成された少なくとも1つの構成要素を含む包装品。
【請求項27】
請求項1に記載のフィルムから形成された積層物を含む積層基板。
【請求項28】
ポリエステルを含む組成物から形成される、請求項27に記載の積層基板。
【請求項29】
1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含み、ならびに
前記内層が、0.83g/ccから0.89g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する第一のプロピレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに
少なくとも1つの外層が、0.86g/ccから0.91g/ccの密度および1g/10分から15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する第二のプロピレン系共重合体を含む組成物から形成される
フィルム。
【請求項30】
前記少なくとも2つの外層が、同じ組成物から形成される、請求項29に記載のフィルム。
【請求項31】
前記2つの外層のそれぞれが、前記内層の表面に隣接している、請求項29に記載のフィルム。
【請求項32】
前記第一のプロピレン系共重合体が、プロピレン/α−オレフィン共重合体である、請求項29に記載のフィルム。
【請求項33】
前記第一のプロピレン系ポリマーが、プロピレン/エチレン共重合体である、請求項29に記載のフィルム。
【請求項34】
前記第二のプロピレン系共重合体が、プロピレン/α−オレフィン共重合体である、請求項29に記載のフィルム。
【請求項35】
前記第二のプロピレン系共重合体が、プロピレン/エチレン共重合体である、請求項29に記載のフィルム。
【請求項36】
前記第一のプロピレン/エチレン共重合体が、1g/10分から3g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、請求項33に記載のフィルム。
【請求項37】
前記第一のプロピレン/エチレン共重合体が、0.84g/ccから0.89g/ccの密度を有する、請求項33に記載のフィルム。
【請求項38】
前記第一のプロピレン/エチレン共重合体が、1から3g/10分のメルトインデックス、0.84g/ccから0.89g/ccの密度を有する、請求項33に記載のフィルム。
【請求項39】
前記第二のプロピレン/エチレン共重合体が、2g/10分から10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、請求項35に記載のフィルム。
【請求項40】
前記第二のプロピレン/エチレン共重合体が、0.86g/ccから0.89g/ccの密度を有する、請求項35に記載のフィルム。
【請求項41】
前記第二のプロピレン/エチレン共重合体が、2から10g/10分のメルトインデックス、および0.86g/ccから0.89g/ccの密度を有する、請求項35に記載のフィルム。
【請求項42】
前記内層を形成するために使用される組成物が、エチレン系共重合体をさらに含む、請求項29に記載のフィルム。
【請求項43】
前記内層を形成するために使用される組成物が、50から80重量パーセントのプロピレン系共重合体、および20から50重量パーセントのエチレン系共重合体を含み、ならびにこの場合のそれぞれの重量パーセントが、そのプロピレン系共重合体とエチレン系共重合体との合計重量に基づく、請求項42に記載のフィルム。
【請求項44】
前記エチレン系共重合体が、エチレン/α−オレフィン共重合体である、請求項43に記載のフィルム。
【請求項45】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、0.87g/ccから0.93g/ccの密度を有する、請求項44に記載のフィルム。
【請求項46】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、0.7g/10分から3g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、請求項45に記載のフィルム。
【請求項47】
前記外層を形成するために使用される組成物がエチレン系共重合体をさらに含む、請求項29に記載のフィルム組成物。
【請求項48】
少なくとも5つの層を含む、請求項29に記載のフィルム。
【請求項49】
10から20マイクロメートルの総フィルム厚および90℃で7Nより大きいシール強度を有する、請求項29に記載のフィルム。
【請求項50】
90から120℃の温度で少なくとも10パーセントのMD収縮を有する、請求項34に記載のフィルム。
【請求項51】
90から120℃の温度で0.5から1.50の収縮比(MD収縮/TD収縮)を有する、請求項34に記載のフィルム。
【請求項52】
請求項29に記載のフィルムから形成された少なくとも1つの構成要素を含む物品。
【請求項53】
請求項29に記載のフィルムから形成された少なくとも1つの構成要素を含む包装品。
【請求項54】
請求項29に記載のフィルムから形成された積層物を含む積層基板。
【請求項55】
ポリエステルを含む組成物から形成される、請求項54に記載の積層基板。
【請求項56】
1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含み、ならびに
前記内層が、0.87g/ccから0.94g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに
少なくとも1つの外層が、0.86g/ccから0.89g/ccの密度および1g/10分から15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するプロピレン系共重合体を含む組成物から形成されるフィルムを形成するための、
a)フィルム組成物のそれぞれの層を形成するためのポリマー組成物を選択すること;
b)それぞれのフィルム層の組成物を共押出して、第一フィルム組成物を形成すること;
c)前記第一のフィルム組成物をダブルバブルプロセスに付して、フィルムを形成すること
を含む方法。
【請求項57】
1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含み、ならびに
前記内層が、0.83g/ccから0.89g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する第一のプロピレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに
少なくとも1つの外層が、0.86g/ccから0.91g/ccの密度および1g/10分から15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する第二のプロピレン系共重合体を含む組成物から形成されるフィルムを形成するための、
a)フィルム組成物のそれぞれの層を形成するためのポリマー組成物を選択すること;
b)それぞれのフィルム層の組成物を共押出して、第一フィルム組成物を形成すること;
c)前記第一のフィルム組成物をダブルバブルプロセスに付して、フィルムを形成すること
を含む方法。
【請求項58】
1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含み、ならびに
前記内層が、0.86g/ccから0.89g/ccの密度および1g/10分から15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するプロピレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに
少なくとも1つの外層が、0.87g/ccから0.94g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン系共重合体を含む組成物から形成される、フィルム。
【請求項59】
前記内層を形成するために使用される組成物が、エチレン系共重合体をさらに含む、請求項58に記載のフィルム。
【請求項60】
前記外層を形成するために使用される組成物が、プロピレン系共重合体を含む、請求項58に記載のフィルム。
【請求項61】
前記フィルム組成物が、少なくとも5つの層を有する、請求項58に記載のフィルム。
【請求項62】
前記フィルム組成物が、10から20マイクロメートルの総フィルム厚および90℃で7Nより大きいシール強度を有する、請求項58に記載のフィルム。
【請求項63】
前記フィルム組成物が、90から120℃の温度で少なくとも10パーセントのMD収縮を有する、請求項58に記載のフィルム。
【請求項64】
90から120℃の温度で0.5から1.50の収縮比(MD収縮/TD収縮)を有する、請求項58に記載のフィルム。
【請求項65】
請求項58に記載のフィルムから形成された少なくとも1つの構成要素を含む物品。
【請求項66】
請求項58に記載のフィルムから形成された少なくとも1つの構成要素を含む包装品。
【請求項67】
請求項58に記載のフィルムから形成された積層物を含む積層基板。
【請求項68】
ポリエステルを含む組成物から形成される、請求項67に記載の積層基板。
【請求項69】
1つの内層とその内層の反対面に位置する少なくとも2つの外層である少なくとも3つの層を含み、ならびに
前記内層が、0.86g/ccから0.89g/ccの密度および1g/10分から15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するプロピレン系共重合体を含む組成物から形成され、ならびに
少なくとも1つの外層が、0.87g/ccから0.94g/ccの密度および0.5g/10分から10g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン系共重合体を含む組成物から形成される
フィルムを形成するための、
a)フィルム組成物のそれぞれの層を形成するためのポリマー組成物を選択すること;
b)それぞれのフィルム層の組成物を共押出して、第一フィルム組成物を形成すること;
c)前記第一のフィルム組成物をダブルバブルプロセスに付して、フィルムを形成すること
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−544505(P2009−544505A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522073(P2009−522073)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【国際出願番号】PCT/CN2007/002292
【国際公開番号】WO2008/017244
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】