説明

積層レンズのための三層接着剤系及びその適用法

光学基礎部品上へ機能性フィルムを積層する方法、及び該方法に使用するための三層接着剤系。該三層接着剤は、該機能性フィルム上に配置された第一のラテックス接着剤層、及び該光学基礎部品上に配置された第二のラテックス接着剤層を含む。該光学基礎部品上に機能性フィルムを恒久的に保持する三層接着剤を形成するために、HMA層が、それらのラテックス層間に配置されている。本方法は、該機能性フィルム上のラテックス接着剤の第一コーティング、及び該光学基礎部品上のラテックス接着剤の第二コーティングを含む。次に、HMAは、それらの乾燥されたラテックス接着剤層の一方へコーティングされる。積層光学装置を形成するために、該フィルムは、HMAがそれらのラテックス層間に挟まれた状態で、光学基礎部品上へホットプレスされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、眼科用積層レンズのための接着剤系、及びそのような接着剤系をフィルムと眼科用レンズの間に適用するための関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.先行技術
眼科用レンズは、着色されるか、又はベースレンズの透過性を変えるように改良されることができる。レンズ成形プロセスの前後に、幾つかの染料を基材中へ包含させることができる。レンズが形成された後に、他のプロセスが適用される。その中の1つのプロセスが、レンズ表面上にフィルムを積層させる工程を伴う。これらのフィルムは、機能性フィルムと呼ばれることが多く、そして機能性フィルムとは、それらが幾つかの点で光学的特性又は透過性を変えることを意味する。偏光フィルムが、過度に透過性を制限することなくグレアを減らすので好ましい。
【0003】
例えば、偏光フィルムに対してレンズを射出すること、偏光フィルムに隣接させてレンズを成形すること、又は偏光フィルムを接着剤で積層することなどのように、偏光レンズを製造するためには多くの方法がある。幾つかの先行技術の方法では、熱又はUV硬化性接着剤を用いるか、又は熱溶融性接着剤(Hot Melt Adhesive: HMA)を用いるか、又は粘着剤(Pressure-Sensitive Adhesive: PSA)を用いることにより、フィルムを接着する工程が記述されている。しかしながら、これらの先行技術の方法の全ては、接着剤層中の凹凸又は良好な接着力の不足のために、光学又は力学的性能上の問題のいずれかを有する。接着の問題は、有機レンズを形成するために使用される特定の材料又はフィルムを形成するために使用される特定の材料のいずれかに関連して、さらに解決が難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、レンズ及び/又はフィルムを形成するために使用される材料とは別に、レンズとフィルムの間に非常に均一な接着剤層を提供することである。この接着剤層は、レンズ及びフィルム側の両方で均一な厚さになるように、スピン法により事前に塗布される。
【0005】
本発明の別の目的は、偏光フィルム(例えば、TAC/PVA/TACフィルムなど)とプラスチックレンズ{例えば、エピ硫黄(epi-sulfur)レンズ材料など}の間に最強の接着を提供することである。ラテックスの最後の層が、スピン又は浸漬塗布により任意のレンズ基材と結合できたので、新規な接着系は、任意のレンズ材料上で使用されることができる。
【0006】
本発明の別の目的は、プロセスに応じて、レンズ上又はフィルム上のいずれかにHMA層を置くという適応性を提供することである。多くの様々な種類のスピン装置を用いると、フィルム表面よりもむしろレンズ表面にHMA層を置く方が容易であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、接着剤多層系(すなわち、ラテックス/HMA/ラテックス)を前記プラスチックレンズと前記機能性フィルムの間に導入することにより、プラスチックレンズと機能性フィルムの間でかなり強い接着を達成する方法に関する。この接着剤多層系の使用は、最高屈折率エピ硫黄(epi-sulfur)材料(この材料は、1.74の屈折率の材料であり、このポリマーの化学的性質のために他のレンズ材料に比べて接着することが非常に難しい。)のための良好な接着を確保するのに特に重要である。
【0008】
機能性フィルムの中でも、偏光フィルムが、眼科用レンズについて非常に興味のあるものを提供する。偏光フィルムとプラスチックレンズの間の接着は、常に、フィルム積層プロセスにより偏光の良好なプラスチックレンズを形成するという試みである。先行技術における従来法は、UV若しくは熱硬化性接着剤、又は熱溶融性接着剤若しくは感圧性接着剤(粘着剤)を使用することであった。しかし、これらの種類の接着剤を用いるときに、例えば、良好な接着力の不足、不均一な接着厚、取り扱いが容易ではないこと、外観上の欠陥などの幾つかの欠点があった。
【0009】
したがって、本発明では、多層接着剤系の新規な概念が提供され、それは偏光フィルムとキャスト成形されたプラスチックレンズとの間に非常に強い接着を提供する。接着剤多層は、1)1つのラテックス層が、フィルムへの良好な接着力を有すること;2)他のラテックス層が、レンズへの良好な接着力を有すること;3)HMAの中間接着剤は、フィルムと、ラテックス接着剤でコーティングされたレンズとの間に良好な接着を提供すること;という3つの機能を有する。3つの層の全ては、積層前にフィルム及びレンズ上に容易にスピンコートされることができる水系ポリマーである。次に、それらの2つの部分が、ホットプレス装置により数分で共に積層される。得られたレンズは、他の系に比べて最強の接着力を有し、さらには均一な接着剤層に起因する良好な光学性、及び高い美観品質を示した。さらに、眼鏡用フレームに適合するレンズを得るために、得られたレンズは、様々なエッジングプロセスと適合できる非常に良好な力学的性能を提供する。
【0010】
図面の簡単な説明
本発明の利点、性質及び様々な更なる特徴は、添付図面と関連して以下で詳述されることになる実例的な実施形態を検討することにより、より明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】三層接着剤構造物を有する積層レンズの概略図である。
【図2】レンズを積層する方法を説明するフローチャートである。
【図3】図3Aは、予め積層された部品の実施形態を示す略図であり、一方で、図3Bは、予め積層された部品の別の実施形態を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の本質は、機能性フィルムとレンズの間で接着剤多層を使用することである。第一及び第三の接着剤層は、スピンコートにより機能性フィルム(例えば、偏光フィルムなど)及びレンズの両方に十分に結合できるラテックス層であり、第二の中間接着剤層は、対応する複数のラテックス層を介したフィルムとレンズの間の良好な積層結合のために使用される熱溶融性接着剤層である。HMA接着剤層は、フィルム側又はレンズ側のいずれかに適用されることができる。これらの複数の層の組み合わせを使用することにより、接着力が最大のまま非常に短時間で、任意のフィルムを任意のレンズ材料へ確実に結合させることができる。この多接着剤系に含まれる複数の層を図1に示す。より詳細には、本発明は、エピ硫黄(epi-sulfur)レンズ材料などの高屈折率材料と、例えば、TAC(三酢酸セルロース)、CAB(酢酸酪酸セルロース)又はPC(ポリカーボネート)から選択される2つの同一又は異種の材料層に挟まれているPVA(ポリビニルアルコール)層を主成分とする偏光フィルムとを機能化するのに非常に有用である。
【0013】
積層構造物又はフィルム14が光学基礎部品12へ積層されている積層光学部品10が、示される。一実施形態では、機能性層構造物又は機能性フィルム14は、レンズに積層される。その場合、非常に均質な接着剤層を得るために、前もって別々に、スピンコート又は浸漬により、第一のラテックス層16a及び第二のHMA層16bが、機能性フィルムに適用されることができ、そして第三のラテックス層16cが、レンズ12に適用されることができる。さもなければ、ラテックス層16c及びHMA層16bは、レンズ12へ適用されることができ、そして第三のラテックス層16aは、フィルム14へ適用されることができる。いずれの方法でも、この三層接着剤系(まとめて参照符号16という。)は、フィルムとレンズの間に最良の接着を与えることができる。ラテックスとフィルム又はレンズとの間の接着性を改良するために、レンズ若しくはフィルムにおいて、コロナ処理;苛性処理;プラズマ処理若しくはUV処理などのような前処理が必要とされるであろう。驚くべきことに、多接着剤系が、まとめてレンズ又はフィルムのいずれかへ適用されると、接着力が減少し、低品質製品が生成する。
【0014】
機能性フィルムがラテックス及びHMA層によりコーティングされ、レンズがラテックスによりコーティングされた後、機能性フィルムに使用される材料及びレンズに使用される材料に応じて規定される圧力、温度及び時間制御条件下の装置により、フィルムは、前記ラテックスをコーティングされたレンズへ積層される。例えば、機能性フィルムとしてTAC/PVA/TAC偏光フィルムを用い、レンズとして1.71材料などのようなエピ硫黄(epi-sulfure)材料を用いると、ホットプレス装置の積層条件が、5分間に亘る25PSIの圧力及び120℃(設定温度)になるであろう。積層後、フィルムとレンズの間の接着が最強である機能性レンズが得られる。均一な接着剤厚によって、得られたレンズは、非常に良好な光学性を有し、さらに前側カーブが斬新な設計であるときに最も重要になる元々の光学設計を順守していた。さらに、得られた機能性レンズは、いかなる剥離もなく、ウェットエッジングプロセスを含む任意の種類のRx表面処理を通過できる。また、それは、典型的なハードコーティング又はARコーティングプロセスも通過できる。
【0015】
したがって、多接着剤層の概念は、他の接着法と比べて、最高の接着力及びレンズ性能を提供できる。
【0016】
本発明には3つの重要な工程がある:第一の工程は、機能性フィルム又はレンズに接着剤二重層を適用することであり、第二の工程は、プラスチックレンズ又はフィルムに第三の接着剤層を適用することであり、そして第三の工程は、該フィルムを該プラスチックレンズに積層することである。機能性フィルム上及びレンズ上の両方に接着剤層を適用することは、前もって、従来のスピンコート又は浸漬法により行われるであろう。スピンコートは、特に好ましい方法である。プラスチックレンズへのフィルムの積層は、非常に短時間の内に、ホットプレス装置内で行われるであろう。当然ながら、他の中間処理を導入することができる。
【0017】
図2のフローチャートでは、本プロセスのより包括的な説明を見ることができる。工程20の初めに、光学性又は透過性を変える機能性層構造物又は機能性フィルム(例えば、偏光フィルム)を提供する。フィルムは、レンズと同様の基礎カーブへと熱成形されることができる。言い換えれば、その熱成形体の凹側は、レンズの凸側と類似する形態を有するであろう。
【0018】
追加のプロセス工程22が、この段階で行なわれることができる。例えば、ラテックスとフィルムの間の接着を強化するために、コロナ放電;苛性剤による処理;プラズマ処理又はUV処理のような前処理が、フィルム上で行なわれることができる。
【0019】
工程24では、第一のラテックス層が、フィルムの凹側にコーティングされる。任意の適切な光学コーティング法が利用されてよく、例えば、スピンコーティング又は浸漬コーティングなどであり、スピンコーティングが好ましい。ラテックス層は、液状で塗布され、次に乾燥される。乾燥を促進するために、低水準の熱を掛けることができる。
【0020】
工程26では、光学基礎部品、例えばプラスチックレンズなどを提供する。一実施形態では、本発明による接着剤系は、キャスト成形レンズ、例えばTRIVEX又はエピスルフィドモノマーから成形されたレンズなどについて、優れた成果を有する。追加のプロセス工程28が、この段階で行なわれることができる。例えば、ラテックスとレンズの間の接着を強化するために、コロナ放電;苛性剤による処理;プラズマ処理又はUV処理のような前処理が、レンズ上で行なわれることができる。
【0021】
工程30では、第二のラテックス層が、光学基礎部品へ、例えばレンズの凸側面などへ、コーティングされる。任意の適切な光学コーティング法が利用されてよく、例えばスピンコーティング又は浸漬コーティングなどであり、スピンコーティングが好ましい。ラテックス層は、液状で塗布され、次に乾燥される。乾燥を促進するために、低水準の熱を掛けることができる。
【0022】
工程32では、HMAが、複数の乾燥されたラテックス層の1つへ適用される。これらの手段は、図3A及び3Bと関連して下記でより詳細に説明される。任意の適切な光学コーティング法が利用されてよく、例えばスピンコーティング又は浸漬コーティングなどであり、スピンコーティングが好ましい。HMA層は、液状で塗布され、次に乾燥される。乾燥を促進するために、低水準の熱を掛けることができる。
【0023】
工程34では、フィルムの凹面をレンズの凸面に合わせることにより、サンドイッチ体が形成される。フィルムはレンズと接触させられるので、複数の乾燥されたラテックス層の1つは、乾燥されたHMA層と向かい合っているであろう。サンドイッチ体は、レンズ、ラテックス、HMA、ラテックス及びフィルムの順序で並べられた層を含むであろう。
【0024】
工程36では、サンドイッチ体は、積層レンズを形成するために熱及び圧力に曝される。レンズは下部から支えられ、一方で、適切な部品が、制御された圧力下でフィルムを圧縮し、そして熱が掛けられる。このような方法の複数の工程後に、特定の試験及び実験が行われた。試験及びそれらの結果は、幾つかの実施例及び比較例の態様で、対応する複数の表に示された結果とともに、本明細書で提供される。
【0025】
図3Aでは、三層接着剤系16を適用する一実施形態が説明される。機能性フィルム20aが、第一のラテックス層24aでコーティングされる。光学基礎部品26a(例えばレンズ)が、第二のラテックス層30aでコーティングされる。HMA層32aが、第一のラテックス層24aに適用される。光学基礎部品、ラテックス、HMA、ラテックス及び機能性フィルムの順序で並べられた複数の層を有するサンドイッチ体が形成される(34a)。積層光学部品10aを形成するために、熱及び圧力がサンドイッチ体へ掛けられる(36a)。
【0026】
図3Bでは、三層接着剤系16を適用する別の実施形態が説明される。機能性フィルム20bが、第一のラテックス層24bでコーティングされる。光学基礎部品26b(例えばレンズ)が、第二のラテックス層30bでコーティングされる。HMA層32bが、第二のラテックス層30bへ適用される。光学基礎部品、ラテックス、HMA、ラテックス及び機能性フィルムの順序で並べられた複数の層を有するサンドイッチ体が形成される(34b)。積層光学部品10bを形成するために、熱及び圧力がサンドイッチ体へ掛けられる(36b)。
【0027】
三層接着剤は、プラスチック(熱可塑性又は熱硬化性材料が考えられる。)から形成された光学基礎部品への積層に有用である。基礎部品は、ポリウレタン、CR−39、及び高屈折率ポリ(チオ)ウレタン又はエピスルフィド、例えば1.67及び1.74材料などを含む任意の適切な熱硬化性光学材料から形成されるであろう。典型的なプラスチックを列挙すると、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレートとポリカーボネートのコポリマー、ポリオレフィン、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)のホモポリマー及びコポリマー、(メタ)アクリルモノマーのホモポリマー及びコポリマー、チオ(メタ)アクリルモノマーのホモポリマー及びコポリマー、ウレタンのホモポリマー及びコポリマー、チオウレタンのホモポリマー及びコポリマー、エポキシホモポリマー及びコポリマー、並びにエピ硫黄ホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。好ましい実施形態では、光学基礎部品は、(例えば、Trivex又はエピスルフィドモノマーなどのウレタンのコポリマーから形成された)成形レンズを含む。
【0028】
三層接着剤は、光学基礎部品(例えば、眼科用レンズなど)の凸側又は凹側のいずれかへの積層に有用である。レンズは、サングラス、プラノレンズ(plano lens)、バイザー、又は度付き(Rx)レンズでよい。そのようなレンズとしては、完成品レンズ(F)、半完成品レンズ(SF)、特殊な追加レンズ(PAL)、多焦点レンズ、一焦点レンズ及び無限焦点レンズを挙げることができる。光学基礎部品は、透明であるか、着色されているか、又は染色されていてよい。
【0029】
機能性層担体は、光学基礎部品に光学的機能又は特性を提供するフィルムを含んでよい。さらに、機能性層担体は、少なくとも1つの光学的機能、少なくとも1つの特性又はそれらの組み合わせに寄与する多機能性フィルムを含んでよい。光学的機能の例としては、光学部品の偏光及び光発色化が挙げられる。そのような機能は、それぞれ、偏光フィルム及び光発色性フィルムにより実現される。偏光材料は、2つの主要な種類:三酢酸セルロース(TAC)フィルム及びセルロースアセテートブチレート(CAB)フィルムから成る2つのセルロース化フィルムにより包まれているポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)又はポリ酢酸ビニルフィルム(PVA)として市販されている。他の機能性層フィルムは、PET、又はTAC、又は下記特性:反射防止性、ハードコート性、トップコート性、静電気防止性、防曇性若しくは防汚性の少なくとも1つを有する他のポリマー系フィルム材料(COC−環状オレフィン/PC−ポリカーボネート)、又は例えば国際公開第2006/013250号パンフレットに記述されているような微細構造のフィルムであろう。そのような特性は(所望によりトップコートフィルムによりキャッピングされている)幾つかの層を有するハードマルチコート(HMC)フィルムの形態で実現される。本発明の好ましい実施形態では、偏光レンズを提供するために、偏光フィルムは光学基礎部品へ接着される。
【0030】
機能性層部品は、光学基礎部品との接触のために指定される1つの表面を有するであろう。任意の予測可能な前処理工程の後に、この接触面は、光学的品質を達成して機能性層部品へ良好に結合するために適用されるラテックス接着剤の層を受け入れるであろう。様々な適用プロセスが、下記でより詳細に説明されるものである。この適用工程は、ラテックス層を乾燥させる工程を伴うので、薄い固体のラテックス層が残る。乾燥されたラテックス層は、光学的品質の眼科用レンズと一致する水準で、色を表示するのに十分な純度、透過率及び透明度を有するものである。さらに、ラテックス層は、その表面の全域で均一な厚さを有するものである。均一な厚さとは、0.01μm〜0.3μm未満しか変化しないという一致した厚さを有する層をいう。
【0031】
本発明に使用されることができるような条件を満たすラテックス材料としては、ポリウレタンラテックス、アクリルラテックス、及びコア/シェルラテックスが挙げられる。例えば、ゼネカ(Zeneca)社によりアクリルラテックスA−639の名称で市販されているアクリルラテックスなどの(メタ)アクリル類;バクセンデン(Baxenden)社によりW−213、W−240及びW−234の名称で市販されているラテックス類などのポリウレタンラテックス、若しくはこの市販品を主成分とするポリウレタンラテックス;又はモメンティブ(Momentive)社により市販されているA−1100(ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン)のようなシランを主成分とするラテックスなどである。好ましくは、ポリウレタンラテックスが本発明の実施に利用され、より詳細には、米国特許第5,316,791号明細書に記述されているようなラテックスなどである。他の好ましいラテックスは、米国特許第6,503,631号明細書及び米国特許第6,489,028号明細書に記述されているものなどのコア/シェルラテックスである。他の好ましいラテックスは、アルキル(メタ)アクリレート、例えばブチルアクリレート又はブチル(メタ)アクリレートなどである。
【0032】
所望により、ラテックス材料は、そのレオロジー性、力学的性質又は光学的性質を調整するために添加剤を混合されることができる。例えば、米国特許第6,562,466号明細書に記述されている通り、カップリング剤をラテックス材料に加えて、機能性層担体への接着を促進してよい。例えば、欧州特許第1161512号明細書、米国特許第6,770,710号明細書及び米国特許第6,740,699号明細書に記述されている通り、ラテックス材料は、美観性若しくは光発色性染料、又は発色染料、又は静電気防止材料などの機能性材料を含んでよい。
【0033】
本発明で使用されることができるような条件を満たすHMA材料としては、ポリウレタンを主成分とするHMA材料が挙げられる。これらの材料は、高分子量ポリウレタンのアニオン性水分散液として特徴付けられる。HMAの一種は、ベイヤー(Bayer)社から市販されており、ディスパーコル(Dispercoll)(登録商標)U42及びA−8758と呼ばれる。ボンド・ポリマーズ・インターナショナル(Bond Polymers International)社は、本発明に有用な2つの市販されている水系ポリウレタン分散液:ボンドセイン(Bondthane)(登録商標)UD−104及びボンドセイン(登録商標)UD−108を有する。所望により、HMA材料は、そのレオロジー性、力学的性質又は光学的性質を調整するために添加剤を混合されることができる。例えば、コロイドシリカなどの添加剤をHMA配合物に加え、架橋を促進して硬度及び耐久性を向上させることができる。適切なコロイドは、ルドックス(LUDOX)(登録商標)SM−30コロイドシリカのHO中の30質量%懸濁液であろう。HMA中のコロイドの割合は、1〜20質量%の範囲、好ましくは2〜10質量%の範囲であろう。また、本発明においてHMA材料は、熱溶融性接着剤を配合するための任意の既知のポリマーでよいが、好ましくは熱可塑性ポリマーである。したがって、HMAポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレタン/ウレア、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリ(オキサゾリン)及びポリ(メタ)アクリル系の中から選択されることができる。適切なポリオレフィンは、より詳細には米国特許第5,128,388号明細書に開示されている。好ましいポリオレフィンは、例えば、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロック、ポリイソプレンブロック又はエチレン−ブチレンコポリマーブロックを含むブロックエラストマーなどの熱可塑性ブロックエラストマーである。さらに、任意の種類のUV/熱硬化性HMA、又はUV/熱硬化性モノマー接着剤層とのHMA混合物が、第二の接着剤層として本発明に使用されることができる。本発明では、好ましいHMAは、熱活性化ポリウレタン接着剤、UV硬化性HMA、及び熱硬化性HMAから選択される。より詳細には、1.5MPaを上回る弾性率を示している熱溶融性接着剤層を用いると、より好ましい結果が得られる。
【実施例】
【0034】
下記実施例では、TAC偏光フィルム、及び1.74の屈折率を有するエピスルフィドレンズ材料を利用する。より詳細には、TACフィルムは、2つのTAC層に挟まれているPVA偏光層を含み、単一フィルム(その中では、PVAは、TAC外層内に保護的に入れられている)を形成する。
【0035】
実施例1
最初に、TAC偏光フィルムを熱形成して、1.74の屈折率を有するエピ硫黄レンズ材料の前側に近いカーブ状にした。TAC偏光フィルムの凸側(前側)を苛性溶液(10%NAOH)で洗浄し、その後に脱イオン水ですすぎ、次にW−234材料を主成分とするラテックスを該フィルム上にスピンコーティングする。ラテックス層が乾燥した後に、ボンド・ポリマー社製UD104のHMA溶液をラテックスの上部でスピンコーティングし、60℃で2分間に亘って乾燥させる。フィルム上のラテックスと同じ条件(例えば、苛性洗浄及びすすぎなど)下で、第一のラテックスと同じ第三の層を1.74レンズの凸側(前側)上へ塗布した。
【0036】
最後に、レンズ担体及び可膨張性ケイ素膜を有する小型ホットプレスアキュムレイタ装置を用いて、乾燥した接着剤二重層被覆フィルムを、ラテックス被覆1.74エピ硫黄レンズへ積層した。HMA−ラテックス接着剤層で覆われたフィルムの凸側を、ラテックス層で覆われたレンズの凸側に接触させる。圧力を緩やかに30PSIへ上昇させて、120℃の設定温度で5分間に亘ってフィルムとレンズを十分に接触させた。
【0037】
積層後に、得られた偏光レンズは、レンズとフィルムの間の接着が非常に良好である。過度なRx表面処理、研磨及びウェットエッジ切削の後でさえ層間剥離はない。下記表1Aに示す通り、積層後のフィルムとレンズの間の接着力を、インストロン(Instron)機器により測定した。
【0038】
実施例2〜4:
ラテックスをレンズ上へ塗布する前に、化学処理、並びにコロナ、プラズマ及びUVから選択されるもう1つの処理により、1.74レンズを前処理したこと以外は、実施例1を繰り返した。得られたレンズは、下記表1Aに示す通り、フィルムとレンズの間にかなり強い剥離力を有する。
【0039】
実施例5:
UD104の代わりにUD108HMAを使用したこと以外は、実施例2を繰り返した。得られたレンズは、下記表1Aに示す通り、フィルムとレンズの間に許容可能な剥離力を有する。
【0040】
実施例6:
1つのラテックス層をTACフィルムに塗布し、そして第二(HMA)及び第三(ラテックス)の接着剤層を、ラテックス及びHMAを塗布する前にUVにより前処理された1.74レンズへ塗布したこと以外は、実施例5を繰り返した。得られたレンズは、下記表1Aに示す通り、フィルムとレンズの間に許容可能な剥離力を有する。
【0041】
【表1】

【0042】
比較例1
1.74レンズはラテックス接着剤層を有していないが苛性洗浄されていること以外は、実施例1を繰り返した。得られたレンズは、レンズとフィルムの間の接着が極めて悪い。表1Bに示す通り、手で容易にレンズからフィルムを剥がすことができる。
【0043】
比較例2
1.74レンズはラテックス接着剤層を有していないがUVのみで前処理されていたこと以外は、実施例1を繰り返した。得られたレンズは、レンズとフィルムの間の接着が極めて悪い。手で容易にレンズからフィルムを剥がすことができる。
【0044】
比較例3
UD104の代わりにボンド・ポリマー社製UD108HMAを使用したこと以外は、比較例1を繰り返した。得られたレンズは、レンズとフィルムの間の接着が極めて悪い。表1Bに示す通り、手で容易にレンズからフィルムを剥がすことができる。
【0045】
比較例4
レンズ表面に塗布されるラテックスをUD104のHMA層に置き換えたこと以外は、実施例1を繰り返した。フィルムとレンズの間に3つの接着剤層があるものの、得られたレンズは、レンズとフィルムの間の接着が極めて悪い。表1Bに示す通り、手で容易にレンズからそのフィルムを剥がすことができる。これは、最良の接着を提供するためには、フィルムとレンズの間の三層系はラテックス/HMA/ラテックスであるべきだからである。
【0046】
比較例5
フィルムとレンズの間にHMAがないこと以外は、実施例2を繰り返した。フィルムとレンズの両方をラテックスでコーティングし、さらに1.74レンズをUVにより前処理したが、得られたレンズは、レンズとフィルムの間の接着が極めて悪い。UD104又はUD108のいずれかのHMA層がないので、表1Bに示す通り、手で容易にレンズからそのフィルムを剥がすことができる。
【0047】
【表2】

【0048】
実施例7:
PC(熱可塑性ポリカーボネート)レンズを使用したこと以外は、実施例5を繰り返した。得られたレンズは、表2に示す通り、レンズ上にラテックス層がないレンズと比べて、フィルムとレンズの間の剥離力がかなり強い。
【0049】
比較例7
レンズ上にラテックス接着剤がないPCレンズを使用したこと以外は、実施例7を繰り返した。得られたレンズは、表2に示す通り、レンズ上にラテックス層があるレンズと比べて、フィルムとレンズの間の剥離力がかなり少ない。
【0050】
実施例8:
1.74レンズ材料の代わりにTrivex(登録商標)レンズ材料を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。得られた積層レンズは、表2に示す通り、レンズ上にラテックス層がないレンズと比べて、フィルムとレンズの間の剥離力がかなり強い。
【0051】
比較例8.
Trivexレンズがレンズ上にラテックス接着剤を有していないこと以外は、実施例8を繰り返した。得られたレンズは、表2に示す通り、レンズ上にラテックス層があるレンズと比べて、フィルムとレンズの間の剥離力がかなり少ない。
【0052】
【表3】

【0053】
上記の例から分かる通り、接着剤系は、積層により偏光レンズを提供する。接着剤系の様々な層は、均質に塗布されることができるので、得られた偏光レンズは、優秀な光学的品質を有する。また、接着剤系は、HC若しくはHMCフィルム積層又は機能性フィルム積層などのような、いかなる種類の前側又は後側フィルム積層においても使用されることができる。三接着剤層系は、1.74エピスルフィドレンズ及びTrivexレンズのために好ましい溶液であるが、それは、他の基材材料の全てに対して非常に良好に機能する。
【0054】
このプロセスによれば、各ラテックス層は、スピンコートを介して液体段階で塗布されるとき、レンズ及びフィルムを結合するために共接着剤として機能する。ラテックス/HMA/ラテックス層を、レンズ又はフィルム上に一斉に積み重ねることはできない。HMAは、積層工程に入るとき、主要な積層接着剤としての役割を果たすために、露出したままでなければならない。
【0055】
TRIVEX(登録商標)は、ペンシルベニア州ピッツバーグのPPGインダストリーズ社の登録商標である。TRIVEXは、モールド内で成形されて熱硬化されたウレタン系プレポリマーである。
【0056】
適切なエピスルフィド化合物は、重合性組成物であるポリエピスルフィドモノマーである。例えば、欧州特許第942027号明細書、米国特許第5,945,504号明細書、及び欧州特許第761,665号明細書に開示されているジエピスルフィドモノマーを使用してよい。
【0057】
レンズ又は偏光フィルムに対して十分に接着する任意の適切な光学的等級のラテックスを使用できる。2つの異なるラテックス材料を使用できるが、良好な結果は、同一のラテックスを用いることにより得られた。各ラテックス層厚は、0.5μm〜6μmでよく、そして好ましい厚さは、1μm〜3μmである。
【0058】
本発明に使用されることができるような条件を満たすラテックス材料としては、ポリウレタンラテックス、アクリルラテックス、及びコア/シェルラテックスが挙げられる。例えば、ゼネカ社によりアクリルラテックスA−639の名称で市販されているアクリルラテックスなどの(メタ)アクリル類、バクセンデン社によりW−213、W−240及びW−234の名称で市販されているラテックスなどのポリウレタンラテックス、又はこれらの市販品を主成分とするポリウレタンラテックスである。好ましくは、ポリウレタンラテックスが、本発明の実施に際して利用され、より詳細には、米国特許第5,316,791号明細書に記述されているようなラテックス類である。他の好ましいラテックスは、米国特許第6,503,631号明細書及び米国特許第6,489,028号明細書に記述されているものなどのコア/シェルラテックスである。他の好ましいラテックスは、ブチルアクリレート又はブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートである。
【0059】
所望により、ラテックス材料は、そのレオロジー性、力学的性質又は光学的性質を調整するために添加剤を混合されることができる。例えば、カップリング剤をラテックス材料に加えて、機能性層担体への接着を促進してよい。例えば、欧州特許第1161512号明細書、米国特許第6,770,710号明細書及び米国特許第6,740,699号明細書に記述されている通り、ラテックス材料は、美観性若しくは光発色性染料、又は発色染料、又は静電気防止材料などの機能性材料を含んでよい。
【0060】
また、選択的なシラン接着剤が、最初にレンズ又は偏光フィルムをコーティングするために使用されるであろう。ウェストバージニア州フレンドリーのモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(Momentive Performance Materials)社から入手できるシルケスト(Silquest)A−1100シランのような有機官能性シランエステルが、使用されることができる。シラン接着剤層は、0.5μm未満の厚さになるべきである。
【0061】
ラテックス又はシラン接着剤に十分に接着する任意の適切な光学的等級のHMAを使用できる。HMA層厚は、2μm〜20μmでよく、好ましい厚さは、4μm〜14μmである。別の例は、ニューハンプシャー州シーブルックのボンド・ポリマー・インターナショナル社から入手できるボンドセイン(登録商標)UD−104及びUD−108である。UD−104及びUD−108は、接着剤塗布のための水系ポリウレタン分散液である。
【0062】
ポリウレタン接着剤は、ポリウレタンレンズと共に十分に機能するが、それらは、エピスルフィド材料に対して余り接着しない。レンズ材料内の硫黄は、その接着を妨げると考えられる。それ故に、レンズ上にラテックス層を提供することにより、受け入れ面が、HMAとの良好な接着のために提供される。
【0063】
熱及び圧力を組み合わせる任意の光学的等級のホットプレスプロセスを利用してよい。例えば、適切なプロセスとしては、FSL、BST、FST、及びマーズ(Mars)社製装置による積層が挙げられる。本明細書の所定の実施例では、FSLを利用した。
【0064】
剥離力測定に使用される装置は、ロードセル:100N(最大値)を備えたインストロン社製3365型である。試験法:速度=2.54mm/分;幅=25.4mm;厚さ=0.19mm;及び最大長=50mm;最小長=14mm。
【0065】
試料調製:1.剥離力試験を容易にするために、積層前にレンズの縁に19mm幅片のスコッチテープ(登録商標)を接着することにより、剥離力試料を調製する。次に、HMA接着剤系を有するフィルムを、レンズへ積層した。積層後に約24時間を概算し、25.4mmストリップを、積層レンズの予めテープを貼った箇所へ90°で横切らせて切る。
【0066】
レンズ製造のための好ましい実施形態、そこで使用される接着剤及びフィルムのための材料、及びその処理方法(それらは、説明のためのものであり、制限的なものではない。)を説明したが、上記教示に照らして、当業者は改良及び変形を行うことができると理解されたい。したがって、特許請求の範囲に概説されている通り、本発明の範囲及び理念の範囲内で、開示された本発明の特定の実施形態に変化を加えてよいことを理解されたい。このように、特許法により要求される詳細及び特殊性を有する本発明を説明したが、請求され、かつ特許証により好ましく保護されるものは、添付の特許請求の範囲において説明される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学基礎部品;及び
機能性光学部品を形成するために該光学基礎部品に直接に接着されている少なくとも1つの機能性層を含む機能性層構造物;
を含む機能性光学部品であって、前記機能性光学部品は、(i)前記機能性層構造物の表面に配置されているラテックス接着剤層、(ii)前記光学基礎部品の表面に配置されている第二のラテックス接着剤層、及び(iii)前記2つのラテックス層の間に配置されている熱溶融性接着剤(HMA)層を含むことによって三層接着剤を形成する三層接着剤構造物をさらに含み、そして前記三層接着剤は、光学的品質を維持しながら前記光学基礎部品上に前記機能性層構造物を恒久的に保持する、前記機能性光学部品。
【請求項2】
前記ラテックス接着剤層は、アクリルラテックス、(メタ)アクリルラテックス、ポリウレタンラテックス、コア/シェルラテックス、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される材料を含む、請求項1に記載の機能性光学部品。
【請求項3】
前記ラテックス層は、全体に亘って0.5μm〜6μmの均一な厚さを有する乾燥固体層を含み、光学的性質を提供する、請求項2に記載の機能性光学部品。
【請求項4】
前記ラテックス層は、全体に亘って0.5μm未満しか変化しない1.0μm〜3.0μmの均一な厚さを有する乾燥固体層を含み、光学的性質を提供する、請求項2に記載の機能性光学部品。
【請求項5】
前記熱溶融性接着剤層は、熱活性化ポリウレタン接着剤、UV硬化性HMA、及び熱硬化性HMAの1つ以上を含む、請求項1に記載の機能性光学部品。
【請求項6】
前記熱溶融性接着剤層は、ポリマーHMA、熱可塑性ポリマーHMA、及びコロイドの1つ以上を含む、請求項1に記載の機能性光学部品。
【請求項7】
前記熱溶融性接着剤層は、熱活性化ポリウレタン接着剤を含む、請求項1に記載の機能性光学部品。
【請求項8】
前記熱溶融性接着剤層は、1.5MPaを上回る弾性率を有する、請求項1に記載の機能性光学部品。
【請求項9】
前記HMA層は、全体に亘って2.0μm〜20μmの均一な厚さを有する乾燥固体層を含み、光学的性質を提供する、請求項7に記載の機能性光学部品。
【請求項10】
前記HMA層は、全体に亘って1.0μm未満しか変化しない4μm〜14μmの均一な厚さを有する乾燥固体層を含み、光学的性質を提供する、請求項8に記載の機能性光学部品。
【請求項11】
前記機能性層構造物は:
光学的機能性層;
光学的構造化層;
フレネルレンズ構造物;
偏光層;
光発色性層;
ハードコート層;
トップコート層;
防曇性層;
防汚性層;
反射防止層;及び
静電気防止層
から成る群から選択される1つ以上の層を含む、請求項1に記載の機能性光学部品。
【請求項12】
前記機能性層構造物は、単独の偏光フィルム、又は熱可塑性材料若しくはセルロース誘導体材料から成る2つの同一若しくは異種の層の間に挟まれている偏光フィルムを表す、請求項1に記載の機能性光学部品。
【請求項13】
前記光学基礎部品は、完成品レンズ、半完成品レンズ、特殊レンズ、無限焦点レンズ、プラノレンズ、一焦点レンズ、及び多焦点レンズから成る群から選択される、請求項1に記載の機能性光学部品。
【請求項14】
前記光学基礎部品は、ウレタンを主成分とするプレポリマー又はエピスルフィドモノマーから形成された光学基礎部品である、請求項1に記載の機能性光学部品。
【請求項15】
前記光学基礎部品は成形レンズであり、前記機能性層構造物は偏光フィルムを含み、前記ラテックス層はポリウレタンラテックス接着剤であり、前記HMAはポリウレタンHMAであり、それらは、積層された眼科用偏光レンズを共同で形成する、請求項1に記載の機能性光学部品。
【請求項16】
以下の工程:
光学基礎部品を提供する工程;
少なくとも1つの機能性層を含む機能性層構造物を提供する工程;
前記機能性層構造物の1つの表面上へラテックス接着剤層をコーティングする第一コーティング工程;
前記光学基礎部品の1つの表面上へラテックス接着剤層をコーティングする第二コーティング工程;
前記2つの乾燥したラテックス接着剤層の一方へ熱溶融性接着剤(HMA)層をコーティングする第三コーティング工程;及び
前記機能性層構造物を前記光学基礎部品の表面と接触させて、前記2つのラテックス層の間に前記第二HMAコーティング層を存在させた状態で、前記機能性層構造物を前記光学基礎部品に対してホットプレスして、高い接着力とともに光学的性質を有する三層型接着剤薄層を含む機能性光学部品を形成する工程;
を含む、機能性光学部品の製造方法。
【請求項17】
前記第二コーティング工程前に、前記方法は、以下の工程:
少なくとも苛性処理により、そして所望によりUV処理、プラズマ処理又はコロナ処理により、前記光学部品を表面処理する工程;
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第一コーティング工程は、液体ポリウレタンラテックス接着剤を0.5μm〜6μmの最終乾燥厚までスピンコートすることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第二コーティング工程は、液体ポリウレタンHMAを2μm〜20μmの最終乾燥厚までスピンコートすることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記機能性層構造物は:
光学的機能性層;
光学的構造化層;
フレネルレンズ構造物;
偏光層;
光発色性層;
ハードコート層;
トップコート層;
防曇性層;
防汚性層;
反射防止層;及び
静電気防止層
から成る群から選択される1つ以上の層を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記機能性層構造物は偏光フィルムを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記光学基礎部品は、完成品レンズ、半完成品レンズ、特殊(PAL)レンズ、無限焦点レンズ、プラノレンズ、一焦点レンズ、及び多焦点レンズから成る群から選択される熱可塑性光学基礎部品である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記光学基礎部品は、ウレタンを主成分とするプレポリマー又はエピスルフィドモノマーから形成されており、かつ完成品レンズ、半完成品レンズ、PALレンズ、無限焦点レンズ、プラノレンズ、一焦点レンズ、及び多焦点レンズから成る群から選択される光学基礎部品である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記光学基礎部品は成形レンズであり、前記機能性層構造物は偏光フィルムを含み、それらは、積層された眼科用偏光レンズを共同で形成する、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2013−509613(P2013−509613A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536778(P2012−536778)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/062923
【国際公開番号】WO2011/053329
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(504268065)エシロル アンテルナショナル(コンパーニュ ジェネラル ドプテーク) (16)
【Fターム(参考)】