説明

積層不織布、及び当該積層不織布の製造方法

【課題】肌触り及び透液性に優れる積層不織布、及び当該積層不織布を製造する方法を提供すること。
【解決手段】第1不織布から成る上層と、第2不織布から成る下層とを備える積層不織布であって、第1不織布及び第2不織布は、それぞれ、伸長性繊維から成り、第1不織布の伸長性繊維の一部が、第2不織布の伸長性繊維の一部と交絡し、上記積層不織布が、第1不織布側の、複数の凸部及び凹部を有する第1の面と、第2不織布側の第2の面とを備え、そして第1の面の凸部が、第1の面の凹部よりも高い坪量を有することを特徴とする積層不織布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層不織布、並びに当該積層不織布を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布は、吸収性物品、例えば、生理用品及び使い捨ておむつ、清掃用品、例えば、ワイパー、並びに医療用品、例えば、マスク等の製品に用いられ、これらの製品では、製品の用途、用いられる部位等に適した性能を有する不織布が採用されている。
【0003】
例えば、吸収性物品では、使用者に違和感を生じさせることなく、着用の際又は使用の際の身体の動きに合わせて伸縮することができる不織布が要求されている。また、使い捨ておむつでは、高い伸縮性を有し且つ伸長時に破断しないような強度を有すると共に、肌触り及び透液性に優れる不織布が要求されている。
これらの吸収性物品では、所望の性能を有する不織布が、製品毎に設計され、ウェブ等から製造されていることも多い。従って、製造コスト、環境保護等の観点から、これらの所望の性能を有する不織布を、例えば、市販の不織布を加工することにより簡易に製造することができることが望ましい。
【0004】
市販の不織布から製造することができ、液漏れ防止性に優れた不織布として、例えば、特許文献1には、周面が凹凸形状となっている第1のロールと、該第1のロールの凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状を周面に有する第2のロールとの噛み合わせ部に上記上層を噛み込ませて該上層を凹凸賦形し、吸引によって第1のロールにおける該周面に上記上層を凹凸賦形された状態のまま保持しつつ上記下層を重ね合わせ、該下層を、第1のロールにおける凸部上に位置する該上層と接合する吸収性物品用の表面シートの製造方法、及び当該方法により製造された表面シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−174234号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の表面シートでは、吸収した排泄物等は、その凹凸形状により、表面シートの面方向へは移動しにくい、すなわち、横漏れしにくいものの、凹部の繊維密度が高く、厚さ方向の透液性に劣る傾向がある。
また、特許文献1に記載の表面シートでは、接合部が、賦形により形成されているため、硬くなりやすく、肌触りに劣る傾向がある。
従って、本開示は、肌触り及び透液性に優れる積層不織布、及び当該積層不織布を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、第1不織布から成る上層と、第2不織布から成る下層とを備える積層不織布であって、第1不織布及び第2不織布は、それぞれ、伸長性繊維から成り、第1不織布の伸長性繊維の一部が、第2不織布の伸長性繊維の一部と交絡し、上記積層不織布が、第1不織布側の、複数の凸部及び凹部を有する第1の面と、第2不織布側の第2の面とを備え、第1の面の凸部が、第1の面の凹部よりも高い坪量を有し、そして第1の面の凸部が、第1の面の凹部よりも低い繊維密度を有することを特徴とする積層不織布により、上記課題を解決できることを見出した。
【発明の効果】
【0008】
本開示の積層不織布は、肌触り及び透液性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本開示の積層不織布の実施形態の1つを、第1の面側から見た図である。
【図2】図2は、図1に示される積層不織布1の、X−X断面における断面図である。
【図3】図3は、本開示の積層不織布の別の実施形態の断面図である。
【図4】図4は、本開示の積層不織布の別の実施形態の断面図である。
【図5】図5は、積層不織布の製造方法の実施形態の1つを説明するための図である。
【図6】図6は、ギア延伸装置の実施形態の1つを示す模式図である。
【図7】図7は、ギア延伸装置の別の実施形態を示す模式図である。
【図8】図8は、ギア延伸装置の別の実施形態を示す模式図である。
【図9】図9は、本開示の積層不織布の製造方法の実施形態の1つに用いられる流体処理装置を示す図である。
【図10】図10は、本開示の積層不織布の製造方法の別の実施形態に用いられる流体処理装置を示す図である。
【図11】図11は、不織布No.1の断面の電子顕微鏡写真である。
【図12】図12は、不織布No.2の断面の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の、積層不織布、及び当該積層不織布を製造する方法について、以下、詳細に説明する。
【0011】
[積層不織布]
図1は、本開示の積層不織布の実施形態の1つを、第1の面側から見た図である。
図1に示される積層不織布1は、第1不織布から成る上層2と、第2不織布から成る下層3とを備える。図1に示される積層不織布1では、第1不織布及び第2不織布は、それぞれ、伸長性繊維から成る。積層不織布1は、第1不織布側の、複数の凸部5及び凹部6を有する第1の面4を備える。
【0012】
図2は、図1に示される積層不織布1の、X−X断面における断面図である。図2では、積層不織布1は、第1不織布側の、複数の凸部5及び凹部6を有する第1の面4と、第2不織布側の第2の面7とを備える。第1の面4の凸部5は、第1の面4の凹部6よりも高い坪量を有する。また、図2では、第1不織布の伸長性繊維の一部が、第2不織布の伸長性繊維の一部と交絡している。
【0013】
第1不織布の伸長性繊維の一部が、第2不織布の伸長性繊維の一部と交絡させ、上層及び下層を固定することにより、上層及び下層をホットメルト等の接着剤を用いて固定した場合と比較して、透液性が阻害されない利点がある。
【0014】
上記積層不織布において、第1の面の凸部が、第1の面の凹部よりも高い坪量を有することと、第1の面の凸部が、第1の面の凹部よりも低い繊維密度を有することとにより、積層不織布が、肌触り及び透液性に優れることができる。
その理由は以下の通りである。
上記積層不織布において、第1の面の凸部が、第1の面の凹部よりも高い坪量を有することにより、第1の面の凹部は、積層不織布の厚さ方向の繊維の量が、第1の面の凸部よりも少ないため、積層不織布は、その厚さ方向の透液性に優れる。
また、上記積層不織布において、第1の面の凸部が、第1の面の凹部よりも低い繊維密度を有することにより、肌と接する頻度の多い凸部が柔らかさを有するため、積層不織布が肌触りに優れる。
【0015】
なお、第1の面の凸部及び凹部の坪量は、凸部及び凹部の一定の領域を切り出し、その質量(g)を、その面積(m2)で除することにより、算出することができる。
また、第1の面の凸部及び凹部の繊維密度は、積層不織布の断面を、電子顕微鏡等により撮影し、目視により判断することができる。
【0016】
また、本明細書において、伸長性繊維に関する「交絡」は、第1不織布の伸長性繊維の一部が、第2不織布の伸長性繊維の一部に巻き付いた状態を意味する。交絡の好ましい度合いは、本開示の積層不織布の用途等によって異なるが、例えば、上記積層不織布が吸収性物品のトップシートに用いられる場合には、第1不織布と、第2不織布とが、好ましくは約0.05〜約15N/25mmの剥離強度、そしてより好ましくは約0.1〜約15N/25mmの剥離強度により表されるような交絡度を有する。
上記剥離強度により表わされる交絡度を有することにより、上記積層不織布は、使用時に変形しやすく、肌触りに優れる。
なお、「N/25mm」は、幅25mm当たりの引張強度(N)を意味する。
【0017】
上記剥離強度は、以下のように測定することができる。
(1)引張試験機を準備し、チャック間距離:40mm、及びチャック引張速度:500mm/minにセットする。
(2)試料を、150mm×25mm(搬送方向×搬送方向と直交する直交方向)にカットする。
(3)試料の搬送端部の一方の端において、上層と、下層とを、約30mm剥離する。
(4)剥離した上層を、引張試験機の上部チャックに、深さ約10mmがチャックに挟まれるようにセットする。
(5)同様に、剥離した下層を、引張試験機の下部チャックに、深さ約10mmがチャックに挟まれるようにセットする。
(6)チャック引張速度500mm/minで、引張試験をスタートし、チャック間距離が190mmになるまで引張試験を実施する。
(7)変位150mmの間の引張強度の最大値を記録する。
(8)上記操作をさらに4回繰返し、計5回の引張強度の最大値の平均値を算出する。
上記引張試験機としては、例えば、(株)島津製作所製のオートグラフ型引張試験機 形式AG−1KNIが挙げられる。
【0018】
第1の面の凹部及び凸部のそれぞれの数密度は、本開示の積層不織布の用途等によって、それらの好ましい範囲が異なる。例えば、上記積層不織布の製法の観点から考慮すると、後述の支持体として、千鳥状に配置された、略円形の、複数の開口部を有する支持体、例えば、パンチングプレートを用いた場合には、積層不織布は、第1の面に、パンチングプレートの非開口部に相当する1つの凹部と、パンチングプレートの開口部に相当する、複数の、略円形の凸部とを有することができる。そして、パンチングプレートの構造から考えると、第1の面の凸部は、約1〜約500個/cm2の数密度で存在することができる。
また、後述の支持体として、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部を有する支持体を用いた場合には、積層不織布は、第1の面に、複数の畝状の凸部と、複数の溝状の凹部とを有し、上記畝状の凸部の数密度と、溝状の凹部の数密度とは、流体ノズルのピッチにより概ね決定され、畝状の凸部及び畝状の凹部は、約1〜約10個/cm2の数密度で存在することができる。
【0019】
本開示の積層不織布の実施形態の1つでは、図1に示すように、第1の面の、1つの凹部6の中に、複数の円形の凸部5が、千鳥型に配置されている。
上記千鳥型の例としては、例えば、60°千鳥型、角千鳥、並列型等が挙げられる。
また、本開示の積層不織布の別の実施形態では、第1の面の凸部が畝部であり、そして第1の面の凹部が溝部であり、畝部及び溝部が交互に配置されていることができる。
【0020】
図2に示される実施形態では、第1の面4の凸部の少なくとも一部が、上層2と、下層3との間に形成された空隙8を有する。
上記空隙が凸部内に存在する比率は、本開示の積層不織布の用途等によってその好ましい範囲が異なる。例えば、上記積層不織布が吸収性物品のトップシートとして用いられる実施形態では、上記凸部の個数の、好ましくは約5〜約95%、より好ましくは約10〜約90%、そしてさらに好ましくは約15〜約85%が、上記空隙を有する。上記凸部の個数の約5%以上が空隙を有することにより、耐圧縮性が向上し、使用時に凸部が潰れにくくなり、そして上記凸部の個数の約95%以下が空隙を有することにより、積層不織布が硬くなりすぎず、肌触りに優れる。
【0021】
なお、本開示の積層不織布の別の実施形態では、図3に示すように、第1の面の凸部が、上記空隙を全く有しなくともよく、そして図4に示すように、第1の面の凸部が、全て、上記空隙を有してもよい。
【0022】
本開示の積層不織布の実施形態1つでは、第1不織布が、第2不織布の最大引張強度と同一であるか、又はそれよりも弱い最大引張強度を有する。本開示の積層不織布の製造例と共に詳細に説明するが、上記最大引張強度差を有することにより、上記積層不織布が、空隙を有しやすくなる。
【0023】
第1不織布及び第2不織布は、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布、メルトブローン不織布、ナノファイバーを含む不織布に由来することができる。第1不織布及び第2不織布の組み合わせとしては、例えば、第1不織布がエアスルー不織布に由来し且つ第2不織布がスパンボンド不織布に由来する組み合わせ、第1不織布がエアスルー不織布に由来し且つ第2不織布がエアスルー不織布に由来する組み合わせが挙げられる。
【0024】
本開示の積層不織布の実施形態の1つでは、第2の面が、複数の凸部と、複数の凹部とを有することができ、そして本開示の積層不織布のさらなる実施形態では、積層不織布が、第1の面の凹部と、第2の面の凹部とを連結する、一又は複数の開孔部を有することができる。
【0025】
開孔部の形状は、本開示の積層不織布の用途等によって、それらの好ましい範囲が異なる。本開示の積層不織布が吸収性物品のトップシートに用いられる場合には、開孔部の形状は、直径約0.1〜約5.0mmの略円形であることが好ましく、そしてその開孔率は、約1〜約30%であることが好ましい。吸収時の体液、排泄物等の透過性と、吸収した体液、排泄物等の逆戻りしにくさとの観点からである。
なお、上記開孔率は、複数の開孔部を含む、積層不織布の一定の領域の画像を、その平面方向と垂直に撮影し、必要に応じて画像を拡大し、開孔部の面積を算出し、そして上記一定の領域の面積で除することにより測定することができる。
【0026】
上記開孔部は、厚さ方向の通気抵抗がほぼ0であるので、積層不織布の厚さ方向の通気性に特に優れる。また、上記開孔部は、伸長時に構造を変化させることができるので、伸長時の強度が低くなり、身体の動きに追従しやすくなる。
【0027】
本明細書において、「伸長性繊維」は、弾性限界の小さい、より正確には、積層不織布の製造時にかかる応力よりも小さな弾性限界を有し、製造時にかかる応力により塑性変形しうる繊維を意味する。上記伸長性繊維は、塑性変形することにより、細く且つ長くなる。なお、本明細書において、製造時にかかる応力により塑性変形した伸長性繊維を、「伸長された伸長性繊維」と称する場合がある。伸長された伸長性繊維の例としては、均一な径を有するもの、又は不均一な径を有する、例えば、部分的に細い部分(ネッキング部)を有するものを挙げることができる。
【0028】
なお、第1不織布及び第2不織布は、それぞれ、伸長性繊維から成るが、当該記載は、第1不織布及び第2不織布が、それぞれ、繊維種として、伸長性繊維のみを含むことを意味する。従って、第1不織布及び第2不織布は、伸縮性繊維を含まないが、各繊維同士を固定するための接着剤は含むことができる。
上記伸長性繊維の材料の例としては、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ乳酸、又はそれらの組み合わせから成る繊維が挙げられる。上記伸長性繊維は、芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維等の複合繊維であってもよい。
【0029】
上記複合繊維は、第1不織布及び/又は第2不織布の、好ましくは約50質量%以上、より好ましくは70%質量以上、そしてさらに好ましくは100質量%を構成することができる。複合繊維の量が多くなると、吸収性物品のトップシートとして用いられた場合に、着用者の体圧が加わった状態でも、第1の面の凹部及び凸部の形状、すなわち、凹凸形状が潰れにくくなり、凹部に沿った通気性が良好となる傾向がある。
【0030】
また、上記伸長性繊維は、本質的に親水性を有する繊維、例えば、天然系及び/又は半天然系の繊維であってもよい。上記伸長性繊維は、結晶性の低さ、伸度の高さ等の観点から、ポリプロピレン及びポリエチレンを含む繊維であることが好ましい。
上記伸長性繊維の繊維径は、約1〜約6dtexの範囲内にあることが好ましく、そして約5〜約25μmの範囲内にあることがより好ましい。
【0031】
上記積層不織布が吸収性物品の液透過性のトップシートに用いられる場合には、積層不織布、より具体的には、第1不織布及び第2不織布が、親水性を有する不織布であることが好ましい。親水性の排泄物(尿、汗、便等)と接触した際に、当該排泄物を不織布の表面にとどめることなく、不織布内部に透過させやすいからである。
親水性を有する不織布としては、例えば、疎水性不織布を親水剤で処理することにより製造された不織布、親水剤を練り込んだ繊維から製造された不織布、界面活性剤を塗工された不織布等が挙げられる。また、上記親水性を有する不織布としては、本質的に親水性を有する繊維、例えば、天然系及び/又は半天然系の繊維から製造された不織布を挙げることもできる。
【0032】
[積層不織布の製造方法]
次いで、本開示の積層不織布の製造方法を説明する。
図5は、積層不織布の製造方法の実施形態の1つを説明するための図である。図5には、第1ロール101、第2ロール102、積層用ロール111、加熱用ロール121、ギア延伸装置131、流体処理装置141、及び巻取りロール151が示され、これらを用いて、積層不織布を製造することができる。
【0033】
上記積層不織布の製造方法は、処理すべき第1不織布と、処理すべき第2不織布とを準備するステップを含む。
なお、本明細書において、「処理すべき第1不織布」、「処理すべき第2不織布」、及び「処理すべき積層不織布」と称する場合には、原料としての不織布、すなわち、処理前の不織布を意味し、後述の不均一延伸ステップ、流体処理ステップ等を受けた後の、「第1不織布」、「第2不織布」、及び「積層不織布」とは異なる。
【0034】
上記処理すべき第1不織布及び処理すべき第2不織布としては、上述の伸長性繊維から成る不織布であれば、特に制限されることなく、例えば、種々の公知の方法により製造された不織布、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布、メルトブローン不織布、ナノファイバーを含む不織布を挙げることができる。処理すべき第1不織布及び処理すべき第2不織布の組み合わせとしては、例えば、エアスルー不織布及びスパンボンド不織布、エアスルー不織布及びエアスルー不織布等が挙げられる。
【0035】
上記処理すべき第1不織布及び処理すべき第2不織布は、それぞれ、伸長性繊維から成り、そして上記伸長性繊維は、「積層不織布」の後で説明した繊維から選択することができ、そして伸長性繊維は、続くステップにより繊維径が細くなることを考慮して、その繊維径を選択することが好ましい。
なお、処理すべき第1不織布及び処理すべき第2不織布は、それぞれ、伸長性繊維から成るが、当該記載は、処理すべき第1不織布及び処理すべき第2不織布が、それぞれ、繊維種として、伸長性繊維のみを含むことを意味する。従って、上記処理すべき第1不織布及び処理すべき第2不織布は、伸縮性繊維を含まないが、各繊維同士を固定するための接着剤は含むことができる。
【0036】
上記伸長性繊維の繊維長に、特に制限はなく、例えば、上記伸長性繊維は、ステープルファイバ及び連続フィラメントであることができる。上記伸長性繊維として2種以上の繊維が含まれる場合には、それらの繊維の繊維長は同一でもよく、又は異なっていてもよい。
【0037】
本開示の積層不織布の製造方法は、処理すべき第1不織布を、処理すべき第2不織布の上に重ね、処理すべき積層不織布を形成するステップを含む。
上記ステップは、例えば、図5に示すように、第1ロール101から巻き出された、処理すべき第1不織布103を、第2ロール102から巻き出された、処理すべき第2不織布104の上に、積層用ロール111を通して重ねることにより実施されうる。
なお、幅が異なる不織布同士、引張強度が異なる不織布同士等を積層する場合には、製造される積層不織布にシワが発生しやすい傾向があることから、所望により、処理すべき第1不織布と、処理すべき第2不織布との間に、ホットメルト接着剤等を配置し、これらを仮固定してもよい。
【0038】
本開示の積層不織布の製造方法は、上記処理すべき積層不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布が形成されるように不均一に延伸するステップ(以下、「不均一延伸ステップ」と称する場合がある)を含む。
【0039】
上記不均一延伸ステップは、上記処理すべき積層不織布において、部分的に、(i)積層不織布内、より正確には、処理すべき第1不織布及び処理すべき第2不織布の伸長性繊維の各接合点を破壊し、固定されていた繊維を部分的にウェブ状態とし、そして/又は(ii)上記各接合点の間で、伸長された伸長性繊維を形成するために行われる。
上記伸長された伸長性繊維は、流体で処理する際に移動しやすくなるので、形成すべき積層不織布に凹凸形状を形成しやすくなる。
【0040】
さらに、上記不均一延伸ステップにおいて、後述のギア延伸を用いた場合等には、特に、高延伸領域において、(iii)伸長性繊維同士が絡み合った部分では、延伸時に繊維表面の抵抗が大きくなり、繊維が長さ方向に局所的に延伸され、くびれ部を生じる場合がある。
くびれ部は、圧力が加わった場合等に、繊維が曲がる起点となることができるので、積層不織布に変形しやすさを付与することができるが、くびれ部はランダムに存在しうるので、ある程度の潰れにくさは保持することができると考えられる。
【0041】
なお、上記不均一延伸ステップの前に、図5に示されるような加熱用ロール、又は赤外線ヒーター等により、上記処理すべき積層不織布を加熱することが好ましい上記処理すべき積層不織布を加熱することにより、上記不均一延伸ステップの際に、伸長性繊維が塑性変形しやすくなり、伸長性繊維が切断され、脱落することを防止することができる。
上記加熱用ロール等による加熱は、上記処理すべき積層不織布を構成する伸長性繊維の融点以下であり、DSC測定時に、吸熱ピークが発生し始める温度付近が好ましい。
【0042】
上記接合点としては、エアスルー不織布の場合には、熱融着点が挙げられ、スパンボンド不織布及びポイントボンド不織布の場合には熱圧着点が挙げられ、そしてスパンレース不織布の場合には繊維交絡点が挙げられる。
【0043】
本明細書において、「高延伸領域」は、伸長された伸長性繊維の伸長度が、低延伸領域よりも高くなるように延伸された領域を意味し、そして「低延伸領域」は、伸長された伸長性繊維の伸長度が、高延伸領域よりも低くなるように延伸された領域を意味し、伸長された伸長性繊維が形成されていない領域、すわなち、未延伸領域を含む。
本明細書において、「不均一に延伸する」とは、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布が形成されるように延伸することを意味し、すなわち、部位によって、伸長された伸長性繊維の伸長度が異なる積層不織布が形成されるように延伸することを意味する。
【0044】
上記不均一延伸ステップは、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布を形成することができる手段であれば、特に制限されず、任意の手段により実施することができるが、例えば、ギア延伸装置を用いて実施することができる。
ギア延伸装置は、搬送方向と直交する回転軸線を有する一対のギアロールであって、当該ギアロールのそれぞれの外周面に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転するものを含むことができ、そしてギア延伸装置のギアロールの間隙に、処理すべき積層不織布を通過させること(以下、「ギア延伸」と称する場合がある)により、上記不均一延伸ステップを行うことができる。
【0045】
図6は、ギア延伸装置の実施形態の1つを示す模式図である。図6に示されるギア延伸装置131は、一対のギアロール132及び132’を有する。ギアロール132及び132’の外周面133及び133’には、それぞれ、複数の歯134及び134’が配置されている。また、図6に示すギア延伸装置131では、ギアロール132及び132’の回転軸線は、それぞれ、処理すべき積層不織布の搬送方向MDと垂直である。さらに、複数の歯134及び134’は、それぞれ、上記回転軸線と平行に、外周面133及び133’に配置されている。
【0046】
図6に示されるギア延伸装置131では、一対のギアロール132及び132’のロール間隙に、処理すべき積層不織布135を通し、ギアロール132及び132’を通過する際に、互い噛み合うギアロール132及び132’の複数の歯134及び134’により、処理すべき積層不織布135を、三点曲げの原理で延伸し、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布136を形成する。高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布136は、搬送方向と直交する直交方向(以下、搬送方向と直交する直交方向を、単に「直交方向」と称する場合がある)に平行な高延伸領域と低延伸領域とを、搬送方向MDに交互に有する。
【0047】
処理すべき積層不織布135において、複数の歯134及び134’の先端部に接する領域では、積層不織布の生地が固定されるため、あまり又は実質的に延伸されず、低延伸領域が形成される。一方、処理すべき積層不織布135において、複数の歯134及び134’の先端部に接しない領域、すなわち、歯134の先端部と、歯134’の先端部との間の領域は、大きく延伸され、高延伸領域が形成される。
【0048】
ギア延伸はまた、図7に示されるようなギア延伸装置を用いて行うことができる。
図7は、ギア延伸装置の別の実施形態を示す模式図である。図7に示されるギア延伸装置131は、一対のギアロール132及び132’を有する。ギアロール132及び132’の外周面133及び133’には、それぞれ、複数の歯134及び134’が配置されている。また、図7に示されるギア延伸装置131では、複数の歯134及び134’が、それぞれ、ギアロール132及び132’の回転軸線と垂直に、それぞれ、外周面133及び133’に配置されている。複数の歯134及び134’をこのように回転軸線と垂直に配置することにより、搬送方向MDとそれぞれ平行な高延伸領域と低延伸領域とを、直交方向CDに交互に有する積層不織布を形成することができる。
【0049】
さらに、ギア延伸は、図8に示されるような、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して傾斜して配置されているギア延伸装置を用いて実施することができる。図8は、ギア延伸装置の別の実施形態を示す模式図である。図8に示されるギア延伸装置131は、一対のギアロール132及び132’を有し、ギアロール132及び132’の外周面133及び133’には、それぞれ、複数の歯134及び134’が配置されている。また、図8に示すギア延伸装置131では、ギアロール132及び132’の回転軸線は、それぞれ、処理すべき積層不織布の搬送方向MDと垂直である。さらに、複数の歯134及び134’は、それぞれ、回転軸線に対して一定の角度θを有するように、外周面133及び133’に配置されている。
なお、図8に示されるようなギア延伸装置では、θの角度及びギアピッチによっては、ギアロール132及び132’の外周面133及び133’に、それぞれ、1枚の歯134及び1枚の歯134’が配置されている場合もある。
【0050】
上記ギア延伸装置は、形成すべき積層不織布に所望の性能に応じて、適宜選択することができる。
また、処理すべき積層不織布を、図6〜図8に示すようなギア延伸装置を用いて、複数回、延伸することができる。
【0051】
上記ギア延伸装置において、ギアピッチは、約1〜約10mmが好ましく、そして約2〜約6mmがより好ましい。ギアピッチが約1mmを下回ると、ギアの歯が薄くなり、処理すべき積層不織布が部分的に切断される場合があり、そしてギアピッチが約10mmを上回ると、延伸倍率が低く、伸長性繊維が伸長されにくい場合がある。
ギアピッチは、図7において、符号137により表わされる、ある歯から次の歯の間の間隔を意味する。
【0052】
上記ギア延伸装置において、ギア噛込深さは、約0.5mm以上であることが好ましい。ギア噛込深さが約0.5mmを下回ると、積層不織布の延伸が不十分となり、伸長性繊維が伸長されにくい場合がある。
ギア噛込深さは、図7において、符号138により表わされる、上のギアロールの歯と、下のギアロールの歯とが重複する部分の深さを意味する。
【0053】
高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布において、ギア延伸1回当たりの延伸倍率は、約30〜約400%であることが好ましく、そして約50〜約200%であることがより好ましい。延伸倍率が約30%を下回ると、伸長性繊維が伸長されない場合があり、そして延伸倍率が約400%を上回ると、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布の強度が弱く、延長された伸長性繊維が主に脱落しやすくなり、搬送が困難になる場合があり、そして/又は伸長性繊維が破断する場合がある。
【0054】
本明細書において、「延伸倍率」は、ギアピッチをPとし、そしてギア噛込深さをDとした場合に、次の式:
【数1】

により算出される値を意味する。
【0055】
上記積層不織布の製造方法は、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布を、第1の面が支持体と接するように、支持体上に配置し、そして噴出された流体を、第2の面に吹き付けることにより処理し、積層不織布を形成するステップ(以下、「流体処理ステップ」と称する場合がある)を含む。上記流体処理ステップは、図5に示されるような、ロール状の支持体を有する流体処理装置141、図9に示されるような、平面状の支持体を有する流体処理装置141等で実施することができる。
【0056】
不均一延伸ステップにおいて形成された、高延伸領域に存在するウェブ状態の伸長性繊維及び/又は伸長された伸長性繊維の少なくとも一部は、流体が衝突する面と反対側の面(以下、「非流体衝突面」と称し、積層不織布の第1の面に相当する)では、ウェブ状態の伸長性繊維及び/又は伸長された伸長性繊維の少なくとも一部が、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布を通過する流体の流れに沿って移動し、非流体衝突面、すなわち、積層不織布の第1の面に、複数の凸部と、凹部とを形成する。
【0057】
高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布を支持するために用いられる支持体として、例えば、開口部を有する、一定厚さの支持体、例えば、あらかじめ定められた形状(例えば、円形)の開口部が、あらかじめ定められた配列(例えば、千鳥型)で配置されている支持体が挙げられ、例えば、千鳥状に配置された、略円形の、複数の開口部を有する支持体が挙げられる。
上記支持体の具体例として、例えば、金属、プラスチック等のパンチングプレート、コンベアネット、抄紙網等が挙げられる。
【0058】
上記パンチングプレートの具体例として、あらかじめ定められた形状の開孔部、例えば、略円形、円形、略正方形、正方形、略長方形、長方形等の開口部が、あらかじめ定められた配置、例えば、60°千鳥型、角千鳥及び直列型、並びに一定の模様、例えば、ハート型等の配置を有するものが挙げられる。
【0059】
図9は、本開示の積層不織布の製造方法の実施形態の1つに用いられる流体処理装置を示す図であり、図9に示される流体処理装置141は、支持体142と、流体ノズル143と、流体ノズル143の直下に設けられた、流体を受け入れるサクション部(図示せず)とを有する。支持体142は、丸穴の開口部144が、千鳥型に配置されているパンチングプレートである。
【0060】
例えば、図9に示されるような流体処理装置141を用いて流体処理ステップを実施した場合には、図1に示されるような、第1の面の複数の凸部が千鳥型に配置されている積層不織布を製造することができる。
その理由は、以下の通りである。
【0061】
流体ノズルから噴出された流体は、支持体に到達すると、開口部を通って、サクション部に流れる。その結果、支持体の開口部に、自由度の高い、伸長された伸長性繊維が集まるので、繊維が密集し、その結果、積層不織布の坪量が大きくなり、第1の面に、複数の凸部を形成する。第1の面の凸部では、積層不織布の厚さ方向に、伸長された伸長性繊維が立ち上がる傾向があるため、積層不織布に耐圧縮性が付与され、そして液引込性及び透液性が向上する。また、積層不織布は、第1の面に複数の凸部を有することにより、通気性、特に平面方向の通気性に優れ、そして接触面積が少なくなることから、肌触りに優れる。
なお、上記支持体を用いた場合には、積層不織布の第1の面において、支持体の開口部と接していない領域に、凹部が形成される。
【0062】
高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布を支持するために用いられる支持体として、さらに、突状部と窪み部とを有する支持体、例えば、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部を有する支持体が挙げられる。突状部と窪み部とを有する支持体を用いると、積層不織布の、通気性、肌触り(例えば、低接触面積)、液引込性等をさらに向上させることができる。
なお、本明細書において、「突状部」は、積層不織布の第1の面に複数の溝部を形成するために用いられる部分であり、そして「窪み部」は、積層不織布の第1の面に複数の畝部を形成するために用いられる部分である。
【0063】
図10は、本開示の積層不織布の製造方法の別の実施形態に用いられる流体処理装置を示す図である。図10に示される流体処理装置141は、支持体142の形状が異なる以外は、図9に示される流体処理装置141と同一である。
図10において、支持体142は、直交方向CDに平行な、複数の突状部145と、複数の窪み部146とを有し、そして突状部145と、窪み部146とが、搬送方向MDに交互に配置されている。支持体142では、突状部145及び窪み部146は、立方体形状を有する。
【0064】
図10では、突状部145と、窪み部146とは、直交方向CDに平行であり且つ搬送方向MDに交互に配置されているが、上記積層不織布の製造方法の別の実施形態では、例えば、突状部及び窪み部は、(i)搬送方向にそれぞれ平行な突状部及び窪み部であって、直交方向に交互に配置されているものであってもよく、又は(ii)搬送方向に対してそれぞれ傾斜を有する突状部及び窪み部であって、当該傾斜の方向と直交する方向に交互に配置されているものであってもよく、あるいは(iii)あらかじめ定められた形状(例えば、立方体形状、円柱形状、半球形状等)の突状部及び/又は窪み部が、あらかじめ定められた配列(例えば、ハート型、星型等の配列)で配置されているものであってもよい。
【0065】
突状部と窪み部とを有する支持体を用いると、突状部及び窪み部を有しない支持体を用いる場合よりも、大きな複数の凸部と、深い複数の凹部(場合によっては、一又は複数の開孔部)とを有する積層不織布を形成することができる。
なお、特許文献1に記載の表面シートでは、その製法上、厚さを厚くするとシート強度が弱くなる、量産性に劣る等の問題点があるが、本開示の積層不織布の製造方法では、支持体の形状、流体の圧力等を調節することにより、強度を保持しつつ、厚さを変化させることができる。本開示の積層不織布の製造方法はまた、簡易且つ高速で処理可能な不均一延伸ステップ及び流体処理ステップを含むことから、量産性に優れる。
【0066】
上記理由を、図10を用いて具体的に説明する。流体ノズル143から噴出された流体は、突状部145と衝突すると、窪み部146に回り込んで流れる。その結果、自由度の高い、伸長された伸長性繊維が、流体の流れに沿って窪み部146の方に移動するので、流体と突状部145とが交差する場所では、繊維の密集度が下がり、その結果、積層不織布の坪量が小さくなり、第1の面4に、複数の溝状の凹部(溝部)が形成される。流体を吹き付ける力が強い場合には、第1の面4の凹部と、第2の面7の凹部とを連結する、一又は複数の開孔部が形成される場合がある。
なお、第2の面の凹部については、後述する。
【0067】
流体と窪み部146とが交差する場所には、伸長された伸長性繊維が集まるので、繊維が密集し、その結果、積層不織布の坪量が大きくなり、第1の面4に、複数の畝状の凸部(畝部)を形成する。第1の面4における複数の凸部では、積層不織布の厚さ方向に、伸長された伸長性繊維が立ち上がる傾向があるため、積層不織布に耐圧縮性が付与され、そして液引込性及び透液性が向上する。また、図10に示される、積層不織布1は、第1の面4に複数の凸部を有することから、通気性、特に平面方向の通気性に優れ、接触面積が少なくなることから、肌触りに優れる。
【0068】
突状部と窪み部とを有する支持体を用いて形成された積層不織布は、突状部と窪み部とを有しない支持体、例えば、開口部を有する、一定厚さの支持体から形成された積層不織布と比較して、第1の面に高さの高い、複数の畝状の凸部と、深さの深い、複数の溝状の凹部とを有するので、通気性、特に平面方向の通気性、耐圧縮性、液引込性、肌触りに、特に優れる。
【0069】
また、突状部と窪み部とを有する支持体を用いて形成された積層不織布が、一又は複数の開孔部を有する場合には、厚さ方向の通気性に優れる。
なお、図10に示されるような支持体を用いて形成された積層不織布は、平面方向の通気性の中で、特に直交方向の通気性に優れる。上記積層不織布の第1の面の溝状の凹部が、気体の通路となり得るからである。
【0070】
上記突状部は、窪み部の流体透過性よりも、低い流体透過性を有することが好ましい。突状部が低い流体透過性を有することにより、突状部に衝突した流体が、窪み部の方に流れ、上記積層不織布の製造方法により形成された、積層不織布の第2の面に、より高さの高い、複数の凸部を形成することができるからである。
上記突状部の素材としては、金属、プラスチック等が挙げられる。
【0071】
あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部を有する支持体は、特に制限されないが、例えば、流体透過性の支持体として通常用いられている、金属、プラスチック製等のコンベアネット、抄紙網、パンチングプレート等の上に、あらかじめ定められた形状(例えば、立方体形状、筒状等)の部材を、一定の間隔を保持する等、あらかじめ定められた配列で配置することにより形成されうる。
【0072】
また、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部を有する支持体は、金属、プラスチック製等のコンベアネット、抄紙網、パンチングプレート等の上に、あらかじめ定められた形状、例えば、立方体形状、円柱形状、半球形状等の突状部及び/又は窪み部を、あらかじめ定められた配列、例えば、ハート型、星型等の配列で配置することにより形成することができ、例えば、開口部を有するパンチングプレート上に、半球型の形状の金属が、あらかじめ定められた配列(例えば、ハート型)で配置されたものが挙げられる。当該支持体を用いると、第1の面にあらかじめ定められたパターン(例えば、ハート型)の凹部を有する積層不織布を形成することができる。
【0073】
突状部と窪み部とを有する支持体において、それらの幅は、形成すべき積層不織布に必要な特性等によって異なるが、例えば、図10に示される支持体において、突状部の幅は、約0.5〜約10mmの範囲にあることが好ましく、窪み部の幅は、約1〜約10mmの範囲にあることが好ましい。
【0074】
上記流体処理ステップは、図5に示されるような、ロール状の支持体を有する流体処理装置でも実施することができ、そして支持体がロール状である以外は、上述の支持体と同様に、開口部を有する、一定厚さの支持体、突状部と窪み部とを有する支持体等が挙げられる。
【0075】
なお、不均一延伸ステップにおいて形成された、高延伸領域に存在するウェブ状態の伸長性繊維及び/又は伸長された伸長性繊維の少なくとも一部は、流体が衝突するエネルギーが大きい場合には、流体が衝突する面(以下、「流体衝突面」と称し、積層不織布の第2の面に相当する)において、噴出された流体が衝突し、次いで跳ね返ることに伴って、平面方向、例えば、直交方向に選り分けられるときがある。より具体的には、噴出された流体が吹き付けられた部分では、伸長された伸長性繊維が、流体が吹き付けられない部分に移動し、流体衝突面、すなわち、第2の面に複数の凸部及び凹部が形成される場合がある。
【0076】
上記流体処理ステップにおいて用いられる流体としては、空気、例えば、加熱された空気、水蒸気、例えば、飽和水蒸気若しくは過熱水蒸気、又は水、例えば、熱水が挙げられる。
上記流体を、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布に、固定された流体ノズルから吹き付けることができ、又は直交方向に往復する流体ノズルから吹き付けることができる。また、上記流体を高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布に、連続的、又は間欠的に流体ノズルから吹き付けることができる。これらを組み合わせることにより、あらかじめ定められたパターンを含む、種々のパターンを有する、複数の凸部及び凹部を、積層不織布の第1の面(及び、所望により第2の面)に形成することができる。
【0077】
上記流体は、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布の状態によって、適宜選択することができる。例えば、ギアピッチが小さく、延伸倍率が大きいものを処理する場合には、比較的低いエネルギーで、伸長された伸長性繊維を主に移動させることができるため、流体として空気又は水蒸気を選択することが好ましい。また、ギアピッチが大きく、低延伸領域が多いものを処理する場合には、各繊維の接合点が多いので、伸長された伸長性繊維を移動させるために比較的高いエネルギーが必要であるため、流体として水又は水蒸気を選択することが好ましく、そして水蒸気がより好ましい。というのは、繊維量が多い部分に水分が残存しにくく、繊維量が多い部分の接合点を破壊することが少なく、そして移動すべき部分の、伸長された伸長性繊維を簡易に移動させることができるからである。
【0078】
上記流体処理ステップでは、流体ノズルの先端と、支持体との距離は、約1〜約10mmの範囲が好ましくい。上記距離が約1mm未満では、繊維がノズルに付着し、量産性に劣る傾向があり、そして上記距離が約10mm超では、流体のエネルギーが、伸長性繊維に十分に伝達されず、伸長性繊維の伸長、及び移動が不十分となる傾向がある。
上記流体が加熱された空気である場合には、圧力:約0.01〜約0.1MPa、温度約100〜約300℃であることが好ましく、上記流体が飽和水蒸気である場合には、圧力:約0.1〜約0.8Mpa,温度:約100〜約170℃であることが好ましく、そして上記流体が過熱水蒸気である場合には、圧力:約0.1〜約0.8Mpa、温度:約100〜約300℃であることが好ましい。
【0079】
なお、流体ノズルと、支持体の開口部との位置関係によっては、図2及び図4に示すような、空隙8が形成される場合がある。例えば、流体ノズルの真下に、支持体の開口部の中心が存在する場合には、上層及び下層の不織布が、両方とも、流体により支持体の開口部に押し込まれるため、上層及び下層の間に空隙は生じにくい。一方、例えば、流体ノズルの真下に、支持体の開口部の周縁部が存在する場合には、支持体側の不織布(上層)は支持体の開口部に押し込まれやすいが、流体ノズル側の不織布(下層)は、支持体の開口部に押し込まれにくく、上層と下層との間に空隙が生じやすい。
【0080】
本開示の積層不織布は、吸収性物品、例えば、生理用品、使い捨ておむつ、失禁パッド、パンティライナー等、清掃用品、例えば、ワイパー、並びに医療用品、例えば、マスク等に有用である。本開示の積層不織布は、特に、吸収性物品のトップシートに有用である。
【実施例】
【0081】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において評価された項目の、測定条件は、以下の通りである。
【0082】
[坪量]
100mm×300mmのサイズの試料を10枚採取し、各試料の質量を測定し、次いで、各試料の質量(g)を、各試料の面積(m2)で除することにより、各試料の坪量を算出する。次いで、計10個の試料の坪量の平均値を算出し、当該平均値を坪量として採用する。
[嵩]
嵩は、(株)大栄科学精器製作所製 THICKNESS GAUGE UF−60を用いて測定する。UF−60では、試料に3gf/cm2の圧力を加え、その厚みを測定し、嵩を算出する。
【0083】
[伸縮特性]
(株)島津製作所製のオートグラフ型引張試験機 形式AG−1KNIを用いて、下記のように測定する。
−5%引張強度−
幅50mmmの試料を、チャック間距離100mmでチャックに固定し、次いで、試料を、100mm/分の速度で、試料が破断するまで伸長する。5%伸長時の、幅50mm当たりの強度を、5%引張強度として評価する。
【0084】
なお、表1において、MD5%引張強度は、処理なしの場合には、エアスルー不織布No.1又はNo.2の製造時の搬送方向に関して測定された引張強度の値であり、そして処理有り(ギア延伸+水蒸気、又は熱エンボス)の場合には、エアスルー不織布の製造時の搬送方向と、処理の際の搬送方向とを一致させ、処理後に搬送方向に関して測定された引張強度である。
【0085】
また、CD5%引張強度は、処理なしの場合には、エアスルー不織布No.1又はNo.2の製造時の直交方向に関して測定された引張強度の値であり、そして処理有り(ギア延伸+水蒸気、又は熱エンボス)の場合には、エアスルー不織布の製造時の直交方向と、処理の際の直交方向とを一致させ、処理後に直交方向に関して測定された引張強度である。
なお、表1の引張強度に関して、「N/50mm」は、幅50mm当たりの引張強度(N)を意味する。
【0086】
−最大引張強度−
幅50mmmの試料を、チャック間距離100mmでチャックに固定し、次いで、試料を、100mm/分の速度で、試料が破断するまで伸長する。測定における最大の強度を、最大引張強度として評価する。
なお、表1において、MD最大引張強度及びCD最大引張強度におけるMD及びCDは、5%引張強度と同一の意味を有する。
【0087】
−圧縮特性−
圧縮特性は、カトーテック株式会社製、自動化圧縮試験器、KES−FB3により測定する。
測定条件は、以下の通りである。
SENS :2
速度 :0.02mm/秒
ストローク:5mm/10V
加圧面積 :2cm2
取込み間隔:0.1秒
上限荷重 :50g/cm2
繰返し回数:1回
【0088】
圧縮特性は、不織布1cm2当りの圧縮エネルギーを表わすWCと、回復性を表わすRCと、圧力0.5gf/cm2における試料の厚みを表わすT0と、圧力50gf/cm2における試料の厚みを表わすTmとにより評価することができる。
なお、WCは、値が大きいほど圧縮されやすいことを意味し、そしてRCは、100%に近いほど、回復性が高いことを意味する。
【0089】
[透液性]
透液性は、LENZING社製、LISTERストライクスルー試験器を用いて評価する。評価手順は、以下の通りである。
(1)100×100mmの大きさにカットしたろ紙(ADVANTEC FILTER PAPER GRADE 2)5枚の上に、100×100mmの大きさにカットした試料を配置し、その上に通電透液プレートを配置する。
(2)ストライクスルー試験機本体に、ろ紙、試料及び通電透液プレートをセットする。
【0090】
(3)ストライクスルー試験機本体に、生理食塩水5mLを入れる。
(4)ストライクスルー試験機本体から、上記生理食塩水(室温)を、通電透液プレートの開孔部に落下させる。
(5)通電透液プレートの通電時間を記録する。
(6)測定を3回実施し、それらの平均値を、透液時間とする。
なお、試料をセットしない場合、すなわち、ろ紙5枚における透液時間は、69秒であった。
【0091】
[製造例1]
−積層不織布の製造−
第1不織布として、エアスルー不織布No.1(坪量:23g/m2,繊維:ポリエチレン/ポリエステル複合繊維,繊維径:2.2dtex)を準備し、そして第2不織布として、エアスルー不織布No.2(坪量:20g/m2,繊維:ポリエチレン/ポリエステル複合繊維,繊維径:2.2dtex)を準備し、第2不織布の上に重ね合わせ、処理すべき積層不織布No.1を形成した。
【0092】
−ギア延伸処理−
処理すべき積層不織布No.1を、50m/分の速度で巻き出し、図7に示すギア延伸装置(ギアピッチ:1.5mm,ギア噛込深さ:1.4mm,ギア先端幅:0.2mm,ギア温度:60℃)を用いて、延伸倍率111.8%で、直交方向CDにギア延伸し、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布No.1を形成した。
【0093】
−水蒸気処理−
高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布No.1を、図9に示す流体処理装置で、水蒸気処理した。具体的には、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布No.1を、丸穴60°千鳥型のパンチングプレート(φ:3.0mm、MDピッチ:6.93mm、CDピッチ:4.0mm、厚さ:0.5mm)からなる支持体の上に載せ、1.0mmの間隔で、複数のノズル(φ:0.5mm)を備える流体ノズル(噴出圧力:0.50Mpa,水蒸気温度:約149℃)に、ノズル及び支持体間距離を5.0mmに保ちながら、50m/分の速度で通すことにより、不織布No.1を得た。
不織布No.1の特性を下記表1に示す。また、不織布No.1の断面を、図11に示す。
【0094】
図11から、第1の面4の凸部5では、伸長した伸長性繊維が、厚さ方向に配向しているので、吸収性物品のトップシートに、第1の面が肌当接面となるように用いられた場合には、肌との接触面積が低下し、さらっとした触感を得ることができると考えられる。また、凸部5では、伸長した伸長性繊維が厚み方向に配向していることから、透液抵抗が小さく、透液性が高いことが示唆される。また、図11から、第1不織布と、第2不織布との界面が不明確であり、第1不織布の伸長性繊維と、第2不織布の伸長性繊維とが、交絡していることが示唆される。
【0095】
図11以外にも複数の断面写真を撮影し、確認したところ、不織布No.1において、第1の面の凸部が、第1の面の凹部よりも低い繊維密度を有することが確認できた。また、不織布No.1において、第1の面の凸部の坪量と、第1の面の凹部を測定したところ、第1の面の凸部が、第1の面の凹部よりも高い坪量を有することが確認された。
さらに、不織布No.1の剥離強度を測定したところ、0.15N/25mmであった。従って、剥離強度からも、不織布No.1の第1不織布と第2不織布とは、交絡していることが示唆された。
【0096】
[製造例2]
特開2004−174234号明細書に従って、不織布No.2を製造した。
不織布No.2の特性を表1に示す。また、不織布No.2の断面を、図12に示す。
【0097】
図12から、不織布No.2の凹部6では、2つの不織布が、熱エンボスにより、フィルム状になるまで熱圧着され、一体化されていることが分かる。また、不織布No.2では、凸部5の頂部が、比較的フラットであることが分かる。これは、凹凸賦形に用いたギアの形状を反映していると考えられる。以上より、不織布No.2は、吸収性物品のトップシートとして用いられた場合に、肌との接触面積が低下しにくく、さらっと感が得られにくくなると考えられる。また、不織布No.2では、凸部を支える繊維の量が少ないため、体圧がかかった際に、凸部がつぶれやすくなり、液透過性が低下しやすいものと考えられる。
【0098】
[製造例3及び4]
エアスルー不織布No.1及びエアスルー不織布No.2を、それぞれ、不織布No.3及びNo.4として用いた。
不織布No.3及び4の特性を表1に示す。
【0099】
[製造例5及び6]
エアスルー不織布No.1及びエアスルー不織布No.2を、製造例1に記載されるようにギア延伸処理及び水蒸気処理し、それぞれ、不織布No.5及びNo.6を得た。
不織布No.5及び6の特性を表1に示す。
【0100】
【表1】

【0101】
不織布No.1は、特開2004−174234号明細書に従って製造された不織布No.2と比較して、透液性が高いことが示された。また、不織布No.1は、不織布No.2と比較して、嵩及びWC値が高く、肌に接触した際に固さを感じさせることが少なくなることが示された。また、不織布No.1は、不織布No.2とTm値が同等であるため、体圧が加わっても、吸収体との距離を保つことができ、吸収体からの液戻りを減少させることができると考えられる。
【0102】
さらに、不織布No.1は、不織布No.2よりも、MD5%引張強度が高いため、一定の張力をかけた際の変形が少なく、搬送性に優れる。
【0103】
本開示は、以下の態様に関する。
[態様1]
第1不織布から成る上層と、第2不織布から成る下層とを備える積層不織布であって、
第1不織布及び第2不織布は、それぞれ、伸長性繊維から成り、第1不織布の伸長性繊維の一部が、第2不織布の伸長性繊維の一部と交絡し、
上記積層不織布が、第1不織布側の、複数の凸部及び凹部を有する第1の面と、第2不織布側の第2の面とを備え、
第1の面の凸部が、第1の面の凹部よりも高い坪量を有し、そして
第1の面の凸部が、第1の面の凹部よりも低い繊維密度を有する、
ことを特徴とする、上記積層不織布。
【0104】
[態様2]
第1不織布が、第2不織布の引張強度と同一であるか、又はそれよりも弱い引張強度を有する、態様1に記載の積層不織布。
[態様3]
第1の面の凸部の少なくとも一部が、上記上層と、上記下層との間に形成された空隙を有する、態様1又は2に記載の積層不織布。
【0105】
[態様4]
第1不織布がエアスルー不織布に由来し、そして第2不織布がスパンボンド不織布に由来する、態様1〜3のいずれか一つに記載の積層不織布。
[態様5]
第1不織布及び/又は第2不織布の伸長性繊維が、複数の、部分的に細くなった直径を有するくびれ部を有する、態様1〜4のいずれか一つに記載の積層不織布。
【0106】
[態様6]
第1の面の凸部が、第1の面に千鳥型に配置されている、態様1〜5のいずれか一つに記載の積層不織布。
[態様7]
第2の面が、複数の凸部と、複数の凹部とを有し、そして上記積層不織布が、第1の面の凹部と、第2の面の凹部とを連結する、一又は複数の開孔部を有する、態様1〜6のいずれか一つに記載の積層不織布。
【0107】
[態様8]
処理すべき第1不織布と、処理すべき第2不織布とを準備し、処理すべき第1不織布を、処理すべき第2不織布の上に重ねることにより、処理すべき積層不織布を形成し、上記処理すべき積層不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布が形成されるように不均一に延伸し、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布を、第1の面が支持体と接するように支持体上に配置し、そして噴出された流体を、第2の面に吹き付けることにより処理することにより形成された積層不織布。
【0108】
[態様9]
態様1〜8のいずれか一つに記載の積層不織布を製造する方法であって、
処理すべき第1不織布と、処理すべき第2不織布とを準備するステップ、
処理すべき第1不織布を、処理すべき第2不織布の上に重ね、処理すべき積層不織布を形成するステップ、
上記処理すべき積層不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布が形成されるように不均一に延伸するステップ、
上記高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布を、第1の面が支持体と接するように、支持体上に配置し、そして噴出された流体を、第2の面に吹き付けることにより処理し、積層不織布を形成するステップ、
を含む、上記方法。
【0109】
[態様10]
上記不均一に延伸するステップが、搬送方向と直交する回転軸線を有する一対のギアロールであって、当該ギアロールのそれぞれの外周面に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転するものの間隙に、上記処理すべき積層不織布を通過させることにより行われる、態様9に記載の方法。
【0110】
[態様11]
上記複数の歯が、上記回転軸線と垂直に上記外周面に配置されており、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布において、上記搬送方向とそれぞれ平行な高延伸部分と低延伸部分とを、搬送方向と直交する直交方向に交互に有する積層不織布が形成されるか、又は上記複数の歯が、上記回転軸線と平行に上記外周面に配置されており、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布において、上記搬送方向と直交する方向にそれぞれ平行な高延伸部分と低延伸部分とを、搬送方向に交互に有する積層不織布が形成される、態様10に記載の方法。
【0111】
[態様12]
上記支持体が、千鳥状に配置された、略円形の、複数の開口部を有する、態様9〜11のいずれか一つに記載の方法。
[態様13]
上記支持体が、第1の面と接する面に、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部を有する、態様9〜12のいずれか一つに記載の方法。
【0112】
[態様14]
処理すべき第1不織布及び処理すべき第2不織布が、それぞれ、エアスルー不織布及びスパンボンド不織布である、態様9〜13のいずれか一つに記載の方法。
[態様15]
上記流体が、空気、水蒸気及び水から成る群から選択される、態様9〜14のいずれか一つに記載の方法。
【符号の説明】
【0113】
1 積層不織布
2 上層
3 下層
4 第1の面
5 凸部
6 凹部
7 第2の面
8 空隙
101 第1ロール
102 第2ロール
103 処理すべき第1不織布
104 処理すべき第2不織布
111 積層用ロール
121 加熱用ロール
131 ギア延伸装置
132,132’ ギアロール
133,133’ 外周面
134,134’ 複数の歯
135 処理すべき積層不織布
136 高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布
137 ギアピッチ
138 ギア噛込深さ
141 流体処理装置
142 支持体
143 流体ノズル
144 開口部
145 突状部
146 窪み部
151 巻取りロール
MD 搬送方向
CD 直交方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1不織布から成る上層と、第2不織布から成る下層とを備える積層不織布であって、
第1不織布及び第2不織布は、それぞれ、伸長性繊維から成り、第1不織布の伸長性繊維の一部が、第2不織布の伸長性繊維の一部と交絡し、
前記積層不織布が、第1不織布側の、複数の凸部及び凹部を有する第1の面と、第2不織布側の第2の面とを備え、
第1の面の凸部が、第1の面の凹部よりも高い坪量を有し、そして
第1の面の凸部が、第1の面の凹部よりも低い繊維密度を有する、
ことを特徴とする、前記積層不織布。
【請求項2】
第1不織布が、第2不織布の引張強度と同一であるか、又はそれよりも弱い引張強度を有する、請求項1に記載の積層不織布。
【請求項3】
第1の面の凸部の少なくとも一部が、前記上層と、前記下層との間に形成された空隙を有する、請求項1又は2に記載の積層不織布。
【請求項4】
第1不織布がエアスルー不織布に由来し、そして第2不織布がスパンボンド不織布に由来する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項5】
第1不織布及び/又は第2不織布の伸長性繊維が、複数の、部分的に細くなった直径を有するくびれ部を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項6】
第1の面の凸部が、第1の面に千鳥型に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項7】
第2の面が、複数の凸部と、複数の凹部とを有し、そして前記積層不織布が、第1の面の凹部と、第2の面の凹部とを連結する、一又は複数の開孔部を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項8】
処理すべき第1不織布と、処理すべき第2不織布とを準備し、処理すべき第1不織布を、処理すべき第2不織布の上に重ねることにより、処理すべき積層不織布を形成し、前記処理すべき積層不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布が形成されるように不均一に延伸し、前記高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布を、第1の面が支持体と接するように支持体上に配置し、そして噴出された流体を、第2の面に吹き付けることにより処理することにより形成された積層不織布。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層不織布を製造する方法であって、
処理すべき第1不織布と、処理すべき第2不織布とを準備するステップ、
処理すべき第1不織布を、処理すべき第2不織布の上に重ね、処理すべき積層不織布を形成するステップ、
前記処理すべき積層不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布が形成されるように不均一に延伸するステップ、
前記高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布を、第1の面が支持体と接するように、支持体上に配置し、そして噴出された流体を、第2の面に吹き付けることにより処理し、積層不織布を形成するステップ、
を含む、前記方法。
【請求項10】
前記不均一に延伸するステップが、搬送方向と直交する回転軸線を有する一対のギアロールであって、当該ギアロールのそれぞれの外周面に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転するものの間隙に、前記処理すべき積層不織布を通過させることにより行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の歯が、前記回転軸線と垂直に前記外周面に配置されており、前記高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布において、前記搬送方向とそれぞれ平行な高延伸部分と低延伸部分とを、搬送方向と直交する直交方向に交互に有する積層不織布が形成されるか、又は前記複数の歯が、前記回転軸線と平行に前記外周面に配置されており、前記高延伸領域と低延伸領域とを有する積層不織布において、前記搬送方向と直交する方向にそれぞれ平行な高延伸部分と低延伸部分とを、搬送方向に交互に有する積層不織布が形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記支持体が、千鳥状に配置された、略円形の、複数の開口部を有する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記支持体が、第1の面と接する面に、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部を有する、請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
処理すべき第1不織布及び処理すべき第2不織布が、それぞれ、エアスルー不織布及びスパンボンド不織布である、請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記流体が、空気、水蒸気及び水から成る群から選択される、請求項9〜14のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−76185(P2013−76185A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216877(P2011−216877)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】