説明

積層体、デバイスおよび光学材料

【課題】液晶表示素子、有機EL素子、タッチパネル等、電子デバイスに用いられるプラスチックフィルム基板において、より高いバリア性能を有するガスバリア性積層体を提供する。
【解決手段】基材フィルムと、少なくとも1層の有機層とを有し、該有機層は表面に金層イオンを有することを特徴とする。有機層が高分子を主成分とし、該高分子を主成分とする膜の表面に金属イオンを有する。さらに、高分子と金属イオンが配位結合により結合していることが好ましく、高分子がキレート配位子を含むことにより、よりバリア性に優れたガスバリアフィルムを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、デバイスおよび光学材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示素子や有機EL素子(有機電界発光素子)等の分野においては、重くて割れやすいガラス基板に代わって、軽量で割れることのないプラスチックフィルム基板が採用され始めている。しかしながら、外界からのガスの遮断(封止、ガスバリア性)という観点において、一般にプラスチックフィルム基板はガラス基板と比較すると水蒸気バリア性に劣るという問題がある。水蒸気バリア性に劣る(フィルム)基板を液晶表示素子や有機EL素子に用いると、水蒸気が液晶セル内に侵入して表示欠陥が発生しやすくなる。これを解決するためにプラスチックフィルム支持体上にバリア性を有する無機層を形成することが広く行われている。具体的には特許文献1に開示されているようにプラスチックフィルム支持体上に酸化珪素を蒸着することや、特許文献2で示されているようにプラスチックフィルム支持体上に酸化アルミニウムを蒸着することが知られている。また、特許文献3ではプラスチックフィルム支持体上に酸化珪素、酸化アルミニウム、インジウムおよびスズの複合酸化物をスパッタリング法により成膜したものが知られており、該文献において、最も良好なものでは無機層1層あたり0.011g/m2/dayのガスバリア能(水蒸気透過率)を達成している。しかしながら、有機EL素子に適用するために必要と考えられるガスバリア能は0.001g/m2/day以下であり、特許文献3のガスバリア能は有機EL素子に適応させる目的では十分とは言えない。特許文献4には、無機酸化物薄膜層と変性ポリビニルアルコール樹脂層との積層体において、変性ポリビニルアルコール樹脂層に金属化合物の触媒を含有させることが記載されている。すなわち、低分子の錯体が変性ポリビニルアルコール樹脂層に添加されている。しかしながら、近年の高いバリア性能の要求を考慮すれば、性能が十分とはいえない。
【0003】
【特許文献1】特公昭53−12953号公報(第1頁〜第3頁)
【特許文献2】特開昭58−217344号公報(第1頁〜第4頁)
【特許文献1】特開2002−264274号公報
【特許文献2】特開2004−330673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、よりガスバリア性能に優れたガスバリアフィルムを得るための積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる状況のもと、本発明者が鋭意検討を行い、有機層の表面に有機層と結合した金属イオンを設けることにより、優れたガスバリア性能が達成されることを見出した。具体的には、以下の手段により、上記課題は解決された。
(1)基板フィルムと、少なくとも1層の有機層とを有し、該有機層は表面に金属イオンを有することを特徴とする、積層体。
(2)前記有機層は、高分子を主成分とし、該高分子を主成分とする膜の表面に金属イオンを有することを特徴とする、(1)に記載の積層体。
(3)前記高分子と前記金属イオンが、配位結合により結合していることを特徴とする、(2)に記載の積層体。
(4)前記有機層は、高分子を主成分とする膜を基材フィルム上に形成した後、該膜を金属塩溶液に浸漬して得られたものであることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の積層体。
(5)前記有機層は、有機層を構成する有機材料の少なくとも1種を、金属錯体化した後、基材フィルム上に成膜してなることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の積層体。
(6)前記有機層は、重合性化合物の少なくとも1種を金属錯体化した後、基材フィルム上に塗布して硬化させてなることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の積層体。
(7)前記有機層は、少なくとも1種のキレート配位子を有する重合性化合物と、少なくとも1種の他の重合性化合物とを含む重合性組成物を基材フィルム上に塗布して硬化させてなることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の積層体。
(8)前記有機層が、重合性化合物を塗布した後あるいは塗布しながら重合させ成膜することを特徴とする(6)または(7)に記載の積層体。
(9)前記キレート配位子が金属に配位した際、5員環又は6員環となりうることを特徴とする(7)または(8)に記載の積層体。
(10)前記キレート配位子のうち、金属が配位する原子がOまたはNである、(7)〜(9)のいずれか1項に記載の積層体。
(11)前記キレート配位子を有する重合性化合物の少なくとも一種が下記一般式(1)または(2)で表される、(7)〜(10)のいずれか1項に記載の積層体。
一般式(1)
【化1】

(一般式(1)中、R1およびR3は、それぞれ、水素原子または置換基であり、R1およびR3の少なくとも一方は、重合性基を含む。R2は、−(CHRc)−で表される基であり、Rcは水素原子または置換基である。)
一般式(2)
【化2】

(一般式(2)中、R4は、一つ以上の置換基であり、いずれの環に含まれていてもよく、それぞれ水素原子または置換基であり、R4の少なくとも1つは、重合性基を含む。)
(12)前記金属イオンがAlイオン、Znイオン、Gaイオン、Geイオン、Inイオン、Snイオン、Pbイオンの中から選ばれることを特徴とする(1)〜(11)のいずれか1項に記載の積層体。
(13)前記金属イオンがAlイオンであることを特徴とする(1)〜(11)のいずれか1項に記載の積層体。
(14)(1)〜(13)のいずれか1項に記載の積層体の有機層上に無機層を有することを特徴とする、ガスバリアフィルム。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、よりバリア性に優れたガスバリアフィルムを得ることが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本発明における有機EL素子とは、有機エレクトロルミネッセンス素子のことをいう。本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を含む意味で使用される。
【0008】
積層体
本発明の積層体は、基材フィルムと、少なくとも1層の有機層とを有し、該有機層は表面に金属イオンを有することを特徴とする。そして、該積層体に無機層等を積層することにより、よりバリア性に優れたガスバリアフィルムが得られる。
特に、本発明では、有機層が、高分子を主成分とし、該高分子を主成分とする膜の表面に金属イオンを有することが好ましい。ここで、高分子化合物を主成分とするとは、高分子化合物が、有機層を構成する第一の成分であり、通常は、有機層の80重量%以上が高分子化合物であることをいう。
本発明における有機層は、さらに、高分子と金属イオンが、配位結合により結合していることが好ましい。すなわち、高分子がキレート配位子を含み、かつ、金属イオンとの間で錯体を形成することが好ましい。この結果、よりバリア性に優れたガスバリアフィルムが得られる。キレート配位子としては、金属に配位した後に、5員環又は6員環を形成するものが好ましく、金属が配位する原子がOまたはNであるキレート配位子であることがより好ましい。
【0009】
本発明で用いられる金属イオンとしては、Alイオン、Znイオン、Gaイオン、Geイオン、Inイオン、Snイオン、Pbイオンが好ましく、Alイオンがより好ましい。Alイオンを採用することにより、有機層表面上に無機酸化物を成膜した際、界面にてAlO結合ができより、得られる有機層が安定なものとなる。
【0010】
本発明の積層体の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、高分子を主成分とする膜を形成した後、該膜を金属塩溶液に浸漬して製造することができる。ここで、金属塩溶液に用いる金属としては、Al、Zn、Ga、Ge、In、Sn、Pbが好ましい例として挙げられる。
【0011】
また、本発明の積層体は、有機層を構成する有機材料の少なくとも1種を、金属錯体化した後、成膜して設けることもできる。この場合、ポリマーを錯体化した後、基材フィルム上に塗布して製膜してもよく、また、重合性化合物の少なくとも1種を金属錯体化した後、基材フィルム上に塗布して硬化させてもよい。重合性化合物を用いる場合、キレート配位子を有する重合性化合物と、他の重合性化合物を含む重合性組成物を基材フィルム上に塗布して硬化させることが好ましい。
キレート配位子を有する重合性化合物は、好ましくは、下記一般式(1)〜(5)のいずれか1種以上であり、より好ましくは、一般式(1)または(2)で表される化合物のいずれか1種以上である。
【0012】
一般式(1)
【化3】

(一般式(1)中、R1およびR3は、それぞれ、水素原子または置換基であり、R1およびR3の少なくとも一方は、重合性基を含む。R2は、−(CHRc)−で表される基であり、Rcは水素原子または置換基である。)
【0013】
1およびR3における置換基としては何でもよいが、アルキル基、アリール基、アルコキシ基などが挙げられる。重合性基を含む置換基としては、ラジカル重合性基を含む置換基が挙げられる。その重合性基としてはアクリル基、メタクリル基、ビニル基が好ましく、特にアクリル基が好ましい。R2は、−(CHRc)−で表される基であり、Rcにおける置換基としては、R1およびR3で挙げた置換基と同じものも挙げられるが、Rcは水素原子が好ましい。
【0014】
一般式(2)
【化4】

(一般式(2)中、R4は、それぞれ、水素原子または置換基であり、R4の少なくとも1つは、重合性基を含む。)
【0015】
4における置換基としては、R1およびR3における置換基と同じものが挙げられる。R4のうち重合性基を含むものは、アクリル基が好ましい。R4は、OH基が結合している側のものについて、重合性基を有することが好ましい。
【0016】
一般式(3)
【化5】

(一般式(3)中、R5およびR8は、それぞれ、水素原子または置換基であり、R5およびR8の少なくとも一方は、重合性基を含む。R6は、−(CRab)−で表される基であり、RaおよびRbはそれぞれ水素原子または置換基である。R7は、水素原子または置換基である)
【0017】
5およびR8における置換基としては、R1およびR3で挙げた置換基と同じものが挙げられる。R5およびR8は、それぞれ、重合性基を含む場合、N原子には少なくとも2つ以上のメチレン鎖が直結していることが好ましく、R5およびR8のうち重合性基を含むものは、それぞれ、アクリル基が好ましい。
aおよびRbにおける置換基としては、R1およびR3で挙げた置換基と同じものが挙げられる。R6は、メチレンが好ましい。
7における置換基としては、R1およびR3で挙げた置換基と同じものが挙げられる。R7は、水素原子が好ましい。
【0018】
一般式(4)
【化6】

(一般式(4)中、R9は、それぞれ、水素原子または置換基であり、R9の少なくとも1つは、重合性基を含む。R10は、水素原子または置換基である。)
【0019】
9における置換基としては、R1およびR3における置換基と同じものが挙げられる。R9のうち重合性基を含むものは、アクリル基が好ましい。R10における置換基としては、R1およびR3で挙げた置換基と同じものが挙げられる。R10は、水素原子が好ましい。
【0020】
一般式(5)
【化7】

(一般式(5)中、R11は、それぞれ、水素原子または置換基であり、R11の少なくとも1つは、重合性基を含む。R12、R13およびR14は、それぞれ、水素原子または置換基である。)
【0021】
12およびR13における置換基としては、R1およびR3で挙げた置換基と同じものが挙げられる。R12およびR13は、それぞれ、水素原子が好ましい。
14における置換基としては、R1およびR3で挙げた置換基と同じものが挙げられる。R14は、水素原子が好ましい。
11における置換基としては、R1およびR3における置換基と同じものが挙げられる。R11のうち重合性基を含むものは、アクリル基が好ましい。
【0022】
以下に本発明で好ましく用いられるキレート配位子を有する重合性化合物を例示するが本発明はこれらに限定されるものではないことは言うまでも無い。
【0023】
【化8】

【0024】
本発明の有機層における、他の重合性化合物としては、公知の重合性化合物を広く採用することができ、ビニル化合物、(メタ)アクリレート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物が挙げられ、ビニル化合物、(メタ)アクリレート化合物が好ましく、アクリレート化合物がより好ましい。
本発明においては、一般式(1)〜(5)で表される化合物と、他の重合性化合物の割合(重量比)が、1:19〜1:1であることが好ましく、1:9〜1:4であることがより好ましい。
【0025】
(重合開始剤)
本発明における有機層は、通常、重合性化合物を含む重合性組成物を塗布硬化させて得られるが、該重合性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤を用いる場合、その含量は、重合性化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜2モル%であることがより好ましい。このような組成とすることにより、活性成分生成反応を経由する重合反応を適切に制御することができる。光重合開始剤の例としてはチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、サートマー(Sartomer)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZTなど)、同じくオリゴマー型のエザキュアKIPシリーズ等が挙げられる。
【0026】
(有機層の形成方法)
有機層の形成方法としては、特に定めるものではないが、好ましくは、重合性化合物を塗布した後あるいは塗布しながら重合させて形成する。
より具体的には、溶液塗布法や真空成膜法により形成することができる。溶液塗布法としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、或いは、米国特許第2681294号明細書に記載のホッパ−を使用するエクストル−ジョンコート法により塗布することができる。真空成膜法としては、特に制限はないが、真空蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が好ましい。本発明においてはポリマーを溶液塗布しても良いし、特開2000−323273号公報、特開2004−25732号公報に開示されているような無機物を含有するハイブリッドコーティング法を用いてもよい。
【0027】
本発明では、通常、重合性化合物を含む組成物を、光照射して硬化させるが、照射する光は、通常、高圧水銀灯もしくは低圧水銀灯による紫外線である。照射エネルギーは0.1J/cm2以上が好ましく、0.5J/cm2以上がより好ましい。重合性化合物として、(メタ)アクリレート系化合物を採用する場合、空気中の酸素によって重合阻害を受けるため、重合時の酸素濃度もしくは酸素分圧を低くすることが好ましい。窒素置換法によって重合時の酸素濃度を低下させる場合、酸素濃度は2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。減圧法により重合時の酸素分圧を低下させる場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。また、100Pa以下の減圧条件下で0.5J/cm2以上のエネルギーを照射して紫外線重合を行うのが特に好ましい。
【0028】
本発明における有機層は、平滑で、膜硬度が高いことが好ましい。有機層の平滑性は1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満であることが好ましく、0.5nm未満であることがより好ましい。モノマーの重合率は85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、92%以上であることが特に好ましい。ここでいう重合率とはモノマー混合物中の全ての重合性基のうち、反応した重合性基の比率を意味する。重合率は赤外線吸収法によって定量することができる。
【0029】
有機層の膜厚については特に限定はないが、薄すぎると膜厚の均一性を得ることが困難になるし、厚すぎると外力によりクラックを発生してバリア性が低下する。かかる観点から、有機層の厚みは50nm〜2000nmが好ましく、200nm〜1500nmがより好ましい。
また、有機層は先に記載したとおり平滑であることが好ましい。有機層の平滑性は1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満が好ましく、0.5nm未満であることがより好ましい。有機層の表面にはパーティクル等の異物、突起が無いことが要求される。このため、有機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
有機層の硬度は高いほうが好ましい。有機層の硬度が高いと、無機層が平滑に成膜されその結果としてバリア能が向上することがわかっている。有機層の硬度はナノインデンテーション法に基づく微小硬度として表すことができる。有機層の微小硬度は100N/mm以上であることが好ましく、150N/mm以上であることがより好ましい。
また、本発明における有機層は、基材フィルムの片面に設けられていても良いし、両面に設けられていても良い。
【0030】
(基材フィルム)
本発明で用いる基材フィルムは、通常、プラスチックフィルムを用いる。用いられるプラスチックフィルムは、有機層や、後述するような無機層等体を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0031】
<ガスバリアフィルム>
本発明の積層体は、ガスバリアフィルムの材料として好ましく用いることができる。以下、本発明の積層体をガスバリアフィルムとして用いる場合の態様について詳細に説明する。
【0032】
本発明の積層体をガスバリアフィルムに用いる場合、本発明の積層体の有機層の表面に無機層を設ける。本発明のバリア性積層体は、基材フィルム側から無機層、有機層の順に積層していてもよいし、有機層、無機層の順に積層していてもよい。
また、本発明におけるガスバリアフィルムは大気中の酸素、水分、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等を遮断する機能を有するバリア層を有するフィルム基板である。
ガスバリアフィルムを構成する層数に関しては特に制限はないが、典型的には2層〜30層が好ましく、3層〜20層がさらに好ましい。
ガスバリアフィルムはバリア性積層体、基材フィルム以外の構成成分(例えば、易接着層等の機能性層)を有しても良い。機能性層はバリア性積層体の上、バリア性積層体と基材フィルムの間、基材フィルム上のバリア性積層体が設置されていない側(裏面)のいずれに設置してもよい。
【0033】
本発明のガスバリアフィルムを有機EL素子等のデバイスの基板として使用する場合は、プラスチックフィルムは耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上および/または線熱膨張係数が40ppm/℃以下で耐熱性の高い透明な素材からなることが好ましい。Tgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。このような熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン(株)製 ゼオノア1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の化合物:162℃)、ポリイミド(例えば三菱ガス化学(株)ネオプリム:260℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC:特開2000−227603号公報の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC:特開2000−227603号公報の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の化合物200℃以上)が挙げられる(括弧内はTgを示す)。特に、透明性を求める場合には脂環式ポレオレフィン等を使用するのが好ましい。
【0034】
本発明のガスバリアフィルムを偏光板と組み合わせて使用する場合、ガスバリアフィルムのバリア性積層体がセルの内側に向くようにし、最も内側に(素子に隣接して)配置することが好ましい。このとき偏光板よりセルの内側にガスバリアフィルムが配置されることになるため、ガスバリアフィルムのレターデーション値が重要になる。このような態様でのガスバリアフィルムの使用形態は、レターデーション値が10nm以下の基材フィルムを用いたガスバリアフィルムと円偏光板(1/4波長板+(1/2波長板)+直線偏光板)を積層して使用するか、あるいは1/4波長板として使用可能な、レターデーション値が100nm〜180nmの基材フィルムを用いたガスバリアフィルムに直線偏光板を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0035】
レターデーションが10nm以下の基材フィルムとしてはセルローストリアセテート(富士フイルム(株):富士タック)、ポリカーボネート(帝人化成(株):ピュアエース、(株)カネカ:エルメック)、シクロオレフィンポリマー(JSR(株):アートン、日本ゼオン(株):ゼオノア)、シクロオレフィンコポリマー(三井化学(株):アペル(ペレット)、ポリプラスチック(株):トパス(ペレット))ポリアリレート(ユニチカ(株):U100(ペレット))、透明ポリイミド(三菱ガス化学(株):ネオプリム)等を挙げることができる。
また1/4波長板としては、上記のフィルムを適宜延伸することで所望のレターデーション値に調整したフィルムを用いることができる。
【0036】
本発明のガスバリアフィルムは有機EL素子等のデバイスとして利用されることから、プラスチックフィルムは透明であること、すなわち、光線透過率が通常80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。光線透過率は、JIS−K7105に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
本発明のガスバリアフィルムをディスプレイ用途に用いる場合であっても、観察側に設置しない場合などは必ずしも透明性が要求されない。したがって、このような場合は、プラスチックフィルムとして不透明な材料を用いることもできる。不透明な材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、公知の液晶ポリマーなどが挙げられる。
本発明のガスバリアフィルムに用いられるプラスチックフィルムの厚みは、用途によって適宜選択されるので特に制限がないが、典型的には1〜800μmであり、好ましくは10〜200μmである。これらのプラスチックフィルムは、透明導電層、プライマー層等の機能層を有していても良い。機能層については、特開2006−289627号公報の段落番号0036〜0038に詳しく記載されている。これら以外の機能層の例としてはマット剤層、保護層、耐溶剤層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、易接着層等が挙げられる。
【0037】
(無機層)
無機層は、通常、金属化合物からなる薄膜の層である。無機層の形成方法は、目的の薄膜を形成できる方法であればいかなる方法でも用いることができる。例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、種々の化学的気相成長法(CVD)、めっきやゾルゲル法等の液相成長法がある。本発明では、CVD法で形成することにより、特に顕著なバリア特性が得られる。無機層に含まれる成分は、上記性能を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化窒化物または金属酸化炭化物であり、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、またはTaから選ばれる1種以上の金属を含む酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物などを好ましく用いることができる。これらの中でも、Si、Al、In、Sn、Zn、Tiから選ばれる金属の酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物が好ましく、特にSiまたはAlの金属酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物が好ましい。これらは、副次的な成分として他の元素を含有してもよい。
本発明により形成される無機層の平滑性は、1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満であることが好ましく、0.5nm以下がより好ましい。無機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
【0038】
無機層の厚みに関しては特に限定されないが、1層に付き、通常、5〜500nmの範囲内であり、好ましくは10〜200nmである。無機層は複数のサブレイヤーから成る積層構造であってもよい。この場合、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、上述したとおり、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように有機層との界面が明確で無く、組成が膜厚方向で連続的に変化する層であってもよい。
【0039】
(有機層と無機層の積層)
有機層と無機層の積層は、所望の層構成に応じて有機層と無機層を順次繰り返し製膜することにより行うことができる。無機層を、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などの真空製膜法で形成する場合、有機層も前記フラッシュ蒸着法のような真空製膜法で形成することが好ましい。バリア層を製膜する間、途中で大気圧に戻すことなく、常に1000Pa以下の真空中で有機層と無機層を積層することが特に好ましい。圧力は100Pa以下であることがより好ましく、50Pa以下であることがより好ましく、20Pa以下であることがさらに好ましい。
特に、本発明は、少なくとも2層の有機層と少なくとも2層の無機層を交互に積層した場合に、高いバリア性を発揮することができる。さらに、本発明では、上述した有機層の表面に無機層を設けることにより、該有機層と該無機層の密着性が向上し、より好ましい。
【0040】
(機能層)
本発明の積層体においては、機能層を有していても良い。機能層については、特開2006−289627号公報の段落番号0036〜0038に詳しく記載されている。これら以外の機能層の例としてはマット剤層、保護層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、易接着層等が挙げられる。
【0041】
<デバイス>
本発明のガスバリアフィルムは空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく用いることができる。前記デバイスの例としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池等)等の電子デバイスを挙げることができ有機EL素子に好ましく用いられる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0043】
<モノマーの合成>
【0044】
(N,5−(8−ヒドロキシキノリニル)アクリルアミドの合成)
下記スキーム1に従い、N,8−ヒドロキシキノリニルアクリルアミドの合成を行った。5−アミノ−8−ヒドロキシキノリンニ塩酸塩(アルドリッチ社製)25gをジクロロメタン100mlに溶解させ、水100ml、炭酸水素ナトリウム40gを加え攪拌した。次にアクリル酸塩化物9.7gを加え十分攪拌し、N−ナフチルアクリルアミド画分を抽出した。これを、カラムクロマトグラフィーにより精製し18.75gのN,8−ヒドロキシキノリニルアクリルアミドを得た。同定は質量分析、H−NMRおよびIRにて行った。
【0045】
スキーム1
【化9】

【0046】
(アルミニウム錯体モノマーの合成)
下記スキーム2に従いアルミニウム錯体モノマーの合成を行った。アルゴン雰囲気下にてN,5−(8−ヒドロキシキノリニル)アクリルアミド25gをトルエン250mlに溶解させ、これを冷却しながらトリエチルアルミニウムのトルエン溶液(25重量%)を17.76ml滴下した。室温に戻し十分反応させたのち、沈殿物をろ過しトルエンで洗浄した後乾燥させてアルミニウム錯体モノマーを得た。同定は質量分析、H−NMRおよびIRにて行った。
【0047】
スキーム2
【化10】

【0048】
<ガスバリアフィルムBF−1の作製>
(有機層の作製)
ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製、テオネックスQ65FA、厚さ100μm)上に、下記化合物1と化合物2を1:1(重量比)で混合し(合計20g)、これに、紫外線重合開始剤(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名:Cibaイルガキュアー907)0.6g、2−ブタノン190gを添加して重合性組成物を調整した。該重合性組成物を液厚が5μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布した。室温にて乾燥した後、窒素置換法により酸素濃度が0.1%となったチャンバー内にて高圧水銀ランプの紫外線を照射(積算照射量約2J/cm2)して有機層を硬化させ、膜厚が1000nm±50nmの有機層を形成した(O−1)。
【0049】
化合物1
【化11】

【0050】
化合物2
【化12】

【0051】
(無機層の作製)
有機層(O−1)をスパッタリング装置に搬入し、ターゲットとしてAl、放電ガスとしてArを用いてプラズマ放電させた。Al23の化学量論比になるようプラズマ発光をモニターしながら反応ガスとしてのO2の流量を制御しAl23を100nmとなるように成膜してバリア性積層体を得た(BF−1)。
【0052】
<ガスバリアフィルムBF−2の作製>
ガスバリアフィルムBF−1の作製と同様に行って、ポリエチレンナフタレートフィルム上に有機層(O−1)を形成し、さらに、このフィルム基板を硝酸アルミ水溶液(10%)に浸漬させた後、純水にて洗浄し十分乾燥させ有機層を得た(O−2)。
さらに、ガスバリアフィルムBF−1の作製と同様に無機層を形成して、ガスバリアフィルム(BF−2)を得た。
【0053】
<ガスバリアフィルムBF−3の作製>
ガスバリアフィルムBF−1の作製において、化合物2を下記化合物3に代え、他は同様に行って有機層を形成した(O−3)。さらに、ガスバリアフィルムBF−1の作製と同様に無機層を形成して、ガスバリアフィルム(BF−3)を得た。
【0054】
化合物3
【化13】

【0055】
<ガスバリアフィルムBF−4の作製>
ガスバリアフィルムBF−2の作製において、化合物2を化合物3に代え、他は同様に行って有機層を得た(O−4)。
さらに、ガスバリアフィルムBF−2の作製と同様に無機層を形成して、ガスバリアフィルム(BF−4)を得た。
【0056】
<ガスバリアフィルムBF−5の作製>
ガスバリアフィルムBF−1の作製において、化合物2を下記化合物4に代え、他は同様に行って有機層を得た(O−5)。
さらに、ガスバリアフィルムBF−1の作製と同様に無機層を形成して、ガスバリアフィルム(BF−5)を得た。
【0057】
化合物4
【化14】

【0058】
<バリア能の測定>
G.NISATO、P.C.P.BOUTEN、P.J.SLIKKERVEERらSID Conference Record of the International Display Research Conference 1435-8頁に記載の方法を用いて、40℃・相対湿度90%における水蒸気透過率をBF−1〜5についてそれぞれ測定すると表1のようになる。
【0059】
【表1】

上記表から明らかなとおり、表面に金属イオンを設けることにより、バリア能が向上していることが確認された。数値としては、0.0001g/m2/dayの向上であるが、本発明のような高いバリア性能を有するガスバリアフィルムの分野において、バリア能の向上が見られるという点で、極めて有為である。
【0060】
<ガスバリアフィルムBF−6の作製>
ガスバリアフィルムBF−1の作製と同様に行って、有機層を形成した(O−1)。さらに、有機層(O−1)をスパッタリング装置に搬入し、ターゲットとしてSi、放電ガスとしてArを用いてプラズマ放電させた。Si34の化学量論比になるようプラズマ発光をモニターしながら反応ガスとしてN2の流量を制御しSi34を100nmとなるように成膜してガスバリアフィルムを得た(BF−6)。
【0061】
<ガスバリアフィルムBF−7の作製>
ガスバリアフィルムBF−2の作製と同様に行って、有機層を形成した(O−2)。さらに、さらに、ガスバリアフィルムBF−6の作製と同様に無機層を形成して、ガスバリアフィルム(BF−7)を得た。
【0062】
<ガスバリアフィルムBF−8の作製>
ガスバリアフィルムBF−3の作製と同様に行って、有機層を形成した(O−3)。さらに、さらに、ガスバリアフィルムBF−6の作製と同様に無機層を形成して、ガスバリアフィルム(BF−8)を得た。
【0063】
<ガスバリアフィルムBF−9の作製>
ガスバリアフィルムBF−4の作製と同様に行って、有機層を形成した(O−4)。さらに、さらに、ガスバリアフィルムBF−6の作製と同様に無機層を形成して、ガスバリアフィルム(BF−9)を得た。
【0064】
<ガスバリアフィルムBF−10の作製>
ガスバリアフィルムBF−5の作製と同様に行って、有機層を形成した(O−5)。さらに、さらに、ガスバリアフィルムBF−6の作製と同様に無機層を形成して、ガスバリアフィルム(BF−10)を得た。
【0065】
得られたガスバリアフィルムについて、上記と同様の手法により水蒸気透過率を測定した。
【0066】
【表2】

上記表から明らかなとおり、表面に金属イオンを設けることにより、バリア能が向上していることが確認された。数値としては、0.0002g/m2/dayの向上であるが、本発明のような高いバリア性能を有するガスバリアフィルムの分野において、バリア能の向上が見られるという点で、極めて有為である。
【0067】
<ガスバリアフィルムBF−11の作製>
ガスバリアフィルムBF−1の作製と同様に行って、有機層を形成した(O−1)。さらに、有機層(O−1)をCVD装置に搬入し、シランガス(SiH4)、アンモニアガス(NH3)および窒素ガス(N2)を導入した。周波数13.56MHzのRF放電電力を印加して、温度25℃、成膜圧力10Paで膜厚が100nmのSi34層(無機層)を形成して、ガスバリアフィルム(BF−11)を作製した。
【0068】
<ガスバリアフィルムBF−12の作製>
ガスバリアフィルムBF−2の作製と同様に行って、有機層を形成した(O−2)。さらに、さらに、ガスバリアフィルムBF−11の作製と同様に無機層を形成して、ガスバリアフィルム(BF−12)を得た。
【0069】
<ガスバリアフィルムBF−13の作製>
ガスバリアフィルムBF−3の作製と同様に行って、有機層を形成した(O−3)。さらに、さらに、ガスバリアフィルムBF−11の作製と同様に無機層を形成して、ガスバリアフィルム(BF−13)を得た。
【0070】
<ガスバリアフィルムBF−14の作製>
ガスバリアフィルムBF−4の作製と同様に行って、有機層を形成した(O−4)。さらに、さらに、ガスバリアフィルムBF−11の作製と同様に無機層を形成して、ガスバリアフィルム(BF−14)を得た。
【0071】
<ガスバリアフィルムBF−15の作製>
ガスバリアフィルムBF−5の作製と同様に行って、有機層を形成した(O−5)。さらに、さらに、ガスバリアフィルムBF−11の作製と同様に無機層を形成して、ガスバリアフィルム(BF−15)を得た。
【0072】
得られたガスバリアフィルムについて、上記と同様の手法により水蒸気透過率を測定した。
【0073】
【表3】

上記表から明らかなとおり、表面に金属イオンを設けることにより、バリア能が向上していることが確認された。数値としては、0.0001〜0.0002g/m2/dayの向上であるが、本発明のような高いバリア性能を有するガスバリアフィルムの分野において、バリア能の向上が見られるという点で、極めて有為である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板フィルムと、少なくとも1層の有機層とを有し、該有機層は表面に金属イオンを有することを特徴とする、積層体。
【請求項2】
前記有機層は、高分子を主成分とし、該高分子を主成分とする膜の表面に金属イオンを有することを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記高分子と前記金属イオンが、配位結合により結合していることを特徴とする、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記有機層は、高分子を主成分とする膜を基材フィルム上に形成した後、該膜を金属塩溶液に浸漬して得られたものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項5】
前記有機層は、有機層を構成する有機材料の少なくとも1種を、金属錯体化した後、基材フィルム上に成膜してなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項6】
前記有機層は、重合性化合物の少なくとも1種を金属錯体化した後、基材フィルム上に塗布して硬化させてなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項7】
前記有機層は、少なくとも1種のキレート配位子を有する重合性化合物と、少なくとも1種の他の重合性化合物とを含む重合性組成物を基材フィルム上に塗布して硬化させてなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項8】
前記有機層が、重合性化合物を塗布した後あるいは塗布しながら重合させ成膜することを特徴とする請求項6または7に記載の積層体。
【請求項9】
前記キレート配位子が金属に配位した際、5員環又は6員環となりうることを特徴とする請求項7または8に記載の積層体。
【請求項10】
前記キレート配位子のうち、金属が配位する原子がOまたはNである、請求項7〜9のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項11】
前記キレート配位子を有する重合性化合物の少なくとも一種が下記一般式(1)または(2)で表される、請求項7〜10のいずれか1項に記載の積層体。
一般式(1)
【化1】

(一般式(1)中、R1およびR3は、それぞれ、水素原子または置換基であり、R1およびR3の少なくとも一方は、重合性基を含む。R2は、−(CHRc)−で表される基であり、Rcは水素原子または置換基である。)
一般式(2)
【化2】

(一般式(2)中、R4は、一つ以上の置換基であり、いずれの環に含まれていてもよく、それぞれ水素原子または置換基であり、R4の少なくとも1つは、重合性基を含む。)
【請求項12】
前記金属イオンがAlイオン、Znイオン、Gaイオン、Geイオン、Inイオン、Snイオン、Pbイオンの中から選ばれることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項13】
前記金属イオンがAlイオンであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の積層体の有機層上に無機層を有することを特徴とする、ガスバリアフィルム。

【公開番号】特開2009−297965(P2009−297965A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153280(P2008−153280)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】