説明

積層体およびその製造方法

【課題】高いコントラストで表示可能であり且つ効率よく生産可能な光学素子を提供する。
【解決手段】幅方向に配列した複数の溝から各々が成る2以上の溝構造が設けられた反射面を有し、前記2以上の溝構造は溝の長さ方向が互いに異なり、前記2以上の溝構造の各々は、波長がλの自然光を照射した場合に、正反射光として、電界ベクトルの振動方向が前記溝の長さ方向に対して平行な第1の直線偏光を、電界ベクトルの振動方向が前記第1の直線偏光の電界ベクトルの振動方向に対して垂直な第2の直線偏光と比較して、より高い強度で射出する偏光層と、前記偏光層と向き合い、前記2以上の溝構造の全ての前記溝の長さ方向に対して斜めの光学軸を有する複屈折性の位相差層とを含む積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、偽造防止効果、装飾効果及び/又は美的効果を提供する表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカード及び紙幣などの物品には、その偽造を防止することなどを目的として、特殊な視覚効果を有した光学素子が貼り付けられている。また、同様の目的で、物品を包装する包装体に光学素子を貼り付けることがある。さらに、装飾効果や美的効果を狙って、このような光学素子が物品に貼り付けられることがある。
【0003】
このような例として、特許文献1または2に記載される光学素子が存在する。これらの光学素子では、互いに異なる偏光を生じさせる2つの偏光子が潜像を形成している。これらの潜像は、別の偏光子を介して観察したときに高コントラスト比の像として視認可能となる。しかしながら、これらの光学素子では直線偏光が利用されており、最適な表示のためには、検証器としての偏光フィルムを光学素子に対して一定の角度に維持する必要があり、操作が煩雑となる。特に、光学素子を例えばステッカーとして物品の立体的な部位に貼り付ける場合、検証器に対する角度が部位によって異なるため、像全体を高いコントラストで表示させることは困難となる。
【0004】
一方、特許文献3には、視認可能な観察角度の範囲を広くすることを課題する、円偏光子を利用した光学素子が記載されている。しかし、この光学素子では、複屈折性層を遅相軸が互いに異なる2つの部分に作りわける必要があるため、効率良く生産することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−183287号公報
【特許文献2】特表2009−535670号公報
【特許文献3】特開2008−139507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高いコントラストで表示可能であり且つ効率よく生産可能な光学素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、幅方向に配列した複数の溝から各々が成る2以上の溝構造が設けられた反射面を有し、前記2以上の溝構造は溝の長さ方向が互いに異なり、前記2以上の溝構造の各々は、波長がλの自然光を照射した場合に、正反射光として、電界ベクトルの振動方向が前記溝の長さ方向に対して平行な第1の直線偏光を、電界ベクトルの振動方向が前記第1の直線偏光の電界ベクトルの振動方向に対して垂直な第2の直線偏光と比較して、より高い強度で射出する偏光層と、前記偏光層と向き合い、前記2以上の溝構造の全ての前記溝の長さ方向に対して斜めの光学軸を有する複屈折性の位相差層とを含む積層体が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、高いコントラストで表示可能であり且つ効率よく生産可能な光学素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一態様に係る積層体を概略的に示す斜視図。
【図2】本発明の一態様に係る積層体の溝構造を概略的に示す斜視図。
【図3】溝の長さ方向と射出される直線偏光との関係を説明する斜視図。
【図4】図1に示す積層体が保持する潜像を、右円偏光フィルムを用いて可視化する方法の一例を概略的に示す図。
【図5】図1に示す積層体が保持する潜像を、左円偏光フィルムを用いて可視化する方法の一例を概略的に示す図。
【図6】矩形波状の溝構造の断面を示す図。
【図7】中間形状の溝構造の断面を示す図。
【図8】正弦波状の溝構造の断面を示す図。
【図9】シミュレーションの設定を示す図。
【図10】シミュレーションの結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、全ての図面を通じて同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
(積層体)
図1に、本発明の一態様に係る積層体1を概略的に示す。図1によれば、積層体1は、偏光層2およびそれに向かい合った位相差層3を含んでいる。積層体1の前面、すなわち表示面は位相差層3側の面であり、積層体1の背面は偏光層2側の面である。なお、図1および後述する図2では、位相差層3を破線で表して、偏光層2を視認できるように表示している。
【0012】
偏光層2は、第1の溝構造4および第2の溝構造5が設けられた反射面を含んでいる。ここでは、偏光層2は、樹脂層と、その一方の主面を被覆した反射層とを含んでおり、先の反射面は反射層の表面である。
【0013】
樹脂層は、表面に溝構造4及び5に対応したレリーフ構造が設けられた層である。樹脂層の材料は、レリーフ構造が形成できるものであれば特に限定されない。樹脂層は、例えば、紫外線硬化型樹脂から形成されているか、または、熱可塑性樹脂からなる。
【0014】
反射層は、樹脂層のレリーフ構造が設けられた主面を被覆している。反射層は、例えば、アルミニウムなどの金属またはアルミニウム合金などの合金からなる金属材料層である。金属材料層は、例えば、蒸着法などの気相堆積法によって形成することができる。
【0015】
反射層の表面には、透明樹脂層のレリーフ構造に対応したレリーフ構造が設けられている。このレリーフ構造の一部が溝構造4に相当し、残りが溝構造5に相当している。
【0016】
図2に、第1の溝構造4および第2の溝構造5の詳細を示す。図2は、これらの溝構造を拡大して示した斜視図であり、特に紙面手前側の面は、図1の積層体1をI−I線に沿って切断した断面に対応している。偏光層2には、第1の溝構造4および第2の溝構造5が形成されている。図2では、第2の溝構造5が、2つの第1の溝構造4に挟まれるように配置されている。
【0017】
溝構造4および5の各々は、幅方向に配列した複数の溝から成る。溝構造4および5の各々において、溝は、それらの長さ方向が略平行になるように配列している。図2によれば、第1の溝構造4の溝の長さ方向と第2の溝構造5の溝の長さ方向とは直交している。
【0018】
図2によれば、溝は、ほぼ一定の間隔で配列し、ほぼ一定の深さを有している。溝構造の溝の深さは、例えば100〜500nmとすることができる。また、隣り合った溝の中心線間距離の平均は、例えば500nm以下とすることができる。好ましくは、溝の深さを300nm、間隔を300nmとすることができる。なお、隣り合った溝の中心線間距離に下限値はないが、製造の容易さを考慮すると、通常、この中心線間距離は150nm以上である。
【0019】
第1の溝構造4および第2の溝構造5は、偏光分離機能を有するように設計されている。ここにいう偏光分離機能とは、端的には、自然光として可視域内の少なくとも一部の波長範囲内の光を照射したときに、反射光として直線偏光又は自然光に直線偏光が混ざってなる部分偏光を射出する機能である。特に、第1の溝構造4および第2の溝構造5は、溝の長さ方向に依存した偏光分離機能を示す。
【0020】
溝構造の偏光分離機能について、図3を用いて更に説明する。図3には、上記の溝構造が設けられた反射面100上の点Aに向けて斜め方向から自然光200を照射したときに、反射面100が正反射光201を射出する様子を描いている。
【0021】
なお、図3において、反射面100上の線分は、溝構造4または5の溝を模式的に表しており、それら溝の1つを線分CDで表している。点Bは、光源と点Aとを結ぶ線分上の一点であり、点Hは、点Bから反射面100に下ろした垂線の足である。そして、点Eは、点Aを通り、正反射光201の進行方向に平行な直線上の一点である。θは、線分AHと線分CDとが成す角度を表しており、ここでは90°である。平面101は、線分AEに平行であり且つ反射面100に垂直な平面である。そして、平面102は、線分AEに平行であり且つ平面101に垂直な平面である。
【0022】
例えば、反射面100に設けられた溝構造に対して自然光200を上記のように照射すると、溝構造は反射光201を射出する。反射光201は、電界ベクトルの振動方向が平面102に対して平行な第1直線偏光203と、電界ベクトルの振動方向が平面101に対して垂直な第2直線偏光202とを含んでいる。第1直線偏光203は、第2直線偏光202と比較して強度がより高い。
【0023】
すなわち、溝構造4および5の各々は、自然光201を照射すると、その反射光202として、電界ベクトルの振動方向が溝の長さ方向に平行な直線偏光203を射出するか、または、そのような直線偏光203と、強度がより低く、電界ベクトルの振動方向が溝の長さ方向に垂直な直線偏光202とからなる部分偏光を射出する。このように、溝構造は、波長がλの自然光を照射した場合に、正反射光として、電界ベクトルの振動方向が溝の長さ方向に対して平行な第1の直線偏光を、電界ベクトルの振動方向が第1の直線偏光の電界ベクトルの振動方向に対して垂直な第2の直線偏光と比較して、より高い強度で射出する。
【0024】
位相差層3は、偏光層2の反射面と向き合っている。位相差層3は、複屈折性の層であり、その主面に平行な光学軸を有している。位相差層3は、その全体に亘って略均一な光学的性質を有している。
【0025】
位相差層3は、樹脂層と、重合または架橋させた液晶材料からなる液晶層とを含んでいる。樹脂層は、その主面に平行な光学軸を有している。液晶層は、樹脂層の光学軸に平行な光学軸を有している。樹脂層は、液晶層を間に挟んで、偏光層2の反射面と向き合っている。
【0026】
位相差層3は、ここでは四分の一波長板である。位相差層3は、波長がλの自然光を入射させたときに、電界ベクトルの振動方向が遅相軸に対して平行な直線偏光を、電界ベクトルの振動方向が遅相軸に対して垂直な直線偏光に対してλ/4だけ遅延させて透過させる。このため、位相差層3に直線偏光を透過させると、その偏光面が遅相軸に対して斜めである場合、位相差層3は、透過光として円偏光または楕円偏光を射出する。なお、ここでは、ある直線偏光の「偏光面」は、その直線偏光の進行方向と電界ベクトルの振動方向とに対して平行な平面であるとする。
【0027】
図2による積層体1では、位相差層3の遅相軸、すなわち光学軸が、第1の溝構造4の溝の長さ方向および第2の溝構造5の溝の長さ方向に対してそれぞれ+45°および−45°となるように、位相差層3が設けられている。すなわち、溝構造4の溝の長さ方向は、位相差層3側から見たときに、位相差層3の遅相軸に対して反時計回りに45°の角度を成している。一方、溝構造5の溝の長さ方向は、位相差層3側から見たときに、位相差層3の遅相軸に対して時計回りに45°の角度を成している。
【0028】
この積層体1の前面を白色光で照明し、反射光を肉眼で観察した場合、溝構造4に対応した領域と溝構造4に対応した領域とは、同じ色を表示するかまたは異なる構造色を表示する。ここでは、一例として、それら領域は、同じ色を表示し、互いからの識別は不可能または困難であるとする。
【0029】
そして、この積層体1の前面に自然光として白色光を照射し、その反射光を、円偏光子を介して観察した場合、溝構造4に対応した領域および溝構造5に対応した領域の一方が明るく見え且つ他方が暗く見える。そのため、図1に示されるように、第2の溝構造5による「T」という像を高いコントラストで視認することができる。すなわち、円偏光子を使用することにより、潜像を可視化することができる。
【0030】
さらに、円偏光子を積層体1に対して回転させても、高いコントラストを維持したまま像を視認することができる。また、円偏光子として右円偏光子を使用した場合と左円偏光子を使用した場合とで明暗が逆になるため、それぞれ異なる像を視認することができる。なお、円偏光子としては、例えば円偏光フィルムを用いることができる。
【0031】
(原理)
図4および5により、円偏光子を用いてコントラストの高い像を可視化できる原理および右円偏光子と左円偏光子とを使い分けることで異なる像を可視化できる原理を説明する。
【0032】
図4に、本発明の一態様に係る積層体が保持する潜像を、右円偏光フィルムを用いて可視化する方法の一例を概略的に示す。図4上段には、積層体に対して自然光を照射する様子が、中段および下段には、その反射した光が円偏光フィルムを通って観察者の肉眼に到達する様子が示されている。なお、この自然光の波長はλとする。また、ここでは、説明を簡略化するため、溝構造4及び5の各々は、反射光として完全偏光を射出することとする。
【0033】
上段に示されるように、自然光はあらゆる光の集合であるため、位相差層3を透過しても自然光全体としてはなんら変化を生じることなく偏光層2に到達する。
【0034】
中段に示されるように、偏光層2の第1の溝構造4に到達した自然光は、溝構造の有する偏光分離機能により直線偏光として反射される。次に、この直線偏光は、位相差層3に入射する。位相差層3は、この直線偏光のうち、電界ベクトルの振動方向が遅相軸に平行な直線偏光を、電界ベクトルの振動方向が遅相軸に垂直な直線偏光に対してλ/4だけ遅延させる。その結果、先の直線変更は、右円偏光へと変換される。
【0035】
この右円偏光は、次に円偏光フィルムへと進む。右円偏光フィルムは、四分の一波長板6と直線偏光板7とが、前者の光学軸と後者の透過軸とが45°の角度を成すように積層されたものである。右円偏光は、まず四分の一波長板6に入射する。四分の一波長板6は、右円偏光のうち、電界ベクトルの振動方向が遅相軸に平行な直線偏光を、電界ベクトルの振動方向が遅相軸に垂直な直線偏光に対してλ/4だけ遅延させる。その結果、先の右円偏光は、直線偏光へと変換される。なお、この直線偏光の偏光面は、第1の溝構造4によって反射された直後の直線偏光の偏光面に対して90°回転している。この直線偏光は、次に直線偏光板7に入射する。直線偏光は、その偏光面が直線偏光板7の透過軸に平行であるため、直線偏光板7を透過することができる。透過した直線偏光は、最終的に観察者の眼に到達する。
【0036】
一方、下段に示されるように、第2の溝構造5にて入射した自然光は、第1の溝構造4にて反射された光と同様に直線偏光として反射される。但し、この直線偏光の偏光面は、第1の溝構造4によって反射された直線偏光の偏光面に対して90°回転している。この直線偏光は、位相差層3を透過することにより左円偏光と左円偏光に変換される。この左円偏光は、その後、右円偏光フィルムの四分の一波長板6を通過し、直線偏光へと変換される。この直線偏光は、その偏光面が直線偏光板7の透過軸と直交するため、直線偏光板7を透過することができない。結果として、溝構造5からの反射光は、観察者の眼に到達できない。
【0037】
以上のことから、図4の場合、観察者は、第1の溝構造4の領域について明るく、第2の溝構造5の領域について暗く視認することになる。
【0038】
上記の通り、溝構造4及び5によって反射された光は、何れも位相差層3を透過することにより円偏光となる。このことは、積層体1と円偏光フィルムとを平行に向かい合わせた場合、その平行な状態を維持したまま積層体1または円偏光フィルムを回転させたとしても、使用者の眼に到達する光に変化が生じないことを意味する。すなわち、高いコントラストを維持できることを意味する。
【0039】
次に、図5に基づいて、左円偏光フィルムを介して見たときに、右円偏光フィルムの場合とは異なる像が見える原理を説明する。図4と図5とは、円偏光フィルムの構成が異なっている。すなわち、図4の円偏光フィルム4では、直線偏光板7側から見たときに、四分の一波長板6の遅相軸は、直線偏光板7の透過軸に対して反時計回りに45°の角度を成している。そして、図5の円偏光フィルム4では、直線偏光板7側から見たときに、四分の一波長板6の遅相軸は、直線偏光板7の透過軸に対して時計回りに45°の角度を成している。なお、図5の積層体1は、図4の積層体1と同一である。
【0040】
図5の積層体1は、自然光を照射した場合に、図4の積層体1と同様に、溝構造4に対応した領域において右円偏光を射出し、溝構造5に対応した領域において左円偏光を射出する。
【0041】
四分の一波長板6は、積層体1のうち溝構造4に対応した領域が射出した右円偏光を、偏光面が溝構造4の溝の長さ方向に平行な直線偏光へと変換する。この直線偏光は、その偏光面が直線偏光板7の透過軸に対して平行であるので、直線偏光板7を透過する。したがって、積層体1の溝構造4に対応した領域は明るく見える。
【0042】
一方、四分の一波長板6は、積層体1のうち溝構造5に対応した領域が射出した左円偏光を、偏光面が溝構造5の溝の長さ方向に平行な直線偏光へと変換する。この直線偏光は、その偏光面が直線偏光板7の透過軸に対して直交しているので、直線偏光板7によって吸収される。したがって、積層体1の溝構造5に対応した領域は暗く見える。
【0043】
このように、図5の場合、観察者は、第1の溝構造4の領域を暗く、第2の溝構造5の領域を明るく視認することになる。すなわち、図4の場合に視認される像に対して明暗が逆転した像を視認することになる。
【0044】
(変形例)
積層体1には、様々な変形が可能である。以下に、変形例を説明する。
【0045】
偏光層2の反射面には、溝の長さ方向が異なる3以上の溝構造を設けることができる。これにより、円偏光子を介して観察したときに、積層体1に階調画像を表示させることが可能となる。
【0046】
図1では、第2の溝構造5が文字「T」に対応したパターンを有している領域に設けられ、第1の溝構造4がその周囲に設けられている。すなわち、これら溝構造の各々は、連続した1つの領域に設けられている。溝構造4および5の少なくとも一方は、互いから離間した複数の領域に設けられていてもよい。例えば、偏光層2の反射面に、文字「T」、「O」および「P」に対応したパターンを有し且つ互いから離間した領域を定め、これら領域に第2の溝構造5を設け、残りの領域に第1の溝構造4を設けてもよい。
【0047】
また、図1の積層体1では、第2の溝構造5によって文字「T」を表示し、第1の溝構造4によって文字「T」の背景を表示する構成を採用している。その代わりに、積層体1には、溝構造4及び5に対応した領域の各々が文字等を表示する構成を採用してもよい。この場合、典型的には、偏光層2の反射面は、溝構造4が設けられた領域と溝構造5が設けられた領域とに加え、他の領域を含むこととなる。この追加の領域は、平坦であってもよく、溝構造4および5とは溝の長さ方向が異なる1つ以上の溝構造を含んでいてもよい。
【0048】
積層体1には、立体画像を表示する構成を採用してもよい。例えば、第1の溝構造4および第2の溝構造5によって、それぞれ異なる視差画像を偏光層2上に形成する。この場合、使用者は、例えば左右のフレームに右円偏光フィルムおよび左円偏光フィルムがそれぞれ入ったメガネを装着することで、右眼と左眼とで異なる視差画像を視認することにより、立体像を認識することができる。
【0049】
図2に示される溝構造では、溝の各々は、溝構造が設けられた領域の端から端まで長さ方向に連続している。すなわち、溝は端から端まで一定の深さを維持している。溝の少なくとも1つは、溝構造が設けられた領域の長さよりも短くてもよい。例えば、溝は、長さ方向が互いにほぼ平行になるように二次元的に配置してもよい。
【0050】
偏光層2の主面に対して垂直な方向から見たときの溝の形状は、矩形であってもよく、長円形であってもよく、楕円形であってもよい。
【0051】
溝構造には、構造色を表示する構成を採用してもよい。
例えば、溝構造には、回折格子の機能を与えることができる。例えば、溝を、可視域の最短波長よりも短いピッチでまたは400nm以下のピッチで幅方向に規則的に配置してもよい。この場合、溝の長さ方向に垂直であり且つ溝構造を含む面に対して傾いた方向から溝構造を白色光で照明すると、溝構造は、正反射光を観察可能な角度範囲内には回折光を射出せず、正反射光を観察不可能な角度範囲内に回折光を射出する。具体的には、表示面の法線の角度を0°として、照明方向を含む角度範囲を正の角度範囲とした場合、この溝構造は、負の角度範囲内には回折光を射出せず、正の角度範囲内に回折光を射出する。すなわち、この場合、溝構造は、通常の観察条件のもとでは無彩色、例えば灰色乃至暗灰色を表示し、特殊な観察条件のもとで分光色、例えば青味がかった分光色を表示する。
【0052】
また、溝構造には、隣り合った溝の間に位置した面(上面)が反射した光と溝の底面が反射した光との間の弱め合う干渉に起因して混色を表示する構成を採用してもよい。例えば、溝の長さ方向に対して垂直な断面の形状が略矩形波状の溝構造において、先の上面および底面を互いに平行に及び平滑に形成すると、形状精度が十分に高ければ、それら面による光の散乱を殆ど生じることなしに、上面からの反射光と底面からの反射光との間で干渉を生じさせることができる。そして、溝の深さのばらつきを十分に小さくすることができれば、溝の深さを適宜設定すること、例えば溝の深さを100nmとすることにより、上面からの反射光及び底面からの反射光のうち、可視域内の特定の波長を有している光成分に、弱め合う干渉を生じさせることができる。したがって、溝構造に上記の構成を採用した積層体1は、白色光で照明した場合、可視域内の一部の波長領域内の光の強度が弱められた反射光を射出する。すなわち、かかる積層体1は、混色を表示する。
【0053】
積層体1には、分光色を表示する構成と混色を表示する構成との一方を採用してもよく、双方を採用してもよい。例えば、積層体1には、青味がかった分光色を表示する構成と混色を表示する構成との双方を採用することができる。このような積層体1の溝構造4又は5に対応した領域を、その溝の長さ方向に対して垂直な方向から観察した場合、先の領域は、観察方向が表示面の法線に対して成す角度が小さいときには混色のみを表示し、上記の特殊な観察条件のもとで青味がかった分光色のみを表示し得る。また、そのような積層体1の溝構造4又は5に対応した領域を、その溝の幅方向に対して垂直な方向から観察した場合、先の領域は、観察方向に拘らず混色も分光色も表示しない。
【0054】
このように、溝構造4又は5に構造色を表示する構成を採用すると、肉眼で観察した場合に複雑な視覚効果を提供することができる。したがって、肉眼で観察した場合と円偏光子を介して観察した場合とで、異なる視覚効果を提供することができる。
【0055】
図2によれば、位相差層3は、偏光層2の大きさに一致するように積層されている。しかしながら、位相差層3と偏光層2との大きさを対応させる必要はなく、適宜設定することができる。例えば、偏光層2は、位相差層3と比較してより小さな寸法を有していてもよい。
【0056】
また、偏光層2および位相差層3は、位相差層3が偏光層2の反射層側の面と向き合うように配置する代わりに、位相差層3が偏光層2の樹脂層側の面と向き合うように配置してもよい。なお、この場合、偏光層2の反射面は、樹脂層と反射層との界面である。
【0057】
位相差層3は、これに波長がλの自然光を入射させたときに透過光として円偏光又は楕円偏光を射出するものであれば、電界ベクトルの振動方向が遅相軸に対して平行な直線偏光と、電界ベクトルの振動方向が遅相軸に対して垂直な直線偏光とに与える位相差はλ/4でなくてもよい。ただし、典型的には、位相差層3は、可視域内のいずれかの波長を有している光に対して四分の一波長板としての役割を果たす。
【0058】
位相差層3は、延伸した樹脂層が液晶層と偏光層2との間に介在するように偏光層2の反射面と向き合っていてもよい。また、位相差層3からは、延伸した樹脂層及び液晶層の一方を省略してもよい。
【0059】
積層体1は、その背面側に粘着層をさらに含んでいてもよい。すなわち、積層体1は、粘着ラベルであってもよい。この場合、積層体1は、粘着層1を被覆した剥離紙を更に含んでいてもよい。
【0060】
(用途)
積層体1は、紙幣、商品券、パスポート等の真偽判定に利用する表示体として使用することができる。すなわち、真正品としての物品に積層体1を支持させておく。例えば、真正品としての物品に積層体1を貼り付けておく。そして、真正品であるか否かが不明の物品に積層体1の如く見えるラベルが存在していたときには、このラベルを、検証具である円偏光子を介して観察する。この場合、例えば、円偏光子を使用して潜像が可視化し且つ所定の像を視認できれば真正品と判断され、視認できなければ偽造品と判断される。さらに、右円偏光子および左円偏光子の両方を使用することで、それぞれに対応した所定の像が視認できるか否かを判断することにより、真偽判定の精度を向上させることもできる。
【0061】
また、積層体1は、物品の装飾のために使用することができる。すなわち、積層体1は、このような目的で、物品自体またはこれを包装している包装体に支持させてもよい。あるいは、積層体1は、玩具または教材として使用することができる。これらの場合、典型的には、積層体1は、円偏光子または先のメガネと組み合わせてなるキットとして流通させる。
【0062】
(製造方法)
積層体1は、一般的な方法を組み合わせることにより製造することができる。例えば、積層体1は、溝構造を設けた偏光層2と位相差層3とを貼り合せることにより得られる。あるいは、積層体1は、溝構造を設けた偏光層2上に位相差層3を形成することにより得られる。あるいは、積層体1は、位相差層3上に、溝構造を設けた偏光層2を形成することにより得られる。
【0063】
偏光層2は、例えば、以下の方法により形成する。まず、下地上に紫外線硬化型樹脂を塗布する。次に、この塗膜に版を押し当て、この状態で塗膜に紫外線を照射する。塗膜の硬化後、塗膜を版から剥離して樹脂層を得る。この版には、溝構造4および5に対応したレリーフ構造が設けられている。その後、樹脂層上に、例えば気相堆積法によって反射層を形成する。以上のようにして、偏光層2を得る。
【0064】
あるいは、偏光層2は、以下の方法によって形成する。まず、熱可塑性樹脂からなる樹脂層を準備する。次に、この樹脂層に、その軟化点以上に加熱した版を押し当てる。この版には、溝構造4および5に対応したレリーフ構造が設けられている。軟化点未満に冷却した後、樹脂層を版から剥離する。その後、樹脂層上に、例えば気相堆積法によって反射層を形成する。以上のようにして、偏光層2を得る。
【0065】
偏光層2は、位相差層3上に形成してもよい。あるいは、偏光層2は、偏光層2とこれを剥離可能に支持した支持体とを含んだ転写箔を準備し、支持体から位相差層3上へと偏光層2を転写してもよい。
【0066】
位相差層3の樹脂層は、延伸されている。この延伸した樹脂層は、例えば、樹脂フィルムを一軸延伸することにより得られる。樹脂フィルムを延伸すると、構成分子またはその官能基が延伸方向に配向し、その結果、樹脂フィルムに複屈折性が生じる。そして、重合性または架橋性の液晶材料を延伸した樹脂層上に塗布すると、液晶分子のメソゲンを、樹脂フィルムの延伸方向に配向させることができる。したがって、この配向状態を維持したまま、液晶材料を重合または架橋させると、先の延伸方向に平行な光学軸、すなわち遅相軸を有している液晶層が得られる。
【0067】
液晶分子のメソゲンの配向には、延伸以外の方法を利用してもよい。例えば、ラビング又は光配向技術を利用してもよい。この場合、樹脂層は、延伸する必要はない。
【0068】
積層体1の製造には、ロールツーロール法を利用してもよい。例えば、先の樹脂層を基材として用いた場合、この樹脂層をロールから繰り出し、他のロールへと巻き取る間に、樹脂層の延伸処理、並びに、任意に、樹脂層上への液晶層の形成及び偏光層2の形成または貼り付けを行ってもよい。この方法によれば、位相差層3の光学軸は、流れ方向(MD)に平行になる。溝構造は、その溝の長さ方向が流れ方向に対して例えば45°の角度を成すように設ける。
【0069】
このようなロールツーロール法を利用すると、積層体1を効率よく製造することができる。すなわち、低いコストで積層体1を製造することができる。
【実施例】
【0070】
[実施例1]
印刷パターンを設け、反射層をパターニングしたこと以外は上述した積層体1とほぼ同様の積層体を、以下の方法により製造した。
【0071】
(原版の作製)
最初に溝構造の原版を作製した。
ガラス基板上に、ポジ型レジストを塗布した。次に、このレジスト膜に電子線で溝構造4および5に対応したパターンを描画し、その後、このレジスト膜を現像及び焼成した。これにより、深さ400nmの溝が300nm間隔で設けられたレジストパターンを得た。次いで、このレジストパターン上に、スパッタリングにより導電膜を形成した。さらに、メッキによって、この導電膜上に金属層を形成した。その後、ガラス基板およびレジストパターンを取り除くことにより、原版としてのエンボス版を得た。
【0072】
(転写箔の作製)
上記のエンボス版を利用して転写箔を作製した。
厚さが16μmのPET基材上に、グラビアコーティング法により、アクリル樹脂からなる厚さが2μmの剥離層を形成した。次いで、この剥離層上に、紫外線硬化型樹脂からなる塗膜を1μmの厚さに塗工した。
【0073】
次に、200℃に加熱したエンボス版を塗膜に押し当て、その状態でPET基材側から塗膜に紫外線を照射して、塗膜を硬化させた。これにより、表面に溝構造が設けられた樹脂層を得た。
【0074】
樹脂層からエンボス版を取り除いた後、蒸着法により、樹脂層上に、厚さが50nmのアルミニウム層を形成した。次いで、グラビア印刷法により、アルミニウム層上に、塩酸ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる印刷パターンを1μmの厚さに形成した。印刷パターンは、樹脂層に設けられた溝構造を被覆するように形成した。さらに、この印刷パターンをマスクとして用いてアルミニウム層をアルカリエッチングすることにより、反射層として、パターニングされたアルミニウム層を得た。以上のようにして、樹脂層と反射層とからなる偏光層2を得た。なお、マスクとして用いた印刷パターンは、除去せずに残したままとした。
【0075】
最後に、樹脂層および印刷パターン上に、シリカフィラーを分散させた塩酸ビニル−酢酸ビニル共重合体から成る接着剤をグラビアコーティング法により塗工して、厚さが2μmの接着剤層を形成した。これにより、支持体としてのPET基材と、これに剥離可能に支持された転写材層とからなり、この転写材層が剥離層と偏光層2と印刷パターンと接着剤層とからなる転写箔を得た。
【0076】
(転写)
位相差層3として、一軸延伸した21μm厚のセロハンフィルムを準備した。この位相差層3と上記転写箔とを、その転写材層が位相差層3と接触するよう重ねた。なお、転写箔および位相差層3は、溝構造4の溝の長さ方向と溝構造5の溝の長さ方向とが、それぞれ、セロハンフィルムの延伸方向に対して+45°および−45°の角度を成すように重ね合わせた。次いで、表面温度200℃のゴムロールによって、それらに熱および圧力を加え、続いて、転写材層から支持体を剥離した。さらに、位相差層3上に粘着剤を塗布し、適当な大きさに裁断して、粘着ラベルとしての積層体1を得た。
【0077】
(検証)
この積層体1を、右円偏光フィルムを介して観察したところ、溝構造4に対応した領域は明るく見え、溝構造5に対応した領域は暗く見えた。さらに、この積層体1を、左円偏光フィルムを介して観察したところ、溝構造4に対応した領域は暗く見え、溝構造5に対応した領域は明るく見えた。また、円偏光フィルムを回転させても、像のコントラストは変わらなかった。
【0078】
[実施例2]
シミュレーションにより、溝構造に自然光を照射することで偏光が生じることを確認した。具体的には、溝の長さ方向に対して垂直に切断したときの断面を見たときに矩形波状である溝構造(図6)、正弦波状である溝構造(図8)およびそれらの中間の形状である溝構造(図7)の各々について、時間領域差分(Finite Difference Time Domain:FDTD)法によってシミュレーションを行った。
【0079】
設定としては、図9に示されるように、偏光層の材料をアルミニウムとし、このアルミニウム層の厚さ10を無限大とした。また、溝のピッチ11を300nmとした。照射する光12の波長は532nmとし、偏光層に隣接した透明な層の屈折率を1.5とした。深さ13を0から500nmの範囲で変えて、電界ベクトルの振動方向が溝の長さ方向に垂直な偏光(TM偏光14)および平行な偏光(TE偏光15)の反射率を測定した。
【0080】
その結果を図10に示す。図10のグラフ中、「矩形_TE」および「矩形_TM」は、それぞれ、溝構造の断面が矩形波状である場合のTE偏光およびTM偏光に関する反射率を示している。「正弦_TE」および「正弦_TM」は、それぞれ、溝構造の断面が正弦波状である場合のTE偏光およびTM偏光に関する反射率を示している。「中間_TE」および「中間_TM」は、それぞれ、溝構造の断面が中間波状である場合のTE偏光およびTM偏光に関する反射率を示している。
【0081】
TE偏光は、深さが大きくなるにつれて反射率が漸減した。特に、中間形状の場合に大きく減少した。これに対し、TM偏光は、深さが大きくなるにつれて、反射率の低下および増大を周期的に繰り返し、幾つもの山が連なる曲線を描いた。TM偏光における反射率の増減の周期は3つの形状でほぼ一致したものの、増大のピーク時の反射率の値については、3つの形状同士で差が大きく、矩形形状で最も大きく、正弦形状で最も小さかった。
【0082】
このグラフに示すように、TE偏光とTM偏光とで反射率の差が大きくなる溝の深さが存在している。具体的には、溝の深さが50〜100nm、200〜250nmまたは350〜400nmのときに上記の差が大きくなった。例えば、深さをこれらの数値範囲に設定したときに、極めて高いコンストラストで像を表示できる。
【符号の説明】
【0083】
1…積層体、2…偏光層、3…位相差層、4…第1の溝構造、5…第2の溝構造、6…四分の一波長板、7…直線偏光板、10…厚さ、11…ピッチ、12…光、13…深さ、14…TM偏光、15…TE偏光、100…反射面、101…第1の偏光面、102…第2の偏光面、200…自然光、201…正反射光、202…第1の直線偏光、203…第2の直線偏光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に配列した複数の溝から各々が成る2以上の溝構造が設けられた反射面を有し、前記2以上の溝構造は溝の長さ方向が互いに異なり、前記2以上の溝構造の各々は、波長がλの自然光を照射した場合に、正反射光として、電界ベクトルの振動方向が前記溝の長さ方向に対して平行な第1の直線偏光を、電界ベクトルの振動方向が前記第1の直線偏光の電界ベクトルの振動方向に対して垂直な第2の直線偏光と比較して、より高い強度で射出する偏光層と、
前記偏光層と向き合い、前記2以上の溝構造の全ての前記溝の長さ方向に対して斜めの光学軸を有する複屈折性の位相差層と
を含む積層体。
【請求項2】
前記偏光層は、金属または合金からなる反射層を含む請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記位相差層がλ/4の位相差値を有する請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記偏光層が2つの溝構造を有し、これらの溝構造の溝の長さ方向は前記位相差層の光学軸に対してそれぞれ+45°および−45°である請求項1から3の何れか1項に記載の積層体。
【請求項5】
前記位相差層は、延伸した材料を含んだ請求項1から4の何れか1項に記載の積層体。
【請求項6】
前記位相差層は、重合または架橋させた液晶から成る液晶層をさらに含んだ請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の積層体と円偏光子とを含むキット。
【請求項8】
延伸した樹脂フィルムを含んだ位相差層を形成し、
前記位相差層上に偏光層を設ける
ことを含む請求項1から6の何れか1項に記載の積層体の製造方法。
【請求項9】
前記位相差層の形成は、延伸後の前記樹脂フィルム上に重合または架橋させた液晶から成る液晶層を形成することを含む請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
表面に前記2以上の溝構造を有している前記偏光層と前記偏光層を剥離可能に支持した支持体とを含む転写箔を準備し、前記支持体から前記偏光層を前記位相差層に転写することで前記位相差層上に前記偏光層を設ける請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記位相差層上に前記偏光層の材料を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜の表面に、前記溝構造に対応する構造を有した型を押し当て、この状態で前記塗膜を固化させることにより偏光層を設ける請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−137693(P2012−137693A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291276(P2010−291276)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】