説明

積層体の製造方法

【課題】1の塗膜から2以上の層を形成できる積層体の製造方法及びそれにより得られる積層体を提供する。
【解決手段】基材30と、その上に多層構造40,50を有する積層体の製造方法であって、基材30上又は基材上に形成された層の上に、(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を結合させてなる金属酸化物粒子、(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、(C)速揮発溶剤及び(D)遅揮発溶剤を含む紫外線硬化性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、この1の塗膜から溶媒を蒸発させることにより、2以上の層40,50を形成することを特徴とする積層体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の製造方法及びそれにより得られる積層体に関し、特に、2以上の層を1の塗膜から形成することができる積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、マルチメディアの発達に伴い、各種の表示装置(ディスプレイ装置)において種々の発展が見られている。そして、各種の表示装置のうち、特に、携帯用を中心に屋外で使用されるものでは、その視認性の向上がますます重要となってきており、大型表示装置においても、より見易くすることが需要者に要求されており、この事項がそのまま技術課題となっている。
【0003】
従来、表示装置の視認性を向上させるための一手段として、低屈折率材料から構成される反射防止膜を、表示装置の基板に被覆することが行われており、反射防止膜を形成する方法としては、例えば、フッ素化合物の薄膜を蒸着法により形成する方法が知られている。然るに、近年では、液晶表示装置を中心として、低いコストで、しかも大型の表示装置に対しても、反射防止膜を形成することのできる技術が求められている。しかしながら、蒸着法による場合には、大面積の基板に対して、高い効率で均一な反射防止膜を形成することが困難であり、しかも真空装置を必要とするために、コストを低くすることが困難である。
【0004】
このような事情から、屈折率の低いフッ素系重合体を有機溶剤に溶解して液状の組成物を調製し、これを基板の表面に塗布することによって反射防止膜を形成する方法が検討されている。例えば、基板の表面にフッ素化アルキルシランを塗布することが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。また、特定の構造を有するフッ素系重合体を塗布する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−40845号公報
【特許文献2】特公平6−98703号公報
【特許文献3】特開平6−115023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら従来の反射防止膜は、基材上に、異なった屈折率の層、帯電防止層、ハードコート層等が形成された積層体であることが多い。従来の製造方法では、基材上に、各層をそれぞれ塗布する工程を繰り返していた。
本発明は、以上のような状況を背景としてなされたものであって、その目的は、組成物を塗布して得られる1の塗膜から2以上の層を形成できる積層体の製造方法及びそれにより得られる積層体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、良好な反射防止効果を有する積層体の製造方法及びそれにより得られる積層体を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、基材に対する密着性に優れ、耐擦傷性が高い積層体の製造方法及びそれにより得られる積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下の積層体の製造方法及びそれにより得られる積層体を提供できる。
1.基材と、その上に多層構造を有する積層体の製造方法であって、
前記基材上又は基材上に形成された層の上に、下記成分(A)〜(D)を含む紫外線硬化性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、
この1の塗膜から溶媒を蒸発させることにより、2以上の層を形成することを特徴とする積層体の製造方法。
[紫外線硬化性樹脂組成物]
(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を結合させてなる金属酸化物粒子
(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
(C)(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が高い、1種又は2種以上の溶剤(以下、「(C)速揮発溶剤」という)
(D)(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を結合させてなる金属酸化物粒子の分散安定性が高く、かつ、(C)速揮発溶剤と相溶性である、1種又は2種以上の溶剤(以下、「(D)遅揮発溶剤」という)
かつ、(C)速揮発溶剤の相対蒸発速度が、(D)遅揮発溶剤の相対蒸発速度よりも大きい
2.前記2以上の層の各層が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層又は金属酸化物粒子が実質的に存在しない層であって、少なくとも1層は金属酸化物粒子が高密度に存在する層であることを特徴とする1に記載の積層体の製造方法。
3.前記2以上の層が、2層であることを特徴とする2に記載の積層体の製造方法。
4.さらに、前記2以上の層を放射線照射することにより硬化させることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
5.積層体が光学用部品であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
6.積層体が反射防止膜であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
7.前記積層体が、基材上に、少なくとも、高屈折率層及び低屈折率層が、基材に近い側からこの順に積層されている反射防止膜であり、3に記載の2層が、
高屈折率層及び
低屈折率層からなる
ことを特徴とする3に記載の積層体の製造方法。
8.低屈折率層の589nmにおける屈折率が1.20〜1.55であり、
高屈折率層の589nmにおける屈折率が1.50〜2.20であって、低屈折率層の屈折率より高いことを特徴とする7に記載の積層体の製造方法。
9.前記積層体が、基材上に、少なくとも、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層が、基材に近い側からこの順に積層されている反射防止膜であり、3に記載の2層が
高屈折率層及び
低屈折率層からなる
ことを特徴とする3に記載の積層体の製造方法。
10.低屈折率層の589nmにおける屈折率が1.20〜1.55であり、
中屈折率層の589nmにおける屈折率が1.50〜1.90であって、低屈折率層の屈折率より高く、
高屈折率層の589nmにおける屈折率が1.51〜2.20であって、中屈折率層の屈折率より高いことを特徴とする9に記載の積層体の製造方法。
11.さらに、基材上に、ハードコート層及び/又は帯電防止層を形成することを特徴とする7〜10のいずれかに記載の積層体の製造方法。
12.紫外線硬化性樹脂組成物において、前記(Ab)重合性不飽和基を有する有機化合物が、重合性不飽和基に加えて、下記式(A−1)に示す基を有することを特徴とする1〜11のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【化8】

[式中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
13.紫外線硬化性樹脂組成物において、前記(Ab)重合性不飽和基を有する有機化合物が、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることを特徴とする1〜12のいずれかに記載の積層体の製造方法。
14.前記(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体が、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物(B−1)と、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)と、を反応させて得られることを特徴とする1〜13のいずれかに記載の積層体の製造方法。
15.前記水酸基含有含フッ素重合体(B−2)が、下記構造単位(a)20〜70モル%、(b)10〜70モル%及び(c)5〜70モル%を含んでなり、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000である14に記載の積層体の製造方法。
(a)下記一般式(1)で表される構造単位。
(b)下記一般式(2)で表される構造単位。
(c)下記一般式(3)で表される構造単位。
【化9】

[式中、R1はフッ素原子、フルオロアルキル基、又は−OR2で表される基(R2はアルキル基、又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
【化10】

[式中、R3は水素原子又はメチル基を、R4はアルキル基、−(CH2)x−OR5若しくは−OCOR5で表される基(R5はアルキル基、又はグリシジル基を、xは0又は1の数を示す)、カルボキシル基、又はアルコキシカルボニル基を示す]
【化11】

[式中、R6は水素原子、又はメチル基を、R7は水素原子、又はヒドロキシアルキル基を、vは0又は1の数を示す]
16.さらに、前記水酸基含有含フッ素重合体(B−2)が、アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記構造単位(d)0.1〜10モル%を含む14又は15に記載の積層体の製造方法。
(d)下記一般式(4)で表される構造単位。
【化12】

[式中、R8及びR9は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はアリール基を示す]
17.前記水酸基含有含フッ素重合体(B−2)が、前記構造単位(d)を下記構造単位(e)の一部として含むことを特徴とする16に記載の積層体の製造方法。
(e)下記一般式(5)で表される構造単位。
【化13】

[式中、R10〜R13は水素原子、アルキル基、又はシアノ基を示し、R14〜R17は水素原子又はアルキル基を示し、p、qは1〜6の数、s、tは0〜6の数、yは1〜200の数を示す。]
18.さらに、前記水酸基含有含フッ素重合体(B−2)が、下記構造単位(f)0.1〜5モル%を含む14〜17のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(f)下記一般式(6)で表される構造単位。
【化14】

[式中、R18は乳化作用を有する基を示す]
19.前記化合物(B−1)が、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートである14〜18のいずれかに記載の積層体の製造方法。
20.紫外線硬化性樹脂組成物の(C)速揮発溶剤は、(B)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を結合させてなる金属酸化物粒子の分散安定性が低い、1種又は2種以上の溶剤であり、(D)遅揮発溶剤は、(A)マトリックス樹脂の溶解性が低い、1種又は2種以上の溶剤であることを特徴とする1〜19のいずれかに記載の積層体の製造方法。
21.紫外線硬化性樹脂組成物が、さらに、成分(E)少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物及び/又は少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする1〜20のいずれかに記載の積層体の製造方法。
22.紫外線硬化性樹脂組成物が、さらに、成分(F)光ラジカル重合開始剤を含むことを特徴とする1〜21のいずれかに記載の積層体の製造方法。
23.1〜22のいずれかに記載された積層体の製造方法により、製造された積層体。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層体の製造方法は、組成物を塗布して得られる1の塗膜から、2以上の層を形成することができるため、多層構造を有する積層体の製造工程を簡略化できる。従って、本発明の積層体の製造方法は、特に、反射防止膜、光学フィルタ等の光学材料の形成に有利に用いることができる。また、本発明の積層体は、フッ素含量が高いことを利用して、耐候性が要求される基材に対する塗料、耐候フィルム、コーティング、その他として好適に使用することができる。しかも、当該積層体は、最外層(基材から最も遠い層)に低屈折率層を設けることにより良好な反射防止効果を付与する。また、本発明によれば、基材に対する密着性に優れ、耐擦傷性が高い積層体が得られる。これらのことから、本発明の積層体は反射防止膜として極めて有用であり、各種の表示装置に適用することにより、その視認性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、基材と、その上に2層以上の多層構造を有する積層体の製造方法及びそれにより得られる積層体である。具体的には、本発明の製造方法では、基材上又は基材上に形成された層の上に、後述する所定の紫外線硬化性樹脂組成物を塗布して得られる1の塗膜から溶媒を蒸発させる(以下、溶媒を蒸発させることを「乾燥」と言うこともある。)ことにより、2以上の層を形成する。なお、乾燥後は溶媒が完全に無くなった状態でなくてもよく、硬化膜としての特性が得られる範囲で溶媒が残存していてもよい。また、本発明では、1の塗膜から2以上の層の形成を、2回以上実施することができる。
【0010】
特定の紫外線硬化性樹脂組成物を通常の方法で塗布し、その後乾燥させると、2以上の層に分離する。ここで、2以上の層とは、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層」と、「金属酸化物粒子が実質的に存在しない層」を共に含む2以上の層である場合もあり、また、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層」だけからなる2以上の層である場合もある。
以下、図面を用いて「2以上の層の各層が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層又は金属酸化物粒子が実質的に存在しない層であって、少なくとも1層は金属酸化物粒子が高密度に存在する層」について説明する。図1Aは、2以上の層が、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層1」と、「金属酸化物粒子が実質的に存在しない層3」の2層である場合を示す。図1Bは、2以上の層が、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層1,1a」の2層である場合を示す。図1Cは、2以上の層が、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層1,1a」と、「金属酸化物粒子が実質的に存在しない層3」の3層である場合を示す。図1Dは、2以上の層が、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層1,1a」と、「金属酸化物粒子が実質的に存在しない層3」の3層である場合を示す。図1Eは、2以上の層が、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層1b」と、「金属酸化物粒子が実質的に存在しない層3」の2層である場合を示す。
紫外線硬化性樹脂組成物が2種以上の金属酸化物粒子を含むときは、図1B,1C,1Dに示すように、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層」が2種類以上形成され得る。
【0011】
さらに、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層」の「金属酸化物粒子」は、少なくとも1種、即ち、1種又は2種以上の「金属酸化物粒子」を意味する。紫外線硬化性樹脂組成物が2種以上の金属酸化物粒子を含む場合、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層」が、2種以上の金属酸化物粒子から構成されていてよい(例えば、図1E)。図1Eでは、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層1b」が、粒子Xと粒子Yから構成されている。粒子Yが、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層1b」の厚さより大きいため、「金属酸化物粒子が実質的に存在しない層3」に突出しているが、この突出部分も「金属酸化物粒子が高密度に存在する層1b」に含まれる。
【0012】
尚、図1A〜1Eでは、「金属酸化物粒子が実質的に存在しない層3」には通常金属酸化物粒子が存在していないが、本発明の効果を損なわない範囲で若干含まれていてもよい。また、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層1,1a,1b」も同様に金属酸化物粒子以外の他の物質が含まれていてもよい。
【0013】
紫外線硬化性樹脂組成物の塗布法としては、公知の塗布方法を使用することができ、特に、ディップ法、コーター法、印刷法等各種の方法を適用することができる。
乾燥は、通常、室温から100℃程度の加熱で、1〜60分程度実施される。
具体的な硬化条件は後述する。
【0014】
本発明では、紫外線硬化性樹脂組成物を溶液状で各種の基材に塗布し、得られた塗膜を乾燥/硬化させて積層体を得ることができる。例えば、基材が透明基材の場合には、最外層に低屈折率層を設けることにより優れた反射防止膜が形成される。
反射防止膜の具体的構造は、通常、基材及び低屈折率膜、又は基材、高屈折率膜及び低屈折率膜をこの順に積層したものである。この他、基材、高屈折率膜及び低屈折率膜の間に、他の層を介在させてもよく、例えば、ハードコート層、帯電防止層、中屈折率層、低屈折率層、高屈折率層の組み合わせ等の層を設けることができる。
【0015】
図2は、基材10上に、高屈折率層40及び低屈折率層50が、この順に積層されている反射防止膜を示す。
この反射防止膜において、高屈折率層40が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層に、低屈折率層50が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層に相当する。
本発明によれば、高屈折率層40と低屈折率層50を、1の塗膜から、形成できる。
【0016】
図3は、基材10上に、ハードコート層20、帯電防止層30、高屈折率層40及び低屈折率層50が、この順に積層されている反射防止膜を示す。
この反射防止膜において、高屈折率層40が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層に、低屈折率層50が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層に相当する。
本発明によれば、高屈折率層40と低屈折率層50を、1の塗膜から、形成できる。
【0017】
図4は、基材10上に、帯電防止層30、ハードコート層20、高屈折率層40及び低屈折率層50が、この順に積層されている反射防止膜を示す。
この反射防止膜において、高屈折率層40が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層に、低屈折率層50が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層に相当する。
本発明によれば、高屈折率層40と低屈折率層50を、1の塗膜から、形成できる。
【0018】
図5は、基材10上に、ハードコート層20、帯電防止層30、中屈折率層60、高屈折率層40及び低屈折率層50が、この順に積層されている反射防止膜を示す。
この反射防止膜において、高屈折率層40が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層に、低屈折率層50が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層に相当する。或いは、中屈折率層60、及び高屈折率層40が何れも金属酸化物粒子が高密度に存在する層に相当するか、または、中屈折率層60が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層に、高屈折率層40が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層に相当する。
本発明によれば、中屈折率層60と高屈折率層40、又は、高屈折率層40と低屈折率層50を、1の塗膜から、形成できる。好ましくは、高屈折率層40と低屈折率層50を1の塗膜から形成する。
【0019】
図6は、基材10上に、帯電防止層30、ハードコート層20、中屈折率層60、高屈折率層40及び低屈折率層50が、この順に積層されている反射防止膜を示す。
この反射防止膜において、高屈折率層40が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層に、低屈折率層50が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層に相当する。或いは、中屈折率層60、及び高屈折率層40が何れも金属酸化物粒子が高密度に存在する層に相当するか、または、中屈折率層60が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層に、高屈折率層40が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層に相当する。
本発明によれば、中屈折率層60と高屈折率層40、又は、高屈折率層40と低屈折率層50を、1の塗膜から、形成できる。好ましくは、高屈折率層40と低屈折率層50を1の塗膜から形成する。
【0020】
図7は、基材10上に、ハードコート層20、高屈折率層40及び低屈折率層50が、この順に積層されている反射防止膜を示す。
この反射防止膜において、高屈折率層40が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層に、低屈折率層50が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層に相当する。
本発明によれば、高屈折率層40と低屈折率層50を、1の塗膜から、形成できる。
【0021】
図8は、基材10上に、ハードコート層20、中屈折率層60、高屈折率層40及び低屈折率層50が、この順に積層されている反射防止膜を示す。
この反射防止膜において、高屈折率層40が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層に、低屈折率層50が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層に相当する。或いは、中屈折率層60、及び高屈折率層40が何れも金属酸化物粒子が高密度に存在する層に相当するか、または、中屈折率層60が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層に、高屈折率層40が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層に相当する。
本発明によれば、中屈折率層60と高屈折率層40、又は、高屈折率層40と低屈折率層50を、1の塗膜から、形成できる。好ましくは、高屈折率層40と低屈折率層50を1の塗膜から形成する。
【0022】
図9は、基材10上に、帯電防止層30、高屈折率層40及び低屈折率層50が、この順に積層されている反射防止膜を示す。
この反射防止膜において、高屈折率層40が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層に、低屈折率層50が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層に相当する。
本発明によれば、高屈折率層40と低屈折率層50を、1の塗膜から、形成できる。
【0023】
図10は、基材10上に、帯電防止層30、中屈折率層60、高屈折率層40及び低屈折率層50が、この順に積層されている反射防止膜を示す。
この反射防止膜において、高屈折率層40が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層に、低屈折率層50が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層に相当する。或いは、中屈折率層60、及び高屈折率層40が何れも金属酸化物粒子が高密度に存在する層に相当するか、または、中屈折率層60が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層に、高屈折率層40が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層に相当する。
本発明によれば、中屈折率層60と高屈折率層40、又は、高屈折率層40と低屈折率層50を、1の塗膜から、形成できる。好ましくは、高屈折率層40と低屈折率層50を1の塗膜から形成する。
【0024】
尚、上記の反射防止膜において、使用する紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる金属酸化物として、アンチモンドープ酸化錫(ATO)粒子等の導電性粒子を添加すれば、得られる金属酸化物を高密度に含む層が帯電防止性を有する膜となる。従って、例えば、高屈折率層又は中屈折率層を、このような帯電防止性を有する金属酸化物を高密度に含む層として形成すれば、高屈折率層又は中屈折率層は帯電防止性を兼ねた膜とすることができる。この場合、帯電防止膜の形成を省略できる。
【0025】
次に、上記の反射防止膜の各層について説明する。
(1)基材
本発明の反射防止膜に用いる基材の種類は特に制限されるものではないが、基材の具体例としては、例えば、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート樹脂(東レ(株)製ルミラー等)、ガラス、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチリル樹脂、アリレート樹脂、ノルボルネン系樹脂(JSR(株)製アートン、日本ゼオン(株)製ゼオネックス等)、メチルメタクリレート/スチレン共重合体樹脂、ポリオレフィン樹脂等の各種透明プラスチック板、フィルム等を挙げることができる。好ましくは、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート樹脂(東レ(株)製ルミラー等)、ノルボルネン系樹脂(JSR(株)製アートン等)等が挙げられる。
【0026】
(2)低屈折率層
低屈折率層とは、波長589nmの光の屈折率が1.20〜1.55である層を表す。
低屈折率層に使用される材料としては、目的とする特性が得られれば特に限定されるものではないが、例えば、含フッ素重合体を含有する硬化性組成物、アクリルモノマー、含フッ素アクリルモノマー、エポキシ基含有化合物、含フッ素エポキシ基含有化合物等の硬化物を挙げることがでる。また、低屈折率層の強度を上げるために、シリカ微粒子等を配合することもできる。
【0027】
(3)高屈折率層
高屈折率層とは、波長589nmの光の屈折率が1.50〜2.20であって、低屈折率層より高い屈折率を有する層を表す。
高屈折率層を形成するために、高屈折率の無機粒子、例えば金属酸化物粒子を配合することができる。
金属酸化物粒子の具体例としては、アンチモンドープ酸化錫(ATO)粒子、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粒子、ZnO粒子、アンチモンドープZnO、AlドープZnO粒子、ZrO粒子、TiO粒子、シリカ被覆TiO粒子、Al/ZrO被覆TiO粒子、CeO粒子等を挙げることができる。好ましくは、アンチモンドープ酸化錫(ATO)粒子、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粒子、AlドープZnO粒子、Al/ZrO被覆TiO粒子である。これらの金属酸化物粒子は、一種単独又は二種以上の組み合わせで使用することができる。
また、高屈折率層にハードコート層や帯電防止層の機能を持たせることもできる。
【0028】
(4)中屈折率層
3種以上の屈折率を有する層を組み合わせる場合に、波長589nmの光の屈折率が1.50〜1.90であって、低屈折率層より高く、高屈折率層より低い屈折率を有する層を中屈折率層と表す。中屈折率層の屈折率は、好ましくは、1.50〜1.80、より好ましくは、1.50〜1.75である。
中屈折率層を形成するために、高屈折率の無機粒子、例えば金属酸化物粒子を配合することができる。
金属酸化物粒子の具体例としては、アンチモンドープ酸化錫(ATO)粒子、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粒子、ZnO粒子、アンチモンドープZnO、AlドープZnO粒子、ZrO粒子、TiO粒子、シリカ被覆TiO粒子、Al/ZrO被覆TiO粒子、CeO粒子等を挙げることができる。好ましくは、アンチモンドープ酸化錫(ATO)粒子、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粒子、AlドープZnO粒子、ZrO粒子である。これらの金属酸化物粒子は、一種単独又は二種以上の組み合わせで使用することができる。
また、中屈折率層にハードコート層や帯電防止層の機能を持たせることもできる。
【0029】
低屈折率層と高屈折率層を組み合わせることにより反射率を低くすることができ、さらに、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層を組み合わせることにより、反射率を低くすることができるとともに色目を減らすことができる。
【0030】
(5)ハードコート層
ハードコート層の具体例としては、SiO、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂等の材料から構成するのが好ましい。また、これらの樹脂にシリカ粒子を配合しても良い。
ハードコート層は積層体の機械的強度を高める効果がある。
【0031】
(6)帯電防止層
帯電防止層の具体例としては、アンチモンドープ酸化錫(ATO)粒子、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粒子、AlドープZnO粒子等の導電性を有する金属酸化物粒子、あるいは有機、又は無機の導電性化合物を添加した硬化性膜、前記金属酸化物を蒸着あるいはスパッタリングすることで得られる金属酸化物膜、導電性有機高分子からなる膜を挙げることができる。導電性有機高分子としては、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリピロール系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子等を例示することができる。尚、上述したように、本発明で使用する紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる金属酸化物として、ATO粒子、ITO粒子、アンチモンドープZnO、AlドープZnO粒子等の導電性粒子を添加すれば、得られる金属酸化物を高密度に含む層が帯電防止性を有する膜となる。この場合、別途帯電防止膜の形成を省略できる。
帯電防止層は、積層体に導電性を付与し、静電気が生じて埃等が付着するのを防止する。
【0032】
これらの層は一層のみ形成してもよく、また、異なる層を二層以上形成してもよい。
また、低、中、高屈折率層の膜厚は、それぞれ通常60〜150nm、帯電防止層の膜厚は通常0.05〜3μm、ハードコート層の膜厚は通常1〜20μmである。
【0033】
本発明では、積層体の任意の連続する2以上の層を本発明の製造方法で形成できるが、本発明の製造方法によらない層の製造方法は、公知の塗布と硬化、蒸着、スパッタリング等の方法により製造できる。
【0034】
また、本発明による紫外線硬化性樹脂組成物からなる層は、硬化させて優れた光学特性と耐久性を有する硬化膜を形成させるために、特に、加熱による熱履歴を与えることが好ましい。もちろん、常温で放置した場合にも、時間の経過と共に硬化反応が進み、目的とする硬化膜が形成されるが、実際上は、加熱して硬化させることが、所要時間を短縮する上で効果的である。また、熱酸発生剤を硬化触媒として添加しておくことにより、さらに硬化反応を促進させることができる。この硬化触媒としては特に制限は無く、一般のウレア樹脂、メラミン樹脂等のための硬化剤として使用されている各種酸類やその塩類を利用することができ、特に、アンモニウム塩を好ましく用いることができる。硬化反応のための加熱条件は適宜選択することができるが、加熱温度は、塗布の対象である基材の耐熱限界温度以下であることが必要である。
【0035】
本発明によれば、1の塗膜から、2以上の層を形成することができるため、積層体の製造工程が簡略化できる。
また、金属酸化物粒子を偏在化させることによって、積層体の耐擦傷性を向上することができる。
本発明の積層体は、反射防止膜の他にも、例えば、レンズ、選択透過膜フィルタ等の光学用部品に使用できる。
【0036】
次に、本発明で使用する紫外線硬化性樹脂組成物について説明する。
紫外線硬化性樹脂組成物は、(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を結合させてなる金属酸化物粒子、(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体と、(C)速揮発溶剤と、(D)遅揮発溶剤とを含有することを特徴とする。
【0037】
1.紫外線硬化性樹脂組成物の各構成成分について具体的に説明する。
(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を結合させてなる金属酸化物粒子
本発明に用いられる(A)成分は、金属酸化物粒子(Aa)と、重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)とを結合させてなる粒子である(以下、「反応性粒子」、「(A)成分」又は「(A)成分の粒子」ということがある)。ここで、結合とは、共有結合であってもよいし、物理吸着等の非共有結合であってもよい。
【0038】
これらの金属酸化物粒子(Aa)としては、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の粒子を挙げることができる。中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア及び酸化アンチモンの粒子が好ましく、特にジルコニア粒子が好ましい。また、ジルコニウムやチタニウム等の酸化物粒子を用いることにより高屈折率の硬化被膜を得ることができるし、ATO粒子等を用いることにより、硬化被膜に導電性を付与することもできる。高屈折率の硬化被膜を得るためには、波長598nmにおける屈折率が1.5以上の金属酸化物粒子(Aa)が好ましい。このため、このような目的のためには、シリカ(屈折率約1.45)粒子は好ましくない。
【0039】
これらの金属酸化物粒子(Aa)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。さらには、金属酸化物粒子(Aa)は、粉体状又は分散液であることが好ましい。分散液である場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
【0040】
金属酸化物粒子(Aa)の数平均粒子径は、電子顕微鏡法による測定で、0.001μm〜2μmが好ましく、0.001μm〜0.2μmがさらに好ましく、0.001μm〜0.1μmが特に好ましい。数平均粒子径が2μmを越えると、硬化物としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化したりする傾向がある。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。粒子形状が棒状(アスペクト比が1を超えて10以下の形状を言う)の場合には、短径を粒子径とした。
【0041】
シリカ粒子の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製 商品名:メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製 商品名:アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製 商品名:シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製 商品名:E220A、E220、富士シリシア(株)製 商品名:SYLYSIA470、日本板硝子(株)製 商品名:SGフレーク等を挙げることができる。
【0042】
また、アルミナの水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:アルミナゾル−100、−200、−520;アルミナのイソプロパノール分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:AS−150I;アルミナのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:AS−150T;ジルコニアのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:HXU−110JC;アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:セルナックス;アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末及び溶剤分散品としては、シーアイ化成(株)製 商品名:ナノテック;アンチモンドープ酸化スズの水分散ゾルとしては、石原産業(株)製 商品名:SN−100D;ITO粉末としては、三菱マテリアル(株)製の製品;酸化セリウム水分散液としては、多木化学(株)製 商品名:ニードラール等を挙げることができる。
【0043】
金属酸化物粒子(Aa)の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状(アスペクト比が1を超えて10以下の形状を言う)、板状、繊維状、又は不定形状であり、好ましくは、棒状である。金属酸化物粒子(Aa)の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、好ましくは、10〜1000m/gであり、さらに好ましくは、100〜500m/gである。これら金属酸化物粒子(Aa)の使用形態は、乾燥状態の粉末、又は水もしくは有機溶剤で分散した状態で用いることができる。例えば、分散液として当業界に知られている微粒子状の金属酸化物粒子の分散液を直接用いることができる。特に、硬化物に優れた透明性を要求する用途においては金属酸化物粒子の分散液の利用が好ましい。
【0044】
重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)
本発明に用いられる有機化合物(Ab)は、重合性不飽和基を有する化合物であり、さらに、下記式(A−1)に示す基を含む有機化合物であることが好ましい。また、[−O−C(=O)−NH−]基を含み、さらに、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1を含むものであることが好ましい。また、この有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。
【0045】
【化15】

[式中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
【0046】
(i)重合性不飽和基
有機化合物(Ab)に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基を好適例として挙げることができる。
この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
【0047】
(ii)前記式(A−1)に示す基
有機化合物に含まれる前記式(A−1)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つとを併用することが好ましい。
前記式(A−1)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材や高屈折率層等の隣接層との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
【0048】
(iii)シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基
有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。このようなシラノール基を生成する化合物としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した化合物を挙げることができるが、ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基を生成する化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、金属酸化物粒子(Aa)と結合する構成単位である。
【0049】
(iv)好ましい態様
有機化合物(Ab)の好ましい具体例としては、例えば、下記式(A−2)に示す化合物を挙げることができる。
【0050】
【化16】

【0051】
式中、R24、R25は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここで、jは、1〜3の整数である。
【0052】
[(R24O)253−jSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
26は、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。具体例として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。
27は、2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。具体例として、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合を含むこともできる。
28は、(k+1)価の有機基であり、好ましくは、鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。また、kは、好ましくは、1〜20の整数であり、さらに好ましくは、1〜10の整数、特に好ましくは、1〜5の整数である。
【0053】
式(A−2)で示される化合物の具体例として、下記式(A−4)及び(A−5)で示される化合物が挙げられる。
【0054】
【化17】

[式中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。「Me」は、メチル基を示す。]
【0055】
本発明で用いられる有機化合物(Ab)の合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシランとイソホロンジイソシアネートをジブチルスズジラウレート存在下で混合し、60〜70℃数時間程度反応させた後に、ペンタエリスリトールトリアクリレートを添加して、さらに60〜70℃数時間程度反応させることにより製造される。
【0056】
反応性粒子((A)成分)
シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を有する有機化合物(Ab)を金属酸化物粒子(Aa)と混合し、加水分解させ、両者を結合させる。得られる反応性粒子((A)成分)中の有機重合体成分即ち加水分解性シランの加水分解物及び縮合物の割合は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の質量減少%の恒量値として、例えば空気中で室温から通常800℃までの熱質量分析により求めることができる。
【0057】
金属酸化物粒子(Aa)への有機化合物(Ab)の結合量は、反応性粒子((A)成分)(金属酸化物粒子(Aa)及び有機化合物(Ab)の合計)を100質量%として、好ましくは、0.01質量%以上であり、さらに好ましくは、0.1質量%以上、特に好ましくは、1質量%以上である。金属酸化物粒子(Aa)に結合した有機化合物(Ab)の結合量が0.01質量%未満であると、組成物中における反応性粒子((A)成分)の分散性が十分でなく、得られる硬化物の透明性、耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。また、反応性粒子((A)成分)製造時の原料中の金属酸化物粒子(Aa)の配合割合は、好ましくは、5〜99質量%であり、さらに好ましくは、10〜98質量%である。
【0058】
反応性粒子((A)成分)の紫外線硬化性樹脂組成物中における配合(含有)量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、10〜90質量%の範囲内であることが好ましく、20〜80質量%の範囲であることがより好ましく、40〜80質量%の範囲であることがより好ましい。10質量%未満であると、硬化膜の硬度が不十分であるか、又は高屈折率のものが得られないことがある。90質量%を超えると、成膜性が不十分となることがある。この場合、反応性粒子((A)成分)を構成する金属酸化物粒子(Aa)の含有量は、反応性粒子((A)成分)の65〜95質量%であることが好ましい。尚、反応性粒子((A)成分)の量は、固形分を意味し、反応性粒子((A)成分)が分散液の形態で用いられるときは、その配合量には分散媒の量を含まない。
【0059】
(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
本発明で用いるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物(B−1)と、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)とを反応させて得られ、イソシアネート基/水酸基のモル比が1.1〜1.9の割合で反応させて得られるものが好ましい。
【0060】
(B−1)1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物
化合物(B−1)としては、分子内に、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含有している化合物であれば特に制限されるものではない。尚、イソシアネート基を2個以上含有すると、水酸基含有含フッ素重合体と反応させる際にゲル化を起こす可能性がある。また、上記エチレン性不飽和基としては、紫外線硬化性樹脂組成物をより容易に硬化させることができることから、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。このような化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0061】
尚、このような化合物は、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて合成することもできる。この場合、ジイソシアネートの例としては、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネ−ト、4,4’−ビフェニレンジイソシアネ−ト、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネ−ト、4−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、水添ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネ−ト、2,5(又は6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。これらの中では、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが特に好ましい。
【0062】
また、水酸基含有(メタ)アクリレートの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート等一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。尚、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、大阪有機化学(株)製商品名 HEA、日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA、PET−30、東亞合成(株)製 商品名 アロニックス M−215、M−233、M−305、M−400等として入手することができる。
【0063】
ジイソシアネート及び水酸基含有多官能(メタ)アクリレートから合成する場合には、ジイソシアネート1モルに対し、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの添加量を1〜1.2モルとするのが好ましい。
【0064】
このような化合物の合成方法としては、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを一括で仕込んで反応させる方法、水酸基含有(メタ)アクリレート中にジイソシアネートを滴下して反応させる方法等を挙げることができる。
【0065】
(B−2)水酸基含有含フッ素重合体
水酸基含有含フッ素重合体(B−2)は、下記構造単位(a)、(b)、(c)から構成されていることが好ましく、さらに構造単位(d)、(e)、(f)を含むことがより好ましい。
【0066】
構造単位(a)
構造単位(a)は、下記一般式(1)で表される。
【化18】

[式中、R1はフッ素原子、フルオロアルキル基、又は−OR2で表される基(R2はアルキル基、又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
【0067】
上記一般式(1)において、R及びRのフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基が挙げられる。また、Rのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
【0068】
構造単位(a)は、含フッ素ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような含フッ素ビニル単量体としては、少なくとも1個の重合性不飽和二重結合と、少なくとも1個のフッ素原子とを有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としてはテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン等のフルオロレフィン類;アルキルパーフルオロビニルエーテル又はアルコキシアルキルパーフルオロビニルエーテル類;パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類;パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。これらの中でも、ヘキサフルオロプロピレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)がより好ましく、これらを組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0069】
尚、構造単位(a)の含有率は、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の全体量を100モル%としたときに、20〜70モル%である。この理由は、含有率が20モル%未満になると、本願が意図するところのフッ素含有材料の光学的特徴である、低屈折率の発現が困難となる場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の有機溶剤への溶解性、透明性、又は基材への密着性が低下する場合があるためである。また、このような理由により、構造単位(a)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の全体量に対して、25〜65モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
【0070】
構造単位(b)
構造単位(b)は、下記一般式(2)で表される。
【化19】

[式中、R3は水素原子又はメチル基を、R4はアルキル基、−(CH2)x−OR5若しくは−OCOR5で表される基(R5はアルキル基、又はグリシジル基を、xは0又は1の数を示す)、カルボキシル基、又はアルコキシカルボニル基を示す]
【0071】
一般式(2)において、R又はRのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0072】
構造単位(b)は、上述の置換基を有するビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このようなビニル単量体の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビニルエーテル類;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアリルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0073】
尚、構造単位(b)の含有率は、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の全体量を100モル%としたときに、10〜70モル%である。この理由は、含有率が10モル%未満になると、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。また、このような理由により、構造単位(b)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の全体量に対して、20〜60モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
【0074】
構造単位(c)
構造単位(c)は、下記一般式(3)で表される。
【化20】

[式中、R6は水素原子、又はメチル基を、R7は水素原子、又はヒドロキシアルキル基を、vは0又は1の数を示す]
【0075】
一般式(3)において、Rのヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
【0076】
構造単位(c)は、水酸基含有ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような水酸基含有ビニル単量体の例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類、アリルアルコール等が挙げられる。また、水酸基含有ビニル単量体としては、上記以外にも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を用いることができる。
【0077】
尚、構造単位(c)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の全体量を100モル%としたときに、5〜70モル%とすることが好ましい。この理由は、含有率が5モル%未満になると、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。また、このような理由により、構造単位(c)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の全体量に対して、5〜40モル%とするのがより好ましく、5〜30モル%とするのがさらに好ましい。
【0078】
構造単位(d)及び構造単位(e)
また、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)は、さらに下記構造単位(d)を含んで構成することも好ましい。以下、構造単位(d)について説明する。
構造単位(d)は、下記一般式(4)で表される。
【化21】

[式中、R8及びR9は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はアリール基を示す]
【0079】
一般式(4)において、R又はRのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が、ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等の炭素数1〜4のフルオロアルキル基等が、アリール基としてはフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等がそれぞれ挙げられる。
【0080】
構造単位(d)は、前記一般式(4)で表されるポリシロキサンセグメントを有するアゾ基含有ポリシロキサン化合物を用いることにより導入することができる。このようなアゾ基含有ポリシロキサン化合物の例としては、下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
【0081】
【化22】

[式中、R10〜R13、R14〜R17、p、q、s、t、及びyは、上記一般式(5)と同じであり、zは1〜20の数である。]
【0082】
一般式(7)で表される化合物を用いた場合には、構造単位(d)は、下記構造単位(e)の一部として水酸基含有含フッ素重合体に含まれる。
構造単位(e)は、下記一般式(5)で表される。
【化23】

[式中、R10〜R13は水素原子、アルキル基、又はシアノ基を示し、R14〜R17は水素原子又はアルキル基を示し、p、qは1〜6の数、s、tは0〜6の数、yは1〜200の数を示す。]
【0083】
一般式(5)において、R10〜R13のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、R14〜R17のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が挙げられる。
【0084】
本発明において、上記一般式(7)で表されるアゾ基含有ポリシロキサン化合物としては、下記一般式(8)で表される化合物が特に好ましい。
【0085】
【化24】

[式中、y及びzは、上記一般式(7)と同じである。]
【0086】
尚、構造単位(d)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の全体量を100モル%としたときに、0.1〜10モル%とすることが好ましい。この理由は、含有率が0.1モル%未満になると、硬化後の塗膜の表面滑り性が低下し、塗膜の耐擦傷性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が10モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の透明性に劣り、コート材として使用する際に、塗布時にハジキ等が発生し易くなる場合があるためである。また、このような理由により、構造単位(d)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の全体量に対して、0.1〜5モル%とするのがより好ましく、0.1〜3モル%とするのがさらに好ましい。同じ理由により、構造単位(e)の含有率は、その中に含まれる構造単位(d)の含有率を上記範囲にするよう決定することが望ましい。
【0087】
構造単位(f)
また、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)は、さらに上記構造単位(f)を含んで構成することも好ましい。以下、構造単位(f)について説明する。
【0088】
構造単位(f)は、下記一般式(6)で表される。
【化25】

[式中、R18は乳化作用を有する基を示す]
【0089】
一般式(6)において、R18の乳化作用を有する基としては、疎水性基及び親水性基の双方を有し、かつ、親水性基がポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル構造である基が好ましい。
【0090】
このような乳化作用を有する基の例としては下記一般式(9)で表される基が挙げられる。
【0091】
【化26】

[式中、nは1〜20の数、mは0〜4の数、uは3〜50の数を示す]
【0092】
構造単位(f)は、反応性乳化剤を重合成分として用いることにより導入することができる。このような反応性乳化剤としては、下記一般式(10)で表される化合物が挙げられる。
【0093】
【化27】

[式中、n、m、及びuは、上記一般式(9)と同様である]
【0094】
尚、構造単位(f)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の全体量を100モル%としたときに、0.1〜5モル%とすることが好ましい。この理由は、含有率が0.1モル%以上になると、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の溶剤への溶解性が向上し、一方、含有率が5モル%以内であれば、紫外線硬化性樹脂組成物の粘着性が過度に増加せず、取り扱いが容易になり、コート材等に用いても耐湿性が低下しないためである。また、このような理由により、構造単位(f)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の全体量に対して、0.1〜3モル%とするのがより好ましく、0.2〜3モル%とするのがさらに好ましい。
【0095】
水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の分子量
水酸基含有含フッ素重合体(B−2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」という。)で、テトラヒドロフラン(以下「THF」という。)を溶剤として測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。この理由は、数平均分子量が5,000未満になると、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、数平均分子量が500,000を超えると、紫外線硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる場合がるためである。また、このような理由により、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)のポリスチレン換算数平均分子量を10,000〜300,000とするのがより好ましく、10,000〜100,000とするのがさらに好ましい。
【0096】
化合物(B−1)と水酸基含有フッ素重合体(B−2)との反応モル比
本発明で用いるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(B)は、上述した、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物(B−1)と、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が1.1〜1.9の割合で反応させて得られることが好ましい。この理由は、モル比が1.1未満になると耐擦傷性及び耐久性が低下する場合があるためであり、一方、モル比が1.9を超えると、紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜のアルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。また、このような理由により、イソシアネート基/水酸基のモル比を、1.1〜1.5とするのがより好ましく、1.2〜1.5とするのがさらに好
ましい。
【0097】
紫外線硬化性樹脂組成物中における(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量100質量%に対して、通常5〜70質量%である。この理由は、含有量が5質量%未満となると、紫外線硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の屈折率が高くなり、十分な反射防止効果が得られない場合があるためであり、一方、添加量が70質量%を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の耐擦傷性が得られない場合があるためである。また、このような理由から、(B)成分の添加量を10〜50質量%とするのがより好ましく、25〜50質量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0098】
(C)速揮発溶剤
紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる(C)速揮発溶剤は、上記(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が高い1種又は2種以上の溶剤である。ここで、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が高いとは、(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体を50質量%となるよう各溶剤に添加して、室温8時間攪拌したときに、目視で均一な溶液となることをいう。そして、(C)速揮発溶剤の相対蒸発速度は、後述の(D)遅揮発溶剤の相対蒸発速度よりも大きいことが必要である。ここで、「相対蒸発速度」とは、酢酸ブチルが90重量%蒸発するのに要する時間を基準とする蒸発速度の相対値をいい、詳細は、TECHNIQUES OF CHEMISTRY VOL.2 ORGANIC SOLVENTS Physical Properties and methods of purification 4th ed. (Interscience Publishers, Inc. 1986 page62)に記載されているとおりである。また、(C)速揮発溶剤は、上記(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を結合させてなる金属酸化物粒子((A)成分の粒子)の分散安定性が低いことが好ましい。(C)速揮発溶剤は、相対蒸発速度が(D)よりも大きく、(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が高く、かつ、(A)成分の粒子の分散安定性が低いことにより、紫外線硬化性樹脂組成物を、基材に塗布し、溶剤(C)及び(D)を蒸発させる過程で、(A)成分の粒子を偏在化させることができる。
【0099】
本発明で(C)速揮発溶剤として用いることができる溶剤としては、相対蒸発速度が概ね1.7以上の溶剤であり、具体的には、メチルエチルケトン(MEK;相対蒸発速度3.8)、イソプロパノール(IPA;1.7)、メチルイソブチルケトン(MIBK;相対蒸発速度1.6)、メチルアミルケトン(MAK;0.3)、アセトン、メチルプロピルケトン等が挙げられる。
【0100】
(D)遅揮発溶剤
紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる(D)遅揮発溶剤は、上記(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を結合させてなる金属酸化物粒子((A)成分の粒子)の分散安定性が高い、1種又は2種以上の溶剤である。ここで、(A)成分の粒子の分散安定性が高いとは、(A)成分の粒子のイソプロパノール分散液にガラス板を浸漬して(A)成分の粒子をガラス壁に付着させ、その(A)成分の粒子が付着したガラス板を各溶剤に浸漬した場合に、(A)成分の粒子が該溶剤中に目視で均一に分散することをいう。また、(D)遅揮発溶剤は、上記(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が低いことが好ましい。
【0101】
本発明で(D)遅揮発溶剤として用いることができる溶剤としては、メタノール(相対蒸発速度2.1)、イソプロパノール(IPA;1.7)、n−ブタノール(n−BuOH;0.5)、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられる。
【0102】
本発明で用いる(C)速揮発溶剤及び/又は(D)遅揮発溶剤は、通常、上記(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の製造に用いた溶剤をそのまま用いることができる。
本発明で用いる(C)速揮発溶剤と(D)遅揮発溶剤は、相溶性であることが必要である。相溶性は、組成物の具体的構成において、(C)速揮発溶剤と(D)遅揮発溶剤が分離しない程度の相溶性があれば足りる。
ここで、選択された溶剤が、本発明で用いる(C)速揮発溶剤又は(D)遅揮発溶剤のいずれに該当するかは、選択された複数の溶剤種の間で相対的に決まるものであり、それ故、相対蒸発速度が1.7のイソプロパノールは、(C)速揮発溶剤として用いられることもあれば、(D)遅揮発溶剤として用いられることもある。
【0103】
紫外線硬化性樹脂組成物中の溶剤(C)及び(D)以外の成分総量100質量部に対し、溶剤(C)及び溶剤(D)の合計量は、通常300〜5000質量部、好ましくは300〜4000質量部、より好ましくは300〜3000質量部を用いる。溶剤(C)と溶剤(D)の配合比は、1:99〜99:1の範囲で任意に選択することができる。
【0104】
(E)少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物、及び/又は、少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物
少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物(E−1)は、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物及びそれを用いた反射防止膜の耐擦傷性を高めるために用いられる。
少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物(E−2)は、紫外線硬化性樹脂組成物の屈折率を低下させるために用いられる。
【0105】
化合物(E−1)については、分子内に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、「U−15HA」(商品名、新中村化学社製)等の一種単独又は二種以上の組み合わせの他、下記式(11)で示される化合物が挙げられる。尚、これらのうち、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、下記式(11)で示される化合物が特に好ましい。
【0106】
【化28】

[式中、「Acryl」は、アクリロイル基である。]
【0107】
化合物(E−2)については、少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物であれば特に制限されるものではない。このような例として、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0108】
紫外線硬化性樹脂組成物中における成分(E)の含有量については、特に制限されるものではないが、有機溶剤を除く組成物全量100質量%に対して、通常5〜80質量%である。この理由は、添加量が5質量%未満となると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の耐擦傷性が得られない場合があるためであり、一方、添加量が80質量%を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の屈折率が高くなり、十分な反射防止効果が得られない場合があるためである。また、このような理由から、成分(E)の添加量を5〜70質量%とするのがより好ましく、5〜50質量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0109】
(F)光ラジカル重合開始剤
紫外線硬化性樹脂組成物においては、必要に応じて、放射線(光)照射により活性ラジカル種を発生させる(F)光ラジカル重合開始剤(放射線(光)重合開始剤)を配合することができる。
【0110】
放射線(光)重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
【0111】
放射線(光)重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 商品名:イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製 商品名:ルシリン TPO、UCB社製 商品名:ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製 商品名:エザキュアー KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
【0112】
本発明において必要に応じて用いられる光ラジカル重合開始剤(F)の配合量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、0.01〜10質量%配合することが好ましく、0.1〜10質量%が、さらに好ましい。0.01質量%未満であると、硬化物としたときの硬度が不十分となることがあり、10質量%を超えると、硬化物としたときに内部(下層)まで硬化しないことがある。
【0113】
(G)その他の成分
硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料、溶剤(C)及び(D)以外の溶剤等を適宜配合できる。
【0114】
2.紫外線硬化性樹脂組成物の製造方法
組成物は、次のようにして製造する。
反応性粒子分散液((A)成分)及びエチレン性不飽和基含有フッ素重合体((B)成分)、必要に応じて、多官能(メタ)アクリレート((E)成分)、放射線(光)重合開始剤((F)成分)等を攪拌機付きの反応容器に入れ35℃〜45℃で2時間攪拌し紫外線硬化性樹脂組成物とする。
溶剤を最初の反応性粒子分散液に使用した溶剤(α)と異なる種類の溶剤(β)に置換する場合は、反応性粒子分散液の溶剤(α)の質量に対して1.0倍の溶剤(β)も加え同様の条件で攪拌する。次にこの組成液を、ロータリーエバポレーターを用いて固形分濃度50%となる質量まで減圧濃縮し組成物とする。
【0115】
3.紫外線硬化性樹脂組成物の塗布(コーティング)方法
紫外線硬化性樹脂組成物は反射防止膜や被覆材の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよく、コーティング方法は、通常のコーティング方法、例えばディッピングコート、スプレーコート、フローコート、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらのコーティングによる塗膜の厚さは、乾燥、硬化後、通常0.1〜400μmであり、好ましくは、1〜200μmである。
【0116】
4.紫外線硬化性樹脂組成物の硬化方法
紫外線硬化性樹脂組成物は、放射線(光)によって硬化させることができる。その線源としては、組成物をコーティング後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、60Co等の核分裂物質を挙げることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
【0117】
活性エネルギー線を用いた場合、露光量を0.01〜10J/cm2の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、露光量が0.01J/cm2未満となると、硬化不良が生じる場合があるためであり、一方、露光量が10J/cm2を超えると、硬化時間が過度に長くなる場合があるためである。また、このような理由により、露光量を0.1〜5J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましく、0.3〜3J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0118】
紫外線硬化性樹脂組成物の硬化反応は、窒素等の嫌気的条件下において行う必要がある。その理由は酸素によりラジカル重合が阻害される結果、硬化反応が不十分となるからである。
【0119】
硬化膜は、上記紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させて得られ、2層以上の多層構造を有することを特徴とする。特に、上記(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を結合させてなる金属酸化物粒子((A)成分の粒子)が高密度に存在する1以上の層と、上記(A)成分の粒子が実質的に存在しない1以下の層からなる二層以上の層構造を有していることが好ましい。
【0120】
硬化膜は、前記紫外線硬化性樹脂組成物を種々の基材、例えば、プラスチック基材にコーティングして硬化させることにより得ることができる。具体的には、組成物をコーティングし、好ましくは、0〜200℃で揮発成分を乾燥させた後、上述の、放射線で硬化処理を行うことにより被覆成形体として得ることができる。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cmであり、より好ましくは、0.1〜2J/cmである。また、好ましい電子線の照射条件は、加圧電圧は10〜300KV、電子密度は0.02〜0.30mA/cmであり、電子線照射量は1〜10Mradである。
【0121】
紫外線硬化性樹脂組成物を塗布後、組成物中の溶剤(C)及び溶剤(D)が蒸発して乾燥する過程において、(A)成分の粒子が塗布下地側(隣接層との境界付近)又はその反対側に偏在化する。そのため、硬化膜の一方の界面付近では、((A)成分の粒子が高密度で存在し、硬化膜の他方の界面付近では、(A)成分の粒子が実質的に存在しないため、低屈折率の樹脂層が形成される。従って、紫外線硬化性樹脂組成物からなる一の塗膜を硬化させることにより、実質的に二層以上の層構造を有する硬化膜が得られる。これらの分離して形成される各層は、例えば、得られた膜の断面を電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。(A)成分の粒子が高密度に存在する層とは、(A)成分の粒子が集合している部分を指す概念であり、実質的に(A)成分の粒子を主成分として構成された層であるが、層内部に(B)成分等が共存する場合がある。他方、(A)成分の粒子が実質的に存在しない層とは、(A)成分の粒子が存在しない部分を指す概念であるが、本発明の効果を損なわない範囲で(A)成分の粒子が若干含まれていてもよい。この層は、実質的に(B)成分と(E)成分の硬化物等の(A)成分の粒子以外の成分から構成された層である。硬化膜は、多くの場合、(A)成分の粒子が高密度に存在する層と(A)成分の粒子が実質的に存在しない層がそれぞれ連続した層を形成した二層構造を有する。基材にPET樹脂(易接着層を有するPET樹脂を含む)等を用いた場合、通常は、基材である層、(A)成分の粒子が高密度に存在する層、(A)成分の粒子が実質的に存在しない層が、この順番に隣接して形成される。
【0122】
ここで、二層以上の層構造とは、「(A)成分の粒子が高密度に存在する層」と、「(A)成分の粒子が実質的に存在しない層」の両者を共に含む2以上の層からなる場合もあり、また、二以上の「金属酸化物粒子が高密度に存在する層」のみからなる場合がある。
【0123】
紫外線硬化性樹脂組成物が2種以上の(A)成分の粒子を含むときは、「(A)成分の粒子が高密度に存在する層」が2以上形成され得る。さらに、「(A)成分の粒子が高密度に存在する層」の「(A)成分の粒子」は、少なくとも1種、即ち、1種又は2種以上の「(A)成分の粒子」を意味する。紫外線硬化性樹脂組成物が2種以上の(A)成分の粒子を含む場合、一つの「(A)成分の粒子が高密度に存在する層」が、2種類以上の(A)成分の粒子から構成されていてもよい。
【0124】
紫外線硬化性樹脂組成物中の(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、熱硬化性樹脂(例えば、メラミン化合物)に比べて屈折率が低く、反射防止膜の低屈折率層として好ましい光学的特性を有している。そして、(A)反応性粒子の構成材料として、屈折率の高い金属酸化物粒子を用いることにより、さらに良好な反射防止膜を形成することができる。
【0125】
硬化膜は、高硬度であるとともに、耐擦傷性並びに基材及び基材や低屈折率層等の隣接層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る特徴を有している。また、硬化反応に熱を用いないため、熱硬化反応で生じる加水分解反応を伴わないので、得られる硬化膜の耐湿熱性に優れている。従って、硬化膜は、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜等に特に好適に用いられる。
【0126】
屈折率の変化の程度は、(A)成分の含有量、種類、(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の含有量、組成、及び(E)成分(硬化性化合物)の含有量、種類等により調整できる。
また、硬化膜の低屈折率部分における屈折率は、例えば、1.20〜1.55であり、高屈折率部分における屈折率は、1.50〜2.20である。
【実施例】
【0127】
以下の説明において「部」又は「%」は特記されていない限り「質量部」又は「質量%」を示す。
製造例1
(1)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)の合成
攪拌機付きの容器内のメルカプトプロピルトリメトキシシラン221部及びジブチルスズジラウレート1部の混合溶液に、イソホロンジイソシアネート222部を、乾燥空気中、50℃で1時間かけて滴下した後、さらに70℃で3時間攪拌した。
続いて、この反応溶液中に新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%からなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)549部を30℃で1時間かけて滴下した後、さらに60℃で10時間攪拌して反応液を得た。
この反応液中の生成物、すなわち、重合性不飽和基を有する有機化合物における残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、各反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550カイザ−の吸収ピ−ク及び原料イソシアネ−ト化合物に特徴的な2260カイザ−の吸収ピ−クが消失し、新たにウレタン結合及びS(C=O)NH−基に特徴的な1660カイザ−のピ−ク及びアクリロキシ基に特徴的な1720カイザ−のピ−クが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロキシ基と−S(C=O)NH−、ウレタン結合を共に有するアクリロキシ基修飾アルコキシシランが生成していることを示した。以上により、チオウレタン結合と、ウレタン結合と、アルコキシシリル基と、重合性不飽和基とを有する化合物(前記式(A−4)及び(A−5)で示される化合物(Ab))773部と反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート220部の組成物(A#1)(以下、この組成物を、「アルコキシシラン(1)」ということがある。)を得た。
【0128】
製造例2
(2)ウレタンアクリレート(式(11)で示される化合物)の合成
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート18.8部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物、即ち、製造例1と同様にして残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
以上により、ウレタンヘキサアクリレート化合物(前記式(11)で示される化合物)が75部得られたほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート37部が混在している組成物(A#2)を得た。
【0129】
製造例3
[シリカ粒子含有ハードコート層用組成物の調製]
製造例1で製造した重合性不飽和基を含む組成物(A#1)2.32部、シリカ粒子ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業(株)製MEK−ST、数平均粒子径0.022μm、シリカ濃度30%)91.3部(シリカ粒子として27部)、イオン交換水0.12部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.36部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子(分散液(A#3))を得た。この分散液(A#3)をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、30.7%であった。また、分散液(A#3)を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、90%であった。
【0130】
この分散液(A#3)98.6g、組成物(A#2)3.4g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.1g、IRGACURE907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)1.2g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)33.2g、シクロヘキサノン7gを混合攪拌し、シリカ粒子含有ハードコート層用組成物(固形分濃度50%)を145g得た。
【0131】
製造例4
[ジルコニア粒子含有組成物の調製]
第一稀元素化学工業(株)製、UEP−100(一次粒径10〜30nm)300部をメチルエチルケトン(MEK)700部に添加し、ガラスビーズにて168時間分散を行い、ガラスビーズを除去してジルコニア分散ゾル950部を得た。ジルコニア分散ゾルをアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ30%であった。このジルコニア分散ゾル100gに、製造例1で合成した組成物(A#1)0.86g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)13.4g、p−メトキシフェノール0.016g、イオン交換水0.033gの混合液を60℃、3時間撹拌後、オルト蟻酸メチルエステル0.332gを添加してさらに1時間同一温度で加熱撹拌することで、表面変性ジルコニア粒子の分散液116gを得た。この分散液116g、組成物(A#2)1.34g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1.26g、IRGACURE907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)0.76g、MEK2846gを混合攪拌し、ジルコニア粒子含有組成物(固形分濃度4%)を2964g得た。
【0132】
製造例5
[錫ドープ酸化インジウム(ITO)粒子含有組成物の調製]
富士化学株式会社製ITOゾル(10wt% IPAゾル)700g、DPHA29.5g、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン1g、イソプロピルアルコール(IPA)1769.5gを混合し固形分濃度4%のITO粒子含有組成物を得た。
【0133】
製造例6
[アンチモンドープ酸化錫(ATO)粒子含有組成物の調製]
ATO粒子(石原テクノ(株)製、SN−100P、一次粒径10〜30nm)、分散剤(旭電化工業(株)製、アデカプルロニックTR−701)、及びメタノールを、90/2.78/211(重量比)の配合量で混合した(全固形分含量31%、全無機含量29.6%)。ペイントシェーカの50mlポリ瓶に、ガラスビーズ40g(TOSHINRIKO製、BZ−01)(ビーズ径0.1mm)(体積約16ml)と上記混合液(30g)を入れて、3時間分散しメジアン径80nmの分散ゾルを得た。このゾル304gに組成物(A#1)5.7g、p−メトキシフェノール0.01g、イオン交換水0.12gの混合液を60℃、3時間撹拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.3gを添加してさらに1時間同一温度で加熱撹拌することで、表面変性ATO粒子の分散液を311g得た。この分散液278.3g、組成物(A#2)1.7g、ペンタエリスリトールトリアクリレート8.59g、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン0.88g、メタノール33g、プロピレングリコールモノメチルエーテル1675を混合攪拌し、ATO粒子含有組成物(固形分濃度5%)を2000g得た。
【0134】
製造例7
[AlドープZnO粒子含有組成物の調製]
酸化亜鉛粒子(堺化学製AlドープZnO粒子、一次粒径10〜20nm)、分散剤(楠本化成(株)製、ハイプラッドED151)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルを、27.6/4.8/67.6(重量比)の配合量で混合した(全固形分含量30%、全無機含量27.6%)。ペイントシェーカの50mlポリ瓶に、ジルコニアビーズ40g(ビーズ径0.1mm)と上記混合液(30g)を入れて、8時間分散しメジアン径40nmの分散ゾルを得た。このゾル290gにペンタエリスリトールトリアクリレート10g、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン0.5g、プロピレングリコールモノメチルエーテル2138gを加え混合攪拌し、酸化亜鉛粒子含有組成物(固形分濃度4%)を2438g得た。
【0135】
製造例8
[重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)が結合した反応性アルミナ、ジルコニア被覆TiO粒子ゾル(A)の製造]
アルミナ、ジルコニア被覆TiO粒子分散液(テイカ株式会社製 全固形分濃度28%、粒子濃度24%)333.7部、製造例1で製造したアルコキシシラン(1)の溶液5.4部、蒸留水0.20部、p−ヒドロキノンモノメチルエーテル0.03部を混合し、65℃で加熱攪拌した。4時間後、オルト蟻酸メチルエステル2.2部添加し、さらに1時間加熱することで、固形分32%の反応性アルミナ、ジルコニア被覆TiO粒子ゾル(A)を得た。
【0136】
製造例9
[水酸基含有含フッ素重合体(B−2)の製造]
内容積1.5Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル500g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)43.2g、エチルビニルエーテル41.2g、ヒドロキシエチルビニルエーテル21.5g、ノニオン性反応性乳化剤として「アデカリアソープNE−30」(旭電化工業株式会社製)40.5g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとして「VPS−1001」(和光純薬工業株式会社製)6.0g及び過酸化ラウロイル1.25gを加え、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフルオロプロピレン97.4gを加え、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3×10Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×10Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、固形分濃度26.4%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い220gの含フッ素重合体(B−2)を得た。
【0137】
製造例10
[エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(B1)の製造]
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、製造例9で得られた水酸基含有含フッ素重合体(B−2)を50.0g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びMIBK374gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体(B−2)がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。次いで、この系に、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート16.0gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.1gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(B1)のMIBK溶液を得た。この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.0%であった。
【0138】
製造例11
[紫外線硬化性樹脂組成物1の調製]
製造例8で得られたアルミナ、ジルコニア被覆TiO粒子ゾル(A)110g(反応性粒子として34.8g)、製造例10で得られたエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(B1)285g(エチレン性不飽和基含有フッ素重合体として42.7g)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)15.4g、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光ラジカル重合開始剤)3.9g、製造例2で得られた式(11)で示される化合物3.2g、メチルエチルケトン530g、メチルイソブチルケトン150g、ノルマルブタノール100gを加え攪拌した。得られた紫外線硬化性樹脂組成物の固形分濃度は8.4%であった。
【0139】
製造例12〜16
[紫外線硬化性樹脂組成物2〜6の調製]
各成分を表1に示す割合で配合した以外は製造例11と同様にして紫外線硬化性樹脂組成物2〜6を得た。
【0140】
実施例1
[積層体の作製]
(1)ハードコート層の作製
製造例3で調製したシリカ粒子含有ハードコート層用組成物(固形分濃度50%)を、ワイヤーバーコータ(#12)を用いて、トリアセチルセルロースフィルム(LOFO製、膜厚80μm)に塗工した後、オーブン中80℃で1分間乾燥した。続いて、空気下、高圧水銀ランプを用いて、0.6J/cmの光照射条件で紫外線を照射することにより、硬化膜層を形成した。硬化膜層の膜厚を触針式膜厚計にて測定したところ5μmであった。
【0141】
(2)中屈折率層の作製
製造例4で調製したジルコニア粒子含有組成物(固形分濃度4%)を、ワイヤーバーコーター(#3)を用いて、(1)で作製したハードコート層上に塗工した後、オーブン中80℃で1分間乾燥した。続いて、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプを用いて、0.6J/cmの光照射条件で紫外線を照射することにより、硬化膜層を形成した。硬化膜層の膜厚を反射分光計にて算出したところ65nmであった。
【0142】
(3)高屈折率層と低屈折率層の作製
製造例11〜16で得られた紫外線硬化性樹脂組成物1〜6を、それぞれ、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、(2)で作製した中屈折率層上に塗工した後、オーブン中80℃で1分間乾燥し、窒素雰囲気下、オーク製作所製コンベア式水銀ランプを用い、0.9J/cmの紫外線を照射することにより、膜厚が0.2μmの硬化膜層を形成した。
【0143】
実施例2
[積層体の作製]
(1)ハードコート層の作製
実施例1(1)と同様にして作製した。
(2)帯電防止層の作製
製造例5で調製したITO粒子含有組成物(固形分濃度4%)を、ワイヤーバーコーター(#3)を用いて、(1)で作製したハードコート層上に塗工した後、オーブン中80℃で1分間乾燥した。続いて、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプを用いて、0.6J/cmの光照射条件で紫外線を照射することにより、硬化膜層を形成した。硬化膜層の膜厚を反射分光計にて算出したところ65nmであった。
(3)中屈折率層の作製
実施例1(2)と同様にして作製した。
(4)高屈折率層と低屈折率層の作製
製造例11〜16で得られた紫外線硬化性樹脂組成物1〜6を、それぞれ、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、(3)で作製した中屈折率層上に塗工した後、オーブン中80℃で1分間乾燥し、窒素雰囲気下、オーク製作所製コンベア式水銀ランプを用い、0.9J/cmの紫外線を照射することにより、膜厚が0.2μmの硬化膜層を形成した。
【0144】
実施例3,4
[積層体の作製]
(1)帯電防止層の作製
製造例5で調製したITO粒子の代わりに、製造例6又は7で調製したATO粒子含有組成物(固形分濃度5%)又はAlドープZnO粒子含有組成物(固形分濃度4%)を、ワイヤーバーコーター(#3)を用いて、トリアセチルセルロースフィルム(LOFO製、膜厚80μm)上に塗工した後、オーブン中80℃で1分間乾燥した。続いて、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプを用いて、0.6J/cmの光照射条件で紫外線を照射することにより、硬化膜層を形成した。硬化膜層の膜厚を反射分光計にて算出したところ65nmであった。
(2)ハードコート層の作製
製造例3で調製したシリカ粒子含有ハードコート層用組成物(固形分濃度50%)を、ワイヤーバーコータ(#12)を用いて、塗工した後、オーブン中80℃で1分間乾燥した。続いて、空気下、高圧水銀ランプを用いて、0.6J/cmの光照射条件で紫外線を照射することにより、硬化膜層を形成した。
(3)中屈折率層の作製
実施例1(2)と同様にして作製した。
(4)高屈折率層と低屈折率層の作製
製造例11〜16で得られた紫外線硬化性樹脂組成物1〜6を、それぞれ、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、(3)で作製した中屈折率層上に塗工した後、オーブン中80℃で1分間乾燥し、窒素雰囲気下、オーク製作所製コンベア式水銀ランプを用い、0.9J/cmの紫外線を照射することにより、膜厚が0.2μmの硬化膜層を形成した。
【0145】
実施例5
[積層体の作製]
(1)ハードコート層の作製
実施例1(1)と同様にして作製した。
(2)高屈折率層と低屈折率層の作製
製造例11〜16で得られた紫外線硬化性樹脂組成物1〜6を、それぞれ、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、(1)で作製したハードコート層上に塗工した後、オーブン中80℃で1分間乾燥し、窒素雰囲気下、オーク製作所製コンベア式水銀ランプを用い、0.9J/cmの紫外線を照射することにより、膜厚が0.2μmの硬化膜層を形成した。
【0146】
評価例1
[積層体の評価]
実施例1〜5で得られた積層体の断面を、透過型電子顕微鏡で観察したところ、何れの積層体においても、低屈折率層と高屈折率層が2層に層分離していることが確認された。このとき、低屈折率層が金属酸化物粒子が実質的に存在しない層であり、高屈折率層が金属酸化物粒子が高密度に存在する層であった。
図11は、二層分離、分離せず(一部凝集)及び均一構造の各状態の概念を示す。
得られた反射防止用積層体の反射防止性を、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長550nmの反射率を測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、反射防止用積層体(反射防止膜)の反射率を測定した。その結果、何れの積層体も波長550nmにおける反射率が1%以下であった。
【0147】
【表1】

【0148】
表1中の略称等は、下記のものを示す。
DPPA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート;UV硬化性架橋剤(5官能)
イルガキュア369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光重合開始剤
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明の積層体の製造方法は、1の塗膜から、2以上の層を形成することができるため、二層以上の多層構造を有する積層体の製造工程を簡略化できる。従って、本発明の積層体の製造方法は、特に、反射防止膜、レンズ、選択透過膜フィルタ等の光学材料の形成に有利に用いることができる。また、得られる積層体は、フッ素含量が高い層を含むことができることを利用して、耐候性が要求される基材に対する塗料、耐候フィルム、コーティング、その他として好適に使用することができる。しかも、当該積層体は、基材に対する密着性に優れ、耐擦傷性が高く、良好な反射防止効果を付与することから、反射防止膜として極めて有用であり、各種の表示装置に適用することにより、その視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1A】「1の塗膜から形成される2以上の層」を説明するための図である。
【図1B】「1の塗膜から形成される2以上の層」を説明するための図である。
【図1C】「1の塗膜から形成される2以上の層」を説明するための図である。
【図1D】「1の塗膜から形成される2以上の層」を説明するための図である。
【図1E】「1の塗膜から形成される2以上の層」を説明するための図である。
【図2】本発明に係る一実施形態である反射防止膜の断面図である。
【図3】本発明に係る他の実施形態である反射防止膜の断面図である。
【図4】本発明に係る他の実施形態である反射防止膜の断面図である。
【図5】本発明に係る他の実施形態である反射防止膜の断面図である。
【図6】本発明に係る他の実施形態である反射防止膜の断面図である。
【図7】本発明に係る他の実施形態である反射防止膜の断面図である。
【図8】本発明に係る他の実施形態である反射防止膜の断面図である。
【図9】本発明に係る他の実施形態である反射防止膜の断面図である。
【図10】本発明に係る他の実施形態である反射防止膜の断面図である。
【図11】二層分離、分離せず(一部凝集)及び均一構造の各状態の概念を示す電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0151】
10 基材
20 ハードコート層
30 帯電防止層
40 高屈折率層
50 低屈折率層
60 中屈折率層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、その上に多層構造を有する積層体の製造方法であって、
前記基材上又は基材上に形成された層の上に、下記成分(A)〜(D)を含む紫外線硬化性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、
この1の塗膜から溶媒を蒸発させることにより、2以上の層を形成することを特徴とする積層体の製造方法。
[紫外線硬化性樹脂組成物]
(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を結合させてなる金属酸化物粒子
(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
(C)(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が高い、1種又は2種以上の溶剤(以下、「(C)速揮発溶剤」という)
(D)(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を結合させてなる金属酸化物粒子の分散安定性が高く、かつ、(C)速揮発溶剤と相溶性である、1種又は2種以上の溶剤(以下、「(D)遅揮発溶剤」という)
かつ、(C)速揮発溶剤の相対蒸発速度が、(D)遅揮発溶剤の相対蒸発速度よりも大きい
【請求項2】
前記2以上の層の各層が、金属酸化物粒子が高密度に存在する層又は金属酸化物粒子が実質的に存在しない層であって、少なくとも1層は金属酸化物粒子が高密度に存在する層であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記2以上の層が、2層であることを特徴とする請求項2に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
さらに、前記2以上の層を放射線照射することにより硬化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項5】
積層体が光学用部品であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
積層体が反射防止膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項7】
前記積層体が、基材上に、少なくとも、高屈折率層及び低屈折率層が、基材に近い側からこの順に積層されている反射防止膜であり、請求項3に記載の2層が、
高屈折率層及び
低屈折率層からなる
ことを特徴とする請求項3に記載の積層体の製造方法。
【請求項8】
低屈折率層の589nmにおける屈折率が1.20〜1.55であり、
高屈折率層の589nmにおける屈折率が1.50〜2.20であって、低屈折率層の屈折率より高いことを特徴とする請求項7に記載の積層体の製造方法。
【請求項9】
前記積層体が、基材上に、少なくとも、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層が、基材に近い側からこの順に積層されている反射防止膜であり、請求項3に記載の2層が
高屈折率層及び
低屈折率層からなる
ことを特徴とする請求項3に記載の積層体の製造方法。
【請求項10】
低屈折率層の589nmにおける屈折率が1.20〜1.55であり、
中屈折率層の589nmにおける屈折率が1.50〜1.90であって、低屈折率層の屈折率より高く、
高屈折率層の589nmにおける屈折率が1.51〜2.20であって、中屈折率層の屈折率より高いことを特徴とする請求項9に記載の積層体の製造方法。
【請求項11】
さらに、基材上に、ハードコート層及び/又は帯電防止層を形成することを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項12】
紫外線硬化性樹脂組成物において、前記(Ab)重合性不飽和基を有する有機化合物が、重合性不飽和基に加えて、下記式(A−1)に示す基を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【化1】

[式中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
【請求項13】
紫外線硬化性樹脂組成物において、前記(Ab)重合性不飽和基を有する有機化合物が、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項14】
前記(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体が、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物(B−1)と、水酸基含有含フッ素重合体(B−2)と、を反応させて得られることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項15】
前記水酸基含有含フッ素重合体(B−2)が、下記構造単位(a)20〜70モル%、(b)10〜70モル%及び(c)5〜70モル%を含んでなり、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000である請求項14に記載の積層体の製造方法。
(a)下記一般式(1)で表される構造単位。
(b)下記一般式(2)で表される構造単位。
(c)下記一般式(3)で表される構造単位。
【化2】

[式中、R1はフッ素原子、フルオロアルキル基、又は−OR2で表される基(R2はアルキル基、又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
【化3】

[式中、R3は水素原子又はメチル基を、R4はアルキル基、−(CH2)x−OR5若しくは−OCOR5で表される基(R5はアルキル基、又はグリシジル基を、xは0又は1の数を示す)、カルボキシル基、又はアルコキシカルボニル基を示す]
【化4】

[式中、R6は水素原子、又はメチル基を、R7は水素原子、又はヒドロキシアルキル基を、vは0又は1の数を示す]
【請求項16】
さらに、前記水酸基含有含フッ素重合体(B−2)が、アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記構造単位(d)0.1〜10モル%を含む請求項14又は15に記載の積層体の製造方法。
(d)下記一般式(4)で表される構造単位。
【化5】

[式中、R8及びR9は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はアリール基を示す]
【請求項17】
前記水酸基含有含フッ素重合体(B−2)が、前記構造単位(d)を下記構造単位(e)の一部として含むことを特徴とする請求項16に記載の積層体の製造方法。
(e)下記一般式(5)で表される構造単位。
【化6】

[式中、R10〜R13は水素原子、アルキル基、又はシアノ基を示し、R14〜R17は水素原子又はアルキル基を示し、p、qは1〜6の数、s、tは0〜6の数、yは1〜200の数を示す。]
【請求項18】
さらに、前記水酸基含有含フッ素重合体(B−2)が、下記構造単位(f)0.1〜5モル%を含む請求項14〜17のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
(f)下記一般式(6)で表される構造単位。
【化7】

[式中、R18は乳化作用を有する基を示す]
【請求項19】
前記化合物(B−1)が、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートである請求項14〜18のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
【請求項20】
紫外線硬化性樹脂組成物の(C)速揮発溶剤は、(B)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を結合させてなる金属酸化物粒子の分散安定性が低い、1種又は2種以上の溶剤であり、(D)遅揮発溶剤は、(A)マトリックス樹脂の溶解性が低い、1種又は2種以上の溶剤であることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項21】
紫外線硬化性樹脂組成物が、さらに、成分(E)少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物及び/又は少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項22】
紫外線硬化性樹脂組成物が、さらに、成分(F)光ラジカル重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載された積層体の製造方法により、製造された積層体。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−38199(P2007−38199A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326892(P2005−326892)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】