説明

積層体

【解決手段】プロピレン系エラストマー及び/またはスチレン系エラストマーと、ポリエステル及び/またはアクリル系樹脂及び/またはウレタン樹脂と、水からなる水分散体を含有する塗工材を塗工、乾燥して得られ、プロピレン系樹脂とポリエステルへの密着性、耐水性に優れること、またはエチレン系エラストマー及び/またはスチレン系エラストマーと、ポリエステル及び/またはアクリル系樹脂及び/またはウレタン樹脂と、水からなる水分散体。
【効果】本発明によれば、ポリプロピレンとポリエステル、ポリエチレンとポリエステル、各種樹脂の成形品、シート、フィルム同士に優れた密着性、耐水性を発現するという従来にない作用効果を有するもので、幅広い工業用途で用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種エラストマーと、ポリエステル及び/またはアクリル系樹脂及び/またはウレタン樹脂と、水からなる水分散体を含有する塗工材を塗工、乾燥して得られる、各種オレフィン系樹脂とポリエステルへの密着性、耐水性に優れた塗工層を有する積層体、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポリオレフィン、ポリエステルは一般に生産性がよく各種成形性にも優れ、しかも軽量で防錆がある等といった多くの利点があるため、自動車や船舶等の内装や外装、及び各種包装材、家電、家具、雑貨、建築の材料等として広範囲に使用されている。
とりわけ、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルは、幅広い分野で使用されており、これらを複層に重ねて使用することも多い。これらを接着する方法としては、溶剤系、水系、ホットメルトなどの接着剤を用いられる。
昨今は環境問題への意識の高まりから、水系の接着剤の開発が行われており、熱可塑性樹脂と水溶性高分子とからなる混練物を水に分散させる方法(特許文献−1)、オレフィン系樹脂とケン化ポリビニルアルコールを溶融混練して水分散体を得る方法(特許文献−2)、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の水分散体(特許文献−3)等が提案されている。
【特許文献1】特開昭51−12835号公報
【特許文献2】特開昭56−2149号公報
【特許文献3】特開2000−72879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらは水系にするために水溶性材料や界面活性剤を使用する、或いは極性が高く親水性の高い官能基を多く用いるために、塗膜の耐水性やオレフィン基材への密着性が低下するという問題が生じる。
本発明の課題は、上記問題点を改良したもので、ポリオレフィンを有する積層体を提供するものであり、詳しくは、ポリプロピレンとポリエステル、ポリエチレンとポリエステルの各種樹脂の成形品、シート、フィルム同士に優れた密着性、耐水性を発現する塗工層を有する積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究および検討を重ねてきた結果、プロピレン系エラストマー及び/またはスチレン系エラストマーと、ポリエステル及び/またはアクリル系樹脂及び/またはウレタン樹脂と、水からなる水分散体を含有する塗工材を塗工、乾燥して得られ、プロピレン系樹脂とポリエステルへの密着性、耐水性に優れること、またはエチレン系エラストマー及び/またはスチレン系エラストマーと、ポリエステル及び/またはアクリル系樹脂及び/またはウレタン樹脂と、水からなる水分散体を含有する塗工材を塗工、乾燥して得られ、エチレン系樹脂とポリエステルへの密着性、耐水性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は、以下の(1)〜(5)で特定される。
(1)プロピレン系エラストマー(A)及び/またはスチレン系エラストマー(C)と、ポリエステル(D)及び/またはアクリル系樹脂(E) 及び/またはウレタン樹脂(F)と、水からなる水分散体を含有する塗工材を塗工、乾燥して得られた塗工層を含み、一方の基材がプロピレン系の樹脂、他方の基材がポリエステルからなることを特徴とする積層体。
(2)エチレン系エラストマー(B)及び/またはスチレン系エラストマー(C)と、ポリエステル(D)及び/またはアクリル系樹脂(E)及び/またはウレタン樹脂(F)と、水からなる水分散体を含有する塗工材を塗工、乾燥して得られた塗工層を含み、一方の基材がエチレン系の樹脂、他方の基材がポリエステルからなることを特徴とする積層体。
(3)塗工材に、石油系炭化水素樹脂(G)及び/またはロジン系樹脂(H)及び/またはテルペン系樹脂(I)の水分散体を含有してなることを特徴とする(1)又は(2)に記載の積層体。
(4)プロピレン系エラストマー(A)及び/またはスチレン系エラストマー(C)10〜90重量部と、ポリエステル(D)及び/またはアクリル系樹脂(E) 及び/またはウレタン樹脂(F)10〜90重量部と、石油系炭化水素樹脂(G)及び/またはロジン系樹脂(H)及び/またはテルペン系樹脂(I)0〜50重量部からなり、(A)及び/または(C)、(D)及び/または(E)及び/または(F)、(G)及び/または(H)及び/または(I)の総合計が100重量部となる塗工材を用いてなることを特徴とする(1)に記載の積層体。
(5)エチレン系エラストマー(B)及び/またはスチレン系エラストマー(C)10〜90重量部と、ポリエステル(D)及び/またはアクリル系樹脂(E) 及び/またはウレタン樹脂(F)10〜90重量部と、石油系炭化水素樹脂(G)及び/またはロジン系樹脂(H)及び/またはテルペン系樹脂(I)0〜50重量部からなり、(B)及び/または(C)、(D)及び/または(E)及び/または(F)、(G)及び/または(H)及び/または(I)の総合計が100重量部となる塗工材を用いてなることを特徴とする(2)に記載の積層体。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ポリプロピレンとポリエステル、ポリエチレンとポリエステル、各種樹脂の成形品、シート、フィルム同士に優れた密着性、耐水性を発現するという従来にない作用効果を有するもので、幅広い工業用途で用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の詳細を説明する。
[プロピレン系エラストマー(A)]
本発明に用いられるプロピレン系エラストマー(A)としては、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体で代表される、プロピレン成分を50モル%以上含有するα−オレフィンの単独または2種類以上の共重合体が挙げられる。
これらの中でも、重量平均分子量(以下、Mwと略記する。重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定可能である。)は通常、10,000〜700,000の範囲、好ましくは30,000〜500,000である。
【0008】
[エチレン系エラストマー(B)]
本発明に用いられるエチレン系エラストマー(B)としては、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ブテン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体で代表される、エチレン成分を50モル%以上含有するα−オレフィンの単独または2種類以上の共重合体が挙げられる。
これらの中でも、重量平均分子量(以下、Mwと略記する。重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定可能である。)は通常、10,000〜700,000の範囲、好ましくは30,000〜500,000である。
【0009】
[スチレン系エラストマー(C)]
本発明に用いられるスチレン系エラストマー(C)としては、スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−共役ジエンランダム共重合体の水素添加物等が挙げられ、スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物の構成としてはスチレン−共役ジエンのジブロック共重合体の水素添加物、スチレン−共役ジエン−スチレンのトリブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。ここで用いられる共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
【0010】
上記の中でも、スチレン−イソプレン−スチレンのトリブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエン−スチレンのトリブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体の水素添加物が好ましい。
ここで用いられるスチレンの含有量は、通常2〜60重量%、より好ましくは3〜45重量%の範囲のものである。
また、その重量平均分子量(以下、Mwと略記する)が10,000〜700,000の範囲が好ましく、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体の水素添加物またはスチレン−ブタジエン−スチレンのトリブロック共重合体の水素添加物では、10,000〜500,000が好ましい。また、スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物では10,000〜700,000、さらには50,000〜500,000が好ましい。
【0011】
上記のエラストマーは、単独或いは2種以上併用して用いることができる。
上記のプロピレン系エラストマー(A)、エチレン系エラストマー(B)、スチレン系エラストマー(C)は、酸変性ポリオレフィン(J)の塩および/または高級脂肪酸(K)の塩を用いて、以下の方法で水に分散できる。
【0012】
本発明に用いられる酸変性ポリオレフィン(J)の塩としては、ポリオレフィンの重合体鎖に結合したカルボン酸の塩の基(部分中和物ないし部分ケン化物の時はカルボン酸基を含む)を、樹脂1グラム当たり、−COO−基として0.05〜5ミリモル、好ましくは0.1〜4ミリモルの濃度で含むオレフィン系樹脂である。
酸変性ポリオレフィン(J)は、たとえばポリオレフィンに、中和されているか中和されていないカルボン酸基を有する単量体、および/又はケン化されているかケン化されていないカルボン酸エステルを有する単量体を、グラフト共重合することにより得ることができる。
【0013】
前記の酸変性ポリオレフィン(J)の分子量は、GPCにより測定される数平均分子量(Mn)が500〜10000の範囲にある、オレフィンの単独又は2種以上の共重合体が好ましい。オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等を挙げることができる。これらの中でも、プロピレン系エラストマー(A)の場合はプロピレン単独重合体、プロピレン・オレフィン共重合体が、エチレン系エラストマー(B)の場合はエチレン単独重合体、エチレン・オレフィン共重合体が、スチレン系エラストマー(C)の場合はエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン・オレフィン共重合体、プロピレン・オレフィン共重合体が好ましい。
【0014】
中和されているか中和されていないカルボン酸基を有する単量体、およびケン化されているかケン化されていないカルボン酸エステル基を有する単量体としては、たとえば、エチレン系不飽和カルボン酸、その無水物又はそのエステルなどが挙げられる。
ここでエチレン系不飽和カルボン酸としては(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが、その無水物としてはナジック酸TM(エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などが、不飽和カルボン酸エステルとしては上記エチレン系不飽和カルボン酸のメチル、エチルもしくはプロピルなどのモノエステル又はジエステルなどが例示できる。これらの単量体は単独で用いることもできるし、また複数で用いることもできる。
【0015】
上記の単量体から選ばれるグラフト単量体を被グラフト重合体にグラフト共重合して変性物を製造するには、従来公知の種々の方法を採用することができる。例えば、被グラフト重合体を溶融させグラフト単量体を添加してグラフト共重合させる方法、あるいは有機溶媒に溶解させグラフト単量体を添加してグラフト共重合させる方法等があげられる。いずれの場合にも、前記グラフト単量体を効率よくグラフト共重合させるためには、重合開始剤(L−1)の存在下に反応を実施することが好ましい。
グラフト反応は通常60〜350℃の温度で行われる。重合開始剤の使用割合は被グラフト重合体100重量部に対して、通常0.01〜20重量部の範囲である。
【0016】
ここで用いられる重合開始剤(L−1)としては、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエイト、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシド)ヘキサン、tert−ブチルベンゾエート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピベレート、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタ酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオアミド)等のアゾ化合物が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0017】
これらの重合開始剤の中でもジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルペルオキシドが好ましい。
【0018】
中和およびケン化に用いる塩基性物質(M)としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、ヒドロキシルアミン、水酸化アンモニウムなどの無機アミン、メチルアミン、エタノールアミンなどの有機アミン、アンモニア、酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の弱酸塩を挙げることができる。
塩基物質により中和又はケン化されたカルボン酸基あるいはカルボン酸エステル基としては、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩又はカルボン酸アンモニウムが好適である。
【0019】
本発明で使用される高級脂肪酸(K)の塩としては、炭素数25〜60の脂肪酸の塩が好ましく、より好ましくは炭素数25〜40の脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩が挙げられ、好ましくは、モンタン酸、オレイン酸のアルカリ金属塩である。
【0020】
高級脂肪酸(K)の塩は、高級脂肪酸の塩のほかに、高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸のエステルを含んでいてもよい。エステルを構成するアルコール残基は、炭素数2〜30であるのが好ましく、炭素数6〜20であるのが特に好ましい。残基は直鎖状でも、分岐状でも差し支えない。炭素数が異なるものの混合物であっても良い。アルコール残基として、具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールの残基を挙げることができる。モンタン酸のエステルワックス、モンタンロウが特に好適である。
高級脂肪酸(K)の塩は、上記の高級脂肪酸を中和及び/又は上記の高級脂肪酸エステルをケン化して得ることができる。この際、中和もしくはケン化されていない脂肪酸又は脂肪酸エステルが共存する部分中和物ないし部分ケン化物であってもよい。中和及びケン化に用いることのできる塩基性物質は、前記酸変性ポリオレフィン(J)の塩で挙げたものと同様なものを例示できる。
【0021】
さらに、水への分散安定性を向上させるために、各種界面活性剤(N)を使用することができる。例えば、アルキルナフタレンスルホン酸塩および金属石鹸(Zn、Al、Na、K塩)などのアニオン系界面活性剤、脂肪酸モノグリセライドなどのノニオン系界面活性剤、アルキルアンモニウムクロライド、両性界面活性剤並びに水溶性多価金属塩類などが挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。この界面活性剤(N)の使用量は、各種エラストマーに対し、0.05〜40重量%程度が好ましく、0.1〜20重量%がさらに好ましく、特に0.1〜10重量%が好ましい。
【0022】
本発明で用いる各種エラストマーの水分散体は、前記各成分は一定の量比の範囲で含有することが望ましい。すなわち、各種エラストマー100重量部に対して、酸変性ポリオレフィン(J)の塩及び/又は高級脂肪酸(K)の塩は0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%含まれることが望ましい。
また、所望により添加される界面活性剤(N)は、各種エラストマー100重量部当たり0.1〜40重量部、特に0.2〜20重量部の間で配合するのがよい。
【0023】
また、水分の含有量は各種エラストマーに対して1〜25重量%、好ましくは1〜20重量%である。水分含有量が1重量%未満では、転相(水により樹脂固形分が連続相から分散相に変わること)が起り難く、好適な水分散体が得られない。また25重量%を超えると、水性分散体が流動性を持つようになる。つまり、1〜25%の範囲にすることにより、見かけ上固体の水分散体とすることができる。
【0024】
上記のような水分散体は、前記各種エラストマーと前記酸変性ポリオレフィン及び/又は前記脂肪酸及び/又は前記脂肪酸エステルを溶融混練した後に、塩基性物質(M)と水を添加後、さらに溶融混練し、中和及び/又はケン化と、前記エラストマーの水相への分散(転相)を行う方法や、予め、前記酸変性ポリオレフィン及び/又は前記脂肪酸及び/又は前記脂肪酸エステルに塩基性物質として水を添加して、中和及び/又はケン化し、これを前記エラストマーと溶融混練した後、さらに水を添加して、溶融混練を行って前記エラストマーの水相への分散(転相)を行う方法で製造されることが好ましい。
【0025】
前者の方法が簡便で、かつ粒子直径が小さく均一なものが得られるので好ましい。転相に利用する溶融混練手段は公知のいかなるものでも良いが、好適には、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機を例示することができる。
中和又はケン化のための前記塩基性物質添加量の割合は、全カルボン酸又はカルボン酸エステルの60〜200%、好ましくは80〜170%である。
また、溶融混練と転相によって得た水分散体には、水が1〜25%含有されているが、この水分含有量のまま、或いはこれに水を補給し粘度を下げ、得ることができる。
【0026】
[ポリエステル(D)]
本発明に使用されるポリエステル(D)としては、芳香族系ポリエステル、脂肪族系ポリエステル、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステルなどのポリエステルが挙げられる。これらは、主に酸成分単量体(O)とアルコール成分単量体(P)の重縮合体である。
【0027】
酸成分単量体(O)としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸類、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、安息香酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、スベリン酸、ブラシリック酸、ドデカンジカルボン酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、トリシクロデカンジカルボン酸、テトラヒドロテレフタル酸、及びテトラヒドロオルソフタル酸など、あるいはこれらの酸のメチルエステル、または無水物なども用いることができる。これらの中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水トリメリット酸が好適に使用され、これらの酸成分単量体は単独で、あるいは複数の組み合わせで用いることができる。
【0028】
アルコール成分単量体(P)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノール系エチレンオキサイド付加物、ビスフェノール系プロピレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、スピログリコール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、レゾルシノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどが用いられ、中でもエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールが好適に使用され、これらのアルコール成分単量体は単独で、あるいは複数の組合せで用いることができる。
【0029】
本発明に用いるポリエステルは、溶融重合法、溶液重合法、固相重合法などの公知の方法などで製造する事ができる。得られたポリエステルを水に分散させる方法は特に限定はないが、ポリエステル中に酸等の塩基性物質で中和可能な官能基を含有させたものを有機溶剤(Q)に溶解し、塩基性物質(M)で中和した後、有機溶剤(Q)を除去する方法や、有機溶剤(Q)に溶解し、乳化剤(R)の存在下、機械的にせん断をかけて水に分散した後、有機溶剤(Q)を除去する方法や、乳化剤(R)と溶融混練し、これに水または塩基性物質(M)の水溶液を添加して該樹脂原料を水に分散させる方法や、または前記の各種エラストマーの水分散体を得る方法と同様の手法等が挙げられる。
【0030】
本発明に用いる有機溶剤(Q)としては、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、n−酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3メトキシブチルアセテート等のエステル系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒等の有機溶剤を用いることができ、またこれらの2種以上からなる混合物であっても構わない。
【0031】
これら酸等を塩基性物質で中和する方法では、ポリエステルの酸価は1〜80KOHmg/gが好ましく、さらには3〜70KOHmg/gが好ましい。
また、有機溶剤(Q)存在下で乳化剤(R)を用いる方法や、乳化剤(R)と溶融混練する方法では、乳化剤の添加量は0.1〜25重量部%の範囲が好ましく、更には0.5〜20重量部%の範囲が好ましい。
ここで用いられる乳化剤(R)は、酸変性ポリオレフィン(J)、界面活性剤(N)、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、スルホン酸塩含有のポリエステル(S)などが挙げられ、これらの2種以上を併用しても構わない。
【0032】
本発明で用いるスルホン酸塩含有のポリエステル(S)としては、主に酸成分単量体(O)とアルコール成分単量体(P)の重縮合体であるが、重合体に結合したスルホン酸塩を含有するポリエステルである。スルホン酸含有成分単量体として5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5−(p−スルホフェノキシ)イソフタル酸、5−(スルホプロポキシ)イソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホプロピルマロン酸、スルホコハク酸、2−スルホ安息香酸、3,2−スルホ安息香酸、5−スルホサリチル酸及びこれらカルボン酸のメチルエステル類、またこれらスルホン酸の金属塩類やアンモニウム塩類などが用いられ、中でも5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩、または5−スルホイソフタル酸ジメチルのナトリウム塩が好適に使用される。
【0033】
またこれらスルホン酸含有成分単量体は、スルホン酸塩含有のポリエステルが重合体1グラム当たり−SO基換算で0.1〜1.5ミリモル当量の濃度で含有するに相当する量を使用することが好ましく、0.2〜1.0ミリモル当量の濃度で含有するに相当する量を使用することがさらに好ましい。
本発明で用いる溶融混練の手段は公知のいかなるものでも良いが、好適には、ニーダー、バンバリーミキサー、一軸押出機、二軸押出機を例示することができる。
【0034】
[アクリル系樹脂(E)]
本発明に使用されるアクリル系樹脂(E)は、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマーからなる樹脂であり、これら共重合性モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウロイル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等の水酸基含有ビニル類、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有ビニル類及びこれらのモノエステル化物、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル類、ビニルイソシアナート、イソプロペニルイソシアナート等のイソシアナート基含有ビニル類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド等のアミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジエチルアミノエチル(メタアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N、N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ソーダ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、モノ(2−メタクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート等の不飽和リン酸類、その他アクリロニトリル、メタクリルニトリル、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、エチレン、プロピレン、C〜C20のα−オレフィン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。また、前記単量体、或いはその共重合体をセグメントに有し、末端にビニル基を有するマクロモノマー類等も使用できる。
【0035】
また、本発明に用いられるその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマーとしては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の無水カルボン酸類等が挙げられる。
また、ここに記載されたメチル(メタ)アクリレートのような記載は、メチルアクリレート及びメチルメタアクリレートを示す。
【0036】
本発明に使用されるα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマーからなる樹脂の水分散体を製造方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、有機溶剤(Q)中で共重合性モノマーと重合開始剤(L−1)を重合させる溶液重合等で得られた樹脂溶液に、塩基性物質(M)、イオン交換水を添加後、有機溶剤を除去する方法や、水中で界面活性剤(N)、重合開始剤(L−2)存在下、共重合性モノマーを重合する乳化重合法等、公知の方法や、または有機溶剤(Q)中で共重合性モノマーと重合開始剤(L−1)を重合させる溶液重合等で得られた樹脂溶液の溶剤を脱溶剤した樹脂を、前記の各種エラストマーの水分散体を得る方法などで水に分散させる方法等で製造することができる。
【0037】
本発明のα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマーからなる樹脂を得る方法で、前者のような場合、共重合性モノマーに塩基性物質(M)で中和し得る酸性基を含有する必要がある。具体的には、共重合性モノマーに記載のカルボキシル基含有ビニル類を用いる、樹脂の酸価としては、4KOHmg/g以上が好ましく、さらに好ましくは7KOHmg/g以上である。酸価が4KOHmg/g未満になると、親水性が低くなり水性化が困難となる。前記記載の酸価は、溶剤を除いた樹脂(ソリッド)での値である。
本発明のα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマーからなる樹脂を合成するのに用いる。
【0038】
また、重合開始剤(L−2)としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、前記に記載した重合開始剤(L−1)、或いはこれらと鉄イオン等の金属イオン及びナトリウムスルホキシレート、ホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤との組合せによるレドックス開始剤等が挙げられ、これらの1種もしくは2種類以上を用いることができる。
これら重合開始剤の使用量は通常、単量体の総量に対して0.1〜10重量%である。
さらに水への安定性を向上させるために、上記の界面活性剤(N)を使用することができる。
【0039】
本発明で用いられるα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマーからなる樹脂としては、DSCによる測定のTgが−60℃〜80℃が好ましく、さらに好ましくは−30℃〜50℃である。また、GPCによる重量平均分子量は1000〜500000が好ましく、さらには5000〜200000が好ましい。
【0040】
[ウレタン樹脂(F)]
本発明に使用されるウレタン樹脂(F)を構成する成分である、多官能イソシアネート化合物としては、例えばエチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネートなどの各種脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4´−ジシクロヘキシルメタン−ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナト−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、ダイマ酸ジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、ポリメリックMDI、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4´−トリイソシアネート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、などの芳香族ポリイソシアネート、チオジエチルジイソシアネート、チオプロピルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、ジメチルスルフォンジイソシアネート、などの含硫脂肪族イソシアネート、ジフェニルスルフィド−2,4´−ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4´−ジイソシアネート、などの芳香族スルフィド系イソシアネート、ジフェニルジスルフィド−4,4´−ジイソシアネート、2,2´−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5´−ジイソシアネートなどの脂肪族ジスルフィド系イソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4´−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−3,3´−ジイソシアネート、などの芳香族スルホン系イソシアネート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4´−イソシアナトフェノールエステル、などのスルホン酸エステル系イソシアネート、4,4´−ジメチルベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4´−ジイソシアネート、4,4´−ジメトキシベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3´−ジイソシアネート、などの芳香族スルホン酸アミド系イソシアネート、チオフェン−2,5−ジイソシアネート、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアネートなどの含硫複素環化合物等が挙げられる。
【0041】
またこれらのアルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等も使用できるが、上記化合物以外の多官能イソシアネート化合物を使用してもかまわない。また、これらの多官能イソシアネート化合物は、1種または2種以上の混合物で使用することもできる。
【0042】
上記化合物のうち、得られた樹脂、及びそれを塗工し皮膜形成させた後の皮膜の耐黄変性、熱安定性、光安定性の点、又は多官能イソシアネート化合物の入手のし易さの面から、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環族ポリイソシアネート化合物が好ましく、それらの中でもヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5−ビスイソシアナートメチルノルボルナン、2,6−ビスイソシアナートメチルノルボルナン及びこれらの誘導体が特に好ましい。
【0043】
多官能イソシアネート化合物と反応し得る活性水素基を、1分子中に、少なくとも2個有する活性水素化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。ポリオール化合物:エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−ジメタノール、ビシクロ[4.3.0]−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール等の脂肪族ポリオール、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ビスフェノールS等の芳香族ポリオール、ジブロモネオペンチルグリコール等のハロゲン化ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリエーテルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、シリコンポリオール、フランジメタノール、更に、シュウ酸、アジピン酸、酢酸、フタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸等の有機酸と前記ポリオールとの縮合反応生成物、前記ポリオールとエチレンオキシドや、プロピレンオキシド等アルキレンオキシドとの付加反応生成物、アルキレンポリアミンとアルキレンオキシドとの付加反応生成物、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、及びこれらのカプロラクトン変性品、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール等が挙げられる。
【0044】
これらの中で、ポリエステル骨格を有するポリエステルポリオールが密着性の点で好ましい。
【0045】
この他、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等のポリアミノ化合物、セリン、リジン、ヒスチジン等のα−アミノ酸も使用することができる。
【0046】
本発明において活性水素化合物は、分岐骨格を有さない直鎖構造の化合物を使用する事が好ましく、更に、融点(Tm)が40℃以下であるようなポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオールおよびこれらの共重合体や混合物を、全活性水素化合物100重量部中、50重量部以上98重量部以下使用することが好ましい。50重量部未満であると、水性塗工材から得られた皮膜の風合いが悪化する傾向にあり、98重量部を超えると、皮膜強度、硬度が低下する傾向にある。これらの化合物はそれぞれ単独で、また、2種類以上混合して用いても良い。
【0047】
また、本発明に用いられるウレタン樹脂(F)を水へ安定に分散させるためには、公知の材料、安定化技術を用いる事が出来るが、分子中にカルボキシル基、スルホニル基およびエチレンオキシド基を一種以上有している事が好ましく、カルボキシル基および/またはスルホニル基を一種以上有していることがより好ましい。
【0048】
これらの原子団を導入する構成成分としては、例えば2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、ポリエチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの重付加物、エチレングリコールと前記活性水素化合物との重合体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。分子中にこれらの原子団を導入することで、樹脂の機械的安定性、他成分との混和安定性が向上する傾向にある。
【0049】
上記のカルボキシル基および/またはスルホニル基含有化合物を用いる際の好ましい量は、ウレタン樹脂の水分散体の固形分換算における酸価が2〜35KOHmg/g、より好ましくは3〜30KOHmg/gの範囲内である。上記酸価の範囲未満であると、樹脂の機械的安定性が傾向にある。
【0050】
ウレタン樹脂(F)の製造方法は、特に制限されるものではないが以下のような方法が挙げられる。多官能イソシアネート化合物、前記活性水素化合物中における、イソシアネート基と反応し得る活性水素基を有する化合物、および前記化合物中のイソシアネート基と反応し得る活性水素基を有し、且つ分子中にカルボキシル基、スルホニル基またはエチレンオキシド基を有する少なくとも1種の化合物を、イソシアネート基が過剰になるような当量比で、適当な有機溶剤の存在下または非存在下に反応させ、分子末端にイソシアネート基を有したウレタンプレポリマーを製造し、その後、上記プレポリマー中にカルボキシル基及びまたはスルホニル基を有するものは、三級アミン等の中和剤により中和、ついで、この中和プレポリマーを、鎖伸長剤含有の水溶液中に投入して反応させた後、系内に有機溶剤を含有する場合はそれを除去し得る方法や、上記の方法で得た未中和のウレタンプレポリマーを、中和剤を含有し、かつ鎖伸長剤をする水溶液中に投入して反応させて得る方法や、前記の方法で得た中和済みのウレタンプレポリマー中に、鎖伸長剤を有する水溶液を加え、反応させて得る方法や、前記の方法で得た未中和のウレタンプレポリマー中に、中和剤を含有し、かつ鎖伸長剤を有する水溶液を加え、反応させて水分散液を得る方法等がある。
【0051】
本発明に用いられる中和剤としては、特に制限されるものではないが、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミンのようなアルカノールアミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピリジン、N−メチルイミダゾール、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンのような3級アミン類、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのようなアルカリ金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのような4級アンモニウム化合物が挙げられ、これらの化合物は1種、または2種以上の混合物として使用することができる。
【0052】
前記中和剤の使用量は、好ましくは前記カルボキシル基およびまたはスルホニル基を有するポリウレタン樹脂中のカルボキシル基およびまたはスルホニル基1当量に対し、0.5〜3当量、より好ましくは0.7〜1.5当量である。前記範囲未満であると、ウレタン樹脂(F)の水中における安定性が低下する傾向にある。
【0053】
本発明に用いられる鎖伸長剤としては、例えば、水、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、α,α´−メチレンビス(2−クロルアニリン)、3,3´−ジクロル−α,α´−ビフェニルアミン、m−キシレンジアミン、イソフォロンジアミン、NBDA(商品名、三井化学株式会社製)、N−メチル−3,3´−ジアミノプロピルアミン、及びジエチレントリアミンとアクリレートとのアダクトまたはその加水分解生成物等のポリアミン類が適当である。
【0054】
上記ウレタン樹脂(F)の水分散体を得る際に使用する溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン等が挙げられるが、溶剤の沸点が100℃以下のものであれば特に限定されるものではなく、これらの溶剤は単独で、または2種類以上の混合状態で用いることが出来る。溶剤の沸点が100℃を超える、すなわち水の沸点を超える溶剤の使用は、水分散体形成後の溶液から溶剤のみを完全に留去する事が困難になり、皮膜中へ高沸点溶剤が残存し物性へ影響するので、性能発現のため止むを得ず使用する場合には、ウレタン樹脂(F)の水分散体100重量部に対し10重量部以下で用いることが好ましい。
【0055】
また、本発明で用いられるウレタン樹脂(F)の水分散体は、他の単量体、樹脂成分等の他成分と反応させることによって変性体としても使用できる。さらに、本発明で得られたウレタン樹脂(F)の水分散体中において、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、アクリロニトリル、ブタジエン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、イタコン酸、マレイン酸等の少なくとも1種以上のモノマーを重合させた複合体としても使用できる。
【0056】
このようにして得られたウレタン樹脂(F)の水分散体の中でも、破断伸び率が0.1〜800%が好ましい。
さらに水への安定性を向上させるために、上記の界面活性剤(N)を使用することができる。
【0057】
[石油系炭化水素樹脂(G)]
本発明で用いられる石油系炭化水素樹脂(G)としては、例えば、タールナフサのC5留分を主原料とする脂肪族系石油樹脂、C9留分を主原料とする芳香族系石油樹脂およびそれらの共重合系脂環族である。C5系石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分を重合した樹脂)、C9系石油樹脂(ナフサ分解油のC9留分を重合した樹脂)、C5C9共重合石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分とC9留分を共重合した樹脂)が挙げられ、タールナフサ留分のスチレン類、インデン類、クマロン、その他ジシクロペンタジエン等を含有しているクマロンインデン系樹脂、ρ−ターシャリブチルフェノールとアセチレンの縮合物に代表されるアルキルフェノール類樹脂、ο−キシレン、ρ−キシレン、m−キシレンをホルマリンと反応させたキシレン系樹脂等も挙げられる。これらは単独または2種類以上で組み合わせて使用することができる。これらの中でも、GPCによる測定で重量平均分子量が1,000〜50,000の石油系炭化水素樹脂が好ましく、なかでも1,500〜30,000が好ましい。また、これらの樹脂に極性基を有するものはさらに好ましい。
【0058】
[ロジン系樹脂(H)]
本発明で用いられるロジン系樹脂(H)としては、天然ロジン、重合ロジン、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸等で変性した変性ロジンが挙げられる。また、ロジン誘導体としては、前記のロジン類のエステル化物、フェノール変性物およびそのエステル化物等が挙げられ、これらの水素添加物も挙げることができる。
【0059】
[テルペン系樹脂(I)]
本発明で用いられるテルペン系樹脂(I)としては、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン、テルペンフェノール、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド等からなる樹脂が挙げられ、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン等にスチレン等の芳香族モノマーを重合させた芳香族変性のテルペン系樹脂等が挙げられ、これらの水素添加物も挙げることができる。中でもテルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、およびこれらの水素添加物が好ましい。
【0060】
本発明では、石油系炭化水素樹脂(G)、ロジン系樹脂(H)、テルペン系樹脂(I)を併用して使用することもできる。
【0061】
これらは、それぞれを公知の方法で水に分散させたものを混合して用いることもできるが、プロピレン系エラストマー(A)やエチレン系エラストマー(B)やスチレン系エラストマー(C)やポリエステル(D)やアクリル系樹脂(E)やウレタン樹脂(F)と混合した後、水に分散させて用いることもできる。
【0062】
本発明は、一方の基材がプロピレン系の樹脂、他方の基材がポリエステルからなる場合は、上記に記載したプロピレン系エラストマー(A)及び/またはスチレン系エラストマー(C)10〜90重量部と、ポリエステル(D)及び/またはアクリル系樹脂(E) 及び/またはウレタン樹脂(F)10〜90重量部と、石油系炭化水素樹脂(G)及び/またはロジン系樹脂(H)及び/またはテルペン系樹脂(I)0〜50重量部からなり、(A)及び/または(C)、(D)及び/または(E)及び/または(F)、(G)及び/または(H)及び/または(I)の総合計が100重量部となるように混合することが好ましく、(A)及び/または(C)20〜80重量部と、(D)及び/または(E) 及び/または(F)20〜80重量部と、(G)及び/または(H)及び/または(I)0〜50重量部からなり、(A)及び/または(C)、(D)及び/または(E)及び/または(F)、(G)及び/または(H)及び/または(I)の総合計が100重量部となるように混合することがさらに好ましい。
【0063】
また、一方の基材がエチレン系の樹脂、他方の基材がポリエステルからなる場合は、上記に記載のエチレン系エラストマー(B)及び/または(C)10〜90重量部と、(D)及び/または(E) 及び/または(F)10〜90重量部と、(G)及び/または(H)及び/または(I)0〜50重量部からなり、(B)及び/または(C)、(D)及び/または(E)及び/または(F)、(G)及び/または(H)及び/または(I)の総合計が100重量部となるように混合することが好ましく、(B)及び/または(C)20〜80重量部と、(D)及び/または(E) 及び/または(F)20〜80重量部と、(G)及び/または(H)及び/または(I)0〜50重量部からなり、(B)及び/または(C)、(D)及び/または(E)及び/または(F)、(G)及び/または(H)及び/または(I)の総合計が100重量部となるように混合することがさらに好ましい。
【0064】
本発明に用いられる基材の形状に特に限定はないが、少なくとも一方がシート或いはフィルム状であることが好ましい。
【0065】
その他必要に応じて、滑性付与剤(例えば、合成ワックス、天然ワックス等)、粘接着性付与剤、架橋剤、成膜助剤、レベリング剤、粘弾性調整剤、濡れ剤、難燃剤(例えば、ポリリン酸アンモニウム等のリン含有樹脂、リン酸エステル、メラミン、ホウ酸亜鉛、水酸化マグネシウム等)、安定化剤、防錆剤、防かび剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、起泡剤、消泡剤、湿潤剤、凝固剤、ゲル化剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤、沈降防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、顔料(例えば、チタン白、ベンガラ、フタロシアニン、カーボンブラック、パーマネントイエロー等)、充填剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、タルク、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、カオリン、雲母、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム等)、有機溶剤、油(鉱物系潤滑油、鉱物油、合成油、植物油等)などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
【0066】
これらの添加剤は単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。また、このような添加剤は、上記で得られた各種エラストマーを水に分散させる際に用いてもよいが、水に分散させた後に添加してもよい。
また、本発明のうちで、活性水素及び/又は水酸基を持つ組成物は、活性水素及び/又は水酸基と反応可能な硬化剤を用いることができる。
【0067】
例えば、分子内にイソシアナート基を有する硬化剤と混合することで、ウレタン結合を有する積層体を得ることができる。前記の硬化剤としては、イソシアナート基が、オキシム類、ラクタム類、フェノール類等のブロック剤で処理したものが水中に存在するようなタケネートWBシリーズ(三井武田ケミカル(株)製)、エラストロンBNシリーズ(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
【0068】
また、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル等の少なくとも1種と、ホルムアルデヒドから合成される樹脂であって、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコールによってメチロール基の1部または全部をアルキルエーテル化したようなアミノ樹脂も硬化剤として使用することができる。
【0069】
更には、オキサゾリン化合物を硬化剤として用いることもできる。前記の硬化剤としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン等を挙げることができる。
【0070】
本発明の塗工材と活性水素及び/又は水酸基と反応可能な硬化剤は任意の割合で使用する事ができる。
活性水素及び/又は水酸基と反応可能な硬化剤がイソシアナート基を有する硬化剤である場合の配合割合は、活性水素とイソシアナート基の当量比で0.5:1.0〜1.0:0.5の範囲が好ましく、0.8:1.0〜1.0:0.8の範囲が更に好ましい。
また、活性水素及び/又は水酸基と反応可能な硬化剤がアミノ樹脂である場合は、本発明の塗工材/アミノ樹脂のソリッドの重量比で95/5〜20/80の範囲で用いるのが好ましく、90/10〜60/40の範囲が更に好ましい。
【0071】
更には、活性水素及び/又は水酸基と反応可能な硬化剤がオキサゾリン化合物である場合は、本発明の塗工材/アミノ樹脂のソリッドの重量比で95/5〜20/80の範囲で用いるのが好ましく、90/10〜60/40の範囲が更に好ましい。
【0072】
上記に記載の硬化剤を混合したものは、そのままでも塗工し硬化させることもできるが、必要に応じて反応性触媒を併用することもできる。
本発明の材料の塗布方法は特に限定するものではないが、スプレー、カーテンコーター、フローコーター、ロールコーター、グラビアコーター、刷毛塗り、浸漬等の方法で行うことができる。塗布は通常、常温にて容易に行なうことができ、また塗布後の乾燥方法についても特に限定はなく、自然乾燥や加熱強制乾燥等、適宜の方法で乾燥することができる。
塗工層の厚さは、積層体の用途等によって適宜選択されるため特に限定されるものではない。
【0073】
これらの積層体は、プロピレン系樹脂とポリエステル、エチレン系樹脂とポリエステル、プロピレン系樹脂とエチレン系樹脂の間に挟まれた状態で存在し、これらの基材の少なくとも一方は、フィルムやシートであることが好ましい。
また、これらの積層体のさらに未塗工側にも塗工層を設けることができる。基材がプロピレン系樹脂の場合はプロピレン系エラストマーを、基材がエチレン系樹脂の場合はエチレン系エラストマーを、基材がポリエステルの場合はポリエステル系を30重量%以上含有させたものを塗工して積層体を構成することができる。
【実施例】
【0074】
以下、本発明の組成物の製法および各種試験例を挙げ、更に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
プロピレン系エラストマー(A)の水分散体
プロピレン系エラストマー(A)の水分散体は、プロピレン系エラストマー(A)としてプロピレン−ブテン−エチレン共重合体(デグサジャパン株式会社製、VESTOPLAST792)100重量部、酸変性ポリプロピレン(J)として無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックス(三井化学株式会社製、ハイワックスNP0555A)10重量部および高級脂肪酸(K)としてオレイン酸カリウム3重量部とを混合したものを、2軸スクリュー押出機(池貝鉄工株式会社製、PCM−30,L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウムの20%水溶液を90g/時間の割合で連続的に供給し、加熱温度210℃で連続的に押出した。押出された樹脂混合物は、同押出機口に設置したジャケット付きスタティックミキサーで110℃まで冷却され、さらに80℃の温水中に投入され得た。得られた水分散体は、収率:99%、固形分濃度:45%、pH:11で、平均粒径:0.5μm(マイクロトラックの測定)であった。
【0075】
エチレン系エラストマー(B)の水分散体
プロピレン系エラストマー(A)を、エチレン−ブテン共重合体(三井化学株式会社製、タフマーA20085)に変更した以外は、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体と同様の方法でエチレン系エラストマー(B)の水分散体を得た。得られた水分散体は、収率:99%、固形分濃度:45%、pH:11、平均粒径:0.5μmであった。
【0076】
スチレン系エラストマー(C)の水分散体
プロピレン系エラストマー(A)を、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(旭化成ケミカルズ株式会社製、タフテックH1041)に変更した以外は、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体と同様の方法でスチレン系エラストマー(C)の水分散体を得た。得られた水分散体は、収率:99%、固形分濃度:45%、pH:11、平均粒径:0.5μmであった。
【0077】
ポリエステル(D−1)の水分散体
攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒素導入管を備えたフラスコに、トルエン300重量部、ポリエステル系エラストマー(東洋紡株式会社製、バイロン500)を300重量部仕込み、還流下、加熱溶解した。この溶液500重量部、蒸留水375重量部、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王株式会社製、ネオペレックスF−25)1.5重量部を混合し、回転数10000rpmで15分間攪拌し、乳化液を得た。この乳化液中のトルエンをエバポレータで減圧留去し、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体を得た。得られた水分散体は、収率:98%、固形分濃度:45%、pH:7、平均粒径:0.6μmであった。
【0078】
ポリエステル(D−2)の水分散体
攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、テレフタル酸40重量部、イソフタル酸50重量部、5−スルホイソフタル酸ナトリウム10重量部、エチレングリコール100重量部、ジブチル錫オキサイド0.1重量部を仕込み、140℃から徐々に220℃まで昇温し、生成する水を除去しながら、6時間かけてエステル交換反応を行った。次に220℃から250℃まで昇温しつつ減圧下で2時間かけて重縮合反応を行い、ポリエステルD−2−1を得た。
【0079】
バイロン500を70重量部、ポリエステルD−2−1を30重量部、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部とを混合したものを、2軸スクリュー押出機(池貝鉄工株式会社製、PCM−30,L/D=40)のホッパーより101g/時間の速度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口より、水を30g/時間の割合で連続的に供給し、加熱温度240℃で連続的に押出した。押出された樹脂混合物は、同押出機口に設置したジャケット付きスタティックミキサーで90℃まで冷却し、さらに80℃の温水中に投入し、ポリエステル系エラストマー(D−2)の水分散体を得た。得られた水分散体は、収率:99%、固形分濃度:45%、pH:5で、平均粒径:0.6μmであった。
【0080】
アクリル樹脂(E)の水分散体
攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、トルエンを500重量部、酢酸エチル100重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下85℃に加熱昇温した。ついでこの中に、共重合モノマーとしてメチルメタクリレート150重量部、エチルアクリレート120重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート30重量部、メタクリル酸10重量部と重合開始剤として(以下PBOと略記する)3重量部の混合液を4時間かけてフィードさせ反応させた。フィード終了から1時間後と2時間後にPBOをそれぞれ0.2重量部添加し、最後の添加から2時間反応させ、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液にトリエチルアミンで理論上100%となるように中和を行い、不揮発分が40%となるように脱イオン水を添加したのち、減圧下、トルエンと酢酸エチルを除去することにより、固形分:40%、pH:8、平均粒径:0.3μmのアクリル樹脂の水分散体を得た。
【0081】
ウレタン樹脂(F)の水分散体
攪拌機、温度計、シュタックディン付き還流冷却装置、及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、アジピン酸20部、イソフタル酸15部、フタル酸13部、1,3−ブタンジオール10部、トリメチロールプロパン42部を仕込み、窒素気流中で150〜230℃に加熱して脱水反応を行い、反応後に酢酸エチル10部とトルエン20部を添加し、不揮発分76%のポリエステルを得た。
【0082】
攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、上記ポリエステルを67.0重量部、2,2−ジメチロールブタン酸21.0重量部、1,4−ブタンジオール12.4重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート96.3重量部、およびメチルエチルケトン374.0重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下90℃で6時間反応させた。その後、60℃に冷却し、トリエチルアミンを中和度が100%となるように添加し、この温度下で30分混合した。得られたプレポリマーを0.86%ヘキサメチレンジアミン水溶液1275.7重量部と混合攪拌し、その後60℃で減圧下メチルエチルケトンを脱溶剤することにより、固形分:30%、pH:8、平均粒径:0.2μmのウレタン樹脂の水分散体を得た。
【0083】
石油系炭化水素樹脂(G)の水分散体
攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒素導入管を備えたフラスコに、ヘキサンを300重量部、石油樹脂(三井化学株式会社製、ハイレッツT−480X)を300重量部仕込み、還流下、加熱溶解した。この溶液500重量部、蒸留水250重量部、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王株式会社製、ネオペレックスF−25)1.5重量部を混合し、回転数10000rpmで15分間攪拌した。ついでポリアクリル酸(和光純薬品工業株式会社製、ハイビスワコー304)0.7重量部を加え、攪拌混合し、乳化液を得た。この乳化液中のヘキサンをエバポレータで減圧留去し、石油系炭化水素樹脂(G)の水分散体を得た。得られた水分散体は、収率:98%、固形分濃度:50%、pH:8、平均粒径:0.6μmであった。
【0084】
実施例1
ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部に、攪拌下、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体70重量部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)の50%水溶液2.7重量部を順番に滴下混合し、塗工材を得た。得られた塗工材をポリプロピレンフィルムに乾燥後の膜厚が5μmとなるようバーコーターで塗工した後、90℃で5分乾燥した。得られたフィルムを15mm幅の短冊状に切り出し、同形状に切り出したポリエチレンテレフタレートフィルムを塗工面に貼り合わせ、150℃で3秒間、1kg/cm2の圧力をかけて熱接着し、積層体を得た。
【0085】
実施例2
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体50重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0086】
実施例3
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体70重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体30重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0087】
実施例4
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、石油系炭化水素樹脂(G)の水分散体18重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0088】
実施例5
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、ロジン系樹脂(H)の水分散体であるスーパーエステルE720(荒川化学工業株式会社製)18重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0089】
実施例6
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、テルペン系樹脂(I)の水分散体であるナノレットR1050(ヤスハラケミカル株式会社製)18重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0090】
実施例7
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、石油系炭化水素樹脂(G)の水分散体9重量部、ロジン系樹脂(H)の水分散体であるスーパーエステルE720を9重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0091】
実施例8
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、石油系炭化水素樹脂(G)の水分散体9重量部、テルペン系樹脂(I)の水分散体であるナノレットR1050を9重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0092】
実施例9
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、ロジン系樹脂(H)の水分散体であるスーパーエステルE720を9重量部、テルペン系樹脂(I)の水分散体であるナノレットR1050を9重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0093】
実施例10
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、石油系炭化水素樹脂(G)の水分散体4.5重量部、ロジン系樹脂(H)の水分散体であるスーパーエステルE720を9重量部、テルペン系樹脂(I)の水分散体であるナノレットR1050を4.5重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0094】
実施例11
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−2)の水分散体50重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0095】
実施例12
塗工材を、アクリル樹脂(E)の水分散体56.3重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0096】
実施例13
塗工材を、ウレタン樹脂(F)の水分散体75重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0097】
実施例14
塗工材を、ウレタン樹脂(F)の水分散体30重量部、石油系炭化水素樹脂(G)の水分散体18重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0098】
実施例15
塗工材を、ウレタン樹脂(F)の水分散体30重量部、ロジン系樹脂(H)の水分散体であるスーパーエステルE720を18重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0099】
実施例16
塗工材を、ウレタン樹脂(F)の水分散体30重量部、テルペン系樹脂(I)の水分散体であるナノレットR1050を18重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0100】
実施例17
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、アクリル樹脂(E)の水分散体22.5重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0101】
実施例18
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、ウレタン樹脂(F)の水分散体30重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0102】
実施例19
塗工材を、アクリル樹脂(E)の水分散体33.8重量部、ウレタン樹脂(F)の水分散体30重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0103】
実施例20
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、アクリル樹脂(E)の水分散体11.3重量部、ウレタン樹脂(F)の水分散体15重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0104】
実施例21
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体50重量部、スチレン系エラストマー(C)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0105】
実施例22
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、スチレン系エラストマー(C)の水分散体20重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0106】
実施例23
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、テルペン系樹脂(I)の水分散体であるナノレットR1050を18重量部、プロピレン系エラストマー(A)の水分散体50重量部、硬化剤としてタケネートWD−720(三井武田ケミカル株式会社製)を10重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0107】
実施例24
実施例1で得られた積層体のポリプロピレンフィルムの外側に、実施例1で用いた塗工材を乾燥後の膜厚が5μmとなるようバーコーターで塗工した後、90℃で5分乾燥して積層体を得た。
【0108】
実施例25
ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部に、攪拌下、エチレン系エラストマー(B)の水分散体70重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部を順番に滴下混合し、塗工材を得た。得られた塗工材をポリエチレンフィルムに乾燥後の膜厚が5μmとなるようバーコーターで塗工した後、90℃で5分乾燥した。得られたフィルムを15mm幅の短冊状に切り出し、同形状に切り出したポリエチレンテレフタレートフィルムを塗工面に貼り合わせ、150℃で3秒間、1kg/cm2の圧力をかけて熱接着し、積層体を得た。
【0109】
実施例26
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体50重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0110】
実施例27
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体70重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体30重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0111】
実施例28
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、石油系炭化水素樹脂(G)の水分散体18重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0112】
実施例29
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、ロジン系樹脂(H)の水分散体であるスーパーエステルE720を18重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0113】
実施例30
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、テルペン系樹脂(I)の水分散体であるナノレットR1050を18重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0114】
実施例31
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、石油系炭化水素樹脂(G)の水分散体9重量部、ロジン系樹脂(H)の水分散体であるスーパーエステルE720を9重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0115】
実施例32
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、石油系炭化水素樹脂(G)の水分散体9重量部、テルペン系樹脂(I)の水分散体であるナノレットR1050を9重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0116】
実施例33
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、ロジン系樹脂(H)の水分散体であるスーパーエステルE720を9重量部、テルペン系樹脂(I)の水分散体であるナノレットR1050を9重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0117】
実施例34
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、石油系炭化水素樹脂(G)の水分散体4.5重量部、ロジン系樹脂(H)の水分散体であるスーパーエステルE720を9重量部、テルペン系樹脂(I)の水分散体であるナノレットR1050を4.5重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0118】
実施例35
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−2)の水分散体50重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0119】
実施例36
塗工材を、アクリル樹脂(E)の水分散体56.3重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0120】
実施例37
塗工材を、ウレタン樹脂(F)の水分散体75重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0121】
実施例38
塗工材を、ウレタン樹脂(F)の水分散体30重量部、石油系炭化水素樹脂(G)の水分散体18重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0122】
実施例39
塗工材を、ウレタン樹脂(F)の水分散体30重量部、ロジン系樹脂(H)の水分散体であるスーパーエステルE720を18重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0123】
実施例40
塗工材を、ウレタン樹脂(F)の水分散体30重量部、テルペン系樹脂(I)の水分散体であるナノレットR1050を18重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0124】
実施例41
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、アクリル樹脂(E)の水分散体22.5重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0125】
実施例42
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、ウレタン樹脂(F)の水分散体30重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0126】
実施例43
塗工材を、アクリル樹脂(E)の水分散体33.8重量部、ウレタン樹脂(F)の水分散体30重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0127】
実施例44
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、アクリル樹脂(E)の水分散体11.3重量部、ウレタン樹脂(F)の水分散体15重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0128】
実施例45
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体50重量部、スチレン系エラストマー(C)の水分散体50重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0129】
実施例46
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、スチレン系エラストマー(C)の水分散体20重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0130】
実施例47
塗工材を、ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体30重量部、テルペン系樹脂(I)の水分散体であるナノレットR1050を18重量部、エチレン系エラストマー(B)の水分散体50重量部、硬化剤としてタケネートWD−720を10重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例21と同じ方法で積層体を得た。
【0131】
実施例48
実施例21で得られた積層体のポリエチレンフィルムの外側に、実施例21で用いた塗工材を乾燥後の膜厚が5μmとなるようバーコーターで塗工した後、90℃で5分乾燥して積層体を得た。
【0132】
比較例1
プロピレン系エラストマー(A)の水分散体100重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0133】
比較例2
エチレン系エラストマー(B)の水分散体100重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0134】
比較例3
スチレン系エラストマー(C)の水分散体100重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0135】
比較例4
ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体100重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0136】
比較例5
アクリル樹脂(E)の水分散体100重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.4量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0137】
比較例6
ウレタン樹脂(F)の水分散体100重量部、オルフィンE1010の50%水溶液1.8重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
【0138】
比較例7
プロピレン系エラストマー(A)の水分散体100重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例18と同じ方法で積層体を得た。
【0139】
比較例8
エチレン系エラストマー(B)の水分散体100重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例18と同じ方法で積層体を得た。
【0140】
比較例9
スチレン系エラストマー(C)の水分散体100重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例18と同じ方法で積層体を得た。
【0141】
比較例10
ポリエステル系エラストマー(D−1)の水分散体100重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.7重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例18と同じ方法で積層体を得た。
【0142】
比較例11
アクリル樹脂(E)の水分散体100重量部、オルフィンE1010の50%水溶液2.4量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例18と同じ方法で積層体を得た。
【0143】
比較例12
ウレタン樹脂(F)の水分散体100重量部、オルフィンE1010の50%水溶液1.8重量部の順番で配合したものに変更した以外は、実施例18と同じ方法で積層体を得た。
【0144】
[評価と結果]
<各種評価>
ピール強度の測定
15mm幅で短冊の端部を剥離した後、端部を50mm/分の速度で180°方向に引っ張りピール強度を測定し、ピール強度が300g/15mm以上のものを○、150g/15mm以上300g/15mm未満のものを△、300g/15mm未満のものを×として評価した。
【0145】
耐温水性試験
上記で得られた試験片を、40℃に調整した温水中に240時間浸漬したものについて、前記同様のピール強度測定を行った。
【0146】
碁盤目剥離試験
JIS−K−5400に記載されている碁盤目剥離試験の方法に準じ、実施例24、48の塗工面に碁盤目を付け、セロテープ(登録商標)を碁盤目上に貼り付けた後、速やかに90°方向に引っ張って剥離させ、碁盤目100個の中、剥離されなかった碁盤目数にて評価した。
【0147】
【表1】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン系エラストマー(A)及び/またはスチレン系エラストマー(C)と、ポリエステル(D)及び/またはアクリル系樹脂(E) 及び/またはウレタン樹脂(F)と、水からなる水分散体を含有する塗工材を塗工、乾燥して得られた塗工層を含み、一方の基材がプロピレン系の樹脂、他方の基材がポリエステルからなることを特徴とする積層体。
【請求項2】
エチレン系エラストマー(B)及び/またはスチレン系エラストマー(C)と、ポリエステル(D)及び/またはアクリル系樹脂(E)及び/またはウレタン樹脂(F)と、水からなる水分散体を含有する塗工材を塗工、乾燥して得られた塗工層を含み、一方の基材がエチレン系の樹脂、他方の基材がポリエステルからなることを特徴とする積層体。
【請求項3】
塗工材に、石油系炭化水素樹脂(G)及び/またはロジン系樹脂(H)及び/またはテルペン系樹脂(I)の水分散体を含有してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
プロピレン系エラストマー(A)及び/またはスチレン系エラストマー(C)10〜90重量部と、ポリエステル(D)及び/またはアクリル系樹脂(E) 及び/またはウレタン樹脂(F)10〜90重量部と、石油系炭化水素樹脂(G)及び/またはロジン系樹脂(H)及び/またはテルペン系樹脂(I)0〜50重量部からなり、(A)及び/または(C)、(D)及び/または(E)及び/または(F)、(G)及び/または(H)及び/または(I)の総合計が100重量部となる塗工材を用いてなることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
エチレン系エラストマー(B)及び/またはスチレン系エラストマー(C)10〜90重量部と、ポリエステル(D)及び/またはアクリル系樹脂(E) 及び/またはウレタン樹脂(F)10〜90重量部と、石油系炭化水素樹脂(G)及び/またはロジン系樹脂(H)及び/またはテルペン系樹脂(I)0〜50重量部からなり、(B)及び/または(C)、(D)及び/または(E)及び/または(F)、(G)及び/または(H)及び/または(I)の総合計が100重量部となる塗工材を用いてなることを特徴とする請求2に記載の積層体。

【公開番号】特開2009−924(P2009−924A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164585(P2007−164585)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】