説明

積層型ペーパーホルダ

【課題】片手で簡単に、かつ任意の量のペーパーを取り出すことができ、トイレ空間で発生する水や排泄物の飛沫、ほこり等がペーパーへ付着することによる不衛生な状態を防ぎ、ペーパーの残量に関わらず常に取り出しやすい積層型ペーパーホルダを提供することを目的とする。
【解決手段】複数枚のペーパーが積層されてなる積層型ペーパーの収納及び取り出し行うことができる箱体と、前記箱体の一面に設けられペーパーの取り出しを行う開口部と、前記開口部の開口面に対して平行にスライドして前記開口部を開閉するシャッター部材とが設けられた積層型ペーパーホルダにおいて、前記シャッター部材は、前記開口部を開放する方向である第1の方向へスライドする第1のスライド片と、前記第1のスライド片と連動し、前記第1の方向と対向し、かつ前記開口部を開放する第2の方向へスライドする第2のスライド片からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のペーパーが積層されてなる積層型ペーパーのペーパーホルダに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
トイレ空間で使用されるペーパーは、使用者によってその使用する紙量が異なり、最も汎用されているロール型ペーパーは、ロールされたペーパーを任意の量で切り取るために、ロール型ペーパーホルダの上部に設けられた紙切版を押さえて切り取る必要があり、両手が塞がってしまう。
この課題を解決するために、紙切板におもり等を取り付け、片手で簡単にペーパーが切り取れるものがある。しかしながら、このようなロール型ペーパーでは、ペーパーを片手で切り取ることは出来るが、ペーパーは常に外環境に曝されており、トイレ空間で発生した汚れが付着する恐れがある。
【0003】
一方で、片手で簡単に必要な量のペーパーを取り出すことができる積層型のペーパーが存在し、トイレ空間においても、片手で簡単に使用できることから、ロール型ペーパーホルダに積層型ペーパーボックスを取り付けて使用することを目的とした発明がある。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−165726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロール型のペーパーホルダでは、ペーパーにトイレ空間で発生した水や排泄物の飛沫が付着する恐れがある。また、特許文献1に記載の積層型ペーパーボックスは、ペーパーがボックス内に収納されているため、トイレ空間で発生した水や排泄物の飛沫が付着する恐れはないが、ペーパー残量が少なくなったときに、ペーパーがボックス底面に落ちてしまい取り出しづらいものであった。
そこで、ペーパーがボックス底面に落ちたときに、ペーパーの取り出し口から手を挿入してペーパーを取り出せるように取出し口を大きくすることが考えられるが、その場合、その取出し口から水などが入り込んでペーパーに付着しやすくなってしまうため、取出し口にスライド状のカバーを設けることが必要となる。しかし、大きく開口した取出し口を覆うことのできるカバーは大きくなってしまい、その大きなカバーを開閉するためにはスライド距離が長くなり操作が煩雑になってしまい、使い勝手が悪くなる恐れがあった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、ペーパー取り出し口を覆うカバーによってトイレ空間で発生する水や排泄物の飛沫、ほこり等がペーパーへ付着することによる不衛生な状態を防ぎ、しかも、ペーパーの残量が減って、ペーパーがボックス内に落ちたとしても、簡単な操作でペーパー取出し口を覆うカバーを開放することができ、その開放された取出し口から手を挿入してボックス内に落ち込んだペーパーを取り出すことが可能な使い勝手のよい積層型ペーパーホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1記載の積層型ペーパーホルダでは、複数枚のペーパーが積層されてなる積層型ペーパーの収納及び取り出し行うことができる箱体と、前記箱体の一面に設けられペーパーの取り出しを行う開口部と、前記開口部の開口面に対して平行にスライドして前記開口部を開閉するシャッター部材とが設けられた積層型ペーパーホルダにおいて、前記シャッター部材は、前記開口部を開放する方向である第1の方向へスライドする第1のスライド片と、前記第1のスライド片と連動し、前記第1の方向と対向し、かつ前記開口部を開放する第2の方向へスライドする第2のスライド片からなることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、通常使用時にシャッター部材を閉じた状態においては、ペーパーがボックス内に収納されているため、トイレ空間で発生した水や排泄物の飛沫が入り込むことを防ぐことができる。一方、ペーパー残量が少なくなってペーパーがボックス底面(載置面)に落ち込んだ場合には、第1または第2のスライド片を開口部が開放する方向へと移動させることにより、第1のスライド片と連動して第2のスライド片がスライドして開口部を開放することができるので、各スライド片のスライド距離が従来に比べ半分程度に短くなり、簡単な操作で開口部を広く開放することができ、ボックス内に落ち込んだペーパーを取り出すときに、1枚ずつ確実に取り出せペーパーを無駄にすることもない。また、シャッター部材が閉じた状態においては、前記第1、第2のスライド片はペーパーを2方向から挟持する作用を奏するため、通常使用時においても、ペーパーを1枚ずつ取り出しやすい状態に保つことが出来る。
【0009】
請求項2記載の積層型ペーパーホルダでは、前記箱体の一面を構成し壁面に取り付けるための取付け面は、前記積層型ペーパーの載置面とのなす角が直角となる面であり、前記開口部は、前記取り付け面と対向する面に設けられたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、積層型ペーパーホルダの開口部が取り付け面と対向した面に形成されていることで、使用者は、ペーパーを前記取り付け面と対向する面、すなわち、使用者に近い面に設けられた開口部から引き出すので、ペーパー取り出し動作における動線距離が短くなりペーパーが取り出しやすい。
【0011】
請求項3記載の積層型ペーパーホルダでは、前記開口部は、前記載置面に対して平行な1組の長辺と、前記載置面に対して垂直な1組の短辺とからなり、前記第1のスライド片は、前記短辺方向でかつ、前記開口部を開放する方向にスライドし、前記第2のスライド片は、前記第1のスライド片と連動し、前記短辺方向でかつ、第1のスライド方向と対向する方向へスライドすることを特徴とする。なお、本発明における載置面に対して平行な長辺は、載置面と厳密に平行である必要はなく、直線に限定されるものではない。また、載置面に対して垂直な短辺に関しても同様である。
【0012】
本発明によれば、各スライド片が開口部を短辺方向にスライドし開放するので、スライド部材のスライド距離が短くて済み、より簡単に開口部を開口することができボックス内に落ち込んだペーパーを容易に取り出すことができる。
【0013】
請求項4記載の積層型ペーパーホルダでは、前記開口部の中心は、前記開口部が設けられている面の上下方向の中心に対して上方に偏心した位置に設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、開口部をボックス中心部より上部に偏心させることで、前記開口部上部のデッドスペースが減るため、ペーパーボックスの容積を有効に活用でき、ペーパーの取り出しやすさを損なわずに、積層可能なペーパー量を増やすことができる。
【0015】
請求項5記載の積層型ペーパーホルダでは、前記開口部が設けられている面は、前記載置面に対してヒンジ機構によって旋回可能に軸支されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、ボックスのペーパー取り出し面全体が広く開放するので積層型ペーパーを容易に交換することができる。
【0017】
請求項6記載の積層型ペーパーホルダでは、前記開口部が設けられている面が開放するときに、前記開口部が設けられている面を前記取り付け面に向かって下方に傾斜した状態で保持するヒンジ保持機構を備え、また、前記載置面は、前記取り付け面に向かって下方に傾斜していることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、開口部が設けられている蓋部を開放すると、前記蓋部と載置面がそれぞれ取り付け面に向かって下方に傾斜した状態となるので、積層型ペーパーの交換時に、前記載置面へ積層型ペーパーを滑らせ容易にセットすることができる。また、前記蓋部の裏面を利用して交換が行えるので、交換作業が容易となる。
【0019】
前記第1のスライド片及び第2のスライド片のそれぞれは、取り出した前記積層型ペーパーを挟持可能な位置に設けられた弾性部材と、前記弾性部材の前記積層型ペーパーを挟持する部分を除いた周囲を囲い、かつ前記弾性部材よりも剛性が高く、前記箱体にスライド可能に支持されている枠体とから構成されている、
ことを特徴とする
【0020】
本発明によれば、ペーパー引き出し時において、前記第1及び第2のスライド片は、弾性部材が適度に弾性変形しながらペーパーを狭持することにより、積層型ペーパーからペーパーを1枚ずつ取り出せ、引出し終了後は、復元してペーパーを確実に挟持するので積層型ペーパーがボックス載置面に落ち込むことを防ぐことができる。さらに、シャッター部材は、前記弾性部材よりも剛性の高い枠体によりその周囲が囲われて前記箱体にスライド可能に支持されているので、スムーズなスライド開閉を実行できる。
【0021】
請求項8記載の積層型ペーパーホルダでは、前記シャッター部材は、前記第1及び第2のスライド片がそれぞれ前記開口部を開放する状態を保持する開状態保持機構を備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、ペーパーがボックス載置面に落ち込んでも、シャッター部材を開き、ボックス内に手を入れてペーパーを取り出すときに開口部を開状態に保つことができるので、手を挟むことも無く載置面に落ち込んだペーパーを安全に取り出すことが出来る。
【0023】
請求項9記載の積層型ペーパーホルダでは、前記シャッター部材は、前記開口部の開放状態において、前記第1及び第2のスライド片を閉方向へ付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、前記請求項8の効果に加え開口部の開状態から簡単に閉状態に復帰することができるため使い勝手がよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明に関わる積層型ペーパーホルダによれば、ペーパー取り出し口を覆うカバーによってトイレ空間で発生する水や排泄物の飛沫、ほこり等がペーパーへ付着することによる不衛生な状態を防ぐことができる。しかも、ペーパーの残量が減って、ペーパーがボックス内に落ちたとしても、簡単な操作でペーパー取出し口を覆うカバーを開放することができ、その開放された取出し口から手を挿入してボックス内に落ち込んだペーパーを取り出すことが可能で使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施例における積層型ペーパーホルダの蓋部を開放している状態を示した斜視図である。
【図2】図1の状態で積層型ペーパーを水平に載置した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例における積層型ペーパーホルダの開口部の開状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施例における積層型ペーパーホルダの開口部の閉状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施例におけるシャッター部材を示す図である。
【図6】本発明の第1実施例におけるシャッター部材を備えた蓋部の構成を示す図である。
【図7】シャッター部材のリンク機構における他の実施例を示す図である。
【図8】図2の積層型ペーパーにおける載置方向の他の実施例である。
【図9】図5のシャッター部材に付勢手段を設けた図である。
【図10】本発明の第1実施例の変形例を示す斜視図である。
【図11】本発明の第2実施例における積層型ペーパーホルダの蓋部を開放している状態を示した斜視図である。
【図12】本発明の第2実施例における積層型ペーパーホルダの蓋部の閉状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施例に基づいてその使用方法を説明する。
【0028】
積層型ペーパーホルダ1の第1実施例の基本構成について図1〜4を用いて説明する。図1及び図2は、本発明の積層型ペーパーを示す斜視図であり、積層型ペーパーホルダ1の本体を形成する箱体2は、積層型ペーパー3を載置する載置面4と、載置面4に対して垂直であり、トイレ空間の壁面5に取り付けられる取り付け面6と、取り付け面6に対向した面であり、積層型ペーパー3の交換を行う際に、箱体2を開放可能な蓋部7には、積層型ペーパー3を取り出すための開口部8が備えられている。開口部8は、載置面4に対して略平行な1対の長辺と、載置面4に対して略垂直な1対の短辺で構成されている。
【0029】
また、蓋部7には、開口部8の開口面に対して平行にスライドして開口部8を開閉する図5に示すようなシャッター部材9が設けられており、図6に示すように蓋部7は、蓋前面部7aと蓋背面部7bでシャッター部材9を覆うように構成されている。さらに、シャッター部材9は、開口部8を開放する方向である第1の方向へスライドする第1のスライド片9aと、第1のスライド片9aと連動し、第1の方向と対向し、かつ開口部を開放する方向である第2の方向へスライドする第2のスライド片9bから形成されており、シャッター部材9が閉状態において、積層型ペーパ3を挟持している。
【0030】
次に、リンク機構を用いたシャッター部材9による開口部8の開閉について、閉状態から開状態への移行を例として具体的に説明する。図5aの開口部8の閉状態において、第1のスライド片9aに設けられた操作部10を蓋部7の上方へ引き上げることで、第1のスライド片9aは、図5bに示すように中心線の上方へスライドする。同時に、可動部材11aから可動部材11bへ第2のスライド片9bが、短辺方向でかつ、第1のスライド方向と対向する方向へ移動する力を伝達することで、第2のスライド片9bは、第1のスライド片9aと連動し、図5bに示すように中心線の下方へスライドする。
以上の動作でシャッター部材9は開放状態となり、図1に示すように開口部8が開状態となる。また、このときに可動部材11aと可動部材11bの接合部は、蓋背面部7bに設けられた蓋部背面溝12内を蓋背面部7bの側方から開口部8側へ水平移動する。なお、開状態から閉状態への移行については、操作部10を蓋部7の上方へ引き上げるので、働く力の向きが反対になり、図5bの状態から第1のスライド片9aと第2のスライド片9bが中心線の方向へ移動し、図5aの閉状態となる。このとき、可動部材11aと可動部材11bの接合部は、蓋部背面溝12内を開口部8側から蓋背面部7bの側方へ水平移動する。
【0031】
また、リンク機構によるシャッター部材9の開閉については、蓋背面部7bの前面に図5bに示すような引掛け片13を設けて、シャッター部材9に各種ポリマーの糸や金属糸等を設けて図7のように引掛け片13に引掛けるような構成にしてもよく、操作部10の引き上げ及び引き下げ動作によって力を伝達する機構であれば適宜利用できる。
【0032】
以下に、本発明における積層型ペーパーホルダ1のペーパー交換方法について図を用いて説明する。
【0033】
まず、積層型ペーパー3の取り付け、交換については、図1に示すように、蓋部7の底部などに設けられたヒンジ部14を軸として、箱体2が開放状態となるように蓋部7を前方へ引き出す。このとき、蓋部7の上部15と箱体2の枠上部16とはマグネット等で保持されているので、蓋部7をマグネットの吸着力よりも強い力で引き出すことにより、箱体2が開放状態となる。なお、ヒンジ部14は、蓋部7の底部ではなく上部に設けられていてもよく、この場合マグネットは、蓋部7の底部と箱体2の枠底部となる。
【0034】
この状態で、積層型ペーパー3を例えば、図2のように載置面4に対して垂直方向に積層するようにセットする。その後、開放時と同様に、ヒンジ部14を軸として、箱体2が閉状態となるように蓋部7を持ち上げることで、蓋部7の上部15と箱体の枠上部16とがマグネット等で保持される。
なお、積層型ペーパー3の載置面4への載置方向に関しては、図8に示すように、取り付け面6を底面として垂直方向にセットすることもできる。
【0035】
最後に、蓋部7に備えられた開口部8を開放するようにシャッター部材9を開放する。そして、開口部8から最初に使用する積層型ペーパー3を一部取り出し、操作部10を押してシャッター部材9を閉止することによって、積層型ペーパー3は、シャッター部材9を構成する第1のスライド片9a及び第2のスライド片9bによって挟持されるので、積層型ペーパー3が1枚ずつ取り出しやすい。また、シャッター部材9は、図5で示すように、第1のスライド片9a及び第2のスライド片9bのそれぞれは、積層型ペーパー3を挟持する弾性部材17と、弾性部材17の積層型ペーパー3を挟持する部分を除いた周囲を囲い、かつ弾性部材17よりも剛性が高く、前記箱体にスライド可能に支持されている枠体18とから構成されており、積層型ペーパー3を取り出す際に、弾性部材17による適度な摩擦力が生じるので、積層型ペーパー3が更に取り出しやすく、また、載置面4への落下がしにくくなる。さらに、弾性部材17を設けることで、開口部8が不意に閉状態となっても弾性部材17が衝撃を吸収するので、手が挟まったとしても安全である。なお、弾性部材17としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン等の各種高分子フィルムやシリコンラバーなどが挙げられ、積層型ペーパー3を繰り返し引き出してもその挟持力が低下しないようなものであれば適宜選択可能である。
【0036】
一方で、積層型ペーパー3の残量が少なくなることによって、積層型ペーパー3が載置面4へ落ち込むことも考えられるが、積層型ペーパー3の交換時と同様に、操作部10を押して、第1のスライド片9aと第2のスライド片9bを開放することで、開口部8が開くので、積層型ペーパー3が、載置面4に落ち込んだ場合でも、手で簡単に積層型ペーパー3を載置面4から取り出し、再度セットすることができる。
【0037】
また、図6に示すように、開口部8の開放状態において、蓋部7に、その開放状態を保持するように開状態保持機構を設けてもよく、シャッター部材9は、操作部10を押し上げることにより開口部8を開放するが、このとき操作部10を蓋部7に設けられた開状態保持機構として作用する突起部19に引掛けることにより、シャッター部9が開口部8を開放した状態で保持される。
【0038】
さらに、図9に示すように、開口部8の開放状態において、第1のスライド片9a及び第2のスライド片9bを閉方向へ付勢する付勢手段20を設けるとさらによい。開口部8の開放状態において、突起部19により保持された操作部10をさらに引き下げることで突起部19からの保持を開放すると、付勢手段20の付勢力により、シャッター部材9は閉じられ、開口部8は閉状態となる。
【0039】
以上の働きにより、シャッター部材9をワンタッチでスライド開閉を行うことができ、積層型ペーパー3をセットする作業をさらに容易に行うことができる。
【0040】
続いて、第1の実施例の変形例を図10に示す。図10は、開口部8の位置が、図1の位置よりも箱体2の上面側に設けられている。積層型ペーパー3を載置面4に対して垂直に積層した場合、積層型ペーパー3が使用されていない、またはほとんど使用されていない状態では、積層型ペーパー3の積層面と開口部8が略同一面となることが、積層型ペーパー3を取り出しやすくする上で好ましい。積層型ペーパー3の積層面が、開口部8よりも上方になるように積層すると、積層型ペーパー3と開口部8との間に摩擦力が生じ、積層型ペーパー3が取り出しにくくなる。
【0041】
従って、図10のような構成とすることで、箱体2の開口部8より上側のデッドスペースが減るため、積層型ペーパーホルダ1の容積を有効に活用でき、積層型ペーパー3の取り出しやすさを損なわずに積層可能なペーパー量を増やすことができる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
【0043】
本発明第2の実施例は、図11、図12に示すように、載置面21が、取り付け面22に向かって下方に傾斜している。また、蓋部23が開放するときに、ヒンジ部24には、蓋部23を取り付け面22に向かって下方に傾斜した状態で保持するためのヒンジ保持機構が備えられている。蓋部23を引き倒すことにより実施例1と同様にして、蓋部23は、ヒンジ部24を軸として回動し、箱体26を開放するが、ヒンジ保持機構によって蓋部23の回動が規制されるため、蓋部23は、取り付け面22に向かって載置面21と同様に所定角度傾斜した状態となる。
【0044】
従って、箱体26の開放状態においては、図11に示すように、載置面21と蓋部23がそれぞれ取り付け面に向かって下方に傾斜した状態となり、交換時に積層型ペーパー3を容易にセットすることができる。また、蓋部23の裏面を利用して交換が行えるので、交換作業が容易となる。
【0045】
なお、図11では、取り付け面22と蓋部23で形成される面は、同一平面となるように規制されているが、蓋部23は、箱体26を閉止する方向(取り付け面と蓋部で形成されるなす角が小さくなる方向)で規制されていてもよい。また、当該面は、段形状になっていてもよい。
【0046】
以上、本発明について実施例を通して説明してきたが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想から逸脱しない範囲で適宜設計変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の積層型ペーパーホルダの使用については、トイレ空間が好ましいが、その他、油が飛散する恐れのある台所等外部環境に曝されることでペーパーに汚れが付着してしまう場所では好適に使用することができる。
また、本発明において、通常使用時は、ボックスは外環境に曝されないので、積層型ペーパーにおいても、乾燥したペーパーのみならずウェットティッシュ等を使用することについても何ら問題はない。
【符号の説明】
【0048】
1… 積層型ペーパーホルダ
2、26… 箱体
3… 積層型ペーパー
4、21… 載置面
5… 壁面
6、22… 取り付け面
7、23… 蓋部
7a… 蓋部前面部品
7b… 蓋部背面部品
8… 開口部
9… シャッター部材
9a… 第1のスライド片
9b… 第2のスライド片
10、25… 操作部
11a… 可動部材
11b… 可動部材
12… 蓋部背面溝
13… 引掛け片
14、24… ヒンジ部
15… 蓋上部
16… 枠上部
17… 弾性部材
18… 枠体
19… 突起部
20… 付勢手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のペーパーが積層されてなる積層型ペーパーの収納及び取り出し行うことができる箱体と、前記箱体の一面に設けられペーパーの取り出しを行う開口部と、前記開口部の開口面に対して平行にスライドして前記開口部を開閉するシャッター部材とが設けられた積層型ペーパーホルダにおいて、前記シャッター部材は、前記開口部を開放する方向である第1の方向へスライドする第1のスライド片と、前記第1のスライド片と連動し、前記第1の方向と対向し、かつ前記開口部を開放する第2の方向へスライドする第2のスライド片からなることを特徴とする積層型ペーパーホルダ。
【請求項2】
前記箱体の一面を構成し壁面に取り付けるための取付け面は、前記積層型ペーパーの載置面とのなす角が直角となる面であり、前記開口部は、前記取り付け面と対向する面に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の積層型ペーパーホルダ。
【請求項3】
前記開口部は、前記載置面に対して平行な1組の長辺と、前記載置面に対して垂直な1組の短辺とからなり、前記第1のスライド片は、前記短辺方向でかつ、前記開口部を開放する方向にスライドし、前記第2のスライド片は、前記第1のスライド片と連動し、前記短辺方向でかつ、第1のスライド方向と対向する方向へスライドすることを特徴とする請求項2に記載の積層型ペーパーホルダ。
【請求項4】
前記開口部の中心は、前記開口部が設けられている面の上下方向の中心に対して上方に偏心した位置に設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の積層型ペーパーホルダ。
【請求項5】
前記開口部が設けられている面は、前記載置面に対してヒンジ機構によって旋回可能に軸支されていることを特徴とする請求項2から4いずれか1項に記載の積層型ペーパーホルダ。
【請求項6】
前記開口部が設けられている面が開放するときに、前記開口部が設けられている面を前記取り付け面に向かって下方に傾斜した状態で保持するヒンジ保持機構を備え、また、前記載置面は、前記取り付け面に向かって下方に傾斜していることを特徴とする請求項5に記載の積層型ペーパーホルダ。
【請求項7】
前記第1のスライド片及び第2のスライド片のそれぞれは、取り出した前記積層型ペーパーを挟持可能な位置に設けられた弾性部材と、
前記弾性部材の前記積層型ペーパーを挟持する部分を除いた周囲を囲い、かつ前記弾性部材よりも剛性が高く、前記箱体にスライド可能に支持されている枠体と、から構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の積層型ペーパーホルダ。
【請求項8】
前記シャッター部材は、前記第1及び第2のスライド片がそれぞれ前記開口部を開放する状態を保持する開状態保持機構を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の積層型ペーパーホルダ。
【請求項9】
前記シャッター部材は、前記開口部の開放状態において、前記第1及び第2のスライド片を閉方向へ付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の積層型ペーパーホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図8】
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【図11】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−280423(P2010−280423A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136522(P2009−136522)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】