積層型化合物半導体太陽電池
【課題】高効率の積層型化合物半導体太陽電池を提供する。
【解決手段】半導体基材と、半導体基材上に形成された化合物半導体からなる太陽電池層と、を含み、太陽電池層の格子定数と、半導体基材の格子定数とが異なっており、半導体基材と太陽電池層との間にV族元素としてヒ素(As)を含有するIII−V族化合物半導体からなるバッファ層を有し、バッファ層の格子定数が、半導体基材の格子定数と太陽電池層の格子定数との間の値である積層型化合物半導体太陽電池である。
【解決手段】半導体基材と、半導体基材上に形成された化合物半導体からなる太陽電池層と、を含み、太陽電池層の格子定数と、半導体基材の格子定数とが異なっており、半導体基材と太陽電池層との間にV族元素としてヒ素(As)を含有するIII−V族化合物半導体からなるバッファ層を有し、バッファ層の格子定数が、半導体基材の格子定数と太陽電池層の格子定数との間の値である積層型化合物半導体太陽電池である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換部を構成する太陽電池層が少なくとも化合物半導体からなる積層型化合物半導体太陽電池に関するものであり、特に、高効率の積層型化合物半導体太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層型化合物半導体太陽電池を高効率化する(光電変換効率を高くする)方法としては、半導体基板上に半導体基板と同程度の格子定数を有する化合物半導体層を成長させて複数個の太陽電池層を形成することによって結晶性に優れた積層型化合物半導体太陽電池を得る方法が用いられていた。
【0003】
しかしながら、化合物半導体層を成長するための主な半導体基板となるSi、Ge、GaAsまたはInP等と同程度の格子定数を有し、さらには好適な禁制帯幅を有する太陽電池層を用いた積層型化合物半導体太陽電池としては、GaAs基板を用いたInGaP/GaAs太陽電池や、Ge基板を用いたInGaP/InGaAs/Ge太陽電池等に限られていた。
【0004】
また、これらの積層型化合物半導体太陽電池よりもさらに高効率化する方法として、InGaP/GaAs太陽電池に3つ目の太陽電池層として1eVの禁制帯幅を有する太陽電池層を配置する方法もある。
【0005】
しかしながら、GaAsと格子定数が同等で、禁制帯幅が1eV程度の適当な半導体が存在しない。ここで、GaAsと格子定数が約2.3%ずれているInGaAsは1eV程度の禁制帯幅を有しているが、InGaP/GaAs太陽電池の3つ目の太陽電池層としてInGaAsを用いた場合には、GaAs基板上に格子不整合系半導体を成長した後に格子整合系半導体を成長させることになるため、格子整合系半導体の結晶性が悪くなって、積層型化合物半導体太陽電池全体の特性が悪化するおそれがある。
【0006】
そこで、半導体基板上に半導体基板と格子定数が同等程度で、積層型化合物半導体太陽電池の受光面が半導体基板側となるように化合物半導体層を成長させ、そこからバッファ層を介して半導体基板と格子定数が異なる太陽電池層を成長する方法が研究されている。
【0007】
積層型化合物半導体太陽電池は、通常、成長基板となる半導体基板の反対側に受光面が位置するように化合物半導体層を成長させて形成される(すなわち、受光面が化合物半導体層の成長方向に位置するように形成される)。
【0008】
しかしながら、受光面が半導体基板側となるように化合物半導体層を成長させることによって、半導体基板と格子定数が同等程度の化合物半導体からなる太陽電池層においては良好な結晶性が得られ、さらに半導体基板と格子定数が異なる格子不整合系の化合物半導体からなる太陽電池層の特性も得られることから、高効率の積層型化合物半導体太陽電池が得られる。
【0009】
たとえば、非特許文献1には、GaAs基板上にGaAsと格子整合したInGaP太陽電池層とGaAs太陽電池層の受光面をGaAs基板側にして成長し、その上にInGaPバッファ層のGaAs基板に対する格子定数の相対値が階段状に変化するように成長させた後、InGaAs太陽電池層の受光面をGaAs基板側に成長させる方法が開示されている。
【非特許文献1】Mark Wanlass et al., “MONOLITHIC,ULTRA-THIN GaInP/GaAs/GaInAs TANDEM SOLAR CELLS”, 2006 IEEE, p.729-p.732
【非特許文献2】M.W.Wanlass et al., “LATTICE-MISMATCHED APROACHES FOR HIGH-PERFORMANCE, III-V PHOTOVOLTAIC ENERGY CONVERTERS”, 2005 IEEE, p.530-p.535
【非特許文献3】D.J.Friedman, “0.7-eV GaInAs JUNCTION FOR A GaInP/GaAs/GaInAs(1eV)/GaInAs(0.7eV) FOUR-JUNCTION SOLAR CELL”, 2006 IEEE, p.598-p.602
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、非特許文献1の方法においては、InGaPバッファ層の成長速度が遅く、V族元素/III族元素の比率を高くすることからV族元素の原料ガスを多量に用いる必要があり、装置のランニングコストが上昇する等の問題があった。
【0011】
また、図15に示すように、p型GaAs基板21上に、p型In0.48Ga0.52P層22を積層する。そして、p型In0.48Ga0.52P層22上に、p型In0.45Ga0.55P層23、p型In0.42Ga0.58P層24、p型In0.39Ga0.61P層25、p型In0.36Ga0.64P層26、p型In0.33Ga0.67P層27、p型In0.3Ga0.7P層28、p型In0.27Ga0.73P層29およびp型In0.24Ga0.76P層30をこの順に積層することによってIn組成を階段状に変化させたInGaPバッファ層41を形成し、その後、p型In0.24Ga0.76PからなるBSF(Back Surface Field)層31、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層32、n型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層33、n型In0.24Ga0.76Pからなる窓層34およびn型In0.3Ga0.7Asからなるコンタクト層35を成長させてp型GaAs基板21側と反対側に受光面が位置する積層型化合物半導体太陽電池を作製した。ここで、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層32とn型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層33とからInGaAs太陽電池層40が形成されている。
【0012】
そして、上記のようにして作製した積層型化合物半導体太陽電池の電流−電圧特性について評価した。その結果を図16に示す。
【0013】
しかしながら、図16に示すように、上記のようにInGaPバッファ層41を用いた場合には、高効率の積層型化合物半導体太陽電池を得ることができないという問題があった。
【0014】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、高効率の積層型化合物半導体太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、半導体基材と、半導体基材上に形成された化合物半導体からなる太陽電池層と、を含み、太陽電池層の格子定数と、半導体基材の格子定数とが異なっており、半導体基材と太陽電池層との間にV族元素としてヒ素(As)を含有するIII−V族化合物半導体からなるバッファ層を有し、バッファ層の格子定数が、半導体基材の格子定数と太陽電池層の格子定数との間の値である積層型化合物半導体太陽電池である。なお、本発明において、半導体基材とバッファ層との間および/またはバッファ層と太陽電池層との間には他の層が含まれていてもよい。また、本発明において、バッファ層および太陽電池層はそれぞれ単層であってもよく、複数層であってもよい。
【0016】
ここで、本発明の積層型化合物半導体太陽電池においては、バッファ層の格子定数が、半導体基材側から太陽電池層側にかけて、半導体基材の格子定数と同一またはそれに近い値から太陽電池層の格子定数に近づくように変化していてもよい。なお、本発明において、バッファ層の格子定数が半導体基材の格子定数に近い値は、バッファ層の格子定数と半導体基材の格子定数との差の絶対値が、バッファ層の格子定数と太陽電池層の格子定数との差の絶対値よりも小さくなっていればよい。
【0017】
また、本発明の積層型化合物半導体太陽電池においては、半導体基材が、IV族半導体またはIII−V族化合物半導体であってもよい。
【0018】
また、本発明の積層型化合物半導体太陽電池においては、積層型化合物半導体太陽電池の受光面が、化合物半導体の成長方向と反対側に位置していてもよい。
【0019】
また、本発明の積層型化合物半導体太陽電池においては、太陽電池層を複数含有し、太陽電池層のベース層の禁制帯幅が、半導体基材側に位置する太陽電池層から積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する太陽電池層にかけて順に大きくなるように太陽電池層が配置されていてもよい。
【0020】
また、本発明の積層型化合物半導体太陽電池においては、バッファ層の禁制帯幅が、バッファ層よりも積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する太陽電池層のベース層の禁制帯幅よりも大きくてもよい。
【0021】
また、本発明の積層型化合物半導体太陽電池においては、バッファ層が、AlGaAs層、AlInGaAs層およびInAlAs層からなる群から選択される少なくとも1種を有していてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高効率の積層型化合物半導体太陽電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0024】
本発明は、半導体基材上に、半導体基材と異なる格子定数を有する太陽電池層を形成して積層型化合物半導体太陽電池を作製する場合に、半導体基材と太陽電池層との間に、V族元素としてヒ素(As)を含むIII−V族化合物半導体からなるバッファ層を形成し、そのバッファ層の格子定数が半導体基材の格子定数と太陽電池層の格子定数との間の値となるように形成されていることを特徴としている。
【0025】
このような構成とすることにより、半導体基板と格子定数が大きく異なる格子不整合の化合物半導体からなる太陽電池層の特性が良好となり、高効率の積層型化合物半導体太陽電池を実現することができるのである。
【0026】
本発明の効果を確かめるために、図1に示すように、p型GaAs基板11上に、p型In0.48Ga0.52P層12、p型(Al0.5Ga0.5)0.24In0.76Asバッファ層13、p型In0.24Ga0.76PからなるBSF層14、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層15、n型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層16、n型In0.24Ga0.76Pからなる窓層17およびn型In0.3Ga0.7Asからなるコンタクト層18を成長させてp型GaAs基板11側と反対側に受光面が位置する積層型化合物半導体太陽電池を作製した。ここで、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層15とn型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層16とからInGaAs太陽電池層40が形成された。
【0027】
そして、上記のようにして作製した積層型化合物半導体太陽電池の電流−電圧特性について評価した。その結果を図2に示す。
【0028】
本発明の効果を確かめるために作製された上記の積層型化合物半導体太陽電池は、図15に示す積層型化合物半導体太陽電池のInGaPバッファ層41に代えて、p型In0.48Ga0.52P層12の格子定数とInGaAs太陽電池層40の格子定数との間の格子定数を有するp型(Al0.5Ga0.5)0.24In0.76Asバッファ層13を形成した点で異なっているが、図2と図16とを比較すればわかるように、その電流−電圧特性は、V族元素としてリンを含むIII−V族化合物半導体であるInGaPバッファ層41を用いた場合よりは、V族元素としてヒ素を含むIII−V族化合物半導体であるp型(Al0.5Ga0.5)0.24In0.76Asバッファ層13を用いた場合の方が優れていた。
【0029】
なお、上記においては、バッファ層として、単一組成のp型(Al0.5Ga0.5)0.24In0.76Asバッファ層13を用いた場合について説明したが、バッファ層は、バッファ層の格子定数が半導体基材側から太陽電池層側にかけて半導体基材の格子定数と同等程度の値から太陽電池の格子定数と同等程度の値に変化するようにバッファ層の組成を変更しながら形成されてもよい。このとき、バッファ層は、バッファ層の格子定数が半導体基材側から太陽電池層側にかけて、直線状または指数関数状(たとえば1/2乗等)等に連続的に変化するようにその組成を変更して形成されてもよく、たとえば階段状のように不連続的に変化するようにその組成を変更して形成されてもよく、またこれらの連続的な変化と不連続的な変化とが組み合わさって変化するようにその組成を変更して形成されてもよい。
【0030】
<実施の形態1>
図3に、本発明の積層型化合物半導体太陽電池の一例の模式的な断面構成図を示す。この積層型化合物半導体太陽電池において、支持基板101上には、金属層102、p型In0.3Ga0.7Asからなるコンタクト層103、p型In0.24Ga0.76PからなるBSF層104、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層105、n型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層106およびn型In0.24Ga0.76Pからなる窓層107がこの順序で積層されている。ここで、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層105とn型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層106とから太陽電池層40aが形成されており、BSF層104、ベース層105、エミッタ層106および窓層107の積層体からボトムセルが構成されている。
【0031】
また、n型In0.24Ga0.76Pからなる窓層107上には、n型AlInGaAsからなるバッファ層108が積層されている。ここで、バッファ層108は、窓層107から離れるにしたがってInの組成が徐々に低下するように構成されており、n+型In0.48Ga0.52P層109との界面近傍においてはInの組成はほぼゼロとなっている。
【0032】
また、バッファ層108上には、n+型In0.48Ga0.52P層109、n+型AlInP層110、n+型In0.48Ga0.52P層111、p+型AlGaAs層112およびp+型AlInP層113がこの順に積層されてトンネル接合層50aを構成している。
【0033】
また、p+型AlInP層113上には、p型In0.48Ga0.52PからなるBSF層114、p型GaAsからなるベース層115、n型GaAsからなるエミッタ層116およびn型In0.48Ga0.52Pからなる窓層117がこの順序で積層されている。ここで、p型GaAsからなるベース層115とn型GaAsからなるエミッタ層116とから太陽電池層40bが形成されており、BSF層114、ベース層115、エミッタ層116および窓層117の積層体からミドルセルが構成されている。
【0034】
また、n型In0.48Ga0.52Pからなる窓層117上には、n+型AlInP層118、n+型In0.48Ga0.52P層119、p+型AlGaAs層120およびp+型AlInP層121がこの順に積層されてトンネル接合層50bを構成している。
【0035】
また、p+型AlInP層121上には、p型AlInPからなるBSF層122、p型In0.48Ga0.52Pからなるベース層123、n型In0.48Ga0.52Pからなるエミッタ層124およびn型AlInPからなる窓層125がこの順に積層されている。ここで、p型In0.48Ga0.52Pからなるベース層123とn型In0.48Ga0.52Pからなるエミッタ層124とから太陽電池層40cが形成されており、BSF層122、ベース層123、エミッタ層124および窓層125の積層体からトップセルが構成されている。
【0036】
また、n型AlInPからなる窓層125上に、n型GaAsからなるコンタクト層126および反射防止膜127が形成され、コンタクト層126上に電極層128が形成されている。
【0037】
なお、図3に示す積層型化合物半導体太陽電池においては、太陽電池層40a、40b、40cのベース層105、115、123の禁制帯幅が、半導体基材側に位置する太陽電池層40aから積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する太陽電池層40cにかけて順に大きくなっている。すなわち、ベース層105、ベース層115およびベース層123の順に禁制帯幅が大きくなっている。
【0038】
以下、図4〜図6の断面構成図を参照して、図3に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例について説明する。
【0039】
まず、図4に示すように、たとえば直径50mmのn型GaAs基板130をMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置内に設置し、このn型GaAs基板130上に、n型GaAsと選択エッチングが可能なエッチングストップ層となるn型In0.48Ga0.52Pからなるエッチングストップ層131、n型GaAsからなるコンタクト層126、n型AlInPからなる窓層125、n型In0.48Ga0.52Pからなるエミッタ層124、p型In0.48Ga0.52Pからなるベース層123およびp型AlInPからなるBSF層122をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0040】
次に、p型AlInPからなるBSF層122上に、p+型AlInP層121、p+型AlGaAs層120、n+型In0.48Ga0.52P層119およびn+型AlInP層118をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0041】
次に、n+型AlInP層118上に、n型In0.48Ga0.52Pからなる窓層117、n型GaAsからなるエミッタ層116、p型GaAsからなるベース層115およびp型In0.48Ga0.52PからなるBSF層114をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0042】
次に、p型In0.48Ga0.52PからなるBSF層114上に、p+型AlInP層113、p+型AlGaAs層112、n+型In0.48Ga0.52P層111、n+型AlInP層110およびn+型In0.48Ga0.52P層109をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0043】
次に、n+型In0.48Ga0.52P層109上に、AlGaAsを成長しながら徐々にInの組成を増加させて、成長終了時にIn0.3Ga0.7Asと格子定数が同一になるようにAlInGaAsからなるバッファ層108をMOCVD法により成長させる。
【0044】
次に、バッファ層108上に、n型In0.24Ga0.76Pからなる窓層107、n型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層106、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層105、p型In0.24Ga0.76PからなるBSF層104およびp型In0.3Ga0.7Asからなるコンタクト層103をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0045】
ここで、GaAsの形成にはAsH3(アルシン)およびTMG(トリメチルガリウム)を用い、InGaPの形成にはTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)を用い、InGaAsの形成にはTMI、TMGおよびAsH3を用い、AlInPの形成にはTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3を用い、AlGaAsの形成には、TMA、TMGおよびAsH3を用い、AlInGaAsの形成には、TMA、TMI、TMGおよびAsH3を用いることができる。
【0046】
その後、図5に示すように、p型In0.3Ga0.7Asからなるコンタクト層103の表面上にたとえばAu(たとえば厚さ0.1μm)/Ag(たとえば厚さ3μm)の積層体からなる金属層102により支持基板101を貼り付ける。
【0047】
次に、図6に示すように、n型GaAs基板130をアルカリ水溶液にてエッチングした後に、n型In0.48Ga0.52Pからなるエッチングストップ層131を酸水溶液にてエッチングする。
【0048】
次に、n型GaAsからなるコンタクト層126上にフォトリソグラフィによりレジストパターンを形成した後、コンタクト層126の一部をアルカリ水溶液を用いたエッチングにより除去する。そして、残されたコンタクト層126の表面上に再度フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、抵抗加熱蒸着装置およびEB(Electron Beam)蒸着装置を用いて、たとえばAuGe(12%)(たとえば厚さ0.1μm)/Ni(たとえば厚さ0.02μm)/Au(たとえば厚さ0.1μm)/Ag(たとえば厚さ5μm)の積層体からなる電極層128を形成する。
【0049】
次に、メサエッチングパターンを形成した後、アルカリ水溶液および酸溶液を用いてメサエッチングを行なう。そして、EB蒸着法により、たとえばTiO2膜(たとえば厚さ55nm)およびAl2O3膜(たとえば厚さ85nm)の積層体を形成して反射防止膜127を形成する。これにより、積層型化合物半導体太陽電池の受光面が化合物半導体の成長方向と反対側に位置する図3に示す構成の積層型化合物半導体太陽電池を得ることができる。
【0050】
上述した積層型化合物半導体太陽電池においては、AsをV族元素として含むIII−V族化合物半導体からなるバッファ層108の格子定数が、n+型In0.48Ga0.52P層109側からn型In0.24Ga0.76Pからなる窓層107側にかけて、n+型In0.48Ga0.52P層109の格子定数と同一またはそれに近い値から太陽電池層40aのベース層105およびエミッタ層106を構成するIn0.3Ga0.7Asの格子定数に近づくように形成されている。したがって、上述した積層型化合物半導体太陽電池は、非特許文献1に記載された従来の積層型化合物半導体太陽電池と比較して高効率になるものと考えられる。
【0051】
<実施の形態2>
図7に、本発明の積層型化合物半導体太陽電池の他の一例の模式的な断面構成図を示す。この積層型化合物半導体太陽電池において、支持基板201上には、金属層202、p型GaAsからなるコンタクト層203、p型InGaPからなるBSF層204、p型InGaAsからなるベース層205、n型InGaAsからなるエミッタ層206およびn型InGaPからなる窓層207がこの順序で積層されている。ここで、p型InGaAsからなるベース層205とn型InGaAsからなるエミッタ層206とから太陽電池層40aが形成されており、BSF層204、ベース層205、エミッタ層206および窓層207の積層体からボトムセルが構成されている。
【0052】
n型InGaPからなる窓層207上には、n型AlInGaAsからなるバッファ層208が積層されている。ここで、バッファ層208は、窓層207から離れるにしたがってInの組成が徐々に低下するように構成されており、n+型AlInP層209との界面近傍においてはInの組成はほぼゼロとなっている。
【0053】
また、バッファ層208上には、n+型AlInP層209、n+型InGaP層210、p+型AlGaAs層211およびp+型AlInP層212がこの順に積層されてトンネル接合層50aを構成している。
【0054】
また、p+型AlInP層212上には、p型InGaPからなるBSF層213、p型InGaAsからなるベース層214、n型InGaAsからなるエミッタ層215およびn型InGaPからなる窓層216がこの順序で積層されている。p型InGaAsからなるベース層214とn型InGaAsからなるエミッタ層215とから太陽電池層40bが形成されており、BSF層213、ベース層214、エミッタ層215および窓層216の積層体からミドルセルが構成されている。
【0055】
また、n型InGaPからなる窓層216上には、n+型AlInP層217、n+型InGaP層218、p+型AlGaAs層219およびp+型AlInP層220がこの順に積層されてトンネル接合層50bを構成している。
【0056】
また、p+型AlInP層220上には、p型AlInPからなるBSF層221、p型InGaPからなるベース層222、n型InGaPからなるエミッタ層223およびn型AlInPからなる窓層224がこの順に積層されている。ここで、p型InGaPからなるベース層222とn型InGaPからなるエミッタ層223とから太陽電池層40cが形成されており、BSF層221、ベース層222、エミッタ層223および窓層224の積層体からトップセルが構成されている。
【0057】
また、n型AlInPからなる窓層224上に、n型InGaAsからなるコンタクト層225および反射防止膜226が形成され、コンタクト層225上に電極層227が形成されている。
【0058】
以下、図8〜図10の断面構成図を参照して、図7に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例について説明する。
【0059】
まず、図8に示すように、たとえば直径50mmのn型Ge基板228をMOCVD装置内に設置し、このn型Ge基板228上に、n型InGaAsからなるコンタクト層225、n型AlInPからなる窓層224、n型InGaPからなるエミッタ層223、p型InGaPからなるベース層222およびp型AlInPからなるBSF層221をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0060】
次に、p型AlInPからなるBSF層221上に、p+型AlInP層220、p+型AlGaAs層219、n+型InGaP層218およびn+型AlInP層217をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0061】
次に、n+型AlInP層217上に、n型InGaPからなる窓層216、n型InGaAsからなるエミッタ層215、p型InGaAsからなるベース層214およびp型InGaPからなるBSF層213をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0062】
次に、p型InGaPからなるBSF層213上に、p+型AlInP層212、p+型AlGaAs層211、n+型InGaP層210およびn+型AlInP層209をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0063】
次に、n+型AlInP層209上に、n型AlGaAsを成長しながら徐々にInの組成を増加させて、成長終了時に太陽電池層40aを構成するInGaAsと格子定数が同一になるようにn型AlInGaAsからなるバッファ層208をMOCVD法により成長させる。
【0064】
次に、バッファ層208上に、n型InGaPからなる窓層207、n型InGaAsからなるエミッタ層206、p型InGaAsからなるベース層205、p型InGaPからなるBSF層204およびp型GaAsからなるコンタクト層203をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0065】
その後、図9に示すように、p型GaAsからなるコンタクト層203の表面上にたとえばAu(たとえば厚さ0.1μm)/Ag(たとえば厚さ3μm)の積層体からなる金属層202により支持基板201を貼り付ける。
【0066】
次に、図10に示すように、n型Ge基板228をフッ化水素水溶液にてエッチングする。そして、n型InGaAsからなるコンタクト層225上にフォトリソグラフィによりレジストパターンを形成した後、コンタクト層225の一部をアルカリ水溶液を用いたエッチングにより除去する。
【0067】
次に、残されたコンタクト層225の表面上に再度フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、抵抗加熱蒸着装置およびEB蒸着装置を用いて、たとえばAuGe(12%)(たとえば厚さ0.1μm)/Ni(たとえば厚さ0.02μm)/Au(たとえば厚さ0.1μm)/Ag(たとえば厚さ5μm)の積層体からなる電極層227を形成する。
【0068】
次に、メサエッチングパターンを形成した後、アルカリ水溶液および酸溶液を用いてメサエッチングを行なう。そして、EB蒸着法により、たとえばTiO2膜(たとえば厚さ55nm)およびAl2O3膜(たとえば厚さ85nm)の積層体を形成して反射防止膜226を形成する。これにより、積層型化合物半導体太陽電池の受光面が化合物半導体の成長方向と反対側に位置する図7に示す構成の積層型化合物半導体太陽電池を得ることができる。
【0069】
上述した積層型化合物半導体太陽電池においても、AsをV族元素として含むIII−V族化合物半導体からなるバッファ層208の格子定数が、n+型AlInP層209側からn型InGaPからなる窓層207側にかけて、n+型AlInP層209の格子定数と同一またはそれに近い値から太陽電池層40aのベース層205およびエミッタ層206を構成するInGaAsの格子定数に近づくように形成されている。したがって、上述した積層型化合物半導体太陽電池は、非特許文献1に記載された従来の積層型化合物半導体太陽電池と比較して高効率になるものと考えられる。
【0070】
<実施の形態3>
図11に、本発明の積層型化合物半導体太陽電池のさらに他の一例の模式的な断面構成図を示す。この積層型化合物半導体太陽電池において、支持基板301上には、金属層302、p型InGaAsからなるコンタクト層303、p型InGaPからなるBSF層304、p型InGaAsからなるベース層305、n型InGaAsからなるエミッタ層306およびn型InGaPからなる窓層307がこの順序で積層されている。ここで、p型InGaAsからなるベース層305とn型InGaAsからなるエミッタ層306とから太陽電池層40aが形成されており、BSF層304、ベース層305、エミッタ層306および窓層307の積層体からボトムセルが構成されている。
【0071】
n型InGaPからなる窓層307上には、n型AlInGaAsからなるバッファ層308が積層されている。ここで、バッファ層308は、窓層307から離れるにしたがってInの組成が徐々に低下するように構成されており、n+型AlInP層309との界面近傍においてはInの組成はほぼゼロとなっている。
【0072】
また、バッファ層308上には、n+型AlInP層309、n+型InGaP層310、p+型AlGaAs層311およびp+型AlInP層312がこの順に積層されてトンネル接合層50aを構成している。
【0073】
また、p+型AlInP層312上には、p型InGaPからなるBSF層313、p型GaAsからなるベース層314、n型GaAsからなるエミッタ層315およびn型InGaPからなる窓層316がこの順序で積層されている。p型GaAsからなるベース層314とn型GaAsからなるエミッタ層315とから太陽電池層40bが形成されており、BSF層313、ベース層314、エミッタ層315および窓層316の積層体からミドルセルが構成されている。
【0074】
また、n型InGaPからなる窓層316上には、n+型AlInP層317、n+型InGaP層318、p+型AlGaAs層319およびp+型AlInP層320がこの順に積層されてトンネル接合層50bを構成している。
【0075】
また、p+型AlInP層320上には、p型AlInPからなるBSF層321、p型InGaPからなるベース層322、n型InGaPからなるエミッタ層323およびn型AlInPからなる窓層324がこの順に積層されている。ここで、p型InGaPからなるベース層322とn型InGaPからなるエミッタ層323とから太陽電池層40cが形成されており、BSF層321、ベース層322、エミッタ層323および窓層324の積層体からトップセルが構成されている。
【0076】
また、n型AlInPからなる窓層324上に、n型GaAsからなるコンタクト層325および反射防止膜326が形成され、コンタクト層325上に電極層327が形成されている。
【0077】
なお、図11に示す積層型化合物半導体太陽電池においては、太陽電池層40a、40b、40cのベース層305、314、322の禁制帯幅が、半導体基材側に位置する太陽電池層40aから積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する太陽電池層40cにかけて順に大きくなっている。すなわち、ベース層305、ベース層314およびベース層322の順に禁制帯幅が大きくなっている。
【0078】
以下、図12〜図14の断面構成図を参照して、図11に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例について説明する。
【0079】
まず、図12に示すように、たとえば直径50mmのn型GaAs基板328をMOCVD装置内に設置し、このn型GaAs基板328上に、n型InGaPからなるエッチングストップ層331、n型GaAsからなるコンタクト層325、n型AlInPからなる窓層324、n型InGaPからなるエミッタ層323、p型InGaPからなるベース層322およびp型AlInPからなるBSF層321をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0080】
次に、p型AlInPからなるBSF層321上に、p+型AlInP層320、p+型AlGaAs層319、n+型InGaP層318およびn+型AlInP層317をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0081】
次に、n+型AlInP層317上に、n型InGaPからなる窓層316、n型GaAsからなるエミッタ層315、p型GaAsからなるベース層314およびp型InGaPからなるBSF層313をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0082】
次に、p型InGaPからなるBSF層313上に、p+型AlInP層312、p+型AlGaAs層311、n+型InGaP層310およびn+型AlInP層309をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0083】
次に、n+型AlInP層309上に、n型AlGaAsを成長しながら徐々にInの組成を増加させて、成長終了時に太陽電池層40aを構成するInGaAsと格子定数が同一になるようにn型AlInGaAsからなるバッファ層308をMOCVD法により成長させる。
【0084】
次に、バッファ層308上に、n型InGaPからなる窓層307、n型InGaAsからなるエミッタ層306、p型InGaAsからなるベース層305、p型InGaPからなるBSF層304およびp型GaAsからなるコンタクト層303をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0085】
その後、図13に示すように、p型InGaAsからなるコンタクト層303の表面上にたとえばAu(たとえば厚さ0.1μm)/Ag(たとえば厚さ3μm)の積層体からなる金属層302により支持基板301を貼り付ける。
【0086】
次に、図14に示すように、n型GaAs基板328をアルカリ水溶液にてエッチングした後に、n型InGaPからなるエッチングストップ層331を酸水溶液にてエッチングする。
【0087】
そして、n型GaAsからなるコンタクト層325上にフォトリソグラフィによりレジストパターンを形成した後、コンタクト層325の一部をアルカリ水溶液を用いたエッチングにより除去する。
【0088】
次に、残されたコンタクト層325の表面上に再度フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、抵抗加熱蒸着装置およびEB蒸着装置を用いて、たとえばAuGe(12%)(たとえば厚さ0.1μm)/Ni(たとえば厚さ0.02μm)/Au(たとえば厚さ0.1μm)/Ag(たとえば厚さ5μm)の積層体からなる電極層327を形成する。
【0089】
次に、メサエッチングパターンを形成した後、アルカリ水溶液および酸溶液を用いてメサエッチングを行なう。そして、EB蒸着法により、たとえばTiO2膜(たとえば厚さ55nm)およびAl2O3膜(たとえば厚さ85nm)の積層体を形成して反射防止膜326を形成する。これにより、積層型化合物半導体太陽電池の受光面が化合物半導体の成長方向と反対側に位置する図11に示す構成の積層型化合物半導体太陽電池を得ることができる。
【0090】
上述した積層型化合物半導体太陽電池においても、AsをV族元素として含むIII−V族化合物半導体からなるバッファ層308の格子定数が、n+型AlInP層309側からn型InGaPからなる窓層307側にかけて、n+型AlInP層309の格子定数と同一またはそれに近い値から太陽電池層40aのベース層305およびエミッタ層306を構成するInGaAsの格子定数に近づくように形成されている。したがって、上述した積層型化合物半導体太陽電池は、非特許文献1に記載された従来の積層型化合物半導体太陽電池と比較して高効率になるものと考えられる。
【0091】
<その他>
本発明においては、半導体基材として、IV族半導体またはIII−V族化合物半導体を用いることができる。ここで、IV族半導体としてはたとえばGe等を用いることができ、III−V族化合物半導体としてはたとえばGaAs、InGaP、InGaAs、AlInP、AlGaAsまたはAlInGaAs等を用いることができる。
【0092】
また、本発明においては、バッファ層の禁制帯幅を、バッファ層よりも積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する太陽電池層のベース層の禁制帯幅よりも大きくすることもできる。
【0093】
また、本発明においては、バッファ層は、AlGaAs層、AlInGaAs層およびInAlAs層からなる群から選択される少なくとも1種を有していてもよい。
【0094】
なお、本明細書において、化合物の化学式において化合物を構成する元素の組成比が記載されていないものについては、その組成比は特に限定されず、適宜設定することが可能であることを意味している。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、高効率の積層型化合物半導体太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の積層型化合物半導体太陽電池の製造途中のウエハの一例の模式的な断面構成図である。
【図2】図1に示すウエハから作製される積層型化合物半導体太陽電池の電流−電圧特性を示す図である。
【図3】本発明の積層型化合物半導体太陽電池の一例の模式的な断面構成図である。
【図4】図3に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図5】図3に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例の他の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図6】図3に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例のさらに他の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図7】本発明の積層型化合物半導体太陽電池の他の一例の模式的な断面構成図である。
【図8】図7に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図9】図7に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例の他の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図10】図7に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例のさらに他の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図11】本発明の積層型化合物半導体太陽電池のさらに他の一例の模式的な断面構成図である。
【図12】図11に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図13】図11に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例の他の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図14】図11に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例のさらに他の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図15】従来の積層型化合物半導体太陽電池の製造途中のウエハの模式的な断面構成図である。
【図16】図15に示すウエハから作製される従来の積層型化合物半導体太陽電池の電流−電圧特性を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
11 p型GaAs基板、12 p型In0.48Ga0.52P層、13 p型(Al0.5Ga0.5)0.24In0.76Asバッファ層、14,104,114,122,204,213,221,304,313,321 BSF層、15,105,115,123,205,214,222,305,314,322 ベース層、16,106,116,124,206,215,223,306,315,323 エミッタ層、17,107,117,125,207,216,224,307,316,324 窓層、18,103,126,203,225,303,325 コンタクト層、40 InGaAs太陽電池層、40a,40b,40c 太陽電池層、50a,50b トンネル接合層、101,201,301 支持基板、102,202,302 金属層、108,208,308 バッファ層、109 n+型In0.48Ga0.52P層、110 n+型AlInP層、111 n+型In0.48Ga0.52P層、112 p+型AlGaAs層、113 p+型AlInP層、118 n+型AlInP層、119 n+型In0.48Ga0.52P層、120 p+型AlGaAs層、121 p+型AlInP層、127,226,326 反射防止膜、128,227,327 電極層、130 n型GaAs基板、131,331 エッチングストップ層、209 n+型AlInP層、210 n+型InGaP層、211 p+型AlGaAs層、212 p+型AlInP層、217 n+型AlInP層、218 n+型InGaP層、219 p+型AlGaAs層、220 p+型AlInP層、228 n型Ge基板、309 n+型AlInP層、310 n+型InGaP層、311 p+型AlGaAs層、312 p+型AlInP層、317 n+型AlInP層、318 n+型InGaP層、319 p+型AlGaAs層、320 p+型AlInP層、328 n型GaAs基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換部を構成する太陽電池層が少なくとも化合物半導体からなる積層型化合物半導体太陽電池に関するものであり、特に、高効率の積層型化合物半導体太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層型化合物半導体太陽電池を高効率化する(光電変換効率を高くする)方法としては、半導体基板上に半導体基板と同程度の格子定数を有する化合物半導体層を成長させて複数個の太陽電池層を形成することによって結晶性に優れた積層型化合物半導体太陽電池を得る方法が用いられていた。
【0003】
しかしながら、化合物半導体層を成長するための主な半導体基板となるSi、Ge、GaAsまたはInP等と同程度の格子定数を有し、さらには好適な禁制帯幅を有する太陽電池層を用いた積層型化合物半導体太陽電池としては、GaAs基板を用いたInGaP/GaAs太陽電池や、Ge基板を用いたInGaP/InGaAs/Ge太陽電池等に限られていた。
【0004】
また、これらの積層型化合物半導体太陽電池よりもさらに高効率化する方法として、InGaP/GaAs太陽電池に3つ目の太陽電池層として1eVの禁制帯幅を有する太陽電池層を配置する方法もある。
【0005】
しかしながら、GaAsと格子定数が同等で、禁制帯幅が1eV程度の適当な半導体が存在しない。ここで、GaAsと格子定数が約2.3%ずれているInGaAsは1eV程度の禁制帯幅を有しているが、InGaP/GaAs太陽電池の3つ目の太陽電池層としてInGaAsを用いた場合には、GaAs基板上に格子不整合系半導体を成長した後に格子整合系半導体を成長させることになるため、格子整合系半導体の結晶性が悪くなって、積層型化合物半導体太陽電池全体の特性が悪化するおそれがある。
【0006】
そこで、半導体基板上に半導体基板と格子定数が同等程度で、積層型化合物半導体太陽電池の受光面が半導体基板側となるように化合物半導体層を成長させ、そこからバッファ層を介して半導体基板と格子定数が異なる太陽電池層を成長する方法が研究されている。
【0007】
積層型化合物半導体太陽電池は、通常、成長基板となる半導体基板の反対側に受光面が位置するように化合物半導体層を成長させて形成される(すなわち、受光面が化合物半導体層の成長方向に位置するように形成される)。
【0008】
しかしながら、受光面が半導体基板側となるように化合物半導体層を成長させることによって、半導体基板と格子定数が同等程度の化合物半導体からなる太陽電池層においては良好な結晶性が得られ、さらに半導体基板と格子定数が異なる格子不整合系の化合物半導体からなる太陽電池層の特性も得られることから、高効率の積層型化合物半導体太陽電池が得られる。
【0009】
たとえば、非特許文献1には、GaAs基板上にGaAsと格子整合したInGaP太陽電池層とGaAs太陽電池層の受光面をGaAs基板側にして成長し、その上にInGaPバッファ層のGaAs基板に対する格子定数の相対値が階段状に変化するように成長させた後、InGaAs太陽電池層の受光面をGaAs基板側に成長させる方法が開示されている。
【非特許文献1】Mark Wanlass et al., “MONOLITHIC,ULTRA-THIN GaInP/GaAs/GaInAs TANDEM SOLAR CELLS”, 2006 IEEE, p.729-p.732
【非特許文献2】M.W.Wanlass et al., “LATTICE-MISMATCHED APROACHES FOR HIGH-PERFORMANCE, III-V PHOTOVOLTAIC ENERGY CONVERTERS”, 2005 IEEE, p.530-p.535
【非特許文献3】D.J.Friedman, “0.7-eV GaInAs JUNCTION FOR A GaInP/GaAs/GaInAs(1eV)/GaInAs(0.7eV) FOUR-JUNCTION SOLAR CELL”, 2006 IEEE, p.598-p.602
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、非特許文献1の方法においては、InGaPバッファ層の成長速度が遅く、V族元素/III族元素の比率を高くすることからV族元素の原料ガスを多量に用いる必要があり、装置のランニングコストが上昇する等の問題があった。
【0011】
また、図15に示すように、p型GaAs基板21上に、p型In0.48Ga0.52P層22を積層する。そして、p型In0.48Ga0.52P層22上に、p型In0.45Ga0.55P層23、p型In0.42Ga0.58P層24、p型In0.39Ga0.61P層25、p型In0.36Ga0.64P層26、p型In0.33Ga0.67P層27、p型In0.3Ga0.7P層28、p型In0.27Ga0.73P層29およびp型In0.24Ga0.76P層30をこの順に積層することによってIn組成を階段状に変化させたInGaPバッファ層41を形成し、その後、p型In0.24Ga0.76PからなるBSF(Back Surface Field)層31、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層32、n型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層33、n型In0.24Ga0.76Pからなる窓層34およびn型In0.3Ga0.7Asからなるコンタクト層35を成長させてp型GaAs基板21側と反対側に受光面が位置する積層型化合物半導体太陽電池を作製した。ここで、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層32とn型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層33とからInGaAs太陽電池層40が形成されている。
【0012】
そして、上記のようにして作製した積層型化合物半導体太陽電池の電流−電圧特性について評価した。その結果を図16に示す。
【0013】
しかしながら、図16に示すように、上記のようにInGaPバッファ層41を用いた場合には、高効率の積層型化合物半導体太陽電池を得ることができないという問題があった。
【0014】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、高効率の積層型化合物半導体太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、半導体基材と、半導体基材上に形成された化合物半導体からなる太陽電池層と、を含み、太陽電池層の格子定数と、半導体基材の格子定数とが異なっており、半導体基材と太陽電池層との間にV族元素としてヒ素(As)を含有するIII−V族化合物半導体からなるバッファ層を有し、バッファ層の格子定数が、半導体基材の格子定数と太陽電池層の格子定数との間の値である積層型化合物半導体太陽電池である。なお、本発明において、半導体基材とバッファ層との間および/またはバッファ層と太陽電池層との間には他の層が含まれていてもよい。また、本発明において、バッファ層および太陽電池層はそれぞれ単層であってもよく、複数層であってもよい。
【0016】
ここで、本発明の積層型化合物半導体太陽電池においては、バッファ層の格子定数が、半導体基材側から太陽電池層側にかけて、半導体基材の格子定数と同一またはそれに近い値から太陽電池層の格子定数に近づくように変化していてもよい。なお、本発明において、バッファ層の格子定数が半導体基材の格子定数に近い値は、バッファ層の格子定数と半導体基材の格子定数との差の絶対値が、バッファ層の格子定数と太陽電池層の格子定数との差の絶対値よりも小さくなっていればよい。
【0017】
また、本発明の積層型化合物半導体太陽電池においては、半導体基材が、IV族半導体またはIII−V族化合物半導体であってもよい。
【0018】
また、本発明の積層型化合物半導体太陽電池においては、積層型化合物半導体太陽電池の受光面が、化合物半導体の成長方向と反対側に位置していてもよい。
【0019】
また、本発明の積層型化合物半導体太陽電池においては、太陽電池層を複数含有し、太陽電池層のベース層の禁制帯幅が、半導体基材側に位置する太陽電池層から積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する太陽電池層にかけて順に大きくなるように太陽電池層が配置されていてもよい。
【0020】
また、本発明の積層型化合物半導体太陽電池においては、バッファ層の禁制帯幅が、バッファ層よりも積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する太陽電池層のベース層の禁制帯幅よりも大きくてもよい。
【0021】
また、本発明の積層型化合物半導体太陽電池においては、バッファ層が、AlGaAs層、AlInGaAs層およびInAlAs層からなる群から選択される少なくとも1種を有していてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高効率の積層型化合物半導体太陽電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0024】
本発明は、半導体基材上に、半導体基材と異なる格子定数を有する太陽電池層を形成して積層型化合物半導体太陽電池を作製する場合に、半導体基材と太陽電池層との間に、V族元素としてヒ素(As)を含むIII−V族化合物半導体からなるバッファ層を形成し、そのバッファ層の格子定数が半導体基材の格子定数と太陽電池層の格子定数との間の値となるように形成されていることを特徴としている。
【0025】
このような構成とすることにより、半導体基板と格子定数が大きく異なる格子不整合の化合物半導体からなる太陽電池層の特性が良好となり、高効率の積層型化合物半導体太陽電池を実現することができるのである。
【0026】
本発明の効果を確かめるために、図1に示すように、p型GaAs基板11上に、p型In0.48Ga0.52P層12、p型(Al0.5Ga0.5)0.24In0.76Asバッファ層13、p型In0.24Ga0.76PからなるBSF層14、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層15、n型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層16、n型In0.24Ga0.76Pからなる窓層17およびn型In0.3Ga0.7Asからなるコンタクト層18を成長させてp型GaAs基板11側と反対側に受光面が位置する積層型化合物半導体太陽電池を作製した。ここで、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層15とn型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層16とからInGaAs太陽電池層40が形成された。
【0027】
そして、上記のようにして作製した積層型化合物半導体太陽電池の電流−電圧特性について評価した。その結果を図2に示す。
【0028】
本発明の効果を確かめるために作製された上記の積層型化合物半導体太陽電池は、図15に示す積層型化合物半導体太陽電池のInGaPバッファ層41に代えて、p型In0.48Ga0.52P層12の格子定数とInGaAs太陽電池層40の格子定数との間の格子定数を有するp型(Al0.5Ga0.5)0.24In0.76Asバッファ層13を形成した点で異なっているが、図2と図16とを比較すればわかるように、その電流−電圧特性は、V族元素としてリンを含むIII−V族化合物半導体であるInGaPバッファ層41を用いた場合よりは、V族元素としてヒ素を含むIII−V族化合物半導体であるp型(Al0.5Ga0.5)0.24In0.76Asバッファ層13を用いた場合の方が優れていた。
【0029】
なお、上記においては、バッファ層として、単一組成のp型(Al0.5Ga0.5)0.24In0.76Asバッファ層13を用いた場合について説明したが、バッファ層は、バッファ層の格子定数が半導体基材側から太陽電池層側にかけて半導体基材の格子定数と同等程度の値から太陽電池の格子定数と同等程度の値に変化するようにバッファ層の組成を変更しながら形成されてもよい。このとき、バッファ層は、バッファ層の格子定数が半導体基材側から太陽電池層側にかけて、直線状または指数関数状(たとえば1/2乗等)等に連続的に変化するようにその組成を変更して形成されてもよく、たとえば階段状のように不連続的に変化するようにその組成を変更して形成されてもよく、またこれらの連続的な変化と不連続的な変化とが組み合わさって変化するようにその組成を変更して形成されてもよい。
【0030】
<実施の形態1>
図3に、本発明の積層型化合物半導体太陽電池の一例の模式的な断面構成図を示す。この積層型化合物半導体太陽電池において、支持基板101上には、金属層102、p型In0.3Ga0.7Asからなるコンタクト層103、p型In0.24Ga0.76PからなるBSF層104、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層105、n型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層106およびn型In0.24Ga0.76Pからなる窓層107がこの順序で積層されている。ここで、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層105とn型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層106とから太陽電池層40aが形成されており、BSF層104、ベース層105、エミッタ層106および窓層107の積層体からボトムセルが構成されている。
【0031】
また、n型In0.24Ga0.76Pからなる窓層107上には、n型AlInGaAsからなるバッファ層108が積層されている。ここで、バッファ層108は、窓層107から離れるにしたがってInの組成が徐々に低下するように構成されており、n+型In0.48Ga0.52P層109との界面近傍においてはInの組成はほぼゼロとなっている。
【0032】
また、バッファ層108上には、n+型In0.48Ga0.52P層109、n+型AlInP層110、n+型In0.48Ga0.52P層111、p+型AlGaAs層112およびp+型AlInP層113がこの順に積層されてトンネル接合層50aを構成している。
【0033】
また、p+型AlInP層113上には、p型In0.48Ga0.52PからなるBSF層114、p型GaAsからなるベース層115、n型GaAsからなるエミッタ層116およびn型In0.48Ga0.52Pからなる窓層117がこの順序で積層されている。ここで、p型GaAsからなるベース層115とn型GaAsからなるエミッタ層116とから太陽電池層40bが形成されており、BSF層114、ベース層115、エミッタ層116および窓層117の積層体からミドルセルが構成されている。
【0034】
また、n型In0.48Ga0.52Pからなる窓層117上には、n+型AlInP層118、n+型In0.48Ga0.52P層119、p+型AlGaAs層120およびp+型AlInP層121がこの順に積層されてトンネル接合層50bを構成している。
【0035】
また、p+型AlInP層121上には、p型AlInPからなるBSF層122、p型In0.48Ga0.52Pからなるベース層123、n型In0.48Ga0.52Pからなるエミッタ層124およびn型AlInPからなる窓層125がこの順に積層されている。ここで、p型In0.48Ga0.52Pからなるベース層123とn型In0.48Ga0.52Pからなるエミッタ層124とから太陽電池層40cが形成されており、BSF層122、ベース層123、エミッタ層124および窓層125の積層体からトップセルが構成されている。
【0036】
また、n型AlInPからなる窓層125上に、n型GaAsからなるコンタクト層126および反射防止膜127が形成され、コンタクト層126上に電極層128が形成されている。
【0037】
なお、図3に示す積層型化合物半導体太陽電池においては、太陽電池層40a、40b、40cのベース層105、115、123の禁制帯幅が、半導体基材側に位置する太陽電池層40aから積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する太陽電池層40cにかけて順に大きくなっている。すなわち、ベース層105、ベース層115およびベース層123の順に禁制帯幅が大きくなっている。
【0038】
以下、図4〜図6の断面構成図を参照して、図3に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例について説明する。
【0039】
まず、図4に示すように、たとえば直径50mmのn型GaAs基板130をMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置内に設置し、このn型GaAs基板130上に、n型GaAsと選択エッチングが可能なエッチングストップ層となるn型In0.48Ga0.52Pからなるエッチングストップ層131、n型GaAsからなるコンタクト層126、n型AlInPからなる窓層125、n型In0.48Ga0.52Pからなるエミッタ層124、p型In0.48Ga0.52Pからなるベース層123およびp型AlInPからなるBSF層122をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0040】
次に、p型AlInPからなるBSF層122上に、p+型AlInP層121、p+型AlGaAs層120、n+型In0.48Ga0.52P層119およびn+型AlInP層118をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0041】
次に、n+型AlInP層118上に、n型In0.48Ga0.52Pからなる窓層117、n型GaAsからなるエミッタ層116、p型GaAsからなるベース層115およびp型In0.48Ga0.52PからなるBSF層114をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0042】
次に、p型In0.48Ga0.52PからなるBSF層114上に、p+型AlInP層113、p+型AlGaAs層112、n+型In0.48Ga0.52P層111、n+型AlInP層110およびn+型In0.48Ga0.52P層109をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0043】
次に、n+型In0.48Ga0.52P層109上に、AlGaAsを成長しながら徐々にInの組成を増加させて、成長終了時にIn0.3Ga0.7Asと格子定数が同一になるようにAlInGaAsからなるバッファ層108をMOCVD法により成長させる。
【0044】
次に、バッファ層108上に、n型In0.24Ga0.76Pからなる窓層107、n型In0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層106、p型In0.3Ga0.7Asからなるベース層105、p型In0.24Ga0.76PからなるBSF層104およびp型In0.3Ga0.7Asからなるコンタクト層103をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0045】
ここで、GaAsの形成にはAsH3(アルシン)およびTMG(トリメチルガリウム)を用い、InGaPの形成にはTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)を用い、InGaAsの形成にはTMI、TMGおよびAsH3を用い、AlInPの形成にはTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3を用い、AlGaAsの形成には、TMA、TMGおよびAsH3を用い、AlInGaAsの形成には、TMA、TMI、TMGおよびAsH3を用いることができる。
【0046】
その後、図5に示すように、p型In0.3Ga0.7Asからなるコンタクト層103の表面上にたとえばAu(たとえば厚さ0.1μm)/Ag(たとえば厚さ3μm)の積層体からなる金属層102により支持基板101を貼り付ける。
【0047】
次に、図6に示すように、n型GaAs基板130をアルカリ水溶液にてエッチングした後に、n型In0.48Ga0.52Pからなるエッチングストップ層131を酸水溶液にてエッチングする。
【0048】
次に、n型GaAsからなるコンタクト層126上にフォトリソグラフィによりレジストパターンを形成した後、コンタクト層126の一部をアルカリ水溶液を用いたエッチングにより除去する。そして、残されたコンタクト層126の表面上に再度フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、抵抗加熱蒸着装置およびEB(Electron Beam)蒸着装置を用いて、たとえばAuGe(12%)(たとえば厚さ0.1μm)/Ni(たとえば厚さ0.02μm)/Au(たとえば厚さ0.1μm)/Ag(たとえば厚さ5μm)の積層体からなる電極層128を形成する。
【0049】
次に、メサエッチングパターンを形成した後、アルカリ水溶液および酸溶液を用いてメサエッチングを行なう。そして、EB蒸着法により、たとえばTiO2膜(たとえば厚さ55nm)およびAl2O3膜(たとえば厚さ85nm)の積層体を形成して反射防止膜127を形成する。これにより、積層型化合物半導体太陽電池の受光面が化合物半導体の成長方向と反対側に位置する図3に示す構成の積層型化合物半導体太陽電池を得ることができる。
【0050】
上述した積層型化合物半導体太陽電池においては、AsをV族元素として含むIII−V族化合物半導体からなるバッファ層108の格子定数が、n+型In0.48Ga0.52P層109側からn型In0.24Ga0.76Pからなる窓層107側にかけて、n+型In0.48Ga0.52P層109の格子定数と同一またはそれに近い値から太陽電池層40aのベース層105およびエミッタ層106を構成するIn0.3Ga0.7Asの格子定数に近づくように形成されている。したがって、上述した積層型化合物半導体太陽電池は、非特許文献1に記載された従来の積層型化合物半導体太陽電池と比較して高効率になるものと考えられる。
【0051】
<実施の形態2>
図7に、本発明の積層型化合物半導体太陽電池の他の一例の模式的な断面構成図を示す。この積層型化合物半導体太陽電池において、支持基板201上には、金属層202、p型GaAsからなるコンタクト層203、p型InGaPからなるBSF層204、p型InGaAsからなるベース層205、n型InGaAsからなるエミッタ層206およびn型InGaPからなる窓層207がこの順序で積層されている。ここで、p型InGaAsからなるベース層205とn型InGaAsからなるエミッタ層206とから太陽電池層40aが形成されており、BSF層204、ベース層205、エミッタ層206および窓層207の積層体からボトムセルが構成されている。
【0052】
n型InGaPからなる窓層207上には、n型AlInGaAsからなるバッファ層208が積層されている。ここで、バッファ層208は、窓層207から離れるにしたがってInの組成が徐々に低下するように構成されており、n+型AlInP層209との界面近傍においてはInの組成はほぼゼロとなっている。
【0053】
また、バッファ層208上には、n+型AlInP層209、n+型InGaP層210、p+型AlGaAs層211およびp+型AlInP層212がこの順に積層されてトンネル接合層50aを構成している。
【0054】
また、p+型AlInP層212上には、p型InGaPからなるBSF層213、p型InGaAsからなるベース層214、n型InGaAsからなるエミッタ層215およびn型InGaPからなる窓層216がこの順序で積層されている。p型InGaAsからなるベース層214とn型InGaAsからなるエミッタ層215とから太陽電池層40bが形成されており、BSF層213、ベース層214、エミッタ層215および窓層216の積層体からミドルセルが構成されている。
【0055】
また、n型InGaPからなる窓層216上には、n+型AlInP層217、n+型InGaP層218、p+型AlGaAs層219およびp+型AlInP層220がこの順に積層されてトンネル接合層50bを構成している。
【0056】
また、p+型AlInP層220上には、p型AlInPからなるBSF層221、p型InGaPからなるベース層222、n型InGaPからなるエミッタ層223およびn型AlInPからなる窓層224がこの順に積層されている。ここで、p型InGaPからなるベース層222とn型InGaPからなるエミッタ層223とから太陽電池層40cが形成されており、BSF層221、ベース層222、エミッタ層223および窓層224の積層体からトップセルが構成されている。
【0057】
また、n型AlInPからなる窓層224上に、n型InGaAsからなるコンタクト層225および反射防止膜226が形成され、コンタクト層225上に電極層227が形成されている。
【0058】
以下、図8〜図10の断面構成図を参照して、図7に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例について説明する。
【0059】
まず、図8に示すように、たとえば直径50mmのn型Ge基板228をMOCVD装置内に設置し、このn型Ge基板228上に、n型InGaAsからなるコンタクト層225、n型AlInPからなる窓層224、n型InGaPからなるエミッタ層223、p型InGaPからなるベース層222およびp型AlInPからなるBSF層221をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0060】
次に、p型AlInPからなるBSF層221上に、p+型AlInP層220、p+型AlGaAs層219、n+型InGaP層218およびn+型AlInP層217をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0061】
次に、n+型AlInP層217上に、n型InGaPからなる窓層216、n型InGaAsからなるエミッタ層215、p型InGaAsからなるベース層214およびp型InGaPからなるBSF層213をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0062】
次に、p型InGaPからなるBSF層213上に、p+型AlInP層212、p+型AlGaAs層211、n+型InGaP層210およびn+型AlInP層209をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0063】
次に、n+型AlInP層209上に、n型AlGaAsを成長しながら徐々にInの組成を増加させて、成長終了時に太陽電池層40aを構成するInGaAsと格子定数が同一になるようにn型AlInGaAsからなるバッファ層208をMOCVD法により成長させる。
【0064】
次に、バッファ層208上に、n型InGaPからなる窓層207、n型InGaAsからなるエミッタ層206、p型InGaAsからなるベース層205、p型InGaPからなるBSF層204およびp型GaAsからなるコンタクト層203をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0065】
その後、図9に示すように、p型GaAsからなるコンタクト層203の表面上にたとえばAu(たとえば厚さ0.1μm)/Ag(たとえば厚さ3μm)の積層体からなる金属層202により支持基板201を貼り付ける。
【0066】
次に、図10に示すように、n型Ge基板228をフッ化水素水溶液にてエッチングする。そして、n型InGaAsからなるコンタクト層225上にフォトリソグラフィによりレジストパターンを形成した後、コンタクト層225の一部をアルカリ水溶液を用いたエッチングにより除去する。
【0067】
次に、残されたコンタクト層225の表面上に再度フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、抵抗加熱蒸着装置およびEB蒸着装置を用いて、たとえばAuGe(12%)(たとえば厚さ0.1μm)/Ni(たとえば厚さ0.02μm)/Au(たとえば厚さ0.1μm)/Ag(たとえば厚さ5μm)の積層体からなる電極層227を形成する。
【0068】
次に、メサエッチングパターンを形成した後、アルカリ水溶液および酸溶液を用いてメサエッチングを行なう。そして、EB蒸着法により、たとえばTiO2膜(たとえば厚さ55nm)およびAl2O3膜(たとえば厚さ85nm)の積層体を形成して反射防止膜226を形成する。これにより、積層型化合物半導体太陽電池の受光面が化合物半導体の成長方向と反対側に位置する図7に示す構成の積層型化合物半導体太陽電池を得ることができる。
【0069】
上述した積層型化合物半導体太陽電池においても、AsをV族元素として含むIII−V族化合物半導体からなるバッファ層208の格子定数が、n+型AlInP層209側からn型InGaPからなる窓層207側にかけて、n+型AlInP層209の格子定数と同一またはそれに近い値から太陽電池層40aのベース層205およびエミッタ層206を構成するInGaAsの格子定数に近づくように形成されている。したがって、上述した積層型化合物半導体太陽電池は、非特許文献1に記載された従来の積層型化合物半導体太陽電池と比較して高効率になるものと考えられる。
【0070】
<実施の形態3>
図11に、本発明の積層型化合物半導体太陽電池のさらに他の一例の模式的な断面構成図を示す。この積層型化合物半導体太陽電池において、支持基板301上には、金属層302、p型InGaAsからなるコンタクト層303、p型InGaPからなるBSF層304、p型InGaAsからなるベース層305、n型InGaAsからなるエミッタ層306およびn型InGaPからなる窓層307がこの順序で積層されている。ここで、p型InGaAsからなるベース層305とn型InGaAsからなるエミッタ層306とから太陽電池層40aが形成されており、BSF層304、ベース層305、エミッタ層306および窓層307の積層体からボトムセルが構成されている。
【0071】
n型InGaPからなる窓層307上には、n型AlInGaAsからなるバッファ層308が積層されている。ここで、バッファ層308は、窓層307から離れるにしたがってInの組成が徐々に低下するように構成されており、n+型AlInP層309との界面近傍においてはInの組成はほぼゼロとなっている。
【0072】
また、バッファ層308上には、n+型AlInP層309、n+型InGaP層310、p+型AlGaAs層311およびp+型AlInP層312がこの順に積層されてトンネル接合層50aを構成している。
【0073】
また、p+型AlInP層312上には、p型InGaPからなるBSF層313、p型GaAsからなるベース層314、n型GaAsからなるエミッタ層315およびn型InGaPからなる窓層316がこの順序で積層されている。p型GaAsからなるベース層314とn型GaAsからなるエミッタ層315とから太陽電池層40bが形成されており、BSF層313、ベース層314、エミッタ層315および窓層316の積層体からミドルセルが構成されている。
【0074】
また、n型InGaPからなる窓層316上には、n+型AlInP層317、n+型InGaP層318、p+型AlGaAs層319およびp+型AlInP層320がこの順に積層されてトンネル接合層50bを構成している。
【0075】
また、p+型AlInP層320上には、p型AlInPからなるBSF層321、p型InGaPからなるベース層322、n型InGaPからなるエミッタ層323およびn型AlInPからなる窓層324がこの順に積層されている。ここで、p型InGaPからなるベース層322とn型InGaPからなるエミッタ層323とから太陽電池層40cが形成されており、BSF層321、ベース層322、エミッタ層323および窓層324の積層体からトップセルが構成されている。
【0076】
また、n型AlInPからなる窓層324上に、n型GaAsからなるコンタクト層325および反射防止膜326が形成され、コンタクト層325上に電極層327が形成されている。
【0077】
なお、図11に示す積層型化合物半導体太陽電池においては、太陽電池層40a、40b、40cのベース層305、314、322の禁制帯幅が、半導体基材側に位置する太陽電池層40aから積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する太陽電池層40cにかけて順に大きくなっている。すなわち、ベース層305、ベース層314およびベース層322の順に禁制帯幅が大きくなっている。
【0078】
以下、図12〜図14の断面構成図を参照して、図11に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例について説明する。
【0079】
まず、図12に示すように、たとえば直径50mmのn型GaAs基板328をMOCVD装置内に設置し、このn型GaAs基板328上に、n型InGaPからなるエッチングストップ層331、n型GaAsからなるコンタクト層325、n型AlInPからなる窓層324、n型InGaPからなるエミッタ層323、p型InGaPからなるベース層322およびp型AlInPからなるBSF層321をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0080】
次に、p型AlInPからなるBSF層321上に、p+型AlInP層320、p+型AlGaAs層319、n+型InGaP層318およびn+型AlInP層317をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0081】
次に、n+型AlInP層317上に、n型InGaPからなる窓層316、n型GaAsからなるエミッタ層315、p型GaAsからなるベース層314およびp型InGaPからなるBSF層313をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0082】
次に、p型InGaPからなるBSF層313上に、p+型AlInP層312、p+型AlGaAs層311、n+型InGaP層310およびn+型AlInP層309をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0083】
次に、n+型AlInP層309上に、n型AlGaAsを成長しながら徐々にInの組成を増加させて、成長終了時に太陽電池層40aを構成するInGaAsと格子定数が同一になるようにn型AlInGaAsからなるバッファ層308をMOCVD法により成長させる。
【0084】
次に、バッファ層308上に、n型InGaPからなる窓層307、n型InGaAsからなるエミッタ層306、p型InGaAsからなるベース層305、p型InGaPからなるBSF層304およびp型GaAsからなるコンタクト層303をこの順にMOCVD法により成長させる。
【0085】
その後、図13に示すように、p型InGaAsからなるコンタクト層303の表面上にたとえばAu(たとえば厚さ0.1μm)/Ag(たとえば厚さ3μm)の積層体からなる金属層302により支持基板301を貼り付ける。
【0086】
次に、図14に示すように、n型GaAs基板328をアルカリ水溶液にてエッチングした後に、n型InGaPからなるエッチングストップ層331を酸水溶液にてエッチングする。
【0087】
そして、n型GaAsからなるコンタクト層325上にフォトリソグラフィによりレジストパターンを形成した後、コンタクト層325の一部をアルカリ水溶液を用いたエッチングにより除去する。
【0088】
次に、残されたコンタクト層325の表面上に再度フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、抵抗加熱蒸着装置およびEB蒸着装置を用いて、たとえばAuGe(12%)(たとえば厚さ0.1μm)/Ni(たとえば厚さ0.02μm)/Au(たとえば厚さ0.1μm)/Ag(たとえば厚さ5μm)の積層体からなる電極層327を形成する。
【0089】
次に、メサエッチングパターンを形成した後、アルカリ水溶液および酸溶液を用いてメサエッチングを行なう。そして、EB蒸着法により、たとえばTiO2膜(たとえば厚さ55nm)およびAl2O3膜(たとえば厚さ85nm)の積層体を形成して反射防止膜326を形成する。これにより、積層型化合物半導体太陽電池の受光面が化合物半導体の成長方向と反対側に位置する図11に示す構成の積層型化合物半導体太陽電池を得ることができる。
【0090】
上述した積層型化合物半導体太陽電池においても、AsをV族元素として含むIII−V族化合物半導体からなるバッファ層308の格子定数が、n+型AlInP層309側からn型InGaPからなる窓層307側にかけて、n+型AlInP層309の格子定数と同一またはそれに近い値から太陽電池層40aのベース層305およびエミッタ層306を構成するInGaAsの格子定数に近づくように形成されている。したがって、上述した積層型化合物半導体太陽電池は、非特許文献1に記載された従来の積層型化合物半導体太陽電池と比較して高効率になるものと考えられる。
【0091】
<その他>
本発明においては、半導体基材として、IV族半導体またはIII−V族化合物半導体を用いることができる。ここで、IV族半導体としてはたとえばGe等を用いることができ、III−V族化合物半導体としてはたとえばGaAs、InGaP、InGaAs、AlInP、AlGaAsまたはAlInGaAs等を用いることができる。
【0092】
また、本発明においては、バッファ層の禁制帯幅を、バッファ層よりも積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する太陽電池層のベース層の禁制帯幅よりも大きくすることもできる。
【0093】
また、本発明においては、バッファ層は、AlGaAs層、AlInGaAs層およびInAlAs層からなる群から選択される少なくとも1種を有していてもよい。
【0094】
なお、本明細書において、化合物の化学式において化合物を構成する元素の組成比が記載されていないものについては、その組成比は特に限定されず、適宜設定することが可能であることを意味している。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、高効率の積層型化合物半導体太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の積層型化合物半導体太陽電池の製造途中のウエハの一例の模式的な断面構成図である。
【図2】図1に示すウエハから作製される積層型化合物半導体太陽電池の電流−電圧特性を示す図である。
【図3】本発明の積層型化合物半導体太陽電池の一例の模式的な断面構成図である。
【図4】図3に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図5】図3に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例の他の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図6】図3に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例のさらに他の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図7】本発明の積層型化合物半導体太陽電池の他の一例の模式的な断面構成図である。
【図8】図7に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図9】図7に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例の他の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図10】図7に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例のさらに他の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図11】本発明の積層型化合物半導体太陽電池のさらに他の一例の模式的な断面構成図である。
【図12】図11に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図13】図11に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例の他の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図14】図11に示す積層型化合物半導体太陽電池の製造方法の一例のさらに他の工程の一部を図解する模式的な断面構成図である。
【図15】従来の積層型化合物半導体太陽電池の製造途中のウエハの模式的な断面構成図である。
【図16】図15に示すウエハから作製される従来の積層型化合物半導体太陽電池の電流−電圧特性を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
11 p型GaAs基板、12 p型In0.48Ga0.52P層、13 p型(Al0.5Ga0.5)0.24In0.76Asバッファ層、14,104,114,122,204,213,221,304,313,321 BSF層、15,105,115,123,205,214,222,305,314,322 ベース層、16,106,116,124,206,215,223,306,315,323 エミッタ層、17,107,117,125,207,216,224,307,316,324 窓層、18,103,126,203,225,303,325 コンタクト層、40 InGaAs太陽電池層、40a,40b,40c 太陽電池層、50a,50b トンネル接合層、101,201,301 支持基板、102,202,302 金属層、108,208,308 バッファ層、109 n+型In0.48Ga0.52P層、110 n+型AlInP層、111 n+型In0.48Ga0.52P層、112 p+型AlGaAs層、113 p+型AlInP層、118 n+型AlInP層、119 n+型In0.48Ga0.52P層、120 p+型AlGaAs層、121 p+型AlInP層、127,226,326 反射防止膜、128,227,327 電極層、130 n型GaAs基板、131,331 エッチングストップ層、209 n+型AlInP層、210 n+型InGaP層、211 p+型AlGaAs層、212 p+型AlInP層、217 n+型AlInP層、218 n+型InGaP層、219 p+型AlGaAs層、220 p+型AlInP層、228 n型Ge基板、309 n+型AlInP層、310 n+型InGaP層、311 p+型AlGaAs層、312 p+型AlInP層、317 n+型AlInP層、318 n+型InGaP層、319 p+型AlGaAs層、320 p+型AlInP層、328 n型GaAs基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基材と、
前記半導体基材上に形成された化合物半導体からなる太陽電池層と、を含み、
前記太陽電池層の格子定数と、前記半導体基材の格子定数とが異なっており、
前記半導体基材と前記太陽電池層との間にV族元素としてヒ素を含有するIII−V族化合物半導体からなるバッファ層を有し、
前記バッファ層の格子定数が、前記半導体基材の格子定数と前記太陽電池層の格子定数との間の値である、積層型化合物半導体太陽電池。
【請求項2】
前記バッファ層の格子定数が、前記半導体基材側から前記太陽電池層側にかけて、前記半導体基材の格子定数と同一またはそれに近い値から前記太陽電池層の格子定数に近づくように変化していることを特徴とする、請求項1に記載の積層型化合物半導体太陽電池。
【請求項3】
前記半導体基材が、IV族半導体またはIII−V族化合物半導体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層型化合物半導体太陽電池。
【請求項4】
前記積層型化合物半導体太陽電池の受光面が、前記化合物半導体の成長方向と反対側に位置することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の積層型化合物半導体太陽電池。
【請求項5】
前記太陽電池層を複数含有し、
前記太陽電池層のベース層の禁制帯幅が、前記半導体基材側に位置する前記太陽電池層から前記積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する前記太陽電池層にかけて順に大きくなるように前記太陽電池層が配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の積層型化合物半導体太陽電池。
【請求項6】
前記バッファ層の禁制帯幅が、前記バッファ層よりも前記積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する前記太陽電池層のベース層の禁制帯幅よりも大きいことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の積層型化合物半導体太陽電池。
【請求項7】
前記バッファ層は、AlGaAs層、AlInGaAs層およびInAlAs層からなる群から選択される少なくとも1種を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の積層型化合物半導体太陽電池。
【請求項1】
半導体基材と、
前記半導体基材上に形成された化合物半導体からなる太陽電池層と、を含み、
前記太陽電池層の格子定数と、前記半導体基材の格子定数とが異なっており、
前記半導体基材と前記太陽電池層との間にV族元素としてヒ素を含有するIII−V族化合物半導体からなるバッファ層を有し、
前記バッファ層の格子定数が、前記半導体基材の格子定数と前記太陽電池層の格子定数との間の値である、積層型化合物半導体太陽電池。
【請求項2】
前記バッファ層の格子定数が、前記半導体基材側から前記太陽電池層側にかけて、前記半導体基材の格子定数と同一またはそれに近い値から前記太陽電池層の格子定数に近づくように変化していることを特徴とする、請求項1に記載の積層型化合物半導体太陽電池。
【請求項3】
前記半導体基材が、IV族半導体またはIII−V族化合物半導体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層型化合物半導体太陽電池。
【請求項4】
前記積層型化合物半導体太陽電池の受光面が、前記化合物半導体の成長方向と反対側に位置することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の積層型化合物半導体太陽電池。
【請求項5】
前記太陽電池層を複数含有し、
前記太陽電池層のベース層の禁制帯幅が、前記半導体基材側に位置する前記太陽電池層から前記積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する前記太陽電池層にかけて順に大きくなるように前記太陽電池層が配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の積層型化合物半導体太陽電池。
【請求項6】
前記バッファ層の禁制帯幅が、前記バッファ層よりも前記積層型化合物半導体太陽電池の受光面側に位置する前記太陽電池層のベース層の禁制帯幅よりも大きいことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の積層型化合物半導体太陽電池。
【請求項7】
前記バッファ層は、AlGaAs層、AlInGaAs層およびInAlAs層からなる群から選択される少なくとも1種を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の積層型化合物半導体太陽電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−141135(P2009−141135A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316067(P2007−316067)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18、19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電システム未来技術研究開発、超高効率多接合型太陽電池の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18、19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電システム未来技術研究開発、超高効率多接合型太陽電池の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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