説明

積層型有機発光素子

【課題】本発明は、第1導電層、少なくとも1つの中間導電層および第2導電層と、前記導電層の間に配置された発光単位を含む積層型有機発光素子である。
【解決手段】本発明は、第1導電層、少なくとも1つの中間導電層および第2導電層と、前記導電層の間に配置された発光単位を含む積層型有機発光素子であって、前記導電層のうちの互いに隣接しない少なくとも2つの導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1群の導電層と共通電位となるように電気的に連結しない導電層のうちの互いに隣接しない少なくとも1つの導電層が共通電位となるように電気的に連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層と第2群の導電層が+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする積層型有機発光素子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型有機発光素子(OLED,organic light−emitting device)に関する。本出願は、2006年1月18日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2006−0005200号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
通常、有機発光素子は2つの電極とこれらの電極の間に介在した有機層とを含む。さらに、有機発光素子は、性能を向上させるために、電子/正孔注入層、または電子/正孔輸送層をさらに含むこともできる。
【0003】
最近では、有機発光素子の画素領域内に有機発光層を重複させることで、単位面積あたりの発光効率を増大させることができる積層型有機発光素子が開発された。
【0004】
図1は、従来の積層型有機発光素子の断面を例示した図である。図1に示す素子は、アノード電極、発光層、およびカソード電極が順次に反復して積層された構造を有する。このような構造の積層型有機発光素子において、最上部に形成されたカソード電極と最下部に形成されたアノード電極との間に所定の電圧が印加され、2つの電極の間に印加された電圧によって垂直の電流パスが形成され、多数の発光層、すなわち第1発光層と第2発光層から光が発光するようになり、単一発光層を備える通常の有機発光素子に比べて単位面積あたりの発光効率が増加するようになる。
【0005】
Forrestなどは、発光単位の間に介在してアノード電極とカソード電極の役割を行う中間導電層であって、積層された素子内部から可視光線を外部に効率良く透過させるために、透過率が高い透明電極であるITOを用いたSOLED(Stacked OLED)を提案した[“Three−Color,Tunable,Organic Light−Emitting Devices”,S.R.Forrest et al,Science,vol.276,1997,p 2009,“A metal−free,full−color stacked organic light−emitting device”,S.R.Forrest et al,Applied Physics Letters,Vol.74,1999,305.]。
【0006】
しかしながら、通常、アノードとして用いられる透明電極であるIZO(indium zinc−oxide)またはITO(indiumtin−oxide)のような導電性酸化膜は一関数が極めて高いため(通常>4.5eV)、これをカソード電極で形成する場合には、カソードから発光層への電子注入が困難になり、有機発光素子の作動電圧が大きく増加し、発光効率などの重要な素子特性が低下するという問題がある。したがって、通常、アノード電極として用いられる透明電極をアノード電極であると同時にカソード電極として作用する共通電極として用いるには限界がある。
【0007】
一方、米国登録特許第5,917,280には、発光単位の間に介在する共通電極、すなわちアノードとカソードで用いられる中間導電層として半透明電極であるMg:Ag合金層を用いたSOLEDが記載されている。
【0008】
一般的に、正孔の円滑な注入のために、アノード電極が正孔注入層のHOMO(highest occupied molecular orbital)エネルギー準位と類似したフェルミエネルギー準位(Fermi energy level)を有するように調節されたり、アノード電極のフェルミエネルギー準位と類似したHOMOエネルギー準位を有する物質が正孔注入層として選択される。しかしながら、正孔注入層は、アノード電極のフェルミエネルギー準位だけでなく、正孔輸送層または発光層のHOMOエネルギー準位を考慮して選択される必要があるため、正孔注入層用の物質を選択するには制限がある。したがって、Mg:Ag合金層のようにカソード用として用いる物質を共通電極として用いる場合も、発光特性の制約が生じるしかない。
【0009】
前記の問題点を克服するために、Forrestなどは、中間導電層としてMg:Ag合金層とITOを順次に積層した、図2に示すような構造のSOLEDを提案した[“High−efficiency,low−drive−voltage,semitransparent stacked organic light−emitting device”S.R.Forrest et al.,Applied Physics Letters,vol.73,1998,p2399.]。前記提案されたSOLEDは、各単位発光層の色温度の補正が可能であるが、色温度調節のためには極めて複雑な電極構造が備えられなければならない。また、前記SOLEDは、製造工程においても透明度に限界があるMg:Ag/ITO二重層を形成しなければならないなど、素子の製造工程が複雑であるという短所を有している。
【0010】
韓国公開特許公報第2005−29824号には、図3に示すように、積層されたそれぞれの発光ユニットが独立的な電流パスに連結された積層型有機発光素子が公知されている。しかしながら、このような積層型有機発光素子は、中間導電層220を中心として両側の発光ユニットが反転構造と非反転構造で形成されているため、実質には同一電流が単位素子に同時に印加される形態に過ぎず、色温度補正が不可能な構造である。
【0011】
一方、本発明者らは、導電層および前記導電層上に位置するn−型有機層を含むアノード、カソード、および前記アノードの導電層と前記カソードとの間に位置し、前記n−型有機層とNP接合を形成するp−型有機層を含む有機発光素子において、前記アノードのn−型有機層のLUMOエネルギー準位と前記アノードの導電層のフェルミエネルギー準位との差を調節することで、アノードと有機層の界面で正孔注入および/または正孔抽出に対する電気的障壁が低くなり、これに伴って正孔注入および/または正孔抽出の能力などが向上するため素子性能に優れ、多様な物質で電極を形成できるため素子製造工程を簡素化できるという長所を有する有機発光素子をPCT/KR2005/001381と韓国特許出願第2005−103664号で出願を行った。特に、韓国特許出願第2005−103664号に係る有機発光素子は、Ca,Ca:Ag,Ca−IZOまたはMg:Ag物質をアノード電極の導電層として用いることができるという長所がある上に、アノード電極とカソード電極を同じ物質で用いることができるという長所もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、積層された各発光単位が個別に作動するようにすることで、部分的な色の調節によって色温度調節が可能な積層型有機発光素子を提供することを目的とする。また、本発明は、積層された発光単位が交互に作動するようにし、各発光単位の作動時間および強度を調節することで、多様な表示素子の実現が可能な積層型有機発光素子を提供することを他の目的とする。さらに、本発明は、積層型有機発光素子において、共通電極として用いられる中間導電層をアノードまたはカソードと同じ物質で用いることができる積層型有機発光素子を提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記した目的を達成するために、本発明は、第1導電層、少なくとも1つの中間導電層および第2導電層と、前記導電層の間に配置された発光単位を含む積層型有機発光素子であって、前記導電層のうちの互いに隣接しない少なくとも2つの導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1群の導電層と共通電位となるように電気的に連結しない導電層のうちの互いに隣接しない少なくとも1つの導電層が共通電位となるように電気的に連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層と第2群の導電層が+電圧と−電圧が交代に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする積層型有機発光素子を提供する。
【0014】
このような構成を有する積層型有機発光素子において、積層されたそれぞれの発光単位は、これらに接する導電層に交互に印加される+電圧および−電圧によって個別に作動と非作動を交互に繰り返すようになる。このように、本発明に係る積層型有機発光素子では、それぞれ個別に作動する発光単位によって色温度調節が可能である。また、本発明に係る積層型有機発光素子では、導電層に+電圧と−電圧が交互に印加される時間または電圧強度を調節することで、より多様な色の表示状態を実現することができる。本発明に係る積層型有機発光素子において、前記発光単位のうちの少なくとも1つがいずれか1つの導電層に接するn−型有機層およびこのn−型有機層とNP接合を形成するp−型有機層を含み、これらのエネルギー準位が下記の式(1)と(2)を満たすようにできる。
nL−E≦4eV (1)
pH−EnL≦1eV (2)
【0015】
前記式(1)と(2)において、Eは、前記n−型有機層が接する導電層のフェルミエネルギー準位であり、EnLは、前記n−型有機層のLUMO(lowest unoccupied molecularorbital)エネルギー準位であり、EpHは、前記p−型有機層のHOMO(highest occupied molecular orbital)エネルギー準位である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る積層型有機発光素子は、各発光単位が個別に作動することで、部分的な色の調節によって色温度調節が可能であるという長所がある上に、積層された発光単位が交互に作動することで、多様な表示素子を実現することができる。また、本発明に係る有機発光素子は、正孔注入または正孔抽出に対する電気的障壁を低め、NP接合を形成するn−型有機層およびp−型有機層を含むため素子効率が高い上に、電極物質として多様な物質を用いることができるため素子製造工程を簡素化できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の積層型有機発光素子を例示した断面構造図である。
【図2】従来の積層型有機発光素子を例示した断面構造図である。
【図3】従来の積層型有機発光素子を例示した断面構造図である。
【図4】本発明の例示的な一具現例に係る、中間導電層が1つでありパルス発生器が備えられた積層型有機発光素子を示す模式的な断面図とその構造に対する等価回路模式図である。
【図5】本発明の例示的な一具現例に係る、中間導電層が1つでありパルス発生器が備えられた積層型有機発光素子を示す模式的な断面図とその構造に対する等価回路模式図である。
【図6】中間導電層に印加されるパルス電圧のパルスの高さを調節する態様に対して示す図である。
【図7】中間導電層に印加されるパルス電圧のパルスの幅を調節する態様に対して示す図である。
【図8】本発明の例示的な一具現例に係る、中間導電層が2つでありパルス発生器が備えられた積層型有機発光素子を示す模式的な断面図とその構造に対する等価回路模式図である。
【図9】本発明の例示的な一具現例に係る、中間導電層が2つでありパルス発生器が備えられた積層型有機発光素子を示す模式的な断面図とその構造に対する等価回路模式図である。
【図10】本発明の例示的な具現例に係る、中間導電層が2つである積層型有機発光素子の模式的な断面図および等価回路模式図である。
【図11】本発明の例示的な具現例に係る、中間導電層が2つである積層型有機発光素子の模式的な断面図および等価回路模式図である。
【図12】本発明の例示的な一具現例に係る、中間導電層が2つでありパルス発生器が備えられた積層型有機発光素子を示す模式的な断面図とその構造に対する等価回路模式図である。
【図13】本発明の例示的な一具現例に係る、中間導電層が2つでありパルス発生器が備えられた積層型有機発光素子を示す模式的な断面図とその構造に対する等価回路模式図である。
【図14】本発明の例示的な一具現例に係る、中間導電層が3つでありパルス発生器が備えられた積層型有機発光素子を示す模式的な断面図とその構造に対する等価回路模式図である。
【図15】本発明の例示的な一具現例に係る、中間導電層が3つでありパルス発生器が備えられた積層型有機発光素子を示す模式的な断面図とその構造に対する等価回路模式図である。
【図16】本発明の例示的な一具現例に係る、中間導電層が3つである積層型有機発光素子の模式的な断面図および等価回路模式図である。
【図17】本発明の例示的な一具現例に係る、中間導電層が3つでありパルス発生器が備えられた積層型有機発光素子を示す模式的な断面図とその構造に対する等価回路模式図である。
【図18】本発明の例示的な一具現例に係る、中間導電層が3つでありパルス発生器が備えられた積層型有機発光素子を示す模式的な断面図とその構造に対する等価回路模式図である。
【図19】本発明の例示的な一具現例に係る、中間導電層が3つでありパルス発生器が備えられた積層型有機発光素子を示す模式的な断面図とその構造に対する等価回路模式図である。
【図20】本発明の例示的な一具現例に係る、中間導電層が3つでありパルス発生器が備えられた積層型有機発光素子を示す模式的な断面図とその構造に対する等価回路模式図である。
【図21】本発明の例示的な具現例に係る、中間導電層が3つである積層型有機発光素子の模式的な断面図および等価回路模式図である。
【図22】本発明の例示的な一具現例である実施例1に係る積層型有機発光素子において、正方向および逆方向電圧における青色および緑色発光の電流−電圧特性データである。
【図23】本発明の例示的な一具現例である実施例1に係る積層型有機発光素子において、正方向および逆方向電圧における青色および緑色発光のスペクトルである。
【図24】本発明の例示的な一具現例である実施例1に係る積層型有機発光素子において、正方向および逆方向電圧における発光色座標を示したものである。
【図25】本発明の例示的な一具現例である実施例1に係る積層型有機発光素子において、正方向、逆方向、およびパルス発生器を用いて正方向と逆方向を60Hzで駆動したときの発光写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい具現例を図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、以下の添付図面および詳細な説明は、その性質上、本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲が以下の説明によって制限されるものではない。以下の好ましい具現例は、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で多様に変形される。
【0019】
本発明に係る積層型有機発光素子は、前記導電層のうちの互いに隣接しない少なくとも2つの導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1群の導電層と共通電位となるように電気的に連結しない導電層のうちの互いに隣接しない少なくとも1つの導電層が共通電位となるように電気的に連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層と第2群の導電層が+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結されることを特徴とする。
【0020】
このとき、前記電圧制御器は、その目的を達成する一種類に特別に限定されるものではないが、例えば、正弦波交流電圧、直流電圧、またはパルス電圧によって+電圧と−電圧を交互に印加することができる。また、前記電圧制御器は、+電圧と−電圧を交互に印加する時間または電圧の強度を調節する手段をさらに備えることができ、例えば、正弦波またはパルスの幅または高さを変調する手段を備えることができる。各導電層に+電圧と−電圧を交互に印加する時間または電圧の強度を調節することで、本発明に係る積層型有機発光素子にてより一層多様な表示状態を実現することができる。図6は、パルスの高さを変調した例を示すものであり、図7は、パルスの幅を変調した例を示すものである。
【0021】
本発明は、上述した条件を満たす限り、中間導電層および発光単位の数および導電層の電気的な連結状態において多様な実施形態を提供することができる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、第1導電層、少なくとも1つの中間導電層および第2導電層と、前記導電層の間に配置された発光単位を含む積層型有機発光素子であって、前記第1導電層と少なくとも1つの中間導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第2導電層と前記第1群に属さない少なくとも1つの中間導電層が共通電位となるように連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層は互いに隣接せず、前記第2群の導電層は互いに隣接せず、前記第1群の導電層と前記第2群の導電層が+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする積層型有機発光素子が提供される。
【0023】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1導電層、少なくとも1つの中間導電層および第2導電層と、前記導電層の間に配置された発光単位を含む積層型有機発光素子であって、前記第1導電層と前記第2導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記中間導電層のうちの互いに隣接しない少なくとも1つの導電層が共通電位となるように電気的に連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層と前記第2群の導電層が+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする積層型有機発光素子が提供される。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1導電層、少なくとも1つの中間導電層および第2導電層と、前記導電層の間に配置された発光単位を含む積層型有機発光素子であって、前記第1導電層、前記第2導電層、および前記第1または第2導電層と隣接しない少なくとも1つの中間導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1群の導電層と共通電位となるように電気的に連結しない導電層のうちの互いに隣接しない少なくとも1つの導電層が共通電位となるように電気的に連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層と第2群の導電層が+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする積層型有機発光素子が提供される。
【0025】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1導電層、第1発光単位、中間導電層、第2発光単位および第2導電層を含み、前記第1導電層と前記第2導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記中間導電層が前記第1群の導電層と+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする積層型有機発光素子が提供される。本実施形態は、2層の発光単位を含む有機発光素子に関し、この構造を図4に例示した。図5は、2層の発光単位を含む有機発光素子の構造に対する等価回路模式図を示すものである。
【0026】
図4の積層型有機発光素子は、基板300と、基板300上に位置する第1導電層310と、前記第1導電層上に形成されるn−型有機層311、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層312、第1発光層313、および電子輸送層314を含む第1発光単位と、中間導電層330、前記中間導電層上に形成されるn−型有機層321、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層322、第2発光層323、および電子輸送層324を含む第2発光単位と、第2導電層320とを含む。前記発光層および電子輸送層は、同じ有機物質または異なる有機物質で形成され得る。
【0027】
図4の積層型有機発光素子は、パルス発生器350を間に置いて第1導電層および第2導電層と中間導電層が連結する。このような構造において、中間導電層に−電圧が印加されれば、中間導電層の電位が第1導電層および第2導電層の電位よりも低くなる。これにより、第1導電層がアノード電極で、中間導電層がカソード電極で作動するように構成された第1発光単位は、正電圧が印加されて発光を行うようになる。この反面、中間導電層がアノード電極で、第2導電層がカソード電極で作動するように構成された第2発光単位は、逆電圧が印加されて非発光を行うようになる。反対に、中間導電層に+電圧が印加されれば、中間導電層の電位が第1導電層および第2導電層の電位よりも高くなる。これにより、第1導電層がアノード電極で、中間導電層がカソード電極で作動するように構成された第1発光単位は、逆電圧が印加されて非発光を行うようになる。この反面、中間導電層がアノード電極で、第2導電層がカソード電極で作動するように構成された第2発光単位は、正電圧が印加されて発光を行うようになる。このような原理により、第1発光単位と第2発光単位が互いに独立して発光し、+電圧と−電圧が印加される交互に印加される時間と印加される電圧の強度を調節して第1発光単位と第2発光単位の駆動時間および発光輝度を選択的に制御することによって色調節を行うことができ、これによって多様な素子への適用が可能になる。
【0028】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1導電層、第1発光単位、第1中間導電層、第2発光単位、第2中間導電層、第3発光単位および第2導電層を含み、前記第1導電層と前記第2中間導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1中間導電層と前記第2導電層が共通電位となるように電気的に連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層が前記第2群の導電層と+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする積層型有機発光素子が提供される。
【0029】
前記実施形態は、3層の発光単位を含む有機発光素子のうちの1つであって、外部導電層と中間導電層が共通電位となるように電気的に連結した構造の有機発光素子に関し、その構造を図8に例示した。図9は、図8の構造に対する等価回路を示すものである。
【0030】
図8の積層型有機発光素子は、基板400と、基板400上に位置する第1導電層410と、前記第1導電層上に形成されるn−型有機層411、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層412、第1発光層413、および電子輸送層414を含む第1発光単位と、第1中間導電層430、前記第1中間導電層上に形成されるn−型有機層421、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層422、第2発光層423、および電子輸送層424を含む第2発光単位と、第2中間導電層440、前記第2中間導電層上に形成されるn−型有機層431、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層432、第3発光層433、および電子輸送層434を含む第3発光単位と、第2導電層420とを含み、前記発光層および電子輸送層は、同じ有機物質または異なる有機物質で形成される。このような構造において、前記第1導電層410と第2中間導電層440が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第2導電層420と第1中間導電層430が共通電位となるように電気的に連結した第2群の導電層である。それぞれ共通電位となるように連結した2つの群の導電層の間にパルス発生器450を連結し、パルス発生器450から+電圧と−電圧が交互に印加されれば、第1発光単位および第3発光単位と、第2発光単位が互いに独立して発光する。
【0031】
図10および図11は、図8のような導電層の連結構造を有する3層の発光単位を含む有機発光素子であって、各発光単位の有機層積層順による等価回路を示すものである。図10および図11において、矢印は発光単位の有機層積層順を示すものであって、各発光単位の有機層は、矢印の開始点である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および矢印の終端である電子輸送層で構成される。
【0032】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1導電層、第1発光単位、第1中間導電層、第2発光単位、第2中間導電層、第3発光単位、および第2導電層を含み、前記第1導電層と前記第2導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1中間導電層および前記第2中間導電層のうちの1つが前記第1群の導電層と+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする積層型有機発光素子が提供される。
【0033】
前記実施形態は、3層の発光単位を含む有機発光素子のうちの1つであって、外部導電層が共通電位となるように電気的に連結した構造の有機発光素子に関し、その構造を図12に例示した。図13は、図12の構造に対する等価回路を示すものである。
【0034】
図12の積層型有機発光素子は、基板500と、基板500上に位置する第1導電層510と、前記第1導電層上に形成されるn−型有機層511、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層512、第1発光層513、および電子輸送層514を含む第1発光単位と、第1中間導電層530、前記第1中間導電層上に形成されるn−型有機層521、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層522、第2発光層523、および電子輸送層524を含む第2発光単位と、第2中間導電層540と、前記第2中間導電層上に形成されるn−型有機層531、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層532、第3発光層533、および電子輸送層534を含む第3発光単位と、第2導電層520とを含み、前記発光層および電子輸送層は、同じ有機物質または異なる有機物質で形成される。このような構造において、前記第1導電層510と第2導電層520が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層として、この1群の導電層と第1中間導電層との間にパルス発生器を連結させ、パルス発生器550から+電圧と−電圧が交互に印加されれば、第1発光単位と、第2発光単位および第3発光単位が互いに独立して発光する。
【0035】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1導電層、第1発光単位、第1中間導電層、第2発光単位、第2中間導電層、第3発光単位、第3中間導電層、第4発光単位、および第2導電層を含み、前記第1導電層と前記第2中間導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第2導電層と前記第1中間導電層が共通電位となるように電気的に連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層が前記第2群の導電層と+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする積層型有機発光素子が提供される。
【0036】
前記実施形態は、4層の発光単位を含む有機発光素子のうちの1つであって、外部導電層と中間導電層が共通電位となるように電気的に連結した構造の有機発光素子に関し、その構造を図14に例示した。図15は、図14の構造に対する等価回路を示すものである。
【0037】
図14の積層型有機発光素子は、基板600と、基板600上に位置する第1導電層610と、前記第1導電層上に形成されるn−型有機層611、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層612、第1発光層613、および電子輸送層614を含む第1発光単位と、第1中間導電層630と、前記第1中間導電層上に形成されるn−型有機層621、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層622、第2発光層623、および電子輸送層624を含む第2発光単位と、第2中間導電層640と、前記第2中間導電層上に形成されるn−型有機層631、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層632、第3発光層633、および電子輸送層634を含む第3発光単位と、第3中間導電層650と、前記第3中間導電層上に形成されるn−型有機層641、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層642、第4発光層643、および電子輸送層644を含む第4発光単位と、第2導電層620とを含み、前記発光層および電子輸送層は、同じ有機物質または異なる有機物質で形成される。このような構造において、前記第1導電層610と第2中間導電層640が共通電位となるように電気的に連結し、前記第1中間導電層630と第2導電層620が共通電位となるように電気的に連結する。それぞれ共通電位となるように連結した2つの群の導電層の間にパルス発生器を連結し、パルス発生器から+電圧と−電圧が交互に印加されれば、第1発光単位、第3発光単位および第4発光単位と、第2発光単位が互いに独立して発光する。
【0038】
図16は、図14のような電極連結構造を有する4層の発光単位を含む有機発光素子であって、各発光単位の有機層積層順による等価回路を示すものである。図16において、矢印は発光単位の有機層積層順を示すものであって、各発光単位の有機層は、矢印の開始点である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および矢印の終端である電子輸送層で構成される。
【0039】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1導電層、第1発光単位、第1中間導電層、第2発光単位、第2中間導電層、第3発光単位、第3中間導電層、第4発光単位、および第2導電層を含み、前記第1導電層と前記第2導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1中間導電層、第2中間導電層、および第3中間導電層のうちの少なくとも1つが前記第1群の導電層と+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする積層型有機発光素子が提供される。
【0040】
前記実施形態は、4層の発光単位を含む有機発光素子のうちの1つであって、外部導電層が共通電位となるように電気的に連結した構造の有機発光素子に関し、その構造を図17に例示した。図18は、図17の構造に対する等価回路を示すものである。
【0041】
図17の積層型有機発光素子は、基板700と、基板700上に位置する第1導電層710と、前記第1導電層上に形成されるn−型有機層711、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層712、第1発光層713、および電子輸送層714を含む第1発光単位と、第1中間導電層730と、前記第1中間導電層上に形成されるn−型有機層721、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層722、第2発光層723、および電子輸送層724を含む第2発光単位と、第2中間導電層740と、前記第2中間導電層上に形成されるn−型有機層731、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層732、第3発光層733、および電子輸送層734を含む第3発光単位と、第3中間導電層750と、前記第3中間導電層上に形成されるn−型有機層741、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層742、第4発光層743、および電子輸送層744を含む第4発光単位と、第2導電層720とを含み、前記発光層および電子輸送層は、同じ有機物質または異なる有機物質で形成される。このような構造において、前記第1導電層710と第2導電層720が共通電位となるように電気的に連結する。前記外部導電層と前記第1中間導電層間にパルス発生器750を連結し、パルス発生器750から+電圧と−電圧が交互に印加されれば、第1発光単位と、第2発光単位、第3発光単位、および第4発光単位が互いに独立して発光する。
【0042】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1導電層、第1発光単位、第1中間導電層、第2発光単位、第2中間導電層、第3発光単位、第3中間導電層、第4発光単位、および第2導電層を含み、前記第1導電層、前記第2中間導電層、および前記第2導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1中間導電層と前記第3中間導電層が共通電位となるように連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層が前記第2群の導電層と+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする積層型有機発光素子が提供される。
【0043】
前記実施形態は、4層の発光単位を含む有機発光素子のうちの1つであって、外部導電層が共通電位となるように電気的に連結し、中間導電層が共通電位となるように電気的に連結した構造の有機発光素子に関し、その構造を図19に例示した。図20は、図19の構造に対する等価回路を示すものである。
【0044】
図19の積層型有機発光素子は、基板800と、基板800上に位置する第1導電層810と、前記第1導電層上に形成されるn−型有機層811、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層812、第1発光層813、および電子輸送層814を含む第1発光単位と、第1中間導電層830と、前記第1中間導電層上に形成されるn−型有機層821、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層822、第2発光層823、および電子輸送層824を含む第2発光単位と、第2中間導電層840と、前記第2中間導電層上に形成されるn−型有機層831、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層832、第3発光層833、および電子輸送層834を含む第3発光単位と、第3中間導電層850と、前記第3中間導電層上に形成されるn−型有機層841、n−型有機層上にNP接合されるp−型正孔輸送層842、第4発光層843、および電子輸送層844を含む第4発光単位と、第2導電層820とを含み、前記発光層および電子輸送層は、同じ有機物質または異なる有機物質で形成される。このような構造において、前記第1導電層810、第2導電層820、および第2中間導電層840が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1中間導電層830と前記第3中間導電層850が共通電位となるように連結した第2群の導電層である。前記第1群の導電層と第2群の導電層との間にパルス発生器850を連結する。また、パルス発生器850から+電圧と−電圧が交互に印加されれば、第1発光単位および第3発光単位と、第2発光単位および第4発光単位が互いに独立して発光する。
【0045】
図21は、図19のような電極連結構造を有する4層の発光単位を含む有機発光素子であって、発光単位の積層順が異なる有機発光素子の構造および等価回路を示したものである。図21において、矢印は発光単位の有機層積層順を示すものであって、各発光単位の有機層は、矢印の開始点である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および矢印の終端である電子輸送層で構成される。
【0046】
本発明に係る積層型有機発光素子は、後面発光(bottom emission)素子、前面発光(top emission)素子、または両面発光素子である場合がある。本発明に係る積層型有機発光素子において、前記第1導電層はアノード電極であり、第2導電層はカソード電極でる場合がある。反対に、前記第1導電層はカソード電極であり、第2導電層はアノード電極である場合がある。
【0047】
本発明に係る積層型有機発光素子において、前記中間導電層は、透明物質でなされたり、透明な程度に薄く形成されたりする。前記中間導電層は、中間カソード電極層および中間アノード電極層が積層された形態である場合もあるし、単一導電層で形成されたものであるある場合もある。
【0048】
本発明において、前記第1導電層、第2導電層、および中間導電層は、同じ物質で形成されることもできる。
【0049】
本発明に係る積層型有機発光素子において、前記発光単位は、互いに同じか相違する。積層されたそれぞれの発光単位は互いに独立し、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、および電子注入層のうちの1つ以上の層を含むことができる。本発明に係る積層型有機発光素子に含まれた発光単位は、互いに異なる材料からなる発光層を含むことができる。
【0050】
本発明に係る積層型有機発光素子において、各発光単位の積層順は、互いに異なる場合がある。例えば、各発光単位は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層の順、または電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、および正孔注入層の順で積層される場合がある。ただし、各発光単位は、さらに少ない数の層でなされる場合がある。各発光単位の積層順が相違した例は、上述した図10、図11、図16、および図21に例示したが、これらにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内でさらに多様な実施形態を実現することができる。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、前記発光単位は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層が順次に積層された正構造の発光単位を含むことができる。本発明のさらに他の実施形態によれば、前記発光単位は、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、および正孔注入層が順次に積層された逆構造の発光単位を含むことができる。本発明のさらに他の実施形態によれば、前記発光単位は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層が順次に積層された正構造の発光単位と、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、および正孔注入層が順次に積層された逆構造の発光単位をすべて含むことができる。
【0052】
本発明において、導電層から前記発光単位のp−型有機層に正孔注入のためのエネルギー障壁を低めることで正孔注入の能力を向上させると同時に、導電層を多様な導電性物質で形成できるようにするために、前記p−型有機層とNP接合をなすように前記導電層上にn−型有機層を形成し、前記層が下記の式(1)および(2)を満たすようにすることができる。
nL−E≦4eV (1)
pH−EnL≦1eV (2)
【0053】
前記式(1)と(2)において、Eは、前記n−型有機層が接する導電層のフェルミエネルギー準位であり、EnLは、前記n−型有機層のLUMO(lowest unoccupied molecularorbital)エネルギー準位であり、EpHは、前記p−型有機層のHOMO(highest occupied molecular orbital)エネルギー準位である。
【0054】
したがって、本発明に係る積層型有機発光素子は、前記発光単位のうちの少なくとも1つがいずれか1つの導電層に接するn−型有機層およびこのn−型有機層とNP接合を形成するp−型有機層を含み、これらのエネルギー準位が前記の式(1)と(2)を満たすようにすることができる。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、前記第1導電層からn+1番目に位置した発光単位が前記第1導電層からn番目に位置した中間導電層に接するn−型有機層およびこのn−型有機層とNP接合を形成するp−型有機層を含み(ここで、nは1より大きい整数)、これらのエネルギー準位が前記した式(1)と(2)を満たすものである場合がある。この実施形態の素子は正構造、すなわち第1導電層がアノードであり、第2導電層がカソードである構造に適用される。
【0056】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記第1導電層に接する発光単位が前記第1導電層に接するn−型有機層およびこのn−型有機層とNP接合を形成するp−型有機層を含み、これらのエネルギー準位が前記した式(1)と(2)を満たすものである場合がある。この実施形態の素子は正構造、すなわち第1導電層がアノードであり、第2導電層がカソードの構造に適用される。
【0057】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記第1導電層からn番目に位置した発光単位は、前記第1導電層からn番目に位置した中間導電層に接するn−型有機層およびこのn−型有機層とNP接合を形成するp−型有機層を含み(ここで、nは1より大きい整数であり)、これらのエネルギー準位が前記した式(1)と(2)を満たすものである場合がある。この実施形態の素子は逆構造、すなわち第1導電層がカソードであり、第2導電層がアノードの構造に適用される。
【0058】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記第2導電層に接する発光単位が前記第2導電層に接するn−型有機層およびこのn−型有機層とNP接合を形成するp−型有機層を含み、これらのエネルギー準位が前記した式(1)と(2)を満たすものである場合がある。この実施形態の素子は逆構造、すなわち第1導電層がカソードであり、第2導電層がアノードの構造に適用される。
【0059】
本発明において、前記n−型有機層は、各発光単位で正孔注入層としての役割を実行することができる。
【0060】
本発明において、前記n−型有機層は、真空蒸着される物質またはソリューションプロセス(solution process)で薄膜成形される物質で形成される。前記n−型有機層を形成するための物質の具体的な例としては、下記化学式1の化合物があるが、これにのみ限定されるものではない。
【0061】
【化1】

【0062】
前記化学式1において、R〜Rはそれぞれ水素、ハロゲン原子、ニトリル(−CN)、ニトロ(−NO)、スルホニル(−SO11)、スルホキシド(−SOR11)、スルホンアミド(−SONR1112)、スルホネート(−SO11)、トリフルオロメチル(−CF)、エステル(−COOR11)、アミド(−CONHR11または−CONR1112)、置換または非置換の直鎖または分枝鎖のC−C12アルコキシ、置換または非置換の直鎖または分枝鎖C−C12のアルキル、置換または非置換の芳香族または非芳香族のヘテロ環、置換または非置換のアリール、置換または非置換のモノ−またはジ−アリルアミン、および置換または非置換のアラルキルアミンで構成された群から選択され、前記R11およびR12はそれぞれ置換または非置換のC−C60のアルキル、置換または非置換のアリール、および置換または非置換の5−7員のヘテロ環からなる群から選択される。
【0063】
前記化学式1の化合物の具体的な例としては、下記化学式1−1〜1−6で示す化合物があるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0064】
【化2】

【0065】
また、前記n−型有機層を形成するための材料としては、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)、フッ素−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、シアノ−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、フッ素−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、およびシアノ−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)などがある。
【0066】
前記n−型有機層とNP接合をなすp−型有機層は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、または発光層(EML)として作用することができる。前記n−型有機層とp−型有機層のNP接合で形成された正孔は、前記p−型正孔注入層、p−型正孔輸送層、またはp−型発光層を介して発光領域に輸送される。前記p−型正孔注入層、p−型正孔輸送層、またはp−型発光層のHOMOエネルギー準位は、例えば、前記n−型有機層のLUMOエネルギー準位に対して約1eV以下のエネルギー差、好ましくは約0.5eV以下のエネルギー差を有する。前記p−型有機層を形成するための材料の具体的な例としては、アリルアミン系化合物、導電性ポリマー、または共役の部分と非共役の部分が共にあるブロック共重合体などを含むが、これらにのみ限定されるものではない。
【0067】
前記NP接合によって第1導電層、中間導電層、および第2導電層から選択される2つ以上は同じ物質で形成されるが、特に、前記導電層は、Ca、Ca−Ag、Ag−IZO、またはMg−Agから選択される材料で形成される。
【0068】
一方、本発明に係る積層型有機発光素子の製造において、カソードと有機物のコンテック問題による電子注入特性の低下を防ぐために、カソード電圧が印加される導電層から電子の注入を受ける有機層は、イミダゾール基、オキサゾール基、およびチアゾール基から選択される官能基を有する化合物で形成されることが好ましい。前記カソード電圧が印加される導電層から電子の注入を受ける有機層は、電子輸送層である場合がある。このような化合物からなる有機層の形成によって電子注入特性を改善する方法は、本発明に係る積層型有機発光素子が逆構造、すなわち基板上に位置する第1導電層がカソード電極であり、最上側に位置する第2導電層がアノード電極である構造の場合よりも一層有効である。
【0069】
前記イミダゾール基、オキサゾール基、およびチアゾール基から選択される官能基を有する化合物の好ましい例としては、下記化学式2または化学式3の化合物が好ましく、
【化3】

前記化学式2において、RおよびRは互いに同じか相違し、互いに独立して水素、C−C20の脂肪族炭化水素、芳香族環、または芳香族ヘテロ環であり、Arは芳香族環または芳香族ヘテロ環であり、Rは水素、C−Cの脂肪族炭化水素、芳香族環または芳香族ヘテロ環であり、XはO,SまたはNR13であり、R13は水素、C−Cの脂肪族炭化水素、芳香族環または芳香族ヘテロ環であり、ただしRおよびRが同時に水素である場合には除外され、
【化4】

前記化学式3において、ZはO,SまたはNR14であり、R10およびR14は互いに同じか相違し、互いに独立して水素、C−C24のアルキル、C−C20のアリール、またはヘテロ原子を含む置換されたアリール、ハロゲンまたはベンザゾール環と融合環を形成することができるアルキレンまたはヘテロ原子を含むアルキレンであり、Bは連結ユニットとして複数のベンザゾールを共役または非共役するように連結するアルキレン、アリーレン、置換されたアルキレン、または置換されたアリーレンであり、nは3〜8の整数である。
【0070】
以下、本発明に係る有機発光素子の各構成要素について詳細に説明する。
【0071】
[第1導電層]
第1導電層は、アノード物質またはカソード物質で形成される。
【0072】
例えば、前記第1導電層がアノード物質で形成される場合には、金属、金属酸化物、または導電性ポリマーで形成される。前記導電性ポリマーは、電気導電性ポリマーを含むことができる。前記第1導電層は、約2.5〜5.5eVのフェルミエネルギー準位を有することが好ましい。前記第1導電層から第1発光単位のp−型有機層に正孔注入のためのエネルギー障壁を低めて多様な導電性物質で形成できるようにするために、前記p−型有機層とNP接合をなすように前記第1導電層上にn−型有機層を形成することが好ましい。導電性物質の非制限的な例としては、炭素、アルミニウム、カルシウム、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、銀、金、その他の金属、およびこれらの合金と、亜鉛酸化物、インジウム酸化物、スズ酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、およびその他のこれと類似した金属酸化物、Ca−Ag、およびCa−IZOのような金属−金属酸化物積層体などがある。有機発光素子が前面発光型(top emission)である場合には、前記第1導電層として、透明物質だけでなく光反射率が優れた不透明物質を用いることもできる。背面発光型(bottom emission)有機発光素子である場合には、前記第1導電層が透明物質でなされなければならず、不透明物質が用いられる場合には、透明になる程度に薄膜で形成されなければならない。
【0073】
[中間導電層]
本発明に係る積層型有機発光素子で1つ以上が備えられる中間導電層は、アノード電極およびカソード電極すべてで用いられる共通電極の役割を行う。前記中間導電層は、中間カソード電極層および中間アノード電極層が積層された形態でなされる場合もあるし、単一導電層形態である場合もある。前記中間導電層が単一導電層形態である場合には、一関数が通常用いられるカソード物質のそれと類似した値を有しながらも、可視光線透過率が50%以上である透明な物質で形成されることが好ましい。不透明金属が中間導電層として用いられる場合に、中間導電層の厚さは、透明になる程度に薄く形成されなければならない。特に、低い一関数を有するCaまたはMgを用いて中間導電層を形成することができ、Ca、Ca−Ag、Ag−IZO、またはMa−Agが好ましい。特に、Ca−IZOを採用する場合には可視光線透過度を改善することができるが、これにより、積層型有機発光素子の場合には、同じ駆動電圧下でスタックされた有機発光素子単位の数に比例して輝度が増加するため、本発明に係る有機発光素子の中間導電層として用いることが好ましい。
【0074】
[第2導電層]
第2導電層は、アノード物質またはカソード物質で形成される。
例えば、前記第2導電層がカソード物質で形成される場合に、第2導電層は、電子注入が容易になされるように一関数が小さい物質が好ましい。前記第2導電層はこれにのみ限定されるものではないが、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、および鉛のような金属、またはこれらの合金、LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造物質などで形成される。
【0075】
第1導電層、中間導電層、および第2導電層は、上述したように、すべて同じ物質または相違した物質で備えることができる。
【0076】
[発光層(EML)]
本発明に係る積層型有機発光素子の各発光単位には、発光層が備えられる。前記発光層では正孔伝達と電子伝達が同時に起こるため、発光層はn−型特性とp−型特性をすべて有することができ、便宜上、電子輸送が正孔輸送に比べて速い場合にはn−型発光層、正孔輸送が電子輸送に比べて速い場合にはp−型発光層であると定義することができる。
【0077】
n−型発光層では、電子輸送が正孔輸送よりも速いため、正孔輸送層と発光層の界面付近で発光がなされる。したがって、正孔輸送層のLUMO準位が発光層のLUMO準位よりも高ければ、より優れた発光効率を示すことができる。n−型発光層材料としては、これにのみ限定されるものではないが、アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン)(Alq3)、8−ヒドロキシキノリンベリリウム(BAlq)、ベンツオキサゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、またはベンゾイミダゾール系化合物、ポリフルオレン系化合物と、シラシクロペンタジエン(silole)系統化合物などを含む。
【0078】
p−型発光層では、正孔輸送が電子輸送よりも速いため、電子輸送層と発光層の界面付近で発光がなされる。したがって、電子輸送層のHOMO準位が発光層のHOMO準位よりも低ければ、より一層優れた発光効率を示すことができる。
【0079】
p−型発光層を用いる場合に、正孔輸送層のLUMO準位変化による発光効率の増大効果は、n−型発光層を用いる場合に比べて小さい。したがって、p−型発光層を用いる場合には、正孔注入層と正孔輸送層を用いず、上述したn−型有機層とp−型発光層との間のNP接合構造を有する発光単位で製造することができる。p−型発光層材料としては、これにのみ限定されるものではないが、カルバゾール系化合物、アントラセン系化合物、ポリフェニレンビニレン(PPV)系統ポリマー、スピロ(spiro)化合物などを含む。
【0080】
[電子輸送層(ETL)]
本発明に係る積層型有機発光素子の各発光単位は、電子輸送層を含むことができる。前記電子輸送層材料としては、カソードから電子の注入を適切に受けて発光層に適切に輸送できるように、電子移動度(electron mobility)が大きい物質が好ましい。前記電子輸送層材料としては、これにのみ限定されるものではないが、アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン)(Alq3)、Alq3構造を含む有機化合物、ヒドロキシフラボン−金属錯化合物、またはシラシクロペンタジエン(silole)系統化合物などを含む。
【実施例】
【0081】
以下、実施例を参照しながら、本発明に係る積層型有機発光素子を例示して説明する。
【0082】
[実施例1]
[2重積層型有機発光素子]
洗浄されたガラス基板上にインジウム亜鉛酸化物(IZO)を1000Åの厚さでスパッタリング蒸着機を用いて真空蒸着し、前記形成された導電層上に約500Åの厚さの下記構造のHATを熱真空蒸着し、IZOおよびHAT n−型有機層を有する透明アノードを形成した。
【0083】
【化5】

【0084】
続いて、HAT n−型有機層上に約400Åの厚さで4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)を真空蒸着してp−型正孔輸送層を形成した。前記p−型正孔輸送層上に下記化学式2−1で表示される青色ホスト物質に下記化学式2−2で表示される青色ドーパント物質を2%濃度でドーピングしながら約300Åの厚さで真空蒸着して発光層を形成させ、前記発光層上に下記イミダゾール化合物(PIMNA、HOMO準位=約5.7eV)を200Åの厚さで真空蒸着して電子輸送層を形成させた。
【0085】
【化6】

【0086】
前記イミダゾール化合物に250Åの厚さでCa中間電極を真空熱蒸着し、上述したように再びHATを約500Åの厚さで真空熱蒸着し、前記HAT上に約400Åの厚さでNPBを蒸着した後、発光層としてAlq3を300Åで蒸着した後、上述したイミダゾール化合物を電子輸送層に蒸着した。
【0087】
前記電子輸送層上に15Åの厚さのフッ化リチウム(LiF)薄膜と1000Å厚さのアルミニウムを真空蒸着して導電層を形成した。続いて、前記中間導電層であるCa層にパルス電圧制御器と共にAlおよびIZO導電層に接地電位を構成することで有機発光素子を完成した。前記過程において、有機物の蒸着速度は約0.4〜0.7Å/secを維持し、LiFは約0.3Å/sec、カルシウムおよびアルミニウムは約2Å/secの蒸着速度を維持した。蒸着時の蒸着チャンバ内の真空度は、約2×10−7〜5×10−8torrを維持した。
【0088】
実施例1に係る青色と緑色が積層された素子に、正方向電圧7Vでは色座標x=0.136、y=0.167の青色発光が観測され、逆方向電圧5Vでは色座標x=0.371、y=0.576の緑色発光が観測された(図22参照)。表1は、各正方向および逆方向電圧に係る青色および赤色の輝度および色座標を示すものであり、図23は、このときの発光スペクトルを示すものである。また、パルス発生器を用いて60Hzで逆方向および正方向電圧を印加した場合に、青色と緑色が混合した青緑色の光が観測され、パルスの幅またはパルス電圧を変化させることにより、発光色は、図24および図25に示すように、青色と緑色との間で変化することを観測することができる。
【0089】
前記の結果は、本発明によって2重積層型構造の素子製作を介して正電圧および逆電圧による2種類の色の発光素子を実現することができ、さらに正電圧と逆電圧のパルス幅または強さを変化させることによって発光色が変化する素子を実現できることを意味する。
【0090】
【表1】

【符号の説明】
【0091】
100,200,300,400, 500,600,700,800 基板
110,210,210a,210b,310,410,510,610,710,810 第1導電層
120,220,320,420,520,620,720,820 第2導電層
311,321,411,421,431,511,621,531,611,621,631,641,711,721,731,741,811,821,831,841 n−型有機層
112,122,212,222,232,312,322,412,422,432,512,522,532,612,622,632,642,712,722,732,742,812,822,832,842 正孔輸送層
113,123,213,223,233,312,323,413,423,433,513,523,533,613,623,633,643,713,723,733,743,813,823,833,843 発光層
114,124,214,224,234,314,324,414,424,434,514,524,534,614,624,634,644,714,724,734,744,814,824,834,844 電子輸送層
130,230,240,330,430,440,530,540,630,640,650,730,740,750,830,840,850 中間導電層
350,450,550,650,750,850 パルス発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電層、少なくとも1つの中間導電層および第2導電層と、前記導電層の間に配置された発光単位を含む積層型有機発光素子であって、前記導電層のうちの互いに隣接しない少なくとも2つの導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1群の導電層と共通電位となるように電気的に連結しない導電層のうちの互いに隣接しない少なくとも1つの導電層が共通電位となるように電気的に連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層と第2群の導電層が+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする積層型有機発光素子。
【請求項2】
前記第1導電層と少なくとも1つの中間導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第2導電層と前記第1群に属しない少なくとも1つの中間導電層が共通電位となるように連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層は互いに隣接しておらず、前記第2群の導電層は互いに隣接しておらず、前記第1群の導電層と前記第2群の導電層が+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項3】
前記第1導電層と前記第2導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記中間導電層のうちの互いに隣接しない少なくとも1つの導電層が共通電位となるように電気的に連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層と前記第2群の導電層が+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項4】
前記第1導電層、前記第2導電層、および前記第1または第2導電層と隣接しない少なくとも1つの中間導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1群の導電層と共通電位となるように電気的に連結しない導電層のうちの互いに隣接しない少なくとも1つの導電層が共通電位となるように電気的に連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層と第2群の導電層が+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項5】
第1導電層、第1発光単位、中間導電層、第2発光単位および第2導電層を含み、前記第1導電層と前記第2導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記中間導電層が前記第1群の導電層と+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項6】
第1導電層、第1発光単位、第1中間導電層、第2発光単位、第2中間導電層、第3発光単位および第2導電層を含み、前記第1導電層と前記第2中間導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1中間導電層と前記第2導電層が共通電位となるように電気的に連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層が前記第2群の導電層と+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項7】
第1導電層、第1発光単位、第1中間導電層、第2発光単位、第2中間導電層、第3発光単位および第2導電層を含み、前記第1導電層と前記第2導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1中間導電層および前記第2中間導電層のうちの1つが前記第1群の導電層と+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項8】
第1導電層、第1発光単位、第1中間導電層、第2発光単位、第2中間導電層、第3発光単位、第3中間導電層、第4発光単位および第2導電層を含み、前記第1導電層と前記第2中間導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第2導電層と前記第1中間導電層が共通電位となるように電気的に連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層が前記第2群の導電層と+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項9】
第1導電層、第1発光単位、第1中間導電層、第2発光単位、第2中間導電層、第3発光単位、第3中間導電層、第4発光単位および第2導電層を含み、前記第1導電層と前記第2導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1中間導電層、第2中間導電層および第3中間導電層のうちの少なくとも1つが前記第1群の導電層と+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項10】
第1導電層、第1発光単位、第1中間導電層、第2発光単位、第2中間導電層、第3発光単位、第3中間導電層、第4発光単位および第2導電層を含み、前記第1導電層、前記第2中間導電層および前記第2導電層が共通電位となるように電気的に連結した第1群の導電層であり、前記第1中間導電層と前記第3中間導電層が共通電位となるように連結した第2群の導電層であり、前記第1群の導電層が前記第2群の導電層と+電圧と−電圧が交互に印加されるようにする電圧制御器を介在して連結したことを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項11】
前記電圧制御器は、正弦波交流電圧、直流電圧、またはパルス電圧によって+電圧と−電圧を交互に印加することを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項12】
前記電圧制御器は、正弦波またはパルスの幅または高さを変調する手段が備えられていることを特徴とする、請求項11に記載の積層型有機発光素子。
【請求項13】
後面発光(bottom emission)素子、前面発光(top emission)素子、または両面発光素子であることを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項14】
前記第1導電層はアノード電極であり、前記第2導電層はカソード電極であることを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項15】
前記第1導電層はカソード電極であり、前記第2導電層はアノード電極であることを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項16】
前記中間導電層は透明物質で形成されたり、透明な程度に薄く形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項17】
前記中間導電層は、中間カソード電極層および中間アノード電極層が積層された形態であることを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項18】
前記中間導電層は、単一導電層からなることを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項19】
前記発光単位は、互いに同じか相違することを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項20】
前記発光単位は、互いに独立して発光層と、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、および電子注入層のうちの1以上の層を含むことを特徴とする、請求項19に記載の積層型有機発光素子。
【請求項21】
前記発光単位は、互いに異なる材料からなる発光層を含むことを特徴とする、請求項19に記載の積層型有機発光素子。
【請求項22】
前記発光単位が正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層が順次に積層された正構造の発光単位を含むことを特徴とする、請求項19に記載の積層型有機発光素子。
【請求項23】
前記発光単位が電子輸送層、発光層、正孔輸送層、および正孔注入層が順次に積層された逆構造の発光単位を含むことを特徴とする、請求項19に記載の積層型有機発光素子。
【請求項24】
前記発光単位が正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層が順次に積層された正構造の発光単位と、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、および正孔注入層が順次に積層された逆構造の発光単位をすべて含むことを特徴とする、請求項19に記載の積層型有機発光素子。
【請求項25】
前記発光単位のうちの少なくとも1つは、いずれか1つの導電層に接するn−型有機層およびこのn−型有機層とNP接合を形成するp−型有機層を含み、これらのエネルギー準位が下記式(1)と(2)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子:
nL−E≦4eV (1)
pH−EnL≦1eV (2)
前記式(1)と(2)において、Eは、前記n−型有機層が接する導電層のフェルミエネルギー準位であり、EnLは、前記n−型有機層のLUMO(lowest unoccupied molecularorbital)エネルギー準位であり、EpHは、前記p−型有機層のHOMO(highest occupied molecular orbital)エネルギー準位である。
【請求項26】
前記第1導電層からn+1番目に位置した発光単位は、前記第1導電層からn番目に位置した中間導電層に接するn−型有機層およびこのn−型有機層とNP接合を形成するp−型有機層を含み、ここで、nは1よりも大きい整数であり、これらのエネルギー準位が前記式(1)と(2)を満たすことを特徴とする、請求項25に記載の積層型有機発光素子。
【請求項27】
前記第1導電層に接する発光単位は、前記第1導電層に接するn−型有機層およびこのn−型有機層とNP接合を形成するp−型有機層を含み、これらのエネルギー準位が前記式(1)と(2)を満たすことを特徴とする、請求項25に記載の積層型有機発光素子。
【請求項28】
前記第1導電層からn番目に位置した発光単位は、前記第1導電層からn番目に位置した中間導電層に接するn−型有機層およびこのn−型有機層とNP接合を形成するp−型有機層を含み、ここで、nは1よりも大きい整数であり、これらのエネルギー準位が前記式(1)と(2)を満たすことを特徴とする、請求項25に記載の積層型有機発光素子。
【請求項29】
前記第2導電層に接する発光単位は、前記第2導電層に接するn−型有機層およびこのn−型有機層とNP接合を形成するp−型有機層を含み、これらのエネルギー準位が前記式(1)と(2)を満たすことを特徴とする、請求項25に記載の積層型有機発光素子。
【請求項30】
前記n−型有機層は、各発光単位で正孔注入層であることを特徴とする、請求項25に記載の積層型有機発光素子。
【請求項31】
前記n−型有機層は、下記化学式1の化合物を含むことを特徴とする、請求項25に記載の積層型有機発光素子:
【化1】

前記化学式1において、R〜Rはそれぞれ水素、ハロゲン原子、ニトリル(−CN)、ニトロ(−NO)、スルホニル(−SO11)、スルホキシド(−SOR11)、スルホンアミド(−SONR1112)、スルホネート(−SO11)、トリフルオロメチル(−CF)、エステル(−COOR11)、アミド(−CONHR11または−CONR1112)、置換または非置換の直鎖または分枝鎖のC−C12アルコキシ、置換または非置換の直鎖または分枝鎖C−C12のアルキル、置換または非置換の芳香族または非芳香族のヘテロ環、置換または非置換のアリール、置換または非置換のモノ−またはジ−アリルアミン、および置換または非置換のアラルキルアミンで構成された群から選択され、前記R11およびR12はそれぞれ置換または非置換のC−C60のアルキル、置換または非置換のアリールおよび置換または非置換の5−7員ヘテロ環からなる群から選択される。
【請求項32】
前記化学式1の化合物は、下記化学式1−1〜1−6で示される化合物から選択されることを特徴とする、請求項31に記載の積層型有機発光素子:
【化2】

【請求項33】
前記n−型有機層は、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)、フッ素−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、シアノ−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、フッ素−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、およびシアノ−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)のうちから選択される化合物を含むことを特徴とする、請求項25に記載の積層型有機発光素子。
【請求項34】
前記第1導電層、前記少なくとも1つの中間導電層、および前記第2導電層のうちの少なくとも2つの導電層は、同じ物質で形成されることを特徴とする、請求項25に記載の積層型有機発光素子。
【請求項35】
前記第1導電層、前記少なくとも1つの中間導電層、および前記第2導電層のうちの少なくとも2つの導電層は、Ca、Ca−Ag、Ag−IZOまたはMg−Agで形成されることを特徴とする、請求項34に記載の積層型有機発光素子。
【請求項36】
前記発光単位のうちの少なくとも1つは、イミダゾール基、オキサゾール基、およびチアゾール基から選択される官能基を有する化合物からなる有機層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項37】
前記イミダゾール基、オキサゾール基、およびチアゾール基から選択される官能基を有する化合物からなる有機層は、下記化学式2または化学式3の化合物を含むことを特徴とする、請求項36に記載の積層型有機発光素子:
【化3】

前記化学式2において、RおよびRは互いに同じか相違し、互いに独立して水素、C−C20の脂肪族炭化水素、芳香族環、または芳香族ヘテロ環であり、Arは芳香族環または芳香族ヘテロ環であり、Rは水素、C−Cの脂肪族炭化水素、芳香族環または芳香族ヘテロ環であり、XはO、SまたはNR13であり、R13は水素、C−Cの脂肪族炭化水素、芳香族環または芳香族ヘテロ環であり、ただしRおよびRが同時に水素である場合には除外され、
【化4】

前記化学式3において、ZはO、SまたはNR14であり、R10およびR14は互いに同じか相違し、互いに独立して水素、C−C24のアルキル、C−C20のアリールまたはヘテロ原子を含む置換されたアリール、ハロゲンまたはベンザゾール環と融合環を形成できるアルキレンまたはヘテロ原子を含むアルキレンであり、Bは連結ユニットとして複数のベンザゾールを共役または非共役するように連結するアルキレン、アリーレン、置換されたアルキレン、または置換されたアリーレンであり、nは3〜8の整数である。
【請求項38】
前記発光単位のうちの少なくとも一つはイミダゾール基、オキサゾール基およびチアゾール基から選択される官能基を有する化合物からなる有機層を含むことを特徴とする、請求項25に記載の積層型有機発光素子。
【請求項39】
前記イミダゾール基、オキサゾール基、およびチアゾール基から選択される官能基を有する化合物からなる有機層は、下記化学式2または化学式3の化合物を含むことを特徴とする、請求項38に記載の積層型有機発光素子:
【化5】

前記化学式2において、RおよびRは互いに同じか相違し、互いに独立して水素、C−C20の脂肪族炭化水素、芳香族環または芳香族ヘテロ環であり、Arは芳香族環または芳香族ヘテロ環であり、Rは水素、C−Cの脂肪族炭化水素、芳香族環または芳香族ヘテロ環であり、XはO、SまたはNR13であり、R13は水素、C−Cの脂肪族炭化水素、芳香族環または芳香族ヘテロ環であり、ただしRおよびRが同時に水素である場合には除外され、
【化6】

前記化学式3において、ZはO、SまたはNR14であり、R10およびR14は互いに同じか相違し、互いに独立して水素、C−C24のアルキル、C−C20のアリールまたはヘテロ原子を含む置換されたアリール、ハロゲンまたはベンザゾール環と融合環を形成できるアルキレンまたはヘテロ原子を含むアルキレンであり、Bは連結ユニットとして複数のベンザゾールを共役または非共役するように連結するアルキレン、アリーレン、置換されたアルキレン、または置換されたアリーレンであり、nは3〜8の整数である。
【請求項40】
前記イミダゾール基、オキサゾール基、およびチアゾール基から選択される官能基を有する化合物からなる有機層を含む発光単位が前記導電層に接するn−型有機層およびこのn−型有機層とNP接合を形成するp−型有機層を含むことを特徴とする、請求項38に記載の積層型有機発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−110121(P2013−110121A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−19648(P2013−19648)
【出願日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【分割の表示】特願2008−551181(P2008−551181)の分割
【原出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】