積層型超電導コイル装置および超電導コイル装置
【課題】超電導特性の低下を防止し、超電導コイルの安定性を向上させることができる積層型超電導コイル装置および超電導コイル装置を提供する。
【解決手段】超電導テープ線11を外径方向に巻き回して形成された超電導コイル10と、複数個の超電導コイル10を軸方向に積層した超電導コイル装置31と、各超電導コイル10に設けられ、超電導コイル10の最外周より内周側に、超電導コイル10の周方向に沿って設けられたコイルカバー13と、超電導テープ線11の端末部11aで複数個の超電導コイル10間を電気的に接続する接続板15とを備える。端末部11aは、コイルカバー13を介して巻回され、各コイルカバー13の超電導コイル径方向の寸法は、超電導コイル10の中心から接続板15による接続位置までの超電導コイル10の径方向寸法が、複数個の超電導コイル10間で略等しくなるように決定された。
【解決手段】超電導テープ線11を外径方向に巻き回して形成された超電導コイル10と、複数個の超電導コイル10を軸方向に積層した超電導コイル装置31と、各超電導コイル10に設けられ、超電導コイル10の最外周より内周側に、超電導コイル10の周方向に沿って設けられたコイルカバー13と、超電導テープ線11の端末部11aで複数個の超電導コイル10間を電気的に接続する接続板15とを備える。端末部11aは、コイルカバー13を介して巻回され、各コイルカバー13の超電導コイル径方向の寸法は、超電導コイル10の中心から接続板15による接続位置までの超電導コイル10の径方向寸法が、複数個の超電導コイル10間で略等しくなるように決定された。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ形状の超電導線材を巻回してなる超電導コイル装置および複数個の超電導コイル装置を軸方向に積層した積層型超電導コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超電導コイル装置は、絶縁物からなる巻枠に超電導テープ線を巻き回して形成され、一般的に、軸方向に複数個積層して使用される。積層された複数の超電導コイル装置は、金属板にてハンダ接続されることにより電気的に接続される。
【0003】
超電導コイル装置間をハンダ接続した場合、超電導テープ線にはねじり力が作用し、超電導テープ線に局部的に曲げ応力が働く。この曲げ応力は、超電導コイルの超電導特性を低下させてしまう恐れがあった。
【0004】
従来、超電導コイルの端末部に接続した電極をボビンと固定することにより超電導テープ線に曲げが発生することを防止する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電極は、超電導コイルの端末部に対してハンダ接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−98267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属製の電極を超電導コイルの端末部にハンダ接続する際、端末部を加熱する必要が生じる。この結果、超電導コイルは端末部のみならず全体が加熱されてしまい、超電導コイルの超電導特性は低下してしまうという課題があった。
【0007】
また、積層された複数個の超電導コイル間の寸法は、必ずしも一致するとは限らない。超電導コイル間の寸法にずれがある場合には、金属板と超電導コイル端末部とに隙間が生じるため、ハンダ量が増加し、接続抵抗が増加するという課題があった。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、超電導特性の低下を防止し、超電導コイルの安定性を向上させることができる積層型超電導コイル装置および超電導コイル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る積層型超電導コイル装置は、上述した課題を解決するために、超電導テープ線を外径方向に巻き回して形成された超電導コイルと、複数個の前記超電導コイルを軸方向に積層した超電導コイル装置と、各前記超電導コイルに設けられ、前記超電導コイルの最外周より内周側に、前記超電導コイルの周方向に沿って設けられたコイルカバーと、前記超電導テープ線の端末部で複数個の前記超電導コイル間を電気的に接続する接続板とを備え、前記端末部は、前記コイルカバーを介して巻回され、各前記コイルカバーの前記超電導コイル径方向の寸法は、前記超電導コイルの中心から前記接続板による接続位置までの前記超電導コイルの径方向寸法が、複数個の前記超電導コイル間で略等しくなるように決定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る積層型超電導コイル装置および超電導コイル装置においては、超電導特性の低下を防止し、超電導コイルの安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態における超電導コイル装置の平面図。
【図2】超電導コイル装置の超電導コイルを説明する構成図。
【図3】超電導コイル装置の超電導テープ線を説明する構成図。
【図4】超電導コイル装置のカバーの構成図。
【図5】図1の超電導コイル装置を2個積層した積層型超電導コイル装置の平面図。
【図6】図5の積層型超電導コイル装置の正面図。
【図7】第2実施形態における超電導コイル装置が2個積層された積層型超電導コイル装置の平面図。
【図8】図7の積層型超電導コイル装置の正面図。
【図9】超電導テープ線のスペックの一例を示す表。
【図10】段差吸収用テープ線を有する超電導コイル装置の平面図。
【図11】離形材層を有する超電導コイル装置の平面図。
【図12】溝を有するカバーの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明に係る積層型超電導コイル装置および超電導コイル装置の第1実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、第1実施形態における超電導コイル装置1の平面図である。
【0014】
図2は、超電導コイル装置1の超電導コイル10を説明する構成図である。
【0015】
図3は、超電導コイル装置1の超電導テープ線11を説明する構成図である。
【0016】
図4は、超電導コイル装置1のカバー13の構成図である。
【0017】
図1に示すように、超電導コイル装置1は、超電導コイル10、巻枠14、およびカバー13を有する。
【0018】
超電導コイル10は、図2に示すように、巻枠14を軸にテープ状の超電導テープ線11を外径方向に巻き回すことにより形成される(いわゆる、パンケーキコイル)。図3に示すように、超電導テープ線11は、複数のテープ状の部材が積層された多層構造を有する。超電導テープ線11は、安定化層21、基板22、配向層23、中間層24、超電導層25、保護層26、安定化層21が順次積層されて形成される。例えば、安定化層21は銅、ステンレスなどの金属層であり、基板22はハステロイ(登録商標)などのニッケル合金、ステンレスなどの金属基板であり、中間層24は多結晶薄膜などである。
【0019】
配向層23は、例えばIBAD法などで成膜される層である。超電導層25はイットリウム系(例えば、YBCO系)、ビスマス系(例えば、Bi2223相型、Bi2212相型)、タリウム(Tl)系、水銀(Hg)系などの酸化物系の高温超電導層であり、保護層26は金、銀などの金属層である。
【0020】
巻枠14は、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics、FRP)や補強型PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの絶縁物で形成される。
【0021】
カバー13は、超電導コイル10の外形の少なくとも一部に沿う平面視円弧状であり、外周面13bおよび内周面13cは、曲面状である。カバー13は、超電導コイル10の周方向に沿う端部(カバー端部)がテーパー形状に形成される。
【0022】
カバー13は、超電導テープ線11の幅(コイル軸方向長さ)とほぼ等しい幅を有する。カバー13は、カバー13の幅方向に設けられる2つの貫通孔13aを位置決め手段として有する。なお、カバー13の周方向、径方向および幅方向は、超電導コイル10の周方向、径方向および幅方向に等しい。
【0023】
カバー13は、FRPなどの絶縁物、またはCuやAgなどの熱伝導率が高く、電気抵抗値が小さい金属で形成される。カバー13は、一般的な超電導コイル装置で用いられる電極と同材料で形成されることにより、超電導コイル装置1の電極としても用いることができる。
【0024】
カバー13は、超電導コイル10の最外周より内周側に、超電導コイル10の周方向に沿って設けられる。具体的には、カバー13は、最外周を形成する超電導テープ線11と最外周から1つ前の周を形成する超電導テープ線11との間に配置される。カバー13の外周面13bは、超電導コイル10の最外周を形成する超電導テープ線11の内周面11bに対向する。カバー13の内周面13cは、最外周から1つ前の周を形成する超電導テープ線11の外周面11cに対向して配置される。カバー13は、エポキシ樹脂などの絶縁物により形成される接着層により対向する各超電導テープ線11に取り付けられる。カバー13は、この接着層により超電導コイル10より落下しないように構成されている。
【0025】
カバー13は、最外周を形成する超電導テープ線11の端末部11aであって、複数の超電導コイル装置1を積層し電気的に接続するための金属板15(図5参照)が接続される周方向位置に対応して配置される。
【0026】
また、最外周を形成する超電導テープ線11の端末部11aは、カバー13の外周面13bに沿って巻回される。すなわち、超電導テープ線11の端末部11aは、カバー13を介して巻線部10a(巻枠14)に巻回される。
【0027】
なお、端末部11aは、超電導コイル10の最外周を形成する超電導テープ線11の全ておよび一部を含む。
【0028】
次に、超電導コイル装置1を積層した積層型超電導コイル装置31について説明する。
【0029】
図5は、図1の超電導コイル装置1を2個積層した積層型超電導コイル装置31の平面図である。図6は、図5の積層型超電導コイル装置31の正面図である。
【0030】
積層型超電導コイル装置31は、上述した図1の超電導コイル装置1を軸方向に2個積層した積層コイル形状を有する。超電導コイル装置1、1は、超電導テープ線11の端末部11a、11aにおいて積層型超電導コイル装置31の軸方向に伸びた金属板15により電気的に接続される。
【0031】
各カバー13、13の径方向寸法は、超電導コイル装置1、1の中心から金属板15による接続位置までの超電導コイル装置1、1の径方向寸法が超電導コイル装置1、1間で略等しくなるように決定される。このため、各超電導コイル装置1、1に設けられるカバー13、13の寸法は異なる場合があり、このカバー13、13の寸法の違いにより超電導コイル装置1、1の寸法の違いを吸収する。
【0032】
貫通孔13a、13aは、超電導コイル装置1、1を積層するための基準となる位置に設けられる。超電導コイル装置1、1は、貫通孔13a、13aを基準に積層するための位置が決定される。
【0033】
超電導コイル装置1、1の中心から金属板15による接続位置までの径方向寸法は略等しいため、超電導テープ線11、11の端末部11a、11aは積層型超電導コイル装置31における径方向の位置が略一致する。金属板15は、径方向に略等しい位置で、積層型超電導コイル装置31の軸方向に略平行になるように配置され、超電導コイル装置1、1の端末部11a、11aを接続することができる。この結果、積層型超電導コイル装置31は、金属板15と端末部11a、11aとに不要な隙間を形成しないため、金属板15と端末部11a、11aとを接続するためのハンダの量を低減できる。
【0034】
また、積層型超電導コイル装置31において、カバー13、13は、端末部11a、11aと金属板15とをハンダ接続する際に発生する熱を巻線部10a、10aへ流入させることを阻止するよう機能する。
【0035】
このような第1実施形態における超電導コイル装置1は、カバー13を有するため、積層型超電導コイル装置31を形成する際においては、複数の超電導コイル装置1の外径を等しくさせ、また貫通孔13aを基準に積層位置を容易にかつ正確に決定することができる。
【0036】
また、超電導コイル装置1、積層型超電導コイル装置31は、端末部11aを金属板15で接続するためのハンダ量の増加に起因する、超電導コイル10に生じる接続抵抗を低減することができる。
【0037】
さらに、超電導コイル装置1、積層型超電導コイル装置31は、ハンダ接続の際に生ずる熱の流入をカバー13で阻止することにより巻線部10aに伝達させない。このため、超電導コイル装置1、積層型超電導コイル装置31は、超電導コイル10の劣化を防止し、安定性を向上させることができる。
【0038】
[第2実施形態]
本発明に係る超電導コイル装置の第2実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0039】
図7は、第2実施形態における超電導コイル装置41が2個積層された積層型超電導コイル装置51の平面図である。
【0040】
図8は、図7の積層型超電導コイル装置51の正面図である。
【0041】
第2実施形態における超電導コイル装置41が第1実施形態における超電導コイル装置1と異なる点は、カバー42の外周面は、少なくとも金属板15が配置される面が平面状に形成される点である。第1実施形態における超電導コイル装置1と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0042】
超電導コイル装置41は、超電導テープ線11、巻枠14、およびカバー42を有する。
【0043】
カバー42は、カバー42の幅方向に設けられる2つの貫通孔42aを位置決め手段として有する。カバー42の内周面42cは、平面視形状が超電導コイル10の外形の少なくとも一部に沿う円弧状である。カバー42の外周面42bは、平面視形状が直線部42dおよび立ち上がり部42eと、これら直線部42dと立ち上がり部42eとをつなぐ曲部42fとを有する。
【0044】
カバー42の直線部42dにおいては、カバー42の外周面42bは、曲面ではなく平面状に形成される。直線部42dの外周面42bは、例えば超電導コイル10の接線方向に伸びた平面である。この直線部42dは、複数個の超電導コイル装置41が積層され各超電導テープ線11の端末部11aが金属板15により接続される場合において、金属板15が配置される箇所に設けられる。すなわち、金属板15は、カバー42の直線部42dにおいて超電導テープ線11の端末部11aを接続する。
【0045】
ここで、図9は、超電導テープ線11のスペックの一例を示す表である。
【0046】
超電導テープ線11は、図9に示すとおり、引っ張りおよび圧縮応力に対する最小曲げ直径が11mmとなっている。このため、カバー42の曲部42fの曲率は、超電導テープ線11の最小曲げ直径11mmに対応する曲率以下に設定される。すなわち、曲部42fの曲率は、超電導テープ線11を最小曲げ直径より小さく曲げさせないよう構成される。このため、カバー42の外周面42bに巻き付けられる超電導テープ線11の劣化を防止することができる。
【0047】
図7および図8に示す積層型超電導コイル装置51は、超電導コイル装置41、41を軸方向に2個積層した積層コイル形状である。超電導コイル装置41、41は、超電導テープ線11の端末部11a、11aにおいて積層型超電導コイル装置51の軸方向に配置された金属板15により電気的に接続される。各カバー42、42の径方向寸法は、超電導コイル装置41、41の中心から金属板15による接続位置までの超電導コイル装置41、41の径方向寸法が超電導コイル装置41、41間で略等しくなるように決定される。
【0048】
第2実施形態における超電導コイル装置41、41は、直線部42dを有するカバー42を有するため、平板状の金属板15を用いて、カバー42の平面上で超電導コイル装置41、41の端末部11a、11aを電気的に接続することができる。
【0049】
第2実施形態における積層型超電導コイル装置51は、第1実施形態における積層型超電導コイル装置31とは異なり、金属板15は直線部42dにおいて平面対平面で製作性よく端末部11a、11aを接続できる。このため、積層型超電導コイル装置51は、端末部11a、11aを接続するためのハンダの量を低減することができる。また、積層型超電導コイル装置51は、製作性が向上することによりハンドリングにより超電導コイル10を劣化させてしまうことを防止することができ、積層型超電導コイル装置51の安定性が向上する。
【0050】
また、超電導コイル装置41、41は、超電導テープ線11の最小曲げ直径を考慮した曲率を有するカバー42を有することにより、超電導コイル装置41、41の安定性を向上させることができる。
【0051】
なお、超電導コイル装置41は、図10および図11の変形例のように構成してもよい。
【0052】
図10は、段差吸収用テープ線61を有する超電導コイル装置41の平面図である。
【0053】
図10の超電導コイル装置41は、カバー42の外周面と超電導コイル10の最外周を形成する超電導テープ線11との間に、段差吸収用テープ線61を有する。段差吸収用テープ線61は、カバー42と同様にFRPなどの絶縁物またはCuやAgなどの金属で形成されるテープ線である。段差吸収用テープ線61は、超電導テープ線11が巻き付く対象が巻線部10aからカバー42に切り替わる際に、カバー42の形状に起因する超電導コイル10とカバー端部42gとの間の段差を吸収する。
【0054】
超電導コイル装置41は、段差吸収用テープ線61を設けることにより、最外周の超電導テープ線11の巻き付き先を直線的または曲線的に巻線部10aからカバー42へと移行することができる。これにより、超電導コイル装置41は、段差の発生により超電導テープ線11の劣化を防止でき、超電導コイル装置41の安定性を向上させることができる。
【0055】
図11は、離形材層62を有する超電導コイル装置41の平面図である。
【0056】
超電導コイル装置41においては、カバー42の内周面と、カバー42の内周面と対向する超電導テープ線11とは、上述したとおり接着層で接着される。図11に示す超電導コイル装置41は、この接着層と超電導テープ線11との間に離形材層62を有する。離形材層62と超電導テープ線11との間の接着力は、超電導テープ線11とカバー42(接着層)との間の接着力弱くなる。
【0057】
離形材層62は、例えば、テフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂、パラフィン、グリースおよびシリコンオイルより選ばれた少なくとも1種からなる層である。フッ素系樹脂を用いる場合は、フッ素系樹脂テープを用いることが好ましい。離形材層62が上記材質の2種以上を用いて形成される場合としては、例えば、離形材層62を、グリース層およびシリコンオイル層の2層構造とすることが考えられる。
【0058】
接着層は、例えば冷却時に発生する熱応力の影響により、固定先の超電導コイル10にダメージを与える可能性がある。これに対し、離形材層62は、超電導コイル10に対するカバー42(接着層)の接着力を緩和することができ、冷却時などに生じる熱応力による超電導コイル10の劣化を防止することができる。
【0059】
なお、図10および図11の段差吸収用テープ線61および離形材層62は、第1実施形態の超電導コイル装置1に設けてもよい。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0061】
例えば、カバー13、42は、位置決め手段としての貫通孔13aに代えて、または貫通孔13aと共に、溝13bを形成してもよい。図12は、溝13bを有するカバー13の構成図である。溝13bは、超電導コイル装置41の軸方向に設けられる。複数の超電導コイル装置1、41が積層される場合、貫通孔13aと同様に溝13bを基準に積層位置を決定することができる。
【0062】
また、カバー13、42は、超電導コイル10の周方向の全体を覆うようにしてもよい。カバー13、42は、超電導コイル10の最外周を形成する超電導テープ線11と最外周から1つ前の周を形成する超電導テープ線11との間に限らず、超電導コイル10の巻線部10aのさらに内周側に配置されてもよい。
【0063】
積層型超電導コイル装置31、51は、2個以上の複数個の超電導コイル装置1、41が積層された積層コイルでもよい。
【符号の説明】
【0064】
1、41 超電導コイル装置
10 超電導コイル
10a 巻線部
11 超電導テープ線
11a 端末部
13、42 カバー
13a、42a 貫通孔
13b 溝
14 巻枠
15 金属板
31、51 積層型超電導コイル装置
61 段差吸収用テープ線
62 離形材層
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ形状の超電導線材を巻回してなる超電導コイル装置および複数個の超電導コイル装置を軸方向に積層した積層型超電導コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超電導コイル装置は、絶縁物からなる巻枠に超電導テープ線を巻き回して形成され、一般的に、軸方向に複数個積層して使用される。積層された複数の超電導コイル装置は、金属板にてハンダ接続されることにより電気的に接続される。
【0003】
超電導コイル装置間をハンダ接続した場合、超電導テープ線にはねじり力が作用し、超電導テープ線に局部的に曲げ応力が働く。この曲げ応力は、超電導コイルの超電導特性を低下させてしまう恐れがあった。
【0004】
従来、超電導コイルの端末部に接続した電極をボビンと固定することにより超電導テープ線に曲げが発生することを防止する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電極は、超電導コイルの端末部に対してハンダ接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−98267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属製の電極を超電導コイルの端末部にハンダ接続する際、端末部を加熱する必要が生じる。この結果、超電導コイルは端末部のみならず全体が加熱されてしまい、超電導コイルの超電導特性は低下してしまうという課題があった。
【0007】
また、積層された複数個の超電導コイル間の寸法は、必ずしも一致するとは限らない。超電導コイル間の寸法にずれがある場合には、金属板と超電導コイル端末部とに隙間が生じるため、ハンダ量が増加し、接続抵抗が増加するという課題があった。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、超電導特性の低下を防止し、超電導コイルの安定性を向上させることができる積層型超電導コイル装置および超電導コイル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る積層型超電導コイル装置は、上述した課題を解決するために、超電導テープ線を外径方向に巻き回して形成された超電導コイルと、複数個の前記超電導コイルを軸方向に積層した超電導コイル装置と、各前記超電導コイルに設けられ、前記超電導コイルの最外周より内周側に、前記超電導コイルの周方向に沿って設けられたコイルカバーと、前記超電導テープ線の端末部で複数個の前記超電導コイル間を電気的に接続する接続板とを備え、前記端末部は、前記コイルカバーを介して巻回され、各前記コイルカバーの前記超電導コイル径方向の寸法は、前記超電導コイルの中心から前記接続板による接続位置までの前記超電導コイルの径方向寸法が、複数個の前記超電導コイル間で略等しくなるように決定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る積層型超電導コイル装置および超電導コイル装置においては、超電導特性の低下を防止し、超電導コイルの安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態における超電導コイル装置の平面図。
【図2】超電導コイル装置の超電導コイルを説明する構成図。
【図3】超電導コイル装置の超電導テープ線を説明する構成図。
【図4】超電導コイル装置のカバーの構成図。
【図5】図1の超電導コイル装置を2個積層した積層型超電導コイル装置の平面図。
【図6】図5の積層型超電導コイル装置の正面図。
【図7】第2実施形態における超電導コイル装置が2個積層された積層型超電導コイル装置の平面図。
【図8】図7の積層型超電導コイル装置の正面図。
【図9】超電導テープ線のスペックの一例を示す表。
【図10】段差吸収用テープ線を有する超電導コイル装置の平面図。
【図11】離形材層を有する超電導コイル装置の平面図。
【図12】溝を有するカバーの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明に係る積層型超電導コイル装置および超電導コイル装置の第1実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、第1実施形態における超電導コイル装置1の平面図である。
【0014】
図2は、超電導コイル装置1の超電導コイル10を説明する構成図である。
【0015】
図3は、超電導コイル装置1の超電導テープ線11を説明する構成図である。
【0016】
図4は、超電導コイル装置1のカバー13の構成図である。
【0017】
図1に示すように、超電導コイル装置1は、超電導コイル10、巻枠14、およびカバー13を有する。
【0018】
超電導コイル10は、図2に示すように、巻枠14を軸にテープ状の超電導テープ線11を外径方向に巻き回すことにより形成される(いわゆる、パンケーキコイル)。図3に示すように、超電導テープ線11は、複数のテープ状の部材が積層された多層構造を有する。超電導テープ線11は、安定化層21、基板22、配向層23、中間層24、超電導層25、保護層26、安定化層21が順次積層されて形成される。例えば、安定化層21は銅、ステンレスなどの金属層であり、基板22はハステロイ(登録商標)などのニッケル合金、ステンレスなどの金属基板であり、中間層24は多結晶薄膜などである。
【0019】
配向層23は、例えばIBAD法などで成膜される層である。超電導層25はイットリウム系(例えば、YBCO系)、ビスマス系(例えば、Bi2223相型、Bi2212相型)、タリウム(Tl)系、水銀(Hg)系などの酸化物系の高温超電導層であり、保護層26は金、銀などの金属層である。
【0020】
巻枠14は、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics、FRP)や補強型PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの絶縁物で形成される。
【0021】
カバー13は、超電導コイル10の外形の少なくとも一部に沿う平面視円弧状であり、外周面13bおよび内周面13cは、曲面状である。カバー13は、超電導コイル10の周方向に沿う端部(カバー端部)がテーパー形状に形成される。
【0022】
カバー13は、超電導テープ線11の幅(コイル軸方向長さ)とほぼ等しい幅を有する。カバー13は、カバー13の幅方向に設けられる2つの貫通孔13aを位置決め手段として有する。なお、カバー13の周方向、径方向および幅方向は、超電導コイル10の周方向、径方向および幅方向に等しい。
【0023】
カバー13は、FRPなどの絶縁物、またはCuやAgなどの熱伝導率が高く、電気抵抗値が小さい金属で形成される。カバー13は、一般的な超電導コイル装置で用いられる電極と同材料で形成されることにより、超電導コイル装置1の電極としても用いることができる。
【0024】
カバー13は、超電導コイル10の最外周より内周側に、超電導コイル10の周方向に沿って設けられる。具体的には、カバー13は、最外周を形成する超電導テープ線11と最外周から1つ前の周を形成する超電導テープ線11との間に配置される。カバー13の外周面13bは、超電導コイル10の最外周を形成する超電導テープ線11の内周面11bに対向する。カバー13の内周面13cは、最外周から1つ前の周を形成する超電導テープ線11の外周面11cに対向して配置される。カバー13は、エポキシ樹脂などの絶縁物により形成される接着層により対向する各超電導テープ線11に取り付けられる。カバー13は、この接着層により超電導コイル10より落下しないように構成されている。
【0025】
カバー13は、最外周を形成する超電導テープ線11の端末部11aであって、複数の超電導コイル装置1を積層し電気的に接続するための金属板15(図5参照)が接続される周方向位置に対応して配置される。
【0026】
また、最外周を形成する超電導テープ線11の端末部11aは、カバー13の外周面13bに沿って巻回される。すなわち、超電導テープ線11の端末部11aは、カバー13を介して巻線部10a(巻枠14)に巻回される。
【0027】
なお、端末部11aは、超電導コイル10の最外周を形成する超電導テープ線11の全ておよび一部を含む。
【0028】
次に、超電導コイル装置1を積層した積層型超電導コイル装置31について説明する。
【0029】
図5は、図1の超電導コイル装置1を2個積層した積層型超電導コイル装置31の平面図である。図6は、図5の積層型超電導コイル装置31の正面図である。
【0030】
積層型超電導コイル装置31は、上述した図1の超電導コイル装置1を軸方向に2個積層した積層コイル形状を有する。超電導コイル装置1、1は、超電導テープ線11の端末部11a、11aにおいて積層型超電導コイル装置31の軸方向に伸びた金属板15により電気的に接続される。
【0031】
各カバー13、13の径方向寸法は、超電導コイル装置1、1の中心から金属板15による接続位置までの超電導コイル装置1、1の径方向寸法が超電導コイル装置1、1間で略等しくなるように決定される。このため、各超電導コイル装置1、1に設けられるカバー13、13の寸法は異なる場合があり、このカバー13、13の寸法の違いにより超電導コイル装置1、1の寸法の違いを吸収する。
【0032】
貫通孔13a、13aは、超電導コイル装置1、1を積層するための基準となる位置に設けられる。超電導コイル装置1、1は、貫通孔13a、13aを基準に積層するための位置が決定される。
【0033】
超電導コイル装置1、1の中心から金属板15による接続位置までの径方向寸法は略等しいため、超電導テープ線11、11の端末部11a、11aは積層型超電導コイル装置31における径方向の位置が略一致する。金属板15は、径方向に略等しい位置で、積層型超電導コイル装置31の軸方向に略平行になるように配置され、超電導コイル装置1、1の端末部11a、11aを接続することができる。この結果、積層型超電導コイル装置31は、金属板15と端末部11a、11aとに不要な隙間を形成しないため、金属板15と端末部11a、11aとを接続するためのハンダの量を低減できる。
【0034】
また、積層型超電導コイル装置31において、カバー13、13は、端末部11a、11aと金属板15とをハンダ接続する際に発生する熱を巻線部10a、10aへ流入させることを阻止するよう機能する。
【0035】
このような第1実施形態における超電導コイル装置1は、カバー13を有するため、積層型超電導コイル装置31を形成する際においては、複数の超電導コイル装置1の外径を等しくさせ、また貫通孔13aを基準に積層位置を容易にかつ正確に決定することができる。
【0036】
また、超電導コイル装置1、積層型超電導コイル装置31は、端末部11aを金属板15で接続するためのハンダ量の増加に起因する、超電導コイル10に生じる接続抵抗を低減することができる。
【0037】
さらに、超電導コイル装置1、積層型超電導コイル装置31は、ハンダ接続の際に生ずる熱の流入をカバー13で阻止することにより巻線部10aに伝達させない。このため、超電導コイル装置1、積層型超電導コイル装置31は、超電導コイル10の劣化を防止し、安定性を向上させることができる。
【0038】
[第2実施形態]
本発明に係る超電導コイル装置の第2実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0039】
図7は、第2実施形態における超電導コイル装置41が2個積層された積層型超電導コイル装置51の平面図である。
【0040】
図8は、図7の積層型超電導コイル装置51の正面図である。
【0041】
第2実施形態における超電導コイル装置41が第1実施形態における超電導コイル装置1と異なる点は、カバー42の外周面は、少なくとも金属板15が配置される面が平面状に形成される点である。第1実施形態における超電導コイル装置1と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0042】
超電導コイル装置41は、超電導テープ線11、巻枠14、およびカバー42を有する。
【0043】
カバー42は、カバー42の幅方向に設けられる2つの貫通孔42aを位置決め手段として有する。カバー42の内周面42cは、平面視形状が超電導コイル10の外形の少なくとも一部に沿う円弧状である。カバー42の外周面42bは、平面視形状が直線部42dおよび立ち上がり部42eと、これら直線部42dと立ち上がり部42eとをつなぐ曲部42fとを有する。
【0044】
カバー42の直線部42dにおいては、カバー42の外周面42bは、曲面ではなく平面状に形成される。直線部42dの外周面42bは、例えば超電導コイル10の接線方向に伸びた平面である。この直線部42dは、複数個の超電導コイル装置41が積層され各超電導テープ線11の端末部11aが金属板15により接続される場合において、金属板15が配置される箇所に設けられる。すなわち、金属板15は、カバー42の直線部42dにおいて超電導テープ線11の端末部11aを接続する。
【0045】
ここで、図9は、超電導テープ線11のスペックの一例を示す表である。
【0046】
超電導テープ線11は、図9に示すとおり、引っ張りおよび圧縮応力に対する最小曲げ直径が11mmとなっている。このため、カバー42の曲部42fの曲率は、超電導テープ線11の最小曲げ直径11mmに対応する曲率以下に設定される。すなわち、曲部42fの曲率は、超電導テープ線11を最小曲げ直径より小さく曲げさせないよう構成される。このため、カバー42の外周面42bに巻き付けられる超電導テープ線11の劣化を防止することができる。
【0047】
図7および図8に示す積層型超電導コイル装置51は、超電導コイル装置41、41を軸方向に2個積層した積層コイル形状である。超電導コイル装置41、41は、超電導テープ線11の端末部11a、11aにおいて積層型超電導コイル装置51の軸方向に配置された金属板15により電気的に接続される。各カバー42、42の径方向寸法は、超電導コイル装置41、41の中心から金属板15による接続位置までの超電導コイル装置41、41の径方向寸法が超電導コイル装置41、41間で略等しくなるように決定される。
【0048】
第2実施形態における超電導コイル装置41、41は、直線部42dを有するカバー42を有するため、平板状の金属板15を用いて、カバー42の平面上で超電導コイル装置41、41の端末部11a、11aを電気的に接続することができる。
【0049】
第2実施形態における積層型超電導コイル装置51は、第1実施形態における積層型超電導コイル装置31とは異なり、金属板15は直線部42dにおいて平面対平面で製作性よく端末部11a、11aを接続できる。このため、積層型超電導コイル装置51は、端末部11a、11aを接続するためのハンダの量を低減することができる。また、積層型超電導コイル装置51は、製作性が向上することによりハンドリングにより超電導コイル10を劣化させてしまうことを防止することができ、積層型超電導コイル装置51の安定性が向上する。
【0050】
また、超電導コイル装置41、41は、超電導テープ線11の最小曲げ直径を考慮した曲率を有するカバー42を有することにより、超電導コイル装置41、41の安定性を向上させることができる。
【0051】
なお、超電導コイル装置41は、図10および図11の変形例のように構成してもよい。
【0052】
図10は、段差吸収用テープ線61を有する超電導コイル装置41の平面図である。
【0053】
図10の超電導コイル装置41は、カバー42の外周面と超電導コイル10の最外周を形成する超電導テープ線11との間に、段差吸収用テープ線61を有する。段差吸収用テープ線61は、カバー42と同様にFRPなどの絶縁物またはCuやAgなどの金属で形成されるテープ線である。段差吸収用テープ線61は、超電導テープ線11が巻き付く対象が巻線部10aからカバー42に切り替わる際に、カバー42の形状に起因する超電導コイル10とカバー端部42gとの間の段差を吸収する。
【0054】
超電導コイル装置41は、段差吸収用テープ線61を設けることにより、最外周の超電導テープ線11の巻き付き先を直線的または曲線的に巻線部10aからカバー42へと移行することができる。これにより、超電導コイル装置41は、段差の発生により超電導テープ線11の劣化を防止でき、超電導コイル装置41の安定性を向上させることができる。
【0055】
図11は、離形材層62を有する超電導コイル装置41の平面図である。
【0056】
超電導コイル装置41においては、カバー42の内周面と、カバー42の内周面と対向する超電導テープ線11とは、上述したとおり接着層で接着される。図11に示す超電導コイル装置41は、この接着層と超電導テープ線11との間に離形材層62を有する。離形材層62と超電導テープ線11との間の接着力は、超電導テープ線11とカバー42(接着層)との間の接着力弱くなる。
【0057】
離形材層62は、例えば、テフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂、パラフィン、グリースおよびシリコンオイルより選ばれた少なくとも1種からなる層である。フッ素系樹脂を用いる場合は、フッ素系樹脂テープを用いることが好ましい。離形材層62が上記材質の2種以上を用いて形成される場合としては、例えば、離形材層62を、グリース層およびシリコンオイル層の2層構造とすることが考えられる。
【0058】
接着層は、例えば冷却時に発生する熱応力の影響により、固定先の超電導コイル10にダメージを与える可能性がある。これに対し、離形材層62は、超電導コイル10に対するカバー42(接着層)の接着力を緩和することができ、冷却時などに生じる熱応力による超電導コイル10の劣化を防止することができる。
【0059】
なお、図10および図11の段差吸収用テープ線61および離形材層62は、第1実施形態の超電導コイル装置1に設けてもよい。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0061】
例えば、カバー13、42は、位置決め手段としての貫通孔13aに代えて、または貫通孔13aと共に、溝13bを形成してもよい。図12は、溝13bを有するカバー13の構成図である。溝13bは、超電導コイル装置41の軸方向に設けられる。複数の超電導コイル装置1、41が積層される場合、貫通孔13aと同様に溝13bを基準に積層位置を決定することができる。
【0062】
また、カバー13、42は、超電導コイル10の周方向の全体を覆うようにしてもよい。カバー13、42は、超電導コイル10の最外周を形成する超電導テープ線11と最外周から1つ前の周を形成する超電導テープ線11との間に限らず、超電導コイル10の巻線部10aのさらに内周側に配置されてもよい。
【0063】
積層型超電導コイル装置31、51は、2個以上の複数個の超電導コイル装置1、41が積層された積層コイルでもよい。
【符号の説明】
【0064】
1、41 超電導コイル装置
10 超電導コイル
10a 巻線部
11 超電導テープ線
11a 端末部
13、42 カバー
13a、42a 貫通孔
13b 溝
14 巻枠
15 金属板
31、51 積層型超電導コイル装置
61 段差吸収用テープ線
62 離形材層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超電導テープ線を外径方向に巻き回して形成された超電導コイルと、
複数個の前記超電導コイルを軸方向に積層した超電導コイル装置と、
各前記超電導コイルに設けられ、前記超電導コイルの最外周より内周側に、前記超電導コイルの周方向に沿って設けられたコイルカバーと、
前記超電導テープ線の端末部で複数個の前記超電導コイル間を電気的に接続する接続板とを備え、
前記端末部は、前記コイルカバーを介して巻回され、
各前記コイルカバーの前記超電導コイル径方向の寸法は、前記超電導コイルの中心から前記接続板による接続位置までの前記超電導コイルの径方向寸法が、複数個の前記超電導コイル間で略等しくなるように決定されたことを特徴とする積層型超電導コイル装置。
【請求項2】
前記コイルカバーは、前記超電導コイル周方向のカバー端部を有し、
前記カバー端部は、テーパー状に形成された請求項1記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項3】
前記コイルカバーは、前記超電導コイル径方向外側方向のカバー外周面を有し、
前記カバー外周面は、曲面状に形成される請求項1または2記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項4】
前記コイルカバーは、前記超電導コイル径方向外側方向のカバー外周面を有し、
前記カバー外周面は、少なくとも前記接続板が配置される面が平面状に形成される請求項1または2記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項5】
前記コイルカバーは、前記カバー外周面に曲率を有し、
前記曲率は、前記超電導テープ線の最小曲げ直径に略対応する曲率以下である請求項3または4記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項6】
各前記コイルカバーは、複数個の前記超電導コイルを積層するための基準となる、前記超電導コイルの軸方向の貫通孔を有する請求項1〜5のいずれか一項記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項7】
各前記コイルカバーは、複数の前記超電導コイルを積層するための基準となる、前記超電導コイルの軸方向の溝を有する請求項1〜6のいずれか一項記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項8】
前記コイルカバーと前記コイルカバーに巻回される前記超電導テープ線との間に、前記超電導コイルと前記コイルカバーの前記超電導コイル周方向のカバー端部との間の段差を吸収する段差吸収用テープ線をさらに備える請求項1〜7のいずれか一項記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項9】
前記コイルカバーの前記超電導コイル径方向内側方向のカバー内周面と、前記カバー内周面と対向する前記超電導テープ線とは、接着層により接着され、
前記接着層は、前記超電導テープ線に対して離形処理が施された請求項1〜8のいずれか一項記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項10】
前記離形材層は、フッ素樹脂テープ、パラフィン、グリース、シリコンオイルのうち少なくとも1種で形成される請求項9記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項11】
超電導テープ線を外径方向に巻き回して形成された超電導コイルと、
前記超電導コイルに設けられ、前記超電導コイルの最外周より内周側に、前記超電導コイルの周方向に沿って設けられたコイルカバーとを備え、
前記端末部は、前記コイルカバーを介して巻回されたことを特徴とする超電導コイル装置。
【請求項1】
超電導テープ線を外径方向に巻き回して形成された超電導コイルと、
複数個の前記超電導コイルを軸方向に積層した超電導コイル装置と、
各前記超電導コイルに設けられ、前記超電導コイルの最外周より内周側に、前記超電導コイルの周方向に沿って設けられたコイルカバーと、
前記超電導テープ線の端末部で複数個の前記超電導コイル間を電気的に接続する接続板とを備え、
前記端末部は、前記コイルカバーを介して巻回され、
各前記コイルカバーの前記超電導コイル径方向の寸法は、前記超電導コイルの中心から前記接続板による接続位置までの前記超電導コイルの径方向寸法が、複数個の前記超電導コイル間で略等しくなるように決定されたことを特徴とする積層型超電導コイル装置。
【請求項2】
前記コイルカバーは、前記超電導コイル周方向のカバー端部を有し、
前記カバー端部は、テーパー状に形成された請求項1記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項3】
前記コイルカバーは、前記超電導コイル径方向外側方向のカバー外周面を有し、
前記カバー外周面は、曲面状に形成される請求項1または2記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項4】
前記コイルカバーは、前記超電導コイル径方向外側方向のカバー外周面を有し、
前記カバー外周面は、少なくとも前記接続板が配置される面が平面状に形成される請求項1または2記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項5】
前記コイルカバーは、前記カバー外周面に曲率を有し、
前記曲率は、前記超電導テープ線の最小曲げ直径に略対応する曲率以下である請求項3または4記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項6】
各前記コイルカバーは、複数個の前記超電導コイルを積層するための基準となる、前記超電導コイルの軸方向の貫通孔を有する請求項1〜5のいずれか一項記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項7】
各前記コイルカバーは、複数の前記超電導コイルを積層するための基準となる、前記超電導コイルの軸方向の溝を有する請求項1〜6のいずれか一項記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項8】
前記コイルカバーと前記コイルカバーに巻回される前記超電導テープ線との間に、前記超電導コイルと前記コイルカバーの前記超電導コイル周方向のカバー端部との間の段差を吸収する段差吸収用テープ線をさらに備える請求項1〜7のいずれか一項記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項9】
前記コイルカバーの前記超電導コイル径方向内側方向のカバー内周面と、前記カバー内周面と対向する前記超電導テープ線とは、接着層により接着され、
前記接着層は、前記超電導テープ線に対して離形処理が施された請求項1〜8のいずれか一項記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項10】
前記離形材層は、フッ素樹脂テープ、パラフィン、グリース、シリコンオイルのうち少なくとも1種で形成される請求項9記載の積層型超電導コイル装置。
【請求項11】
超電導テープ線を外径方向に巻き回して形成された超電導コイルと、
前記超電導コイルに設けられ、前記超電導コイルの最外周より内周側に、前記超電導コイルの周方向に沿って設けられたコイルカバーとを備え、
前記端末部は、前記コイルカバーを介して巻回されたことを特徴とする超電導コイル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−89817(P2013−89817A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230042(P2011−230042)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
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