積層型電子部品の製造方法
【課題】導体パターンの厚みのばらつきを抑制すると共に、導体パターンの寸法精度の向上を図ることができる積層型電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】スクリーン版11を用いて、セラミックグリーンシート10上に複数の内部電極パターンPTを形成する印刷工程を備えた積層型電子部品の製造方法であって、印刷工程では、セラミックグリーンシート10とスクリーン版11とを間隙をおいて配置し、スクリーン版11にスキージ13を押し付けながら印刷開始側から印刷終了側に向かって移動させることにより、スクリーン版11上に供給された導電性ペーストPをセラミックグリーンシート10に付与し、複数の内部電極パターンPTを形成しており、印刷開始側に形成される複数の導体パターンPTの総面積よりも印刷終了側に形成される複数の導体パターンPTの総面積を小さくする。
【解決手段】スクリーン版11を用いて、セラミックグリーンシート10上に複数の内部電極パターンPTを形成する印刷工程を備えた積層型電子部品の製造方法であって、印刷工程では、セラミックグリーンシート10とスクリーン版11とを間隙をおいて配置し、スクリーン版11にスキージ13を押し付けながら印刷開始側から印刷終了側に向かって移動させることにより、スクリーン版11上に供給された導電性ペーストPをセラミックグリーンシート10に付与し、複数の内部電極パターンPTを形成しており、印刷開始側に形成される複数の導体パターンPTの総面積よりも印刷終了側に形成される複数の導体パターンPTの総面積を小さくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の製造では、導体パターンを形成するために、セラミックグリーンシート上に導電性ペーストを付与する印刷工程が行われる。導電性ペーストの付与には、一般的にスクリーン印刷法であるオフコンタクト印刷が用いられる。オフコンタクト印刷では、セラミックグリーンシートの上方にスクリーン版を間隙をおいて配置し、スクリーン版の上面側で、導電性ペーストを所定の方向に向かって掻き寄せるようにスキージを移動させる。これによって、スキージがスクリーン版に押し付けられる際に導電性ペーストがセラミックグリーンシートに付与され、セラミックグリーンシートに導電性ペーストが付与されて導体パターンが形成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−138321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オフコンタクト印刷では、接触したスクリーン版とセラミックグリーンシートとが離れる際の版離れが導体パターンの形成において重要となっている。版離れの早さは、スクリーン版に加わるテンション及びスクリーン版とセラミックグリーンシートの印刷面とのギャップと、スクリーン版とセラミックグリーンシートとの剥離抵抗(スクリーン版のパターン開口面積)とにより決定される。スクリーン版が元に戻ろうとする力が剥離抵抗よりも十分に大きい場合には、版離れが早く良好となる一方、スクリーン版が元に戻ろうとする力が剥離抵抗よりも十分に大きくない場合には、版離れが遅くなる。
【0005】
従来のオフコンタクト印刷では、印刷が終了側に向かうにつれてスクリーン版とセラミックグリーンシートの印刷面とが成す角度が小さくなるため、これに起因してスクリーン版とセラミックグリーンシートとのギャップが小さくなる。そのため、スクリーン版が元に戻ろうとする力が弱くなり、印刷開始側に比べて印刷終了側のスクリーン版の版離れが遅くなる。これにより、印刷の終盤において導体パターンににじみが生じるおそれがある。この導体パターンのにじみは、導体パターンの厚みにばらつきを生じさせると共に、導体パターンの寸法精度を低下させるといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題解決のためになされたものであり、導体パターンの厚みのばらつきを抑制すると共に、導体パターンの寸法精度の向上を図ることができる積層型電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、積層型電子部品の製造方法では、スクリーン版を用いて、セラミックグリーンシート上に複数の導体パターンを形成する印刷工程を備えた積層型電子部品の製造方法であって、印刷工程では、セラミックグリーンシートとスクリーン版とを間隙をおいて配置し、スクリーン版にスキージを押し付けながら印刷開始側から印刷終了側に向かって移動させることにより、スクリーン版上に供給された導電性ペーストをセラミックグリーンシートに付与し、複数の導体パターンを形成しており、印刷開始側に形成される複数の導体パターンの総面積よりも印刷終了側に形成される複数の導体パターンの総面積を小さくすることを特徴とする。
【0008】
この積層型電子部品の製造方法では、印刷工程において、印刷開始側に形成される複数の導体パターンの総面積よりも印刷終了側に形成される複数の導体パターンの総面積を小さくする。これにより、スクリーン版とセラミックグリーンシートとのギャップが小さくなり、スクリーン版が元に戻ろうとする力が小さくなる印刷終了側において、接触面積を小さくできるため印刷開始側よりも剥離抵抗を小さくすることができる。そのため、印刷終了側において、印刷開始側と同様に版離れを良好にできる。したがって、導体パターンのにじみを抑制することができ、その結果、導体パターンの厚みのばらつきを抑制すると共に、導体パターンの寸法精度の向上を図ることができる。
【0009】
スクリーン版において、印刷開始位置と印刷終了位置との間に中間位置を設定し、印刷開始位置から中間位置までを第1印刷領域、中間位置から印刷終了位置までを第2印刷領域とした場合に、印刷工程では、第1印刷領域に形成される複数の導体パターンの数よりも第2印刷領域に形成される複数の導体パターンの数を少なくすることが好ましい。このように、第2印刷領域に形成する導体パターンの数を第1印刷領域よりも減らすことにより、第2印刷領域に形成される導体パターンの総面積を第1印刷領域に形成される導体パターンの総面積よりも小さくすることができる。
【0010】
印刷工程では、印刷方向に直交する方向に沿って形成される第2印刷領域の複数の導体パターンの数を第1印刷領域に形成される複数の導体パターンの数よりも少なくすることが好ましい。このように、印刷方向に直交する方向において形成される導体パターンの数を第1印刷領域よりも第2印刷領域の方を少なくすることにより、版離れを更に良好にすることができる。
【0011】
印刷工程では、第2印刷領域において、印刷方向に直交する方向の中央部に複数の導体パターンに対応して形成された開口部の数が印刷方向に直交する方向の端部側に形成された開口部の数よりも少ないスクリーン版を用いる。また、印刷工程では、第2印刷領域において、中間位置から印刷終了位置に向かうにつれて印刷方向に直交する方向の中央部に複数の導体パターンに対応して形成された開口部の数が少なくなるスクリーン版を用いる。このように、版離れし難い箇所の開口部の数が少ないスクリーン版を用いることにより、版離れを良好にできる。
【0012】
印刷工程では、印刷方向に沿って形成される第2の印刷領域の複数の導体パターンの数を第1印刷領域に形成される複数の導体パターンの数よりも少なくすることが好ましい。このように、第2印刷領域において版離れの方向に沿って導体パターンが少なくなるように形成することにより、版離れをより一層良好にできる。
【0013】
印刷工程では、第2印刷領域において、中間位置から印刷終了位置に向かうにつれて複数の導体パターンに対応して形成された開口部の数が少なくなるスクリーン版を用いる。このように、スクリーン版の版離れの方向に沿って開口部の数が少ないスクリーン版を用いることにより、版離れを良好にすることができる。
【0014】
印刷開始側に形成される複数の導体パターンの数に対して、印刷終了側に形成される複数の導体パターンの数が0.75倍以下であることが好ましい。この場合には、導体パターンの形成数を確保しつつ、版離れを良好にできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、導体パターンの厚みのばらつきを抑制すると共に、導体パターンの寸法精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る積層型電子部品の製造方法が適用される積層セラミックコンデンサの断面図である。
【図2】積層セラミックコンデンサの製造方法のフローを示す図である。
【図3】印刷工程の工程内容を示す図である。
【図4】スクリーン版を示す図である。
【図5】メッシュ部を示す図である。
【図6】版離れを説明する図である。
【図7】他の形態のメッシュ部を示す図である。
【図8】他の形態のメッシュ部を示す図である。
【図9】他の形態のメッシュ部を示す図である。
【図10】他の形態のメッシュ部を示す図である。
【図11】他の形態のメッシュ部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る積層型電子部品の製造方法が適用される積層セラミックコンデンサの断面図である。この積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極3とが交互に複数積層された略直方体の素体4(積層体)と、この素体4の積層方向に交わる方向の両端面に形成された各端子電極5,6とを備えている。
【0019】
誘電体層2は、電歪特性を有する例えば、BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、(Ba,Ca)TiO3系などの誘電体材料からなり、内部電極3に挟まれる誘電体層2の厚みは、例えば、1〜3μmに薄層化されている。内部電極3は、誘電体材料の種類により異なるが、Ni、Cuなどの卑金属材料やPt,Agなどの貴金属材料からなり、誘電体層2を介して対向配置される。この対向配置される各内部電極3は、各々別々の各端面に引き出され各端子電極5,6に電気的に接続される。各端子電極5,6は多層化されており、素体4に接する部分では、例えば、Cu,Ni、Ag−Pdなどを用い、その外側にはNi−Snなどのめっきが施される。
【0020】
続いて、図2を参照して、積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。図2は、積層セラミックコンデンサの製造方法のフローを示す図である。
【0021】
積層セラミックコンデンサ1の製造においては、まず、誘電体層2を形成するためのセラミックペースト、内部電極3を形成するための電極ペースト(導電性ペースト)をそれぞれ準備する。
【0022】
セラミックペーストは、誘電体層2を構成する誘電体材料の原料に有機ビヒクルなどを混合・混錬して得ることができる。誘電体材料の原料としては、例えば、誘電体材料が上述したような各種の複合酸化物系材料である場合は、当該複合酸化物に含まれる各金属原子の酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などの組み合わせが挙げられる。
【0023】
有機ビヒクルは、バインダー及び溶剤を含むものである。バインダーとしては、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などが挙げられる。また、溶剤としては、例えば、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン、キシレン、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤が挙げられる。
【0024】
また、セラミックペーストは、上記以外に各種分散剤、可塑剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体などが必要に応じて含有されていてもよい。
【0025】
電極ペーストは、内部電極3を構成するための導電材料と有機ビヒクルとを混合・混錬したものである。導電材料としては、上述したような金属材料を用い、球状やリン片状などの種々の形状のものを適用できる。また、電極ペースト中には、必要に応じて無機化合物を適量含有させることが好ましい。これにより、後述する焼成時において、セラミックグリーンシート及び電極ペースト層の体積変化の差を小さくして、これに起因する応力の発生を低減することができる。その結果、この応力に基づくクラックや反りなどの不具合を抑制することが可能となる。
【0026】
有機ビヒクルは、バインダー及び溶剤を含むものである。バインダーとしては、例えば、エチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、またはこれらの共重合体などが挙げられる。溶剤としては、例えば、テルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン、アセトンなどが挙げられる。
【0027】
電極ペースト中には、適宜、可塑剤を含有させてもよい。可塑剤としては、例えば、フタル酸ベンジルブチル(BBP)などのフタル酸エステル、アジピン酸、リン酸エステル、グリコール類などが適用できる。
【0028】
続いて、上述したセラミックペースト及び電極ペーストを準備した後、まず、例えば、PETなどからなるキャリアシート(支持体)上にセラミックペーストをドクターブレード法などの公知の方法でセラミックグリーンシートを形成する(ステップS1:シート成形工程)。そして、セラミックグリーンシート上に電極ペーストをスクリーン印刷法で複数の内部電極パターン(導体パターン)を形成する(ステップS2:印刷工程)。
【0029】
続いて、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを所定の大きさに揃えて所定の枚数で積層し、積層方向から加圧してグリーン積層体を得る(ステップS3:積層・プレス工程)。そして、グリーン積層体を切断機で所定の大きさのチップに切断しグリーンチップを得る(ステップS4:切断工程)。
【0030】
続いて、グリーンチップから、各部に含まれるバインダーを除去した後(脱バインダー)、このグリーンチップを焼成する(ステップS5:焼成工程)。この焼成により、セラミックグリーンシートから誘電体層2が、また、電極ペースト層から内部電極3がそれぞれ形成された素体4が得られる。脱バインダーは、グリーンチップを、空気中、又は、N2及びH2の混合ガスなどの還元雰囲気中で、200〜600℃程度に加熱することにより行うことができる。また、焼成は、脱バインダー後のグリーンチップを、例えば、還元雰囲気下で1100〜1300℃程度に加熱することにより行うことができる。そして、かかるグリーンチップの焼成後、得られた焼成物に、必要に応じて800〜1100℃、2〜10時間保持するアニール処理を施す。
【0031】
続いて、素体4の両端部に導電性ペーストを塗布して焼付けし、さらにめっきを施すことにより端子電極5,6を形成する(ステップS6:端子電極形成工程)。導電性ペーストは、Cuを主成分とする金属粉末にガラスフリット及び有機ビヒクルを混合したものを用いることができる。金属粉末は、Ni、Ag−PdあるいはAgを主成分とするものであってもよい。めっきは、Ni,Sn,Ni−Sn合金,Sn−Ag合金,Sn−Bi合金などの金属めっきを施すことができる。また、金属めっきは、例えば、NiとSnとで2層以上形成した多層構造としても良い。以上により、図1に示されるような構成の複数の積層セラミックコンデンサ1が得られる。
【0032】
続いて、セラミックグリーンシート上に電極ペーストをスクリーン印刷法で付与し、複数の内部電極パターンを形成する印刷工程(ステップS2)について詳細に説明する。
【0033】
図3は、スクリーン印刷の工程内容を示す図である。図3に示すように、印刷工程では、テーブル9上にセラミックグリーンシート10を載置し、セラミックグリーンシート10の上方に印刷面から所定の距離だけ離間して(間隙をあけて)スクリーン版11を配置する。そして、スクリーン版11の上面側で、スクリーン版11上に供給された電極ペーストPを方向Dに向かって掻き寄せるようにスキージ13をメッシュ部12に押し付けて移動させる。これによって、スキージ13でセラミックグリーンシート10にスクリーン版11が押し付けられる際に電極ペーストPが被印刷物であるセラミックグリーンシート10に付与(印刷)され、内部電極パターンPTが形成される。すなわち、印刷工程では、オフコンタクト印刷によって内部電極パターンPTが形成される。
【0034】
図4は、スクリーン版の一例を示す図である。図4に示すように、スクリーン版11は、矩形の版枠11aと、メッシュ部12とから構成され、版枠11aの下面にメッシュ部12が装着されている。メッシュ部12は、一点鎖線で囲まれる印刷領域12a内に、長方形状の複数の開口部Kを有する。印刷領域12aは、スクリーン版11がセラミックグリーンシート10の上方に配置された際、セラミックグリーンシート10の印刷領域と対応する領域である。
【0035】
続いて、メッシュ部12について更に詳細に説明する。図5は、メッシュ部を示す図である。図5に示すように、メッシュ部12は、複数の開口部Kが互いに所定の間隔をあけて形成されている。開口部Kは、内部電極パターンPTに対応した形状を呈している。メッシュ部12は、印刷開始位置と印刷終了位置との間を中間位置と設定した場合に、印刷方向(方向D)において印刷開始位置から中間位置までを含む領域を第1印刷領域PA1とし、中間位置から印刷終了位置までを含む領域を第2印刷領域PA2としている。なお、ここで言う中間位置とは、印刷方向において厳密に中央である必要はなく、印刷開始位置と印刷終了位置とのおおよその中間地点であればよく、更には、印刷開始側又は印刷終了側のいずれかにずれていてもよい。
【0036】
メッシュ部12では、第1印刷領域PA1と第2印刷領域PA2とにおいて、開口部Kの数が異なっている。具体的には、第2印刷領域PA2の開口部Kの数は、第1印刷領域PA1の開口部Kの数よりも少なくなっている。第2印刷領域PA2では、印刷方向に直交する方向において、開口部Kの数が少なくなっている。図5に示すように、第2印刷領域PA2では、印刷終了側からの2列において、開口部Kが他の列よりも印刷方向に直交する方向(開口部Kの短辺方向)に離間して形成されており、開口部Kの数が半分になっている。
【0037】
図5に示すメッシュ部12では、第1印刷領域PA1には30個の開口部Kが形成されており、第2印刷領域PA2には20個の開口部Kが形成されている。つまり、スクリーン版11のメッシュ部12においては、第1印刷領域PA1に対して第2印刷領域PA2の開口部Kの数が2/3(約0.67倍)となっている。そのため、スクリーン印刷によって形成される内部電極パターンPTの数も、第1印刷領域PA1に対して第2印刷領域PA2は2/3(約0.67倍)となる。なお、第1印刷領域PA1の内部電極パターンPTの数に対する第2印刷領域PA2の内部電極パターンPTの数は、0.75倍以下であることが好ましい。
【0038】
印刷工程では、上記のメッシュ部12が装着されたスクリーン版11を用いることにより、第1印刷領域PA1よりも開口部Kの形成数が少ない第2印刷領域PA2において、内部電極パターンPTが形成される数が少なくなる。そのため、第2印刷領域PA2に形成される内部電極パターンPTの総面積は、第1印刷領域PA1に形成される内部電極パターンPTの総面積よりも小さくなる。したがって、印刷工程では、印刷方向に沿って印刷開始側から印刷終了側まで内部電極パターンPTを形成するときに、印刷開始側に形成される内部電極パターンPTの総面積よりも印刷終了側に形成される内部電極パターンPTの総面積が小さくなる。
【0039】
図6は、版離れを説明する図である。図6に示すように、オフコンタクト印刷では、スキージ13の移動に伴ってセラミックグリーンシート10(印刷面)とスクリーン版11のメッシュ部12とが成す角度(印刷開始側の角度)が小さくなっていく。スクリーン版11がセラミックグリーンシート10から離れる早さは、スクリーン版11が元に戻ろうとする力と、スクリーン版11とセラミックグリーンシート10の印刷面との剥離抵抗とによって決定される。すなわち、スクリーン版11が元に戻ろうとする力が剥離抵抗よりも十分に大きい場合には、版離れが早く良好なものとなる一方、スクリーン版11が元に戻ろうとする力が剥離抵抗よりも十分に大きくない場合には、版離れが遅くなる。スクリーン版11が元に戻ろうとする力は、メッシュに加わる力(テンション)と、スクリーン版11とセラミックグリーンシート10とのギャップ、つまりセラミックグリーンシート10とスクリーン版11のメッシュ部12とが成す角度とに依存している。また、剥離抵抗は、スクリーン版11とセラミックグリーンシート10との接触面積(開口部Kの開口面積)に依存している。
【0040】
オフコンタクト印刷において、スキージ13を移動させると、図6(a)に示すように、第1印刷領域PA1では、セラミックグリーンシート10とスクリーン版11のメッシュ部12とが成す角度がθ1となり、図6(b)に示すように、第2印刷領域PA2では、セラミックグリーンシート10とスクリーン版11のメッシュ部12とが成す角度がθ2となり角度θ1よりも小さくなる(θ1>θ2)。これにより、通常のスクリーン版では、剥離抵抗が一定のままで、スクリーン版11とセラミックグリーンシート10とのギャップが徐々に小さくなり、スクリーン版11が元に戻ろうとする力が小さくなるため、スクリーン版11の版離れが遅くなる。そのため、内部電極パターンPTににじみが生じるため厚みにばらつきが発生し、また、内部電極パターンPTの寸法精度を確保することが困難になる。特に、スクリーン版11が大型になると、この問題が顕著となる。
【0041】
そこで、本実施形態の積層型電子部品の製造方法では、印刷工程において、印刷開始側に形成される複数の内部電極パターンPTの総面積よりも印刷終了側に形成される複数の内部電極パターンPTの総面積を小さくする。すなわち、第1印刷領域PA1に形成される内部電極パターンPTの総面積よりも第2印刷領域PA2に形成される内部電極パターンPTの総面積が小さくなるようにセラミックグリーンシート10上に電極ペーストPを付与している。そのために、印刷工程に用いるスクリーン版11のメッシュ部12では、第2印刷領域PA2において、内部電極パターンPTに対応する開口部Kの数が第1印刷領域PA1よりも少なくなっている。これにより、スクリーン版11が元に戻ろうとする力が小さくなる印刷終盤の第2印刷領域PA2において接触面積が小さくなるため、第1印刷領域PA1よりも剥離抵抗を小さくすることができる。そのため、第2印刷領域PA2において、第1印刷領域PA1と同様にスクリーン版11の版離れを良好にできる。したがって、印刷終盤における内部電極パターンPTのにじみを抑制することができる。その結果、内部電極パターンPTの厚みのばらつきを抑制すると共に、内部電極パターンPTの寸法精度の向上を図ることができる。
【0042】
また、スクリーン版11では、第2印刷領域PA2において、印刷方向に直交する方向における開口部Kの数が第1印刷領域PA1よりも少なくなっている。これにより、スクリーン版11の版離れを更に良好にできる。
【0043】
また、第1印刷領域PA1の内部電極パターンPTの数に対する第2印刷領域PA2の内部電極パターンPTの数は、0.75倍以下となっている。これにより、版離れを良好なものとしつつ、内部電極パターンPTの形成数を十分確保することができる。
【0044】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。スクリーン版11に装着するメッシュ部12は、様々な様態とすることができる。他の形態のメッシュ部について、図7〜図11を参照しながら説明する。
【0045】
図7に示すように、メッシュ部12Aは、第2印刷領域PA2において、開口部Kが第1印刷領域PA1よりも印刷方向に離間して形成されている。具体的には、メッシュ部12Aでは、印刷方向において、第1印刷領域PA1よりも第2印刷領域PA2の開口部Kの列が1列少なく形成されている。より詳細には、メッシュ部12Aでは、第1印刷領域PA1の印刷開始位置から2列目に相当する開口部Kの列が、第2印刷領域PA2には形成されていない。このように、第2印刷領域PA2において、スクリーン版11の版離れの方向に沿って第1印刷領域PA1よりも内部電極パターンPTの形成数が少なくなるメッシュ部12Aを用いることにより、スクリーン版11の版離れをより一層良好にできる。
【0046】
図8に示すように、メッシュ部12Bは、第2印刷領域PA2において、開口部Kが千鳥格子状に形成されている。具体的には、メッシュ部12Bでは、第2印刷領域PA2において、印刷方向において開口部Kの数が第1印刷領域PA1よりも少なくなっていると共に、印刷方向に直交する方向において、開口部Kの数が第1印刷領域PA1よりも少なくなっている。このように、第2印刷領域PA2において、第1印刷領域PA1よりも内部電極パターンPTの形成数が少なくなるメッシュ部12Bを用いることにより、スクリーン版11の版離れをより一層良好にできる。
【0047】
図9に示すように、メッシュ部12Cは、第2印刷領域PA2において、印刷方向に直交する方向における中央部に開口部Kが形成されていない。言い換えれば、メッシュ部12Cでは、第2印刷領域PA2において、印刷方向に直交する方向における中央部よりも両端部(端部側)の方が開口部Kが多く形成されている。スクリーン版11は、印刷方向に直交する方向の中央部において版離れがし難い。そこで、版離れが悪くなる中央部に開口部Kが形成されていないメッシュ部12Cを用いることにより、スクリーン版11の版離れをより一層良好にできる。
【0048】
図10に示すように、メッシュ部12Dは、第2印刷領域PA2において、中間位置から印刷終了位置に向かうにつれて開口部Kの数が少なくなっている。具体的には、メッシュ部12Dは、第2印刷領域PA2において、印刷終了側に向かうにつれて印刷方向に直交する方向の中央部の開口部Kの数が少なくなっている。スクリーン版11は、印刷方向に直交する方向の中央部において版離れがし難い。そこで、版離れが悪くなる中央部に開口部Kが形成されず、且つ印刷方向において印刷終了側に向かうにつれて開口部Kが少ないメッシュ部12Dを用いることにより、スクリーン版11の版離れをより一層良好にできる。
【0049】
図11に示すように、メッシュ部12Eは、第2印刷領域PA2において、中間位置から印刷終了位置に向かうにつれて開口部Kの数が少なくなっている。具体的には、メッシュ部12Eでは、印刷方向において、第1印刷領域PA1よりも第2印刷領域PA2の開口部Kの列が3列少なく形成されている。より詳細には、メッシュ部12Eでは、第1印刷領域PA1の印刷開始位置から2,4,5列目に相当する開口部Kの列が、第2印刷領域PA2には形成されていない。このように、第2印刷領域PA2において、スクリーン版11の版離れの方向に沿って第1印刷領域PA1よりも内部電極パターンPTの形成数が段階的に少なくなるメッシュ部12Eを用いることにより、スクリーン版11の版離れをより一層良好にできる。
【0050】
なお、スクリーン版11のメッシュ部の構成は、上記形態に限定されるものではなく、印刷開始側に形成される複数の導体パターンPTの総面積よりも印刷終了側に形成される複数の導体パターンPTの総面積が小さくなる構成であればよい。また、開口部Kの形成個数は、上記実施形態に限定されるものではなく、内部電極パターンPTの形成数に応じて適宜設定される。また、開口部Kの形状は、所望する内部電極パターンPTに応じて適宜変更されてもよい。
【0051】
また、本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、積層セラミックコンデンサだけでなく、積層型のインダクタ部品等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…積層型セラミックコンデンサ(積層型電子部品)、10…セラミックグリーンシート、11…スクリーン版、K…開口部、12,12A〜12E…メッシュ部(スクリーン版)、P…電極ペースト(導電性ペースト)、PA1…第1印刷領域、PA2…第2印刷領域、PT…内部導体パターン(導体パターン)、S1…シート形成工程(準備工程)、S2…印刷工程。
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の製造では、導体パターンを形成するために、セラミックグリーンシート上に導電性ペーストを付与する印刷工程が行われる。導電性ペーストの付与には、一般的にスクリーン印刷法であるオフコンタクト印刷が用いられる。オフコンタクト印刷では、セラミックグリーンシートの上方にスクリーン版を間隙をおいて配置し、スクリーン版の上面側で、導電性ペーストを所定の方向に向かって掻き寄せるようにスキージを移動させる。これによって、スキージがスクリーン版に押し付けられる際に導電性ペーストがセラミックグリーンシートに付与され、セラミックグリーンシートに導電性ペーストが付与されて導体パターンが形成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−138321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オフコンタクト印刷では、接触したスクリーン版とセラミックグリーンシートとが離れる際の版離れが導体パターンの形成において重要となっている。版離れの早さは、スクリーン版に加わるテンション及びスクリーン版とセラミックグリーンシートの印刷面とのギャップと、スクリーン版とセラミックグリーンシートとの剥離抵抗(スクリーン版のパターン開口面積)とにより決定される。スクリーン版が元に戻ろうとする力が剥離抵抗よりも十分に大きい場合には、版離れが早く良好となる一方、スクリーン版が元に戻ろうとする力が剥離抵抗よりも十分に大きくない場合には、版離れが遅くなる。
【0005】
従来のオフコンタクト印刷では、印刷が終了側に向かうにつれてスクリーン版とセラミックグリーンシートの印刷面とが成す角度が小さくなるため、これに起因してスクリーン版とセラミックグリーンシートとのギャップが小さくなる。そのため、スクリーン版が元に戻ろうとする力が弱くなり、印刷開始側に比べて印刷終了側のスクリーン版の版離れが遅くなる。これにより、印刷の終盤において導体パターンににじみが生じるおそれがある。この導体パターンのにじみは、導体パターンの厚みにばらつきを生じさせると共に、導体パターンの寸法精度を低下させるといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題解決のためになされたものであり、導体パターンの厚みのばらつきを抑制すると共に、導体パターンの寸法精度の向上を図ることができる積層型電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、積層型電子部品の製造方法では、スクリーン版を用いて、セラミックグリーンシート上に複数の導体パターンを形成する印刷工程を備えた積層型電子部品の製造方法であって、印刷工程では、セラミックグリーンシートとスクリーン版とを間隙をおいて配置し、スクリーン版にスキージを押し付けながら印刷開始側から印刷終了側に向かって移動させることにより、スクリーン版上に供給された導電性ペーストをセラミックグリーンシートに付与し、複数の導体パターンを形成しており、印刷開始側に形成される複数の導体パターンの総面積よりも印刷終了側に形成される複数の導体パターンの総面積を小さくすることを特徴とする。
【0008】
この積層型電子部品の製造方法では、印刷工程において、印刷開始側に形成される複数の導体パターンの総面積よりも印刷終了側に形成される複数の導体パターンの総面積を小さくする。これにより、スクリーン版とセラミックグリーンシートとのギャップが小さくなり、スクリーン版が元に戻ろうとする力が小さくなる印刷終了側において、接触面積を小さくできるため印刷開始側よりも剥離抵抗を小さくすることができる。そのため、印刷終了側において、印刷開始側と同様に版離れを良好にできる。したがって、導体パターンのにじみを抑制することができ、その結果、導体パターンの厚みのばらつきを抑制すると共に、導体パターンの寸法精度の向上を図ることができる。
【0009】
スクリーン版において、印刷開始位置と印刷終了位置との間に中間位置を設定し、印刷開始位置から中間位置までを第1印刷領域、中間位置から印刷終了位置までを第2印刷領域とした場合に、印刷工程では、第1印刷領域に形成される複数の導体パターンの数よりも第2印刷領域に形成される複数の導体パターンの数を少なくすることが好ましい。このように、第2印刷領域に形成する導体パターンの数を第1印刷領域よりも減らすことにより、第2印刷領域に形成される導体パターンの総面積を第1印刷領域に形成される導体パターンの総面積よりも小さくすることができる。
【0010】
印刷工程では、印刷方向に直交する方向に沿って形成される第2印刷領域の複数の導体パターンの数を第1印刷領域に形成される複数の導体パターンの数よりも少なくすることが好ましい。このように、印刷方向に直交する方向において形成される導体パターンの数を第1印刷領域よりも第2印刷領域の方を少なくすることにより、版離れを更に良好にすることができる。
【0011】
印刷工程では、第2印刷領域において、印刷方向に直交する方向の中央部に複数の導体パターンに対応して形成された開口部の数が印刷方向に直交する方向の端部側に形成された開口部の数よりも少ないスクリーン版を用いる。また、印刷工程では、第2印刷領域において、中間位置から印刷終了位置に向かうにつれて印刷方向に直交する方向の中央部に複数の導体パターンに対応して形成された開口部の数が少なくなるスクリーン版を用いる。このように、版離れし難い箇所の開口部の数が少ないスクリーン版を用いることにより、版離れを良好にできる。
【0012】
印刷工程では、印刷方向に沿って形成される第2の印刷領域の複数の導体パターンの数を第1印刷領域に形成される複数の導体パターンの数よりも少なくすることが好ましい。このように、第2印刷領域において版離れの方向に沿って導体パターンが少なくなるように形成することにより、版離れをより一層良好にできる。
【0013】
印刷工程では、第2印刷領域において、中間位置から印刷終了位置に向かうにつれて複数の導体パターンに対応して形成された開口部の数が少なくなるスクリーン版を用いる。このように、スクリーン版の版離れの方向に沿って開口部の数が少ないスクリーン版を用いることにより、版離れを良好にすることができる。
【0014】
印刷開始側に形成される複数の導体パターンの数に対して、印刷終了側に形成される複数の導体パターンの数が0.75倍以下であることが好ましい。この場合には、導体パターンの形成数を確保しつつ、版離れを良好にできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、導体パターンの厚みのばらつきを抑制すると共に、導体パターンの寸法精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る積層型電子部品の製造方法が適用される積層セラミックコンデンサの断面図である。
【図2】積層セラミックコンデンサの製造方法のフローを示す図である。
【図3】印刷工程の工程内容を示す図である。
【図4】スクリーン版を示す図である。
【図5】メッシュ部を示す図である。
【図6】版離れを説明する図である。
【図7】他の形態のメッシュ部を示す図である。
【図8】他の形態のメッシュ部を示す図である。
【図9】他の形態のメッシュ部を示す図である。
【図10】他の形態のメッシュ部を示す図である。
【図11】他の形態のメッシュ部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る積層型電子部品の製造方法が適用される積層セラミックコンデンサの断面図である。この積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極3とが交互に複数積層された略直方体の素体4(積層体)と、この素体4の積層方向に交わる方向の両端面に形成された各端子電極5,6とを備えている。
【0019】
誘電体層2は、電歪特性を有する例えば、BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、(Ba,Ca)TiO3系などの誘電体材料からなり、内部電極3に挟まれる誘電体層2の厚みは、例えば、1〜3μmに薄層化されている。内部電極3は、誘電体材料の種類により異なるが、Ni、Cuなどの卑金属材料やPt,Agなどの貴金属材料からなり、誘電体層2を介して対向配置される。この対向配置される各内部電極3は、各々別々の各端面に引き出され各端子電極5,6に電気的に接続される。各端子電極5,6は多層化されており、素体4に接する部分では、例えば、Cu,Ni、Ag−Pdなどを用い、その外側にはNi−Snなどのめっきが施される。
【0020】
続いて、図2を参照して、積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。図2は、積層セラミックコンデンサの製造方法のフローを示す図である。
【0021】
積層セラミックコンデンサ1の製造においては、まず、誘電体層2を形成するためのセラミックペースト、内部電極3を形成するための電極ペースト(導電性ペースト)をそれぞれ準備する。
【0022】
セラミックペーストは、誘電体層2を構成する誘電体材料の原料に有機ビヒクルなどを混合・混錬して得ることができる。誘電体材料の原料としては、例えば、誘電体材料が上述したような各種の複合酸化物系材料である場合は、当該複合酸化物に含まれる各金属原子の酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などの組み合わせが挙げられる。
【0023】
有機ビヒクルは、バインダー及び溶剤を含むものである。バインダーとしては、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などが挙げられる。また、溶剤としては、例えば、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン、キシレン、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤が挙げられる。
【0024】
また、セラミックペーストは、上記以外に各種分散剤、可塑剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体などが必要に応じて含有されていてもよい。
【0025】
電極ペーストは、内部電極3を構成するための導電材料と有機ビヒクルとを混合・混錬したものである。導電材料としては、上述したような金属材料を用い、球状やリン片状などの種々の形状のものを適用できる。また、電極ペースト中には、必要に応じて無機化合物を適量含有させることが好ましい。これにより、後述する焼成時において、セラミックグリーンシート及び電極ペースト層の体積変化の差を小さくして、これに起因する応力の発生を低減することができる。その結果、この応力に基づくクラックや反りなどの不具合を抑制することが可能となる。
【0026】
有機ビヒクルは、バインダー及び溶剤を含むものである。バインダーとしては、例えば、エチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、またはこれらの共重合体などが挙げられる。溶剤としては、例えば、テルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン、アセトンなどが挙げられる。
【0027】
電極ペースト中には、適宜、可塑剤を含有させてもよい。可塑剤としては、例えば、フタル酸ベンジルブチル(BBP)などのフタル酸エステル、アジピン酸、リン酸エステル、グリコール類などが適用できる。
【0028】
続いて、上述したセラミックペースト及び電極ペーストを準備した後、まず、例えば、PETなどからなるキャリアシート(支持体)上にセラミックペーストをドクターブレード法などの公知の方法でセラミックグリーンシートを形成する(ステップS1:シート成形工程)。そして、セラミックグリーンシート上に電極ペーストをスクリーン印刷法で複数の内部電極パターン(導体パターン)を形成する(ステップS2:印刷工程)。
【0029】
続いて、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを所定の大きさに揃えて所定の枚数で積層し、積層方向から加圧してグリーン積層体を得る(ステップS3:積層・プレス工程)。そして、グリーン積層体を切断機で所定の大きさのチップに切断しグリーンチップを得る(ステップS4:切断工程)。
【0030】
続いて、グリーンチップから、各部に含まれるバインダーを除去した後(脱バインダー)、このグリーンチップを焼成する(ステップS5:焼成工程)。この焼成により、セラミックグリーンシートから誘電体層2が、また、電極ペースト層から内部電極3がそれぞれ形成された素体4が得られる。脱バインダーは、グリーンチップを、空気中、又は、N2及びH2の混合ガスなどの還元雰囲気中で、200〜600℃程度に加熱することにより行うことができる。また、焼成は、脱バインダー後のグリーンチップを、例えば、還元雰囲気下で1100〜1300℃程度に加熱することにより行うことができる。そして、かかるグリーンチップの焼成後、得られた焼成物に、必要に応じて800〜1100℃、2〜10時間保持するアニール処理を施す。
【0031】
続いて、素体4の両端部に導電性ペーストを塗布して焼付けし、さらにめっきを施すことにより端子電極5,6を形成する(ステップS6:端子電極形成工程)。導電性ペーストは、Cuを主成分とする金属粉末にガラスフリット及び有機ビヒクルを混合したものを用いることができる。金属粉末は、Ni、Ag−PdあるいはAgを主成分とするものであってもよい。めっきは、Ni,Sn,Ni−Sn合金,Sn−Ag合金,Sn−Bi合金などの金属めっきを施すことができる。また、金属めっきは、例えば、NiとSnとで2層以上形成した多層構造としても良い。以上により、図1に示されるような構成の複数の積層セラミックコンデンサ1が得られる。
【0032】
続いて、セラミックグリーンシート上に電極ペーストをスクリーン印刷法で付与し、複数の内部電極パターンを形成する印刷工程(ステップS2)について詳細に説明する。
【0033】
図3は、スクリーン印刷の工程内容を示す図である。図3に示すように、印刷工程では、テーブル9上にセラミックグリーンシート10を載置し、セラミックグリーンシート10の上方に印刷面から所定の距離だけ離間して(間隙をあけて)スクリーン版11を配置する。そして、スクリーン版11の上面側で、スクリーン版11上に供給された電極ペーストPを方向Dに向かって掻き寄せるようにスキージ13をメッシュ部12に押し付けて移動させる。これによって、スキージ13でセラミックグリーンシート10にスクリーン版11が押し付けられる際に電極ペーストPが被印刷物であるセラミックグリーンシート10に付与(印刷)され、内部電極パターンPTが形成される。すなわち、印刷工程では、オフコンタクト印刷によって内部電極パターンPTが形成される。
【0034】
図4は、スクリーン版の一例を示す図である。図4に示すように、スクリーン版11は、矩形の版枠11aと、メッシュ部12とから構成され、版枠11aの下面にメッシュ部12が装着されている。メッシュ部12は、一点鎖線で囲まれる印刷領域12a内に、長方形状の複数の開口部Kを有する。印刷領域12aは、スクリーン版11がセラミックグリーンシート10の上方に配置された際、セラミックグリーンシート10の印刷領域と対応する領域である。
【0035】
続いて、メッシュ部12について更に詳細に説明する。図5は、メッシュ部を示す図である。図5に示すように、メッシュ部12は、複数の開口部Kが互いに所定の間隔をあけて形成されている。開口部Kは、内部電極パターンPTに対応した形状を呈している。メッシュ部12は、印刷開始位置と印刷終了位置との間を中間位置と設定した場合に、印刷方向(方向D)において印刷開始位置から中間位置までを含む領域を第1印刷領域PA1とし、中間位置から印刷終了位置までを含む領域を第2印刷領域PA2としている。なお、ここで言う中間位置とは、印刷方向において厳密に中央である必要はなく、印刷開始位置と印刷終了位置とのおおよその中間地点であればよく、更には、印刷開始側又は印刷終了側のいずれかにずれていてもよい。
【0036】
メッシュ部12では、第1印刷領域PA1と第2印刷領域PA2とにおいて、開口部Kの数が異なっている。具体的には、第2印刷領域PA2の開口部Kの数は、第1印刷領域PA1の開口部Kの数よりも少なくなっている。第2印刷領域PA2では、印刷方向に直交する方向において、開口部Kの数が少なくなっている。図5に示すように、第2印刷領域PA2では、印刷終了側からの2列において、開口部Kが他の列よりも印刷方向に直交する方向(開口部Kの短辺方向)に離間して形成されており、開口部Kの数が半分になっている。
【0037】
図5に示すメッシュ部12では、第1印刷領域PA1には30個の開口部Kが形成されており、第2印刷領域PA2には20個の開口部Kが形成されている。つまり、スクリーン版11のメッシュ部12においては、第1印刷領域PA1に対して第2印刷領域PA2の開口部Kの数が2/3(約0.67倍)となっている。そのため、スクリーン印刷によって形成される内部電極パターンPTの数も、第1印刷領域PA1に対して第2印刷領域PA2は2/3(約0.67倍)となる。なお、第1印刷領域PA1の内部電極パターンPTの数に対する第2印刷領域PA2の内部電極パターンPTの数は、0.75倍以下であることが好ましい。
【0038】
印刷工程では、上記のメッシュ部12が装着されたスクリーン版11を用いることにより、第1印刷領域PA1よりも開口部Kの形成数が少ない第2印刷領域PA2において、内部電極パターンPTが形成される数が少なくなる。そのため、第2印刷領域PA2に形成される内部電極パターンPTの総面積は、第1印刷領域PA1に形成される内部電極パターンPTの総面積よりも小さくなる。したがって、印刷工程では、印刷方向に沿って印刷開始側から印刷終了側まで内部電極パターンPTを形成するときに、印刷開始側に形成される内部電極パターンPTの総面積よりも印刷終了側に形成される内部電極パターンPTの総面積が小さくなる。
【0039】
図6は、版離れを説明する図である。図6に示すように、オフコンタクト印刷では、スキージ13の移動に伴ってセラミックグリーンシート10(印刷面)とスクリーン版11のメッシュ部12とが成す角度(印刷開始側の角度)が小さくなっていく。スクリーン版11がセラミックグリーンシート10から離れる早さは、スクリーン版11が元に戻ろうとする力と、スクリーン版11とセラミックグリーンシート10の印刷面との剥離抵抗とによって決定される。すなわち、スクリーン版11が元に戻ろうとする力が剥離抵抗よりも十分に大きい場合には、版離れが早く良好なものとなる一方、スクリーン版11が元に戻ろうとする力が剥離抵抗よりも十分に大きくない場合には、版離れが遅くなる。スクリーン版11が元に戻ろうとする力は、メッシュに加わる力(テンション)と、スクリーン版11とセラミックグリーンシート10とのギャップ、つまりセラミックグリーンシート10とスクリーン版11のメッシュ部12とが成す角度とに依存している。また、剥離抵抗は、スクリーン版11とセラミックグリーンシート10との接触面積(開口部Kの開口面積)に依存している。
【0040】
オフコンタクト印刷において、スキージ13を移動させると、図6(a)に示すように、第1印刷領域PA1では、セラミックグリーンシート10とスクリーン版11のメッシュ部12とが成す角度がθ1となり、図6(b)に示すように、第2印刷領域PA2では、セラミックグリーンシート10とスクリーン版11のメッシュ部12とが成す角度がθ2となり角度θ1よりも小さくなる(θ1>θ2)。これにより、通常のスクリーン版では、剥離抵抗が一定のままで、スクリーン版11とセラミックグリーンシート10とのギャップが徐々に小さくなり、スクリーン版11が元に戻ろうとする力が小さくなるため、スクリーン版11の版離れが遅くなる。そのため、内部電極パターンPTににじみが生じるため厚みにばらつきが発生し、また、内部電極パターンPTの寸法精度を確保することが困難になる。特に、スクリーン版11が大型になると、この問題が顕著となる。
【0041】
そこで、本実施形態の積層型電子部品の製造方法では、印刷工程において、印刷開始側に形成される複数の内部電極パターンPTの総面積よりも印刷終了側に形成される複数の内部電極パターンPTの総面積を小さくする。すなわち、第1印刷領域PA1に形成される内部電極パターンPTの総面積よりも第2印刷領域PA2に形成される内部電極パターンPTの総面積が小さくなるようにセラミックグリーンシート10上に電極ペーストPを付与している。そのために、印刷工程に用いるスクリーン版11のメッシュ部12では、第2印刷領域PA2において、内部電極パターンPTに対応する開口部Kの数が第1印刷領域PA1よりも少なくなっている。これにより、スクリーン版11が元に戻ろうとする力が小さくなる印刷終盤の第2印刷領域PA2において接触面積が小さくなるため、第1印刷領域PA1よりも剥離抵抗を小さくすることができる。そのため、第2印刷領域PA2において、第1印刷領域PA1と同様にスクリーン版11の版離れを良好にできる。したがって、印刷終盤における内部電極パターンPTのにじみを抑制することができる。その結果、内部電極パターンPTの厚みのばらつきを抑制すると共に、内部電極パターンPTの寸法精度の向上を図ることができる。
【0042】
また、スクリーン版11では、第2印刷領域PA2において、印刷方向に直交する方向における開口部Kの数が第1印刷領域PA1よりも少なくなっている。これにより、スクリーン版11の版離れを更に良好にできる。
【0043】
また、第1印刷領域PA1の内部電極パターンPTの数に対する第2印刷領域PA2の内部電極パターンPTの数は、0.75倍以下となっている。これにより、版離れを良好なものとしつつ、内部電極パターンPTの形成数を十分確保することができる。
【0044】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。スクリーン版11に装着するメッシュ部12は、様々な様態とすることができる。他の形態のメッシュ部について、図7〜図11を参照しながら説明する。
【0045】
図7に示すように、メッシュ部12Aは、第2印刷領域PA2において、開口部Kが第1印刷領域PA1よりも印刷方向に離間して形成されている。具体的には、メッシュ部12Aでは、印刷方向において、第1印刷領域PA1よりも第2印刷領域PA2の開口部Kの列が1列少なく形成されている。より詳細には、メッシュ部12Aでは、第1印刷領域PA1の印刷開始位置から2列目に相当する開口部Kの列が、第2印刷領域PA2には形成されていない。このように、第2印刷領域PA2において、スクリーン版11の版離れの方向に沿って第1印刷領域PA1よりも内部電極パターンPTの形成数が少なくなるメッシュ部12Aを用いることにより、スクリーン版11の版離れをより一層良好にできる。
【0046】
図8に示すように、メッシュ部12Bは、第2印刷領域PA2において、開口部Kが千鳥格子状に形成されている。具体的には、メッシュ部12Bでは、第2印刷領域PA2において、印刷方向において開口部Kの数が第1印刷領域PA1よりも少なくなっていると共に、印刷方向に直交する方向において、開口部Kの数が第1印刷領域PA1よりも少なくなっている。このように、第2印刷領域PA2において、第1印刷領域PA1よりも内部電極パターンPTの形成数が少なくなるメッシュ部12Bを用いることにより、スクリーン版11の版離れをより一層良好にできる。
【0047】
図9に示すように、メッシュ部12Cは、第2印刷領域PA2において、印刷方向に直交する方向における中央部に開口部Kが形成されていない。言い換えれば、メッシュ部12Cでは、第2印刷領域PA2において、印刷方向に直交する方向における中央部よりも両端部(端部側)の方が開口部Kが多く形成されている。スクリーン版11は、印刷方向に直交する方向の中央部において版離れがし難い。そこで、版離れが悪くなる中央部に開口部Kが形成されていないメッシュ部12Cを用いることにより、スクリーン版11の版離れをより一層良好にできる。
【0048】
図10に示すように、メッシュ部12Dは、第2印刷領域PA2において、中間位置から印刷終了位置に向かうにつれて開口部Kの数が少なくなっている。具体的には、メッシュ部12Dは、第2印刷領域PA2において、印刷終了側に向かうにつれて印刷方向に直交する方向の中央部の開口部Kの数が少なくなっている。スクリーン版11は、印刷方向に直交する方向の中央部において版離れがし難い。そこで、版離れが悪くなる中央部に開口部Kが形成されず、且つ印刷方向において印刷終了側に向かうにつれて開口部Kが少ないメッシュ部12Dを用いることにより、スクリーン版11の版離れをより一層良好にできる。
【0049】
図11に示すように、メッシュ部12Eは、第2印刷領域PA2において、中間位置から印刷終了位置に向かうにつれて開口部Kの数が少なくなっている。具体的には、メッシュ部12Eでは、印刷方向において、第1印刷領域PA1よりも第2印刷領域PA2の開口部Kの列が3列少なく形成されている。より詳細には、メッシュ部12Eでは、第1印刷領域PA1の印刷開始位置から2,4,5列目に相当する開口部Kの列が、第2印刷領域PA2には形成されていない。このように、第2印刷領域PA2において、スクリーン版11の版離れの方向に沿って第1印刷領域PA1よりも内部電極パターンPTの形成数が段階的に少なくなるメッシュ部12Eを用いることにより、スクリーン版11の版離れをより一層良好にできる。
【0050】
なお、スクリーン版11のメッシュ部の構成は、上記形態に限定されるものではなく、印刷開始側に形成される複数の導体パターンPTの総面積よりも印刷終了側に形成される複数の導体パターンPTの総面積が小さくなる構成であればよい。また、開口部Kの形成個数は、上記実施形態に限定されるものではなく、内部電極パターンPTの形成数に応じて適宜設定される。また、開口部Kの形状は、所望する内部電極パターンPTに応じて適宜変更されてもよい。
【0051】
また、本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、積層セラミックコンデンサだけでなく、積層型のインダクタ部品等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…積層型セラミックコンデンサ(積層型電子部品)、10…セラミックグリーンシート、11…スクリーン版、K…開口部、12,12A〜12E…メッシュ部(スクリーン版)、P…電極ペースト(導電性ペースト)、PA1…第1印刷領域、PA2…第2印刷領域、PT…内部導体パターン(導体パターン)、S1…シート形成工程(準備工程)、S2…印刷工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン版を用いて、セラミックグリーンシート上に複数の導体パターンを形成する印刷工程を備えた積層型電子部品の製造方法であって、
前記印刷工程では、前記セラミックグリーンシートと前記スクリーン版とを間隙をおいて配置し、前記スクリーン版にスキージを押し付けながら印刷開始側から印刷終了側に向かって移動させることにより、前記スクリーン版上に供給された導電性ペーストを前記セラミックグリーンシートに付与し、前記複数の導体パターンを形成しており、
前記印刷開始側に形成される複数の導体パターンの総面積よりも前記印刷終了側に形成される複数の導体パターンの総面積を小さくすることを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記スクリーン版において、印刷開始位置と印刷終了位置との間に中間位置を設定し、前記印刷開始位置から前記中間位置までを第1印刷領域、前記中間位置から前記印刷終了位置までを第2印刷領域とした場合に、
前記印刷工程では、前記第1印刷領域に形成される複数の導体パターンの数よりも前記第2印刷領域に形成される複数の導体パターンの数を少なくすることを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記印刷工程では、印刷方向に直交する方向に沿って形成される前記第2印刷領域の前記複数の導体パターンの数を前記第1印刷領域に形成される前記複数の導体パターンの数よりも少なくすることを特徴とする請求項2記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記印刷工程では、前記第2印刷領域において、前記印刷方向に直交する方向の中央部に前記複数の導体パターンに対応して形成された開口部の数が前記印刷方向に直交する方向の端部側に形成された開口部の数よりも少ない前記スクリーン版を用いることを特徴とする請求項3記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記印刷工程では、前記第2印刷領域において、前記中間位置から前記印刷終了位置に向かうにつれて前記印刷方向に直交する方向の中央部に前記複数の導体パターンに対応して形成された開口部の数が少なくなる前記スクリーン版を用いることを特徴とする請求項3記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記印刷工程では、前記印刷方向に沿って形成される前記第2の印刷領域の前記複数の導体パターンの数を前記第1印刷領域に形成される前記複数の導体パターンの数よりも少なくすることを特徴とする請求項2記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記印刷工程では、前記第2印刷領域において、前記中間位置から前記印刷終了位置に向かうにつれて前記複数の導体パターンに対応して形成された開口部の数が少なくなる前記スクリーン版を用いることを特徴とする請求項6記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記印刷開始側に形成される前記複数の導体パターンの数に対して、前記印刷終了側に形成される前記複数の導体パターンの数が0.75倍以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項1】
スクリーン版を用いて、セラミックグリーンシート上に複数の導体パターンを形成する印刷工程を備えた積層型電子部品の製造方法であって、
前記印刷工程では、前記セラミックグリーンシートと前記スクリーン版とを間隙をおいて配置し、前記スクリーン版にスキージを押し付けながら印刷開始側から印刷終了側に向かって移動させることにより、前記スクリーン版上に供給された導電性ペーストを前記セラミックグリーンシートに付与し、前記複数の導体パターンを形成しており、
前記印刷開始側に形成される複数の導体パターンの総面積よりも前記印刷終了側に形成される複数の導体パターンの総面積を小さくすることを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記スクリーン版において、印刷開始位置と印刷終了位置との間に中間位置を設定し、前記印刷開始位置から前記中間位置までを第1印刷領域、前記中間位置から前記印刷終了位置までを第2印刷領域とした場合に、
前記印刷工程では、前記第1印刷領域に形成される複数の導体パターンの数よりも前記第2印刷領域に形成される複数の導体パターンの数を少なくすることを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記印刷工程では、印刷方向に直交する方向に沿って形成される前記第2印刷領域の前記複数の導体パターンの数を前記第1印刷領域に形成される前記複数の導体パターンの数よりも少なくすることを特徴とする請求項2記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記印刷工程では、前記第2印刷領域において、前記印刷方向に直交する方向の中央部に前記複数の導体パターンに対応して形成された開口部の数が前記印刷方向に直交する方向の端部側に形成された開口部の数よりも少ない前記スクリーン版を用いることを特徴とする請求項3記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記印刷工程では、前記第2印刷領域において、前記中間位置から前記印刷終了位置に向かうにつれて前記印刷方向に直交する方向の中央部に前記複数の導体パターンに対応して形成された開口部の数が少なくなる前記スクリーン版を用いることを特徴とする請求項3記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記印刷工程では、前記印刷方向に沿って形成される前記第2の印刷領域の前記複数の導体パターンの数を前記第1印刷領域に形成される前記複数の導体パターンの数よりも少なくすることを特徴とする請求項2記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記印刷工程では、前記第2印刷領域において、前記中間位置から前記印刷終了位置に向かうにつれて前記複数の導体パターンに対応して形成された開口部の数が少なくなる前記スクリーン版を用いることを特徴とする請求項6記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記印刷開始側に形成される前記複数の導体パターンの数に対して、前記印刷終了側に形成される前記複数の導体パターンの数が0.75倍以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の積層型電子部品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−142348(P2012−142348A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292421(P2010−292421)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]