説明

積層型OLED構造

【課題】既存の積層型OLED構成の利点を示す、積層型OLED構成を提供する。
【解決手段】積層型OLEDデバイスは、中間電極によって分離された垂直積層型構成における複数の個別OLEDを含み、個別OLEDの少なくとも1つは、混合領域を含む発光領域またはゾーンを含み、混合領域は、正孔輸送材料、電子輸送材料、および任意選択のドーパントとの混合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、様々な例示的な実施形態において、有機発光デバイス(OLED)に関する。特に、本開示は、積層型OLED構成に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光デバイス(OLED)は、表示適用のための見込みのある技術を示す。典型的な有機発光デバイスは、第1の電極と、1つ以上のエレクトロルミネッセンス有機材料を含むルミネッセント領域と、第2の電極とを含み、第1の電極および第2の電極の一方は、正孔注入アノードとして機能し、他方の電極は、電子注入カソードとして機能し、第1の電極および第2の電極の一方は、前方電極であり、他方の電極は、後方電極である。前方電極は、透明(または少なくとも部分的に透明)であり、一方、後方電極は、通常光に対して非常に反射性である。第1および第2の電極を横切って電圧が印加されるとき、光が、ルミネッセント領域から放出されて、透明な前方電極を通過する。
【0003】
積層型OLEDを形成するために、2つ以上の個別のOLEDを積層型構成に積層することが時には望ましい。積層型OLED構成は、隣接する個別OLED間に配置された中間電極を含む。すなわち、連続するOLEDは、中間電極を共有し、積み重ねにおける1つの個別OLEDの上部電極は、積み重ねにおける他のOLEDの底部電極としても機能する。中間電極は、一般に透明である。さらに、中間電極は、しばしば一方側で電子注入接点としてかつ他方側で正孔注入接点として作用することが必要である。
【0004】
積層型OLEDは、任意の色が放出される真の色画素が形成されるように、異なる色を放出することができる。例えば、Burrowsらは、色調整可能な垂直に統合された画素を形成するために積み重ねられた、赤、緑、または青放出を有する個別のOLEDを、Appl.Phys.Lett.69、2959頁(1996年)に開示する。
【0005】
積層型単色OLEDは、また、Matsumotoらの「Stacked,monochromatic OLEDs potentially provide an OLED configuration having high electroluminesence efficiency。」(SID 03 Digest、979(2003年))に示されるなど可能である。
【0006】
【非特許文献1】Burrowsら、Appl.Phys.Lett.69、2959頁(1996年)
【非特許文献2】Matsumotoらの、「Stacked,monochromatic OLEDs potentially provide an OLED configuration having high electroluminesence efficiency」、SID 03 Digest、979頁、2003年
【特許文献1】米国特許第4885211号明細書
【特許文献2】米国特許第4539507号明細書
【特許文献3】米国特許第5942340号明細書
【特許文献4】米国特許第4356429号明細書
【非特許文献3】Z.D.Popovicらの、Proceedings of the SPIE、Vol.3176、「Organic Light−Emitting Materials and Devices II」、San Diego、Calif.、Jul.21−23、1998年、頁68−73
【特許文献5】米国特許第6392339号明細書
【特許文献6】米国特許第5151629号明細書
【特許文献7】米国特許第5150006号明細書
【特許文献8】米国特許第5141671号明細書
【特許文献9】米国特許第5516577号明細書
【特許文献10】米国特許第5846666号明細書
【特許文献11】米国特許第5925472号明細書
【特許文献12】米国特許第6057048号明細書
【特許文献13】米国特許第6821643号明細書
【特許文献14】米国特許第6465115号明細書
【特許文献15】米国特許第5972247号明細書
【特許文献16】米国特許第5935721号明細書
【特許文献17】米国特許第6479172号明細書
【特許文献18】米国特許第3172862号明細書
【特許文献19】米国特許第5601903号明細書
【特許文献20】米国特許第5935720号明細書
【非特許文献4】Kidoらの、「White light emitting organic electroluminescent device using lanthanide complexes」、Jpn.J.Appl.Phys.、Volume35、頁L394−L396(1996年)
【非特許文献5】Baldoらの「Highly efficient organic phosphorescent emission from organic electroluminescent devices」、Letters to Nature、Volume 395、頁151−154(1998年)
【特許文献21】米国特許第6392250号明細書
【特許文献22】米国特許第6614175号明細書
【特許文献23】米国特許第6737177号明細書
【特許文献24】米国特許第6753098号明細書
【特許文献25】米国特許第6759146号明細書
【特許文献26】米国特許第6773830号明細書
【特許文献27】米国特許第4885211号明細書
【特許文献28】米国特許第5429884号明細書
【特許文献29】米国特許第5703436号明細書
【特許文献30】米国特許第5707745号明細書
【特許文献31】同時係属米国特許出願第09/0777154号明細書
【特許文献32】米国特許第6841932号明細書
【特許文献33】米国特許出願公開第10/401238号明細書
【特許文献34】米国特許第5457565号明細書
【特許文献35】米国特許第5739635号明細書
【特許文献36】米国特許第5776622号明細書
【特許文献37】米国特許第6423429号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の積層型OLEDは、高いエレクトロルミネッセンス効率(例えば、10cd/Aより大きい)を有する、可変放出色および単色OLEDを可能にする構成を示すが、両方は、制限された動作安定性を被る。制限された動作安定性は、一般にOLEDに関する知られている問題である。
【0008】
したがって、既存の積層型OLED構成の利点を示す、積層型OLED構成の必要性が依然としてある。また、増大した動作安定性を示すことができる、積層型OLED構成の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、その様々な実施形態において、積層型有機発光デバイスに関し、この積層型有機発光デバイスは、基板と、第1の電極と、第2の電極と、第1および第2の電極間に配置された複数のルミネッセンス領域と、連続するルミネッセンス領域間に配置された中間電極とを含み、複数のルミネッセンス領域の少なくとも1つは、混合領域を含み、混合領域は、異なる電子および正孔輸送性能を有する少なくとも2つの材料、および任意選択のドーパントの混合物を含み、混合領域には、発光できる少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス材料がある。異なる電子および正孔輸送性能を有する材料は、正孔輸送材料、電子輸送材料、およびバイポーラ輸送材料から無関係に選択されることができる。
【0010】
さらに、本開示は、そのいくつかの実施形態において、積層型有機発光デバイスを含み、この積層型有機発光デバイスは、第1の電極と、第2の電極と、第1および第2の電極間に配置された複数のルミネッセンス領域と、連続するルミネッセンス領域間に配置された中間電極とを含み、複数のルミネッセンス領域の少なくとも1つは、第1の電荷輸送ゾーンと、第2の電荷輸送ゾーンと、第1および第2の電荷輸送ゾーン間に配置された混合領域とを含み、混合領域は、異なる電子および正孔輸送性能を有する少なくとも2つの材料、および任意選択のドーパントの混合物を含み、混合領域には、発光できる少なくとも1つのルミネッセンス材料がある。異なる電子および正孔輸送性能を有する材料は、正孔輸送材料、電子輸送材料、およびバイポーラ輸送材料から無関係に選択されることができる。
【0011】
さらに、本開示は、そのいくつかの実施形態において、積層型有機発光デバイスを含み、この積層型有機発光デバイスは、第1の電極と、第2の電極と、第1および第2の電極間に配置された複数のルミネッセンス領域と、連続するルミネッセンス領域間に配置された中間電極とを含み、複数のルミネッセンス領域の少なくとも1つは、少なくとも1つの電荷輸送ゾーンと、混合領域とを含み、混合領域は、異なる電子および正孔輸送性能を有する少なくとも2つの材料、および任意選択のドーパントの混合物を含み、混合領域には、発光できる少なくとも1つのルミネッセンス材料がある。異なる電子および正孔輸送性能を有する材料は、正孔輸送材料、電子輸送材料、およびバイポーラ輸送材料から無関係に選択されることができる。
【0012】
さらに、本開示は、そのいくつかの実施形態において、有機発光デバイスに関し、有機発光デバイスは、基板と、第1の電極と、第2の電極と、第1および第2の電極間に配置された複数のルミネッセンス領域と、連続するルミネッセンス領域間に配置された中間電極とを含み、複数のルミネッセンス領域の少なくとも1つは、第1の電荷輸送ゾーンと、第2の電荷輸送ゾーンと、混合領域とを含み、混合領域は、異なる電子および正孔輸送性能を有する少なくとも2つの材料、およびドーパントの混合物を含み、混合領域には、発光できる少なくとも1つのルミネッセンス材料がある。異なる電子および正孔輸送性能を有する材料は、正孔輸送材料、電子輸送材料、およびバイポーラ輸送材料から無関係に選択されることができる。
【0013】
本開示のこれらおよび他の非限定特性または特徴は、より詳細に以下に開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本開示は、複数の個別OLEDを含む積層型OLED構成に関する。積層型OLEDは、第1の電極と、第2の電極と、第1および第2の電極間に配置された複数の個別OLEDを含む。より詳細には、積層型OLEDは、第1および第2の電極間に配置された複数のルミネッセンス領域を含み、中間電極が、連続するルミネッセンス領域間に配置される。すなわち、連続するルミネッセンス領域は、中間電極を共有する。2つの電極間に配置されたルミネッセンス領域の組合せは、個別OLEDであると考えられる。したがって、積層型OLEDは、複数のOLEDを含むと言うことができる。個別ルミネッセンス領域は、第1の電荷輸送ゾーンと第2の電荷輸送ゾーンとの間に任意選択で配置された発光層またはゾーンを含む。積層型OLEDにおける個別OLEDの少なくとも1つの発光層は、異なる電子および正孔輸送性能を有する少なくとも2つの材料と、任意選択のドーパントとの混合物を有する混合領域を含み、混合領域には、発光できる少なくとも1つのルミネッセンス材料がある。異なる電子および正孔輸送性能を有する材料は、正孔輸送材料、電子輸送材料、およびバイポーラ輸送材料から無関係に選択されることができる。
【0015】
図1を参照すると、積層型OLED100は、基板110と、第1の電極120と、第2の電極130と、ルミネッセンス領域140と、ルミネッセンス領域150と、ルミネッセンス領域160Nと、ルミネッセンス領域140とルミネッセンス領域150との間に配置された中間電極170と、ルミネッセンス領域150とルミネッセンス領域160Nとの間に配置された中間電極180とを含む。ルミネッセンス領域160Nに関して、Nは、積層型OLED100内に存在する個別ルミネッセンス領域160の数を表し、0、1、または1以上の整数であることができる。Nが0に等しいとき、積層型OLEDは、2つのルミネッセンス領域を含む。Nが1より大きいとき、中間電極は、任意のさらなる連続する個別OLED間に配置されることが理解される。さらにNが1より大きいとき、ルミネッセンス領域160Nは、特定の目的または意図された使用に所望であるように、同一または異なる構成および/または組成を有することができる。議論を単純にするために、積層型OLED100が、ルミネッセンス領域140、150、および160を含むように、Nは、図1の実施形態において1として用いられる。
【0016】
積層型OLED100は、2つの電極間に配置されたルミネッセンス領域が形成された複数の個別OLEDを含む。例えば、積層型OLED100は、3つの個別OLEDを含む。OLED1Aは、第1の電極120と、ルミネッセンス領域140と、中間電極170とから形成され、OLED1Bは、中間電極170と、ルミネッセンス領域150と、中間電極180とから形成され、かつOLED1Cは、中間電極180と、ルミネッセンス領域160(N=1)と、第2の電極130とから形成される。図1に示されるように、個別OLEDは、電極を共有することができる。より詳細には、連続するルミネッセンス領域は、少なくとも1つの中間電極を共有する。
【0017】
各ルミネッセンス領域140、150、および160は、それぞれ第1の輸送ゾーン142、152、および162と、それぞれ発光層またはゾーン144、154、および164と、それぞれ第2の電荷輸送ゾーン146、156、および166を含む。少なくとも1つの発光層またはゾーン144、154、および164は、混合領域であり、この混合領域は、異なる電子および正孔輸送性能を有する少なくとも2つの材料と、任意選択のドーパントとの混合物を含み、混合領域には、発光できる少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス材料がある。異なる電子および正孔輸送性能を有する材料は、正孔輸送材料、電子輸送材料、およびバイポーラ輸送材料から無関係に選択されることができる。ある実施形態において、各ルミネッセンス領域144、154、および164は、混合領域を含む。
【0018】
図1における実施形態は、各ルミネッセンス領域140、150、および160が、第1および第2の電荷輸送ゾーンを有するとして示されているが、1つ以上の電荷輸送ゾーンは、発光層、中間電極などの組成に応じて取り除かれることができることが理解される。例えば、発光層も所望の電荷輸送機能(すなわち、電子輸送または正孔輸送)を示すなら、電荷輸送ゾーンは、取り除かれることができる。
【0019】
第1の電極120は、正孔注入アノードまたは電子注入カソードの一方であることができる。第2の電極130は、電子注入カソードまたは正孔注入アノードの一方であることができる。第1および第2の電極は、特定の目的または意図された使用のために所望なように、アノードまたはカソードであることができる。例えば、OLED100において、第2の電極130が、カソードであるかまたはアノードであるかは、第2の電極130のすぐ下にある層またはゾーンの電荷輸送機能に応じる。
【0020】
第1の電荷輸送ゾーン142、152、および162と、第2の電荷輸送ゾーン146、156、および166とは、正孔輸送ゾーンまたは電子輸送ゾーンの一方であることができる。正孔輸送ゾーンまたは電子輸送ゾーンとして、個別OLEDまたはルミネッセンス領域の第1または第2の電荷輸送ゾーンの性質または機能は、それぞれ電荷輸送ゾーンにすぐ隣接する電極層(第1の電極、第2の電極、または中間電極)の機能に応じる。同様に、中間電極(または第1あるいは第2の電極)を作る組成は、例えば、それぞれの電極にすぐ隣接する電荷輸送ゾーンなど、層またはゾーンの性質に応じる適切な電荷注入層を提供するように選択される。例えばいくつかの実施形態において、中間電極は、正孔輸送機能を有する層(例えば正孔輸送ゾーン)と接触する一方の側または表面上で正孔注入層として機能し、かつ電子輸送機能を有する層(例えば電子輸送ゾーン)と接触する他方の側または表面上で電子注入層としても機能しなければならない場合がある。そのようないくつかの実施形態において、中間電極は、ルミネッセンス領域の適切な層に隣接する正孔注入層および電子注入層を含む複数層構成であることができる。いくつかの実施形態において、各中間電極は、一方側で正孔注入電極として機能し、かつ他方側で電子注入電極として機能するとき、積層型OLEDは、第1および第2の電極だけを横切る外部フォワード・バイアス電圧を印加することによって、積み重ね全体を横切る外部フォワード・バイアス電圧を印加することにより、または代わりに、例えば第1の電極および第1の中間電極、第1の中間電極および第2の中間電極、ならびに第2の中間電極および第2の電極を横切る外部フォワード・バイアス電圧を印加することによって、別個に積み重ねの各個別ユニットを横切る外部フォワード・バイアス電圧を印加することにより動作されることができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の中間電極が、両側で正孔注入電極として機能するとき、または1つ以上の中間電極が、両側で電子注入電極として機能するとき、積層型OLEDは、例えば第1の電極および第1の中間電極、第1の中間電極および第2の中間電極、ならびに第2の中間電極および第2の電極を横切る外部フォワード・バイアス電圧を印加することによって、別個に積み重ねの各個別ユニットを横切る外部フォワード・バイアス電圧を印加することにより動作されることができる。
【0021】
積層型OLEDの構成は、重要ではなく、特定の目的または意図された使用に所望であるように選択されることができる。例えば、一例として図1を使用して、一実施形態において、積層型OLED100は、第1の電極120としてのアノードと、各第1の電荷輸送ゾーン142、152、および162としての正孔輸送ゾーンと、第2の電荷輸送ゾーン146、156、および166としての電子輸送ゾーンとを含むことができる。この実施形態において、中間電極170および180は、電子輸送ゾーンに隣接する電子注入層、および正孔輸送ゾーンに隣接する正孔注入層を有する複数層電極である。積層型構成における全ての個別OLEDが、第2の電荷輸送ゾーンとして電子輸送ゾーンを含むなら、最後のルミネッセンス領域(例えば、Nが1に等しいなら160)における電子輸送ゾーンは、第2の電極130に隣接し、かつ第2の電極130はカソードである。
【0022】
他の実施形態において、第1の電極120が、カソードであり、第1の電荷輸送ゾーン142、152、および162は、それぞれ電子輸送ゾーンであり、かつ第2の電荷輸送ゾーン146、156、および166は、それぞれ正孔輸送ゾーンである。この実施形態において、正孔輸送ゾーンは、第2の電極130の下にあるゾーンであり、したがって第2の電極130は、アノードである。中間電極170および180は、正孔輸送ゾーンに隣接する正孔注入層、および電子輸送ゾーンに隣接する電子注入層を有する複数層電極である。上述の実施形態は、単なる例示的な実施形態であり、他の構成および配置が可能である。
【0023】
図2を参照すると、積層型OLEDの他の実施形態が示される。積層型OLED200は、基板210と、アノード220と、上部電極230と、アノード210と上部電極230との間に配置された複数のルミネッセンス領域とを含む。ルミネッセンス領域240は、アノード220上に配置され、アノード220に隣接する正孔輸送ゾーン242と、発光層またはゾーン244と、電子輸送ゾーン246とを含む。中間電極270は、ルミネッセンス領域240上に配置される。ルミネッセンス領域250は、中間電極270上に配置され、電子輸送ゾーン252と、発光層またはゾーン254と、正孔輸送ゾーン256とを含む。中間電極280は、ルミネッセンス領域250上に配置される。ルミネッセンス領域260Nは、中間電極280上に配置され、電荷輸送ゾーン262と、発光層またはゾーン264と、第2の電荷輸送ゾーン266とを含み、ここでNは、0、1、または1以上の整数である。積層型OLED200は、アノード、カソード、および/または中間電極に隣接するそれぞれのルミネッセンス領域によって形成される、複数のOLED、例えばOLED2A、2B、および2Cを含むと考えられる。OLED200は、積層型OLED構成に組み込まれるルミネッセンス領域の数に応じて、追加のまたはより少ないOLEDを含むことができる。
【0024】
図3を参照すると、積層型OLED300は、基板310と、カソード320と、上部電極330と、カソード320と上部電極330との間に配置された複数のルミネッセンス領域とを含む。ルミネッセンス領域340は、カソード320上に配置される。ルミネッセンス領域340は、電子輸送ゾーン342と、発光層またはゾーン344と、正孔輸送ゾーン346とを含む。中間電極370は、ルミネッセンス領域340上に配置される。ルミネッセンス領域350は、中間電極370上に配置され、正孔輸送ゾーン352と、発光層またはゾーン354と、電子輸送ゾーン356とを含む。この実施形態において、中間電極370は、正孔輸送ゾーン346と352との間に配置され、したがって正孔注入材料を含む。積層型OLED300は、N個のルミネッセンス領域360を含むことができ、ここでNは、0、1、または1以上の整数である。OLED360は、第1の電荷輸送ゾーン362と、ルミネッセンス領域364と、第2の電荷輸送ゾーン366とを含む。中間電極380などの中間電極は、任意の連続する個別OLED間に配置される。積層型OLED300は、アノード、カソード、および/または中間電極に隣接するそれぞれのルミネッセンス領域によって形成される、複数のOLED、例えばOLED3A、3B、および3Cを含む。OLEDは、積層型OLED構成に組み込まれるルミネッセンス領域の数に応じて、追加のまたはより少ないOLEDを含むことができる。
【0025】
図2および図3のいくつかの実施形態において、中間電極が、同一の電荷輸送機能を有する電荷輸送ゾーン間に配置されるように、連続するルミネッセンス領域の第1の電荷輸送ゾーンは、互いに異なる電荷輸送機能を有し、かつ連続するルミネッセンス領域の第2の電荷輸送ゾーンは、互いに異なる電荷輸送機能を有する。すなわち、いくつかの実施形態において、あるルミネッセンス領域の第2の電荷輸送層は、次の連続するルミネッセンス領域の第1の電荷輸送層と同一の電荷輸送機能を有する。そのような実施形態において、中間電極は、任意選択で適切な電荷注入材料(すなわち、正孔注入または電子注入)の単一層であることができる。例えば、図2の実施形態において、中間電極270は、電子輸送ゾーン246と252との間に配置され、中間電極270は、電子注入材料を含む。パターンが、積層型OLEDを通じて継続するなら、上部電極230は、積み重ね内に存在するルミネッセンス領域260の数に基づいて決定される。Nが、0または偶数であるなら、この実施形態において上部電極230は、アノード材料である(Nが0に等しいなら、中間電極280は排除される)。Nが1または奇数に等しく、電荷輸送層262が正孔輸送ゾーンであり、かつ電荷輸送ゾーン266が電子輸送ゾーンであるなら、上部電極はカソードである。図3の実施形態において、中間電極370は、正孔輸送ゾーン246と352との間に配置され、正孔注入材料を含む。連続するルミネッセンス領域の第1の電荷輸送ゾーンが異なる機能を有する取り決めが、積み重ねを通じて実行されるなら、上部電極330の機能および組成は、積み重ね内に存在するルミネッセンス領域360の数Nに応じ、Nが、0または偶数であるなら、上部電極は、カソードであり、Nが1または奇数であるならアノードである。
【0026】
図1、図2、および図3を参照して記載される実施形態は、本開示による可能な積層型OLEDの単なる説明のための例であり、開示による積層型OLEDの範囲を限定することを意図するものではないことは理解される。個別層の組成および/または機能を含む積層型OLEDの全体構成は、特定の目的または意図された使用に関して所望であるように選択されることができ、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されない。
【0027】
少なくとも1つのルミネッセンス領域は、混合領域を含む。本明細書で使用されるように、混合領域は、異なる電子および正孔輸送性能を有する少なくとも2つの材料、および任意選択のドーパントの混合物を含み、混合領域には、発光できる少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス材料がある。異なる電子および正孔輸送性能を有する材料は、正孔輸送材料、電子輸送材料、およびバイポーラ輸送材料から無関係に選択されることができる。一実施形態において、混合領域は、異なる電子および正孔輸送性能を有する2つの材料を含み、その一方は、発光できるエレクトロルミネッセンス材料である。他の実施形態において、混合領域は、異なる電子および正孔輸送性能を有する2つの材料を含み、任意選択でその一方は、エレクトロルミネッセンス材料であり、さらにエレクトロルミネッセンス・ドーパントを含む。さらなる実施形態において、混合領域は、異なる電子および正孔輸送性能を有する2つの材料を含み、その一方は、エレクトロルミネッセンス材料であり、さらにエレクトロルミネッセンス・ドーパントを含む。他の実施形態において、混合領域は、異なる電子および正孔輸送性能を有する2つの材料を含み、さらにドーパントを含み、2つの材料の少なくとも一方またはドーパントは、エレクトロルミネッセンス材料である。
【0028】
混合領域の放出色は、特定の目的または意図される使用に所望なように選択される。個別OLEDの放出色は、混合領域におけるエミッタとして選択される材料に基づく。混合領域がドーパントを含み、かつドーパントと異なる電子および正孔輸送性能を有する材料の少なくとも一方が、エミッタである実施形態において、混合領域からの放出色は、異なる電子および正孔輸送性能を有する材料からドーパントへのエネルギー伝達に応じる。例えば、エネルギー伝達がドーパントで終了するなら、個別OLEDの放出色は、ドーパントからの放出色である。ドーパントへのエネルギー伝達が終了しないなら、個別OLEDの放出色は、異なる電子および正孔輸送性能を有する材料およびドーパントの放出色によって決定される。
【0029】
積層型OLED構成の少なくとも1つの個別OLEDのルミネッセンス領域は、混合領域を含む。実施形態において、各個別OLEDのルミネッセンス領域は、混合領域を含む。ルミネッセンス領域の一部として混合領域を含む個別OLEDの数は、特定の目的または意図された使用に関して所望であるように選択されることができることは理解される。
【0030】
一実施形態において、積層型OLEDの個別OLEDは、異なる放出色を放出するように作成されることができる。他の実施形態において、2つ以上の個別OLEDは、同一の放出色を放出するように作成されることができる。さらに他の実施形態において、2つ以上の個別OLEDは、第1の色を放出するように作成されることができ、2つ以上の個別OLEDは、第2の色を放出するように作成されることができ、以下同様である。なおさらなる実施形態において、積層型OLEDの全ての個別OLEDは、単色の積層型OLEDを形成するために、同じ放出色を放出するように作られることができる。単色の積層型OLEDにおいて、個別OLEDのルミネッセンス領域は、同じ組成を有することができ、またはルミネッセンス領域は、それぞれの組成が同じ放出色を放出する、異なる組成および材料であることができる。
【0031】
基板は、例えばポリマー成分、ガラス、水晶などを含む様々な適切な材料を含むことができる。適切なポリマー成分は、MYLAR(登録商標)などのポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリサルフォンなどを含むが、これらに限定されない。これら様々な材料の混合物も、使用されることができる。例えば、材料が、他の層を効果的に支持でき、かつデバイスの機能性能を実質的に妨げないなら、他の基板材料も選択されることができる。いくつかの実施形態において、基板は、光透過性材料で形成される。
【0032】
基板の厚みは、恐らく有機発光デバイスおよびその意図される使用の構造的な要求を除いて、特に限定されない。適切な厚みは、例えば、少なくとも約25μmから約10000μmを含む。いくつかの実施形態において、基板は、約100μmから約1000μmの厚みを有する。もちろん、これらの範囲外の厚みは、可能でありかつ本開示による積層型OLEDの範囲内である。
【0033】
アノードは、酸化インジウムすず(ITO)、酸化すず、金、および白金などの、適切な正孔注入電極を含むことができる。アノードのための他の適切な材料は、電気導電性炭素、例えば、約4eVに等しいまたは約4eVより高い仕事関数、および好ましくは約4eVから約6eVの仕事関数を有する、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパイロールなどのπ共役ポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0034】
アノードは、任意の適切な形態であることができる。薄い導電層は、例えば、それぞれ透明または実質的に透明なガラス・プレートまたはプラスチック・フィルムなどの基板上に被覆されることができ、または薄い導電層は、正孔輸送ゾーン上に被覆されることができる。本開示による積層型OLEDの実施形態は、ガラス・プレート上に被覆された酸化すずまたは酸化インジウムすず(ITO)から形成された光透過性アノードを含むことができる。例えば、約200Å未満、およびいくつかの実施形態において約75Åから約150Åの厚みを有する非常に薄い光透過性の金属アノードも、使用されることができる。これらの薄いアノードは、金、パラジウムなどの金属を含むことができる。さらに、導電性炭素、または例えば約50Åから約175Åの厚みを有するポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパイロールなどの共役ポリマーの透明または半透明薄層が、アノードとして使用されることができる。アノードのさらなる適切な形態は、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4885211号に開示されている。
【0035】
アノードの厚みは、約1ナノメートルから約5000ナノメートルの範囲であることができる。この範囲外の厚みも使用できると考えられる。範囲は、アノード材料の光学係数に応じることがある。いくつかの実施形態において、アノードの厚みは、約30ナノメートルから約300ナノメートルである。アノードは、真空における気相堆積、スピン・コーティング、電子ビーム堆積、およびスパッタリング堆積などの任意の適切な薄膜形成方法を使用して形成されることができる。
【0036】
正孔輸送ゾーンおよび混合領域を形成するために選択される正孔輸送材料は、任意の適切な既知の材料または後で開発される材料であることができる。適切な正孔輸送材料は、ポリアニリンおよびその酸ドープされた形態、ポリパイロール、ポリ(フェニリン・ビニレン)、および他の適切な半導電性有機材料などの導電性材料を含むが、これらに限定されない。これらおよび他の適切な材料の混合物も使用されることができる。正孔輸送材料の適切な種類は、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4539507号に開示されているものなど芳香族第三アミンである。適切な例示的な芳香族第三アミンは、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ−1−ナフチル−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、それらの混合物などを含むが、これらに限定されない。
【0037】
正孔輸送材料に適切な芳香族第三アミンの他の種類は、多核芳香族アミンである。そのような多核芳香族アミンの例には、N,N−ビス−[4’−(N−フェニル−N−m−トリルアミノ)−4−ビフェニルイル]アニリン、N,N−ビス−[4’−(N−フェニル−N−m−トリルアミノ)−4−ビフェニルイル]−m−トルイジン、N,N−ビス−[4’−(N−フェニル−N−m−トリルアミノ)−4−ビフェニルイル]−p−トルイジン、N,N−ビス−[4’−(N−フェニル−N−p−トリルアミノ)−4−ビフェニルイル]アニリン、N,N−ビス−[4’−(N−フェニル−N−p−トリルアミノ)−4−ビフェニルイル]−m−トルイジン、N,N−ビス−[4’−(N−フェニル−N−p−トリルアミノ)−4−ビフェニルイル]−p−トルイジン、N,N−ビス−[4’−(N−フェニル−N−p−クロロフェニルアミノ)−4−ビフェニルイル]−m−トルイジン、N,N−ビス−[4’−(N−フェニル−N−m−クロロフェニルアミノ)−4−ビフェニルイル]−m−トルイジン、N,N−ビス−[4’−(N−フェニル−N−m−クロロフェニルアミノ)−4−ビフェニルイル]−p−トルイジン、N,N−ビス−[4’−(N−フェニル−N−m−トリルアミノ)−4−ビフェニルイル]−p−クロロアニリン、N,N−ビス−[4’−(N−フェニル−N−p−トリルアミノ)−4−ビフェニルイル]−m−クロロアニリン、N,N−ビス−[4’−(N−フェニル−N−m−トリルアミノ)−4−ビフェニルイル]−1−アミノナフタレン、その混合物などが含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
適切な正孔輸送材料の他の種類は、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニル化合物であり、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニル化合物の具体的な例には、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニル、および4,4’−ビス(3−メチル−9−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニルなどが含まれる。正孔輸送材料の例示的な種類は、例えば、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5942340号に開示されているものなど、5,11−ジ−ナフチル−5,11−ビフェニリルイル[3,2−b]カルバゾール、および2,8−ジメチリル−5,11−ジ−ナフチル−5,11−ジヒドロインドロ[3,2−b]カルバゾールなどのインドール−カルバゾールである。他の適切な材料は、N,N,N’,N’−テトラアリールベンジジンを含み、ここで、アリールは、フェニル、m−トリル、p−トリル、m−メトキシフェニル、p−メトキシフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどから選択されることができる。N,N,N’,N’−テトラアリールベンジジンの具体的な例は、N,N’ジ−ナフチル−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(3−メトキシフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンなどである。さらに他の適切な正孔輸送材料は、ナフチル置換されたベンジジン誘導体も含む。
【0039】
正孔輸送ゾーンは、少なくとも1つのバッファ層(図示されず)をさらに含むことができ、このバッファ層は、所定の正孔注入および輸送特性を有する材料からなり、かつ例えばデバイス性能が改善されるように選択される。バッファ層に使用されることができる適切な材料は、例えば、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4356429号に開示されている、1,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン銅(II)などのポルフィリン誘導体、銅フタロシアニン、銅テトラメチル・フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、酸化チタン・フタロシアニン、マグネシウム・フタロシアニンなどの半導電性有機材料を含む。これらおよび他の適切な材料の混合物も使用されることができる。バッファ層に使用されることができる他の適切な材料は、例えば、MgO、Al、BeO、BaO、AgO、SrO、SiO、SiO、ZrO、CaO、CsO、RbO、LiO、KO、およびNaOなどの金属酸化物、およびLiF、KCl、NaCl、CsCl、CsF、およびKFなどのハロゲン化金属などの、半導電性および絶縁性金属化合物を含む。
【0040】
バッファ層を任意選択で含む正孔輸送ゾーンは、例えば任意の適切な既知の方法または後で開発される方法によって、薄膜に上述の材料の1つを形成することで準備されることができる。この目的のための適切な方法は、例えば気相堆積およびスピン・コーティング技術を含む。
【0041】
バッファ層は、正孔輸送ゾーン内の任意の位置に配置されることができる。すなわち、バッファ層の一表面が、正孔輸送ゾーンの一表面と一致するように、バッファ層は配置されることができる。この実施形態において、バッファ層は、アノード、中間電極、または混合領域にいずれかに接触し、またはバッファ層の2つの表面が、正孔輸送ゾーンの2つの表面間にあるように、バッファ層は配置されることができる。しかしながら、いくつかの実施形態において、バッファ層は、アノードまたは正孔注入中間カソードと接触する。
【0042】
任意選択でバッファ層を含む正孔輸送ゾーンは、約5ナノメートルから約500ナノメートルの範囲の厚みを有することができる。バッファ層は、約1ナノメートルから約100ナノメートルの範囲の厚みを有することができる。バッファ層の厚みは、例えば、バッファ層を含む正孔輸送ゾーンの厚みより少なくとも1ナノメートル薄い。いくつかの実施形態において、バッファ層に関する厚みの範囲は、約5ナノメートルから約25ナノメートルである。他の実施形態において、バッファ層に関する厚みの範囲は、約1ナノメートルから約5ナノメートルである。
【0043】
その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Z.D.PopovicらのProceedings of the SPIE、Vol.3176、「Organic Light−Emitting Materials and Devices II」、San Diego、Calif.、Jul.21−23、1998年、頁68−73、およびその開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6392339号から、正孔輸送ゾーンの厚みが、有機発光デバイスの性能に影響を有することがあることが知られている。また、正孔輸送ゾーンにおけるバッファ層の厚みを除いた正孔輸送ゾーンの厚みが、デバイスの性能に影響を有することも決定され、一般に、その内のバッファ層の厚みを低減することなく正孔輸送ゾーンの厚みを低減することが、デバイス安定性における望ましい増大、および同時にデバイス効率における望ましくない低減を導くことができる。したがって、その領域におけるバッファ層の特定の厚みに関して、正孔輸送ゾーンのための望ましい厚み範囲が存在する。一実施形態において、バッファ層の厚みを除いた正孔輸送ゾーンの厚み範囲(バッファ層の厚みを引いた後の正孔輸送領域の残りの厚み)は、約5ナノメートルから約15ナノメートルである。他の実施形態において、バッファ層の厚みを除いた正孔輸送ゾーンの厚み範囲は、約15ナノメートルから約75ナノメートルである。
【0044】
いくつかの実施形態において、個別OLEDは、正孔輸送ゾーンまたは電子輸送ゾーンの一方だけを含むことが望ましいことがある。すなわち、混合領域などの発光層またはゾーンは、第1の電極、第2の電極、または中間電極の1つと直接接触することができる。
【0045】
電子輸送ゾーンまたは混合領域を形成するために選択される電子輸送材料は、任意の適切な既知の材料または後で開発される材料であることができる。電子輸送ゾーンおよび混合領域で使用されることができる適切な電子輸送材料は、その開示全体がそれぞれ参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4539507号、米国特許第5151629号、米国特許第5150006号、および米国特許第5141671号に開示されるように、8−ヒドロキシキノリンの金属キレートなどの金属オキシノイド化合物を含む。具体的な例には、トリス(8−ヒドロキシキノリネート)アルミニウム(AlQ)が含まれる。他の例は、ビス(8−ヒドロキシキノラート)−(4−フェニルフェノラート)アルミニウム(Balq)である。他の例は、トリス(8−ヒドロキシキノリネート)ガリウム、ビス(8−ヒドロキシキノリネート)マグネシウム、ビス(8−ヒドロキシキノリネート)亜鉛、トリス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリネート)アルミニウム、トリス(7−プロピル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス[ベンゾ{f}−8−キノリネート]亜鉛、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリネート)ベリリウムなどである。
【0046】
電子輸送ゾーンまたは混合領域に使用されることができる他の種類の電子輸送材料は、例えば4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニルを含む、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5516577号に開示されるなどのスチルベン誘導体、ビス(8−キノリンチオラート)亜鉛、ビス(8−キノリンチオラート)カドミウム、トリス(8−キノリンチオラート)ガリウム、トリス(8−キノリンチオラート)インジウム、ビス(5−メチルキノリンチオラート)亜鉛、トリス(5−メチルキノリンチオラート)ガリウム、トリス(5−メチルキノリンチオラート)インジウム、ビス(5−メチルキノリンチオラート)カドミウム、ビス(3−メチルキノリンチオラート)カドミウム、ビス(5−メチルキノリンチオラート)亜鉛、ビス[ベンゾ{f}−8−キノリンチオラート]亜鉛、ビス[3−メチル−ベンゾ{f}−8−キノリンチオラート]亜鉛、ビス[3,7−ジメチルベンゾ{f}−8−キノリンチオラート]亜鉛などの金属チオキシノイド化合物など、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5846666号に示されるなどの金属チオキシノイド化合物からなる電子輸送材料、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾラート]ベリリウム、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾラート]ベリリウム、ビス[5−ビフェニル−2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[5−ビフェニル−2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾラート]ベリリウム、ビス[2−(ヒドロキシフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾラート]リチウム、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−p−トリル−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−p−トリル−1,3,4−オキサジアゾラート]ベリリウム、ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾラート]ベリリウム、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(3−フルオロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(4−フルオロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(4−フルオロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾラート]ベリリウム、ビス[5−(4−クロロフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(4−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[2−α−(2−ヒドロキシナフチル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−p−ピリジル−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−p−ピリジル−1,3,4−オキサジアゾラート]ベリリウム、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(2−チオフェニル)−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾラート]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾラート]ベリリウム、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾラート]亜鉛、およびビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾラート]ベリリウムなど、その開示全体がそれぞれ参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5925472号に示されるオキサジアゾール金属、および、その開示全体がそれぞれ参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6057048号および米国特許第6821643号に示されるトリアジンを含む。混合領域に適した他の種類の金属は、アントラセン誘導体である。
【0047】
電子輸送ゾーンは、例えば約5ナノメートルから約500ナノメートルの範囲の厚みを有する電子輸送材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、この厚みは、約20ナノメートルから約80ナノメートルである。これらの範囲外の厚みも、使用されることができると考えられる。複数層の電子輸送領域を含む有機発光デバイスを有するようないくつかの実施形態において、個別層は、少なくとも約1ナノメートルの厚みを有する。
【0048】
混合領域で使用されることができるある種類のバイポーラ輸送材料は、2−t−ブチル−9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン、9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン、9,10−ジ−フェニルアントラセン、9,9−ビス[4−(9−アントリル)フェニル]フルオリン、および9,9−ビス[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フルオリンなどのアントラセンを含む。他の適切なアントラセンは、現在、米国特許第6465115号である米国特許出願公開第09/208172号(欧州特許出願公開第1009044号に対応する)に開示され、米国特許第5972247号に開示され、米国特許第5935721号に開示され、および現在、米国特許第6479172号である米国特許出願公開第09/771311号に開示され、それら開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0049】
混合領域で使用されることもできるある種類のドーパント材料は、溶融リング蛍光染料である。溶融リング蛍光染料の例には、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第3172862号に開示されるように、ペリレン、ルブレン、アントラセン、コロネン、フェアントラセン、パイレンなどが含まれる。ドーパントとして使用されることができる蛍光材料は、それらの開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4356429号および米国特許第5516577号に開示されるように、1,4−ビフェニルブタジエン、およびテトラフェニルブタジエン、スチルベンなどブタジエンを含む。ドーパント材料の他の例は、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5601903号に記載される。混合領域で使用されることもできる他の蛍光染料は、例えば、4−(ジシアノメチレン)−2−l−プロピル−6−(1,1,7,7−テトラメチルユロジル−9−エニル)−4H−パイラン(DCJTB)など、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5935720号に記載されるものを含む。混合領域で使用されることができる他の種類のドーパント材料は、例えば、トリス(アセチルアセトナート)(フェナンチロリン)テルビウム、トリス(アセチルアセトナート)(フェナンチロリン)ユーロピウム、およびトリス(セノイル・トリスフルオロアセトナート)(フェナンチロリン)ユーロピウムなどのランタニド金属キレート錯体、およびKidoらの、「White light emitting organic electroluminescent device using lanthanide complexes」、Jpn.J.Appl.Phys.、Volume35、頁L394−L396(1996年)に開示されるものである。混合領域で使用されることができる他の種類のドーパント材料は、Baldoらの「Highly efficient organic phosphorescent emission from organic electroluminescent devices」、Letters to Nature、Volume 395、頁151−154(1998年)に開示されるものなど、例えば、強スピン軌道結合に導く重金属原子を含む有機金属成分などの蛍光材料である。そのような蛍光材料の例には、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−フォルピン白金(II)(PtOEP)、およびファク−トリス(2−フェニルピリジン)インジウム(Ir(ppy))が含まれる。
【0050】
いくつかの実施形態において、混合領域は、異なる電子および正孔輸送性能を有する少なくとも2つの材料の混合物を含む。2つの材料は、異なる正孔移動度および/または異なる電子移動度を有する任意の2つの材料であり得る。
【0051】
一般に、その正孔移動度が、その電子移動度より少なくとも10倍大きいなら、材料は、正孔輸送材料であると考えられる。さらに、その電子移動度が、その正孔移動度より少なくとも10倍大きいなら、材料は、電子輸送材料であると考えられる。さらに、その正孔移動度が、その電子移動度に等しいなら、その正孔移動度が、その電子移動度を10倍未満だけなら、またはその電子移動度が、その正孔移動度を10倍未満だけなら、材料は、バイポーラ輸送材料と考えられる。
【0052】
異なる電子および正孔輸送性能を有する2つの材料は、その具体的な例が上述された、正孔輸送材料、電子輸送材料、およびバイポーラ輸送材料から無関係に選択されることができる。例えば、両方の材料は、正孔輸送材料であることができ、両方の材料は、電子輸送材料であることができ、両方の材料は、バイポーラ輸送材料であることができ、一方の材料が正孔輸送材料であることができ、かつ他方の材料が電子輸送材料であることができ、一方の材料が正孔輸送材料であることができ、かつ他方の材料がバイポーラ輸送材料であることができ、または一方の材料が電子輸送材料であることができ、かつ他方の材料がバイポーラ輸送材料であることができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、混合物が、2つの正孔輸送材料を含むとき、一方の材料の正孔移動度が、他方の材料の正孔移動度より少なくとも2倍大きいように、2つの材料が選択される。いくつかの実施形態において、混合物が、2つの電子輸送材料を含むとき、一方の材料の電子移動度が、他方の材料の電子移動度より少なくとも2倍大きいように、2つの材料が選択される。いくつかの実施形態において、混合物が、2つのバイポーラ輸送材料を含むとき、一方の材料の正孔移動度が、他方の材料の正孔移動度より少なくとも2倍大きい、および/または一方の材料の電子移動度が、他方の材料の電子移動度より少なくとも2倍大きいように、2つの材料が選択される。
【0054】
混合領域は、約5容量パーセントから約95容量パーセントの前記2つの材料の一方、および約95容量パーセントから約5容量パーセントの前記2つの材料の他方を含むことができる。混合領域は、さらに任意選択で約0.01容量パーセントから約25容量パーセントのドーパント材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、混合領域は、約30容量パーセントから約70容量パーセントの前記2つ材料の一方、約70容量パーセントから約30容量パーセントの前記2つの材料の他方を含むことができ、かつさらに任意選択で、約0.05容量パーセントから約10容量パーセントのドーパント材料を含むことができる。他の実施形態において、混合領域は、約40容量パーセントから約60容量パーセントの前記2つの材料の一方、約60容量パーセントから約40容量パーセントの前記2つの材料の他方、および任意選択で、約0.1容量パーセントから約2容量パーセントのドーパント材料を含むことができる。他の実施形態において、混合領域内のドーパント材料は、約5容量パーセントから約20容量パーセントの量で存在することができる。
【0055】
2つ以上の個別OLEDが混合領域を含む積層型OLEDにおいて、個別OLEDの混合領域は、混合領域を形成するために使用される材料の一方または両方に関して同一または異なる組成、および混合領域における材料の濃度であることができることが理解される。
【0056】
混合領域は、選択された材料の混合物および任意選択のドーパント材料の構成を可能にする、任意の適切な方法によって形成されることができる。例えば、混合領域は、混合領域を形成するために、正孔輸送材料、電子輸送材料、および任意選択のドーパント材料を同時蒸着することによって形成されることができる。
【0057】
混合領域の厚みは、例えば、約1ナノメートルから約1000ナノメートルに変わることができる。いくつかの実施形態において、混合領域の厚みは、約10ナノメートルから約200ナノメートルである。他の実施形態において、混合領域の厚みは、約20ナノメートルから約100ナノメートルである。しかしながら、これらの範囲外の厚みも使用されることができる。積層型OLEDが、それぞれ混合領域を含む2つ以上の個別OLEDを含むいくつかの実施形態において、混合領域は、同一または異なる厚みを有することができる。それぞれの混合領域の厚みは、特定の目的または意図された使用に所望なように選択されることができ、かつ積層型OLEDデバイスの電気特性を調整することを可能にすることができる。
【0058】
混合領域は、2つ以上の層を含むことができる。例えば、混合領域は、2つ、3つ、またはより多くの別個の層を含むように、選択的に形成されることができる。これらの実施形態において、異なる電子および正孔輸送性能を有する2つの材料の混合比は、各層で同一であることができ、または混合比は、複数の層おいて異なることができる。例えば、複数層は、それぞれ正孔輸送材料および電子輸送材料の等しい重量パーセントを含むことができる。他の実施形態において、混合領域は、これら材料の異なる量を含むことができる。さらに、混合領域の個別層の組成は、同一または異なることができる。それぞれの材料の少なくとも1つが、異なる濃度で存在するなら、作り上げる同一の材料を有する隣接する層は、異なる層と考えられる。
【0059】
本開示による積層型OLEDで使用するのに適した混合領域の例には、それらの開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6392250号、米国特許第6392339号、米国特許第6614175号、米国特許第6737177号、米国特許第6753098号、米国特許第6759146号、および米国特許第6773830号に開示されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
カソードは、例えば約4eVから約6eVの仕事関数を有する高い仕事関数成分、または例えば約2.5eVから約4eVの仕事関数を有する金属などの低い仕事関数成分を含む、任意の適切な金属を含むことができる。カソードは、低い仕事関数(約4eV未満)の金属、および少なくとも1つの他の金属の組合せを含むことができる。第2または他の金属に対する低い仕事関数の金属の有効な比率は、約0.1重量パーセント未満から約99.9重量パーセント、さらには、約3重量パーセントから約45重量パーセントである。低い仕事関数の金属の具体的な例は、リチウムまたはナトリウムなどのアルカリ金属と、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、またはベリリウムなどの族2Aまたはアルカリ土類金属と、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、ユーロピウム、テルビウム、またはアクチニウムなどの、希土類金属およびアクチニド族金属を含む族III金属とが含まれるが、これらに限定されない。リチウム、マグネシウム、およびカルシウムは、好ましい低い仕事関数の金属である。その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4885211号のMg−Ag合金カソードが、1つの好ましいカソード構成を開示する。他のカソード構成は、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5429884号に記載され、カソードは、アルミニウムおよびインジウムなどの他の高い仕事関数の金属を有するリチウム合金から形成される。カソードのための他の適切な材料は、アルミニウム金属である。
【0061】
カソードは、例えば酸化インジウムすず(ITO)などの少なくとも1つの透明導電材料、および例えば、それらの開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5703436号および米国特許第5707745号に開示されるものなどの他の材料を含むことができる。
【0062】
カソードの厚みは、例えば、約10ナノメートルから約500ナノメートル、より詳細には約25ナノメートルから約300ナノメートルの範囲であることができるが、これらの範囲外の厚みが、使用されることができる。カソードは、任意の適切な薄膜形成方法を使用して形成されることができる。カソードを形成するための例示的な方法は、真空内の気相堆積、電子ビーム堆積、およびスパッタリング堆積を含むが、それらに限定されない。
【0063】
積層型OLEDは、高められた温度で低減された積層型OLEDの抵抗性を増大するように、所定の熱特性を有する少なくとも1つの材料を含む少なくとも1つの層で形成された、熱保護要素(図示されず)を含むことができる。熱膨張特性は、熱保護要素を含む材料の所望の熱特性の中であり、これら特性のための所定の範囲は、好ましくは例えば約9×10−6(℃−1)未満であり、好ましくは例えば約4×10−6(℃−1)未満であり、これら特性に特性のより低い制限は無い。範囲は、高められた温度で低減された積層型OLEDの感受性が、取り除かれ、最小化され、または実質的に低減されるように、積層型OLEDを含む他の材料の熱特性、特に基板、正孔輸送ゾーンおよび混合領域、ならびに電子輸送ゾーンを含む材料の熱特性に基づき選択される。熱保護要素に使用される材料は、例えば、有機成分、無機材料、金属材料、およびそれらの混合物などの任意の適切な種類の材料から選択されることができる。熱保護要素に使用されることができる材料の具体的な例は、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、同時係属米国特許出願第09/0777154号に開示されており、例えば、Al、SiO、SiO、ZrOなどの金属酸化物の材料が、適切な例である、熱保護要素の厚みは、約1ナノメートルから約100ミクロンとすることができるが、製造技術における制限のために必要なことがある場合や、OLEDの他の性能特徴または追加される価格に対する悪影響を避けるために必要なことがある場合を除き、厚みに対する上限は無いことができる。熱保護要素に適切な厚み範囲は、例えば約10ナノメートルから約1000ナノメートルである。
【0064】
熱保護要素は、任意の適切な既知の方法または後で開発される方法で、1つの上述の材料を薄膜に形成することによって準備されることができる。この目的に適切な方法は、例えば、気相堆積、スパッタリング、電子ビーム、アーク蒸着、およびスピン・コーティング技術を含む。これらの方法の中で気相堆積およびスパッタリングが好ましい。
【0065】
中間電極は、電極が、正孔注入接点または電子注入接点、あるいは両方として機能することが必要であるかどうかに応じて、任意の適切な正孔注入材料または電子注入材料を含むことができる。これらの方策に従って、電極が機能しなければならない方法に応じて、中間電極は、単一層または複数層電極であることができる。例えば、中間電極が、両側で正孔輸送ゾーンと接触するとき、中間電極は、正孔注入材料の単一層、または正孔輸送ゾーンにそれぞれ隣接する層が正孔注入材料を含む、複数層構成を含むことができる。同様に、中間電極が、両側で電子輸送ゾーンと接触するとき、中間電極は、電子注入材料を含む単一層、またはそれぞれ電子輸送ゾーンに隣接する層が電子注入材料を含む、複数層構成であることができる。中間電極の一方側が、正孔輸送機能を有する層と接触し、かつ中間電極の他方側が、電子輸送機能を有する層と接触するとき、いくつかの実施形態において、中間電極は、正孔輸送層に隣接する正孔注入材料を含む層、および電子輸送層に隣接する電子注入材料を含む層を有する複数層電極である。
【0066】
中間電極のための適切な材料は、ITO、V、Mg:Agの薄層を含む。代わりに、中間電極は、それらの開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6841932号および米国特許出願公開第10/401238号に記載されるものなど、有機金属混合層(MOML)を含むことができる。さらに、中間電極は、いくつかの場合、MOMLが、正孔注入層と電子注入層との間に配置され、正孔注入層が、有機化合物を酸化する特性を有する電子受容材料を含む、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、同時係属米国特許出願(A3623−US−NP)に記載されるような構成であることができる。
【0067】
電子注入層は、カソードまたは中間電極から電子輸送ゾーンへの電子の注入を増大する少なくとも1つの材料を含むことができる。電子注入層に使用されることができる材料の具体的な例には、金属化合物および適切な有機半導体材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
電子注入層に使用されることができる適切な金属化合物は、それらの開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5457565号および米国特許第5739635号に開示されるものなどのSrO、CaO、BaOなどのアルカリ土類金属酸化物、およびAl、SiO、およびSiOなどの他の金属酸化物を含む。他の適切な電子注入材料は、Ca、Li、K、Na、Mg、Al、In、Y、Sr、Cs、Cr、Ba、Sc、およびそれらの化合物などの金属を含むが、これらに限定されない。電子注入層に使用されることができる適切な種類の金属化合物は、それらの開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、上述で参照された米国特許第5739635号に開示されるもの、および米国特許第5776622号に開示されるものなど、例えばLiF、LiCl、NaCl、KF、KClなどのアルカリ金属ハロゲン化合物である。
【0069】
電子注入層に使用されることができる適切な有機半導体材料は、カソードの高いエネルギー堆積を可能にする材料または成分を含む。これらの材料の例は、その一例が銅フタロシアニンである、ポルフィリンおよびナフタセン化合物から選択されることができる。電子注入層は、さらに、例えばLiなどの電子注入ドーパントからなる少なくとも1つのドーパントを含むことができる。
【0070】
中間電極の電子注入層は、例えば約1ナノメートルから約100ナノメートルの範囲の厚みを有することができる。いくつかの実施形態において、電子注入層の厚み範囲は、約1ナノメートルから約10ナノメートルである。電子注入層の他の適切な厚み範囲は、約10ナノメートルから約100ナノメートルである。電子注入層は、真空における気相堆積、電子ビーム堆積、およびスパッタリング堆積などの任意の適切な薄膜形成方法を使用して形成されることができ、真空における気相堆積が、好ましい方法である。
【0071】
中間電極に適切な正孔注入材料の例には、アノードとして適切なような本明細書で前述されたこれらの材料が含まれる。他の実施形態において、正孔注入材料は、ルミネッセンス領域における有機化合物を酸化することができる電子受容材料を含むことができる。適切な電子受容材料は、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Kidoらへの米国特許第6423429号に記載されるなどの無機化合物を含む。そのような無機化合物は、FeCl、AlCl、GaCl、InCl、SbCl、およびそれらの組合せなどのルイス酸を含む。適切な電子受容有機材料は、トリニトロフルオレナン、および2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F−TCNQ)を含むが、これらに限定されない。上述のような電子受容材料を含む正孔注入層は、正孔輸送材料などの有機材料を任意選択で含むことができる。適切な正孔輸送材料は、NPB、MTDATA、BP−TPD、CuPc、VOPC、PEDOT、PANiなどを含むが、これらに限定されない、本明細書に前述されるものを含む。そのような正孔注入層は、気相堆積技術に耐えられる。電子受容材料および任意選択の正孔輸送材料を含むアノード構成は、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、同時係属米国特許出願(A3618−US−NPおよびA3623−US−NP)に記載される。いくつかの実施形態において、中間電極の正孔注入層は、電子受容材料または電子受容材料の組合せだけを含む。他の実施形態において、中間電極の正孔注入層は、電子受容材料、または電子受容材料および正孔輸送材料の組合せを含む。いくつかの実施形態において、中間電極の正孔注入層における正孔輸送材料に対する電子受容材料の比率は、約10:90容量パーセントから約90:10容量パーセントである。中間電極の正孔注入層は、例えば約1ナノメートルから約100ナノメートルの範囲の厚みを有することができる。いくつかの実施形態において、正孔注入層の厚み範囲は、約1ナノメートルから約10ナノメートルである。正孔注入層の他の適切な厚み範囲は、約10ナノメートルから約100ナノメートルである。正孔注入層は、真空における気相堆積、電子ビーム堆積、およびスパッタリング堆積などの任意の適切な薄膜形成方法を使用して形成されることができ、真空における気相堆積が、好ましい方法である。
【0072】
積層型OLEDの様々な特性は、例えば混合領域の厚みを変更することによってなど、積層型OLEDの任意の層の厚みを変更することによって、所望のように調整または調節されることができることは理解される。
【0073】
混合領域を有する少なくとも1つのOLEDを含む、本開示による積層型OLEDは、さらに以下の実施例を参照して記載される。以下の実施例は、単なる例示であり、任意の方法で限定することを意図されない。
【実施例】
【0074】
実施例I
第1の積層型OLEDデバイスは、図4に示されるような構造を有して準備された。積層型OLED400は、基板410と、アノード420と、ルミネッセンス領域430と、ルミネッセンス領域450と、ルミネッセンス領域430および450間に配置された中間電極440と、カソード460とを含む。ルミネッセンス領域430および450それぞれは、底部正孔輸送ゾーン(それぞれ432および452)と、混合領域(それぞれ434および454)と、上部電子輸送ゾーン(それぞれ436および456)とを含む。積層型OLEDは、底部アノードとして作用するITOを有する、ITOで被覆されたガラス基板上に真空(5×10−6Torr)における物理的な気相堆積を使用して製造された。混合領域434および454は、800オングストロームの厚みを有し、かつ正孔輸送材料としてN,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)と、電子輸送材料としてトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(AlQ)と、(C545T)クマリン染料(10−(2−ベンゾチアゾリル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル1−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン)]緑発光ドーパントとを含んでいた。カソード460は、Mg:Agから形成された。中間電極440は、電子注入材料層として10オングストロームの厚みを有するLiFの層と、正孔注入材料層として200オングストロームの厚みを有するNPB+10%F−TCNQの層との間に挿入された、500オングストロームの厚みを有するAlQ/Ag(90:10)の有機金属混合層を含む複数層電極であった。
【0075】
デバイスは、約31.25mA/cmの電流密度を使用して駆動され、3910cd/mの明るさ(輝度)で緑の発光を生成した。その輝度値は、12.5cd/Aの電気輝度効率に相当する。CIE色座標は、デバイスに関して飽和した緑発光に達する(0.327、0.617)であった。デバイスのための駆動電圧は、13.4Vであった。
実施例II
それぞれルミネッセンス領域430および450の各混合領域434および454の厚みが、800オングストロームの代わりに400オングストロームであることを除く全ての態様において、実施例Iのデバイスと同一である積層型OLEDデバイスが準備された。25mA/cmの密度で駆動されたとき、駆動電圧は9.5Vだけであったが、デバイスは、12.4cd/Aの電気輝度効率を有し、これは、実施例Iのデバイスの電気輝度効率に匹敵する。したがって、積層型OLEDにおいて混合層の厚みを最適にすることによって、デバイスの駆動電圧が低減されると共に、高い電気輝度効率(10cd/Aより高い)をまだ維持することができる。
比較例I
個別OLEDデバイスは、図5に示されたような構成を有して製造された。基板510と、アノード520と、正孔輸送ゾーン532と、混合領域534と、電子輸送ゾーン536と、カソード540とは、実施例Iのデバイスにおける比較層と同一の組成および厚みを有していた。約31.25mA/cmの電流密度で駆動されたとき、比較デバイスは、2600cd/mの輝度で緑の発光を生成した。比較デバイスは、8.3cd/Aの電気輝度効率に相当する輝度値を有していた。比較デバイスの駆動電圧は、6.8Vであった。比較例の色座標は、飽和緑発光に達する(0.304、0.621)であった。
動作安定性試験
動作安定性試験が、乾燥雰囲気内で31.25mA/cmの平均フォワード定数の電流密度の交流駆動条件下で、実施例Iのデバイスと比較例Iのデバイスとに実行された。結果は、これらの条件下で時間における輝度変化の形態で図6に示される。図6に示されるように、実施例Iの積層型OLEDは、比較例Iの積み重ねられていないOLED動作安定性と匹敵する動作安定性を示し、両方は、31.25mA/cmの動作の500時間後に、初期輝度の約25%だけの輝度における低減を示す。しかしながら、積層型OLEDは、積み重ねられていないOLEDより高い輝度を有していた。したがって、混合領域を有するOLEDを含む積層型OLEDは、混合領域を有する積み重ねられていないOLEDの高い動作安定性を有するデバイスを提供するだけでなく、他の積層型OLEDデバイスによって通常示される高い電気輝度効率も提供する。
【0076】
特定の例が記載されたが、現在予想されないまたは現在予想されないことがある代替、修正、変形、改善、または実質的な等価物を、発明者または当業者が考えつくこともできる。したがって、出願されたようにかつそれらが補正されることができるように、添付の特許請求範囲は、全てのそのような代替、修正、変形、改善、または実質的な等価物を包含することが意図される。
【0077】
以下は、本明細書に開示される具体的な例を限定するためではなく、それらを示す目的で示される概略的な図示である図面の簡単な記載である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本開示による積層型OLEDの一実施形態の概略断面図である。
【図2】本開示による積層型OLEDの他の実施形態の概略断面図である。
【図3】本開示による積層型OLEDのさらに他の実施形態の概略断面図である。
【図4】実施例Iの積層型OLEDの概略断面図である。
【図5】比較例Iの積み重ねられていないOLEDの概略断面図である。
【図6】時間における輝度変化に関して、比較例Iの積み重ねられていないデバイスに対する、実施例Iの標準デバイスの動作安定性を比較するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層型有機発光デバイスであって、
基板と、
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1および第2の電極間に配置された複数のルミネッセンス領域と、
連続するルミネッセンス領域間に配置された中間電極とを含み、
前記複数のルミネッセンス領域の少なくとも1つは、混合領域を含み、前記混合領域は、第1の材料および第2の材料、ならびに任意選択のドーパントの混合物を含み、前記第1の材料、第2の材料、およびドーパントの少なくとも1つが、エミッタであり、前記第1および第2の材料は、異なる電子および正孔輸送性能を有する積層型有機発光デバイス。
【請求項2】
前記第1および前記第2の材料は、正孔輸送材料、電子輸送材料、およびバイポーラ輸送材料から無関係に選択される請求項1に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項3】
前記第1の材料は、正孔輸送材料であり、かつ前記第2の材料は、電子輸送材料またはバイポーラ輸送材料である請求項2に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項4】
前記第1の材料は、電子輸送材料であり、かつ前記第2の材料は、正孔輸送材料またはバイポーラ輸送材料である請求項2に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項5】
前記第1の材料は、正孔輸送材料であり、かつ前記第2の材料は、電子輸送材料である請求項2に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項6】
前記混合領域は、さらにドーパントを含む請求項1に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項7】
前記複数のルミネッセンス領域それぞれは、異なる放出色を放出する請求項1に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項8】
前記複数のルミネッセンス領域の少なくとも1つは、他のルミネッセンス領域の少なくとも1つから放出された放出色とは異なる放出色を放出する請求項1に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項9】
前記複数のルミネッセンス領域それぞれは、同一の放出色を放出する請求項1に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項10】
混合領域を含む少なくともルミネッセンス領域は、さらに、前記第1の電極、前記第2の電極、および前記中間電極の1つに隣接する電荷輸送ゾーンを含む請求項1に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項11】
混合領域を含む少なくとも1つのルミネッセンス領域は、第1の電荷輸送ゾーンと第2の電荷輸送ゾーンとの間に配置される混合領域を含む請求項1に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項12】
混合領域は、約5容量パーセントから約95容量パーセントの前記第1の材料、および約5容量パーセントから約95容量パーセントの前記第2の材料を含む請求項1に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項13】
混合領域は、さらに約0.01容量パーセントから約25容量パーセントの量のドーパントを含む請求項12に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項14】
請求項1に記載の積層型有機発光デバイスを含む表示デバイス。
【請求項15】
積層型有機発光デバイスであって、
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1および第2の電極間に配置された複数のルミネッセンス領域と、
連続するルミネッセンス領域間に配置された中間電極とを含み、
前記複数のルミネッセンス領域の少なくとも1つは、第1の電荷輸送ゾーンと、第2の電荷輸送ゾーンと、前記第1および第2の電荷輸送ゾーン間に配置された混合領域とを含み、前記混合領域は、第1の材料および第2の材料、ならびに任意選択のドーパントの混合物を含み、前記第1の材料、第2の材料、およびドーパントの少なくとも1つが、エミッタであり、前記第1および第2の材料は、異なる電子および正孔輸送性能を有する積層型有機発光デバイス。
【請求項16】
前記第1および前記第2の材料は、正孔輸送材料、電子輸送材料、およびバイポーラ輸送材料から無関係に選択される請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項17】
前記第1の材料は、正孔輸送材料であり、かつ前記第2の材料は、電子輸送材料またはバイポーラ輸送材料である請求項16に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項18】
前記第1の材料は、電子輸送材料であり、かつ前記第2の材料は、正孔輸送材料またはバイポーラ輸送材料である請求項16に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項19】
前記第1の材料は、正孔輸送材料であり、かつ前記第2の材料は、電子輸送材料である請求項16に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項20】
前記混合領域は、さらにドーパントを含む請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項21】
前記複数のルミネッセンス領域それぞれは、異なる色を放出する請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項22】
前記複数のルミネッセンス領域それぞれは、同一の放出色を放出する請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項23】
中間電極は、第1のルミネッセンス領域の電荷輸送ゾーンと接触する第1の表面、および第2のルミネッセンス領域の電荷輸送ゾーンと接触する第2の表面を含み、前記電荷輸送ゾーンそれぞれは、同一の電荷輸送機能を有する前記中間電極の前記第1および第2の表面に接触する請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項24】
前記中間電極は、隣接する電荷輸送ゾーンに単一タイプの電荷を注入することができる単一層である請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項25】
中間電極は、第1のルミネッセンス領域の電荷輸送ゾーンに隣接する第1の層、および第2のルミネッセンス領域の電荷輸送ゾーンに隣接する第2の層を含む複数層構成であり、前記中間電極の前記第1および第2の層は、隣接する電荷輸送ゾーンに適切なタイプの電荷を注入することができる電荷注入材料を含む請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項26】
前記複数の発光領域それぞれは、第1の電荷輸送ゾーンと、第2の電荷輸送ゾーンと、前記第1および第2の電荷輸送ゾーン間に配置される混合領域とを含み、前記混合領域は、第1の材料および第2の材料、ならびに任意選択のドーパントの混合物を含み、前記第1の材料、第2の材料、およびドーパントの少なくとも1つが、エミッタであり、前記第1および第2の材料は、異なる電子および正孔輸送性能を有する請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項27】
前記第1の電極はアノードであり、かつ前記第2の電極はカソードである請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項28】
前記第1の電極はカソードであり、かつ前記第2の電極はアノードである請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項29】
前記第1および第2の電極それぞれは、アノードである請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項30】
前記第1および第2の電極それぞれは、カソードである請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項31】
前記中間電極は、第1のルミネッセンス領域の正孔輸送ゾーンと接触する第1の表面、および第2のルミネッセンス領域の電子輸送ゾーンと接触する第2の表面を有する請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項32】
第1のルミネッセンス領域の正孔輸送ゾーンおよび第2のルミネッセンス領域の電子輸送ゾーンと接触する前記中間電極は、前記第1のルミネッセンス領域の前記正孔輸送ゾーンに隣接する第1の層、および前記第2のルミネッセンス領域の前記電子輸送ゾーンに隣接する第2の層を含み、前記第1の層は、正孔注入材料を含み、かつ前記第2の層は、電子注入材料を含む請求項31に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項33】
混合領域は、約5容量パーセントから約95容量パーセントの前記第1の材料、および約5容量パーセントから約95容量パーセントの前記第2の輸送材料を含む請求項15に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項34】
混合領域は、さらに約0.01容量パーセントから約25容量パーセントの量のドーパントを含む請求項33に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項35】
請求項15に記載の積層型有機発光デバイスを含む表示デバイス。
【請求項36】
積層型有機発光デバイスであって、
任意選択の基板と、
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1および第2の電極間に配置された複数のルミネッセンス領域と、
連続するルミネッセンス領域間に配置された中間電極とを含み、
前記複数のルミネッセンス領域の少なくとも1つは、混合領域を含み、前記混合領域は、第1の材料および第2の材料、ならびに任意選択のドーパントの混合物を含み、前記第1の材料、第2の材料、およびドーパントの少なくとも1つが、エミッタであり、前記第1および第2の材料は、異なる電子および正孔輸送性能を有し、
前記1つ以上の中間電極の少なくとも1つは、第1の電荷注入層と、第2の電荷注入層と、前記第1および第2の電荷注入層間に配置された有機金属混合層を含む有機金属混合層電極である積層型有機発光デバイス。
【請求項37】
前記有機金属混合層電極の前記第1および第2の電荷注入層は、正孔注入層および電子注入層からなるグループから無関係に選択される請求項36に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項38】
前記有機金属混合層電極の前記有機金属混合層は、約5容量パーセントから約95容量パーセントの量の金属材料、および約5容量パーセントから約95容量パーセントの量の有機材料を無関係に含む請求項36に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項39】
前記有機金属混合層電極の前記有機金属混合層は、約5容量パーセントから約30容量パーセントの量の金属材料、および約95容量パーセントから約70容量パーセントの量の有機材料を含む請求項36に記載の積層型有機発光デバイス。
【請求項40】
前記第1の電荷注入層は、電子注入層であり、前記第2の電荷注入層は、正孔注入層である請求項36に記載の積層型有機発光デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−332049(P2006−332049A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−138572(P2006−138572)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(501426046)エルジー.フィリップス エルシーデー カンパニー,リミテッド (732)
【Fターム(参考)】