説明

積層材をリサイクルする方法及びシステム

【課題】既存のシステム及び方法に対して利点をもたらす、複合積層材をリサイクルして貴重な繊維及び樹脂を再生する改善されたシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態においては、硬化複合積層材を、硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物にリサイクルする方法及びシステムが提供されている。この方法により、繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを有する硬化複合積層材が提供される。硬化複合積層材に液体浸漬の前処理、液体溶媒の除去、予熱、及び硬化複合積層材の位相変化剥離を伴う急速加熱を行って、硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物を得るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して積層材をリサイクルする方法及びシステムに関し、さらに具体的には複合積層材を、リサイクル元の複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する回収物にリサイクルする方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複合構造体は、航空機、宇宙機、回転翼機、船、スポーツ用品、風車の構成部品、自動車、トラック、及びその他のビークル及び構造体の製造を含む幅広い種類の用途に用いられている。具体的には、複合構造体は例えば硬化樹脂マトリックスの炭素繊維等の、アライメントされ、高繊維容積分率で強化された多層の複合積層材でできており、複合構造体の寿命期間中に強度と構造サポートを提供する。
【0003】
寿命がつきた上記複合構造体は通常、埋立地又は廃棄物焼却炉に送られる。上記複合構造体の製造プロセス中に生じた複合材の廃棄物、例えばスクラップ、トリム廃棄物等もまた同じ方法で処分される。上記の寿命末期の複合構造体及び製造廃棄物又はスクラップのリサイクルに対する認知及び必要が深まってきている。しかしながら、通常マトリックス樹脂を除去して強化繊維を得る必要がある複合積層材のリサイクルには、異種の構成材料の密接した関係と、再生後に周知のプロセスにより生じる積層材の状態を起因とする問題がある。
【0004】
異種の積層材及び複合材をリサイクルする周知のプロセスでは通常、エネルギーを再生する及び/又はより価値の高い構成材料、例えば炭素繊維等を選択するために、機械的粉砕及び/又は熱分解が用いられる。しかしながら、上記周知のプロセスの製品の価値は、純度の問題及び/又は回収物の形態のいずれかのために限られている。さらに、上記異種の積層材のマクロ分離及び仕分けには手作業が必要なため、費用が増加する。
【0005】
加えて、連続的な積層繊維複合材をリサイクルする周知のプロセスは樹脂マトリックスを除去してしまうため、結果として価値の低い、低繊維容積の用途にのみ適した不揃いの繊維又は線状体材料となる。ランダムに配向された再生繊維は望ましいものではなく、リサイクル元の複合積層材に使用される配向された高充填密度の配向性繊維と比較して価値が低い。ランダムに配向された再生繊維を、アライメントされた高容積分率の形態に再配向する周知のプロセスでは、回収物を製造するための費用が増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、当技術分野において既存のシステム及び方法に対して利点をもたらす、複合積層材をリサイクルして貴重な繊維及び樹脂を再生する改善されたシステム及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この複合積層材をリサイクルして貴重な繊維及び樹脂を再生する改善されたシステム及び方法の必要が満たされる。 以下の詳細な説明で議論されているように、改善されたシステム及び方法の実施形態は既存のシステム及び方法に対して有意な利点をもたらしうる。
【0008】
本発明の実施形態において、硬化複合積層材を、硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物にリサイクルする方法が提供されている。本方法は、樹脂マトリックスと、繊維容積分率及び薄板レベルの繊維アライメントを有する複数の繊維を含む硬化複合積層材を準備することを含む。本方法はさらに、一又は複数の液体溶媒に浸して硬化複合積層材に一又は複数の液体溶媒を実質的に吸わせることによって硬化複合積層材の前処理を行うことを含む。本方法はさらに、硬化複合積層材が吸収しなかった一又は複数の液体溶媒の超過量をすべて除去することを含む。本方法はさらに、一又は複数の液体溶媒を実質的に吸収した硬化複合積層材を、一又は複数の液体溶媒の最低溶媒沸点よりも低い温度に予熱することを含む。本方法はさらに、一又は複数の液体溶媒を実質的に吸収した予熱した硬化複合積層材を、一又は複数の液体溶媒の最高溶媒沸点よりも高い温度まで急速に加熱し、一又は複数の液体溶媒の液体から気体への位相変化を起こして硬化複合積層材を剥離させることを含む。本方法はさらに、硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物を得ることを含む。
【0009】
本発明の別の実施形態では、硬化複合積層スクラップを、硬化複合積層スクラップと実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物にリサイクルする方法が提供されている。本方法は、樹脂マトリックスと、繊維容積分率及び薄板レベルの繊維アライメントを有する複数の繊維を含む硬化複合積層スクラップを準備することを含む。本方法はさらに、寸法縮小プロセスを用いて硬化複合積層スクラップの寸法を縮小させて硬化複合積層フレークを得ることを含む。本方法はさらに、硬化複合積層フレークの汚染物の仕分けと分類を行うことを含む。本方法はさらに、一又は複数の液体溶媒に浸して硬化複合積層フレークに一又は複数の液体溶媒を実質的に吸わせることによって硬化複合積層フレークの前処理を行うことを含む。本方法はさらに、硬化複合積層フレークに吸収されなかった一又は複数の液体溶媒の超過量をすべて除去することを含む。本方法はさらに、一又は複数の液体溶媒を実質的に吸収した硬化複合積層フレークを、一又は複数の液体溶媒の最低溶媒沸点よりも低い温度に予熱することを含む。本方法はさらに、一又は複数の液体溶媒を実質的に吸収した予熱した硬化複合積層フレークを、一又は複数の液体溶媒の最高溶媒沸点よりも高い温度まで急速に加熱し、一又は複数の液体溶媒の液体から気体への位相変化を起こして硬化複合積層フレークを剥離させることを含む。本方法はさらに、硬化複合積層スクラップと実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物を得ることを含む。本方法はさらに、剥離回収物の汚染物質の仕分け及び分類を行って、非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物と、非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物とに分ける、または、非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物を成形コンパウンドのダイレクトフィードとして使用することを含む。本方法はまたさらに、非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物を処理することを含み、これには、非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物から樹脂マトリックスを除去し、複数の繊維を無傷に保つために非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物の複数の繊維にバインダー剤を塗布し、バインダー剤を含む剥離回収物を成形コンパウンドのフィードとして使用するステップを含みうる。本方法はまたさらに、水、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、塩酸、及びこれらのうちの一又は複数の組み合わせを含むグループから選択される一又は複数の液体溶媒を使用しうる。
【0010】
本方法の別の実施形態では、硬化複合積層材を、硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物にリサイクルするシステムが提供されている。本システムは、樹脂マトリックスと、繊維容積分率及び薄板レベルの繊維アライメントを有する複数の繊維を含む硬化複合積層材を含む。本システムはさらに、硬化複合積層材を一又は複数の液体溶媒に浸して硬化複合積層材に一又は複数の液体溶媒を実質的に吸わせるための一又は複数の液体溶媒を含有する前処理溶媒浸漬装置を含む。本システムはさらに、硬化複合積層材に吸収されなかった一又は複数の液体溶媒の超過量をすべて除去する液体溶媒除去装置を含む。本方法はさらに、硬化複合積層材を、一又は複数の液体溶媒の最低溶媒沸点よりも低い温度に予熱する予熱エネルギー装置を含む。本システムはさらに、一又は複数の液体溶媒を実質的に吸収した予熱した硬化複合積層材を、実質的に一又は複数の液体溶媒の最高溶媒沸点よりも高い温度まで急速に加熱し、一又は複数の液体溶媒の液体から気体への位相変化を起こして硬化複合積層材を剥離させ、硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物を得る位相変化剥離装置を含む。 本システムはさらに、寸法縮小装置を含みうる。
【0011】
本発明の別の実施形態では、硬化複合積層材を、硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物にリサイクルする方法が提供されている。本方法は、樹脂マトリックスと、繊維容積分率及び薄板レベルの繊維アライメントを有する複数の繊維を含む硬化複合積層材を準備することを含む。本方法はさらに、硬化複合積層材を熱的に加熱して、硬化複合積層材を剥離させることを含む。本方法はさらに、樹脂マトリックスチャーを有する繊維を含む剥離回収物を得ることを含み、この剥離回収物は硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する。本方法はさらに、新たな樹脂マトリックスを剥離回収物に添加する、又はバインダー剤を剥離回収物に添加することによって剥離回収物を処理することを含みうる。本方法はさらに、一又は複数の液体溶媒に浸して硬化複合積層材に一又は複数の液体溶媒を実質的に吸わせることによって硬化複合積層材の前処理を行い、硬化複合積層材に吸収されなかった一又は複数の液体溶媒の超過量をすべて除去し、一又は複数の液体溶媒を実質的に吸収した硬化複合積層材を、一又は複数の液体溶媒の最低溶媒沸点よりも低い温度に予熱することを含みうる。本方法はまたさらに、制御された熱分解プロセスを用いて硬化複合積層材を剥離させ、硬化複合積層材の複数の薄板の間で樹脂マトリックスを熱分解して、個々の薄板に樹脂マトリックスチャーを有する複数の繊維が残るようにする。
【0012】
本発明の別の実施形態では、硬化複合積層材を、硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物にリサイクルするシステムが提供されている。本システムは、樹脂マトリックスと、繊維容積分率及び薄板レベルの繊維アライメントを有する複数の繊維を含む硬化複合積層材を含む。本システムはさらに、窒素雰囲気の中で硬化複合積層材を熱的に加熱して、硬化複合積層材を剥離させ、樹脂マトリックスチャーを有する繊維を含む剥離回収物を得る剥離装置を含み、剥離回収物は、硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する。本システムは、新たな樹脂マトリックスを剥離回収物に添加する新たな樹脂マトリックス塗布装置をさらに含む、又はバインダー剤を剥離回収物に添加するバインダー塗布装置をさらに含む。本システムはまたさらに、硬化複合積層材を浸して硬化複合積層材に一又は複数の液体溶媒を実質的に吸わせるための一又は複数の液体溶媒を含有する前処理溶媒浸漬装置と、硬化複合積層材に吸収されなかった一又は複数の液体溶媒の超過量をすべて除去する液体溶媒除去装置と、硬化複合積層材を、一又は複数の液体溶媒の最低溶媒沸点よりも低い温度に予熱する予熱エネルギー装置を含む。本システムはさらに、寸法縮小装置を含みうる。
【0013】
既に説明した特徴、機能及び利点は、本発明の様々な実施形態で独立に実現することが可能であるか、以下の説明及び図面を参照してさらなる詳細が理解されうる、さらに別の実施形態で組み合わせることが可能である。
【0014】
本発明は、好適且つ例示的な実施形態を示す添付図面と併せて、以下の詳細な説明を参照することでよりよく理解されるが、これらの図面は必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本明細書に開示されたリサイクルするシステム及び方法の実施形態の一つを使用して、航空機の寿命末期に硬化複合積層材の構成パーツをリサイクルすることができる実例となる航空機の斜視図である。
【図2A】図2Aは高い繊維容積充填効率を可能にする連続的な、アライメントされた繊維配向性を有する硬化複合積層材の斜視図である。
【図2B】図2Bは高い繊維容積充填効率を可能にする非連続的な、アライメントされた繊維配向性を有する硬化複合積層材の斜視図である。
【図2C】図2Cは高い繊維容積充填効率を阻止する非連続的な、ランダムな繊維配向性を有する硬化複合積層材の斜視図である。
【図3A】図3Aは硬化複合積層材を本発明の剥離回収物にリサイクルするシステムの一実施形態のブロック図である。
【図3B】図3Bは硬化複合積層材を本発明の剥離回収物にリサイクルするシステムの別の一実施形態のブロック図である。
【図4A】図4Aは硬化複合積層材を本発明の剥離回収物にリサイクルするシステムの別の一実施形態のブロック図である。
【図4B】図4Bは硬化複合積層材を本発明の剥離回収物にリサイクルするシステムの別の一実施形態のブロック図である。
【図5】図5は硬化複合積層材を本発明の剥離回収物にリサイクルする方法の一実施形態のブロック図である。
【図6】図6は硬化複合積層材を本発明の剥離回収物にリサイクルする方法の別の一実施形態のブロック図である。
【図7】図7は本発明の開示の方法及びシステムの実施形態において使用可能な寸法縮小プロセス及び寸法縮小装置の実例となる実施形態のブロック図である。
【図8】図8は本発明の開示の方法及びシステムの実施形態において使用可能な予熱エネルギープロセス、予熱エネルギー、及び予熱エネルギー装置の実例となる実施形態のブロック図である。
【図9】図9は本発明の開示の方法及びシステムの実施形態において使用可能な位相変化剥離プロセス及び位相変化剥離装置の実例となる実施形態のブロック図である。
【図10】図10は本発明の開示の方法及びシステムの実施形態において使用可能な汚染物質の仕分け及び分類プロセス、及び汚染物質の仕分け及び分類装置の実例となる実施形態のブロック図である。
【図11】図11は硬化複合積層材、及び本発明の開示の方法及びシステムの実施形態でリサイクルされた剥離回収物の機械特性を比較したブロック図である。
【図12】図12は、本発明の方法の実例となる一実施形態のフロー図を示したものである。
【図13A】図13Aは、本発明の方法の別の実例となる一実施形態のフロー図を示したものである。
【図13B】図13Bは、本発明の方法の別の実例となる一実施形態のフロー図を示したものである。
【図14】図14は本発明の方法及びシステムの実例となる実施形態のステップをまとめた概略図である。
【図15】図15は、本発明の方法の別の実例となる一実施形態のフロー図を示したものである。
【図16】図16は硬化複合積層材を本発明の剥離回収物にリサイクルするシステムの別の一実施形態のブロック図である。
【図17A】図17Aは剥離回収物の積層フレークを組み込んだ硬化複合積層材の断面の顕微鏡写真である。
【図17B】図17Bは剥離回収物の積層フレークを組み込んだ硬化複合積層材の断面の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して本発明の実施形態についてさらに詳細に説明するが、添付図面にはすべての実施形態が示されているわけではない。実際には、幾つかの種々の実施形態が提供可能であり、本明細書で説明した実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、この開示が徹底的かつ完全であり、当業者に本発明の範囲が十分に伝わるように、これらの実施形態を提示する。
【0017】
ここで図面を参照する。図1は、実例となる航空機10の透視図であり、航空機10は、機体12、機首14、コクピット16、機体12に動作可能なように結合された翼18、一又は複数の推進ユニット20、尾部垂直安定板22、及び一又は複数の尾部水平安定板24を含む。上記既存の航空機10は例えば、硬化複合積層材30(図3〜4参照)を含みうる機体12及び翼18等の複合パーツを有することができる。航空機10が寿命末期に到達した時に、硬化複合積層材を、リサイクルされた硬化複合積層材30の複数の繊維32の繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55(図3A〜6参照)と実質的に同じ繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55a(図3A〜6参照)を維持する剥離回収物52(図3A〜6参照)にリサイクルする、本明細書に開示されたリサイクルシステム50(図3A参照)、リサイクルシステム51(図3B参照)リサイクルシステム200(図4A参照)、リサイクルシステム201(図4B参照)、又はリサイクルシステム600(図16参照)、又は方法270(図5参照)、方法280(図6参照)、方法300(図12参照)、方法400(図13A〜13B参照)、又は方法500(図15参照)の実施形態のうちの一つを使用して、例えば硬化複合積層スクラップ40(図3〜4参照)等の航空機10の硬化複合積層材30(図3〜4参照)をリサイクルすることができると考えられる。
【0018】
本願の目的に対し、「繊維容積分率」とは硬化複合材の繊維の容積を意味する。複合材の繊維容積は化学マトリックス消化によって決定することができ、化学マトリックス消化において、樹脂マトリックスを溶解し、置換基の重量及び密度、又は顕微鏡写真の手法から重量を測定し計算した繊維を使用することができ、研磨した断面の所定面積の繊維の数を数えて、容積分率を各構成要素の面積分率として決定する。
【0019】
本願の目的に対し、「薄板レベルの繊維アライメント」とは、薄板レベルでアライメントされた繊維を意味する。例えば、均質性に対するサイズ計測値は、繊維間の個々の繊維及び分離した樹脂マトリックスを均質性に対するサイズ計測値とするマイクロメカニカルレベルと呼ばれる最少計測値を含む。次の中間計測値は、個々の繊維のサイズよりもかなり大きい薄板レベルでアライメントされた繊維である。次に大きい計測値は、薄板レベルよりもかなり大きく、様々な方向に様々な薄板をスタックすることが含まれる積層レベルである。望ましいのは、中間薄板計測値の小規模の詳細な計測値と、作動可能な機構の可能性のある故障をすべて包含する広範な計測値との間のバランスが適切なことである。
【0020】
図1に示す航空機10は概して民間旅客機を代表するものであるが、本明細書に開示するリサイクルシステム50、51、200、201、600及び方法270、280、300、400及び500を、その他の種類の寿命末期の航空機だけでなく、宇宙機、回転翼機、自動車、船、スポーツ用品、風車の構成部品、又はリサイクル可能な硬化複合積層材を有するその他の構造体又は構造部品をリサイクルするのに使用可能である。さらに、本発明の実施形態の教示内容を、航空機、宇宙機、回転翼機、自動車、船、スポーツ用品、風車の構成部品、又はリサイクル可能な上記硬化複合積層材を有するその他の構造体又は構造部品を製造及び生産するのに使われる硬化複合積層材等の積層材をリサイクルするのに応用することができる。硬化複合積層材等の積層材の生産において生じる製造廃棄物は、スクラップ、トリム廃棄物、チップ、カットオフ、ツーリング、未使用材料、廃棄された構造部品、期限切れの構造部品、又はその他の適切な製造廃棄物を含みうる。
【0021】
図2Aは、複数の繊維32aで繊維強化された硬化複合積層材30aの透視図である。積層材30aは好ましくは、2つ以上の薄板層33又はプライを含む。繊維32aは、高い繊維容積の充填効率を可能にする、連続的な、アライメントされた繊維配向性34を有する。本明細書に開示されたリサイクルシステム及び方法は好ましくは、連続的な、アライメントされた繊維配向性34の形態の繊維容積分率54(図3〜6参照)と、薄板レベルの繊維アライメント55(図2A及び図3〜6参照)を有する硬化複合積層材30を、連続的なアライメントされた繊維配向性34の形態の、繊維容積分率54(図3〜6参照)と薄板レベルの繊維アライメント55(図2A及び図3〜6参照)を維持する又は保つ剥離回収物52にリサイクルすることを対象としたものである。図2Bは、複数の繊維32bで繊維強化された硬化複合積層材30bの透視図である。繊維32bは、これもまた高い繊維容積の充填効率を可能にする、非連続的な、アライメントされた繊維配向性36を有する。図2Cは、複数の繊維32cで繊維強化された硬化複合積層材30cの透視図である。繊維32cはアライメントされておらず、非連続的でランダムな繊維配向性38を有するため、高い繊維容積の充填効率が得られない。
【0022】
本発明の一実施形態においては、硬化複合積層材30を、硬化複合積層材30の複数の繊維32(図3A〜6参照)の繊維容積分率54(図3A〜6参照)と薄板レベルの繊維アライメント55(図2A及び図3A〜6参照)と実質的に同じ繊維容積分率54a(図3A〜6参照)と薄板レベルの繊維アライメント55a(図3A〜6参照)を維持する剥離回収物52にリサイクルするリサイクルシステム50が提供されている。図3Aは、硬化複合積層材30を剥離回収物52にリサイクルするリサイクルシステム50の一実施形態のブロック図である。図3に示すように、リサイクルシステム50は、樹脂マトリックス56と、繊維容積分率54(図3A〜6参照)と薄板レベルの繊維アライメント55(図2A及び図3A〜6参照)を有し、好ましくは連続的な、アライメントされた繊維配向性34(図2A参照)の形態の複数の繊維32を含む硬化複合積層材30を含む。硬化複合積層材30は、リサイクル対象の製造廃棄物、寿命末期の廃棄物、トリム廃棄物、チップ、カットオフ、ツーリング、未使用材料、廃棄された構造部品、期限切れの構造部品、又はその他の適切な硬化複合積層材を含みうる。
【0023】
硬化複合積層材30は、樹脂マトリックスに強化繊維を有する繊維強化された熱硬化性又は熱可塑性の複合材料からなるものであってよい。強化繊維は、カーボン、グラファイト、ガラス、硼素、セラミック、アラミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリマー、又はその他の適切な材料を含む材料でできたものであってよい。樹脂マトリックス56は、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、及びフッ素重合体等の熱可塑性樹脂;エポキシ、ビスマレイミド、ポリイミド、ベンゾオキサジン、シアン酸エステル、及びポリエステル等の熱硬化性樹脂;熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の両方の特性を持つハイブリッドポリマー樹脂;又はその他の好適な樹脂材料を含む樹脂材料からできたものであってよい。
【0024】
図3Aに示すように、リサイクルシステム50はさらに、前処理溶媒浸漬プロセス61(図5参照)を用いて硬化複合積層材30を浸して、硬化複合積層材30に一又は複数の液体溶媒60を実質的に吸わせる一又は複数の液体溶媒60(図5参照)を含む前処理溶媒浸漬装置58を備える。一又は複数の液体溶媒60は、水、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、塩酸、一又は複数のこれらの組み合わせ、又は別の適切な液体溶媒を含みうる。前処理溶媒浸漬装置58は、ふたの開いた又は閉じた容器又はベッセルを含みうる。任意で、前処理溶媒浸漬プロセス61は、熱62(図5参照)で、圧力64(図5参照)で、又は熱62及び圧力64を組み合わせて行うことができる。
【0025】
図3Aに示すように、リサイクルシステム50はさらに、硬化複合積層材30によって吸収されなかった一又は複数の液体溶媒60の超過量を全て、液体溶媒除去プロセス67(図5参照)を用いて除去する液体溶媒除去装置66を備える。 液体溶媒除去プロセス67は、空気にさらすこと、又は別の好適な蒸発プロセスによる蒸発を含むことができる。
【0026】
図3Aに示すように、リサイクルシステム50はさらに、硬化複合積層材30を、一又は複数の液体溶媒60の最低溶媒沸点よりも低い温度に予熱する、予熱エネルギー装置68を備える。図8は、本発明で開示される方法及びシステムの実施形態において使用可能な予熱エネルギープロセス70、予熱エネルギー72、及び予熱エネルギー装置68の実例となる実施形態のブロック図である。予熱エネルギープロセス70は熱エネルギープロセス74を含むことができる。熱エネルギープロセス74は、熱エネルギー装置78を用いて熱エネルギー76を供給する。熱エネルギープロセス74は、伝導エネルギー装置84、例えば伝導オーブン86を用いて伝導エネルギー82を供給する伝導エネルギープロセス80を含むことができる。熱エネルギープロセス74はさらに、例えば対流式オーブン94等の対流エネルギー装置92を用いて対流エネルギー90を供給する対流エネルギープロセス88を含むことができる。熱エネルギープロセス74はさらに、例えば赤外線クォーツヒータ102等の赤外線エネルギー装置100を用いて赤外線エネルギー98を供給する赤外線エネルギープロセス96を含むことができる。予熱エネルギープロセス70はさらに、別の好適な予熱エネルギー装置68を用いて別の好適な予熱エネルギー72を供給する別の好適な熱エネルギープロセス74を含むことができる。予熱エネルギープロセス70はさらに、例えばマイクロ波送信機110等のマイクロ波エネルギー装置108を用いてマイクロ波エネルギー106を供給するマイクロ波エネルギープロセス104を含むことができる。予熱エネルギープロセス70はさらに、別の好適なマイクロ波エネルギー装置108を用いて別の好適なマイクロ波エネルギー106を供給する別の好適なマイクロ波エネルギープロセス104を含むことができる。予熱エネルギープロセス70はさらに、例えば伝導加熱コイル118等の伝導エネルギー装置116を用いて伝導エネルギー114を供給する伝導エネルギープロセス112を含むことができる。予熱エネルギープロセス70はさらに、別の好適な伝導エネルギー装置116を用いて別の好適な伝導エネルギー114を供給する別の好適な伝導エネルギープロセス112を含むことができる。予熱エネルギープロセス70はさらに、音響エネルギー装置124を用いて音響エネルギー122を供給する音響エネルギープロセス120を含むことができる。音響エネルギープロセス120は、例えば超音波振動子132又は超音波プローブ134等の超音波エネルギー装置130を用いて超音波エネルギー128を供給する超音波エネルギープロセス126を含むことができる。予熱エネルギープロセス70は、上述したような所望の予熱エネルギー72を伴う高分圧の分圧環境73において行うことが好ましい。
【0027】
図3Aに示すように、リサイクルシステム50はさらに、位相変化剥離プロセス142(図5参照)を用いて急速加熱エネルギー138(図5参照)で、予熱した硬化複合積層材30を実質的に一又は複数の液体溶媒60の最高溶媒沸点よりも高い温度まで急速に加熱して、一又は複数の液体溶媒60の液体から気体への位相変化140(図5参照)を起こすことにより、硬化複合積層材30を剥離させて剥離回収物52を得る、位相変化剥離装置136を備える。 剥離回収物52は、硬化複合積層材30の複数の繊維32(図3A〜6参照)の繊維容積分率54(図3A〜6参照)と薄板レベルの繊維アライメント55(図2A及び図3A〜6参照)と実質的に同じ複数の繊維32の繊維容積分率54a(図3A〜6参照)と薄板レベルの繊維アライメント55a(図3A〜6参照)を維持することが好ましい。
【0028】
図9は、本発明で開示される方法及びシステムの実施形態において使用可能な位相変化剥離プロセス142と、位相変化剥離装置136の実例となる実施形態のブロック図である。図9に示すように、位相変化剥離プロセス142は、複数の加熱エネルギープロセス144、急速加熱エネルギー138、及び加熱エネルギー装置146を含むことができる。加熱エネルギープロセス144は、熱エネルギープロセス74を含むことができる。熱エネルギープロセス74は、熱エネルギー装置78を用いて熱エネルギー76を供給する。熱エネルギープロセス74は、伝導エネルギー装置84、例えば伝導オーブン86を用いて伝導エネルギー82を供給する伝導エネルギープロセス80を含むことができる。熱エネルギープロセス74はさらに、例えば対流式オーブン94等の対流エネルギー装置92を用いて対流エネルギー90を供給する対流エネルギープロセス88を含むことができる。熱エネルギープロセス74はさらに、例えば赤外線クォーツヒータ102等の赤外線エネルギー装置100を用いて赤外線エネルギー98を供給する赤外線エネルギープロセス96を含むことができる。加熱エネルギープロセス144はさらに、別の好適な加熱エネルギー装置146を用いて別の好適な急速加熱エネルギー138を供給する別の好適な熱エネルギープロセス74を含むことができる。加熱エネルギープロセス144はさらに、例えばマイクロ波送信機110等のマイクロ波エネルギー装置108を用いてマイクロ波エネルギー106を供給するマイクロ波エネルギープロセス104を含むことができる。加熱エネルギープロセス144はさらに、別の好適なマイクロ波エネルギー装置108を用いて別の好適なマイクロ波エネルギー106を供給する別の好適なマイクロ波エネルギープロセス104を含むことができる。加熱エネルギープロセス144はさらに、例えば伝導加熱コイル118等の伝導エネルギー装置116を用いて伝導エネルギー114を供給する伝導エネルギープロセス112を含むことができる。加熱エネルギープロセス144はさらに、別の好適な伝導エネルギー装置116を用いて別の好適な伝導エネルギー114を供給する別の好適な伝導エネルギープロセス112を含むことができる。加熱エネルギープロセス144はさらに、音響エネルギー装置124を用いて音響エネルギー122を供給する音響エネルギープロセス120を含むことができる。音響エネルギープロセス120は、例えば超音波振動子132又は超音波プローブ134等の超音波エネルギー装置130を用いて超音波エネルギー128を供給する超音波エネルギープロセス126を含むことができる。
【0029】
図3Bは、硬化複合積層材30を剥離回収物52にリサイクルするリサイクルシステム51の別の一実施形態のブロック図である。図3Bに示すリサイクルシステム51は、図3Aのリサイクルシステム50と同じ要素を備え、追加の要素をさらに備えることができる。図3Bに示すように、リサイクルシステム51は、繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55を有する複数の繊維32を有する硬化複合積層材30を含む。硬化複合積層材30はさらに樹脂マトリックス56を含む。リサイクルシステム51はさらに、前処理溶媒浸漬装置58、液体溶媒除去装置66、予熱エネルギー装置68、及び位相変化剥離装置136を備える。位相変化剥離装置136は、位相変化剥離プロセス142(図5参照)を用いて急速加熱エネルギー138(図5参照)で、予熱した硬化複合積層材30を実質的に一又は複数の液体溶媒60の最高溶媒沸点よりも高い温度まで急速に加熱して、一又は複数の液体溶媒60の液体から気体への位相変化140(図5参照)を起こすことにより、硬化複合積層材30を剥離させて剥離回収物52を得る。 剥離回収物52は、硬化複合積層材30の複数の繊維32(図3A〜6参照)の繊維容積分率54(図3A〜6参照)と薄板レベルの繊維アライメント55(図2A及び図3A〜6参照)と実質的に同じ複数の繊維32の繊維容積分率54a(図3A〜6参照)と薄板レベルの繊維アライメント55a(図3A〜6参照)を維持することが好ましい。
【0030】
図3Bに示すように、リサイクルシステム51はさらに、剥離回収物52の汚染物質の仕分け及び分類を行って、非損傷樹脂マトリックス150を有する剥離回収物150と、非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物152とに分ける汚染物質の仕分け及び分類装置148を備えることができる。図10は、本発明で開示される方法及びシステムの実施形態において使用できる汚染物質の仕分け及び分類プロセス154と、汚染物質の仕分け及び分類装置148の実例となる実施形態のブロック図である。図10に示すように、汚染物質の仕分け及び分類プロセス154と、汚染物質の仕分け及び分類装置148はそれぞれ、繊維再生浮遊選別装置158を使用する繊維再生浮遊選別プロセス156を含むことができる。汚染物質の仕分け及び分類プロセス154と、汚染物質の仕分け及び分類装置148はさらにそれぞれ、密度勾配装置162を使用する密度勾配プロセス160を含むことができる。汚染物質の仕分け及び分類プロセス154と、汚染物質の仕分け及び分類装置148はさらにそれぞれ、渦電流選別装置166を使用する渦電流選別プロセス164を含むことができる。汚染物質の仕分け及び分類プロセス154と、汚染物質の仕分け及び分類装置148はさらにそれぞれ、磁気選別装置170を使用する磁気選別プロセス168を含むことができる。汚染物質の仕分け及び分類プロセス154と、汚染物質の仕分け及び分類装置148はさらにそれぞれ、サイクロン選別装置174を使用するサイクロン選別プロセス172を含むことができる。汚染物質の仕分け及び分類プロセス154と、汚染物質の仕分け及び分類装置148はさらにそれぞれ、ふるい分け装置178を使用するふるい分けプロセス176を含むことができる。汚染物質の仕分け及び分類プロセス154と、汚染物質の仕分け及び分類装置148はさらにそれぞれ、別の好適な汚染物質の仕分け及び分類プロセス154と、別の好適な汚染物質の仕分け及び分類装置148を含むことができる。
【0031】
図3Bに示すように、非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物150を第1成形コンパウンド182のダイレクトフィード180として使用することができる。図14に示すある実施形態では、ダイレクトフィード180は非損傷樹脂マトリックスを有する単一の薄板厚さの複合フレーク268を含むことができる。あるいは、図3Bに示すように、非損傷樹脂を有さない剥離回収物152をさらに処理することができ、リサイクルシステム51はさらに、樹脂マトリックス除去装置184と、バインダー塗布装置186を備える。樹脂マトリックス除去装置184は、非損傷樹脂を有さない剥離回収物152から樹脂マトリックス56を除去するために、樹脂マトリックス除去プロセス188を用いる。樹脂マトリックス除去プロセス188は、樹脂マトリックスを除去するための既知の熱分解プロセスを含むことができる、又は別の好適な樹脂マトリックス除去プロセスを含むことができる。バインダー塗布プロセス190を使用して、バインダー塗布装置186で複数の繊維32にバインダー剤194を塗布することにより繊維32を無傷に保つことが好ましい。バインダー剤194が塗布された剥離回収物52は次に第2成形コンパウンド198のフィード196として使用することができる。図14に示す一実施形態において、フィード190は単一の薄板厚さの複合繊維フレーク269を含むことができる。
【0032】
図4Aは、好ましくは硬化複合積層スクラップ40の形態の硬化複合積層材30を、好ましくは硬化複合積層フレーク250の形態の剥離回収物52にリサイクルするリサイクルシステム200の別の一実施形態のブロック図である。リサイクルシステム50と同様のこの実施形態では、リサイクルシステム200はさらに、寸法縮小プロセス202(図6参照)で使用される寸法縮小装置204を備える。寸法縮小プロセス202は、前処理溶媒浸漬装置58で用いられる前処理溶媒浸漬プロセス61(図5参照)の前に行われる。図7は、本発明で開示される方法及びシステムの実施形態において使用可能な寸法縮小プロセス202と寸法縮小装置204の実例となる実施形態のブロック図である。図7に示すように、寸法縮小プロセス202と寸法縮小装置204はそれぞれ、破砕装置208を使用する破砕プロセス206を備えることができる。寸法縮小プロセス204と寸法縮小装置202はさらにそれぞれ、粉砕装置212を使用する粉砕プロセス210を含むことができる。寸法縮小プロセス204と寸法縮小装置202はさらにそれぞれ、切削装置216を使用する切削プロセス214を含むことができる。寸法縮小プロセス204と寸法縮小装置202はさらにそれぞれ、研削装置220を使用する研削プロセス218を含むことができる。寸法縮小プロセス204と寸法縮小装置202はさらにそれぞれ、圧壊装置224を使用する圧壊プロセス222を含むことができる。寸法縮小プロセス204と寸法縮小装置202はさらにそれぞれ、せん断装置228を使用するせん断プロセス226を含むことができる。寸法縮小プロセス204と寸法縮小装置202はさらにそれぞれ、別の好適な寸法縮小プロセス204及び別の好適な寸法縮小装置202を含むことができる。
【0033】
さらに、図4Aで示すように、この実施形態において、リサイクルシステム200は、前処理溶媒浸漬装置58で使用される前処理浸漬プロセス61(図5参照)の前に、寸法が縮小された硬化複合積層材30の汚染物質の仕分け及び分類を行う汚染物質の仕分け及び分類装置148を備える。 汚染物質の仕分け及び分類装置148と、汚染物質の仕分け及び分類プロセス154を図10に示し上に説明した。
【0034】
図4Aに示すように、リサイクルシステム200は前処理溶媒浸漬装置58、液体溶媒除去装置66、予熱エネルギー装置68、位相変化剥離装置136、及び剥離回収物52を含む。剥離回収物52は、硬化複合積層材30の複数の繊維32(図3A〜6参照)の繊維容積分率54(図3A〜6参照)と薄板レベルの繊維アライメント55(図2A及び図3A〜6参照)と実質的に同じ複数の繊維32の繊維容積分率54a(図3A〜6参照)と薄板レベルの繊維アライメント55a(図3A〜6参照)を維持することが好ましい。
【0035】
図4Bは、好ましくは硬化複合積層スクラップ40の形態の硬化複合積層材30を、好ましくは硬化複合積層フレーク250の形態の剥離回収物52にリサイクルするリサイクルシステム201の別の一実施形態のブロック図である。図4Bに示すリサイクルシステム201は、図4Aのリサイクルシステム200と同じ要素を備え、追加の要素をさらに備えることができる。図4Bに示すように、リサイクルシステム201は好ましくは硬化複合積層スクラップ40の形態の硬化複合積層材30を含む。硬化複合積層スクラップ40は、繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55を有する複数の繊維32を含む。硬化複合積層スクラップ40はさらに、樹脂マトリックス56を含む。リサイクルシステム201はさらに、寸法縮小装置204、この実施形態で2回使用される汚染物質の仕分け及び分類装置148、前処理溶媒浸漬装置58、液体溶媒除去装置66、予熱エネルギー装置68、及び位相変化剥離装置136を備える。位相変化剥離装置136は、位相変化剥離プロセス142(図5参照)を用いて急速加熱エネルギー138(図5参照)で、予熱した硬化複合積層材30を実質的に一又は複数の液体溶媒60の最高溶媒沸点よりも高い温度まで急速に加熱して、一又は複数の液体溶媒60の液体から気体への位相変化140(図5参照)を起こすことにより、硬化複合積層材30を剥離させて剥離回収物52を得る。剥離回収物52は、硬化複合積層フレーク205(図4B)の形態であることが好ましい。硬化複合積層フレーク205は、硬化複合積層材30の複数の繊維32の繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55と実質的に同じ複数の繊維32の繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55aを維持する。
【0036】
図4Bに示すように、リサイクルシステム201はさらに、剥離回収物52に使用する汚染物質の仕分け及び分類装置148を備える。図4Bに示すように、非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物150を第1成形コンパウンド182のダイレクトフィード180として使用することができる。あるいは、非損傷樹脂を有さない剥離回収物152をさらに処理することができ、樹脂マトリックス除去装置184及びバインダー塗布装置186をさらに備えることができる。樹脂マトリックス除去装置184は、非損傷樹脂を有さない剥離回収物152から樹脂マトリックス56を除去する。バインダー塗布装置186は、バインダー剤194を複数の繊維32に塗布して、繊維32を無傷に保つ。バインダー剤194を塗布した剥離回収物52を次に第2成形コンパウンド198のフィード196として使用可能である。
【0037】
図11は、元の、リサイクルされていない、硬化複合積層材30の機械特性229aと、本発明で開示された方法及びシステムの実施形態でリサイクルされた剥離回収物52の機械特性229bを比較したブロック図である。剥離回収物52の繊維剛性230b、繊維容積ローディング232b、及び熱膨張係数234bが全て硬化複合積層材30の繊維剛性230a、繊維容積ローディング232a、及び熱膨張係数234aと同程度であることが好ましい。図11に示すように、剥離回収物52の繊維剛性230b、繊維容積ローディング232b、及び熱膨張係数234bが全て硬化複合積層材30の繊維剛性230a、繊維容積ローディング232a、及び熱膨張係数234aと同程度であることが好ましい。
【0038】
本発明の別の実施形態では、リサイクル方法270が提供されている。図5は、硬化複合積層材30を本発明の剥離回収物52にリサイクルするリサイクル方法270の一実施形態のブロック図である。図5は、繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55を有する繊維32を有する硬化複合積層材30を示し、硬化複合積層材30はさらに、樹脂マトリックス56を含む。硬化複合積層材30は、一又は複数の液体溶媒60、任意の熱62、及び任意の圧力65で前処理溶媒浸漬プロセス61で処理される。硬化複合積層材30は次に、液体溶媒除去プロセス67で処理される。硬化複合積層材30は次に、上述し図8に示すように、予熱エネルギー70で分圧環境73において予熱エネルギープロセス68で処理される。硬化複合積層材30は次に、上述し図9に示すように、急速加熱エネルギー138で位相変化剥離プロセス142で処理され、一又は複数の液体溶媒60の液体から気体への位相変化140が起こる。結果的に得られた剥離回収物52は、複数の繊維32の繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55aを伴う繊維32を有する硬化複合積層フレーク250の形態であってよく、繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55aは、リサイクルされた硬化複合積層材30の繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55と実質的に同じである。結果として得られた剥離回収物52は次に、上に詳しく記載し図10に示すように、汚染物質の仕分け及び分類プロセス154で処理される。
【0039】
図5に示すように、非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物150を第1成形コンパウンド182のダイレクトフィード180として使用することができる。あるいは、非損傷樹脂を有さない剥離回収物152をさらに処理することができ、リサイクル方法270はさらに、樹脂マトリックス除去プロセス188とバインダー塗布プロセス190を含む。樹脂マトリックス除去プロセス188は、非損傷樹脂を有さない剥離回収物152から樹脂マトリックス56を除去する。樹脂マトリックス除去プロセス188は、樹脂マトリックス56を除去するための既存の熱分解プロセスを含みうる、又は別の好適な樹脂マトリックス除去プロセスを含みうる。バインダー塗布プロセス190は、繊維32を無傷に保つために複数の繊維32にバインダー剤194を塗布する。バインダー剤194を塗布した剥離回収物52は次に、第2成形コンパウンド198のフィード196として使用することができる。
【0040】
本発明の別の実施形態では、リサイクル方法280が提供されている。図6は、硬化複合積層スクラップ40を好ましくは硬化複合積層フレーク250の形態の剥離回収物52にリサイクルする方法280の一実施形態のブロック図である。図6は繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55を有する繊維32を含む硬化複合積層スクラップ40を示し、硬化複合積層スクラップ40はさらに樹脂マトリックス56を有する。硬化複合積層スクラップ40は上に詳しく記載し図7に示すように、最初に寸法縮小プロセス202で処理される。硬化複合積層スクラップ40は次に、上に詳しく記載し図10に示すように、汚染物質の仕分け及び分類プロセス154で処理される。硬化複合積層スクラップ40は次に、一又は複数の液体溶媒60、任意の熱62、及び任意の圧力65を用いて前処理溶媒浸漬プロセス61で処理される。硬化複合積層スクラップ40は次に、液体溶媒除去プロセス67で処理される。硬化複合積層スクラップ40は次に、上述し図8に示すように、予熱エネルギー72で分圧環境73において予熱エネルギープロセス70で処理される。硬化複合積層スクラップ40は次に、上述し図9に示すように、急速加熱エネルギー138で位相変化剥離プロセス142で処理され、一又は複数の液体溶媒60の液体から気体への位相変化140が起こる。結果的に得られた剥離回収物52は、リサイクルされた硬化複合積層スクラップ40の繊維32の繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55と実質的に同じ繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55aを伴う繊維32を有する硬化複合積層フレーク250の形態であることが好ましい。結果として得られた剥離回収物52は次に、上に詳しく記載し図10に示すように、汚染物質の仕分け及び分類プロセス154で処理される。
【0041】
図6に示すように、非損傷樹脂マトリックス150を有する剥離回収物を第1成形コンパウンド182のダイレクトフィード180として使用することができる。あるいは、非損傷樹脂を有さない剥離回収物152をさらに処理することができ、リサイクル方法280はさらに、樹脂マトリックス除去プロセス188とバインダー塗布プロセス190を含みうる。樹脂マトリックス除去プロセス188は、非損傷樹脂を有さない剥離回収物152から樹脂マトリックス56を除去する。樹脂マトリックス除去プロセス188は、樹脂マトリックス56を除去するための既存の熱分解プロセスを含みうる、又は別の好適な樹脂マトリックス除去プロセスを含みうる。バインダー塗布プロセス190は、繊維32を無傷に保つために複数の繊維32にバインダー剤194を塗布する。バインダー剤194を塗布した剥離回収物52は次に、第2成形コンパウンド198のフィード196として使用することができる。
【0042】
本発明の別の実施形態では、リサイクル方法300が提供されている。図12は、本発明のリサイクル方法300の実例となる実施形態のフロー図である。図12に示すように、本発明の実施形態では、硬化複合積層材30(図5参照)を、硬化複合積層材の繊維32の繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55と実質的に同じ繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55aを維持する剥離回収物52(図5参照)にリサイクルするリサイクル方法300が提供されている。リサイクル方法300は、樹脂マトリックス56と、繊維容積分率54及び薄板レベルの繊維アライメント55を有する複数の繊維32を含む硬化複合積層材30を準備するステップ302を含む。硬化複合積層材30は、製造スクラップ、寿命末期のスクラップ、トリム廃棄物、チップ、カットオフ、ツーリング、未使用材料、廃棄された構造部品、期限切れの構造部品、又はその他の適切なリサイクルされる硬化複合積層材30を含む硬化複合積層品であることが好ましい。
【0043】
リサイクル方法300はさらに、一又は複数の液体溶媒60(図5参照)に浸して硬化複合積層材30に一又は複数の液体溶媒60を実質的に吸わせることによって硬化複合積層材30の前処理を行うステップ304を含む。リサイクル方法300はさらに、硬化複合積層材30に吸収されなかった一又は複数の液体溶媒60の超過量をすべて除去するステップ306を含む。
【0044】
リサイクル方法300はさらに、一又は複数の液体溶媒60を実質的に吸収した硬化複合積層材30を、一又は複数の液体溶媒60の最低溶媒沸点よりも低い温度に予熱するステップ308を含む。予熱ステップは、高分圧であることが好ましい分圧環境73(図5参照)において、伝導エネルギー82(図8参照)、対流エネルギー90(図8参照)、又は赤外線エネルギー98(図8参照)を含む熱エネルギー76(図8参照);マイクロ波エネルギー106(図8参照);誘導エネルギー114(図8参照);超音波エネルギー128(図8参照)を含む音響エネルギー122(図8参照)、又は別の好適な予熱エネルギーを含む予熱エネルギー72(図5参照)で行われることが好ましい。
【0045】
リサイクル方法300はさらに、一又は複数の液体溶媒60を実質的に吸収した予熱した硬化複合積層材30を、一又は複数の液体溶媒60の最高溶媒沸点よりも高い温度まで急速に加熱し、一又は複数の液体溶媒60の液体から気体への位相変化140(図5参照)を起こして硬化複合積層材30を剥離させるステップ310を含む。予熱した硬化複合積層材の急速加熱は、伝導エネルギー82(図9参照)、対流エネルギー90(図9参照)、又は赤外線エネルギー98(図9参照)を含む熱エネルギー76(図9参照);マイクロ波エネルギー106(図9参照);誘導エネルギー114(図9参照);超音波エネルギー128(図9参照)を含む音響エネルギー122(図9参照)、又は別の好適な加熱エネルギーを含む加熱エネルギー138(図9参照)で行われる。リサイクル方法300はさらに、硬化複合積層材30の複数の繊維32の繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55と実質的に同じ複数の繊維32の繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55aを維持する剥離回収物52(図5参照)を得るステップ312を含む。
【0046】
リサイクル方法300はさらに、剥離回収物52の汚染物質の仕分け及び分類を行って、非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物150(図5参照)と、非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物152(図5参照)とに分ける任意のステップ314を含む。リサイクル方法300はさらに、非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物150を第1成形コンパウンド182(図5参照)のダイレクトフィード180(図5参照)として使用する任意のステップ316を含む。
【0047】
リサイクル方法300はさらに、任意の追加ステップを含みうる。例えば、リサイクル方法300は前処理ステップ304を行う前に、破砕プロセス206、粉砕プロセス210、切削プロセス214、研削プロセス218、圧壊プロセス222、せん断プロセス226又は別の好適な寸法縮小プロセス等の寸法縮小プロセス202(図7参照)を用いて、硬化複合積層材30の寸法を縮小させるステップを含むことができる。リサイクル方法300は前処理ステップ304を行う前に、例えば繊維再生浮遊選別プロセス156、密度勾配プロセス160、渦電流選別プロセス164、磁気選別プロセス168、サイクロン選別プロセス172、ふるい分けプロセス176、又は別の好適な汚染物質の仕分け及び分類プロセス154等の汚染物質の仕分け及び分類プロセス154(図10参照)を用いて硬化複合積層材30の汚染物質の仕分け及び分類を行うステップをさらに含むことができる。リサイクル方法300はさらに、非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物152から樹脂マトリックス56を除去し、バインダー剤194(図3B参照)を非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物152の複数の繊維32に塗布することによって複数の繊維32を無傷に保つように非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物を処理し、バインダー剤194を塗布した剥離回収物52を第2成形コンパウンド198(図3B参照)のフィード196として使用することを含むことができる。
【0048】
本発明の別の実施形態では、リサイクル方法400が提供されている。図13A〜13Bは、本発明のリサイクル方法400の別の実例となる実施形態のフロー図である。図13A〜13Bに示すように、本発明の実施形態では、硬化複合積層スクラップ40(図6参照)を、硬化複合積層スクラップ40の繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55と実質的に同じ繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55aを維持する剥離回収物52にリサイクルするリサイクル方法400が提供されている。図13Aに示すように、リサイクル方法400は、樹脂マトリックス56と、繊維容積分率54及び薄板レベルの繊維アライメント55を有する複数の繊維32を含む硬化複合積層スクラップ40を準備するステップ402を含む。
【0049】
図13Aに示すように、リサイクル方法400はさらに、寸法縮小プロセス202(図6参照)を用いて硬化複合積層スクラップ40の寸法を縮小して硬化複合積層フレーク250(図6参照)を得るステップ404を含む。リサイクル方法400はさらに、硬化複合積層フレーク250の汚染物質の仕分け及び分類を行うステップ406を含む。図13Aに示すように、リサイクル方法400はさらに、硬化複合積層フレーク250を一又は複数の液体溶媒60(図6参照)に浸して硬化複合積層フレーク250に一又は複数の液体溶媒60を実質的に吸わせることによって硬化複合積層フレーク250の前処理を行うステップ408を含む。図13Aに示すように、リサイクル方法400はさらに、硬化複合積層フレーク250に吸収されなかった一又は複数の液体溶媒60の超過量をすべて除去するステップ410を含む。図13Aに示すように、リサイクル方法はさらに、一又は複数の液体溶媒60を実質的に吸収した硬化複合積層フレーク250を、一又は複数の液体溶媒60の最低溶媒沸点よりも低い温度に予熱するステップ412を含む。予熱エネルギープロセス70(図6参照)は上に詳しく記載され、図8に示されている。
【0050】
図13Aに示すように、リサイクル方法400はさらに、一又は複数の液体溶媒60を実質的に吸収した予熱した硬化複合積層フレーク250を、一又は複数の液体溶媒の最高溶媒沸点よりも高い温度まで急速に加熱し、一又は複数の液体溶媒60の液体から気体への位相変化140(図6参照)を起こして硬化複合積層フレーク250を剥離させるステップ414を含む。急速加熱ステップ414は、上に詳しく記載し図9に示す位相変化剥離プロセス142を含むことが好ましい。
【0051】
図13Aに示すように、リサイクル方法400はさらに、硬化複合積層スクラップ40の複数の繊維32の繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55と実質的に同じ複数の繊維32の繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55aを維持する剥離回収物52(図6参照)を得るステップ416を含む。
【0052】
図13Bに示すように、リサイクル方法400はさらに、剥離回収物52の汚染物質の仕分け及び分類を行って、非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物150(図6参照)と、非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物152(図6参照)とに分ける任意の汚染物質の仕分け及び分類ステップ418を含みうる。
【0053】
図13Bに示すように、リサイクル方法400はさらに、非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物150を第1成形コンパウンド182(図6参照)のダイレクトフィード180(図6参照)として使用する任意のステップ420を含むことができる。図13Bに示すように、リサイクル方法400はさらに、非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物152から樹脂マトリックス56を除去するステップ424と、バインダー剤194(図3B参照)を非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物152の複数の繊維32に塗布して複数の繊維32を無傷に保つステップ426を含む、非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物152の処理を行う任意のステップ422と、バインダー剤194を塗布した剥離回収物52を第2成形コンパウンド198(図6参照)のフィード196(図6参照)として使用するステップ428を含むことができる。
【0054】
図14は、本発明の方法及びシステムの実例となる実施形態で使用可能なステップを要約した概略図である。図14は、寸法縮小プロセス202に投入され処理される硬化複合積層スクラップ40を示す。寸法縮小プロセス202は、上述し図7に示す寸法縮小装置204を使用することが好ましい。寸法が縮小した硬化複合積層スクラップ40は次に汚染物質の仕分け及び分類プロセス154に送られる。図14に示すように、汚染物質の仕分け及び分類プロセス154においては、再生繊維の微粉砕物262、廃棄物264、有価金属材料266、又はその他の適切な生産物が生じうる。汚染物質の仕分け及び分類プロセス154は、上述し図10に示す汚染物質の仕分け及び分類装置148を使用することが好ましい。縮小し、仕分けされた硬化複合積層スクラップ40は次に、前処理溶媒浸漬プロセス61で処理される。前処理溶媒浸漬プロセス61は、上述した前処理溶媒浸漬装置58(図4B参照)を使用することが好ましい。縮小し、仕分けされ、前処理した硬化複合積層スクラップ40は次に、液体溶媒除去プロセス67で処理される。液体溶媒除去プロセス67は、上述した液体溶媒除去装置66(図4B参照)を使用することが好ましい。液体溶媒除去プロセス67の後で、縮小し、仕分けされ、前処理した、超過量の溶媒が除去された硬化複合積層スクラップ40は、前処理溶媒浸漬プロセス61に戻されさらに浸漬させる、又は予熱エネルギープロセス70に進ませることができる。予熱エネルギープロセス70は、上述し図8に示す予熱エネルギー装置68を使用することが好ましい。縮小し、仕分けされ、前処理した、超過量の溶媒が除去され、予熱した硬化複合積層スクラップ40は次に、位相変化剥離プロセス142で処理される。位相変化剥離プロセス142は、上述し図9に示す位相変化剥離装置136を使用することが好ましい。図14に示すように、結果として得られた生産物は次に、汚染物質の仕分け及び分類プロセス154で処理される。非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物150を、非損傷樹脂マトリックスを有する単一の薄板厚さの複合フレーク268の形態等のダイレクトフィード180として使用可能である。あるいは、非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物152を樹脂マトリックス除去プロセス188及びバインダー塗布プロセス190で処理して、単一の薄板厚さの複合繊維フレーク269の形態等のフィード196として使用する。
【0055】
図15は、本発明の方法500の別の実例となる実施形態のフロー図を示したものである。この実施形態では、硬化複合積層材30を、硬化複合積層材30の繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55と実質的に同じ繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55aを維持する剥離回収物52にリサイクルする方法500が提供されている。方法500は、樹脂マトリックス56と、繊維容積分率54及び薄板レベルの繊維アライメント55を有する複数の繊維32を含む硬化複合積層材30を準備するステップ502を含む。方法500はさらに、一又は複数の液体溶媒60に浸して硬化複合積層材30に一又は複数の液体溶媒60を実質的に吸わせることによって硬化複合積層材30の前処理を行う任意のステップ504を含むことができる。方法500はさらに、硬化複合積層材30が吸収しなかった一又は複数の液体溶媒の超過量をすべて除去する任意のステップ506を含みうる。方法500はさらに、一又は複数の液体溶媒60を実質的に吸収した硬化複合積層材30を、一又は複数の液体溶媒の最低溶媒沸点よりも低い温度に予熱する任意のステップ508を含みうる。
【0056】
方法500はさらに、窒素雰囲気又は環境において硬化複合積層材30を熱的に加熱して、硬化複合積層材30を剥離させるステップ510を含む。硬化複合積層材30は、窒素雰囲気又は環境においてオーブン等の加熱装置での制御熱分解を用いて加熱されることが好ましい。硬化複合積層材30は、華氏約500度よりも高い温度で約1時間の間加熱されることが好ましい。しかしながら、加熱温度及び加熱時間は熱的に加熱される硬化複合積層材30の種類によって変わる。硬化複合積層材30を窒素雰囲気において個々の薄板に剥離するまで十分に加熱した後で、方法500はさらに、樹脂マトリックスチャー604(図16参照)を有する繊維32を含む剥離回収物52aを得るステップ512を含む。剥離回収物52は、硬化複合積層材30の複数の繊維32の繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55と実質的に同じ繊維32の繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55aを維持する。
【0057】
剥離回収物52aが得られたら、次に、新たな樹脂マトリックス塗布装置606で既存の圧密プロセスを用いて新たな樹脂マトリックス608(図16参照)で任意に圧密化してもよい。新たな樹脂マトリックス608が塗布された剥離回収物52aは次に、例えばパネル又は複合パーツ等の構造体610(図16参照)に作り替えられる。あるいは、剥離回収物52aが得られたら、次に、バインダー塗布装置186で既存の圧密プロセスを用いてバインダー剤194(図16参照)で任意に圧密化してもよい。バインダー剤194を塗布した剥離回収物52aは次にフィード196として用いて、上述した第2成形コンパウンド198にされる。
【0058】
図16は、硬化複合積層材30を、硬化複合積層材30の繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55と実質的に同じ繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55aを維持する剥離回収物52aにリサイクルするリサイクルシステム600の別の一実施形態のブロック図である。図16に示すように、リサイクルシステム600は、樹脂マトリックス56と、繊維容積分率54及び薄板レベルの繊維アライメント55を有する複数の繊維32を含む硬化複合積層材30を含む。薄板レベルの繊維アライメントは、連続的な、アライメントされた繊維配向性34の形態(図2A参照)であることが好ましい。硬化複合積層材30は、製造スクラップ、寿命末期のスクラップ、トリム廃棄物、チップ、カットオフ、ツーリング、未使用材料、廃棄された構造部品、期限切れの構造部品、又はその他の適切なリサイクル対象の硬化複合積層材30を含みうる。
【0059】
図16に示すように、リサイクルシステム600はさらに、硬化複合積層材30を前処理溶媒浸漬プロセス61(図5参照)を用いて浸して硬化複合積層材30に一又は複数の液体溶媒60を実質的に吸わせるための一又は複数の液体溶媒60(図5参照)を含む前処理溶媒浸漬装置58を任意に含みうる。一又は複数の液体溶媒60は、水、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、塩酸、及びこれらのうちの一又は複数の組み合わせ、又は別の好適な液体溶媒を含みうる。前処理溶媒浸漬装置58は、ふたの開いた又は閉じた容器又はベッセルを含みうる。任意で、前処理溶媒浸漬プロセス61は熱62(図5参照)で、圧力64(図5参照)で、又は熱62と圧力64を組み合わせて行うことができる。
【0060】
図16に示すように、リサイクルシステム600はさらに、硬化複合積層材30が吸収しなかった一又は複数の液体溶媒60の超過量をすべて、液体溶媒除去プロセス67(図5参照)を用いて除去する液体溶媒除去装置66を任意に含みうる。液体溶媒除去プロセス67は、空気にさらすこと、又は別の好適な蒸発プロセスによる蒸発を含むことができる。
【0061】
図16に示すように、リサイクルシステム600はさらに、硬化複合積層材30を、一又は複数の液体溶媒60の最低溶媒沸点よりも低い温度に予熱する予熱エネルギー装置68を任意に含むことができる。予熱エネルギー装置68と予熱エネルギープロセス70は上に詳しく記載し図8に示されている。
【0062】
図16に示すように、リサイクルシステム600はさらに、窒素雰囲気又は環境において硬化複合積層材30を熱的に加熱して、硬化複合積層材30を剥離させる剥離装置602を含む。剥離装置602は、好ましくは華氏約500度よりも高い温度で窒素雰囲気において硬化複合積層材30を加熱できる熱分解装置であることが好ましい。図16に示すように、硬化複合積層材30を剥離装置602を用いて剥離させると、剥離回収物52aができる。得られた又は生産された剥離回収物52aは、樹脂マトリックスチャー604を有する繊維32を含む。剥離回収物52aは、硬化複合積層材30の繊維32の繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55と実質的に同じ繊維32の繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55aを維持する。
【0063】
方法500とリサイクルシステム600は、制御熱分解プロセスを使って硬化複合積層材30を分離させることが好ましい。時間、温度、及び分圧環境(図5参照)は、薄板層33(図2A参照)間の樹脂マトリックス56を選択的に熱分解して、最小量の樹脂マトリックス56及び/又は樹脂マトリックスチャー602(図16参照)を無傷に保つと同時に、硬化複合積層フレーク250(図4B参照)の形態であってよい剥離回収物52aの密着性を保護するように制御することができる。さらに、制御熱分解は、硬化複合積層材30の繊維32の繊維容積分率54と薄板レベルの繊維アライメント55と実質的に同じ繊維32の繊維容積分率54aと薄板レベルの繊維アライメント55aを維持する又は保護することが好ましい。
【0064】
任意で、方法500及びリサイクルシステム600はさらに、前処理溶媒浸漬装置58を使用する前に使用する寸法縮小装置204(図4B参照)を使用する寸法縮小プロセス202(図6参照)を含むことができる。任意で、方法500及びリサイクルシステム600はさらに、前処理溶媒浸漬装置58を使用する前に使用する汚染物質の仕分け及び分類装置148(図4B参照)を使用する汚染物質の仕分け及び分類プロセス154(図6参照)を含むことができる。
【0065】
弾性係数試験リサイクルシステム600を使用して、方法500によって得られた剥離回収物の薄板フレークが組み込まれた硬化複合積層材に、弾性係数試験を実施した。この用途目的のために、弾性係数又は引張係数試験を実施して、ポリマー樹脂マトリックスに剥離回収物の薄板フレークが組み込まれた硬化複合積層材の剛性を測定した。薄板フレークの形態の剥離回収物は、約1時間の間、華氏約500度の温度で実質的に純粋な窒素雰囲気又は環境の伝導オーブンを用いた制御熱分解プロセスで、破砕された硬化炭素複合積層材を加熱することによって得られた。十分な加熱と熱分解の後で、結果として得られたフレーク材を冷却し、圧密化プロセスを用いて剥離フレークにポリマー樹脂マトリックスを添加した。樹脂と再生したフレーク材に十分な熱と十分な圧力をかけて、圧密化された複合パネルを形成した。ポリマー樹脂マトリックスの硬化複合積層フレークを有するパネルから3つのクーポンを切削した。試験クーポンを1分当たり0.05インチの引張変位の速さでロードしながら、ロードセルと伸び計を組み込んだ単軸ロードフレームで印加した負荷及び歪み量をそれぞれ測定して、クーポンに対し引張力の試験を行った。3つのクーポンそれぞれの弾性係数をギガパスカル(GPa)の単位で計算した。1番のクーポンの弾性係数は42GPaであった。2番のクーポンの弾性係数は41GPaであった。3番のクーポンの弾性係数は29GPaであった。1、2、及び3番のクーポンの平均弾性係数は37.3GPaであった。
【0066】
図17A〜17Bに、上述した弾性係数試験において1、2及び3番のクーポンに使用された同じパネルから取った別のクーポンから剥離回収物の薄板フレークが組み込まれた硬化複合積層材の断面の顕微鏡写真を示す。図17Aは、パネルのクーポンから取ったポリマーマトリックス硬化複合積層材702に組み込まれた剥離回収物の薄板フレークの第1顕微鏡写真の断面700aを示している。第1顕微鏡写真の断面700aに示す有孔領域704の数は少ない。図17Bは、図17Aのように、同じパネルのクーポンから取ったポリマーマトリックス硬化複合積層材702に組み込まれた剥離回収物の薄板フレークの第2顕微鏡写真の断面700bを示している。第2顕微鏡写真の断面700bに示す有孔領域704の数は少ない。顕微鏡写真は約50倍の倍率で光学顕微鏡カメラで撮ったものである。図17A〜17Bに示す結果的に得られた回収積層材は、リサイクル元の非リサイクル積層材と視覚的に同等であり、既存の非リサイクル積層材と視覚的に同等である。
【0067】
本明細書に開示したシステム50、51、200、201、600と、方法270、280、300、400、500の実施形態は積層材を効率的に分離することができ、ここでは積層材を最初に溶媒(水、ベンジルアルコール、又は別の好適な溶媒)で処理し、次に急速に加熱して、位相変化を起こして積層材のプライを剥離及び分離させ、純度の高い回収物を得、また連続的な繊維配向性の複合材の場合は、繊維強化剥離フレークの形態の高い繊維容積ローディングの維持につながる。上記剥離材を次に既存の分類技術によって分離して、配向された価値の高い炭素繊維の再利用を促進することができる。
【0068】
さらに、本明細書に開示したシステム50、51、200、201、600と、方法270、280、300、400、500の実施形態は、例えばチップ又はフレークなどの硬化複合積層材の繊維の元の配向性を維持するシステム及び方法を生み出すことによって、例えば炭素繊維回収物等の剥離回収物の繊維配向性の問題に対処するものである。結果として得られた剥離チップ又はフレークを使用して、価値の高い複合パーツを作製することができる。開示したシステム及び方法により、炭素繊維の元の配向性が維持及び保護され、価値の高いより有用な最終生成物が得られる。
【0069】
上述の説明及び関連する図面に示した教示の利点を有するこのような発明に関連する当業者であれば、本明細書に記載した多数の変形例および他の実施形態が想起されよう。本明細書に記載した実施形態は、例示することを意図したものであって、限定的又は網羅的であることを意図していない。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは、一般的及び説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的として使用されているものではない。
【符号の説明】
【0070】
30 硬化複合積層材
32 繊維
40 硬化複合積層スクラップ
50 リサイクルシステム
51 リサイクルシステム
52 剥離回収物
52a 剥離回収物
54 繊維容積分率
54a 繊維容積分率
55 薄板レベルの繊維アライメント
55a 薄板レベルの繊維アライメント
56 樹脂マトリックス
58 前処理溶媒浸漬装置
60 一又は複数の液体溶媒
61 前処理溶媒浸漬プロセス
62 任意の熱
64 任意の圧力
66 液体溶媒除去装置
67 液体溶媒除去プロセス
68 予熱エネルギー装置
70 予熱エネルギープロセス
72 予熱エネルギー
73 分圧環境
74 熱エネルギープロセス
76 熱エネルギー
78 熱エネルギー装置
80 伝導エネルギープロセス
82 伝導エネルギー
84 伝導エネルギー装置
86 伝導オーブン
88 対流エネルギープロセス
90 対流エネルギー
92 対流エネルギー装置
94 対流式オーブン
96 赤外線エネルギープロセス
98 赤外線エネルギー
100 赤外線エネルギー装置
102 赤外線式クォーツヒータ
104 マイクロ波エネルギープロセス
106 マイクロ波エネルギー
108 マイクロ波エネルギー装置
110 マイクロ波送信機
112 誘導エネルギープロセス
114 誘導エネルギー
116 誘導エネルギー装置
118 誘導加熱コイル
120 音響エネルギープロセス
122 音響エネルギー
124 音響エネルギー装置
126 超音波エネルギープロセス
128 超音波エネルギー
130 超音波エネルギー装置
132 超音波振動子
134 超音波プローブ
136 位相変化剥離装置
138 急速加熱エネルギー
140 溶媒の液体から気体への位相変化
142 位相変化剥離プロセス
144 急速加熱エネルギープロセス
146 急速加熱装置
148 任意の汚染物質の仕分け及び分類装置
150 非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物
152 非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物
154 任意の汚染物質及び分類プロセス
156 繊維再生浮遊選別プロセス
158 繊維再生浮遊選別装置
160 密度勾配プロセス
162 密度勾配装置
164 渦電流選別プロセス
166 渦電流選別装置
168 磁気選別プロセス
170 磁気選別装置
172 サイクロン選別プロセス
174 サイクロン選別装置
176 ふるい分けプロセス
178 ふるい分け装置
180 ダイレクトフィード
182 第1成形コンパウンド
184 任意の樹脂マトリックス除去装置
186 任意のバインダー塗布装置
188 任意の樹脂マトリックス除去プロセス
190 任意のバインダー塗布プロセス
194 バインダー剤
196 フィード
198 第2成形コンパウンド
200 リサイクルシステム
201 リサイクルシステム
202 寸法縮小プロセス
204 寸法縮小装置
206 破砕プロセス
208 破砕装置
210 粉砕プロセス
212 粉砕装置
214 切削プロセス
216 切削装置
218 研削プロセス
220 研削装置
222 圧壊プロセス
224 圧壊装置
226 せん断プロセス
228 せん断装置
229a 機械特性
229b 機械特性
230a 繊維剛性
230b 同程度の繊維剛性
232a 繊維容積ローディング
232b 同程度の繊維容積ローディング
234a 熱膨張係数
234b 同程度の熱膨張係数
250 硬化複合積層フレーク
262 再生繊維の微粉砕物
264 廃棄物
266 有価金属材料
268 非損傷樹脂マトリックスを有する単一の薄板厚さの複合フレーク
269 単一の薄板厚さの複合繊維フレーク
270 リサイクル方法
280 リサイクル方法
302 ステップ
304 ステップ
306 ステップ
308 ステップ
310 ステップ
312 ステップ
314 ステップ
316 ステップ
402 ステップ
404 ステップ
406 ステップ
408 ステップ
410 ステップ
412 ステップ
414 ステップ
416 ステップ
418 ステップ
420 ステップ
422 ステップ
424 ステップ
426 ステップ
428 ステップ
502 ステップ
504 ステップ
506 ステップ
508 ステップ
510 ステップ
512 ステップ
600 リサイクルシステム
602 剥離装置
604 樹脂マトリックスチャー
606 任意の新たな樹脂マトリックス塗布装置
608 新たな樹脂マトリックス
610 構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化複合積層材(30)を、硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物(52)にリサイクルする方法(300)であって、
樹脂マトリックスと、繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを有する複数の繊維を含む硬化複合積層材(30)を準備し(302)、
一又は複数の液体溶媒に浸して前記硬化複合積層材に前記一又は複数の液体溶媒を実質的に吸わせて前記硬化複合積層材(30)の前処理を行い(304)、
前記硬化複合積層材が吸収しなかった前記一又は複数の液体溶媒の超過量をすべて除去し(306)、
前記一又は複数の液体溶媒を実質的に吸収した前記硬化複合積層材(30)を、前記一又は複数の液体溶媒の最低溶媒沸点よりも低い温度に予熱し(308)、
前記一又は複数の液体溶媒を実質的に吸収した予熱した前記硬化複合積層材(30)を、前記一又は複数の液体溶媒の最高溶媒沸点よりも高い温度まで急速に加熱して(310)、前記一又は複数の液体溶媒の液体から気体への位相変化を起こして、前記硬化複合積層材を剥離させ、前記硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物を得る(312)
ことを含む方法。
【請求項2】
前記剥離回収物の汚染物質の仕分け及び分類を行って(314)、非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物(150)と、非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物(152)とに分けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物を成形コンパウンドのダイレクトフィードとして使用する(316)ことをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物(152)を下記の、
前記非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物(152)から樹脂マトリックス(56)を除去し、
前記非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物の複数の繊維(32)にバインダー剤を塗布して(194)、前記複数の繊維を無傷に保ち、
前記バインダー剤を塗布した前記剥離回収物を成形コンパウンドのフィード(196)として使用する
ステップによって処理することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記一又は複数の液体溶媒(60)は、水、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、塩酸、及びこれらのうちの一又は複数の組み合わせを含むグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記前処理(304)が熱、圧力、又は熱及び圧力の組み合わせによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
硬化複合積層材(30)を、硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物にリサイクルするシステムであって、
樹脂マトリックス(56)と、繊維容積分率及び薄板レベルの繊維アライメントを有する複数の繊維(32)を含む硬化複合積層材(30)と、
前記硬化複合積層材(30)を浸して前記硬化複合積層材に前記一又は複数の液体溶媒を実質的に吸わせる前記一又は複数の液体溶媒を含む前処理溶媒浸漬装置(58)と、
前記硬化複合積層材が吸収しなかった前記一又は複数の液体溶媒の超過量をすべて除去する液体溶媒除去装置(66)と、
前記硬化複合積層材を、一又は複数の液体溶媒の最低溶媒沸点よりも低い温度に予熱する予熱エネルギー装置(68)と、
予熱した前記硬化複合積層材を、実質的に前記一又は複数の液体溶媒の最高溶媒沸点よりも高い温度まで急速に加熱して、前記一又は複数の液体溶媒の液体から気体への位相変化を起こして前記硬化複合積層材を剥離させ、前記硬化複合積層材と実質的に同じ繊維容積分率と薄板レベルの繊維アライメントを維持する剥離回収物を得る位相変化剥離装置(136)
を備えるシステム。
【請求項8】
前記剥離回収物の汚染物質の仕分け及び分類を行って、非損傷樹脂マトリックスを有する剥離回収物と、非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物とに分ける汚染物質の仕分け及び分類装置(148)をさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記非損傷樹脂マトリックスを有さない剥離回収物に対して、樹脂マトリックス除去装置(184)と、バインダー塗布装置(186)とをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記一又は複数の液体溶媒(60)は、水、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、塩酸、及びこれらのうちの一又は複数の組み合わせを含むグループから選択される、請求項7に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図17B】
image rotate


【公開番号】特開2013−103223(P2013−103223A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−250362(P2012−250362)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】