説明

積層板、金属箔張り積層板、プリント配線板及び回路基板並びにLEDバックライトユニット、LED照明装置、積層板の製造方法

【課題】放熱性の高い積層板を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂組成物を含有する不織布層1。熱硬化性樹脂組成物には無機充填材が熱硬化性樹脂100体積部に対して150体積部より多く、400体積部以下含有。無機充填材は(A)2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するギブサイト型水酸化アルミニウム粒子。(B)1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有するベーマイト粒子と、1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有する、遊離開始温度が400℃以上である結晶水を含有する又は結晶水を含有しない無機粒子とからなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機成分。(C)1.5μm以下の平均粒子径(D50)を有する酸化アルミニウム粒子からなる微粒子成分。ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)と無機成分(B)と微粒子成分(C)との配合比(体積比)が1:0.1〜3:0.1〜3。エポキシ樹脂とフェノール化合物とが含有。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器用の積層板、金属箔張り積層板、プリント配線板及び回路基板並びにLEDバックライトユニット、上記積層板の製造方法に関するものであり、特に、発光ダイオード(LED)などの発熱部品を搭載するために好適に用いられる積層板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、不織布基材に樹脂組成物を含有させた不織布層の表面に、織布基材に樹脂組成物を含有させた表材層を積層一体化した積層板が提供されている(例えば、特許文献1参照)。このような積層板はその表面に導体パターンを形成することによって、電気電子部品を搭載するためのプリント配線板に加工されるものであり、また、この導体パターンを用いて電気回路を形成することにより回路基板に加工されるものである。
【0003】
しかし、最近では、積層板に搭載される電気電子部品として発熱の多いものを用いたり、発熱する電気電子部品の搭載密度を高くしたりすることがあり、このような場合に対応するために、放熱性の高い積層板が要望されていた。放熱性の高い積層板を用いると、電気電子部品から発生する熱が積層板を介して放熱しやすくなり、電気電子部品の長寿命化が図れるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−272671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、耐熱性やドリル加工性を損なうことなく、放熱性の高い積層板及びその製造方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、放熱性の高い金属箔張り積層板、プリント配線板及び回路基板並びにLEDバックライトユニット、LED照明装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物を含有する不織布層を備えた積層板であって、前記熱硬化性樹脂組成物には無機充填材が熱硬化性樹脂100体積部に対して150体積部より多く、400体積部以下含有されており、前記無機充填材は、(A)2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するギブサイト型水酸化アルミニウム粒子と、(B)1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有するベーマイト粒子と、1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有する、遊離開始温度が400℃以上である結晶水を含有する又は結晶水を含有しない無機粒子とからなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機成分と、(C)1.5μm以下の平均粒子径(D50)を有する酸化アルミニウム粒子からなる微粒子成分とを含有し、前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)と前記無機成分(B)と前記微粒子成分(C)との配合比(体積比)が1:0.1〜3:0.1〜3であり、前記熱硬化性樹脂には、エポキシ樹脂とこのエポキシ樹脂の硬化剤成分としてフェノール化合物とが含有されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物を含有する不織布層を備えた積層板であって、前記熱硬化性樹脂組成物には無機充填材が熱硬化性樹脂100体積部に対して150体積部より多く、400体積部以下含有されており、前記無機充填材は、(A)2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するギブサイト型水酸化アルミニウム粒子と、(B)1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有するベーマイト粒子と、1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有する、遊離開始温度が400℃以上である結晶水を含有する又は結晶水を含有しない無機粒子とからなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機成分と、(C)1.5μm以下の平均粒子径(D50)を有する酸化アルミニウム粒子からなる微粒子成分とを含有し、前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)と前記無機成分(B)と前記微粒子成分(C)との配合比(体積比)が1:0.1〜3:0.1〜3であり、前記熱硬化性樹脂には、エポキシビニルエステル樹脂とラジカル重合性不飽和単量体と重合開始剤とが含有されていることを特徴とするものである。
【0008】
前記不織布層の表面に織布層が形成されるのが好ましい。
【0009】
前記不織布層の不織布基材の結着剤がエポキシ化合物であることが好ましい。
【0010】
前記織布層には水酸化アルミニウムが含有されていることが好ましい。
【0011】
本発明の金属箔張り積層板は、前記積層板の少なくとも一表面に金属箔を設けて成ることを特徴とするものである。
【0012】
本発明のプリント配線板は、前記積層板の少なくとも一表面に導体パターンを設けて成ることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の回路基板は、前記積層板の少なくとも一表面に回路を設けて成ることを特徴とするものである。
【0014】
本発明のLEDバックライトユニットは、前記積層板の少なくとも一表面にLEDを実装して成ることを特徴とするものである。
【0015】
本発明のLED照明装置は、前記積層板の少なくとも一表面にLEDを実装して成ることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の積層板の製造方法は、不織布基材を連続的に搬送しながら熱硬化性樹脂組成物を前記不織布基材に含浸し、この不織布基材を連続的に搬送しながらその両表面に織布を積層し、この積層物をロールで圧着し加熱することにより前記熱硬化性樹脂組成物を硬化させて不織布層及び織布層を形成する積層板の製造方法であって、前記熱硬化性樹脂組成物には無機充填材が熱硬化性樹脂100体積部に対して150体積部より多く、400体積部以下含有されており、前記無機充填材は、(A)2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するギブサイト型水酸化アルミニウム粒子と、(B)1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有するベーマイト粒子と、1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有する、遊離開始温度が400℃以上である結晶水を含有する又は結晶水を含有しない無機粒子とからなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機成分と、(C)1.5μm以下の平均粒子径(D50)を有する酸化アルミニウム粒子からなる微粒子成分とを含有し、前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)と前記無機成分(B)と前記微粒子成分(C)との配合比(体積比)が1:0.1〜3:0.1〜3であり、前記熱硬化性樹脂には、エポキシビニルエステル樹脂とラジカル重合性不飽和単量体と重合開始剤とが含有されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の積層板では、耐熱性やドリル加工性を損なうことなく、放熱性を高くすることができるものである。
【0018】
本発明の金属箔張り積層板、プリント配線板及び回路基板並びにLEDバックライトユニット、LED照明装置では、放熱性を高くすることができるものである。
【0019】
本発明の積層板の製造方法は、積層板を連続的に製造することができ、バッチ式に比べて、生産性を向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は本発明の積層板の実施の形態の一例を示す断面図、(b)は他の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の積層板の製造方法の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図3】本発明のLEDバックライトユニットの実施の形態の一例を示す概略図である。
【図4】本発明のLEDバックライトユニットの実施の形態の他例を示し、(a)(b)は概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0022】
図1(a)に示すように、本発明の積層板Aは熱硬化性樹脂組成物を含有する不織布層1を備えて形成されるものである。不織布層1は不織布基材に熱硬化性樹脂組成物を含有するプリプレグの硬化物等で形成することができる。
【0023】
不織布基材としては、例えば、ガラス不織布やガラス紙、あるいはアラミド繊維やポリエステル繊維、ポリアミド繊維(ナイロン)等の合成樹脂繊維を用いた合成樹脂不織布や紙から選ばれるいずれかを用いることができる。不織布基材の厚みは10〜300μmとすることができるが、これに限定されるものではない。不織布基材の結着剤としては熱的強度に優れるエポキシ化合物を用いることが好ましい。ここで結着剤とは、不織布基材を構成する繊維を接着して固めるためのバインダーである。結着剤のエポキシ化合物としては、エポキシシランなどを用いることができる。また、結着剤は、不織布基材を構成する繊維100質量部に対して5〜25質量部配合するのが好ましい。
【0024】
熱硬化性樹脂組成物は熱硬化性樹脂と無機充填材とを含有するものである。熱硬化性樹脂としては、例えば、常温で液状の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、熱硬化性樹脂としては、樹脂成分と硬化剤成分との混合物を用いることができる。樹脂成分としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などのラジカル重合型熱硬化性樹脂等を用いることができる。
【0025】
具体的な熱硬化性樹脂としては、樹脂成分としてエポキシ樹脂を用いたものを例示することができる。この場合、ビスフェノールA型,ビスフェノールF型,クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、キサンテン型、ジシクロペンタジエン型、アントラセン型などの群から選ばれる少なくとも一つのエポキシ樹脂を用いることができる。また、エポキシ樹脂の硬化剤成分としてはジシアンジアミドやフェノール化合物を用いることができるが、積層板の耐熱性の向上のためにフェノール化合物を用いるのが好ましい。このフェノール化合物としては、アリルフェノール、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック、トリアジン構造含有フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ジシクロペンタジエン構造含有フェノール樹脂、ザイロック型フェノール、テルペン変性フェノール、ポリビニルフェノール類、ナフタレン構造含有フェノール系硬化剤、フルオレン構造含有フェノール系硬化剤などの群から選ばれる少なくとも一つを用いることができる。また、フェノール化合物の硬化剤成分はエポキシ樹脂100質量部に対して30〜120質量部配合することができる。
【0026】
具体的な熱硬化性樹脂の他の一例として、樹脂成分としてエポキシビニルエステル樹脂を用いることができ、この場合、硬化剤成分としてラジカル重合性不飽和単量体と重合開始剤とを用いることができる。
【0027】
エポキシビニルエステル樹脂を得るために用いるエポキシ樹脂としては、特に構造が限定されるものではないが、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル類、グリシジルエステル類、グリシジルアミン類、複素環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂などが挙げられる。上記のビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。上記のノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。上記脂環式エポキシ樹脂としては、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレ−ト、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等が挙げられる。上記グリシジルエステル類としては、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等が挙げられる。上記グリシジルアミン類としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルP−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン等が挙げられる。上記複素環式エポキシ樹脂としては、1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0028】
また、臭素化エポキシ樹脂としては、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールF型エポキシ樹脂、ブロム化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0029】
上記エポキシ樹脂の中でも、特に難燃性に優れる点で、臭素化エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。更には、これらエポキシ樹脂のエポキシ基の一部に、カルボキシル基含有ゴム状重合体を反応させたエポキシ樹脂も用いることもできる。このようなカルボキシル基含有ゴム状重合体を反応させたエポキシ樹脂は、得られる銅張積層板等の積層板の耐衝撃性やパンチング加工性、層間密着性を向上させる点で特に好ましい。
【0030】
上記のカルボキシル基含有ゴム状重合体としては、カルボキシル基含有単量体と共役ジエン系単量体とに必要に応じて他の単量体を共重合させたもの、あるいは、共役ジエン系単量体と他の単量体とを共重合させたものにカルボキシル基を導入したもの等が挙げられる。カルボキシル基は、分子の末端、側鎖のいずれに位置していても良く、その量は1分子中に1〜5個であるのが好ましく、1.5〜3個であるのがより好ましい。
【0031】
上記の共役ジエン系単量体としてはブタジエン、イソプレン、クロロプレン等がある。また、必要に応じて用いられる他の単量体としては、アクリロニトリル、スチレン、メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等があるが、得られる反応物のラジカル重合性不飽和単量体との相溶性の点から、アクリロニトリルをゴム状重合体に10〜40重量%共重合させるのが好ましく、15〜30重量%共重合させるのがより好ましい。
【0032】
尚、エポキシビニルエステル樹脂を製造するにあたっては、エポキシ樹脂、カルボキシル基含有ゴム状重合体およびエチレン性不飽和一塩基酸の各成分を同時に反応させるようにしてもよく、また、エポキシ樹脂とカルボキシル基含有ゴム状重合体とを反応させた後、エチレン性不飽和一塩基酸を反応させるようにしてもよい。この際、エポキシビニルエステル樹脂を得るために用いるエポキシ樹脂とカルボキシル基含有ゴム状重合体及びエチレン性不飽和一塩基酸との反応比率については、特に制限されるものではないものの、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量当たり、カルボキシル基含有ゴム状重合体とエチレン性不飽和一塩基酸の総カルボキシル基が0.8〜1.1当量となる範囲であるのが好ましく、特に貯蔵安定性に優れる樹脂が得られる点で、0.9〜1.0当量となる範囲とするのが好ましい。
【0033】
また、エポキシビニルエステル樹脂の製造において、エポキシ樹脂との反応に使用されるエチレン性不飽和一塩基酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、モノメチルマレート、モノブチルマレート、ソルビン酸などが挙げられ、なかでもメタクリル酸が好適とされる。
【0034】
上記のラジカル重合性不飽和単量体は、1分子中に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有するものである。このようなラジカル重合性不飽和単量体としては、例えば、ジアリルフタレート、スチレン、メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、(メタ)アクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が用いられる。
【0035】
尚、ラジカル重合性不飽和単量体の配合量については、エポキシビニルエステル樹脂とラジカル重合性不飽和単量体との合計量100質量部に対して、25質量部以上、45質量部以下の割合とするのが好ましい。25質量部以上とすれば、得られる熱硬化性樹脂組成物の不織布基材や織布基材に対する含浸性が良好となり、また、45質量部以下とすれば、この熱硬化性樹脂組成物を用いて得られる積層板が寸法安定性に優れ、かつ高耐熱性にも優れるものとなるからである。
【0036】
上記の重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド類、ベンゾイルパーオキシド、イソブチルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ブタン等のパーオキシケタール類、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のアルキルパーエステル類、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチルカーボネート等のパーカーボネート類など、有機過酸化物が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が用いられる。このような有機過酸化物を用いることにより、熱硬化性樹脂組成物は加熱硬化するものとなっている。
【0037】
重合開始剤の熱硬化性樹脂への配合量については、特に制限されるものではないものの、エポキシビニルエステル樹脂とラジカル重合性不飽和単量体との合計量100質量部に対して、0.5〜5.0質量部程度の範囲に設定するのが好ましい。特に、熱硬化性樹脂組成物のワニスライフや硬化性の点で、0.9〜2.0質量部の範囲とするのがより好ましい。
【0038】
無機充填材としては、2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)と、1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有するベーマイト粒子と、1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有する、遊離開始温度が400℃以上である結晶水を含有する又は結晶水を含有しない無機粒子とからなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機成分(B)と、1.5μm以下の平均粒子径(D50)を有する酸化アルミニウム粒子からなる微粒子成分(C)とを用いる。尚、本明細書において、無機充填材の平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置にて測定して得られる粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒子径を意味する。
【0039】
ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)は、Al(OH)またはAl・3HOで表されるアルミニウム化合物であり、積層板Aに、熱伝導性、難燃性、ドリル加工性をバランスよく付与する成分である。また、ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)の平均粒子径(D50)は、2〜15μmであり、好ましくは3〜10μmである。ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)の平均粒子径(D50)が15μmを超える場合にはドリル加工性が低下し、2μm未満の場合には、熱伝導性が低下するとともに、生産性が低下する。また、ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)としては、平均粒子径(D50)が2〜10μmの第1のギブサイト型水酸化アルミニウムと、平均粒子径(D50)が10〜15μmの第2のギブサイト型水酸化アルミニウムとの配合物を用いることが、充填材がより密に充填されることにより、放熱性がさらに向上する点から好ましい。
【0040】
無機成分(B)は、ベーマイト粒子、及び遊離開始温度が400℃以上である結晶水を含む、又は結晶水を有しない無機粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種である。ベーマイト粒子は、(AlOOH)または(Al・HO)で表されるアルミニウム化合物であり、積層板Aの耐熱性を低下させずに熱伝導性と難燃性とを付与する成分である。ベーマイト粒子の平均粒子径(D50)は、1.5〜15μmであり、好ましくは3〜10μmである。ベーマイト粒子の平均粒子径(D50)が15μmを超える場合にはドリル加工性が低下し、1.5μm未満の場合には、熱伝導性が低下するとともに、生産性が低下する。
【0041】
遊離開始温度が400℃以上である結晶水を含む、又は結晶水を有しない無機粒子は、回路基板の耐熱性を低下させずに熱伝導性と難燃性とを付与する成分である。このような無機粒子の具体例としては、酸化チタン(結晶水無し)、酸化マグネシウム(結晶水無し)、結晶性シリカ(結晶水無し)等の無機酸化物;窒化ホウ素(結晶水無し)、窒化アルミニウム(結晶水無し)、窒化ケイ素(結晶水無し)等の無機窒化物;炭化ケイ素(結晶水無し)等の無機炭化物;及びタルク(遊離開始温度950℃)、カオリン(遊離開始温度500〜1000℃)等の天然鉱物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、結晶性シリカ、タルク、カオリン、クレー等が熱伝導性に優れている点から特に好ましい。尚、結晶水の遊離開始温度は、加熱重量減分析(TGA)または示唆走査熱量分析(DSC)を用いて測定することができる。無機粒子の平均粒子径(D50)は、1.5〜15μmであり、好ましくは3〜10μmである。無機粒子の平均粒子径(D50)が15μmを超える場合にはドリル加工性が低下するおそれがある。尚、遊離開始温度の上限は特に設定されないが、例えば、1000℃である。
【0042】
また、無機成分(B)としては、ドリル加工時のドリルの摩耗を少なくするために、モース硬度が酸化アルミニウムのモース硬度12より小さい必要があり、好ましくは7.5以下で、より好ましくは6.0以下で、最も好ましくは5.0以下である。例えば、上記無機成分(B)のモース硬度は、酸化チタン(アナターゼ型)が5.5〜6.0、酸化チタン(ルチル)が7.0〜7.5、酸化マグネシウムが2.5、結晶性シリカが7.0、窒化ホウ素が2.0、窒化アルミニウムが7.0、窒化ケイ素が9.5、タルクが1.0、焼成カオリンが2.0、クレーが2.0である。
【0043】
微粒子成分(C)は、得られる積層板に高い熱伝導性を付与する成分である。微粒子成分(C)を構成する酸化アルミニウム粒子は平均粒子径(D50)が1.5μm以下であり、好ましくは0.4〜0.8μmである。微粒子成分(C)の平均粒子径が1.5μmを超える場合には、積層板Aに充分な配合量で充填しにくくなり、また、ドリル加工性も低下する。また、微粒子成分(C)の平均粒子径が小さすぎる場合には、積層板Aの熱伝導率が不充分になるおそれがある。また、酸化アルミニウム粒子はモース硬度が12と硬いが、平均粒子径(D50)が1.5μm以下であるので、ドリル加工性を損なわないようにすることができる。
【0044】
前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)と前記無機成分(B)と前記微粒子成分(C)の配合比(体積比)は、1:0.1〜3:0.1〜3であり、好ましくは、1:0.1〜2:0.1〜2であり、より好ましくは、1:0.1〜1:0.1〜1である。ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)の配合量1に対して、無機成分(B)の配合量が3を超える場合には、得られる積層板Aのドリル加工性や放熱性が低下し、0.1未満の場合には、耐熱性が低下する。また、ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)の配合量1に対して、微粒子成分(C)の配合量が3を超える場合には、ドリル加工性が低下し、0.1未満の場合には、熱伝導率が低下したり、また、無機充填材を高配合することが困難となり、成形性が悪化するおそれがある。
【0045】
熱硬化性樹脂100体積部に対する無機充填材の配合割合は、80〜400体積部であり、好ましくは、90〜400体積部、さらに好ましくは、100〜400体積部である。無機充填材の配合割合が80体積部未満の場合には、得られる積層板Aの熱伝導率が低くなり、400体積部を超える場合には、ドリル加工性が低下するとともに、積層板Aの製造性(樹脂含浸性、成形性)も低下する。また、特に、ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)の配合割合が多すぎる場合、具体的には100体積部を超えるような場合には、結晶水が多く発生することにより耐熱性が低下する傾向がある。尚、無機成分(B)として、ベーマイト粒子と、遊離開始温度が400℃以上である結晶水を含む、又は結晶水を有しない無機粒子とが配合されたものである場合は、無機粒子の配合割合は、無機充填材全量中50体積%以下、さらには30体積%以下、特に20体積%以下であることが好ましい。
【0046】
熱硬化性樹脂組成物は、液状等の前記熱硬化性樹脂に、上述したギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)と、無機成分(B)と、微粒子成分(C)とを含有する無機充填材を配合し、ディスパー、ボールミル、ロール等を用いて、各無機充填材の粒子を分散させる公知の調製方法により調製される。尚、熱硬化性樹脂組成物には必要に応じて熱硬化性樹脂の硬化触媒等の各種添加剤を配合することができる。また、熱硬化性樹脂組成物の粘度調整や不織布基材への含浸性等を考慮して必要に応じて有機溶剤等の溶剤、減粘剤、カップリング剤などの加工助剤を配合することもできる。
【0047】
不織布層1を形成するためのプリプレグは、前記不織布基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、この後、不織布基材に含浸させた熱硬化性樹脂組成物を加熱乾燥等により半硬化状態(Bステージ状態)にすることにより得ることができる。不織布層1を形成するためのプリプレグでは、プリプレグ全量に対して熱硬化性樹脂組成物の含有量は40〜95質量%とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0048】
そして、本発明の積層板Aを製造するにあたっては、不織布層1を形成するためのプリプレグを一枚または複数枚重ね合わせた後、これを加熱加圧成形することによって、プリプレグ中の熱硬化性樹脂を硬化させるようにする。また、本発明の金属箔張り積層板は、不織布層1の表面に銅箔やニッケル箔などの金属箔3を設けることによって、積層板Aが絶縁層となった片面又は両面金属箔張り積層板として形成することができる。この場合、不織布層1を形成するためのプリプレグと、金属箔3とを重ね合わせた後、加熱加圧成形することにより、不織布層1と金属箔3とを積層一体化するものである。積層板A及び金属箔張り積層板を製造する際の加熱加圧成形の条件は、熱硬化性樹脂の種類等に応じて適宜設定可能であるが、例えば、温度80〜250℃、圧力0.05〜0.98kPa(5〜100kgf/m)、時間20〜300分とすることができる。
【0049】
また、本発明のプリント配線板は上記積層板Aの表面に導体パターンを設けることにより形成することができる。この場合、上記金属箔張り積層板にアディティブ法やサブトラクティブ法等の回路加工処理やスルーホール加工を施すことによりプリント配線板に加工することができる。また、本発明の回路基板は上記積層板Aに電気電子回路を設けることにより形成することができる。この場合、上記金属箔張り積層板から形成されるプリント配線板の導体パターンを用いて電気電子回路を形成することができる。また、本発明のLED搭載用回路基板は上記積層板AにLED搭載用の電気電子回路を設けることにより形成することができる。この場合、上記回路基板の電気電子回路をLED搭載用の電気電子回路として形成することができる。
【0050】
図1(b)に本発明の積層板Aの他の実施の形態を示す。この積層板Aは、熱硬化性樹脂組成物を含有する不織布層1と、熱硬化性樹脂組成物を含有する織布層2とを備えて形成される、所謂、コンポジット積層板である。コンポジット積層板は放熱性の面では上記積層板(不織布層1のみから絶縁層が形成され、織布を用いていないもの)よりも劣るものの、安価で寸法安定性、力学物性の面で優れるものである。不織布層1は上記と同様に、不織布基材に熱硬化性樹脂組成物を含有するプリプレグの硬化物等で形成することができる。また、織布層2は織布基材に熱硬化性樹脂組成物を含有するプリプレグの硬化物等で形成することができる。
【0051】
このようなコンポジット積層板の場合、不織布層1は上記と同様に形成することができるが、熱硬化性樹脂100体積部に対する無機充填材の配合割合は、150〜400体積部にするのが好ましい。無機充填材の配合割合が150体積部未満の場合には、得られる積層板Aの熱伝導率が低くなるおそれがあり、400体積部を超える場合には、ドリル加工性が低下したり、積層板Aの製造性(樹脂含浸性、成形性)が低下したりするおそれがある。
【0052】
織布層2を形成するための織布基材としては、例えば、ガラスクロスあるいはアラミド繊維やポリエステル繊維、ポリアミド繊維(ナイロン)等の合成樹脂繊維を用いた合成樹脂クロスから選ばれるいずれかを用いることができる。織布基材の厚みは50〜500μmとすることができるが、これに限定されるものではない。
【0053】
織布層2を形成するための熱硬化性樹脂組成物としては、不織布層1を形成するための上記熱硬化性樹脂組成物と同一であっても良いし、異なっていても良く、異ならせる場合は、使用する熱硬化性樹脂や無機充填材の種類、熱硬化性樹脂に対する無機充填材の含有量などを変えることができる。特に、好ましくは、不織布層1を形成するための上記熱硬化性樹脂組成物から無機充填材を除いたもの、すなわち、上記熱硬化性樹脂とその他必要に応じて配合される溶剤や添加剤からなるものを用いることができる。これにより、織布基材への熱硬化性樹脂組成物の含浸性を高めることができる。織布層2に無機充填材を含有させる場合は、積層板の耐トラッキング性の向上のために、無機充填材として水酸化アルミニウムを用いるのが好ましい。これにより、水酸化アルミニウムの結晶水が積層板の表面の熱分解、炭化を阻害すると考えられ、積層板の耐トラッキング性が向上すると考えられる。また、積層板の耐トラッキング性の向上のために、織布層2中の熱硬化性樹脂100体積部に対する水酸化アルミニウムは25〜150体積部であることが好ましい。また、平均粒子径(D50)が2〜15μmの水酸化アルミニウムを用いるのが好ましい。
【0054】
織布層2を形成するためのプリプレグは、前記織布基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、この後、織布基材に含浸させた熱硬化性樹脂組成物を加熱乾燥等により半硬化状態(Bステージ状態)にすることにより得ることができる。織布層2を形成するためのプリプレグでは、プリプレグ全量に対して熱硬化性樹脂組成物の含有量は40〜95質量%とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0055】
そして、図1(b)に記載の本発明の積層板Aとしてコンポジット積層板を形成するにあたっては、不織布層1を形成するためのプリプレグと、織布層2を形成するためのプリプレグとを重ね合わせた後、これを加熱加圧成形することによって、各プリプレグ中の熱硬化性樹脂を硬化させて不織布層1及び織布層2を形成すると共にこれらの熱硬化性樹脂の硬化で不織布層1と織布層2とを接着して積層一体化する。ここで、不織布層1及び織布層2はそれぞれ一枚又は複数枚のプリプレグを重ねて形成することができる。また、不織布層1の両表面に織布層2を形成することができる。また、このコンポジット積層板を用いた金属箔張り積層板は、織布層2の表面にさらに銅箔やニッケル箔などの金属箔3を設けることによって、コンポジット積層板が絶縁層となった片面又は両面金属箔張り積層板として形成することができる。この場合、不織布層1を形成するためのプリプレグと、織布層2を形成するためのプリプレグと、金属箔3とを重ね合わせた後、加熱加圧成形することにより、不織布層1と織布層2と金属箔3とを積層一体化するものである。加熱加圧成形の条件は上記と同様である。
【0056】
コンポジット積層板は連続的に生産することができる。図2に両面金属箔張りコンポジット積層板の製造方法の一例を示す。不織布基材であるガラス不織布は、ガラス繊維製のペーパーであり、連続的に供給することができる長尺物であって、内部や表面に空隙を有し、熱硬化性樹脂組成物を含浸可能なものであれば特に限定はない。ガラス不織布の厚みとしては、0.03〜0.4mmが一般的であるが、この厚みのものに限定されない。また、織布基材であるガラス織布は、ガラス繊維製のガラス製の織布であり、連続的に供給することができる長尺物であって、内部や表面に空隙を有し、熱硬化性樹脂組成物を含浸可能なものであれば特に限定はない。ガラス織布の厚みとしては、0.015〜0.25mmが一般的であるが、この厚みのものに限定されない。
【0057】
そして、まず、不織布基材であるガラス不織布に上記熱硬化性樹脂組成物を含浸させる。次に、熱硬化性樹脂組成物を含浸させたガラス不織布の両表面に熱硬化性樹脂含浸ガラス織布を連続的に積層し、この積層物をロールで圧着し加熱してコンポジット型の積層板を製造する。ここで、熱硬化性樹脂組成物を含浸させたガラス不織布を1枚または複数枚を重ね合わせて用いてもよい。また、熱硬化性樹脂含浸ガラス織布は、上記で説明した熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂組成物を含浸させてなる上記のガラス製の織布である。ガラス織布の厚みとしては、0.015〜0.25mmが一般的であるが、この厚みのものに限定されない。また、熱硬化性樹脂含浸ガラス織布も一枚または複数枚重ね合わせて用いてもよい。さらに、その片面または両面の表層に金属箔を積層してもよい。金属箔としては、連続的に供給することができる長尺の金属製の箔であれば特に限定するものではなく、銅箔、ニッケル箔等が挙げられる。金属箔の厚みとしては、0.012〜0.07mmが一般的であるが、この厚みのものに限定されない。
【0058】
図2に示すように、上記の熱硬化性樹脂組成物11を連続的に供給されるガラス不織布10に含浸させた二枚の熱硬化性樹脂含浸ガラス不織布12と、連続的に供給される二枚の熱硬化性樹脂含浸ガラス織布9と、連続的に供給される2枚の金属箔13とを、熱硬化性樹脂含浸ガラス不織布12をコアにし、その両側(上下)に熱硬化性樹脂含浸ガラス織布9を配置し、さらにその両表層に金属箔13が配置されるように積層する。その後、その積層した積層物をラミネートロール14で圧着し、次いでその圧着した圧着物15を引き出しロール18で引っ張って進行させながら、加熱硬化炉17でその圧着物15中の熱硬化性樹脂組成物11が硬化する温度に圧着物15を加熱して硬化させた後、カッター19で所定の大きさに切断して連続的に金属箔が表面に積層されたコンポジット積層板Aを得るのである。符号171は加熱硬化炉17内に配設した搬送ロールである。
【0059】
尚、ラミネートロール14で圧着する条件としては特に限定はなく、用いたガラス不織布10やガラス織布の種類や熱硬化性樹脂組成物11の粘度等に応じて適宜調整され得る。また、加熱硬化の温度や時間などの条件は、特に限定はなく、使用する熱硬化性樹脂組成物11の成分配合やその硬化させたい硬化程度に応じて適宜設定され得る。切断後、更にこの積層板Aの硬化を進めるために加熱する(アフターキュアーする)ようにしてもよい。
【0060】
上記では熱硬化性樹脂含浸ガラス不織布12の枚数が二枚の場合であったが、熱硬化性樹脂含浸ガラス不織布12の枚数は一枚でもよく、三枚以上でもよい。また、上記では金属箔13の枚数は二枚であったが、一枚であってもよいし、熱硬化性樹脂含浸ガラス不織布12が複数枚の場合には、熱硬化性樹脂含浸ガラス不織布同士の間にさらに金属箔を積層するようにしてもよい。また、不織布基材及び織布基材はガラス繊維を用いたものに限らず、他の材質の繊維を用いたものであってもよい。さらに、熱硬化性樹脂組成物が湿潤分散剤を含み、その配合量が無機充填材に対し0.05〜5質量%であると、無機充填材が熱硬化性樹脂含浸ガラス織布9や熱硬化性樹脂含浸ガラス不織布12中に均一に分散するようになるので、反りが生じにくく、はんだ耐熱性が高まる。
【0061】
上記のようなコンポジット積層板を用いた本発明のプリント配線板は、上記コンポジット積層板の表面に導体パターンを設けることにより形成することができる。この場合、上記金属箔張り積層板にアディティブ法やサブトラクティブ法等の回路加工処理やスルーホール加工を施すことによりプリント配線板に加工することができる。また、コンポジット積層板を用いた本発明の回路基板は、上記コンポジット積層板に電気電子回路を設けることにより形成することができる。この場合、上記金属箔張り積層板から形成されるプリント配線板の導体パターンを用いて電気電子回路を形成することができる。また、、コンポジット積層板を用いた本発明のLED搭載用回路基板は上記コンポジット積層板AにLED搭載用の電気電子回路を設けることにより形成することができる。この場合、上記回路基板の電気電子回路をLED搭載用の電気電子回路として形成することができる。
【0062】
そして、本発明の積層板(コンポジット積層板を含む)Aは不織布層1に無機充填材を高充填で配合しているため、熱伝導率を高くすることができ、積層板Aの全体に熱を直ぐに拡散させやすくて放熱性が高くなるものである。従って、本発明の積層板Aから形成される金属箔張り積層板、プリント配線板、回路基板でも同様の作用効果を奏するものであり、これらにLED等の発熱する電気電子部品を搭載することによって、電気電子部品から発生する熱を熱伝導性の高い金属箔張り積層板、プリント配線板、回路基板に伝導させて拡散させやすいものであり、この結果、金属箔張り積層板、プリント配線板、回路基板からの放熱性が高くなって電気電子部品の熱劣化を低下さえることができ、電気電子部品の長寿命化を図ることができるものである。また、本発明のLED搭載用回路基板は、LEDを搭載することによって、LEDから発生する熱を伝導させて拡散させやすいものであり、この結果、LED搭載用回路基板からの放熱性が高くなってLEDの熱劣化を低下さえることができ、LEDの長寿命化を図ることができるものである。
【0063】
また、本発明の積層板Aにおいては、不織布層1を構成する樹脂組成物中に、ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)を配合し、また、平均粒子径が小さな微粒子成分(C)を所定量配合しているために、積層板Aのドリル加工時のドリル刃の摩耗を抑制することができる。そのために、ドリルを長寿命化させることができる。また、スルーホール形成のためにドリル加工を適用しても、形成される孔の内面には凹凸が形成されにくく、この孔の内面を平滑に形成することもできる。このために孔の内面にホールメッキを施してスルーホールを形成した場合にこのスルーホールに高い導通信頼性を付与することもできる。また、熱伝導性に優れた微粒子成分(C)を配合することにより、積層板の熱伝導性を著しく向上させることができる。尚、小さい粒子径の微粒子成分(C)を配合するために、積層板のドリル加工性を著しく低下させることがない。また、前記無機成分(B)を配合することにより、耐熱性及びドリル加工性を著しく低下させることなく、熱伝導性を付与することができる。
【0064】
本発明の積層板Aは、液晶ディスプレイに搭載されるようなLEDバックライトユニットのプリント配線基板や、LED照明装置用の回路基板等のような、高い放熱性が要求される用途に好ましく用いられる。このようなLED搭載用途では高放熱基板が必要で、熱伝導率が0.9W/m・K以上、好ましくは1.5W/m・K以上の高放熱基板であることが望ましい。具体的には、LEDの用途の一つとして、図3に示すように液晶ディスプレイに搭載されるような直下式等のLEDバックライトユニット20が挙げられる。図3におけるLEDバックライトユニット20は、上記積層板A又は上記積層板Aから形成される回路基板21に複数(図3では3個)のLED22が実装されたLEDモジュール23を多数配列して構成されており、液晶パネルの背面に配設することにより、液晶ディスプレイ等のバックライトとして用いられる。また、本発明の積層板Aを用いて、図4(a)(b)に示すように、液晶ディスプレイに搭載されるようなエッジ型のLEDバックライトユニット20を形成することもできる。図4(a)(b)におけるLEDバックライトユニット20は、上記積層板A又は上記積層板Aから形成される短冊状の回路基板21に複数のLED22が実装された一対のLEDモジュール23で構成されており、各LEDモジュール23を導光板24等の上下(又は左右)に配設することにより、液晶ディスプレイ等のバックライトとして用いられる。エッジ型のLEDバックライトユニット20は、直下式のLEDバックライトユニット20に比べて、LEDが高密度に設けられるため、本発明の積層板Aのような放熱性の高いものを用いるのが好ましい。従来から広く普及しているタイプの液晶ディスプレイには、液晶ディスプレイのバックライトとして冷陰極管(CCFL)方式のバックライトが広く用いられてきたが、近年、冷陰極管方式のバックライトに比べて色域を広げることができるために画質を向上させることができ、また、水銀を用いていない点から環境負荷が小さく、さらに薄型化も可能であるという利点から、上記のようなLEDバックライトユニットが活発に開発されている。LEDモジュールは、一般的に、冷陰極管に比べて消費電力が大きく、そのために発熱量が多い。このような高い放熱性が要求されるような回路基板21として、本発明の積層板Aを用いることにより、放熱の問題が大幅に改善される。したがって、LEDの発光効率を向上させることができる。
【0065】
また、本発明の積層板Aを用いてLED照明装置を形成することもできる。LED照明装置は、上記積層板A又は上記積層板Aから形成される回路基板に複数のLEDを実装し、このLEDを発光させる給電部などを備えて形成することができる。
【実施例】
【0066】
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0067】
(参考例1〜14、比較例1〜3)
樹脂成分であるビスフェノールA型エポキシ樹脂と、硬化剤成分であるジシアンジアミド(Dicy)系硬化剤とを含有する熱硬化性樹脂ワニスに、熱硬化性樹脂100体積部に対して、表1に示す配合量(単位は体積部)で無機充填材を配合して均一に分散させた。(A)成分としては、ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(住友化学(株)製、D50:5.4μm)とギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(住友化学(株)製、D50:12.6μm)を用いた。(B)成分としては、ベーマイト粒子(D50:3.0μm)を用いた。(C)成分としては、酸化アルミニウム粒子(住友化学(株)製、D50:0.5μm、アルミナ)を用いた。尚、熱硬化性樹脂100体積部に対する無機充填材の配合量は、熱硬化性樹脂ワニスの溶媒を除いた固形分(ビスフェノールA型エポキシ樹脂(樹脂成分)とジシアンジアミド系硬化剤(硬化剤成分)の合計量)100体積部に対する無機充填材の配合量である。
【0068】
上記の無機充填材が配合された熱硬化性樹脂ワニスを、目付け60g/m、厚み400μmのガラス不織布(バイリーン(株)製のガラス不織布、結着剤はエポキシシラン等であって、結着剤の配合量はガラス繊維100質量部に対して5〜25質量部)に含浸させ不織布層用のプリプレグを得た。
【0069】
そして、不織布層用のプリプレグを2枚重ね、その両外表面それぞれに、厚み0.018mmの銅箔を載せて積層体を得た。この積層体を2枚の金属プレート間に挟み、温度180℃、圧力0.3kPa(30kgf/m)の条件で加熱成型することにより、厚み1.0mmの銅箔張積層板を得た。
【0070】
得られた銅箔張積層板を以下の評価方法に従い、熱伝導率、オーブン耐熱性試験、ドリル加工性、及び難燃性を評価した。その結果を下記表1に示す。
【0071】
〈熱伝導率〉
得られた銅箔張積層板の密度を水中置換法により測定し、また、比熱をDSC(示差走査熱量測定)により測定し、さらに、レーザーフラッシュ法により熱拡散率を測定した。
【0072】
そして、熱伝導率を以下の式から算出した。
熱伝導率(W/m・K)=密度(kg/m)×比熱(kJ/kg・K)×熱拡散率(m/S)×1000
〈オーブン耐熱試験〉
得られた銅箔張積層板を用いて、JIS C 6481に準じて作製した試験片を200〜240℃に設定した空気循環装置付き恒温槽中で一時間処理したときに、銅箔および積層板にふくれ及びはがれが生じた温度を測定した。尚、オーブン耐熱試験の評価は、LED搭載用の基板としての使用では少なくとも220℃以上が好ましく、220℃未満では耐熱性が不足する恐れがある。
【0073】
〈ドリル加工性〉
得られた銅箔張積層板を3枚重ね、ドリル(ドリル径0.5mm、振れ角35°)にて60000回転/minで孔を3000個穿設した後のドリルの刃の摩耗率を、ドリル加工前のドリル刃の大きさ(面積)に対するドリル加工により摩耗したドリル刃の(面積)の割合(百分率)により求めて評価した。そして、摩耗率が90%以下のものを○、摩耗率が99%より小さく、90%より大きいものを△、摩耗率が99%以上のものを×とした。尚、ドリルの刃の摩耗率が小さいものほど、ドリルの刃の損失が小さく、ドリル加工性が高いといえる。また、ドリルの刃は10%残っていれば使用可能であり、上記のようにして孔を3000個穿設した後のドリルの刃の摩耗率が90%以下であれば、ドリルを頻繁に交換する必要がない。
【0074】
〈難燃性〉
得られた銅箔張積層板を所定の大きさに切り出し、UL−94の燃焼試験法に準じて燃焼試験を行い、判定した。そして、UL94−V0のものを○、UL94−V1のものを×とした。
【0075】
【表1】

【0076】
(参考例15〜20、比較例4〜6)
参考例1〜14及び比較例1〜3において、(B)成分として、ベーマイト粒子の代わりに、タルク(日本タルク(株)製、D50:5μm)を用いた。これ以外は、参考例1〜14及び比較例1〜3と同様にした。得られた銅箔張積層板について上記と同様の評価をした。その結果を下記表2に示す。
【0077】
【表2】

【0078】
(参考例21〜26、比較例7〜9)
参考例1〜14及び比較例1〜3において、(B)成分として、ベーマイト粒子の代わりに、シリカ(電気化学工業(株)製、D50:5μm)を用いた。これ以外は、参考例1〜14及び比較例1〜3と同様にした。得られた銅箔張積層板について上記と同様の評価をした。その結果を下記表3に示す。
【0079】
【表3】

【0080】
(参考例27〜32、比較例10)
参考例9において、(C)成分として、平均粒子径の異なる複数種の酸化アルミニウム粒子を用いた。これ以外は、参考例9と同様にした。得られた銅箔張積層板について上記と同様の評価をした。その結果を下記表4に示す。
【0081】
【表4】

【0082】
(参考例33〜46、比較例11〜13)
参考例1〜14及び比較例1〜3と同様にして、熱硬化性樹脂ワニスに熱硬化性樹脂100体積部に対して、表5に示す配合量で無機充填材を配合して均一に分散させた。この無機充填材が配合された熱硬化性樹脂ワニスを上記と同様にガラス不織布に含浸させ不織布層用のプリプレグを得た。一方、目付け200g/m、厚み180μmのガラスクロス(織布)(日東紡(株)製の7628)に、上記の熱硬化性樹脂ワニスを、充填材を配合せずに含浸させることにより、織布層用のプリプレグを得た。そして、不織布層用のプリプレグを2枚重ね、その両外表面それぞれに、織布層用のプリプレグ1枚と厚み0.018mmの銅箔を順に載せて積層体を得た。この積層体を2枚の金属プレート間に挟み、温度180℃、圧力0.3kPa(30kgf/m)の条件で加熱成型することにより、厚み1.0mmの銅箔張コンポジット積層板を得た。得られた銅箔張コンポジット積層板について上記と同様の評価をした。その結果を下記表5に示す。
【0083】
【表5】

【0084】
(参考例47〜52、比較例14〜16)
参考例33〜46及び比較例11〜13において、(B)成分として、ベーマイト粒子の代わりに、上記と同様のタルク(D50:5μm)を用いた。これ以外は、参考例33〜46及び比較例11〜13と同様にした。得られた銅箔張コンポジット積層板について上記と同様の評価をした。その結果を下記表6に示す。
【0085】
【表6】

【0086】
(参考例53〜58、比較例17〜19)
参考例33〜46及び比較例11〜13において、(B)成分として、ベーマイト粒子の代わりに、上記と同様のシリカ(D50:5μm)を用いた。これ以外は、参考例33〜46及び比較例11〜13と同様にした。得られた銅箔張コンポジット積層板について上記と同様の評価をした。その結果を下記表7に示す。
【0087】
【表7】

【0088】
(参考例59〜64、比較例20)
参考例41において、(C)成分として、平均粒子径の異なる複数種の酸化アルミニウム粒子を用いた。これ以外は、参考例41と同様にした。得られた銅箔張コンポジット積層板について上記と同様の評価をした。その結果を下記表8に示す。
【0089】
【表8】

【0090】
(参考例65〜68、比較例21、22)
参考例41において、充填材を含有しない織布層用のプリプレグの代わりに、水酸化アルミニウム(住友化学(株)製、D50:4.3μm)を含有する熱硬化性樹脂ワニスをガラスクロスに含浸させることにより、水酸化アルミニウムを含有する織布層用のプリプレグを用いた。これ以外は、参考例41と同様にした。得られた銅箔張コンポジット積層板について上記と同様の評価及び耐トラッキング性の評価並びに表面突起の評価をした。その結果を下記表9に示す。
【0091】
〈耐トラッキング性〉
耐トラッキング性の試験は、規格IEC60112第4版(JIS C2134)に準拠して行った。そして、CTIによる評価で最大電圧を求めた。
【0092】
〈表面突起〉
得られた銅箔張コンポジット積層板の表面を観察した。そして、成形上及び実用上で問題がない程度の表面突起が存在するものに○を、成形上又は実用上にやや問題が生じるものに×を付した。
【0093】
【表9】

【0094】
(比較例23〜30)
比較例23〜26は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の配合比を表10のようにした以外は参考例1と同様に銅箔張積層板を得た。比較例27〜30は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の配合比を表10のようにした以外は参考例33と同様に銅箔張コンポジット積層板を得た。得られた銅箔張積層板及び銅箔張コンポジット積層板について上記と同様の評価をした。その結果を下記表10に示す。各参考例及び比較例の(A)成分と(B)成分と(C)成分の配合比は以下の通りである。
【0095】
比較例23及び27:(A)成分:(B)成分:(C)成分=1:4.3:2.3
比較例24及び28:(A)成分:(B)成分:(C)成分=1:0:0.44
比較例25及び29:(A)成分:(B)成分:(C)成分=1:3:4.3
比較例26及び30:(A)成分:(B)成分:(C)成分=1:0.56:0
【0096】
【表10】

【0097】
比較例26及び30は、微粒子成分(C)の配合量が少なくなるので、大きい平均粒子径の無機充填材のみとなり、その結果、高充填が困難となり、成形性が低下する傾向にある。従って、比較例26及び30は他の参考例や比較例よりも成形性が悪化する。
【0098】
(参考例69、70、実施例71〜78、比較例31〜33)
硬化剤成分としてフェノール化合物(フェノールノボラック樹脂)を用いると共に無機充填材の配合比を表11のようにした以外は、参考例1と同様にして銅箔張積層板を形成した。得られた銅箔張積層板について上記と同様の評価をした。その結果を下記表11に示す。尚、タルクとシリカは上記と同様のものを用い、カオリンは啓和炉材(株)製でD50が5μmのものを、酸化チタン(アナターゼ型)は和光純薬工業(株)製でD50が5μmのものをそれぞれ用いた。
【0099】
【表11】

【0100】
(参考例79、80、実施例81〜88、比較例34〜36)
硬化剤成分としてフェノール化合物(フェノールノボラック樹脂)を用いると共に無機充填材の配合比を表12のようにした以外は、参考例33と同様にして銅箔張コンポジット積層板を形成した。得られた銅箔張コンポジット積層板について上記と同様の評価をした。その結果を下記表12に示す。
【0101】
【表12】

【0102】
(参考例89、90、実施例91〜98、比較例37〜39)
図2に示す製造方法により銅箔張コンポジット積層板を連続的に形成した。熱硬化性樹脂組成物としては、エポキシビニルエステル樹脂とラジカル重合性不飽和単量体と重合開始剤とを含有するものを用いた。すなわち、4つ口フラスコに、エポキシ当量が400グラム/当量のテトラブロモビスフェールA型エポキシ樹脂(「商品名EPICLON 153」〔大日本インキ化学工業(株)製〕)400質量部と、分子量が3500、結合アクリロニトリルが27%、カルボキシル基1.9個/分子のブタジエンとアクリロニトリルの共重合体の分子両末端にカルボキシル基を有するHYCARCTBN 1300X13〔B.F.Goodrich Chemical社製〕92質量部と、メタクリル酸82質量部(エポキシ基の数:総カルボキシル基の数=1:1)と、ハイドロキノン0.29質量部と、トリフェニルホスフィン0.58質量部とを仕込み、110℃で反応させた。そして、酸価が10mg−KOH/g以下になったことを確認してスチレン309質量部を添加した。その後、アセチルアセトン1.32質量部を添加して、エポキシビニルエステル樹脂組成物を得た。次いで、このエポキシビニルエステル樹脂組成物100体積部に、表13に示す配合比の無機充填材と、t−ブチルパーオキシベンゾエート(「商品名パーブチルZ」〔日本油脂社(株)製〕)1.0体積部とを添加し、ホモミキサーで均一混合することにより、熱硬化性樹脂組成物を作製した。その他の構成は参考例33と同様にして銅箔張コンポジット積層板を形成した。得られた銅箔張コンポジット積層板について上記と同様の評価をした。その結果を下記表13に示す。
【0103】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂組成物を含有する不織布層を備えた積層板であって、
前記熱硬化性樹脂組成物には無機充填材が熱硬化性樹脂100体積部に対して150体積部より多く、400体積部以下含有されており、
前記無機充填材は、
(A)2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するギブサイト型水酸化アルミニウム粒子と、
(B)1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有するベーマイト粒子と、1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有する、遊離開始温度が400℃以上である結晶水を含有する又は結晶水を含有しない無機粒子とからなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機成分と、
(C)1.5μm以下の平均粒子径(D50)を有する酸化アルミニウム粒子からなる微粒子成分とを含有し、
前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)と前記無機成分(B)と前記微粒子成分(C)との配合比(体積比)が1:0.1〜3:0.1〜3であり、
前記熱硬化性樹脂には、エポキシ樹脂とこのエポキシ樹脂の硬化剤成分としてフェノール化合物とが含有されていることを特徴とする積層板。
【請求項2】
熱硬化性樹脂組成物を含有する不織布層を備えた積層板であって、
前記熱硬化性樹脂組成物には無機充填材が熱硬化性樹脂100体積部に対して150体積部より多く、400体積部以下含有されており、
前記無機充填材は、
(A)2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するギブサイト型水酸化アルミニウム粒子と、
(B)1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有するベーマイト粒子と、1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有する、遊離開始温度が400℃以上である結晶水を含有する又は結晶水を含有しない無機粒子とからなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機成分と、
(C)1.5μm以下の平均粒子径(D50)を有する酸化アルミニウム粒子からなる微粒子成分とを含有し、
前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)と前記無機成分(B)と前記微粒子成分(C)との配合比(体積比)が1:0.1〜3:0.1〜3であり、
前記熱硬化性樹脂には、エポキシビニルエステル樹脂とラジカル重合性不飽和単量体と重合開始剤とが含有されていることを特徴とする積層板。
【請求項3】
前記不織布層の表面に織布層が形成されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層板。
【請求項4】
前記不織布層の不織布基材の結着剤がエポキシ化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の積層板。
【請求項5】
前記織布層には水酸化アルミニウムが含有されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の積層板。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層板の少なくとも一表面に金属箔を設けて成ることを特徴とする金属箔張り積層板。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層板の少なくとも一表面に導体パターンを設けて成ることを特徴とするプリント配線板。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層板の少なくとも一表面に回路を設けて成ることを特徴とする回路基板。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層板の少なくとも一表面にLEDを実装して成ることを特徴とするLEDバックライトユニット。
【請求項10】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層板の少なくとも一表面にLEDを実装して成ることを特徴とするLED照明装置。
【請求項11】
不織布基材を連続的に搬送しながら熱硬化性樹脂組成物を前記不織布基材に含浸し、この不織布基材を連続的に搬送しながらその両表面に織布を積層し、この積層物をロールで圧着し加熱することにより前記熱硬化性樹脂組成物を硬化させて不織布層及び織布層を形成する積層板の製造方法であって、
前記熱硬化性樹脂組成物には無機充填材が熱硬化性樹脂100体積部に対して150体積部より多く、400体積部以下含有されており、
前記無機充填材は、
(A)2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するギブサイト型水酸化アルミニウム粒子と、
(B)1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有するベーマイト粒子と、1.5〜15μmの平均粒子径(D50)を有する、遊離開始温度が400℃以上である結晶水を含有する又は結晶水を含有しない無機粒子とからなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機成分と、
(C)1.5μm以下の平均粒子径(D50)を有する酸化アルミニウム粒子からなる微粒子成分とを含有し、
前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)と前記無機成分(B)と前記微粒子成分(C)との配合比(体積比)が1:0.1〜3:0.1〜3であり、
前記熱硬化性樹脂には、エポキシビニルエステル樹脂とラジカル重合性不飽和単量体と重合開始剤とが含有されていることを特徴とする積層板の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−64955(P2012−64955A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231912(P2011−231912)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【分割の表示】特願2011−60859(P2011−60859)の分割
【原出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【特許番号】特許第4893873号(P4893873)
【特許公報発行日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】