説明

積層板

【課題】プリプレグを硬化させた樹脂層の加工性及び耐電圧性を良好にすることができ、更に積層板の反りを抑制することができる積層板を提供する。
【解決手段】本発明に係る積層板は、金属層と、該金属層の表面に積層されている樹脂層とを備える。該樹脂層は、熱硬化性組成物2が基材10中に含浸されているプリプレグ1を用いて形成されている。基材10は、織布ではない基材である。基材10は、第1の方向に延びる複数の第1の樹脂糸11と、第1の方向と交差する第2の方向に延びる複数の第2の樹脂糸12とを有する。第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12とは積層されている。第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12とは交点で一体化されている。第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12との材質はそれぞれ、ポリオレフィン樹脂である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性組成物が基材中に含浸されているプリプレグに関する。また、本発明は、該プリプレグを用いた積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線板等の電子部品を得るために、様々な熱硬化性組成物が用いられている。例えば、プリント配線板では、層間を絶縁するための絶縁層を形成したり、表層部分に位置する絶縁層を形成したりするために、熱硬化性化合物と硬化剤とを含む熱硬化性組成物が用いられている。また、該熱硬化性組成物は、基材中に含浸され、プリプレグとして用いられることがある。
【0003】
下記の特許文献1には、熱硬化性樹脂組成物がガラス繊維基材に含浸されているプリプレグが開示されている。このプリプレグでは、ガラス繊維基材のガラス繊維の表面に、平均粒径が500nm以下である無機微粒子が付着している。ガラス繊維基材としては、ガラス織布及びガラス不織布が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−178992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような従来のガラス繊維基材を用いたプリプレグでは、該プリプレグを硬化させた後の硬化物の加工性が悪くなるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、硬化後の加工性及び耐電圧性を良好に両立することができるプリプレグを提供することである。本発明の限定的な目的は、未硬化状態でのハンドリング性が良好であるプリプレグを提供することである。
【0007】
また、本発明の目的は、プリプレグを硬化させた後の樹脂層の加工性及び耐電圧性を良好にすることができ、更に積層板の反りを抑制することができる積層板を提供することである。本発明の限定的な目的は、未硬化状態でのハンドリング性が良好であるプリプレグが用いられている積層板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の広い局面によれば、熱硬化性組成物が基材中に含浸されているプリプレグであって、上記熱硬化性組成物が、熱硬化性化合物を含み、上記基材が、織布ではない基材であり、上記基材が、第1の方向に延びる複数の第1の樹脂糸と、該第1の方向と交差する第2の方向に延びる複数の第2の樹脂糸とを有し、上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸とが積層されており、上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸とが交点で一体化されており、上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸との材質がそれぞれ、ポリオレフィン樹脂である、プリプレグが提供される。
【0009】
また、本発明の広い局面によれば、上述したプリプレグを用いた積層板が提供される。
【0010】
すなわち、本発明の広い局面によれば、金属層と、該金属層の表面に積層されている樹脂層とを備え、該樹脂層が、熱硬化性組成物が基材中に含浸されているプリプレグを用いて形成されており、上記熱硬化性組成物が熱硬化性化合物を含み、上記基材が、織布ではない基材であり、上記基材が、第1の方向に延びる複数の第1の樹脂糸と、該第1の方向と交差する第2の方向に延びる複数の第2の樹脂糸とを有し、上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸とが積層されており、上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸とが交点で一体化されており、上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸との材質がそれぞれ、ポリオレフィン樹脂である、積層板が提供される。
【0011】
本明細書では、上述したプリプレグに関する発明と、上述した積層板に関する発明との双方が開示される。
【0012】
上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸とが交点で熱融着していることが好ましい。
【0013】
上記熱硬化性組成物は、無機フィラーを含むことが好ましい。該無機フィラーの新モース硬度は9以下であることが好ましい。上記無機フィラーの熱伝導率は10W/m・K以上であることが好ましい。上記無機フィラーの平均粒径は0.1μm以上、100μm以下であることが好ましい。
【0014】
上記基材の開口径の平均値は3mm以上、10mm以下であることが好ましい。上記基材の最大厚みは30μm以上、100μm以下であることが好ましい。
【0015】
上記熱硬化性組成物は、カップリング剤を含むか又は界面活性剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性化合物は、環状エーテル基を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るプリプレグは、熱硬化性組成物が基材中に含浸されているプリプレグであって、上記熱硬化性組成物が熱硬化性化合物を含み、上記基材が、織布ではない基材であり、上記基材が第1の方向に延びる複数の第1の樹脂糸と、該第1の方向と交差する第2の方向に延びる複数の第2の樹脂糸とを有し、該第1の樹脂糸と該第2の樹脂糸とが積層されており、上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸とが交点で一体化されており、上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸との材質がそれぞれポリオレフィン樹脂であるので、硬化後の硬化物の加工性及び耐電圧性を良好にすることができる。
【0017】
本発明に係る積層板は、金属層と、該金属層の表面に積層されている樹脂層とを備えており、該樹脂層が、熱硬化性組成物が基材中に含浸されているプリプレグを用いて形成されており、上記熱硬化性組成物が熱硬化性化合物を含み、上記基材が織布ではない基材であり、上記基材が第1の方向に延びる複数の第1の樹脂糸と、該第1の方向と交差する第2の方向に延びる複数の第2の樹脂糸とを有し、該第1の樹脂糸と該第2の樹脂糸とが積層されており、上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸とが交点で一体化されており、上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸との材質がそれぞれポリオレフィン樹脂であるので、プリプレグを硬化させた後の樹脂層の加工性及び耐電圧性を良好にすることができる。さらに、積層板の反りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るプリプレグを説明するための部分切欠斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係るプリプレグに用いられる基材を説明するための平面図である。
【図3】図3は、プリプレグに用いられる基材の変形例を説明するための平面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係るプリプレグを用いた積層板を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明に係るプリプレグは、熱硬化性組成物が基材中に含浸されているプリプレグである。上記熱硬化性組成物は、熱硬化性化合物(A)を含む。上記基材は、織布ではない基材である。上記基材は、第1の方向に延びる複数の第1の樹脂糸と、該第1の方向と交差する第2の方向に延びる複数の第2の樹脂糸とを有する。該第1の樹脂糸と該第2の樹脂糸とが積層されている。上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸とは交点で一体化されている。上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸との材質はそれぞれ、ポリオレフィン樹脂である。
【0021】
本発明に係るプリプレグにおける上記構成の採用により、該プリプレグを硬化させた後の硬化物(樹脂層)の加工性及び耐電圧性を良好にすることができる。また、上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸との材質がポリオレフィン樹脂であることは、硬化物の加工性及び耐電圧性の向上に大きく寄与する。さらに、本発明に係るプリプレグにおける上記構成の採用により、プリプレグのハンドリング性も良好になる。さらに、本発明に係るプリプレグを用いて積層板を作製すると、該積層板の反りを抑制することができ、寸法安定性を良好にすることもできる。
【0022】
本発明に係る積層板は、金属層と、該金属層の表面に積層されている樹脂層とを備える。該樹脂層は、熱硬化性組成物が基材中に含浸されているプリプレグを硬化させることにより形成されている。上記熱硬化性組成物は、熱硬化性化合物(A)を含む。上記基材は、織布ではない基材である。上記基材は、第1の方向に延びる複数の第1の樹脂糸と、該第1の方向と交差する第2の方向に延びる複数の第2の樹脂糸とを有する。該第1の樹脂糸と該第2の樹脂糸とが積層されている。上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸とは交点で一体化されている。上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸との材質はそれぞれ、ポリオレフィン樹脂である。
【0023】
本発明に係る積層板における上記構成の採用により、プリプレグを硬化させた後の樹脂層の加工性及び耐電圧性を良好にすることができ、更に積層板の反りを抑制することができる。さらに、積層板の寸法安定性を良好にすることもできる。また、上記第1の樹脂糸と上記第2の樹脂糸との材質がポリオレフィン樹脂であることは、樹脂層の加工性及び耐電圧性の向上に大きく寄与する。さらに、本発明に係る積層板における上記構成の採用により、プリプレグのハンドリング性も良好になり、積層板を容易にかつ均質に作製することができる。
【0024】
上記基材に含浸される熱硬化性組成物は、熱硬化性化合物(A)を含む。上記基材に含浸される熱硬化性組成物は、熱硬化性化合物(A)と硬化剤(B)とを含むことが好ましい。但し、熱硬化性化合物(A)が熱硬化性ポリイミド等である場合には、硬化剤(B)は必ずしも用いなくてもよい。熱硬化性組成物の全体が熱硬化性化合物(A)であってもよい。以下、先ず、本発明において、上記熱硬化性組成物に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0025】
(熱硬化性化合物(A))
熱硬化性化合物(A)は、硬化剤(B)の作用により硬化する。熱硬化性化合物(A)は特に限定されない。熱硬化性化合物(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0026】
熱硬化性化合物(A)は、環状エーテル基を有する熱硬化性化合物(A1)であること好ましい。該環状エーテル基としては、エポキシ基及びオキセタニル基等が挙げられる。環状エーテル基を有する熱硬化性化合物(A1)は、エポキシ基又はオキセタニル基を有する熱硬化性化合物であることが好ましい。
【0027】
熱硬化性化合物(A1)は、エポキシ基を有するエポキシ化合物(A1a)を含んでいてもよく、オキセタニル基を有するオキセタン化合物(A1b)を含んでいてもよい。
【0028】
硬化物の耐熱性及び耐電圧性をより高める観点からは、熱硬化性化合物(A)は芳香族骨格を有することが好ましい。
【0029】
エポキシ基を有するエポキシ化合物(A1a)の具体例としては、ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマー、ナフタレン骨格を有するエポキシモノマー、アダマンタン骨格を有するエポキシモノマー、フルオレン骨格を有するエポキシモノマー、ビフェニル骨格を有するエポキシモノマー、バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマー、キサンテン骨格を有するエポキシモノマー、アントラセン骨格を有するエポキシモノマー、及びピレン骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。これらの水素添加物又は変性物を用いてもよい。エポキシ化合物(A1a)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0030】
上記ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマーとしては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型又はビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。
【0031】
上記ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマーとしては、ジシクロペンタジエンジオキシド、及びジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が挙げられる。
【0032】
上記ナフタレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、及び1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
【0033】
上記アダマンタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン、及び2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン等が挙げられる。
【0034】
上記フルオレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、及び9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。
【0035】
上記ビフェニル骨格を有するエポキシモノマーとしては、4,4’−ジグリシジルビフェニル、及び4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等が挙げられる。
【0036】
上記バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、及び1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン等が挙げられる。
【0037】
上記キサンテン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン等が挙げられる。
【0038】
オキセタニル基を有するオキセタン化合物(A1b)の具体例としては、例えば、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、及びオキセタン変性フェノールノボラック等が挙げられる。オキセタン化合物(A1b)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0039】
硬化物の耐熱性をより一層良好にする観点からは、熱硬化性化合物(A)は、環状エーテル基を2つ以上有することが好ましい。
【0040】
硬化物の耐熱性をより一層良好にする観点からは、熱硬化性化合物(A)の合計100重量%中、環状エーテル基を2つ以上有する熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、100重量%以下である。熱硬化性化合物(A)の合計100重量%中、環状エーテル基を2つ以上有する熱硬化性化合物の含有量は10重量%以上、100重量%以下であってもよい。また、熱硬化性化合物(A)の全体が、環状エーテル基を2つ以上有する熱硬化性化合物であってもよい。
【0041】
熱硬化性化合物(A)の分子量は、10000未満であることが好ましい。熱硬化性化合物(A)の分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは1200以下、更に好ましくは600以下、特に好ましくは550以下である。熱硬化性化合物(A)の分子量が上記下限以上であると、熱硬化性化合物(A)の揮発性が低くなり、プリプレグの取扱い性がより一層高くなる。熱硬化性化合物(A)の分子量が上記上限以下であると、硬化物の接着性がより一層高くなる。さらに、硬化物が固くかつ脆くなり難く、硬化物の接着性がより一層高くなる。
【0042】
なお、本明細書において、熱硬化性化合物(A)における分子量とは、重合体ではない場合、及び構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味し、重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
【0043】
熱硬化性組成物に含まれている全樹脂成分(以下、全樹脂成分Xと略記することがある)の合計100重量%中、熱硬化性化合物(A)の含有量は好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、好ましくは90重量%以下である。熱硬化性化合物(A)の含有量が上記下限以上であると、硬化物の接着性及び耐熱性がより一層高くなる。熱硬化性化合物(A)の含有量が上記上限以下であると、熱硬化性組成物の塗工性及び含浸性がより一層高くなる。なお、全樹脂成分Xとは、熱硬化性化合物(A)、硬化剤(B)及び必要に応じて添加される他の樹脂成分の総和をいう。全樹脂成分Xに、無機フィラー(C)は含まれない。
【0044】
(硬化剤(B))
上記熱硬化性組成物は硬化剤(B)を含むことが好ましい。硬化剤(B)が存在しないと熱硬化性化合物(A)が硬化しない場合には、上記熱硬化性組成物は硬化剤(B)を含むことが好ましい。硬化剤(B)は、熱硬化性組成物を硬化させることが可能であれば特に限定されない。硬化剤(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0045】
硬化物の耐熱性をより一層高める観点からは、硬化剤(B)は、芳香族骨格又は脂環式骨格を有することが好ましい。硬化剤(B)は、アミン硬化剤(アミン化合物)、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤(フェノール化合物)又は酸無水物硬化剤(酸無水物)を含むことが好ましく、アミン硬化剤を含むことがより好ましい。上記酸無水物硬化剤は、芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物を含むか、又は、脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物を含むことが好ましい。
【0046】
無機フィラー(C)の分散性を良好にし、更に硬化物の耐電圧性及び熱伝導性をより一層高める観点からは、硬化剤(B)は塩基性の硬化剤を含むことが好ましい。また、無機フィラー(C)の分散性をより一層良好にし、更に硬化物の耐電圧性及び熱伝導性をより一層高める観点からは、硬化剤(B)は、アミン硬化剤又はイミダゾール硬化剤を含むことがより好ましく、アミン硬化剤を含むことがより好ましく、ジシアンジアミドを含むことが特に好ましい。また、硬化剤(B)は、ジシアンジアミドとイミダゾール硬化剤との双方を含むことも好ましい。これらの好ましい硬化剤の使用により、無機フィラー(C)の熱硬化性組成物中での分散性が高くなり、更に耐熱性、耐湿性及び電気物性のバランスに優れた硬化物が得られる。この結果、無機フィラー(C)の含有量が少なくても、熱伝導性がかなり高くなる。特にジシアンジアミドを用いた場合、硬化物と熱伝導体及び導電層との接着性がかなり高くなる。
【0047】
上記アミン硬化剤としては、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、ジアミノジフェニルメタン、及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。硬化物と金属層との接着性をより一層高める観点からは、上記アミン硬化剤は、ジシアンジアミド又はイミダゾール化合物を含むことがより一層好ましい。プリプレグの保存安定性をより一層高める観点からは、上記硬化剤(B)は、融点が180℃以上である硬化剤を含むことが好ましく、融点が180℃以上であるアミン硬化剤を含むことがより好ましい。
【0048】
上記イミダゾール硬化剤としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
【0049】
上記フェノール硬化剤としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、及びポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。硬化物の柔軟性及び硬化物の難燃性をより一層高める観点からは、メラミン骨格を有するフェノール樹脂、トリアジン骨格を有するフェノール樹脂、又はアリル基を有するフェノール樹脂が好ましい。
【0050】
上記フェノール硬化剤の市販品としては、MEH−8005、MEH−8010及びMEH−8015(以上いずれも明和化成社製)、YLH903(三菱化学社製)、LA−7052、LA−7054、LA−7751、LA−1356及びLA−3018−50P(以上いずれもDIC社製)、並びにPS6313及びPS6492(以上いずれも群栄化学社製)等が挙げられる。
【0051】
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、例えば、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、グリセロールビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及びトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0052】
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、SMAレジンEF30、SMAレジンEF40、SMAレジンEF60及びSMAレジンEF80(以上いずれもサートマー・ジャパン社製)、ODPA−M及びPEPA(以上いずれもマナック社製)、リカシッドMTA−10、リカシッドMTA−15、リカシッドTMTA、リカシッドTMEG−100、リカシッドTMEG−200、リカシッドTMEG−300、リカシッドTMEG−500、リカシッドTMEG−S、リカシッドTH、リカシッドHT−1A、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMT−500、リカシッドDSDA及びリカシッドTDA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにEPICLON B4400、EPICLON B650、及びEPICLON B570(以上いずれもDIC社製)等が挙げられる。
【0053】
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られる脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物であることが好ましい。これらの硬化剤の使用により、硬化物の柔軟性、並びに硬化物の耐湿性及び接着性がより一層高くなる。
【0054】
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、メチルナジック酸無水物、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物又は該酸無水物の変性物等も挙げられる。
【0055】
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、リカシッドHNA及びリカシッドHNA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにエピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H及びエピキュアYH309(以上いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
【0056】
硬化剤(B)は、メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸であることも好ましい。メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸の使用により、硬化物の耐水性が高くなる。
【0057】
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、硬化剤(B)の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。硬化剤(B)の含有量が上記下限以上であると、熱硬化性組成物を充分に硬化させることが容易である。硬化剤(B)の含有量が上記上限以下であると、硬化に関与しない余剰な硬化剤(B)が発生し難くなる。このため、硬化物の耐熱性及び接着性がより一層高くなる。
【0058】
(無機フィラー(C))
上記熱硬化性組成物は、無機フィラー(C)を含むことが好ましい。無機フィラー(C)の使用により、硬化物の熱伝導性が高くなる。この結果、硬化物の放熱性が高くなる。無機フィラー(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
硬化物の熱伝導性をより一層高める観点からは、無機フィラー(C)の熱伝導率は好ましくは10W/m・K以上、より好ましくは15W/m・K以上、更に好ましくは20W/m・K以上である。無機フィラー(C)の熱伝導率の上限は特に限定されない。熱伝導率が300W/m・K程度である無機フィラーは広く知られており、また熱伝導率が200W/m・K程度である無機フィラーは容易に入手できる。
【0060】
無機フィラー(C)は、アルミナ、合成マグネサイト、結晶性シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましく、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることがより好ましい。これらの好ましい無機フィラーの使用により、硬化物の熱伝導性がより一層高くなる。
【0061】
無機フィラー(C)は、球状アルミナ、破砕アルミナ及び球状窒化アルミニウムからなる群から選択された少なくとも1種であることがより好ましく、球状アルミナ又は球状窒化アルミニウムであることがさらに好ましい。これらの好ましい無機フィラーの使用により、硬化物の熱伝導性がより一層高くなる。
【0062】
無機フィラー(C)の新モース硬度は、好ましくは12以下、より好ましくは9以下である。無機フィラー(C)の新モース硬度が9以下であると、硬化物の加工性がより一層高くなる。
【0063】
硬化物の加工性をより一層高める観点からは、無機フィラー(C)は、合成マグネサイト、結晶シリカ、酸化亜鉛、及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。これらの無機フィラーの新モース硬度は9以下である。
【0064】
無機フィラー(C)は、球状のフィラー(球状フィラー)を含んでいてもよく、破砕されたフィラー(破砕フィラー)を含んでいてもよく、板状のフィラー(板状フィラー)を含んでいてもよい。無機フィラー(C)は、球状フィラーを含むことが特に好ましい。球状フィラーは高密度で充填可能であるため、球状フィラーの使用により硬化物の熱伝導性がより一層高くなる。
【0065】
上記破砕フィラーとしては、破砕アルミナ等が挙げられる。破砕フィラーは、例えば、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー又はボールミル等を用いて、塊状の無機物質を破砕することにより得られる。破砕フィラーの使用により、硬化物中のフィラーが、橋掛け又は効率的に近接された構造となりやすい。従って、硬化物の熱伝導性がより一層高くなる。また、破砕フィラーは、一般的に、通常のフィラーに比べて安価である。このため、破砕フィラーの使用により、熱硬化性組成物のコストが低くなる。
【0066】
上記破砕フィラーの平均粒子径は、好ましくは12μm以下、より好ましくは10μm以下、好ましくは1μm以上である。破砕フィラーの平均粒子径が上記上限以下であると、熱硬化性組成物中に、破砕フィラーを高密度に分散させることが可能であり、硬化物の耐電圧性がより一層高くなる。破砕フィラーの平均粒子径が上記下限以上であると、破砕フィラーを高密度に充填させることが容易になる。
【0067】
上記破砕フィラーのアスペクト比は特に限定されない。破砕フィラーのアスペクト比は、好ましくは1.5以上、好ましくは20以下である。アスペクト比が1.5未満のフィラーは、比較的高価であり、プリプレグのコストが高くなる。上記アスペクト比が20以下であると、破砕フィラーの充填が容易である。
【0068】
上記破砕フィラーのアスペクト比は、例えば、デジタル画像解析方式粒度分布測定装置(日本ルフト社製「FPA」)を用いて、フィラーの破砕面を測定することにより求めることが可能である。
【0069】
無機フィラー(C)の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、無機フィラー(C)を高密度で容易に充填できる。平均粒子径が上記上限以下であると、硬化物の耐電圧性がより一層高くなる。
【0070】
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
【0071】
上記熱硬化性組成物100体積%中、無機フィラー(C)の含有量は好ましくは20体積%以上、より好ましくは40体積%以上、好ましくは95体積%以下、より好ましくは90体積%以下である。無機フィラー(C)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の硬化状態が良好になり、かつ熱伝導性がかなり高くなる。
【0072】
(カップリング剤)
上記熱硬化性組成物は、カップリング剤を含むことが好ましい。該カップリング剤の使用により、硬化物の耐電圧性がより一層良好になる。上記カップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0073】
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤等が挙げられる。
【0074】
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、上記カップリング剤の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。上記カップリング剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の耐熱性及び耐電圧性がより一層良好になる。上記樹脂成分Xには、上記カップリング剤が含まれる。
【0075】
(界面活性剤)
上記熱硬化性組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。該界面活性剤の使用により、硬化物の耐電圧性がより一層良好になる。上記界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、硬化物の耐電圧性及び耐熱性をより一層高めるために、上記熱硬化性組成物は、上記カップリング剤を含むか、又は界面活性剤を含むことが好ましい。
【0076】
上記界面活性剤としては、ポリエステル系カルボン酸、ポリエーテル系カルボン酸、ポリアクリル系カルボン酸、脂肪族系カルボン酸、ポリシロキサン系カルボン酸、ポリエステル系リン酸、ポリエーテル系リン酸、ポリアクリル系リン酸、脂肪族系リン酸、ポリシロキサン系リン酸、ポリエステル系フェノール、ポリエーテル系フェノール、ポリアクリル系フェノール、脂肪族系フェノール、ポリシロキサン系フェノール、オリオキシアルキレン骨格を有するノニオン性界面活性剤、アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0077】
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、上記界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。上記界面活性剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の耐熱性及び耐電圧性がより一層良好になる。上記樹脂成分Xには、上記界面活性剤が含まれる。
【0078】
(他の成分)
上記熱硬化性組成物は、重量平均分子量が10000以上であるポリマーを含んでいてもよい。該ポリマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0079】
上記ポリマーとして、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂等が使用可能である。上記ポリマーは硬化性樹脂であることが好ましい。
【0080】
上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、特に限定されない。上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、スチレン樹脂、フェノキシ樹脂、フタレート樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ケトン樹脂及びノルボルネン樹脂等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、アミノ樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂及びアミノアルキド樹脂等が挙げられる。上記アミノ樹脂としては、尿素樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。
【0081】
硬化物の酸化劣化を抑え、硬化物の耐冷熱サイクル特性及び耐熱性をより一層高め、更に硬化物の吸水率をより一層低くする観点からは、ポリマーは、スチレン樹脂、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂であることが好ましく、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂であることがより好ましく、フェノキシ樹脂であることが更に好ましい。特に、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性がより一層高くなる。また、フェノキシ樹脂の使用により、硬化物の弾性率がより一層低くなり、かつ硬化物の耐冷熱サイクル特性がより一層高くなる。なお、ポリマーはエポキシ基などの環状エーテル基を有していなくてもよい。
【0082】
上記スチレン樹脂として、具体的には、スチレン系モノマーの単独重合体、及びスチレン系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合体等が使用可能である。中でも、スチレン−メタクリル酸グリシジルの構造を有するスチレン重合体が好ましい。
【0083】
上記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン及び3,4−ジクロロスチレン等が挙げられる。
【0084】
上記フェノキシ樹脂は、具体的には、例えばエピハロヒドリンと2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
【0085】
上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有することが好ましい。中でも、上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格及びビフェニル骨格からなる群から選択された少なくとも1種の骨格を有することがより好ましく、フルオレン骨格及びビフェニル骨格の内の少なくとも1種の骨格を有することが更に好ましい。これらの好ましい骨格を有するフェノキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性が更に一層高くなる。
【0086】
上記エポキシ樹脂は、上記フェノキシ樹脂以外のエポキシ樹脂である。上記エポキシ樹脂としては、スチレン骨格含有エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0087】
上記熱硬化性組成物は、ゴム粒子を含んでいてもよい。該ゴム粒子の使用により、硬化物の応力緩和性及び柔軟性が高くなる。
【0088】
上記熱硬化性組成物は、分散剤を含んでいてもよい。該分散剤の使用により、硬化物の熱伝導性及び耐電圧性がより一層高くなる。
【0089】
上記分散剤は、水素結合性を有する水素原子を含む官能基を有することが好ましい。上記分散剤が水素結合性を有する水素原子を含む官能基を有することで、硬化物の熱伝導性及び耐電圧性がより一層高くなる。上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基としては、例えば、カルボキシル基(pKa=4)、リン酸基(pKa=7)、及びフェノール基(pKa=10)等が挙げられる。
【0090】
上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基のpKaは、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。上記官能基のpKaが上記下限以上であると、上記分散剤の酸性度が高くなりすぎない。従って、上記熱硬化性組成物及びプリプレグの貯蔵安定性がより一層高くなる。上記官能基のpKaが上記上限以下であると、上記分散剤としての機能が充分に果たされ、硬化物の熱伝導性及び耐電圧性がより一層高くなる。
【0091】
さらに、上記熱硬化性組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、イオン捕捉剤、粘着性付与剤、可塑剤、チキソ性付与剤、難燃剤、光増感剤及び着色剤などを含んでいてもよい。
【0092】
(基材)
図2に、本発明の一実施形態に係るプリプレグに用いられる基材の一例を平面図で示す。
【0093】
基材10は、第1の方向に延びる複数の第1の樹脂糸11と、該第1の方向と交差する第2の方向に延びる複数の第2の樹脂糸12とを有する。第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12とは積層されている。基材10は織布ではない。基材10では、第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12とは編まれていない。基材10は、網状体である。
【0094】
複数の第1の樹脂糸11は第1の方向に、所定の間隔を隔てて平行に並べられている。複数の第2の樹脂糸12は第2の方向に、所定の間隔を隔てて平行に並べられている。第1の樹脂糸11上に、第2の樹脂糸12が積層されている。また、第2の樹脂糸12上に、第1の樹脂糸11が積層されていてもよく、更に第2の樹脂糸12上の第1の樹脂糸11上に第2の樹脂糸12が更に積層されていてもよい。従って、第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12とは複数層積層されていてもよい。
【0095】
第1の樹脂糸11が延びる第1の方向と、第2の樹脂糸12が延びる第2の方向とは直交している。第1の方向と第2の方向とがなす角度は90度である。第1の樹脂糸が延びる第1の方向と、第2の樹脂糸が延びる第2の方向とのなす角度は特に限定されない。図3に示す基材50のように、第1の樹脂糸51が延びる第1の方向と、第2の樹脂糸52が延びる第2の方向とは直交する方向ではなく、両者が斜め方向に交差していてもよい。
開口面積が適度に大きくなるように、第1の樹脂糸が延びる第1の方向と、第2の樹脂糸が延びる第2の方向とのなす角度は、好ましくは30度以上、より好ましくは60度以上、90度以下である。
【0096】
第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12とはそれぞれ、フラットヤーンであることが好ましい。
【0097】
第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12との材質はそれぞれ、ポリオレフィン樹脂である。上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体及びポリプロピレン等が挙げられる。上記ポリオレフィン樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0098】
第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12とは交点で一体化されている。第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12とは交点で接着剤により接着されていてもよく、第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12とは交点で熱融着していてもよい。第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12との成形時に、これらを構成する樹脂が固化に至る前に第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12とを積層して、交点で一体化するように固化させてもよい。硬化物の耐熱性をより一層良好にする観点からは、第1の樹脂糸11と第2の樹脂糸12とは交点で熱融着していることが好ましい。
【0099】
基材10の開口径の平均値は好ましくは100μm以上、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは3mm以上、好ましくは10mm以下である。基材10の開口径が上記下限以上及び上記上限以下であると、未硬化状態でのプリプレグのハンドリング性がより一層良好になる。さらに、熱硬化性組成物が無機フィラー(C)を含む場合に、基材10の開口部に、無機フィラー(C)を充填でき、硬化物の熱伝導性がより一層高くなる。
【0100】
基材10中に無機フィラー(C)を良好に分散させて、硬化物の耐電圧性をより一層高めかつ反りをより一層抑制し、並びに積層板の反りをより一層抑制する観点からは、無機フィラー(C)の平均粒径が0.1μm以上、100μm以下であり、かつ基材10の開口径の平均値が3mm以上、10mm以下であることが好ましい。
【0101】
基材10中に無機フィラー(C)を良好に分散させて、硬化物の耐電圧性をより一層高めかつ反りをより一層抑制し、並びに積層板の反りをより一層抑制する観点からは、無機フィラー(C)の平均粒径は、基材10の開口径の平均値の好ましくは1/5以下、より好ましくは1/10以下である。
【0102】
上記開口径とは、1つの開口部における開口の最大長さをいう。上記開口径の平均値は、複数の開口部における開口の最大長さの値を平均した値である。
【0103】
上記基材の最大厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは50μm以上、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下である。上記基材の最大厚みが上記下限以上であると、積層板などの電子部品に好適なプリプレグが得られる。
【0104】
(プリプレグの他の詳細)
図1に、本発明の一実施形態に係るプリプレグの一例を模式的に部分切欠斜視図で示す。
【0105】
図1に示すプリプレグ1は、基材10と、基材10中に含浸されている熱硬化性組成物2とを有する。プリプレグ1の表面に、基材10は露出していない。プリプレグ1の表面に基材10は露出していてもよい。
【0106】
プリプレグの硬化物の熱伝導率は、好ましくは0.7W/m・K以上、より好ましくは1.0W/m・K以上、更に好ましくは1.5W/m・K以上である。熱伝導率が高いほど、硬化物の放熱性が十分に高くなる。
【0107】
プリプレグの硬化物の絶縁破壊電圧は、好ましくは3kV以上、より好ましくは4kV以上、更に好ましくは5kV以上、特に好ましくは8kV以上である。絶縁破壊電圧が高いほど、プリプレグが例えば電力素子用のような大電流用途に用いられた場合に、絶縁性を十分に確保できる。
【0108】
(電子部品)
上記プリプレグは、積層板及び積層板等の各種の電子部品を得るために好適にも散られる。
【0109】
図4に、本発明の一実施形態に係るプリプレグを用いた積層板の一例を断面図で示す。
【0110】
図4に示す積層板21は、金属層22と、金属層22の表面に積層されている樹脂層23とを備える。樹脂層23は、熱硬化性組成物2が基材10中に含浸されているプリプレグ1を用いて形成されている。樹脂層23は、プリプレグ1自体であってもよく、プリプレグ1の硬化を進行させた半硬化物又は硬化物であってもよい。金属層22は、回路であることが好ましい。なお、図4では、樹脂層23は略図的に示されており、基材10は図示していない。
【0111】
また、上記プリプレグは、プリント配線板本体と、該プリント配線板本体上に配置された樹脂層とを備えるプリント配線板を得るために好適に用いられる。該樹脂層が、熱硬化性組成物2が基材10中に含浸されているプリプレグ1を硬化させることにより形成されていることが好ましい。
【0112】
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0113】
以下の材料を用意した。
【0114】
(熱硬化性化合物(A))
(1)ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学社製「エピコート828US」、分子量370)
(2)5官能アクリル樹脂(サートマー社製「SR399E」、分子量525)
(3)熱硬化性ポリイミド樹脂(丸善石油化学社製「BANI−X」、分子量508)
【0115】
(熱可塑性化合物)
(1)イソボルニルメタクリレート(サートマー社製「SR423」、分子量222)
【0116】
(硬化剤(B))
(1)ジシアンジアミド(融点208℃)
(2)イソシアヌル変性固体分散型イミダゾール(四国化成社製「2MZA−PW」、融点253℃)
(3)AIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、融点170℃)
【0117】
(無機フィラー(C))
(1)5μm破砕アルミナ(日本軽金属社製「LT300C」、平均粒子径5μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12)
(2)150μm破砕アルミナ(住友化学社製「AC−12R」、平均粒子径150μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12)
(3)結晶性シリカ(龍森社製「クリスタライトCMC−12」、平均粒子径5μm、熱伝導率10W/m・K、新モース硬度9)
(4)窒化ホウ素(モーメンティブ社製「TPX25」、平均粒子径25μm、熱伝導率60W/m・K、新モース硬度2)
(5)水酸化アルミニウム(日本軽金属社製「B−103」、平均粒径8μm、熱伝導率1.3W/m・K、新モース硬度3)
【0118】
(添加剤)
(1)エポキシシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBE403」)
(2)界面活性剤(共栄社化学社製「D−90」)
【0119】
(ポリオレフィン基材)
(1)ホットメルト型ポリエチレン繊維基材(積水フィルム社製「NA−55」、厚み82μm、開口径の平均値5mm)
(2)熱融着型ポリエチレン繊維基材1(積水フィルム社製「HN−33」、厚み60μm、開口径の平均値7mm)
(3)熱融着型ポリエチレン繊維基材2(積水フィルム社製「HN−77」、厚み60μm、開口径の平均値3mm)
【0120】
(他の基材)
(1)ガラスクロス(ユニチカ社製「E10T」、厚み90μm、開口径の平均値0.2mm)
(2)アラミド繊維シート(前田工繊社製「FFシート AW25」、厚み125μm、開口径の平均値1mm未満)
【0121】
(実施例1〜14及び比較例1〜5)
ホモディスパー型撹拌機を用いて、下記の表1,2に示す割合(配合単位は重量部)で各原料を配合し、混練し、絶縁材料を調製した。
【0122】
繊維基材を用いる場合には、上記絶縁材料を下記の表1,2に示す種類の基材に含浸させた。その後、最大厚みが150μmになるようにブレードで絶縁材料をかき落とし、90℃のオーブン内で30分乾燥してプリプレグを作製した。
【0123】
繊維基材を用いない場合については、厚み50μmの離型PET(ポリエチレンテレフタレート)シート上に、上記絶縁材料を厚みが150μmになるように塗工し、90℃のオーブン内で30分乾燥して、PETシート上に絶縁シートを作製した。
【0124】
(評価)
(1)ハンドリング性
得られたプリプレグ又は絶縁シートを460mm×610mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。PETシート上に形成された絶縁シートについてはPETシートから絶縁シートを剥離した。得られたテストサンプルを用いて、室温(23℃)でのハンドリング性を下記の基準で評価した。
【0125】
[ハンドリング性の判定基準]
〇:プリプレグ又は絶縁シートの変形がなく、容易に剥離可能
△:プリプレグ又は絶縁シートを剥離できるものの、伸び又は破断が発生する
×:プリプレグ又は絶縁シートを剥離できない
【0126】
(2)耐熱性
厚み1.5mmのアルミニウム板と厚み35μmの電解銅箔との間にプリプレグ又は絶縁シートを挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を保持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間、プリプレグ又は絶縁シートをプレス硬化し、銅張り積層板を形成した。この銅張り積層板を50mm×60mmの大きさに切り出し、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを288℃の半田浴に銅箔側を下に向けて浮かべ、銅箔の膨れ又は剥がれが発生するまでの時間を測定し、以下の基準で判定した。
【0127】
[半田耐熱試験の判定基準]
〇:3分経過しても膨れ及び剥離の発生無し
△:1分経過後、かつ3分経過する前に膨れ又は剥離が発生
×:1分経過する前に膨れ又は剥離が発生
【0128】
(3)耐電圧性
得られたプリプレグ又は絶縁シートを100mm×100mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。PETシート上に形成された絶縁シートについてはPETシートから絶縁シートを剥離した。得られたテストサンプルを120℃のオーブン内で1時間、更に200℃のオーブン内で1時間硬化させ、プリプレグの硬化物又は絶縁シートの硬化物を得た。耐電圧試験器(MODEL7473、EXTECH Electronics社製)を用いて、プリプレグの硬化物間又は絶縁シートの硬化物間に1kV/秒の速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。プリプレグの硬化物又は絶縁シートの硬化物が破壊した電圧を、絶縁破壊電圧とした。
【0129】
(4)反り
得られたプリプレグ又は絶縁シートを50mm×500mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。PETシート上に形成された絶縁シートについてはPETシートから絶縁シートを剥離した。得られたテストサンプルを120℃のオーブン内で1時間、更に200℃のオーブン内で1時間硬化させ、プリプレグの硬化物又は絶縁シートの硬化物を得た。得られた硬化物を水平な台の上において硬化物の最大高さと最小高さとの差を測定した。この差を硬化物の反りとして、反りを下記の基準で判定した。
【0130】
[反りの判定基準]
○:反りが1mm未満
△:反りが1mm以上、3mm未満
×:反りが3mm以上
【0131】
(5)加工性
得られたプリプレグ又は絶縁シートを50mm×500mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。PETシート上に形成された絶縁シートについてはPETシートから絶縁シートを剥離した。得られたテストサンプルを120℃のオーブン内で1時間、更に200℃のオーブン内で1時間硬化させ、プリプレグの硬化物又は絶縁シートの硬化物を得た。この硬化物を直径2.0mmのドリル(ユニオンツール社製、RA series)を用いて、回転数60000及びテーブル送り速度0.3m/分の条件でルーター加工した。ばりが発生するまでの加工距離を測定し、加工性を以下の基準で評価した。
【0132】
[加工性の判定基準]
○:ばりが発生することなく50m以上加工可能
△:ばりが発生することなく20m以上、50m未満加工可能
×:20m未満の加工によりばりが発生
【0133】
(6)放熱性
厚み1.5mmのアルミニウム板と厚み35μmの電解銅箔との間にプリプレグ又は絶縁シートを挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を保持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間、プリプレグ又は絶縁シートをプレス硬化し、銅張り積層板を形成した。この銅張り積層板を50mm×60mmの大きさに切り出し、テストサンプルを得た。
【0134】
同じサイズの60℃に制御された表面平滑な発熱体に、テストサンプルを銅箔側から196N/cmの圧力で押し付けた。アルミニウム板の表面の温度を熱伝対により測定した。放熱性を下記の基準で判定した。
【0135】
[放熱性の判定基準]
○:発熱体とアルミニウム板の表面の温度差が3℃を超え、6℃以内
△:発熱体とアルミニウム板の表面の温度差が6℃を超え、10℃以内
×:発熱体をアルミニウム板の表面の温度差が10℃を超える
【0136】
結果を下記の表1,2に示す。また、下記の表1,2では、用いた基材の種類に「○」を付した。
【0137】
【表1】

【0138】
【表2】

【符号の説明】
【0139】
1…プリプレグ
2…熱硬化性組成物
10…基材
11…第1の樹脂糸
12…第2の樹脂糸
21…積層板
22…金属層
23…樹脂層
50…基材
51…第1の樹脂糸
52…第2の樹脂糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層と、
前記金属層の表面に積層されている樹脂層とを備え、
前記樹脂層が、熱硬化性組成物が基材中に含浸されているプリプレグを用いて形成されており、
前記熱硬化性組成物が熱硬化性化合物を含み、
前記基材が、織布ではない基材であり、前記基材が、第1の方向に延びる複数の第1の樹脂糸と、前記第1の方向と交差する第2の方向に延びる複数の第2の樹脂糸とを有し、前記第1の樹脂糸と前記第2の樹脂糸とが積層されており、前記第1の樹脂糸と前記第2の樹脂糸とが交点で一体化されており、
前記第1の樹脂糸と前記第2の樹脂糸との材質がそれぞれ、ポリオレフィン樹脂である、積層板。
【請求項2】
前記第1の樹脂糸と前記第2の樹脂糸とが交点で熱融着している、請求項1に記載の積層板。
【請求項3】
前記熱硬化性組成物が無機フィラーを含む、請求項1又は2に記載の積層板。
【請求項4】
前記無機フィラーの新モース硬度が9以下である、請求項3に記載の積層板。
【請求項5】
前記無機フィラーの熱伝導率が10W/m・K以上である、請求項3又は4に記載の積層板。
【請求項6】
前記無機フィラーの平均粒径が0.1μm以上、100μm以下である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の積層板。
【請求項7】
前記基材の開口径の平均値が3mm以上、10mm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層板。
【請求項8】
前記基材の最大厚みが30μm以上、100μm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層板。
【請求項9】
前記熱硬化性組成物が、カップリング剤を含むか又は界面活性剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層板。
【請求項10】
前記熱硬化性化合物が、環状エーテル基を有する熱硬化性化合物を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−103433(P2013−103433A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249639(P2011−249639)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】