説明

積層発泡シート

【課題】防塵、断熱、防音、緩衝、水密及び気密などを目的とするシール材として好適に用いることができ、且つ、難燃性にも優れた積層発泡シートを提供する。
【解決手段】積層発泡シートは、25%圧縮強度が30〜200kPaである発泡シートの少なくとも一面に合成樹脂フィルムが積層一体化されてなり、上記合成樹脂フィルムの外面にはポリイミド樹脂層が形成されていることを特徴とし、発泡シートが適度な圧縮強度を有しており且つポリイミド樹脂層によって優れた難燃性を有しているので、高温条件下においてシール材として好適に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性に優れ且つシール材として好適に用いることができる積層発泡シートに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、建築、土木、電気、エレクトロニクス、車輌等の各種分野におけるシール材として、発泡体が広く使用されている。このようなシール材に供される発泡体としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等からなる熱可塑性樹脂発泡体や、合成ゴム又は天然ゴムからなるゴム発泡体等が挙げられる。
【0003】
シール材の中でも、パッキン・ガスケット材は、車両、弱電などの各種構造物の間隙を埋めるために使用され、衝撃に対するクッションとしての働きを持ちつつ、構造物内部への塵の侵入を防止する為に用いられる。
【0004】
特に、電気製品は携帯電話をはじめてとして高密度化、高精度化、小型化及び軽量化が要求され、これに伴ってシール材を配設するための隙間が小さくなっており、柔軟で作業効率良く配設できながら、配設後においては高いシール性を発揮するシール材が要求されている。
【0005】
このようなシール材として、特許文献1には、25%圧縮時の硬さ0.08〜0.3kg/cm2、密度0.3〜0.5g/cm3の弾性を有する発泡体からなる基体と、該基体の片面に固着されたプラスチックフィルムとからなるガスケットが提案されている。
【0006】
しかしながら、上記ガスケットは、発泡体からなる基体を低圧縮強度にしているために、所望形状に打ち抜いた後に、基体が変形してしまい寸法が合わず、シール性に劣るといった問題点を有していた。
【0007】
又、近年、電気製品はその作動時に筐体内が高温になることから、筐体内において使用されているシール材にも難燃性が求められている。
【0008】
【特許文献1】特開2001−100216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、防塵、断熱、防音、緩衝、水密及び気密などを目的とするシール材として好適に用いることができ、且つ、難燃性にも優れた積層発泡シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の積層発泡シートAは、25%圧縮強度が30〜200kPaである発泡シート1の少なくとも一面に合成樹脂フィルム2が積層一体化されてなり、上記合成樹脂フィルム2の外面にはポリイミド樹脂層3が形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記発泡シート1としては、その用途に応じて、独立気泡発泡シート、連続気泡発泡シート、気泡として独立気泡と連続気泡とが混合してなる発泡シートの何れの気泡構造を有するものであってもよい。
【0012】
又、発泡シート1を構成している合成樹脂としては、従来から発泡体に用いられているものであれば、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系エラストマー、ポリスチレン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、ポリ酢酸ビニルが挙げられる。積層発泡シートを用いる場合に必要な圧縮強度を有する独立気泡発泡シートを製造し易いことから、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂がより好ましい。
【0013】
上記ポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。又、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、ランダムブロック共重合体の何れであってもよい。
【0014】
なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィンが挙げられる。
【0015】
又、上記ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状中密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状高密度ポリエチレン系樹脂が挙げられる。ポリエチレン系樹脂は単独で用いられても併用されてもよい。
【0016】
更に、ポリエチレン系樹脂としては、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂を含有することが好ましい。ポリオレフィン系樹脂中における、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂の含有量は、40重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上が特に好ましく、100重量%が最も好ましい。なお、上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂の含有量が100重量%とは、ポリオレフィン系樹脂として、上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂のみを用いた場合を意味する。
【0017】
ポリオレフィン系樹脂中における、上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂の含有量が40重量%以上が好ましい理由を説明する。第一の理由は下記の通りである。
【0018】
発泡シート1は、後述するように、発泡シートを発泡させつつ或いは加熱下にて所定方向に延伸することによって製造される。この発泡シートの延伸時においては、発泡シートの気泡は延伸方向に延ばされて気泡壁同士が近接した状態となるので、ポリオレフィン系樹脂に粘着性を有する樹脂(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体)を用いた場合に、気泡壁同士が互いに密着一体化してしまい、所望範囲の25%圧縮強度を有する発泡シートを得ることができないことがある。
【0019】
一方、本発明の発泡シート1には柔軟性が求められている。そこで、ポリオレフィン系樹脂として、上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂を40重量%以上含有するものを用いることによって、ポリオレフィン系樹脂に粘着性を増加させることなく柔軟性を付与し、シール材として好適な25%圧縮強度を有する発泡シートを得ることができる。
【0020】
第二の理由は下記の通りである。上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂は、その分子量分布が狭く、共重合体の場合、どの分子量成分にも共重合体成分がほぼ等しい割合で導入されている。従って、発泡シートを均一に架橋させることができる。そして、発泡シートを均一に架橋させていることから発泡シートを均一に延伸させることができ、得られる発泡シートの厚みを全体的に均一なものとし、シール材として用いた場合のシール性を確実なものとすることができる。
【0021】
上記重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂としては、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて、エチレンと少量のα−オレフィンとを共重合することにより得られる直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
【0022】
なお、上記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンが挙げられる。
【0023】
又、メタロセン化合物とは、一般に、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟んだ構造の化合物をいい、ビス(シクロペンタジエニル)金属錯体が代表的なものである。
【0024】
そして、本発明における四価の遷移金属を含むメタロセン化合物としては、具体的には、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、白金などの四価の遷移金属に、1又は2以上のシクロペンタジエニル環又はその類縁体がリガンド(配位子)として存在する化合物が挙げられる。
【0025】
上記リガンドとしては、例えば、シクロペンタジエニル環;炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素−置換メタロイド基により置換されたシクロペンタジエニル環;シクロペンタジエニルオリゴマー環;インデニル環;炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素−置換メタロイド基により置換されたインデニル環が挙げられる。これらのπ電子系の不飽和化合物以外にも、リガンドとして、塩素や臭素などの一価のアニオンリガンド又は二価のアニオンキレートリガンド、炭化水素、アルコキシド、アリールアミド、アリールオキシド、アミド、アリールアミド、ホスフィド、アリールホスフィドなどが遷移金属原子に配位結合していてもよい。
【0026】
更に、シクロペンタジエニル環に置換する炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、フェニル基が挙げられる。
【0027】
このような四価の遷移金属を含むメタロセン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドジルコニウムクロリド、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、インデニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジ−n−プロピルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−ブチルアミド)(ジ−n−プロピルアミド)が挙げられる。
【0028】
上記メタロセン化合物は、金属の種類や配位子の構造を変え、特定の共触媒(助触媒)と組み合わせることにより、各種オレフィンの重合の際、触媒としての作用を発揮する。具体的には、重合は、通常、これらメタロセン化合物に共触媒としてメチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物などを加えた触媒系で行われる。なお、メタロセン化合物に対する共触媒の使用割合は、10〜1,000,000モル倍が好ましく、50〜5,000モル倍がより好ましい。
【0029】
そして、ポリエチレン系樹脂の重合方法としては、特に限定されず、例えば、不活性媒体を用いる溶液重合法、実質的に不活性媒体の存在しない塊状重合法、気相重合法が挙げられる。なお、重合温度は、通常、−100℃〜300℃で行なわれ、重合圧力は、通常、常圧〜100kg/cm2で行なわれる。
【0030】
メタロセン化合物は、活性点の性質が均一であり各活性点が同じ活性度を備えているため、合成するポリマーの分子量、分子量分布、組成、組成分布などの均一性が高まる。従って、これらメタロセン化合物を重合触媒として用いて重合されたポリオレフィン系樹脂は、分子量分布が狭く、共重合体の場合、どの分子量成分にも共重合体成分がほぼ等しい割合で導入されているという特徴を有する。
【0031】
そして、発泡シート1は、その厚み方向に直交する方向、即ち、発泡シート1の面内方向に延伸された気泡(以下「延伸気泡」という)を多数、含んでおり、これらの延伸気泡の延伸方向が同一方向に配向している。なお、延伸気泡の延伸方向とは、気泡が最も長い径をとる二点同士を結んだ直線方向をいい、延伸方向が同一とは、各延伸気泡の延伸方向に平行な直線をそれぞれ想定し、これらの直線同士がなす角度が0〜45°であることをいう。
【0032】
又、発泡シート1の気泡が厚み方向に直交する全方向に延伸されて碁石状である場合、即ち、発泡シートの厚み方向に直交する方向に気泡を任意の位置で切断した場合に何れの切断面も真円形状となり且つ発泡シートを厚み方向に切断した場合に何れの切断面も楕円形状となる場合、発泡シートの厚み方向に直交する任意の方向を延伸方向とすればよい。
【0033】
このような気泡構造をとることによって、発泡シート1は優れた柔軟性を有しているにもかかわらず適度な復元弾性力を有しており、積層発泡シートAをシール材として用いた場合、所定の隙間に配設する際の作業性に優れていると共に、優れたシール性能を発揮する。
【0034】
発泡シート1の気泡中における延伸気泡の割合は、少ないと、発泡シートの柔軟性が不充分となり、積層発泡シートをシール材として用いた場合に所定位置に配設する際の作業性が低下するので、50%以上が好ましく、70〜100%がより好ましい。
【0035】
発泡シート1の気泡中における延伸気泡の割合は下記の要領で測定される。発泡シート1を延伸気泡の延伸方向に平行な面で厚み方向に全厚みに亘って切断する。なお、延伸気泡の延伸方向に平行な面とは、各延伸気泡の延伸方向を示すベクトルを発泡シートの面内方向と発泡シートの厚み方向とに分けた時に得られる面内方向のベクトルの示す方向のうち、最も多く占める方向に平行な面をいう。
【0036】
そして、発泡シート1の切断面の写真を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影し、この写真中において、延伸気泡数と全気泡数とを数え、全気泡数に対する延伸気泡数の百分率を算出し、この値を発泡シートの気泡中における延伸気泡の割合とする。
【0037】
発泡シート1の延伸気泡の延伸方向は、発泡シートの厚み方向に直交する方向、即ち、発泡シートの面内方向であれば、特に限定されないが、発泡シートが押出機を用いて製造された場合には、発泡シートの押出方向(MD)に直交する方向(CD)が好ましい。
【0038】
発泡シート1の気泡、即ち、発泡シートにおける延伸気泡を含めた全ての気泡において、延伸方向の平均気泡径D1と、延伸方向に直交し且つ発泡シートの厚み方向に直交する方向の平均気泡径D2との比(D1/D2)(以下「平均気泡径比」ということがある)は、小さいと、発泡シートの柔軟性が不充分となり、積層発泡シートをシール材として用いた場合に所定位置に配設する際の作業性が低下し、大きいと、積層発泡シートの剛性が低下するので、0.9〜3.0が好ましい。なお、発泡シートの厚み方向とは、発泡シートの表面に対して垂直な方向をいう。
【0039】
次に、発泡シート1の全気泡における延伸方向の平均気泡径D1は下記の要領で測定されたものをいう。先ず、発泡シートをその延伸気泡の延伸方向に平行な面で厚み方向に全厚みに亘って切断する。
【0040】
しかる後、発泡シート1の切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて60倍に拡大し、発泡シートの厚み方向の全長が収まるように写真撮影する。
【0041】
得られた写真における、発泡シート1の厚み方向の中央部に対応する部分に、写真上での長さが15cm(拡大前の実際の長さ2500μm)の直線を、発泡シート表面と平行になるように描く。
【0042】
次に、上記直線上に位置する気泡数を目視により数え、下記式に基づいて気泡の延伸方向の平均気泡径を算出する。
平均気泡径D1(μm )=2500(μm)/気泡数(個)
【0043】
又、発泡シート1の全気泡において、延伸気泡の延伸方向に直交し且つ発泡シート1の厚み方向に直交する方向の平均気泡径D2は下記の要領で測定されたものをいう。先ず、発泡シート1をその厚み方向の中央部において厚み方向に直交する面で切断する。しかる後、発泡シート1の切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて60倍に拡大し写真撮影する。
【0044】
得られた写真における、発泡シート1の中央部に対応する部分に、写真上での長さが15cm(拡大前の実際の長さ2500μm)の直線を、延伸気泡の延伸方向に平行な面に直交する方向に描く。
【0045】
次に、上記直線上に位置する気泡数を目視により数え、下記式に基づいて気泡の延伸方向の平均気泡径を算出する。
平均気泡径D2(μm )=2500(μm)/気泡数(個)
【0046】
なお、上述の平均気泡径を測定する要領において、直線上に位置する気泡数を数えるにあたっては、写真上に表れた気泡断面のみに基づいて気泡径を判断する。
【0047】
即ち、気泡同士は、発泡シート1の切断面においては気泡壁によって互いに完全に分離しているように見えても、発泡シートの切断面以外の部分において互いに連通しているような場合もあるが、本発明においては、発泡シートの切断面以外の部分において互いに連通しているか否かについて考慮せず、写真上に表れた気泡膜断面のみに基づいて気泡形態を判断し、写真上に表れた気泡膜断面により完全に囲まれた一個の空隙部分を一個の気泡として判断する。
【0048】
そして、直線上に位置するとは、直線が気泡を該気泡の任意の部分において完全に貫通している場合をいい、又、直線の両端部においては、直線が気泡を完全に貫通することなく直線の端部が気泡内に位置した状態となっているような場合には、この気泡を0.5個として数えた。
【0049】
なお、発泡シート1の切断面を写真撮影する際、発泡シートの切断面を着色すると気泡の判別が容易になると共に、2500μmの目盛りを一緒に拡大して写真撮影しておくと、写真上における直線長さを特定し易くなる。
【0050】
発泡シート1の独立気泡率は、低いと、積層発泡シートをシール材として用いた場合にシール材のシール性能が低下することがあるので、70%以上が好ましく、80〜100%がより好ましい。
【0051】
なお、発泡シート1の独立気泡率は下記の要領で測定されたものをいう。先ず、発泡シートから一辺が5cmの平面正方形状で且つ一定厚みの試験片を切り出す。そして、試験片の厚みを測定して試験片の見掛け体積V1を算出すると共に、試験片の重量W1を測定する。
【0052】
次に、気泡の占める体積V2を下記式に基づいて算出する。なお、試験片を構成している樹脂の密度はρg/cm3とする。
気泡の占める体積V2=V1−W1/ρ
【0053】
続いて、試験片を23℃の蒸留水中に水面から100mmの深さに沈めて、試験片に15kPaの圧力を3分間に亘って加える。しかる後、試験片を水中から取り出して試験片の表面に付着した水分を除去して試験片の重量W2を測定し、下記式に基づいて連続気泡率F1及び独立気泡率F2を算出する。
連続気泡率F1(%)=100×(W2−W1)/V2
独立気泡率F2(%)=100−F1
【0054】
発泡シート1の25%圧縮強度は、小さいと、積層発泡シートをシール材として用いた場合にシール材のシール性能が低下し、大きいと、積層発泡シートをシール材として用いた場合に所望箇所への配設する際の作業性が低下するので、30〜200kPaに限定され、30〜150kPaが好ましい。
【0055】
なお、発泡シート1の25%圧縮強度は、JIS K6767に準拠して測定されたものをいう。具体的には、発泡シートから一辺が5cmの平面正方形状の試験片を複数個切り出し、これら試験片を厚み方向に複数枚、重ね合わせて厚み25cmの積層体を作製して常温下にて5時間放置した後、常温下にて積層体の25%圧縮強度をJIS K6767に準拠して測定することで求めることができる。
【0056】
発泡シート1のJIS K7222に準拠した見掛け密度は、小さいと、積層発泡シートの柔軟性が低下して、積層発泡シートをシール材として用いた際にシール性能が低下することがあり、大きいと、積層発泡シートをシール材として用いた際に厚み方向に圧縮した場合に弾性復元性が低下することがあるので、0.05〜0.7g/cm3が好ましい。
【0057】
なお、発泡シート1には、その物性を損なわない範囲内において、タルク、クレー、難燃剤、酸化亜鉛、カーボンブラック、二酸化珪素、酸化チタン、ガラス繊維、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤が必要に応じて添加されてもよい。
【0058】
上記難燃剤としては、特に限定されず、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイトなどの金属水酸化物、炭酸カルシウム、ヘキサブロモビフェニルエーテル、デカブロモビフェニルエーテル、ポリリン酸アンモニウム、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、メラミン樹脂が挙げられ、発泡シートの厚みが薄くても、柔軟性を有する発泡シートを得ることができ、積層発泡シートをシール材として好適に用いることができることから、金属水酸化物が好ましく、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイトがより好ましい。
【0059】
そして、図1に示したように、上記発泡シート1の少なくとも一面、好ましくは発泡シート1の両面には合成樹脂フィルム2が積層一体化されている。合成樹脂フィルム2を構成している合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂が挙げられ、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
【0060】
そして、図1に示したように、合成樹脂フィルム2の少なくとも外面、即ち、発泡シート1と反対側となる合成樹脂フィルム2の表面にはポリイミド樹脂層3が全面的に形成されており、このポリイミド樹脂層によって積層発泡シートに優れた難燃性が付与されている。図2に示したように、合成樹脂フィルム2の両面にポリイミド樹脂層が形成されていてもよい。
【0061】
又、発泡シート1の両面に合成樹脂フィルム2、2が積層一体化されている場合には、双方の合成樹脂フィルム2、2の少なくとも外面又は両面にポリイミド樹脂層3、3が全面的に形成されている。なお、図3では、合成樹脂フィルム2の両面にポリイミド樹脂層3、3が形成されている。
【0062】
このように、発泡シート1の少なくとも一面に合成樹脂フィルム2が積層一体化され、この合成樹脂フィルムの表面(外面)に優れた難燃性を有するポリイミド樹脂層3が形成されていることから、積層発泡シートは優れた難燃性を有している。
【0063】
しかも、本発明の積層発泡シートは、発泡シートに難燃剤を含有させることによって難燃性を付与されているのではなく、ポリイミド樹脂層3によって難燃性が付与されているので、発泡シートの柔軟性が損なわれることはなく、シール材として用いた場合には優れたシール性を発揮する。
【0064】
又、発泡シートと合成樹脂フィルムとは、発泡シートを構成している熱可塑性樹脂と、合成樹脂フィルムを構成している合成樹脂との熱融着によって一体化してもよいが、発泡シートと合成樹脂フィルムとを粘着剤を介して一体化されていることが好ましい。このような粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが挙げられる。
【0065】
次に、積層発泡シートの製造方法について説明する。先ず、発泡シートの製造方法について説明する。発泡シートの製造方法としては、特に限定されず、例えば、(1)熱可塑性樹脂及び熱分解型発泡剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによって発泡性樹脂シートを製造する工程と、この発泡性樹脂シートに電離性放射線を照射して架橋させる工程と、架橋させた発泡性樹脂シートを加熱、発泡させ、得られた発泡シートを発泡時の溶融状態を維持したままに押出方向に直交する方向(幅方向)に向かって延伸させて発泡シートの気泡を延伸し、気泡を延伸させる発泡シートの製造方法、(2) 熱可塑性樹脂、熱分解型発泡剤及び有機過酸化物を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによって発泡性樹脂シートを製造する工程と、この発泡性樹脂シートを加熱して有機過酸化物を分解させ、発泡性樹脂シートを架橋させつつ発泡させる工程と、得られた発泡シートを発泡時の溶融状態を維持したまま押出方向に直交する方向(幅方向)に向かって延伸させて発泡シートの気泡を延伸し、気泡を延伸させる発泡シートの製造方法、(3)熱可塑性樹脂及び熱分解型発泡剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによって発泡性樹脂シートを製造する工程と、この発泡性樹脂シートに電離性放射線を照射して、発泡性樹脂シートを架橋させる工程と、架橋させた発泡性樹脂シートを加熱、発泡させた後に冷却して発泡シートを製造する工程と、この発泡シートを再度、加熱して溶融又は軟化状態とする工程と、上記発泡シートを
押出方向に直交する方向(幅方向)に向かって延伸させて発泡シートの気泡を延伸し、気泡を延伸させる発泡シートの製造方法、(4)熱可塑性樹脂、熱分解型発泡剤及び有機過酸化物を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによって発泡性樹脂シートを製造する工程と、この発泡性樹脂シートを加熱して有機過酸化物を分解させ、発泡性樹脂シートを架橋させつつ発泡させた後に冷却して発泡シートを製造する工程と、この発泡シートを再度、加熱して溶融又は軟化状態とする工程と、上記発泡シートを押出方向に直交する方向(幅方向)に向かって延伸させて発泡シートの気泡を延伸し、気泡を延伸させる発泡シートの製造方法などが挙げられる。
【0066】
上記熱分解型発泡剤としては、加熱によって分解しガスを発生させるものであって、従来から発泡体の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルセミカルバジドが挙げられ、アゾジカルボンアミドが好ましい。なお、熱分解型発泡剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0067】
そして、熱分解型発泡剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。熱分解型発泡剤の添加量が少ないと、発泡シートが十分に発泡しないことがある。熱分解型発泡剤の添加量が多いと、発泡により形成される気泡が安定せず、発泡体の気泡構造が不均一になることがある。
【0068】
そして、発泡性樹脂シートを架橋する方法としては、例えば、発泡性樹脂シートに電子線、α線、β線、γ線などの電離性放射線を照射する方法、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物に予め有機過酸化物を配合しておき、得られた発泡性樹脂シートを加熱して有機過酸化物を分解させる方法などが挙げられ、これらの方法は併用されてもよい。
【0069】
上記有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネートが挙げられる。これらは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0070】
そして、有機過酸化物の添加量は、少ないと、発泡性樹脂シートの架橋が不充分となることがあり、多いと、発泡性樹脂シートが硬くなり過ぎて発泡が困難となることがあるので、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部がより好ましい。
【0071】
又、発泡性樹脂シートを発泡させる方法としては、特には限定されず、例えば、熱風により加熱する方法、赤外線により加熱する方法、塩浴による方法、オイルバスによる方法が挙げられる。これらは併用してもよい。
【0072】
そして、上記発泡シートの延伸は、発泡性樹脂シートを発泡させて発泡シートを得た後に行ってもよいし、或いは、発泡性樹脂シートを発泡させつつ行ってもよい。なお、発泡性樹脂シートを発泡させて発泡シートを得た後、発泡シートを延伸する場合には、発泡シートを冷却することなく発泡時の溶融状態を維持したまま続けて発泡シートを延伸しても、或いは、発泡シートを冷却した後、再度、発泡シートを加熱して溶融又は軟化状態とした上で発泡シートを延伸してもよい。更に、延伸された発泡シートを上述の要領で再度、延伸してもよい。
【0073】
上記発泡シートを所定方向に延伸することによって、発泡シートの気泡を所定方向に延伸し変形させて、無数の延伸気泡がその延伸方向を同一方向に向けた状態で配向させてなる発泡シートを製造することができる。
【0074】
又、上記発泡シートを幅方向に延伸する方法としては、発泡シートの幅方向の両端部を一対の把持部材によって把持し、この一対の把持部材を互いに離間する方向に徐々に移動させることによって発泡シートを幅方向に延伸する方法が好ましい。なお、発泡性樹脂シートは、それ自身の発泡によって幅方向に膨張するので、発泡シートを幅方向に延伸する場合には、発泡性樹脂シートの発泡による幅方向への膨張分を考慮した上で、その膨張分以上に発泡シートが幅方向に延伸されるように調整する必要がある。
【0075】
又、発泡シートの幅方向における延伸倍率は、1.5〜3倍が好ましい。延伸倍率が小さいと、発泡シートの柔軟性が不充分となり、積層発泡シートをシール材として用いた場合に所定位置に配設する際の作業性が低下することがある。延伸倍率が大きいと、発泡シートの気泡が破れてしまうことがある。
【0076】
なお、発泡シートにおける幅の延伸倍率は、発泡性樹脂シートをその押出方向及び幅方向に延伸させずに加熱、発泡させて得られた発泡シートの幅の長さをW1とし、幅に延伸させた発泡シートの幅の長さをW2とし、下記式に基づいて算出することができる。
発泡シートの幅における延伸倍率(倍)=W2/W1
【0077】
そして、発泡シートの一面に合成樹脂フィルムを積層一体化する方法としては、特に限定されないが、発泡シートの一面に粘着剤を介して合成樹脂フィルムを積層一体化させる方法が挙げられる。この際、合成樹脂フィルムの片面又は両面に全面的にポリイミド樹脂層を予め形成しておき、ポリイミド樹脂層が外側となるように合成樹脂フィルムを発泡シートの一面に積層一体化させる必要がある。
【0078】
又、積層発泡シートの厚みは、0.1〜1mmが好ましい。積層発泡シートが薄いと、積層発泡シートをシール材として用いた場合にシール性が低下することがあり、積層発泡シートが厚いと、積層発泡シートをシール材として用いた場合に所望箇所への配設する際の作業性が低下することがある。
【発明の効果】
【0079】
本発明の積層発泡シートは、発泡シートが適度な圧縮強度を有しており且つポリイミド樹脂層によって優れた難燃性を有しているので、高温条件下においてシール材として好適に用いることができる。
【0080】
そして、積層発泡シートは、発泡シートに難燃剤を含有させるのではなく発泡シートの一面に積層一体化させた合成樹脂フィルムの表面に形成したポリイミド樹脂層によって難燃性を付与しているので、発泡シートは柔軟性に優れており、シール材として用いた場合には良好なシール性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の積層発泡シートを示した模式縦断面図である。
【図2】本発明の積層発泡シートを他の一例を示した模式縦断面図である。
【図3】本発明の積層発泡シートを他の一例を示した模式縦断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 発泡シート
2 合成樹脂フィルム
3 ポリイミド樹脂層
A 積層発泡シート
【発明を実施するための最良の形態】
【0083】
(実施例1)
重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン(日本ポリエチレン社製 商品名「KF370」、密度:0.905g/cm3)100重量部、アゾジカルボンアミド2.5重量部及び2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3重量部及び発泡助剤として酸化亜鉛0.2重量部を押出機に供給して120℃にて溶融混練し、厚さ0.3mm、幅200mmの発泡性ポリエチレンシートを得た。
【0084】
得られた発泡性ポリエチレンシートに800kVの加速電圧にて電子線を5Mrad照射して発泡性ポリエチレンシートを架橋した。発泡性ポリエチレンシートを250℃に保持された発泡炉に供給して発泡させてポリエチレン発泡シートを得た。なお、発泡炉からのポリエチレン発泡シートの排出速度を、発泡炉への発泡性ポリエチレンシートの供給速度の2.5倍とし、ポリエチレン発泡シートにその押出方向に張力が略加わらないように調整した。
【0085】
得られた発泡シートをその溶融状態を維持したまま連続的に幅方向の端部を吸引式ガイダーで吸引して幅方向に3倍に延伸して、気泡を押出方向に対して直交する方向(幅方向)に延伸して、延伸気泡を有する発泡シートを得た。発泡シートは、その発泡倍率が3.3cm3/g、厚みが0.1mm、幅が600mmであった。
【0086】
発泡シートの全気泡において、延伸方向(幅方向)の平均気泡径D1と、押出方向の平均気泡径D2との比(幅方向の平均気泡径/押出方向の平均気泡径)は1.90であった。発泡シートの気泡中における延伸気泡の割合は90%であった。
【0087】
両面にポリイミド樹脂層が全面的に形成され且つ厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 商品名「ルミラーZV」)を用意し、このポリエチレンテレフタレートフィルムの一面にアクリル系粘着剤(積水フーラー社製 商品名「7850」)を15g/m2を塗布した上で、ポリエチレンテレフタレートフィルムをそのアクリル系粘着剤が発泡シート側となるようにして発泡シート上に重ね合わせて積層一体化して積層発泡シートを得た。
【0088】
(実施例2)
アゾジカルボンアミドを2.5重量部の代わりに3.1重量部としたこと、発泡シートを幅方向に3倍の代わりに2倍に延伸したこと以外は実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0089】
得られた発泡シートは、その発泡倍率が5cm3/g、厚みが0.20mm、幅が400mmであった。発泡シートの全気泡において、延伸方向(幅方向)の平均気泡径D1と、押出方向の平均気泡径D2との比(幅方向の平均気泡径/押出方向の平均気泡径)は1.50であった。発泡シートの気泡中における延伸気泡の割合は90%であった。
【0090】
(実施例3)
発泡シートを幅方向に3倍の代わりに1.5倍に延伸したこと以外は実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0091】
得られた発泡シートは、その発泡倍率が3cm3/g、厚みが0.30mm、幅が300mmであった。発泡シートの全気泡において、延伸方向(幅方向)の平均気泡径D1と、押出方向の平均気泡径D2との比(幅方向の平均気泡径/押出方向の平均気泡径)は1.80であった。発泡シートの気泡中における延伸気泡の割合は90%であった。
【0092】
(実施例4)
アゾジカルボンアミドを2.5重量部の代わりに5.5重量部としたこと、発泡性ポリエチレンシートの厚みを0.3mmの代わりに0.5mmとしたこと、発泡シートを幅方向に3倍の代わりに2倍に延伸したこと以外は実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0093】
得られた発泡シートは、その発泡倍率が10cm3/g、厚みが0.50mm、幅が400mmであった。発泡シートの全気泡において、延伸方向(幅方向)の平均気泡径D1と、押出方向の平均気泡径D2との比(幅方向の平均気泡径/押出方向の平均気泡径)は1.50であった。発泡シートの気泡中における延伸気泡の割合は90%であった。
【0094】
(実施例5)
ポリエチレンテレフタレートフィルムとして、片面にポリイミド樹脂層が全面的に形成され且つ厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 商品名「ルミラーZV(片面処理品)」)を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0095】
(実施例6)
押出機に水酸化マグネシウム(協和化学社製 商品名「キスマ5A」)30重量部を更に供給したこと以外は実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0096】
得られた発泡シートは、その発泡倍率が2cm3/g、厚みが0.50mm、幅が600mmであった。発泡シートの全気泡において、延伸方向(幅方向)の平均気泡径D1と、押出方向の平均気泡径D2との比(幅方向の平均気泡径/押出方向の平均気泡径)は1.50であった。発泡シートの気泡中における延伸気泡の割合は90%であった。
【0097】
(比較例1)
ポリエチレンテレフタレートフィルムとして、両面にポリイミド樹脂層が形成されていない厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0098】
(比較例2)
押出機に水酸化マグネシウム(協和化学社製 商品名「キスマ5A」)100重量部を更に供給したこと以外は比較例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0099】
得られた発泡シートは、その発泡倍率が0.6cm3/g、厚みが0.10mm、幅が600mmであった。発泡シートの全気泡において、延伸方向(幅方向)の平均気泡径D1と、押出方向の平均気泡径D2との比(幅方向の平均気泡径/押出方向の平均気泡径)は0.50であった。発泡シートの気泡中における延伸気泡の割合は90%であった。
【0100】
(比較例3)
ポリエチレンテレフタレートフィルムとして、両面にポリイミド樹脂層が形成されていない厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたこと以外は実施例5と同様にして積層発泡シートを得た。
【0101】
(比較例4)
発泡シートとして、ロジャーイノアック社から商品名「SRU−40P」にて市販されている難燃性ポリウレタン系樹脂発泡シート(発泡倍率:2.5cm3/g、厚み:0.50mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。なお、難燃性ポリウレタン系樹脂発泡シートは、ポリウレタン系樹脂100重量部に対して30重量部の水酸化アルミニウムを含有していた。
【0102】
得られた発泡シートの見掛け密度及び独立気泡率を測定し、その結果を表1に示した。更に、積層発泡シートの25%圧縮強度を上述の要領で、積層発泡シートの難燃性及び水密性を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0103】
(難燃性)
得られた積層発泡シートの難燃性をUL94HBFに準拠して測定した。
【0104】
(水密性)
積層発泡シートの両面に両面粘着テープを貼付した後、積層発泡シートから外径が60mmで且つ内径が40mmのリング状にシール材の全厚みに亘って打ち抜いて試験片を得た。
【0105】
上記試験片を2枚の互いに平行なアクリル樹脂板間に挟み、試験片の圧縮率が20%になるように、即ち、試験片の圧縮後の厚みが圧縮前の厚みの20%となるように、試験片をその厚み方向に2枚のアクリル樹脂板で圧縮した。
【0106】
2枚のアクリル樹脂板のうちの一方のアクリル樹脂板には、試験片の中心部に対応する部分に、水封入用、兼、圧力印加用の貫通孔があいており、この貫通孔より、2枚のアクリル樹脂板の対向面と試験片とで囲まれた空間内に水道水を満たし、更に、10kPaの圧力を23℃にて5分間に亘って印加して漏水試験を行って漏水の有無を目視観察した。漏水がなかった場合を「○」、漏水が生じた場合を「×」とした。
【0107】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
25%圧縮強度が30〜200kPaである発泡シートの少なくとも一面に合成樹脂フィルムが積層一体化されてなり、上記合成樹脂フィルムの外面にはポリイミド樹脂層が形成されていることを特徴とする積層発泡シート。
【請求項2】
発泡シートは該発泡シートを構成している合成樹脂100重量部に対して金属水酸化物1〜50重量部を含有していることを特徴とする請求項1に記載の積層発泡シート。
【請求項3】
発泡シートは、該発泡シートの厚み方向に直交する方向に延伸された気泡を有しており、上記発泡シートの気泡において、上記延伸方向の平均気泡径D1と、上記延伸方向に直交し且つ上記発泡シートの厚み方向に直交する方向の平均気泡径D2との比(D1/D2)が0.9〜3.0であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層発泡シート。
【請求項4】
積層発泡シートの厚みが0.1〜1mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の積層発泡シート。
【請求項5】
発泡シートの見掛け密度が0.05〜0.7g/cm3であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の積層発泡シート。
【請求項6】
合成樹脂フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の積層発泡シート
【請求項7】
発泡シートを構成している合成樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の積層発泡シート。
【請求項8】
発泡シートと合成樹脂フィルムとの間に粘着剤層が介在していることを特徴とする請求項1に記載の積層発泡シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−82808(P2010−82808A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250951(P2008−250951)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】