説明

積層磁性素子

【課題】積層磁性素子のコイルに流れる無効電流を減少させること。
【解決手段】積層磁性素子1は、絶縁性を有する絶縁シート10と、絶縁シート10を貫通して設けられた鉄心20と、絶縁シート10の一方の面に設けられた第1コイル31と、絶縁シート10の他方の面に設けられた第2コイル32と、を備える。第1コイル31は、長尺状の導体で形成されており、鉄心20を巻回し軸として三角形状に3ターン巻回されている。第2コイル32も、長尺状の導体で形成されており、鉄心20を巻回し軸として三角形状に3ターン巻回されている。ただし、第1コイル31と第2コイル32とは、鉄心20を回転軸として、60度だけずらして設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層磁性素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁性を有する絶縁シートの表裏両面にコイルを形成する積層磁性素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示されている積層磁性素子によれば、インダクタやトランスを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−186848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されている積層磁性素子では、絶縁シートの一方の面に形成されたコイルと、絶縁シートの他方の面に形成されたコイルと、が絶縁シートを挟んで対向する。この絶縁シートを挟んでコイル同士が対向する領域では、容量成分が形成されてしまうため、コイルを流れる無効電流が増大してしまう。
【0005】
上述の課題を鑑み、本発明は、積層磁性素子のコイルに流れる無効電流を減少させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、絶縁性を有する絶縁性板状部材(例えば、図2の絶縁シート10に相当)と、前記絶縁性板状部材の一方の面に設けられ、導体を1ターン以上巻回して形成された第1コイル(例えば、図1の第1コイル31に相当)と、前記絶縁性板状部材の他方の面に設けられ、導体を1ターン以上巻回して形成された第2コイル(例えば、図1の第2コイル32に相当)と、を備え、前記第1コイルの他端と前記第2コイルの一端とが導通するとともに、前記第1コイルと前記第2コイルとには、前記絶縁性板状部材を挟んで対向しない領域が形成されることを特徴とする積層磁性素子を提案している。
【0007】
この発明によれば、絶縁性板状部材の一方の面に第1コイルを設けるとともに、絶縁性板状部材の他方の面に第2コイルを設け、第1コイルの他端と第2コイルの一端とを導通させた。また、絶縁性板状部材を挟んで第1コイルと第2コイルとが対向しない領域を形成した。このため、絶縁性板状部材を挟んで第1コイルの全領域と第2コイルの全領域とが対向する場合と比べて、絶縁性板状部材を挟んで第1コイルと第2コイルとが対向する領域が小さくなるので、この領域により形成される容量成分が小さくなる。したがって、第1コイルおよび第2コイルに流れる無効電流を減少させることができる。
【0008】
(2) 本発明は、(1)の積層磁性素子について、前記第1コイルを形成する導体を巻回した部分の形状と、前記第2コイルを形成する導体を巻回した部分の形状とは、非円形の同一形状であり、前記第1コイルと前記第2コイルとは、当該第1コイルおよび当該第2コイルの巻回し軸(例えば、図1の鉄心20に相当)を回転軸として、予め定められた角度(例えば、図1では60度、図3では45度、図4では36度、図5では30度、図6では90度に相当)だけずらして設けられることを特徴とする積層磁性素子を提案している。
【0009】
この発明によれば、(1)の積層磁性素子において、第1コイルを形成する導体を巻回した部分の形状と、第2コイルを形成する導体を巻回した部分の形状とを、非円形の同一形状とした。また、第1コイルと第2コイルとを、第1コイルおよび第2コイルの巻回し軸を回転軸として、予め定められた角度だけずらして設けた。このため、絶縁性板状部材を挟んで第1コイルと第2コイルとが対向しない領域が形成されることとなる。したがって、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0010】
(3) 本発明は、(1)または(2)の積層磁性素子について、前記絶縁性板状部材は、折り線部(例えば、図8、9の折り線部110、120、130に相当)において折り畳まれることによって重なり合う複数のコイル形成部(例えば、図8、9のコイル形成部11〜14に相当)を有し、前記複数のコイル形成部のそれぞれの一方の面には、前記第1コイルが設けられ、前記複数のコイル形成部のそれぞれの他方の面には、前記第2コイルが設けられ、前記複数のコイル形成部のうち同一のものに設けられた前記第1コイルの他端と前記第2コイルの一端とは、導通し、前記複数のコイル形成部のうち予め定められたコイル形成部(例えば、図9のコイル形成部12に相当)に設けられた第1コイルの一端と、当該予め定められたコイル形成部の一方側に隣接するコイル形成部(例えば、図9のコイル形成部13に相当)に設けられた第1コイルの一端とは、当該隣接するコイル形成部の間の折り線部(例えば、図9の折り線部120に相当)を介して導通し、前記予め定められたコイル形成部に設けられた第2コイルの他端と、当該予め定められたコイル形成部の他方側に隣接するコイル形成部(例えば、図9のコイル形成部11に相当)に設けられた第2コイルの他端とは、当該隣接するコイル形成部の間の折り線部(例えば、図9の折り線部110に相当)を介して導通することを特徴とする積層磁性素子を提案している。
【0011】
この発明によれば、(1)または(2)の積層磁性素子において、折り線部において折り畳まれることによって重なり合う複数のコイル形成部を絶縁性板状部材に設け、複数のコイル形成部のそれぞれの一方の面に第1コイルを設け、複数のコイル形成部のそれぞれの他方の面に第2コイルを設けた。そして、複数のコイル形成部のうち同一のものに設けられた第1コイルの他端と第2コイルの一端とを、導通させた。また、予め定められたコイル形成部に設けられた第1コイルの一端と、この予め定められたコイル形成部の一方側に隣接するコイル形成部に設けられた第1コイルの一端とを、これら隣接するコイル形成部の間の折り線部を介して導通させた。また、上述の予め定められたコイル形成部に設けられた第2コイルの他端と、この予め定められたコイル形成部の他方側に隣接するコイル形成部に設けられた第2コイルの他端とを、これら隣接するコイル形成部の間の折り線部を介して導通させた。このため、積層磁性素子の大型化を抑制しつつ、コイルの巻数を増加させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、積層磁性素子のコイルに流れる無効電流を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る積層磁性素子の正面図である。
【図2】図1の積層磁性素子のA−A断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る積層磁性素子の正面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る積層磁性素子の正面図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る積層磁性素子の正面図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る積層磁性素子の正面図である。
【図7】本発明の第6実施形態に係る積層磁性素子の正面図である。
【図8】本発明の第7実施形態に係る積層磁性素子に設けられる絶縁シートの斜視図である。
【図9】前記積層磁性素子の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る積層磁性素子1の正面図であり、図2は、図1の積層磁性素子1のA−A断面図である。なお、図1では、便宜上、絶縁シート10の記載を省略している。
【0016】
積層磁性素子1は、絶縁性を有する絶縁シート10と、絶縁シート10を貫通して設けられた鉄心20と、絶縁シート10の一方の面に設けられた第1コイル31と、絶縁シート10の他方の面に設けられた第2コイル32と、を備える。
【0017】
第1コイル31は、長尺状の導体で形成されており、鉄心20を巻回し軸として三角形状に3ターン巻回されている。第2コイル32も、長尺状の導体で形成されており、鉄心20を巻回し軸として三角形状に3ターン巻回されている。ただし、第1コイル31と第2コイル32とは、鉄心20を回転軸として、60度だけずらして設けられている。
【0018】
第1コイル31の一端には、端子41が接続され、第2コイル32の他端には、端子42が接続されている。第1コイル31の他端と、第2コイル32の一端とは、絶縁シート10を貫通する貫通孔43を介して導通している。なお、本実施形態では、第1コイル31の他端と第2コイル32の一端とは、貫通孔43を介して導通しているが、第1コイル31の他端と第2コイル32の一端とが導通していれば、本発明はこれに限定されない。
【0019】
以上の積層磁性素子1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0020】
積層磁性素子1では、第1コイル31と第2コイル32とは、貫通孔43を介して導通している。このため、第1コイル31と第2コイル32とは、積層コイルを形成し、これら第1コイル31および第2コイル32を備える積層磁性素子1を、インダクタンス素子として用いることができる。
【0021】
また、積層磁性素子1では、第1コイル31と第2コイル32とが、鉄心20を回転軸として、60度だけずらして設けられている。このため、絶縁シート10を挟んで第1コイル31と第2コイル32とが対向しない領域が形成されることとなる。したがって、鉄心20を回転軸とした第1コイル31と第2コイル32とのずれがゼロ度の場合と比べて、絶縁シート10を挟んで第1コイル31と第2コイル32とが対向する領域が小さくなるので、この領域により形成される容量成分が小さくなる。よって、第1コイル31および第2コイル32に流れる無効電流を減少させることができる。
【0022】
<第2実施形態>
図3は、本発明の第2実施形態に係る積層磁性素子1Aの正面図である。積層磁性素子1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る積層磁性素子1とは、第1コイル31の代わりに第1コイル31Aを備える点と、第2コイル32の代わりに第2コイル32Aを備える点と、が異なる。なお、積層磁性素子1Aにおいて、積層磁性素子1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0023】
第1コイル31Aは、長尺状の導体で形成されており、鉄心20を巻回し軸として四角形状に3ターン巻回されている。第2コイル32Aも、長尺状の導体で形成されており、鉄心20を巻回し軸として四角形状に3ターン巻回されている。ただし、第1コイル31Aと第2コイル32Aとは、鉄心20を回転軸として、45度だけずらして設けられている。
【0024】
以上の積層磁性素子1Aによれば、積層磁性素子1が奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0025】
<第3実施形態>
図4は、本発明の第3実施形態に係る積層磁性素子1Bの正面図である。積層磁性素子1Bは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る積層磁性素子1とは、第1コイル31の代わりに第1コイル31Bを備える点と、第2コイル32の代わりに第2コイル32Bを備える点と、が異なる。なお、積層磁性素子1Bにおいて、積層磁性素子1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0026】
第1コイル31Bは、長尺状の導体で形成されており、鉄心20を巻回し軸として五角形状に4ターン巻回されている。第2コイル32Bも、長尺状の導体で形成されており、鉄心20を巻回し軸として五角形状に4ターン巻回されている。ただし、第1コイル31Bと第2コイル32Bとは、鉄心20を回転軸として、36度だけずらして設けられている。
【0027】
以上の積層磁性素子1Bによれば、積層磁性素子1が奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0028】
<第4実施形態>
図5は、本発明の第4実施形態に係る積層磁性素子1Cの正面図である。積層磁性素子1Cは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る積層磁性素子1とは、第1コイル31の代わりに第1コイル31Cを備える点と、第2コイル32の代わりに第2コイル32Cを備える点と、が異なる。なお、積層磁性素子1Cにおいて、積層磁性素子1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0029】
第1コイル31Cは、長尺状の導体で形成されており、鉄心20を巻回し軸として六角形状に4ターン巻回されている。第2コイル32Cも、長尺状の導体で形成されており、鉄心20を巻回し軸として六角形状に4ターン巻回されている。ただし、第1コイル31Cと第2コイル32Cとは、鉄心20を回転軸として、30度だけずらして設けられている。
【0030】
以上の積層磁性素子1Cによれば、積層磁性素子1が奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0031】
<第5実施形態>
図6は、本発明の第5実施形態に係る積層磁性素子1Dの正面図である。積層磁性素子1Dは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る積層磁性素子1とは、第1コイル31の代わりに第1コイル31Dを備える点と、第2コイル32の代わりに第2コイル32Dを備える点と、が異なる。なお、積層磁性素子1Dにおいて、積層磁性素子1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0032】
第1コイル31Dは、長尺状の導体で形成されており、鉄心20を巻回し軸として楕円状に3ターン巻回されている。第2コイル32Dも、長尺状の導体で形成されており、鉄心20を巻回し軸として楕円状に3ターン巻回されている。ただし、第1コイル31Dと第2コイル32Dとは、鉄心20を回転軸として、90度だけずらして設けられている。
【0033】
以上の積層磁性素子1Dによれば、積層磁性素子1が奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0034】
<第6実施形態>
図7は、本発明の第6実施形態に係る積層磁性素子1Eの正面図である。積層磁性素子1Eは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る積層磁性素子1とは、第1コイル31の代わりに図6に示した第1コイル31Dを備える点が異なる。なお、積層磁性素子1Eにおいて、積層磁性素子1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
以上の積層磁性素子1Eによれば、絶縁シート10の一方の面に設けられたコイル(第1コイル31D)の形状と、絶縁シート10の他方の面に設けられたコイル(第2コイル32)の形状と、が異なる。このため、絶縁シート10を挟んで第1コイル31Dと第2コイル32とが対向しない領域が形成されることとなる。したがって、積層磁性素子1が奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0036】
<第7実施形態>
図8は、本発明の第7実施形態に係る積層磁性素子1Fに設けられる絶縁シート10Aの斜視図である。なお、積層磁性素子1Fにおいて、図1に示した本発明の第1実施形態に係る積層磁性素子1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0037】
絶縁シート10Aは、帯状に形成されており、互いの表面積が略同一であるコイル形成部11〜14と、絶縁シート10Aの短手方向に延びる折り線部110、120、130と、を備える。絶縁シート10Aは、折り線部110、120、130において折り畳み可能となっている。これら折り線部110、120、130で折り畳むことで絶縁シート10Aをつづら折りすると、コイル形成部11〜14が重なり合い、絶縁シート10Aは四つ折りとなる。
【0038】
図9に示すように、コイル形成部11〜14のそれぞれの一方の面には、図1に示した第1コイル31が設けられ、コイル形成部11〜14のそれぞれの他方の面には、図1に示した第2コイル32が設けられている。コイル形成部11〜14のそれぞれの一方の面の第1コイル31を形成する導体を巻回した部分の形状と、コイル形成部11〜14のそれぞれの他方の面の第2コイル32を形成する導体を巻回した部分の形状とは、同一である。また、同一のコイル形成部における第1コイル31と第2コイル32とは、第1コイル31および第2コイル32の巻回し軸である鉄心20を回転軸として、60度だけずらして設けられている。
【0039】
コイル形成部11に設けられた第1コイル31の他端と、コイル形成部11に設けられた第2コイル32の一端とは、コイル形成部11を貫通する貫通孔を介して導通している。コイル形成部12〜14のそれぞれにおいても、第1コイル31の他端と第2コイルの一端とは、コイル形成部12〜14のそれぞれを貫通する貫通孔を介して導通している。
【0040】
コイル形成部12に設けられた第1コイル31の一端と、コイル形成部12の一方側に隣接するコイル形成部13に設けられた第1コイル31の一端とは、これら隣接するコイル形成部12、13の間の折り線部120を介して導通している。
【0041】
コイル形成部12に設けられた第2コイル32の他端と、コイル形成部12の他方側に隣接するコイル形成部11に設けられた第2コイル32の他端とは、これら隣接するコイル形成部11、12の間の折り線部110を介して導通している。また、コイル形成部14に設けられた第2コイル32の他端と、コイル形成部14の他方側に隣接するコイル形成部13に設けられた第2コイル32の他端とは、これら隣接するコイル形成部13、14の間の折り線部130を介して導通している。
【0042】
以上の積層磁性素子1Fによれば、積層磁性素子1が奏することのできる上述の効果と同様の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0043】
コイル形成部11〜14のそれぞれに第1コイル31および第2コイル32が設けられた絶縁シート10Aを折り線部110、120、130で折り畳むことにより、積層磁性素子1Fの大型化を抑制しつつ、積層磁性素子1に設けられたコイルの巻数を増加させることができる。
【0044】
なお、絶縁シート10Aを折り畳む際には、コイル形成部12〜14のうち重なり合うもの同士の間に、間隙を設けたり、絶縁シート10Aとは異なる他の絶縁シートを挿入したりしてもよい。また、第1コイル31および第2コイル32の上に絶縁膜を形成してもよい。これらによれば、コイル形成部12〜14のうち重なり合う2つに設けられた第1コイル31同士や第2コイル32同士が短絡してしまうのを防止できる。
【0045】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0046】
例えば、上述の各実施形態では、第1コイルおよび第2コイルの形状を、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状、および楕円形状にした例を示したが、これら第1コイルおよび第2コイルの形状を同一形状にする場合には、これに限らず、非円形状であればよい。
【0047】
また、上述の各実施形態において、第1コイルおよび第2コイルの巻数は、1ターン以上であればよく、また、第1コイルの巻数と第2コイルの巻数とは、同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0048】
また、上述の第6実施形態では、三角形状のコイルと楕円形状のコイルとを組み合わせた例を示したが、これに限らず、絶縁シートを挟んで第1コイルと第2コイルとが対向しない領域が形成されておればよく、例えば四角形状のコイルと五角形状のコイルのように、巻回した形状が互いに異なるコイルを組み合わせることもできる。また、2つのコイルのうち一方に非円形状のコイルを用いれば、他方のコイルに円形状のコイルを用いることもできる。
【符号の説明】
【0049】
1、1A〜1F;積層磁性素子
10、10A;絶縁シート
11〜14;コイル形成部
20;鉄心
31、31A〜31D;第1コイル
32、32A〜32D;第2コイル
43;貫通孔
110、120、130;折り線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有する絶縁性板状部材と、
前記絶縁性板状部材の一方の面に設けられ、導体を1ターン以上巻回して形成された第1コイルと、
前記絶縁性板状部材の他方の面に設けられ、導体を1ターン以上巻回して形成された第2コイルと、を備え、
前記第1コイルの他端と前記第2コイルの一端とが導通するとともに、前記第1コイルと前記第2コイルとには、前記絶縁性板状部材を挟んで対向しない領域が形成されることを特徴とする積層磁性素子。
【請求項2】
前記第1コイルを形成する導体を巻回した部分の形状と、前記第2コイルを形成する導体を巻回した部分の形状とは、非円形の同一形状であり、
前記第1コイルと前記第2コイルとは、当該第1コイルおよび当該第2コイルの巻回し軸を回転軸として、予め定められた角度だけずらして設けられることを特徴とする請求項1に記載の積層磁性素子。
【請求項3】
前記絶縁性板状部材は、折り線部において折り畳まれることによって重なり合う複数のコイル形成部を有し、
前記複数のコイル形成部のそれぞれの一方の面には、前記第1コイルが設けられ、
前記複数のコイル形成部のそれぞれの他方の面には、前記第2コイルが設けられ、
前記複数のコイル形成部のうち同一のものに設けられた前記第1コイルの他端と前記第2コイルの一端とは、導通し、
前記複数のコイル形成部のうち予め定められたコイル形成部に設けられた第1コイルの一端と、当該予め定められたコイル形成部の一方側に隣接するコイル形成部に設けられた第1コイルの一端とは、当該隣接するコイル形成部の間の折り線部を介して導通し、
前記予め定められたコイル形成部に設けられた第2コイルの他端と、当該予め定められたコイル形成部の他方側に隣接するコイル形成部に設けられた第2コイルの他端とは、当該隣接するコイル形成部の間の折り線部を介して導通することを特徴とする請求項1または2に記載の積層磁性素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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