説明

積層2軸延伸ポリアミド系フィルム

【課題】
耐衝撃性、耐突き刺し性および耐屈曲疲労性、特に、低温環境下における耐屈曲疲労性に優れ、食品包装等の包装材料として使用したときに、商品の輸送時、保管時における破袋防止等の効果に優れ、各種の包装用途、特にスープやソース等の水物充填包装袋に適した積層2軸延伸ポリアミド系フィルムを提供する。
【解決手段】
脂肪族ポリアミド重合体97〜70重量%と脂肪族共重合ポリアミド重合体3〜20重量%と所望により熱可塑性エラストマー0.5〜10重量%との混合重合体からなるA層の少なくとも一方の面に、脂肪族ポリアミド重合体99.5〜90重量%と熱可塑性エラストマー0.5〜10.0重量%との混合重合体からなるB層が積層されていることを特徴とする積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性及び耐屈曲疲労性、特に、低温環境下における耐屈曲疲労性、耐突き差し性に優れ、食品包装等の包装材料として使用したときに、商品の輸送時、保管時における破袋防止等に効果があり、フィルム厚みを薄くした場合においてもその強度を十分に維持することができる各種の包装用途に適した積層2軸延伸ポリアミド系フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナイロン6やナイロン66に代表される脂肪族ポリアミドからなる未延伸フィルムや延伸フィルムは、耐衝撃性や耐屈曲疲労性に優れており、各種の包装材料フィルムとして広く使用されている。
【0003】
また、スープ、調味料等の液体充填包装向けに、耐屈曲疲労性、耐衝撃性をさらに向上させるため、単層構成で脂肪族ポリアミドに各種エラストマー(ゴム成分)を混合し、より柔軟化した耐ピンホール用延伸ポリアミド系フィルムが広く使用されている。
【0004】
上記の耐ピンホール用フィルムの中では、脂肪族ポリアミドにポリオレフィン系エラストマーを混合したフィルムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このフィルムは、常温での耐屈曲疲労性、耐衝撃性は良好であるが、低温環境下になると耐屈曲疲労性、耐衝撃性が不良化し、商品輸送時における屈曲疲労によりピンホールが起こりやすいという問題がある。商品の包装材料にピンホールが発生すると、内容物の漏れによる汚染、内容物の腐敗やカビの発生等の原因となり、商品価値の低下につながる。
【0005】
また、脂肪族ポリアミドにポリアミド系エラストマーを混合したフィルムが知られている(例えば、特許文献2参照)。このフィルムは、低温環境下での耐屈曲疲労性、耐衝撃性が良好であり、低温環境下でも屈曲疲労によるピンホール発生が起こりにくい。
【0006】
しかし、この構成のフィルムでは、フィルム厚みが薄くなると、突起物との接触、袋の面への衝撃でピンホールが貫通し易くなるのに加えて、フィルムの強度や滑り性不足により耐破袋性が低下する傾向がある。そのために、薄くしたフィルム構成の水物充填包装袋では摩擦や突刺しによるピンホールの発生や圧縮、衝撃による破袋が起き易くなってしまう。
【0007】
さらに、製袋加工時の取扱い性向上、袋への内容物充填時の作業性向上のために製袋品の腰を付与することを目的として、ヒートシール用のポリエチレン樹脂層の厚みを増加させた、またはより硬いポリエチレン樹脂を選択した、ポリアミド系フィルム/ポリエチレン樹脂構成の製袋品が提案されている(特許文献3参照)。しかし、この製袋品では、製袋品の腰が硬くなるためにピンホールが開き易くなってしまう。そのため、これらに用いられるポリアミド系フィルムには、より一層の耐ピンホール性が要求される。
【0008】
このように、現行の耐ピンホール性ポリアミドフィルムにおける拡大された要求特性への対応度合いとしては、ポリオレフィン系エラストマー混合ポリアミド系フィルムでは、低温環境下での耐屈曲疲労性、耐衝撃強度が劣り、ポリアミド系エラストマー混合ポリアミド系フィルムでは、低温環境下でも耐屈曲疲労性、耐衝撃強度は良好な傾向であるが、薄肉化したフィルム構成では満足する破袋強度、衝撃強度、突き刺し強度、耐ピンホール性を達成できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭56−147847号公報
【特許文献2】特開平11−254615号公報
【特許文献3】特開平10−218204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる従来技術の耐ピンホール用ポリアミド系フィルムの有する問題点に鑑み創案されたものであり、その目的は、耐破袋性、耐衝撃性、耐突き刺し性および耐屈曲疲労性、特に、低温環境下における耐屈曲疲労性に優れ、食品包装等の包装材料として使用したときに、商品の輸送時、保管時における破袋防止等の効果に優れ、各種の包装用途、特にスープやソース等の水物充填包装袋に適した積層2軸延伸ポリアミド系フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、本発明は、脂肪族ポリアミド重合体97〜70重量%と脂肪族共重合ポリアミド重合体3〜20重量%と所望により熱可塑性エラストマー0.5〜10重量%との混合重合体からなるA層の少なくとも一方の面に、脂肪族ポリアミド重合体99.5〜90重量%と熱可塑性エラストマー0.5〜10.0重量%との混合重合体からなるB層が積層されていることを特徴とする積層2軸延伸ポリアミド系フィルムである。
【0012】
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムの好ましい態様では、以下の(1)〜(9)の特徴を有する。
(1)A層を構成する熱可塑性エラストマーがポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、及びアイオノマー重合体からなる群から選択された少なくとも一種のエラストマーである。
(2)フィルムの全厚みが9〜25μmである。
(3)A層の厚みがA層とB層の合計の厚みの70〜93%であり、B層の厚みが1μm以上である。
(4)上記の(2)又は(3)のようなフィルム構成であっても、衝撃強度が0.7J以上であり、突き刺し強度が10N以上であり、5℃の屈曲疲労ピンホール数が5個以下であり、破断強度が45N/15mm以上である。
(5)B層に対して0.6〜1.0mlの細孔容積を有する無機微粒子0.005〜1.0重量%及び1.1〜1.6mlの細孔容積を有する無機微粒子0.01〜0.5重量%が添加され、無機微粒子の平均粒子径が0.5〜5.0μmである。
(6)A層及び/又はB層を構成するポリアミド重合体が脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドを0.01〜0.40重量%含有する。
(7)上記の(5)又は(6)の構成をとるとき、23℃65%RHでの静止摩擦係数が0.90以下である。
(8)A層を構成する混合重合体が酸化防止剤を0.01〜0.1重量%含有する。
(9)B層を最外層として上記の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムを包装材料として使用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、A層が脂肪族ポリアミド重合体中に脂肪族共重合ポリアミド重合体を含有することで柔軟化され、高い延伸倍率でも破断等のトラブルが起きにくく、フィルムの破断強度の向上が可能であり、さらに耐ピンホール素材としての熱可塑性エラストマーを分散することで耐衝撃性、耐突き刺し性および耐屈曲疲労性の発現に寄与し、特に低温環境下において優れた耐屈曲疲労性を与える。また、脂肪族ポリアミド重合体と熱可塑性エラストマーとの混合重合体からなるB層が優れた耐屈曲ピンホール性を持ち、細孔容積を規定した無機粒子を添加することで優れた滑り性と透明性を持ち、包装袋に加わる摩擦、屈曲の衝撃を受け止め耐磨耗性、破袋防止性の発現に寄与し、それぞれの特性の相乗効果によって、高い衝撃強度、耐突き差し性、耐屈曲疲労性、耐磨耗性、破袋防止性を達成するものである。
【0014】
上記のような特性を有することから、食品包装、液体包装等の包装材料として用いたときに、輸送中、特に、低温輸送時、保管時における衝撃や振動、摩擦による突き刺し、屈曲疲労、摩擦疲労による破袋の防止に効果があり、また、製袋品の輸送時、保管時における落下においても破袋防止に効果がある。さらに製袋加工時および製袋加工品への商品充填時のブロッキング、滑り不良を防ぎ、安定した作業性を与え、各種の包装材料として有効に使用することができる。特に、本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、15μm未満の薄肉化した構成を求められた場合であっても、袋包装品として有効に機能する特性を持つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムを詳細に説明する。
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、特定の混合重合体からなるA層の少なくとも一方の面に特定の混合重合体からなるB層が積層されて構成されるものである。
【0016】
本発明のA層は、脂肪族ポリアミド重合体97〜70重量%と脂肪族共重合ポリアミド重合体3〜20重量%と所望により熱可塑性エラストマー0.5〜10重量%との混合重合体からなる。かかるA層は、耐衝撃性および耐屈曲疲労性に優れる脂肪族ポリアミド重合体中に柔軟性付与剤、粘り性付与剤として脂肪族共重合ポリアミド重合体が微分散している構造をもつことで、優れた衝撃強度、耐突き刺し性、耐屈曲疲労性の改善に寄与し、さらに耐ピンホール素材としての熱可塑性エラストマーが分散している構造を持つことで、さらに優れた耐屈曲疲労性、特に、低温環境下における耐屈曲疲労性の改善に寄与する。ここで、A層を構成する脂肪族共重合ポリアミド重合体の混合量が3重量%未満では、熱可塑性エラストマーの混合量が少ないと現行の耐ピンホール性ポリアミド延伸フィルムを越える高度に要求された耐衝撃性、耐突き刺し性、耐屈曲疲労性を得ることができない。また、混合量が20重量%を超えると、衝撃強度、耐突き刺し性、耐屈曲疲労性が飽和する。さらに、熱可塑性エラストマーの混合量が増加すると、耐屈曲疲労性の改善効果が得られるが、混合量が10重量%を超えると、透明性が不良となり、耐屈曲疲労性も飽和する。
【0017】
本発明のA層を構成する脂肪族ポリアミド重合体としては、フィルム成形材料として使用することができかつ上記構造を形成するのに適切であれば特に制限されない。例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6・10などの脂肪族ポリアミド単独重合体を使用することができる。
【0018】
A層に混合される脂肪族共重合ポリアミド重合体としては、上記の脂肪族ポリアミド単独重合体に共重合可能なモノマーが10重量%以下、好ましくは1〜10重量%の共重合体、例えば、ナイロン6/6・6共重合体、ナイロン6/12共重合体、ナイロン6/6・10共重合体、ナイロン6・6/6・10共重合体などの脂肪族共重合ポリアミド重合体で代表される脂肪族ポリアミド、またはε−カプロラクタムを主成分としこれとヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸とのナイロン塩やメタキシリレンジアミンとアジピン酸とのナイロン塩などとを共重合させた少量の芳香族を含むポリアミド共重合体等を使用することができる。
【0019】
A層に混合される熱可塑性エラストマーは、ゴム状弾性を有する物質としての熱可塑性材料のことであり、上記構造を形成するのに適切であれば特に制限されない。例えば、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、アイオノマー重合体等の他、これらのエラストマーの混合物などが挙げられる。熱可塑性エラストマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0020】
本発明では、熱可塑性エラストマーは、本発明の目的を損なわない範囲において改質が行われてもよい。例えば、前記例示の熱可塑性エラストマーの変性体であってもよい。熱可塑性エラストマーにおける改質としては、例えば、共重合やグラフト変性による改質、極性基の付与による改質などが挙げられる。極性基の付与は、グラフト変性により行われてもよい。このような極性基としては、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、アミノ基、オキソ基などが挙げられる。極性基は1種類で又は複数の種類を組み合わせて付与することができる。従って、極性基が付与された変性体には、例えば熱可塑性エラストマーのエポキシ変性体、カルボキシ変性体、酸無水物変性体、ヒドロキシ変性体、アミノ変性体などが含まれる。
【0021】
本発明の熱可塑性エラストマーとしては、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー及びアイオノマー重合体を好適に用いることができる。
【0022】
ポリアミド系エラストマーとしては、ポリアミド成分によって構成されるハードセグメントとポリオキシアルキレングリコール成分によって構成されるソフトセグメントからなるポリアミド系ブロック共重合体が挙げられる。ハードセグメントのポリアミド成分は、(1)ラクタム、(2)ω−アミノ脂肪族カルボン酸、(3)脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸、又は(4)脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸からなる群から選択され、具体的には、ε−カプロラクタムの如きラクタム、アミノヘプタン酸の如き脂肪族ジアミン、アジピン酸の如き脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸を例示することができる。また、ポリアミド系ブロック共重合体のソフトセグメントを構成するポリオキシアルキレングリコールは、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシ−1,2−プロピレングリコール等が挙げられる。
【0023】
ポリアミド系ブロック共重合体の融点は、ポリアミド成分によって構成されるハードセグメントとポリオキシアルキレングリコール成分によって構成されるソフトセグメントの種類と比率によって決められるが、通常は、120℃から180℃の範囲のものが使用される。
【0024】
ポリアミド系ブロック共重合体を積層2軸延伸ポリアミド系フィルムの構成成分にすることにより、積層2軸延伸ポリアミド系フィルムの耐屈曲疲労性、特に、低温環境下における耐屈曲疲労性の改善に効果がある。
【0025】
また、ポリオレフィン系エラストマーとしては、特に制限されず、ポリオレフィンをハードセグメントとし、各種ゴム成分をソフトセグメントとするブロック共重合体などが挙げられる。ハードセグメントを構成するポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンなど、炭素数2〜20程度のα−オレフィン等の単独重合体又は共重合体などが挙げられる。ポリオレフィンを単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。好ましいオレフィンには、エチレン、プロピレンが含まれる。また、ソフトセグメントを構成するゴム成分としては、例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR;アクリルニトリル−ブタジエンゴム)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、水素添加NBR(H‐NBR)、アクリロニトリル−イソプレンゴム(NIR)、アクリロニトリル−イソプレン−ブタジエンゴム(NBIR)などが挙げられる。これらのゴム成分には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸をコモノマーとして含有させたカルボキシル化ゴム等の酸変性ゴムやその他の変性ゴム、水添物なども含まれる。これらのゴム成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0026】
アイオノマー重合体としては、特に制限されず、ポリオレフィンをハードセグメントとし、不飽和カルボン酸で酸変性させた各種ゴム成分をソフトセグメントとし、さらに金属イオンにて中和してなるブロック共重合体などが挙げられる。好ましいアイオノマー重合体としては、エチレンとメタクリル酸からなる共重合樹脂、又はエチレンとメタクリル酸とアクリル酸エステルとからなる共重合樹脂を、Na、K、Zn2+を含む金属イオンで中和してなるアイオノマー重合体が挙げられる。
【0027】
A層を構成する混合重合体は、バージン原料の上記脂肪族ポリアミド重合体と脂肪族共重合体ポリアミド重合体と所望により熱可塑性エラストマーを混合したものであってもよいし、また、本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムを製造する際に生成する規格外フィルムや切断端材(耳トリム)として発生する屑材及びその再生レジンとバージン原料を加えて調整したものであってもよい。
【0028】
A層を構成する混合重合体は、酸化防止剤を0.01〜0.1重量%含有することが好ましい。酸化防止剤の含有量が上記の範囲を超えると、積層2軸延伸ポリアミド系フィルム表面への析出等による白化、ポリエチレン、ポリプロピレンシーラントとのラミネート加工時の接着性不良となり、上記の範囲を下回ると、A層の混合重合体として屑材及び再生レジン等の回収再生原料を使用する場合に回収再生原料の熱劣化等による製膜操業性不良が発生することがある。
【0029】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましい。フェノール系酸化防止剤は、完全ヒンダードフェノール系化合物又は部分ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。例えば、テトラキス−〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。
【0030】
上記フェノール系酸化防止剤をA層の混合重合体に含有させることにより、積層2軸延伸ポリアミド系フィルムの製膜操業性が向上する。特に、フィルム屑材、再生レジン等を用いた回収再生原料混合系では、熱可塑性エラストマーの回収再生による熱劣化が起こりやすく、これを起因とする製膜操業不良が発生するため、操業効率低下による生産コスト上昇、及び、回収再生原料の使用量の低下による操業性維持のための原料費上昇による生産コスト上昇を招く傾向にある。これに対して、酸化防止剤を、回収再生原料類を含むポリアミド系2軸延伸フィルムのA層の混合重合体に含有させることで、熱可塑性エラストマーをはじめとする各種重合体の熱劣化を抑制し、安定した製膜操業性を実現する。このことから、本発明によれば、操業性向上、及び回収再生原料の使用量増加による原料費低減により、生産コストの低減が可能となる。
【0031】
本発明のB層は、脂肪族ポリアミド重合体99.5〜90重量%と熱可塑性エラストマー0.5〜10重量%との混合重合体からなる。かかるB層は、優れた耐屈曲ピンホール性を持ち、包装袋に加わる屈曲の衝撃を受け止め、破袋防止性の発現に寄与する。熱可塑性エラストマーの含有量が上記範囲内であれば、良好な透明性を維持しながら耐屈曲疲労性を向上させることができる。
【0032】
B層を構成する脂肪族ポリアミド重合体及び熱可塑性エラストマーは、上述したA層の脂肪族ポリアミド重合体及び熱可塑性エラストマーを同様に使用することができる。
【0033】
上述のように構成されたA層の少なくとも一方の面(例えば、片面又は両面)に上述のように構成されたB層が積層されてなる本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、フィルムの全厚みが15μm未満、さらには9〜15μm、特に10〜14μmのように極めて薄いものであっても、衝撃強度が0.7J以上であり、突き刺し強度が10N以上であり、5℃の屈曲疲労ピンホール数が5個以下であり、破断強度が45N/15mm以上であることができる。また、本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、ヘイズが6%以下であることが好ましい。ヘイズが6%を超えると透明性が十分に改善されず、透明性が要求される用途で使用しにくくなる。より好ましくは5%以下、更に好ましくは4%以下である。ヘイズ値は小さいほど好ましいが、1%以上であっても構わない。2%以上であっても好ましい範囲と言える。
【0034】
また、本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、B層に対して0.6〜1.0mlの細孔容積を有する無機微粒子及び1.1〜1.6mlの細孔容積を有する無機微粒子のように2種類以上の細孔容積を有する無機微粒子が添加されることが好ましい。無機微粒子の細孔容積の範囲は0.5〜2.0ml/gであると好ましく、0.8〜1.5ml/gであるとより好ましい。細孔容積が0.5ml/g未満であると、ボイドが発生し易くなりフィルムの透明性が悪化し、細孔容積が2.0ml/gを超えると、フィルムの滑り性が悪くなるため、好ましくない。このように2種類以上の細孔容積を有する無機微粒子を用いることにより、透明性と高湿度環境下でも優れた滑り性を維持し、包装袋に加わる摩擦、屈曲の衝撃を受け止め、耐磨耗性、破袋防止性の発現に寄与することができる。
【0035】
無機微粒子としては、シリカ、カオリン、ゼオライト等の無機滑剤、アクリル系、ポリスチレン系等の高分子系有機滑剤等の中から適宜選択して使用することができる。なお、透明性、滑り性の面から、シリカ微粒子を用いることが好ましい。
【0036】
無機微粒子の好ましい平均粒子径は0.5〜5.0μmであり、より好ましくは1.0〜3.0μmである。平均粒子径が0.5μm未満であると、良好な滑り性を得るのに多量の添加量が要求され、5.0μmを超えると、フィルムの表面粗さが大きくなりすぎて実用特性を満たさなくなるので好ましくない。
【0037】
なお、細孔容積とは無機微粒子1g当りに含まれる細孔の容積(ml/g)のことをいう。そのようなシリカ微粒子は、一般には合成シリカを粉砕し分級することによって得られるが、合成時に直接に球状微粒子として得られる多孔質シリカ微粒子を用いることも可能である。また、そのようなシリカ微粒子は一次粒子が凝集してできた凝集体であり、一次粒子と一次粒子の隙間が細孔を形成する。
【0038】
細孔容積は、無機微粒子の合成条件を変えることによって調整することができ、細孔容積が小さいほど、少量の添加量で良好な滑り性を与えることが可能となる。細孔容積の小さい無機微粒子を使用すると、配合したポリアミド系樹脂の延伸工程においてフィルム表面に高い突起を形成するが、多くのボイドを生じ、フィルムの透明性が損なわれることがある。これに対し、細孔容積の大きい無機微粒子を使用すると、透明性を維持した上で多量添加が可能となる。しかし、その形成する表面突起の高さは低く、高湿度条件下でも好適な滑り性を維持するためには多量の無機微粒子の添加を必要とする。従って、上述した2種類以上の範囲の無機微粒子をB層に添加すると、透明性を維持したまま、高い表面突起と低い表面突起が共存し、高湿度環境下での優れた滑り性を得ることができる。なお、2軸延伸フィルムの透明性は、延伸条件(温度や倍率)あるいはその後の緩和処理条件(緩和率や温度)によっても変わってくるので、これらの条件も適正にコントロールすることが望ましい。
【0039】
無機微粒子をB層に添加する方法としては、樹脂の重合時の添加や押出し機での溶融押出し時に添加してマスターバッチ化し、このマスターバッチをフィルム生産時にポリアミド重合体に添加して使用するなどの公知の方法により行うことができる。
【0040】
なお、無機微粒子の平均粒子径は下記のようにして測定した値である。高速攪拌機を使用して所定の回転速度(約5000rpm)で攪拌したイオン交換水中に無機微粒子を分散させ、その分散液をイソトン(生理食塩水)に加えて超音波分散機で更に分散した後に、コールカウンター法によって粒度分布を求め、重量累積分布の50%における粒子径を平均粒子径として算出した。
【0041】
無機微粒子のB層中に占める含有量は0.03〜2.5重量%であり、より好ましくは0.08〜1.5重量%である。無機微粒子の含有量が上記範囲未満であると、二軸延伸フィルムの高湿度下での滑り性が十分に改善されず、含有量が上記範囲を超えると、抽出工程での流失量が多くなる上、フィルムの透明性が許容できないほど悪くなるので好ましくない。また、0.6〜1.0mlの細孔容積を有する無機微粒子と1.1〜1.6mlの細孔容積を有する無機微粒子はそれぞれ、B層に0.005〜0.5重量%、0.01〜2.0重量%含有することが好ましい。
【0042】
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、上記必須成分以外に、前記した特性を阻害しない範囲内で他の種々の添加剤、例えば潤滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃改良剤などを含有することも可能である。特に、表面エネルギーを下げる効果のある有機系潤滑剤を、接着性や濡れ性に問題が生じない程度に添加すると、延伸フィルムに一段と優れた滑り性と透明性を与えることができるので好ましい。
【0043】
本発明では、A層及び/又はB層を構成するポリアミド重合体中に、滑り性付与を目的として脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドを含有させることができる。脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドとしては、エルカ酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイドなどが挙げられる。
【0044】
この場合のポリアミド重合体中の脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドの含有量は、好ましくは0.01〜0.40重量%であり、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%である。脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドの含有量が上記範囲未満となると、滑り性が悪く、印刷やラミネート等における加工適性が不良となり、上記範囲を越えると、経時的にフィルム表面へのブリードにより表面に斑を生ずることがあり、品質上好ましくない。
【0045】
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、上記のようにB層に無機微粒子を添加したり、A層及び/又はB層を構成するポリアミド重合体に脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドを含有することにより、0.90以下の23℃65%RHでの静止摩擦係数を達成することができる。
【0046】
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムの全厚みは、特に制限されるものではないが、包装材料として使用する場合、通常100μm以下であり、一般には5〜50μmの厚みのものが使用される。但し、本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、上述のように薄いフィルム構成のときにも上述の効果を発揮することが特徴である。
【0047】
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、包装材料(製袋品)に加工される場合、B層面が製袋品の最外面となるラミネート構成となることが好ましい。製袋品の運搬時に段ボール等の運搬包装との摩擦が生じた場合、その摩擦でフィルムに削れを生じ破袋したり、袋どうしの接触で突き刺し、屈曲疲労等が増加し破袋したりする。本発明の構成では、滑り性の良いB層で摩擦による破袋要因を減少させ、高い破袋防止性を発現する。
【0048】
この場合において、B層の厚みがフィルム総厚みのかなりの部分を占めた場合、高い滑り性を確保するが透明性は大きく低下する。これと反対にA層の厚みがフィルム総厚みをほぼ占有した場合、柔軟性、衝撃強度、耐突き刺し性、耐屈曲疲労性は優れているものの、滑り性、耐磨耗性が確保できない。従って、本発明において、A層の厚みを、A層とB層の合計厚みの70〜93%、特に80〜93%とすることが好ましい。また、B層の厚みを少なくとも1μm以上、好ましくは3μm以下とすることで、耐屈曲疲労性と耐磨耗性の両立を効果的に発現しうる。
【0049】
A層、B層を構成する各種ポリアミド重合体、熱可塑性エラストマー等を混合する方法には特に制限はないが、通常はチップ状の重合体をV型ブレンダーなどを用いて混合した後、溶融し成形する方法が用いられる。
【0050】
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムのA層とB層を構成するポリアミド重合体には、必要に応じて他の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系重合体等をその特性を害さない範囲で含有させてもよい。
【0051】
また、帯電防止剤や防曇剤、紫外線吸収剤、染料、顔料等の各種の添加剤を必要に応じて、ポリアミド重合体からなるA層及び/又はB層の一方又は両方の層に含有させることができる。
【0052】
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、公知の製造方法により製造することができる。例えば、各層を構成する重合体を別々の押出機を用いて溶融し、1つのダイスから共押出しにより製造する方法、各層を構成する重合体を別々にフィルム状に溶融押出ししてからラミネート法により積層する方法、及びこれらを組み合わせた方法など任意の公知の方法を採用することができ、延伸方法としては、例えば、フラット式逐次2軸延伸方法、フラット式同時軸延伸方法、チューブラー法等の公知の方法を用いて縦方向に2〜5倍、横方向に3〜6倍延伸し、必要により熱固定する。かくして、積層フィルムの透明性、酸素ガスバリアー性や加工適性を向上させることができる。
【実施例】
【0053】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、フィルムの評価は次の測定法によって行った。
【0054】
(1)衝撃強度
(株)東洋精機製作所製のフィルムインパクトテスターを使用し、温度23℃、相対湿度65%の環境下で測定した。
【0055】
(2)屈曲疲労ピンホール数
理学工業社製のゲルボフレックステスターを使用し、下記の方法により屈曲疲労ピンホール数を測定した。
実施例で作製したフィルムにポリエステル系接着剤を塗布後、厚み40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPEフィルム:東洋紡績社製、L4102)をドライラミネートし、40℃の環境下で3日間エージングを行いラミネートフィルムとした。得られたラミネートフィルムを12インチ×8インチに裁断し、直径3.5インチの円筒状にし、円筒状フィルムの一方の端をゲルボフレックステスターの固定ヘッド側に、他方の端を可動ヘッド側に固定し、初期の把持間隔を7インチとした。ストロークの最初の3.5インチで440度のひねりを与え、その後2.5インチは直線水平運動で全ストロークを終えるような屈曲疲労を、40回/minの速さで500回行い、ラミネートフィルムに発生したピンホール数を数えた。なお、測定は5℃の環境下で行った。テストフィルムのL−LDPEフィルム側を下面にしてろ紙(アドバンテック、No.50)の上に置き、4隅をセロテープ(登録商標)で固定した。インク(パイロット製インキ(品番INK−350−ブルー)を純水で5倍希釈したもの)をテストフィルム上に塗布し、ゴムローラーを用いて一面に延展させた。不要なインクをふき取った後、テストフィルムを取り除き、ろ紙に付いたインクの点の数を計測した。
【0056】
(3)突き刺し強度
食品衛生法における「食品、添加物等の規格基準 第3:器具及び容器包装」(昭和57年厚生省告示第20号)の「2.強度等試験法」に準拠して測定した。先端部直径0.7mmの針を、突刺し速度50mm/分でフィルムに突き刺し、針がフィルムを貫通する際の強度を測定して、突刺し強度とした。測定は常温(23℃)で行い、単位は[N]である。
【0057】
(4)ヘイズ
(株)東洋精機製作所社製の直読ヘイズメーターを使用し、JIS−K−7105に準拠し測定した。
ヘイズ(%)=〔Td(拡散透過率%)/Tt(全光線透過率%)〕×100
【0058】
(5)静止摩擦係数
フィルム易滑面同士の静止摩擦係数をJIS−K−7125に準拠し、23℃65%RH環境下で測定した。
【0059】
(6)破断強度
測定対象のフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ180mm×15mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフ(商品名)機種名AG−5000A)を用い、引張速度200mm/分、チャック間距離100mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて引張破断強度を測定し、MD方向とTD方向の平均値をデータとした。
【0060】
(実施例1)
2種3層の共押出しTダイ設備を使用し、次のような構成の未延伸シートを得た。B層/A層の構成で、未延伸シートの合計厚みは160μmであり、合計厚みに対するA層の厚み比率は88%である。
A層を構成する組成物:ナイロン6(東洋紡績社製、T814)87重量部、ナイロン6とナイロン12からなる脂肪族共重合ポリアミド重合体(宇部興産株式会社製 7034B)10重量部、およびナイロン12をポリアミド成分とするポリアミド系エラストマー(アルケマ社製、PEBAX4033SN01)3.0重量部からなり、さらにフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、Irganox1010)0.1重量部を含有してなる混合重合体組成物。
B層を構成する組成物:ナイロン6(東洋紡績社製 T814)96.85重量部、ポリアミド系エラストマー(アルケマ社製、PEBAX4033SN01)3.0重量部、細孔容積0.6〜1.0mlのシリカ粒子0.08重量部、細孔容積1.1〜1.6mlのシリカ粒子0.5重量部および脂肪酸アマイド0.15重量部からなる重合体組成物。
【0061】
得られた未延伸シートを縦方向に3.4倍延伸し、続いて横方向に4.0倍延伸することにより、厚み12μmの2軸延伸フィルムを作製し、さらに、厚み40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPEフィルム:東洋紡績社製、L4102)とドライラミネートする側のB層表面にコロナ放電処理を実施した。得られた2軸延伸フィルムのヘイズ、静止摩擦係数、破断強度、衝撃強度、突き刺し強度、屈曲疲労ピンホール数を測定した。その結果を層構成の詳細とともに表1に示す。
【0062】
(実施例2〜6及び比較例1〜2)
層構成を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で2軸延伸フィルムを得た。得られた2軸延伸フィルムのヘイズ、静止摩擦係数、破断強度、衝撃強度、突き刺し強度、屈曲疲労ピンホール数を測定した。その結果を層構成の詳細とともに表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
以上、本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、耐衝撃性及び耐突き刺し性および耐屈曲疲労性、耐磨耗性特に優れているという特性を有していることから、食品包装等の包装材料の用途に好適に用いることができる。特に薄肉化した構成を求められる場合において極めて有益に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ポリアミド重合体97〜70重量%と脂肪族共重合ポリアミド重合体3〜20重量%と所望により熱可塑性エラストマー0.5〜10重量%との混合重合体からなるA層の少なくとも一方の面に、脂肪族ポリアミド重合体99.5〜90重量%と熱可塑性エラストマー0.5〜10.0重量%との混合重合体からなるB層が積層されていることを特徴とする積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
【請求項2】
A層を構成する熱可塑性エラストマーがポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー及びアイオノマー重合体からなる群から選択された少なくとも一種のエラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
【請求項3】
フィルムの全厚みが9〜25μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
【請求項4】
A層の厚みがA層とB層の合計の厚みの70〜93%であり、B層の厚みが1μm以上であることを特徴とする請求項3に記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
【請求項5】
衝撃強度が0.7J以上であり、突き刺し強度が10N以上であり、5℃の屈曲疲労ピンホール数が5個以下であり、破断強度が45N/15mm以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
【請求項6】
B層に対して0.6〜1.0mlの細孔容積を有する無機微粒子0.005〜0.5重量%及び1.1〜1.6mlの細孔容積を有する無機微粒子0.01〜2.0重量%が添加され、無機微粒子の平均粒子径が0.5〜5.0μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
【請求項7】
A層及び/又はB層を構成するポリアミド重合体が脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドを0.01〜0.40重量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
【請求項8】
23℃65%RHでの静止摩擦係数が0.90以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
【請求項9】
A層を構成する混合重合体が酸化防止剤を0.01〜0.1重量%含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
【請求項10】
B層を最外層として請求項1〜9のいずれかに記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムを使用したことを特徴とする包装材料。

【公開番号】特開2010−234552(P2010−234552A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82379(P2009−82379)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】