説明

穴加工されたフィルム

本発明の対象は、20μm未満の厚さ、2N/cm〜40N/cmの引張強さ及び10〜90%のホール面積を有する穴加工されたフィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄手の穴加工されたフィルム(perforierten Folien)及び特に大きな孔面積を有するフィルムの構造及び性質に関するものであり、前記フィルムは相応な安定性を示し、例えばコーティング又は接着剤を施与するようなその後の加工操作に耐える。
【0002】
発明の背景
多孔質フィルムは、微小穴加工されたフィルムを含め、よく知られており、かつ多様な使用及び製造方法は、これらの材料のために見出されている。記載された使用は、電池セパレータ、フィルター、通気性のフレキシブルな包装、創傷被覆材の成分及び化粧張り(Bekleidung)の際に使用するための通気性の膜を包含する。製造方法は、例えば"A review on the separators of liquid electrolyte Li-ion batteries", Journal of Power Sources, 164, (2007), 351-64に評価されているものを包含する。これらの方法は、いわゆる乾式法及び湿式法、転相及び熱により誘導された液−液相分離を包含する。この評価には、例えば、穴加工されたポリマーフィルムを含め、膜も、記載されており、これらは、電池セパレータとして使用するために製造され、その後のコーティングプロセスにおいて、それらの性質を例えば湿潤性又はセパレータと電極との間の界面接触に関して変性及び改善するために変性されることができる。
【0003】
別の製造方法は、ニードルパンチ(Nadelstanzen)、静電放電、高エネルギー粒子での処理、減圧のドット施与(Punktaufbringung)及びレーザー穴加工を含む多様な穴加工プロセスによる、フィルム中の空間の形成を包含する。
【0004】
レーザー穴加工は、多孔質フィルムの大量生産の際にある種の利点を有する:
1.非接触法である − 薄手又は超薄手のフィルムが穴加工され、その際に例えばニードルパンチのような接触プロセスが、フィルムの裂けるリスクを必然的に伴う場合には、特別な利点である。
2.穴加工すべき領域上に極めて高いエネルギーを放出することが可能であり、このことは極めて短い穴加工時間を可能にする。
3.再現性があり、制御可能なホール寸法の達成を可能にする。
4.レーザー光線をフィルムの表面上の特別なドットに向けることを可能にするために、適した光学系を使用することにより、フィルム内部で規則的で再現性のある2次元のホールパターンを達成することが可能である。
【0005】
例えば、米国特許(US-A)第7,083,837号明細書には、CO2レーザーを用いるポリマーフィルムウェブの穴加工法が記載されている。一選択肢において、前記ウェブがほどかれ、ついで停止されるのに対して、レーザー光線は、定義された2次元面を穴加工し、その際に前記光線の運動は、ガルバノメータスキャナにより曲げられる。選択的に、運動するウェブが、固定した1つのレーザー光線又は固定した複数のレーザー光線により穴加工されて、フィルムの生産方向で一連の穴加工された跡が発生する。しかしながら、フィルムの運動するウェブを穴加工するためのこの種類の方法にとっては、巻取ごとのプロセスに異なる制限があることが明白である。特に、この方法は、有意な孔面積及びホール密度を有する多孔質フィルムを得るために、全フィルム表面積の全割合又はかなりの割合の連続的な穴加工のための実地上の解決手段を提供しない。レーザー光線がフィルムウェブの横方向に運動し、かつ複数のパーフォレーションを発生させなければならない場合、個々のレーザー光線について可能である時間的な変位の速度によって大きな制限を受ける。その結果、可能な最大ウェブ速度は、複数のレーザーを用いる系の使用が考慮される場合でさえも、たいていの用途にとって経済的に採算の合う閾値未満に有意に低下する。
【0006】
レーザー穴加工法のさらなる例は、欧州特許出願公開(EP-A)第0 953 399号明細書により生み出される。ここでは、個々のレーザー光線は、運動するフィルムウェブ上のドットに、フィルムの表面を横切って回転するドラムの周囲上に取り付けられている小さな鏡により、向けられる。ホール形成は、除去プロセスにより行われる。約200μmのホール直径が、エキシマーレーザープロセスのために特許の保護が請求されている。しかしながら、主目的は、より大きなホールを達成することにあり、かつ5.05mmの直径を有するホールの例が挙げられている。この方法のためには、最大ホール分解度は、ドラム上に存在することができる鏡の数及び達成されることができる最小ホール直径により制限されている。
【0007】
多孔質フィルムは、典型的には、ホール直径及びホールの形、ホールパターン、全孔面積(多孔度)、材料、フィルム厚、引張強さ及び弾性率を含め、多数のパラメーターによって特徴付けられている。
【0008】
薄手の微小穴加工されたポリマーフィルムが記載されている多種多様な刊行物が存在する。例として、特開(JP-A)2006-6326860号公報には、1〜25μmの範囲内の厚さ及び10%よりも多い孔面積を有する微小穴加工されたポリマーフィルムが記載されている。特開平(JP-A)06-100720号公報には、60〜150N/mm2の範囲内の引張強さを有する多孔質ポリプロピレンフィルムが記載されている。
【0009】
特開平(JP-A)10-330521号公報には、ニードル穴あけ又はレーザー穴あけにより製造され、10kg/5cm=20N/cmまでの引張強さを有する、10〜120μmの範囲内の厚さを有する高張力ポリオレフィンフィルムが記載されている。
【0010】
独国特許(DE-C)第196 47 543号明細書には、ストレッチフィルムのような包装材料としての薄手の穴あけされたフィルムウェブが、より厳密に引張応力に論及することなく、記載されており、それらのホールは引張応力を適用する際に開く。
【0011】
国際公開(WO)第2008/102140号には、レーザーを用いたフィルムウェブの穴加工プロセスが記載されている。しかしながら、得られた穴加工されたフィルムの性質は記載されていない。同じように、引張強さが、基体材料上に多孔質コーティングを有して微小刻込法により決定される自立型フィルムの例は、あまり見出されない。
【0012】
薄手の多孔質ポリマーフィルムが技術水準に記載されており、かつ異なる最小値(例えば引張強さ、厚さ、多孔度、ホール直径)が特定されているか又は計算されることができることが事実であるにも拘わらず、安定な薄手の多孔質フィルムを達成するため並びに加工するための要求が顧慮されていなかったように思われる。特に、その後のコーティングプロセスに耐え、かつそれらから推論される最小引張強さへの要件を達成するのに必要である安定性についての情報はない。これらの要求を満たす薄手フィルムも提供されていなかった。
【0013】
発明の要約
本発明は、その後のプロセス、例えばコーティングプロセス又は含浸プロセスにかけるために十分な安定性を有する、薄手の穴加工されたフィルムの製造及び性質に関する。
【0014】
本発明の範囲内で、本発明によるフィルムの引張強さは、引張強さ試験機を用いて得られる測定値及び穴加工されたフィルムの厚さから得られる積(単位:N/cm)として示される。
【0015】
本発明によれば、20μm未満の厚さ、2N/cm〜40N/cmの引張強さ及び穴加工されていない同等のフィルムの10〜90%のホール面積を有する穴加工されたフィルムがもたらされる。
【0016】
この箇所で及び以下で、ホール面積は、面積ホールと略称される、ホールにより占められる面積、及び面積フィルムと略称される、穴加工前に存在しているフィルムと同義の、穴あけされていないフィルムにより占められる面積の商[単位:パーセント]であると理解され、
ホール面積=(面積ホール/面積フィルム)×100%。
【0017】
引張強さは、ASTM 882に従い当業者に知られた方法で定義されている。
【0018】
本発明のさらなる実施態様は、前記のタイプの穴加工されたフィルムの製造プロセス、コーティングされた穴加工されたフィルム、選択的にコーティングされた又は含浸された穴加工されたフィルムの、電池セパレータ、通気性の包装材料、電気化学的な膜及び使い捨てのろ材としてのを含めての、多様な使用、及び選択的にコーティングされた穴加工されたフィルムの積層品を包含する。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明によるフィルムは、20μm未満、好ましくは15μmまで、より好ましくは12μmまで、さらにより好ましくは10μm又はそれ未満、及び最も好ましくは5μm又はそれ未満の厚さを有して製造されることができる、任意のタイプのフィルムを有していてよい。本発明によるフィルムの厚さの好ましい下限は約1μmである。
【0020】
本発明によるフィルムは、穴加工されていない同等のフィルムの質量の40〜100%の質量を有していてよい。
【0021】
レーザーにより穴加工をすることができる、材料がSi、Al、Cu、Fe、又は当工業界において常用の鋼から選択されている金属箔、又は熱可塑性のフィルムが、ポリエステルフィルムを含め、好ましいが、しかしながらポリエステルフィルムに限定するものではない。適した熱可塑性材料の例は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレングリコールテレフタラート(PET)、ポリエチレングリコールナフテナート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、芳香族ポリアミド(Ar)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリイミド(PI)並びにそれらのコポリマー、デジタル複写機の印刷プロセスにおいてデジタルスクリーンの構成要素として使用するために記載されたポリエステルコポリマー及びポリエステル混合物を有するフィルムを包含する。PET及びPENが好ましく、かつPETが最も好ましい。
【0022】
本発明のフィルムにおいて使用するのに適したさらなるポリマーは、ポリオレフィン、例えばポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、フッ化ポリマー、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン及びセルロースエステルを包含する。
【0023】
さらに、ポリエステルフィルム又はポリアミド、好ましくはポリアミド6,6、ポリアミド12、又はポリアミド6から選択されるポリマーが適している。
【0024】
前記フィルムは、ポリマーを含有してよく、かつ前記フィルムは、付加的な成分、例えば可塑剤、無機粒子、ワックス、着色剤、潤滑剤、溶剤又は粘着防止剤及び技術水準から知られている任意の他の添加剤も含有していてよい。そのような添加剤は、前記フィルムの機能性又は外観を改変することができ、これは例えばスティフネス、引張強さ、ブロッキング、潤滑、光沢、不透明度、表面粗さ、表面伝導率及び体積伝導率及び色のような性質に影響を与える。
【0025】
特別な一実施態様において、ベースフィルム、すなわち穴加工前のフィルムは、レーザー又は他の形の放射線を用いた穴加工を可能にするか又は改善するために、適した波長でレーザーエネルギーを吸収する顔料又は染料を含有していてよい。
【0026】
半導体レーザー装置を使用する好ましいレーザー穴加工プロセスのためには、添加される顔料又は添加される染料は、レーザーの操作波長での光の吸収を高める。典型的には、半導体レーザーは、690〜1500nmの範囲内の電磁スペクトルの近赤外領域内で操作する。ある種の製品用途のためには、フィルム不透明度又はフィルム色に最小の影響を及ぼす材料を選択することが重要である。
【0027】
ベースフィルムは、コーティング又はインキも含有してよい。コーティング又はインキは、フィルムの片面のみ又は両面に存在していてよい。コーティング又はインキは、フィルム表面の全ての部分又は任意の部分を覆うことができる。特別な一実施態様において、コーティング又はインキは、穴加工プロセスのために使用されるレーザーから放出されるエネルギーの吸収の特性を有するので、フィルム表面のパターンを印刷することにより、パーフォレーションは、印刷された範囲内にのみ生じる。パターンは、複数のホールで穴加工されたブロック面を有していてよい。選択的に、パターンは、それぞれ個々のパーフォレーションの位置及びサイズを定義するドットのセットを有していてよい。コーティング又はインキは、ポリマーフィルムの添加剤成分としての前記のタイプの添加剤並びに他の成分、例えば樹脂、界面活性剤、粘度変性剤、流動助剤、付着促進剤、殺生物剤及び技術水準から知られた他のコーティング成分を包含することができる。
【0028】
コーティングが、エネルギーを近赤外で吸収するために、染料又は顔料を有する一実施態様において、炭素は、その容易な配合、その低いコスト及び全ての分光範囲にわたるその幅広い吸収に基づいて、幾つかの用途のために好ましい顔料である。しかしながら、幾つかの用途のためには、フィルム材料の色及び不透明度へのコーティングの影響を最小限にするために、代替的な材料を使用することが必要である。
【0029】
コーティングは、有機溶剤又は水をベースとするキャリアから施与されることができる。選択的に、このコーティングは、引き続き紫外線又は電子線源での照射により硬化される固体100%を有するコーティングとして施与されることができる。任意の知られた印刷法又はコーティング法は、コーティングを施与するために、スロットダイコーティング法、グラビアコーティング法、ローラーコーティング法及びカーテンコーティング法を含め、使用されることができる。好ましい印刷プロセスは、オフセット、スタンプ、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷及び回転フィルム印刷プロセスを包含するが、しかしながら、他のプロセス、例えばグラビア印刷法又は凸版印刷法及び非機械的なプロセス、例えばインクジェット印刷も包含することができる。
【0030】
本発明の穴加工されたフィルムは、典型的には、50〜250μm、好ましくは51〜150μm、より好ましくは52〜125μmの範囲内の平均の(すなわち中位の)直径を有するパーフォレーション又はホールを有する。本発明に関連して、平均直径は、パーフォレーションの最大直径及び最小直径の平均であり、例えば光学顕微鏡法又は走査電子顕微鏡法(SEM)により決定されている。幾つかの用途のためには、パーフォレーションが本質的には同じ、例えば平均直径で10%までのみ又はそれ未満だけ変動するサイズを有することが好ましい。
【0031】
本発明によるフィルムは、各々が、穴加工されていない領域でのフィルムよりも大きな厚さを有する盛り上がった縁部を周囲に有するパーフォレーションを有していてよい。
【0032】
さらに、フィルム中に、近赤外で吸収する材料が、パーフォレーションの盛り上がった縁部中に存在していてよいが、しかしパーフォレーション間の領域内には存在していない。
【0033】
連続的なパーフォレーションを有する領域内で、高い孔領域(又は多孔度)が可能である。たいていの細孔発生プロセスは、円形又は本質的に円形のホールをもたらす。ここでは、最大孔面積は、この形について達成されることができる最大ホール充てん密度の関数である。しかしながら、新しい一実施態様において、穴加工レーザー源のエネルギーを吸収することができる印刷された前駆物質ドットの形による任意の形を有するホールを発生させることが可能である。本発明は、例えば、円形又は楕円形のホールの発生に限定されているのではなくて、多角形、例えば六角形を含め、幅広い範囲の他の幾何学的な形が含まれる。故に達成されることができるより効率的な充てん密度に基づいて、生じるフィルムが2N/cmの最小引張強さの要件を満たすという前提で、孔面積90%までの極めて高い多孔度が可能である。本発明に関連して、"連続的なパーフォレーション面積"は、隣接したホールの中心間の最大距離が、ホールの平均直径の二十倍又はそれ未満である面積を意味する。本明細書に記載される穴加工法の使用下では、典型的には、1インチ(2.54cm)あたり30〜700ホールの分解度を有するホールを達成することが可能である。
【0034】
本発明によって、これがフィルムの意図した最終用途のために必要である場合には、本質的に異なる直径を有するホールを同じ片のフィルム中に発生させることも可能である。
【0035】
本発明の薄手フィルム中のパーフォレーション度を定量化する付加的な可能性は、生産方向並びに横方向で穴加工プロセス後に残る、フィルムの中実の、すなわちポリマー又は金属の全断面積を顧慮することにある。断面積は、穴加工前のフィルムの全断面積から細孔又はパーフォレーションにより覆われた断面積を減ずることにより決定される。細孔又はパーフォレーションにより覆われた断面積は、光学顕微鏡法又は走査電子顕微鏡法により決定されることができる。全断面積は、穴加工されていない同等のフィルムの95%〜10%、好ましくは90%〜30%の範囲内にある。
【0036】
パーフォレーション度を定量化する別の可能性は、穴加工されていない同等のフィルムと比較した、穴加工後に残るフィルムの質量から出発する。好ましくは、本発明の穴加工されたフィルムの質量は、穴加工されていない同等のフィルムの質量の20%〜100%又はフィルムの離散した穴加工された面積の質量に同じ、又は穴加工されなかったフィルムの同等の離散した面積の20%以上100%までである。この質量維持の量は、パーフォレーションを形成するために、典型的には除去プロセスによりも、むしろ溶融プロセスにより達成される。
【0037】
特に、溶融プロセスにおいて、ホール縁部上でのフィルム厚のそれらに基づく増加が生じ、その際に本発明に関連して"盛り上がった縁部"と呼ばれるものが形成される。パーフォレーション縁部でのフィルム厚の増加は、発生されるパーフォレーションの直径と併せて、前駆フィルムの厚さ又はフィルムの組み合わされた厚さ及びそれらの上に施与された何らかのコーティングに、決定的に依存する。我々は、パーフォレーション縁部が、95%超のフィルム厚の増加を引き起こす事例を観察した。フィルム厚の増加は、機械的な手段、例えばダイヤルゲージにより測定されることができる。選択的に、走査電子顕微鏡法により発生される画像の分析により誘導される測定を使用することが可能である。
【0038】
以下の幾つかのプロセス、例えば印刷のためには、盛り上がったパーフォレーション縁部により引き起こされる盛り上がった表面が、フィルムの一方の表面にのみ配置されており、他の表面が相対的に滑らかなままであることが好ましい。この種類の構造を有するフィルムは、これらが半導体レーザー装置を用いて穴加工される場合に達成されることができる。
【0039】
最後に、パーフォレーション度は、本発明の穴加工されたフィルムの意図した最終使用に依存する。
【0040】
パーフォレーションパターンは、本発明の穴加工されたフィルムの物理的性質に有意に寄与しうるものであり、このことは、例えば引張強さ及び引張モジュラスのような性質に影響を及ぼす。これらの作用の顧慮は、相対的に高い孔面積を有する薄手フィルムが発生される場合に特に重要である。図1に示されたような、一連の平行したパーフォレーションを有するパーフォレーション構造は、図2に示されたような、ホールが交互の順序でずれているホールパターンよりも、軸1で有意に低い引張強さを有する、それというのも、最小断面積はこれらの性質に依存し、図2の場合に有意により大きいからである。
【0041】
本発明の特別な一利点は、さらなるプロセス、例えばコーティング、含浸又は積層にかけられるように、十分な安定性を有する薄手の穴加工されたフィルムが製造されることにある。コーティングプロセス及び含浸プロセスは、穴加工されたフィルムへの液状媒体の施与、及び架橋反応又は重合反応を例えば熱の適用又は紫外線又は電子線での照射により実施するための、その後の乾燥及び/又は硬化を含む。含浸プロセスは、含浸材料での穴加工されたフィルムの浸透を達成するので、この材料は、穴加工されたフィルムの細孔内部に存在している。幾つかの場合に、含浸材料が、フィルムを完全に封入又は包埋ことができる。乾燥工程及び/又は硬化工程の実施の際に、施与されたコーティング又は含浸材料は収縮する。
【0042】
本発明がコーティングされ、穴加工されたフィルムに関して記載される以下において、他に記載されない場合には、含浸され、穴加工されたフィルムについては、例えば含浸に使用される材料及びフィルムの最終用途に関して、同じ又は類似の顧慮が当てはまる。
【0043】
微小穴加工されたフィルムの引張強さを決定する因子は、それらの最小断面積と併せて、フィルムの材料及びフィルム製造の条件である。最小表面積のパラメーターはそしてまた、フィルム厚及びパーフォレーション特性(孔面積及びパーフォレーションパターン)に関連する。
【0044】
本発明の薄手の穴加工されたフィルムが、コーティングがそれらの上に施与される場合に十分な加工性を有するためには、少なくとも2N/cmの引張強さを有しなければならないことを我々は確かめた。好ましくは、引張強さは5N/cm〜20N/cm及びより好ましくは10N/cm〜20N/cmである。
【0045】
20μm未満及び特に12μm又はそれ未満の厚さを有する穴加工されたフィルムの製造を可能にするフィルムが得られるにも拘わらず、引張強さの明記された値を満たすために、このことがフィルムそれ自体を用いては不可能であり得たという事情がある。穴加工前に与えられたフィルム、本発明の範囲内で前駆フィルムと呼ばれるフィルムの引張強さは、例えば、穴加工後の引張強さの必要な明記された値の達成を妨げうる。他の場合には、穴加工されたフィルムの明記された値を達成するという要件は商業的な採算性に不利である、それというのも、この値は、より厚手のフィルムの使用を望ましいとして要求するからである。ここでは、不利な影響は、前駆フィルムの高められたコスト又は穴加工プロセスの高められたコストから、例えば穴加工速度が低下されているという理由で、もたらされ得た。これらの状況下では、考えられる対抗措置は、さもないと許容され得ない薄手フィルムを、フィルム単独と比較して引張強さの改善の性質を有する多孔質媒体、例えば不織布材料との積層品へ導入することにある。
【0046】
本発明の対象は、故に、本発明による穴加工されたフィルムと、本発明によるフィルムが積層されている多孔質媒体とを有する積層品でもあり、その際に積層品は、2〜50N/cmの引張強さを有する。
【0047】
典型的な多孔質媒体は、不織布であってよく、これは、薄葉紙及び長セルロース繊維、例えばマニラ繊維、合成ポリマー繊維及びマイクロファイバー及びそれらの混合物を有する他の多孔質媒体を包含する。そのような多孔質媒体の典型的な厚さは、15〜60μmの範囲内である。穴加工されたフィルムに積層される多孔質媒体が、その性能を損なわないことが重要である。その結果、多孔質媒体中の空間サイズが穴加工されたフィルム中の細孔のサイズよりも大きく、かつ使用される積層接着剤の何かが、積層品の双方の成分中の細孔をブロックしないことが望ましい。適した材料の選択は、当業者にとってルーチンであろう。
【0048】
選択的に、多孔質媒体は、フィルムの穴加工後又は穴加工されたフィルムのコーティング又は含浸後に、積層品から除去可能であってよい。このためには、フィルム及び/又は多孔質媒体には、溶解コーティングが、このために専門分野で使用される従来の材料の何らかの使用下に、設けられることができる。
【0049】
フィルム自体は、20μm未満の厚さ及び自立したフィルムに関して前記されるようなホール面積を有していてよい。しかしながら、典型的には、この厚さ範囲の下端でのフィルムの場合の積層が最も有益である。
【0050】
好ましくは、本発明による積層品の穴加工されたフィルムは、熱可塑性ポリマーを有していてよいか又はそれらからなっていてよい。特に好ましくは、このポリマーは、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフテナート、又はポリアミド、好ましくはポリアミド6,6、ポリアミド12、又はポリアミド6から選択されていてよい。
【0051】
さらに、本発明による積層品において、
a)穴加工されたフィルムが、多孔質媒体よりもより低い融点を有し、
かつこの融点が最高でも250℃であるか、
又は
b)多孔質媒体が、穴加工されたポリマーフィルムよりも低い融点を有し、
かつこの融点が最高でも250℃である
場合が有利でありうる。
【0052】
積層は、フィルムの穴加工の前又は後に実施されることができる。
【0053】
本発明によるフィルム又は本発明の積層品への包埋のためのフィルムは、任意の知られた穴加工プロセスにより製造されることができる。レーザー穴加工又は他の形の放射線による穴加工を含め、非接触法が好ましい。幾つかの用途のためには、しかしながら接触プロセス、例えばサーマルプリントヘッドの使用が有利でありうる。別の方法は、ニードルパンチ又はパンチプレスを包含する。
【0054】
サーマルプリントヘッドが穴加工のための手段として使用される場合には、穴加工されていないフィルムは、穴加工が行われることを可能にするために十分に熱エネルギーがフィルムへ移行される速度でヘッド上で運動される。このプロセス中に、サーマルプリントヘッド上の個々のドット加熱装置は、エネルギーインパルスをフィルムへ放出するために、ヘッドドライバ(Kopftreiber)により電源がオンオフされる。これらのプロセスのためには、フィルムが、非付着性コーティングをヘッド接触側に有することが望ましい。そのうえ、サーマルプリントヘッドのエネルギーを、フィルムの厚さ及び熱収縮特性と組み合わせて、離散したピクセルパーフォレーションが達成されることを保証するために顧慮することが必要である。典型的には、フィルム穴加工を、この方法により1インチあたり200〜600ホールの範囲内の分解度で実施することが可能である。
【0055】
レーザー穴加工は、知られた方法により、典型的には個々の光線又は高い出力を有する少数の源、例えばCO2レーザー又はYAGレーザーの使用下に、実施されることができる。これらの方法は、レーザー光線が脈動され、かつ前駆フィルムの表面を横切ってガルバノメータスキャナのような手段により運動されるので、エネルギーインパルスがその所定の位置で放出されることを必要とする。これらの方法が特徴とする低い穴加工速度は別として、薄手フィルムの穴加工のための高い出力を有するそのような源の使用は、ホール形成の優勢なプロセスとしての溶融をもたらすよりも、むしろ材料除去をもたらす。その結果、穴加工されたフィルムの質量は、前駆フィルムの質量よりも少ない。それとは異なり、溶融プロセスによるホール形成は、当初のフィルム質量の維持をもたらし、その際に溶融された材料が、高められる厚さを有する領域をホール縁部で形成する。その結果、溶融プロセスにより穴加工されたフィルムは、それ以外は同等のパーフォレーションパターンを形成するために材料除去により穴加工される相応するフィルムよりも大きな最小断面積を有する。薄手フィルムにとっては、この差は決定的でありうる、それというのも、機械的性質、例えば引張強さ及び引張モジュラスは、最小断面積の関数だからである。
【0056】
薄手フィルムの大きな面積を穴加工するために経済的に採算の合う速度を有する、その際に溶融が唯一の又は優勢なプロセスである、好ましいレーザー法は、半導体レーザー装置を穴加工手段として使用することにある。
【0057】
相対的に低い出力を有する半導体レーザー装置は、例えば、ゼログラフィーによる複写機及び印刷機の構成要素としてよく知られている。しかしながら、最近、高められた出力を有する装置が得られ、かつこれらが薄手フィルムを穴加工することができることを我々は実証することができた。しかしながら、金属箔のためには、より高エネルギーのガスレーザーが使用されなければならない。そのような装置中で、レーザー装置は、典型的には、多数のレーザーチャネルを提供する多数の半導体レーザーモジュール又は半導体レーザーチップを有する。モジュールが互いに結合されることによって、連続的なフィルムウェブ上を横に配置されていてよい幅広い線状配置を発生させることが可能であるので、レーザーチャネルは穴加工すべきドット各々の上に、フィルムがその下で運動される場合に、配置されている。そのような装置は、個々の又は少数のレーザー光線を含む前記のプロセスの問題を回避し、フィルムウェブの穴加工を大規模に、これまで可能であるよりも数桁大きい線形速度で達成することが可能であるという結果を伴う。
【0058】
そのような手段により、生じる穴加工されたフィルム中に1インチあたり200チャネルのレーザー分解度及び同等のホール分解度でより多く達成されることができる。そのようなレーザーは、典型的には、電磁スペクトルの近赤外領域(NIR領域)内のより短い波長で操作する。典型的には、200mWを上回る個々のレーザーチャネルのエネルギーが達成されることができる。本発明の目的のためには、レーザーは、出力、安定性及び波長に基づいて、選択される。特に、穴加工すべきフィルムが、エネルギーをレーザーの操作波長で吸収できることを保証することが必要である。ポリマーフィルムの場合にこれらのフィルムの多くは、NIR領域内で大体において透明であるので、それらの吸収を穴加工レーザーの波長で、すなわち電磁スペクトルのNIR領域で高めるために、これらのフィルムをコーティングの供給により変性することが必要である。
【0059】
本発明の一実施態様において、穴加工レーザーの波長で僅かなエネルギー吸収を有するか又はエネルギー吸収を有しないポリマーフィルムは、レーザー波長でのエネルギー吸収を高めるために、選択的に材料でコーティング又は印刷される。その結果、レーザーエネルギーのインパルスを利用できるフィルム表面の全部で意図する単純な制御を用いるレーザー装置の使用下に、このフィルムを選択的に穴加工することが可能である。そのような手段により、選択されるパーフォレーション面積、例えばフィルムの全面内にパーフォレーションスポット又はパーフォレーションベルトを発生させることが可能である。代替的に、装飾的なパターン又は製品の信頼性又は識別証明のためのコード又はロゴであるパターンを発生させることが可能である。
【0060】
選択的な穴加工のための代替的な手段は、レーザー装置を、各々のレーザーチャネルが個々にアドレス指定可能であるように構成することにある。適したヘッドドライバソフトウェアとの組合せで、レーザーチャネル分解度の限度内でパーフォレーションパターンの極めて幅広い選択を発生させることが可能である。
【0061】
新しいさらなる一実施態様において、半導体レーザー装置の使用下での穴加工のための代替的なプロセスが達成され、その際にレンズが、連続的なレーザー光線を各モジュールの長さに沿って発生させる − いわゆる"レーザーバー"のために使用される。そのような構成は、極めて高いエネルギーフルエンスを達成することができる。穴加工レーザーの操作波長での僅かな吸収を有するか又は吸収を有しないフィルムの穴加工は、フィルムが穴加工が必要であるところでインキのエネルギー吸収点を有して選択的に印刷される場合に、達成されることができる。このプロセスにより、エネルギー吸収インキからなる印刷されたドットの形及びサイズにより決定されている多様なホールの形及びサイズを発生させることが可能である。ドットは、本質的には同一のサイズを有していてよく、例えば10〜125μmの平均直径を有していてよい。レーザー装置及び/又はフィルムは、双方の間での相対運動が達成されるように配置されることができる。レーザー装置は、例えば、レーザー線が、穴加工すべきフィルム上を横に、すなわちフィルムの長さに対して横に供給されるように配置されることができる。レーザー装置は、そうすると、フィルムの表面上を運動可能でありうる及び/又はフィルムは、固定されていてよいレーザー装置に対してこれらが相対運動するように配置されることができる。
【0062】
この特別な"レーザーバー"実施態様は、多数の有意な利点を有する:
1.ヘッド分解度の変更及び/又は複雑なヘッドドライバエレクトロニクス及びヘッドドライバソフトウェアの提供を必要とするかもしれない他のレーザープロセスとは異なり、パーフォレーションのサイズ及び位置を印刷パターンの変更により変えることが極めて容易である。
2.NIR吸収剤の使用は最小限になる。このことは重要な考量である、それというのも、多くの吸収剤はより高価であり、かつ穴加工されたフィルムの製造のための原料の全コストに有意に寄与するからである。
3.高い透明度及び僅かな着色を有する穴加工されたフィルムを、濃く着色された及び不透明な吸収インキが使用される場合でさえ、製造することが可能である。この手順により、各々残りのインキは、パーフォレーションの縁部に限定されず、そこでは溶融した材料が穴加工後に凝固し、その結果、本発明による穴加工されたフィルムの外観に最小の影響を及ぼす。
【0063】
本発明の薄手の穴加工されたフィルム及びそれらの積層品は、多様な最終用途において、これらのフィルム又はこれらの積層品がコーティングされているか又はコーティングされていない、含浸されているか又は含浸されていないかどうかで同じく、使用されることができる。
【0064】
本発明のフィルム(自立した形で又は積層されている)は、多様なコーティング材料で、多様な目的のためにコーティング又は含浸されることができる。
【0065】
本発明による積層品が、すなわち穴加工された後で、セラミック材料でコーティング又は含浸されている場合には、この積層品は、技術水準に記載されているこのタイプの媒体の有利な性質を有する電池セパレータとして特に使用されることができる。
【0066】
非セラミックコーティングを有するか又は有しない、又は含浸されているか又は含浸されていない、本発明の薄手の穴加工されたフィルムは、同様に電池セパレータとして使用されることができる。
【0067】
同様に、本発明によるフィルムは、定義された雰囲気用の包装材料、電気化学的な膜又はろ材、又はフィルムが選択的にセラミック材料又は非セラミック材料でコーティング又は含浸されている電池セパレータとして、使用されることができる。
【0068】
フィルムが、コーティングされるか又はそのほかに、多孔質基体上へ積層される特別な一実施態様において、いわゆる"遮断層"を導入することが可能である。このことは、過充電、物理的な損傷又は内部作用によりもたらされる制御されない温度増加を防止する安全特徴である。二層の構造、例えば微小穴加工されたフィルム及び不織布から形成される積層品中で、これらの成分が、一方の成分が、機械的強さ及び熱安定性を提供し、かつ他方の成分が、それらの相対的に低い融点による遮断機能を提供するように選択されることによって、遮断層を製造することが可能である。電池内部の温度が上昇することを引き起こす潜在的に破滅的なショートの場合に、遮断層が溶融するので、他方の成分中の細孔がブロックされ、その際にそのために電池セル内部のイオン流動が本質的に停止され、それにより熱による制御損失が防止される。典型的には、遮断層は、技術水準に記載されるように、130℃又はそれ未満の融点を有する。本発明において、遮断機能は、例えば、ポリエステル繊維(PET繊維)又はポリエステルマイクロファイバーを有する例えば合成不織布と組み合わせて、微小穴加工されたフィルムの成分としてのポリエチレンフィルムの選択により、達成されることができる。選択的に、遮断機能は、積層品中で、相対的に高い融点を有する微小穴加工されたフィルム、例えばPET又はPENと組み合わせて、低い融点を有する繊維、例えばポリエチレン繊維を有する不織布の使用により、発生されることができる。
【0069】
本発明により達成されることができる高いパーフォレーションレベルは、フィルムを、多様な用途において使用するための通気性の包装材料、電気化学的な膜、及び使い捨てのろ材としての用途を含め、多数の他の最終用途に役立たせる。
【0070】
さらなる一実施態様において、本発明は、電池セパレータとして前記のタイプの穴加工されたポリマーフィルム又は積層品を有する電池をもたらす。
【0071】
故に、本発明の対象は、同様に、本発明による穴加工されたフィルム又は本発明による積層品を有するか又はそのようなフィルム又は積層品である電池セパレータを有する電池である。
【0072】
好ましくは、この電池の穴加工されたフィルム又は積層品は、セラミック材料又は非セラミック材料でコーティング又は含浸されていてよい。
【0073】
本発明は、以下の例によりさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】一連の平行したパーフォレーションを有するパーフォレーション構造を示す図。
【図2】ホールが交互の順序でずれているホールパターンを示す図。
【0075】
例1.
6μmの呼び厚さを有するポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムを、名称Pacific Black(登録商標)(Antonine Printing Inks Ltd.から入手可能)で販売されている炭素顔料を含有する水ベースのインキでコーティングし、光を近赤外で吸収することができ、乾燥質量1.0g/m2を有するコーティングを得た。コーティングされたフィルムの厚さは約7μmであった。
【0076】
コーティングされたフィルムを、980nmで操作し、かつ255J/cm2の最大フルエンスにすることができる半導体レーザーモジュールの使用下に穴加工した。生じた穴加工されたフィルムは、50μmの平均直径を有する極めて類似した一連のホールを有していた。典型的なパーフォレーションの断面を、SEM(PHENOM、FEI company)により分析し、生じた3D像を分析した。第1表は得られたデータを示す:
【0077】
第1表.
【表1】

【0078】
ホールの周りに盛り上がった縁部として存在している溶融したポリマーの体積は、それに応じて、ホールの形成により除去されたポリマー体積の82%である。
【0079】
比較例2.1.
例2.2〜2.4.
一連の穴加工されたフィルムを、以下の第2表中の詳細に従って製造し、その際に穴加工された面積は約10cm×10cmであった。PETポリマーを有するフィルムは、Mylar C (DuPont Teijin Films)であった。平均ホール直径及び中実の断面積は、穴加工されたフィルムのSEM像から得られた。比較例2.1及び例2.2における引張強さを、ASTM D882の方法に基づく直接測定により、50mm/minの伸び速度で操作した引張強さ試験機(Zwick Z2.5/TN1S)の使用下に、幅20mm及び締付長さ40mm(試験体長さ100mm)を有するフィルムの試料の使用下に固定点間で測定した。
【0080】
他の例の引張強さを計算により算出し、その際に引張強さは、209N/mm2を有する穴加工されていない前駆フィルムの中実の断面積を考慮して、ASTM D882に従いPETフィルムの値から採用した。
【0081】
セラミックコーティング混合物を、硝酸4gが添加されていた55質量%の酸化アルミニウム(CT3000 Alcoa)及びアセトンの混合物が添加されたポリフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(Kynar Flex 2801、Arkema)の10%溶液4500mlから製造した。混合物を、パドル撹拌機を用いて300rpmで1h撹拌した。引き続き、混合物を、最大粒度が10μmを超えなくなるまで、超音波処理(Hielscher UP 400S)に約2hかけた。
【0082】
本発明による穴加工されたフィルムの試料を、コーティングのために、これらが、各面に少なくとも15mmの穴加工されていない縁部を有する個々の穴加工された面積(10cm×10cm)を有するように予め調製した。穴加工されたフィルムのそれぞれを、コーティング混合物へ手で浸漬することによりコーティングした。このプロセスにより、コーティング混合物が細孔に含浸し、かつフィルムの両面に付着した。コーティング混合物から抜き取る際に、コーティングされたフィルムを垂直につるして、過剰の混合物がしたたり落ちるのを可能にし、室温で12時間乾燥させて、多孔質樹脂媒体を得た。さらに、10cm×10cmの大きさの穴加工された面がばらで設けられている連続的なフィルムを、前記のセラミック分散液を用いてロールコーティングプロセスにおいて連続的にコーティングし、乾燥させ、再び巻き取った。
【0083】
乾燥プロセスを終了する際に、例2.2〜2.4の本発明によるフィルムは完全に平らなままであり、これらを引き続きセパレータとしてリチウム電池へ組み込んだ。セパレータがセラミックコーティングを不織布担体媒体上に有する場合に、これらのフィルムが匹敵しうる性能を有する電池を可能にすることが見出された。それとは異なり、比較例2.1において得られたフィルムの取り扱いは、個々のシートとしても、ロール品としても不可能であった。ゆがみ及び割れの発生に基づいて巻き取りも不可能であり、この材料を均一にコーティングすることもできなかった。それゆえ、この材料は、電池セパレータとして使用されることはできなかった、それというのも、平坦さの欠如は、電池電極との完全な接触を妨げたからである。
【0084】
第2表
【表2】

【0085】
例3.
200μmの厚さを有し、例えばAldiで商業的に入手可能な、金属箔をベースとする穴加工されたフィルムを製造し、その際に穴加工された面積は約10cm×10cmであった。平均ホール直径は、約10%のホール割合で200μmであった。引張強さを、比較例2.1及び例2.2のように測定した。
本発明によるフィルムは、31N/cmの引張強さを有し、かつこれらの性質を有して極めて良好に巻き取り及びコーティングされることができ、問題又は目を引くことは観察されることができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20μm未満の厚さ、2N/cm〜40N/cmの引張強さ及び10〜90%のホール面積を有する、穴加工されたフィルム。
【請求項2】
15μmまでの厚さを有する、請求項1記載のフィルム。
【請求項3】
穴加工されていない同等のフィルムの質量の40〜100%の質量を有する、請求項1から2までのいずれか1項記載のフィルム。
【請求項4】
50〜250μmの範囲内の平均直径を有するパーフォレーションホールを有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のフィルム。
【請求項5】
近赤外で吸収する材料が印刷された面でのみ、穴加工されている、請求項4記載のフィルム。
【請求項6】
フィルムが、レーザー光線の入力により穴加工されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のフィルム。
【請求項7】
各々が盛り上がった縁部を周囲に有するパーフォレーションを有し、前記縁部はフィルムの穴加工されていない領域よりも大きな厚さを有する、請求項1から6までのいずれか1項記載のフィルム。
【請求項8】
近赤外で吸収する材料が、パーフォレーションの盛り上がった縁部中に存在しているが、しかしパーフォレーション間の領域中に存在していない、請求項7記載のフィルム。
【請求項9】
PE、PP、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフテナート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)、PAN、PA、PMMA、PI、Arの群から選択される熱可塑性ポリマーフィルムであるか、又は金属箔である、請求項1から8までのいずれか1項記載のフィルム。
【請求項10】
ポリエステルフィルム又はポリアミド、好ましくはポリアミド6,6、ポリアミド12、又はポリアミド6から選択される、請求項9記載のフィルム。
【請求項11】
材料がSi、Al、Cu、Feから選択されている、請求項9記載のフィルム。
【請求項12】
パーフォレーションホールが本質的に円形である、請求項1から11までのいずれか1項記載のフィルム。
【請求項13】
セラミックコーティングが施与されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のフィルム。
【請求項14】
セラミック材料又は非セラミック材料に含浸されたものである、請求項1から13までのいずれか1項記載のフィルム。
【請求項15】
定義された雰囲気用の包装材料、電気化学的な膜又はろ材としての、請求項1から14までのいずれか1項記載のフィルムの使用。
【請求項16】
フィルムが、選択的にセラミック材料又は非セラミック材料でコーティング又は含浸されている、電池セパレータとしての、請求項1から14までのいずれか1項記載のフィルムの使用。
【請求項17】
請求項1から14までのいずれか1項記載の穴加工されたフィルムと、フィルムが積層されている多孔質媒体とを有する積層品であって、積層品が2〜50N/cmの引張強さを有する、積層品。
【請求項18】
穴加工されたフィルムが、20μm未満の厚さ及び10〜85%のホール面積を有する、請求項17記載の積層品。
【請求項19】
多孔質媒体が不織布である、請求項17又は18記載の積層品。
【請求項20】
多孔質媒体が除去可能である、請求項17から19までのいずれか1項記載の積層品。
【請求項21】
穴加工されたフィルムが、熱可塑性ポリマーを有するか又は熱可塑性ポリマーからなる、請求項17から20までのいずれか1項記載の積層品。
【請求項22】
前記ポリマーが、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフテナート、又はポリアミド、好ましくはポリアミド6,6、ポリアミド12、又はポリアミド6から選択されている、請求項21記載の積層品。
【請求項23】
a)穴加工されたフィルムが、多孔質媒体よりも低い融点を有し、
かつこの融点が最高でも250℃であるか、
又は
b)多孔質媒体が、穴加工されたポリマーフィルムよりも低い融点を有し、
かつこの融点が最高でも250℃である、請求項17から22までのいずれか1項記載の積層品。
【請求項24】
積層品が、セラミック材料又は非セラミック材料でコーティング又は含浸されている、請求項17から23までのいずれか1項記載の積層品。
【請求項25】
穴加工されたフィルムが、セラミック材料又は非セラミック材料でコーティング又は含浸されたものである、電池セパレータとしての請求項17から24までのいずれか1項記載の積層品の使用。
【請求項26】
請求項1から14までのいずれか1項記載の穴加工されたフィルム又は請求項17から24までのいずれか1項記載の積層品を有する電池セパレータを備えた電池。
【請求項27】
穴加工されたフィルムが、セラミック材料又は非セラミック材料でコーティング又は含浸されている、請求項26記載の電池。
【請求項28】
積層品が、セラミック材料又は非セラミック材料でコーティング又は含浸されている、請求項26記載の電池。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−512974(P2013−512974A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541381(P2012−541381)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066798
【国際公開番号】WO2011/067064
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】